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JPH0516381A - インク収納部、該インク収納部を有するインクジエツトカートリツジ及び該カートリツジを用いた記録装置 - Google Patents

インク収納部、該インク収納部を有するインクジエツトカートリツジ及び該カートリツジを用いた記録装置

Info

Publication number
JPH0516381A
JPH0516381A JP17406091A JP17406091A JPH0516381A JP H0516381 A JPH0516381 A JP H0516381A JP 17406091 A JP17406091 A JP 17406091A JP 17406091 A JP17406091 A JP 17406091A JP H0516381 A JPH0516381 A JP H0516381A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
ink
absorber
recording
cartridge
ink jet
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP17406091A
Other languages
English (en)
Inventor
Takahisa Kawamura
高久 川村
Seiichiro Karita
誠一郎 刈田
Masahiko Hikuma
昌彦 日隈
Teruo Arashima
輝雄 荒島
Masami Ikeda
雅実 池田
Nobuyuki Kuwabara
伸行 桑原
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Canon Inc
Original Assignee
Canon Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Canon Inc filed Critical Canon Inc
Priority to JP17406091A priority Critical patent/JPH0516381A/ja
Publication of JPH0516381A publication Critical patent/JPH0516381A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 吐出エネルギー発生手段と、これに供給する
インクを保持するインク吸収体(高分子弾性多孔質体)
が収納されたインク収納部であって、このインク吸収体
は顔料分散用可塑剤は含まず、洗浄されることなく圧縮
されながら収納されることを特徴とするインク収納部、
これを有するインクジェットカートリッジおよびインク
ジェット記録装置。 【効果】 連続記録特性、回復特性、インク易動特性、
長期保存性、記録品位など各種特性に優れ、低コストで
十分な機能を有し、洗浄工程も不要で製造も簡易であ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、吐出エネルギー発生手
段へ供給するためのインクを保持するインク吸収体が収
納されたインク収納部、該インク収納部を有するインク
ジェットカートリッジ、及び該カートリッジを用いた記
録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】吸収体をインク収容室内部に使用する構
成は、インクジェット記録ヘッドと一体または、これに
着脱可能な構成になっているインクタンクに実用化され
ているが、製造工程が複雑であり、インク記録分野以外
の一般的な分野での物品をそのまま適用する方式のみで
あった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来技術の動向にあって、弾性多孔質インク吸収体に着
目したもので、製造工程を簡略化して製造費用を低減化
でき、且つインク収納室内での吸収体自体によるインク
記録特性を向上できる新規な課題を掲げ、これを達成す
るものである。
【0004】本発明の完成において、以下に注目すべき
技術内容を記すことにする。
【0005】まず、従来の吸収体は、インク収容室に挿
入する際にわずかに圧縮されるものの、その前段階で、
かなりの割合の圧縮状態にさらされている。このこと
は、この前段階で、吸収体の復元能力をかなり押さえた
状態を形成することになり、吸収体の構成内部に変化を
強いていることが本発明の検討段階において初めて判明
されたことである。
【0006】一方、吸収体自体は、通常製造段階におい
て、吸収体に一般的な分野にとって好ましい所望の特性
を持たせるために顔料を添加しており、その顔料の分散
剤として可塑剤を使用しているものが通常である。
【0007】しかしながら、この分散剤は、インク記録
の分野にとって不都合な要因となることが判明したので
ある。インク記録に使用されるインクには、着色成分と
して顔料や染料が含まれており、記録媒体に対して定着
性を向上するための成分も含まれている。ところが、こ
のような分散剤がインク中に含まれることによって記録
画像やインク吐出状態が影響を受けてしまうという新規
な技術課題として見いだされたのである。
【0008】本発明の目的は、かかる従来技術の新規な
技術課題を解決するために、インク吸収体からインク中
へ溶出して記録品位を劣化させる要因となる不純物の溶
出を抑えたインク収納部、該インク収納部を有するジェ
ットカートリッジ、及び該カートリッジを用いた記録装
置を提供することにある。
【0009】また更に本発明の他の目的は、このような
不純物の溶出による記録品位の劣化を防止し、長期にわ
たり安定した記録品位を保つことのできるインク吸収体
を有するインク収納部、該インク収納部を有するジェッ
トカートリッジ、及び該カートリッジを用いた記録装置
を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、前述したよう
に新規な課題を追求した課程において、種々の使用方法
や記録方法について多方面からの検討結果において主た
る要因を明確にした結果において完成された発明であ
る。その主たる構成要件は、いずれの使用状態において
も適正なインク保持力、負圧発生力、長期使用特性を満
足できるインク吸収体自体の特性、あるいは、使用状態
におけるインク保持状態でのインクに対するインク吸収
体の使用環境における状態変化特性に大別できる。これ
らのいずれにおいても、インク中へ溶出するインク吸収
体からの溶出物が共通の新規な技術的問題点となってい
る。
【0011】本発明の他の目的及び概要は以下の説明か
ら理解できよう。尚、以下の実施例は、本発明の最適実
施例を中心に説明するが、本発明は、明細書中に開示さ
れている発明思想を適用するものすべてを含むものであ
ることは言うまでもない。
【0012】本発明は、吐出エネルギー発生手段と、該
吐出エネルギー発生手段へ供給するためのインクを保持
するインク吸収体が収納されたインク収納部であって、
該インク吸収体が連続気泡を内部に有する高分子弾性多
孔質体から成り、前記インク吸収体は、該インク吸収体
を着色するための顔料を分散させるための分散剤として
の可塑剤を含まず、洗浄剤によって洗浄されることな
く、前記インク収納部へ圧縮されながら収納されること
を特徴とする。
【0013】更に本発明は、吐出エネルギー発生手段
と、該吐出エネルギー発生手段へ供給するためのインク
を保持するインク吸収体が収納されたインク収納部を有
するインクジェットカートリッジであって、該インク吸
収体が連続気泡を内部に有する高分子弾性多孔質体から
成り、前記インク吸収体は、該インク吸収体を着色する
ための顔料を分散させるための分散剤としての可塑剤を
含まず、洗浄剤によって洗浄されることなく、前記イン
ク収納部へ圧縮しながら収納されることを特徴とする。
【0014】また更に本発明は、吐出エネルギー発生手
段と、該吐出エネルギー発生手段へ供給するためのイン
クを保持するインク吸収体が収納されたインク収納部を
有するインクジェットカートリッジと、該インクジェッ
トカートリッジを所定方向へ移動可能なキャリッジと、
吐出エネルギー発生手段に電気信号を供給する手段とを
有するインクジェット記録装置であって、該インク吸収
体が連続気泡を内部に有する高分子弾性多孔質体から成
り、前記インク吸収体は、該インク吸収体を着色するた
めの顔料を分散させるための分散剤としての可塑剤を含
まず、洗浄剤によって洗浄されることなく、前記インク
収納部へ圧縮されながら収納されることを特徴とする。
【0015】
【実施例】次に、本発明の実施例について図面に基づい
て説明する。
【0016】図1は、本発明の一実施例のインクジェッ
ト記録装置で使用されるインクジェットカートリッジ1
1の斜視図、図2はインクジェットカートリッジ11の
構成を示す分解図である。以下、図2を中心に説明し、
合わせて参照する図面については括弧内にその図面番号
を記す。
【0017】インクジェットカートリッジ11は、多数
の吐出口30が一体的に形成された記録ヘッドに相当す
るインクジェットヘッド12と、インクジェットヘッド
12を含みこれへの電気配線、インクの配管がまとめら
れたインクジェットユニット13と、インクを収納する
インクタンク14とが一体的に設けられたものである。
本例のインクジェットカートリッジ11は、インクの収
納割合が従来のものより大きくなっており、インクタン
ク14の前面よりもわずかにインクジェットユニット1
3の先端部が突出している。このインクジェットカート
リッジ11は、インクジェット記録装置本体15に載置
されているキャリッジ16の後述する位置決め手段及び
電気的接点によって固定支持されるとともに、キャリッ
ジ16に対して着脱可能なディタッチャブルタイプのも
のである(図5参照)。
【0018】まず、インクジェットヘッド12の構成に
ついて説明する。
【0019】図3に示すように、インクジェットヘッド
12には、列状に設けられた複数個の吐出口30から記
録液(インク)を吐出させるために、印加電圧が供給さ
れて熱エネルギーを発生させる電気熱変換体40が各液
路毎に配設されている。そして駆動信号を印加すること
によって、電気熱変換体40に熱エネルギーを発生せし
めて膜沸騰を生じさせインク液路内に気泡を形成する。
そしてこの気泡の成長によって吐出口30からインク滴
を吐出させるようになっている。各電気熱変換体40は
シリコン基板からなるヒータボード100上に設けら
れ、各電気熱変換体40に電力を供給するアルミニウム
等の配線(不図示)とともに成膜技術により一体的に形
成されている。複数のインク流路をそれぞれ区分するた
めの隔壁や各インク流路へ供給されるインクを一時的に
収納する共通液室1301等を設けた溝付天板1300
と、インクタンク14からのインクを共通液室1301
に導入するためのインク受け口1500と、各インク流
路に対応した吐出口30を複数個有するオリフィスプレ
ート400とは一体成型されており、その材料としてポ
リスルホンが好ましいが、ポリエーテルスルホン,ポリ
フェニレンオキシド,ポリプロピレンなどの他の成型用
樹脂材料を用いてもよい。
【0020】次に、インクジェットユニット13の構成
について説明する。
【0021】配線基板200の一端は、インクジェット
ヘッド12のヒータボード100の配線部分と相互に接
続され、さらに配線基板200の他端部には、本体装置
からの電気信号を受けるための各電気熱変換体40(図
3)に対応した複数個のパッド201が設けられてい
る。このことにより本体装置からの電気信号は、それぞ
れの電気熱変換体40に供給されるようになる。
【0022】配線基板200の裏面を平面で支持する金
属製の支持体300は、インクジェットユニット13の
底板となる。押えばね500はM字形状であり、そのM
字の中央で共通液室1301(図3)を軽圧で押圧する
とともに、その前だれ部501で液路の一部、好ましく
は吐出口30近傍の領域を線圧で集中押圧する。ヒータ
ボード100と天板1300とは、押えばね500の足
部が支持体300の穴3121を通って支持体300の
裏面側に係合することによって、挟み込んだ状態で係合
され、押えばね500とその前だれ部501の集中付勢
力によって相互に圧着固定される。支持体300は、イ
ンクタンク14の2つの位置決め用凸起1012および
位置決めかつ熱融着保持用突起1800,1801にそ
れぞれ係合する穴312,1900,2000を有する
ほか、キャリッジ16に対する位置決め用の突起250
0,2600を裏面側に有している。また、支持体30
