JPH05265489A - ピッチ抽出方法 - Google Patents
ピッチ抽出方法Info
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- JPH05265489A JPH05265489A JP9226192A JP9226192A JPH05265489A JP H05265489 A JPH05265489 A JP H05265489A JP 9226192 A JP9226192 A JP 9226192A JP 9226192 A JP9226192 A JP 9226192A JP H05265489 A JPH05265489 A JP H05265489A
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- pitch
- frame
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Abstract
(57)【要約】
【構成】 ブロック取り出し処理部9は入力音声信号を
取り出す。フレーム区分部10は、ブロック単位の音声
信号をフレーム単位に区分する。センタクリップ処理部
11は、フレーム区分された現フレームの音声信号をセ
ンタクリップする。自己相関計算部12は、センタクリ
ップされた波形の自己相関を計算する。ピーク検出部1
3は、自己相関データから複数あるいは全てのピークを
検出する。比較検出部15は、上記ピーク検出部13か
らのピークが他フレームで求められたピッチに対して所
定の関係を満たしているかを比較する。該ピークをピッ
チ決定部16が現フレームのピッチとして決定する。 【効果】 誤ったピッチを捉える確率が小さくなる。
取り出す。フレーム区分部10は、ブロック単位の音声
信号をフレーム単位に区分する。センタクリップ処理部
11は、フレーム区分された現フレームの音声信号をセ
ンタクリップする。自己相関計算部12は、センタクリ
ップされた波形の自己相関を計算する。ピーク検出部1
3は、自己相関データから複数あるいは全てのピークを
検出する。比較検出部15は、上記ピーク検出部13か
らのピークが他フレームで求められたピッチに対して所
定の関係を満たしているかを比較する。該ピークをピッ
チ決定部16が現フレームのピッチとして決定する。 【効果】 誤ったピッチを捉える確率が小さくなる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入力される音声信号波
形からピッチを抽出するピッチ抽出方法に関する。
形からピッチを抽出するピッチ抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】音声は、音の性質として、有声音と無声
音に区別される。有声音は声帯振動を伴う音声で周期的
な振動として観測される。無声音は声帯振動に伴わない
音声で非周期的な雑音として観測される。通常の音声で
は大部分が有声音であり、無声音は無声子音と呼ばれる
特殊な子音のみである。有声音の周期は声帯振動の周期
で決まり、これをピッチ周期、その逆数をピッチ周波数
という。これらピッチ周期及びピッチ周波数は声の高低
やイントネーションを決める重要な要因となる。したが
って、原音声波形から正確にピッチ周期を抽出(以下、
ピッチ抽出という)することは、音声を分析し合成する
音声合成の過程のなかでも重要となる。
音に区別される。有声音は声帯振動を伴う音声で周期的
な振動として観測される。無声音は声帯振動に伴わない
音声で非周期的な雑音として観測される。通常の音声で
は大部分が有声音であり、無声音は無声子音と呼ばれる
特殊な子音のみである。有声音の周期は声帯振動の周期
で決まり、これをピッチ周期、その逆数をピッチ周波数
という。これらピッチ周期及びピッチ周波数は声の高低
やイントネーションを決める重要な要因となる。したが
って、原音声波形から正確にピッチ周期を抽出(以下、
ピッチ抽出という)することは、音声を分析し合成する
音声合成の過程のなかでも重要となる。
【0003】上記ピッチ抽出の方法(以下、ピッチ抽出
方法という)は、波形の上で周期的ピークを検出する波
形処理法、相関処理が波形の位相歪みに強いことを利用
した相関処理法、スペクトルの周期的周波数構造を利用
したスペクトル処理法とに分類される。
方法という)は、波形の上で周期的ピークを検出する波
形処理法、相関処理が波形の位相歪みに強いことを利用
した相関処理法、スペクトルの周期的周波数構造を利用
したスペクトル処理法とに分類される。
【0004】上記相関処理法の一方法である自己相関法
について図12を用いて以下に説明する。図12のAは
300 サンプル分の入力音声波形x(n) であり、図12の
BはAで示したx(n) の自己相関関数の波形Rx (k) で
ある。また、図12のCはAに示されたクリッピングレ
ベルCL でセンタクリップした波形C x(n) であり、
図12のDはCで示したC x(n) の自己相関関数の波
形RC (k) である。
について図12を用いて以下に説明する。図12のAは
300 サンプル分の入力音声波形x(n) であり、図12の
BはAで示したx(n) の自己相関関数の波形Rx (k) で
ある。また、図12のCはAに示されたクリッピングレ
ベルCL でセンタクリップした波形C x(n) であり、
図12のDはCで示したC x(n) の自己相関関数の波
形RC (k) である。
【0005】上述したように図12のAに示す300 サン
プル分の入力音声波形x(n) の自己相関関数を求める
と、図12のBに示す波形Rx (k) となる。この図12
のBに示す自己相関関数の波形Rx (k) では、ピッチ周
期のところに強いピークが見られる。しかし、声道の減
衰振動による余分なピークも多数見られる。この余分な
ピークを減少させるために、図12のAに示したクリッ
ピングレベル±CL より絶対値として小さい波形を潰し
た図12のCに示すセンタクリップ波形C x(n) から
自己相関関数を得ることが考えられる。この場合、図4
のCに示すセンタクリップされた波形C x(n) には、
もとのピッチ間隔でいくつかのパルスが残っているだけ
になっており、そこから求めた自己相関関数RC (k) の
波形には、余分なピークが少なくなっている。
プル分の入力音声波形x(n) の自己相関関数を求める
と、図12のBに示す波形Rx (k) となる。この図12
のBに示す自己相関関数の波形Rx (k) では、ピッチ周
期のところに強いピークが見られる。しかし、声道の減
衰振動による余分なピークも多数見られる。この余分な
ピークを減少させるために、図12のAに示したクリッ
ピングレベル±CL より絶対値として小さい波形を潰し
た図12のCに示すセンタクリップ波形C x(n) から
自己相関関数を得ることが考えられる。この場合、図4
のCに示すセンタクリップされた波形C x(n) には、
もとのピッチ間隔でいくつかのパルスが残っているだけ
になっており、そこから求めた自己相関関数RC (k) の
波形には、余分なピークが少なくなっている。
【0006】上記ピッチ抽出により得られたピッチは、
上述したように声の高低やイントネーションを決める重
要な要因となり、原音声波形からの正確なピッチ抽出
は、例えば、MBE(マルチバンド励起)ボコーダのよ
うな音声波形の高能率符号化に適用される。
上述したように声の高低やイントネーションを決める重
要な要因となり、原音声波形からの正確なピッチ抽出
は、例えば、MBE(マルチバンド励起)ボコーダのよ
うな音声波形の高能率符号化に適用される。
【0007】
【発明が解決しようとうする課題】ところで、一般的に
入力音声信号の自己相関を観測したとき、そのピークの
中で最大のものがピッチである可能性が高いが、入力音
声信号のレベル変動あるいは背景雑音等で自己相関のピ
ークがきれいにでないときには、正しいピッチが得られ
ず整数倍のピッチを捉えたり、あるいはピッチがないと
判断してしまっていた。また、これを防ぐようピッチの
変動として許可される範囲を限定してしまうことも考え
られるが、一人の話者でのピッチの急激な変化あるいは
例えば男声、女声の連続的な変化等の二人以上の話者の
入れ替わりに追従することが不可能であった。
入力音声信号の自己相関を観測したとき、そのピークの
中で最大のものがピッチである可能性が高いが、入力音
声信号のレベル変動あるいは背景雑音等で自己相関のピ
ークがきれいにでないときには、正しいピッチが得られ
ず整数倍のピッチを捉えたり、あるいはピッチがないと
判断してしまっていた。また、これを防ぐようピッチの
変動として許可される範囲を限定してしまうことも考え
られるが、一人の話者でのピッチの急激な変化あるいは
例えば男声、女声の連続的な変化等の二人以上の話者の
入れ替わりに追従することが不可能であった。
【0008】そこで、本発明に係るピッチ抽出方法は、
上記実情に鑑みてなされたものであり、誤ったピッチを
捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽出するこ
とができるピッチ抽出方法の提供を目的とする。
上記実情に鑑みてなされたものであり、誤ったピッチを
捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽出するこ
とができるピッチ抽出方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るピッチ抽出
方法は、入力音声信号をフレーム単位で区分する工程
と、現在フレームの自己相関データから複数のピークを
検出する工程と、該検出された現在フレームの複数のピ
ークの内、現在フレーム以外のフレームで求められたピ
ッチに対して所定の関係を満たすピッチ範囲内にあるピ
ークを求める工程と、この求められたピークの位置に基
づいて現在フレームのピッチを決定する工程とを有する
ことを特徴として上記課題を解決する。
方法は、入力音声信号をフレーム単位で区分する工程
と、現在フレームの自己相関データから複数のピークを
検出する工程と、該検出された現在フレームの複数のピ
ークの内、現在フレーム以外のフレームで求められたピ
ッチに対して所定の関係を満たすピッチ範囲内にあるピ
ークを求める工程と、この求められたピークの位置に基
づいて現在フレームのピッチを決定する工程とを有する
ことを特徴として上記課題を解決する。
【0010】ここで、現在フレームのピッチの信頼性が
高い時は、例えば現在フレームの複数のピークの内の最
大のものが所定の閾値以上のときに該最大ピークの位置
により現在フレームの複数のピッチを決定し、上記最大
ピークが上記所定の閾値より小さいときは現在フレーム
以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関係
を満たすピッチ範囲にあるピークの位置により現在フレ
ームのピッチを決定する工程を有することを特徴として
上記課題を解決する。
高い時は、例えば現在フレームの複数のピークの内の最
大のものが所定の閾値以上のときに該最大ピークの位置
により現在フレームの複数のピッチを決定し、上記最大
ピークが上記所定の閾値より小さいときは現在フレーム
以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関係
を満たすピッチ範囲にあるピークの位置により現在フレ
ームのピッチを決定する工程を有することを特徴として
上記課題を解決する。
【0011】また、本発明に係るピッチ抽出方法は、入
力音声信号をフレーム単位で区分する工程と、現在フレ
ームの自己相関データから全てのピークを検出する工程
と、該検出された現在フレームの全てのピークの内、現
在フレーム以外のフレームで求められたピッチに対して
所定の関係を満たすピッチ範囲内にあるピークを求める
工程と、この求められたピークの位置に基づいて現在フ
レームのピッチを決定する工程とを有することを特徴と
して上記課題を解決する。
力音声信号をフレーム単位で区分する工程と、現在フレ
ームの自己相関データから全てのピークを検出する工程
と、該検出された現在フレームの全てのピークの内、現
在フレーム以外のフレームで求められたピッチに対して
所定の関係を満たすピッチ範囲内にあるピークを求める
工程と、この求められたピークの位置に基づいて現在フ
レームのピッチを決定する工程とを有することを特徴と
して上記課題を解決する。
【0012】上記入力音声信号をフレーム単位で時間軸
方向に進むブロックを単位として取り出す工程は、入力
音声信号を所定数Nサンプル(例えばN=256サンプ
ル)単位でブロック分割し、Lサンプル(例えばL=1
60)のフレーム間隔で時間軸方向に移動させておりN
−L(例えば96サンプル)のオーバーラップ区間を持
っている。
方向に進むブロックを単位として取り出す工程は、入力
音声信号を所定数Nサンプル(例えばN=256サンプ
ル)単位でブロック分割し、Lサンプル(例えばL=1
60)のフレーム間隔で時間軸方向に移動させておりN
−L(例えば96サンプル)のオーバーラップ区間を持
っている。
【0013】上記所定の関係を満たすピッチ範囲とは、
例えば前フレームの確定ピッチに対してa倍(例えばa
=0.8)−b倍(例えばb=1.2)の範囲ということであ
る。
例えば前フレームの確定ピッチに対してa倍(例えばa
=0.8)−b倍(例えばb=1.2)の範囲ということであ
る。
【0014】また、例えば前フレームに確定ピッチがな
い場合は、フレーム毎に保持される分析対象者の典型的
なピッチである典型ピッチを利用し、該典型ピッチのa
倍(例えばa=0.8)−b倍(例えばb=1.2)の範囲内の
ピッチを用いてピッチの軌跡の追跡を行う。
い場合は、フレーム毎に保持される分析対象者の典型的
なピッチである典型ピッチを利用し、該典型ピッチのa
倍(例えばa=0.8)−b倍(例えばb=1.2)の範囲内の
ピッチを用いてピッチの軌跡の追跡を行う。
【0015】さらに、例えば分析対象者が急に過去のピ
ッチと大きく異なるような声を発した場合は、過去のピ
ッチに無関係に現フレームだけでピッチの飛び越しがで
きるピッチを用いてピッチの軌跡の追跡を行う。
ッチと大きく異なるような声を発した場合は、過去のピ
ッチに無関係に現フレームだけでピッチの飛び越しがで
きるピッチを用いてピッチの軌跡の追跡を行う。
【0016】
【作用】本発明に係るピッチ抽出方法は、フレーム単位
で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相関デ
ータから検出された複数のピークの内、現在フレーム以
外のフレームで求められたピッチと所定の関係を満たす
ピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フレーム
のピッチを決定することができるため、誤ったピッチを
捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽出するこ
とができる。
で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相関デ
ータから検出された複数のピークの内、現在フレーム以
外のフレームで求められたピッチと所定の関係を満たす
ピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フレーム
のピッチを決定することができるため、誤ったピッチを
捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽出するこ
とができる。
【0017】また、本発明に係るピッチ抽出方法は、フ
レーム単位で区分された入力音声信号の現在フレームの
自己相関データから検出された全てのピークの内、現在
フレーム以外のフレームで求められたピッチと所定の関
係を満たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現
在フレームのピッチを決定することができるため、誤っ
たピッチを捉える確率が小さくなり、安定してピッチを
抽出することができる。
レーム単位で区分された入力音声信号の現在フレームの
自己相関データから検出された全てのピークの内、現在
フレーム以外のフレームで求められたピッチと所定の関
係を満たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現
在フレームのピッチを決定することができるため、誤っ
たピッチを捉える確率が小さくなり、安定してピッチを
抽出することができる。
【0018】さらに、本発明に係るピッチ抽出方法は、
フレーム単位で区分された入力音声信号の現在フレーム
の自己相関データから検出された複数のピークの内の最
大ピークが所定の閾値以上であれば該最大ピークの位置
により現在フレームのピッチを決定する。また、上記最
大ピークが所定の閾値より小さいときは、現在フレーム
以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関係
を満たすピッチ範囲内にあるピークの位置に基づいて現
在フレームのピッチを決定することができるため誤った
ピッチを捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽
出することができる。
フレーム単位で区分された入力音声信号の現在フレーム
の自己相関データから検出された複数のピークの内の最
大ピークが所定の閾値以上であれば該最大ピークの位置
により現在フレームのピッチを決定する。また、上記最
大ピークが所定の閾値より小さいときは、現在フレーム
以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関係
を満たすピッチ範囲内にあるピークの位置に基づいて現
在フレームのピッチを決定することができるため誤った
ピッチを捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽
出することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明に係るピッチ抽出方法の実施例
をピッチ抽出装置に適用した具体例について図面を参照
しながら説明する。
をピッチ抽出装置に適用した具体例について図面を参照
しながら説明する。
【0020】図1は、上記ピッチ抽出装置に本発明を適
用した第1の実施例の概略構成を示すブロック図であ
る。この第1の実施例は、図1に示すように入力された
音声信号波形をブロック単位で取り出すブロック取り出
し処理部9と、このブロック取り出し処理部9で取り出
したブロック単位の入力音声信号波形をフレーム単位に
区分するフレーム区分部10と、このフレーム区分部1
0からの現フレームの音声信号波形をセンタクリップす
るセンタクリップ処理部11と、このセンタクリップ処
理部11でセンタクリップされた音声信号波形から自己
相関データを計算する自己相関計算部12と、この自己
相関計算部12で計算された自己相関データから複数あ
るいは全てのピークを検出するピーク検出部13と、上
記フレーム区分部10からの現在フレーム以外のフレー
ム(以下、他フレームという)のピッチを算出する他フ
レームピッチ算出部14と、この他フレームピッチ算出
部14のピッチに対して上記ピーク検出部13で検出さ
れた複数ピークが所定の関数を満たすピッチ範囲内にあ
るか否かを比較し、該範囲内にあるピークを検出する比
較検出部15と、この比較検出部15で求められたピー
クの位置に基づいて現在フレームのピッチを決定するピ
ッチ決定部16とを有する。
用した第1の実施例の概略構成を示すブロック図であ
る。この第1の実施例は、図1に示すように入力された
音声信号波形をブロック単位で取り出すブロック取り出
し処理部9と、このブロック取り出し処理部9で取り出
したブロック単位の入力音声信号波形をフレーム単位に
区分するフレーム区分部10と、このフレーム区分部1
0からの現フレームの音声信号波形をセンタクリップす
るセンタクリップ処理部11と、このセンタクリップ処
理部11でセンタクリップされた音声信号波形から自己
相関データを計算する自己相関計算部12と、この自己
相関計算部12で計算された自己相関データから複数あ
るいは全てのピークを検出するピーク検出部13と、上
記フレーム区分部10からの現在フレーム以外のフレー
ム(以下、他フレームという)のピッチを算出する他フ
レームピッチ算出部14と、この他フレームピッチ算出
部14のピッチに対して上記ピーク検出部13で検出さ
れた複数ピークが所定の関数を満たすピッチ範囲内にあ
るか否かを比較し、該範囲内にあるピークを検出する比
較検出部15と、この比較検出部15で求められたピー
クの位置に基づいて現在フレームのピッチを決定するピ
ッチ決定部16とを有する。
【0021】上記ブロック取り出し処理部9は、入力音
声信号波形に窓関数を乗じ、一部重複(オーバーラッ
プ)させ、Nサンプルのブロックとして入力音声信号波
形を切り出す。また、上記フレーム区分部10は、上記
ブロック取り出し処理部9で取り出されたブロック単位
の信号波形をLサンプルのフレーム単位で区分する。言
い換えると、上記ブロック取り出し処理部9は、入力音
声信号をLサンプルのフレーム単位で時間軸方向に進む
Nサンプルの単位として取り出している。
声信号波形に窓関数を乗じ、一部重複(オーバーラッ
プ)させ、Nサンプルのブロックとして入力音声信号波
形を切り出す。また、上記フレーム区分部10は、上記
ブロック取り出し処理部9で取り出されたブロック単位
の信号波形をLサンプルのフレーム単位で区分する。言
い換えると、上記ブロック取り出し処理部9は、入力音
声信号をLサンプルのフレーム単位で時間軸方向に進む
Nサンプルの単位として取り出している。
【0022】上記センタクリップ処理部11は、上記フ
レーム区分部10からの1フレーム分の入力音声信号波
形の周期性を乱すような特徴を抑制する。すなわち、入
力音声信号波形の自己相関を計算する前に声道の減衰に
より余分ばピークを減少するために所定のクリッピング
レベルを設定し、このクリッピングレベルより絶対値と
して小さい波形を潰すものである。
レーム区分部10からの1フレーム分の入力音声信号波
形の周期性を乱すような特徴を抑制する。すなわち、入
力音声信号波形の自己相関を計算する前に声道の減衰に
より余分ばピークを減少するために所定のクリッピング
レベルを設定し、このクリッピングレベルより絶対値と
して小さい波形を潰すものである。
【0023】上記自己相関計算部12は、例えば音声信
号波形の周期性を計算するものであり、通常であれば強
いピークの位置にピッチ周期が見られる。本第1の実施
例では上記センタクリップ処理部11で入力音声信号波
形の1フレーム分をセンタクリップした上で自己相関関
数を計算しており、鋭いピークが得られる。
号波形の周期性を計算するものであり、通常であれば強
いピークの位置にピッチ周期が見られる。本第1の実施
例では上記センタクリップ処理部11で入力音声信号波
形の1フレーム分をセンタクリップした上で自己相関関
数を計算しており、鋭いピークが得られる。
【0024】上記ピーク検出部13は、上記自己相関計
算部12で計算された自己相関データから複数あるいは
全てのピークを検出する。つまり、自己相関関数の第n
サンプルの値r(n)がピークとなるのは該r(n)が隣合った
自己相関r(n-1)及びr(n+1)より大きいときであり、上記
ピーク検出部13は、このようなピークを検出する。
算部12で計算された自己相関データから複数あるいは
全てのピークを検出する。つまり、自己相関関数の第n
サンプルの値r(n)がピークとなるのは該r(n)が隣合った
自己相関r(n-1)及びr(n+1)より大きいときであり、上記
ピーク検出部13は、このようなピークを検出する。
【0025】上記他フレームピッチ算出部14は、上記
フレーム区分部10で区分された現在フレーム以外のフ
レームのピッチを算出する。本実施例では、入力音声信
号波形を上記フレーム区分部10により、例えば現在フ
レーム、過去フレーム及び未来フレームに区分してい
る。そして、本実施例では、確定している過去フレーム
のピッチを基に現在フレームを決定し、さらに過去フレ
ームのピッチと未来フレームのピッチを基に上記決定さ
れた現在フレームのピッチを確定するような方法であ
る。このように過去フレーム、現在フレーム及び未来フ
レームから現在フレームのピッチを正確に出そうという
考え方をDelayed desision( ディレイドディシィジョ
ン) という。
フレーム区分部10で区分された現在フレーム以外のフ
レームのピッチを算出する。本実施例では、入力音声信
号波形を上記フレーム区分部10により、例えば現在フ
レーム、過去フレーム及び未来フレームに区分してい
る。そして、本実施例では、確定している過去フレーム
のピッチを基に現在フレームを決定し、さらに過去フレ
ームのピッチと未来フレームのピッチを基に上記決定さ
れた現在フレームのピッチを確定するような方法であ
る。このように過去フレーム、現在フレーム及び未来フ
レームから現在フレームのピッチを正確に出そうという
考え方をDelayed desision( ディレイドディシィジョ
ン) という。
【0026】上記比較検出部15は、上記ピーク検出部
13で検出されたピークが上記他フレームピッチ算出部
14で算出されたピッチに対して所定の関係を満たすピ
ッチ範囲内にあるか否かを比較し、該範囲内にあるとき
ピークを検出する。
13で検出されたピークが上記他フレームピッチ算出部
14で算出されたピッチに対して所定の関係を満たすピ
ッチ範囲内にあるか否かを比較し、該範囲内にあるとき
ピークを検出する。
【0027】上記ピッチ決定部16は、上記比較検出部
15で比較検出されたピークから現在フレームのピッチ
を決定する。
15で比較検出されたピークから現在フレームのピッチ
を決定する。
【0028】ここで、上述した各部の中で上記ピーク検
出部13と、該ピーク検出部13で検出される複数ある
いは全てのピークの処理について図2を用いて説明す
る。
出部13と、該ピーク検出部13で検出される複数ある
いは全てのピークの処理について図2を用いて説明す
る。
【0029】図2のAで示される入力音声信号波形x
(n) を上記センタクリップ処理部11でセンタクリップ
した後、上記自己相関計算部12で図2のBに示すよう
な自己相関の波形r(n)を求める。上記ピーク検出部13
は、この自己相関の波形r(n)が、 r(n) >r(n-1)かつ r(n) >r(n+1) ・・・(1) と表せるようなピークを複数あるいは全て検出する。
(n) を上記センタクリップ処理部11でセンタクリップ
した後、上記自己相関計算部12で図2のBに示すよう
な自己相関の波形r(n)を求める。上記ピーク検出部13
