JPH0433960B2 - - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は地中構造物構築用の長方形断面の桁
を能率よく埋設できるようにした刃口体に関す
る。

（従来の技術） 鉄道および道路下または既設建物下に地中構造
物を構築するに当たり、最近では工場生産された
一定長さの（５ｍ〜10ｍ程度）のコンクリート桁
を掘削推進機の前側にセツトして、これを直接、
目的構造物の輪郭に沿わせて地中に並列圧入し、
次いで内側の土砂を掘削排除し、並列圧入したコ
ンクリート桁群を施工時の防護工とするばかりで
なく、地中構造物そのものとして使用するように
している。

そして、コンクリート桁の埋設に当たつては、
第６図イ，ロのように掘削推進機（図示せず）に
連結したスクリユーオーガａの前端にパドル状ま
たはデスク状のカツタｃを取付ける一方、コンク
リート桁ｂの前端には刃口管ｄを装着し、スクリ
ユーオーガａをコンクリート桁ｂの中心通孔内に
嵌挿すると共にカツタｃを刃口管ｄ内に位置さ
せ、スクリユーオーガａを回転させつつ前進さ
せ、カツタｃで前面土砂を掘削しながらコンクリ
ート桁ｂを地中に圧入している。

（発明が解決しようとする問題点） ところで、上記従来の装置では、中心のスクリ
ユーオーガの前端に取付けたカツタで専ら前面の
地盤を掘削するので、圧入すべきコンクリート桁
およびこれを誘導する刃口管の大きさおよび形体
はカツタの大きさに制約され、カツタの長さ（直
径）に見合つた大きさの正方形または円形のもの
が一般で、したがつて、コンクリート桁の埋設本
数が多く施工時間も長くなるが、これを低減すべ
く横長または縦長な長方形断面の刃口を用いたと
するとカツタで処理できない掘り残しの部分が多
くなつて同形のコンクリート桁を容易に圧入でき
ない難点がある。

そこで、この発明はこれまでよりも大きな長方
形断面のコンクリート桁または鋼製の箱桁でも容
易、確実に地中に埋設することができ、施工時間
と工事費を低減できるようにした長方形桁埋設用
の刃口体を提供することを目的としている。

（問題点を解決するための手段ならびに作用） 上記目的のもとにこの発明は、長方形桁埋設用
の刃口体として、長方形状をなし前後が解放され
た箱状体の内側前部に掘削土砂を中央に寄せるよ
うに左右においてらせん羽根の方向を異ならせた
スクリユーカツタを推進機に連結されるスクリユ
ーオーガの軸線に直交させて回転自在に架設し、
上記箱状体の内側後部には中央開口を有する仕切
壁と開口に向つて収れんする内部壁を設け、上記
スクリユーカツタをスクリユーオーガまたは他の
原動機により回転させて前面の土砂を掘削するよ
うにしたことを特徴とするものである。

そして、刃口体の後側開放部に長方形断面のコ
ンクリート桁または鋼製箱桁を連結し、スクリユ
ーオーガを回転しつつ長方形桁と共に推進させ、
かつ伝動機構を介しスクリユーカツタを回転させ
れば、オーガ軸と直交するスクリユーカツタによ
り刃口体前面の土砂が掘り崩され、掘り崩された
土砂は各らせん羽根により中央に寄せられかつ内
部壁の傾きによつて後部開口に移動させられ、そ
の開口からスクリユーオーガにより長方形桁の中
心孔を通じて排除され、それに対応して長方形桁
が地中に圧入される。

（実施例） 第１図ないし第３図はこの発明の実施例を示す
ものであり、１は横長な長方形状をなし正面およ
び背面が解放された箱状の刃口体であつて、その
内側前半の中央部には前面に山状の剣先２ａを取
付けたギヤボツクス２が後述するスクリユーオー
ガ１３の軸線に沿つて配設され、型材９を介して
刃口体１の上下壁に固着されており、このギアボ
ツクス２の両側壁と刃口体１の両側壁との間には
左右で対をなすスクリユーカツタ３，３′と４，
４′がオーガ１３の軸線に直交して上下二段に回
転可能に配設されている。

