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JP7533104B2 - サイドエアバッグ装置及び、これを備えた車両用シート - Google Patents

サイドエアバッグ装置及び、これを備えた車両用シート Download PDF

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JP7533104B2 JP2020172767A JP2020172767A JP7533104B2 JP 7533104 B2 JP7533104 B2 JP 7533104B2 JP 2020172767 A JP2020172767 A JP 2020172767A JP 2020172767 A JP2020172767 A JP 2020172767A JP 7533104 B2 JP7533104 B2 JP 7533104B2
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Description

本発明は、自動車の側面衝突時に乗員と側壁部(ドア)との間に膨張展開するサイドエアバッグに関する。
従来から、側面衝突時に乗員の頭部や胸部などの上体への衝撃を軽減するために、衝突荷重の検知後に瞬時に乗員とドア(側壁部)との間をシートバック側部から前方に膨張展開するサイドエアバッグ装置が用いられてきた。
そして、側面衝突時の衝撃をさらに軽減するために、乗員と側壁部との間にサイドエアバッグをシートバック側部から前方に展開すると同時に、シートバック内に設けた副膨張部が膨張展開することで、シートバック側部が膨らみ、乗員を車室内側で斜め前方に移動させることが提案されている(例えば特許文献1を参照)。
特開2017-119450号公報
特許文献1に記載のサイドエアバッグ装置によれば、側面衝突時に乗員と側壁部との空間を広げることで乗員への衝撃を一定程度軽減できるものの、シートバックを介して乗員を移動させるために移動量としては不十分である。
また、特許文献1に記載のサイドエアバッグ装置のように、乗員の車両内側への移動と、乗員側部の保護とを両立するために複数の袋体(主膨張部、副膨張部)を用いると、エアバッグ装置の大型化に繋がり、シートバック内への搭載性や、シートのデザイン性、さらには乗り心地にまで影響する恐れがある。
そこで、シートバックを介さずにサイドエアバッグの展開圧力により乗員を車両内側に移動させる構成が考えられる。この場合には、乗員の骨格に大きな荷重が作用するため乗員の人体構造を考慮する必要がある。すなわち、胸部、腹部、腰部等で衝撃への耐性が異なる。さらに、骨格構造を考慮すると、骨の断面形状が変化すると耐性も異なるため、骨の断面が細い部位については、他の部位に比べて入力する荷重を小さくする必要がある。言い換えると、荷重は、骨の断面が太い部位に、入力することが好ましい。
本発明は、人体の骨格構造において高耐性部位への入力荷重を含む荷重分配の最適化と、乗員と側壁部との空間確保を両立すると共に、搭載性に優れたコンパクトなサイドエアバッグ装置を提供することを目的とする。
本発明者は、人体の骨格構造の中で肋骨における前側と後側とでの断面形状の変化に着目し、サイドエアバッグによる理想の乗員保護を実現すべく鋭意検討を行った。
肋骨構造における肋骨後側の脊椎周辺については、骨の断面形状が太く衝撃への耐性が高い。一方で、肋骨前側の胸骨周辺については、骨の断面形状が細く衝撃への耐性が低い。そこで、肋骨後側の高耐性部位における荷重分配割合を、肋骨前側の低耐性部位における荷重分配割合に比べて大きくすることで、胸部における荷重分配の最適化が出来ることを見出した。
この最適な荷重分配を実現するサイドエアバッグ装置である第1の発明は、車両用シートのシートバック側部内において車両上下方向に延びるサイドフレームに固定されたインフレータと、前記インフレータから供給される膨張ガスにより膨張展開するエアバッグとからなるサイドエアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、乗員側に面した内側基布と、前記内側基布の車幅方向外側に対向して設けられかつ、その全周縁部が前記内側基布に結合された外側基布と、前記内側基布と前記外側基布との間に設けられた少なくとも1つの規制部材とを有し、前記シートバック側部内から車両前方、且つ、車両上下方向において乗員側部に膨張展開する側部保護領域と、前記乗員の背部と前記シートバックとの間に膨張展開する背部保護領域とを備える。
そして、前記規制部材は、前記内側基布の前部に結合された前側結合部と、前記内側基布の後部に結合された後側結合部とを有し、前記規制部材における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さが、前記内側基布における前記前側結合部から前記後側結合部までの長さよりも短くなるよう、前記内側基布は前記規制部材に対して弛んでおり、且つ、前記エアバッグの展開状態において前記後側結合部が前記サイドフレームの前端部より車両前方に位置すると共に、車両側面視において前記車両用シートに着座した乗員が側面衝突ダミーのAM50である場合のヒップポイントと肩部の中心位置とを結ぶ線分より車両後方に位置し、前記背部保護領域は、前記規制部材によって車両前方への膨張が規制される前記内側基布の一部により構成されるものである。
