JPH05168470A - 複数の細胞種からなる細胞塊状体とシートおよびその製造法 - Google Patents
複数の細胞種からなる細胞塊状体とシートおよびその製造法Info
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- JPH05168470A JPH05168470A JP3196593A JP19659391A JPH05168470A JP H05168470 A JPH05168470 A JP H05168470A JP 3196593 A JP3196593 A JP 3196593A JP 19659391 A JP19659391 A JP 19659391A JP H05168470 A JPH05168470 A JP H05168470A
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Abstract
(57)【要約】
【目的】所望の大きさと細胞組成を有する複数の細胞種
からなる細胞塊状体とシート、およびその製造法を提供
すること。 【構成】複数の細胞種からなりかつ所望の大きさおよび
所望の細胞組成を有することを特徴とする細胞塊状体あ
るいはシート。温度感応性高分子化合物と細胞の接着・
増殖因子からなる細胞培養基材上に複数の細胞種を播種
して培養し、温度をLCST以下に低下させることによ
って該細胞培養基材から脱離し、得られた細胞集合体を
細胞非接着性基材上で浮遊培養して細胞塊状体あるいは
シートにする複数の細胞種からなる細胞塊状体あるいは
シートの製造法。
からなる細胞塊状体とシート、およびその製造法を提供
すること。 【構成】複数の細胞種からなりかつ所望の大きさおよび
所望の細胞組成を有することを特徴とする細胞塊状体あ
るいはシート。温度感応性高分子化合物と細胞の接着・
増殖因子からなる細胞培養基材上に複数の細胞種を播種
して培養し、温度をLCST以下に低下させることによ
って該細胞培養基材から脱離し、得られた細胞集合体を
細胞非接着性基材上で浮遊培養して細胞塊状体あるいは
シートにする複数の細胞種からなる細胞塊状体あるいは
シートの製造法。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、複数の細胞種からなる
細胞塊状体とシートおよびその製造法に関する。さらに
詳しくは、本発明は所望の大きさを有し、かつ所望の細
胞組成を有する複数の細胞種からなる細胞塊状体とシー
トに関する。本発明の細胞塊状体あるいはシートは、細
胞産生物を効率よく生産することができる点で有用であ
り、また生体組織の欠損部、病変部の修復用の補てつ物
や薬剤等の生体への効果を評価するためのシュミレータ
ーとして利用しうる点でも有用である。
細胞塊状体とシートおよびその製造法に関する。さらに
詳しくは、本発明は所望の大きさを有し、かつ所望の細
胞組成を有する複数の細胞種からなる細胞塊状体とシー
トに関する。本発明の細胞塊状体あるいはシートは、細
胞産生物を効率よく生産することができる点で有用であ
り、また生体組織の欠損部、病変部の修復用の補てつ物
や薬剤等の生体への効果を評価するためのシュミレータ
ーとして利用しうる点でも有用である。
【0002】
【従来の技術】生体の器官あるいは組織は、多くの種類
の細胞の集合体によって形成されており、その特異的機
能は異種細胞集合体間の相互作用によって発現しかつ制
御されていると考えられている。例えば、血管は内膜、
中膜、外膜からなっていて、内膜には一層の血管内皮細
胞、中膜には平滑筋細胞、そして外膜には線維芽細胞が
それぞれ存在している。各細胞からは種々のケミカルメ
ディエーターあるいはホルモンが分泌され、他の細胞の
機能を制御していることがわかっている。例えば、血管
内皮細胞からは平滑筋細胞を標的とするホルモンが分泌
され、平滑筋細胞の機能である収縮作用を抑制してい
る。また、線維芽細胞からは血管内皮細胞増殖因子が分
泌され、内皮細胞の増殖を促進している。
の細胞の集合体によって形成されており、その特異的機
能は異種細胞集合体間の相互作用によって発現しかつ制
御されていると考えられている。例えば、血管は内膜、
中膜、外膜からなっていて、内膜には一層の血管内皮細
胞、中膜には平滑筋細胞、そして外膜には線維芽細胞が
それぞれ存在している。各細胞からは種々のケミカルメ
ディエーターあるいはホルモンが分泌され、他の細胞の
機能を制御していることがわかっている。例えば、血管
内皮細胞からは平滑筋細胞を標的とするホルモンが分泌
され、平滑筋細胞の機能である収縮作用を抑制してい
る。また、線維芽細胞からは血管内皮細胞増殖因子が分
泌され、内皮細胞の増殖を促進している。
【0003】一方、皮膚は表皮層とその内側の真皮層か
ら構成されていて、それぞれの層は表皮細胞および線維
芽細胞からなっている。そして、線維芽細胞からは表皮
細胞の増殖分化を制御する因子が分泌され、表皮細胞か
らは線維芽細胞の増殖を促進する因子が分泌されてお
り、両細胞間の相互作用によって皮膚の機能が有効に制
御されていることが知られている。
ら構成されていて、それぞれの層は表皮細胞および線維
芽細胞からなっている。そして、線維芽細胞からは表皮
細胞の増殖分化を制御する因子が分泌され、表皮細胞か
らは線維芽細胞の増殖を促進する因子が分泌されてお
り、両細胞間の相互作用によって皮膚の機能が有効に制
御されていることが知られている。
【0004】肝臓もまた主体である肝細胞以外に類洞を
形成する内皮細胞、星細胞などから形成されており、そ
れぞれの細胞集合体が相互に密接な連絡を取り合うこと
によって肝機能を制御しているものと考えられている。
形成する内皮細胞、星細胞などから形成されており、そ
れぞれの細胞集合体が相互に密接な連絡を取り合うこと
によって肝機能を制御しているものと考えられている。
【0005】従って、生体内で有している機能を維持し
ながら細胞を培養するには、1種類の細胞のみからなる
培養系によるよりも、生体内で共存している異種細胞を
含む共培養系による方が有利であると考えられている。
例えば、ランゲルハンス島細胞および線維芽細胞の共培
養系はランゲルハンス島細胞のみの培養系と比較してラ
ンゲルハンス島細胞からのインスリン分泌能が著しく増
加することが報告されている(Rabionovitch, A. et a
l., DIABETES (1979) 28: 1108)。また、肝細胞と線維
芽細胞の共培養系では、肝細胞のみの培養系と比較して
著しく肝細胞の寿命が延長することも報告されている
(吉里勝利、第4回初代培養肝細胞研究会抄録、(1988)
11)。
ながら細胞を培養するには、1種類の細胞のみからなる
培養系によるよりも、生体内で共存している異種細胞を
含む共培養系による方が有利であると考えられている。
例えば、ランゲルハンス島細胞および線維芽細胞の共培
養系はランゲルハンス島細胞のみの培養系と比較してラ
ンゲルハンス島細胞からのインスリン分泌能が著しく増
加することが報告されている(Rabionovitch, A. et a
l., DIABETES (1979) 28: 1108)。また、肝細胞と線維
芽細胞の共培養系では、肝細胞のみの培養系と比較して
著しく肝細胞の寿命が延長することも報告されている
(吉里勝利、第4回初代培養肝細胞研究会抄録、(1988)
11)。
【0006】従来行われてきた共培養法の大半は、種々
の細胞種の混合物を細胞培養基材上に播種し培養する方
法か、それぞれの細胞種を順次播種し培養する方法であ
った。すなわち、従来の共培養は2次元の共培養系によ
るものであったが、かかる2次元培養には種々の問題点
が存在することが指摘されていた。まず、2次元培養は
細胞の増殖過程には有用なものの、細胞の分化の過程に
は不適であるという点が挙げられる。細胞の分化の過程
は、大部分の細胞が生体内でそれぞれの特異的な機能を
発現して行くために必須の過程であることを考えると、
分化の過程に適さない2次元の共培養系は満足のゆくも
のとは言い難い。また、生体内の大部分の細胞は3次元
構築中に存在しているが、2次元培養によってこのよう
な3次元構造を有する細胞を効果的に培養するには原理
的な問題がある。即ち、2次元の培養系を用いて細胞を
培養すると、2次元の細胞基材が細胞を大変強く結合し
束縛してしまうために、細胞が生体内と同様の特異的な
構築を再生したり生体内と同様の機能を発現するのが困
難になってしまう。さらに、従来の2次元の共培養系で
は、培養した細胞をシートあるいは塊状体などの有用な
形態で回収することは不可能であるという大きな欠点も
ある。これは、従来の回収法で用いられるトリプシンお
よびEDTAなどの細胞脱離剤が、細胞シートあるいは
塊状体などの形状を維持する上で必要な細胞間結合を破
壊してしまうことによるものである。共培養した細胞を
損傷や病変した生体部位に対する置換用補てん物として
使用したり、あるいは試験物質の生物学的活性を測定す
るための組織あるいは器官のモデルとして使用したりす
るためには、細胞シートや塊状体の形態を維持すること
