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JPH05210132A - ニオブ酸リチウム及びタンタル酸リチウムの分極制御方法とこれによる光導波路デバイスの製造方法及び光導波路デバイス - Google Patents

ニオブ酸リチウム及びタンタル酸リチウムの分極制御方法とこれによる光導波路デバイスの製造方法及び光導波路デバイス

Info

Publication number
JPH05210132A
JPH05210132A JP4224350A JP22435092A JPH05210132A JP H05210132 A JPH05210132 A JP H05210132A JP 4224350 A JP4224350 A JP 4224350A JP 22435092 A JP22435092 A JP 22435092A JP H05210132 A JPH05210132 A JP H05210132A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polarization
substrate
electrodes
electrode
domain
Prior art date
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Granted
Application number
JP4224350A
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English (en)
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JP3303346B2 (ja
Inventor
Masahiro Yamada
正裕 山田
Naoji Nada
直司 名田
Shin Kawakubo
伸 川久保
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sony Corp filed Critical Sony Corp
Priority to JP22435092A priority Critical patent/JP3303346B2/ja
Publication of JPH05210132A publication Critical patent/JPH05210132A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 ニオブ酸リチウムLN又はタンタル酸リチウ
ムLT基板の表面汚染、屈折率変化等を回避して、制御
性よく分極反転構造を得ることができるようにする。 【構成】 単分域化されたLN又はLTより成る基板10
に、所定の分極反転構造30を形成するLN又はLTの分
極制御方法において、この基板10の矢印dで示す分極方
向に第1及び第2の電極1及び2を配置して、少なくと
も第1の電極1は最終的に得る分極反転構造30のパター
ンに対応するパターンに形成し、第1及び第2の電極1
及び2間の距離TをLNで200 μm以下、LTで700 μ
m以下とし、これら各電極1及び2間に、基板10の自発
分極の負側を負電位、正側を正電位となるように電圧を
印加して分極反転構造30を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、例えば光第2高調波発
生素子(以下SHG素子という)等の光デバイスの形成
に適用して好適なニオブ酸リチウム及びタンタル酸リチ
ウムの分極制御方法とこれによる光導波路デバイスの製
造方法及び光導波路デバイスに係わる。
【0002】
【従来の技術】近年特にSHG素子等の光デバイス装置
において、その表面に周期的な分極反転構造いわゆるド
メイン反転構造を形成して光出力等の特性の向上をはか
ることが提案されている。
【0003】例えばSHG素子は、周波数ωの光を導入
すると、2ωの周波数の第2高調波の光を発生するもの
で、このSHG素子によって単一波長光の波長範囲の拡
大化がはかられ、これに伴いレーザの利用範囲の拡大化
と各技術分野でのレーザ光利用の最適化をはかることが
できる。例えばレーザ光の短波長化によってレーザ光を
用いた光記録再生、光磁気記録再生等において、その記
録密度の向上をはかることができる。
【0004】このようなSHG素子としては、例えばK
TP(KTiOPO4 )を用いたいわゆるバルク型のS
HG素子や、より大なる非線形光学定数を利用して位相
整合を行う導波路型のSHG素子、例えばニオブ酸リチ
ウムLiNbO3 (LN)等の非線形光学材料より成る
単結晶基板の上に線形導波路を形成して、これに近赤外
光の基本波を入力して第2高調波の例えば緑、青色光を
放射モードとして基板側からとりだすチェレンコフ放射
型のSHG素子等がある。
【0005】しかしながらバルク型SHG素子はその特
性上SHG変換効率が比較的低く、また廉価で高品質が
得られる上述のLNやタンタル酸リチウムLiTaO3
(LT)を用いることができない。またチェレンコフ放
射型SHG素子は、SHGビームの放射方向が基板内方
向であり、ビームスポット形状も例えば三日月状スポッ
トという特異な形状をなし、実際の使用においての問題
点が存在する。
【0006】変換効率の高いデバイス実現のためには、
基本波と第2高調波の位相伝播速度を等しくしなくては
ならない。これを疑似的に行う方法として非線形光学定
数の+−を周期的に配列する方法が提案されている(J.
A.Armstrong,N.Bloembergen,他、Phys.Rev.,127,1918(1
962)) 。これを実現する方法として結晶(例えば結晶
軸)の方向を周期的に反転させる方法がある。具体的な
方法としては、例えば結晶を薄く切断して貼り合せる方
法(岡田、滝沢、家入、NHK技術研究、29(1)、24(19
77))や、また結晶引き上げ時に例えば印加する電流の
極性を制御して周期的な分域(ドメイン)を形成して周
期分極反転構造を形成する方法(D.Feng,N.B.Ming,J.F.
Hong,et al、 Appl.Phys.Lett.37,607(1980)、 K.Nassau,
H.J.Levin-stein,G.H.Loiacano Appl.Phys.Lett.6,228
(1965)、 A.Feisst,P.Koidl Appl.Phys.Lett.47,1125(19
85) )がある。これらの方法は結晶材料の全体に渡って
周期構造を形成することを目的としている。しかしなが
ら上述した方法による場合は大規模な装置が必要となる
のみならず、分極反転形成の制御が難しいという問題点
がある。
【0007】これに対して結晶材料の表面近傍に上述の
周期分極反転構造を形成する方法として、例えばプロト
ンとLiを交換し温度をキュリー温度近くまで上げる方
法(Kiminori Mizuuchi, Kazuhisa Yamamoto and Tetsu
o Taniuchi, Appl.Phys.Lett.,59,1538(1991) )が提案
されている。
【0008】このプロトン交換法により分極反転を形成
