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JPH04218517A - 多元共重合体およびそれを用いた樹脂改質剤、樹脂相溶化剤 - Google Patents

多元共重合体およびそれを用いた樹脂改質剤、樹脂相溶化剤

Info

Publication number
JPH04218517A
JPH04218517A JP8799891A JP8799891A JPH04218517A JP H04218517 A JPH04218517 A JP H04218517A JP 8799891 A JP8799891 A JP 8799891A JP 8799891 A JP8799891 A JP 8799891A JP H04218517 A JPH04218517 A JP H04218517A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
copolymer
resin
indene
maleimide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Withdrawn
Application number
JP8799891A
Other languages
English (en)
Inventor
Norihide Enomoto
榎 本 憲 秀
Seiji Yamamoto
山 本 誠 司
Yoshihiro Naruse
成 瀬 義 弘
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP8799891A priority Critical patent/JPH04218517A/ja
Publication of JPH04218517A publication Critical patent/JPH04218517A/ja
Withdrawn legal-status Critical Current

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)
  • Addition Polymer Or Copolymer, Post-Treatments, Or Chemical Modifications (AREA)

Abstract

(57)【要約】本公報は電子出願前の出願データであるた
め要約のデータは記録されません。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、新規なインデン含有多
元共重合体に関し、特に安価なナフサ油中の重合成分を
有効に利用し、溶融温度を所望の値に設計できる多元共
重合体に関する。
【0002】本発明により得られる多元共重合体は、熱
可塑性樹脂などに耐熱性を付与する樹脂改質剤や、ポリ
アミド系樹脂改質剤として利用できる。
【0003】また、本発明により得られた多元共重合体
は、ポリアミド系アロイ化樹脂用の相溶化剤として利用
できる。
【0004】
【従来の技術】汎用プラスチックスであるABS樹脂、
HIPS樹脂、PVC樹脂の耐熱性を改善するために、
様々な工夫がなされている。
【0005】プラスチックス、vol.No.9(19
86)には、ABS樹脂、HIPS樹脂の耐熱性向上の
ために、スチレン−アクリロニトリル共重合系に一部ス
チレンに替えてα−メチルスチレン、p−メチルスチレ
ンを共重合することにより、熱変形温度(HDT)は、
向上するとしてるが、その効果は大きくない。
【0006】特開平1−85207号公報、米国特許6
2,257,952号、62,257,955号、特開
昭62−100509号公報、特開昭62−10485
9号公報ではアクリルニトリル、α−メチルスチレン、
スチレン、メチルメタクリレートなどとインデンを共重
合して得られた共重合体(樹脂)は、インデン添加によ
り、樹脂そのものの耐熱性が向上し、この共重合体を汎
用プラスチックに配合すると、その配合物(組成物)の
耐熱性が向上することが開示されている。しかしインデ
ンによる耐熱性向上の効果は不十分である。
【0007】従来無水マレイン酸、マレイミドは、樹脂
に耐熱性を付与する重合成分であることが知られている
。特開昭63−90557号公報や特開昭63−128
050号公報、米国特許4,408,010 号には、
スチレン−無水マレイン酸共重合体(SMA)イミド化
物を用いて樹脂組成物とすることにより、汎用プラスチ
ックスの耐熱性が向上することが開示されている。
【0008】スチレンと無水マレイン酸との共重合体は
、ABS樹脂、HIPS樹脂、PVC樹脂、ポリスチレ
ン樹脂等の汎用プラスチックスに耐熱性を付与するポリ
マーとして注目された。しかしSMAそのものの熱分解
が200℃から始まり、一方汎用プラスチックスとの混
練、押し出し成形、射出成形等の工程は、通常200℃
以上で行なうため、この分野でSMAは、特殊な条件下
でしか使用できない欠点があった。この問題を解決する
ために、SMAの部分イミド化が考えられた。特公昭5
6−39651号公報によれば、SMAを、アンモニア
でイミド化した共重合体では、イミド化置換率が1%増
加するとガラス転移温度は約3℃上昇し、SMAをメチ
ルアミンで部分イミド化した共重合体ではイミド化置換
率が1%増加するとガラス転移温度が約2℃以上上昇す
ることが示されている。
【0009】高分子論文集、vol.39、P.447
(1979)ではスチレン−N−フェニルマレイミド共
重合体の熱分解特性について検討しており、スチレン−
N−フェニルマレイミド共重合体の熱分解開始温度は、
320℃であり、SMAに比べ、120℃以上も上昇す
ることが報告されている。しかし、スチレンと無水マレ
イン酸およびマレイミドだけから得られたイミド化共重
合体は、汎用プラスチックに耐熱性を付与する樹脂改質
剤として、やはり相溶性が不十分などの問題が残ったま
まであった。
【0010】一方、無水マレイン酸やマレイミドを原料
とした樹脂は、樹脂中に酸無水物基や、カルボニル基を
有する。これらの官能基は、ナイロンなどのポリアミド
(PA)樹脂のアミド基、アミノ基と反応するが、この
性質を利用して、機械的操作のみでは、微分散が困難な
、ナイロンなどのPA樹脂とPC樹脂、変性PPO樹脂
等  の相溶化剤としての用途がある。この目的で、特
開昭63−90557号公報や日本ゴム協会誌Vol.
