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JP7538055B2 - アラミドナノファイバーを含有する複合紙構造体およびその製造方法 - Google Patents

アラミドナノファイバーを含有する複合紙構造体およびその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、アラミドナノファイバーを含有する複合紙構造体およびその製造方法に関する。
紙・不織布構造は高表面積性、柔軟性、力学的等方性など、その構造に由来する様々な特徴を有する。このような特徴を生かした機能発現により、印刷物や布帛としての利用のみならず、電材など緻密かつ高度な技術を必要とする分野においても積極的に利用される。電材などの分野での展開や発展を考える上で、紙構造体そのものの特徴を維持しつつ、高力学特性、難燃性、高耐熱性をいかに付与するかが重要な課題となる。
紙構造体の難燃化でいえば、例えば特許文献1のように、紙構造体内に無機粒子を添加・導入させる方法が考えられる。一般的に無機物は耐熱性が高いことが多いため難燃性・耐熱性向上においては有効な手段である。しかし、繊維と無機粒子との接触は基本的に点接触となるため、分子間力相互作用の大きさは多くは望めず、従って、経時での繰り返し使用などで無機粒子が繊維構造から脱落してしまう。無機粒子の脱落は、付与した機能の低下を意味するため、好ましくない。
紙構造体の力学特性、難燃性および熱的特性向上の別の考え方として、例えば特許文献2のように耐熱性繊維との混合抄紙がある。即ち、主要繊維と耐熱繊維とを水中で撹拌・混合し、抄紙工程を経ることで耐熱繊維が含有した紙構造体が得られる。上述した無機微粒子添加とは異なり繊維同士の接触面積は大きくなり、また、繊維同士の物理的な交絡作用が利用できるため、高疲労であり強靭な構造を形成することが可能である。
しかし、異種繊維を均一に抄紙することは難しい。例えば繊維間での比重差異があると、濾水時の繊維が受ける重力が異なるため積層速度に差が生じ、結果として均質な紙構造が得られない場合がある。また、繊維の表面特性が異なれば水中の分散性や凝集性も変わるため、均質な水分散液自体の作が困難であり、これを改善するためには添加する分散剤や凝集剤の種類や組み合わせ、添加量、添加タイミングなど様々な技術的ノウハウの蓄積が必要となる。
特開2019-137948号公報 特開2011-127252号公報
本発明が解決しようとする課題は、力学物性および耐炎性を向上させた複合紙構造体およびその製造方法を提供することにある。
本発明者らは鋭意検討の結果、セルロース繊維と、特定の繊維径を有するパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバーを使用することにより、高い力学特性および耐炎性を有する複合紙構造体が得られることを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明によれば、下記構成(1)~(4)が提供される。
(1)セルロース繊維を含む紙基材と、平均繊維径が100nm以下のパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバー、を含み、
厚さが100~1000μmであり、かつ、JIS L1091に規定されるLOI値が20~30であり、かつ、幅10mm、長さ100mmであるサンプルを、テンシロン万能材料試験機を用いて、試験速度50mm/分、チャック間距離50mm、温度20度、相対湿度60%の条件下で測定した引張強度が7.0~15.0Mpaであることを特徴とする複合紙構造体。
(2)セルロース繊維が紙基材の全重量に対して50重量%を超えて含まれる前構成(1)に記載の複合紙構造体。
(3)アラミドナノファイバーが紙基材の全重量に対して0.1~50重量%含まれる前構成(1)または(2)に記載の複合紙構造体。
(4)セルロース繊維を含む紙基材に、パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはパルプを、非プロトン性極性溶媒下に強塩基性物質を添加し、ナノファイバー化して得られる平均繊維径が100nm以下のアラミドナノファイバーを分散させた分散液を浸漬させた後、水浸漬、乾燥工程を経ることで得られる前構成(1)から(3)のいずれか一つに記載の複合紙構造体の製造方法。
本発明によれば、セルロース繊維を含む紙基材と、特定の繊維径を有するパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバーを使用することにより、高い力学特性および耐炎性を有する複合紙構造体を提供することができる。