する場合は、例えば図13にその一製造工程の略線的拡
大断面図を示すように、全面的にc軸方向に即ち図13
において矢印dで示す分極方向に単分域化された例えば
LTより成る基板10の、+c面上にTaマスク層21
を所要の例えば平行帯状パターンに例えばピッチPを
3.6μm、幅Wを1.8μmとして被着形成する。
【0009】そしてこのような状態で容器8中に配置
し、260℃のリン酸19の中で50分間浸し、LT基
板のLiイオンとプロトンを矢印H+ ,Li+ で示すよ
うに交換して交換層を形成する。その後、例えば500
℃程度の加熱を行って、図14に示すように分極反転領
域3を周期的に形成することができる。しかしながらこ
の場合、分極反転領域3の屈折率が変化したり、また分
極反転領域3のピッチに対してその深さDが小であり、
かつその分極反転領域は断面三角形状となって形状の制
御性に劣る(F.Laurell et al,Integrated Photonics R
esearch,Tu12,1989)等の恐れがある。また、プロトン交
換時のTaマスク層21等の金属が基板表面に酸化被着
し基板表面を汚染する恐れもある。
【0010】即ち、上述した位相整合を確実に行うため
には、分極反転領域3の深さDを大とすることが望まし
く、かつその断面形状は基板10の深さ方向に延長する
ストライプ状に、分極反転領域3と分極反転が生じない
領域とが交互に形成されることが望ましいが、上述のプ
ロトン交換法によってSHG素子を形成した場合、その
分極反転領域3の形状の制御性に劣るため、入力光の漏
波や第2高調波光の漏波、更に入力光と第2高調波光と
の結合効率の低下を招来する等して、いわゆる光変換効
率の低下を招く恐れがある。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、上述したような非線形光学材料の特にLN
及びLTの表面汚染、屈折率変化等を回避して、制御性
よく分極反転構造を得ることができるようにし、特性の
良好な光導波路デバイスを得るようにするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明による分極制御方
法の一例の一製造工程の略線的拡大断面図を図1に示
す。本発明は図1に示すように、単分域化されたニオブ
酸リチウム(LN)より成る基板10に、所定の分極反
転構造30を形成するニオブ酸リチウムの分極制御方法
において、この基板10の分極方向に第1及び第2の電
極1及び2を配置して、少なくとも第1の電極1は最終
的に得る分極反転構造30のパターンに対応するパター
ンに形成し、第1及び第2の電極1、2間の距離Tを2
00μm以下として、これら第1及び第2の電極1、2
間に基板10の自発分極の負側を負電位、正側を正電位
となるように電圧を印加して分極反転構造30を形成す
る。
【0013】また本発明の他の一の分極制御方法は、そ
の一例の一製造工程を図2に示すように、面内方向に単
分域化されたニオブ酸リチウムより成る基板10に、所
定の分極反転構造30を形成するニオブ酸リチウムの分
極制御方法において、この基板10の一主面上の分極方
向に第1及び第2の電極1及び2を配置して、少なくと
も第1の電極1は最終的に得る分極反転構造30のパタ
ーンに対応するパターンにその第1及び第2の電極1、
2間の距離を7μm〜200μmとして形成し、150
℃以上の温度下において、これら第1及び第2の電流
1、2間に、基板10の自発分極の負側が負電位、正側
が正電位となるように電圧を印加して分極反転構造30
を形成する。
【0014】また本発明は、上述の各分極制御方法にお
いて、第1及び第2の電極1、2間に印加する電圧を1
5kV/mm以上とする。
【0015】更にまた本発明は、上述の各分極制御方法
において、その第1及び第2の電極1、2間に印加する
電圧を少なくとも2以上のパルスより成るパルス電圧と
する。
【0016】また本発明は、上述の各分極制御方法にお
いて、基板10全体を絶縁液に浸漬した状態で第1及び
第2の電極1、2間に電圧を印加する。
【0017】更にまた本発明光導波路デバイスの製造方
法は、上述の各ニオブ酸リチウムの分極制御方法により
分極反転構造を形成する。
【0018】また本発明光導波路デバイスはその一例の
略線的拡大斜視図を図3に示すように、矢印cで示すc
軸方向に単分域化されたニオブ酸リチウムより成る基板
10に光導波路11を形成して、この光導波路11によ
る光導波方向に関して周期的に分極反転構造30を形成
し、この分極反転構造30のc軸方向の厚さを200μ
m以下として構成する。
【0019】また本発明の他の一の分極制御方法は、そ
の一例の略線的拡大断面図を図1に示すように、単分域
化されたタンタル酸リチウム(LT)より成る基板10
に、所定の分極反転構造30を形成するタンタル酸リチ
ウムの分極制御方法において、この基板10の分極方向
に第1及び第2の電極1及び2を配置して、少なくとも
第1の電極1は最終的に得る分極反転構造30のパター
ンに対応するパターンに形成し、第1及び第2の電極
1、2間の距離Tを700μm以下として、これら第1
及び第2の電極1、2間に基板10の自発分極の負側を
負電位、正側を正電位となるように電圧を印加して分極
反転構造30を形成する。
【0020】また本発明の他の一の分極制御方法は、そ
の一例の一製造工程を図2に示すように、面内方向に単
分域化されたタンタル酸リチウムより成る基板10に、
所定の分極反転構造30を形成するタンタル酸リチウム
の分極制御方法において、この基板10の一主面上の分
極方向に第1及び第2の電極1及び2を配置して、少な
くとも第1の電極1は最終的に得る分極反転構造30の
パターンに対応するパターンにその第1及び第2の電極
1、2間の距離を700μm以下として形成し、150
℃以上の温度下において、これら第1及び第2の電極
1、2間に、基板10の自発分極の負側が負電位、正側
が正電位となるように電圧を印加して分極反転構造30
を形成する。
【0021】また本発明は、上述の各タンタル酸リチウ
ムの分極制御方法において、第1及び第2の電極1、2
間に印加する電圧を15kV/mm以上とする。
【0022】更にまた本発明は、上述の各タンタル酸リ
チウムの分極制御方法において、その第1及び第2の電
極1、2間に印加する電圧を少なくとも2以上のパルス
より成るパルス電圧とする。
【0023】また本発明は、上述の各タンタル酸リチウ
ムの分極制御方法において、基板10全体を絶縁液に浸
漬した状態で第1及び第2の電極1、2間に電圧を印加
する。
【0024】更にまた本発明光導波路デバイスの製造方
法は、上述の各タンタル酸リチウムの分極制御方法によ
り分極反転構造を形成する。
【0025】また本発明光導波路デバイスはその一例の
略線的拡大斜視図を図3に示すように、矢印cで示すc
軸方向に単分域化されたタンタル酸リチウムより成る基
板10に光導波路11を形成して、この光導波路11に
よる光導波方向に関して周期的に分極反転構造30を形
成し、この分極反転構造30のc軸方向の厚さを700
μm以下として構成する。
【0026】
【作用】上述の、本発明分極制御方法によれば、分極反