上記のような第1の発明によれば、エアバッグの膨張展開時に、外側基布は、シートバック側部内から車両前方及び車両上下方向に膨張展開して、乗員の側部を保護する側部保護領域を構成する。これに対し、内側基布には、規制部材が結合している。内側基布は、規制部材に対して弛んでおり、規制部材における前側結合部と後側結合部との車両前後方向長さは、内側基布における前側結合部から後側結合部までの長さよりも短い。このため、内側基布が車両前方へ膨張展開しようとしても、規制部材によって車両前方への膨張展開が規制される。車両前方へ膨張展開する代わりに、内側基布の弛んだ部分が、車幅方向の内方へ膨張展開することにより、背部保護領域を構成する。
こうして、内側基布の一部が背部保護領域として乗員の背部とシートバックとの間に展開する。このことで、乗員の背部とシートバックとの隙間を無くし、側面衝突時において乗員の肋骨後側の高耐性部位に入力される荷重分配割合を大きくすることで、乗員を車両内側に大きく移動させることが出来る。
つまり、乗員の背部に背部保護領域を展開することで、乗員の上体を車両内側へ回転させることができ、乗員の肋骨前側の低耐性部位をドア(側壁部)から遠ざけることができる。側面衝突時に乗員と側壁部との空間が広がって、乗員への衝撃が軽減できる。また、乗員の肋骨前側の低耐性部位に入力される荷重分配割合が小さいため、サイドエアバッグによる理想の荷重分配割合を実現できる。
また、この構成のサイドエアバッグ装置において、背部保護領域は、内側基布の一部を乗員の背部に回り込むよう展開させている。つまり、一つのエアバッグにおける一部分が側部保護領域であり、一部分が背部保護領域である。このため、複数のエアバッグを設ける必要が無く、コンパクトなエアバッグとすることができる。
上記のようなサイドエアバッグ装置において、車両側面視において着座状態にある乗員の上体の傾斜角度と、シートバックの傾斜角度とが異なることに起因して、車両上下方向で、乗員の背部とシートバックとの隙間の大きさはシートバック上方ほど大きくなる。乗員の背部とシートバックとの隙間に応じて適切に背部保護領域を展開すべく、第1の発明の前記規制部材は、車両上下方向に複数、並設され、下側の規制部材における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さは、上側の規制部材における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さより短い。
上記発明によれば、乗員の背部とシートバックとの隙間の大きさに応じて膨張展開を行う背部保護領域の大きさを変えることができる。具体的には、上側の規制部材における前側結合部から後側結合部までの車両前後方向長さは相対的に長いため、上部の背部保護領域は大きくなり、下部の背部保護領域は小さくなる。前述したように、シートバック上方は、乗員の背部とシートバックとの隙間の大きさが大きいが、上部の背部保護領域は、大きな隙間に対応して大きく、下部の保護領域は、小さな隙間に対応して小さくなる。このため、肋骨後側における高耐性部位での荷重分配割合を均一に出来る。
第2の発明は、車両用シートのシートバック側部内において車両上下方向に延びるサイドフレームに固定されたインフレータと、前記インフレータから供給される膨張ガスにより膨張展開するエアバッグとからなるサイドエアバッグ装置であって、
前記エアバッグは、乗員側に面した内側基布と、前記内側基布の車幅方向外側に対向して設けられかつ、その全周縁部が前記内側基布に結合された外側基布と、前記内側基布と前記外側基布との間に設けられた少なくとも1つの規制部材とを有し、前記シートバック側部内から車両前方、且つ、車両上下方向において乗員側部に膨張展開する側部保護領域と、前記乗員の背部と前記シートバックとの間に膨張展開する背部保護領域とを備える。
前記規制部材は、前記内側基布の前部に結合された前側結合部と、前記内側基布の後部に結合された後側結合部とを有し、前記規制部材における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さが、前記内側基布における前記前側結合部から前記後側結合部までの長さよりも短くなるよう、前記内側基布は前記規制部材に対して弛んでおり、且つ、前記エアバッグの展開状態において前記後側結合部が前記サイドフレームの前端部より車両前方に位置すると共に、車両側面視において前記車両用シートに着座した乗員が側面衝突ダミーのAM50である場合のヒップポイントと肩部の中心位置とを結ぶ線分より車両後方に位置し、前記背部保護領域は、前記規制部材によって車両前方への膨張が規制される前記内側基布の一部により構成される。
そして、第2の発明において、前記規制部材は、一つであって、前記前側結合部および前記後側結合部はそれぞれ車両上下方向に延びており、