が必要である。
の細胞種の混合物を細胞培養基材上に播種し培養する方
法か、それぞれの細胞種を順次播種し培養する方法であ
った。すなわち、従来の共培養は2次元の共培養系によ
るものであったが、かかる2次元培養には種々の問題点
が存在することが指摘されていた。まず、2次元培養は
細胞の増殖過程には有用なものの、細胞の分化の過程に
は不適であるという点が挙げられる。細胞の分化の過程
は、大部分の細胞が生体内でそれぞれの特異的な機能を
発現して行くために必須の過程であることを考えると、
分化の過程に適さない2次元の共培養系は満足のゆくも
のとは言い難い。また、生体内の大部分の細胞は3次元
構築中に存在しているが、2次元培養によってこのよう
な3次元構造を有する細胞を効果的に培養するには原理
的な問題がある。即ち、2次元の培養系を用いて細胞を
培養すると、2次元の細胞基材が細胞を大変強く結合し
束縛してしまうために、細胞が生体内と同様の特異的な
構築を再生したり生体内と同様の機能を発現するのが困
難になってしまう。さらに、従来の2次元の共培養系で
は、培養した細胞をシートあるいは塊状体などの有用な
形態で回収することは不可能であるという大きな欠点も
ある。これは、従来の回収法で用いられるトリプシンお
よびEDTAなどの細胞脱離剤が、細胞シートあるいは
塊状体などの形状を維持する上で必要な細胞間結合を破
壊してしまうことによるものである。共培養した細胞を
損傷や病変した生体部位に対する置換用補てん物として
使用したり、あるいは試験物質の生物学的活性を測定す
るための組織あるいは器官のモデルとして使用したりす
るためには、細胞シートや塊状体の形態を維持すること
が必要である。
【0007】そこで、細胞脱離剤を用いることなく細胞
シートあるいは塊状体を形成する方法として、次の2つ
のタイプの方法が検討されてきた。1つは、アガー、ア
ガロースなどの細胞非接着性物質をコーティングした培
養基材上で細胞を浮遊培養して細胞同士を自然に凝集さ
せることによって細胞塊状体を形成する方法である(Ca
rlsson, J., et al., Spheroids in Cancer Research
(1984), 1, editedby Acker, H., et al., Springer-Ve
rlag)。この方法については、ポリヒドロキシエチルメ
タクリレートをコーティングした基材を使用した検討も
なされた(Landry, J. et al., J. Cell Biol. (1985)
101: 914)。もう1つの方法は、細胞が弱く付着できる
細胞弱接着性基材上で培養した細胞が細胞脱離剤を使用
せずに自然と脱離することを利用して細胞塊状体を作製
する方法である。プロテオグリカンコーティング基材
(Koide, N., et al., Biochem. Biophys. Res.Commum.
(1985) 161: 385)およびプラスに荷電したポリスチレ
ン(Koide, N.,et al., Experimental Cell Research
(1990) 186: 227)が上記の細胞弱接着性基材として用
いられている。これら2つの方法は複数の共培養系にも
適用された。アガーコーティング基材を用いた第1の方
法によって、HeLa 細胞と線維芽細胞からなる細胞塊状
体が作製された(Sasaki, T., et al., Cancer Researc
h(1984) 44: 345)。プロテオグリカンコーティング基
材を用いた第2の方法によって、肝細胞と血管内皮細胞
からなる細胞塊状体が作製された(Matsushima, K., et
al., 人工臓器 (1990) 19: 848)。
シートあるいは塊状体を形成する方法として、次の2つ
のタイプの方法が検討されてきた。1つは、アガー、ア
ガロースなどの細胞非接着性物質をコーティングした培
養基材上で細胞を浮遊培養して細胞同士を自然に凝集さ
せることによって細胞塊状体を形成する方法である(Ca
rlsson, J., et al., Spheroids in Cancer Research
(1984), 1, editedby Acker, H., et al., Springer-Ve
rlag)。この方法については、ポリヒドロキシエチルメ
タクリレートをコーティングした基材を使用した検討も
なされた(Landry, J. et al., J. Cell Biol. (1985)
101: 914)。もう1つの方法は、細胞が弱く付着できる
細胞弱接着性基材上で培養した細胞が細胞脱離剤を使用
せずに自然と脱離することを利用して細胞塊状体を作製
する方法である。プロテオグリカンコーティング基材
(Koide, N., et al., Biochem. Biophys. Res.Commum.
(1985) 161: 385)およびプラスに荷電したポリスチレ
ン(Koide, N.,et al., Experimental Cell Research
(1990) 186: 227)が上記の細胞弱接着性基材として用
いられている。これら2つの方法は複数の共培養系にも
適用された。アガーコーティング基材を用いた第1の方
法によって、HeLa 細胞と線維芽細胞からなる細胞塊状
体が作製された(Sasaki, T., et al., Cancer Researc
h(1984) 44: 345)。プロテオグリカンコーティング基
材を用いた第2の方法によって、肝細胞と血管内皮細胞
からなる細胞塊状体が作製された(Matsushima, K., et
al., 人工臓器 (1990) 19: 848)。
【0008】上記の細胞塊状体あるいはシートの作製に
関する従来法の大きな問題点は以下の通りである。
関する従来法の大きな問題点は以下の通りである。
【0009】(1)従来法はすべての種類の細胞に適用
できるとは限らない。これらの方法による細胞塊状体や
シートの生成はそれぞれの細胞の凝集性および脱離性に
強く依存しているが、その凝集性および脱離性は細胞の
種類によって大きく異なっているためである。
できるとは限らない。これらの方法による細胞塊状体や
シートの生成はそれぞれの細胞の凝集性および脱離性に
強く依存しているが、その凝集性および脱離性は細胞の
種類によって大きく異なっているためである。
【0010】(2)従来法では細胞塊状体やシートの大
きさと関連する全細胞数を制御することはほとんど不可
能であった。また、細胞塊状体やシートを形成する細胞
の凝集あるいは脱着が偶然あるいは予想外に起きるため
に、大きさを制御することが不可能であった。このた
め、従来法によって調製した細胞塊状体やシートの大き
さの分布は非常に広い範囲にわたっていた。
きさと関連する全細胞数を制御することはほとんど不可
能であった。また、細胞塊状体やシートを形成する細胞
の凝集あるいは脱着が偶然あるいは予想外に起きるため
に、大きさを制御することが不可能であった。このた
め、従来法によって調製した細胞塊状体やシートの大き
さの分布は非常に広い範囲にわたっていた。
【0011】(3)従来法で複数の細胞種からなる細胞
塊状体やシートを作製する時に、その細胞塊状体やシー
トを構成しているそれぞれの細胞種の組成を制御するこ
とは非常に困難であった。
塊状体やシートを作製する時に、その細胞塊状体やシー
トを構成しているそれぞれの細胞種の組成を制御するこ
とは非常に困難であった。
【0012】上述した問題点は、得られた細胞塊状体や
シートを損傷あるいは病変した生体部位の修復のために
使用したり、あるいは試験物質の生物活性の評価のため
に組織あるいは器官の代替物として使用したりする場合
には、特に深刻である。
シートを損傷あるいは病変した生体部位の修復のために
使用したり、あるいは試験物質の生物活性の評価のため
に組織あるいは器官の代替物として使用したりする場合
には、特に深刻である。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、上述
した問題点を解決した複数の細胞種からなる細胞塊状体
あるいはシートを提供することにある。さらには該細胞
塊状体あるいはシートの製造法を提供することにある。
した問題点を解決した複数の細胞種からなる細胞塊状体
あるいはシートを提供することにある。さらには該細胞
塊状体あるいはシートの製造法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記の目的は、制御され
た大きさおよび制御された細胞組成を有する複数の細胞
種からなる細胞塊状体あるいはシートを提供する本発明
によって達成された。さらには次の工程からなる該細胞
塊状体あるいはシートを形成する方法を提供する本発明
によって達成された。本発明の細胞塊状体あるいはシー
トの製造法は、(i)細胞培養温度よりも低いLCST
を有する温度感応性高分子化合物と細胞の接着・増殖因
子からなる細胞培養基材上に複数の細胞種を播種して培
養し、(ii)該細胞培養基材上で増殖した複数の細胞種
からなる細胞集合体を該温度を該LCST以下に低下さ
