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JP7531128B2 - 電解コンデンサ - Google Patents

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JP7531128B2 JP2022559025A JP2022559025A JP7531128B2 JP 7531128 B2 JP7531128 B2 JP 7531128B2 JP 2022559025 A JP2022559025 A JP 2022559025A JP 2022559025 A JP2022559025 A JP 2022559025A JP 7531128 B2 JP7531128 B2 JP 7531128B2
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Description

本発明は、電解コンデンサに関する。
近年、等価直列抵抗(ESR)が小さく、周波数特性に優れている固体電解コンデンサの開発が進められている。固体電解コンデンサは、多孔質の陽極体と、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを具備する。
陽極体として、金属粒子の成形体の焼結体が用いられる。成形体は、通常、陽極ワイヤを金型の所定位置に配置し、当該金型に金属粒子を投入し、加圧成形することにより製造される。
特許文献1には、溝付き陽極及び該溝付き陽極から延在する陽極ワイヤと、前記溝付き陽極の上の誘電体と、前記誘電体の上のコンフォーマルな陰極と、前記炭素層の上のめっき金属層と、を備えるコンデンサーが記載されている。
特表2016-507166号公報
特許文献1に記載される溝付き陽極を用いるとESRの低減に有利であるが、溝付き陽極を製造するためには、複雑な金型と機構を有する製造装置が必要であり、製造コストが大きく増大する。
本開示は、製造コストの増大を抑制しつつ、ESRの低い電解コンデンサを提供することを目的の一つとする。
本開示の一側面は、多孔質の陽極体と、前記陽極体に一部が埋設された陽極ワイヤと、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を含むコンデンサ素子を備え、前記陽極体は、第1金属で形成され、前記陽極ワイヤは、前記第1金属とは組成が異なる第2金属で形成され、前記第2金属の導電率S2は、前記第1金属の導電率S1よりも大きい、電解コンデンサに関する。
本開示の別の一側面は、多孔質の陽極体と、前記陽極体に一部が埋設された陽極ワイヤと、前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、を含むコンデンサ素子を備え、前記陽極体は、第1金属で形成され、前記陽極ワイヤは、芯部と、前記芯部の表面の少なくとも一部を覆う表層部と、を有し、前記芯部は、前記第1金属とは組成が異なる第2金属で形成され、前記表層部は、前記第2金属とは組成が異なる第3金属で形成され、前記第3金属は、前記第1金属と共通の構成元素を含むか、または前記第1金属の構成元素と全率固溶型合金を形成可能な構成元素を含む、電解コンデンサに関する。
本開示によれば、製造コストの増大を抑制しつつ、ESRの低い電解コンデンサを提供することができる。
本発明の新規な特徴を添付の請求の範囲に記述するが、本発明は、構成および内容の両方に関し、本願の他の目的および特徴と併せ、図面を照合した以下の詳細な説明によりさらによく理解されるであろう。
本発明の実施形態1および実施形態2に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。 本発明の実施形態1に係る陽極体の一例を模式的に示す斜視図である。 本発明の実施形態1に係る陽極体の正面図である。 図3の陽極体のIV-IV線における断面図である。 本発明の実施形態2に係る陽極体の正面図である。 図5の陽極体のVI-VI線における断面図である。 陽極ワイヤの一例の長手方向に垂直な断面図である。
以下では、本開示の実施形態について例を挙げて説明するが、本開示は以下で説明する例に限定されない。以下の説明では、具体的な数値や材料を例示する場合があるが、本開示の効果が得られる限り、他の数値や材料を適用してもよい。なお、本開示に特徴的な部分以外の構成要素には、公知の電解コンデンサの構成要素を適用してもよい。この明細書において、「数値A~数値Bの範囲」という場合、当該範囲には数値Aおよび数値Bが含まれる。
《実施形態1》
本開示の実施形態1について説明する。
[電解コンデンサ]
本開示の実施形態1に係る電解コンデンサは、多孔質の陽極体と、陽極体に一部が埋設された陽極ワイヤと、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを含むコンデンサ素子を備える。電解コンデンサは、コンデンサ素子に電気的に接続された陽極リード端子および陰極リード端子と、コンデンサ素子の周囲に配置された外装樹脂とを含んでもよい。コンデンサ素子は、陽極部と陰極部とに区分される。陽極体と陽極ワイヤは、陽極部を構成する。陽極リード端子は、陽極ワイヤと接続される。固体電解質層は、陰極部を構成する。陰極部は、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極層を含んでもよい。陰極部の構成に特に限定はなく、公知の陰極部またはそれと同様の構成を有する陰極部であってもよい。陰極リード端子は、導電性部材を介して陰極部と接続される。コンデンサ素子の形状、サイズなどに特に限定はなく、公知のコンデンサ素子またはそれと同様の構成を有するコンデンサ素子であってもよい。
(陽極体)
多孔質の陽極体は、粒子の成形体の焼結体であり、金属で形成されている。陽極体は、材料となる粒子を形成し、成形体を焼結することにより形成される。材料粒子の例には、金属の粒子、合金の粒子、金属化合物の粒子などが含まれる。これらの粒子は、1種のみを用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
本実施形態においては、陽極体(すなわち焼結体)を形成する金属を第1金属と定義し、第1金属の導電率を導電率S1とする。第1金属は、単一の金属元素からなる場合と、2種以上の構成元素からなる場合とがある。第1金属で形成されている陽極体は、第1金属以外の成分を含み得るが、陽極体の例えば90質量%以上、更には95質量%以上が第1金属で形成されている。
第1金属としては、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)、タンタル(Ta)、ニオブ(Nb)、ジルコニウム(Zr)、ハフニウム(Hf)などの弁作用金属が用いられる。中でも、第1金属としてTaおよびNbの少なくとも一方を用いることが望ましく、少なくともTaを用いることがより望ましい。陽極体の50質量%以上がTaであってもよく、陽極体の70質量%以上、更には80質量%以上がTaであってもよく、不純物以外はTaであってもよい。第1金属は、TaおよびNbの合金であってもよい。
陽極体は、以下の方法によって作製してもよい。まず、陽極体の材料となる粒子の中に、陽極ワイヤの一部を埋め込み、当該粒子を柱状もしくは直方体の形状に加圧成形する。その後、得られた成形体を焼結することによって、陽極ワイヤの一部が埋設された陽極体を形成する。
