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JPH05171386A - 溶融金属めっき浴中のドロスの低減方法および装置 - Google Patents

溶融金属めっき浴中のドロスの低減方法および装置

Info

Publication number
JPH05171386A
JPH05171386A JP35277691A JP35277691A JPH05171386A JP H05171386 A JPH05171386 A JP H05171386A JP 35277691 A JP35277691 A JP 35277691A JP 35277691 A JP35277691 A JP 35277691A JP H05171386 A JPH05171386 A JP H05171386A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
dross
plating bath
bath
molten metal
tank
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP35277691A
Other languages
English (en)
Inventor
Toshihiko Oi
利彦 大居
Michitaka Sakurai
理孝 櫻井
Yasuhisa Tajiri
泰久 田尻
Takaaki Kondo
隆明 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Engineering Corp
Original Assignee
NKK Corp
Nippon Kokan Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NKK Corp, Nippon Kokan Ltd filed Critical NKK Corp
Priority to JP35277691A priority Critical patent/JPH05171386A/ja
Publication of JPH05171386A publication Critical patent/JPH05171386A/ja
Pending legal-status Critical Current

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  • Coating With Molten Metal (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【目的】 鋼ストリップに対し、溶融金属めっき処理を
施すに際し、溶融金属めっき浴中に生成したドロスを、
連続的に且つ高い効率で除去し、これによって、表面外
観の優れた溶融金属めっき鋼ストリップを製造する。 【構成】 めっき槽1内のめっき浴2の一部をドロス晶
析槽8に導き、ドロス晶析槽8内においてめっき浴2に
対し、所定温度での冷却および加熱を複数回繰り返し施
して、めっき浴2中から晶析したドロスを成長させそし
てこれを除去し、清浄化しためっき浴2を再加熱した
上、めっき槽1内に戻す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、鋼ストリップの溶融
金属めっき処理中に生成し、溶融金属めっき浴中に存在
するドロスを、連続的に且つ高い効率で除去し、これに
よって、表面外観の優れた溶融金属めっき鋼ストリップ
を製造するための、溶融金属めっき浴中のドロスの低減
方法および装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば、鋼ストリップの連続溶融金属め
っきは、図7に示すように、溶融金属めっき槽1内の溶
融金属めっき浴2中に鋼ストリップ3を導き入れ、鋼ス
トリップ3の進路を、溶融金属めっき浴2内に設けられ
たシンクロール4によって上向きに反転させて溶融金属
めっき浴外に導き、溶融金属めっき槽1の上方に設けら
れた図示しない1対のスリットノズルから噴射される気
体によって、鋼ストリップ3の表面上に付着した金属め