本発明で使用されるアラミドナノファイバーの構造観察画像を示した一例である。 平均繊維径算出用に、図1を拡大した構造観察画像を示した一例である。 本発明のセルロース繊維及びアラミドナノファイバーを含む複合紙構造体の断面観察画像を示した一例である。 図3を拡大した観察画像の一例である。 平均繊維径の算出方法に関する説明図である。
以下、本発明の詳細について説明する。
<複合紙構造体>
本発明の複合紙構造体は、セルロース繊維を含む紙基材と、平均繊維径が100nm以下のパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバーとを含み、厚さが100~1000μm(より好ましくは100~500μm、さらに好ましくは100~300μm)であり、かつ、JIS L1091に規定されるLOI値が20~30(より好ましくは22~30)であり、かつ、幅10mm、長さ100mmであるサンプルを、テンシロン万能材料試験機を用いて、試験速度50mm/分、チャック間距離50mm、温度20度、相対湿度60%の条件下で測定した引張強度が7.0~15.0Mpa(より好ましくは8.0~15.0Mpa)である。
本発明の複合紙構造体は、複合紙構造体のアラミドナノファイバーの重量比率(含有割合)が、好ましくは0.1重量部~50重量部であり、より好ましくは1重量部~30重量部であり、さらに好ましくは5重量部~25重量部、最も好ましくは8量部~20重量部である。このような範囲であれば、高い力学特性および耐炎性を得ることができる。アラミドナノファイバー含有率は紙基材に含浸させる際の液中のアラミドナノファイバー濃度で制御可能である。含有率が0.1重量%未満であれば、含浸させる液中のアラミドナ
ノファイバー濃度を低くする必要があるが、含浸後の貧溶媒中浸漬時の溶媒交換量が多くなり、結果として大きな空隙を含む高次構造が形成され力学補強効果が十分期待できないことがある。また、含有率が50重量%以上であれば、力学補強効果は期待されるものの、含浸させる液中のアラミドナノファイバー濃度を過度に高くする必要があり、それに相まって液粘度が高くなるため塗工・含浸作業性が低下することがある。
また、本発明の複合紙構造体に使用される紙基材は、セルロース繊維が紙基材の全重量に対して好ましくは50重量%、より好ましくは70重量%、さらに好ましくは75重量%、特に好ましくは80重量%を超えて含まれる。
セルロース繊維としては、例えば、針葉樹や、広葉樹からなる木材パルプであってもよいし、ケナフなどからなる非木材パルプであっても良い。
なお、本発明の複合紙構造体に使用される紙基材は、必要に応じて、他の繊維をさらに含んでいてもよい。他の繊維は、目的に応じて適切に選択され得る。例えば機械的強度の向上を目的とする場合には、高強度繊維が混合され得る。さらに、目的に応じた繊維(例えば、放熱性繊維、導電性繊維など)が混合され得る。
なお、本発明の複合紙構造体は、必要に応じて、他成分を含んでいても良い。具体的な他成分として、例えば、シリコン、シリコンカーバイト(SiC)、ゲルマニウムなどの半導体材料、窒化ケイ素(シリコンナイトライド)、窒化アルミニウム(アルミニウムナイトライド)、窒化ホウ素(ボロンナイトライド)などの窒化化合物、カーボンブラック、ダイヤモンド、グラフェン、フラーレン、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ、グラファイトなどの炭素材料等の無機物を挙げることができる。また、カオリン、タルク、クレー、ハイドロタルサイト、珪藻土などの鉱物微粒子を用いることもできる。また、粒子としては上記に挙げたものに加えて、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化チタン、アルミナ、マイカ、ゼオライト、ガラス等を用いることもできる。アラミドナノファイバーの有する高比表面積が有効に作用し、成分の把持材として機能させることも可能である。
<アラミドナノファイバー>
本発明の複合紙構造体に使用されるアラミドナノファイバーは、平均繊維径が100nm以下であり、好ましくは50nm以下であり、より好ましくは25nm以下である。平均直径の下限は1nm以上、好ましくは3nm以上であることが好ましい。また、アラミドナノファイバーは500nm以上の直径のものを有さないことが好ましい。平均繊維径が100nmを超えると、ナノファイバーの表面積が小さくなり、ナノファイバー間の交絡密度及び接触面積が小さくなるため、水素結合を含む分子間力相互作用が小さくなる結果、アラミドナノファイバーで構成される高次構造の十分な力学強度発現に至らないため好ましくない。
