JPH0468426B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は横葺屋根構造に関する。

（従来技術） 一般に、建築物の横葺屋根構造は、建築物の屋
根を覆う複数の横葺用屋根材を段状に配設し、上
下段の各屋根材の上下端部折返し部を係止させて
接続させるとともに、上記屋根材の上端折返し部
を係止する吊子を垂木上に固定して構成されてい
るが、従来の屋根材は降雨時には雨音がうるさい
ほか、垂木上面と屋根材間に〓間が形成されるた
め、屋根材上に人が乗つたり、或いは他の力が加
わると、屋根材が陥没したり、破損したり、変形
したりすることがあり、さらに屋根材の裏側に結
露が生じる等の欠点があつた。

これに対応するものとして、実開昭59−117725
号公報に示されるように、屋根材の裏側に合成樹
脂材を貼着する技術が知られている。しかしこの
構成では、屋根材に対する断熱効果を得ることは
できるが、夏期に屋根材が高温度になつたときに
接着材が溶けたり、経年劣化によつて接着機能が
低下すると、合成樹脂材は下からは支持されてい
ないので一部が剥離し、屋根材の剥離部分に結露
が集中し、さらに周囲に広がつていき、短期間の
うちに断熱・消音の機能が低下してしまうという
欠点がある。また、屋根材自体も相当の重量があ
るのに、合成樹脂材の重量が付加されるから、全
体が重くなり、屋根という高所での持ち運びや、
上下段の屋根材の係止作業等における取り扱い性
が悪くなるという欠点がある。

（発明の目的） 本発明は前記欠点を解消し、特に結露防止効果
及び防音効果が永く持続するとともに、取り扱い
性にも優れた横葺屋根構造を提供することをその
目的とする。

（目的を達成するための手段） 前記目的を達成するため、本発明に係る横葺屋
根構造は、建築物の屋根を覆う複数の横葺用屋根
材を段状に配設し、各屋根材の上下縁を折返し、
上下段の屋根材の折返し部を互いに係止させて接
続させるとともに、上記屋根材の下縁折返し部を
係止する吊子を垂木上に固定した横葺屋根構造に
おいて、上記吊子の上面に断熱性を有し、且つ屋
根材の裏面の一部又は全面に沿う大きさの合成樹
脂材を支持させ、該合成樹脂材を上記吊子ととも
に垂木上に止着固定するとともに、上記合成樹脂
材の上部に上記屋根材を配置したことを特徴とす
る。

（効果） 前記構成によれば、断熱性を有する合成樹脂材
が屋根材の裏側に沿つて配置されて室内の暖気や
吊子に伝達された室内温度を遮断するので、室内
温度は屋根材にまでは伝達されにくく、したがつ
て屋根材の結露が有効に防止される。また、この
ような合成樹脂材は防音効果をも有するため、雨
音等の煩わしい音も消音される。

しかも、合成樹脂材は吊子の上面に支持され、
吊子とともに垂木に固定されているから、従来の
剥離等の問題が生じることがなく、永年にわたつ
て同じ状態が保持され、したがつて結露防止、防
音の各効果が長期間維持される。

また、合成樹脂材は吊子とともに垂木上に止着
固定される構造であるから、屋根材の裏面に一体
に固定された場合に比べて重量が軽く、したがつ
て持ち運びや取付け作業時の取り扱いが非常に楽
である。

（実施例） 以下、本発明に係る横葺屋根構造について説明
する。

第１図および第２図は本発明の一実施例を示す
もので、符号１は建築物の屋根を覆う複数の横葺
用屋根材で段状に配設されている。２は垂木、３
は吊子を示す。なお、第２図において右側は屋根
の下側、左側は屋根の上側を示す。

吊子３は鉄板の折曲げ成形材、アルミニウム押
出型材等から成る長尺の部材で、垂木２に対して
止着される基底部３ａと、基底部３ａの下端辺
（第２図の右側）から上方へ向けて所定角度をも
つて起ち上る前部傾斜板３ｂと、前部傾斜板３ｂ
の先端からさらに上方へ所定角度をもつて延設さ
れた係止部３ｃとを有する。係止部３ｃの先端は
下向きに折返された折返し部３ｄとなつており、
係止部３ｃと折返し部３ｄは係合部４を構成して
いる。基底部３ａの上端辺からは後部傾斜板３ｅ
が後ろ上方へ向けて所定角度をもつて延設され、
この後部傾斜板３ｅの上端部からは後方やや下方
へ向かつて凹部５，５を有する補強部３ｆが延設
され、この波形補強部３ｆの後端部は下方へ屈曲
されて上端部板３ｇとなり、さらに後端部板３ｇ
の下端部は後方へ屈曲した釘打板３ｈとなつてい
る。補強部３ｆの上面の延長上には係止部３ｃの
上端部が位置するように構成されている。釘打板
３ｈと基底部３ａとは同一面上に位置するように
構成するのが好ましい。そして、基底部３ａと釘
打板３ｈは垂木２に対して釘等によつて固着され
る。