61、No. 8、P.542(1988)ではスチレ
ンと無水マレイン酸との共重合体あるいはそのイミド化
物が提案されているが、これらのイミド化物の熱分解開
始温度は、全イミド化共重合体であるスチレンとN−フ
ェニルマレイミドとの共重合体の熱分解開始温度である
320℃より低く、ポリアミド系樹脂とポリカーボネー
ト樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂等との相溶化剤と
して、あるいはポリアミド系樹脂の改質剤としてイミド
化物を使用しようとしても、これらの樹脂の混練、成形
温度が300℃程度であるため、イミド化物が、樹脂と
の混練、成形工程で分解してしまうので、従来のイミド
化物を樹脂改質剤等に用いるには問題が多い。
【0011】以上述べたように、汎用プラスチックであ
るABS樹脂、HIPS樹脂、PVC樹脂などに耐熱性
を付与する樹脂組成物(以下、耐熱性樹脂改質剤と略称
する)について、数々の技術が開示されているが、下記
に示すいずれかの問題点がある。
【0012】(1)耐熱性樹脂改質剤としての効果が不
十分であり、上記汎用プラスチックの熱変形温度(HD
T)やガラス転移温度(Tg)の向上の程度に問題があ
る。
【0013】(2)汎用プラスチックと耐熱性樹脂改質
剤を配合、成形するために機械的混練および押し出し成
形、射出成形を行なう工程で200℃から250℃とし
た場合に、従来の耐熱性樹脂改質剤の熱分解温度が、こ
の温度域近傍であることから樹脂改質剤自体が混練、成
形工程で熱分解してしまうという問題がある。
【0014】(3)汎用プラスチックと耐熱性樹脂改質
剤をある温度で機械的に配合したり、成形する場合、両
方の溶融粘度が近くなければ配合は困難である。従来の
耐熱性樹脂改質剤の溶融粘度は、汎用プラスチックの溶
融粘度との間に差があるため問題がある。
【0015】また、ポリアミド(PA)−ポリカーボネ
ート(PC)系樹脂、ポリアミド(PA)−変性ポリフ
ェニレンオキシド(PPO)系樹脂等ののポリアミド系
アロイ化樹脂は、機械的特性、耐薬品性などがよいため
、注目されている。しかし、本来PA−PC系樹脂、P
A−変性PPO系樹脂等は、相溶しないため、2種の樹
脂を微分散させるための相溶化剤が必要であるが、従来
の相溶化剤には、以下の問題点がある。
【0016】(4)従来の相溶化剤は、PA−PC系、
PA−変性PPO系樹脂等を微分散する能力が弱く、こ
れらの相溶化剤を用いて得られるポリアミド系アロイ化
樹脂の機械的特性が不十分である。
【0017】(5)PA−PC系樹脂、PA−変性PP
O系樹脂等を機械的に混練、成形する温度域は、通常3
00℃付近であり、この温度域では、相溶化剤そのもの
が、熱的に不安定である。
【0018】インデンとマレイミドのみから得られた全
イミド化共重合体については、Polymer Jou
rnal,Vol.20, NO.11,pp 979
−985(1988) や特公昭49−26949号公
報で示されている。しかし、これらの内容は、速度論的
研究や放射線重合法による製造方法についてのみの検討
であり、耐熱性樹脂改質剤あるいはポリアミド系アロイ
化樹脂用の相溶化剤の用途には触れておらず、また多元
共重合体の分子量についても明らかにしていない。
【0019】また、特開昭60−86152号公報には
、インデンとマレイミドを含有する樹脂組成物を利用し
た耐炎性ABS樹脂が示されているが、用途が本発明と
異なる上、公報中に最適インデン含量、マレイミド含量
が述べられていない、あるいは、インデン、マレイミド
が必須であるのかどうかも不明であり、また、インデン
およびマレイミドを含有した実施例がない。
【0020】また、本出願人は、先に、ナフサ油中の重
合成分を用いる共重合体について、以下のように開示し
た。
【0021】石炭系または石油系のナフサは、沸点範囲
80〜220℃であり、炭素数が8〜11個の芳香族炭
化水素を、主成分としている。このナフサ油にはインデ
ンを主重合成分とした反応性2重結合を持つ成分(重合
成分)が含有されている。インデンは、2環式の構造を
有し、スチレンに比べ、剛直な構造を持つ。従って、イ
ンデンを重合成分とした樹脂は、耐熱性が向上すること
が期待できる。