(陽極ワイヤ)
陽極ワイヤは、金属で形成されている。陽極ワイヤの一部は陽極体に埋設され、残部は陽極体から突き出している。陽極ワイヤは、棒状の形状を有する。陽極体から突き出している陽極ワイヤの先端は、他の部分とは異なる断面形状を有してもよい。
本実施形態においては、陽極ワイヤを形成する金属を第2金属と定義し、第2金属の導電率を導電率S2とする。第2金属は、第1金属と組成が異なる。第2金属は、単一の金属元素からなる場合と、2種以上の構成元素からなる場合とがある。第2金属で形成されている陽極ワイヤは、第2金属以外の成分を含み得るが、陽極ワイヤの例えば90質量%以上、更には95質量%以上が第2金属で形成されている。
ここで、「組成が異なる」とは、第1金属の構成元素と含有割合、第2金属の構成元素と含有割合が一致しないことをいう。つまり、「組成が異なる」場合には、第1金属の構成元素と第2金属の構成元素とが一致(ここでは重複ではなく、完全一致を意味する。)しない場合と、第1金属の構成元素と第2金属の構成元素とは一致するが、当該構成元素の第1金属における含有量と第2金属における含有量とが異なる場合とがある。
陽極ワイヤを形成する第2金属の導電率S2は、陽極体を形成する第1金属の導電率S1よりも大きくされている(S2>S1)。S2>S1とすることで、電解コンデンサのESRが顕著に低減する。また、S2>S1とすることで、陽極ワイヤの材料コストを抑制したり、加工(切断、圧縮など)の負荷を低減したりすることが可能となる。よって、電解コンデンサの生産性が向上する。すなわち、S2>S1とすることで、電解コンデンサの製造コストの増大を抑制しつつ、ESRの低い電解コンデンサを提供することができるようになる。
陽極ワイヤを太くすることでもESRを低減することは可能である。しかし、陽極ワイヤを太くすると、材料コストが高くなることに加え、陽極ワイヤの加工の負荷がより大きくなり、電解コンデンサの生産性が低下する。
また、陽極ワイヤの陽極体に埋設されている部分の長さLwを長くすることでもESRを低減することは可能である。しかし、その場合、陽極ワイヤをより長く形成する必要があるため、材料コストが高くなる。
導電率S2と導電率S1との比:S2/S1は、例えば1.5以上であってもよく、2.0以上であってもよく、2.4以上であってもよい。S2/S1が大きいほど、電解コンデンサのESRを低減することが容易になる。また、陽極ワイヤをより細くしたり、より短くしたりして、電解コンデンサの生産性を向上させることも容易になる。
第2金属としては、上記弁作用金属や、タングステン(W)、モリブデン(Mo)などが用いられる。中でも、第2金属としてWおよびMoの少なくとも一方を用いることが望ましく、少なくともWを用いることがより望ましい。陽極ワイヤの50質量%以上がWであってもよく、陽極ワイヤの70質量%以上、更には80質量%以上がWであってもよく、不純物以外はWであってもよい。Wは価格が安価であり、かつ導電率が高く細いワイヤであっても低ESRを実現できるため、加工の負荷も小さくできる。第2金属は、WおよびMoの合金であってもよい。
好ましい一態様として、第1金属が少なくともTaを含み、第2金属が少なくともWを含む場合が挙げられる。WはTaの2倍以上の導電率を有する。Taを含む陽極体にWを含む陽極ワイヤを組み合わせることで、ESRが顕著に低減される。また、Wを含む陽極ワイヤは電解コンデンサの高容量化にも寄与する。好ましい一態様として、陽極体の90質量%以上がTaで形成され、陽極ワイヤの90質量%以上がWで形成されている陽極部が挙げられる。WはTaよりも大幅に安価であり、かつTaよりも加工の負荷を低減しやすい。
第1金属の構成元素と、第2金属の構成元素とが、全率固溶型合金を形成可能であってもよい。この場合、陽極体と陽極ワイヤとの結合が強固になりやすい。陽極体と陽極ワイヤとの結合が強固であるほどESRの低減に有利である。固溶体は、陽極体の製造プロセスにおいて粒子の成形体を焼結する際に形成される。
第2金属の融点は1500℃以上であってもよい。これにより、陽極ワイヤの熱による変形を抑制することができる。陽極体の製造プロセスにおいて粒子の成形体を焼結する温度は、例えば1450℃以下である。
(誘電体層)
陽極体の表面に形成される誘電体層に特に限定はなく、公知の方法で形成してもよい。例えば、誘電体層は、陽極体に化成処理を施し、陽極体の表面に酸化被膜を成長させることにより形成される。化成処理は、化成液中に陽極体を浸漬して陽極体の表面を陽極酸化することによって施してもよい。あるいは、酸素を含む雰囲気下で陽極体を加熱して陽極体の表面を酸化してもよい。
(電解質層)
電解質層に特に限定はなく、公知の固体電解コンデンサに用いられている電解質層を適用してもよい。なお、この明細書において、電解質層を固体電解質層に読み替えてもよく、電解コンデンサを固体電解コンデンサに読み替えてもよい。電解質層は、2層以上の異なる電解質層の積層体であってもよい。
電解質層は、誘電体層の少なくとも一部を覆うように配置される。電解質層は、マンガン化合物や導電性高分子を用いて形成してもよい。導電性高分子はπ共役系高分子であってもよく、導電性高分子の例には、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン、およびこれらの誘導体などが含まれる。これらは、単独で用いてもよいし、複数種を組み合わせて用いてもよい。また、導電性高分子は、2種以上のモノマーの共重合体でもよい。なお、導電性高分子の誘導体とは、導電性高分子を基本骨格とする高分子を意味する。例えば、ポリチオフェンの誘導体の例には、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)などが含まれる。
導電性高分子にはドーパントが添加されていることが好ましい。ドーパントは、導電性高分子に応じて選択でき、公知のドーパントを用いてもよい。ドーパントの例には、ナフタレンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、ポリスチレンスルホン酸、およびこれらの塩などが含まれる。一例の電解質層は、ポリスチレンスルホン酸(PSS)がドープされたポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)を用いて形成される。
導電性高分子を含む電解質層は、誘電体層にモノマーやオリゴマーを含浸させ、その後、化学重合や電解重合によりモノマーやオリゴマーを重合させる方法、あるいは、誘電体層が形成された陽極体に、導電性高分子(および必要に応じてドーパント)の溶液または分散液を含浸し、乾燥させることにより、誘電体層の少なくとも一部に形成される。
(陰極層)
陰極層は、電解質層上に形成された導電層であってもよく、例えば、電解質層を覆うように形成された導電層であってもよい。陰極層は、電解質層上に形成されたカーボン層と、カーボン層上に形成された金属ペースト層とを含んでもよい。カーボン層は、黒鉛等の導電性炭素材料と樹脂とによって形成されてもよい。金属ペースト層は、金属粒子(例えば銀粒子)と樹脂とによって形成されてもよく、例えば公知の銀ペーストによって形成されてもよい。
(導電性部材)