っき層の厚さを調整することにより行われる。
【0003】上述した方法によって、鋼ストリップ3に
対し、例えば連続溶融亜鉛めっき処理を施すに際し、鋼
ストリップを構成する鋼(Fe)が、溶融亜鉛めっき浴の
亜鉛(Zn)および/またはアルミニウム(Al)と反応し
て、めっき浴2中に溶出することが避けられない。即
ち、鋼ストリップ3がめっき浴2に浸漬された直後に、
鋼ストリップ3の表面上に生成するFeZn13がめっき浴2
中に崩落し、めっき浴2中において溶解および析出を繰
り返しながら成長する。その結果、めっき浴2中に、Fe
とZnおよび/またはAlとの反応生成物である、FeZn7, F
eZn13, Fe2Al5,Fe−Al−Zn三元合金等の金属間化合物か
らなるドロス5が晶析する。
【0004】晶析したドロス5は、めっき浴2中に浮遊
するが、そのうち、亜鉛よりも比重の軽い Fe2Al5 (比
重約4.2)は、鋼ストリップ3のめっき浴2中への進入に
よって引き起こされためっき浴2の攪拌によって、めっ
き浴2の表面上に浮かんでトップドロス5aとなり、そし
て、亜鉛よりも比重の重いFeZn7(比重約7.3)は、めっき
槽1の底部に沈降し堆積してボトムドロス5bとなる。こ
のようなドロス5は、めっき浴2内を通過中の鋼ストリ
ップ3の表面上に付着する。その結果、製造された溶融
亜鉛めっき鋼ストリップの亜鉛めっき表面に、ドロスの
付着による凸状の欠陥が発生し、著しく製品の外観を損
なう問題が発生する。
【0005】上述したドロスの除去方法として、次の方
法が知られている。 溶融亜鉛めっき浴の表面上に浮かんでいるトップド
ロスを、機械的に掻き集めることによって除去する(特
開昭61-37956等、以下、先行技術1という) 。 溶融亜鉛めっき槽の底部に沈降し堆積しているボト
ムドロスを、定期的に汲み上げることによって除去する
(以下、先行技術2という)。 溶融亜鉛めっき浴中にアルミニウム等を添加し、ボ
トムドロスをアルミニウムと反応させ、その比重を亜鉛
の比重よりも小さくなしてめっき浴の表面上に浮上さ
せ、除去する(特開昭47-38630、特開昭63-206458 、(
以下、先行技術3という)。
【0006】 溶融亜鉛めっき槽に近接して補助めっ
き槽を設け、溶融亜鉛めっき槽内のめき浴の一部を補助
めっき槽に導き、補助めっき槽内の溶融亜鉛めっき浴を
冷却し、めっき浴温によって生ずるめっき浴中のFeの溶
解度の相違を利用して、補助めっき槽内のめっき浴中か
らドロスを晶析させ、晶析したドロスを補助めっき槽の
底部に沈降させた上、これを除去する(特開昭53-8863
3、以下、先行技術4という) 。 上記の方法において、補助めっき槽内において発
生したドロスを、フィルタによって除去する(実開昭59
-54561、以下、先行技術5という) 。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】上述した先行技術に
は、次のような問題がある。 先行技術1による、めっき浴の表面上に浮かんでい
るトップドロスの除去は比較的容易であり、あまり大き
な問題は生じない。しかしながら、めっき浴中に浮遊し
ている、数10〜数100 μm の粒径の微小なドロスの除去
は困難である。従って、このような微小なドロスがめっ
き浴内を通る鋼ストリップの表面上に付着する結果、め
っき層に凸状の欠陥が発生し、製品外観を損なう問題が
生ずる。
【0008】 先行技術2には、次のような問題があ
る。即ち、先行技術2によって、ボトムドロスを汲み上
げにより除去するためには、操業を一時中止しなければ
ならない。従って、生産性が低下する。強いて、ボトム
ドロスを操業中に除去しようとすると、ボトムドロスが
めっき浴中に拡散する結果、かえって、ドロスがめっき
浴内を通る鋼ストリップに付着する。
【0009】 先行技術3には、次のような問題があ
る。即ち、先行技術3によってボトムドロスを浮上させ
るためには、めっき浴中に適量のアルミニウムを添加し
なければならないが、このような、めっき浴中のアルミ
ニウム量を適正に保つための管理が容易ではない。更
に、アルミニウムには、Fe−Zn合金化反応を抑制する作