0には、インクタンク14からのインク供給管2200
(後述)を貫通可能にする穴320が設けられている。
支持体300に対する配線基板200の取付けは、接着
剤等による貼着で行なわれる。
【0023】支持体300の凹部2400,2400
は、それぞれ突起2500,2600の近傍に設けられ
ており、組立てられたインクジェットカートリッジ11
(図1)において、その周囲の3辺が平行溝3000,
3001で形成されたヘッドの先端領域の延長点にあっ
て、ゴミやインク等の不要物が突起2500,2600
に至らないようにしている。この平行溝3000の形成
されている蓋部材800は、図5に示されるように、イ
ンクジェットカートリッジ11の外壁を形成するととも
に、インクタンク14との間にインクジェットユニット
13を収納する空間を形成する。また、平行溝3001
が形成されているインク供給部材600は、前述のイン
ク供給管2000に連続するインク導管1600をイン
ク供給管2200側を固定した片持ちばりとして形成
し、さらにインク導管1600の固定側とインク供給管
2200との間の毛細管現象を確保するための封止ピン
602が挿入されている。なお、インクタンク14とイ
ンク供給管2200との結合シールを行なうパッキン6
01が設けられ、インク供給管2200のインクタンク
14側の端部にはフィルター700が設けられている。
【0024】このインク供給部材600は、モールド成
型で作られるので、安価で位置精度が高く、製造上の精
度低下がなく、さらに片持ちばり構造のインク導管16
00によって大量生産時においてもインク導管1600
のインク受け口1500に対する圧接状態が安定してい
る。本例では、この圧接状態下で、封止用接着剤をイン
ク供給部材600側から流し込むだけで、より完全な連
通状態を確実に得ることができる。なお、インク供給部
材600の支持体300に対する固定は、インク供給部
材600の裏面側の2本のピン(不図示)を支持体30
0の穴1901,1902にそれぞれ貫通突出させ、こ
れを熱融着することにより簡単に行なわれる。この熱融
着された裏面部のわずかな突出領域は、インクタンク1
4のインクジェットユニット13取付側の側面のくぼみ
(不図示)内に収められるので、インクジェットユニッ
ト13の位置決め面は正確に得られる。
【0025】次に、インクタンク14の構成について説
明する。
【0026】インクタンク14は、カートリッジ本体1
000とインク吸収体900と蓋部材1100とからな
り、インク吸収体900を上記インクジェットユニット
13とは反対側からカートリッジ本体1000に挿入
後、蓋部材1100でこれを封止することによって形成
される。
【0027】インク吸収体900は、インクを含浸して
保持するためのものであり、カートリッジ本体1000
内に配置される。その詳細については後述する。インク
供給口1200は、インクジェットユニット13にイン
クを供給するためのものであるとともに、インクジェッ
トカートリッジ11の組み立て工程においては、インク
をインク吸収体900に含浸させるための供給口ともな
る。さらに、インクタンク14には、大気を内部に連通
するための大気連通口1401が設けられ、大気連通口
1401からのインクのもれを防ぐため、その内方に撥
液材1400が配置されている。
【0028】本例では、インク吸収体900からのイン
ク供給を良好に行なうために、カートリッジ本体100
0内のリブ2300と蓋部材1100の部分リブ231
0,2320によって形成されたインクタンク14内の
空気存在領域が、大気連通口1401側から連続し、イ
ンク供給口1200から最も遠い角部の領域にわたって
形成されるように構成しているので、インク吸収体90
0への相対的に良好かつ均一なインク供給がこのインク
供給口1200側から行なわれることが重要である。こ
の方法は実用上極めて有効である。このリブ2300
は、インクタンク14のカートリッジ本体1000の後
方面において、キャリッジ16(図6)の移動方向に平
行に4本設けられ、インク吸収体900が後方面に密着
することを防止している。また、部分リブ2310,2
320は、リブ2300のそれぞれに対応してその延長
上にあたる蓋部材1100の内面に設けられているが、
リブ2300とは異なり分割された状態となっていて空
気の存在空間を前者より増加させている。なお、部分リ
ブ2310,2320は蓋部材1100の全面積の半分
以下の面に分散された形となっている。これらのリブに
よって、インク吸収体900のインク供給口1200か
ら最も遠い角部の領域のインクを、より安定させつつも
確実にインク供給口1200側へ毛細管力で導びくこと
ができた。
【0029】前述したインクタンク14のインク収容空
間は長方体形状であり、その長辺を側面にもつ場合であ
るので上述したリブの配置構成は特に有効であるが、キ
ャリッジ16(図6)の移動方向に長辺を持つ場合また
は立方体の場合は、蓋部材1100の全体にリブを設け
るようにすることでインク吸収体900からのインク供
給を安定化できる。限られた空間内にインクを出来るだ
け収納するためには直方体形状が適しているが、この収
納されたインクを無駄なく記録に使用するためには、上
述したように、角部の領域に対して近接する2面領域に
上記作用を行なえるリブを設けることが重要である。さ
らに本実施例におけるインクタンク14の内面リブは、
直方体形状のインク吸収体900の厚み方向に対してほ
ぼ均一な分布で配置されている。この構成は、インク吸
収体900全体のインク消費に対して、大気圧分布を均
一化しつつインク使用量を実質上最大限使用することが
出来る構成である。さらに、このリブの配置上の技術思
想を詳述すれば、直方体の4角形上面においてインクタ
ンク14のインク供給口1200を投影した位置を中心
として、長辺を半径とする円弧を描いたときに、その円
弧よりも外側に位置する吸収体に対して、大気圧状態が
早期に与えられるようにその円弧よりも外側の面に上記
リブを配設することが重要となる。この場合、インクタ
ンクの大気連通口は、このリブ配設領域に大気を導入で
きる位置であれば、本例に限られることではない。
【0030】加えて、本実施例は、インクジェットカー
トリッジ11のインクジェットヘッド12に対する後方
面を平面化して、装置に組み込まれたときの必要スペー
スを最小化するとともに、インクの収容量を最大化する
構成をとっているため、装置の小型化を達成できるだけ
ではなく、カートリッジの交換頻度を減少できる優れた
ものとなっている。そして、インクジェットユニット1
3を一体化するための空間の後方部を利用して、そこに
大気連通口1401用の突出部分を形成し、この突出部
分の内部を空洞化して、ここに前述したインク吸収体9
00厚み全体に対する大気圧供給空間1402を形成し
てある。このように構成することで、従来には見られな
い優れたインクジェットカートリッジを提供できた。な
お、この大気圧供給空間1402は、従来のものよりも
はるかに大きい空間であり、上記大気連通口1401が
上方に位置しているので、何らかの異常でインクがイン
ク吸収体900から離脱しても、この大気圧供給空間1
402は、そのインクを一時的に保持でき、確実にイン
ク吸収体900に回収させることができ、無駄のない優
れたカートリッジを提供できる。
【0031】また、インクタンク14のインクジェット
ユニット13の取付面の構成は図4によって示されてい
る。オリフィスプレート400の吐出口のほぼ中心を通
って、インクタンク14の底面もしくはキャリッジ16
の表面の載置基準面に平行な直線をL1 とすると、支持
体300の穴312に係合する2つの位置決め用凸起1
012はこの直線L1 上にある。この凸起1012の高
さは支持体300の厚みよりわずかに低く、支持体30
0の位置決めを行う。この図面上で直線L1 の延長上に
は、図5に示すように、キャリッジ16の位置決め用フ
ック4001の90゜角の係合面4002が係合する爪
2100が位置しており、キャリッジ16に対する位置
決めの作用力がこの直線L1 を含む上記基準面に平行な
面領域で作用するように構成されている。後述するよう
に、これらの関係は、インクタンク14のみの位置決め
の精度がインクジェットヘッド12の吐出口の位置決め
精度と同等となるので有効な構成となる。
【0032】また、支持体300のインクタンク14側
面への固定用穴1900,2000にそれぞれ対応する
インクタンク14の突起1800,1801は前述の凸
起1012よりも長く、支持体300を貫通して突出し
た部分を熱融着して支持体300をその側面に固定する
ためのものである。上述の線L1 に垂直でこの突起18
00を通る直線L3 、突起1801を通る直線L2 とし
たとき、直線L3 上にはインク供給口1200のほぼ中
心が位置するので、インク供給口1200とインク供給
管2200との結合状態は安定化し、落下や衝撃によっ
てもこれらの結合状態への負荷が軽減される。また、直
線L2 ,L3 は一致せず、インクジェットヘッド12の
吐出口側の凸起1012周辺に突起1800,1801
が存在しているので、さらにインクジェットヘッド12
のインクタンク14に対する位置決めの補強効果を生ん
でいる。なお、曲線L4 は、インク供給部材600の装
着時の外壁位置である。突起1800,1801はその
曲線L4 に沿っているので、インクジェットヘッド12
の先端側構成の重量に対しても充分な強度と位置精度を
与えている。インクタンク14の先端ツバ2700は、
キャリッジ16の前板4000(図5)の穴に挿入され
て、インクタンク14の変位が極端に悪くなるような異
変時に対して設けられている。キャリッジ16に対する
抜け止め2101は、キャリッジ16の不図示のバーに
対して設けられ、インクジェットカートリッジ11が後
述のように旋回装着された位置でこのバーの下方に侵入
して、不要に位置決め位置から離脱させる上方方向への
力が作用しても装着状態を維持するための保護用部材で
ある。
【0033】インクタンク14は、インクジェットユニ
ット13を装着された後に蓋部材800で覆うことで、
インクジェットユニット13を下方開口を除いて包囲す
る形状となるが、インクジェットカートリッジ11とし
ては、キャリッジ16に載置するための下方開口はキャ
リッジ16と近接するため、実質的な4方包囲空間を形
成してしまう。したがって、この包囲空間内にあるイン
クジェットヘッド12からの発熱は、この空間内の保温
空間として有効となるものの、長期連続使用のときはわ
ずかな昇温となる。このため本例では、支持体300の
自然放熱を助けるためにインクジェットカートリッジ1
1の上方面に、この空間よりは小さい幅のスリット17
00を設けることにより、昇温を防止しつつもインクジ
ェットユニット13全体の温度分布の均一化を環境に左
右されないようにすることができた。
【0034】インクジェットカートリッジ11として組
立てられると、インクはカートリッジ本体1000の内
部よりインク供給口1200、支持体300に設けた穴
320およびインク供給部材600の中裏面側に設けた
導入口を介してインク供給部材600内に供給され、そ
の内部を通った後、導出口より適宜の供給管および天板
1300のインク受け口1500を介して共通液室内へ
と流入する。以上におけるインク連通用の接続部には、
例えばシリコンゴムやブチルゴム等のパッキンが配設さ
れ、これによって封止が行なわれてインク供給路が確保
される。
【0035】上述のように、インク供給部材600、天
板1300とオリフィスプレート400、カートリッジ
本体1000をそれぞれ一体成型部品としたので、組立
て精度が高水準になるばかりでなく、大量生産時の品質
向上に極めて有効である。また、部品点数は、従来品に
比べ減少しているので、所望の優れた特性を確実に発揮
できる。
【0036】また、本実施例においては、インクジェッ
トカートリッジ11の組立て後に、図1に示すように、
インク供給部材600の上面部603と、インクタンク
14の細長い開口部1700を備えた屋根部の端部40
08との間に、すき間1701が存在するようになって
いる。同様に、インク供給部材600の下面部604
と、インクタンク14の下方の蓋部材800が接着され
る薄板部材のヘッド側端部4011との間に、すき間
(不図示)が形成されている。これらのすき間は、上記
開口部1700の放熱作用を一層促進するとともに、イ
ンクタンク14に加わる不要な力があったとしても、こ
れが直接、インク供給部材600、ひいてはインクジェ
ットユニット13に加わることを防止している。
【0037】いずれにしても、本実施例の上述した構成
は従来にはないものであり、それぞれが単独で有効な効
果をもたらすとともに、組み合わさっていることにより