陰極層は、導電性部材によって陰極リード端子の接続部に接続される。すなわち、陰極層(陰極部)は、陰極リード端子に電気的に接続される。導電性部材は、導電性を有する材料で構成される。導電性部材は、金属粒子(例えば銀粒子)と樹脂とを含む材料を用いて形成されてもよく、例えば公知の金属ペースト(例えば銀ペースト)を用いて形成されてもよい。金属ペーストを加熱することによって導電性部材が形成される。なお、導電性部材は、種類が異なる複数の導電層で構成されてもよい。
(外装樹脂)
外装樹脂は、電解コンデンサの表面にコンデンサ素子が露出しないように、コンデンサ素子の周囲に配置される。さらに、外装樹脂は、陽極リード端子と陰極リード端子とを絶縁する。外装樹脂には、電解コンデンサに用いられる公知の外装樹脂を適用してもよい。例えば、外装樹脂は、コンデンサ素子の封止に用いられる絶縁性の樹脂材料を用いて形成してもよい。外装樹脂は、コンデンサ素子を金型に収容し、トランスファー成型法、圧縮成型法等により未硬化の熱硬化性樹脂およびフィラーを金型に導入して硬化させることにより形成してもよい。
外装樹脂の例には、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、および不飽和ポリエステルなどが含まれる。外装樹脂は、樹脂以外の物質(無機フィラーなど)を含んでもよい。
(陰極リード端子)
陰極リード端子の一部は、外装樹脂から露出し、陰極外部端子として使用される。陰極リード端子の材料は、電解コンデンサの陰極リード端子の材料として使用できるものであればよい。例えば、電解コンデンサに用いられている公知の陰極リード端子の材料を用いてもよい。陰極リード端子は、金属(銅、銅合金など)からなる金属シート(金属板および金属箔を含む)を、公知の金属加工法で加工することによって形成してもよい。
(陽極リード端子)
陽極リード端子の一部は、外装樹脂から露出し、陽極外部端子として使用される。陽極リード端子の材料は、電解コンデンサの陽極リード端子の材料として使用できるものであればよい。例えば、電解コンデンサに用いられている公知の陽極リード端子の材料を用いてもよい。陽極リード端子は、金属(銅、銅合金など)からなる金属シート(金属板および金属箔を含む)を、公知の金属加工法で加工することによって形成してもよい。
図1は、本実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係る陽極体の一例を示す模式的な斜視図である。図3は、本実施形態に係る陽極体の正面図であり、図4は図3の陽極体のIV-IV線における断面図である。
電解コンデンサ20は、陽極部6および陰極部7を有するコンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を封止する外装樹脂11と、陽極部6と電気的に接続し、かつ、外装樹脂11から一部が露出する陽極リード端子13と、陰極部7と電気的に接続し、かつ、外装樹脂11から一部が露出する陰極リード端子14とを備えている。陽極部6は、陽極体1と陽極ワイヤ2とを有する。陽極リード端子13は、陽極ワイヤ2に接合される。外装樹脂11の内部に配置される陰極リード端子14の接合部14aは、導電性部材8を介して、陰極層5に接合されている。
陽極体の表面には誘電体層3が形成されている。陰極部7は、誘電体層3の少なくとも一部を覆う固体電解質層4と、固体電解質層4の表面を覆う陰極層5とを有する。陰極層5は、固体電解質層4を覆うように形成されたカーボン層5aと、カーボン層5aの表面に形成された金属ペースト層5bとを有している。カーボン層5aは、黒鉛等の導電性炭素材料と樹脂を含む。金属ペースト層5bは、例えば、金属粒子(例えば、銀)と樹脂とを含む。なお、陰極層5の構成は、この構成に限定されない。陰極層5の構成は、集電機能を有する構成であればよい。
陽極体1は、略直方体の形状を有し、6つの主面101A~101Fが露出している。なお、101D~101Fは、紙面から隠れた位置にあるため、図示されていない。陽極体1の主面101Bからは、陽極ワイヤ2の一部が延出している。陽極ワイヤ2は、陽極体1の一面から陽極体1の内部へ埋設された第一部分2aと、陽極体1の上記一面から延出した第二部分2bとを有する。第二部分2bは、溶接等により、陽極リード端子13と接合される。溶接の方法は特に限定されず、抵抗溶接、レーザー溶接等が挙げられる。
主面101A~101Fにおいて、隣接する2つの主面同士が交差する辺の近傍には、辺部分の角を取ることにより、接続面が形成されている。図2の例では、主面101Aと101Bとの間に接続面102Cが介在し、主面101Bと101Cとの間に接続面102Aが介在し、主面101Aと101Cとの間に接続面102Bが介在している。また、3つの主面が交わる頂点の近傍には、頂点部分の角を取ることにより、第2の接続面が形成されている。図2の例では、主面101A~101Cが交わる頂点部分に、第2の接続面103Aを有する。第2の接続面103Aは、接続面102A~102C同士を相互に接続している。接続面102A~102Cおよび第2の接続面103Aは、丸みを帯びた曲面に加工されている。接続面102A~102Cおよび第2の接続面103Aは、曲面であってもよく、一または複数の平面で(例えば、角部分が面取りされて)構成されていてもよい。
このように、尖った部分が除去された形状を陽極体1が有していることにより、陽極体1の表面に欠陥の少ない誘電体層を形成することができる。結果、漏れ電流を低減できる。また、陽極体の機械的強度が高められ、熱応力の集中が緩和される。結果、誘電体層の損傷が抑制され、誘電体層の損傷による漏れ電流の増加が抑制され、漏れ電流を小さく維持できる。
陽極ワイヤ2の直径Dwは、例えば、0.3mm以上、1.0mm以下であってもよい。ESRを低減する観点からは、陽極ワイヤ2の直径Dwが大きいほど望ましい。しかし、既述のように、直径Dwが大きいほど電解コンデンサの製造コストが増加し、また加工性が低下する傾向がある。陽極ワイヤ2の直径Dwが1.0mm以下の場合、陽極ワイヤ2の加工の負荷と材料コストの増大を抑制できるため、製造コストの増大を抑制することができる。一方、陽極ワイヤ2の直径Dwを0.3mm以上とする場合、十分に低いESRを実現するとともに、十分な機械的強度を確保することが可能である。陽極ワイヤ2の直径Dwは、0.4mm以上、0.8mm以下であってもよく、0.4mm以上、0.6mm以下であってもよい。
ここで、直径Dwは、陽極ワイヤ2の陽極体1に埋設されている部分2aの断面積と同じ面積を有する相当円の直径として求めればよい。陽極ワイヤ2の断面は、陽極ワイヤ2の長手方向に垂直な断面である。相当円は、陽極ワイヤ2の陽極体1に埋設されている部分2aの任意の3箇所で測定し、平均化すればよい。陽極ワイヤ2の断面形状は特に限定されず、円形の他、トラック形(互いに平行な直線とこれら直線の端部同士を繋ぐ2本の曲線とからなる形状)、楕円形、矩形、多角形等であってもよい。
陽極ワイヤ2の陽極体1に埋設されている部分2aの長さLwは、陽極ワイヤ2の長手方向に沿った陽極体1の長さLaの10%以上、80%以下であってもよい。ESRを低減する観点からは、長さLwの長さLaに対する割合が大きいほど望ましい。しかし、当該割合が大きいほど電解コンデンサの製造コストが増加する傾向がある。長さLwの長さLaに対する割合を80%以下とすることで、材料コストの増大を抑制できるため、製造コストの増大を抑制することができる。一方、長さLwの長さLaに対する割合を10%以上とする場合、十分に低いESRを実現することが可能である。長さLwの長さLaに対する割合は、20%以上、70%以下であってもよく、20%以上、50%以下であってもよい。