せることによって該細胞培養基材から脱離し、(iii)
該脱離細胞集合体を細胞非接着性基材上で浮遊培養して
細胞塊状体あるいはシートにする各工程からなる。
た大きさおよび制御された細胞組成を有する複数の細胞
種からなる細胞塊状体あるいはシートを提供する本発明
によって達成された。さらには次の工程からなる該細胞
塊状体あるいはシートを形成する方法を提供する本発明
によって達成された。本発明の細胞塊状体あるいはシー
トの製造法は、(i)細胞培養温度よりも低いLCST
を有する温度感応性高分子化合物と細胞の接着・増殖因
子からなる細胞培養基材上に複数の細胞種を播種して培
養し、(ii)該細胞培養基材上で増殖した複数の細胞種
からなる細胞集合体を該温度を該LCST以下に低下さ
せることによって該細胞培養基材から脱離し、(iii)
該脱離細胞集合体を細胞非接着性基材上で浮遊培養して
細胞塊状体あるいはシートにする各工程からなる。
【0015】本発明で使用する細胞培養基材は、温度感
応性高分子化合物と細胞の接着・増殖因子からなる。
応性高分子化合物と細胞の接着・増殖因子からなる。
【0016】温度感応性高分子化合物は、LCST以上
では固化し、LCST以下になるとすぐに水溶液中に溶
解する。したがって、LCST以上の温度で複数の細胞
を培養し、その後温度をLCST以下に下げることによ
って培養細胞を脱離することができる。しかし、大部分
の細胞は、温度感応性高分子化合物そのものに接着して
増殖することができないので、細胞培養基材には細胞の
接着・増殖因子も存在させておく。このような培養基材
を使用することによって、その基材上に形成した細胞集
合体を個々の細胞に分解することなく、またその細胞数
を減少させることもなく、該集合体を培養基材から脱着
することができるのである。
では固化し、LCST以下になるとすぐに水溶液中に溶
解する。したがって、LCST以上の温度で複数の細胞
を培養し、その後温度をLCST以下に下げることによ
って培養細胞を脱離することができる。しかし、大部分
の細胞は、温度感応性高分子化合物そのものに接着して
増殖することができないので、細胞培養基材には細胞の
接着・増殖因子も存在させておく。このような培養基材
を使用することによって、その基材上に形成した細胞集
合体を個々の細胞に分解することなく、またその細胞数
を減少させることもなく、該集合体を培養基材から脱着
することができるのである。
【0017】本発明の製造法の工程(i)では、複数の
細胞種を同時に播種して培養してもよいし、複数の細胞
種を別々にあるいは順次に播種して培養してもよい。複
数の細胞種を同時に播種して培養する場合には複数の細
胞種が該培養基材に直接接着するのに対して、別々にま
た順次に接種して培養する場合にはただ1つの細胞種の
みが該培養基材に接着するだけである。細胞の接着能は
細胞の種類に強く依存するため、同時に複数の細胞種を
播種し培養する方法を採ると、細胞集合体の全細胞数お
よび細胞組成を播種時の細胞組成比によって制御しにく
いこともある。また、細胞の脱着能も細胞の種類に依存
するため、工程(ii)において複数の細胞を同時に脱着
させにくいこともある。このため、接着能や脱着能の異
なる複数の細胞を播種して培養するときには、これらの
細胞を別々にあるいは順次に播種して培養する方法を採
るのが好ましい。
細胞種を同時に播種して培養してもよいし、複数の細胞
種を別々にあるいは順次に播種して培養してもよい。複
数の細胞種を同時に播種して培養する場合には複数の細
胞種が該培養基材に直接接着するのに対して、別々にま
た順次に接種して培養する場合にはただ1つの細胞種の
みが該培養基材に接着するだけである。細胞の接着能は
細胞の種類に強く依存するため、同時に複数の細胞種を
播種し培養する方法を採ると、細胞集合体の全細胞数お
よび細胞組成を播種時の細胞組成比によって制御しにく
いこともある。また、細胞の脱着能も細胞の種類に依存
するため、工程(ii)において複数の細胞を同時に脱着
させにくいこともある。このため、接着能や脱着能の異
なる複数の細胞を播種して培養するときには、これらの
細胞を別々にあるいは順次に播種して培養する方法を採
るのが好ましい。
【0018】最も好ましい方法は、最初の細胞種を播種
しコンフルエントになるまで培養した後に第2番目の細
胞種を播種、培養する方法である。このような順次播種
し培養する方法を採ることによって、各細胞種からなる
多層構造を作製することも可能である。 本発明によれ
ば、実質的には何層からなる細胞集合体でも作製するこ
とができる。好ましいのは約10層、より好ましくは2
〜5層からなる細胞集合体である。工程(ii)の脱着工
程では、コンフルエントになった第1細胞種が脱着工程
でスカーフのようにその他の細胞種を完全に包み込み、
細胞集合体からの細胞の離散を有効に防止することもで
きる。
しコンフルエントになるまで培養した後に第2番目の細
胞種を播種、培養する方法である。このような順次播種
し培養する方法を採ることによって、各細胞種からなる
多層構造を作製することも可能である。 本発明によれ
ば、実質的には何層からなる細胞集合体でも作製するこ
とができる。好ましいのは約10層、より好ましくは2
〜5層からなる細胞集合体である。工程(ii)の脱着工
程では、コンフルエントになった第1細胞種が脱着工程
でスカーフのようにその他の細胞種を完全に包み込み、
細胞集合体からの細胞の離散を有効に防止することもで
きる。
【0019】最終的に得られる細胞塊状体あるいはシー
トの全細胞数および各細胞種の細胞数は、順次播種して
培養する方法を採ることによって容易にかつ正確に制御
することができる。細胞基材上でコンフルエントになっ
た第1細胞種の数は、第2細胞種を播種する前に位相差
顕微鏡などの既知の手段で容易にかつ正確に算出するこ
とができる。続いて播種し培養した第2細胞種の細胞数
も、いろいろな方法で計測することができる。例えば、
第1番目のコンフルエントの細胞層上に付着した第2細
胞種の細胞数を位相差顕微鏡によって直接算出する方法
や、培養液中に浮遊している未接着の第2細胞種の細胞
数を算出して第2細胞種の播種時の細胞数から差し引い
て算出する方法などが挙げられる。
トの全細胞数および各細胞種の細胞数は、順次播種して
培養する方法を採ることによって容易にかつ正確に制御
することができる。細胞基材上でコンフルエントになっ
た第1細胞種の数は、第2細胞種を播種する前に位相差
顕微鏡などの既知の手段で容易にかつ正確に算出するこ
とができる。続いて播種し培養した第2細胞種の細胞数
も、いろいろな方法で計測することができる。例えば、
第1番目のコンフルエントの細胞層上に付着した第2細
胞種の細胞数を位相差顕微鏡によって直接算出する方法
や、培養液中に浮遊している未接着の第2細胞種の細胞
数を算出して第2細胞種の播種時の細胞数から差し引い
て算出する方法などが挙げられる。
【0020】工程(iii)において、工程(ii)で脱着
した細胞集合体を細胞非接着性基材の上で浮遊培養する
ことによって、細胞塊状体あるいはシートに変換する。
好ましい細胞非接着性基材の1つは温度感応性高分子化
合物をコーティングしたものである。
した細胞集合体を細胞非接着性基材の上で浮遊培養する
ことによって、細胞塊状体あるいはシートに変換する。
好ましい細胞非接着性基材の1つは温度感応性高分子化
合物をコーティングしたものである。
【0021】本発明で播種して培養することができる細
胞種として、線維芽細胞、肝細胞、内皮細胞、膵細胞、
表皮細胞、骨細胞、神経細胞、筋細胞、腎細胞および脳
細胞などを挙げることができるが、本発明はこれらの細
胞種に限定されるものではない。
胞種として、線維芽細胞、肝細胞、内皮細胞、膵細胞、
表皮細胞、骨細胞、神経細胞、筋細胞、腎細胞および脳
細胞などを挙げることができるが、本発明はこれらの細
胞種に限定されるものではない。
【0022】本発明の方法は、所望の大きさと細胞組成
を有する細胞塊状体やシートを製造することができる点
に大きな特徴がある。後述する実施例から明らかなよう
に、細胞培養基材の表面積や各細胞の播種密度を調節す
ることによって、各細胞の数を容易に制御することがで
きる。また、本発明の方法によれば、様々な形態を有す
る細胞塊状体やシートを製造することもできる。例え
ば、適宜条件を設定することによって、特定の細胞が別
の細胞を完全に覆った構造や、特定の細胞が別の細胞を
一部分覆った構造を有する細胞塊状体やシートと製造す
ることができる。このような本発明の方法を利用して製
造される細胞塊状体のうち、膵ランゲルハンス島または
膵ランゲルハンス島細胞からなる中心部を全部または一
部覆った線維芽細胞からなる細胞塊状体は、とくに優れ
た効果を有する。この細胞塊状体は、優れたインスリン
分泌能力を有するとともに、その活性が長期間にわたり
維持されるため、人工臓器としての利用価値が極めて高
いものである。このように、本発明の方法で製造した細
胞塊状体やシートは、生体修復用補てつ物をはじめとす
る医療用製品としての有用性が高いものと期待される。