転領域の形状を制御性よくまた結晶劣化を生じることな
く形成することができた。
【0027】これは次に述べる理由に因るものと思われ
る。即ち一般的にはLN単結晶やLT単結晶のような、
高電圧を印加すると結晶が破壊される強誘電体材料(fr
ozenferroelectrics )においては、結晶破壊が生じな
い程度の電圧を印加しても分極反転が生じないとされて
おり、従来は結晶破壊を生じさせない程度の比較的低い
電圧の印加によって分極反転を生じさせていた。即ち抗
電界を下げるために、600℃程度の高温下において、
比較的c軸方向の厚さが1mm程度以上と厚い基板に対
して比較的低い電界、即ち例えば数V/mm〜数百V/
mm程度の電界を印加して分極反転を形成していた。
【0028】しかしながら、上述したような結晶破壊
は、c軸方向に関する基板の厚さ、即ち電極間の距離に
起因することが本発明者等の鋭意考察研究の結果究明さ
れた。図4及び図5にそれぞれニオブ酸リチウムLN及
びタンタル酸リチウムLT単結晶基板の分極反転電界及
び結晶破壊電界の基板厚依存性を示す。この場合、試料
1として山寿セラミックス社製のLN単結晶、試料2と
してクリスタルテクノロジー社製のLN単結晶、試料3
として三井金属社製のLN単結晶、更に試料4として山
寿セラミック社製のLT単結晶を用い、基板厚を変え
て、分極反転が形成され始める電界(分極反転電界)及
び結晶破壊が生じ始める電界(結晶破壊電界)を測定し
た。図において、△、○、□及び▽はそれぞれ試料1〜
4の反転電界、▲、●、■及び▼はそれぞれ試料1〜4
の破壊電界を示す。
【0029】図4及び図5からわかるように、反転電界
は、ほとんど一定で15〜20kV/mm程度である。
一方、破壊電界は基板厚の増加とともに低下し、基板厚
がLNの場合は200μm、LTの場合は700μm程
度以上となるときは反転電界を下回ってしまう。従っ
て、基板厚がLNの場合は200μm、LTの場合は7
00μmを越えるときは分極反転が生じる前に結晶が破
壊されてしまい、分極反転操作を行うことができなくな
ってしまうものと思われる。
【0030】これに対し、LNにおいて基板の厚さが2
00μm以下、LTにおいて700μm以下の場合は、
反転電界以上破壊電界以下の領域(図4及び図5におい
て斜線を付した領域A,Bで示す)が存在するため、こ
のように比較的薄い厚さの基板を用いる場合は、適切な
電界を印加することによって、結晶破壊を生じることな
く、良好に分極反転構造を得ることができるものと思わ
れる。しかもこの場合は各電極1及び2の間にわたって
分極反転が生じるため、その形状は幅及びピッチに比し
て深さが大とされ、望ましい形状の分極反転構造30を
得ることができる。
【0031】一方、面内方向に単分域化されたニオブ酸
リチウムLN又はタンタル酸リチウムLTより成る基板
10を用いる場合においては、この基板10の一主面上
の分極方向に第1及び第2の電極1及び2を、少なくと
も第1の電極1は最終的に得る分極反転構造30のパタ
ーンに対応するパターンとして形成し、特にその第1及
び第2の電極1、2間の距離を、LNにおいては200
μm以下、LTにおいては700μm以下として形成す
ることによって、同様に制御性良く分極反転構造を形成
することができた。この場合、特にその電圧印加の際の
温度を150℃以上とすることによって精度良く分極反
転構造30を形成することができた。
【0032】また基板厚が100μmのLN、LTの各
基板材料に対し、その主面と裏面に電極を形成して電極
間距離を100μmとし、1.5kVの直流電圧を40
分間印加したところ、結晶破壊を生じることなく分極反
転構造を形成することができた。従って上述の図4及び
図5においては反転電界にばらつきがあるが、印加電界
を15kV/mm以上とすることによって、分極反転構
造を確実に得ることができることがわかる。
【0033】また更に印加電圧として2以上のパルス電
圧を印加することによって、同様に結晶破壊を生じるこ
となく分極反転構造を形成することができた。
【0034】またこれら基板を絶縁液に浸漬した状態で
電圧を印加することによって、高電圧を印加する場合に
おいても基板表面に被着した電極間の放電を抑制するこ
とができ、精度良く分極反転構造を形成することができ
た。
【0035】このような各分極制御方法によれば、電極
間の距離をLNにおいては200μm以下、LTにおい
ては700μm以下として15kV/mm以上の電界を
印加することによって確実に結晶破壊を回避できて、従
って抗電界を下げるために500℃〜1200℃程度に
加熱する必要がなく、室温で分極反転を形成することが
できることとなる。このため、加熱しながら電極を被着
或いは接触させることによる結晶の汚染や、プロトン交
換による屈折率の変動をもたらす等の不都合を回避し
て、特性の変動を回避することができる。
【0036】そしてこのような分極制御方法により形成
された光導波路デバイスは、図3に示すように、その光
導波路11が設けられる分極反転構造30のc軸方向の
厚さがLNにおいては200μm以下、LTにおいては
700μm以下となるものであり、このような構成とす
ることによって、上述したように特性の変動を招くこと
なく周期的な分極反転構造を形成することができて、確
実に疑似位相整合がなされてSHG変換効率の良好なS
HG素子を得ることができる。
【0037】
【実施例】以下本発明分極制御方法の各例を詳細に説明
する。各例共に、LN単結晶又はLT単結晶より成る基
板10上に周期的な分極反転構造を形成すると共に、こ
の部分において光導波路を形成して、高効率のSHG素
子の光導波路デバイスを得る場合を示す。また各例共
に、基板10の単分域化は、例えばそのキュリー温度直
下の例えば600℃程度まで昇温して一定の方向に外部
直流電圧を全面的に印加することによって全面的にc軸
方向に揃えて行った。
【0038】尚、以下の各実施例において、自発分極の
方向を矢印dで示し、分極反転領域の分極方向を矢印h
で示す。先ず以下の実施例1〜8においては、ニオブ酸
リチウム基板上に分極反転構造を形成する場合について
説明する。
【0039】実施例1 図1の略線的拡大斜視図を参照して説明する。この場合
基板10が厚さ方向に全面的に単分域化されて成る場合
で、その分極の正側の主面1S上にAl、Au等より成
る第1の電極1が例えば櫛歯状パターンにパターニング
され、分極の負側の裏面1R上には全面的に第2の電極
2が被着されて成る。
【0040】そしてこの例では、基板10全体を、容器
8中のフロリナート(住友3M社製、商品名)等のフロ
ン系耐高電圧液やシリコンオイルなどの絶縁液9に浸漬
した状態で分極の正側即ち第1の電極1側を正電位、分
極の負側即ち第2の電極2側を負電位として電圧を印加
し、第1の電極1の櫛歯パターンに対応するパターンの
分極反転構造を形成した。このとき基板10に印加され
る電界は図4において説明した領域Aの範囲内、即ち反
転電界以上の15kV程度以上で、破壊電界未満の電界
に選定することが望ましい。5は電源を示す。
【0041】この場合、基板10の厚さを98μm、電
圧を2.1kVとして1ms印加することにより、2.
