図1は、実施例に係る空調システムの概略図である。本実施例に係る空調システムは、切替ユニット1、室外機2及び複数の室内機3で構成される。ここで、図1では1つの切替ユニット1に1つの室外機2が接続される場合を記載したが、分岐器を介して複数の室外機2が切替ユニット1に接続されてもよい。
切替ユニット1は、12台の室内機3の各々に対応する複数の切替機構10を有し、室内機3毎に冷媒の流路の切替を行う。本実施例では、切替ユニット1は、12個の切替機構10を有する。切替機構10は、室外機2から延びる冷媒配管である高圧ガス管11及び低圧ガス管12が接続される。また、切替機構10から対応する室内機3へ延びる室内機側ガス接続管14が、室内機3の室内機ガス管33に接続される。そして、切替機構10は、室内機側ガス接続管14に繋がる冷媒配管の接続を高圧ガス管11及び低圧ガス管12のいずれかに選択的に切り替える。さらに、切替機構10は、室外機2に接続された液管13と室内機3の室内機液管34とを室内機側液管接続管15により接続する。
ここで、高圧ガス管11は、一端が室外機2に繋がり、他端が切替ユニット1の内部で各切替機構10に接続する枝管が設けられた副高圧ガス管11aの一端に接続される。副高圧ガス管11aは、切替ユニット1内に配置される配管である。室内機3が12台より多い場合に副高圧ガス管11aの他端は、他の切替ユニット1の切替機構10に接続される。これに対して、室内機3が12台以下の場合、副高圧ガス管11aの他端は、他の切替ユニット1の切替機構10への接続は行われずに閉じられる。室外機2から延びる高圧ガス管11に接続された1つの副高圧ガス管11aから分岐した複数の配管のそれぞれが、各切替機構10に繋がる。すなわち、各切替機構10から各高圧ガス管11へと繋がる配管は、1つの副高圧ガス管11aにより相互に接続される。
また、低圧ガス管12は、一端が室外機2に繋がり、他端が切替ユニット1の内部で各切替機構10に接続する枝管が設けられた副低圧ガス管12aの一端に接続される。副低圧ガス管12aは、切替ユニット1内に配置される配管である。室内機3が12台より多い場合に副低圧ガス管12aの他端は、他の切替ユニット1の切替機構10に接続される。これに対して、室内機3が12台以下の場合、副低圧ガス管12aの他端は、他の切替ユニット1の切替機構10への接続は行われずに閉じられる。室外機2から延びる低圧ガス管12に接続された1つの副低圧ガス管12aから分岐した複数の配管のそれぞれが、各切替機構10に繋がる。
また、液管13は、一端が室外機2に繋がり、他端が切替ユニット1の内部で各切替機構10に接続する枝管が設けられた副液管13aの一端に接続する。副液管13aは、切替ユニット1内に配置される配管である。室内機3が12台より多い場合に副液管13aの他端は、他の切替ユニット1の切替機構10に接続される。これに対して、室内機3が12台以下の場合、副液管13aの他端は、他の切替ユニット1の切替機構10への接続は行われずに閉じられる。室外機2から延びる液管13に接続された1つの副液管13aから分岐した複数の配管のそれぞれが、各切替機構10に繋がる。
副高圧ガス管11a、副低圧ガス管12a、及び、副液管13aが切替ユニット1の内部で分岐して複数の切替機構10に接続することで、室外機2に対して複数の切替機構10が並列に接続される。各切替機構10がそれぞれ異なる室内機3が接続されることで、室外機2と複数の室内機3とが切替ユニット1を介して接続され、切替ユニット1の動作により、各室内機3における冷媒の流れる方向が変化して、各室内機3で暖房運転や冷房運転を個別に行うことが可能になる。
<室外機の構成>
室外機2は、マンションなどの建物の屋外に配置される。室外機2は、室外熱交換器21、圧縮機22及び四方弁23を有する。さらに、室外機2は、冷媒の流路となる高圧ガス管11、低圧ガス管12及び液管13により切替ユニット1と接続される。
室外熱交換器21は、冷媒の流路の一方が四方弁23に接続され他方が液管13に接続される。室外熱交換器21は、凝縮器又は蒸発器のいずれかとして動作する。室外熱交換器21が凝縮器として機能する場合、四方弁23を圧縮機22の吐出側と室外熱交換器21とを連通させるように切り換えることによって圧縮機22から吐出された高温・高圧のガス冷媒が室外熱交換器21に流入し、図示しない室外ファンの回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って凝縮して液管13へ流出する。
室外熱交換器21が蒸発器として動作する場合、四方弁23を圧縮機22の流入側と室外熱交換器21とを連通させるように切り換えることによって液管13から気液二相状態の冷媒が室外熱交換器21に流入し、図示しない室外ファンの回転により室外機2の内部に取り込まれた外気と熱交換を行って蒸発して圧縮機22に向かって流出する。全ての室内機3において暖房運転で使用される冷媒の割合が冷房運転で使用される冷媒の割合よりも多い場合、室外熱交換器21は、蒸発器として機能する。逆に、全ての室内機3において冷房運転で使用される冷媒の割合が暖房運転で使用される冷媒の割合よりも多い場合、室外熱交換器21は、凝縮器として機能する。
圧縮機22は、インバータにより回転数が制御される図示しないモータによって駆動されることで運転容量を可変にできる能力可変型圧縮機である。圧縮機22は、吸入側が低圧ガス管12に接続され、吐出側が高圧ガス管11に接続される。圧縮機22に一端が接続される高圧ガス管11は、他端が室外機2の中で分岐し、分岐した一方は切替ユニット1の副高圧ガス管11aに接続され、分岐した他方は四方弁23に接続される。また、圧縮機22に一端が接続される低圧ガス管12は、他端が室外機2内で分岐し、分岐した一方は切替ユニット1の副高圧ガス管11aに接続され、分岐した他方は四方弁23に接続される。圧縮機22は、低圧ガス管12から流入した低圧の冷媒を圧縮して高圧の冷媒にして高圧ガス管11へ吐出する。