前記規制部材の下部における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さが、前記規制部材の上部における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さよりも短くなるように、前記前側結合部は、車両前後方向に傾いている。
上記発明によれば、規制部材の前側結合部と後側結合部との距離が上部よりも下部の方が短くなるように、前側結合部を傾斜させているため、規制部材が一つであっても前記と同様に、上部の背部保護領域は大きく、下部の背部保護領域は小さくなる。乗員の着座状態に合わせて肋骨後側における高耐性部位での荷重分配割合を均一に出来る。
上記のようなサイドエアバッグ装置において、乗員の側部領域(胸部、腹部、腰部を含む)を適切に拘束すべく、第1の発明又は第2の発明の前記エアバッグは、乗員胸部を保護する胸部保護領域と、胸部保護領域の下方の腰部保護領域を備え、
前記エアバッグの展開状態において、前記胸部保護領域は、前記腰部保護領域よりも車両前後方向に短い、としてもよい。
上記発明によれば、エアバッグにおける胸部保護領域に腰部保護領域よりも車両後方側に凹んだ凹部を形成することで、胸部保護領域は、車両前方へ展開しても、乗員の肋骨前側までは到達しない。側面衝突時に肋骨前側の低耐性部位に入力される荷重分配割合を小さくできる。
上記のようなサイドエアバッグ装置において、乗員の骨格構造から高耐性部位については、肋骨後側に加えて腰部についても耐性の強い部位であり、胸部及び腰部も含めて理想の荷重分配割合を実現すべく、第1の発明又は第2の発明の前記エアバッグは、前記胸部保護領域の上方の肩部保護領域を備え、前記規制部材は、前記肩部保護領域よりも下方に設ける、としてもよい。
上記発明によれば、肩部保護領域は、規制部材が設けられていないため、車両前方へ大きく展開できる。乗員の肩部の側方を保護できる。一方、肩部保護領域よりも下方においては、規制部材を設けることによって乗員の背部とシートバックとの間に、エアバッグが膨張展開し、肋骨後側及び腰部における荷重分配割合を大きくすることができる。サイドエアバッグによる理想の荷重分配割合を実現できる。
さらには、腰部保護領域の前部が規制部材により、車両内側に曲げられるようになり、乗員側部の腰部外周に沿って腰部保護領域が展開されるため、腰部全体で荷重分配することが出来る。
さらに、ここに開示する車両用シートは、上記のようなエアバッグ装置を備え、前記エアバッグは、膨張展開前の前記シートバック側部内に収納された状態において、前記背部保護領域が前記サイドフレームに対して車幅方向内側に位置し、前記側部保護領域が前記サイドフレームに対して車幅方向外側に位置する車両用シートである。
上記発明によれば、エアバッグの膨張展開時に乗員の背部に展開する背部保護領域をサイドフレームに対して車幅方向内側に配置し、側部保護領域をサイドフレームに対して車幅方向外側に配置することで、膨張展開時に背部保護領域と側部保護領域が干渉しあうことを防止でき、乗員側部及び背部へのエアバッグの展開をスムースに行える。
上記サイドエアバッグ装置によれば、人体の骨格構造において高耐性部位への入力荷重を含む荷重分配の最適化と、乗員と側壁部との空間確保を両立すると共に、搭載性に優れたコンパクトなサイドエアバッグ装置を提供できる。
本発明の実施形態において、シートに着座した乗員の側方にサイドエアバッグが膨張展開した状態を示す側面図。 本発明の実施形態において、インフレータが固定されているシートフレームを示す斜視図。 本発明の実施形態であるエアバッグがシートバック内に収納された状態を示す平面視断面図。 本発明のエアバッグの内側基布と外側基布とを分解して示す平面図。 図1のA-A線における平面視断面図。 図1のB-B線における平面視断面図。 本発明の変形例に係るエアバッグの図4対応図。 本発明の別の変形例に係るエアバッグの図4対応図。
以下、サイドエアバッグ装置、及び、車両用シートの実施形態について、図面を参照しながら説明する。ここで説明するサイドエアバッグ装置、及び、車両用シートは例示である。
図1は、サイドエアバッグ装置1を備えた車両用シート2を示している。車両用シート2は、この実施形態においては、車室内の最前列に設置された一列目シートである。尚、車両用シート2は、一列目シートの後ろに設置された、二列目、又は、三列目シートでもよい。
図3に示すように、車両用シート2の左側方、つまり、車幅方向の外方に、車両の側壁部4が配置されている。側壁部4は、例えばドア、ピラー等である。一列目シートに対応する側壁部は、例えばフロントドア、Bピラー等である。また、二列目シートに対応する側壁部は、例えばリアドア、Cピラー等である。三列目シートに対応する側壁部は、例えばタイヤハウス、リアクォータ等である。ここで例示する車両用シート2は、車室内の左側に設置されたシートである。尚、車両用シート2は、右側に設置されたシートでもよい。
図2及び図3は、車両用シート2を例示している。車両用シート2は、シートクッション21、及び、シートバック22を有している。シートクッション21は、乗員3が着座する部位である。シートバック22は、シートクッション21の後端部において起立している。シートバック22は、乗員3の背部を支える。尚、図示は省略するが、シートバック22の上端部には、ヘッドレストが取り付けられる。