左右上下のスクリユーカツタ３，３′，４，
４′は心軸３ａ，３a′，４ａ，４a′とその周面に
設けられたらせん羽根３ｂ，３b′，４ｂ，４b′か
らなり、各らせん羽根３ｂ，３b′，４ｂ，４b′の
周囲部には多くの超硬合金製のビツト３ｃ，３
c′，４ｃ，４c′が取付けられ、また、左右のらせ
ん羽根３ｂと３b′および４ｂと４b′はそれぞれら
せんの方向を異にしていて掘削土砂を中央にかき
寄せるようになされており、そして、各心軸３
ａ，３a′および４ａ，４a′の外端には第４図イの
ように角形部と円形部からなる短軸５がそれぞれ
一体回転するように取付けられ、それらの短軸５
は外側の軸受部材６ａを介し刃口体１の側壁に回
転可能に支持され、一方、左右の心軸３ａと３
a′および４ａと４a′の各内端は、それぞれ第４図
ロのように両側が角形部をなし中央が円形部をな
してそこに所要直径のウオームホイール８をキー
止めし、かつこのウオームホイール８をギヤボツ
クス２中に位置させてボツクス２を貫通する中間
軸７により一体回転するように連結され、内側の
軸受部材６ｂを介してギヤボツクス２に回転可能
に支持されている。

スクリユーオーガ３ａ，３a′および４ａ，４
a′に対する上述の支持構造は製作し易く組立てに
便利なものであるが、これは一例であり、各外端
には短軸５を設けることなく直接心軸を軸受部材
６ａに回転可能に支持させるようにしてもよく、
また、内端も中間軸７で連結することなく左右の
心軸３ａ，３a′または４ａ，４a′を一つにしてこ
れをギヤボツクス２に貫通支持させ、中央にウオ
ームホイール８を取付けるようにしてもよい。

上記ギヤボツクス２の内側中央には、第３図の
ように一つのウオーム１０が前後の軸線に沿いか
つ角形の軸端をボツクス後壁から突出させて回転
可能に軸支され、上下のスクリユーカツタのウオ
ームホイール８にかみ合つている。

一方、刃口体１内にはギヤボツクス２の後側に
おいてスクリユーオーガ１３の挿通と土砂の排出
を兼ねた開口１１ａを備えた仕切壁１１が設けら
れると共に開口１１ａに向つて収れんする内部壁
１２が設けられている。

上記構成のもとに、コンクリート桁の埋設に当
たつては、刃口体１の背面解放部に刃口体１の形
体に見合つた長方形断面で一定長さのコンクリー
ト桁１５の先端を嵌合させて固定し、それと同時
にコンクリート桁１５の中心孔１５ａ内に挿通し
たスクリユーオーガ１３の軸先端をギヤボツクス
２から突出しているウオーム１０の軸端に嵌挿連
結する。尤も第３図ではウオーム１０とスクリユ
ーオーガ１３との間に直径の大きならせん羽根１
３′を介在させたが、これはスクリユーオーガ１
３と一体にするかまたは省略する場合もある。

かくて、通常のように出発竪抗内にセツトした
推進機によりスクリユーオーガ１３を回転させな
がらオーガ１３およびコンクリート桁１５を一定
速度で地中に推進させる。

このようなスクリユーオーガ１３およびコンク
リート桁１５の推進により、ギヤボツクス前面の
剣先２ａおよび刃口体１の周囲刃先が地中にくい
込むと同時に、スクリユーオーガ１３の回転がそ
の前端に連結されたウオーム１０によりこれにか
み合う上下のウオームホイール８に伝達され、左
右上下のスクリユーカツタ３，３′，４，４′が同
方向に同一速度で回転することになり、各らせん
羽根３ｂ，３b′，４ｂ，４b′の周囲部に固着され
たビツト３ｃ，３c′，４ｃ，４c′によつて前面の
土砂を掘り崩し、掘り崩された土砂はらせん羽根
３ｂ，３b′，４ｂ，４b′によつて中央部にかき寄
せられかつ中心部に収れんする内部壁１２によつ
て中央開口１１ａ側に移動させられ、スクリユー
オーガ１３のらせん羽根の作用で開口１１ａから
コンクリート桁１５の中心孔１５ａを通り抜けて
出発竪抗内に排除され、それに対応してコンクリ
ート桁１５が順次に地中に圧入されていく。