は、この自己相関の波形r(n)が、 r(n) >r(n-1)かつ r(n) >r(n+1) ・・・(1) と表せるようなピークを複数あるいは全て検出する。
【0030】このとき、同時に自己相関r(n)の値を正規
化した図2のCに示すようなピークr'(n) も記録してお
く。このr'(n) は、上記自己相関r(n)をn=0での自己
相関データr(0)で割った値である。該自己相関データr
(0)は、ピークとしては最大であるが、上記(1)式を
満たしていないので該(1)式で表すピークには含まな
い。ここで、上記r'(n) は、ピッチであることの度合い
を表す量と考えられ、このr'(n) をその大きさによって
並べかえて、r's (n),P(n)を作る。該r's (n) は、上記
r'(n) をその大きさにより並べかえており、 r' s (0) >r's (1) >r's (2) >・・・>r's (j-1) ・・・(2) という条件を満たしている。但し、jはピークの総数で
ある。また、上記P(n)は図2のCに表すように、大きな
ピークに対応したインデックスを表している。図2のC
では、n=6の位置のピークが一番大きいのでP(0)とし
ている。次に大きいピーク( n=7の位置)のインデッ
クスは、P(1)である。このP(n)は、 r'(P(n)) =r's (n) ・・・(3) の関係を満たしている。
化した図2のCに示すようなピークr'(n) も記録してお
く。このr'(n) は、上記自己相関r(n)をn=0での自己
相関データr(0)で割った値である。該自己相関データr
(0)は、ピークとしては最大であるが、上記(1)式を
満たしていないので該(1)式で表すピークには含まな
い。ここで、上記r'(n) は、ピッチであることの度合い
を表す量と考えられ、このr'(n) をその大きさによって
並べかえて、r's (n),P(n)を作る。該r's (n) は、上記
r'(n) をその大きさにより並べかえており、 r' s (0) >r's (1) >r's (2) >・・・>r's (j-1) ・・・(2) という条件を満たしている。但し、jはピークの総数で
ある。また、上記P(n)は図2のCに表すように、大きな
ピークに対応したインデックスを表している。図2のC
では、n=6の位置のピークが一番大きいのでP(0)とし
ている。次に大きいピーク( n=7の位置)のインデッ
クスは、P(1)である。このP(n)は、 r'(P(n)) =r's (n) ・・・(3) の関係を満たしている。
【0031】上記自己相関 r(n) の正規化関数r'(n) を
並べかえたr's (n) のなかで一番大きい値(ピーク)
は、r's (0) である。この一番大きい値(最大ピーク
値)r's(0) が例えば今、k=0.4 で与えられるある一
定値を越えるときのピッチ決定について説明する。
並べかえたr's (n) のなかで一番大きい値(ピーク)
は、r's (0) である。この一番大きい値(最大ピーク
値)r's(0) が例えば今、k=0.4 で与えられるある一
定値を越えるときのピッチ決定について説明する。
【0032】先ず、上記kを最大ピーク値r's (0) が越
えた場合については、以下の通りである。本実施例では
上記kを0.4 としている。上記最大ピーク値r's (0) が
k=0.4を越えていることは、該最大ピーク値r's (0)
が自己相関のピークの最大値としてかなり高いことを示
し、この最大ピーク値r's (0) のときのP(0)を上記ピッ
チ決定部16で現フレームのピッチとして採用する。こ
れは、例えば、話をしていた分析対象者が急に「えっ」
という声を発した時でも、過去や未来のフレームのピッ
チに無関係に現フレームだけでピッチの飛び越しができ
るという可能性を持たせるという意味も含んでいる。ま
た、同時にこのときのピッチが分析対象者の典型的なピ
ッチであると判断し、これを保持しておく。これは、例
えば、分析対象者の声が一旦無くなってから再開するよ
うなとき等、過去のピッチがないときに有効である。こ
のようなときは、上記P(0)を典型的なピッチとして、 P t =P(0) ・・・(4) とする。
えた場合については、以下の通りである。本実施例では
上記kを0.4 としている。上記最大ピーク値r's (0) が
k=0.4を越えていることは、該最大ピーク値r's (0)
が自己相関のピークの最大値としてかなり高いことを示
し、この最大ピーク値r's (0) のときのP(0)を上記ピッ
チ決定部16で現フレームのピッチとして採用する。こ
れは、例えば、話をしていた分析対象者が急に「えっ」
という声を発した時でも、過去や未来のフレームのピッ
チに無関係に現フレームだけでピッチの飛び越しができ
るという可能性を持たせるという意味も含んでいる。ま
た、同時にこのときのピッチが分析対象者の典型的なピ
ッチであると判断し、これを保持しておく。これは、例
えば、分析対象者の声が一旦無くなってから再開するよ
うなとき等、過去のピッチがないときに有効である。こ
のようなときは、上記P(0)を典型的なピッチとして、 P t =P(0) ・・・(4) とする。
【0033】次に、上記k=0.4 よりも最大ピーク値r'
s (0) が小さい場合については、以下の通りである。も
し、上記他フレームピッチ算出部14で他フレーム(こ
こでは過去フレーム)のピッチP -1( 以下、過去のピッ
チという) が算出されなかったら、つまり過去のピッチ
P -1が0であったら、上記kを0.25に下げて上記最大ピ
ーク値r's (0) と比較する。ここで、最大ピーク値r's
(0) がkより大きければ、該最大ピーク値r's (0) の位
置でのP(0)を上記ピッチ決定部16で現フレームのピッ
チとして採用する。但し、このときのピッチP(0)は、基
準ピッチとして登録しない。
s (0) が小さい場合については、以下の通りである。も
し、上記他フレームピッチ算出部14で他フレーム(こ
こでは過去フレーム)のピッチP -1( 以下、過去のピッ
チという) が算出されなかったら、つまり過去のピッチ
P -1が0であったら、上記kを0.25に下げて上記最大ピ
ーク値r's (0) と比較する。ここで、最大ピーク値r's
(0) がkより大きければ、該最大ピーク値r's (0) の位
置でのP(0)を上記ピッチ決定部16で現フレームのピッ
チとして採用する。但し、このときのピッチP(0)は、基
準ピッチとして登録しない。
【0034】一方、上記他フレームピッチ算出部14で
他フレームのピッチが算出されたなら、つまり過去のピ
ッチP-1が0でなかったら、該過去のピッチP-1の近傍
の範囲で、最大ピーク値r's ( P-1) を探す。言い換え
ると、上記過去のピッチP-1に対して所定の関係を満た
すピッチ範囲にあるピークの位置により現フレームのピ
ッチを探す。具体的には、既に求められている過去のピ
ッチP-1に対して、0≦n<jの範囲でr's (n) を検索
し、 0.8P-1<P(n)<1.2P-1 ・・・・・(5) となる最小のnを求め、これをnm とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記nm であるピークr's ( nm )の位置
のピッチP(nm )を現フレームのピッチの候補として
登録する。
他フレームのピッチが算出されたなら、つまり過去のピ
ッチP-1が0でなかったら、該過去のピッチP-1の近傍
の範囲で、最大ピーク値r's ( P-1) を探す。言い換え
ると、上記過去のピッチP-1に対して所定の関係を満た
すピッチ範囲にあるピークの位置により現フレームのピ
ッチを探す。具体的には、既に求められている過去のピ
ッチP-1に対して、0≦n<jの範囲でr's (n) を検索
し、 0.8P-1<P(n)<1.2P-1 ・・・・・(5) となる最小のnを求め、これをnm とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記nm であるピークr's ( nm )の位置
のピッチP(nm )を現フレームのピッチの候補として
登録する。
【0035】他方、上記ピークr's ( nm ) が0.3 以上
の場合にはそのままピッチとして採用することができる
が、r's ( nm ) が0.3 より小さかった場合には、ピッ
チとしての確率が低いということでさらにもう一度、既
に求められている上記典型的ピッチP t に対して、0≦
n<jの範囲でr's (n) を検索し、 0.8Pt <P(n)<1.2Pt ・・・・・(6) となる最小のnを求め、これをnr とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記nr であるピークr's ( nr )の位置
のピッチP(nr )を現フレームのピッチとして採用す
る。以上、ここでは、他フレームのピッチP-1を基に現
フレームのピッチP0 を決定した。
の場合にはそのままピッチとして採用することができる
が、r's ( nm ) が0.3 より小さかった場合には、ピッ
チとしての確率が低いということでさらにもう一度、既
に求められている上記典型的ピッチP t に対して、0≦
n<jの範囲でr's (n) を検索し、 0.8Pt <P(n)<1.2Pt ・・・・・(6) となる最小のnを求め、これをnr とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記nr であるピークr's ( nr )の位置
のピッチP(nr )を現フレームのピッチとして採用す
る。以上、ここでは、他フレームのピッチP-1を基に現
フレームのピッチP0 を決定した。
【0036】次に、上述したDelayed desisionという考
え方を用いて、上記現フレームのピッチP0 と過去1フ
レームのピッチP-1と未来1フレームのピッチP1 から
現フレームのピッチを正確に求める方法を説明する。
え方を用いて、上記現フレームのピッチP0 と過去1フ
レームのピッチP-1と未来1フレームのピッチP1 から
現フレームのピッチを正確に求める方法を説明する。
【0037】ここで、現在のフレームのピッチの度合い
を上記ピッチP0 に対応するr' の値、すなわちr'(P0)
で代表し、Rとする。過去1フレームのピッチについて
は、ピッチの度合いをR- 、未来1フレームのピッチに
ついては、それをR+ とする。したがって、上記度合い
R、R- 及びR+ は、R=r'(P0)、R- =r'(P-1) 及び
R+ =r'(P1)となる。
を上記ピッチP0 に対応するr' の値、すなわちr'(P0)
で代表し、Rとする。過去1フレームのピッチについて
は、ピッチの度合いをR- 、未来1フレームのピッチに
ついては、それをR+ とする。したがって、上記度合い
R、R- 及びR+ は、R=r'(P0)、R- =r'(P-1) 及び
R+ =r'(P1)となる。
【0038】上記現フレームのピッチの度合いRが過去
1フレームのピッチの度合いR- よりも大きく、かつ未
来1フレームのピッチの度合いR+ よりも大きいとき
は、ピッチの信頼度は上記現フレームのピッチの度合い
Rが最も大きいと考えられるので、そのときのピッチP
0 を採用する。
1フレームのピッチの度合いR- よりも大きく、かつ未
来1フレームのピッチの度合いR+ よりも大きいとき
は、ピッチの信頼度は上記現フレームのピッチの度合い
Rが最も大きいと考えられるので、そのときのピッチP
0 を採用する。
【0039】上記現フレームのピッチの度合いRが過去
1フレームのピッチの度合いR- 及び未来1フレームの
ピッチの度合いR+ よりも小さく、該過去1フレームの
ピッチの度合いR- が、未来1フレームのピッチの度合
いR+ よりも大きいときは、上記過去1フレームのピッ
チP-1を基準ピッチPr として、該基準ピッチPr に対
して、0≦n<jの範囲でr's (n) を検索し、 0.8Pr <P(n)<1.2Pr ・・・・・(7) となる最小のnを求め、これをna とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記na であるピークr's ( na )の位置
のピッチP(na )を現フレームのピッチとして採用す
る。
1フレームのピッチの度合いR- 及び未来1フレームの
ピッチの度合いR+ よりも小さく、該過去1フレームの
ピッチの度合いR- が、未来1フレームのピッチの度合
いR+ よりも大きいときは、上記過去1フレームのピッ
チP-1を基準ピッチPr として、該基準ピッチPr に対
して、0≦n<jの範囲でr's (n) を検索し、 0.8Pr <P(n)<1.2Pr ・・・・・(7) となる最小のnを求め、これをna とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記na であるピークr's ( na )の位置
のピッチP(na )を現フレームのピッチとして採用す
る。
【0040】次に、上述した本発明の第1の実施例での
ピッチ抽出の流れをフローチャートを参照しながら説明
する。図3は、上述した第1の実施例においてピッチを
抽出する流れを示すフローチャートである。
ピッチ抽出の流れをフローチャートを参照しながら説明
する。図3は、上述した第1の実施例においてピッチを
抽出する流れを示すフローチャートである。
【0041】このフローが開始されると、先ず、ステッ
プS1では、入力音声信号波形の自己相関関数を求め
る。具体的には、上記フレーム区分部10からの1フレ
ーム分の入力音声信号波形を上記センタクリップ処理部
11でセンタクリップした後、その波形の自己相関関数
を自己相関計算部12で計算する。
プS1では、入力音声信号波形の自己相関関数を求め
る。具体的には、上記フレーム区分部10からの1フレ
ーム分の入力音声信号波形を上記センタクリップ処理部
11でセンタクリップした後、その波形の自己相関関数
を自己相関計算部12で計算する。
【0042】ステップS2では、上記ステップS1の自
己相関関数から上述した(1)式の条件に適うピーク
(極大値)を上記ピーク検出部13で複数あるいは全て
検出する。
己相関関数から上述した(1)式の条件に適うピーク
(極大値)を上記ピーク検出部13で複数あるいは全て
検出する。
【0043】ステップS3では、上記ステップS2で検
出された複数あるいは全てのピークをその大きさ順に並
べかえる。
出された複数あるいは全てのピークをその大きさ順に並
べかえる。
【0044】ステップS4では、上記ステップS3で並
べかえたピークのなかで最大ピークr' s (0)がk=0.4
よりも大きいか否かを判別する。ここで、YES(最大
ピークr's (0) が0.4 よりも大きい) が判別されるとス
テップS5に進む。一方、ここで、NO(最大ピークr'
s (0) が0.4 よりも小さい) が判別されるとステップS
6に進む。
べかえたピークのなかで最大ピークr' s (0)がk=0.4
よりも大きいか否かを判別する。ここで、YES(最大
ピークr's (0) が0.4 よりも大きい) が判別されるとス
テップS5に進む。一方、ここで、NO(最大ピークr'
s (0) が0.4 よりも小さい) が判別されるとステップS
6に進む。
【0045】ステップS5では、上記ステップS4でY
ESが判別された結果、P(0)を現フレームのピッチP0
とする。また、このときのP(0)を典型的なピッチPt と
する。
ESが判別された結果、P(0)を現フレームのピッチP0
とする。また、このときのP(0)を典型的なピッチPt と
する。
【0046】ステップS6では、前フレームにおいて、
ピッチP-1が、無いのか否かを判別する。ここで、YE
S(ピッチが無かった)が判別されるとステップS7に
進む。一方、NO(ピッチがあった)が判別されるとス
テップS8に進む。
ピッチP-1が、無いのか否かを判別する。ここで、YE
S(ピッチが無かった)が判別されるとステップS7に
進む。一方、NO(ピッチがあった)が判別されるとス
テップS8に進む。
【0047】ステップS7では、最大ピーク値r's (0)
がk=0.25よりも大きいか否かを判別する。ここで、Y
ES(最大ピーク値r's (0) がkよりも大きい)が判別
されるとステップS8に進む。一方、NO(最大ピーク
値r's (0) がkよりも小さい)が判別されるとステップ
S9に進む。
がk=0.25よりも大きいか否かを判別する。ここで、Y
ES(最大ピーク値r's (0) がkよりも大きい)が判別
されるとステップS8に進む。一方、NO(最大ピーク
値r's (0) がkよりも小さい)が判別されるとステップ
S9に進む。
【0048】ステップS8では、上記ステップS7でY
ESが判別されたとき、すなわち、最大ピーク値r'
s (0) がk=0.25より大きいときこのP(0)を現フレーム
のピッチP0 とする。
ESが判別されたとき、すなわち、最大ピーク値r'
s (0) がk=0.25より大きいときこのP(0)を現フレーム
のピッチP0 とする。
【0049】ステップS9では、上記ステップS7でN
Oが判別されたとき、すなわち、最大ピーク値r's (0)
がk=0.25より小さいとき現フレームには、ピッチがな
い(P0 =P(0))とする。
Oが判別されたとき、すなわち、最大ピーク値r's (0)
がk=0.25より小さいとき現フレームには、ピッチがな
い(P0 =P(0))とする。
【0050】ステップS10では、上記ステップS6で
過去フレームのピッチP-1が0でなかった(すなわちピ
ッチがある)ことを受けて、該過去のピッチP-1でのピ
ーク値が0.2 より大きいか否かを判別する。ここで、Y
ES( 過去のピッチP-1が0.2 より大きい) が判別され
るとステップS11に進み、NO( 過去のピッチP-1が
0.2 より小さい) が判別されるとステップS14に進
む。
過去フレームのピッチP-1が0でなかった(すなわちピ
ッチがある)ことを受けて、該過去のピッチP-1でのピ
ーク値が0.2 より大きいか否かを判別する。ここで、Y
ES( 過去のピッチP-1が0.2 より大きい) が判別され
るとステップS11に進み、NO( 過去のピッチP-1が
0.2 より小さい) が判別されるとステップS14に進
む。
【0051】ステップS11では、上記ステップS10
でのYESの判別を受けて、この過去フレームのピッチ
P-1の80%から120%の範囲で最大ピーク値r's (P
-1)を探す。つまり、既に求められている過去のピッチ
P-1に対して、0≦n<jの範囲で r' s (n) を検索す
る。
でのYESの判別を受けて、この過去フレームのピッチ
P-1の80%から120%の範囲で最大ピーク値r's (P
-1)を探す。つまり、既に求められている過去のピッチ
P-1に対して、0≦n<jの範囲で r' s (n) を検索す
る。
【0052】ステップS12では、上記ステップS11
によって、探された現フレームのピッチの候補が所定値
0.3 より大きいか否かを判別する。ここで、YESが判
別されるとステップS13に進み、NOが判別されると
ステップS17に進む。
によって、探された現フレームのピッチの候補が所定値
0.3 より大きいか否かを判別する。ここで、YESが判
別されるとステップS13に進み、NOが判別されると
ステップS17に進む。
【0053】ステップS13では、上記ステップS12
でのYESの判別結果をうけて、上記現フレームのピッ
チの候補を現フレームのピッチP0 とする。
でのYESの判別結果をうけて、上記現フレームのピッ
チの候補を現フレームのピッチP0 とする。
【0054】ステップS14では、上記ステップS10
で過去のピッチP-1でのピーク値r'( P-1) が0.2 より
小さいという判別結果を受けて、このときの最大ピーク
値r's (0) が0.35より大きいか否かを判別する。ここ
で、YES( 最大ピーク値r's(0) が0.35より大きい)
が判別されるとステップS15に進み、NO( 最大ピー
ク値r's (0) が0.35より大きくない) が判別されるとス
テップS16に進む。
で過去のピッチP-1でのピーク値r'( P-1) が0.2 より
小さいという判別結果を受けて、このときの最大ピーク
値r's (0) が0.35より大きいか否かを判別する。ここ
で、YES( 最大ピーク値r's(0) が0.35より大きい)
が判別されるとステップS15に進み、NO( 最大ピー
ク値r's (0) が0.35より大きくない) が判別されるとス
テップS16に進む。
【0055】ステップS15では、上記ステップS14
でYESが判別されたとき、すなわち最大ピーク値r's
(0) が0.35より大きいとき、このP(0)を現フレームのピ
ッチP0 とする。
でYESが判別されたとき、すなわち最大ピーク値r's
(0) が0.35より大きいとき、このP(0)を現フレームのピ
ッチP0 とする。
【0056】ステップS16では、上記ステップS14
でNOが判別されたとき、すなわち最大ピーク値r'
s (0) が0.35より小さいとき、現フレームにはピッチが
無いとする。
でNOが判別されたとき、すなわち最大ピーク値r'
s (0) が0.35より小さいとき、現フレームにはピッチが
無いとする。
【0057】ステップS17では、上記ステップS12
でNOが判別された結果を受けて、典型的ピッチP t の
80%から120%の範囲での最大ピーク値r's (Pt )
を探す。つまり、既に求められている典型的なピッチP
t に対して、0≦n<jの範囲で r' s (n) を検索す
る。
でNOが判別された結果を受けて、典型的ピッチP t の
80%から120%の範囲での最大ピーク値r's (Pt )
を探す。つまり、既に求められている典型的なピッチP
t に対して、0≦n<jの範囲で r' s (n) を検索す
る。
【0058】ステップS18は、上記ステップS17で
探し出されたピッチを現フレームのピッチP0 とする。
探し出されたピッチを現フレームのピッチP0 とする。
【0059】このように、第1の実施例は、過去のフレ
ームで算出されたピッチを基に現フレームのピッチを決
定し、さらに、この過去から決定されたこの現フレーム
のピッチを過去のフレームのピッチ、現フレームのピッ
チ及び未来フレームのピッチを基に正確なものとするこ
とができる。
ームで算出されたピッチを基に現フレームのピッチを決
定し、さらに、この過去から決定されたこの現フレーム
のピッチを過去のフレームのピッチ、現フレームのピッ
チ及び未来フレームのピッチを基に正確なものとするこ
とができる。
【0060】次に、上記ピッチ抽出装置に本発明を適用
した第2の実施例を図4にそって説明する。図4は、こ
の第2の実施例の機能を説明するための機能ブロック図
であるが、上記第1の実施例の機能ブロック図と同様で
ある各部については省略する。
した第2の実施例を図4にそって説明する。図4は、こ
の第2の実施例の機能を説明するための機能ブロック図
であるが、上記第1の実施例の機能ブロック図と同様で
ある各部については省略する。
【0061】本発明に係るピッチ抽出方法の第2の実施
例は、入力端子3から供給される自己相関データの複数
あるいは全てのピークをピーク検出部13で検出し、こ
れらの複数あるいは全てのピークから最大ピークを検出
する最大ピーク検出部31と、この最大ピーク検出部3
1からの最大ピーク値と閾値設定部33の閾値を比較す
る比較部32と、入力端子4を介して供給される他フレ
ームのピッチから有効なピッチを算出する有効ピッチ検
出部35と、上記最大ピーク検出部31からの最大ピー
クと上記有効ピッチ検出部35からの有効ピッチが供給
され、上記比較部32の比較結果によって上記最大ピー
クと有効ピッチとの選択が制御され、出力端子5から一
を出力するマルチプレクサ(MPX)34とを有する。
例は、入力端子3から供給される自己相関データの複数
あるいは全てのピークをピーク検出部13で検出し、こ
れらの複数あるいは全てのピークから最大ピークを検出
する最大ピーク検出部31と、この最大ピーク検出部3
1からの最大ピーク値と閾値設定部33の閾値を比較す
る比較部32と、入力端子4を介して供給される他フレ
ームのピッチから有効なピッチを算出する有効ピッチ検
出部35と、上記最大ピーク検出部31からの最大ピー
クと上記有効ピッチ検出部35からの有効ピッチが供給
され、上記比較部32の比較結果によって上記最大ピー
クと有効ピッチとの選択が制御され、出力端子5から一
を出力するマルチプレクサ(MPX)34とを有する。
【0062】上記最大ピーク検出部31は、上記ピーク
検出部13で検出された複数あるいは全てのピークの内
の最大ピークを検出する。
検出部13で検出された複数あるいは全てのピークの内
の最大ピークを検出する。
【0063】上記比較部32は、上記閾値設定部33の
所定の閾値と上記最大ピーク検出部31の最大ピークと
をその大きさで比較する。
所定の閾値と上記最大ピーク検出部31の最大ピークと
をその大きさで比較する。
【0064】上記有効ピッチ検出部35は、現在フレー
ム以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関
係を満たすピッチ範囲内にある有効ピッチを検出する。
ム以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関
係を満たすピッチ範囲内にある有効ピッチを検出する。
【0065】上記MPX34は、上記最大ピークの位置
でのピッチと有効ピッチ検出部35からの有効ピッチと
を上記比較部32での閾値と最大ピーク値との比較結果
に基づいて選択出力する。
でのピッチと有効ピッチ検出部35からの有効ピッチと
を上記比較部32での閾値と最大ピーク値との比較結果
に基づいて選択出力する。
【0066】具体的な処理の流れ等は、図3に示した第
1の実施例のフローチャートと同様である。
1の実施例のフローチャートと同様である。
【0067】したがって、自己相関の複数あるいは全て
のピークから最大ピークを検出し、該最大ピークを所定
の閾値と比較し、その比較結果を基に現フレームのピッ
チを決定するという本発明に係るピッチ抽出方法の第2
の実施例は、他のフレームで算出されたピッチを基に現
フレームのピッチを決定し、さらに、この他フレームか
ら決定されたこの現フレームのピッチを他のフレームの
ピッチ、現フレームのピッチを基に正確なものとするこ
とができる。
のピークから最大ピークを検出し、該最大ピークを所定
の閾値と比較し、その比較結果を基に現フレームのピッ
チを決定するという本発明に係るピッチ抽出方法の第2
の実施例は、他のフレームで算出されたピッチを基に現
フレームのピッチを決定し、さらに、この他フレームか
ら決定されたこの現フレームのピッチを他のフレームの
ピッチ、現フレームのピッチを基に正確なものとするこ
とができる。
【0068】次に、本発明に係るピッチ抽出方法を、音
声信号の合成分析符号化装置(いわゆるボコーダ)の一