シートバック22は、シートフレーム23とシートパッド24と表皮25とを有している。シートパッド24はシートフレーム23の周囲を覆うように設けられている。表皮25は、シートパッド24を被覆する。尚、図1及び図2は、シートパッド24及び表皮25の図示を省略し、シートフレーム23のみを図示している。
シートフレーム23は、第1サイドフレーム231、第2サイドフレーム232、上フレーム233、及び、下フレーム234を有している。第1サイドフレーム231は、車幅方向の外方に位置し、第2サイドフレーム232は、車幅方向の内方に位置する。第1サイドフレーム231及び第2サイドフレーム232はそれぞれ、上下方向に延びている。
上フレーム233は、第1サイドフレーム231の上端と第2サイドフレーム232の上端とを車幅方向に連結し、下フレーム234は、第1サイドフレーム231の下端と第2サイドフレーム232の下端とを車幅方向に連結している。
シートフレーム23の内、第1サイドフレーム231及び第2サイドフレーム232はそれぞれ、金属板を、横断面略U字状となるように曲げ加工することによって構成されている(図3参照)。
サイドエアバッグ装置1は、第1サイドフレーム231の外側面に取り付けられている。つまり、サイドエアバッグ装置1は、車両用シート2のシートバック22の側部内に設けられている。
サイドエアバッグ装置1は、エアバッグ5と、インフレータ11とを備えている。エアバッグ5は、折りたたまれた状態で、シートバック3の側部内に収納されている。エアバッグ5は、インフレータ11から供給される膨張ガスにより膨張し、シートパッド24及び表皮25を破って、外に展開する。
インフレータ11は、図1~3に例示するように、細長い円筒形状を有しており、第1サイドフレーム231の外側面に対し、第1サイドフレーム231に沿うように取り付けられている。尚、インフレータ11の形式は特に限定はない。サイドエアバッグ装置1は、様々な形式のインフレータ11を採用できる。
図4は、エアバッグ5を例示している。エアバッグ5は、内側基布6と、外側基布7と、規制部材としてのテザー8と、を備えている。内側基布6、外側基布7、及び、テザー8はそれぞれ、非伸縮、又は、ほとんど伸縮しない布によって構成されている。
内側基布6は、車幅方向の内側に位置する。内側基布6は、車両用シート2に着座した乗員3側に面している。外側基布7は、内側基布6に対し車幅方向の外側に対向して設けられる。エアバッグ5は、内側基布6と外側基布7とが、その全周縁部が縫合されることにより袋体に構成されている。図4は、その縫合を解いて、内側基布6と外側基布7とを図における左と右に開いた状態を示している。つまり、図4に示される内側基布6及び外側基布7の面はそれぞれ、袋体のエアバッグ5における内面である。図4の左側に描いた内側基布6の左側は車両前方に、右側は車両後方に対応し、図4の右側に描いた外側基布7の右側は車両前方に、左側は車両後方に対応する。図4の紙面左右方向は、車両前後方向に相当する。
図1及び図4に示すように、エアバッグ5は、その上下方向について、肩部保護領域51、胸部保護領域52、及び、腰部保護領域53に区分できる。肩部保護領域51は、エアバッグ5の上部である。肩部保護領域51は主に、乗員3の肩部を保護する。胸部保護領域52は、肩部保護領域51の下に位置する。胸部保護領域52は、エアバッグ5の中間部である。胸部保護領域52は主に、乗員3の胸部を保護する。腰部保護領域53は、胸部保護領域52の下に位置する。腰部保護領域53は、エアバッグ5の下部である。腰部保護領域53は主に、乗員3の腰部を保護する。
図4に示すように、内側基布6及び外側基布7はそれぞれ、肩部保護領域51及び腰部保護領域53の前後方向の長さが長く、胸部保護領域52の前後方向の長さが、肩部保護領域51及び腰部保護領域53の長さよりも短い。これにより、エアバッグ5は、その展開時に、図1に示すように、胸部保護領域52が、肩部保護領域51及び腰部保護領域53よりも後方に凹んでいる。エアバッグ5は、車両側面視で逆向きの略C字状を成している。
テザー8は、内側基布6と外側基布7との間に設けられている。図4に示すように、テザー8は、上側テザー81と下側テザー82とを含んでいる。上側テザー81と下側テザー82とは、上下方向に並んでいる。
上側テザー81は、上下方向については、おおよそ胸部保護領域52に対応する位置に位置している。上側テザー81は、内側基布6の後端から、前方へ延びている。上側テザー81の前端は、内側基布6における胸部保護領域52の前端付近にまで延びている。尚、図4の構成例において、上側テザー81の前端縁の一部は、後方へ切り欠かれている。
下側テザー82は、上下方向について、おおよそ腰部保護領域53に対応する位置に位置している。下側テザー82は、内側基布6の後端から、前方へ延びている。下側テザー82の前端は、内側基布6における腰部保護領域53の中間部付近にまで延びている。尚、図4の構成例において、下側テザー82の前端縁は、前方に向かって凸状に湾曲している。下側テザー82の前後方向の長さと、上側テザー81の前後方向の長さとは異なる。上側テザー81の方が、下側テザー82よりも長い。
