JPH04301409A - ポリビニルアルコール系成形物の製造方法 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明はポリビニルアルコール系
樹脂からなる成形物、とくにはシート、プレートおよび
フィルム状成形物の製造方法に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】溶融押出し方式によるポリビニルアルコ
ールフィルムの製造は、ポリビニルアルコールと水の混
合物がブロッキング現象を起こし易く、また圧力により
固まり易いため、従来より、この混合物を効率的に押出
機へ供給し、高品質の製品とするための様々な工夫がな
されてきた。例えば、特公昭４４−１１０２６号公報に
は、成形物製造用原液の均質性を向上するために、上記
混合物を加熱下、混練・攪拌等を施すことにより溶融な
いし半溶融した後、粉砕して、見かけ密度とポリビニル
アルコール濃度の低いペレットを調製し、押出機に供給
して溶解させる方法が、また特開昭５１−８９５６２号
公報には、フィルムの溶融押出しのための上記混合に際
し、水分率を所定の範囲に抑えたポリビニルアルコール
を使用し、混合後所定時間内に押出機に供給して溶融す
る方法が記載されている。しかし、これらの方法は複雑
であったり、効果が十分とはいえない状態にあり、また
何らかの方法で押出機内に混合物を供給できても、この
状態では押出し変動、発泡等の不具合を生じるため、汎
用押出機での成形が困難であった。また溶融ないし半溶
融するため加熱、剪断等を強度に行うと、樹脂および添
加剤の劣化、熱分解、変質等を促進し、これらは押出機
中で異物となってフィルターの目づまりを引き起こし、
また最終製品の外観、性能にも悪影響を及ぼす。他方、
押出機自体に様々な工夫を施すということも行われてき
た。例えば、特公昭５７−３２６６３号公報には、特殊
スクリューを使用した押出機を用いて、機内に投入され
た上記混合物を高温・高圧で溶融した後、攪拌しながら
温度と圧力を低下させ、冷却溶融物として押出機より吐
出させることにより成形品の発泡による品質の低下を防
止する方法が、また特公平　２−３１６６１号公報には
多軸スクリュー押出機を用いて、機内に投入された材料
を混合・搬送・加熱溶融させながら均一化し、揮発性成
分を除去して押出機より押出す方法がそれぞれ開示され
ている。しかし、これらは特殊な押出機を必要とすると
いう制約があるため一般的でない。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の
目的は、ポリビニルアルコールと水との混合物から単純
化された工程でポリビニルアルコール系成形物、特には
シート、プレートおよびフィルムなどの成形物を経済的
に製造する方法を提供しようとするものである。

【０００４】

【課題を解決するための手段】本発明によるポリビニル
アルコール系成形物の製造方法は、ポリビニルアルコー
ルと水との混合物を、好ましくは温度６０℃以下、より
好ましくは常温で、好ましくは１〜　８０ｋｇ／ｃｍ、
より好ましくは２〜　６７ｋｇ／ｃｍに加圧されている
、少なくとも一対の圧縮ローラー間に実質的に無背圧で
供給して凝集された帯状物とし、これを粉砕またはスリ
ット後カッティングしてペレット状にした後、押出機を
用いて溶融押出し成形することを特徴とするものである
。

【０００５】これを説明すると、本発明者らはポリビニ
ルアルコールと水との混合物には特開昭５０−１２９６
４７　号公報に示されているように圧力により固まりや
すい性質があるのに着目して研究を進めた結果、ポリビ
ニルアルコールと水との混合物を圧縮ローラー間に無背
圧で通過させると、常温付近で簡単に安定して凝集する
ことを見出し、本発明に到達した。本発明はまずポリビ
ニルアルコールと水との混合物を、少なくとも一対の圧
縮ローラー間に実質的に無背圧で供給して凝集された帯
状物とするのであるが、この圧縮ローラーは、使用する
ポリビニルアルコールの重合度、ケン化度、水分含有率
などにより異なるが、温度が６０℃以下、とくには常温
で、１〜　８０ｋｇ／ｃｍ、とくには２〜　６７ｋｇ／
ｃｍに加圧されていることが好ましい。この圧力が１ｋ
ｇ／ｃｍ　未満では凝集が不充分となる。また圧縮ロー
ラーの温度が６０℃以上になると、ポリビニルアルコー
ルと水との混合物がローラーに付着し安定供給ができな
くなる。本発明において実質的に無背圧とはスクリュー
などでポリビニルアルコール粉末を供給する際、このス
クリューが粉末に自重以外の圧力をかけない状態をいい
、加速度で１．２Ｇ以下のことをいう。さらに、ポリビ
ニルアルコールと水との混合物はポリビニルアルコール
　１００重量部当り１０〜　１００重量部の水を含有す
るものが好ましく、この範囲内では８０ｋｇ／ｃｍ以下
での凝集が可能である。なお、本発明における凝集とは
ポリビニルアルコール粉末同志がくっついてシート状に
なり、簡単に指などで引きちぎれない状態で、かつ粉体
がつながっている状態をいう。