《実施形態2》
本開示の実施形態2について説明する。
[電解コンデンサ]
本開示の実施形態2に係る電解コンデンサは、多孔質の陽極体と、陽極体に一部が埋設された陽極ワイヤと、陽極体の表面に形成された誘電体層と、誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層とを含むコンデンサ素子を備える。電解コンデンサは、コンデンサ素子に電気的に接続された陽極リード端子および陰極リード端子と、コンデンサ素子の周囲に配置された外装樹脂とを含んでもよい。コンデンサ素子は、陽極部と陰極部とに区分される。陽極体と陽極ワイヤは、陽極部を構成する。陽極リード端子は、陽極ワイヤと接続される。固体電解質層は、陰極部を構成する。陰極部は、固体電解質層の少なくとも一部を覆う陰極層を含んでもよい。陰極部の構成に特に限定はなく、公知の陰極部またはそれと同様の構成を有する陰極部であってもよい。陰極リード端子は、導電性部材を介して陰極部と接続される。コンデンサ素子の形状、サイズなどに特に限定はなく、公知のコンデンサ素子またはそれと同様の構成を有するコンデンサ素子であってもよい。
(陽極体)
陽極体は、上記実施形態1と同様の陽極体であってもよい。
(陽極ワイヤ)
陽極ワイヤは、金属で形成されている。陽極ワイヤの一部は陽極体に埋設され、残部は陽極体から突き出している。陽極ワイヤは、棒状の形状を有する。陽極体から突き出している陽極ワイヤの先端は、他の部分とは異なる断面形状を有してもよい。
陽極ワイヤは、芯部と、芯部の表面の少なくとも一部を覆う表層部とを有する。本実施形態においては、陽極ワイヤの芯部を形成する金属を第2金属と定義し、第2金属の導電率を導電率S2とする。また、陽極ワイヤの表層部を形成する金属を第3金属と定義し、第3金属の導電率を導電率S3とする。すなわち芯部は、第2金属で形成され、表層部は、第3金属で形成されている。
第2金属は、第1金属と組成が異なる。第2金属は、単一の金属元素からなる場合と、2種以上の構成元素からなる場合とがある。第2金属で形成されている芯部は、第2金属以外の成分を含み得るが、芯部の例えば90質量%以上、更には95質量%以上が第2金属で形成されている。
第3金属は、第2金属と組成が異なる。第3金属は、単一の金属元素からなる場合と、2種以上の構成元素からなる場合とがある。第3金属で形成されている表層部は、第3金属以外の成分を含み得るが、表層部の例えば90質量%以上、更には95質量%以上が第3金属で形成されている。
表層部を形成する第3金属は、陽極体を形成する第1金属と共通の構成元素を含むか、または第1金属の構成元素と全率固溶型合金を形成可能な構成元素を含む。第1金属と共通する第3金属の構成元素、および第1金属と全率固溶型合金を形成可能な第3金属の構成元素は、弁作用金属元素であってよい。すなわち、陽極ワイヤの陽極体と接触する部分は、陽極体と同じ構成元素を含むか、陽極体と全率固溶型合金を形成可能である。そのため、第1金属と第2金属の組成が異なる場合でも、陽極体と陽極ワイヤとの結合力が高められる。その結果、陽極体と陽極ワイヤとの境界における接続信頼性が高められて漏れ電流の発生が低減されるとともに、電解コンデンサのESRが低減される。なお、第3金属の組成は、第1金属の組成と同じでもよい。全率固溶型合金が形成可能な元素とは、任意の比率で固溶体を形成できる元素を言う。全率固溶型合金が形成可能な弁作用金属元素の組合せは、例えば、ニオブとタンタルである。第3金属が弁作用金属元素を含むことにより、陽極ワイヤ表面における漏れ電流が更に抑制される。
ここでは、表層部とは、陽極ワイヤの陽極体と接触する部分に拡散結合により形成される部分的な組織を指すものではない。陽極体は多孔質であり、粒子の成形体の焼結体であるから、陽極ワイヤの陽極体と接触する部分はランダムに決定される。よって、表層部は、芯部のできるだけ多くの部分を覆っていることが望ましい。表層部は、芯部の表面の90%以上の面積を覆うように形成されていてもよい。この場合、陽極ワイヤの任意の部分は陽極体と接触しないが、陽極体と接触していない部分にも表層部が設けられている。
表層部の厚みは、例えば0.01μm以上、850μm以下であってもよく、0.1μm以上、550μm以下であってもよい。この場合、陽極体と陽極ワイヤとのより高い結合力が達成される。その結果、電解コンデンサの漏れ電流およびESRがより顕著に低減される。表層部の厚みは、陽極ワイヤの長手方向に垂直な3箇所の断面において、それぞれ任意の3箇所で測定し、合計9個の測定値の平均値として求めればよい。また、陽極ワイヤに占める表層部と芯部のそれぞれの材料の体積比(すなわち、陽極ワイヤの断面積に占めるそれぞれの材料の面積比)から表層部の厚みを算出してもよい。
ここで、「第1金属と第2金属の組成が異なる」とは、第1金属の構成元素と含有割合および第2金属の構成元素と含有割合が一致しないことをいう。つまり、「組成が異なる」場合には、第1金属の構成元素と第2金属の構成元素とが一致(ここでは重複ではなく、完全一致を意味する。)しない場合と、第1金属の構成元素と第2金属の構成元素とは一致するが、当該構成元素の第1金属における含有量と第2金属における含有量とが異なる場合とがある。
同様に、「第2金属と第3金属の組成が異なる」とは、第2金属の構成元素と含有割合および第3金属の構成元素と含有割合が一致しないことをいう。つまり、「組成が異なる」場合には、第2金属の構成元素と第3金属の構成元素とが一致(ここでは重複ではなく、完全一致を意味する。)しない場合と、第2金属の構成元素と第3金属の構成元素とは一致するが、当該構成元素の第2金属における含有量と第3金属における含有量とが異なる場合とがある。
陽極ワイヤの芯部を形成する第2金属の導電率S2は、陽極体を形成する第1金属の導電率S1よりも大きくてもよい(S2>S1)。S2>S1とすることで、電解コンデンサのESRが顕著に低減する。また、S2>S1とすることで、陽極ワイヤの材料コストを抑制したり、加工(切断、圧縮など)の負荷を低減したりすることが可能となる。よって、電解コンデンサの生産性が向上する。すなわち、S2>S1とすることで、電解コンデンサの製造コストの増大を抑制しつつ、ESRの低い電解コンデンサを提供することができるようになる。
陽極ワイヤを太くすることでもESRを低減することは可能である。しかし、陽極ワイヤを太くすると、材料コストが高くなることに加え、陽極ワイヤの加工の負荷がより大きくなり、電解コンデンサの生産性が低下する。
また、陽極ワイヤの陽極体に埋設されている部分の長さLwを長くすることでもESRを低減することは可能である。しかし、その場合、陽極ワイヤをより長く形成する必要があるため、材料コストが高くなる。
導電率S2と導電率S1との比:S2/S1は、例えば1.5以上であってもよく、2.0以上であってもよく、2.4以上であってもよい。S2/S1が大きいほど、電解コンデンサのESRを低減することが容易になる。また、陽極ワイヤをより細くしたり、より短くしたりして、電解コンデンサの生産性を向上させることも容易になる。