上側テザー81及び下側テザー82はそれぞれ、内側基布6に対して縫合によって結合されている。より詳細に、上側テザー81は、内側基布6に対して、前側結合部83と後側結合部84との二箇所で結合されている。同様に、下側テザー82は、内側基布6に対して、前側結合部85と後側結合部86との二箇所で結合されている。
後側結合部84は、重なり合った内側基布6及び上側テザー81それぞれの後部同士を縫合して構成されている。一方、前側結合部83は、重なり合った内側基布6及び上側テザー81のうち、図4に一点鎖線で示す内側基布6の前端部61を後方にたぐり寄せて(図4の一点鎖線の矢印参照)、当該箇所と上側テザー81の中間部とを縫合して構成されている。
また、後側結合部86は、重なり合った内側基布6及び下側テザー82それぞれの後部同士を縫合して構成されている。一方、前側結合部85は、重なり合った内側基布6及び下側テザー82のうち、図4に一点鎖線で示す内側基布6の中間部62を後方にたぐり寄せて(図4の一点鎖線の矢印参照)、当該箇所と下側テザー82の中間部とを縫合して構成されている。
ここで、上側テザー81における前側結合部83から後側結合部84までの車両前後方向長さL1、及び、下側テザー82における前側結合部85から後側結合部86までの車両前後方向長さL2は、内側基布6における前側結合部83、85から後側結合部84、86までの長さL3よりも短い。尚、長さL3は、内側基布6の布面に沿った長さである。こうした、内側基布6と上側テザー81及び下側テザー82との結合により、詳細な図示は省略するが、内側基布6は、前側結合部83及び85と後側結合部84及び86との間において、弛んだ状態となる。実際の内側基布6は、その前端縁が、図4に例示する位置よりも後ろに位置することになる。
また、下側テザー82における前側結合部85から後側結合部86までの車両前後方向長さL2は、上側テザー81における前側結合部83から後側結合部84までの車両前後方向長さL1よりも短い。
図1は、前記の構成のエアバッグ5が、インフレータ11からの膨張ガスの供給によって膨張展開した状態を示している。図示は省略するが、側壁部4に取り付けられた衝突検知センサが側面衝突を検知すると、その検知信号を受けて図示省略の制御装置が、インフレータ11に作動信号を出力する。これにより、エアバッグ5が膨張展開する。
前記の構成のエアバッグ5は、展開時に、乗員3の側部で展開する側部保護領域54と、乗員の背部で展開する背部保護領域55とを有している。
図5は、図1におけるA-A断面を示している。A-A断面は、乗員3の胸部の高さに相当する。図6は、図1におけるB-B断面を示している。B-B断面は、乗員3の腰部の高さに相当する。
図5及び図6に示すように、側部保護領域54は、おおよそテザー8よりも車幅方向の外側の外側基布7によって形成され、背部保護領域55は、おおよそテザー8よりも車幅方向の内側の内側基布6によって形成される。
つまり、外側基布7は、シートバック22の側部内から車両前方及び車両上下方向に膨張展開する。外側基布7は、乗員3の側部を保護する側部保護領域54を構成する。
これに対し、内側基布6には、上側テザー81及び下側テザー82が縫合によって結合している。上側テザー81及び下側テザー82における、前側結合部83、85と後側結合部84、86との車両前後方向長さL1、L2は、内側基布6における、前側結合部83、85と後側結合部84、86と車両前後方向長さL3よりも短い。このため、内側基布6が車両前方へ膨張展開しようとしても、上側テザー81及び下側テザー82によって車両前方への膨張展開が規制される。
ここで、図1の一点鎖線は、テザー8が結合されていない内側基布6が膨張展開した場合の、内側基布6の前端形状を仮想的に示している。同図から明らかなように、内側基布6は、車両前方への膨張展開が規制されている。
車両前方へ膨張展開する代わりに、内側基布6の内、上側テザー81及び下側テザー82が設けられた高さの部位は、車幅方向の内方へ膨張展開する。つまり、前側結合部83、85及び後側結合部84、86の間において弛んだ内側基布6が、背部保護領域55として乗員3の背部とシートバック22との間に展開する。背部保護領域55は、乗員3の背部とシートバック22との隙間を無くすと共に、図5に白抜きの矢印で示すように、乗員3の肋骨後側に、車幅方向の内方へ向かう荷重を入力する。これによって乗員3は、車幅方向の内方に向かって上体がねじれるように移動し、乗員3と側壁部4との間の空間が広がる。その結果、側面衝突時において乗員3への衝撃を軽減できる。
ここで、図5に模式的に示すように、人体の肋骨構造において、肋骨後側の脊椎周辺の骨は、断面形状が太く衝撃への耐性が高い。これに対し、肋骨前側の胸骨周辺の骨は、断面形状が細く衝撃への耐性が低い。背部保護領域55は、乗員3の背部とシートバック22との間に膨張展開するため、肋骨後側の高耐性部位における荷重分配割合は、肋骨前側の低耐性部位における荷重分配割合に比べて大きくなる。つまり、前記構成のエアバッグ5は、乗員3の胸部における荷重分配を最適化できる。