格別の効果を奏するものである。
【0038】次に、キャリッジ16に対するインクジェ
ットカートリッジ11の取り付けについて説明する。
【0039】図5において、プラテンローラ5000
は、記録媒体5200(例えば記録紙など)を図示紙背
方向から紙表面方向へ案内する。キャリッジ16はプラ
テンローラ5000の長手方向に沿って移動するもの
で、キャリッジ16の前方すなわちプラテンローラ50
00側にあってインクジェットカートリッジ11の前面
側に位置する前板4000(厚さ2mm)と、後述する電
気接続部用支持板4003と、インクジェットカートリ
ッジ11を所定の記録位置に固定するための位置決め用
フック4001とが設けられている。前板4000は、
インクジェットカートリッジ11の支持体300の突起
2500,2600に対応する2個の位置決め用突出面
4010を有し、インクジェットカートリッジ11の装
着後はこの突出面4010に向かう垂直な力を受ける。
このため、補強用のリブが前板4000のプラテンロー
ラ5000側に、その垂直な力の方向に向かっているリ
ブ(不図示)を複数有している。このリブは、インクジ
ェットカートリッジ11装着時の前面位置L5 よりもわ
ずかに(約0.1mm程度)プラテンローラ5000側に
突出しているヘッド保護用突出部をも形成している。支
持板4003は、図示紙面に垂直方向に伸びる複数の補
強用リブ4004を有し、それらの側方への突出割合
は、プラテンローラ5000側からフック4001側に
向かうにつれて減少し、このことによってインクジェッ
トカートリッジ11が、図示されるように、傾斜して装
着される。また、支持板4003は、インクジェットカ
ートリッジ11の配線基板200のパッド201に対応
するパッド2011を具備したフレキシブルシート40
05と、これを裏面側から各パッド2011に対して押
圧する弾性力を発生するためのボッチ付ゴムパッドシー
ト4007とを保持する。支持板4003は、パッド2
01とパッド2011間の電気的接触状態を安定化する
ため、上記の突出面4010の作用方向とは逆方向にイ
ンクジェットカートリッジ11への作用力を及ぼすため
のフック4001側の位置決め面4006を突出面40
10に対応して設け、これらの間にパッド接触域を形成
するとともに、パッド2011対応のボッチ付ゴムシー
ト4007のボッチの変形量を一義的に規定する。位置
決め面4006は、インクジェットカートリッジ11が
記録可能な位置に固定されると、配線基板200の表面
に当接した状態となる。パッド201を前述の線L1
対して対称になるよう分布させてあるので、ボッチ付ゴ
ムパッドシート4007の各ボッチの変形量は均一にな
り、パッド2011とパッド201間の当接圧はより安
定化する。本例では、パッド201の分布は、上方、下
方2列、縦2列である。
【0040】フック4001は、固定軸4009に係合
する長穴を有し、この長穴の移動空間を利用して図の位
置から反時計方向に回動した後、プラテンローラ500
0の長手方向に向って左方側へ移動することでキャリッ
ジ16に対するインクジェットカートリッジ11の位置
決めを行なう。フック4001の移動はどのようなもの
でもよいが、レバー等で行なえる構成が好ましい。いず
れにしても、このフック4001の回動時にインクジェ
ットカートリッジ11はプラテンローラ5000側へ移
動しつつ、位置決め用突起2500,2600が前板4
000の突出面4010に当接可能な位置へと移動す
る。フック4001の左方側移動によって、90゜のフ
ック面4002がインクジェットカートリッジ11の爪
2100の90゜面に密着しつつ、インクジェットカー
トリッジ11が突起2500と突出面4010との接触
域を中心に水平面内で旋回し、最終的にパッド201と
パッド2011同志の接触が始まる。そしてフック40
01が所定位置、すなわち固定位置に保持されると、パ
ッド201とパッド2011との完全接触状態と、突起
2500,2600と突出面4010との完全面接触
と、フック面4002と爪2100の90゜面の2面接
触と、配線基板200と位置決め面4006との面接触
が同時に形成されて、キャリッジ16に対するインクジ
ェットカートリッジ11の保持が完了する。
【0041】次に、インクジェット記録装置本体の概略
について説明する。
【0042】本発明が適用されるインクジェット記録装
置15の概観は、図6に示されている。ら線溝5004
の刻まれたリードスクリュー5005は、駆動モータ5
013の正逆回転に連動し、駆動力伝達ギア5011,
5009を介して回転駆動される。キャリッジ16は、
取付け部5001(図5)に設けられたピン(不図示)
によってら線溝5004に対して係合し、さらに案内レ
ール5003に摺動自在に案内されていることにより、
図示矢印a,b方向に往復移動される。紙押え板500
2は、キャリッジ16の移動方向にわたって記録媒体5
200をプラテンローラ5000に対して押圧する。フ
ォトカプラ5007,5008はキャリッジ16のレバ
ー5006のこの域での存在を確認して駆動モータ50
13の回転方向の逆転等を行なうためのホームポジショ
ン検知手段を構成する。インクジェットヘッド12の前
面をキャップするキャップ部材5022は、支持部材5
016によって支持され、さらに吸引手段5015を備
え、キャップ内開口5023を介してインクジェットヘ
ッド12の吸引回復を行なう。本体支持板5018には
支持板5019が取付けられており、該支持板5019
に摺動自在に支持されたクリーニングブレード5017
は、図示しない駆動手段によって前後方向に移動され
る。クリーニングブレード5017の形態は図示するも
のに限られず、公知のものが本例に適用できることは言
うまでもない。レバー5012は、吸引回復操作を開始
するためのもので、キャリッジ16と当接するカム50
20の移動にともなって移動し、駆動モータ5013か
らの駆動力がギア5010やクラッチ切換等の公知の伝
達手段によって移動制御される。
【0043】これらのキャッピング,クリーニング,吸
引回復の各処理は、キャリッジ16がホームポジション
側領域にきたときリードスクリュー5005の作用によ
って、それぞれの対応位置で行なわれるようになってい
る。周知のタイミングで所望の作動を行なうようにすれ
ば、本例にはいずれも適用できる。上述における各構成
は単独でも複合的に見ても優れたものであり、本発明に
とって好ましい構成例を示している。
【0044】次に、本発明のインクジェットカートリッ
ジに用いるインク吸収体に関して詳細に説明する。
【0045】このインク吸収体は、連続気泡を内部に有
する高分子弾性多孔質体であり、耐インク性を有しイン
クにより変質しない多孔質体である。多孔質体としては
ポリウレタンフォームを用いることが望ましい。ポリウ
レタンフォームを製造する方法としては、例えば、ポリ
エーテルポリオールとポリイソシアネートと水とを反応
させ(その他、所望の発泡助剤、触媒、着色剤、添加剤
等を使用できる)、多数の空孔を有する高分子化合物を
合成し、これを必要なサイズ(ブロック)に切断し、こ
のブロックを燃焼ガス雰囲気下に浸し、ガスを爆発させ
ることによってセル間の膜状物質を除去する方法が望ま
しい。
【0046】ここで、該多孔質体の有する空孔のサイズ
には、毛管現象によりインクを保持するとともに、ヘッ
ドにインクを供給するために一定の条件がある。ところ
が、上記工程までで得られた多孔質体では、該空孔のサ
イズが大きすぎるので、該多孔質体をこのままカートリ
ッジ収納部の大きさに切断しただけでは、インク吸収体
として用いることはできない。
【0047】そこで、この空孔のサイズを所定の大きさ
にまで小さくするとともに、インクカートリッジ収納部
に収納できる大きさに加工する工程が必要となる。この
工程としては一般には該多孔質体を圧縮することが行わ
れている。
【0048】本発明においては、多孔質体が下記に示す
一定の条件を満たしていれば良く、その圧縮方法に特に
限定は無い。例えば、インクタンクに収納する前にプレ
スにより圧縮する方法、或はインクタンクに収納する前
に熱プレスにより圧縮する方法、更には無圧縮の大きな
多孔質体をインク収納時に押込むことにより圧縮する方
法、また更には前者を組合せた方法等何れの方法によっ
ても本発明の効果を得られる。
【0049】本発明に用いられる多孔質体は、下記式
(1)を満たすように圧縮されても本発明のインク吸収
体が得られる。
【0050】 100[inch-1] ≦k・p≦200 [inch-1] (1) ここで、kは体積比であり、k=V1 /V2 を表す。ま
た、V1 はインク収納部外におけるインクを除去し乾燥
した状態の多孔質体の見かけ上の体積であり、V2 はイ
ンクを含浸してインク収納部に収納した状態の多孔質体
の見かけ上の体積である。更に、pは体積V1時の多孔
質体の1インチ当りの空孔の数で示される空孔量を表わ
し、60個以下である。このpの値は、以下の方法によ
り求める。先ず、多孔質体をインクタンクから取りだし
て含浸しているインクを抜いた後、多孔質体を洗浄して
乾燥させる。この洗浄は多孔質体を侵さない水溶液で行
う。例えば、水性インクの場合には、水、若しくはアル
コールで洗浄する。また、乾燥は例えば、60℃程度の
オーブンに約6時間入れて行う。その後、多孔質体をイ
ンクタンクに圧縮挿入するために加圧した、少なくとも
1つの加圧方向に対して垂直方向の面であって、該加圧
方向に多孔質体を3等分する該面夫々の面内の両端部及
び中央部の、合計9か所の1インチ当りの空孔の数を顕
微鏡の視野内で目視にて数えた値の平均値である。
【0051】インクを含浸してインク収納部に収納した
状態の多孔質体の見かけ上の体積であるV2 は、以下の
方法により求める。まず、多孔質体を収納したインクカ
ートリッジを3個用意して、1個は上下方向の内の1面
を除去し、他の1個は左右方向の1面を除去し、残りの
1個は前後方向の内の1面を除去する。この時の、上
下、左右、前後の各方向の選択は任意である。次に、除
去した面から、インクカートリッジに収納した状態での
多孔質体の縦、横、高さの寸法を求め、体積V2を算出
する。
【0052】以下、多孔質体を圧縮してインクタンクに
挿入する、種々の方法について説明する。
【0053】多孔質体圧縮挿入方法の一例を、図7を用
いて概念的に説明する。断面形状がコの字形をした治具
7100および7110に多孔質体7000を挟持し、
力を加えて圧縮する。所望の大きさまで、多孔質体70
00(図7の略縦方向斜線部)を圧縮した後、ピストン
7200によって、圧縮された多孔質体7010(図7
の略横方向斜線部)を、インクタンクに挿入する。
【0054】次に、多孔質体の圧縮挿入方法の他の例
を、図8に示す。ここで、用いている治具7200およ
び7210は、内のり(多孔質体7000と接触する部
分)が、なめらかな曲線で構成されている。この治具7
200および7210に多孔質体7000を挟持して、
力を加えて圧縮していくと、多孔質体7000を治具か
らはみ出させることなく、変形することができる。こう
して所望の大きさまで多孔質体7000を圧縮した後、
ピストンによって圧縮された多孔質体7010をインク
タンクに挿入する。
【0055】更に、多孔質体を圧縮する前に、インクま
たはインクと反応しない液体、たとえば純水に多孔質体
を浸漬させ、その後所望の大きさまで多孔質体を圧縮
し、そのまま冷却し、インクまたはインクと反応しない
液体を凍結させ、多孔質体に加えた圧縮を取り除いた後
も多孔質体が圧縮された所望の大きさを保持できる状態
にし、その後インクタンクに挿入する。また、多孔質体
に浸漬させた液体を凍結させるのではなく、多孔質体を
所望の大きさまで圧縮し、多孔質体そのものの材料組成
変形温度以下まで冷却し多孔質体が圧縮された所望の大
きさを保持できる状態にし、その後インクタンクに挿入
する方法もある。
【0056】また、他の方法としては、多孔質体を2ツ
折りにして挿入する方法がある。たとえば、概念図を図
9に示すように、多孔質体7000の中心付近を治具7
500にて押すことにより、多孔質体7000を2ツ折
りにしながら挿入する方法。この治具は、図10に示す
ように、インクタンクの蓋7600であっても良い。
【0057】次に、上式(1)及び(2)を満たすよう
に、種々の空孔量pの多孔質体(ポリエーテル系ポリウ
レタンフォーム)を種々の圧縮比r(r1又はr2 )で
プレスし、該多孔質体を用いて作成したインクタンクに
ついて、インク吸収体としての必要特性を評価した結果
を表3に示す。また更に、上式(3)を満たすように、
種々の空孔量pの多孔質体(ポリエーテル系ポリウレタ
ンフォーム)を圧縮して挿入し、設定された体積比kを
有するように作成したインクタンクについて、インク吸