第2金属としては、幅広い種類の金属を使用可能であり、例えば、上記弁作用金属や、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銅(Cu)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)などが用いられる。中でも、第2金属としてWおよびMoの少なくとも一方を用いることが望ましく、少なくともWを用いることがより望ましい。陽極ワイヤの芯部の50質量%以上がWであってもよく、陽極ワイヤの芯部の70質量%以上、更には80質量%以上がWであってもよく、不純物以外はWであってもよい。Wは価格が安価であり、かつ導電率が高く細いワイヤであっても低ESRを実現できるため、加工の負荷も小さくできる。第2金属は、WおよびMoの合金であってもよい。
好ましい一態様として、第1金属が少なくともTaを含み、第2金属が少なくともWを含む場合が挙げられる。WはTaの2倍以上の導電率を有する。Taを含む陽極体にWを含む陽極ワイヤを組み合わせることで、ESRが顕著に低減される。また、Wを含む陽極ワイヤは電解コンデンサの高容量化にも寄与する。好ましい一態様として、陽極体の90質量%以上がTaで形成され、陽極ワイヤの芯部の90質量%以上がWで形成されている陽極部が挙げられる。WはTaよりも大幅に安価であり、かつTaよりも加工の負荷を低減しやすい。
第2金属の融点は1500℃以上であってもよい。これにより、陽極ワイヤの熱による変形を抑制することができる。陽極体の製造プロセスにおいて粒子の成形体を焼結する温度は、例えば1450℃以下である。
陽極ワイヤの芯部を形成する第2金属の導電率S2は、陽極ワイヤの表層部を形成する第3金属の導電率S3よりも大きくてもよい(S2>S3)。表層部は、外部エネルギーにより酸化し、導電性が低下する場合がある。このような場合でも、S2>S3の構成であれば、陽極ワイヤ全体の導電率の低下を抑制することができる。よって、上記構成を有することで、電解コンデンサのESRが顕著に低減する。ただし、S2≦S3であってもよい。
導電率S2と導電率S3との比:S2/S3をAとするとき、芯部の直径Dcと陽極ワイヤの直径Dwとの比:Dc/Dwは、(1/2A)1/2以上を満たしてもよい。ここで、Aは、例えば、1.05以上、100以下でもよく、1.1以上、20以下でもよい。この場合、芯部の直径Dcが一定以上の大きさであれば、陽極ワイヤ全体としての導電率が十分に高くなるとともに陽極ワイヤの加工性や信頼性を十分に向上させることができる。Aが小さい場合は、Dcを大きくして陽極ワイヤ全体に占める芯部の体積を大きくしてもよい。一方、Aが大きい場合は、Dcを小さくして陽極ワイヤ全体に占める芯部の体積を小さくしてもよい。S2>S3である場合、以上のような構成では、ワイヤ全体が導電率S3の第3金属のみから構成される場合よりも、導電率を十分に向上させることができる。よって、電解コンデンサのESRがより顕著に低減する。
第2金属の構成元素と、第3金属の構成元素とが、全率固溶型合金を形成可能であってもよい。この場合、陽極体と陽極ワイヤとの結合が強固になりやすい。陽極体と陽極ワイヤとの結合が強固であるほどESRの低減に有利である。固溶体は、陽極体の製造プロセスにおいて粒子の成形体を焼結する際に形成される。
表層部は、第2金属で形成されたワイヤ状の部材(芯部)の表面に第3金属を被覆することで形成することができる。被覆方法としては、電解めっき、無電解めっきなどの液相法、蒸着、スパッタなど気相法が挙げられる。ただし、表層部の形成方法は、特に限定されず、どのような方法で芯部と表層部とを有する陽極ワイヤを形成してもよい。
芯部と表層部との境界面は粗面化されていてもよい(図7参照)。これにより、芯部と表層部との接触抵抗が低減し、陽極体と陽極ワイヤとの接続信頼性が向上する。よって、漏れ電流の更に顕著な抑制と、より小さいESRを達成することが容易となる。
ここでは、芯部と表層部との境界面における算術平均粗さRaは、例えば、0.01μm以上、100μm以下でもよく、0.04μm以上、50μm以下でもよい。算術平均粗さRaは、陽極ワイヤの長手方向に垂直な3箇所の断面において、境界面の軌跡の平均線を求め、JIS B0601-1994に準拠して、当該平均線を基準とするRaを測定し、3つの測定値の平均値として求めればよい。
芯部と表層部との境界面を粗面化する方法は、特に限定されないが、表層部を形成する前の第2金属で形成されたワイヤ状の部材(芯部)の表面をブラスト処理する方法、芯部の表面にめっき処理を施す方法、芯部の表面をエッチング処理する方法などが挙げられる。ブラスト処理とは、研磨材粒子を圧縮空気とともに芯部の表面に吹き付ける処理であり、めっき処理とは、芯部の表面に金属粒子を析出させる処理であり、エッチング処理とは、ウェットエッチング、ドライエッチングなどの方法で芯部の表面を部分的に除去する処理である。
第3金属としては、第1金属として例示した金属を用い得る。中でも、第3金属としてTaおよびNbの少なくとも一方を用いることが望ましく、少なくともTaを用いることがより望ましい。表層部の50質量%以上がTaであってもよく、表層部の70質量%以上、更には80質量%以上がTaであってもよく、不純物以外はTaであってもよい。
第3金属は、第2金属として例示した金属を含んでもよい。具体的には、第3金属は、TaおよびNbの少なくとも一方と、WおよびMoの少なくとも一方とを含んでもよい。例えば、第3金属は、TaとWとを含む合金であってもよい。
好ましい一態様として、第1金属が少なくともTaを含み、第2金属が少なくともWを含み、第3金属が少なくともTaを含む場合が挙げられる。より好ましい一態様として、陽極体の90質量%以上がTaで形成され、陽極ワイヤの芯部の90質量%以上がWで形成され、陽極ワイヤの表層部の90質量%以上がTaで形成されている陽極部が挙げられる。これにより、Taよりも大幅に安価で加工性に優れているWを用いつつ、陽極体と陽極ワイヤとの結合力に優れた陽極部を得ることができる。
別の好ましい一態様として、第1金属が少なくともNbを含み、第3金属が少なくともTaを含む場合が挙げられる。より好ましい一態様として、陽極体の90質量%以上がNbで形成され、陽極ワイヤの芯部の90質量%以上がWで形成され、陽極ワイヤの表層部の90質量%以上がTaで形成されている陽極部が挙げられる。
(誘電体層)
誘電体層は、上記実施形態1と同様の誘電体層であってもよい。
(電解質層)
電解質層は、上記実施形態1と同様の電解質層であってもよい。
(陰極層)
陰極層は、上記実施形態1と同様の陰極層であってもよい。
(導電性部材)
導電性部材は、上記実施形態1と同様の導電性部材であってもよい。
(外装樹脂)
外装樹脂は、上記実施形態1と同様の外装樹脂であってもよい。
(陰極リード端子)
陰極リード端子は、上記実施形態1と同様の陰極リード端子であってもよい。
(陽極リード端子)
陽極リード端子は、上記実施形態1と同様の陽極リード端子であってもよい。
図1は、本実施形態に係る電解コンデンサを模式的に示す断面図である。図2は、本実施形態に係る陽極体の一例を示す模式的な斜視図である。図5は、本実施形態に係る陽極体の正面図であり、図6は図5の陽極体のVI-VI線における断面図である。