【０００６】ローラー間で凝集された帯状物は、そのま
ま押出機へ供給することも可能であるが、安定した生産
を行なうにはペレット状にすることが必要である。それ
には帯状物をそのまま粉砕機で粉砕し一定の大きさのペ
レットにしてもよいし、帯状物を一定の幅にスリットし
た後、回転刃によりカットしてペレット状にしてもよい
。ペレットの大きさは押出機への供給時のホッパー内で
のブロッキングを考えて０．５ｍｍ３〜２ｃｍ３　位が
望ましい。

【０００７】ペレット状にされたポリビニルアルコール
と水の混合物を溶融押出しするのに使用する押出機は、
一般の熱可塑性樹脂成形用の一軸スクリュー型汎用押出
し機で充分であるが、もちろん２軸および多軸スクリュ
ー押出機を使用しても差し支えない。押出機に使用され
るスクリューの構造としては一般には圧縮比１．５　〜
　７．０倍の範囲のものが使用され、また供給部、圧縮
部、計量部の長さの配分やスクリューの直径／軸長の比
などもいろいろ変えたものが知られているが、これらの
数値は希望する押出し能力、効率等により適宜選択採用
すればよいもので、本発明は押出機の構造・型式等に制
約されるものではない。

【０００８】本発明に使用されるポリビニルアルコール
としては前述したように種々の重合度、ケン化度のもの
が使用可能であるが、このほか、エチレン、プロピレン
などのオレフィン、クロトン酸、アクリル酸、メタクリ
ル酸、マレイン酸、イタコン酸などの不飽和カルボン酸
あるいはこれらのアルキルエステル、メチルメタアクリ
レート、アクリルアミド、ビニルスルホン酸、ステアリ
ン酸ビニルなどの少量で変性したポリビニルアルコール
を用いることもできる。ポリビニルアルコールにはまた
、必要に応じてロート油のごとき界面活性剤、ステアリ
ン酸、モノグリセリンのごとき滑剤、タルク、炭酸カル
シウムのごとき充填剤、ジエチレングリコールのごとき
可塑剤、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛または特公昭３５
−　１６６９号公報等に記載されている着色防止剤、有
機または無機の酸、酸化チタン、カーボンブラックなど
の各種の顔料または染料等の補強または着色物質等を添
加することもできる。

【０００９】つぎに、本発明のポリビニルアルコールと
水との混合物からポリビニルアルコール系成形物を製造
する方法を図１に基づいて説明する。ポリビニルアルコ
ールと水とを混合機（図示せず）で混合したのち、圧縮
成形機１のホッパー２に投入し、スクリュー３で押出し
、圧縮ローラー４で凝集された帯状物に成形する。圧縮
ローラーは温度が好ましくは６０℃以下、より好ましく
は０〜常温で、圧力が好ましくは１〜８０ｋｇ／ｃｍ　
、より好ましくは２〜６７ｋｇ／ｃｍ　の範囲に保持さ
れる。得られた凝集された帯状物はパンチングメタル５
を設けた粉砕機６に送られ、そこで０．５ｍｍ３〜２ｃ
ｍ３　の大きさのペレット状成形体に粉砕される。ペレ
ット状成形体はシリンダー温度：５０〜　１５０℃、ダ
イス温度：７０〜　１３０℃の範囲に加熱された押出機
７に供給され、溶融混練されてダイス８より金属あるい
はプラスチック製のベルト９上にシート状で押し出され
、ポリビニルアルコール系成形物が得られる。本発明で
いうロール間の圧力は線圧Ｐとして下記数１式で定義さ
れる。なお、式中、Ｍ：ロールの自重、Ａ：加圧、Ｌ：
接線長である。