種のMBE(Multiband Excitation: マルチバンド励
起)ボコーダに適用した具体例について、図面を参照し
ながら説明する。このMBEボコーダは、D. W. Griffi
n and J. S. Lim,"Multiband Excitation Vocoder," IE
EE Trans.Acoustics,Speech,and Signal Processing, v
ol.36, No.8, pp.1223-1235, Aug.1988 に開示されてい
るものであり、従来のPARCOR(PARtial auto-COR
relation: 偏自己相関)ボコーダ等では、音声のモデル
化の際に有声音区間と無声音区間とをブロックあるいは
フレーム毎に切り換えていたのに対し、MBEボコーダ
では、同時刻(同じブロックあるいはフレーム内)の周
波数軸領域に有声音(Voiced)区間と無声音(Unvoice
d)区間とが存在するという仮定でモデル化している。
声信号の合成分析符号化装置(いわゆるボコーダ)の一
種のMBE(Multiband Excitation: マルチバンド励
起)ボコーダに適用した具体例について、図面を参照し
ながら説明する。このMBEボコーダは、D. W. Griffi
n and J. S. Lim,"Multiband Excitation Vocoder," IE
EE Trans.Acoustics,Speech,and Signal Processing, v
ol.36, No.8, pp.1223-1235, Aug.1988 に開示されてい
るものであり、従来のPARCOR(PARtial auto-COR
relation: 偏自己相関)ボコーダ等では、音声のモデル
化の際に有声音区間と無声音区間とをブロックあるいは
フレーム毎に切り換えていたのに対し、MBEボコーダ
では、同時刻(同じブロックあるいはフレーム内)の周
波数軸領域に有声音(Voiced)区間と無声音(Unvoice
d)区間とが存在するという仮定でモデル化している。
【0069】図5は、上記MBEボコーダに本発明を適
用した実施例の全体の概略構成を示すブロック図であ
る。この図5において、入力端子101には音声信号が
供給されるようになっており、この入力音声信号は、H
PF(ハイパスフィルタ)等のフィルタ102に送られ
て、いわゆるDC(直流)オフセット分の除去や帯域制
限(例えば200〜3400Hzに制限)のための少なく
とも低域成分(200Hz以下)の除去が行われる。この
フィルタ102を介して得られた信号は、ピッチ抽出部
103及び窓かけ処理部104にそれぞれ送られる。ピ
ッチ抽出部103では、入力音声信号データが所定サン
プル数N(例えばN=256)単位でブロック分割され
(あるいは方形窓による切り出しが行われ)、このブロ
ック内の音声信号についてのピッチ抽出が行われる。こ
のような切り出しブロック(256サンプル)を、例え
ば図6のAに示すようにLサンプル(例えばL=16
0)のフレーム間隔で時間軸方向に移動させており、各
ブロック間のオーバラップはN−Lサンプル(例えば9
6サンプル)となっている。また、窓かけ処理部104
では、1ブロックNサンプルに対して所定の窓関数、例
えばハミング窓をかけ、この窓かけブロックを1フレー
ムLサンプルの間隔で時間軸方向に順次移動させてい
る。
用した実施例の全体の概略構成を示すブロック図であ
る。この図5において、入力端子101には音声信号が
供給されるようになっており、この入力音声信号は、H
PF(ハイパスフィルタ)等のフィルタ102に送られ
て、いわゆるDC(直流)オフセット分の除去や帯域制
限(例えば200〜3400Hzに制限)のための少なく
とも低域成分(200Hz以下)の除去が行われる。この
フィルタ102を介して得られた信号は、ピッチ抽出部
103及び窓かけ処理部104にそれぞれ送られる。ピ
ッチ抽出部103では、入力音声信号データが所定サン
プル数N(例えばN=256)単位でブロック分割され
(あるいは方形窓による切り出しが行われ)、このブロ
ック内の音声信号についてのピッチ抽出が行われる。こ
のような切り出しブロック(256サンプル)を、例え
ば図6のAに示すようにLサンプル(例えばL=16
0)のフレーム間隔で時間軸方向に移動させており、各
ブロック間のオーバラップはN−Lサンプル(例えば9
6サンプル)となっている。また、窓かけ処理部104
では、1ブロックNサンプルに対して所定の窓関数、例
えばハミング窓をかけ、この窓かけブロックを1フレー
ムLサンプルの間隔で時間軸方向に順次移動させてい
る。
【0070】このような窓かけ処理を数式で表すと、 xw (k,q) =x(q) w(kL-q) ・・・(8) となる。この(1)式において、kはブロック番号を、
qはデータの時間インデックス(サンプル番号)を表
し、処理前の入力信号のq番目のデータx(q) に対して
第kブロックの窓(ウィンドウ)関数w(kL-q)により窓
かけ処理されることによりデータxw (k,q) が得られる
ことを示している。ピッチ抽出部103内での図6のA
に示すような方形窓の場合の窓関数wr (r) は、 wr (r) =1 0≦r<N ・・・(9) =0 r<0,N≦r また、窓かけ処理部104での図6のBに示すようなハ
ミング窓の場合の窓関数wh (r) は、 wh (r) = 0.54 − 0.46 cos(2πr/(N-1)) 0≦r<N ・・・(10) =0 r<0,N≦r である。このような窓関数wr (r) あるいはwh (r) を
用いるときの上記(8)式の窓関数w(r) (=w(kL-
q))の否零区間は、 0≦kL−q<N これを変形して、 kL−N<q≦kL 従って、例えば上記方形窓の場合に窓関数wr (kL-q)=
1となるのは、図7に示すように、kL−N<q≦kL
のときとなる。また、上記(8)〜(10)式は、長さN
(=256)サンプルの窓が、L(=160)サンプル
ずつ前進してゆくことを示している。以下、上記(9)
式、(10)式の各窓関数で切り出された各N点(0≦r
<N)の否零サンプル列を、それぞれxwr(k,r) 、xwh
(k,r) と表すことにする。
qはデータの時間インデックス(サンプル番号)を表
し、処理前の入力信号のq番目のデータx(q) に対して
第kブロックの窓(ウィンドウ)関数w(kL-q)により窓
かけ処理されることによりデータxw (k,q) が得られる
ことを示している。ピッチ抽出部103内での図6のA
に示すような方形窓の場合の窓関数wr (r) は、 wr (r) =1 0≦r<N ・・・(9) =0 r<0,N≦r また、窓かけ処理部104での図6のBに示すようなハ
ミング窓の場合の窓関数wh (r) は、 wh (r) = 0.54 − 0.46 cos(2πr/(N-1)) 0≦r<N ・・・(10) =0 r<0,N≦r である。このような窓関数wr (r) あるいはwh (r) を
用いるときの上記(8)式の窓関数w(r) (=w(kL-
q))の否零区間は、 0≦kL−q<N これを変形して、 kL−N<q≦kL 従って、例えば上記方形窓の場合に窓関数wr (kL-q)=
1となるのは、図7に示すように、kL−N<q≦kL
のときとなる。また、上記(8)〜(10)式は、長さN
(=256)サンプルの窓が、L(=160)サンプル
ずつ前進してゆくことを示している。以下、上記(9)
式、(10)式の各窓関数で切り出された各N点(0≦r
<N)の否零サンプル列を、それぞれxwr(k,r) 、xwh
(k,r) と表すことにする。
【0071】窓かけ処理部104では、図8に示すよう
に、上記(10)式のハミング窓がかけられた1ブロック
256サンプルのサンプル列xwh(k,r) に対して179
2サンプル分の0データが付加されて(いわゆる0詰め
されて)2048サンプルとされ、この2048サンプ
ルの時間軸データ列に対して、直交変換部105により
例えばFFT(高速フーリエ変換)等の直交変換処理が
施される。
に、上記(10)式のハミング窓がかけられた1ブロック
256サンプルのサンプル列xwh(k,r) に対して179
2サンプル分の0データが付加されて(いわゆる0詰め
されて)2048サンプルとされ、この2048サンプ
ルの時間軸データ列に対して、直交変換部105により
例えばFFT(高速フーリエ変換)等の直交変換処理が
施される。
【0072】ピッチ抽出部103では、上記xwr(k,r)
のサンプル列(1ブロックNサンプル)に基づいてピッ
チ抽出が行われる。このピッチ抽出法には、時間波形の
周期性や、スペクトルの周期的周波数構造や、自己相関
関数を用いるもの等が知られているが、本実施例では、
センタクリップ波形の自己相関法を採用している。この
ときのブロック内でのセンタクリップレベルについて
は、1ブロックにつき1つのクリップレベルを設定して
もよいが、ブロックを細分割した各部(各サブブロッ
ク)の信号のピークレベル等を検出し、これらの各サブ
ブロックのピークレベル等の差が大きいときに、ブロッ
ク内でクリップレベルを段階的にあるいは連続的に変化
させるようにしている。このセンタクリップ波形の自己
相関データのピーク位置に基づいてピーク周期を決めて
いる。このとき、現在フレームに属する自己相関データ
(自己相関は1ブロックNサンプルのデータを対象とし
て求められる)から複数のピークを求めておき、これら
の複数のピークの内の最大ピークが所定の閾値以上のと
きには該最大ピーク位置をピッチ周期とし、それ以外の
ときには、現在フレーム以外のフレーム、例えば前後の
フレームで求められたピッチに対して所定の関係を満た
すピッチ範囲内、例えば前フレームのピッチを中心とし
て±20%の範囲内にあるピークを求め、このピーク位
置に基づいて現在フレームのピッチを決定するようにし
ている。このピッチ抽出部103ではオープンループに
よる比較的ラフなピッチのサーチが行われ、抽出された
ピッチデータは高精度(ファイン)ピッチサーチ部10
6に送られて、クローズドループによる高精度のピッチ
サーチ(ピッチのファインサーチ)が行われる。
のサンプル列(1ブロックNサンプル)に基づいてピッ
チ抽出が行われる。このピッチ抽出法には、時間波形の
周期性や、スペクトルの周期的周波数構造や、自己相関
関数を用いるもの等が知られているが、本実施例では、
センタクリップ波形の自己相関法を採用している。この
ときのブロック内でのセンタクリップレベルについて
は、1ブロックにつき1つのクリップレベルを設定して
もよいが、ブロックを細分割した各部(各サブブロッ
ク)の信号のピークレベル等を検出し、これらの各サブ
ブロックのピークレベル等の差が大きいときに、ブロッ
ク内でクリップレベルを段階的にあるいは連続的に変化
させるようにしている。このセンタクリップ波形の自己
相関データのピーク位置に基づいてピーク周期を決めて
いる。このとき、現在フレームに属する自己相関データ
(自己相関は1ブロックNサンプルのデータを対象とし
て求められる)から複数のピークを求めておき、これら
の複数のピークの内の最大ピークが所定の閾値以上のと
きには該最大ピーク位置をピッチ周期とし、それ以外の
ときには、現在フレーム以外のフレーム、例えば前後の
フレームで求められたピッチに対して所定の関係を満た
すピッチ範囲内、例えば前フレームのピッチを中心とし
て±20%の範囲内にあるピークを求め、このピーク位
置に基づいて現在フレームのピッチを決定するようにし
ている。このピッチ抽出部103ではオープンループに
よる比較的ラフなピッチのサーチが行われ、抽出された
ピッチデータは高精度(ファイン)ピッチサーチ部10
6に送られて、クローズドループによる高精度のピッチ
サーチ(ピッチのファインサーチ)が行われる。
【0073】高精度(ファイン)ピッチサーチ部106
には、ピッチ抽出部103で抽出された整数(インテジ
ャー)値の粗(ラフ)ピッチデータと、直交変換部10
5により例えばFFTされた周波数軸上のデータとが供
給されている。この高精度ピッチサーチ部106では、
上記粗ピッチデータ値を中心に、0.2〜0.5きざみで±
数サンプルずつ振って、最適な小数点付き(フローティ
ング)のファインピッチデータの値へ追い込む。このと
きのファインサーチの手法として、いわゆる合成による
分析 (Analysis by Synthesis)法を用い、合成されたパ
ワースペクトルが原音のパワースペクトルに最も近くな
るようにピッチを選んでいる。
には、ピッチ抽出部103で抽出された整数(インテジ
ャー)値の粗(ラフ)ピッチデータと、直交変換部10
5により例えばFFTされた周波数軸上のデータとが供
給されている。この高精度ピッチサーチ部106では、
上記粗ピッチデータ値を中心に、0.2〜0.5きざみで±
数サンプルずつ振って、最適な小数点付き(フローティ
ング)のファインピッチデータの値へ追い込む。このと
きのファインサーチの手法として、いわゆる合成による
分析 (Analysis by Synthesis)法を用い、合成されたパ
ワースペクトルが原音のパワースペクトルに最も近くな
るようにピッチを選んでいる。
【0074】このピッチのファインサーチについて説明
する。先ず、上記MBEボコーダにおいては、上記FF
T等により直交変換された周波数軸上のスペクトルデー
タとしてのS(j) を S(j) =H(j) |E(j) | 0<j<J ・・・(11) と表現するようなモデルを想定している。ここで、Jは
πωs =fs /2に対応し、サンプリング周波数fs =
2πωs が例えば8kHzのときには4kHzに対応する。
上記(11)式中において、周波数軸上のスペクトルデー
タS(j) が図9のAに示すような波形のとき、H(j)
は、図9のBに示すような元のスペクトルデータS(j)
のスペクトル包絡線(エンベロープ)を示し、E(j)
は、図9のCに示すような等レベルで周期的な励起信号
(エキサイテイション)のスペクトルを示している。す
なわち、FFTスペクトルS(j) は、スペクトルエンベ
ロープH(j) と励起信号のパワースペクトル|E(j) |
との積としてモデル化される。
する。先ず、上記MBEボコーダにおいては、上記FF
T等により直交変換された周波数軸上のスペクトルデー
タとしてのS(j) を S(j) =H(j) |E(j) | 0<j<J ・・・(11) と表現するようなモデルを想定している。ここで、Jは
πωs =fs /2に対応し、サンプリング周波数fs =
2πωs が例えば8kHzのときには4kHzに対応する。
上記(11)式中において、周波数軸上のスペクトルデー
タS(j) が図9のAに示すような波形のとき、H(j)
は、図9のBに示すような元のスペクトルデータS(j)
のスペクトル包絡線(エンベロープ)を示し、E(j)
は、図9のCに示すような等レベルで周期的な励起信号
(エキサイテイション)のスペクトルを示している。す
なわち、FFTスペクトルS(j) は、スペクトルエンベ
ロープH(j) と励起信号のパワースペクトル|E(j) |
との積としてモデル化される。
【0075】上記励起信号のパワースペクトル|E(j)
|は、上記ピッチに応じて決定される周波数軸上の波形
の周期性(ピッチ構造)を考慮して、1つの帯域(バン
ド)の波形に相当するスペクトル波形を周波数軸上の各
バンド毎に繰り返すように配列することにより形成され
る。この1バンド分の波形は、例えば上記図8に示すよ
うな256サンプルのハミング窓関数に1792サンプ
ル分の0データを付加(0詰め)した波形を時間軸信号
と見なしてFFTし、得られた周波数軸上のある帯域幅
を持つインパルス波形を上記ピッチに応じて切り出すこ
とにより形成することができる。
|は、上記ピッチに応じて決定される周波数軸上の波形
の周期性(ピッチ構造)を考慮して、1つの帯域(バン
ド)の波形に相当するスペクトル波形を周波数軸上の各
バンド毎に繰り返すように配列することにより形成され
る。この1バンド分の波形は、例えば上記図8に示すよ
うな256サンプルのハミング窓関数に1792サンプ
ル分の0データを付加(0詰め)した波形を時間軸信号
と見なしてFFTし、得られた周波数軸上のある帯域幅
を持つインパルス波形を上記ピッチに応じて切り出すこ
とにより形成することができる。
【0076】次に、上記ピッチに応じて分割された各バ
ンド毎に、上記H(j) を代表させるような(各バンド毎
のエラーを最小化するような)値(一種の振幅)|Am
|を求める。ここで、例えば第mバンド(第m高調波の
帯域)の下限、上限の点をそれぞれam 、bm とすると
き、この第mバンドのエラーεm は、
ンド毎に、上記H(j) を代表させるような(各バンド毎
のエラーを最小化するような)値(一種の振幅)|Am
|を求める。ここで、例えば第mバンド(第m高調波の
帯域)の下限、上限の点をそれぞれam 、bm とすると
き、この第mバンドのエラーεm は、
【0077】
【数1】 で表せる。このエラーεm を最小化するような|Am |
は、
は、
【0078】
【数2】 となり、この(13)式の|Am |のとき、エラーεm を
最小化する。このような振幅|Am |を各バンド毎に求
め、得られた各振幅|Am |を用いて上記(12)式で定
義された各バンド毎のエラーεm を求める。次に、この
ような各バンド毎のエラーεm の全バンドの総和値Σε
m を求める。さらに、このような全バンドのエラー総和
値Σεm を、いくつかの微小に異なるピッチについて求
め、エラー総和値Σεm が最小となるようなピッチを求
める。
最小化する。このような振幅|Am |を各バンド毎に求
め、得られた各振幅|Am |を用いて上記(12)式で定
義された各バンド毎のエラーεm を求める。次に、この
ような各バンド毎のエラーεm の全バンドの総和値Σε
m を求める。さらに、このような全バンドのエラー総和
値Σεm を、いくつかの微小に異なるピッチについて求
め、エラー総和値Σεm が最小となるようなピッチを求
める。
【0079】すなわち、上記ピッチ抽出部103で求め
られたラフピッチを中心として、例えば 0.25 きざみで
上下に数種類ずつ用意する。これらの複数種類の微小に
異なるピッチの各ピッチに対してそれぞれ上記エラー総
和値Σεm を求める。この場合、ピッチが定まるとバン
ド幅が決まり、上記(13)式より、周波数軸上データの
パワースペクトル|S(j) |と励起信号スペクトル|E
(j) |とを用いて上記(12)式のエラーεm を求め、そ
の全バンドの総和値Σεm を求めることができる。この
エラー総和値Σεm を各ピッチ毎に求め、最小となるエ
ラー総和値に対応するピッチを最適のピッチとして決定
するわけである。以上のようにして高精度ピッチサーチ
部106で最適のファイン(例えば 0.25 きざみ)ピッ
チが求められ、この最適ピッチに対応する振幅|Am |
が決定される。
られたラフピッチを中心として、例えば 0.25 きざみで
上下に数種類ずつ用意する。これらの複数種類の微小に
異なるピッチの各ピッチに対してそれぞれ上記エラー総
和値Σεm を求める。この場合、ピッチが定まるとバン
ド幅が決まり、上記(13)式より、周波数軸上データの
パワースペクトル|S(j) |と励起信号スペクトル|E
(j) |とを用いて上記(12)式のエラーεm を求め、そ
の全バンドの総和値Σεm を求めることができる。この
エラー総和値Σεm を各ピッチ毎に求め、最小となるエ
ラー総和値に対応するピッチを最適のピッチとして決定
するわけである。以上のようにして高精度ピッチサーチ
部106で最適のファイン(例えば 0.25 きざみ)ピッ
チが求められ、この最適ピッチに対応する振幅|Am |
が決定される。
【0080】以上ピッチのファインサーチの説明におい
ては、説明を簡略化するために、全バンドが有声音(Vo
iced)の場合を想定しているが、上述したようにMBE
ボコーダにおいては、同時刻の周波数軸上に無声音(Un
voiced)領域が存在するというモデルを採用しているこ
とから、上記各バンド毎に有声音/無声音の判別を行う
ことが必要とされる。
ては、説明を簡略化するために、全バンドが有声音(Vo
iced)の場合を想定しているが、上述したようにMBE
ボコーダにおいては、同時刻の周波数軸上に無声音(Un
voiced)領域が存在するというモデルを採用しているこ
とから、上記各バンド毎に有声音/無声音の判別を行う
ことが必要とされる。
【0081】上記高精度ピッチサーチ部106からの最
適ピッチ及び振幅|Am |のデータは、有声音/無声音
判別部107に送られ、上記各バンド毎に有声音/無声
音の判別が行われる。この判別のために、NSR(ノイ
ズtoシグナル比)を利用する。すなわち、第mバンド
のNSRは、
適ピッチ及び振幅|Am |のデータは、有声音/無声音
判別部107に送られ、上記各バンド毎に有声音/無声
音の判別が行われる。この判別のために、NSR(ノイ
ズtoシグナル比)を利用する。すなわち、第mバンド
のNSRは、
【0082】
【数3】 と表せ、このNSR値が所定の閾値(例えば0.3)より
大のとき(エラーが大きい)ときには、そのバンドでの
|Am ||E(j) |による|S(j) |の近似が良くない
(上記励起信号|E(j) |が基底として不適当である)
と判断でき、当該バンドをUV(Unvoiced、無声音)と
判別する。これ以外のときは、近似がある程度良好に行
われていると判断でき、そのバンドをV(Voiced、有声
音)と判別する。
大のとき(エラーが大きい)ときには、そのバンドでの
|Am ||E(j) |による|S(j) |の近似が良くない
(上記励起信号|E(j) |が基底として不適当である)
と判断でき、当該バンドをUV(Unvoiced、無声音)と
判別する。これ以外のときは、近似がある程度良好に行
われていると判断でき、そのバンドをV(Voiced、有声
音)と判別する。
【0083】次に、振幅再評価部108には、直交変換
部105からの周波数軸上データ、高精度ピッチサーチ
部106からのファインピッチと評価された振幅|Am
|との各データ、及び上記有声音/無声音判別部107
からのV/UV(有声音/無声音)判別データが供給さ
れている。この振幅再評価部108では、有声音/無声
音判別部107において無声音(UV)と判別されたバ
ンドに関して、再度振幅を求めている。このUVのバン
ドについての振幅|Am |UVは、
部105からの周波数軸上データ、高精度ピッチサーチ
部106からのファインピッチと評価された振幅|Am
|との各データ、及び上記有声音/無声音判別部107
からのV/UV(有声音/無声音)判別データが供給さ
れている。この振幅再評価部108では、有声音/無声
音判別部107において無声音(UV)と判別されたバ
ンドに関して、再度振幅を求めている。このUVのバン
ドについての振幅|Am |UVは、
【0084】
【数4】 にて求められる。
【0085】この振幅再評価部108からのデータは、
データ数変換(一種のサンプリングレート変換)部10
9に送られる。このデータ数変換部109は、上記ピッ
チに応じて周波数軸上での分割帯域数が異なり、データ
数(特に振幅データの数)が異なることを考慮して、一
定の個数にするためのものである。すなわち、例えば有
効帯域を3400kHzまでとすると、この有効帯域が上
記ピッチに応じて、8バンド〜63バンドに分割される
ことになり、これらの各バンド毎に得られる上記振幅|
Am |(UVバンドの振幅|Am |UVも含む)データの
個数mMX+1も8〜63と変化することになる。このため
データ数変換部109では、この可変個数mMX+1の振幅
データを一定個数NC (例えば44個)のデータに変換
している。
データ数変換(一種のサンプリングレート変換)部10
9に送られる。このデータ数変換部109は、上記ピッ
チに応じて周波数軸上での分割帯域数が異なり、データ
数(特に振幅データの数)が異なることを考慮して、一
定の個数にするためのものである。すなわち、例えば有
効帯域を3400kHzまでとすると、この有効帯域が上
記ピッチに応じて、8バンド〜63バンドに分割される
ことになり、これらの各バンド毎に得られる上記振幅|
Am |(UVバンドの振幅|Am |UVも含む)データの
個数mMX+1も8〜63と変化することになる。このため
データ数変換部109では、この可変個数mMX+1の振幅
データを一定個数NC (例えば44個)のデータに変換
している。
【0086】ここで本実施例においては、周波数軸上の
有効帯域1ブロック分の振幅データに対して、ブロック
内の最後のデータからブロック内の最初のデータまでの
値を補間するようなダミーデータを付加してデータ個数
をNF 個に拡大した後、帯域制限型のKOS倍(例えば8
倍)のオーバーサンプリングを施すことによりKOS倍の
個数の振幅データを求め、このKOS倍の個数((
mMX+1) ×KOS個)の振幅データを直線補間してさらに
多くのNM 個(例えば2048個)に拡張し、このNM
個のデータを間引いて上記一定個数NC (例えば44
個)のデータに変換する。
有効帯域1ブロック分の振幅データに対して、ブロック
内の最後のデータからブロック内の最初のデータまでの
値を補間するようなダミーデータを付加してデータ個数
をNF 個に拡大した後、帯域制限型のKOS倍(例えば8
倍)のオーバーサンプリングを施すことによりKOS倍の
個数の振幅データを求め、このKOS倍の個数((
mMX+1) ×KOS個)の振幅データを直線補間してさらに
多くのNM 個(例えば2048個)に拡張し、このNM
個のデータを間引いて上記一定個数NC (例えば44
個)のデータに変換する。
【0087】このデータ数変換部109からのデータ
(上記一定個数NC の振幅データ)がベクトル量子化部
110に送られて、所定個数のデータ毎にまとめられて
ベクトルとされ、ベクトル量子化が施される。ベクトル
量子化部110からの量子化出力データは、出力端子1
11を介して取り出される。また、上記高精度のピッチ
サーチ部106からの高精度(ファイン)ピッチデータ
は、ピッチ符号化部115で符号化され、出力端子11
2を介して取り出される。さらに、上記有声音/無声音
判別部107からの有声音/無声音(V/UV)判別デ
ータは、出力端子113を介して取り出される。これら
の各出力端子111〜113からのデータは、所定の伝
送フォーマットの信号とされて伝送される。
(上記一定個数NC の振幅データ)がベクトル量子化部
110に送られて、所定個数のデータ毎にまとめられて
ベクトルとされ、ベクトル量子化が施される。ベクトル
量子化部110からの量子化出力データは、出力端子1
11を介して取り出される。また、上記高精度のピッチ
サーチ部106からの高精度(ファイン)ピッチデータ
は、ピッチ符号化部115で符号化され、出力端子11
2を介して取り出される。さらに、上記有声音/無声音
判別部107からの有声音/無声音(V/UV)判別デ