3μm程度の微細な周期の分極反転構造30を得ること
ができ、更に、各電極1及び2の櫛歯部にわたって即ち
基板10の全厚さにわたって分極反転領域が形成され、
そのピッチPに対して深さを大とすることができた。ま
たこのように絶縁液9中において電圧を印加することに
よって、電極1及び2間の放電を確実に回避することが
できて、結晶破壊を生じることなく制御性よく分極反転
構造を得ることができた。
【0042】そしてこのような基板10に対し、図3に
示すように、主面1S上に光導波路11を形成して光導
波路デバイスを作成した。この光導波路11は、例えば
プロトン交換法により、即ち例えばTa等より成るマス
クを導波路11を形成する部分以外にフォトリソグラフ
ィ等の適用によりパターニング形成し、これをマスクと
して20分程度200℃に加熱したりん酸に浸漬して形
成することができる。そしてこのマスクを除去した後光
導波路の端面12を光学研磨して光導波路デバイス即ち
SHG素子を得ることができる。
【0043】この場合、屈折率変化等の特性の変動がな
く、且つそのピッチに対して深さが大とされた周期的な
分極反転構造30が得られることから、確実に疑似位相
整合がなされて、高い光変換効率を有するSHG素子を
得ることができる。
【0044】実施例2 図4の略線的拡大斜視図を参照して説明する。図6にお
いて、図1に対応する部分には同一符号を付して示す。
この場合においても基板10が厚さ方向に全面的に単分
域化されて成ると共に、この厚さが200μm以下とさ
れて、その分極の正側の主面1S上にAl等より成る第
1の電極1が櫛歯状パターンにパターニングされ、この
場合分極の負側の裏面1R上にも同様にAl等より成る
櫛歯状パターンの第2の電極2が、その櫛歯部が主面1
S上と裏面1上とで相対向して基板10を挟み込むよう
に被着形成されて成る。そして上述の実施例1と同様
に、分極の正側即ち第1の電極1側を正電位、分極の負
側即ち第2の電極2側を負電位として電圧を印加し、第
1の電極1の櫛歯パターンに対応するパターンの分極反
転構造30を形成した。この場合においても、電界の大
きさを実施例1と同様に選定して、結晶破壊を生じるこ
となく、且つ各電極1及び2の櫛歯部にわたって即ち基
板10の全厚さにわたって分極反転構造30が形成さ
れ、そのピッチに対して深さを大とすることができた。
【0045】またこの場合においても、上述の実施例1
と同様に、主面1S上にプロトン交換法等により光導波
路を形成して光導波路デバイスを作成することができ、
高光変換効率のSHG素子を得ることができる。
【0046】実施例3 図7の略線的拡大斜視図を参照して説明する。図7にお
いて、図6に対応する部分には同一符号を付して重複説
明を省略する。この場合は基板10の裏面1R上に全面
的に第2の電極2を被着形成した例で、この例において
も、上述の実施例5と同様に、第1の電極1のパターン
に対応するパターンの分極反転構造30を得ることがで
き、更にそのピッチに対して深さを大とすることができ
た。
【0047】またこの場合においても、上述の実施例1
と同様に、主面1S上にプロトン交換法等により光導波
路を形成して光導波路デバイスを作成することができ、
高光変換効率のSHG素子を得ることができる。
【0048】実施例4 図2を参照して説明する。図2において、図1に対応す
る部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この
例では、基板10に凸部即ちリッジ6が形成されて成
る。このリッジ6の長手方向は基板10の矢印dで示す
自発分極方向に直交するように選定され、その長手方向
の側壁面が、分極の正側より成る側面1Aと、負側より
成る側面1Bとにより構成される。この側面1A及び1
B上と、これらに隣接する上側面1E上にわたって後述
する製造工程によってAl等より成る第1の電極1及び
第2の電極2が櫛歯状パターンとして形成される。この
とき、櫛歯部は両上側面1E上から両側面1A及び1B
にわたって形成されるようになし、更に両側面1A及び
1B上の櫛歯先端部が主面1Sの両端に対向して配置さ
れるようになす。そしてこのリッジ6の幅方向の厚さT
は200μm以下に選定され、第1及び第2の電極1及
び2間の間隔が200μm以下となるように選定され
る。
【0049】このような構成において、第1の電極1側
が正電位、第2の電極2側が負電位となるように電圧を
印加して、リッジ6に分極反転領域3を形成し、各櫛歯
先端部のパターンに対応するパターンの分極反転構造3
0を得ることができた。
【0050】上述したように基板10にリッジ6を形成
し、更にその長手方向の側面1A及び1Bに所要のパタ
ーンの電極1及び2を作成する方法の一例を図8A〜D
に示す。図8Aに示すように、基板10の分極反転を形
成すべき主面1S上にレジスト31を全面的に塗布、ベ
ークした後、Ni,Cr等より成るマスク層32を蒸
着、スパッタリング等によって被着し、更にこの上にレ
ジスト33を塗布、ベークした後リッジ6を形成すべき
所要の部分にレジスト33が残るように、即ちこの場合
矢印dで示す分極方向に所要の幅Tを有し、図8の紙面
に対して直交する方向を長手方向とするパターンにフォ
トリソグラフィ等の適用によって露光現像してパターニ
ングする。
【0051】そして図8Bに示すように、RIE(反応
性イオンエッチング)等の異方性エッチングによりレジ
スト33をマスクとして、マスク層32とレジスト31
をパターニングする。
【0052】続いて図8Cに示すように、RIE等の異
方性エッチングによってマスク層32をマスクとして基
板10を主面1S上からエッチングして、側面1A及び
1Bと、これに隣接する上側面1Eとを露出させ、リッ
ジ7を構成する。このときこの基板10に対するエッチ
ングの深さを制御してリッジ6の高さを2μm程度とな
す。
【0053】そして更に図8Dに示すように、Al,A
u,Pt,K,Li等の例えばAlより成る金属層34
をリッジ6上を覆って全面的に蒸着、スパッタリング等
によって被着形成する。
【0054】次にRIE等の異方性エッチングによって
上述の図2に示す櫛歯状パターンにこの金属層34をパ
ターニングした後、アセトン等の溶剤に浸してレジスト
21を除去することにより、図8Eに示すように、リッ
ジ6上の金属層34のみをリフトオフして、側面1A及
び1Bからそれぞれ上側面1Eに隣接する櫛歯状の第1
の電極1及び第2の電極2を形成することができる。
【0055】この場合、上述した分極反転形成のための
電圧印加工程の前或いは後に、プロトン交換法等によっ
てリッジ6に導波路を形成し、第1の電極1及び第2の
電極2を除去してSHG素子を得ることができる。
【0056】このように、基板10にリッジ6を形成し
て、その側面1A及び1Bに電極を被着して電圧印加を
施す場合は、自発分極に対して平行ではない電界成分、
即ち分極反転に直接影響のない電界成分を大幅に減少さ
せることができる。LN結晶等の基板10は、この自発
分極の生じる方向に平行でない電界成分が材料に与える
応力が大であるため、このような電界成分を減少させる
ことによって、基板10の結晶破壊を更に確実に回避す
ることができる。
【0057】またこのような構成によって分極反転を形