本発明におけるアラミドナノファイバーは、繊維長/繊維径で表されるアスペクト比が好ましくは10以上1、000以下であり、より好ましくは10以上500以下であり、さらに好ましくは10以上100以下である。アスペクト比が10未満であると、繊維の交絡構造が発現しにくく、それゆえに期待される特性発現が困難になる場合がある。
また、本発明におけるアラミドナノファイバーは、パラ型全芳香族ポリアミドである。パラ型全芳香族ポリアミドとしては、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド、ポリ-p-ベンズアミド、ポリ-p-アミドヒドラジド、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド-3,4-ジフェニルエーテルテレフタルアミドなどが好ましく、配向結晶性(紡糸溶液中で液晶構造のドメインを形成)を有するポリ-p-フェニレンテレフタルアミド繊維で
あることが好ましい。
なお、パラ型全芳香族ポリアミドを用いた繊維としては、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド繊維(市販品では、帝人株式会社製「トワロン(登録商標)」、東レ・デュポン株式会社製「ケブラー(登録商標)」など)や、コパラフェニレン・3、4’オキシジフェニレンテレフタルアミド繊維(市販品では、帝人株式会社製「テクノーラ(登録商標)」など)が挙げられる。
<アラミドナノファイバーの製造>
本発明におけるアラミドナノファイバーの製造は、パラ型芳香族ポリアミド繊維を原料とし、当該繊維を親和性の高い溶媒中にて浸漬・膨潤し、さらに強塩基物質を添加することで水素結合部を切断し、その結果生成される。本発明で好ましく用いることのできるパラ型全芳香族ポリアミドは、1種または2種以上の2価の芳香族基がアミド結合により連結されたポリマーであって、芳香族基には2個以上の芳香環が存在してもよく、その芳香環は直接結合していても、酸素や硫黄を介して結合していてもよい。また、2価の芳香族基の水素原子は、ハロゲン化物、低級アルキル基、フェニル基で置換されていてもよい。また、アラミドナノファイバー生成時に使用する溶媒としては、非プロトン性極性溶媒が好ましく、具体的には、ジメチルスルホキシド、ジメチルアセトアミド、N-メチル―2-ピロリドンなどが挙げられる。アラミドナノファイバー生成時に使用する強塩基物質としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウムなどが挙げられる。
本発明におけるアラミドナノファイバーの製造は、具体的にパラ型全芳香族ポリアミド(例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド)繊維またはパルプをアルカリ性に調整したジメチルスルホキシド中に浸漬することで製造することができる。
パラ型全芳香族ポリアミド(例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド)は紡糸溶液中で液晶構造のドメインを形成し、キャピラリーより吐出した後、紡糸溶媒を水洗することにより得られる。得られた繊維を前記手法により繊維を構成する液晶ドメイン間の弱い結合をアルカリ条件により切断した後、得られた繊維を相溶性の高い溶媒中に遊離させることで、高弾性かつ高強度の切断された繊維を得ることができる。次いで、得られた切断された繊維を分散溶媒である貧溶媒(水、アルコール、アセトンなど)に投入することでアラミドナノファイバーを単離することが可能である。
なお、直径10~20μmのパラ型全芳香族ポリアミド(例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド)繊維を数mmにカットし、水中で相互にせん断付与するリファイナー処理を行うことで得られるパラ型全芳香族ポリアミド(例えば、ポリ-p-フェニレンテレフタルアミド)パルプを得ることができる。このようなリファイナー処理では、液晶界面のせん断破壊により繊維表面より微細化した繊維は完全に分離せず分岐した状態となり、該該微細化繊維の直径は100~1000nmとなり、原料繊維の中心部の直径は数μmとなる。リファイナー処理されたパルプを上記の処理により、アラミドナノファイバー化させることもできる。
アラミド素材のその他微細化手法としては、上述したような化学処理ではなく、機械的なせん断力を付与する手法も考えられるが、当該手法ではナノオーダーの繊維径を有するフィブリル構造が部分的に得られるにとどまる。従って、フィブリル化していないマイクロオーダーの構造体も含むことになるため、ナノオーダーでの均質な交絡構造が得られずに期待されるような物性が発現しない。本発明においては、部分的なナノ化ではなく、均質にナノ化した繊維による交絡構造の形成が好ましい。