収体としての必要特性を評価した結果を表4に示す。な
お、この特性は下記方法〜によって評価した。 .連続記録特性 いかに有効にタンク内のインクを、連続して使い切れる
かを表わす特性であり、カートリッジ(内容積約40cc、
注入インク量30cc)をプリンターに搭載して所望の記録
を行ない、記録可能枚数が 500枚以上だったものを〇、
500 枚未満だったものを×とした。 .回復特性 吸引ポンプによるエアーのだき込みの回復および水頭の
増加によりメニスカスが落ちても記録が可能か否かを表
わす特性であり、カートリッジに所定の連続吸引ポンプ
を作動し続けてインク注入量の半分以上を引き出せた
後、記録可能だったものを〇、半分以上を記録で消費し
た後3回の吸引ポンプによる吸引が可能だったものを
△、上述のいずれも不可能だったものを×とした。 .インク易動特性 衝撃や振動により吸収体内のインクが移動し、吸収体の
保持力を破ってカートリッジ外に漏れ出すか否か、更に
はインクが一旦移動し偏在しても、短時間でもとの状態
に戻るか否かをを表わす特性であり、r1・p、r2・p又
はk・pの値の比較的小さなものに関してはカートリッ
ジを70cmの高さから落下させてインクが漏れたものを×
とし、k・pの値の比較的大きなものに関しては内部の
インクが偏って存在する状態でカートリッジを半日以上
放置し、インクの70%以下しか元の位置へ復帰しなかっ
たものを×とした。
【0058】表3と表4に示す結果から明らかなよう
に、k・pの値が100inch-1 以上200 inch-1
下の範囲内にある多孔質体が、インクジェットカートリ
ッジ用インク吸収体に要求される上記特性において非常
に優れていることが分かる。更には、k・pの値が 120
inch-1 以上 150 inch-1 以下の範囲内では特性〜
の評価が全て〇であり、非常に好ましい範囲であること
が分かる。
【0059】本発明の方法により得たインク吸収体がこ
のように優れるのは、体積比kが多孔質体の空孔の疑似
断面積を調整する作用を呈し、空孔率pがセルサイズ、
周囲長等を調整する作用を呈し、これらの相関関係によ
りインク吸収体の好適な保持力(水頭)が得られる為と
考えられる。
【0060】一般に、空孔サイズが大きく圧縮比が小さ
いと、インクの表面張力が一定であれば、エアーが通り
易くインクの保持力は不必要に低減する。従って、回復
時にエアーが混入し易くなり、連続記録時においてもフ
ィルター部へエアーが集まってきてインクの流れを阻害
することとなる。更には、衝撃や落下に際しても、イン
クが動き易くインク漏れなどの原因となる。
【0061】逆に、空孔サイズが小さく圧縮比が大きい
と、インクの保持力が増し、ヘッドの吐出部に与える負
水頭が不必要に増大する。従って、記録中に負圧が高ま
り、ヘッド応答周波数が低下したり、記録濃度が薄くな
ったり、記録欠損が発生し、早期に連続記録が不可能と
なる。更には、連続ポンプにより急激に内部圧力(負
圧)が高まり、メニスカスの保持力より大きくなったと
き、吐出口よりエアーを取り込み、回復することが全く
不可能となる。更には、吸収体内のインクの移動性が低
下し、逆さ放置でヘッド保存したあと、急に記録をする
と、インクが動きにくい状態となっているため、記録欠
損も発生しやすくなる。
【0062】一方、本発明においては、k・pという特
定の値を基準にしてこれを一定範囲内にすることによ
り、上述のような減少が発生し難いインク吸収体が得ら
れる。更には、本発明の方法によれば、原材料としての
多孔質体の1インチ当りの空孔の数が大幅にずれていた
りばらついたりしていても、ブロック等の所定サイズに
切断した後、このブロック等を空孔数の多少に応じてグ
ループ分けしておき、各グループについて式(1)を満
たすようにインク吸収体を圧縮挿入すれば良いので、原
材料を有効に利用でき、均一特性のインク吸収体を簡易
な工程で得ることができる。
【0063】更に、本発明のインク吸収体のインク排出
量と水頭との関係を図13に示す。この図において、A
1(x)は本発明の吸収体を示し、Aq2(x)はk・pの値
が本発明の範囲外の値である吸収体を示す。ここに示す
ように本発明によれば、インク使用中の水頭変化が非常
に小さいので(△Aq1 <△Aq2 )、吐出量変化が少
なく、濃度変化が小さく、良好な記録が持続できる。ま
た、黒ベタ記録においても吸収体の負圧変化が少いの
で、持続性、濃度均一性に有効である(Aq1(x1END)<
Aq2(x2END)。
【0064】本発明においては、多孔質体が上記式
(1)を満たすよう圧縮されていれば良く、その圧縮方
法に特に限定は無いが、圧縮の方向は、インク収納時の
インク供給の方向を避ける事が必要である。これは、所
望のインクの保持力を獲得しつつ、インク供給をスムー
ズに行うためである。なお、圧縮の方向は、インク供給
の方向とほぼ直交する場合が最適である。
【0065】上述したインク吸収体の発明は、インク収
納部内へインク吸収体を圧縮して、若しくは圧縮しなが
ら収納する発明であり、これによって、優れた連続記録
特性、回復特性、及びインク易動特性が得られることに
ついて説明した。
【0066】次に、上記発明をより一層有効な発明にす
るための条件について説明する。この条件は高分子材料
で成形されたインク吸収体に対して、上述した効果以外
に記録特性自体を従来より向上できたもので、上記発明
にとって極めて有効である。この条件として代表的なも
のを列挙すると、吸収体を洗浄する方法、吸収体の
加熱圧縮工程に於ける加熱温度を選択する方法、吸収
体に含浸させるインクのpHを規定する方法、のいずれ
か及びこれらの任意の組み合わせがある。これらの条件
のいずれもインク吸収体の構成物質のインクへの溶出不
純物に着目したもので、従来のようなゴミや目詰まりの
原因となるような不純物とは全く異なり、新規な着眼に
よるものである。
【0067】つまり、インク吸収体と、該吸収体に含浸
されるインクとの関係に於いて、記録品位特性の更なる
向上のための好適な条件である。
【0068】まず、上記のインク吸収体を洗浄する方
法について説明する。インク吸収体は、連続気泡を内部
に有する高分子弾性多孔質体として、通常、ポリエーテ
ル型ポリウレタンフォームより構成される。該吸収体
は、例えば、原料としてポリエーテルポリオール、ジオ
クチルフタレート、トルエンジイソシアナート等を用
い、更にシリコン系活性剤等の添加剤を加え常法により
反応を行い発泡させ、所定の気孔率を有する発泡体を
得、必要によりガス爆発を利用した公知の膜取り工程を
実施し、次に所定の圧縮率まで加熱圧縮された後、所定
の大きさに切断されできあがる。このような吸収体作製
工程において、発泡工程中未反応原料が不純物となった
り、また圧縮工程によって不純物の分布が不均一化する
ため、できあがった吸収体中には相当量の不純物が不均
一に含有されている可能性があり、吸収体の洗浄処理が
必要となる。
【0069】吸収体と反応性のない極性有機溶剤とは、
吸収体自体に実質的に影響を及ぼさない揮発性の低い極
性溶剤であり、アルコール類、ケトン類、エーテル類、
含チッソ溶剤等があげられるが、吸収体自体の骨格構造
部分である、ウレタンポリマーを溶解又は腐食するよう
なものは不適当であり、また、不純物を良く溶解するも
のでなくてはならない。それらを考慮するとアルコール
類とエーテル類の一部を本発明で好適に用いることがで
きる。中でも特に有効なものとしては例えば炭素数3個
以下の一価アルコールと、多価アルコールのアルキルエ
ーテルが好ましい。このような一価アルコールとして
は、メタノール、エタノール、プロバノール等、多価ア
ルコールアルキルエーテルとしてはメチルセルソルブ、
エチルセルソルブ、メチルカルビトール、エチルカルビ
トール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル等
が例示できる。このようなものは、洗浄後フォーム中に
微量残存してもインク物性に重大な影響を与えることが
ない。
【0070】これらの溶剤は単独で用いるか又は二種類
以上混合して用いてもよく、更に、水との混合溶媒とし
て用いることもできる。特に水との混合溶媒は、安全性
の面からより好ましい。水との混合溶媒を洗浄剤として
用いる場合は水と前述有機溶剤を重量比で9:1から
1:9まで程度、好ましくは7:3から1:1まで程度
としたものが好適であり、充分な洗浄能力を維持するこ
とができる。
【0071】上記極性溶剤を用いることにより、吸収体
中に存在する溶出不純物(吸収体の骨格を成しているウ
レタンポリマー以外の物、以下「不純物」といい、イン
ク中へ溶け出ていく溶出物を表わす。)が効果的に除去
できる理由としては、これら極性溶剤が吸収体の骨格を
なすウレタンポリマー部分の内部にまでよく浸透し、未
反応モノマー等を効率よく抽出、また、これら不純物が
良く溶解するためであると推測される。
【0072】ところで、前記溶剤と溶出される不純物と
の関係について見出された点を述べ、併せて、該不純物
の測定法の原理について説明する。
【0073】常法により得られた吸収体をエタノールで
洗浄し、この洗液のエタノールを蒸発乾固し、残った粘
着性物質の赤外吸収(IR)スペクトルを測定(KBr
錠剤法)し、一方、別にウレタンフォームの原料及び添
加剤である、ポリエーテルポリオール、ジオクチルフタ
レート、シリコン系活性剤について同様にして赤外吸収
スペクトルを測定することにより、不純物の成分分析を
行った結果の一例を図15に示す。IRスペクトルは簡
便であり、特徴的ピークにより容易に化合物の特定が可
能である。得られた溶出物のスペクトルを比較検討した
結果、溶出物の主なものは、ポリエーテルポリオールと
ジオクチルフタレートであり、特にポリエーテルポリオ
ールが大部分であることが判明した。すなわち、図15
で(a)の吸収体からの溶出物の赤外スペクトルにおい
ては、1730cm-1のカルボニル基によるピークの存
在により(c)のジオクチルフタレートの存在が示さ
れ、また、1110cm-1のエーテル結合によるピーク
の存在により(b)のポリエーテルポリオールと(d)
のシリコン系活性剤の存在が示されているが、シラノー
ル基の特性吸収ピークである800cm-1のピークが
(a)には存在せず、これにより、(a)の溶出物はポ
リエーテルポリオールと、ジオクチルフタレートが主成
分であると結論できる。更に(a)のスペクトルにおい
て、1730cm -1と、1110cm-1のピーク深さを
比較することにより、その量の差が明らかとなり、その
結果、吸収体の溶出物中の大部分の不純物はポリエーテ
ルポリオールであることがわかる。
【0074】以上の結果は、フォームの洗浄剤として、
ポリエーテルポリオールを良く溶解し得る物が好適であ
ることを示している。そこで、ポリエーテルポリオール
の良溶剤を検討したところ、前述した、一価アルコール
類及び多価アルコールのアルキルエーテルが特に良好で
あることが判明したのである。上記の方法においては溶
出にエタノールを用いているが、水もわずかながら溶解
性が有り、水混合溶剤としても有効であることがわかっ
ている。上記の結果及びこの他にも行われた種々の結果
よりポリエーテルポリオールのエーテル結合に帰属され
る1110cm-1のピーク深さの変化から、吸収体の不
純物量を溶出物量として有効に定量できることがわかっ
た。
【0075】上記の手法は前述した洗浄剤の種類、洗浄
条件を設定する際に適用できるので、対象とする吸収体
に応じ適宜、適性条件を設定すればよい。
【0076】なお、場合によりIRスペクトルによる測
定を1110cm-1のピークに限らず1730cm-1
ピークにおいても行ってもよい。
【0077】次に、詳細に溶出物量の定量法を説明す
る。
【0078】例えば吸収体1個を一定量の洗浄剤で、一
定条件で洗浄し、その洗液の一定量をとって、蒸発乾固
せしめ、しかる後、その残留物を赤外スペクトル用KB
r錠剤に成型する。これを赤外分光器にかけて、スペク
トルを取り、1110cm-1のピーク深さを読みとる。
一方、予めポリエーテルポリオールの一定量を分取し
て、KBr錠剤に成型し、赤外吸収スペクトルを測定す
る。それらの1110cm-1のピーク深さを求めてお
き、ポリエーテルポリオールの量と、ピーク深さの間の
検量線を作っておけば、前記洗浄条件の違いによる溶出
物量が求められる。図16に検量線の一例を示す。
【0079】不純物をポリエーテルポリオールとしてI
Rスペクトルの1110cm-1ピークで定量する上述の
方法による測定値とインク物性の関係について次に述べ
る。洗浄していない吸収体を用いた場合に生ずる不都合
は、インクの物性の一つである表面張力が低下すること
(40dyne/cm以下となる)及び、記録品位の劣