用があるために、この方法によって合金化溶融亜鉛めっ
き鋼板を製造すると、添加したアルミニウムによって、
めっき浴中のアルミニウムの濃度が上昇し、亜鉛めっき
層の合金化処理が阻害される結果、合金化処理時間が長
くなって生産性が低下するばかりでなく、均一なFe−Zn
合金めっき層が得られない。
【0010】 先行技術4には、次のような問題があ
る。即ち、補助めっき槽内のめっき浴の温度を下げてド
ロスを晶析させる際に、晶析したドロスの粒径が極めて
小さいため、ドロスの沈降に長時間を要し、しかも晶析
したドロスが再び溶融亜鉛めっき槽内に流入する結果、
ドロスの除去効率が低い。
【0011】 先行技術5には、次のような問題があ
る。即ち、補助めっき槽内に設置したフィルタによって
ドロスを捕集する際に、その初期には粒径の大きいドロ
スも存在するので、粒径の大きいドロスがフィルタの細
孔の一部を閉塞し、これにより、微小ドロスもある程度
捕集し得る。しかしながら、ドロスの除去が進んで、め
っき浴中に微小ドロスしか存在しなくなると、その捕集
効率が極度に低下し、捕集が困難になる。更に、フィル
タは高価でその再利用が困難であるため、製造コストが
上昇する。
【0012】従って、この発明の目的は、上述した問題
を解決し、例えば、鋼ストリップに対し、溶融金属めっ
き処理を施すに際し、溶融金属めっき浴中に晶析したド
ロスを、連続的に且つ高い効率で除去し、これによっ
て、表面外観の優れた溶融金属めっき鋼ストリップを製
造することができる、溶融金属めっき浴中のドロスの低
減方法および装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上述した
問題を解決すべく、先ず、ドロスに関する基礎的な物性
について研究を行った。即ち、連続溶融亜鉛めっき操業
条件に近似する、0.10から0.30wt.%の範囲内のアルミニ
ウムを含有する、431 から474 ℃の範囲内の温度の溶融
亜鉛めっき浴中のFeの溶解度を、浴中のアルミニウム含
有量および浴温との関係において測定した。
【0014】図8はその測定結果を示すグラフである。
図8におて、縦軸はめっき浴中におけるFeの溶解度を、
横軸はめっき浴中のAl含有量をそれぞれ示し、そして、
図中の各印は浴温を示す。図8から明らかなように、め
っき浴中のAl含有量が高くなるに従って、または、浴温
が低くなるに従って、めっき浴中のFeの溶解度は低くな
る。
【0015】図9は、Al含有量が0.13wt.%の溶融亜鉛め
っき浴中におけるFeの溶解度を、浴温との関係におて測
定した結果を示すグラフである。図9から明らかなよう
に、めっき浴の浴温が高くなるに従って、めっき浴のFe
溶解度は高くなる。
【0016】次に、連続溶融亜鉛めっきの実操業データ
に基づいて、めっき浴中から晶析するドロスの量を求め
たところ、浴温が460 ℃の場合のドロス量は、その発生
源であるFe量として1時間当り約10Kgであると推定され
た。一方、図9に示した、Al含有量が0.13wt.%の溶融亜
鉛めっき浴中におけるFeの溶解度に基づき、浴温を460
℃から440 ℃まで冷却したときに、めっき浴中から晶析
したドロスを全量除去し得たと仮定した場合の、ドロス
の収支を計算すると、1分当り1,000Kg 弱の量の溶融亜
鉛めっき浴を処理して、めっき浴中からドロスを除去す
れば、めっき浴中にドロスは存在しなくなることが判明
した。
【0017】次に、めっき浴中におけるドロスの沈降速
度を、既知の物性値に基づいて、下記式(ストークスの
式)により算出した。 U=g・(ρP −ρ)・DP 2 /18μ(m/sec.) なお、使用した物性値は、下記の通りである。 g :重力加速度 9.8 m/sec2 ρP :ドロスの密度 6,860 Kg/m3 (460 ℃でのFeZn7
の推定値) ρ :亜鉛の密度 6,630 Kg/m3 (460 ℃) DP :ドロスの粒径(m) μ :亜鉛の粘度 0.0038Kg/m・sec (460 ℃)
【0018】上記による算出結果を図10に示す。図10か
ら明らかなように、ドロスの粒径が小さくなるに従っ
て、そのめっき浴中における沈降速度は遅くなる。
【0019】本発明者等は、上述したドロスの基礎的物