ータは、出力端子113を介して取り出される。これら
の各出力端子111〜113からのデータは、所定の伝
送フォーマットの信号とされて伝送される。
【0088】なお、これらの各データは、上記Nサンプ
ル(例えば256サンプル)のブロック内のデータに対
して処理を施すことにより得られるものであるが、ブロ
ックは時間軸上を上記Lサンプルのフレームを単位とし
て前進することから、伝送するデータは上記フレーム単
位で得られる。すなわち、上記フレーム周期でピッチデ
ータ、V/UV判別データ、振幅データが更新されるこ
とになる。
ル(例えば256サンプル)のブロック内のデータに対
して処理を施すことにより得られるものであるが、ブロ
ックは時間軸上を上記Lサンプルのフレームを単位とし
て前進することから、伝送するデータは上記フレーム単
位で得られる。すなわち、上記フレーム周期でピッチデ
ータ、V/UV判別データ、振幅データが更新されるこ
とになる。
【0089】次に、伝送されて得られた上記各データに
基づき音声信号を合成するための合成側(デコード側)
の概略構成について、図10を参照しながら説明する。こ
の図10において、入力端子121には上記ベクトル量子
化された振幅データが、入力端子122には上記符号化
されたピッチデータが、また入力端子123には上記V
/UV判別データがそれぞれ供給される。入力端子12
1からの量子化振幅データは、逆ベクトル量子化部12
4に送られて逆量子化され、データ数逆変換部125に
送られて逆変換され、得られた振幅データが有声音合成
部126及び無声音合成部127に送られる。入力端子
122からの符号化ピッチデータは、ピッチ復号化部1
28で復号化され、データ数逆変換部125、有声音合
成部126及び無声音合成部127に送られる。また入
力端子123からのV/UV判別データは、有声音合成
部126及び無声音合成部127に送られる。
基づき音声信号を合成するための合成側(デコード側)
の概略構成について、図10を参照しながら説明する。こ
の図10において、入力端子121には上記ベクトル量子
化された振幅データが、入力端子122には上記符号化
されたピッチデータが、また入力端子123には上記V
/UV判別データがそれぞれ供給される。入力端子12
1からの量子化振幅データは、逆ベクトル量子化部12
4に送られて逆量子化され、データ数逆変換部125に
送られて逆変換され、得られた振幅データが有声音合成
部126及び無声音合成部127に送られる。入力端子
122からの符号化ピッチデータは、ピッチ復号化部1
28で復号化され、データ数逆変換部125、有声音合
成部126及び無声音合成部127に送られる。また入
力端子123からのV/UV判別データは、有声音合成
部126及び無声音合成部127に送られる。
【0090】有声音合成部126では例えば余弦(cosin
e)波合成により時間軸上の有声音波形を合成し、無声音
合成部127では例えばホワイトノイズをバンドパスフ
ィルタでフィルタリングして時間軸上の無声音波形を合
成し、これらの各有声音合成波形と無声音合成波形とを
加算部129で加算合成して、出力端子130より取り
出すようにしている。この場合、上記振幅データ、ピッ
チデータ及びV/UV判別データは、上記分析時の1フ
レーム(Lサンプル、例えば160サンプル)毎に更新
されて与えられるが、フレーム間の連続性を高める(円
滑化する)ために、上記振幅データやピッチデータの各
値を1フレーム中の例えば中心位置における各データ値
とし、次のフレームの中心位置までの間(合成時の1フ
レーム)の各データ値を補間により求める。すなわち、
合成時の1フレーム(例えば上記分析フレームの中心か
ら次の分析フレームの中心まで)において、先端サンプ
ル点での各データ値と終端(次の合成フレームの先端)
サンプル点での各データ値とが与えられ、これらのサン
プル点間の各データ値を補間により求めるようにしてい
る。
e)波合成により時間軸上の有声音波形を合成し、無声音
合成部127では例えばホワイトノイズをバンドパスフ
ィルタでフィルタリングして時間軸上の無声音波形を合
成し、これらの各有声音合成波形と無声音合成波形とを
加算部129で加算合成して、出力端子130より取り
出すようにしている。この場合、上記振幅データ、ピッ
チデータ及びV/UV判別データは、上記分析時の1フ
レーム(Lサンプル、例えば160サンプル)毎に更新
されて与えられるが、フレーム間の連続性を高める(円
滑化する)ために、上記振幅データやピッチデータの各
値を1フレーム中の例えば中心位置における各データ値
とし、次のフレームの中心位置までの間(合成時の1フ
レーム)の各データ値を補間により求める。すなわち、
合成時の1フレーム(例えば上記分析フレームの中心か
ら次の分析フレームの中心まで)において、先端サンプ
ル点での各データ値と終端(次の合成フレームの先端)
サンプル点での各データ値とが与えられ、これらのサン
プル点間の各データ値を補間により求めるようにしてい
る。
【0091】以下、有声音合成部126における合成処
理を詳細に説明する。上記V(有声音)と判別された第
mバンド(第m高調波の帯域)における時間軸上の上記
1合成フレーム(Lサンプル、例えば160サンプル)
分の有声音をVm (n) とするとき、この合成フレーム内
の時間インデックス(サンプル番号)nを用いて、 Vm (n) =Am (n) cos(θm (n)) 0≦n<L ・・・(16) と表すことができる。全バンドの内のV(有声音)と判
別された全てのバンドの有声音を加算(ΣVm (n) )し
て最終的な有声音V(n) を合成する。
理を詳細に説明する。上記V(有声音)と判別された第
mバンド(第m高調波の帯域)における時間軸上の上記
1合成フレーム(Lサンプル、例えば160サンプル)
分の有声音をVm (n) とするとき、この合成フレーム内
の時間インデックス(サンプル番号)nを用いて、 Vm (n) =Am (n) cos(θm (n)) 0≦n<L ・・・(16) と表すことができる。全バンドの内のV(有声音)と判
別された全てのバンドの有声音を加算(ΣVm (n) )し
て最終的な有声音V(n) を合成する。
【0092】この(16)式中のAm (n) は、上記合成フ
レームの先端から終端までの間で補間された第m高調波
の振幅である。最も簡単には、フレーム単位で更新され
る振幅データの第m高調波の値を直線補間すればよい。
すなわち、上記合成フレームの先端(n=0)での第m
高調波の振幅値をA0m、該合成フレームの終端(n=
L:次の合成フレームの先端)での第m高調波の振幅値
をALmとするとき、 Am (n) = (L-n)A0m/L+nALm/L ・・・(17) の式によりAm (n) を計算すればよい。
レームの先端から終端までの間で補間された第m高調波
の振幅である。最も簡単には、フレーム単位で更新され
る振幅データの第m高調波の値を直線補間すればよい。
すなわち、上記合成フレームの先端(n=0)での第m
高調波の振幅値をA0m、該合成フレームの終端(n=
L:次の合成フレームの先端)での第m高調波の振幅値
をALmとするとき、 Am (n) = (L-n)A0m/L+nALm/L ・・・(17) の式によりAm (n) を計算すればよい。
【0093】次に、上記(16)式中の位相θm (n) は、 θm (0) =mωO1n+n2 m(ωL1−ω01)/2L+φ0m+Δωn ・・・(18) により求めることができる。この(18)式中で、φ0mは
上記合成フレームの先端(n=0)での第m高調波の位
相(フレーム初期位相)を示し、ω01は合成フレーム先
端(n=0)での基本角周波数、ωL1は該合成フレーム
の終端(n=L:次の合成フレーム先端)での基本角周
波数をそれぞれ示している。上記(18)式中のΔωは、
n=Lにおける位相φLmがθm (L) に等しくなるような
最小のΔωを設定する。
上記合成フレームの先端(n=0)での第m高調波の位
相(フレーム初期位相)を示し、ω01は合成フレーム先
端(n=0)での基本角周波数、ωL1は該合成フレーム
の終端(n=L:次の合成フレーム先端)での基本角周
波数をそれぞれ示している。上記(18)式中のΔωは、
n=Lにおける位相φLmがθm (L) に等しくなるような
最小のΔωを設定する。
【0094】以下、任意の第mバンドにおいて、それぞ
れn=0、n=LのときのV/UV判別結果に応じた上
記振幅Am (n) 、位相θm (n) の求め方を説明する。第
mバンドが、n=0、n=LのいずれもV(有声音)と
される場合に、振幅Am (n) は、上述した(17)式によ
り、伝送された振幅値A0m、ALmを直線補間して振幅A
m (n) を算出すればよい。位相θm (n) は、n=0でθ
m (0) =φ0mからn=Lでθm (L) がφLmとなるように
Δωを設定する。
れn=0、n=LのときのV/UV判別結果に応じた上
記振幅Am (n) 、位相θm (n) の求め方を説明する。第
mバンドが、n=0、n=LのいずれもV(有声音)と
される場合に、振幅Am (n) は、上述した(17)式によ
り、伝送された振幅値A0m、ALmを直線補間して振幅A
m (n) を算出すればよい。位相θm (n) は、n=0でθ
m (0) =φ0mからn=Lでθm (L) がφLmとなるように
Δωを設定する。
【0095】次に、n=0のときV(有声音)で、n=
LのときUV(無声音)とされる場合に、振幅Am (n)
は、Am (0) の伝送振幅値A0mからAm (L) で0となる
ように直線補間する。n=Lでの伝送振幅値ALmは無声
音の振幅値であり、後述する無声音合成の際に用いられ
る。位相θm (n) は、θm (0) =φ0mとし、かつΔω=
0とする。
LのときUV(無声音)とされる場合に、振幅Am (n)
は、Am (0) の伝送振幅値A0mからAm (L) で0となる
ように直線補間する。n=Lでの伝送振幅値ALmは無声
音の振幅値であり、後述する無声音合成の際に用いられ
る。位相θm (n) は、θm (0) =φ0mとし、かつΔω=
0とする。
【0096】さらに、n=0のときUV(無声音)で、
n=LのときV(有声音)とされる場合には、振幅Am
(n) は、n=0での振幅Am (0) を0とし、n=Lで伝
送された振幅値ALmとなるように直線補間する。位相θ
m (n) については、n=0での位相θm (0) として、フ
レーム終端での位相値φLmを用いて、 θm (0) =φLm−m(ωO1+ωL1)L/2 ・・・(19) とし、かつΔω=0とする。
n=LのときV(有声音)とされる場合には、振幅Am
(n) は、n=0での振幅Am (0) を0とし、n=Lで伝
送された振幅値ALmとなるように直線補間する。位相θ
m (n) については、n=0での位相θm (0) として、フ
レーム終端での位相値φLmを用いて、 θm (0) =φLm−m(ωO1+ωL1)L/2 ・・・(19) とし、かつΔω=0とする。
【0097】上記n=0、n=LのいずれもV(有声
音)とされる場合に、θm (L) がφLmとなるようにΔω
を設定する手法について説明する。上記(11)式で、n
=Lと置くことにより、 θm (L) =mωO1L+L2 m(ωL1−ω01)/2L+φ0m+ΔωL =m(ωO1+ωL1)L/2+φ0m+ΔωL =φLm となり、これを整理すると、Δωは、 Δω=(mod2π((φLm−φ0m) − mL(ωO1+ωL1)/2)/L ・・・(20) となる。この(20)式でmod2π(x) とは、xの主値を−
π〜+πの間の値で返す関数である。例えば、x=1.3
πのときmod2π(x) =−0.7π、x=2.3πのときmod2
π(x) =0.3π、x=−1.3πのときmod2π(x) =0.7
π、等である。
音)とされる場合に、θm (L) がφLmとなるようにΔω
を設定する手法について説明する。上記(11)式で、n
=Lと置くことにより、 θm (L) =mωO1L+L2 m(ωL1−ω01)/2L+φ0m+ΔωL =m(ωO1+ωL1)L/2+φ0m+ΔωL =φLm となり、これを整理すると、Δωは、 Δω=(mod2π((φLm−φ0m) − mL(ωO1+ωL1)/2)/L ・・・(20) となる。この(20)式でmod2π(x) とは、xの主値を−
π〜+πの間の値で返す関数である。例えば、x=1.3
πのときmod2π(x) =−0.7π、x=2.3πのときmod2
π(x) =0.3π、x=−1.3πのときmod2π(x) =0.7
π、等である。
【0098】ここで、図11のAは、音声信号のスペクト
ルの一例を示しており、バンド番号(ハーモニクスナン
バ)mが8、9、10の各バンドがUV(無声音)とさ
れ、他のバンドはV(有声音)とされている。このV
(有声音)のバンドの時間軸信号が上記有声音合成部1
26により合成され、UV(無声音)のバンドの時間軸
信号が無声音合成部127で合成されるわけである。
ルの一例を示しており、バンド番号(ハーモニクスナン
バ)mが8、9、10の各バンドがUV(無声音)とさ
れ、他のバンドはV(有声音)とされている。このV
(有声音)のバンドの時間軸信号が上記有声音合成部1
26により合成され、UV(無声音)のバンドの時間軸
信号が無声音合成部127で合成されるわけである。
【0099】以下、無声音合成部127における無声音
合成処理を説明する。ホワイトノイズ発生部131から
の時間軸上のホワイトノイズ信号波形を、所定の長さ
(例えば256サンプル)で適当な窓関数(例えばハミ
ング窓)により窓かけをし、STFT処理部132によ
りSTFT(ショートタームフーリエ変換)処理を施す
ことにより、図11のBに示すようなホワイトノイズの周
波数軸上のパワースペクトルを得る。このSTFT処理
部132からのパワースペクトルをバンド振幅処理部1
33に送り、図11のCに示すように、上記UV(無声
音)とされたバンド(例えばm=8、9、10)につい
て上記振幅|Am |UVを乗算し、他のV(有声音)とさ
れたバンドの振幅を0にする。このバンド振幅処理部1
33には上記振幅データ、ピッチデータ、V/UV判別
データが供給されている。バンド振幅処理部133から
の出力は、ISTFT処理部134に送られ、位相は元
のホワイトノイズの位相を用いて逆STFT処理を施す
ことにより時間軸上の信号に変換する。ISTFT処理
部134からの出力は、オーバーラップ加算部135に
送られ、時間軸上で適当な(元の連続的なノイズ波形を
復元できるように)重み付けをしながらオーバーラップ
及び加算を繰り返し、連続的な時間軸波形を合成する。
オーバーラップ加算部135からの出力信号が上記加算
部129に送られる。
合成処理を説明する。ホワイトノイズ発生部131から
の時間軸上のホワイトノイズ信号波形を、所定の長さ
(例えば256サンプル)で適当な窓関数(例えばハミ
ング窓)により窓かけをし、STFT処理部132によ
りSTFT(ショートタームフーリエ変換)処理を施す
ことにより、図11のBに示すようなホワイトノイズの周
波数軸上のパワースペクトルを得る。このSTFT処理
部132からのパワースペクトルをバンド振幅処理部1
33に送り、図11のCに示すように、上記UV(無声
音)とされたバンド(例えばm=8、9、10)につい
て上記振幅|Am |UVを乗算し、他のV(有声音)とさ
れたバンドの振幅を0にする。このバンド振幅処理部1
33には上記振幅データ、ピッチデータ、V/UV判別
データが供給されている。バンド振幅処理部133から
の出力は、ISTFT処理部134に送られ、位相は元
のホワイトノイズの位相を用いて逆STFT処理を施す
ことにより時間軸上の信号に変換する。ISTFT処理
部134からの出力は、オーバーラップ加算部135に
送られ、時間軸上で適当な(元の連続的なノイズ波形を
復元できるように)重み付けをしながらオーバーラップ
及び加算を繰り返し、連続的な時間軸波形を合成する。
オーバーラップ加算部135からの出力信号が上記加算
部129に送られる。
【0100】このように、各合成部126、127にお
いて合成されて時間軸上に戻された有声音部及び無声音
部の各信号は、加算部129により適当な固定の混合比
で加算して、出力端子130より再生された音声信号を
取り出す。
いて合成されて時間軸上に戻された有声音部及び無声音
部の各信号は、加算部129により適当な固定の混合比
で加算して、出力端子130より再生された音声信号を
取り出す。
【0101】以上より、本発明に係るピッチ抽出方法が
適用されるMBEは、現在フレームに属する自己相関デ
ータ(自己相関は1ブロックNサンプルのデータを対象
として求められる)から複数のピークを求めておき、こ
れらの複数のピークの内の最大ピークが所定の閾値以上
のときには該最大ピーク位置をピッチ周期とし、それ以
外のときには、現在フレーム以外のフレーム、例えば前
後のフレームで求められたピッチに対して所定の関係を
満たすピッチ範囲内、例えば前フレームのピッチを中心
として±20%の範囲内にあるピークを求め、このピー
ク位置に基づいて現在フレームのピッチを決定するよう
にしているため、正確なピッチを捉えることができる。
適用されるMBEは、現在フレームに属する自己相関デ
ータ(自己相関は1ブロックNサンプルのデータを対象
として求められる)から複数のピークを求めておき、こ
れらの複数のピークの内の最大ピークが所定の閾値以上
のときには該最大ピーク位置をピッチ周期とし、それ以
外のときには、現在フレーム以外のフレーム、例えば前
後のフレームで求められたピッチに対して所定の関係を
満たすピッチ範囲内、例えば前フレームのピッチを中心
として±20%の範囲内にあるピークを求め、このピー
ク位置に基づいて現在フレームのピッチを決定するよう
にしているため、正確なピッチを捉えることができる。
【0102】なお、上記図5の音声分析側(エンコード
側)の構成や図10の音声合成側(デコード側)の構成に
ついては、各部をハードウェア的に記載しているが、い
わゆるDSP(ディジタル信号プロセッサ)等を用いて
ソフトウェアプログラムにより実現することも可能であ
る。また、本発明に係るピッチ抽出方法は、上記実施例
にのみ限定されるものでなく、例えば、kの値は、本発
明の主旨に反しない値であれば状況に応じて他の値とす
ることができる。
側)の構成や図10の音声合成側(デコード側)の構成に
ついては、各部をハードウェア的に記載しているが、い
わゆるDSP(ディジタル信号プロセッサ)等を用いて
ソフトウェアプログラムにより実現することも可能であ
る。また、本発明に係るピッチ抽出方法は、上記実施例
にのみ限定されるものでなく、例えば、kの値は、本発
明の主旨に反しない値であれば状況に応じて他の値とす
ることができる。
【0103】
【発明の効果】本発明に係るピッチ抽出方法は、フレー
ム単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己
相関データから検出された複数のピークの内、現在フレ
ーム以外のフレームで求められたピッチと所定の関係を
満たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フ
レームのピッチを決定することができ、また、フレーム
単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相
関データから検出された全てのピークの内、現在フレー
ム以外のフレームで求められたピッチと所定の関係を満
たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フレ
ームのピッチを決定することができ、さらに、フレーム
単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相
関データから検出された複数のピークの内の最大ピーク
が所定の閾値以上であれば該最大ピークの位置により現
在フレームのピッチを決定する。また、上記最大ピーク
が所定の閾値より小さいときは、現在フレーム以外のフ
レームで求められたピッチに対して所定の関係を満たす
ピッチ範囲内にあるピークの位置に基づいて現在フレー
ムのピッチを決定することができる。したがって、誤っ
たピッチを捉える確率が小さくなり、また、一度ピッチ
がなくなった後でも過去に捉えた確実なピッチを参考に
再び安定したトラッキングができるため、複数話者が同
時に発声した場合、一人の音声のみを抜き取るような話
者分離にも適用することができる。
ム単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己
相関データから検出された複数のピークの内、現在フレ
ーム以外のフレームで求められたピッチと所定の関係を
満たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フ
レームのピッチを決定することができ、また、フレーム
単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相
関データから検出された全てのピークの内、現在フレー
ム以外のフレームで求められたピッチと所定の関係を満
たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フレ
ームのピッチを決定することができ、さらに、フレーム
単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相
関データから検出された複数のピークの内の最大ピーク
が所定の閾値以上であれば該最大ピークの位置により現
在フレームのピッチを決定する。また、上記最大ピーク
が所定の閾値より小さいときは、現在フレーム以外のフ
レームで求められたピッチに対して所定の関係を満たす
ピッチ範囲内にあるピークの位置に基づいて現在フレー
ムのピッチを決定することができる。したがって、誤っ
たピッチを捉える確率が小さくなり、また、一度ピッチ
がなくなった後でも過去に捉えた確実なピッチを参考に
再び安定したトラッキングができるため、複数話者が同
時に発声した場合、一人の音声のみを抜き取るような話
者分離にも適用することができる。
【図1】本発明に係るピッチ抽出方法の第1の実施例を
適用した具体例の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
適用した具体例の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
【図2】本発明に係るピッチ抽出方法の第1の実施例の
入力音声信号波形の処理を説明するための波形図であ
る。
入力音声信号波形の処理を説明するための波形図であ
る。
【図3】本発明に係るピッチ抽出方法の第1の実施例で
のピッチ抽出の流れを説明するためのフローチャートで
ある。
のピッチ抽出の流れを説明するためのフローチャートで
ある。
【図4】本発明に係るピッチ抽出方法の第2の実施例を
適用した具体例の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
適用した具体例の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
【図5】本発明に係るピッチ抽出方法が適用される装置
の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の分析
側(エンコード側)の概略構成を示す機能ブロック図で
ある。
の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の分析
側(エンコード側)の概略構成を示す機能ブロック図で
ある。
【図6】窓かけ処理を説明するための図である。
【図7】窓かけ処理と窓関数との関係を説明するための
図である。
図である。
【図8】直交変換(FFT)処理対象としての時間軸デ
ータを示す図である。
ータを示す図である。
【図9】周波数軸上のスペクトルデータ、スペクトル包
絡線(エンベロープ)及び励起信号のパワースペクトル
を示す図である。
絡線(エンベロープ)及び励起信号のパワースペクトル
を示す図である。
【図10】本発明に係るピッチ抽出方法が適用される装置
の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の合成
側(デコード側)の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の合成
側(デコード側)の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
【図11】音声信号を合成する際の無声音合成を説明する
ための図である。
ための図である。
【図12】自己相関関数からピッチ周期を求める手順を説
明するための波形図である。
明するための波形図である。
9・・・・・・ブロック取り出し処理部 10・・・・・フレーム区分部 11・・・・・センタクリップ処理部 12・・・・・自己相関計算部 13・・・・・ピーク検出部 14・・・・・他フレームピッチ算出部 15・・・・・比較検出部 16・・・・・ピッチ決定工程
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成4年6月4日
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図12
【補正方法】変更
【補正内容】
【図12】 ─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成5年4月7日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 ピッチ抽出方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、入力される音声信号波
形からピッチを抽出するピッチ抽出方法に関する。
形からピッチを抽出するピッチ抽出方法に関する。
【0002】
【従来の技術】音声は、音の性質として、有声音と無声
音に区別される。有声音は声帯振動を伴う音声で周期的
な振動として観測される。無声音は声帯振動に伴わない
音声で非周期的な雑音として観測される。通常の音声で
は大部分が有声音であり、無声音は無声子音と呼ばれる
特殊な子音のみである。有声音の周期は声帯振動の周期
で決まり、これをピッチ周期、その逆数をピッチ周波数
という。これらピッチ周期及びピッチ周波数は声の高低
やイントネーションを決める重要な要因となる。したが
って、原音声波形から正確にピッチ周期を抽出(以下、
ピッチ抽出という)することは、音声を分析し合成する
音声合成の過程のなかでも重要となる。
音に区別される。有声音は声帯振動を伴う音声で周期的
な振動として観測される。無声音は声帯振動に伴わない
音声で非周期的な雑音として観測される。通常の音声で