四方弁23は、冷媒の流れる方向を切替えるための弁であり、図1に示すように、4つのa,b,c,dポートを備える。四方弁23のポートaは低圧ガス管12に接続され、ポートbは室外機熱交換器21に接続され,ポートcは高圧ガス管11に接続される。またポートdは閉止される。図1に実線で示すように、四方弁23のポートbとポートcとは連通するとともにポートaとポートdが連通するように切り替えられることで、四方弁23のポートcが圧縮機22の吐出側に接続され、ポートbが室外機熱交換器21へ接続されて、室外熱交換器21が凝縮器として機能する。また、図1に破線で示すように、四方弁23のポートaとポートbとが連通するとともにポートcとポートdとが連通するように切り替えられることで、四方弁23のポートaが圧縮機22の流入側に接続され、ポートbが室外機熱交換器21へ接続されて、室外熱交換器21が蒸発器として機能する。
室外熱交換器21が凝縮器として動作する場合、室外熱交換器21が高圧ガス管11に接続され、低圧ガス管12の分岐した経路が封止された状態となるように、四方弁23の各ポートの接続状態が切替えられる。また、室外熱交換器21が蒸発器として動作する場合、室外熱交換器21が低圧ガス管12に接続され、高圧ガス管11の分岐した経路が封止された状態となるように、四方弁23の各ポートの接続状態が切替えられる。
<室内機の構成>
12台の室内機3は、それぞれマンションなどの建物の屋内に配置される。室内機3は、室内熱交換器31及び室内膨張弁32を有する。室内機3は、室内機側ガス接続管14と室内機側液管接続管15により切替ユニットと接続される。
室内熱交換器31は、冷媒の流路の一端が室内機側ガス接続管14に接続され、他端が室内膨張弁32に繋がる配管に接続される。室内熱交換器31は、室内機3が暖房として動作する場合、凝縮器として機能する。また、室内熱交換器31は、室内機3が冷房として動作する場合、蒸発器として機能する。
室内機3が暖房運転を行う場合、室内熱交換器31が凝縮器として機能するように対応する切替機構10によって副高圧ガス管11aと室内熱交換器21とが連通するように切り替えられる。具体的には、室外機2から高圧ガス管11に流出した高圧・高温の冷媒が切替機構10及び室内機側ガス接続管14を介して室内機3に流入する。室内機3に流入した冷媒は、室内熱交換器31に流入して図示しない室内ファンの回転により室内機3に取り込まれた室内空気と熱交換を行って凝縮する。これにより、取り込まれた室内空気が加熱されて室内へ放出されて室内の暖房が行われる。室内熱交換器31から流出した冷媒は、室内膨張弁32で減圧されて室内機側液管接続管15へと流出する。
また、室内機3が冷房運転を行う場合、室内熱交換器31が蒸発器として機能するように対応する切替機構10によって副低圧ガス管12aと室内熱交換器21とが連通するように切り替えられる。具体的には、室外機2から液管13に流出した低圧・低温の冷媒が切替機構10及び室内機側液管接続管15を介して室内機3に流入する。室内機3に流入した冷媒は、室内熱交換器31に流入して図示しない室内ファンの回転により室内機3に取り込まれた室内空気と熱交換を行って蒸発する。これにより、取り込まれた室内空気が冷却されて室内へ放出されて室内の冷房が行われる。室内熱交換器31から流出した冷媒は、室内機側ガス接続管14へと吐出される。
室内膨張弁32は、室内熱交換器31と室内機液管34との間に配置される。室内膨張弁32は、室内熱交換器31が蒸発器として動作する場合は要求される冷房能力に応じて開度が調整され、室内熱交換器31が凝縮器として動作する場合は要求される暖房能力に応じて開度が調整される。
<切替ユニットの構成>
次に、切替ユニット1について詳細に説明する。図2は、切替ユニット1の斜視図である。切替ユニット1は、図2に示す本体ケース16を有する。
本体ケース16は、上面161、前面162、背面163、右側面164、左側面165及び底面166を有する。以下の説明では、本体ケース16の前面162側を「前」方向、背面163側を「後ろ」方向、右側面164側を「右」方向、左側面165側を「左」方向、上面161側を「上」方向、底面166側を「下」方向と呼ぶ。ここで、切替ユニット1は、天井裏などに配置することが想定されており、本体ケース16は、サイズが小さい方が好ましい。特に、高さ方向の寸法が小さいことが好ましく、本体ケース16の高さ方向の寸法(上下方向の長さ)は、一例として298mm以下が好ましく、本実施例では、298mmとしている。
本体ケース16の左側面165側から、室外機2に繋がる副高圧ガス管11a、副低圧ガス管12a及び副液管13aが突出するように配置される。本体ケース16の右側面164からも副高圧ガス管11a、副低圧ガス管12a及び副液管13aが突出するように配置され、別の切替ユニット1の対応する副高圧ガス管11a、副低圧ガス管12a及び副液管13aのそれぞれに接続することで、室内機3の台数に応じて切替ユニット1を増設できるよう構成される。切替ユニット1を増設しない場合、右側面164から導出された副高圧ガス管11a、副低圧ガス管12a及び副液管13aは、図示しない蓋で塞がれる。また、本体ケース16の前面162から、それぞれが異なる室内機3に繋がる複数の室内機側ガス接続管14及び室内機側液管接続管15が突出するように配置される。