性を念頭におきながら、種々の条件下において、ドロス
の晶析試験を行った結果、先行技術4に関し、次の新た
な事実が判明した。即ち、先行技術4によれば、補助め
っき槽内の溶融亜鉛めっき浴を冷却すると、冷却された
温度における飽和溶解度になるまで、めっき浴中から過
剰のFeがドロスとして晶析し、そして、経時的に溶解お
よび晶析を繰り返しながら成長するとしている。
【0020】上記の成長したドロスを捕集すれば、めっ
き浴中から高い効率でドロスを除去することができる
が、めっき浴の冷却過程で、既存ドロスの成長と同時に
新たなドロスが晶析し微小ドロスが発生すると、このよ
うな微小ドロスの捕集ができず、従って、ドロスの除去
効率が低下する。
【0021】本発明者等の研究によれば、図11に示すよ
うに、溶融亜鉛めっき浴の浴温と浴中におけるFe溶解度
との関係から、ドロスの成長および溶解には、Fe溶解度
曲線によって、次の3つの領域、即ち、めっき浴中に存
在するドロスは必ず溶解する領域(領域A)、めっき浴
中に存在するドロスは成長するが、新たなドロスは晶析
しない領域(領域B)、および、めっき浴中に存在する
ドロスは成長し、同時に新しいドロスも晶析する領域
(領域C)のあることが判明した。
【0022】図11から明らかなように、既存ドロスのみ
が成長してドロスになり、新たな微小なドロスは晶析し
ない冷却領域は、上記領域Bに限られ極めて狭い。従っ
て、冷却条件を、この限られた領域B内に管理すること
は極めて困難である。即ち、溶融亜鉛めっき浴の冷却
を、図11に矢印で示したように、aからbに向けた条件
で行うと、図12(a) に示した既存ドロス6が、図12(b)
に示すように大きく成長すると同時に新たな微小なドロ
ス7が晶析する。
【0023】上述した研究結果から、溶融金属めっき槽
内のめっき浴の一部を、溶融金属めっき槽に隣接して設
けられたドロス晶析槽内において冷却して、めっき浴中
に溶解しているFe分をドロスとして晶析させ、次いで、
ドロスが晶析しためっき浴を、溶融金属めっき槽内にお
けるめっき浴の温度未満の温度まで加熱して、めっき浴
中に存在する微小なドロスを溶解し、次いで、加熱され
ためっき浴を再び冷却して、前記晶析したドロスを成長
させ、このような、めっき浴に対する加熱および冷却
を、ドロス晶析槽内において複数回繰り返し行えば、新
たな微小なドロスが晶析することなく既存ドロスが成長
し、そして、成長したドロスをめっき浴中から効率的に
分離して除去し得ることを知見した。
【0024】この発明は、上記知見に基づいてなされた
ものであって、この発明は、その中に鋼ストリップを連
続的に導き入れて、前記鋼ストリップに溶融金属めっき
処理を施すための、溶融金属めっき浴を収容する溶融金
属めっき槽に隣接して、加熱および冷却機構を有するド
ロス晶析槽を設け、前記溶融金属めっき槽内のめっき浴
の一部を前記ドロス晶析槽に導き入れ、前記ドロス晶析
槽内において、前記めっき浴の一部を冷却して、めっき
浴中に溶解している鉄分をドロスとして晶析させ、次い
で、前記ドロスが晶析しためっき浴を、前記溶融金属め
っき槽内のめっき浴の温度未満の温度まで加熱し、次い
で、前記加熱されためっき浴を再び冷却し、このよう
な、めっき浴に対する加熱および冷却を、前記ドロス晶
析槽内において複数回繰り返し行うことにより、晶析し
た前記ドロスを成長させ、そして、成長したドロスを前
記めっき浴中から分離して除去し、このようにしてドロ
スが除去された清浄なめっき浴を、前記溶融金属めっき
槽内のめっき浴の温度まで再加熱して、前記清浄なめっ
き浴中の鉄分の許容溶解量を大になし、次いで、再加熱
された前記清浄なめっき浴を、前記溶融金属めっき槽内
に戻すことに特徴を有するものである。
【0025】
【作用】次に、この発明の作用を、図1および図2に基
づいて説明する。この発明においては、図1に示すよう
に、先ず、溶融金属めっき槽内における、前述した領域
Aの温度の溶融金属めっき浴の一部を、溶融金属めっき
槽に隣接して設けられたドロス晶析槽内において、矢印
aからbに示すように、領域Bの温度を通り領域Cの温
度まで冷却して、めっき浴中に溶解しているFeをドロス
として晶析させる。その結果、図2(a) に示した既存ド
