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JPH05139956A - ホスフアチジルイノシトールを構成成分とする脂肪乳剤 - Google Patents

ホスフアチジルイノシトールを構成成分とする脂肪乳剤

Info

Publication number
JPH05139956A
JPH05139956A JP33132991A JP33132991A JPH05139956A JP H05139956 A JPH05139956 A JP H05139956A JP 33132991 A JP33132991 A JP 33132991A JP 33132991 A JP33132991 A JP 33132991A JP H05139956 A JPH05139956 A JP H05139956A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
fat emulsion
phosphatidylinositol
phospholipid
present
fat
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP33132991A
Other languages
English (en)
Inventor
Mitsuko Takenaga
美津子 武永
Toshisato Igarashi
理慧 五十嵐
Yutaka Mizushima
裕 水島
Hiroaki Tsuji
宏明 辻
Katsuaki Yamauchi
勝昭 山内
Seiichi Shirasawa
聖一 白沢
Hisashi Watanabe
寿 渡辺
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
L T T KENKYUSHO KK
Nisshin Oillio Group Ltd
Original Assignee
L T T KENKYUSHO KK
Nisshin Oil Mills Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by L T T KENKYUSHO KK, Nisshin Oil Mills Ltd filed Critical L T T KENKYUSHO KK
Priority to JP33132991A priority Critical patent/JPH05139956A/ja
Publication of JPH05139956A publication Critical patent/JPH05139956A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【構成】 ホスファチジルイノシトールを20〜100
重量%含むリン脂質を用いて薬剤キャリアーとしての脂
肪乳剤を調製する。 【効果】 悪性腫瘍細胞に集積しやすく、心臓および腎
臓組織に集積しにくい、保存安定性に優れた脂肪乳剤が
得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、医薬分野で利用される
素材を提供するものであり、さらに詳しくは薬剤キャリ
アーとしての脂肪乳剤に関する。
【0002】
【従来の技術】薬剤を生体内に投与する方法としては、
従来、薬剤そのものを直接に摂取させあるいは投与する
方法のほかに、各種のコーティング剤や混合剤で薬剤を
包含し投与する方法が採用されてきた。殊に後者の場合
は、必要な患部へ薬剤を集中的に投与し、同時に他の健
常部位への副作用を軽減するねらいから、ドラッグ・デ
リバリー・システム(DDS)として種々の素材および
剤型が開発され、ターゲティング療法として活用されて
きた。
【0003】脂肪乳剤は、かかるDDSのキャリアー剤
の形態のひとつであり、とくに脂溶性薬剤の効果的な投
与方法として開発され、静注用脂肪乳剤の脂肪微粒子で
あるリピッドマイクロスフェアを薬剤キャリアーとして
利用したリポ化製剤などとして利用されている。
【0004】現在、一般的に使用されているリポ化製剤
は、大豆油に目的とする薬剤を溶解させ、これに乳化剤
としての卵黄レシチンを加えて乳化させたもので、水相
に脂肪微粒子が約200nmの粒径で均一に分散している
水中油滴(o/w)型エマルションの乳化状態をとって
いる。ちなみに、卵黄レシチンは卵黄から精製されるリ
ン脂質であり、その一般組成はホスファチジルコリン6
8〜73%、ホスファチジルエタノールアミン13〜1
8%、リゾホスファチジルコリン3〜6%、リゾホスフ
ァチジルエタノールアミン2〜3%、ホスファチジルイ
ノシトール1%である(檜垣勇三、「フレグランスジャ
ーナル」第60巻、第81〜84ページ、1983年、
フレグランスジャーナル社)。
【0005】そして、かかるリポ化製剤の利用効果とし
ては、例えば平均粒子径が200nmの脂肪微粒子をプロ
スタグランジンE1、ステロイド、非ステロイド性抗炎
症剤などの低分子薬剤のキャリヤーとして用いたリポ化
製剤が治療効果をあげているとの報告がある。また、こ
れらのリポ化製剤は、動脈硬化部、血管障害部、網内
系、骨髄、炎症部に集積する性質を持っていると言われ
る(五十嵐理慧、中川美弥子、水島裕、「炎症」、第8
巻(3)、第243〜246ページ、1988年、日本
炎症学会)。