副高圧ガス管11a、副低圧ガス管12a及び副液管13aは、本体ケース16の前面162側から背面163に向かって、副高圧ガス管11a、副液管13a、副低圧ガス管12aの順に並ぶ。副高圧ガス管11a、副低圧ガス管12a及び副液管13aのそれぞれの管軸は、本体ケース16の左右方向に延びる。
室内機側ガス接続管14は、本体ケース16内の上側に一部が前面162から突出するように配置される。室内機側ガス接続管14は、第3冷媒配管103の一端から室内機ガス管33までの間の冷媒配管である。また、室内機側液管接続管15は、本体ケース16内の下側に一部が前面162から突出するように配置される。室内機側液管接続管15は、副液管13aから室内機液管34までの間の冷媒配管である。室内機側ガス接続管14及び室内機側液管接続管15は、本体ケース16の前面162から前方へ突出して配置される。そして、室内機側ガス接続管14及び室内機側液管接続管15は、本体ケース16の左右方向に12本ずつ並ぶ。室内機側ガス接続管14及び室内機側液管接続管15の管軸は、本体ケース16の前後方向に延びる。室内機側ガス接続管14及び室内機側液管接続管15は、それぞれ上下に並んで配置されたものを一対として12組設けられており、12組の室内機側ガス接続管14及び室内機側液管接続管15が12台の室内機3の各々に接続される。
高圧ガス管11に接続される副高圧ガス管11a、低圧ガス管12に接続される副低圧ガス管12a、液管13に接続される副液管13a、室内機側ガス接続管14及び室内機側液管接続管15のそれぞれは、室外機2と室内機3との間に接続される切替機構10に含まれる。
次に、本体ケース16の内部に部分的に収容される切替機構10の構成について、図3及び図4を参照して具体的に説明する。図3は、切替ユニット1に搭載された切替機構10の斜視図である。また、図4は、単一の切替機構10の側面図である。本体ケース16の中に12個の切替機構10が全て格納される。
本実施例に係る本体ケース16には、図4に示す切替機構10が図3に示すように12個並べて配置される。このように、本体ケース16の中に12個の切替機構10が全て格納される。各切替機構10は、図3及び4に示すように、第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103及び第4冷媒配管104をそれぞれ有する。また、各切替機構10は、第1キャピラリーチューブ121、第2キャピラリーチューブ122及び第3キャピラリーチューブ123を有する。さらに、切替機構10は、第1電磁弁111、第2電磁弁112、第3電磁弁113及び第4電磁弁114を有する。また、切替機構10は、液管13と室内機側液管接続管15との間に配置される。
第1冷媒配管101は、副高圧ガス管11aに一端が接続され、他端が第1電磁弁111に接続される。第1冷媒配管101は、継手配管130から副高圧ガス管11aの間の配管である。各切替機構10の第1冷媒配管101は、本体ケース16の前後方向に延び、本体ケース16の左右方向に並んで配置される。
室内機3が暖房運転を行う場合、第1冷媒配管101に副高圧ガス管11aから高温且つ高圧の冷媒が流入する。第1冷媒配管101に流入した冷媒は、暖房運転時に開とされる第1電磁弁111を介して後述する第2冷媒配管102へと流れる。このように、第1冷媒配管101は、高温且つ高圧の冷媒が流れる配管であり、流れる冷媒の状態はガス冷媒となっているため、液冷媒が流れる場合に比べて第1冷媒配管101から受ける圧力損失が大きくなる。圧力損失が大きくなると室内機3へ流れる冷媒の温度が低下して室内機3で発揮される暖房能力が低下する。そこで、第1冷媒配管101は、室内機3で発揮される暖房能力に影響が出ない程度の圧力損失に留めるためできる限り直径の大きい配管を用いることが好ましい。例えば、第1冷媒配管101は、直径が15mm以上の配管が用いられる。本実施例では、第1冷媒配管101の直径は、15.88mmである。
第2冷媒配管102は、一端が継手配管138を介して第1電磁弁111に接続され、他端は後述する第3冷媒配管103と合流して室内機側ガス接続管14に接続される。第2冷媒配管102は、継手配管134から第3冷媒配管103への合流位置の間の配管である。第2冷媒配管102も、本体ケース16の前後方向に延び、本体ケース16の左右方向に並んで配置される。
室内機3が暖房運転を行う場合、第2冷媒配管102に暖房運転時に開とされる第1電磁弁111から高温且つ高圧の冷媒が流入する。暖房運転時には第4電磁弁114が閉となっているため、第2冷媒配管102に流入した冷媒は、室内機側ガス接続管14へと流れる。このように、第2冷媒配管102は、室内機側ガス接続管14へ送られる冷媒が流れる配管である。圧力損失は、冷媒の流速の二乗に比例するため、第1電磁弁111を通過するときには流速が低下する。したがって、第2冷媒配管102を冷媒が離れる際は、第2冷媒配管102から受ける圧力損失が小さくなる。そのため、第2冷媒配管102として第1冷媒配管101に比べて直径の小さい配管を用いることが可能である。例えば、第2冷媒配管102は、直径が12mm以上の配管が用いられる。本実施例では、第2冷媒配管102の直径は12.7mmである。
第3冷媒配管103は、中間位置で第2冷媒配管102と合流する。そして、第3冷媒配管103の一端は、室内機側ガス接続管14に接続され、他端は第4電磁弁114に接続される。第3冷媒配管103は、第4電磁弁114から室内機ガス接続管14の間の配管である。第3冷媒配管103も、本体ケース16の前後方向に延び、本体ケース16の左右方向に並んで配置される。