成する場合、各分極反転領域3をリッジ6の全厚さにわ
たって形成することができる。従って導波路の深さを適
切に選定することによって、この導波路の全厚さ或いは
それ以上の深さにわたって、かつ結晶破壊を殆ど生じる
ことなく分極反転構造30を形成することができて、こ
れをSHG素子として用いる場合はSHG効率等の光変
換効率を高めることができる。
【0058】実施例5 図9の略線的拡大斜視図を参照して説明する。図9にお
いて、図2に対応する部分には同一符号を付して重複説
明を省略する。この場合においても、図2において説明
した実施例4における基板10全体を、図1において説
明した実施例1と同様に、容器8中の絶縁液9に浸漬し
た状態で電圧印加を行うものである。この場合において
も、リッジ6上の幅即ち第1の電極1及び第2の電極2
間の間隔Tを7μm以上200μm以下に選定して構成
し、また上述の各例と同様に、図4において領域Aの範
囲内の電界に選定して電圧印加を行った。この場合も第
1の電極1及び第2の電極2の櫛歯先端部間に、この櫛
歯パターンに対応するパターンの分極反転構造30が形
成されて、この上に光導波路(図示せず)を形成するこ
とによって、高光変換効率のSHG素子を得ることがで
きた。またこのように絶縁液9中において電界印加を行
うことによって、上述の実施例1と同様に電極1及び2
間の放電を確実に回避することができた。
【0059】実施例6 図10の略線的拡大斜視図を参照して説明する。この場
合は矢印dで示す面内方向に単分域化されたニオブ酸リ
チウムより成る基板10を用いた例で、主面1S上の分
極の負側にフォトリソグラフィ等の適用によってAl等
より成る櫛歯状パターンの第1の電極1が被着形成さ
れ、一方分極の正側の側面1B上には全面的にAl等よ
り成る第2の電極2が蒸着、スパッタリング等により被
着形成されて成る。5は電源である。この場合において
も、基板10全体を、容器8中のフロリナート(住友3
M社製、商品名)等のフロン系耐高電圧液、又はシリコ
ンオイルなどの絶縁液9に浸漬した状態で電圧印加を行
うものである。このとき、第1の電極1のピッチPは2
μm、幅Wは1μm、主面1S上の各電極1及び2の先
端部間の距離Lは100μm、ニオブ酸リチウム10の
厚さTは1mmであり、このような構成において、第1
の電極1側が負電位、第2の電極2側が正電位となるよ
うに、電圧を2.6kVとし、100μsの幅のパルス
電圧を2回以上の例えば5回印加して、結晶破壊等をほ
とんど生じることなく第1の電極1の櫛歯パターンに対
応するパターンの分極反転構造30を得ることができ
る。
【0060】実施例7 図11の略線的拡大斜視図を参照して説明する。図11
において、図10に対応する部分には同一符号を付して
重複説明を省略する。この場合はニオブ酸リチウムより
成る基板10の分極の正側の側面1Aに櫛歯状パターン
の第1の電極を、更に分極の負側の主面1S上に櫛歯状
パターンの第2の電極2をそれぞれ蒸着、スパッタリン
グ等により被着した後フォトリソグラフィ等の適用によ
って形成した例で、これら各電極1及び2の櫛歯先端部
が、主面1S上と側面1Aとにわたって相対向するよう
にパターニングされるようになす。この場合において
も、基板10全体を、容器8中の絶縁液9に浸漬した状
態で電圧印加を行うものである。このような構成におい
て、第1の電極1側が正電位、第2の電極2側が負電位
となるように電圧を印加して、第1の電極1及び第2の
電極2の櫛歯パターンに対応するパターンの分極反転構
造30を形成した。この場合においても、櫛歯先端部の
幅及びピッチ、電圧の大きさを実施例6と同様に選定し
て、結晶破壊等をほとんど生じることなく分極反転構造
30を得ることができた。
【0061】実施例8 図12の略線的拡大斜視図を参照して説明する。この場
合は、矢印dで示す方向に単分域化されたニオブ酸リチ
ウムより成る基板10を用いた例で、その一主面1S上
の分極方向に第1の電極1及び第2の電極2を配置す
る。この場合Al等より成る第1の電極1及び第2の電
極2は共に例えば蒸着、スパッタリング等により被着形
成した後、フォトリソグラフィ等の適用によって櫛歯状
にパターニングされて形成され、その櫛歯先端部の幅W
が例えば1μm、ピッチPが例えば2μm、各電極1及
び2の櫛歯先端部間の距離Lは100μm、基板10の
厚さTは1mm程度とされ、かつ各電極1及び2の櫛歯
先端部が対向するように配置されて成る。
【0062】この場合においても、基板10全体を、容
器8中の絶縁液9に浸漬した状態で電圧印加を行うもの
である。このような構成において、150℃以上の温度
下において、第1の電極1及び第2の電極2間に、基板
10の自発分極の負側の第1の電極1が負電位、正側の
第2の電極2が正電位となるように、電圧を2.6kV
として、100μsの幅のパルス電圧を2回以上の例え
ば5回印加して、第1の電極1の櫛歯先端部から延長す
る分極反転領域3を形成し、第1の電極1の櫛歯先端部
のパターンに対応するパターンの周期的な分極反転構造
30を、結晶破壊等をほとんど生じることなく形成する
ことができた。また、電極1及び2間の放電を確実に回
避することができた。
【0063】尚、上述の各例においてはニオブ酸リチウ
ムLN基板に分極反転構造を形成して光導波路デバイス
を得ようとするものであるが、この場合、その電極間の
距離を7μm以上とすることによって、より確実に導波
光の光源である半導体レーザとのカップリング効率を良
好にすることができた。即ち、図3に示すように、光導
波路11の幅Wgは3μm程度とされるが、光源である
半導体レーザのニアーフィールドパターンの直径は6μ
m程度以上であり、導波路端面12においてその幅を拡
げることにより、カップリング効率の向上をはかること
ができる。この場合、電極間距離を7μm以上程度とし
ておくことによって、確実に導波路端面12の近傍にお
いても分極反転構造30が形成されることとなって、変
換効率を損ねることなくこのようなカップリング効率の
向上をはかることが可能となる。
【0064】またこの場合、電極間距離を大として、分
極反転構造を形成する領域をより幅広とすることによっ
て、導波路形成にあたってそのパターニングの位置合わ
せ裕度を大とすることができて作製が容易となり、また
複数の導波路の形成が可能となる。
【0065】更に分極反転周期をÅ単位で精度良く形成
することが難しいが、例えは一方の電極の先端部が他方
の電極の先端部に対し斜めになるようにパターニング
し、電極間距離を小から大へ徐々に変えることによっ
て、導波方向に関しては各分極反転領域の幅及びピッチ
を微小量変化させ、前述のSHG素子における疑似位相
整合を確実に行うようにすることができる。この場合に
おいても、電極間距離を7μm以上、10〜100μm
程度とすることによって、パターニングを容易にするこ
とができる。
【0066】次に、以下の実施例9〜16においては、
タンタル酸リチウム基板上に分極反転構造を形成する場
合について説明する。 実施例9 図1を参照して説明する。この場合タンタル酸リチウム
より成る基板10が厚さ方向に全面的に単分域化されて
成る場合で、その分極の正側の主面1S上にAl,Au
等より成る第1の電極1が例えば櫛歯状パターンにパタ