は大部分が有声音であり、無声音は無声子音と呼ばれる
特殊な子音のみである。有声音の周期は声帯振動の周期
で決まり、これをピッチ周期、その逆数をピッチ周波数
という。これらピッチ周期及びピッチ周波数は声の高低
やイントネーションを決める重要な要因となる。したが
って、原音声波形から正確にピッチ周期を抽出(以下、
ピッチ抽出という)することは、音声を分析し合成する
音声合成の過程のなかでも重要となる。
【0003】上記ピッチ抽出の方法(以下、ピッチ抽出
方法という)は、波形の上で周期的ピークを検出する波
形処理法、相関処理が波形の位相歪みに強いことを利用
した相関処理法、スペクトルの周期的周波数構造を利用
したスペクトル処理法とに分類される。
方法という)は、波形の上で周期的ピークを検出する波
形処理法、相関処理が波形の位相歪みに強いことを利用
した相関処理法、スペクトルの周期的周波数構造を利用
したスペクトル処理法とに分類される。
【0004】上記相関処理法の一方法である自己相関法
について図12を用いて以下に説明する。図12のAは
300 サンプル分の入力音声波形x(n) であり、図12の
BはAで示したx(n) の自己相関関数の波形Rx (k) で
ある。また、図12のCはAに示されたクリッピングレ
ベルCL でセンタクリップした波形C[ x(n)]であり、
図12のDはCで示したC[ x(n)]の自己相関関数の波
形RC (k) である。
について図12を用いて以下に説明する。図12のAは
300 サンプル分の入力音声波形x(n) であり、図12の
BはAで示したx(n) の自己相関関数の波形Rx (k) で
ある。また、図12のCはAに示されたクリッピングレ
ベルCL でセンタクリップした波形C[ x(n)]であり、
図12のDはCで示したC[ x(n)]の自己相関関数の波
形RC (k) である。
【0005】上述したように図12のAに示す300 サン
プル分の入力音声波形x(n) の自己相関関数を求める
と、図12のBに示す波形Rx (k) となる。この図12
のBに示す自己相関関数の波形Rx (k) では、ピッチ周
期のところに強いピークが見られる。しかし、声道の減
衰振動による余分なピークも多数見られる。この余分な
ピークを減少させるために、図12のAに示したクリッ
ピングレベル±CL より絶対値として小さい波形を潰し
た図12のCに示すセンタクリップ波形C x(n) から
自己相関関数を得ることが考えられる。この場合、図4
のCに示すセンタクリップされた波形C[ x(n)]には、
もとのピッチ間隔でいくつかのパルスが残っているだけ
になっており、そこから求めた図12のDに示す自己相
関関数RC(k) の波形には、余分なピークが少なくなっ
ている。
プル分の入力音声波形x(n) の自己相関関数を求める
と、図12のBに示す波形Rx (k) となる。この図12
のBに示す自己相関関数の波形Rx (k) では、ピッチ周
期のところに強いピークが見られる。しかし、声道の減
衰振動による余分なピークも多数見られる。この余分な
ピークを減少させるために、図12のAに示したクリッ
ピングレベル±CL より絶対値として小さい波形を潰し
た図12のCに示すセンタクリップ波形C x(n) から
自己相関関数を得ることが考えられる。この場合、図4
のCに示すセンタクリップされた波形C[ x(n)]には、
もとのピッチ間隔でいくつかのパルスが残っているだけ
になっており、そこから求めた図12のDに示す自己相
関関数RC(k) の波形には、余分なピークが少なくなっ
ている。
【0006】上記ピッチ抽出により得られたピッチは、
上述したように声の高低やイントネーションを決める重
要な要因となり、原音声波形からの正確なピッチ抽出
は、例えば、MBE(マルチバンド励起)ボコーダのよ
うな音声波形の高能率符号化に適用される。
上述したように声の高低やイントネーションを決める重
要な要因となり、原音声波形からの正確なピッチ抽出
は、例えば、MBE(マルチバンド励起)ボコーダのよ
うな音声波形の高能率符号化に適用される。
【0007】
【発明が解決しようとうする課題】ところで、一般的に
入力音声信号の自己相関を観測したとき、そのピークの
中で最大のものがピッチである可能性が高いが、入力音
声信号のレベル変動あるいは背景雑音等で自己相関のピ
ークがきれいにでないときには、正しいピッチが得られ
ず整数倍のピッチを捉えたり、あるいはピッチがないと
判断してしまっていた。また、これを防ぐようピッチの
変動として許可される範囲を限定してしまうことも考え
られるが、一人の話者でのピッチの急激な変化あるいは
例えば男声、女声の連続的な変化等の二人以上の話者の
入れ替わりに追従することが不可能であった。
入力音声信号の自己相関を観測したとき、そのピークの
中で最大のものがピッチである可能性が高いが、入力音
声信号のレベル変動あるいは背景雑音等で自己相関のピ
ークがきれいにでないときには、正しいピッチが得られ
ず整数倍のピッチを捉えたり、あるいはピッチがないと
判断してしまっていた。また、これを防ぐようピッチの
変動として許可される範囲を限定してしまうことも考え
られるが、一人の話者でのピッチの急激な変化あるいは
例えば男声、女声の連続的な変化等の二人以上の話者の
入れ替わりに追従することが不可能であった。
【0008】そこで、本発明に係るピッチ抽出方法は、
上記実情に鑑みてなされたものであり、誤ったピッチを
捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽出するこ
とができるピッチ抽出方法の提供を目的とする。
上記実情に鑑みてなされたものであり、誤ったピッチを
捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽出するこ
とができるピッチ抽出方法の提供を目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明に係るピッチ抽出
方法は、入力音声信号をフレーム単位で区分する工程
と、現在フレームの自己相関データから複数のピークを
検出する工程と、該検出された現在フレームの複数のピ
ークの内、現在フレーム以外のフレームで求められたピ
ッチに対して所定の関係を満たすピッチ範囲内にあるピ
ークを求める工程と、この求められたピークの位置に基
づいて現在フレームのピッチを決定する工程とを有する
ことを特徴として上記課題を解決する。
方法は、入力音声信号をフレーム単位で区分する工程
と、現在フレームの自己相関データから複数のピークを
検出する工程と、該検出された現在フレームの複数のピ
ークの内、現在フレーム以外のフレームで求められたピ
ッチに対して所定の関係を満たすピッチ範囲内にあるピ
ークを求める工程と、この求められたピークの位置に基
づいて現在フレームのピッチを決定する工程とを有する
ことを特徴として上記課題を解決する。
【0010】ここで、現在フレームのピッチの信頼性が
高い時は、例えば現在フレームの複数のピークの内の最
大のものが所定の閾値以上のときに該最大ピークの位置
により現在フレームの複数のピッチを決定し、上記最大
ピークが上記所定の閾値より小さいときは現在フレーム
以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関係
を満たすピッチ範囲にあるピークの位置により現在フレ
ームのピッチを決定する工程を有することを特徴として
上記課題を解決する。
高い時は、例えば現在フレームの複数のピークの内の最
大のものが所定の閾値以上のときに該最大ピークの位置
により現在フレームの複数のピッチを決定し、上記最大
ピークが上記所定の閾値より小さいときは現在フレーム
以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関係
を満たすピッチ範囲にあるピークの位置により現在フレ
ームのピッチを決定する工程を有することを特徴として
上記課題を解決する。
【0011】また、本発明に係るピッチ抽出方法は、入
力音声信号をフレーム単位で区分する工程と、現在フレ
ームの自己相関データから全てのピークを検出する工程
と、該検出された現在フレームの全てのピークの内、現
在フレーム以外のフレームで求められたピッチに対して
所定の関係を満たすピッチ範囲内にあるピークを求める
工程と、この求められたピークの位置に基づいて現在フ
レームのピッチを決定する工程とを有することを特徴と
して上記課題を解決する。
力音声信号をフレーム単位で区分する工程と、現在フレ
ームの自己相関データから全てのピークを検出する工程
と、該検出された現在フレームの全てのピークの内、現
在フレーム以外のフレームで求められたピッチに対して
所定の関係を満たすピッチ範囲内にあるピークを求める
工程と、この求められたピークの位置に基づいて現在フ
レームのピッチを決定する工程とを有することを特徴と
して上記課題を解決する。
【0012】上記入力音声信号をフレーム単位で時間軸
方向に進むブロックを単位として取り出す工程は、入力
音声信号を所定数Nサンプル(例えばN=256サンプ
ル)単位でブロック分割し、Lサンプル(例えばL=1
60)のフレーム間隔で時間軸方向に移動させておりN
−L(例えば96サンプル)のオーバーラップ区間を持
っている。
方向に進むブロックを単位として取り出す工程は、入力
音声信号を所定数Nサンプル(例えばN=256サンプ
ル)単位でブロック分割し、Lサンプル(例えばL=1
60)のフレーム間隔で時間軸方向に移動させておりN
−L(例えば96サンプル)のオーバーラップ区間を持
っている。
【0013】上記所定の関係を満たすピッチ範囲とは、
例えば前フレームの確定ピッチに対してa倍(例えばa
=0.8)−b倍(例えばb=1.2)の範囲ということであ
る。
例えば前フレームの確定ピッチに対してa倍(例えばa
=0.8)−b倍(例えばb=1.2)の範囲ということであ
る。
【0014】また、例えば前フレームに確定ピッチがな
い場合は、フレーム毎に保持される分析対象者の典型的
なピッチである典型ピッチを利用し、該典型ピッチのa
倍(例えばa=0.8)−b倍(例えばb=1.2)の範囲内の
ピッチを用いてピッチの軌跡の追跡を行う。
い場合は、フレーム毎に保持される分析対象者の典型的
なピッチである典型ピッチを利用し、該典型ピッチのa
倍(例えばa=0.8)−b倍(例えばb=1.2)の範囲内の
ピッチを用いてピッチの軌跡の追跡を行う。
【0015】さらに、例えば分析対象者が急に過去のピ
ッチと大きく異なるような声を発した場合は、過去のピ
ッチに無関係に現フレームだけでピッチの飛び越しがで
きるピッチを用いてピッチの軌跡の追跡を行う。
ッチと大きく異なるような声を発した場合は、過去のピ
ッチに無関係に現フレームだけでピッチの飛び越しがで
きるピッチを用いてピッチの軌跡の追跡を行う。
【0016】
【作用】本発明に係るピッチ抽出方法は、フレーム単位
で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相関デ
ータから検出された複数のピークの内、現在フレーム以
外のフレームで求められたピッチと所定の関係を満たす
ピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フレーム
のピッチを決定することができるため、誤ったピッチを
捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽出するこ
とができる。
で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相関デ
ータから検出された複数のピークの内、現在フレーム以
外のフレームで求められたピッチと所定の関係を満たす
ピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フレーム
のピッチを決定することができるため、誤ったピッチを
捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽出するこ
とができる。
【0017】また、本発明に係るピッチ抽出方法は、フ
レーム単位で区分された入力音声信号の現在フレームの
自己相関データから検出された全てのピークの内、現在
フレーム以外のフレームで求められたピッチと所定の関
係を満たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現
在フレームのピッチを決定することができるため、誤っ
たピッチを捉える確率が小さくなり、安定してピッチを
抽出することができる。
レーム単位で区分された入力音声信号の現在フレームの
自己相関データから検出された全てのピークの内、現在
フレーム以外のフレームで求められたピッチと所定の関
係を満たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現
在フレームのピッチを決定することができるため、誤っ
たピッチを捉える確率が小さくなり、安定してピッチを
抽出することができる。
【0018】さらに、本発明に係るピッチ抽出方法は、
フレーム単位で区分された入力音声信号の現在フレーム
の自己相関データから検出された複数のピークの内の最
大ピークが所定の閾値以上であれば該最大ピークの位置
により現在フレームのピッチを決定する。また、上記最
大ピークが所定の閾値より小さいときは、現在フレーム
以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関係
を満たすピッチ範囲内にあるピークの位置に基づいて現
在フレームのピッチを決定することができるため誤った
ピッチを捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽
出することができる。
フレーム単位で区分された入力音声信号の現在フレーム
の自己相関データから検出された複数のピークの内の最
大ピークが所定の閾値以上であれば該最大ピークの位置
により現在フレームのピッチを決定する。また、上記最
大ピークが所定の閾値より小さいときは、現在フレーム
以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関係
を満たすピッチ範囲内にあるピークの位置に基づいて現
在フレームのピッチを決定することができるため誤った
ピッチを捉える確率が小さくなり、安定してピッチを抽
出することができる。
【0019】
【実施例】以下、本発明に係るピッチ抽出方法の実施例
をピッチ抽出装置に適用した具体例について図面を参照
しながら説明する。
をピッチ抽出装置に適用した具体例について図面を参照
しながら説明する。
【0020】図1は、上記ピッチ抽出装置に本発明を適
用した第1の実施例の概略構成を示すブロック図であ
る。この第1の実施例は、図1に示すように入力された
音声信号波形をブロック単位で取り出すブロック取り出
し処理部9と、このブロック取り出し処理部9で取り出
したブロック単位の入力音声信号波形をフレーム単位に
区分するフレーム区分部10と、このフレーム区分部1
0からの現フレームの音声信号波形をセンタクリップす
るセンタクリップ処理部11と、このセンタクリップ処
理部11でセンタクリップされた音声信号波形から自己
相関データを計算する自己相関計算部12と、この自己
相関計算部12で計算された自己相関データから複数あ
るいは全てのピークを検出するピーク検出部13と、上
記フレーム区分部10からの現在フレーム以外のフレー
ム(以下、他フレームという)のピッチを算出する他フ
レームピッチ算出部14と、この他フレームピッチ算出
部14のピッチに対して上記ピーク検出部13で検出さ
れた複数ピークが所定の関数を満たすピッチ範囲内にあ
るか否かを比較し、該範囲内にあるピークを検出する比
較検出部15と、この比較検出部15で求められたピー
クの位置に基づいて現在フレームのピッチを決定するピ
ッチ決定部16とを有する。
用した第1の実施例の概略構成を示すブロック図であ
る。この第1の実施例は、図1に示すように入力された
音声信号波形をブロック単位で取り出すブロック取り出
し処理部9と、このブロック取り出し処理部9で取り出
したブロック単位の入力音声信号波形をフレーム単位に
区分するフレーム区分部10と、このフレーム区分部1
0からの現フレームの音声信号波形をセンタクリップす
るセンタクリップ処理部11と、このセンタクリップ処
理部11でセンタクリップされた音声信号波形から自己
相関データを計算する自己相関計算部12と、この自己
相関計算部12で計算された自己相関データから複数あ
るいは全てのピークを検出するピーク検出部13と、上
記フレーム区分部10からの現在フレーム以外のフレー
ム(以下、他フレームという)のピッチを算出する他フ
レームピッチ算出部14と、この他フレームピッチ算出
部14のピッチに対して上記ピーク検出部13で検出さ
れた複数ピークが所定の関数を満たすピッチ範囲内にあ
るか否かを比較し、該範囲内にあるピークを検出する比
較検出部15と、この比較検出部15で求められたピー
クの位置に基づいて現在フレームのピッチを決定するピ
ッチ決定部16とを有する。
【0021】上記ブロック取り出し処理部9は、入力音
声信号波形に窓関数を乗じ、一部重複(オーバーラッ
プ)させ、Nサンプルのブロックとして入力音声信号波
形を切り出す。また、上記フレーム区分部10は、上記
ブロック取り出し処理部9で取り出されたブロック単位
の信号波形をLサンプルのフレーム単位で区分する。言
い換えると、上記ブロック取り出し処理部9は、入力音
声信号をLサンプルのフレーム単位で時間軸方向に進む
Nサンプルの単位として取り出している。
声信号波形に窓関数を乗じ、一部重複(オーバーラッ
プ)させ、Nサンプルのブロックとして入力音声信号波
形を切り出す。また、上記フレーム区分部10は、上記
ブロック取り出し処理部9で取り出されたブロック単位
の信号波形をLサンプルのフレーム単位で区分する。言
い換えると、上記ブロック取り出し処理部9は、入力音
声信号をLサンプルのフレーム単位で時間軸方向に進む
Nサンプルの単位として取り出している。
【0022】上記センタクリップ処理部11は、上記フ
レーム区分部10からの1フレーム分の入力音声信号波
形の周期性を乱すような特徴を抑制する。すなわち、入
力音声信号波形の自己相関を計算する前に声道の減衰に
より余分なピークを減少するために所定のクリッピング
レベルを設定し、このクリッピングレベルより絶対値と
して小さい波形を潰すものである。
レーム区分部10からの1フレーム分の入力音声信号波
形の周期性を乱すような特徴を抑制する。すなわち、入
力音声信号波形の自己相関を計算する前に声道の減衰に
より余分なピークを減少するために所定のクリッピング
レベルを設定し、このクリッピングレベルより絶対値と
して小さい波形を潰すものである。
【0023】上記自己相関計算部12は、例えば音声信
号波形の周期性を計算するものであり、通常であれば強
いピークの位置にピッチ周期が見られる。本第1の実施
例では上記センタクリップ処理部11で入力音声信号波
形の1フレーム分をセンタクリップした上で自己相関関
数を計算しており、鋭いピークが得られる。
号波形の周期性を計算するものであり、通常であれば強
いピークの位置にピッチ周期が見られる。本第1の実施
例では上記センタクリップ処理部11で入力音声信号波
形の1フレーム分をセンタクリップした上で自己相関関
数を計算しており、鋭いピークが得られる。
【0024】上記ピーク検出部13は、上記自己相関計
算部12で計算された自己相関データから複数あるいは
全てのピークを検出する。つまり、自己相関関数の第n
サンプルの値r(n)がピークとなるのは該r(n)が隣合った
自己相関r(n-1)及びr(n+1)より大きいときであり、上記
ピーク検出部13は、このようなピークを検出する。
算部12で計算された自己相関データから複数あるいは
全てのピークを検出する。つまり、自己相関関数の第n
サンプルの値r(n)がピークとなるのは該r(n)が隣合った
自己相関r(n-1)及びr(n+1)より大きいときであり、上記
ピーク検出部13は、このようなピークを検出する。
【0025】上記他フレームピッチ算出部14は、上記
フレーム区分部10で区分された現在フレーム以外のフ
レームのピッチを算出する。本実施例では、入力音声信
号波形を上記フレーム区分部10により、例えば現在フ
レーム、過去フレーム及び未来フレームに区分してい
る。そして、本実施例では、確定している過去フレーム
のピッチを基に現在フレームを決定し、さらに過去フレ
ームのピッチと未来フレームのピッチを基に上記決定さ
れた現在フレームのピッチを確定するような方法であ
る。このように過去フレーム、現在フレーム及び未来フ
レームから現在フレームのピッチを正確に出そうという
考え方をDelayed desision( ディレイドディシィジョ
ン) という。
フレーム区分部10で区分された現在フレーム以外のフ
レームのピッチを算出する。本実施例では、入力音声信
号波形を上記フレーム区分部10により、例えば現在フ
レーム、過去フレーム及び未来フレームに区分してい
る。そして、本実施例では、確定している過去フレーム
のピッチを基に現在フレームを決定し、さらに過去フレ
ームのピッチと未来フレームのピッチを基に上記決定さ
れた現在フレームのピッチを確定するような方法であ
る。このように過去フレーム、現在フレーム及び未来フ
レームから現在フレームのピッチを正確に出そうという
考え方をDelayed desision( ディレイドディシィジョ
ン) という。
【0026】上記比較検出部15は、上記ピーク検出部
13で検出されたピークが上記他フレームピッチ算出部
14で算出されたピッチに対して所定の関係を満たすピ
ッチ範囲内にあるか否かを比較し、該範囲内にあるとき
ピークを検出する。
13で検出されたピークが上記他フレームピッチ算出部
14で算出されたピッチに対して所定の関係を満たすピ
ッチ範囲内にあるか否かを比較し、該範囲内にあるとき
ピークを検出する。
【0027】上記ピッチ決定部16は、上記比較検出部
15で比較検出されたピークから現在フレームのピッチ
を決定する。
15で比較検出されたピークから現在フレームのピッチ
を決定する。
【0028】ここで、上述した各部の中で上記ピーク検
出部13と、該ピーク検出部13で検出される複数ある
いは全てのピークの処理について図2を用いて説明す
る。
出部13と、該ピーク検出部13で検出される複数ある
いは全てのピークの処理について図2を用いて説明す
る。
【0029】図2のAで示される入力音声信号波形x
(n) を上記センタクリップ処理部11でセンタクリップ
した後、上記自己相関計算部12で図2のBに示すよう
な自己相関の波形r(n)を求める。上記ピーク検出部13
は、この自己相関の波形r(n)が、 r(n) >r(n-1)かつ r(n) >r(n+1) ・・・(1) と表せるようなピークを複数あるいは全て検出する。
(n) を上記センタクリップ処理部11でセンタクリップ
した後、上記自己相関計算部12で図2のBに示すよう
な自己相関の波形r(n)を求める。上記ピーク検出部13
は、この自己相関の波形r(n)が、 r(n) >r(n-1)かつ r(n) >r(n+1) ・・・(1) と表せるようなピークを複数あるいは全て検出する。
【0030】このとき、同時に自己相関r(n)の値を正規
化した図2のCに示すようなピークr'(n) も記録してお
く。このr'(n) は、上記自己相関r(n)をn=0での自己
相関データr(0)で割った値である。該自己相関データr
(0)は、ピークとしては最大であるが、上記(1)式を
満たしていないので該(1)式で表すピークには含まな
い。ここで、上記r'(n) は、ピッチであることの度合い
を表す量と考えられ、このr'(n) をその大きさによって
並べかえて、r's (n),P(n)を作る。該r's (n) は、上記
r'(n) をその大きさにより並べかえており、 r' s (0) >r's (1) >r's (2) >・・・>r's (j-1) ・・・(2) という条件を満たしている。但し、jはピークの総数で
ある。また、上記P(n)は図2のCに表すように、大きな
ピークに対応したインデックスを表している。図2のC
では、n=6の位置のピークが一番大きいのでP(0)とし
ている。次に大きいピーク( n=7の位置)のインデッ
クスは、P(1)である。このP(n)は、 r'(P(n)) =r's (n) ・・・(3) の関係を満たしている。
化した図2のCに示すようなピークr'(n) も記録してお
く。このr'(n) は、上記自己相関r(n)をn=0での自己
相関データr(0)で割った値である。該自己相関データr
(0)は、ピークとしては最大であるが、上記(1)式を
満たしていないので該(1)式で表すピークには含まな
い。ここで、上記r'(n) は、ピッチであることの度合い
を表す量と考えられ、このr'(n) をその大きさによって
並べかえて、r's (n),P(n)を作る。該r's (n) は、上記
r'(n) をその大きさにより並べかえており、 r' s (0) >r's (1) >r's (2) >・・・>r's (j-1) ・・・(2) という条件を満たしている。但し、jはピークの総数で
ある。また、上記P(n)は図2のCに表すように、大きな
ピークに対応したインデックスを表している。図2のC
では、n=6の位置のピークが一番大きいのでP(0)とし
ている。次に大きいピーク( n=7の位置)のインデッ
クスは、P(1)である。このP(n)は、 r'(P(n)) =r's (n) ・・・(3) の関係を満たしている。
【0031】上記自己相関 r(n) の正規化関数r'(n) を
並べかえたr's (n) のなかで一番大きい値(ピーク)
は、r's (0) である。この一番大きい値(最大ピーク
値)r's(0) が例えば今、k=0.4 で与えられるある一
定値を越えるときのピッチ決定について説明する。
並べかえたr's (n) のなかで一番大きい値(ピーク)
は、r's (0) である。この一番大きい値(最大ピーク
値)r's(0) が例えば今、k=0.4 で与えられるある一
定値を越えるときのピッチ決定について説明する。
【0032】先ず、上記kを最大ピーク値r's (0) が越
えた場合については、以下の通りである。本実施例では
上記kを0.4 としている。上記最大ピーク値r's (0) が
k=0.4を越えていることは、該最大ピーク値r's (0)
が自己相関のピークの最大値としてかなり高いことを示
し、この最大ピーク値r's (0) のときのP(0)を上記ピッ
チ決定部16で現フレームのピッチとして採用する。こ
れは、例えば、話をしていた分析対象者が急に「えっ」
という声を発した時でも、過去や未来のフレームのピッ
チに無関係に現フレームだけでピッチの飛び越しができ
るという可能性を持たせるという意味も含んでいる。ま