を有する細胞塊状体やシートを製造することができる点
に大きな特徴がある。後述する実施例から明らかなよう
に、細胞培養基材の表面積や各細胞の播種密度を調節す
ることによって、各細胞の数を容易に制御することがで
きる。また、本発明の方法によれば、様々な形態を有す
る細胞塊状体やシートを製造することもできる。例え
ば、適宜条件を設定することによって、特定の細胞が別
の細胞を完全に覆った構造や、特定の細胞が別の細胞を
一部分覆った構造を有する細胞塊状体やシートと製造す
ることができる。このような本発明の方法を利用して製
造される細胞塊状体のうち、膵ランゲルハンス島または
膵ランゲルハンス島細胞からなる中心部を全部または一
部覆った線維芽細胞からなる細胞塊状体は、とくに優れ
た効果を有する。この細胞塊状体は、優れたインスリン
分泌能力を有するとともに、その活性が長期間にわたり
維持されるため、人工臓器としての利用価値が極めて高
いものである。このように、本発明の方法で製造した細
胞塊状体やシートは、生体修復用補てつ物をはじめとす
る医療用製品としての有用性が高いものと期待される。
【0023】本発明で用いる細胞培養基材に使用する温
度感応性高分子化合物とは、LCST(Lower Critical
Solution Temperature)を有し、LCST以下では水
和状態でありLCST以上では脱水和状態に変化するこ
とを特徴とする高分子化合物である。温度感応性高分子
化合物の例としては、ポリN置換アクリルアミド誘導
体、ポリN置換メタアクリルアミド誘導体およびこれら
の共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレン
オキサイド、エーテル化メチルセルロース、ポリビニル
アルコール部分酢化物などを挙げることができる。特に
好ましいのは、ポリN置換アクリルアミド誘導体または
ポリN置換メタアクリルアミド誘導体またはこれらの共
重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコ
ール部分酢化物である。
度感応性高分子化合物とは、LCST(Lower Critical
Solution Temperature)を有し、LCST以下では水
和状態でありLCST以上では脱水和状態に変化するこ
とを特徴とする高分子化合物である。温度感応性高分子
化合物の例としては、ポリN置換アクリルアミド誘導
体、ポリN置換メタアクリルアミド誘導体およびこれら
の共重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレン
オキサイド、エーテル化メチルセルロース、ポリビニル
アルコール部分酢化物などを挙げることができる。特に
好ましいのは、ポリN置換アクリルアミド誘導体または
ポリN置換メタアクリルアミド誘導体またはこれらの共
重合体、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコ
ール部分酢化物である。
【0024】好ましい高分子化合物を以下にLCSTが
低い順に列挙する。
低い順に列挙する。
【0025】ポリーN−アクリロイルピペリジン; ポリーN−n−プロピルメタアクリルアミド; ポリーN−イソプロピルアクリルアミド; ポリーN,N−ジエチルアクリルアミド; ポリーN−イソプロピルメタアクリルアミド; ポリーN−シクロプロピルアクリルアミド; ポリーN−アクリロイルピペリジン; ポリーN,N−エチルメチルアクリルアミド; ポリーN−シクロプロピルメタアクリルアミド; ポリーN−エチルアクリルアミド; 上記の高分子化合物は単独でも、他の単量体と共重合し
てもよい。共重合する単量体としては、親水性単量体、
疎水性単量体のいずれも用いることができる。一般的に
は親水性単量体と共重合するとLCSTは上昇し、疎水
性単量体と共重合するとLCSTは下降する。したがっ
て、これらを適宜選択することによっても所望のLCS
Tを有する高分子化合物を得ることができる。
てもよい。共重合する単量体としては、親水性単量体、
疎水性単量体のいずれも用いることができる。一般的に
は親水性単量体と共重合するとLCSTは上昇し、疎水
性単量体と共重合するとLCSTは下降する。したがっ
て、これらを適宜選択することによっても所望のLCS
Tを有する高分子化合物を得ることができる。
【0026】親水性単量体としては、N−ビニルピロリ
ドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリル
アミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル
メタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒ
ドロキシメタアクリレート、ヒドロキシメチルアクリレ
ート、酸性基を有するアクリル酸、メタアクリル酸およ
びそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチルスルホン酸な
ど、並びに塩基性基を有するN,Nージメチルアミノエ
チルメタクリレート、N,Nージエチルエチルアミノエ
チルメタクリレート、N,Nージメチルアミノプロピル
アクリルアミドおよびそれらの塩などが挙げられるがこ
れらに限定されるものではない。
ドン、ビニルピリジン、アクリルアミド、メタアクリル
アミド、N−メチルアクリルアミド、ヒドロキシエチル
メタアクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒ
ドロキシメタアクリレート、ヒドロキシメチルアクリレ
ート、酸性基を有するアクリル酸、メタアクリル酸およ
びそれらの塩、ビニルスルホン酸、スチルスルホン酸な
ど、並びに塩基性基を有するN,Nージメチルアミノエ
チルメタクリレート、N,Nージエチルエチルアミノエ
チルメタクリレート、N,Nージメチルアミノプロピル
アクリルアミドおよびそれらの塩などが挙げられるがこ
れらに限定されるものではない。
【0027】細胞膜は通常、陰性に荷電しているので静
電的相互作用による基質に対する細胞の接着性を向上さ
せるために、塩基性を有する単量体との共重合体を用い
るのが好ましい。
電的相互作用による基質に対する細胞の接着性を向上さ
せるために、塩基性を有する単量体との共重合体を用い
るのが好ましい。
【0028】一方、疎水性単量体としては、エチルアク
リレート、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリ
レート等のアクリレート誘導体およびメタクリレート誘
導体、N−n−ブチルメタアクリルアミドなどのN置換
アルキルメタアクリルアミド誘導体、塩化ビニル、アク
リロニトリル、スチレン、酢酸ビニルなどが挙げられる
がこれらに限定されるものではない。
リレート、メチルメタクリレート、グリシジルメタクリ
レート等のアクリレート誘導体およびメタクリレート誘
導体、N−n−ブチルメタアクリルアミドなどのN置換
アルキルメタアクリルアミド誘導体、塩化ビニル、アク
リロニトリル、スチレン、酢酸ビニルなどが挙げられる
がこれらに限定されるものではない。
【0029】本発明に使用する温度感応性高分子化合物
は、分子量が1.0x105以上であることが望ましい。
さらに望ましくは1.0x106以上である。本発明でい
う分子量とは、粘度より求めた平均分子量をさす。例え
ば、ポリーN−イソプロピルアクリルアミドに関して
は、平均分子量(Mn)と極限粘度([η])の関係式
は、 [η] = 9,59x10-5 Mn0.65 (27℃テトラヒドロフラン溶液)(伊藤,R. T. Gero
nimo, 繊維高分子材料研究所研究報告第159号(19
88))となる。
は、分子量が1.0x105以上であることが望ましい。
さらに望ましくは1.0x106以上である。本発明でい
う分子量とは、粘度より求めた平均分子量をさす。例え
ば、ポリーN−イソプロピルアクリルアミドに関して
は、平均分子量(Mn)と極限粘度([η])の関係式
は、 [η] = 9,59x10-5 Mn0.65 (27℃テトラヒドロフラン溶液)(伊藤,R. T. Gero
nimo, 繊維高分子材料研究所研究報告第159号(19
88))となる。
【0030】一方、本発明で使用する細胞接着・増殖因
子の例としては細胞外マトリックス、ゼラチン、レクチ
ン、フィブロネクチンのような接着性タンパクの結合部
位である接着性オリゴペプチド、イガイ由来の接着性タ
ンパク、塩基性高分子などが挙げられる。細胞外マトリ
ックスとは、生体中の細胞間に存在する物質であり、コ
ラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチ
ン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンおよびス
ロンボスポンジンなどが挙げられる。
子の例としては細胞外マトリックス、ゼラチン、レクチ
ン、フィブロネクチンのような接着性タンパクの結合部