化があげられる。特に記録品位におけるODの低下、紙
の裏へのインクぬけ、及び記録ドットの周りにヒゲ状に
インクが走り、記録のシャープネスを悪くする(不規則
ニジミ)ことが問題となる。上記記録品位劣化とインク
の表面張力の低下を抑えるには後述するようにインク1
g当たりの不純物(溶出物)量が0.04wt%以下に
することが望ましい。
【0080】ここでインクの重量当りとは、インクタン
ク中のインク重量1g当たりのインク中の不純物の溶出
物量である。
【0081】後述するように、前記溶出物量が0.04
wt%を越えれば、長期間インクに浸漬されていると次
第に記録品位の劣化が進行し、初期には比較的良好であ
っても2〜3年後には不良となる。0.04wt%以下
であれば、2〜3年間インクに浸漬されたままであって
も記録品位劣化は認められず、インクの表面張力低下も
最小限に抑えられる。すなわち、40dyne/cmを
下回ることはない。
【0082】なお、かかる、吸収体からの溶出物量と記
録品位の関係は、種々の異なる溶出物量を有する吸収体
を作成し、それらの溶出物量を前記の赤外吸収スペクト
ルによる定量方法により、測定すれば知ることができ
る。
【0083】ここで、上記吸収体の清浄度の規準である
インク1gに対して不純物濃度0.04wt%以下は、
ポリエーテルポリオールとしての定量値が、測定手段の
簡易性、信頼性等より好ましいが、前述極性溶媒を洗浄
剤として用いるかぎり、溶出物留分を単に蒸発乾燥(5
0℃以上90℃以下)させ重量変化として求めることに
よっても、同様の規準に基づいて洗浄を実施することが
できる。また、ポリエーテルポリオールを1110cm
-1のピークで求める手法以外にも、他のピーク、例えば
1730cm-1のピークも合わせて求めポリエーテルポ
リオール及びジオクチルフタレートとの合計として定量
することもでき、この場合予め必要な検量線を作成して
おけば容易に実施可能である。
【0084】次に、吸収体の作製工程における本実施例
の洗浄工程について説明する。
【0085】本実施例の洗浄工程は、インク吸収体を所
定の大きさに切断した後に於いて実施するのが好まし
い。切断後に於けるインク吸収体は、該吸収体を収納す
るインク収納部の大きさにより決定されるものである
が、該吸収体の厚みとしては通常20mm以上35mm以下
程度のもので、重さは、5.5g/個以上6.5g/個
以下程度のものが洗浄に適している。
【0086】後述するように、本発明条件としては、イ
ンク吸収体からの溶出不純物が、所定値以下となること
が達成されれば、他の方法でも良い。この極性溶媒とし
ては通常は、この操作一回で充分であるが、より好まし
くは、一定量の溶媒で洗浄後、洗液を新しいものにかえ
てもう一度洗浄を繰り返す。洗浄剤で洗浄した後、吸収
体中に含まれる洗浄剤をしぼり出し、これを、すぐに加
熱乾燥するか又は純水ですすぎ洗いを行い、最後に吸収
体中の水分をしぼり出してから加熱乾燥する等で良い。
【0087】ここで洗浄に用いる洗浄剤の量は吸収体に
対して洗浄効率を向上させる目的のためには、4ml/
吸収体1g以上10ml/吸収体1g以下の範囲が好ま
しい。ここで4ml/吸収体1g未満では洗浄が不充分
で、洗浄回数を多くしなければならず時間がかかり効率
が悪く、10ml/吸収体1gを越えると、溶媒の量が
多すぎて、その割に洗浄効果が少ないために、コスト的
に効率が悪い。
【0088】洗浄時間は通常、極性溶媒の場合は、数1
0秒以上数分以下で充分で、もみ洗い、押し洗いの場合
は、数10秒で充分であり、超音波洗浄では数分で充分
である。また、洗浄後の吸収体の乾燥は、温度40℃以
上100℃以下の温風乾燥機によるのが好ましい。更に
好ましい温度は50℃以上70℃以下である。高い温度
での乾燥は吸収体の材質の劣化を生ずるおそれがあるた
めである。乾燥時間は3時間以上6時間以下が適当であ
る。いずれにしても、予め適正な各洗浄条件を前述した
IRスペクトルの手法により求めておき、洗浄により不
純物量がインク吸収体1g当たり0.2wt%以下にな
るように適宜条件を設定しておけば、それ以後は、洗浄
工程をシステム化することができる。
【0089】ところで本発明に用いられる吸収体は、前
述の通り、所定の方法により発泡された、所定の気孔率
を有する発泡体を、所定の圧縮率に加熱圧縮し、所定の
大きさに切断されたものであるが、上記加熱圧縮工程は
通常180℃以上210℃以下の温度で、体積を5分の
1以上2分の1以下に圧縮される。このようにして得ら
れた吸収体は、加熱圧縮する前の発泡体ブロックからの
切り出し位置のちがいにより、溶出不純物の量が異なる
ことが、前記赤外吸収スペクトル測定方法により明らか
となっている。これは従来知られていなかった知見であ
り、安定して一定品質の吸収体を作製する上で極めて重
要な知見である。前述の通り、このような溶出不純物の
不均一な分布に対しても対応できるものである。
【0090】なお、前述記録品位の経時的変化は、常温
での保存1〜3年間に相当する60℃で1ヶ月から3ヶ
月間までの期間の保存による加速試験により評価し得
る。すなわち、上記、吸収体をインクジェットに組み上
げて、これを60℃オーブン中に保存し、1ヶ月後ごと
に記録による評価をすればよい。
【0091】そこで種々の洗浄条件に基づいて実験を行
い、洗浄後に残留した溶出不純物の量(以下、溶出物量
という)と、記録品位の経時変化の関係を調べた。 (1) 実験1 ・実施例1 常法により得られたポリウレタン発泡ブロックの中央部
から取り出し200℃で3分の1に圧縮する熱プレスを
行った後、重量6gの長方形チップに切り出し得られた
吸収体を2個用意した。この2個の吸収体をエタノール
80cc中で10回の押し洗いを行い(合計で30秒間
から1分間までの間程度)、次いで吸収体中にしみ込ん
だエタノールをしぼり出して、洗浄済吸収体と、エタノ
ール洗液を得た。得られたエタノール洗液から、0.2
mlを分取して、この溶媒を蒸発乾固した後、残留物を
200mgの赤外吸収スペクトル用KBr粉末とともに
メノウ乳鉢中で充分に粉砕混合した、得られたKBr粉
末をKBrの錠剤成型器により常法に従って赤外吸収ス
ペクトル用KBr錠剤を作成した。これを日立270−
30型IRスペクトロメーターで、赤外吸収スペクトル
を測定し、1110cm-1のピーク深さを常法により読
み取った。この値を用い図16の検量線に基づいて溶出
物量を算出した。次いで、洗浄された2個の吸収体を純
水200cc中に入れ、10回の押し洗いをして、吸収
体をしぼり、これを60℃のオーブン中で5時間温風乾
燥した。得られた2個の洗浄済み吸収体のうち1個は更
にエタノールの40cc中に入れ、初めと同じ操作をし
て、エタノール洗液中の溶出物量を赤外吸収スペクトル
で測定し、前記溶出物量との合計を初期溶出物含有量
(溶出物総量)とした。残りの1個の吸収体はインクカ
ートリッジ中に挿入して、インクジェットヘッドを組み
立てて記録テストに供した。記録テストは、初期及び6
0℃1ヶ月間保存後、2ヶ月間、3ヶ月間の保存後に、
取り出し、常温常湿状態にて記録した、この時のOD
値、インクの裏抜け、品位(ドットの不規則ニジミ)を
初期状態との比較で評価した。なお60℃3ヶ月の保存
は常温3年に相当する。
【0092】評価基準は、◎:変化ナシ ○:変化小(許容限度内) △:変化中( 〃 外) ×:変化大 である。以上の結果をまとめて表5に示した。
【0093】この結果、洗浄後に残留した不純物はイン
ク吸収体1g当たり0.07wt%であり、3ヶ月間の
保存においてもインクの品質に何ら影響が認められなか
った。
【0094】・実施例2 実施例1と同様の吸収体を3個用いた。このうち1個は
実施例1と同様にエタノールで洗浄し、その洗液から溶
出物総量を測定した。残りの2個をイソプロピルアルコ
ールと水の重量比1/1の洗浄液により、実施例1と同
様な方法で洗浄を行った。得られた洗浄済み吸収体の1
個を実施例1と同様にエタノール40ccで更に洗浄
し、その洗液から溶出物量を測定した。残りの1個の洗
浄済み吸収体は実施例1と同様にインクジェットヘッド
に組み込んで記録テストを行った。これらの結果を表5
にまとめて示した。
【0095】この結果、洗浄後に残留した不純物はイン
ク吸収体1g当たり0.1wt%であり、3ヶ月間の保
存においてもインクの品質に何ら影響が認められなかっ
た。 ・実施例3 実施例2のイソプロピルアルコールと水の混合溶媒の代
わりにメチルセロソルブと水の重量比1/1混合溶媒を
洗浄液とすること以外は、全て実施例2と同様に洗浄
し、記録テストを行った。結果をまとめて表5に示し
た。
【0096】この結果、洗浄後に残留した不純物はイン
ク吸収体1g当たり0.09wt%であり、3ヶ月間の
保存においてもインクの品質に何ら影響が認められなか
った。
【0097】・実施例4 ポリウレタン発泡ブロックの下方部から取り出し、20
0℃で3分の1に圧縮する熱プレスを行った後、重さ6
gの長方形のチップ状に切り出し得られた吸収体を用い
て実施例1と全く同様な方法で、洗浄し、溶出物量を測
定して後、記録テストを行った。結果をまとめて表5に
示した。
【0098】この結果、洗浄後に残留した不純物はイン
ク吸収体1g当たり0.15wt%であり、3ヶ月間の
保存においてインクに若干の品質変化が認められたが、
許容限度内であり、問題はなかった。
【0099】・実施例5 実施例2と同様の吸収体1個をエタノールで洗浄し、そ
の洗液から溶出物総量を測定した。残りの2個を実施例
2で用いた洗浄液で洗浄するが、その洗浄方法として、
超音波洗浄を用いた。100Wの超音波洗浄器(RU−
30C型)を用いて、2分間洗浄した。この後は実施例
2と全く同様にして、溶出物量の定量と記録テストを行
った。この結果を表5にまとめて示した。
【0100】この結果、洗浄後に残留した不純物はイン
ク吸収体1g当たり0.12wt%であり、3ヶ月間の
保存においてもインクの品質に影響は認められなかっ
た。
【0101】・実施例6 実施例5において1回の洗浄処理のところを、同一洗浄
操作で2回行って、洗浄された吸収体を2個得た。その
内の1個をエタノール40ccで10回の押し洗いを行
い、そのエタノール洗浄液を得た。これから0.2ml
を分取し、実施例1と同様に溶出物量を赤外吸収スペク
トルで定量した。残りの1個はインクジェットヘッドに
組み込んで記録テストを実施例1と同様に行った。その
結果を表5にまとめて示した。
【0102】この結果、洗浄後に残留した不純物はイン
ク吸収体1g当たり0.03wt%であり、長期保存に
全く問題は認められなかった。
【0103】・実施例7 ポリウレタン発泡体ブロックの下方部から取り出し、2
00℃で3分の1に圧縮する熱プレスを行った後、重さ
6gの長方形のチップ状に切り出し得られた吸収体を用
いて、実施例2と全く同様な方法で洗浄し、溶出物量を
測定して記録テストを行った。結果をまとめて表5に示
した。
【0104】この結果、洗浄後に残留した不純物はイン
ク吸収体1g当たり0.19wt%であり、2ヶ月間の
保存におけるインクの品質変化は許容範囲内であった。
【0105】・実施例8 ポリウレタン発泡体ブロックの下方部から取り出し、2
10℃で3分の1に圧縮する熱プレスを行った後、実施
例7と全く同様な方法で洗浄し溶出物量を測定して記録
テストを行った。結果をまとめて表5に示した。
【0106】この結果、洗浄後に残留した不純物はイン
ク吸収体1g当たり0.20wt%であり、2ヶ月間の
保存におけるインクの品質変化は許容範囲内であった。
【0107】・比較例1 実施例1で用いた吸収体を洗浄せずに、インクジェット
ヘッドに組み立て、記録テストを行った。その結果を表
5にまとめて示した。
【0108】この結果、1ヶ月間の保存においてもイン
クの変化が大きく、許容されないものであった。
【0109】・比較例2 実施例4で用いた吸収体を洗浄せずに、インクジェット
ヘッドに組み立て、記録テストを行った。その結果を表
5にまとめて示した。
【0110】この結果、初期における評価においても既
にインクの変化が顕在化していた。 ・参考例 実施例1で用いた吸収体を実施例1と同様にエタノール
で3回洗浄した。得られた充分に洗浄された吸収体5個
(No. 1〜5)を用意し、各々インクジェットヘッドに
組み込んだ。その内のNo. 1〜4にポリエーテルポリオ
ール(分子量約6000のグリセリンのプロピレンオキ
サイド付加物)を吸収体1gに対して0.1wt%,
0.15wt%,0.2wt%,0.25wt%になる
ようにインクに添加した。
【0111】No. 5には無添加のインクを入れて、記録
テストを行った。この結果を表5にまとめて示した。
【0112】この結果、前記本発明の実施例の結果と同
傾向を示し、溶出不純物の添加が吸収体1g当たり0.