第3冷媒配管103は、室内機3が冷房運転を行う場合に、室内機側ガス接続管14から気液二相状態の冷媒が流入する。第3冷媒配管103に流入した冷媒は、第1電磁弁111が閉となっているため、冷房運転時に開とされている第4電磁弁114を介して副低圧ガス管12aへと流れる。このように、第3冷媒配管103には気液二相状態の冷媒が流れ、ガス冷媒が含まれることから、液冷媒のみが流れる場合と比べて第3冷媒配管103から受ける圧力損失が大きくなる。圧力損失が大きくなると、室内機3を流れる冷媒量が減少して室内機3で発揮される冷房能力が低下する。そこで、第3冷媒配管103は、室内機3で発揮される冷房能力に影響が出ない程度の圧力損失で留めるため直径ができるだけ大きい配管を用いることが好ましい。例えば、第3冷媒配管103は、直径が15mm以上の配管が用いられる。本実施例では、第3冷媒配管103の直径は、15.88mmである。
第4冷媒配管104は、一端が配管114Cを介して第4電磁弁114に接続され、他端は副低圧ガス管12aに接続される。第4冷媒配管104は、第4電磁弁114の流出口から延びる配管114Cから副低圧ガス管12aの間の配管である。第4冷媒配管104も、本体ケース16の前後方向に延び、本体ケース16の左右方向に並んで配置される。
第4冷媒配管104には、室内機3が冷房運転を行う場合に、室内機3で凝縮して気液二相状態となった冷媒が、第3冷媒配管103及び第4電磁弁114を介して流入する。第4冷媒配管104に流入した冷媒は、副低圧ガス管12aへと流れる。このように、第4冷媒配管104は、室外機2へ冷媒を送り出す配管であり、第3冷媒配管103に比べて直径の小さい配管を用いることが可能である。例えば、第4冷媒配管104は、直径が12mm以上の配管が用いられる。本実施例では、第4冷媒配管104の直径は12.7mmである。
ここで、図4及び図5を参照して、第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103及び第4冷媒配管104の上下方向及び左右方向の配置について説明する。図5は、2組の切替機構10を上面から見た図である。第1冷媒配管101は、本体ケース16の上面161付近に配置される。
第2冷媒配管102は、第1冷媒配管101の直下に、第1冷媒配管101の直径以上の距離L1を離して第1冷媒配管101と平行に配置される。例えば、第1冷媒配管101の直径が15.88mmであれば、距離L1は、16mm以上であればよい。
第3冷媒配管103は、図4に示すように第2冷媒配管102より上下方向に距離L2離して第2冷媒配管102の下方に配置され、且つ、図5に示すように、第1冷媒配管101及び第2冷媒配管102から左方向に距離L7離した位置に配置される。つまり、第2冷媒配管102と第3冷媒配管103とは底面166に対して斜めに配置され、第2冷媒配管102と第3冷媒配管103との間の距離は、(L22+L72)1/2で求められる。そして、第3冷媒配管103は、第2冷媒配管102から第3冷媒配管103の直径以上の距離を離して配置される。例えば、第3冷媒配管103の直径が15.88mmであれば、第2冷媒配管102と第3冷媒配管103との間の距離は16mm以上であればよく、上述した(L22+L72)1/2で求められる距離がこの16mm以上であればよい。
第4冷媒配管104は、第3冷媒配管103の直下に、第3冷媒配管103の直径以上の距離L3を離して平行に配置される。例えば、第3冷媒配管103の直径が15.88mmであれば、距離L3は、16mm以上であればよい。つまり、第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103、第4冷媒配管104は、左右方向及び前後方向にはそれぞれ異なる位置にあるが、上面163から底面166に向かう方向(後述する延伸方向)に第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103、第4冷媒配管104の順に並んで配置される。
さらに、第2冷媒配管102と第3冷媒配管103とが合流して室内機側ガス接続管14へ繋がる配管では、ロウ付け時の要件として、図4に示すように室内機側ガス接続管14と室内機側液管接続管15との間の距離L4がロウ付けのための距離として一定の距離以上離れることが好ましい。例えば、本実施例では、室内機側ガス接続管14と室内機側液管接続管15との間の距離L4は、105mm以上である。
図6は、切替機構10の正面図である。距離L4を確保するため、本実施例に係る第2冷媒配管102が合流して室内機側ガス接続管14へ繋がる第3冷媒配管103は、図6に示すように、室内機側液管接続管15から離れる曲げ加工を施して上側に向けて屈曲される。
ここで、第3冷媒配管103に加える曲げ加工のつかみ代として、図4及び図6に示すように、第3冷媒配管103の直径の倍程度の長さL6を有する直線部301が存在することが好ましい。直線部301は、第3冷媒配管103において第2冷媒配管102との合流点と室内機ガス接続管14との接続部の間に存在する。すなわち、第3冷媒配管103の屈曲を行うために、第3冷媒配管103には、図4に示す曲げ加工で要求されるつかみ代以上の長さL6の直線部301が形成される。例えば、第3冷媒配管103の直径が15.88mmである場合、長さL6は30mm程度となる。屈曲前の第3冷媒配管103におけるこの直線部301にあたる位置を掴んで、第3冷媒配管103が屈曲されることで、屈曲後に直線部301が形成される。