位である接着性オリゴペプチド、イガイ由来の接着性タ
ンパク、塩基性高分子などが挙げられる。細胞外マトリ
ックスとは、生体中の細胞間に存在する物質であり、コ
ラーゲン、フィブロネクチン、ラミニン、ビトロネクチ
ン、プロテオグリカン、グリコサミノグリカンおよびス
ロンボスポンジンなどが挙げられる。
【0031】塩基性高分子化合物の例としては、ポリリ
ジン、ポリヒスチジン、プロタミンサルフェイト、ポリ
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリジメ
チルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ンイミンおよびポリビニルピリジンなどが挙げられる。
ジン、ポリヒスチジン、プロタミンサルフェイト、ポリ
ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ポリジメ
チルアミノプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレ
ンイミンおよびポリビニルピリジンなどが挙げられる。
【0032】本発明で使用する細胞培養基材は典型的に
は細胞培養温度よりも低いLCSTを有する温度感応性
高分子化合物と細胞の接着・増殖因子を支持体の上にコ
ーティングすることによって製造することができる。
は細胞培養温度よりも低いLCSTを有する温度感応性
高分子化合物と細胞の接着・増殖因子を支持体の上にコ
ーティングすることによって製造することができる。
【0033】このような培養基材は温度感応性高分子化
合物と細胞接着・増殖因子の混合物の水溶液をLCST
よりも低い温度で支持体の全部あるいは一部にコーティ
ングし、該コーティング層を乾燥することによって得ら
れる。また、温度感応性高分子化合物と細胞の接着・増
殖因子の混合物水溶液中にLCST以下の温度で支持体
を浸漬し、乾燥する工程によっても本発明の培養基材は
得られる。
合物と細胞接着・増殖因子の混合物の水溶液をLCST
よりも低い温度で支持体の全部あるいは一部にコーティ
ングし、該コーティング層を乾燥することによって得ら
れる。また、温度感応性高分子化合物と細胞の接着・増
殖因子の混合物水溶液中にLCST以下の温度で支持体
を浸漬し、乾燥する工程によっても本発明の培養基材は
得られる。
【0034】さらに、本発明で使用する培養基材は支持
体表面に温度感応性高分子化合物の層を形成させた後に
該層の上に細胞の接着・増殖因子の層を形成させる方法
によっても得られる。また、本発明に用いられる培養基
材は支持体表面に細胞の接着・増殖因子の層を形成させ
た後に該層の上に温度感応性高分子化合物の層を形成さ
せることによっても得られる。
体表面に温度感応性高分子化合物の層を形成させた後に
該層の上に細胞の接着・増殖因子の層を形成させる方法
によっても得られる。また、本発明に用いられる培養基
材は支持体表面に細胞の接着・増殖因子の層を形成させ
た後に該層の上に温度感応性高分子化合物の層を形成さ
せることによっても得られる。
【0035】本発明で使用する温度感応性高分子化合物
と細胞の接着・増殖因子との混合割合は典型的には1:
0.1〜1:3であり、この値は用いられる細胞の接着
・増殖因子の種類および細胞種によって変わる。
と細胞の接着・増殖因子との混合割合は典型的には1:
0.1〜1:3であり、この値は用いられる細胞の接着
・増殖因子の種類および細胞種によって変わる。
【0036】乾燥後のコーティング層の厚さは0.2μm
以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0
μm以上である。コーティング層の厚さが0.2μm以下
の場合には細胞の脱着性が著しく悪化するため細胞の脱
着に大変長時間を要し、その結果、細胞の機能が不安定
になる。
以上、好ましくは0.5μm以上、より好ましくは1.0
μm以上である。コーティング層の厚さが0.2μm以下
の場合には細胞の脱着性が著しく悪化するため細胞の脱
着に大変長時間を要し、その結果、細胞の機能が不安定
になる。
【0037】本発明で使用する支持体としては透明ある
いは半透明のものが好ましく、ガラスあるいはプラスチ
ックが好ましい。典型的なプラスチックとして、ポリス
チレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリビニリデンフロライド、ポリオキシメチ
レン、ポリビニルクロライド、ポリアクリロニトリル、
ポリテトラフロロエチレンおよびポリジメチルシロキサ
ンなどが挙げられる。支持体の形態については特別の制
限はなく、ディッシュ、プレート、フィルム、シートな
どの形状で用いられる。
いは半透明のものが好ましく、ガラスあるいはプラスチ
ックが好ましい。典型的なプラスチックとして、ポリス
チレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレー
ト、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポ
リアミド、ポリビニリデンフロライド、ポリオキシメチ
レン、ポリビニルクロライド、ポリアクリロニトリル、
ポリテトラフロロエチレンおよびポリジメチルシロキサ
ンなどが挙げられる。支持体の形態については特別の制
限はなく、ディッシュ、プレート、フィルム、シートな
どの形状で用いられる。
【0038】以下に実施例を示し、本発明をさらに具体
的に説明するが、本発明の範囲は特許請求の範囲の項の
記載により定まるものであり、以下の実施例により制限
を受けるものではない。
的に説明するが、本発明の範囲は特許請求の範囲の項の
記載により定まるものであり、以下の実施例により制限
を受けるものではない。
【0039】
【実施例】実施例1 N−イソプロピルアクリルアミドモノマー(NIPAA
m、Eastman KodakCo.)50gをベンゼン500mlに溶
解し、2,2'−アゾビスイソブチルニトリル(AIB
N)0.2gを重合開始剤として使用して、60℃で1
2時間、窒素気流中にて撹拌下で重合を行った。重合物
はベンゼン中で沈澱するためデカンテーションした後、
沈澱物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解してエチ
ルエーテルを用いて沈澱精製を行うことによってポリー
N−イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)を
得た。このようにして得たPNIPAAmの数平均分子
量は2.0x106であった。0.5%(W/V)のPN
IPAAm水溶液のLCSTおよび1.0%(W/V)
のPNIPAAmのリン酸緩衝液(PBS)のLCST
を濁度法で測定した結果、それぞれ32℃と29℃であ
った。ウシの真皮ペプシン可溶化タイプIコラーゲン
(滅菌済、高研(株)製)0.5%(W/V)水溶液を
用いて、PNIPAAm濃度が0.25%(W/V)、
コラーゲン濃度が0.25%(W/V)の等量混合溶液
を作製した。直径約9mmの穴の開いた型と直径約15mm
の穴の開いた型を用いて、上記の混合溶液を直径が60
mmの市販品の疎水性ディッシュ(Falcon)底面上にコー
ティングすることによって、コーティング面積が約0.
6cm2の培養基材と約1.8cm2の培養基材(タイプI基
材)を作製した。コラーゲンとPNIPAAmの重量混
合比は1:1でありコーティング層の厚さは約2μmで
あった。またこれとは別に、直径35mmの市販の組織培
養用ディッシュ(Falcon)上に0.5%(W/V)のP
NIPAAmのみを含有する水溶液をコーティングして
タイプII基材を作製した。コーティング層の厚さは約2
μmであった。
m、Eastman KodakCo.)50gをベンゼン500mlに溶
解し、2,2'−アゾビスイソブチルニトリル(AIB
N)0.2gを重合開始剤として使用して、60℃で1
2時間、窒素気流中にて撹拌下で重合を行った。重合物
はベンゼン中で沈澱するためデカンテーションした後、
沈澱物をテトラヒドロフラン(THF)に溶解してエチ
ルエーテルを用いて沈澱精製を行うことによってポリー
N−イソプロピルアクリルアミド(PNIPAAm)を
得た。このようにして得たPNIPAAmの数平均分子
量は2.0x106であった。0.5%(W/V)のPN
IPAAm水溶液のLCSTおよび1.0%(W/V)
のPNIPAAmのリン酸緩衝液(PBS)のLCST
を濁度法で測定した結果、それぞれ32℃と29℃であ
った。ウシの真皮ペプシン可溶化タイプIコラーゲン
(滅菌済、高研(株)製)0.5%(W/V)水溶液を
用いて、PNIPAAm濃度が0.25%(W/V)、
コラーゲン濃度が0.25%(W/V)の等量混合溶液
を作製した。直径約9mmの穴の開いた型と直径約15mm
の穴の開いた型を用いて、上記の混合溶液を直径が60
mmの市販品の疎水性ディッシュ(Falcon)底面上にコー
ティングすることによって、コーティング面積が約0.