電解コンデンサ20は、陽極部6および陰極部7を有するコンデンサ素子10と、コンデンサ素子10を封止する外装樹脂11と、陽極部6と電気的に接続し、かつ、外装樹脂11から一部が露出する陽極リード端子13と、陰極部7と電気的に接続し、かつ、外装樹脂11から一部が露出する陰極リード端子14とを備えている。陽極部6は、陽極体1と陽極ワイヤ2とを有する。陽極リード端子13は、陽極ワイヤ2に接合される。外装樹脂11の内部に配置される陰極リード端子14の接合部14aは、導電性部材8を介して、陰極層5に接合されている。陽極ワイヤ2は、芯部21と、芯部21の表面の少なくとも一部を覆う表層部22とを有する。
陽極体の表面には誘電体層3が形成されている。陰極部7は、誘電体層3の少なくとも一部を覆う固体電解質層4と、固体電解質層4の表面を覆う陰極層5とを有する。陰極層5は、固体電解質層4を覆うように形成されたカーボン層5aと、カーボン層5aの表面に形成された金属ペースト層5bとを有している。カーボン層5aは、黒鉛等の導電性炭素材料と樹脂を含む。金属ペースト層5bは、例えば、金属粒子(例えば、銀)と樹脂とを含む。なお、陰極層5の構成は、この構成に限定されない。陰極層5の構成は、集電機能を有する構成であればよい。
陽極体1は、略直方体の形状を有し、6つの主面101A~101Fが露出している。なお、101D~101Fは、紙面から隠れた位置にあるため、図示されていない。陽極体1の主面101Bからは、陽極ワイヤ2の一部が延出している。陽極ワイヤ2は、陽極体1の一面から陽極体1の内部へ埋設された第一部分2aと、陽極体1の上記一面から延出した第二部分2bとを有する。第二部分2bは、溶接等により、陽極リード端子13と接合される。溶接の方法は特に限定されず、抵抗溶接、レーザー溶接等が挙げられる。
主面101A~101Fにおいて、隣接する2つの主面同士が交差する辺の近傍には、辺部分の角を取ることにより、接続面が形成されている。図2の例では、主面101Aと101Bとの間に接続面102Cが介在し、主面101Bと101Cとの間に接続面102Aが介在し、主面101Aと101Cとの間に接続面102Bが介在している。また、3つの主面が交わる頂点の近傍には、頂点部分の角を取ることにより、第2の接続面が形成されている。図2の例では、主面101A~101Cが交わる頂点部分に、第2の接続面103Aを有する。第2の接続面103Aは、接続面102A~102C同士を相互に接続している。接続面102A~102Cおよび第2の接続面103Aは、丸みを帯びた曲面に加工されている。接続面102A~102Cおよび第2の接続面103Aは、曲面であってもよく、一または複数の平面で(例えば、角部分が面取りされて)構成されていてもよい。
このように、尖った部分が除去された形状を陽極体1が有していることにより、陽極体1の表面に欠陥の少ない誘電体層を形成することができる。結果、漏れ電流を低減できる。また、陽極体の機械的強度が高められ、熱応力の集中が緩和される。結果、誘電体層の損傷が抑制され、誘電体層の損傷による漏れ電流の増加が抑制され、漏れ電流を小さく維持できる。
陽極ワイヤ2の直径Dwは、例えば、0.3mm以上、1.0mm以下であってもよい。ESRを低減する観点からは、陽極ワイヤ2の直径Dwが大きいほど望ましい。しかし、既述のように、直径Dwが大きいほど電解コンデンサの製造コストが増加し、また加工性が低下する傾向がある。陽極ワイヤ2の直径Dwが1.0mm以下の場合、陽極ワイヤ2の加工の負荷と材料コストの増大を抑制できるため、製造コストの増大を抑制することができる。一方、陽極ワイヤ2の直径Dwを0.3mm以上とする場合、十分に低いESRを実現するとともに、十分な機械的強度を確保することが可能である。陽極ワイヤ2の直径Dwは、0.4mm以上、0.8mm以下であってもよく、0.4mm以上、0.6mm以下であってもよい。一方。芯部の直径Dcは、例えば、既述のように、Dc/Dw≧(1/2A)1/2を満たすように決定すればよい。
ここで、陽極ワイヤ2の直径Dwおよび芯部21の直径Dcは、それぞれ陽極ワイヤ2の陽極体1に埋設されている部分2aおよび当該部分の芯部21の断面積と同じ面積を有する相当円の直径として求めればよい。陽極ワイヤ2の断面は、陽極ワイヤ2の長手方向に垂直な断面である。相当円は、陽極ワイヤ2の陽極体1に埋設されている部分2aの任意の3箇所で測定し、平均化すればよい。陽極ワイヤ2の断面形状は特に限定されず、円形の他、トラック形(互いに平行な直線とこれら直線の端部同士を繋ぐ2本の曲線とからなる形状)、楕円形、矩形、多角形等であってもよい。芯部21の断面形状(すなわち、芯部と表層部との境界面の軌跡)も特に限定されず、円形の他、トラック形(互いに平行な直線とこれら直線の端部同士を繋ぐ2本の曲線とからなる形状)、楕円形、矩形、多角形等であってもよく、図7に示すように、粗面化されていてもよい。
陽極ワイヤ2の陽極体1に埋設されている部分2aの長さLwは、陽極ワイヤ2の長手方向に沿った陽極体1の長さLaの10%以上、80%以下であってもよい。ESRを低減する観点からは、長さLwの長さLaに対する割合が大きいほど望ましい。しかし、当該割合が大きいほど電解コンデンサの製造コストが増加する傾向がある。長さLwの長さLaに対する割合を80%以下とすることで、材料コストの増大を抑制できるため、製造コストの増大を抑制することができる。一方、長さLwの長さLaに対する割合を10%以上とする場合、十分に低いESRを実現することが可能である。長さLwの長さLaに対する割合は、20%以上、70%以下であってもよく、20%以上、50%以下であってもよい。
〈付記〉
以上の説明は、以下に付記する特徴も含む。
(付記1)
多孔質の陽極体と、
前記陽極体に一部が埋設された陽極ワイヤと、
前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、
前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、
を含むコンデンサ素子を備え、
前記陽極体は、第1金属で形成され、
前記陽極ワイヤは、芯部と、前記芯部の表面の少なくとも一部を覆う表層部と、を有し、
前記芯部は、前記第1金属とは組成が異なる第2金属で形成され、
前記表層部は、前記第2金属とは組成が異なる第3金属で形成され、
前記第3金属は、前記第1金属と共通の構成元素を含むか、または前記第1金属の構成元素と全率固溶型合金を形成可能な構成元素を含む、電解コンデンサ。
(付記2)
前記第1金属と共通する前記第3金属の構成元素、および前記第1金属と全率固溶型合金を形成可能な前記第3金属の構成元素は、弁作用金属元素である、付記1に記載の電解コンデンサ。
(付記3)
前記第2金属の導電率S2は、前記第1金属の導電率S1よりも大きい、付記1または2に記載の電解コンデンサ。
(付記4)
前記表層部の厚みが、0.01μm以上、850μm以下である、付記1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記5)
前記第2金属の導電率S2は、前記第3金属の導電率S3よりも大きい、付記1~4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記6)
前記導電率S2と前記導電率S3との比:S2/S3をAとするとき、前記芯部の直径Dcと前記陽極ワイヤの直径Dwとの比:Dc/Dwが、(1/2A)1/2以上である、
付記5に記載の電解コンデンサ。
(付記7)
前記陽極ワイヤの直径Dwが、0.3mm以上、1.0mm以下である、付記1~6のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記8)