2wt%を越えるとインクに対する影響は許容されない
ものとなった。
【0113】従って、上記実験結果からインク吸収体と
反応性のない極性有機溶剤を含有する洗浄剤で溶出留分
がインク吸収体1g当たり0.20wt%以下、より好
ましくは0.12wt%以下になるように洗浄すること
で、フロン等の洗浄剤を使用していないので環境問題を
生じることなく、記録品位を劣化させないインク吸収体
が得られた。 (2) 実験2 次に、インク吸収体からのインク中へのポリエーテルポ
リオールの溶出物量と記録品位との相関について調べ
た。
【0114】まず、インク中の有機物(ポリエーテルポ
リオール)の溶出物量が、図17に示すように異なる各
インク吸収体(エーテル系発泡ポリウレタン)を準備し
た。このインク吸収体は、エーテル系発泡ポリウレタン
を各種条件で3分の1に圧縮する熱プレスし、裁断する
ことにより作製したものである。
【0115】これらインク吸収体をインクジェットカー
トリッジのインクタンクに装着して30cm3 のpH7
以上10以下に保持されたインクを吸収保持させ、しば
らく静置してから、これらのインクジェットカートリッ
ジを用いて記録を行なった。この時の記録品位を評価す
ると共に、その時のインク中の有機物(ポリエーテルポ
リオール)の溶出物量を定量した。なお、インク吸収体
の重量はそれぞれ6gである。
【0116】ポリエーテルポリオールの溶出物量は、前
述した通り、赤外吸収スペクトルの測定によって求める
ほか、次に述べる高速液体クロマトグラフィによっても
定量を行った。ここで用いた液体クロマトグラフィ装置
としては、ソーデックス(Shodex)社のds−3型を用
い、カラムとしてイオン交換型のものでソーデックス社
のB−806型を用い、検出器として屈折率型のもので
ソーデックス社のRISE−51型を用いた。溶媒とし
て、メタノール:水=6:4のものを用い、その流量
は、1ml/分であった。なお図17に示す溶出物量
は、インク吸収体の重量基準(6g)で算出した値であ
る。
【0117】また、記録品位は、記録紙に記録されたも
のをインクのにじみ(フェザリング)や裏ぬけ(全面に
黒を記録したときの紙裏面側へのインクの浸透)による
光学濃度の低下等の観点によって総合的に評価した。こ
の評価は、官能試験の手法により、A〜Dの4段階に分
けることによって行なった。Aは良好、Bはやや良好で
記録品位の許容内、Cはやや劣って記録品位の許容外、
Dはかなり劣るの各レベルに相当する(図17)。
【0118】図17に示すように、ポリエーテルポリオ
ールのインク中への溶出物量がインク吸収体1g当たり
0.2wt%以下であれば、記録品位の劣化は起こら
ず、満足できる記録品位が保たれる。一方、溶出物量が
インク吸収体1g当たり0.2wt%を越えると急激に
記録品位が悪化する。
【0119】以上の実験1及び実験2より、ポリエーテ
ルポリオールのインク中への溶出物量がインク吸収体1
g当たり0.2wt%以下であれば、記録品位の劣化は
生じないことが分かった。
【0120】次に、前述の吸収体に含浸させるインク
のpHを規定する方法について述べる。 (3) 実験3 実験2と同様にして、溶出物量がインク吸収体1g当た
り0.2wt%であるインク吸収体をインクタンクに装
着し、pH7以上pH10以下に保持されたインクを含
浸吸収させた。このインクジェットカートリッジについ
て、温度60℃における保存時間とインク中へのポリエ
ーテルポリオールの溶出物量との関係を調べた。溶出物
量の測定方法は実験例1と同様である。その結果を図1
8のグラフに示す。なお、60℃における1カ月間の保
存は、室温における1カ年の保存に相当する。
【0121】この結果から明らかなように、長期保存す
るとポリエーテルポリオールの溶出物量は、徐々に増加
するものの少なくとも室温換算で3年間程度迄の期間で
あれば、インク吸収体1g当たり0.2wt%を上回る
ことはない。
【0122】次に、前述について発明者が行なった実
験結果にもとづき、本発明におけるエーテル系発泡ポリ
ウレタンを用いたインク吸収体の加熱圧縮(熱プレスと
も言う)温度とポリエーテルポリオールの溶出物量との
関係について説明する。なお、以下の実験例4〜7,比
較例3では、エーテル系発泡ポリウレタンとは、ポリエ
ーテルポリオールとして分子量約6000のグリセリン
のプロピレンオキサイド付加物を用い、ジイソシアネー
トとしてトルエンジイソシアネートを用い、これらを公
知の方法で重合、発泡させ、公知の膜取り工程により連
続気泡とし、所定の厚さに裁断したもののことである。 (4) 実験4 異なる熱プレス温度で作製したしたインク吸収体を用い
て場合のインク中へのポリエーテルポリオールの溶出物
量と記録品位との相関についても調べた。
【0123】まず、210,200,190,180℃
の各温度で3分の1に圧縮するようにエーテル系発泡ポ
リウレタンを熱プレスし、これを裁断してインク吸収体
とした。そして、それぞれのインク吸収体をインクジェ
ットカートリッジのインクタンクに装着して30cm3
(約30g)のインクを吸収保持させ、しばらく静置し
てから、これらのインクジェットカートリッジを用いて
記録を行なった。このときの記録品位を評価し、そのと
きのインク中のポリエーテルポリオールの溶出物量を定
量した。なおインク吸収体の重量はそれぞれ6gであっ
た。
【0124】記録品位は、記録紙に記録されたものをイ
ンクのにじみ(フェザリング)や裏ぬけ(全面に黒を記
録したときの紙裏面側へのインクの浸透)による光学濃
度の低下などの観点によって総合的に評価した。この評
価は官能試験の手法により、A〜Dの4段階に分けるこ
とによって行なった。Aは良好、Bはやや良好で記録品
位の許容内、Cはやや劣って記録品位の許容外、Dはか
なり劣るの各レベルに相当する。
【0125】ポリエーテルポリオールの溶出物量は、前
述の高速液体クロマトグラフィによって定量し、インク
吸収体の重量当たりの重量濃度で表示した。液体クロマ
トグラフィ装置としては、ソーデックス(Shodex)社の
DS−3型を用い、カラムとしてイオン交換型のもので
ソーデックス社のB−806型を用い、検出器として屈
折率型のものでソーデックス社のRI SE−51型を
用いた。溶媒としてメタノール:水=6:4のものを用
い、その流量は1ml/min であった。
【0126】その結果を図17のグラフに合わせて示
す。このグラフより明らかなように、ポリエーテルポリ
オールのインク中への溶出物量がインク1g当たり0.
04wt%以下(インク吸収体1g当たり0.20wt
%以下)であれば記録品位の劣化は起こらず、満足でき
る記録品位が保たれることがこの実験4からもわかっ
た。一方、溶出物量がインク1g当たり0.04wt%
を越えると急激に記録品位が悪化することが改めて分か
った。そこでポリエーテルポリオールのインク中への溶
出物量について、インク1g当たり0.04wt%(イ
ンク吸収体1g当たり0.20wt%)を記録品位劣化
上限値と定めた。 (5) 実験5 次に、熱プレス温度とポリエーテルポリオールのインク
中への溶出物量との相関を調べた。
【0127】エーテル系発泡ポリウレタンを各種の温度
で熱プレスして製造したインク吸収体を準備し、実験4
と同様にインクを吸収させてポリエーテルポリオールの
溶出物量を測定した。なお、ポリエーテルポリオールの
溶出を促進するため、インク吸収体をくり返しもみ洗う
ように圧縮することを行なった。このことによって、イ
ンクの含浸、吸収から時間が経過したときのポリエーテ
ルポリオールの溶出の状態を再現することができる。多
数のインク吸収体の試料について行なった測定の結果が
図19の斜線部に示されている。
【0128】この結果から明らかなように、熱プレス温
度の上昇とともにポリエーテルポリオールの溶出物量が
増加し、さらに熱プレス温度が185℃を越えると製造
上のばらつきが増大する。製造上のばらつきを考慮する
と、ポリエーテルポリオールの溶出物量が前述の記録品
位劣化上限値(インク1g当たり0.04wt%)を下
回るためには、熱プレス温度が185℃以下であること
が望ましいとわかる。この温度を熱分解促進温度とい
い、臨界条件的温度である。 (6) 実験6 次に、熱プレス温度と熱プレス時間との相関を調べた。
【0129】エーテル系発泡ポリウレタンをそれぞれ1
40,150,160,170,180℃の各温度にお
いて3分の1に圧縮する熱プレスを行い、熱プレスによ
る変形が熱プレス後にも残るのに必要な最小の熱プレス
時間を測定した。
【0130】その結果、140℃で熱プレスした場合、
相当の長い時間熱プレスを行なっても熱プレスによる変
形が残存せず、熱プレスの効果が見られなかった。熱プ
レス温度が150℃のとき熱プレス時間は2時間であ
り、同じく160℃のときは90分であり、170℃の
ときは1時間であり、180℃のときは30分であっ
た。これからわかるように熱プレス温度は150℃以上
であることが必要である。また、150℃で熱プレスし
たときはスプリングバックが顕著に見られたのに対し、
160℃で熱プレスしたときはスプリングバックは軽微
であった。
【0131】以上の実験4〜6から明らかになったよう
に、インク吸収体としてエーテル系発泡ポリウレタンを
使用する場合、熱プレス温度が150℃以上185℃以
下であれば、熱プレス時間が長くなりすぎることはな
く、かつポリエーテルポリオールのインク中への溶出物
量が低く、洗浄工程を経なくても記録品位を良好に保つ
ことができる。熱プレス時間と熱プレス時のスプリング
バックを考慮に入れれば、熱プレス温度は160℃以上
185℃以下が望ましく、さらに170℃以上180℃
以下が好ましいことがわかる。 (7) 実験7 次に、エーテル系発泡ポリウレタンを3分の1に圧縮し
ながら温度180℃において約30分間から40分間の
間、熱プレスすることによって製造したインク吸収体に
ついて、インクタンクに装着し、インクを含浸、吸収さ
せて温度60℃に保ち、この状態で保存時間とインク中
へのポリエーテルポリオールの溶出物量との関係を調べ
た。溶出物量の測定方法は実験4と同様である。その結
果を図20のグラフに示す。なお、60℃における1か
月間の保存は、室温における1か年の保存に相当する。
【0132】この結果から明らかなように、長期間保存
するとポリエーテルポリオールの溶出物量は徐々に増加
するものの、少なくとも室温換算で3年間程度までの期
間であれば、上述した記録品位劣化上限値(インク1g
当たり0.04wt%)を上回ることはない。
【0133】・比較例3 エーテル系発泡ポリウレタンを3分の1に圧縮しながら
温度190℃において30分間から40分間の間、熱プ
レスすることによって製造したインク吸収体について実
験7と同様の測定を行なった。その結果を図20に合わ
せて示す。きわめて早い時期からインク中へのポリエー
テルポリオールの溶出物量が記録品位劣化上限値を上回
った。
【0134】実験7と比較例3の結果を比較すると、イ
ンク吸収体にエーテル系発泡ポリウレタンを用いた場