【0022】そこで本発明者らは、インデンを重合主成
分として含有しているナフサ油中の重合成分と無水マレ
イン酸との共重合体の製造について検討を行ったところ
、Macromol., Chem., 62,120
(1963)で報告されているより、高収率でしかも反
応条件などの組み合わせにより色々な分子量分布を持つ
ナフサ油中の重合成分と無水マレイン酸との共重合体が
工業的に製造可能であることを示した。さらに得られた
共重合体は、アルカリ加水分解物、エステル化物、スル
ホン化物のアルカリ加水分解物、あるいは未変性品を含
め、各種分散剤、塗料の組成物、接着剤、汎用プラスチ
ック用耐熱性樹脂改質剤、ポリアミド樹脂用の相溶化剤
として有効であることを見い出し、提案した。(特願平
1−326299号公報、EPC 公開NO.0348
975)
【0023】しかし、汎用プラスチック用耐熱性樹脂改
質剤として利用した場合、汎用プラスチックとの配合条
件が制約される、あるいはポリアミド樹脂用の相溶化剤
として使用した場合にも、得られたアロイ化樹脂の機械
的特性に改善の余地がある等の問題点があった。
【0024】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
技術における問題点を解決し、熱可塑性樹脂に耐熱性を
付与する樹脂改質剤や、ポリアミド系樹脂改質剤として
利用でき、また、ポリアミド系アロイ化樹脂用の相溶化
剤として利用できる多元共重合体であって、その溶融温
度等が、配合される相手の樹脂とバランスのよい多元共
重合体を提供しようとする。
【0025】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、インデン
を主重合成分とするナフサ油の重合成分と無水マレイン
酸との共重合体を熱可塑性樹脂の耐熱性樹脂改質剤およ
びポリアミド系アロイ化樹脂の相溶化剤向けに改良する
ため、鋭意検討した。その結果、インデンを主重合成分
とするナフサ油の重合成分と無水マレイン酸との共重合
体の酸無水物基の一部、あるいは全部をイミド化したイ
ミド化物は、耐熱性樹脂改質剤あるいはポリアミド系ア
ロイ化樹脂の相溶化剤として、有用であることがわかり
、本発明に至った。
【0026】また、これらの共重合体を各種プラスチッ
クと機械的に混練して配合しようとするとき、共重合体
の溶融温度が、配合される相手のプラスチックの溶融温
度と大きく異なることが問題となる場合には、重合組成
中に、共重合可能な成分、例えば、スチレン、アクリロ
ニトリル、メチルメタクリレート、ブタジエンを添加し
、共重合を行なえば、熱変形温度および溶融温度の面で
よりバランスのよい、プラスチックの耐熱性樹脂改質剤
となることが分かり、本発明に至った。
【0027】すなわち本発明は、インデンまたはナフサ
油中の重合成分とマレイミドおよび/または無水マレイ
ン酸とを必須成分とし、さらにこれらの必須成分の少な
くとも1つと共重合可能な重合成分よりなる多元共重合
体を提供する。
【0028】マレイミドは、N−フェニルマレイミドま
たはシクロヘキシルマレイミドが好ましい。
【0029】共重合可能な重合成分は、下記(a),(
b),(C)および(d)のうち少なくとも1つ、ある
いは全部であるのが良い。 (a)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン
、クロロスチレン等のスチレン類 (b)アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のシア
ン化ビニル類 (c)アクリル酸アルキル、あるいは、メタクリル酸ア
ルキル等のアクリル酸エステル、あるいはメタクリル酸
エステル類 (d)イソプレンあるいはブタジエン等のジエン類。こ
れらの多元共重合体は、熱可塑性樹脂用樹脂改質剤、ポ
リアミド系樹脂用改質剤およびポリアミド系アロイ化樹
脂用相溶化剤の主成分として有用である。
【0030】以下に、本発明の構成を詳述する。石炭ま
たは石油系のナフサ油は、沸点範囲80℃から220℃
であり、炭素数が8〜11個の芳香族炭化水素を主成分
としている。このナフサ油には、インデンを主な成分と
した重合成分が含有されている。
【0031】一例をあげると以下のごとくインデンを主
