JPH0439719Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本考案は、自動車のシート、特にリヤシートに
適用されるシートバツクの角度調整装置に関す
る。

［従来の技術と問題点］ ワゴン型、バン型あるいはハツチバツク型自動
車においては、後部荷室のスペースを拡大するた
めリヤシートのシートバツクが前倒し可能となつ
ている。従つて、リヤシートへの着座に際しては
前倒しされたシートバツクを起立させ、所定角度
でロツクする必要がある。従来におけるシートバ
ツクのロツクは、シートバツクにストライカを取
り付け、このストライカを車体側のロツクピンに
係合させて行う構造であり、シートバツクの角度
は単一の角度でのみロツクされるものである。従
つて、シートバツクの角度調整を行うことができ
ず、着座者の好みに応じたシートバツクの角度が
できない、問題点を有している。

本考案は上記事情を考慮してなされ、前倒し可
能なシートバツクであつても複数段の角度調整を
可能とした角度調整装置を提供することを目的と
する。

［問題点を解決するための手段］ 上記目的を達成するため本考案は、バツクフレ
ームに取り付けられるベースプレートと、ベース
プレートに平行移動可能に取り付けられると共
に、車体に固定されたロツクピンに係合する複数
のロツク溝が形成されたロツクプレートと、前記
ロツクピンに係合する方向にロツクプレートを附
勢するばねと、ロツクプレートを前記反係合方向
に移動させてロツクプレートとロツクピンとの係
合を解除するノブとを備えていることを特徴とす
る。

［作用］ 本考案は上記の通りに構成されるので、ばね附
勢されたロツクプレートが車体側のロツクピンと
係合し、又、ノブの操作によつてロツクプレート
が反係合方向に移動し、これらによつてシートバ
ツクの角度調整が行われる。

［実施例］ 以下、本考案を図示する実施例を参照して具体
的に説明する。

第１図は本考案の一実施例の分解斜視図、第２
図はその組立斜視図である。他段に屈曲されたベ
ースプレート３がリヤシートなどのシートバツク
のバツクフレーム１３側面にねじ止めされて固定
され、このベースプレート３にロツクプレート１
が上下動可能に取り付けられている。ロツクプレ
ート１の上下動はベースプレート３に取り付けら
れたガイドピン４，５がロツクプレート１に上下
方向に形成されたスリツト６，９内に挿入される
ことで行われる。すなわち、ロツクプレート１は
長い折曲片１ａと短い折曲片１ｂとが連設された
略「コ」字形をなしており、長い折曲片１ａの右
端側にスリツト９が形成され、短い折曲片１ｂの
左端側にスリツト６が、それぞれ縦長に形成され
ていると共に、スリツト９に２本のガイドピン５
が、又、スリツト６に１本のガイドピン４が挿入
され、これらのガイドピン５，４がベースプレー
ト３に固定されることでロツクプレート１はスリ
ツト６，９の長さの範囲内で上下に平行移動可能
となつているものである。なお、各ガイドピン
５，４の頭部はロツクプレート１の抜け止めを行
うように作用している。このようなロツクプレー
ト１上端縁にはフツク片１０が屈曲して延設さ
れ、このフツク片１０と前記ベースプレート３と
の間に引張りばね１が掛け渡されている。これに
よりロツクプレート７は下方向に附勢されて後述
するロツクピン１７と係合するようになつてい
る。又、ロツクプレート１のフツク片１０にはロ
ツド、ワイヤなどの伝達部材１８の下端部が連結
されており、伝達部材１８の上端部にはノブ１９
が取り付けられている。ノブ１９はシートバツク
の上端縁に引き出されており、ノブ１９を引き上
げるとロツクプレート１は上方に移動し、後述す
るようにロツクプレート１とロツクピン１７との
係合が解除されるようになつている。