合、熱プレス温度が180℃すなわち、前述した熱プレ
ス温度の好適な温度範囲150℃以上185℃以下の温
度範囲内とすれば、長期保存によってもポリエーテルポ
リオールの溶出物量が記録品位劣化上限値を上回ること
はなく、良好な記録品質を安定して保てることがわか
る。一方、前記好適な温度範囲150℃以上185℃以
下の温度範囲より高い温度で熱プレスすると(比較例
3)、長期保存の過程でポリエーテルポリオールの溶出
物量が記録品位劣化上限値を上回り、記録品位が低下す
ることがわかる。
【0135】以上の実施例の説明は、インクタンクと記
録ヘッドとが一体化されたインクジェットカートリッジ
について行なったが、本発明はこれに限られるものでは
ない。インクタンクと記録ヘッドとが別体になっている
インクジェット記録装置であっても、インクタンク内に
多孔質からなるインク吸収体を設けるものについて適用
できる。
【0136】また、以上に説明したように、インク中へ
の不純物の溶出を低減する方法としての吸収体を洗浄
する方法、吸収体の加熱圧縮工程に於ける加熱温度を
選択する方法、吸収体に含浸させるインクのpHを規
定する方法は、いずれも単独で用いられても本発明の効
果を奏することができるが、夫々を任意に組み合わせて
用いても、本発明の効果を奏することができるのは勿論
のことである。
【0137】また更に、吸収体を収納したインクジェッ
トカートリッジの実際の使用形態を考慮すると、例え
ば、インクジェットカートリッジを使用する機会が多
く、比較的短い期間内でインクを使い切る場合には、上
記若しくは、又はとの組み合わせが好適である
が、とととの組み合わせがより好適である。ま
た、更に他の使用形態として、インクジェットカートリ
ッジを長期間の保存後に使用する場合には、上記が好
ましいが、ととの組み合わせ、或はととの組み
合わせがより好適であり、更にはとととの組み合
わせが最も好適である。
【0138】ところで、インクジェット記録分野に用い
られるインク吸収体としての多孔質体は、該分野以外の
一般的な分野での多孔質体をそのまま適用していた。そ
して、本実施例で用いられているインク吸収体としての
多孔質体は、時間の経過と共に黄変するので、予め黄色
に着色してあるのが一般的である。この着色のために多
孔質体に含まれている顔料を多孔質体に分散させるため
の分散剤として可塑剤を使用しているものが通常であ
る。この可塑剤としては、例えば、ジオクチルフタレー
トが一般的に用いられている。
【0139】しかしながら、ジオクチルフタレートは、
表面張力を低下させる働きを持つので、このジオクチル
フタレートを含有するインク吸収体がインク収納部に収
納されてインクを含浸させた場合、該インク吸収体から
インク中へジオクチルフタレートが溶出して、インクの
表面張力を低下させることがある。
【0140】更に、インクには着色成分としての顔料や
染料が含まれており、記録媒体に対する定着性を向上さ
せるための成分も含まれている。
【0141】すなわち、ジオクチルフタレートはインク
にとって有害な物質であり、ジオクチルフタレートがイ
ンク中へ溶出しないようにすることが望ましい。そこ
で、これまでに詳述した本実施例に用いているインク吸
収体としての多孔質体に、顔料を含んでいない多孔質体
を適用することにより、該多孔質体を有したインクイン
クジェットカートリッジとして、更に該インクジェット
カートリッジを適用したインクジェット記録装置とし
て、より好ましい記録品位を長期間にわたり良好に維持
することができたのである。
【0142】尚、前述した実施例における更なる技術説
明を以下にまとめる。
【0143】本発明で用いているウレタン系吸収体と、
それに含浸されるインクとの間には、一定の量的関係が
あることが見いだされた。以下、これを詳述する。
【0144】ここで、吸収体がインク収納部内に挿入さ
れているときの見かけ上の体積をV f 、乾燥時の重量を
f 、その吸収体に含浸されているインクの重量をW
i 、として、以下記述する。 (1)本発明の実施態様におけるインクジェットカート
リッジ11又はインクタンク単体は、インク収納部がイ
ンクジェットヘッド12と直結して配置している、いわ
ゆる、オン・キャリッジ・タイプである。このタイプの
インクカートリッジ11又はインクタンク単体は、イン
クジェットヘッド12との水頭差が小さいことが、特徴
の一つとしてあげられる。
【0145】この場合、インクの供給、保持は、インク
ジェットヘッド12のノズル先端部のメニスカスに分担
される表面張力と、インク収納部においてインク吸収体
に分担される負圧とのバランスで決定される。
【0146】メニスカスによる表面張力は、ノズル構造
によって、ほぼ一定と考えられるため、それに応じた負
圧の付与が、インク吸収体に課せられる。インク吸収体
の負圧は、そこに含浸されるインクの量に応じて変化
し、インク量が多いほど小さく、インク量が減少するに
つれて、大きくなる。したがって、インクの供給をスム
ースにし、かつ、環境変化などでインクが漏れ出さない
ようにインクを保持するためには、含有すべきインクの
量に、上限および下限がある。
【0147】この考え方に基づいて、本発明の実験例で
提示した限界的な吸収体例、すなわち、体積を3分の1
に圧縮したインク吸収体を用い、乾燥重量Wf のインク
吸収体にインクを重量でWi 注入したところ、適正な負
圧が与えられた。この時、W i /Wf は、ほぼ5に等し
かった。
【0148】したがって、この場合、インク吸収体中の
溶出物量が吸収体1gあたり0.2wt%以下であれ
ば、インクへの溶出物量が0.04wt%を越えること
がないことは、明らかである。 (2)上記のインク吸収体にインクを注入する過程を考
慮しても、上記溶出物量の上限値は、成り立つこともわ
かった。すなわち、重量Wf のインク吸収体に対して大
気連通口やその他の場所からインクを注入する場合は、
一度、真空吸引してから、ノズルの先までインクをあふ
れさせることによって、インクの供給経路を形成するこ
とが必要であるが、この操作においては、最終的に保持
すべき量W i 以上のインクが注入され(すなわち、5W
f 以上のインクがインク吸収体と接触し)、不純物のイ
ンクへの溶出物量は、0.04wt%を下回った。 (3)一方、インクジェットユニット13の取付前にイ
ンク供給口1200側からインクを注入する場合は、同
じように真空吸引した後、一定量のインクWi ’を注入
する方法が好適なプロセスとして考えられる。この場合
は、供給管近辺にインク供給経路が必ず形成されるの
で、一度あふれさせるという過程を必要としないからで
ある。このことより、Wi ’<Wi であるが、注入量が
i を下回ると、インク吸収体にインクを含浸しない部
分が生じ、実際にインクを含浸しているインク吸収体の
重量=インク吸収体の実効重量Wf ’はWf を下回る。
【0149】なお、Wf ’は、概略以下のようにして算
出した。
【0150】実験例で提示したインクタンク14と同一
の形状、サイズの容器を透明プラスチック体で作成し、
上記方法に従って、一定量Wi ’の黒インクを注入し
た。インクの含浸が進んだところで、タンクの各面を観
察し、面毎の浸せき状態を測定する。これを組み合わせ
て浸せき部分の体積Vi を算出する。これと、インク吸
収体の見かけ上の体積Vf 、同吸収体の乾燥時の重量W
f とから、次式にしたがって、Wf ’を算出した。
【0151】Wf ’=(Vi /Vf )Wf (A) Wi ’を少しずつ変えながらWf ’を測定したところ、
i ’/Wf ’は、ほぼ5であった。この場合も、イン
クへの不純物の溶出量は、0.04wt%を越えること
はなかった。
【0152】次に、前述したインク吸収体の体積を3分
の1に圧縮する場合以外の圧縮率でインク収納部に挿入
されたインク吸収体について述べる。 (4)3分の1に圧縮したインク吸収体の見かけの体積
をVf 、乾燥時の重量をWf とする。n分の1に圧縮し
たインク吸収体を見かけ上の体積Vf に切りだしたと
き、その乾燥時の重量Wfpは、 Wfp=(n/3)Wf (B) となった。この時、適正な負圧を生じるようにインクを
注入していったところ、注入量Wipで適正な負圧に達し
た。
【0153】n<3のとき、 ほぼWip=(n/3)Wi (C) n>3のとき、 Wip>(n/3)Wi (D) となった。(D)の結果は、圧縮の割合が高くなると、
空孔が急速に小さくなり、インクの負圧が急速に高くな
るため、適正な負圧を得るためには、3分の1に圧縮し
た時に比べて、インク吸収体に対し相対的に多めのイン
クを注入する必要があるためと解釈できる。
【0154】従って、 Wip/Wfp≧Wi /Wf =5 (E) となり、結果的に、不純物のインクへの溶出物量は、
0.04wt%以下に抑えられた。 (5)さらに、実験例とは異なる空孔サイズを有するイ
ンク吸収体を用いて同様の実験を行ったところ、主たる
支配因子は、上記(4)の場合と同じであった。更に、
本実施例に示すインクカートリッジ11の使用方法とし
て、図21に示すようにインク収納部にインク充填器6
000を用いてインクを再充填しながら使用する場合が
ある。この再充填は、インクカートリッジの大気連通口
1401からインクを注入する方法の他、ヘッド側イン
ク供給口、或はインクカートリッジ11に設けた穴から
インクを注入しても良い。
【0155】ここで、インク1gに対してポリエーテル
ポリオールのインク中への溶出物量が0.04wt%以
下ならば記録品位を劣化させない、という前述の本発明
から得られる効果のひとつを適用すると、図22に示す
ようなインクカートリッジ11の使用方法に於いて、更
なる発明が成立する。
【0156】図22にそのような使用方法をした場合の
インク収納部内のインク中のポリエーテルポリオールの
濃度変化の様子を使用経過時間を追って示す。
【0157】今、図22のIa に示すように、使用経過
と共に記録品位劣化上限値であるポリエーテルポリオー
ルのインク中への溶出物量が0.04wt%を越えるイ
ンクを例にとって説明する。
【0158】図22のTa の時点に於いて、インクの消
費量が多いために、前述溶出物量が記録品位劣化上限値
である0.04wt%を越える以前にインクを殆ど使い
果たし、図21に示すようにしてインクの再充填を行
う。更に、図22のTb の時点でインクを使い果たし次
のインクの再充填を行う。同様にして、Tc ,Td でそ
れぞれ使い果たしたインクの再充填を行う。このように
すると、図22の実線で示すように、前述記録品位劣化
上限値であるポリエーテルポリオールの溶出物量0.0
4wt%を越えることはない。従って、例え、使用経過
と共に記録品位劣化上限値を越えるようなインクであっ
ても、前述説明したような使用方法を行う場合には、良
好な記録品位の記録が行えた。
【0159】更には説明するまでもなく、図22のIb
に示すように、使用経過と共に記録品位劣化上限値であ
るポリエーテルポリオールのインクへの溶出物量が0.