この屈曲により、図4に示すように、第1キャピラリーチューブ121と副高圧ガス管11aとを接続する配管121aが第3冷媒配管103に近づき、その距離L5が短くなる。ここで、配管121aと第3冷媒配管103との間の距離L5は、発泡断熱材で覆われる前の作業工程での接触を回避するため、クリアランスのバラつきを考慮して25mm以上確保することが好ましい。そこで、図6に示すように、第3冷媒配管103は、上側に向けて折り曲げられるとともに右側に向けても折り曲げられる。これにより、直線部301は、底面166に対して垂直で且つ第4冷媒配管104を含む平面に対して傾斜する。
以上に説明した第3冷媒配管103の屈曲により、室内機側ガス接続管14と室内機側液管接続管15との間の距離L4としてロウ付け時に要求される要件を満たす距離を確保し、且つ、室内機側ガス接続管14と副高圧ガス管11aから延びる配管121aとの距離L5として25mm以上の距離を確保しつつ、切替ユニット1の上下方向の高さ寸法を小さく抑えることができる。
第1電磁弁111は、開閉弁(2方弁)である。第1電磁弁111は、前述したように暖房運転時に開とされ、第1電磁弁111が開とされることで、副高圧ガス管11aと室内機側ガス接続管14とが第1冷媒配管101及び第2冷媒配管102を介して連通する。このとき、第1電磁弁111における第1冷媒配管101に接続される側が冷媒の流入口となり、第2冷媒配管102に接続される側が冷媒の流出口となる。
第1電磁弁111は、第1電磁弁111の流入口側の圧力と流出口側の圧力との圧力差を利用して図示しない弁体を動作させるパイロット型の電磁弁である。パイロット型の電磁弁の特徴として、圧力差を利用して弁体を動作させるため、電磁力のみで動作する直動型の電磁弁と比較して弁口径を大きくすることが可能である。第1電磁弁111が設けられる冷媒流路は、暖房運転時に高圧の冷媒が流れる流路であり、この流路に組み込まれる電磁弁として、弁体を電磁力のみで動作する直動型の電磁弁では弁口径が小さく、必要な暖房能力を確保できない場合がある。そこで、暖房運転時に高圧の冷媒が流れる流路には、流入口側の圧力と流出口側の圧力との圧力差を利用するパイロット型の第1電磁弁111が用いられる。
詳しくは、図3及び図5に示すように、第1電磁弁111は、弁本体111A及びコイル部111Bを有する。また、ここでは、第1電磁弁111の第1冷媒配管101に接続される側の配管を配管111Cとする。また、第1電磁弁111の流出口から配管111Dが下方に延びる。さらに、第1電磁弁111における第1冷媒配管101が接続される側の配管111Cには、継手配管130が予めロウ付けされる。また、配管111Dには、継手配管134がロウ付けされる。第1電磁弁が、「電磁弁」の一例にあたる。また、配管111Cが、「第1接続部」の一例にあたる。
弁本体111Aは、副高圧ガス管11aと室内機側ガス接続管14とを結ぶ流路の連通及び遮断を切替えるパイロット弁を有する。コイル部111Bは、弁本体111Aに設けられるパイロット弁を電磁力で動作させるために設けられる。コイル部111Bで発生した電磁力によりパイロット弁が動作することで、図示しない弁体の上部の圧力が上昇して弁体の下部の圧力より高くなることで、弁体が動作する。
弁本体111Aにおける配管111Cには、切替機構10の第1電磁弁111を組み付ける前に予め継手配管130がロウ付けにより接続される。図7は、第1電磁弁111における継手配管130のロウ付けを説明するための図である。弁本体111Aから延びる配管111Cに継手配管130をロウ付けする場合、図7に示すように、弁本体111Aは、継手配管130を接続する配管111Cの管軸方向が弁本体111Aに対して水平となるように置かれる。そして、図7の状態に置かれた配管111Cに継手配管130を嵌合させてロウ付け箇所P1でロウ付けが行われる。このロウ付けの際、弁本体111Aを耐熱温度以下に保つため、弁本体111Aに対して散水が行われる。図7の状態であれば、弁本体111Aと継手配管130のロウ付け箇所P1とは横に並んでいる。そのため、弁本体111Aに散水しても、弁本体111Aから水が垂れてこず、ロウ付け箇所P1に水が掛からないようにすることが可能であり、弁本体111Aに近い箇所であってもロウ付け箇所P1でのロウ付けが可能である。
図8は、第1電磁弁111と副高圧ガス管11aとのロウ付けを説明するための斜視図である。切替機構10の組み立て作業において、図8に示すように弁本体111Aに繋がる配管111Cの下に第1冷媒配管101が位置するように配置された状態で、予め配管111Cに組み付けられた継手配管130と第1冷媒配管101とがロウ付け箇所P2でロウ付けされる。これにより、弁本体111Aに繋がる配管111Cと第1冷媒配管101とが接続される。継手配管130により、弁本体111Aとロウ付け箇所P2との間の距離を長くすることができる。ここで、この副高圧ガス管11aと継手配管130とのロウ付けの際には、弁本体111Aに散水するとロウ付け箇所P2に水が流れてしまいロウ付けが困難になる。これに対して、本実施例では、弁本体111Aを濡れた布で弁本体111Aを覆うことで、弁本体111Aを耐熱温度以下に保つことができ、かつ、弁本体111Aに水が掛かることが無いため、ロウ付け箇所P2のロウ付けを確実に行うことができる。また、弁本体111Aから延びる配管111Dに第2冷媒配管102がロウ付けされるが、この場合もロウ付け箇所と弁本体111Aとの間に距離があるので、濡れた布により弁本体111Aを保護することができる。この濡れた布が、「冷却シート」の一例にあたる。また、本体111Aの配管111Dが、「第2接続部」の一例にあたる。