次に、上記構造の吊子３の上面には合成樹脂材
２０が重合状態で支持され、該合成樹脂材２０は
上記吊子３とともに上記垂木２上に止着固定され
ている。合成樹脂材２０は屋根材１の裏面に沿う
大きさで、少なくとも断熱性を有し、特にウレタ
ン樹脂等のように、断熱性、防音性の高いものが
好ましい。

一方、上記合成樹脂材２０の上部には屋根材１
が配置されている。

屋根材１は一定幅の長尺帯状金属板から構成さ
れ、上下縁にはそれぞれ折返し部１ｂ，１ａが形
成され、上下段の各屋根材１，１の上下縁の折返
し部１ｂ，１ａを互いに係止させて接続してい
る。なお、２１は垂木２上に張設されたアスフア
ルトルーフイングである。

以上の構成において、屋根材１，１…を接続さ
せるにあたつては下段の屋根材１の上縁折返し部
１ｂの上から吊子３の係合部４を係合させ、この
状態で吊子３を垂木２上面に載置して、基底部３
ａと釘打板３ｈを垂木２に釘で打ち付けることに
よつて固定する。次に、上段の屋根材１の下縁折
返し部１ａを吊子３の係合部３の外側に係止す
る。

このような吊子３と上下段の屋根材１，１の上
下の折返し部１ｂ，１ａとの係合により、屋根材
１，１は強固、且つ確実に接続される。また吊子
３の補強部３ｆが屋根材１の裏面に接した状態で
これをバツクアツプしているため、上方からの外
力によつて屋根材１が補強部３ｆによつて補強さ
れ、変形したり、破損する等の恐れがない。

また、断熱性を有する合成樹脂材２０が吊子３
の上面に重合され、屋根材１の裏側に沿つて配置
されて室内の暖気や吊子３に伝達された室内温度
を遮断するので、室内温度は屋根材１にまでは伝
達されにくく、したがつて屋根材１の結露が有効
に防止される。また、このような合成樹脂材２０
は防音効果をも有するため、雨音等の煩わしい音
も消音される。しかも、合成樹脂材２０は吊子３
の上面に支持され、吊子３とともに垂木２に固定
されているから、永年にわたつて同じ状態が保持
され、したがつて結露防止、防音の各効果が長期
間維持される。

また、合成樹脂材２０は吊子３とともに垂木２
上に止着固定される構造であるから、屋根材１の
裏面に一体に固定された場合に比べて重量が軽
く、したがつて持ち運びや取付け作業時の取り扱
いが非常に楽である。

次に、第３図は本発明の他の実施例を示す。第
１図と同一部分は同一の符号をもつて示し、重複
した説明は省略する。吊子３０は係止部３ｃの先
端が略直角に下方へ垂下して折返し部３０ｄを構
成しており、係止部３ｃを折返し部３０ｄとによ
つて係合部４０を構成している。

また、屋根材１の下縁折返し部１０ａはＭ字形
に垂下し、該垂下片の先端は後方（上方）へ屈曲
している。後方の上縁部は前方向へ折返された第
１の折返し部１０ｂと、折返し部１０ｂ先端をさ
らに後方へ折返した第２の折返し部１０Ｃと、第
２の折返し部１０ｃを垂下させたあと後方へ延設
させた釘打ち部１０ｄとから成る。

以上の構成において、屋根材１の第１及び第２
の折返し部１０ｂ，１０ｃを吊子３０の係合部４
０の内側に係合させるとともに、係合部４０の外
側に下縁折返し部１０ａを係合させることにより
組付けが行なわれる。

この場合、第１図の例と同じ断熱、防音及び補
強効果が得られるほか、各屋根材１も釘打ち部１
０ｄが垂木２に固着されるので、取付強度は非常
に大きくなる。

なお、吊子は必ずしも屋根材の裏面に通しで配
設される必要はなく、垂木上に設けられる構成で
あればよい。断熱性合成樹脂材２０は屋根材の裏
面の全面に沿う大きさであつても、一部に沿う大
きさであつてもよい。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例の概要説明図、第２
図は本発明の横葺屋根構造の構成説明図、第３図
は本発明の他の実施例の構成説明図である。 符号１……屋根材、１ａ，１ｂ……折返し部、
２……垂木、３……吊子、１０ａ，１０ｂ……折
返し部、２０……合成樹脂材、３０……吊子、４
０……係合部。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 建築物の屋根を覆う複数の横葺用屋根材を段
   状に配設し、各屋根材の上下縁を折返し、上下段
   の屋根材の折返し部を互いに係止させて接続させ
   るとともに、上記屋根材の下縁折返し部を係止す
   る吊子を垂木上に固定した横葺屋根構造におい
   て、上記吊子の上面に断熱性を有し、且つ屋根材
   の裏面の一部又は全面に沿う大きさの合成樹脂材
   を支持させ、該合成樹脂材を上記吊子とともに垂
   木上に止着固定するとともに、上記合成樹脂材の
   上部に上記屋根材を配置したことを特徴とする横
   葺屋根構造。