また、エアバッグ5は、胸部保護領域52の前後方向の長さが、肩部保護領域51及び腰部保護領域53の前後方向の長さに比べて短く、エアバッグ5が展開しても、胸部保護領域52の前端は、後方へ凹んでいる(図1及び図5参照)。この構成によっても、肋骨前側の低耐性部位に荷重が入力されることが抑制される。
図1に示すように、エアバッグ5の展開状態において後側結合部84、86はそれぞれ、第1サイドフレーム231の前端部より車両前方に位置すると共に、車両側面視において車両用シートに着座した乗員3のヒップポイントから肩部の中心位置を結ぶ線分31よりも車両後方に位置している。尚、乗員3は、側面衝突試験用のダミーのAM50である。このダミーは、例えば国際統一側面衝突ダミー(World SID 50th Percentile)であるAM50(米国成人男性の50%をカバーするモデル)である。こうすることで、テザー8は、内側基布6の車両前方への展開を規制することができ、乗員3の背部とシートバック22との間にエアバッグ5を適切に展開させることができる。
また、下側テザー82における前側結合部83と後側結合部84との間の車両前後方向長さL2は、上側テザー81における前側結合部85と後側結合部86との間の車両前後方向長さL1よりも短い。この長さの相違によって、背部保護領域55は、図5に示すように上部の方が大きく膨張し、図6に示すように下部の方が小さく膨張する。
図1に示すように、車両側面視において着座状態にある乗員3の上体の傾斜角度と、シートバック22の傾斜角度とが異なることに起因して、車両上下方向で、乗員3の背部とシートバック22との隙間の大きさはシートバック22上方ほど大きくなる。背部保護領域55は、上部の方が大きく膨張し、下部の方が小さく膨張するから、乗員3の背部とシートバック22との隙間の大きさに対応する大きさで、背部保護領域55は膨張展開する。このため、乗員3の肋骨後側における高耐性部位での荷重分配割合を均一にできる。
また、内側基布6の下部における背部保護領域55が小さいため、その分、内側基布6の下部は、車両前方へ膨張展開できる。一方で、内側基布6と外側基布7とを比較した場合に、内側基布6は、下側テザー82によって、外側基布7よりも車両前方への膨張が規制されている。その結果、図6に示すように、腰部保護領域53において、エアバッグ5の前部が、車幅方向の内方へ曲げられるようになり、乗員側部の腰部外周に沿ってエアバッグ5が展開される。こうして、エアバッグ5は、腰部全体で荷重分配することができる。
また、テザー8は、胸部保護領域52及び腰部保護領域53に設けられ、肩部保護領域51には設けられていない。肩部保護領域51は、車両前方へ大きく展開でき、乗員3の肩部の側方を保護できる。肩部保護領域51よりも下方においては、乗員3の背部とシートバック22との間に、エアバッグ5が膨張展開し、肋骨後側及び腰部における荷重分配割合を大きくすることができる。エアバッグ5による理想の荷重分配割合を実現できる。
展開前のエアバッグ5は、図3に示すように、シートバック22の側部内に折りたたまれて収納されている。このときに、背部保護領域55を構成するエアバッグ5の部分は、第1サイドフレーム231に対して車幅方向内側(つまり、図3における紙面右側)に位置し、側部保護領域54を構成するエアバッグ5の部分は、第1サイドフレーム231に対して車幅方向外側(つまり、図3における紙面左側)に位置している。エアバッグ5の膨張展開時に、背部保護領域55と側部保護領域54が干渉しあわずに、背部保護領域55は、第1サイドフレーム231の車幅方向内側で車幅方向の内方へ展開でき、側部保護領域54は、第1サイドフレーム231の車幅方向外側で車幅方向の外方へ展開できる(図5及び図6参照)。乗員側部及び背部へのエアバッグ5の展開が、それぞれスムースに行われる。
そして、この構成のサイドエアバッグ装置1において、背部保護領域55は、内側基布6の一部を乗員3の背部に回り込むよう展開させている。つまり、一つのエアバッグ5における一部分が側部保護領域54であり、一部分が背部保護領域55である。このため、複数のエアバッグを設ける必要が無く、コンパクトなエアバッグ5とすることができる。サイドエアバッグ装置1の搭載性が向上する。
尚、サイドエアバッグ装置の構成は、前記の構成に限らない。図7は、エアバッグの変形例を示している。このエアバッグ50は、上側テザー81が、第1上側テザー811と、第2上側テザー812とに分かれており、下側テザー82は、第1下側テザー821と、第2下側テザー822とに分かれている。
第1上側テザー811、及び、第2上側テザー812のそれぞれについて、前側結合部831、832と、後側結合部841、842とが設けられている。前側結合部831、832の前後方向の位置は、前述した前側結合部83の位置と同じであり、後側結合部841、842の前後方向の位置は、前述した後側結合部84の位置と同じである。内側基布6の後方へたぐり寄せる箇所611、612も前記と同じである。
同様に、第1下側テザー821、及び、第2下側テザー822のそれぞれについて、前側結合部851、852と、後側結合部861、862とが設けられている。前側結合部851、852の前後方向の位置は、前述した前側結合部85の位置と同じであり、後側結合部861、862の前後方向の位置は、前述した後側結合部86の位置と同じである。内側基布6の後方へたぐり寄せる箇所621、622も前記と同じである。