ーニングされ、分極の負側の裏面1R上には全面的に第
2の電極2が被着されて成る。
【0067】そしてこの例では、基板10全体を、容器
8中のフロリナート(住友3M社製、商品名)等のフロ
ン系耐高電圧液やシリコンオイルなどの絶縁液9に浸漬
した状態で分極の正側即ち第1の電極1側を正電位、分
極の負側即ち第2の電極2側を負電位として電圧を印加
し、第1の電極1の櫛歯パターンに対応するパターンの
分極反転構造を形成した。このとき基板10に印加され
る電界は図5において説明した領域Bの範囲内、即ち反
転電界の15kV程度以上で、破壊電界未満の電界に選
定することが望ましい。
【0068】この場合、基板10の厚さを100μm、
電圧を2.6kVとして100μsの幅のパルスを5回
印加することにより、3.6μm程度の微細な周期の分
極反転構造30を得ることができ、更に、各電極1及び
2の櫛歯部にわたって即ち基板10の全厚さにわたって
分極反転領域が形成され、そのピッチPに対して深さを
大とすることができた。またこのように絶縁液9中にお
いて電圧を印加することによって、電極1及び2間の放
電を確実に回避することができて、結晶破壊を生じるこ
となく制御性よく分極反転構造を得ることができた。
【0069】そしてこのような基板10に対し、図3に
示すように、主面1S上に光導波路11を形成して光導
波路デバイスを作成した。この光導波路11は、例えば
プロトン交換法により、即ち例えばTa等より成るマス
クを導波路11を形成する部分以外にフォトリソグラフ
ィ等の適用によりパターニング形成し、これをマスクと
して20分程度260℃に加熱したりん酸に浸漬して形
成することができる。そしてこのマスクを除去した後光
導波路の端面12を光学研磨して光導波路デバイス即ち
SHG素子を得ることができる。
【0070】この場合、屈折率変化等の特性の変動がな
く、且つそのピッチに対して深さが大とされた周期的な
分極反転構造30が得られることから、確実に疑似位相
整合がなされて、高い光変換効率を有するSHG素子を
得ることができる。
【0071】実施例10 図6を参照して説明する。図6において、図1に対応す
る部分には同一符号を付して示す。この場合においても
基板10が厚さ方向に全面的に単分域化されて成ると共
に、この厚さが700μm以下とされて、その分極の正
側の主面1S上にAl等より成る第1の電極1が櫛歯状
パターンにパターニングされ、この場合分極の負側の裏
面1R上にも同様にAl等より成る櫛歯状パターンの第
2の電極2が、その櫛歯部が主面1S上と裏面1R上と
で相対向して基板10を挟み込むように被着形成されて
成る。そして上述の実施例1と同様に、分極の正側即ち
第1の電極1側を正電位、分極の負側即ち第2の電極2
側を負電位として電圧を印加し、第1の電極1の櫛歯パ
ターンに対応するパターンの分極反転構造30を形成し
た。この場合においても、電界の大きさを実施例1と同
様に選定して、結晶破壊を生じることなく、且つ各電極
1及び2の櫛歯部にわたって即ち基板10の全厚さにわ
たって分極反転構造30が形成され、そのピッチに対し
て深さを大とすることができた。
【0072】またこの場合においても、上述の実施例1
と同様に、主面1S上にプロトン交換法等により光導波
路を形成して光導波路デバイスを作成することができ、
高光変換効率のSHG素子を得ることができる。
【0073】実施例11 図7を参照して説明する。図7において、図6に対応す
る部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この
場合は基板10の裏面1R上に全面的に第2の電極2を
被着形成した例で、この例においても、上述の実施例5
と同様に、第1の電極1のパターンに対応するパターン
の分極反転構造30を得ることができ、更にそのピッチ
に対して深さを大とすることができた。
【0074】またこの場合においても、上述の実施例1
と同様に、主面1S上にプロトン交換法等により光導波
路を形成して光導波路デバイスを作成することができ、
高光交換効率のSHG素子を得ることができる。
【0075】実施例12 図2を参照して説明する。図2において、図1に対応す
る部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この
例では、基板10に凸部即ちリッジ6が形成され、この
リッジ6の長手方向は基板10の矢印dで示す自発分極
方向に直交するように選定され、その長手方向の側壁面
が、分極の正側より成る側面1Aと、負側より成る側面
1Bとにより構成される。この側面1A及び1B上と、
これらに隣接する上側面1E上にわたって前述の図8A
〜Eにおいて説明した製造工程によってAl等より成る
第1の電極1及び第2の電極2が櫛歯状パターンとして
形成される。このとき、櫛歯部は両上側面1E上から両
側面1A及び1Bにわたって形成されるようになし、更
に両側面1A及び1B上の櫛歯先端部が主面1Sの両端
に対向して配置されるようになす。そしてこのリッジ6
の幅方向の厚さTは700μm以下に選定され、第1及
び第2の電極1及び2間の間隔が700μm以下となる
ように選定される。
【0076】このような構成において、第1の電極1側
が正電位、第2の電極2側が負電位となるように電圧を
印加して、リッジ6に分極反転領域3を形成し、各櫛歯
先端部のパターンに対応するパターンの分極反転構造3
0を得ることができた。
【0077】そしてこの場合においても、上述した分極
反転形成のための電圧印加工程の前或いは後に、プロン
ト交換法等によってリッジ6に導波路を形成し、第1の
電極1及び第2の電極2を除去してSHG素子を得るこ
とができる。
【0078】このように、基板10にリッジ6を形成し
て、その側面1A及び1Bに電極を被着して電圧印加を
施す場合は、自発分極に対して平行でない電界成分、即
ち分極反転に直接影響のない電界成分を大幅に減少させ
ることができる。LT結晶においても、この自発分極の
生じる方向に平行でない電界成分が材料に与える応力が
大であるため、このような電界成分を減少させることに
よって、基板10の結果破壊を更に確実に回避すること
ができる。
【0079】またこのような構成によって分極反転を形
成する場合、各分極反転領域3をリッジ6の全厚さにわ
たって形成することができる。従ってこの場合において
も前述の実施例4と同様に、導波路の深さを適切に選定
することによって、導波路の全厚さ或いはそれ以上の深
さにわたって、かつ結晶破壊を殆ど生じることなく分極
反転構造30を形成することができて、これをSHG素
子として用いる場合はSHG効率等の光変換効率を高め
ることができる。
【0080】実施例13 図9を参照して説明する。図9において、図2に対応す
る部分には同一符号を付して重複説明を省略する。この
場合においても、図2において説明した実施例12にお
ける基板10全体を、図1において説明した実施例9と
同様に、容器8中の絶縁液9に浸漬した状態で電圧印加
を行うものである。そしてリッジ6上の幅即ち第1の電
極1及び第2の電極2間の間隔Tを700μm以下に選
定して構成し、また上述の各例と同様に、図5において
領域Bの範囲内の電界に選定して電圧印加を行った。こ
の場合も第1の電極1及び第2の電極2の櫛歯先端部間