その際、先端の刃口体１内には左右に伸びるス
クリユーカツタ３ａ，３a′，４ａ，４a′が上下二
段に配設されているので、刃口体１の前面の土砂
を掘り残しを作ることなく隅々まで掘り崩すこと
ができ、また、各部に平均して推力が加わるので
刃口体１が曲がることがない。

このようにして、所要数のコンクリート桁１５
を横方向に並列圧入した後に、その下側左端部お
よび右端部においては横長な刃口体１およびコン
クリート桁１５を90度回転させて縦長な状態にし
て地中に順次に圧入し、その後において内側の土
砂を掘削排除することにより第５図のような地中
コンクリート構造物Ａが構築される。

なお、上述の例では長方形断面のコンクリート
桁を埋設する場合について説明したが、本発明は
これに限らず鋼製の箱桁の埋設にも適用できるも
のである。

また、スクリユーカツタは上述のように上下二
段とすればバランスがとれて好ましいが、これに
限らず一段としても差支えなく、そして、スクリ
ユーカツタに対する回動動力はオーガ軸とは別に
モータ内蔵のギヤボツクスを刃口体の側部に配設
して伝達させるようにしてもよい。

（発明の効果） 以上のようにこの発明では、コンクリートおよ
び鋼製桁埋設用の刃口体を長方形で前後の解放さ
れた箱状体となし、その内側前部に左右において
らせん羽根の方向を異ならせたスクリユーカツタ
を推進機に連結されるスクリユーカツタの軸線に
直交させて架設し、また、内側後部には中央開口
を有する仕切壁と開口に向つて収れんする内部壁
を設け、スクリユーカツタをスクリユーオーガま
たは他の原動機で回転させて、刃口体前面の土砂
を中央に集め、これを後方に送るようにしたの
で、スクリユーカツタにより刃口体前面の土砂を
掘り残しを生じることなく隅々まで確実に掘削す
ることができ、かつその掘削土砂を滞ることなく
後方に誘導することができ、したがつて、これま
での正方形または円形断面の桁よりも大きな長方
形断面の桁を容易、円滑に埋設することができ、
それだけ長方形桁の埋設本数が少なくなり、材料
費と施工時間を著しく低減させることができる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明に係る刃口体の斜視図。第２図
はその正面図。第３図はスクリユーオーガおよび
コンクリート桁を取付けた状態の断面図。第４図
イ，ロはそれぞれ短軸および中間軸の斜視図。第
５図は本発明の刃口体を用いて構築した地中構造
物の正面図。第６図イは従来の刃口管を用いたコ
ンクリート桁の圧入状態の側面図。同図ロはその
正面図。 図中、１……刃口体、２……ギヤボツクス、２
ａ……剣先、３，３′，４，４′……スクリユーカ
ツタ、３ａ，３a′，４ａ，４a′……心軸、３ｂ，
３b′，４ｂ，４b′……らせん羽根、３ｃ，３c′，
４ｃ，４c′……ピツト、５……短軸、７……中間
軸、８……ウオームホイール、１０……ウオー
ム、１１……仕切壁、１１ａ……開口、１２……
内部壁、１３……スクリユーオーガ、１５……コ
ンクリート桁。

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. １ 長方形状をなし前後が解放された箱状体の内
   側前部に掘削土砂を中央に寄せるように左右にお
   いてらせん羽根の方向を異ならせたスクリユーカ
   ツタを推進機に連結されるスクリユーオーガの軸
   線に直交させて回転自在に架設し、上記箱状体の
   内側後部には中央開口を有する仕切壁と開口に向
   つて収れんする内部壁を設け、上記スクリユーカ
   ツタをスクリユーオーガまたは他の原動機により
   回転させて前面の土砂を掘削するようにしたこと
   を特徴とする長方形桁埋設用の刃口体。