【0006】しかしながら、かかるリポ化製剤ひいては
脂肪乳剤は、その本来の重要な機能である臓器組織ある
いは患部への集積性とその構成成分であるリン脂質の分
子種との相関性で検討された知見はほとんどなく、この
ため、現行のリポ化製剤をはじめとする脂肪乳剤では、
必要な臓器組織への薬剤投与効率が低く、また正常な組
織細胞への副作用を併発する可能性は否定できない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】かかる現状に鑑み、本
発明者らは、脂肪乳剤およびリポ化製剤を構成するリン
脂質の分子種、すなわち成分のちがいによる生体臓器・
組織への集積性を検討し、とくに悪性腫瘍細胞組織に集
積しやすいリン脂質の分子種からなる脂肪乳剤を提供す
ることを目的に鋭意研究した結果、本発明を完成するに
至った。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、ホ
スファチジルイノシトールが全リン脂質の20〜100
重量%を占めるリン脂質からなることを特徴とする、悪
性腫瘍組織に集積しやすい薬剤キャリアーとしての脂肪
乳剤に関する。
【0009】本発明でいうホスファチジルイノシトール
とは、アシルグリセロホスファチジルイノシトールと総
称される範疇に属するものをいい、分子中の極性基とし
てイノシトールをもつ酸性型リン脂質の1種であり、化
学合成によって得られるものでも、天然物から得られる
ものでも何ら制限を受けることなく使用できるが、天然
物由来のホスファチジルイノシトールが入手しやすい。
【0010】天然物由来のホスファチジルイノシトール
は、通常、主として動植物あるいは微生物等の細胞膜の
構成成分として広く存在している。特に、例えば大豆、
菜種、亜麻仁等の植物種子や酵母では含有量が多い。か
かる細胞組織を常法によりホモジナイズして、分別、抽
出等の方法で脂質成分を得、さらにこれをアセトンなど
の溶剤、シリカゲルなどの吸着剤、超臨界条件下の液化
ガス等で処理すれば混合リン脂質の状態を経て、本発明
で用いる程度の純度にまで濃縮・精製することができ
る。
【0011】本発明のホスファチジルイノシトールの純
度は、リン脂質のうち20〜100重量%を占めること
が必要である。20重量%未満のホスファチジルイノシ
トールを含むリン脂質で脂肪乳剤を調製すると、悪性腫
瘍細胞との親和性が減少し、結果として本発明の目的と
する悪性腫瘍組織への集積性が低下し、心臓および腎臓
への低集積性も認められなくなる。
【0012】本発明では、かかる純度のホスファチジル
イノシトールを含有するリン脂質を用いて、常法により
脂肪乳剤を調製すればよい。例えば、脂肪乳剤全体の約
10重量%の大豆油、約1.2重量%のリン脂質を蒸留
水とともにホモジナイザーで予備乳化させ、ついでフレ
ンチプレス等で処理すると脂肪乳剤が得られる。必要に
応じて他の成分を添加してもよい。この脂肪乳剤の保存
安定性は4℃および40℃に保存後、その粒子サイズを
測定し、また偏光顕微鏡下で観察することにより測定す
ることができる。また、本発明の脂肪乳剤の臓器への分
布、癌細胞への取り込み状態は、例えば14Cをラベル化
したトリオレインを大豆油に混合し、これを上述の方法
で脂肪乳剤とし、これをin vitroの場合は癌細胞ととも
に培養し、あるいはin vivo の場合は癌細胞を保有する
実験動物に対して静脈注射して経時的に臓器を摘出し、
各臓器に取り込まれた脂肪乳剤量をシンチレーションカ
ウンター等で放射活性を測定することにより求めること
ができる。
【0013】
【実施例】
実施例1 〔リン脂質の調製〕粉末状大豆レシチンLP−20(日
清製油社製)をヘキサン/2−プロパノール/30%酢
酸=45/45/10から成る溶出液に溶解し、同溶出
液を予め送液したシリカゲルカラム(SOKEN PA
K SIL)を通過させ、高速液体クロマトグラフィー
を行った。検出は示差屈折計を用いた。ホスファチジル
イノシトールのフラクションを分取し、溶出液を留去し
たところ、ホスファチジルイノシトール純度90%純度
の分画物が得られた。
【0014】〔脂肪乳剤の調製〕大豆油1gとレシチン
120mgとをホモジナイザーで12000rpm.15分間
攪拌したのち、グリセリン250mgと蒸留水9mlを加
え、さらにホモジナイザーで20000rpm.20分間攪
拌し予備乳化させる。予備乳化液をフレンチプレス(ア
ミンコ社製)で638psi.5回処理して脂肪乳剤を得
た。レシチン成分として卵黄レシチンを用いたものを対
照に、ホスファチジルイノシトール(大豆由来90%純
度)を用いたものをサンプルとして用いた。分布測定用
の脂肪乳剤は14Cをラベル化したトリオレイン(デュポ
ン社製)50μCiを大豆油に混合して調製した。
【0015】得られた脂肪乳剤の粒径をコールターN4
カウンター(日科機社製)で測定したところ対照の脂肪
乳剤が201±33nm、ホスファチジルイノシトールに
よる脂肪乳剤が174±19nmであった。この脂肪乳剤
を4℃6カ月、室温6か月および40℃1か月間以上保
存後、粒径測定と乳化状態を肉視ならびに偏光顕微鏡下
で観察したが変化は認められず、良好な乳化状態を保っ
ていた。
【0016】〔in vitroでの癌細胞への取り込み〕ホス
ファチジルイノシトールを用いた脂肪乳剤、対照の脂肪
乳剤および14Cをラベル化したトリオレイン0.1μCi