成分とし、ナフサ油の成分中の重合成分は、5wt%以
上含有されており、その重合成分が、下記成分(A)、
(B)、および(C)の重量百分率で構成されており、
(A)、(B)、および(C)を具体的に示すと。 (A)インデン  60〜99wt% (B)スチレン  0.5〜29.5wt%(C)α−
メチルスチレン、メチルスチレン、メチルインデン、ジ
メチルスチレン、トリメチルスチレン、クマロン、およ
びジシクロペンタジエンのうち少なくとも1つまたは2
以上の合計が0.5〜29.5wt%
【0032】ここ
で(A)、(B)、および(C)の総和が実質的に、(
A)+(B)+(C)=100wt%である。
【0033】またナフサ油には、非重合成分として、キ
シレン、エチルベンゼン、プロピルベンゼン、テトラメ
チルベンゼン、エチルトルエン、インダン、トリメチル
ベンゼン、テトラメチルベンゼン、ナフタレンなどが含
有されている。
【0034】原料として、インデンのみを使用する場合
には、ナフサ油を精密蒸留することにより、得ることが
できるが、コスト的には有利でない。重合成分の内90
wt%以上インデンが含有されているナフサ油を原料と
した場合、得られる多元共重合体の性質は、インデンを
用いて製造した多元共重合体に比して差はない。
【0035】本発明に用いる無水マレイン酸は、通常固
体状態で用いるが、あらかじめ芳香族炭化水素あるいは
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等の溶媒
にとかして用いてもよい。
【0036】多元共重合体の原料に無水マレイン酸を用
いると、共重合体に反応性のある酸無水物基を導入する
ことが可能となり、共重合体を、さらに、エステル化、
グラフト重合化反応に利用することができる。
【0037】インデンと無水マレイン酸とを必須成分と
し、さらにこれらと共重合可能な重合成分よりなる多元
共重合体は、インデンを主成分とするため樹脂改質剤と
して用いると相手の樹脂の耐熱性を上げる。
【0038】本発明の多元共重合体のうちイミド化され
た多元共重合体を製造する方法は、無水マレイン酸を原
料として、樹脂中に導入した酸無水物基をアンモニアや
一級アミンにより変性し、多元共重合体とする方法と、
マレイミドを原料の一部として、多元共重合体とする方
法がある。コスト的には、マレイミドを原料として、多
元共重合体を製造した方が有利である。使用するマレイ
ミドは、下記に示すような構造で、Rが、メチル、エチ
ル、プロピル、シクロヘキシル等のアルキル基、フェニ
ル、トリル等のアリール基あるいは水素などいずれでも
よいが、特にRがシクロヘキシルあるいは、フェニル基
であるマレイミドから得られた多元共重合体は、耐熱性
樹脂改質剤、相溶化剤として特によい。
【0039】
【化1】
【0040】本発明では、ナフサ油中の重合成分(また
はインデン)とマレイミドおよび/または無水マレイン
酸を必須成分とする多元共重合体に、これらの必須成分
のうちの少なくとも1つと共重合可能な他の重合成分を
加える。このような重合成分の一例を下記に挙げる。 (a)スチレン、α−メチルスチレン、メチルスチレン
、クロロスチレン等の スチレン類(b)アクリロニトリル、メタクリロニトリ
ル等のシアン化ビニル類 (c)アクリル酸アルキル、あるいはメタクリル酸アル
キル等のアクリル酸エステル、あるいはメタクリル酸エ
ステル類 (d)イソプレンあるいはブタジエン等のジエン類。
【0041】上記(a)、(b)、(c)、(d)の4
群の少なくとも1群、あるいは2群以上でもよい。
【0042】このような他の重合成分を共重合すると、
得られる多元共重合体の溶融温度を適切に下げることが
でき、樹脂改質剤、樹脂相溶化剤として用いる際に、相
手の樹脂とのバランスの良い溶融温度に設計することが
できる。
【0043】ナフサ油の重合成分(またはインデン)と
マレイミドとの間の重合組成比については、ナフサ油の
重合成分(またはインデン)とマレイミドの合計モル数
に対して、マレイミドが25mol%以上〜75mol
%以下ならばよく、また、40〜60mol%、より好
ましくは、約50mol%前後が、高収率でイミド化多
元共重合体の製造が可能な為、工業的にも有利である。
【0044】無水マレイン酸の配合比は、マレイミドと