6cm2の培養基材と約1.8cm2の培養基材(タイプI基
材)を作製した。コラーゲンとPNIPAAmの重量混
合比は1:1でありコーティング層の厚さは約2μmで
あった。またこれとは別に、直径35mmの市販の組織培
養用ディッシュ(Falcon)上に0.5%(W/V)のP
NIPAAmのみを含有する水溶液をコーティングして
タイプII基材を作製した。コーティング層の厚さは約2
μmであった。
【0040】ヒトの真皮由来の線維芽細胞は Yoshizato
らの方法によって採取、維持した(Yoshizato, K., et
al., Biochem. Biophys. Acta (1980) 627: 23)。初
代培養肝実質細胞は体重が約150gの5週令の雄ラッ
ト(Charles River Japan,Inc.)から0.05%(W/
V)のコラゲナーゼを用いて肝を灌流することによって
採取した。ヒトの真皮由来の線維芽細胞を10%(W/
V)FBS、20mMHEPES、100U/mlのペニシ
リンと100mg/mlのストレプトマイシンを添加した培
地(DMEM)に浮遊させて37℃に加温した。該ヒト
真皮由来の線維芽細胞浮遊液を播種濃度約4.0x104
/cm2で表面積がそれぞれ約0.6と約1.8cm2のタイプ
I基材上に播種した。5%炭酸ガス、95%空気の加湿
インキュベーター中で37℃で3日間培養することによ
って、該線維芽細胞はコンフルエント状態に増殖した。
コンフルエント状態の確認およびコンフルエント状態の
線維芽細胞の密度の測定は倒立位相差顕微鏡によって行
った。次に、あらかじめ37℃に加温したラットの初代
培養肝実質細胞の浮遊培地を、該コンフルエント状態の
線維芽細胞単層上に播種濃度約1.0x104および約
5.0x104でそれぞれ播種した。60分間共培養した
後に90%以上の肝実質細胞が該コンフルエント線維芽
細胞層に付着していることが倒立顕微鏡観察によって確
認された。その後、培養ディッシュを37℃のインキュ
ベーターから25℃の室温中に取り出し約5分間そのま
まの状態で放置した。この操作により、肝細胞が付着し
た線維芽細胞単層はタイプI基材からその細胞集合体と
して完全に脱着した。脱着した細胞集合体を、培養液中
に溶解したPNIPAAmおよびコラーゲンによる汚染
を防止するために冷却したPBSで2回、冷却した培地
で1回洗浄した後に、あらかじめ37℃に加温してある
タイプII基材中の培地に移した。細胞塊状体の形成およ
び維持は、5%炭酸ガス、95%空気の加湿インキュベ
ーター中、タイプII基材上にて37℃で行った。培地交
換は3日毎に行った。
らの方法によって採取、維持した(Yoshizato, K., et
al., Biochem. Biophys. Acta (1980) 627: 23)。初
代培養肝実質細胞は体重が約150gの5週令の雄ラッ
ト(Charles River Japan,Inc.)から0.05%(W/
V)のコラゲナーゼを用いて肝を灌流することによって
採取した。ヒトの真皮由来の線維芽細胞を10%(W/
V)FBS、20mMHEPES、100U/mlのペニシ
リンと100mg/mlのストレプトマイシンを添加した培
地(DMEM)に浮遊させて37℃に加温した。該ヒト
真皮由来の線維芽細胞浮遊液を播種濃度約4.0x104
/cm2で表面積がそれぞれ約0.6と約1.8cm2のタイプ
I基材上に播種した。5%炭酸ガス、95%空気の加湿
インキュベーター中で37℃で3日間培養することによ
って、該線維芽細胞はコンフルエント状態に増殖した。
コンフルエント状態の確認およびコンフルエント状態の
線維芽細胞の密度の測定は倒立位相差顕微鏡によって行
った。次に、あらかじめ37℃に加温したラットの初代
培養肝実質細胞の浮遊培地を、該コンフルエント状態の
線維芽細胞単層上に播種濃度約1.0x104および約
5.0x104でそれぞれ播種した。60分間共培養した
後に90%以上の肝実質細胞が該コンフルエント線維芽
細胞層に付着していることが倒立顕微鏡観察によって確
認された。その後、培養ディッシュを37℃のインキュ
ベーターから25℃の室温中に取り出し約5分間そのま
まの状態で放置した。この操作により、肝細胞が付着し
た線維芽細胞単層はタイプI基材からその細胞集合体と
して完全に脱着した。脱着した細胞集合体を、培養液中
に溶解したPNIPAAmおよびコラーゲンによる汚染
を防止するために冷却したPBSで2回、冷却した培地
で1回洗浄した後に、あらかじめ37℃に加温してある
タイプII基材中の培地に移した。細胞塊状体の形成およ
び維持は、5%炭酸ガス、95%空気の加湿インキュベ
ーター中、タイプII基材上にて37℃で行った。培地交
換は3日毎に行った。
【0041】細胞塊状体中の線維芽細胞数および肝細胞
数を次の方法によって測定した。4日間培養した細胞塊
状体を4℃で60分間10%ホルマリン中性緩衝液に浸
漬することによって固定化した。次に脱水しパラフィン
ワックス中に包埋した。細胞塊状体の中心部付近から厚
さ約2μmの薄層切片を切り出し、ワックスを除去した
後に通常の方法によってヘマトキシリン・エオシン(H
E)染色を行った。免疫染色のためにワックスを除去し
た薄層切片を、内在性のペルオキシターゼ活性を除去す
るためにH2O2を0.3重量%含有するメタノール中に
30分間浸漬した。それから該切片を60分間ヤギ血清
中に浸漬し、次にラットのアルブミンに対するウサギの
IgG(Cappel, Organon Teknika Corporation)(P
BSにより500倍に希釈)中に30分間浸漬した。次
いでウサギのIgGに対するビオチン化ヤギ抗体中に3
0分間浸漬し、さらに37℃で加湿器中でアヴィジンー
ビオチンーペルオキシダーゼ錯体(ABC)(Vector L
aboratories, Inc.)中で30分間浸漬した。結合した
ペルオキシダーゼを、0.01重量%のH2O2を含む0.
5mg/mlのDAB(Dojindo Laboratories)中に2分間
浸漬することによって検出した。得られた試料切片をヘ
マトキシリンによって中和染色して乾燥した。
数を次の方法によって測定した。4日間培養した細胞塊
状体を4℃で60分間10%ホルマリン中性緩衝液に浸
漬することによって固定化した。次に脱水しパラフィン
ワックス中に包埋した。細胞塊状体の中心部付近から厚
さ約2μmの薄層切片を切り出し、ワックスを除去した
後に通常の方法によってヘマトキシリン・エオシン(H
E)染色を行った。免疫染色のためにワックスを除去し
た薄層切片を、内在性のペルオキシターゼ活性を除去す
るためにH2O2を0.3重量%含有するメタノール中に
30分間浸漬した。それから該切片を60分間ヤギ血清
中に浸漬し、次にラットのアルブミンに対するウサギの
IgG(Cappel, Organon Teknika Corporation)(P
BSにより500倍に希釈)中に30分間浸漬した。次
いでウサギのIgGに対するビオチン化ヤギ抗体中に3
0分間浸漬し、さらに37℃で加湿器中でアヴィジンー
ビオチンーペルオキシダーゼ錯体(ABC)(Vector L
aboratories, Inc.)中で30分間浸漬した。結合した
ペルオキシダーゼを、0.01重量%のH2O2を含む0.