ロス6が、図2(b) に示すように大きく成長すると同時
に、新たな微小なドロス7が晶析する。
【0026】次いで、めっき浴を、図1の矢印bからc
に示すように、領域Bの温度を通り、溶融金属めっき槽
内におけるめっき浴の温度即ち領域Aの温度未満の温度
まで加熱する。その結果、図2(c) に示すように、新た
な微小なドロス7が溶解する。次いで、めっき浴を、図
1の矢印cからdに示すように、領域Bの温度を通り、
領域Cの温度まで冷却して、図2(d) に示すように、既
存ドロス6を成長させる。その際、新たな微小なドロス
7が晶析する。
【0027】次いで、めっき浴を、図1の矢印dからe
に示すように、再び、領域Aの温度未満の温度まで加熱
する。その結果、図2(e) に示すように、図2(d) に示
した微小なドロス7が溶解する。次いで、めっき浴を、
図1の矢印eからfに示すように、再び、領域Bの温度
を通り、領域Cの温度まで冷却して、図2(f) に示すよ
うに、既存ドロス6を成長させる。
【0028】このように、めっき浴に対する加熱および
冷却を、ドロス晶析槽内において、例えば、図3に示す
ように複数回繰り返し行い、図1の領域B即ちめっき浴
中に存在するドロスは成長するが、新たなドロスは晶析
しない領域を複数回通過させることによって、既存ドロ
スは成長する。そして、ドロス晶析槽内のめっき浴を、
溶融金属めっき槽内におけるめっき浴の温度未満即ち領
域Aの温度未満の温度まで複数回加熱することにより、
晶析した微小なドロス7は溶解して、粒径の大きいドロ
スが選択的に成長する。従って、めっき浴中から、成長
した粒径の大きいドロスを、効率的に分離して除去する
ことができる。なお、めっき浴に対する加熱および冷却
の繰り返し回数は、操業中に鋼ストリップ等からめっき
浴中に溶出するFeの量、および、ドロス晶析槽の容量等
から適宜選択する。
【0029】このようにしてドロスが除去されためっき
浴を、溶融金属めっき槽内におけるめっき浴の温度まで
再加熱して、めっき浴中におけるFe分の許容溶解量を大
きくした後、溶融金属めっき槽内に戻す。その結果、溶
融金属めっき槽内のめっき浴中に浮遊するドロスは溶解
し、めっき浴中のドロス量は低減される。
【0030】図4は、この発明の方法を実施するための
装置の一例を示す概略断面図、図5は、その概略平面図
である。図4および図5に示すように、鋼ストリップ3
に溶融金属めっき処理を施すための溶融金属めっき槽1
に隣接して、例えば、2つのドロス晶析槽8a,8b が設け
られている。ドロス晶析槽8a,8b の各々には、その中の
めっき浴を加熱しまたは冷却するための、加熱、冷却機
構9が設けられている。加熱、冷却機構9は、例えば、
ドロス晶析槽8a,8b の各外周に設けられた、晶析槽を加
熱するヒーターおよび晶析槽を冷却する冷媒循環装置か
らなっている。ドロス晶析槽8a,8b の各々には、例え
ば、沈降分離、衝突板、フィルター等からなる図示しな
いドロス除去装置が設けられている。10は、ドロス晶析
槽8a,8b の各々の底部に設けられたドロス排出口であ
る。
【0031】ドロス晶析槽8a,8b の各々に隣接して、再
加熱槽11が設けられている。再加熱槽11の外周には、再
加熱槽11内のめっき浴を加熱するためのヒーター12が設
けられている。
【0032】13a,13b は、溶融金属めっき槽1内のめっ
き浴の一部をドロス晶析槽8a,8b 内に導くための、途中
にポンプ14a,14b を有する第1導管であり、15a,15b
は、ドロス晶析槽8a,8b 内のめっき浴を再加熱槽11内に
導くための、途中に開閉バルブ16a,16b を有する第2導
管であり、そして、17は、再加熱槽11内のめっき浴を、
溶融金属めっき槽1内における、シンクロール4と鋼ス
トリップ1との間に挟まれた三角地帯19に導くための、
その途中にポンプ18を有するめっき浴還流機構としての
第3導管である。
【0033】溶融金属めっき槽1内のめっき浴2の一部
を、ポンプ14a の作動により、第1導管13a を通してド
ロス晶析槽8a内に導く。ドロス晶析槽8a内のめっき浴2
に対し、加熱、冷却機構9によって、前述した図1の領
域B即ちめっき浴中に存在するドロスは成長するが、新