た、同時にこのときのピッチが分析対象者の典型的なピ
ッチであると判断し、これを保持しておく。これは、例
えば、分析対象者の声が一旦無くなってから再開するよ
うなとき等、過去のピッチがないときに有効である。こ
のようなときは、上記P(0)を典型的なピッチとして、 P t =P(0) ・・・(4) とする。
えた場合については、以下の通りである。本実施例では
上記kを0.4 としている。上記最大ピーク値r's (0) が
k=0.4を越えていることは、該最大ピーク値r's (0)
が自己相関のピークの最大値としてかなり高いことを示
し、この最大ピーク値r's (0) のときのP(0)を上記ピッ
チ決定部16で現フレームのピッチとして採用する。こ
れは、例えば、話をしていた分析対象者が急に「えっ」
という声を発した時でも、過去や未来のフレームのピッ
チに無関係に現フレームだけでピッチの飛び越しができ
るという可能性を持たせるという意味も含んでいる。ま
た、同時にこのときのピッチが分析対象者の典型的なピ
ッチであると判断し、これを保持しておく。これは、例
えば、分析対象者の声が一旦無くなってから再開するよ
うなとき等、過去のピッチがないときに有効である。こ
のようなときは、上記P(0)を典型的なピッチとして、 P t =P(0) ・・・(4) とする。
【0033】次に、上記k=0.4 よりも最大ピーク値r'
s (0) が小さい場合については、以下の通りである。も
し、上記他フレームピッチ算出部14で他フレーム(こ
こでは過去フレーム)のピッチP -1( 以下、過去のピッ
チという) が算出されなかったら、つまり過去のピッチ
P -1が0であったら、上記kを0.25に下げて上記最大ピ
ーク値r's (0) と比較する。ここで、最大ピーク値r's
(0) がkより大きければ、該最大ピーク値r's (0) の位
置でのP(0)を上記ピッチ決定部16で現フレームのピッ
チとして採用する。但し、このときのピッチP(0)は、基
準ピッチとして登録しない。
s (0) が小さい場合については、以下の通りである。も
し、上記他フレームピッチ算出部14で他フレーム(こ
こでは過去フレーム)のピッチP -1( 以下、過去のピッ
チという) が算出されなかったら、つまり過去のピッチ
P -1が0であったら、上記kを0.25に下げて上記最大ピ
ーク値r's (0) と比較する。ここで、最大ピーク値r's
(0) がkより大きければ、該最大ピーク値r's (0) の位
置でのP(0)を上記ピッチ決定部16で現フレームのピッ
チとして採用する。但し、このときのピッチP(0)は、基
準ピッチとして登録しない。
【0034】一方、上記他フレームピッチ算出部14で
他フレームのピッチが算出されたなら、つまり過去のピ
ッチP-1が0でなかったら、該過去のピッチP-1の近傍
の範囲で、最大ピーク値r's ( P-1) を探す。言い換え
ると、上記過去のピッチP-1に対して所定の関係を満た
すピッチ範囲にあるピークの位置により現フレームのピ
ッチを探す。具体的には、既に求められている過去のピ
ッチP-1に対して、0≦n<jの範囲でr's (n) を検索
し、 0.8P-1<P(n)<1.2P-1 ・・・(5) となる最小のnを求め、これをnm とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記nm であるピークr's ( nm )の位置
のピッチP(nm )を現フレームのピッチの候補として
登録する。
他フレームのピッチが算出されたなら、つまり過去のピ
ッチP-1が0でなかったら、該過去のピッチP-1の近傍
の範囲で、最大ピーク値r's ( P-1) を探す。言い換え
ると、上記過去のピッチP-1に対して所定の関係を満た
すピッチ範囲にあるピークの位置により現フレームのピ
ッチを探す。具体的には、既に求められている過去のピ
ッチP-1に対して、0≦n<jの範囲でr's (n) を検索
し、 0.8P-1<P(n)<1.2P-1 ・・・(5) となる最小のnを求め、これをnm とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記nm であるピークr's ( nm )の位置
のピッチP(nm )を現フレームのピッチの候補として
登録する。
【0035】他方、上記ピークr's ( nm ) が0.3 以上
の場合にはそのままピッチとして採用することができる
が、r's ( nm ) が0.3 より小さかった場合には、ピッ
チとしての確率が低いということでさらにもう一度、既
に求められている上記典型的ピッチP t に対して、0≦
n<jの範囲でr's (n) を検索し、 0.8Pt <P(n)<1.2Pt ・・・(6) となる最小のnを求め、これをnr とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記nr であるピークr's ( nr )の位置
のピッチP(nr )を現フレームのピッチとして採用す
る。以上、ここでは、他フレームのピッチP-1を基に現
フレームのピッチP0 を決定した。
の場合にはそのままピッチとして採用することができる
が、r's ( nm ) が0.3 より小さかった場合には、ピッ
チとしての確率が低いということでさらにもう一度、既
に求められている上記典型的ピッチP t に対して、0≦
n<jの範囲でr's (n) を検索し、 0.8Pt <P(n)<1.2Pt ・・・(6) となる最小のnを求め、これをnr とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記nr であるピークr's ( nr )の位置
のピッチP(nr )を現フレームのピッチとして採用す
る。以上、ここでは、他フレームのピッチP-1を基に現
フレームのピッチP0 を決定した。
【0036】次に、上述したDelayed desisionという考
え方を用いて、上記現フレームのピッチP0 と過去1フ
レームのピッチP-1と未来1フレームのピッチP1 から
現フレームのピッチを正確に求める方法を説明する。
え方を用いて、上記現フレームのピッチP0 と過去1フ
レームのピッチP-1と未来1フレームのピッチP1 から
現フレームのピッチを正確に求める方法を説明する。
【0037】ここで、現在のフレームのピッチの度合い
を上記ピッチP0 に対応するr' の値、すなわちr'(P0)
で代表し、Rとする。過去1フレームのピッチについて
は、ピッチの度合いをR- 、未来1フレームのピッチに
ついては、それをR+ とする。したがって、上記度合い
R、R- 及びR+ は、R=r'(P0)、R- =r'(P-1) 及び
R+ =r'(P1)となる。
を上記ピッチP0 に対応するr' の値、すなわちr'(P0)
で代表し、Rとする。過去1フレームのピッチについて
は、ピッチの度合いをR- 、未来1フレームのピッチに
ついては、それをR+ とする。したがって、上記度合い
R、R- 及びR+ は、R=r'(P0)、R- =r'(P-1) 及び
R+ =r'(P1)となる。
【0038】上記現フレームのピッチの度合いRが過去
1フレームのピッチの度合いR- よりも大きく、かつ未
来1フレームのピッチの度合いR+ よりも大きいとき
は、ピッチの信頼度は上記現フレームのピッチの度合い
Rが最も大きいと考えられるので、そのときのピッチP
0 を採用する。
1フレームのピッチの度合いR- よりも大きく、かつ未
来1フレームのピッチの度合いR+ よりも大きいとき
は、ピッチの信頼度は上記現フレームのピッチの度合い
Rが最も大きいと考えられるので、そのときのピッチP
0 を採用する。
【0039】上記現フレームのピッチの度合いRが過去
1フレームのピッチの度合いR- 及び未来1フレームの
ピッチの度合いR+ よりも小さく、該過去1フレームの
ピッチの度合いR- が、未来1フレームのピッチの度合
いR+ よりも大きいときは、上記過去1フレームのピッ
チP-1を基準ピッチPr として、該基準ピッチPr に対
して、0≦n<jの範囲でr's (n) を検索し、 0.8Pr <P(n)<1.2Pr ・・・(7) となる最小のnを求め、これをna とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記na であるピークr's ( na )の位置
のピッチP(na )を現フレームのピッチとして採用す
る。
1フレームのピッチの度合いR- 及び未来1フレームの
ピッチの度合いR+ よりも小さく、該過去1フレームの
ピッチの度合いR- が、未来1フレームのピッチの度合
いR+ よりも大きいときは、上記過去1フレームのピッ
チP-1を基準ピッチPr として、該基準ピッチPr に対
して、0≦n<jの範囲でr's (n) を検索し、 0.8Pr <P(n)<1.2Pr ・・・(7) となる最小のnを求め、これをna とする。該nは、小
さい値程、並び変え後のピークが大きいことを示してい
る。そして、上記na であるピークr's ( na )の位置
のピッチP(na )を現フレームのピッチとして採用す
る。
【0040】次に、上述した本発明の第1の実施例での
ピッチ抽出の流れをフローチャートを参照しながら説明
する。図3は、上述した第1の実施例においてピッチを
抽出する流れを示すフローチャートである。
ピッチ抽出の流れをフローチャートを参照しながら説明
する。図3は、上述した第1の実施例においてピッチを
抽出する流れを示すフローチャートである。
【0041】このフローが開始されると、先ず、ステッ
プS1では、入力音声信号波形の自己相関関数を求め
る。具体的には、上記フレーム区分部10からの1フレ
ーム分の入力音声信号波形を上記センタクリップ処理部
11でセンタクリップした後、その波形の自己相関関数
を自己相関計算部12で計算する。
プS1では、入力音声信号波形の自己相関関数を求め
る。具体的には、上記フレーム区分部10からの1フレ
ーム分の入力音声信号波形を上記センタクリップ処理部
11でセンタクリップした後、その波形の自己相関関数
を自己相関計算部12で計算する。
【0042】ステップS2では、上記ステップS1の自
己相関関数から上述した(1)式の条件に適うピーク
(極大値)を上記ピーク検出部13で複数あるいは全て
検出する。
己相関関数から上述した(1)式の条件に適うピーク
(極大値)を上記ピーク検出部13で複数あるいは全て
検出する。
【0043】ステップS3では、上記ステップS2で検
出された複数あるいは全てのピークをその大きさ順に並
べかえる。
出された複数あるいは全てのピークをその大きさ順に並
べかえる。
【0044】ステップS4では、上記ステップS3で並
べかえたピークのなかで最大ピークr' s (0)がk=0.4
よりも大きいか否かを判別する。ここで、YES(最大
ピークr's (0) が0.4 よりも大きい) が判別されるとス
テップS5に進む。一方、ここで、NO(最大ピークr'
s (0) が0.4 よりも小さい) が判別されるとステップS
6に進む。
べかえたピークのなかで最大ピークr' s (0)がk=0.4
よりも大きいか否かを判別する。ここで、YES(最大
ピークr's (0) が0.4 よりも大きい) が判別されるとス
テップS5に進む。一方、ここで、NO(最大ピークr'
s (0) が0.4 よりも小さい) が判別されるとステップS
6に進む。
【0045】ステップS5では、上記ステップS4でY
ESが判別された結果、P(0)を現フレームのピッチP0
とする。また、このときのP(0)を典型的なピッチPt と
する。
ESが判別された結果、P(0)を現フレームのピッチP0
とする。また、このときのP(0)を典型的なピッチPt と
する。
【0046】ステップS6では、前フレームにおいて、
ピッチP-1が、無いのか否かを判別する。ここで、YE
S(ピッチが無かった)が判別されるとステップS7に
進む。一方、NO(ピッチがあった)が判別されるとス
テップS8に進む。
ピッチP-1が、無いのか否かを判別する。ここで、YE
S(ピッチが無かった)が判別されるとステップS7に
進む。一方、NO(ピッチがあった)が判別されるとス
テップS8に進む。
【0047】ステップS7では、最大ピーク値r's (0)
がk=0.25よりも大きいか否かを判別する。ここで、Y
ES(最大ピーク値r's (0) がkよりも大きい)が判別
されるとステップS8に進む。一方、NO(最大ピーク
値r's (0) がkよりも小さい)が判別されるとステップ
S9に進む。
がk=0.25よりも大きいか否かを判別する。ここで、Y
ES(最大ピーク値r's (0) がkよりも大きい)が判別
されるとステップS8に進む。一方、NO(最大ピーク
値r's (0) がkよりも小さい)が判別されるとステップ
S9に進む。
【0048】ステップS8では、上記ステップS7でY
ESが判別されたとき、すなわち、最大ピーク値r'
s (0) がk=0.25より大きいときこのP(0)を現フレーム
のピッチP0 とする。
ESが判別されたとき、すなわち、最大ピーク値r'
s (0) がk=0.25より大きいときこのP(0)を現フレーム
のピッチP0 とする。
【0049】ステップS9では、上記ステップS7でN
Oが判別されたとき、すなわち、最大ピーク値r's (0)
がk=0.25より小さいとき現フレームには、ピッチがな
い(P0 =P(0))とする。
Oが判別されたとき、すなわち、最大ピーク値r's (0)
がk=0.25より小さいとき現フレームには、ピッチがな
い(P0 =P(0))とする。
【0050】ステップS10では、上記ステップS6で
過去フレームのピッチP-1が0でなかった(すなわちピ
ッチがある)ことを受けて、該過去のピッチP-1でのピ
ーク値が0.2 より大きいか否かを判別する。ここで、Y
ES( 過去のピッチP-1が0.2 より大きい) が判別され
るとステップS11に進み、NO( 過去のピッチP-1が
0.2 より小さい) が判別されるとステップS14に進
む。
過去フレームのピッチP-1が0でなかった(すなわちピ
ッチがある)ことを受けて、該過去のピッチP-1でのピ
ーク値が0.2 より大きいか否かを判別する。ここで、Y
ES( 過去のピッチP-1が0.2 より大きい) が判別され
るとステップS11に進み、NO( 過去のピッチP-1が
0.2 より小さい) が判別されるとステップS14に進
む。
【0051】ステップS11では、上記ステップS10
でのYESの判別を受けて、この過去フレームのピッチ
P-1の80%から120%の範囲で最大ピーク値r's (P
-1)を探す。つまり、既に求められている過去のピッチ
P-1に対して、0≦n<jの範囲で r' s (n) を検索す
る。
でのYESの判別を受けて、この過去フレームのピッチ
P-1の80%から120%の範囲で最大ピーク値r's (P
-1)を探す。つまり、既に求められている過去のピッチ
P-1に対して、0≦n<jの範囲で r' s (n) を検索す
る。
【0052】ステップS12では、上記ステップS11
によって、探された現フレームのピッチの候補が所定値
0.3 より大きいか否かを判別する。ここで、YESが判
別されるとステップS13に進み、NOが判別されると
ステップS17に進む。
によって、探された現フレームのピッチの候補が所定値
0.3 より大きいか否かを判別する。ここで、YESが判
別されるとステップS13に進み、NOが判別されると
ステップS17に進む。
【0053】ステップS13では、上記ステップS12
でのYESの判別結果をうけて、上記現フレームのピッ
チの候補を現フレームのピッチP0 とする。
でのYESの判別結果をうけて、上記現フレームのピッ
チの候補を現フレームのピッチP0 とする。
【0054】ステップS14では、上記ステップS10
で過去のピッチP-1でのピーク値r'( P-1) が0.2 より
小さいという判別結果を受けて、このときの最大ピーク
値r' s (0) が0.35より大きいか否かを判別する。ここ
で、YES( 最大ピーク値r's(0) が0.35より大きい)
が判別されるとステップS15に進み、NO( 最大ピー
ク値r's (0) が0.35より大きくない) が判別されるとス
テップS16に進む。
で過去のピッチP-1でのピーク値r'( P-1) が0.2 より
小さいという判別結果を受けて、このときの最大ピーク
値r' s (0) が0.35より大きいか否かを判別する。ここ
で、YES( 最大ピーク値r's(0) が0.35より大きい)
が判別されるとステップS15に進み、NO( 最大ピー
ク値r's (0) が0.35より大きくない) が判別されるとス
テップS16に進む。
【0055】ステップS15では、上記ステップS14
でYESが判別されたとき、すなわち最大ピーク値r's
(0) が0.35より大きいとき、このP(0)を現フレームのピ
ッチP0 とする。
でYESが判別されたとき、すなわち最大ピーク値r's
(0) が0.35より大きいとき、このP(0)を現フレームのピ
ッチP0 とする。
【0056】ステップS16では、上記ステップS14
でNOが判別されたとき、すなわち最大ピーク値r'
s (0) が0.35より小さいとき、現フレームにはピッチが
無いとする。
でNOが判別されたとき、すなわち最大ピーク値r'
s (0) が0.35より小さいとき、現フレームにはピッチが
無いとする。
【0057】ステップS17では、上記ステップS12
でNOが判別された結果を受けて、典型的ピッチP t の
80%から120%の範囲での最大ピーク値r's (Pt )
を探す。つまり、既に求められている典型的なピッチP
t に対して、0≦n<jの範囲で r' s (n) を検索す
る。
でNOが判別された結果を受けて、典型的ピッチP t の
80%から120%の範囲での最大ピーク値r's (Pt )
を探す。つまり、既に求められている典型的なピッチP
t に対して、0≦n<jの範囲で r' s (n) を検索す
る。
【0058】ステップS18は、上記ステップS17で
探し出されたピッチを現フレームのピッチP0 とする。
探し出されたピッチを現フレームのピッチP0 とする。
【0059】このように、第1の実施例は、過去のフレ
ームで算出されたピッチを基に現フレームのピッチを決
定し、さらに、この過去から決定されたこの現フレーム
のピッチを過去のフレームのピッチ、現フレームのピッ
チ及び未来フレームのピッチを基に正確なものとするこ
とができる。
ームで算出されたピッチを基に現フレームのピッチを決
定し、さらに、この過去から決定されたこの現フレーム
のピッチを過去のフレームのピッチ、現フレームのピッ
チ及び未来フレームのピッチを基に正確なものとするこ
とができる。
【0060】次に、上記ピッチ抽出装置に本発明を適用
した第2の実施例を図4にそって説明する。図4は、こ
の第2の実施例の機能を説明するための機能ブロック図
であるが、上記第1の実施例の機能ブロック図と同様で
ある各部については省略する。
した第2の実施例を図4にそって説明する。図4は、こ
の第2の実施例の機能を説明するための機能ブロック図
であるが、上記第1の実施例の機能ブロック図と同様で
ある各部については省略する。
【0061】本発明に係るピッチ抽出方法の第2の実施
例は、入力端子3から供給される自己相関データの複数
あるいは全てのピークをピーク検出部13で検出し、こ
れらの複数あるいは全てのピークから最大ピークを検出
する最大ピーク検出部31と、この最大ピーク検出部3
1からの最大ピーク値と閾値設定部33の閾値を比較す
る比較部32と、入力端子4を介して供給される他フレ
ームのピッチから有効なピッチを算出する有効ピッチ検
出部35と、上記最大ピーク検出部31からの最大ピー
クと上記有効ピッチ検出部35からの有効ピッチが供給
され、上記比較部32の比較結果によって上記最大ピー
クと有効ピッチとの選択が制御され、出力端子5から一
を出力するマルチプレクサ(MPX)34とを有する。
例は、入力端子3から供給される自己相関データの複数
あるいは全てのピークをピーク検出部13で検出し、こ
れらの複数あるいは全てのピークから最大ピークを検出
する最大ピーク検出部31と、この最大ピーク検出部3
1からの最大ピーク値と閾値設定部33の閾値を比較す
る比較部32と、入力端子4を介して供給される他フレ
ームのピッチから有効なピッチを算出する有効ピッチ検
出部35と、上記最大ピーク検出部31からの最大ピー
クと上記有効ピッチ検出部35からの有効ピッチが供給
され、上記比較部32の比較結果によって上記最大ピー
クと有効ピッチとの選択が制御され、出力端子5から一
を出力するマルチプレクサ(MPX)34とを有する。
【0062】上記最大ピーク検出部31は、上記ピーク
検出部13で検出された複数あるいは全てのピークの内
の最大ピークを検出する。
検出部13で検出された複数あるいは全てのピークの内
の最大ピークを検出する。
【0063】上記比較部32は、上記閾値設定部33の
所定の閾値と上記最大ピーク検出部31の最大ピークと
をその大きさで比較する。
所定の閾値と上記最大ピーク検出部31の最大ピークと
をその大きさで比較する。
【0064】上記有効ピッチ検出部35は、現在フレー
ム以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関
係を満たすピッチ範囲内にある有効ピッチを検出する。
ム以外のフレームで求められたピッチに対して所定の関
係を満たすピッチ範囲内にある有効ピッチを検出する。
【0065】上記MPX34は、上記最大ピークの位置
でのピッチと有効ピッチ検出部35からの有効ピッチと
を上記比較部32での閾値と最大ピーク値との比較結果
に基づいて選択出力する。
でのピッチと有効ピッチ検出部35からの有効ピッチと
を上記比較部32での閾値と最大ピーク値との比較結果
に基づいて選択出力する。
【0066】具体的な処理の流れ等は、図3に示した第
1の実施例のフローチャートと同様である。
1の実施例のフローチャートと同様である。
【0067】したがって、自己相関の複数あるいは全て
のピークから最大ピークを検出し、該最大ピークを所定
の閾値と比較し、その比較結果を基に現フレームのピッ
チを決定するという本発明に係るピッチ抽出方法の第2
の実施例は、他のフレームで算出されたピッチを基に現
フレームのピッチを決定し、さらに、この他フレームか
ら決定されたこの現フレームのピッチを他のフレームの
ピッチ、現フレームのピッチを基に正確なものとするこ
とができる。
のピークから最大ピークを検出し、該最大ピークを所定
の閾値と比較し、その比較結果を基に現フレームのピッ
チを決定するという本発明に係るピッチ抽出方法の第2
の実施例は、他のフレームで算出されたピッチを基に現
フレームのピッチを決定し、さらに、この他フレームか
ら決定されたこの現フレームのピッチを他のフレームの
ピッチ、現フレームのピッチを基に正確なものとするこ
とができる。
【0068】次に、本発明に係るピッチ抽出方法を、音
声信号の合成分析符号化装置(いわゆるボコーダ)の一
種のMBE(Multiband Excitation: マルチバンド励
起)ボコーダに適用した具体例について、図面を参照し
ながら説明する。このMBEボコーダは、D. W. Griffi
n and J. S. Lim,"Multiband Excitation Vocoder," IE
EE Trans.Acoustics,Speech,and Signal Processing, v
ol.36, No.8, pp.1223-1235, Aug.1988 に開示されてい
るものであり、従来のPARCOR(PARtial auto-COR
relation: 偏自己相関)ボコーダ等では、音声のモデル
化の際に有声音区間と無声音区間とをブロックあるいは
フレーム毎に切り換えていたのに対し、MBEボコーダ
では、同時刻(同じブロックあるいはフレーム内)の周
波数軸領域に有声音(Voiced)区間と無声音(Unvoice
d)区間とが存在するという仮定でモデル化している。
声信号の合成分析符号化装置(いわゆるボコーダ)の一
種のMBE(Multiband Excitation: マルチバンド励
起)ボコーダに適用した具体例について、図面を参照し
ながら説明する。このMBEボコーダは、D. W. Griffi
n and J. S. Lim,"Multiband Excitation Vocoder," IE
EE Trans.Acoustics,Speech,and Signal Processing, v
ol.36, No.8, pp.1223-1235, Aug.1988 に開示されてい
るものであり、従来のPARCOR(PARtial auto-COR
relation: 偏自己相関)ボコーダ等では、音声のモデル
化の際に有声音区間と無声音区間とをブロックあるいは
フレーム毎に切り換えていたのに対し、MBEボコーダ
では、同時刻(同じブロックあるいはフレーム内)の周
波数軸領域に有声音(Voiced)区間と無声音(Unvoice
d)区間とが存在するという仮定でモデル化している。
【0069】図5は、上記MBEボコーダに本発明を適
用した実施例の全体の概略構成を示すブロック図であ
る。この図5において、入力端子101には音声信号が
供給されるようになっており、この入力音声信号は、H
PF(ハイパスフィルタ)等のフィルタ102に送られ
て、いわゆるDC(直流)オフセット分の除去や帯域制
限(例えば200〜3400Hzに制限)のための少なく
とも低域成分(200Hz以下)の除去が行われる。この
フィルタ102を介して得られた信号は、ピッチ抽出部
103及び窓かけ処理部104にそれぞれ送られる。ピ
ッチ抽出部103では、入力音声信号データが所定サン
プル数N(例えばN=256)単位でブロック分割され
(あるいは方形窓による切り出しが行われ)、このブロ
ック内の音声信号についてのピッチ抽出が行われる。こ
のような切り出しブロック(256サンプル)を、例え
ば図6のAに示すようにLサンプル(例えばL=16
0)のフレーム間隔で時間軸方向に移動させており、各
ブロック間のオーバラップはN−Lサンプル(例えば9
6サンプル)となっている。また、窓かけ処理部104
では、1ブロックNサンプルに対して所定の窓関数、例
えばハミング窓をかけ、この窓かけブロックを1フレー
ムLサンプルの間隔で時間軸方向に順次移動させてい
る。
用した実施例の全体の概略構成を示すブロック図であ
る。この図5において、入力端子101には音声信号が
供給されるようになっており、この入力音声信号は、H
PF(ハイパスフィルタ)等のフィルタ102に送られ
て、いわゆるDC(直流)オフセット分の除去や帯域制
限(例えば200〜3400Hzに制限)のための少なく
とも低域成分(200Hz以下)の除去が行われる。この
フィルタ102を介して得られた信号は、ピッチ抽出部