本発明における複合紙構造体は、セルロース繊維を含む紙基材に、パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはパルプを、非プロトン性極性溶媒下に強塩基性物質を添加し、ナノファイバー化して得られる平均繊維径が100nm以下のアラミドナノファイバーを分散させた分散液を塗工等により浸漬させた後、水に浸漬し、乾燥工程を経ることで得られる。例えば、パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはパルプを、非プロトン性極性溶媒下に強塩基性物質を添加し、ナノファイバー化して得られる平均繊維径が100nm以下のアラミドナノファイバーを分散させた分散液をガラス板上に塗布した後、セルロース繊維を含む紙基材を、当該塗布された面に被せ、その上から前記分散液を塗布し、その後、紙基材ごと水などの貧溶媒に浸漬し、乾燥工程を経ることで複合紙構造体を得ることができる。
なお、紙基材作製時にナノファイバーを添加し湿式混合抄紙する方法では、紙基材を構成する汎用繊維とナノファイバーとの水中での親和性を適宜選択・制御する必要が生じる。また、ナノファイバーのような微細な構造体を添加すると物質の比重差による影響や濾水時間の増大により、均一な混合抄紙を得ることが困難である。そのため、紙基材への後加工プロセスとすることが好ましい。
以下、実施例及び比較例により、本発明を詳細に説明するが、本発明の範囲は、以下の実施例及び比較例に制限されるものではない。なお、実施例中の各特性値は下記の方法で測定した。
<厚み>
得られた複合紙を30cm角に切断し、計5か所の厚みを厚み計(ONO-SOKKI製DG-925)で測定し、その平均値を算出した。
<目付>
得られた複合紙を30cm角に切断し、その重量を測定することで目付(g/m)を計算した。
<複合紙構造体中のアラミドナノファイバー重量比率>
複合紙構造体中のアラミドナノファイバー重量比率(WAramid)は以下式にて算出した。
WAramid=(Whp-Wp)/Whp
ここで、
Whp:複合紙構造体目付(g/m
Wp:紙基材目付(g/m
<引張試験>
得られた複合紙を幅10mm、長さ100mmの短冊状に切断し、平板チャックにてサンプル両端を挟んでチャック間距離を50mmとし、試験速度50mm/分、温度20度、相対湿度60%で、引張試験を実施した。引張試験機としては、テンシロン万能材料試験機(RTFシリーズ)を使用し、引張強度、引張弾性率、破断伸度を測定した。
<酸素指数(LOI)測定>
得られた複合紙を縦150mm・横63mmにカットし、JIS L1091に準拠し最小酸素濃度(%)を測定した。測定装置はスガ試験機(型式:ON-2N)を使用した。
<平均繊維径>
走査型電子顕微鏡(日本電子株式会社製、品番:JSM-6330F)を用い、サンプ
ルの構造を観察した。50,000倍の倍率設定で観察した画像から、横1,800nm~2,000nm、縦1,200nm~1,500nmの画像領域を選択し、当該画像領域をさらに縦に4分割、横に4分割して得られる計16箇所のグリッド領域A1-D4を定義し、各グリッド領域内に存在するサンプルを1点選択し、選択したサンプルの繊維径を画像上で計測した平均値を平均繊維径として採用した(図2、図5)。
[実施例1]
<アラミドナノファイバーの作製>
・帝人アラミド社製のトワロン(登録商標)パルプ(品番:タイプ1094):266g
※うち、固形分重量:50g 水分重量:216g
・水酸化カリウム:100g
・ジメチルスルホキシド(DMSO):1,950g
上記材料をそれぞれ2Lのポリ容器内に入れ、70℃に設定した乾燥機内にて3時間加熱した。混合液中の色が黄色から赤褐色に変わり、パルプ状の物質が観察されなくなり、常温下での粘度が混合直後と比較し上昇していることを目視にて確認された時点でアラミドナノファイバーが得られたと簡易的に判断した。尚、上述した組成から得られた液中のアラミドナノファイバー濃度は2.5wt%となる。
<紙基材へのアラミドナノファイバー含浸>
紙基材として、セルロース繊維を含む紙基材である東洋濾紙株式会社製のFilter
paper「ADVANTEC」を使用した。液中のアラミドナノファイバー濃度が計算上1.0wt%となるようジメチルスルホキシドで希釈したアラミドナノファイバー分散液を調製し、ガラス板上に当該分散液を塗布し、ガラス棒で薄く伸ばした。