に、この櫛歯パターンに対応するパターンの分極反転構
造30が形成されて、この上に光導波路(図示せず)を
形成することによって、高光変換効率のSHG素子を得
ることができた。またこのように絶縁液9中において電
界印加を行うことによって、上述の実施例1と同様に電
極1及び2間の放電を確実に回避することができた。
【0081】実施例14 図10を参照して説明する。この場合は矢印dで示す面
内方向に単分域化されたタンタル酸リチウムより成る基
板10を用いた例で、主面1S上の分極の負側にフォト
リソグラフィ等の適用によってAl等より成る櫛歯状パ
ターンの第1の電極1が被着形成され、一方電極の正側
の側面1B上には全面的にAl等より成る第2の電極2
が蒸着、スパッタリング等により被着形成されて成る。
この場合においても、基板10全体を、容器8中のフロ
リナート(住友3M社製、商品名)等のフロン系耐高電
圧やシリコンオイルなどの絶縁液9に浸漬した状態で電
圧印加を行うものである。
【0082】このとき、第1の電極1のピッチPは2μ
m、幅Wは1μm、主面1S上の各電極1および2の櫛
歯先端部間の距離Lは200μm、基板10の厚さTは
1mmであり、このような構成において、第1の電極1
側が負電位、第2の電極2側が正電位となるように、電
圧を5.2kVとして、100μsの幅のパルス電圧を
2回以上の例えば5回印加して、結晶破壊等をほとんど
生じることなく第1の電極1の櫛歯パターンに対応する
パターンの分極反転構造30を得ることができる。
【0083】実施例15 図11を参照して説明する。図11において、図10に
対応する部分には同一符号を付して重複説明を省略す
る。この場合はタンタル酸リチウムより成る基板10の
分極の正側の側面1A上に、櫛歯状パターンの第1の電
極1を、更に分極の負側の主面1S上に櫛歯状パターン
の第2の電極2をそれぞれ蒸着、スパッタリング等によ
り被着した後フォトリソグラフィ等の適用によって形成
した例で、これら各電極1及び2の櫛歯先端部が主面1
S上と側面1A上とにわたって相対向するようにパター
ニングされるようになす。この場合においても、基板1
0全体を、容器8中の絶縁液9に浸漬した状態で電圧印
加を行うものである。このような構成において、第1の
電極1側が正電位、第2の電極2側が負電位となるよう
に電圧を印加して、第1の電極1及び第2の電極2の櫛
歯パターンに対応するパターンの分極反転構造30を形
成した。この場合においても、櫛歯先端部の幅及びピッ
チ、電圧の大きさを実施例14と同様に選定して、結晶
破壊等をほとんど生じることなく分極反転構造30を得
ることができた。
【0084】実施例16 図12を参照して説明する。この場合は、矢印dで示す
面内方向に単分域化されたタンタル酸リチウムより成る
基板10を用いた例で、その一主面1S上の分極方向に
第1の電極1及び第2の電極2を配置する。この場合A
l等より成る第1の電極1及び第2の電極2は共に例え
ば蒸着、スパッタリング等により被着形成した後、フォ
トリソグラフィ等の適用によって櫛歯状にパターニング
されて形成され、その櫛歯先端部の幅Wが例えば1μ
m、ピッチPが例えば2μm、各電極1及び2の櫛歯先
端部間の距離Lは200μm、基板10の厚さTは1m
m程度とされ、かつ各電極1及び2の櫛歯先端部が対向
するように配置されてなる。
【0085】この場合においても、基板10全体を、容
器8中の絶縁液9に浸漬した状態で電圧印加を行うもの
である。このような構成において、150℃以上の温度
下において、第1の電極1及び第2の電極2間に、基板
10の自発分極の負側の第1の電極1が負電位、正側の
第2の電極2が正電位となるように、電圧を5.2kV
として、200μsの幅のパルス電圧を2回以上の例え
ば5回印加して、第1の電極1の櫛歯先端部から延長す
る分極反転領域3を形成し、第1の電極1の櫛歯先端部
のパターンに対応するパターンの周期的な分極反転構造
30を、結晶破壊等をほとんど生じることなく形成する
ことができた。また、電極1及び2間の放電を確実に回
避することができた。
【0086】尚、上述の実施例においては、15kV/
mm以上の電界を印加して分極反転構造を形成したが、
印加電界の上限、即ち結晶破壊を生じる電界の上限とし
ては、結晶基板試料毎の化学組成比の微量な相違、また
は電界の印加時間等によって大きく異なる。しかしなが
ら確実に結晶破壊を回避し、かつ微細なピッチ、幅で精
度良く分極反転構造を形成するためには、100kV/
mm以下とすることが望ましい。
【0087】尚、上述した各実施例1〜16において
は、基板10上に直接的に電極を被着形成した場合であ
るが、各例共に、この電極と基板10との間に絶縁層を
設けて電圧印加を行ってもよい。
【0088】また、電圧印加に先立って、基板に対して
プロトン交換、電子線等の荷電粒子照射を行う場合は、
基板内の分極が反転し易くなり、分極反転に必要な電圧
値を低減化することができる。
【0089】更に、印加する電界としては、例えば徐々
に振幅が減衰する波形パターンの交流成分を加えた直流
電圧を用いる場合は、基板内の分極に攪乱を与え、これ
によって分極を反転し易くすることもできる。更にパル
ス電圧を用いてその幅及び印加回数を適切に選定するこ
とによって、所要の幅及び深さの分極反転領域を形成す
ることができる。
【0090】
【発明の効果】上述したように、本発明ニオブ酸リチウ
ム及びタンタル酸リチウムの分極制御方法によれば、電
界を印加する電極間の間隔を適切に選定し、反転電界以
上で破壊電界以下の電界を印加することによって、確実
に結晶破壊を生じることなく電極間の間隔に対応する深
さの分極反転構造を確実に形成することができる。
【0091】例えば厚さ方向に単分域化されたLN又は
LT基板に対して本発明を適用する場合は、その深さ方
向に良好な形状制御性をもって分極反転構造を形成する
ことができる。一方、面内方向に単分域化されたLNは
LT基板に対しても分極の正側を正電位、負側を負電位
として適切な電界を印加することにより確実に分極反転
を形成することができ、特に例えば基板上にリッジ等の
凸部を形成して、これを挟むように電極を被着して電圧
を印加する場合は、その凸部の厚さに応じた長さの分極
反転構造を得ることができて、分極反転構造の形状制御
性を向上することができる。
【0092】従ってこのような制御方法を用いて分極反
転構造を形成し、更に光導波路を形成して光導波路デバ
イスを構成する本発明光導波路デバイスの製造方法によ
れば、疑似位相整合を確実に行うことができて、高い光
変換効率のSHG素子を得ることができる。
【0093】また本発明光導波路デバイスは上述の本発
明製造方法により結晶破壊、汚染等を生じることなく形
成し得るものであり、c軸方向に幅及びピッチに比して
大なる深さの分極反転構造を有して成り、高光変換効率
のSHG素子、光変調器等の光導波路デバイスを実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】分極制御方法の一例の一製造工程を示す構成図
である。
【図2】分極制御方法の他の例の一製造工程を示す略線
的拡大斜視図である。
【図3】本発明光導波路デバイスの一例の略線的拡大斜
視図である。