103及び窓かけ処理部104にそれぞれ送られる。ピ
ッチ抽出部103では、入力音声信号データが所定サン
プル数N(例えばN=256)単位でブロック分割され
(あるいは方形窓による切り出しが行われ)、このブロ
ック内の音声信号についてのピッチ抽出が行われる。こ
のような切り出しブロック(256サンプル)を、例え
ば図6のAに示すようにLサンプル(例えばL=16
0)のフレーム間隔で時間軸方向に移動させており、各
ブロック間のオーバラップはN−Lサンプル(例えば9
6サンプル)となっている。また、窓かけ処理部104
では、1ブロックNサンプルに対して所定の窓関数、例
えばハミング窓をかけ、この窓かけブロックを1フレー
ムLサンプルの間隔で時間軸方向に順次移動させてい
る。
【0070】このような窓かけ処理を数式で表すと、 xw (k,q) =x(q) w(kL-q) ・・・(8) となる。この(1)式において、kはブロック番号を、
qはデータの時間インデックス(サンプル番号)を表
し、処理前の入力信号のq番目のデータx(q) に対して
第kブロックの窓(ウィンドウ)関数w(kL-q)により窓
かけ処理されることによりデータxw (k,q) が得られる
ことを示している。ピッチ抽出部103内での図6のA
に示すような方形窓の場合の窓関数wr (r) は、 wr (r) =1 0≦r<N ・・・(9) =0 r<0,N≦r また、窓かけ処理部104での図6のBに示すようなハ
ミング窓の場合の窓関数wh (r) は、 wh (r) = 0.54 − 0.46 cos(2πr/(N-1)) 0≦r<N ・・・(10) =0 r<0,N≦r である。このような窓関数wr (r) あるいはwh (r) を
用いるときの上記(8)式の窓関数w(r) (=w(kL-
q))の否零区間は、 0≦kL−q<N これを変形して、 kL−N<q≦kL 従って、例えば上記方形窓の場合に窓関数wr (kL-q)=
1となるのは、図7に示すように、kL−N<q≦kL
のときとなる。また、上記(8)〜(10)式は、長さN
(=256)サンプルの窓が、L(=160)サンプル
ずつ前進してゆくことを示している。以下、上記(9)
式、(10)式の各窓関数で切り出された各N点(0≦r
<N)の否零サンプル列を、それぞれxwr(k,r) 、xwh
(k,r) と表すことにする。
qはデータの時間インデックス(サンプル番号)を表
し、処理前の入力信号のq番目のデータx(q) に対して
第kブロックの窓(ウィンドウ)関数w(kL-q)により窓
かけ処理されることによりデータxw (k,q) が得られる
ことを示している。ピッチ抽出部103内での図6のA
に示すような方形窓の場合の窓関数wr (r) は、 wr (r) =1 0≦r<N ・・・(9) =0 r<0,N≦r また、窓かけ処理部104での図6のBに示すようなハ
ミング窓の場合の窓関数wh (r) は、 wh (r) = 0.54 − 0.46 cos(2πr/(N-1)) 0≦r<N ・・・(10) =0 r<0,N≦r である。このような窓関数wr (r) あるいはwh (r) を
用いるときの上記(8)式の窓関数w(r) (=w(kL-
q))の否零区間は、 0≦kL−q<N これを変形して、 kL−N<q≦kL 従って、例えば上記方形窓の場合に窓関数wr (kL-q)=
1となるのは、図7に示すように、kL−N<q≦kL
のときとなる。また、上記(8)〜(10)式は、長さN
(=256)サンプルの窓が、L(=160)サンプル
ずつ前進してゆくことを示している。以下、上記(9)
式、(10)式の各窓関数で切り出された各N点(0≦r
<N)の否零サンプル列を、それぞれxwr(k,r) 、xwh
(k,r) と表すことにする。
【0071】窓かけ処理部104では、図8に示すよう
に、上記(10)式のハミング窓がかけられた1ブロック
256サンプルのサンプル列xwh(k,r) に対して179
2サンプル分の0データが付加されて(いわゆる0詰め
されて)2048サンプルとされ、この2048サンプ
ルの時間軸データ列に対して、直交変換部105により
例えばFFT(高速フーリエ変換)等の直交変換処理が
施される。
に、上記(10)式のハミング窓がかけられた1ブロック
256サンプルのサンプル列xwh(k,r) に対して179
2サンプル分の0データが付加されて(いわゆる0詰め
されて)2048サンプルとされ、この2048サンプ
ルの時間軸データ列に対して、直交変換部105により
例えばFFT(高速フーリエ変換)等の直交変換処理が
施される。
【0072】ピッチ抽出部103では、上記xwr(k,r)
のサンプル列(1ブロックNサンプル)に基づいてピッ
チ抽出が行われる。このピッチ抽出法には、時間波形の
周期性や、スペクトルの周期的周波数構造や、自己相関
関数を用いるもの等が知られているが、本実施例では、
センタクリップ波形の自己相関法を採用している。この
ときのブロック内でのセンタクリップレベルについて
は、1ブロックにつき1つのクリップレベルを設定して
もよいが、ブロックを細分割した各部(各サブブロッ
ク)の信号のピークレベル等を検出し、これらの各サブ
ブロックのピークレベル等の差が大きいときに、ブロッ
ク内でクリップレベルを段階的にあるいは連続的に変化
させるようにしている。このセンタクリップ波形の自己
相関データのピーク位置に基づいてピッチ周期を決めて
いる。このとき、現在フレームに属する自己相関データ
(自己相関は1ブロックNサンプルのデータを対象とし
て求められる)から複数のピークを求めておき、これら
の複数のピークの内の最大ピークが所定の閾値以上のと
きには該最大ピーク位置をピッチ周期とし、それ以外の
ときには、現在フレーム以外のフレーム、例えば前後の
フレームで求められたピッチに対して所定の関係を満た
すピッチ範囲内、例えば前フレームのピッチを中心とし
て±20%の範囲内にあるピークを求め、このピーク位
置に基づいて現在フレームのピッチを決定するようにし
ている。このピッチ抽出部103ではオープンループに
よる比較的ラフなピッチのサーチが行われ、抽出された
ピッチデータは高精度(ファイン)ピッチサーチ部10
6に送られて、クローズドループによる高精度のピッチ
サーチ(ピッチのファインサーチ)が行われる。
のサンプル列(1ブロックNサンプル)に基づいてピッ
チ抽出が行われる。このピッチ抽出法には、時間波形の
周期性や、スペクトルの周期的周波数構造や、自己相関
関数を用いるもの等が知られているが、本実施例では、
センタクリップ波形の自己相関法を採用している。この
ときのブロック内でのセンタクリップレベルについて
は、1ブロックにつき1つのクリップレベルを設定して
もよいが、ブロックを細分割した各部(各サブブロッ
ク)の信号のピークレベル等を検出し、これらの各サブ
ブロックのピークレベル等の差が大きいときに、ブロッ
ク内でクリップレベルを段階的にあるいは連続的に変化
させるようにしている。このセンタクリップ波形の自己
相関データのピーク位置に基づいてピッチ周期を決めて
いる。このとき、現在フレームに属する自己相関データ
(自己相関は1ブロックNサンプルのデータを対象とし
て求められる)から複数のピークを求めておき、これら
の複数のピークの内の最大ピークが所定の閾値以上のと
きには該最大ピーク位置をピッチ周期とし、それ以外の
ときには、現在フレーム以外のフレーム、例えば前後の
フレームで求められたピッチに対して所定の関係を満た
すピッチ範囲内、例えば前フレームのピッチを中心とし
て±20%の範囲内にあるピークを求め、このピーク位
置に基づいて現在フレームのピッチを決定するようにし
ている。このピッチ抽出部103ではオープンループに
よる比較的ラフなピッチのサーチが行われ、抽出された
ピッチデータは高精度(ファイン)ピッチサーチ部10
6に送られて、クローズドループによる高精度のピッチ
サーチ(ピッチのファインサーチ)が行われる。
【0073】高精度(ファイン)ピッチサーチ部106
には、ピッチ抽出部103で抽出された整数(インテジ
ャー)値の粗(ラフ)ピッチデータと、直交変換部10
5により例えばFFTされた周波数軸上のデータとが供
給されている。この高精度ピッチサーチ部106では、
上記粗ピッチデータ値を中心に、0.2〜0.5きざみで±
数サンプルずつ振って、最適な小数点付き(フローティ
ング)のファインピッチデータの値へ追い込む。このと
きのファインサーチの手法として、いわゆる合成による
分析 (Analysis by Synthesis)法を用い、合成されたパ
ワースペクトルが原音のパワースペクトルに最も近くな
るようにピッチを選んでいる。
には、ピッチ抽出部103で抽出された整数(インテジ
ャー)値の粗(ラフ)ピッチデータと、直交変換部10
5により例えばFFTされた周波数軸上のデータとが供
給されている。この高精度ピッチサーチ部106では、
上記粗ピッチデータ値を中心に、0.2〜0.5きざみで±
数サンプルずつ振って、最適な小数点付き(フローティ
ング)のファインピッチデータの値へ追い込む。このと
きのファインサーチの手法として、いわゆる合成による
分析 (Analysis by Synthesis)法を用い、合成されたパ
ワースペクトルが原音のパワースペクトルに最も近くな
るようにピッチを選んでいる。
【0074】このピッチのファインサーチについて説明
する。先ず、上記MBEボコーダにおいては、上記FF
T等により直交変換された周波数軸上のスペクトルデー
タとしてのS(j) を S(j) =H(j) |E(j) | 0<j<J ・・・(11) と表現するようなモデルを想定している。ここで、Jは
ωs /4π=fs /2に対応し、サンプリング周波数f
s =ωs /2πが例えば8kHzのときには4kHzに対応
する。上記(11)式中において、周波数軸上のスペクト
ルデータS(j) が図9のAに示すような波形のとき、H
(j) は、図9のBに示すような元のスペクトルデータS
(j) のスペクトル包絡線(エンベロープ)を示し、E
(j) は、図9のCに示すような等レベルで周期的な励起
信号(エキサイテイション)のスペクトルを示してい
る。すなわち、FFTスペクトルS(j) は、スペクトル
エンベロープH(j) と励起信号のパワースペクトル|E
(j) |との積としてモデル化される。
する。先ず、上記MBEボコーダにおいては、上記FF
T等により直交変換された周波数軸上のスペクトルデー
タとしてのS(j) を S(j) =H(j) |E(j) | 0<j<J ・・・(11) と表現するようなモデルを想定している。ここで、Jは
ωs /4π=fs /2に対応し、サンプリング周波数f
s =ωs /2πが例えば8kHzのときには4kHzに対応
する。上記(11)式中において、周波数軸上のスペクト
ルデータS(j) が図9のAに示すような波形のとき、H
(j) は、図9のBに示すような元のスペクトルデータS
(j) のスペクトル包絡線(エンベロープ)を示し、E
(j) は、図9のCに示すような等レベルで周期的な励起
信号(エキサイテイション)のスペクトルを示してい
る。すなわち、FFTスペクトルS(j) は、スペクトル
エンベロープH(j) と励起信号のパワースペクトル|E
(j) |との積としてモデル化される。
【0075】上記励起信号のパワースペクトル|E(j)
|は、上記ピッチに応じて決定される周波数軸上の波形
の周期性(ピッチ構造)を考慮して、1つの帯域(バン
ド)の波形に相当するスペクトル波形を周波数軸上の各
バンド毎に繰り返すように配列することにより形成され
る。この1バンド分の波形は、例えば上記図8に示すよ
うな256サンプルのハミング窓関数に1792サンプ
ル分の0データを付加(0詰め)した波形を時間軸信号
と見なしてFFTし、得られた周波数軸上のある帯域幅
を持つインパルス波形を上記ピッチに応じて切り出すこ
とにより形成することができる。
|は、上記ピッチに応じて決定される周波数軸上の波形
の周期性(ピッチ構造)を考慮して、1つの帯域(バン
ド)の波形に相当するスペクトル波形を周波数軸上の各
バンド毎に繰り返すように配列することにより形成され
る。この1バンド分の波形は、例えば上記図8に示すよ
うな256サンプルのハミング窓関数に1792サンプ
ル分の0データを付加(0詰め)した波形を時間軸信号
と見なしてFFTし、得られた周波数軸上のある帯域幅
を持つインパルス波形を上記ピッチに応じて切り出すこ
とにより形成することができる。
【0076】次に、上記ピッチに応じて分割された各バ
ンド毎に、上記H(j) を代表させるような(各バンド毎
のエラーを最小化するような)値(一種の振幅)|Am
|を求める。ここで、例えば第mバンド(第m高調波の
帯域)の下限、上限の点をそれぞれam 、bm とすると
き、この第mバンドのエラーεm は、
ンド毎に、上記H(j) を代表させるような(各バンド毎
のエラーを最小化するような)値(一種の振幅)|Am
|を求める。ここで、例えば第mバンド(第m高調波の
帯域)の下限、上限の点をそれぞれam 、bm とすると
き、この第mバンドのエラーεm は、
【0077】
【数1】
【0078】で表せる。このエラーεm を最小化するよ
うな|Am |は、
うな|Am |は、
【0079】
【数2】
【0080】となり、この(13)式の|Am |のとき、
エラーεm を最小化する。このような振幅|Am |を各
バンド毎に求め、得られた各振幅|Am |を用いて上記
(12)式で定義された各バンド毎のエラーεm を求め
る。次に、このような各バンド毎のエラーεm の全バン
ドの総和値Σεm を求める。さらに、このような全バン
ドのエラー総和値Σεm を、いくつかの微小に異なるピ
ッチについて求め、エラー総和値Σεm が最小となるよ
うなピッチを求める。
エラーεm を最小化する。このような振幅|Am |を各
バンド毎に求め、得られた各振幅|Am |を用いて上記
(12)式で定義された各バンド毎のエラーεm を求め
る。次に、このような各バンド毎のエラーεm の全バン
ドの総和値Σεm を求める。さらに、このような全バン
ドのエラー総和値Σεm を、いくつかの微小に異なるピ
ッチについて求め、エラー総和値Σεm が最小となるよ
うなピッチを求める。
【0081】すなわち、上記ピッチ抽出部103で求め
られたラフピッチを中心として、例えば 0.25 きざみで
上下に数種類ずつ用意する。これらの複数種類の微小に
異なるピッチの各ピッチに対してそれぞれ上記エラー総
和値Σεm を求める。この場合、ピッチが定まるとバン
ド幅が決まり、上記(13)式より、周波数軸上データの
パワースペクトル|S(j) |と励起信号スペクトル|E
(j) |とを用いて上記(12)式のエラーεm を求め、そ
の全バンドの総和値Σεm を求めることができる。この
エラー総和値Σεm を各ピッチ毎に求め、最小となるエ
ラー総和値に対応するピッチを最適のピッチとして決定
するわけである。以上のようにして高精度ピッチサーチ
部106で最適のファイン(例えば 0.25 きざみ)ピッ
チが求められ、この最適ピッチに対応する振幅|Am |
が決定される。
られたラフピッチを中心として、例えば 0.25 きざみで
上下に数種類ずつ用意する。これらの複数種類の微小に
異なるピッチの各ピッチに対してそれぞれ上記エラー総
和値Σεm を求める。この場合、ピッチが定まるとバン
ド幅が決まり、上記(13)式より、周波数軸上データの
パワースペクトル|S(j) |と励起信号スペクトル|E
(j) |とを用いて上記(12)式のエラーεm を求め、そ
の全バンドの総和値Σεm を求めることができる。この
エラー総和値Σεm を各ピッチ毎に求め、最小となるエ
ラー総和値に対応するピッチを最適のピッチとして決定
するわけである。以上のようにして高精度ピッチサーチ
部106で最適のファイン(例えば 0.25 きざみ)ピッ
チが求められ、この最適ピッチに対応する振幅|Am |
が決定される。
【0082】以上ピッチのファインサーチの説明におい
ては、説明を簡略化するために、全バンドが有声音(Vo
iced)の場合を想定しているが、上述したようにMBE
ボコーダにおいては、同時刻の周波数軸上に無声音(Un
voiced)領域が存在するというモデルを採用しているこ
とから、上記各バンド毎に有声音/無声音の判別を行う
ことが必要とされる。
ては、説明を簡略化するために、全バンドが有声音(Vo
iced)の場合を想定しているが、上述したようにMBE
ボコーダにおいては、同時刻の周波数軸上に無声音(Un
voiced)領域が存在するというモデルを採用しているこ
とから、上記各バンド毎に有声音/無声音の判別を行う
ことが必要とされる。
【0083】上記高精度ピッチサーチ部106からの最
適ピッチ及び振幅|Am |のデータは、有声音/無声音
判別部107に送られ、上記各バンド毎に有声音/無声
音の判別が行われる。この判別のために、NSR(ノイ
ズtoシグナル比)を利用する。すなわち、第mバンド
のNSRは、
適ピッチ及び振幅|Am |のデータは、有声音/無声音
判別部107に送られ、上記各バンド毎に有声音/無声
音の判別が行われる。この判別のために、NSR(ノイ
ズtoシグナル比)を利用する。すなわち、第mバンド
のNSRは、
【0084】
【数3】
【0085】と表せ、このNSR値が所定の閾値(例え
ば0.3)より大のとき(エラーが大きい)ときには、そ
のバンドでの|Am ||E(j) |による|S(j) |の近
似が良くない(上記励起信号|E(j) |が基底として不
適当である)と判断でき、当該バンドをUV(Unvoice
d、無声音)と判別する。これ以外のときは、近似があ
る程度良好に行われていると判断でき、そのバンドをV
(Voiced、有声音)と判別する。
ば0.3)より大のとき(エラーが大きい)ときには、そ
のバンドでの|Am ||E(j) |による|S(j) |の近
似が良くない(上記励起信号|E(j) |が基底として不
適当である)と判断でき、当該バンドをUV(Unvoice
d、無声音)と判別する。これ以外のときは、近似があ
る程度良好に行われていると判断でき、そのバンドをV
(Voiced、有声音)と判別する。
【0086】次に、振幅再評価部108には、直交変換
部105からの周波数軸上データ、高精度ピッチサーチ
部106からのファインピッチと評価された振幅|Am
|との各データ、及び上記有声音/無声音判別部107
からのV/UV(有声音/無声音)判別データが供給さ
れている。この振幅再評価部108では、有声音/無声
音判別部107において無声音(UV)と判別されたバ
ンドに関して、再度振幅を求めている。このUVのバン
ドについての振幅|Am |UVは、
部105からの周波数軸上データ、高精度ピッチサーチ
部106からのファインピッチと評価された振幅|Am
|との各データ、及び上記有声音/無声音判別部107
からのV/UV(有声音/無声音)判別データが供給さ
れている。この振幅再評価部108では、有声音/無声
音判別部107において無声音(UV)と判別されたバ
ンドに関して、再度振幅を求めている。このUVのバン
ドについての振幅|Am |UVは、
【0087】
【数4】
【0088】にて求められる。
【0089】この振幅再評価部108からのデータは、
データ数変換(一種のサンプリングレート変換)部10
9に送られる。このデータ数変換部109は、上記ピッ
チに応じて周波数軸上での分割帯域数が異なり、データ
数(特に振幅データの数)が異なることを考慮して、一
定の個数にするためのものである。すなわち、例えば有
効帯域を3400Hzまでとすると、この有効帯域が上記
ピッチに応じて、8バンド〜63バンドに分割されるこ
とになり、これらの各バンド毎に得られる上記振幅|A
m |(UVバンドの振幅|Am |UVも含む)データの個
数mMX+1も8〜63と変化することになる。このため
データ数変換部109では、この可変個数mMX+1の振
幅データを一定個数NC (例えば44個)のデータに変
換している。
データ数変換(一種のサンプリングレート変換)部10
9に送られる。このデータ数変換部109は、上記ピッ
チに応じて周波数軸上での分割帯域数が異なり、データ
数(特に振幅データの数)が異なることを考慮して、一
定の個数にするためのものである。すなわち、例えば有
効帯域を3400Hzまでとすると、この有効帯域が上記
ピッチに応じて、8バンド〜63バンドに分割されるこ
とになり、これらの各バンド毎に得られる上記振幅|A
m |(UVバンドの振幅|Am |UVも含む)データの個
数mMX+1も8〜63と変化することになる。このため
データ数変換部109では、この可変個数mMX+1の振
幅データを一定個数NC (例えば44個)のデータに変
換している。
【0090】ここで本実施例においては、周波数軸上の
有効帯域1ブロック分の振幅データに対して、ブロック
内の最後のデータからブロック内の最初のデータまでの
値を補間するようなダミーデータを付加してデータ個数
をNF 個に拡大した後、帯域制限型のKOS倍(例えば8
倍)のオーバーサンプリングを施すことによりKOS倍の
個数の振幅データを求め、このKOS倍の個数(( mMX+
1) ×KOS個)の振幅データを直線補間してさらに多く
のNM 個(例えば2048個)に拡張し、このNM 個の
データを間引いて上記一定個数NC (例えば44個)の
データに変換する。
有効帯域1ブロック分の振幅データに対して、ブロック
内の最後のデータからブロック内の最初のデータまでの
値を補間するようなダミーデータを付加してデータ個数
をNF 個に拡大した後、帯域制限型のKOS倍(例えば8
倍)のオーバーサンプリングを施すことによりKOS倍の
個数の振幅データを求め、このKOS倍の個数(( mMX+
1) ×KOS個)の振幅データを直線補間してさらに多く
のNM 個(例えば2048個)に拡張し、このNM 個の
データを間引いて上記一定個数NC (例えば44個)の
データに変換する。
【0091】このデータ数変換部109からのデータ
(上記一定個数NC の振幅データ)がベクトル量子化部
110に送られて、所定個数のデータ毎にまとめられて
ベクトルとされ、ベクトル量子化が施される。ベクトル
量子化部110からの量子化出力データは、出力端子1
11を介して取り出される。また、上記高精度のピッチ
サーチ部106からの高精度(ファイン)ピッチデータ
は、ピッチ符号化部115で符号化され、出力端子11
2を介して取り出される。さらに、上記有声音/無声音
判別部107からの有声音/無声音(V/UV)判別デ
ータは、出力端子113を介して取り出される。これら
の各出力端子111〜113からのデータは、所定の伝
送フォーマットの信号とされて伝送される。
(上記一定個数NC の振幅データ)がベクトル量子化部
110に送られて、所定個数のデータ毎にまとめられて
ベクトルとされ、ベクトル量子化が施される。ベクトル
量子化部110からの量子化出力データは、出力端子1
11を介して取り出される。また、上記高精度のピッチ
サーチ部106からの高精度(ファイン)ピッチデータ
は、ピッチ符号化部115で符号化され、出力端子11
2を介して取り出される。さらに、上記有声音/無声音
判別部107からの有声音/無声音(V/UV)判別デ
ータは、出力端子113を介して取り出される。これら
の各出力端子111〜113からのデータは、所定の伝
送フォーマットの信号とされて伝送される。
【0092】なお、これらの各データは、上記Nサンプ
ル(例えば256サンプル)のブロック内のデータに対
して処理を施すことにより得られるものであるが、ブロ
ックは時間軸上を上記Lサンプルのフレームを単位とし
て前進することから、伝送するデータは上記フレーム単
位で得られる。すなわち、上記フレーム周期でピッチデ
ータ、V/UV判別データ、振幅データが更新されるこ
とになる。
ル(例えば256サンプル)のブロック内のデータに対
して処理を施すことにより得られるものであるが、ブロ
ックは時間軸上を上記Lサンプルのフレームを単位とし
て前進することから、伝送するデータは上記フレーム単
位で得られる。すなわち、上記フレーム周期でピッチデ
ータ、V/UV判別データ、振幅データが更新されるこ
とになる。
【0093】次に、伝送されて得られた上記各データに
基づき音声信号を合成するための合成側(デコード側)
の概略構成について、図10を参照しながら説明する。こ
の図10において、入力端子121には上記ベクトル量子
化された振幅データが、入力端子122には上記符号化
されたピッチデータが、また入力端子123には上記V
/UV判別データがそれぞれ供給される。入力端子12
1からの量子化振幅データは、逆ベクトル量子化部12
4に送られて逆量子化され、データ数逆変換部125に
送られて逆変換され、得られた振幅データが有声音合成
部126及び無声音合成部127に送られる。入力端子
122からの符号化ピッチデータは、ピッチ復号化部1
28で復号化され、データ数逆変換部125、有声音合
成部126及び無声音合成部127に送られる。また入
力端子123からのV/UV判別データは、有声音合成
部126及び無声音合成部127に送られる。
基づき音声信号を合成するための合成側(デコード側)
の概略構成について、図10を参照しながら説明する。こ
の図10において、入力端子121には上記ベクトル量子
化された振幅データが、入力端子122には上記符号化
されたピッチデータが、また入力端子123には上記V
/UV判別データがそれぞれ供給される。入力端子12
1からの量子化振幅データは、逆ベクトル量子化部12
4に送られて逆量子化され、データ数逆変換部125に
送られて逆変換され、得られた振幅データが有声音合成
部126及び無声音合成部127に送られる。入力端子
122からの符号化ピッチデータは、ピッチ復号化部1
28で復号化され、データ数逆変換部125、有声音合
成部126及び無声音合成部127に送られる。また入
力端子123からのV/UV判別データは、有声音合成
部126及び無声音合成部127に送られる。
【0094】有声音合成部126では例えば余弦(cosin
e)波合成により時間軸上の有声音波形を合成し、無声音
合成部127では例えばホワイトノイズをバンドパスフ
ィルタでフィルタリングして時間軸上の無声音波形を合
成し、これらの各有声音合成波形と無声音合成波形とを
加算部129で加算合成して、出力端子130より取り
出すようにしている。この場合、上記振幅データ、ピッ
チデータ及びV/UV判別データは、上記分析時の1フ
レーム(Lサンプル、例えば160サンプル)毎に更新
されて与えられるが、フレーム間の連続性を高める(円
滑化する)ために、上記振幅データやピッチデータの各
値を1フレーム中の例えば中心位置における各データ値
とし、次のフレームの中心位置までの間(合成時の1フ
レーム)の各データ値を補間により求める。すなわち、
合成時の1フレーム(例えば上記分析フレームの中心か
ら次の分析フレームの中心まで)において、先端サンプ