の合計量で、多元共重合体中の25mol%〜75mo
l%以内とすればよい。
【0045】ナフサ油の重合成分(またはインデン)お
よびマレイミドと共重合可能な重合成分との組成比は、
重合成分全体に対して、ナフサ油の重合成分(またはイ
ンデン)とマレイミドの合計が10mol%以上あれば
、効果が認められる。
【0046】このようにして、得られた多元共重合体の
分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(G
PC)法でポリスチレン基準により求めた分子量(数平
均分子量(Mn))として2,000 〜100,00
0 の範囲である。
【0047】また、本発明の多元共重合体のうちイミド
化多元共重合体は、以下で説明するように、全イミド化
共重合体としてもよく、部分イミド化多元共重合体とし
てもよい。
【0048】(1)全イミド化多元共重合体全イミド化
多元共重合体とは、共重合体中の酸無水物基のうちの全
量が、イミド基に交換されたイミド化共重合体、あるい
は、樹脂合成時に無水マレイン酸を使用しないため、イ
ミド化多元共重合体中に酸無水物基がないイミド化多元
共重合体をさす。
【0049】全イミド化多元共重合体は、熱安定性が特
によい。例えば、インデンを90wt%以上含有したナ
フサ油あるいはインデンとN−フェニルマレイミドとの
共重合体は、熱分解開始温度は、360℃であり、スチ
レンとN−フェニルマレイミド共重合体の320℃に比
べ、熱安定性に優れている。しかし、溶融温度は、33
0℃と高いため、他の樹脂との機械的混練が困難な場合
がある。このような場合には、溶融温度を低減させる目
的で、前述の(a)〜(d)群で示される必須成分と共
重合可能な他の重合成分を加えてイミド化多元共重合体
を製造する。
【0050】(2)部分イミド化共重合体部分イミド化
共重合体は、共重合体に酸無水物基を含有したイミド化
共重合体をいう。本発明の部分イミド化多元共重合体も
、ナフサ油の重合成分(またはインデン)に起因する剛
直で熱安定性のよいインダン環とイミド基のため、熱安
定性がよい。  また、部分イミド化多元共重合体の酸
無水物基は、ポリアミド樹脂の末端のアミノ基と反応し
て、グラフト化するため、ポリアミド系アロイ化樹脂の
相溶化剤あるいはポリアミド系樹脂の改質剤として有用
である。
【0051】共重合体に導入する酸無水物基の割合は、
ナフサ油中の重合成分(またはインデン)、マレイミド
、無水マレイン酸の使用割合によって決まる。酸無水物
基の適性な範囲は、ナフサ油中の重合成分(またはイン
デン)、マレイミド、無水マレイン酸の合計mol数に
対して、1mol%以上であれば、酸無水物基の特徴が
でる。
【0052】酸無水物基含量は、ナフサ油の重合成分(
またはインデン)と無水マレイン酸との共重合体の酸無
水物基にマレイミドを加える代わりに一級アミンで処理
し、部分イミド化多元共重合体として調製してもよい。 このようにして得られた部分イミド化多元共重合体も、
共重合体中に剛直で熱安定性のよいインダン環、酸無水
物基、イミド基を含有する為、高耐熱性を持つ。とくに
インダン環の熱安定性への寄与が大きい。
【0053】また、この部分イミド化共重合体は、高い
熱安定性を有する反面、溶融温度が高い。汎用プラスチ
ックの混練、成形等の処理温度は、通常250℃付近で
あるため、部分イミド化多元共重合体の溶融温度が高す
ぎる。このため、溶融温度を低減させる目的で、前述の
(a)〜(d)群で示される、ナフサ油中の重合成分(
またはインデン)、無水マレイン酸あるいはマレイミド
と共重合可能な他の重合成分を加えて共重合させて、部
分イミド化多元共重合体を製造する。
【0054】本発明の多元共重合体の製造方法は、塊重
合、溶液重合、水系での懸濁重合など、いずれの方法で
もよいが、共重合組成に無水マレイン酸を含有する場合
には、無水マレイン酸が水により加水分解を受け、水層
のほうに移動するため、懸濁重合法による合成方法は有
利ではない。本合成反応は、ラジカル重合開始剤の存在
下で進行するが、使用可能なラジカル重合開始剤は、過
酸化物系あるいはジアゾ系のどちらでもよいが、有効な
温度域が30℃〜180℃のラジカル重合開始剤を使用
する必要がある。ラジカル重合開始剤の添加方法は、全