を癌細胞106 個/mlと混合、37℃・4時間インキュ
ベート後洗浄し、ソルエン350(パッカード社製)で
可溶化し、ハイオニックフロー(パッカード社製)を加
えて、シンチレーションカウンターを用いて放射活性と
して癌細胞に取り込まれた脂肪乳剤量を測定した。
【0017】その結果、表1に示すようにホスファチジ
ルイノシトールを用いた脂肪乳剤は癌種により選択的な
分布を示した。特にMM46癌細胞には対照の脂肪乳剤
より約2.5倍量取り込まれていた。
【0018】
【表1】 実施例2 〔担癌マウスの調製〕脂肪乳剤投与10日前にマウス下
腿部皮下にMM46癌細胞を4×106 個/匹投与し
た。
【0019】〔in vivo での臓器分布の測定〕マウス尾
静脈より実施例1で調製した脂肪乳剤を200μl (1
μCi)ずつ投与したのち、正確に15分、30分、1時
間、2時間、4時間および24時間後に頸部動静脈より
脱血死させ、直ちに腹部を開き、生理食塩水を心臓より
灌流させ、各臓器を摘出した。ソルエン350(パッカ
ード社製)で可溶化、過酸化水素水で脱色させたのち、
ハイオニックフロー(パッカード社製)を加えて、シン
チレーションカウンターを用いて放射活性として各臓器
に取り込まれた脂肪乳剤量を測定した。
【0020】その結果、図1に示すようにホスファチジ
ルイノシトールを用いた脂肪乳剤は対照の脂肪乳剤より
約2倍量癌組織に集積した。また図2、図3に示すよう
にホスファチジルイノシトールを用いた脂肪乳剤は対照
の脂肪乳剤より心臓で約1/2、腎臓で3/4しか集積
しなかった。
【0021】
【発明の効果】本発明によれば、癌組織に選択的により
多く集積し、かつ心臓や腎臓に対する集積が少ない脂肪
乳剤が提供できる。さらに本発明により製造された脂肪
乳剤は、冷所あるいは室温で保存可能であり、使用時に
注射用蒸留水、注射用生理食塩水、あるいは注射用輸液
等で分散して用いることができる。また、粒子径も静脈
投与する注射剤として何ら問題のない大きさであり、従
って静脈内投与注射剤としての条件を十分に満足してい
る。
【0022】本脂肪乳剤を用いれば、抗悪性腫瘍剤等、
殊に心臓に副作用をもたらす塩酸ドキソルビシンや塩酸
ダウノルビシンおよびこれらの誘導体や、腎臓に副作用
を及ぼす硫酸ブレオマイシンやメトトレキセートおよび
これらの誘導体などの薬剤のリポ化製剤としての作用を
期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1はin vivo において本発明の組成物および
対照組成物をマウスに静脈内投与した場合の経時的な癌
組織への組成物の分布を示すグラフである。
【図2】図2はin vivo において本発明の組成物および
対照組成物をマウスに静脈内投与した場合の経時的な心
臓組織への組成物の分布を示すグラフである。
【図3】図3はin vivo において本発明の組成物および
対照組成物をマウスに静脈内投与した場合の経時的な腎
臓組織への組成物の分布を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 辻 宏明 東京都世田谷区八幡山3丁目14番9号 (72)発明者 山内 勝昭 神奈川県横浜市磯子区磯子6丁目35番22号 (72)発明者 白沢 聖一 神奈川県海老名市国分20−2 (72)発明者 渡辺 寿 神奈川県横浜市磯子区杉田8丁目43番6号

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ホスファチジルイノシトールが全リン脂
    質の20〜100重量%を占めるリン脂質からなること
    を特徴とする、悪性腫瘍細胞に集中しやすい薬剤キャリ
    ヤーとしての脂肪乳剤。
  2. 【請求項2】 リン脂質が植物由来のリン脂質である請
    求項1記載の脂肪乳剤。
  3. 【請求項3】 植物が大豆、菜種又は亜麻仁のいずれか
    である請求項1又は2記載の脂肪乳剤。
JP33132991A 1991-11-20 1991-11-20 ホスフアチジルイノシトールを構成成分とする脂肪乳剤 Pending JPH05139956A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP33132991A JPH05139956A (ja) 1991-11-20 1991-11-20 ホスフアチジルイノシトールを構成成分とする脂肪乳剤

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JP33132991A JPH05139956A (ja) 1991-11-20 1991-11-20 ホスフアチジルイノシトールを構成成分とする脂肪乳剤

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JPH05139956A true JPH05139956A (ja) 1993-06-08

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JP33132991A Pending JPH05139956A (ja) 1991-11-20 1991-11-20 ホスフアチジルイノシトールを構成成分とする脂肪乳剤

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