前記陽極ワイヤの前記陽極体に埋設されている部分の長さLwが、前記陽極ワイヤの長手方向における前記陽極体の長さLaの10%以上、80%以下である、付記1~7のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記9)
前記芯部と前記表層部との境界面が粗面化されている、付記1~8のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記10)
前記第2金属の融点が1500℃以上である、付記1~9のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記11)
前記第1金属は、タンタルおよびニオブの少なくとも一方を含む、付記1~10のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記12)
前記第2金属は、タングステンおよびモリブデンの少なくとも一方を含む、付記1~11のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記13)
前記第3金属は、タンタルおよびニオブの少なくとも一方を含む、付記1~12のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記14)
前記第3金属は、タンタルおよびニオブの少なくとも一方と、タングステンおよびモリブデンの少なくとも一方と、を含む、付記1~13のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記15)
前記第1金属が少なくともタンタルを含み、
前記第2金属が少なくともタングステンを含み、
前記第3金属が少なくともタンタルを含む、付記1~14のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記16)
前記第1金属が少なくともニオブを含み、
前記第3金属が少なくともタンタルを含む、付記1~14のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
(付記17)
前記固体電解質層は、導電性高分子を含む、付記1~16のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
[実施例]
以下、本発明を実施例および比較例に基づいて具体的に説明するが、本発明は以下に限定されるものではない。
《実施例1~20》
下記の要領で、図1に示すような電解コンデンサ(定格電圧4V、静電容量470μF)を20個ずつ作製し、その特性を評価した。
(i)コンデンサ素子の作製
(i-i)陽極体の作製
陽極体の材料としてTa粒子を用いた。陽極ワイヤとしてタングステン(W)ワイヤを用いた。Wワイヤの一端をTa粒子に埋め込んでTa粒子を直方体に成形し、その後、成形体を真空中で焼結した。これにより、多孔質なTaの焼結体からなり、Wワイヤの一部が埋設された状態の陽極体(すなわち陽極部)を得た。Wワイヤの直径Dwを表1のように変化させた。また、Wワイヤの陽極体に埋設されている部分2aの長さLwの陽極体の長さLaに対する割合(Lw/La比)を表1のように変化させた。
Figure 0007531128000001
(i-ii)誘電体層の形成
電解水溶液であるリン酸水溶液が満たされた化成槽に、陽極体およびWワイヤの一部を浸漬し、陽極酸化を行うことにより、陽極体の表面およびWワイヤの一部の表面に、均一な酸化被膜を誘電体層として形成した。陽極酸化は、0.1質量%リン酸水溶液中で、化成電圧10V、温度60℃の条件で10時間行った。
(i-iii)固体電解質層の形成
誘電体層が形成された陽極体に、導電性高分子からなる固体電解質層を次のように形成した。まず、誘電体層の表面上にポリピロールを含むプレコート層を化学重合法により薄く形成した。次に、プレコート層の表面上に、電解重合法を用いてポリピロールを含む導電性高分子層を形成した。
(i-iv)カーボン層の形成
固体電解質層にカーボン粒子の分散液(カーボンペースト)を塗布した後、200℃で加熱することにより、固体電解質層の表面にカーボン層(厚み約3μm)を形成した。
(i-v)金属ペースト層の形成
カーボン層の表面に、銀粒子とバインダ樹脂と溶媒とを含む金属ペーストを塗布した。その後、200℃で加熱して金属ペースト層(厚み10μm)を形成し、コンデンサ素子を得た。
(ii)電解コンデンサの作製
金属ペースト層に導電性部材となる導電性接着材を塗布し、陰極リード端子と金属ペースト層とを接合した。Wワイヤと陽極リード端子とを抵抗溶接により接合した。次いで、各リード端子が接合されたコンデンサ素子をトランスファー成型法により外装樹脂で封止して、実施例1~4の電解コンデンサX11~X14、実施例5~8の電解コンデンサX21~X24、実施例9~12の電解コンデンサX31~X34、実施例13~16の電解コンデンサX41~X44、実施例17~20の電解コンデンサX51~X54を作製した。
《比較例1》
陽極ワイヤとして、Wワイヤの代わりに、Taワイヤを用いた。Taワイヤは直径Dw=0.5mm、Lw/La比=50%とした。
[評価]
上記で作製した電解コンデンサについてESR値を測定した。20℃の環境下で、4端子測定用のLCRメータを用いて、電解コンデンサの周波数100kHzにおけるESR値(mΩ)を測定し、20個の平均値を求めた。比較例1の電解コンデンサYの平均のESR値を100として、それぞれの電解コンデンサのESRの平均値を相対値で表1に示す。
表1より、Wワイヤを用いることで、Taワイヤを用いる場合に比べ、ESRを顕著に低減できることがわかる。また、Lw/La比がより小さいWワイヤを用いる場合でも、Taワイヤを用いる場合よりもESRを小さくできることがわかる。これらの結果は、Taワイヤを用いる場合と同じレベルのESRを達成する場合、より細く、より短いWワイヤを用いれば十分であることを意味している。より細いWワイヤを用いることでTaワイヤよりも加工の負荷を小さくすることもできる。
また、直径Dwを大きくすることで、ESRを更に大幅に低減できることがわかる。WはTaよりも大幅に安価であり、直径Dwを大きくしてもTaを用いる場合より低コストである。よって、より太く、またはより長いWワイヤを用いる場合でも、電解コンデンサの生産性が低下することはない。
《実施例21~26》
表2に示す構成を有する芯部と表層部からなる陽極ワイヤを用い、実施例21~26の電解コンデンサE1~E6を得た。陽極ワイヤは、直径Dw=0.5mm、Lw/La比=50%とした。芯部にはWを用い、表層部にはTaを用いた。実施例26(E6)では、陽極体の材料としてTa粒子の代わりにNbを用いた。比較例1の電解コンデンサYの平均のESR値を100として、それぞれの電解コンデンサのESRの平均値を相対値で表2に示す。
導電率S2、S3は下記の通りである。
S2(W)=1.82×107S/cm
S3(Ta)=8.00×106S/cm
A=S2/S3=1.82×107/8.00×106=2.275
(1/2A)1/2=0.469
Figure 0007531128000002