【００１０】

【数１】

【００１１】

【作用】１．混合物を圧縮することにより凝集させるこ
とができる。 ２．凝集したものはゴム状を呈し容易に粉砕することが
できる。 ３．押出機供給時にブロッキングが起こらないので安定
供給ができる。 ４．ペレット化工程でポリビニルアルコールと水の混合
物に加えられる熱処理、剪断の程度が低いため押出機で
の溶解が容易かつ均一であり、また樹脂の変質による着
色、未溶解物の発生等を避けることができる。

【００１２】

【実施例】以下、本発明の具体的態様を実施例および比
較例により説明する。 実施例： 工程１：ポリビニルアルコール、水、グリセリンからな
る表１に示す各試料を、図１に示した装置Ａにおける混
合機に投入、混和したのち、その混合物を圧縮成形機１
中のホッパー２内に投入した。投入後、圧縮ローラー入
口では無背圧となるようなコニカル型のスクリュー３で
押出し、表１に示す条件の圧縮ローラー４で凝集された
帯状物とした。帯状物を５φのパンチングメタル５を設
けた粉砕機６で粉砕して大きさが５ｍｍ２　前後のペレ
ット状成形物を得た。

【００１３】

【表１】

【００１４】工程２：前工程で得られた試料　Ｎｏ．５
のペレット状成形物を、図１に示した装置Ｂにおける　
Ｌ／Ｄ＝２８、圧縮比３倍のフルフライトスクリューを
使用した４０ｍｍ汎用一軸スクリュー押出機７に供給し
て溶融混練させ、ダイス８よりシート状にベルト９上に
押出し乾燥させてポリビニルアルコール系フィルムを製
造した。この際の押出機のシリンダーとダイスの設定温
度を表２に示す。得られたポリビニルアルコール系フィ
ルムは発泡現象、未溶物あるいは熱分解物が全く認めら
れず、透明性と平滑性に極めて優れたものであった。

【００１５】

【表２】

【００１６】比較例：図示の装置において、圧縮成形機
１のホッパー２内のスクリュー３でポリビニルアルコー
ルと水の混合物を圧縮ローラー４に供給する際に、供給
過剰にしたところ、圧縮ローラー４に背圧が生じ、スク
リュー３と圧縮ローラー４との間でポリビニルアルコー
ルと水の混合物が凝集してしまって圧縮ローラー４に供
給できなくなった。このことより背圧が伴う状態ではポ
リビニルアルコールと水の混合物より凝集させた帯状物
はできないことがわかった。

【００１７】

【発明の効果】本発明におけるポリビニルアルコールと
水との混合物からのペレット状成形物の成形方法には、
従来の方法のように混練押出機等でポリビニルアルコー
ルと水との混合物を溶融あるいは半溶融させるなどの複
雑かつ余分な工程がなく、連続的に圧縮成形するだけで
、その混合物から短時間に大量のペレット状成形物を簡
単かつ経済的に得ることができるという利点があり、ペ
レット状成形物の製法をして極めて好適な方法である。 従って、ポリビニルアルコールと水との混合物からポリ
ビニルアルコール成形物を製造する場合、このペレット
状成形物の成形方法を利用することにより、製造工程は
大幅に短縮され、作業性も向上し、しかも前述したペレ
ット状成形物は特殊な押出機を使用することなしに汎用
押出機で容易にポリビニルアルコール系成形物とするこ
とができるので、従来のポリビニルアルコール系成形物
より安価な成形物を提供することができ、工業的に非常
に有利な方法である。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の方法を実施する装置の一例を示す説明
図である。

【符号の説明】

４…圧縮ローラー、６…粉砕機、７…押出機。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ポリビニルアルコールと水との混合物を、
   少なくとも一対の圧縮ローラー間に実質的に無背圧で供
   給して凝集された帯状物とし、これを粉砕またはスリッ
   ト後カッティングしてペレット状にした後、押出機を用
   いて溶融押出し成形することを特徴とするポリビニルア
   ルコール系成形物の製造方法。
2. 【請求項２】圧縮ローラーが、温度６０℃以下で１〜　
   ８０ｋｇ／ｃｍに加圧されている請求項１記載のポリビ
   ニルアルコール系成形物の製造方法。