5mg/mlのDAB(Dojindo Laboratories)中に2分間
浸漬することによって検出した。得られた試料切片をヘ
マトキシリンによって中和染色して乾燥した。
【0042】線維芽細胞と肝細胞の数をHE染色された
切片および上述した間接的免疫ペルオキシダーゼ染色さ
れた切片の顕微鏡写真からそれぞれ算出した。またすべ
ての細胞塊状体の直径を位相差顕微鏡写真から計測し
た。
切片および上述した間接的免疫ペルオキシダーゼ染色さ
れた切片の顕微鏡写真からそれぞれ算出した。またすべ
ての細胞塊状体の直径を位相差顕微鏡写真から計測し
た。
【0043】すべての細胞塊状体中の肝細胞および線維
芽細胞の数および塊状体の大きさを表1に示す。表1か
ら明らかなように、タイプI基材の表面積および肝細胞
の播種密度を調節することによって、線維芽細胞および
肝細胞の数をそれぞれ容易にかつ正確に制御することが
可能である。また、細胞塊状体の径を本発明の方法にお
ける全細胞数によって正確に制御することも可能であ
る。
芽細胞の数および塊状体の大きさを表1に示す。表1か
ら明らかなように、タイプI基材の表面積および肝細胞
の播種密度を調節することによって、線維芽細胞および
肝細胞の数をそれぞれ容易にかつ正確に制御することが
可能である。また、細胞塊状体の径を本発明の方法にお
ける全細胞数によって正確に制御することも可能であ
る。
【0044】
【0045】実施例2 膵ランゲルハンス島を Lacy の方法(Lacy, P. E., et
al., DIABETES (1967)16: 35)によって約300gの体
重のWKAラットから採取した。得られたランゲルハン
ス島の径は200〜500μmであった。
al., DIABETES (1967)16: 35)によって約300gの体
重のWKAラットから採取した。得られたランゲルハン
ス島の径は200〜500μmであった。
【0046】タイプI基材を実施例1で用いた0.25
%(W/V)PNIPAAm と0.25%(W/V)コ
ラーゲンの混合物水溶液を径が35mmの Falcon ディッ
シュ上にコーティングすることによって作製した。コー
ティング層中のコラーゲンとPNIPAAmの混合重量
比は1:1であり、コーティング層の厚みは約2μmで
あった。また、タイプII基材は実施例1で用いた方法で
作製した。実施例1で用いたものと同一の培地中にヒト
真皮由来の線維芽細胞を浮遊させあらかじめ37℃に加
温して上述のタイプI基材上に初期播種濃度が約4.0
x104/cm2で播種した。5%炭酸ガス、95%空気の
加湿インキュベーター中4日間、37℃でコンフルエン
トになるまで培養した。ここで、コンフルエント状態の
確認とコンフルエント状態の線維芽細胞の密度の計測は
倒立位相差顕微鏡によって行った。次いで、37℃に加
温された培地中に浮遊させた上記の2〜3個のランゲル
ハンス島を上述した線維芽細胞の単層上に播種した。1
0時間後に倒立位相差顕微鏡によって播種したランゲル
ハンス島が線維芽細胞の単層上に接着しているのが確認
された。次いでタイプI基材を37℃のインキュベータ
ーから取り出し、室温(約25℃)中に放置した。この
操作によって、ランゲルハンス島が接着した線維芽細胞
単層が徐々にタイプI基材から脱着し、ランゲルハンス
島を包み込むことが倒立位相差顕微鏡観察によって確認
された。この脱離過程でランゲルハンス島の線維芽細胞
層からの分離は認められなかった。このようにして得ら
れた線維芽細胞とランゲルハンス島からなる細胞集合体
をPBSで2〜3回洗浄した後、上述したタイプII基材
中のあらかじめ加温された培地中に移し、4日毎に培地
交換をしながら浮遊培養を行った。この培養過程で細胞
集合体は完全な細胞塊状体へと変化した。タイプII基材
上で14日間培養した後、該細胞塊状体を10%ホルマ
リン中性緩衝液にて固定し、脱水、パラフィンワックス
中に包埋した。細胞塊状体の中心部付近から厚さ約2μ
mの切片層を切り出した。ワックスを除去した後にその
切片層を通常の方法に従ってHE染色した。HE染色に
より播種したランゲルハンス島が完全に線維芽細胞によ
ってカプセル化されていて該細胞塊状体がランゲルハン
ス島と線維芽細胞からなっていることが確認された。
%(W/V)PNIPAAm と0.25%(W/V)コ
ラーゲンの混合物水溶液を径が35mmの Falcon ディッ
シュ上にコーティングすることによって作製した。コー
ティング層中のコラーゲンとPNIPAAmの混合重量
比は1:1であり、コーティング層の厚みは約2μmで
あった。また、タイプII基材は実施例1で用いた方法で
作製した。実施例1で用いたものと同一の培地中にヒト
真皮由来の線維芽細胞を浮遊させあらかじめ37℃に加
温して上述のタイプI基材上に初期播種濃度が約4.0
x104/cm2で播種した。5%炭酸ガス、95%空気の
加湿インキュベーター中4日間、37℃でコンフルエン
トになるまで培養した。ここで、コンフルエント状態の
確認とコンフルエント状態の線維芽細胞の密度の計測は
倒立位相差顕微鏡によって行った。次いで、37℃に加
温された培地中に浮遊させた上記の2〜3個のランゲル
ハンス島を上述した線維芽細胞の単層上に播種した。1
0時間後に倒立位相差顕微鏡によって播種したランゲル
ハンス島が線維芽細胞の単層上に接着しているのが確認
された。次いでタイプI基材を37℃のインキュベータ
ーから取り出し、室温(約25℃)中に放置した。この
操作によって、ランゲルハンス島が接着した線維芽細胞
単層が徐々にタイプI基材から脱着し、ランゲルハンス
島を包み込むことが倒立位相差顕微鏡観察によって確認
された。この脱離過程でランゲルハンス島の線維芽細胞
層からの分離は認められなかった。このようにして得ら
れた線維芽細胞とランゲルハンス島からなる細胞集合体
をPBSで2〜3回洗浄した後、上述したタイプII基材
中のあらかじめ加温された培地中に移し、4日毎に培地
交換をしながら浮遊培養を行った。この培養過程で細胞
集合体は完全な細胞塊状体へと変化した。タイプII基材
上で14日間培養した後、該細胞塊状体を10%ホルマ
リン中性緩衝液にて固定し、脱水、パラフィンワックス
中に包埋した。細胞塊状体の中心部付近から厚さ約2μ
mの切片層を切り出した。ワックスを除去した後にその
切片層を通常の方法に従ってHE染色した。HE染色に
より播種したランゲルハンス島が完全に線維芽細胞によ
ってカプセル化されていて該細胞塊状体がランゲルハン
ス島と線維芽細胞からなっていることが確認された。
【0047】実施例3 実施例2と同様の方法で、径が約250μmのランゲル
ハンス島1個を含むヒト真皮由来の線維芽細胞からなる
細胞塊状体を作製した。5%炭酸ガス、95%空気の加
湿インキュベーター中で37℃において、該細胞塊状体
を、10%(W/V)FBSを含有するDMEMを用い
て培地を4日間毎に交換しながらタイプII基材上で培養
した。該細胞塊状体から培地中に分泌されるインスリン
量を通常の免疫分析によって測定した。40日間の培養
後でもインスリンの分泌量は約33μU/ランゲルハン
ス島/日であった。また、2カ月培養した後、該細胞塊
状体を上述したHE染色で観察したところ線維芽細胞に
よってカプセル化されたランゲルハンス島内部には壊死
は認められなかった。比較実験として径が約350μm
のランゲルハンス島のみを上記と同一条件でタイプII基
材上で培養したところ10日間の培養でインスリンの分
泌量は約4μU/ランゲルハンス島/日に低下し、HE
染色によって2週間の培養でランゲルハンス島内部に壊
死が認められた。これらの事実は線維芽細胞による細胞
塊状体の形成はランゲルハンス島の活性および機能を長
期間維持するために有効であることを示している。
ハンス島1個を含むヒト真皮由来の線維芽細胞からなる
細胞塊状体を作製した。5%炭酸ガス、95%空気の加
湿インキュベーター中で37℃において、該細胞塊状体
を、10%(W/V)FBSを含有するDMEMを用い
て培地を4日間毎に交換しながらタイプII基材上で培養
した。該細胞塊状体から培地中に分泌されるインスリン
量を通常の免疫分析によって測定した。40日間の培養
後でもインスリンの分泌量は約33μU/ランゲルハン
ス島/日であった。また、2カ月培養した後、該細胞塊
状体を上述したHE染色で観察したところ線維芽細胞に
よってカプセル化されたランゲルハンス島内部には壊死
は認められなかった。比較実験として径が約350μm
のランゲルハンス島のみを上記と同一条件でタイプII基
材上で培養したところ10日間の培養でインスリンの分
泌量は約4μU/ランゲルハンス島/日に低下し、HE
染色によって2週間の培養でランゲルハンス島内部に壊
死が認められた。これらの事実は線維芽細胞による細胞
塊状体の形成はランゲルハンス島の活性および機能を長
期間維持するために有効であることを示している。
【0048】実施例4 実施例2で用いたものと同様のランゲルハンス島から O
no らの方法によってランゲルハンス島細胞を作製した
(Ono, J., et al., Endocrinol. Japan (1977) 24: 26
5)。ランゲルハンス島の代わりにランゲルハンス島細
胞を用いて実施例2と同様の方法で線維芽細胞よりなる
細胞塊状体を作製した。HE染色の結果、ランゲルハン
ス島細胞が線維芽細胞によって完全にカプセル化されて
いることがわかった。
no らの方法によってランゲルハンス島細胞を作製した
(Ono, J., et al., Endocrinol. Japan (1977) 24: 26
5)。ランゲルハンス島の代わりにランゲルハンス島細
胞を用いて実施例2と同様の方法で線維芽細胞よりなる
細胞塊状体を作製した。HE染色の結果、ランゲルハン
ス島細胞が線維芽細胞によって完全にカプセル化されて
いることがわかった。
【0049】実施例5 実施例1で用いたものと同一の培地およびタイプI基材
をあらかじめ37℃に加温しヒト真皮由来の線維芽細胞
を初期播種密度約4.0x104/cm2で播種した。37
℃で5%炭酸ガス、95%空気の加湿インキュベーター
中で3日間培養し、コンフルエントの線維芽細胞単層を