ル点での各データ値と終端(次の合成フレームの先端)
サンプル点での各データ値とが与えられ、これらのサン
プル点間の各データ値を補間により求めるようにしてい
る。
e)波合成により時間軸上の有声音波形を合成し、無声音
合成部127では例えばホワイトノイズをバンドパスフ
ィルタでフィルタリングして時間軸上の無声音波形を合
成し、これらの各有声音合成波形と無声音合成波形とを
加算部129で加算合成して、出力端子130より取り
出すようにしている。この場合、上記振幅データ、ピッ
チデータ及びV/UV判別データは、上記分析時の1フ
レーム(Lサンプル、例えば160サンプル)毎に更新
されて与えられるが、フレーム間の連続性を高める(円
滑化する)ために、上記振幅データやピッチデータの各
値を1フレーム中の例えば中心位置における各データ値
とし、次のフレームの中心位置までの間(合成時の1フ
レーム)の各データ値を補間により求める。すなわち、
合成時の1フレーム(例えば上記分析フレームの中心か
ら次の分析フレームの中心まで)において、先端サンプ
ル点での各データ値と終端(次の合成フレームの先端)
サンプル点での各データ値とが与えられ、これらのサン
プル点間の各データ値を補間により求めるようにしてい
る。
【0095】以下、有声音合成部126における合成処
理を詳細に説明する。上記V(有声音)と判別された第
mバンド(第m高調波の帯域)における時間軸上の上記
1合成フレーム(Lサンプル、例えば160サンプル)
分の有声音をVm (n) とするとき、この合成フレーム内
の時間インデックス(サンプル番号)nを用いて、 Vm (n) =Am (n) cos(θm (n)) 0≦n<L ・・・(16) と表すことができる。全バンドの内のV(有声音)と判
別された全てのバンドの有声音を加算(ΣVm (n) )し
て最終的な有声音V(n) を合成する。
理を詳細に説明する。上記V(有声音)と判別された第
mバンド(第m高調波の帯域)における時間軸上の上記
1合成フレーム(Lサンプル、例えば160サンプル)
分の有声音をVm (n) とするとき、この合成フレーム内
の時間インデックス(サンプル番号)nを用いて、 Vm (n) =Am (n) cos(θm (n)) 0≦n<L ・・・(16) と表すことができる。全バンドの内のV(有声音)と判
別された全てのバンドの有声音を加算(ΣVm (n) )し
て最終的な有声音V(n) を合成する。
【0096】この(16)式中のAm (n) は、上記合成フ
レームの先端から終端までの間で補間された第m高調波
の振幅である。最も簡単には、フレーム単位で更新され
る振幅データの第m高調波の値を直線補間すればよい。
すなわち、上記合成フレームの先端(n=0)での第m
高調波の振幅値をA0m、該合成フレームの終端(n=
L:次の合成フレームの先端)での第m高調波の振幅値
をALmとするとき、 Am (n) = (L-n)A0m/L+nALm/L ・・・(17) の式によりAm (n) を計算すればよい。
レームの先端から終端までの間で補間された第m高調波
の振幅である。最も簡単には、フレーム単位で更新され
る振幅データの第m高調波の値を直線補間すればよい。
すなわち、上記合成フレームの先端(n=0)での第m
高調波の振幅値をA0m、該合成フレームの終端(n=
L:次の合成フレームの先端)での第m高調波の振幅値
をALmとするとき、 Am (n) = (L-n)A0m/L+nALm/L ・・・(17) の式によりAm (n) を計算すればよい。
【0097】次に、上記(16)式中の位相θm (n) は、 θm (n) =mωO1n+n2 m(ωL1−ω01)/2L+φ0m+Δωn ・・・(18) により求めることができる。この(18)式中で、φ0mは
上記合成フレームの先端(n=0)での第m高調波の位
相(フレーム初期位相)を示し、ω01は合成フレーム先
端(n=0)での基本角周波数、ωL1は該合成フレーム
の終端(n=L:次の合成フレーム先端)での基本角周
波数をそれぞれ示している。上記(18)式中のΔωは、
n=Lにおける位相φLmがθm (L) に等しくなるような
最小のΔωを設定する。
上記合成フレームの先端(n=0)での第m高調波の位
相(フレーム初期位相)を示し、ω01は合成フレーム先
端(n=0)での基本角周波数、ωL1は該合成フレーム
の終端(n=L:次の合成フレーム先端)での基本角周
波数をそれぞれ示している。上記(18)式中のΔωは、
n=Lにおける位相φLmがθm (L) に等しくなるような
最小のΔωを設定する。
【0098】以下、任意の第mバンドにおいて、それぞ
れn=0、n=LのときのV/UV判別結果に応じた上
記振幅Am (n) 、位相θm (n) の求め方を説明する。第
mバンドが、n=0、n=LのいずれもV(有声音)と
される場合に、振幅Am (n) は、上述した(17)式によ
り、伝送された振幅値A0m、ALmを直線補間して振幅A
m (n) を算出すればよい。位相θm (n) は、n=0でθ
m (0) =φ0mからn=Lでθm (L) がφLmとなるように
Δωを設定する。
れn=0、n=LのときのV/UV判別結果に応じた上
記振幅Am (n) 、位相θm (n) の求め方を説明する。第
mバンドが、n=0、n=LのいずれもV(有声音)と
される場合に、振幅Am (n) は、上述した(17)式によ
り、伝送された振幅値A0m、ALmを直線補間して振幅A
m (n) を算出すればよい。位相θm (n) は、n=0でθ
m (0) =φ0mからn=Lでθm (L) がφLmとなるように
Δωを設定する。
【0099】次に、n=0のときV(有声音)で、n=
LのときUV(無声音)とされる場合に、振幅Am (n)
は、Am (0) の伝送振幅値A0mからAm (L) で0となる
ように直線補間する。n=Lでの伝送振幅値ALmは無声
音の振幅値であり、後述する無声音合成の際に用いられ
る。位相θm (n) は、θm (0) =φ0mとし、かつΔω=
0とする。
LのときUV(無声音)とされる場合に、振幅Am (n)
は、Am (0) の伝送振幅値A0mからAm (L) で0となる
ように直線補間する。n=Lでの伝送振幅値ALmは無声
音の振幅値であり、後述する無声音合成の際に用いられ
る。位相θm (n) は、θm (0) =φ0mとし、かつΔω=
0とする。
【0100】さらに、n=0のときUV(無声音)で、
n=LのときV(有声音)とされる場合には、振幅Am
(n) は、n=0での振幅Am (0) を0とし、n=Lで伝
送された振幅値ALmとなるように直線補間する。位相θ
m (n) については、n=0での位相θm (0) として、フ
レーム終端での位相値φLmを用いて、 θm (0) =φLm−m(ωO1+ωL1)L/2 ・・・(19) とし、かつΔω=0とする。
n=LのときV(有声音)とされる場合には、振幅Am
(n) は、n=0での振幅Am (0) を0とし、n=Lで伝
送された振幅値ALmとなるように直線補間する。位相θ
m (n) については、n=0での位相θm (0) として、フ
レーム終端での位相値φLmを用いて、 θm (0) =φLm−m(ωO1+ωL1)L/2 ・・・(19) とし、かつΔω=0とする。
【0101】上記n=0、n=LのいずれもV(有声
音)とされる場合に、θm (L) がφLmとなるようにΔω
を設定する手法について説明する。上記(11)式で、n
=Lと置くことにより、 θm (L) =mωO1L+L2 m(ωL1−ω01)/2L+φ0m+ΔωL =m(ωO1+ωL1)L/2+φ0m+ΔωL =φLm となり、これを整理すると、Δωは、 Δω=(mod2π((φLm−φ0m) − mL(ωO1+ωL1)/2)/L ・・・(20) となる。この(20)式でmod2π(x) とは、xの主値を−
π〜+πの間の値で返す関数である。例えば、x=1.3
πのときmod2π(x) =−0.7π、x=2.3πのときmod2
π(x) =0.3π、x=−1.3πのときmod2π(x) =0.7
π、等である。
音)とされる場合に、θm (L) がφLmとなるようにΔω
を設定する手法について説明する。上記(11)式で、n
=Lと置くことにより、 θm (L) =mωO1L+L2 m(ωL1−ω01)/2L+φ0m+ΔωL =m(ωO1+ωL1)L/2+φ0m+ΔωL =φLm となり、これを整理すると、Δωは、 Δω=(mod2π((φLm−φ0m) − mL(ωO1+ωL1)/2)/L ・・・(20) となる。この(20)式でmod2π(x) とは、xの主値を−
π〜+πの間の値で返す関数である。例えば、x=1.3
πのときmod2π(x) =−0.7π、x=2.3πのときmod2
π(x) =0.3π、x=−1.3πのときmod2π(x) =0.7
π、等である。
【0102】ここで、図11のAは、音声信号のスペクト
ルの一例を示しており、バンド番号(ハーモニクスナン
バ)mが8、9、10の各バンドがUV(無声音)とさ
れ、他のバンドはV(有声音)とされている。このV
(有声音)のバンドの時間軸信号が上記有声音合成部1
26により合成され、UV(無声音)のバンドの時間軸
信号が無声音合成部127で合成されるわけである。
ルの一例を示しており、バンド番号(ハーモニクスナン
バ)mが8、9、10の各バンドがUV(無声音)とさ
れ、他のバンドはV(有声音)とされている。このV
(有声音)のバンドの時間軸信号が上記有声音合成部1
26により合成され、UV(無声音)のバンドの時間軸
信号が無声音合成部127で合成されるわけである。
【0103】以下、無声音合成部127における無声音
合成処理を説明する。ホワイトノイズ発生部131から
の時間軸上のホワイトノイズ信号波形を、所定の長さ
(例えば256サンプル)で適当な窓関数(例えばハミ
ング窓)により窓かけをし、STFT処理部132によ
りSTFT(ショートタームフーリエ変換)処理を施す
ことにより、図11のBに示すようなホワイトノイズの周
波数軸上のパワースペクトルを得る。このSTFT処理
部132からのパワースペクトルをバンド振幅処理部1
33に送り、図11のCに示すように、上記UV(無声
音)とされたバンド(例えばm=8、9、10)につい
て上記振幅|Am |UVを乗算し、他のV(有声音)とさ
れたバンドの振幅を0にする。このバンド振幅処理部1
33には上記振幅データ、ピッチデータ、V/UV判別
データが供給されている。バンド振幅処理部133から
の出力は、ISTFT処理部134に送られ、位相は元
のホワイトノイズの位相を用いて逆STFT処理を施す
ことにより時間軸上の信号に変換する。ISTFT処理
部134からの出力は、オーバーラップ加算部135に
送られ、時間軸上で適当な(元の連続的なノイズ波形を
復元できるように)重み付けをしながらオーバーラップ
及び加算を繰り返し、連続的な時間軸波形を合成する。
オーバーラップ加算部135からの出力信号が上記加算
部129に送られる。
合成処理を説明する。ホワイトノイズ発生部131から
の時間軸上のホワイトノイズ信号波形を、所定の長さ
(例えば256サンプル)で適当な窓関数(例えばハミ
ング窓)により窓かけをし、STFT処理部132によ
りSTFT(ショートタームフーリエ変換)処理を施す
ことにより、図11のBに示すようなホワイトノイズの周
波数軸上のパワースペクトルを得る。このSTFT処理
部132からのパワースペクトルをバンド振幅処理部1
33に送り、図11のCに示すように、上記UV(無声
音)とされたバンド(例えばm=8、9、10)につい
て上記振幅|Am |UVを乗算し、他のV(有声音)とさ
れたバンドの振幅を0にする。このバンド振幅処理部1
33には上記振幅データ、ピッチデータ、V/UV判別
データが供給されている。バンド振幅処理部133から
の出力は、ISTFT処理部134に送られ、位相は元
のホワイトノイズの位相を用いて逆STFT処理を施す
ことにより時間軸上の信号に変換する。ISTFT処理
部134からの出力は、オーバーラップ加算部135に
送られ、時間軸上で適当な(元の連続的なノイズ波形を
復元できるように)重み付けをしながらオーバーラップ
及び加算を繰り返し、連続的な時間軸波形を合成する。
オーバーラップ加算部135からの出力信号が上記加算
部129に送られる。
【0104】このように、各合成部126、127にお
いて合成されて時間軸上に戻された有声音部及び無声音
部の各信号は、加算部129により適当な固定の混合比
で加算して、出力端子130より再生された音声信号を
取り出す。
いて合成されて時間軸上に戻された有声音部及び無声音
部の各信号は、加算部129により適当な固定の混合比
で加算して、出力端子130より再生された音声信号を
取り出す。
【0105】以上より、本発明に係るピッチ抽出方法が
適用されるMBEは、現在フレームに属する自己相関デ
ータ(自己相関は1ブロックNサンプルのデータを対象
として求められる)から複数のピークを求めておき、こ
れらの複数のピークの内の最大ピークが所定の閾値以上
のときには該最大ピーク位置をピッチ周期とし、それ以
外のときには、現在フレーム以外のフレーム、例えば前
後のフレームで求められたピッチに対して所定の関係を
満たすピッチ範囲内、例えば前フレームのピッチを中心
として±20%の範囲内にあるピークを求め、このピー
ク位置に基づいて現在フレームのピッチを決定するよう
にしているため、正確なピッチを捉えることができる。
適用されるMBEは、現在フレームに属する自己相関デ
ータ(自己相関は1ブロックNサンプルのデータを対象
として求められる)から複数のピークを求めておき、こ
れらの複数のピークの内の最大ピークが所定の閾値以上
のときには該最大ピーク位置をピッチ周期とし、それ以
外のときには、現在フレーム以外のフレーム、例えば前
後のフレームで求められたピッチに対して所定の関係を
満たすピッチ範囲内、例えば前フレームのピッチを中心
として±20%の範囲内にあるピークを求め、このピー
ク位置に基づいて現在フレームのピッチを決定するよう
にしているため、正確なピッチを捉えることができる。
【0106】なお、上記図5の音声分析側(エンコード
側)の構成や図10の音声合成側(デコード側)の構成に
ついては、各部をハードウェア的に記載しているが、い
わゆるDSP(ディジタル信号プロセッサ)等を用いて
ソフトウェアプログラムにより実現することも可能であ
る。また、本発明に係るピッチ抽出方法は、上記実施例
にのみ限定されるものでなく、例えば、kの値は、本発
明の主旨に反しない値であれば状況に応じて他の値とす
ることができる。
側)の構成や図10の音声合成側(デコード側)の構成に
ついては、各部をハードウェア的に記載しているが、い
わゆるDSP(ディジタル信号プロセッサ)等を用いて
ソフトウェアプログラムにより実現することも可能であ
る。また、本発明に係るピッチ抽出方法は、上記実施例
にのみ限定されるものでなく、例えば、kの値は、本発
明の主旨に反しない値であれば状況に応じて他の値とす
ることができる。
【0107】
【発明の効果】本発明に係るピッチ抽出方法は、フレー
ム単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己
相関データから検出された複数のピークの内、現在フレ
ーム以外のフレームで求められたピッチと所定の関係を
満たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フ
レームのピッチを決定することができ、また、フレーム
単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相
関データから検出された全てのピークの内、現在フレー
ム以外のフレームで求められたピッチと所定の関係を満
たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フレ
ームのピッチを決定することができ、さらに、フレーム
単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相
関データから検出された複数のピークの内の最大ピーク
が所定の閾値以上であれば該最大ピークの位置により現
在フレームのピッチを決定する。また、上記最大ピーク
が所定の閾値より小さいときは、現在フレーム以外のフ
レームで求められたピッチに対して所定の関係を満たす
ピッチ範囲内にあるピークの位置に基づいて現在フレー
ムのピッチを決定することができる。したがって、誤っ
たピッチを捉える確率が小さくなり、また、一度ピッチ
がなくなった後でも過去に捉えた確実なピッチを参考に
再び安定したトラッキングができるため、複数話者が同
時に発声した場合、一人の音声のみを抜き取るような話
者分離にも適用することができる。
ム単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己
相関データから検出された複数のピークの内、現在フレ
ーム以外のフレームで求められたピッチと所定の関係を
満たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フ
レームのピッチを決定することができ、また、フレーム
単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相
関データから検出された全てのピークの内、現在フレー
ム以外のフレームで求められたピッチと所定の関係を満
たすピッチ範囲にあるピークの位置に基づいて現在フレ
ームのピッチを決定することができ、さらに、フレーム
単位で区分された入力音声信号の現在フレームの自己相
関データから検出された複数のピークの内の最大ピーク
が所定の閾値以上であれば該最大ピークの位置により現
在フレームのピッチを決定する。また、上記最大ピーク
が所定の閾値より小さいときは、現在フレーム以外のフ
レームで求められたピッチに対して所定の関係を満たす
ピッチ範囲内にあるピークの位置に基づいて現在フレー
ムのピッチを決定することができる。したがって、誤っ
たピッチを捉える確率が小さくなり、また、一度ピッチ
がなくなった後でも過去に捉えた確実なピッチを参考に
再び安定したトラッキングができるため、複数話者が同
時に発声した場合、一人の音声のみを抜き取るような話
者分離にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るピッチ抽出方法の第1の実施例を
適用した具体例の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
適用した具体例の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
【図2】本発明に係るピッチ抽出方法の第1の実施例の
入力音声信号波形の処理を説明するための波形図であ
る。
入力音声信号波形の処理を説明するための波形図であ
る。
【図3】本発明に係るピッチ抽出方法の第1の実施例で
のピッチ抽出の流れを説明するためのフローチャートで
ある。
のピッチ抽出の流れを説明するためのフローチャートで
ある。
【図4】本発明に係るピッチ抽出方法の第2の実施例を
適用した具体例の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
適用した具体例の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
【図5】本発明に係るピッチ抽出方法が適用される装置
の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の分析
側(エンコード側)の概略構成を示す機能ブロック図で
ある。
の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の分析
側(エンコード側)の概略構成を示す機能ブロック図で
ある。
【図6】窓かけ処理を説明するための図である。
【図7】窓かけ処理と窓関数との関係を説明するための
図である。
図である。
【図8】直交変換(FFT)処理対象としての時間軸デ
ータを示す図である。
ータを示す図である。
【図9】周波数軸上のスペクトルデータ、スペクトル包
絡線(エンベロープ)及び励起信号のパワースペクトル
を示す図である。
絡線(エンベロープ)及び励起信号のパワースペクトル
を示す図である。
【図10】本発明に係るピッチ抽出方法が適用される装置
の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の合成
側(デコード側)の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
の具体例としての音声信号の合成分析符号化装置の合成
側(デコード側)の概略構成を示す機能ブロック図であ
る。
【図11】音声信号を合成する際の無声音合成を説明する
ための図である。
ための図である。
【図12】自己相関関数からピッチ周期を求める手順を説
明するための波形図である。
明するための波形図である。
【符号の説明】 9・・・・・・ブロック取り出し処理部 10・・・・・フレーム区分部 11・・・・・センタクリップ処理部 12・・・・・自己相関計算部 13・・・・・ピーク検出部 14・・・・・他フレームピッチ算出部 15・・・・・比較検出部 16・・・・・ピッチ決定工程
Claims (3)
- 【請求項1】 入力音声信号をフレーム単位で時間軸方
向に進むブロックを単位として取り出す工程と、 現在フレームの自己相関データから複数のピークを検出
する工程と、 該検出された現在フレームの複数のピークの内、現在フ
レーム以外のフレームで求められたピッチに対して所定
の関係を満たすピッチ範囲内にあるピークを求める工程
と、 この求められたピークの位置に基づいて現在フレームの
ピッチを決定する工程とを有することを特徴とするピッ
チ抽出方法。 - 【請求項2】 上記ピーク検出工程にて、現在フレーム
の自己相関データから全てのピークを検出することを特
徴とする請求項1記載のピッチ抽出方法。 - 【請求項3】 入力音声信号をフレーム単位で時間軸方
向に進むブロック単位として取り出す工程と、 現在フレームの自己相関データから複数のピークを検出
する工程と、 該検出された現在フレームの複数のピークの内の最大の
ものが所定の閾値以上のときには該最大ピークの位置に
より現在フレームのピッチを決定し、上記最大ピークが
上記所定の閾値より小さいときには現在フレーム以外の
フレームで求められたピッチに対して所定の関係を満た
すピッチ範囲内にあるピークの位置により現在フレーム
のピッチを決定する工程とを有することを特徴とするピ
ッチ抽出方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9226192A JPH05265489A (ja) | 1992-03-18 | 1992-03-18 | ピッチ抽出方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP9226192A JPH05265489A (ja) | 1992-03-18 | 1992-03-18 | ピッチ抽出方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05265489A true JPH05265489A (ja) | 1993-10-15 |
Family
ID=14049469
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP9226192A Pending JPH05265489A (ja) | 1992-03-18 | 1992-03-18 | ピッチ抽出方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05265489A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2002086866A1 (fr) * | 2001-04-16 | 2002-10-31 | Sakai, Yasue | Procede et dispositif de compression, procede et dispositif de decompression, systeme de compression/decompression, procede de detection de crete, programme et support d'enregistrement |
KR100538987B1 (ko) * | 1996-09-27 | 2006-03-22 | 소니 가부시끼 가이샤 | 음성부호화방법및장치,피치검출방법 |
JP4755585B2 (ja) * | 2003-03-31 | 2011-08-24 | インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション | 音声信号に関する周波数領域および時間領域の複合ピッチ抽出のための方法、分散音声認識システム及びコンピュータ可読媒体 |
-
1992
- 1992-03-18 JP JP9226192A patent/JPH05265489A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR100538987B1 (ko) * | 1996-09-27 | 2006-03-22 | 소니 가부시끼 가이샤 | 음성부호화방법및장치,피치검출방법 |
WO2002086866A1 (fr) * | 2001-04-16 | 2002-10-31 | Sakai, Yasue | Procede et dispositif de compression, procede et dispositif de decompression, systeme de compression/decompression, procede de detection de crete, programme et support d'enregistrement |
US6785644B2 (en) | 2001-04-16 | 2004-08-31 | Yasue Sakai | Alternate window compression/decompression method, apparatus, and system |
JP4755585B2 (ja) * | 2003-03-31 | 2011-08-24 | インターナショナル・ビジネス・マシーンズ・コーポレーション | 音声信号に関する周波数領域および時間領域の複合ピッチ抽出のための方法、分散音声認識システム及びコンピュータ可読媒体 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20010529 |