量を重合成分とともに反応容器に仕込んでもよいが、開
始剤の分解速度がはやい場合は、徐々に反応容器内に仕
込むとよい。
【0055】反応は、溶媒を用いてもよいし、用いなく
てもよい。溶媒を用いる場合は、芳香族炭化水素、ジク
ロロエタン等のハロゲン化炭化水素およびメチルエチル
ケトンやメチルイソブチルケトン等のケトン等が用いら
れ、ベンゼン、トルエン、クメンが好ましい。
【0056】このようにして製造した、多元共重合体は
、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)
樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)等の熱可塑性樹脂
の樹脂改質剤として用いると、樹脂の耐熱性、相溶性、
グラフト化による機械的強度等の向上が達成できる。
【0057】本発明の多元共重合体は、ポリアミド系樹
脂用改質剤として用いると、樹脂の耐熱性、相溶性、グ
ラフト化による機械的強度等が向上する。
【0058】また、本発明の多元共重合体は、ポリアミ
ド系アロイ化樹脂の相溶化剤とすると、機械的特性のよ
いアロイ化樹脂を得ることができる。
【0059】
【実施例】以下に、本発明を具体的実施例を挙げて説明
するが、本発明は、これらに限定されない。
【0060】なお、実施例における数平均分子量、熱分
解開始温度(重量減少開始温度)、溶融温度、熱変形温
度(HDT)、引張破断強度の測定法は以下の通りであ
る。 (数平均分子量)ゲルパーミエーションクロマトグラフ
ィ(GPC)法で、ポリスチレン基準により求めた。 (熱分解開始温度)熱天秤により、窒素雰囲気(重量減
少中、室温から3℃/分で昇温開始温度)し、樹脂重量
が減少し始める温度を求めた。樹脂の熱安定性の指標と
なる。 (溶融温度)島津製作所(株)製フローテスターCFT
−500を使用し、樹脂粘度が5000ポイズとなる温
度を求めた。 (熱変形温度)ASTM  D648に準拠し、(HD
T)18.6kg/cm2の荷重下で試験を行った。 (引張破断強度)ASTM  D638に準拠し、湿度
50%RH、温度23±1℃で測定した。 (アイゾット衝撃強度)ASTM  D256に準拠し
測定した。ノッチ付。 (軟化温度)JIS  K−6745に準拠し測定した
【0061】(実施例1)重合成分の合計が1モルとな
るよう反応を行った。内容積1Lの4ツ口フラスコ(撹
拌翼、冷却管、滴下ロート、窒素ガス導入管付き)に2
00mLのMEK(メチルエチルケトン)を仕込み、少
量の窒素ガスを流通させた状態で80℃に保持した。ナ
フサ油(重合成分50wt%(そのうちインデン90w
t%、スチレン3wt%、その他の重合成分7wt%)
含有)92.8g(重合成分で0.4モル)、スチレン
10.4g(0.1モル)、フェニルマレイミド87g
(0.5モル)に開始剤であるアゾイソブチロニトリル
(AIBN)1.64gを300mLのMEKに希釈し
、滴下ロートに仕込み、徐々にフラスコ中に滴下した。
【0062】滴下終了後、5時間、80℃の反応温度で
反応を行った。反応終了後、大量のメタノール中に反応
液を投入し、共重合体を白色のパウダーとして回収した
。その後、150℃で恒量になるまで減圧乾燥を行った
。樹脂収率は原料重合成分の合計重量に対する乾燥後の
樹脂重量から求めた。
【0063】(実施例2〜7)、(比較例1)実施例1
と同様の方法で多元共重合体を合成した。重合成分の割
合、収率、数平均分子量、Tg(ガラス転移温度)、熱
分解開始温度を実施例1の結果も合わせ示す。
【0064】
【表1】
【0065】実施例1〜7および比較例1の共重合体の
スチレン添加量と溶融温度の関係を図1に示した。図1
より、共重合体の溶融温度はスチレンの添加とともに低
下することがわかる。
【0066】図1において、a線は、実施例1〜3およ
び比較例1のナフサ油中の重合成分(NAPH)とスチ
レン(sty)と無水マレイン酸(MA)との共重合体
の、スチレン分率と溶融温度との関係を示すグラフであ
る。
【0067】b線は、実施例4〜7のナフサ油中の重合
成分(NAPH)と、スチレン(sty)とN−フェニ
ルマレイミド(PMI)との共重合体の、スチレン分率
と溶融温度との関係を示すグラフである。