その上に紙基材を被せ、さらにその上からアラミドナノファイバー分散液を追加塗布し、ガラス棒で紙基材表面に塗工した。目安として、30cm角の紙基材に対して50gの分散液を使用した。その後、ガラス板ごと常温・常圧下の水中に入れ、アラミドナノファイバーを凝固させた。
10分間の水中浸漬を経てから紙を取り出し、厚めの濾紙で軽く水気を切ってから70℃の防爆型乾燥機内で乾燥させ、アラミドナノファイバーが含有した複合紙構造体を得た。
アラミドナノファイバーを含有させることで紙基材の力学物性が向上することが確認された。また、アラミド自体の高い耐炎性が反映された結果、高い酸素指数(LOI)が得られた。
[実施例2]
紙基材に塗布する際のアラミドナノファイバー分散液について、分散液中のアラミドナノファイバー濃度が2.5wt%である液を使用し、それ以外は実施例1と同様の手順にて複合紙構造体を作製し評価した。
アラミドナノファイバーを含有させることで紙基材の力学物性が向上することが確認された。また、アラミドナノファイバーの添加量が多いほど複合紙の力学物性はより向上する傾向であることも合わせて確認された。また、アラミド自体の高い耐炎性が反映された結果、高い酸素指数(LOI)が得られた。
[比較例1]
紙基材そのものを用い、実施例1と同様の手順にて評価した。
[比較例2]
紙基材に塗布する液として、共重合パラアラミドポリマーをN-メチル―2-ピロリドン中に溶解させた溶解液(溶解液中のポリマー濃度:1wt%)を使用し、それ以外は実施例1と同様の手順にて複合紙構造体を作製し評価した。
共重合パラアラミドを紙基材に含有させる方法でも紙基材の力学物性は向上したが、酸素指数(LOI)は20以下であった。共重合パラアラミドポリマーの添加によって、アラミド自体の耐炎性が発揮されると予想されたが、実際は未添加の紙基材と同様、酸素濃度20wt%下で複合紙構造体自体が燃焼した。これは、耐炎性の高いアラミド部分の高次構造が空隙を多く抱えた疎な構造であり、アラミド存在下であっても紙基材を構成する可燃性繊維との接炎が生じたためと考えられる。
[比較例3]
紙基材に塗布する液として、共重合パラアラミドポリマーをN-メチル―2-ピロリドン中に溶解させた溶解液(溶解液中のポリマー濃度:2.5wt%)を使用し、それ以外は実施例1と同様の手順にて複合紙構造体を作製し評価した。
共重合パラアラミドを紙基材に含有させる方法でも紙基材の力学物性は向上したが、酸素指数(LOI)は20以下であった。共重合パラアラミドポリマーの添加によって、アラミド自体の耐炎性が発揮されると予想されたが、実際は未添加の紙基材と同様、酸素濃度20wt%下で複合紙構造体自体が燃焼した。これは、耐炎性の高いアラミド部分の高次構造が空隙を多く抱えた疎な構造であり、アラミド存在下であっても紙基材を構成する可燃性繊維との接炎が生じたためと考えられる。
[比較例4]
紙基材に塗布する液として、実施例1と同様のポリマー構造を有するパラアラミドポリマーをN-メチル―2-ピロリドン中に溶解させた溶解液(溶解液中のポリマー濃度:1wt%)を使用した。本比較例の組成では、パラアラミドポリマー溶解液の安定性が低く、経時で早期にゲル化が進行したため紙基材への塗工による複合紙構造体を作製ができなかった。
本発明の複合紙構造体は、力学物性および耐炎性に優れることから、産業資材分野、電気電子分野、農業資材分野、光学材料分野、航空機・自動車・船舶分野などをはじめとして多くの用途に極めて有効に使用することができる。

Claims (4)

  1. セルロース繊維を含む紙基材と、平均繊維径が100nm以下のパラ型全芳香族ポリアミドからなるアラミドナノファイバー、を含み、
    厚さが100~1000μmであり、かつ、JIS L1091に規定されるLOI値が20~30であり、かつ、幅10mm、長さ100mmであるサンプルを、テンシロン万能材料試験機を用いて、試験速度50mm/分、チャック間距離50mm、温度20度、相対湿度60%の条件下で測定した引張強度が7.0~15.0Mpaであることを特徴とする複合紙構造体。
  2. セルロース繊維が紙基材の全重量に対して50重量%を超えて含まれる請求項1に記載の複合紙構造体。
  3. アラミドナノファイバーが紙基材の全重量に対して0.1~50重量%含まれる請求項1または2に記載の複合紙構造体。
  4. セルロース繊維を含む紙基材に、パラ型全芳香族ポリアミド繊維またはパルプを、非プロトン性極性溶媒下に強塩基性物質を添加し、ナノファイバー化して得られる平均繊維径が100nm以下のアラミドナノファイバーを分散させた分散液を浸漬させた後、水浸漬、乾燥工程を経ることで得られる、請求項1~3のいずれか一つに記載の複合紙構造体の製造方法。
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