さらに、ロツクプレート１の長い折曲片１ａの
下端縁には複数（図示例では３個）のロツク溝２
が形成されて、車体１６に固定されたロツクピン
１７に係合し、これによりシートバツクの傾倒が
ロツクされるようになつている。これら複数のロ
ツク溝２の内、右端側のロツク溝２の右側には左
下がりテーパのガイド面１２が形成されている。
このガイド面１２は前倒し状態のシートバツクを
起立させる際に、ロツクプレート１がロツクピン
１７に沿つて摺動して円滑にロツク溝とロツクピ
ン１７とが係合し、ロツク状態とするために形成
されるものである。さらに左端側のロツク溝２の
左端壁は下方に長く延びたエンドストツパ８とな
つており、ロツクプレート１の上動においてもロ
ツクピン１７から外れないように作用している。

次に作動を説明する。シートバツクの前倒し状
態ではロツクピン１７とロツクプレート１との係
合が解除されており、この状態からシートバツク
を引き起こすと、ロツクプレート１のガイド面１
２がロツクピン１７を摺動するのでロツクプレー
ト１はばね７に抗して上方に押し上げられる。シ
ートバツクの引き起こし終点ではロツクピン１７
がロツクプレート１のガイド面１２を乗り越える
のでばね７の附勢力でロツクプレート１は下方向
に移動し、これによりロツクプレート１の右端側
のロツク溝２とロツクピン１７とが係合する。従
つて、シートバツクは第１段のロツク状態とな
る。この状態からシートバツクの傾倒角度を調整
するには、ノブ１９を引き上げてロツクプレート
１を上動させることで行う。これによりロツクプ
レート１のロツク溝２とロツクピン１７との係合
が解除され、適宜の角度にシートバツクを傾倒さ
せることができる。そして、この後、ノブ１９へ
の操作力を解除すると、引張りばね７のばね力で
ロツクプレート１が下動するので、いずれかのロ
ツク溝２とロツクピン１７とが係合してシートバ
ツクの角度調整が行われる。

従つて、本実施例ではシートバツクの角度を複
数段に調整できるのでシートバツク着座姿勢の自
由度が拡大する。又、本実施例ではロツクプレー
ト１の上下動によりロツクおよびロツク解除が行
われるので作動を無理なく行うことができる。さ
らにはロツクプレート１とベースプレート３とが
組み付けられることでバツクフレームに取り付け
られ、全体が扁平状であるのでシートバツクと車
体との狭いスペースにも簡単に取り付けることが
できる。

［考案の効果］ 以上の通り本考案は、ロツクプレートがベース
プレートに上下移動可能に取付けられ、この上下
移動でロツクプレートがロツクピンに離脱、係合
するようになつているので、この離脱、係合に要
するロツクプレートの移動巾は回動よりも小さく
なり、かつロツクプレートがベースプレートに対
して平行移動するものであるから装置全体の設置
厚さも薄くすることができ、取付けに際してのシ
ートバツクのパツドの逃げを極力少なくすること
ができ、通常のシートバツクに容易に取付けられ
る。

また、本考案はロツク溝にエンドストツパを形
成したのでノブが誤つて操作されたり、傾斜角度
調整中、不用意にシートバツクから手が離れて
も、シートバツクが後方へ倒れることがなくな
り、安全操作が確保され、かつ、ロツクプレート
に倒伏防止機能を備えて倒伏防止部材を省略する
ことができるので、構造が簡単で組み立て容易で
ある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案の一実施例の分解斜視図、第２
図はその組み立て状態の斜視図である。 １……ロツクプレート、２……ロツク溝、３…
…ベースプレート、７……ばね（引つ張りばね）、
１３……バツクフレーム、１６……車体、１７…
…ロツクピン。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. バツクフレームに取付けられるベースプレート
   と、ベースプレートに上下移動可能に取付けられ
   ると共に、車体に固定されたロツクピンに係合す
   る複数のロツク溝が形成され、かつ一端側ロツク
   溝の端壁を下方に長く延設してエンドストツパが
   形成されたロツクプレートと、前記ロツクピンに
   係合する下方向にロツクプレートを附勢するばね
   と、ロツクプレートを上方向に移動させてロツク
   プレートとロツクピンとの係合を解除するノブと
   を備えていることを特徴とするシートバツクの角
   度調整装置。