【図4】ニオブ酸リチウムの分極反転電界及び結晶破壊
電界の基板厚依存性を示す図である。
【図5】タンタル酸リチウムの分極反転電界及び結晶破
壊電界の基板厚依存性を示す図である。
【図6】分極制御方法の他の例の一製造工程を示す略線
的拡大斜視図である。
【図7】分極制御方法の他の例の一製造工程を示す略線
的拡大斜視図である。
【図8】分極制御方法の他の例の工程図である。
【図9】分極制御方法の他の例の一製造工程を示す略線
的拡大斜視図である。
【図10】分極制御方法の他の例の一製造工程を示す略
線的拡大斜視図である。
【図11】分極制御方法の他の例の一製造工程を示す略
線的拡大斜視図である。
【図12】分極制御方法の他の例の一製造工程を示す略
線的拡大斜視図である。
【図13】プロトン交換による分極制御方法の一例の一
工程図である。
【図14】プロトン交換法による分極反転領域の略線的
拡大断面図である。
【符号の説明】
1 第1の電極 2 第2の電極 1S 主面 1R 裏面 3 分極反転領域 5 電源 8 容器 9 絶縁液 10 基板 11 光導波路 12 導波路端面 30 分極反転構造
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 G02F 1/37 7246−2K

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 単分域化されたニオブ酸リチウムより成
    る基板に、所定の分極反転構造を形成するニオブ酸リチ
    ウムの分極制御方法において、 上記基板の分極方向に第1及び第2の電極が配置され、
    少なくとも上記第1の電極は最終的に得る分極反転構造
    のパターンに対応するパターンに形成され、 上記第1及び第2の電極間の距離が200μm以下とさ
    れ、 これら第1及び第2の電極間に、上記基板の自発分極の
    負側を負電位、正側を正電位となるように電圧を印加し
    て分極反転構造を形成するようにしたことを特徴とする
    ニオブ酸リチウムの分極制御方法。
  2. 【請求項2】 面内方向に単分域化されたニオブ酸リチ
    ウムより成る基板に、所定の分極反転構造を形成するニ
    オブ酸リチウムの分極制御方法において、 上記基板の一主面上の分極方向に第1及び第2の電極が
    配置され、少なくとも上記第1の電極は最終的に得る分
    極反転構造のパターンに対応するパターンとして上記第
    1及び第2の電極間の距離が7μm〜200μmとなる
    ように形成され、 150℃以下の温度下において、 上記第1及び第2の電極間に、上記基板の自発分極の負
    側を負電位、正側を正電位となるように電圧を印加して
    分極反転構造を形成するようにしたことを特徴とするニ
    オブ酸リチウムの分極制御方法。
  3. 【請求項3】 上記第1及び第2の電極間に印加する電
    圧は15kV/mm以上であることを特徴とする上記請
    求項1または請求項2に記載のニオブ酸リチウムの分極
    制御方法。
  4. 【請求項4】 上記第1及び第2の電極間に印加する電
    圧は少なくとも2以上のパルスからなることを特徴とす
    る上記請求項1または請求項2または請求項3に記載の
    ニオブ酸リチウムの分極制御方法。
  5. 【請求項5】 上記基板全体を絶縁液に浸漬した状態で
    上記第1及び第2の電極間に電圧を印加することを特徴
    とする上記請求項1または請求項2または請求項3また
    は請求項4に記載のニオブ酸リチウムの分極制御方法。
  6. 【請求項6】 上記請求項1または請求項2または請求
    項3または請求項4または請求項5に記載のニオブ酸リ
    チウムの分極制御方法により分極反転構造を形成するこ
    とを特徴とする光導波路デバイスの製造方法。
  7. 【請求項7】 c軸方向に単分域化されたニオブ酸リチ
    ウムより成る基板に光導波路が形成されて成り、この光
    導波路による光導波方向に関して周期的に分極反転構造
    が形成されて成り、上記分極反転構造のc軸方向の厚さ
    が200μm以下とされたことを特徴とする光導波路デ
    バイス。
  8. 【請求項8】 単分域化されたタンタル酸リチウムより
    成る基板に、所定の分極反転構造を形成するタンタル酸
    リチウムの分極制御方法において、 上記基板の分極方向に第1及び第2の電極が配置され、
    少なくとも上記第1の電極は最終的に得る分極反転構造
    のパターンに対応するパターンに形成され、 上記第1及び第2の電極間の距離が700μm以下とさ
    れ、 これら第1及び第2の電極間に、上記基板の自発分極の
    負側を負電位、正側を正電位となるように電圧を印加し
    て分極反転構造を形成するようにしたことを特徴とする
    タンタル酸リチウムの分極制御方法。
  9. 【請求項9】 面内方向に単分域化されたタンタル酸リ
    チウムより成る基板に、所定の分極反転構造を形成する
    タンタル酸リチウムの分極制御方法において、 上記基板の一主面上の分極方向に第1及び第2の電極が
    配置され、少なくとも上記第1の電極は最終的に得る分
    極反転構造のパターンに対応するパターンとして上記第
    1及び第2の電極間の距離が700μm以下となるよう
    に形成され、 150℃以上の温度下において、 これら第1及び第2の電極間に、上記基板の自発分極の
    負側を負電位、正側を正電位となるように電圧を印加し
    て分極反転構造を形成するようにしたことを特徴とする
    タンタル酸リチウムの分極制御方法。
  10. 【請求項10】 上記第1及び第2の電極間に印加する
    電圧は15kV/mm以上であることを特徴とする上記
    請求項8または請求項9に記載のタンタル酸リチウムの
    分極制御方法。
  11. 【請求項11】 上記第1及び第2の電極間に印加する
    電圧は少なくとも2以上のパルスからなることを特徴と
    する上記請求項8または請求項9または請求項10に記
    載のタンタル酸リチウムの分極制御方法。
  12. 【請求項12】 上記基板全体を絶縁液に浸漬した状態
    で上記第1及び第2の電極間に電圧を印加することを特
    徴とする上記請求項8または請求項9または請求項10
    または請求項11に記載のタンタル酸リチウムの分極制
    御方法。
  13. 【請求項13】 上記請求項8または請求項9または請
    求項10または請求項11または請求項12に記載のタ
    ンタル酸リチウムの分極制御方法により分極反転構造を
    形成することを特徴とする光導波路デバイスの製造方
    法。
  14. 【請求項14】 c軸方向に単分域化されたタンタル酸
    リチウムより成る基板に光導波路が形成されて成り、こ
    の光導波路による光導波方向に関して周期的に分極反転
    構造が形成されて成り、上記分極反転構造のc軸方向の
    厚さが700μm以下とされたことを特徴とする光導波
    路デバイス。
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