【0068】したがってa線は、イミド化率0の共重合
体のスチレン分率と溶融温度との関係を示し、b線は、
ほぼイミド化率100%の共重合体のスチレン分率と溶
融温度との関係を示す。
【0069】部分イミド化多元共重合体の溶融温度は、
a線とb線との間にある。
【0070】(実施例8〜48)重合成分として、アク
リロニトリル、メチルメタクリレート、ブタジエンをさ
らに加えた以外は、実施例1の方法と同様な方法で共重
合体を合成した。表2には重合組成、収率、および一部
についてはGPC法による数平均分子量、ガラス転移温
度(Tg)、溶融温度の測定結果を示す。また、実施例
8,10,12、実施例40〜42についてスチレン添
加量と溶融温度の関係を図2に示す。
【0071】
【表2】
【0072】
【表3】
【0073】
【表4】
【0074】(実施例49〜57)、(比較例2)住友
ノーガタック(株)製ABS樹脂(MVグレート)に本
発明の多元共重合体を添加し、単軸押し出し機により処
理温度250℃でペレット状に成形した。このサンプル
を射出成形機により、熱特性、機械的特性評価用の試験
片を作製した。測定結果を表3に示す。
【0075】
【0076】(実施例58、59)および(比較例3、
4)実施例1と同様の方法で表4に示す組成の共重合体
を合成した。
【0077】 注)CMI:シクロヘキシルマレイミド
【0078】(
実施例60、61)および(比較例5、6)実施例60
、61および比較例4、5で得られた共重合体とポリ塩
化ビニル樹脂(スミリットSX−11F、住友化学(株
)、重合度1050)を表5に示した配合からなる樹脂
組成物を調製した。
【0079】得られた樹脂組成物をそれぞれ表面温度1
90℃に加熱された直径8インチの熱ロールで5分間、
混練し、シート状樹脂組成物を得た。これを平面プレス
を用いて100kg/cm2 の圧力下で10分間プレ
ス成形して、試験片を作製し、アイゾット衝撃強度、軟
化温度を測定した。
【0080】表5より、本発明の多元共重合体はポリ塩
化ビニル樹脂に配合することにより、アイゾット衝撃強
度、および軟化温度は従来の樹脂改質剤より改善される
【0081】 注)M101A:ジチオクチル錫ジマレート系安定剤(
東京ファインケミカル(株)製) E−101:ジチオクチル錫ジラウレート系安定剤(東
京ファインケミカル(株)製) Kalen A−88:高級アルコール系滑剤(東京フ
ァインケミカル(株)製)
【0082】(実施例62〜67)開始剤であるAIB
Nを半分の820mgとした以外は、実施例1と同様の
方法で表6の仕込み組成にて多元共重合体を合成した。 樹脂収率、数平均分子量、ガラス転移温度を併せて、表
6に示す。
【0083】
【表5】
【0084】(実施例68〜76)および(比較例6、
7)所定量のナイロン6樹脂(ユニチカ(株)製、A1
030JR)と多元共重合体およびその他の共重合体を
スクリュー型2軸押出機(L/D=28、回転数50r
pm、シリンダー温度260℃)を用いて、混練し、ペ
レット化した。得られたペレットを40℃で10時間、
4mmHg減圧下で乾燥後、射出成形機を用い、樹脂試
験片を得た。配合組成、評価結果を表7に示す。
【0085】
【表6】
【0086】(実施例77〜81)および(比較例8〜
12)大津隆行、木下雅共悦著;高分子合成の実験法、
化学同人(1972)、p293に従いPPO(ポリフ
ェニレンオキシド)を合成し、ナイロン6(ユニチカ製
A1030JR)とのポリマーアロイを作製した。合成
したPPO数平均分子量は16000である。
【0087】2軸押出機を使用し、シリンダー温度30
0℃、スクリュー回転数200rpmでペレット化した
。得られたペレットを射出成形機により、シリンダー温
度280℃、金型温度80℃の条件で、試験片を得た。 これを用いて評価を実施した。配合組成、評価結果を表
8に示す。
【0088】
【表7】
【0089】
【発明の効果】本発明の新規な多元共重合体は、インデ
ンまたはナフサ油中の重合成分とマレイミドおよび/ま
たは無水マレイン酸とを必須成分とし、さらにこれらの
必須成分と共重合可能な重合成分を共重合させる。
【0090】このため、本発明の多元共重合体を、熱可
塑性樹脂用樹脂改質剤、ポリアミド系樹脂用改質剤やポ