しいドロスは晶析しない領域を通る加熱および冷却を、
複数回繰り返し施す。その結果、めっき浴2中に溶解し
ているFeはドロスとして晶析され、そして、新たな微細
なドロスが晶析することなく、粒径の大きいドロスが選
択的に成長する。このようにして成長したドロスを、図
示しないドロス除去装置によって分離して除去し、ドロ
ス晶析槽8a,8b の各々の底部に設けられたドロス排出口
10から除去する。かくして、めっき浴2は清浄化され
る。
【0034】次いで、第2導管15a の開閉バルブ16を開
き、清浄化されためっき浴2を第2導管15を通って再加
熱槽11に導き、再加熱槽11内において、清浄化されため
っき浴2を、溶融金属めっき槽1内のめっき浴の温度ま
で再加熱する。次いで、ポンプ18を作動させ、再加熱さ
れためっき浴2を、第3導管17を通って、溶融金属めっ
き槽1内の、シンクロール4と鋼ストリップ1との間に
挟まれた三角地帯19に戻す。その結果、三角地帯19部分
のめっき浴中に存在するドロスは溶解する。従って、溶
融金属めっき槽1内を通る鋼ストリップ3に対し、ドロ
スが付着することなく溶融金属めっき処理が施される。
【0035】この例においては、ドロス晶析槽は2基設
けられているが、1基のみでもよくまたは3基以上であ
ってもよい。ドロス晶析槽を複数基設けた場合には、こ
れらの複数基のドロス晶析槽を同時に作動させてもよ
く、または、交互に作動させてもよい。複数基のドロス
晶析槽を同時に作動させれば、短時間で効率的にめっき
浴中からドロスを除去することができ、また、複数基の
ドロス晶析槽を交互に作動させれば、連続的にめっき浴
中からドロスを除去することができる。
【0036】
【実施例】次に、この発明を、実施例により説明する。
鋼ストリップ3に対し溶融亜鉛めっき処理を施すに当
り、図4および5に示した装置により、溶融金属めっき
槽1内における460 ℃の温度の溶融亜鉛めっき浴2の一
部を、第1導管13a を通してドロス晶析槽8a内に導い
た。そして、ドロス晶析槽8a内のめっき浴2に対し、前
述した図1の領域Bを通る、460 ℃未満の加熱および44
0 ℃までの冷却を複数回繰り返し施してめっき浴を清浄
化した後、清浄化されためっき浴を溶融亜鉛めっき槽1
内に戻した。なお、めっき浴の循環量は0.3m3/min であ
った。
【0037】除去されたドロス量は、成分分析から計算
したFe分として、約40Kgであった。めっき浴をサンプリ
ングし、めっき浴中に浮遊するドロスを観察した結果、
図6に白丸印で示すように、加熱および冷却を5時間施
した後においては、殆ど存在しなかった。
【0038】比較のために、図4および5に示した装置
は使用したが、ドロス処理槽8a内の溶融亜鉛めっき浴2
に対し440 ℃の温度による冷却のみを5時間施した後、
分離したドロスを除去した。除去されたドロス量は、成
分分析から計算したFe分として、約10Kgであった。めっ
き浴をサンプリングし、めっき浴中に浮遊するドロスを
観察した結果、図6に黒丸印で示すように、440 ℃の温
度による冷却を5時間施した後においても、ドロスは存
在していた。
【0039】本発明の方法および装置は、実施例に示し
た溶融亜鉛めっき浴の処理に限られるものではなく、例
えば、溶融亜鉛−アルミニウム合金めっき浴、溶融アル
ミニウムめっき浴、どぶ漬亜鉛めっき浴等、どのような
溶融金属めっき浴に対しても適用することができる。
【0040】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
鋼ストリップに対し、溶融金属めっき処理を施すに際
し、溶融金属めっき浴中に晶析したドロスを、連続的に
且つ高い効率で除去し、これによって、表面外観の優れ
た溶融金属めっき鋼ストリップを製造することができ
る、工業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の原理を示す、溶融金属めっき浴中に
おけるドロスの晶析操作を示すグラフである。
【図2】図1に示した晶析操作によって生ずる、溶融金
属めっき浴中からのドロスの生成状態を示す図である。
【図3】この発明における加熱、冷却サイクルの一例を
示すグラフである。