表2より、実施例の電解コンデンサE1~E6は、比較例1の電解コンデンサYに比べてESRの相対値が小さくなることが理解できる。中でも、Dc/Dwが(1/2A)1/2=0.469以上であるE1~E3では、顕著に低いESRが得られている。ただし、E4、E5が示すように、芯部の直径Dcが小さい場合でも、芯部にWを用いることで、全体がTaの陽極ワイヤを用いる場合よりもESRを低減させる効果が認められる。
また、電解コンデンサE1~E6では、芯部と表層部からなる陽極ワイヤを用いたことで、陽極体と陽極ワイヤとの境界における接続信頼性が高められている。すなわち、第3金属を第1金属の構成元素と共通する元素か、全率固溶型合金を形成可能な元素で構成する場合、境界付近では強固な金属結合が形成されるため、接続信頼性が高められる。
ここで、表層部を形成せず、例えば、タングステン(W)、銅(Cu)、金(Au)などを陽極ワイヤに用いた場合、誘電体を形成する工程あるいは電解コンデンサの完成後にワイヤに電圧が印加されたときでも、ワイヤの表面に酸化物は形成されず、あるいは、極めて薄い酸化物しか形成されないため、漏れ電流が大きくなってしまう。一方、表層部をタンタル(Ta)等の弁作用金属元素で形成した場合には、表層部に十分な酸化物を形成することができる。よって、表層部が極めて高い体積抵抗率を有するため、W、Cu、Auなどを陽極ワイヤに用いた場合でも、漏れ電流を極端に小さくすることができる。
なお、陽極体(焼結体)としてTaの代わりにNbを用いたE6では、概ね陽極体がTaの場合と同様の結果が得られた。
本発明を現時点での好ましい実施態様に関して説明したが、そのような開示を限定的に解釈してはならない。種々の変形および改変は、上記開示を読むことによって本発明に属する技術分野における当業者には間違いなく明らかになるであろう。したがって、添付の請求の範囲は、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく、すべての変形および改変を包含する、と解釈されるべきものである。
本開示は、多孔質の陽極体と、陽極体に一部が埋設された陽極ワイヤとを備える電解コンデンサに利用することができる。本開示に係る電解コンデンサは、低いESRが求められる様々な用途に利用できる。
20:電解コンデンサ
10:コンデンサ素子
1:陽極体
2:陽極ワイヤ
2a:第一部分
2b:第二部分
21:芯部
22:表層部
3:誘電体層
4:固体電解質層
5:陰極層
5a:カーボン層
5b:金属ペースト層
6:陽極部
7:陰極部
8:導電性部材
11:外装樹脂
13:陽極リード端子
14:陰極リード端子
14a:接合部
101A~101C:陽極体の主面
102A~102C:接続面
103A:第2の接続面

Claims (17)

  1. 多孔質の陽極体と、
    前記陽極体に一部が埋設された陽極ワイヤと、
    前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、
    を含むコンデンサ素子を備え、
    前記陽極体は、第1金属で形成され、
    前記陽極ワイヤは、前記第1金属とは組成が異なる第2金属で形成され、
    前記第2金属の導電率S2は、前記第1金属の導電率S1よりも大きく、
    前記陽極ワイヤは、不純物を除いてタングステンで構成される、電解コンデンサ。
  2. 前記導電率S2と前記導電率S1との比:S2/S1が、1.5以上である、請求項1に記載の電解コンデンサ。
  3. 前記第1金属の構成元素と、前記第2金属の構成元素とが、全率固溶型合金を形成可能である、請求項1または2に記載の電解コンデンサ。
  4. 前記第2金属の融点が1500℃以上である、請求項1~3のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  5. 前記陽極ワイヤの直径Dwが、0.3mm以上、1.0mm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  6. 前記陽極ワイヤの前記陽極体に埋設されている部分の長さLwが、前記陽極ワイヤの長手方向における前記陽極体の長さLaの10%以上、80%以下である、請求項1~5のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  7. 前記第1金属は、タンタルおよびニオブの少なくとも一方を含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  8. 前記第1金属が少なくともタンタルを含み、
    前記第2金属が少なくともタングステンを含む、請求項1~のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  9. 前記固体電解質層は、導電性高分子を含む、請求項1~のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  10. 多孔質の陽極体と、
    前記陽極体に一部が埋設された陽極ワイヤと、
    前記陽極体の表面に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層の少なくとも一部を覆う固体電解質層と、
    を含むコンデンサ素子を備え、
    前記陽極体は、第1金属で形成され、
    前記陽極ワイヤは、芯部と、前記芯部の表面の少なくとも一部を覆う表層部と、を有し、
    前記芯部は、前記第1金属とは組成が異なる第2金属で形成され、
    前記表層部は、前記第2金属とは組成が異なる第3金属で形成され、
    前記第3金属は、前記第1金属と共通の構成元素を含むか、または前記第1金属の構成元素と全率固溶型合金を形成可能な構成元素を含み、
    前記第1金属が少なくともニオブを含み、
    前記第3金属が少なくともタンタルを含む、電解コンデンサ。
  11. 前記第1金属と共通する前記第3金属の構成元素、および前記第1金属と全率固溶型合金を形成可能な前記第3金属の構成元素は、弁作用金属元素である、請求項10に記載の電解コンデンサ。
  12. 前記表層部の厚みが、0.01μm以上、850μm以下である、請求項10または11に記載の電解コンデンサ。
  13. 前記第2金属の導電率S2は、前記第3金属の導電率S3よりも大きい、請求項1012のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  14. 前記導電率S2と前記導電率S3との比:S2/S3をAとするとき、前記芯部の直径Dcと前記陽極ワイヤの直径Dwとの比:Dc/Dwが、(1/2A)1/2以上である、
    請求項13に記載の電解コンデンサ。
  15. 前記芯部と前記表層部との境界面が粗面化されている、請求項1014のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  16. 前記第3金属は、タンタルと、タングステンおよびモリブデンの少なくとも一方と、を含む、請求項1015のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
  17. 前記第1金属が少なくともタンタルを含み、
    前記第2金属が少なくともタングステンを含み、
    前記第3金属が少なくともタンタルを含む、請求項1016のいずれか1項に記載の電解コンデンサ。
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