図4に戻って説明を続ける。第2電磁弁112も、開閉弁(2方弁)である。第2電磁弁112は、一端が第1冷媒配管101に接続される。また、第2電磁弁112の他端は、室内機側ガス接続管14と第3電磁弁113とに接続されるように分岐している。第2電磁弁112と室内機ガス接続管14とは、第3キャピラリーチューブ123及び第3冷媒配管103を介して接続される。また、第2電磁弁112には、第2キャピラリーチューブ122が並列に接続される。具体的には、第2キャピラリーチューブ122の一端が第1冷媒配管101に接続され、他端が第2電磁弁112と第3電磁弁113とが接続している箇所に接続される。第2電磁弁112を開とすることで、第1電磁弁111の流入口における圧力と流出口における圧力との圧力差を低減する(以降、「均圧」と記載する。)ことができる。第2電磁弁112が設けられる流路は、第1冷媒配管101と比べて電磁弁における流入口側の圧力と流出口側の圧力との圧力差が小さいため、この流路に設ける第2電磁弁112は、電磁力のみで弁体が動作する直動型の電磁弁が用いられる。
第2電磁弁112は、弁本体112A及びコイル部112Bを有する。弁本体112Aは、第2電磁弁112が設けられる流路の連通及び遮断を切替える図示しない弁体を有する。コイル部112Bは、弁本体112Aに設けられる弁体を電磁力で動作させるために設けられる。コイル部112Bで発生された電磁力により、弁本体112Aが有する弁体が動作する。
第2電磁弁112は、第1電磁弁111を開く前に開とされることで、第1電磁弁111の流入口と流出口とを均圧する。ここで、第1電磁弁111の流入口と流出口との圧力差が大きい状態で第1電磁弁111を開くと、この圧力差によって第1電磁弁111を冷媒が勢いよく流れることに起因した冷媒流動音が発生するおそれがある。そこで、第1電磁弁111を開く前に第2電磁弁112を開くと、第3キャピラリーチューブ123を介して第1電磁弁111の流入口と流出口とが均圧され、均圧後に第1電磁弁111を開くことで冷媒流動音の発生が抑制される。
第3電磁弁113も、開閉弁(2方弁)である。第3電磁弁113の一端は、副低圧ガス管12aに接続される。また、第3電磁弁113の他端は、第2電磁弁112と室内機側ガス接続管14とに接続されるように分岐する。第3電磁弁113と室内機側ガス接続管14は、第3キャピラリーチューブ123及び第3冷媒配管103を介して接続される。
第3電磁弁113を開とすることで、第4電磁弁114の流入口と流出口とを均圧することができる。第3電磁弁113が設けられる流路は、第1冷媒配管101と比べて電磁弁における流入口側の圧力と流出口側の圧力との圧力差が小さいため、この流路に設ける第3電磁弁113は、電磁力のみで弁体が動作する直動型の電磁弁が用いられる。
第3電磁弁113は、弁本体113A及びコイル部113Bを有する。弁本体113Aは、第3電磁弁113が設けられる流路の連通及び遮断を切替える図示しない弁体を有する。コイル部113Bは、弁本体113Aに設けられる弁体を電磁力で動作させるために設けられる。コイル部113Bで発生された電磁力により、弁本体113Aが有する弁体が動作する。
第3電磁弁113は、第4電磁弁114を開く前に開とされることで、第4電磁弁114の流入口と流出口とを均圧する。ここで、第4電磁弁114の流入口と流出口との圧力差が大きい状態で第4電磁弁114を開くと、この圧力差によって第4電磁弁114を冷媒が勢いよく流れることに起因した冷媒流動音が発生するおそれがある。そこで、第4電磁弁114を開く前に第3電磁弁113を開くと、第3キャピラリーチューブ123を介して第4電磁弁114の流入口と流出口とが均圧され、均圧後に第4電磁弁114を開くことで冷媒流動音の発生が抑制される。
第4電磁弁114も、開閉弁(2方弁)である。第4電磁弁114は、前述したように冷房運転時に開とされ、第4電磁弁114が開とされることで、室内機側ガス接続管14と副低圧ガス管12aとを結ぶ流路の連通及び遮断を切替える弁である。第4電磁弁114は、第3冷媒配管103に接続される側が流入口であり、第4冷媒配管104に接続される側が吐出口である。
第4電磁弁114は、パイロット型の電磁弁である。第4電磁弁114が設けられる冷媒流路は、冷房運転時に低圧の冷媒が流れる流路であり、この流路に組み込まれる電磁弁として、弁体を電磁力のみで動作する直動型の電磁弁では弁口径が小さく、必要な冷房能力を確保できない場合がある。そこで、冷房運転時に低圧の冷媒が流れる流路には、流入口側の圧力と流出口側の圧力との圧力差を利用する パイロット型の電磁弁が用いられる。
第4電磁弁114は、弁本体114A及びコイル部114Bを有する。また、第4電磁弁114は、弁本体114Aから延びる配管114C及び配管114Dを有する。弁本体114Aは、室内機側ガス接続管14と副低圧ガス管12aとを結ぶ流路の連通及び遮断を切替えるパイロット弁を有する。コイル部114Bは、弁本体114Aに設けられるパイロット弁を電磁力で動作させるために設けられる。コイル部114Bで発生した電磁力によりパイロット弁が動作することで、図示しない弁体の上部の圧力が上昇して弁体の下部の圧力より高くなり、弁体が動作する。
第4電磁弁114は、室内機3が冷房として動作する場合に開けられ、室内機側ガス接続管14と副低圧ガス管12aとが第3冷媒配管103及び第4冷媒配管104を介して連通する。