【図4】この発明の方法を実施するための装置の1実施
態様を示す概略断面図である。
【図5】図4の概略平面図である。
【図6】この発明の実施例におけるめっき浴中から分離
したドロス量を、比較例と共に示すグラフである。
【図7】連続溶融亜鉛めっき装置の一例を示す概略断面
図である。
【図8】ドロス源であるFeの溶解度を、浴中のアルミニ
ウム含有量および浴温との関係において測定した結果を
示すグラフである。
【図9】浴中のアルミニウム含有量が0.13wt.%の場合の
浴温とFeの溶解度との関係を示すグラフである。
【図10】ドロスの粒径と、めっき浴中におけるドロスの
沈降速度との関係を示すグラフである。
【図11】従来の方法における、溶融亜鉛めっき浴中にお
けるドロスの晶析操作を示すグラフである。
【図12】図11に示した晶析操作によって生ずる、溶融亜
鉛めっき浴中からのドロスの生成状態を示す図である。
【符号の説明】
1 溶融金属めっき槽、 2 溶融金属めっき浴、 3 鋼ストリップ、 4 シンクロール、 5 ドロス、 6 既存ドロス、 7 新たに晶析した微小なドロス、 8a,8b ドロス晶析槽、 9 加熱、冷却機構、 10 ドロス排出口、 11 再加熱槽、 12 ヒーター、 13a,13b 第1導管、 14a,14b ポンプ、 15a,15b 第2導管、 16a,16b 開閉バルブ、 17 第3導管、 18 ポンプ、 19 三角地帯。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 近藤 隆明 東京都千代田区丸の内一丁目1番2号 日 本鋼管株式会社内

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 その中に鋼ストリップを連続的に導き入
    れて、前記鋼ストリップに溶融金属めっき処理を施すた
    めの、溶融金属めっき浴を収容する溶融金属めっき槽に
    隣接して、加熱および冷却機構を有するドロス晶析槽を
    設け、 前記溶融金属めっき槽内のめっき浴の一部を前記ドロス
    晶析槽に導き入れ、前記ドロス晶析槽内において、前記
    めっき浴の一部を冷却して、めっき浴中に溶解している
    鉄分をドロスとして晶析させ、 次いで、前記ドロスが晶析しためっき浴を、前記溶融金
    属めっき槽内のめっき浴の温度未満の温度まで加熱し、
    次いで、前記加熱されためっき浴を再び冷却し、このよ
    うな、めっき浴に対する加熱および冷却を、前記ドロス
    晶析槽内において複数回繰り返し行うことにより、晶析
    した前記ドロスを成長させ、このようにして、成長した
    ドロスを前記めっき浴中から分離して除去し、 次いで、ドロスが除去された清浄なめっき浴を、前記溶
    融金属めっき槽内のめっき浴の温度まで再加熱して、前
    記清浄なめっき浴中の鉄分の許容溶解量を大になし、次
    いで、再加熱された前記清浄なめっき浴を、前記溶融金
    属めっき槽内に戻すことを特徴とする、溶融金属めっき
    浴中のドロスの低減方法。
  2. 【請求項2】 鋼ストリップに溶融金属めっき処理を施
    すための、溶融金属めっき浴を収容する溶融金属めっき
    槽に隣接して設けられた、前記溶融金属めっき槽内のめ
    っき浴の一部を導き入れ、前記めっき浴に対し加熱およ
    び冷却を複数回繰り返し施して、めっき浴中からドロス
    を晶析しそして晶析したドロスを成長させるための、加
    熱および冷却機構を有するドロス晶析槽と、 前記ドロス晶析槽に設けられた、前記ドロスをめっき浴
    中から除去するためのドロス除去機構と、 前記ドロス晶析槽に隣接して設けられた、前記ドロス晶
    析槽内の清浄化されためっき浴を導き入れ、前記清浄化
    されためっき浴を所定温度に加熱するための再加熱槽
    と、 前記清浄化されそして再加熱された前記めっき浴を、前
    記溶融金属めっき槽内に戻すためのめっき浴還流機構と
    からなることを特徴とする、溶融金属めっき浴中のドロ
    スの低減装置。
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