この構成のエアバッグ50を備えたサイドエアバッグ装置1も、前記と同様に、乗員3の側方に側部保護領域54を展開させることができると共に、乗員3の背部とシートバック22との間に、乗員3の背部とシートバック22との隙間の大きさに対応する大きさで、背部保護領域55を展開させることができる。テザー8の数を増やすことによって、展開時の背部保護領域55の形状を、乗員の背中の形状に沿った形状にできる。このエアバッグ50を備えたサイドエアバッグ装置1は、人体の骨格構造において高耐性部位への入力荷重を含む荷重分配の最適化と、乗員3と側壁部4との空間確保とが両立する。また、サイドエアバッグ装置1はコンパクトであり、搭載性に優れている。
図8は、エアバッグの別の変形例を示している。このエアバッグ500は、上側テザーと下側テザーとが一体化している。つまり、テザー80は一つである。テザー80は、車両前後方向に延びると共に、車両上下方向に広がる。
テザー80には、前側結合部87と、後側結合部88とが設けられている。前側結合部87及び後側結合部88はそれぞれ、上下方向に延びている。後側結合部88は、前述した後側結合部84及び86の位置と同じ位置で、上下方向に垂直に延びている。
これに対し、前側結合部87は、その上端部は、前述した前側結合部83の位置とほぼ同じ位置であるのに対し、その下端部は、前述した前側結合部85の位置とほぼ同じ位置である。つまり、前側結合部87は、前後方向に対して傾いている。尚、図8の一点鎖線は、内側基布6において、後方へ、たぐり寄せる箇所63を例示している。
この構成によって、前側結合部87から後側結合部88までの車両前後方向長さは、上部が長く、下部が短い。
この構成のエアバッグ500を備えたサイドエアバッグ装置1も、前記と同様に、乗員3の側方に側部保護領域54を展開させることができると共に、乗員3の背部とシートバック22との間に、乗員3の背部とシートバック22との隙間の大きさに対応する大きさで、背部保護領域55を展開させることができる。このエアバッグ500を備えたサイドエアバッグ装置1は、人体の骨格構造において高耐性部位への入力荷重を含む荷重分配の最適化と、乗員3と側壁部4との空間確保とが両立する。また、サイドエアバッグ装置1はコンパクトであり、搭載性に優れている。また、エアバッグ500の構造が簡略化する。
1 サイドエアバッグ装置
11 インフレータ
2 車両用シート
22 シートバック
231 第1サイドフレーム
3 乗員
5 エアバッグ
50 エアバッグ
500 エアバッグ
51 肩部保護領域
52 胸部保護領域
53 腰部保護領域
54 側部保護領域
55 背部保護領域
6 内側基布
7 外側基布
8 テザー
80 テザー
81 上側テザー
811 第1上側テザー
812 第2上側テザー
82 下側テザー
821 第1下側テザー
822 第2下側テザー
83 前側結合部
831 前側結合部
832 前側結合部
84 後側結合部
841 後側結合部
842 後側結合部
85 前側結合部
851 前側結合部
852 前側結合部
86 後側結合部
861 後側結合部
862 後側結合部
87 前側結合部
88 後側結合部

Claims (6)

  1. 車両用シートのシートバック側部内において車両上下方向に延びるサイドフレームに固定されたインフレータと、前記インフレータから供給される膨張ガスにより膨張展開するエアバッグとからなるサイドエアバッグ装置であって、
    前記エアバッグは、乗員側に面した内側基布と、前記内側基布の車幅方向外側に対向して設けられかつ、その全周縁部が前記内側基布に結合された外側基布と、前記内側基布と前記外側基布との間に設けられた少なくとも1つの規制部材とを有し、前記シートバック側部内から車両前方、且つ、車両上下方向において乗員側部に膨張展開する側部保護領域と、前記乗員の背部と前記シートバックとの間に膨張展開する背部保護領域とを備え、
    前記規制部材は、前記内側基布の前部に結合された前側結合部と、前記内側基布の後部に結合された後側結合部とを有し、
    前記規制部材における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さが、前記内側基布における前記前側結合部から前記後側結合部までの長さよりも短くなるよう、前記内側基布は前記規制部材に対して弛んでおり、且つ、前記エアバッグの展開状態において前記後側結合部が前記サイドフレームの前端部より車両前方に位置すると共に、車両側面視において前記車両用シートに着座した乗員が側面衝突ダミーのAM50である場合のヒップポイントと肩部の中心位置とを結ぶ線分より車両後方に位置し、
    前記背部保護領域は、前記規制部材によって車両前方への膨張が規制される前記内側基布の一部により構成され、
    前記規制部材は、車両上下方向に複数、並設され、下側の規制部材における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さは、上側の規制部材における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さより短いことを特徴とする、サイドエアバッグ装置。