図9は、副低圧ガス管12aの接続状態を表す斜視図である。図10は、副低圧ガス管12aの斜視図である。図11は、副低圧ガス管12aの側面図である。図9~図11に示すように、副低圧ガス管12aは、第4冷媒配管104に接続するための枝管211A及び第3電磁弁113に繋がる枝管211Bを有する。
具体的には、副低圧ガス管12aには、枝管211Aや枝管211Bを接続する孔が設けられ、この孔にバーリング加工が施される。バーリング加工は、枝管211A及び枝管211Bを副低圧ガス管12aにロウ付けするために、副低圧ガス管12aの所定位置に開けた孔の周縁部を副低圧ガス管12aから離れる方向に向かって引き出す処理である。バーリング加工では、加工する際に、加工機器を孔の近傍に配置する。そのため、孔同士の間にバーリング加工の作業領域を設ける必要があり、例えば、孔同士の距離は60mm以上設けられることが好ましい。これにより、枝管211A同士の間は、バーリング加工に必要な距離L201が設けられる。同様に、枝管211B同士の間は、バーリング加工に必要な距離L202が設けられる。
さらに、副低圧ガス管12aに形成した枝管211Aと第4冷媒配管104とを接続する場合、及び、枝管211Bと第3電磁弁113とを冷媒配管で接続する場合、それぞれの接続部でロウ付け作業が必要となるが、各接続部が近いと隣接する接続部に施したロウ付けが溶けてしまい、接続部から冷媒がリークするといった問題が発生する。そのため、接続部間の距離は、隣接する接続部に影響が出ない距離(以降、ロウ付け間距離と記載する。)を確保する必要がある。例えば、ロウ付け間距離は30mmである。
そこで、本実施例に係る副低圧ガス管12aの枝管211A、及び、枝管211Bは、図9~図11に示すように、副低圧ガス管12aの円周上の同じ個所には接続されない。具体的には、図10及び図11に示すように、枝管211Aは管軸方向に一列に並び、且つ、副低圧ガス管12aの円周上における本体ケース1の背面側に開口した孔に接続される。一方、枝管211Bは、枝管211Aの位置から円周方向に角度θずらした位置で、且つ、管軸方向から見たときに枝管211Aと並ばない位置に配置される、つまり、副低圧ガス管12aの円周上における上方に開口した孔に管軸方向に一列に並べて接続される。
ここで、角度θは、枝管211Aと枝管211Bとの間の距離が、ロウ付け間距離より離れるように決定される。例えば、本実施例においてロウ付け間距離が30mmである場合、角度θを90度とすれば、本実施例における副低圧ガス管12aでは枝管211Aと枝管211Bとの間にロウ付け間距離である30mmを確保することができる。なお、ロウ付け間距離が確保できるのであれば、角度θは90度以外の角度であってもよい。このように、副低圧ガス管12aの枝管211A及び枝管211Bを副低圧ガス管12aの円周上の同じ個所には接続しないことによって、枝管211A及び枝管211Bを全て管軸方向に一列に並べる場合と比べて、バーリング加工用の間隔を確保しつつ、本体ケース16の左右方向の寸法を小さくできる。
ここで、第1電磁弁111、第2電磁弁112、第3電磁弁113、及び、第4電磁弁114に関してこれらそれぞれの本体ケース16内における配置について説明する。第1電磁弁111、第2電磁弁112、第3電磁弁113、及び、第4電磁弁114の各々は、本体ケース16の背面163に、コイル部111B、コイル部112B、コイル部113B、及び、コイル部1114Bが背面163から突出するように配置される。これは、メンテナンス時に、第1電磁弁111、第2電磁弁112、第3電磁弁113、及び、第4電磁弁114の各コイル部111B~114Bに容易にアクセスできるようにするためである。
図12は、切替機構10の背面図である。第1電磁弁111、第2電磁弁112、第3電磁弁113及び第4電磁弁114は、図12に示すように、上下方向に関して、第1電磁弁111のコイル部111Bと第4電磁弁114のコイル部113Bとの間に第2電磁弁112のコイル部112Bと第3電磁弁113のコイル部112Bとが位置するように配置される。図12では、第2電磁弁112の弁本体112A及び第3電磁弁113の弁本体113Aが表示されていないので、便宜上、コイル部112Bの部分を指して第2電磁弁112とし、コイル部113Bの部分を指して第3電磁弁113とした。また、ここでの説明では、コイル部111Bを単に第1電磁弁111と呼び、コイル部111Bを単に第2電磁弁112と呼ぶ場合がある。
前述したように、第1電磁弁111は、第1冷媒配管101に接続されており、本体ケース16の上面161の近傍に配置される。そして、第1電磁弁111の流出口から延び第2冷媒配管102に接続される配管111Dは、弁本体111Aから下方に延びるように配置される。また、第4電磁弁114は、第4冷媒配管104に接続されており、本体ケース16の底面166の近傍に配置される。そして、第4電磁弁114の流出口から延び第4冷媒配管104に接続される配管114Cは、弁本体114Aから下方に延びるように配置されている。
ここで、第1電磁弁111及び第4電磁弁114は、パイロット型の電磁弁である。第1電磁弁111では、弁本体111Aに繋がる配管111Dと配管130とが異なる方向を向いている。同様に第4電磁弁114では、弁本体114Aに繋がる配管114Cと配管114Dとが異なる方向を向いている。これに対して、第2電磁弁112及び第3電磁弁113は、直動型の電磁弁である。第2電磁弁112では、弁本体112Aに繋がる配管136と配管137とが同じ方向を向いている。同様に、第3電磁弁113では、弁本体113Aに繋がる配管138と配管139とが同じ方向を向いている。そのため、第2電磁弁112及び第3電磁弁113は、配置の自由度が第1電磁弁111及び第4電磁弁114に比べて大きい。