04wt%を越えないインクを使用する場合には、前述
した使用方法によって前述記録劣化上限値である0.0
4wt%を越えることは有り得ず、常に、良好な記録品
位の記録が行える。
【0160】従って、本発明の吸収体単独、インク含浸
吸収体は、夫々、インク充填器6000を備えた、図2
1に示すようなユニットを販売する形態において、特に
有効である。又、その使用法、記録方法が本発明として
好ましい別の発明として含まれるものであることはいう
までもない。
【0161】なお、以上に説明したインク吸収体は、セ
ルロース若しくはセルロース誘導体で形成されたもので
あっても良い。
【0162】更に、以上に説明したインク吸収体は、多
孔質体をポリオールとしてポリエーテルポリオールを使
用した発泡ポリウレタンで形成し、前記ポリエーテルポ
リオールが、ショ糖のプロピレンオキサイド付加物であ
っても良い。
【0163】更に、以上に説明したインク吸収体は、多
孔質体をポリオールとしてポリエーテルポリオールを使
用した発泡ポリウレタンで形成し、前記ポリエーテルポ
リオールが、ショ糖のエチレンオキサイドおよびプロピ
レンオキサイド付加物であっても良い。
【0164】更に、以上に説明したインク吸収体は、多
孔質体をポリオールとしてポリエーテルポリオールを使
用した発泡ポリウレタンで形成し、前記ポリエーテルポ
リオールが、芳香族アミンのプロピレンオキサイド付加
物であっても良い。
【0165】更に、以上に説明したインク吸収体は、多
孔質体をポリオールとしてポリエーテルポリオールを使
用した発泡ポリウレタンで形成し、前記ポリエーテルポ
リオールが、芳香族アミンのエチレンオキサイド及びプ
ロピレンオキサイド付加物であっても良い。
【0166】更に、以上に説明したインク吸収体は、多
孔質体をポリオールとしてポリエーテルポリオールを使
用した発泡ポリウレタンで形成し、前記ポリエーテルポ
リオールが、脂肪族アミンのプロピレンオキサイド付加
物であっても良い。
【0167】更に、以上に説明したインク吸収体は、多
孔質体をポリオールとしてポリエーテルポリオールを使
用した発泡ポリウレタンで形成し、前記ポリエーテルポ
リオールが、脂肪族アミンのエチレンオキサイド及びプ
ロピレンオキサイド付加物であっても良い。
【0168】本発明に好適に用いられるインクとして
は、非水系、水系いずれのものも用い得るが、特に水系
のインクが好適に用いられる。水系インクは、水と水溶
性有機溶剤、添加剤、及び色材から基本的になるもの
で、水溶性有機溶剤としては、多価アルコール類、グリ
コールエーテル類、含窒素溶剤類、ラクトン類、及び脂
肪族一価アルコール類等であるが、中でも、多価アルコ
ール類としてグリセリン、ジエチレングリコール、エチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリ
コール、1,2,6−ヘキサントリオール等が特に好適
であり、また、グリコールエーテルとしては、トリエチ
レングリコールモノメチルエーテル、含窒素溶剤として
は、N−メチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、
1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、ラクトン類
としては、γ−ブチロラクトン、脂肪族一価アルコール
類としては、エタノール、イソプロピルアルコール等が
特に好適で、これらを組み合わせて用いるの一般的であ
る。添加剤としては、界面活性剤やpH調整剤、防カビ
剤が用いられる。色材としては、水溶性染料及び顔料が
用いられ得るが、特に水溶性染料が好適であり、中でも
酸性染料、直接染料、塩基性染料が有力である。これら
の成分の好ましい含有割合は、水が70wt%以上95wt
%以下、より好ましくは75wt%以上90wt%以下、水
溶性有機溶剤が3wt%以上40wt%以下、より好ましく
は3%以上20wt%以下、さらに好ましくは5wt%以上
15wt%以下、色材が0.5wt%以上10wt%以下、よ
り好ましくは1wt%以上6wt%以下、添加剤が0.01
wt%以上1.0wt%以下である。また、好適なインクの
物性としては、粘度は1cp以上4cp以下、より好ましく
は1cp以上3cp以下、表面張力は35dyn/cm以上65dy
n/cm以下、pHは3以上10以下であるが、酸性染料、
直接染料を用いる場合、より好ましくは、pHは7以上
10以下である。
【0169】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも熱エネルギーを利用して飛翔的液滴を形成し、記
録を行うインクジェット方式の記録ヘッド、記録装置に
おいて優れた効果をもたらすものである。
【0170】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行うものが好ましい。この方式はいわゆるオンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
る電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越
える急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号
を印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギー
を発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰を生じさ
せて、結果的にこの駆動信号に一対一で対応した液体
(インク)内の気泡を形成できるので有効である。この
気泡の成長、収縮により吐出用開口を介して液体(イン
ク)を吐出させて、少なくとも一つの滴を形成する。こ
の駆動信号をパルス形状とすると、即時適切に気泡の成
長収縮が行われるので、特に応答性に優れた液体(イン
ク)の吐出が達成でき、より好ましい。
【0171】このパルス形状の駆動信号としては、米国
特許第4463359号明細書、同第4345262号
明細書に記載されているようなものが適している。な
お、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の米国特許
第4313124号明細書に記載されている条件を採用
すると、さらに優れた記録を行うことができる。
【0172】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路または直角液流路)の
他に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開
示する米国特許第4558333号明細書、米国特許第
4459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれ
るものである。
【0173】加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59−123670号公報や熱エネルギー
の圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応させる構成を開
示する特開昭59−138461号公報に基づいた構成
としても本発明は有効である。
【0174】さらに、記録装置が記録できる最大記録媒
体の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録
ヘッドとしては、上述した明細書に開示されているよう
な複数記録ヘッドの組み合わせによってその長さを満た
す構成や、一体的に形成された1個の記録ヘッドとして
の構成のいずれでもよいが、本発明は、上述した効果を
一層有効に発揮することができる。
【0175】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的にインクタンクが設けら
れたカートリッジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも
本発明は有効である。
【0176】また、本発明の記録装置の構成として設け
られる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助
手段等を付加することは本発明の効果を一層安定できる
ので好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、
記録ヘッドに対してのキャッピング手段、クリーニング
手段、加圧あるいは吸引手段、電気熱変換体あるいはこ
れとは別の加熱素子あるいはこれらの組み合わせによる
予備加熱手段、記録とは別の吐出を行う予備吐出モード
を行うことも安定した記録を行うために有効である。
【0177】さらに、記録装置の記録モードとしては黒
色等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッ
ドを一体的に構成するか複数個の組み合わせによってで
もよいが、異なる色の複色カラー、または混色によるフ
ルカラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極
めて有効である。
【0178】さらに加えて、本発明に係る記録装置の形
態としては、ワードプロセッサやコンピュータ等の情報
処理機器の画像出力端末として一体または別体に設けら
れるものの他、リーダ等と組み合わせた複写装置、さら
には送受信機能を有するファクシミリ装置の形態を採る
ものであっても良い。
【0179】
【表1】
【0180】
【表2】
【0181】
【表3】
【0182】
【表4】
【0183】
【表5】
【0184】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、インクジ
ェットカートリッジのインク吸収体に要求される各種特
性を満たし、かつ低コストで十分な機能を有するインク
ジェットカートリッジ用インク吸収体を収納したインク
収納部を得ることができる。
【0185】また本発明のインクジェットカートリッジ
によれば、連続記録特性、回復特性、インク易動特性な
ど、インクジェットカートリッジに必要な各種特性を満
たし、かつ低コストで十分な機能を有する。
【0186】更に本発明によれば、多孔質体からなるイ
ンク吸収体インク収納部に収納する際に圧縮挿入するの
で、製造工程が簡略化される。
【0187】更に本発明によれば、洗浄工程を必要とせ
ず製造工程が簡素化され、有害な溶剤を使用しなくてす
み、かつ、長期にわたって安定した記録品位を保つこと
ができる。
【0188】更に本発明によるインク吸収体は、長期間
保存してもインクに与える影響がほとんどないため、長
期間にわたって安定した記録品位を保つことができるイ
ンク収納部、該インク収納部を有するインクジェットカ
ートリッジ及び該カートリッジを用いた記録装置が得ら
れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のインクジェット記録装置で
使用されるインクジェットカートリッジ11の斜視図で
ある。
【図2】インクジェットカートリッジ11の構成を示す
分解図である。
【図3】インクジェットヘッド12の部分斜視図であ
る。
【図4】インクタンク14のインクジェットユニット1
3を取り付ける部分の説明図である。
【図5】インクジェットカートリッジ11のインクジェ
ット記録装置15本体への取り付けの説明図である。
【図6】インクジェット記録装置15の概観を示す概略
斜視図である。
【図7】多孔質体圧縮挿入の概念図である。
【図8】多孔質体圧縮挿入の他の概念図である。
【図9】多孔質体2ツ折り挿入の概念図である
【図10】多孔質体2ツ折り挿入の他の概念図である。
【図11】表3のデータの空孔量pと圧縮比rとの関係
を示すグラフである。
【図12】表4のデータの空孔量pと圧縮比rとの関係
を示すグラフである。
【図13】インク排出量と水頭との関係を示すグラフで
ある。
【図14】保存期間と記録品位ランクとの相関図であ
る。
【図15】各溶出物によるIRスペクトルである。
【図16】ポリエーテルポリオールの検量線である。
【図17】ポリエーテルポリオールの溶出物量と記録品
位との関係を示す特性図である。
【図18】ポリエーテルポリオールの溶出物量と保存時
間との関係を示す特性図である。
【図19】熱プレス温度とポリエーテルポリオールの溶
出物量との関係を示す特性図である。
【図20】熱プレスをして製造したインク吸収体からの
ポリエーテルポリオールの溶出物量と保存時間との関係
を示す特性図である。
【図21】インクの再充填方法を示す図である。
【図22】ポリエーテルポリオールの溶出物量と使用経
過との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 吐出部表面 2 溝部 3 シールシート 3’シールシート 4 キャップ 5 腕部 6 弾性部材 7 部位 8 位置決め用部位 9 ツバ 10 ベースプレート 11 インクジェットカートリッジ 12 インクジェットヘッド 13 インクジェットユニット 14 インクタンク 15 インクジェット記録装置 16 キャリッジ 30 吐出口 40 電気熱変換体 41 吐出部 51 溝部 60 収納容器 61 容器本体 63 蓋部材 100 ヒーターボード 101 記録ヘッド部分 101a 記録ヘッド 104 キャリッジ 200 配線基板 300 支持体 400 オリフィスボード 900 インク吸収体 1000 カートリッジ本体 1200 インク供給口 1401 大気連通口 1402 大気圧供給空間 4001 フック 5000 プラテンローラ 6000 インク充填器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒島 輝雄 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 池田 雅実 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 桑原 伸行 東京都大田区下丸子3丁目30番2号 キヤ ノン株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 吐出エネルギー発生手段と、該吐出エネ
    ルギー発生手段へ供給するためのインクを保持するイン
    ク吸収体が収納されたインク収納部であって、該インク
    吸収体が連続気泡を内部に有する高分子弾性多孔質体か
    ら成り、 前記インク吸収体は、該インク吸収体を着色するための
    顔料を分散させるための分散剤としての可塑剤を含ま
    ず、洗浄剤によって洗浄されることなく、前記インク収
    納部へ圧縮されながら収納されることを特徴とするイン
    ク収納部。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の可塑剤は、ジオクチル
    フタレートであることを特徴とするインク収納部。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載のエネルギー発生手段
    は、電気信号の供給によってインク内に膜沸騰を生じさ
    せる熱エネルギー発生手段であることを特徴とするイン
    ク収納部。
  4. 【請求項4】 吐出エネルギー発生手段と、該吐出エネ
    ルギー発生手段へ供給するためのインクを保持するイン
    ク吸収体が収納されたインク収納部を有するインクジェ
    ットカートリッジであって、該インク吸収体が連続気泡
    を内部に有する高分子弾性多孔質体から成り、 前記インク吸収体は、該インク吸収体を着色するための
    顔料を分散させるための分散剤としての可塑剤を含ま
    ず、洗浄剤によって洗浄されることなく、前記インク収
    納部へ圧縮されながら収納されることを特徴とするイン
    クジェットカートリッジ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の可塑剤は、ジオクチル
    フタレートであることを特徴とするインクジェットカー
    トリッジ。
  6. 【請求項6】 請求項4に記載のエネルギー発生手段
    は、電気信号の供給によってインク内に膜沸騰を生じさ
    せる熱エネルギー発生手段であることを特徴とするイン
    クジェットカートリッジ。
  7. 【請求項7】 吐出エネルギー発生手段と、該吐出エネ
    ルギー発生手段へ供給するためのインクを保持するイン
    ク吸収体が収納されたインク収納部を有するインクジェ
    ットカートリッジと、該インクジェットカートリッジを
    所定方向へ移動可能なキャリッジと、吐出エネルギー発
    生手段に電気信号を供給する手段とを有するインクジェ
    ット記録装置であって、該インク吸収体が連続気泡を内
    部に有する高分子弾性多孔質体から成り、 前記インク吸収体は、該インク吸収体を着色するための
    顔料を分散させるための分散剤としての可塑剤を含ま
    ず、洗浄剤によって洗浄されることなく、前記インク収
    納部へ圧縮されながら収納されることを特徴とするイン
    クジェット記録装置。
  8. 【請求項8】請求項7に記載の可塑剤は、ジオクチルフ
    タレートであることを特徴とするインクジェット記録装
    置。
  9. 【請求項9】 請求項7に記載のエネルギー発生手段
    は、電気信号の供給によってインク内に膜沸騰を生じさ
    せる熱エネルギー発生手段であることを特徴とするイン
    クジェット記録装置。
JP17406091A 1991-07-15 1991-07-15 インク収納部、該インク収納部を有するインクジエツトカートリツジ及び該カートリツジを用いた記録装置 Pending JPH0516381A (ja)

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