  2. 車両用シートのシートバック側部内において車両上下方向に延びるサイドフレームに固定されたインフレータと、前記インフレータから供給される膨張ガスにより膨張展開するエアバッグとからなるサイドエアバッグ装置であって、
    前記エアバッグは、乗員側に面した内側基布と、前記内側基布の車幅方向外側に対向して設けられかつ、その全周縁部が前記内側基布に結合された外側基布と、前記内側基布と前記外側基布との間に設けられた少なくとも1つの規制部材とを有し、前記シートバック側部内から車両前方、且つ、車両上下方向において乗員側部に膨張展開する側部保護領域と、前記乗員の背部と前記シートバックとの間に膨張展開する背部保護領域とを備え、
    前記規制部材は、前記内側基布の前部に結合された前側結合部と、前記内側基布の後部に結合された後側結合部とを有し、
    前記規制部材における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さが、前記内側基布における前記前側結合部から前記後側結合部までの長さよりも短くなるよう、前記内側基布は前記規制部材に対して弛んでおり、且つ、前記エアバッグの展開状態において前記後側結合部が前記サイドフレームの前端部より車両前方に位置すると共に、車両側面視において前記車両用シートに着座した乗員が側面衝突ダミーのAM50である場合のヒップポイントと肩部の中心位置とを結ぶ線分より車両後方に位置し、
    前記背部保護領域は、前記規制部材によって車両前方への膨張が規制される前記内側基布の一部により構成され、
    前記規制部材は、一つであって、前記前側結合部および前記後側結合部はそれぞれ車両上下方向に延びており、
    前記規制部材の下部における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さが、前記規制部材の上部における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さよりも短くなるように、前記前側結合部は、車両前後方向に傾いていることを特徴とする、サイドエアバッグ装置。
  3. 前記エアバッグは、乗員胸部を保護する胸部保護領域と、胸部保護領域の下方の腰部保護領域を備え、
    前記エアバッグの展開状態において、前記胸部保護領域は、前記腰部保護領域よりも車両前後方向に短いことを特徴とする、請求項1又は2に記載のサイドエアバッグ装置。
  4. 前記エアバッグは、前記胸部保護領域の上方の肩部保護領域を備え、
    前記規制部材は、前記肩部保護領域よりも下方に設けることを特徴とする、請求項に記載のサイドエアバッグ装置。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項に記載のエアバッグ装置を備えた車両用シートであって、
    前記エアバッグは、膨張展開前の前記シートバック側部内に収納された状態において、前記背部保護領域が前記サイドフレームに対して車幅方向内側に位置し、前記側部保護領域が前記サイドフレームに対して車幅方向外側に位置することを特徴とする車両用シート。
  6. 車両用シートのシートバック側部内において車両上下方向に延びるサイドフレームに固定されたインフレータと、前記インフレータから供給される膨張ガスにより膨張展開するエアバッグとからなるサイドエアバッグ装置を備えた車両用シートであって、
    前記エアバッグは、乗員側に面した内側基布と、前記内側基布の車幅方向外側に対向して設けられかつ、その全周縁部が前記内側基布に結合された外側基布と、前記内側基布と前記外側基布との間に設けられた少なくとも1つの規制部材とを有し、前記シートバック側部内から車両前方、且つ、車両上下方向において乗員側部に膨張展開する側部保護領域と、前記乗員の背部と前記シートバックとの間に膨張展開する背部保護領域とを備え、
    前記規制部材は、前記内側基布の前部に結合された前側結合部と、前記内側基布の後部に結合された後側結合部とを有し
    前記規制部材における前記前側結合部から前記後側結合部までの車両前後方向長さが、前記内側基布における前記前側結合部から前記後側結合部までの長さよりも短くなるよう、前記内側基布は前記規制部材に対して弛んでおり、且つ、前記エアバッグの展開状態において前記後側結合部が前記サイドフレームの前端部より車両前方に位置すると共に、車両側面視において前記車両用シートに着座した乗員が側面衝突ダミーのAM50である場合のヒップポイントと肩部の中心位置とを結ぶ線分より車両後方に位置し、
    前記背部保護領域は、前記規制部材によって車両前方への膨張が規制される前記内側基布の一部により構成され、
    前記エアバッグは、膨張展開前の前記シートバック側部内に収納された状態において、前記背部保護領域が前記サイドフレームに対して車幅方向内側に位置し、前記側部保護領域が前記サイドフレームに対して車幅方向外側に位置することを特徴とする車両用シート。
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