リアミド系アロイ化樹脂用相溶化剤として用いると、相
手の樹脂の耐熱性、機械的特性を向上させることができ
る。さらに、共重合可能な重合成分の種類や量を選定す
ると、多元共重合体の溶融温度等を所望の値に設定する
ことができ、相手の樹脂とのバランスのよい作業性に優
れた樹脂改質剤、相溶化剤が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例8,10,12の多元共重合体中のスチ
レン分率と溶融温度との関係を示すグラフである。
【図2】実施例40〜42の多元共重合体中のスチレン
分率と溶融温度との関係を示すグラフである。

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】  炭素数が8〜11個である芳香族炭化
    水素でインデンを主成分として含有するナフサ油中の重
    合成分とマレイミドとを必須成分とし、さらにナフサ油
    中の重合成分および/またはマレイミドと共重合可能な
    重合成分よりなる多元共重合体。
  2. 【請求項2】  炭素数が8〜11個である芳香族炭化
    水素でインデンを主成分として含有するナフサ油中の重
    合成分と無水マレイン酸とを必須成分とし、さらにナフ
    サ油中の重合成分および/または無水マレイン酸と共重
    合可能な重合成分よりなる多元共重合体。
  3. 【請求項3】  炭素数が8〜11個である芳香族炭化
    水素でインデンを主成分として含有するナフサ油中の重
    合成分とマレイミド及び無水マレイン酸を必須成分とし
    、さらにこれらの必須成分の少なくとも1つと共重合可
    能な重合成分よりなる多元共重合体。
  4. 【請求項4】  インデンとマレイミドとを必須成分と
    し、さらにインデンおよび/またはマレイミドと共重合
    可能な重合成分よりなる多元共重合体。
  5. 【請求項5】  インデンと無水マレイン酸とを必須成
    分とし、さらにインデンおよび/または無水マレイン酸
    と共重合可能な重合成分よりなる多元共重合体。
  6. 【請求項6】  インデンとマレイミドおよび無水マレ
    イン酸を必須成分とし、さらにこれらの必須成分の少な
    くとも1つと共重合可能な重合成分よりなる多元共重合
    体。
  7. 【請求項7】  前記共重合可能な重合成分が、下記(
    a),(b),(c)および(d)よりなる群のうちか
    ら選ばれる少なくとも1つ、あるいは全部からなる請求
    項1ないし6のいずれかに記載の多元共重合体。 (a)スチレン類 (b)シアン化ビニル類 (c)アクリル酸エステルまたはメタクリル酸エステル
    (d)ジエン類
  8. 【請求項8】  前記マレイミドが、N−フェニルマレ
    イミドおよび/またはシクロヘキシルマレイミドである
    請求項1ないし7のいずれかに記載の多元共重合体。
  9. 【請求項9】  請求項1ないし8のいずれかに記載の
    多元共重合体を主成分とする熱可塑性樹脂用樹脂改質剤
  10. 【請求項10】  請求項1ないし8のいずれかに記載
    の多元共重合体を主成分とするポリアミド系樹脂用改質
    剤。
  11. 【請求項11】  請求項1ないし8のいずれかに記載
    の多元共重合体を主成分とするポリアミド系アロイ化樹
    脂用相溶化剤。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109021156A (zh) * 2018-07-25 2018-12-18 嘉兴华雯化工有限公司 一种低黄度苯乙烯-丙烯腈-马来酸酐共聚物及其制备方法
CN113121999A (zh) * 2019-12-31 2021-07-16 广东生益科技股份有限公司 一种树脂组合物及使用它的预浸料、层压板和印制电路板
JP2021138802A (ja) * 2020-03-03 2021-09-16 住友ベークライト株式会社 樹脂組成物、それを用いたキャリア付樹脂膜、プリプレグ、積層板、プリント配線基板および半導体装置

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