作製した。次いで、上述した培地中に浮遊させたヒト臍
帯動脈由来の血管内皮細胞を播種密度約5.0x104/
cm2で上述の線維芽細胞単層上に播種した。60分後、
大部分の播種血管内皮細胞が線維芽細胞単層上に接着し
た。次いでタイプI基材を37℃のインキュベーターか
ら取り出し室温(約25℃)に放置した。倒立位相差顕
微鏡によってこの操作により血管内皮細胞が接着した線
維芽細胞単層が徐々にタイプI基材から脱着し、血管内
皮細胞を包みこむことが確認された。この脱着過程では
血管内皮細胞および線維芽細胞の離散はほとんど認めら
れなかった。
をあらかじめ37℃に加温しヒト真皮由来の線維芽細胞
を初期播種密度約4.0x104/cm2で播種した。37
℃で5%炭酸ガス、95%空気の加湿インキュベーター
中で3日間培養し、コンフルエントの線維芽細胞単層を
作製した。次いで、上述した培地中に浮遊させたヒト臍
帯動脈由来の血管内皮細胞を播種密度約5.0x104/
cm2で上述の線維芽細胞単層上に播種した。60分後、
大部分の播種血管内皮細胞が線維芽細胞単層上に接着し
た。次いでタイプI基材を37℃のインキュベーターか
ら取り出し室温(約25℃)に放置した。倒立位相差顕
微鏡によってこの操作により血管内皮細胞が接着した線
維芽細胞単層が徐々にタイプI基材から脱着し、血管内
皮細胞を包みこむことが確認された。この脱着過程では
血管内皮細胞および線維芽細胞の離散はほとんど認めら
れなかった。
【0050】線維芽細胞と血管内皮細胞からこのように
して得られた細胞集合体をPBSで2〜3回洗浄し、そ
れからタイプII基材中のあらかじめ37℃に加温された
培地中に移し4日毎に培地を交換しながら浮遊培養し
た。この培養過程で該細胞集合体は完全な細胞塊状体に
変化した。タイプII基材上で14日間培養した後、該培
養塊状体を10%ホルマリン中性緩衝液中で固定、脱
水、パラフィンワックス中に包埋した。該細胞塊状体の
中心部近辺から切片層を層厚2μmで切り出した。ワッ
クスを除去した後に通常の方法に従って該切片をHE染
色した。HE染色により播種された血管内皮細胞が完全
に線維芽細胞によりカプセル化されていて該細胞塊状体
が血管内皮細胞と線維芽細胞からなっていることが確認
された。
して得られた細胞集合体をPBSで2〜3回洗浄し、そ
れからタイプII基材中のあらかじめ37℃に加温された
培地中に移し4日毎に培地を交換しながら浮遊培養し
た。この培養過程で該細胞集合体は完全な細胞塊状体に
変化した。タイプII基材上で14日間培養した後、該培
養塊状体を10%ホルマリン中性緩衝液中で固定、脱
水、パラフィンワックス中に包埋した。該細胞塊状体の
中心部近辺から切片層を層厚2μmで切り出した。ワッ
クスを除去した後に通常の方法に従って該切片をHE染
色した。HE染色により播種された血管内皮細胞が完全
に線維芽細胞によりカプセル化されていて該細胞塊状体
が血管内皮細胞と線維芽細胞からなっていることが確認
された。
【0051】
【発明の効果】本発明の方法によれば、所望の構造と所
望の細胞組成を有する複数の細胞種からなる細胞塊状体
を容易に得ることができる。従って、本発明の方法は、
様々な細胞塊状体の形成に広く応用することができ、そ
の技術的価値は極めて高いものである。
望の細胞組成を有する複数の細胞種からなる細胞塊状体
を容易に得ることができる。従って、本発明の方法は、
様々な細胞塊状体の形成に広く応用することができ、そ
の技術的価値は極めて高いものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.5 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 // C12M 3/00 Z 9050−4B (72)発明者 森 有一 神奈川県横浜市金沢区釜利谷町1642−21 B−4 (72)発明者 山崎 学 神奈川県秦野市鶴巻1200−1 コーポ鶴巻 A−405 (72)発明者 窪田 倭 東京都国立市東三丁目21−24
Claims (4)
- 【請求項1】複数の細胞種からなりかつ所望の大きさお
よび所望の細胞組成を有することを特徴とする細胞塊状
体あるいはシート。 - 【請求項2】(i)細胞培養温度よりも低いLCSTを
有する温度感応性高分子化合物と細胞の接着・増殖因子
からなる細胞培養基材上に複数の細胞種を播種して培養
し、 (ii)該細胞培養基材上で増殖した複数の細胞種からな
る細胞集合体を該温度をLCST以下に低下させること
によって該細胞培養基材から脱離し、 (iii)該脱離細胞集合体を細胞非接着性基材上で浮遊
培養して細胞塊状体あるいはシートにする各工程からな
ることを特徴とする複数の細胞種からなる細胞塊状体あ
るいはシートの製造法。 - 【請求項3】請求項2の製造法によって製造される細胞
塊状体あるいはシート。 - 【請求項4】請求項3の細胞塊状体あるいはシートを含
む生体修復用補てつ物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3196593A JPH05168470A (ja) | 1990-08-08 | 1991-08-06 | 複数の細胞種からなる細胞塊状体とシートおよびその製造法 |
Applications Claiming Priority (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP21144090 | 1990-08-08 | ||
JP5776591 | 1991-02-28 | ||
JP2-211440 | 1991-02-28 | ||
JP3-57765 | 1991-02-28 | ||
JP3196593A JPH05168470A (ja) | 1990-08-08 | 1991-08-06 | 複数の細胞種からなる細胞塊状体とシートおよびその製造法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH05168470A true JPH05168470A (ja) | 1993-07-02 |
Family
ID=27296374
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3196593A Pending JPH05168470A (ja) | 1990-08-08 | 1991-08-06 | 複数の細胞種からなる細胞塊状体とシートおよびその製造法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPH05168470A (ja) |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2003520600A (ja) * | 2000-01-24 | 2003-07-08 | ダコ エー エス | マーカー指数の内部の質的および量的な検証のためのシステム |
JP2010119304A (ja) * | 2008-11-17 | 2010-06-03 | Dainippon Printing Co Ltd | 配向制御された細胞パターンの回収ツール |
JP4567936B2 (ja) * | 2000-03-16 | 2010-10-27 | 株式会社セルシード | 細胞培養用支持体材料、細胞の共培養方法およびそれより得られる共培養細胞シート |
WO2011052281A1 (ja) * | 2009-10-30 | 2011-05-05 | 国立大学法人 東京大学 | 神経スフェロイドネットワークの構築方法 |
JP2011115058A (ja) * | 2009-12-01 | 2011-06-16 | Terumo Corp | 単離されたシート状細胞培養物の製造方法 |
WO2011122318A1 (ja) * | 2010-03-31 | 2011-10-06 | 学校法人東京女子医科大学 | 治療用移植材料及びその利用方法 |
JP2012152188A (ja) * | 2011-01-28 | 2012-08-16 | Terumo Corp | シート形成評価方法 |
JP5717253B2 (ja) * | 2009-08-02 | 2015-05-13 | 学校法人東京女子医科大学 | 膵島細胞シート、製造方法及びその利用方法 |
JP2015119694A (ja) * | 2013-12-25 | 2015-07-02 | 大日本印刷株式会社 | 細胞シートの製造方法 |
JP2015128432A (ja) * | 2015-02-19 | 2015-07-16 | テルモ株式会社 | 単離されたシート状細胞培養物の製造方法 |
EP3561043A4 (en) * | 2016-12-22 | 2020-09-02 | DIC Corporation | CELL CULTURE SUBSTRATE |
US10898612B2 (en) | 2015-07-10 | 2021-01-26 | Fujifilm Corporation | Cell structure and method for producing cell structure |
-
1991
- 1991-08-06 JP JP3196593A patent/JPH05168470A/ja active Pending
Cited By (14)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2012152188A (ja) * | 2011-01-28 | 2012-08-16 | Terumo Corp | シート形成評価方法 |
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US11441120B2 (en) | 2016-12-22 | 2022-09-13 | Fujifilm Corporation | Cell culture substrate |
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