そして、第1電磁弁111、第2電磁弁112、第3電磁弁113、及び、第4電磁弁114を背面163に臨むように配置する場合、第1電磁弁111の流出口から配管111Dが下方に延び、第4電磁弁114の流出口から配管114Cが下方に延びるように配置される。
ここで、第1電磁弁111の流出口の接続部は、弁本体11Aへのロウ付け時の熱伝導を考慮して弁本体111Aの下端から16mmの長さとする必要がある。また、流出口に接続される第2冷媒配管102の曲げ加工に必要な配管111Dの寸法として32mmを確保する必要がある。そこで、第1電磁弁111の弁本体111Aの下端、すなわち配管111Dの上端からの距離L8として48mm以上のスペースが配管111Dを配置するスペースとして確保されることが好ましい。
第2電磁弁112は、上下方向が第1電磁弁111と第3電磁弁113の間の位置で、且つ、第1電磁弁111の流出口から延びる配管111Dに干渉しないよう左側にずらした位置に配置される。さらに、第2電磁弁112は、左隣の切替機構10の第1電磁弁111の流出口から延びる配管111Dにも干渉しないように配置される。この場合、切替機構10を上方から俯瞰すると、第2電磁弁112のコイル部112Bは、第1電磁弁111のコイル部111Bに重なっており、コイル部112Bの左右幅の約半分がコイル部111Bからはみ出す状態である。加えて、第1電磁弁111、第2電磁弁112、第3電磁弁113、及び、第4電磁弁114に接続される第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103、及び、第4冷媒配管104は、前後方向にまっすぐ伸び、且つ、途中で折り曲げられるものは、第1電磁弁111を含む上下方向の平面と第2電磁弁112を含む上下方向の平面との間に向けて曲げられる。また、第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103、及び、第4冷媒配管104の直径は、コイル部111B~114Bよりも小さい寸法である。すなわち、1組の切替機構10の左右の幅は、コイル部112Bの左右幅の約半分がコイル部111Bからはみ出す状態であることから、電磁コイルの1.5倍程度に抑えることができる。
第3電磁弁113は、第1電磁弁111の下方に配置される。具体的には、第3電磁弁113は、第1電磁弁111の接続口から前述した距離L8以上の距離を離して第1電磁弁111の直下に配置される。
また、第4電磁弁114は、第2電磁弁112の直下に配置される。第2電磁弁112及び第3電磁弁113は、直動型の電磁弁であり、且つ、2つの接続口がともに本体ケース16の前方に向かって延びるように設けられる。第2電磁弁112は、第1電磁弁111の配管111Dの部分に設けた距離L8と同等の距離を確保する必要がないため、第4電磁弁を近くに配置でき、第2電磁弁112の各接続部や各接続部に接続される第2冷媒配管102及び第3冷媒配管103に第4電磁弁114が干渉することがない。
以上に説明したように、第1電磁弁111の弁本体111Aから下方に延びる配管111Dに干渉しない距離を離して、第3電磁弁113が第1電磁弁111の直下に配置される。また、第2電磁弁112を、第1電磁弁111弁本体111Aから下方に延びる配管111Dに干渉しない距離を離して第1電磁弁111より左側に配置する。そして、第4電磁弁114を第2電磁弁112の直下に配置する。これにより、切替機構10の左右方向及び上下方向の寸法の双方を短く収めることができるので、本実施形態のように本体ケース16に12組の切替機構10を搭載しても、切替ユニット1の左右方向及び上下方向の寸法をそれぞれ小さくできる。
第2キャピラリーチューブ122は第1冷媒配管101の近傍に配置される。また、第2電磁弁112は、第3電磁弁113よりも上側に配置される。そのため、第3電磁弁113と第2キャピラリーチューブ122及び第2電磁弁112とを接続する配管138は、第3電磁弁113から上方向に延びる。ただし、第3電磁弁113は、第1電磁弁111の直下で、第1電磁弁111の吐出口から下方向に延びる配管111Dの近傍に配置される。そのため、第3電磁弁113から上方向に延びる配管138を底面166の法線方向に延ばすと第1電磁弁111の吐出口から下に延びる配管111Dに干渉してしまうので、以下の方法で干渉を回避する。
図13は、各電磁弁のコイル部を取り除いた状態の切替機構10の背面図である。第3電磁弁113から上方に延びる配管138は、配管111Dへの干渉を考慮して、図13に示すように底面166の法線方向から左上方に向かって傾斜する。これにより、第1電磁弁111の吐出口から下に延びる配管111Dと、第3電磁弁113から上方向に延びる配管との干渉を避けて、第1電磁弁111と第3電磁弁113とを近づけることができる。
第1キャピラリーチューブ121は、細い配管を螺旋状に形成した減圧機構である。第1キャピラリーチューブ121は、第1冷媒配管101に設けられる図示しない逆止弁をバイパスするように第1冷媒配管101に接続されている。切替ユニット1を含む多室型空気調和装置を設置した後は、冷媒回路に冷媒を充填する前に冷媒回路内を真空引きする必要があるが、このとき、逆止弁により真空引きができなくなる。そこで、上記のように逆止弁をバイパスするように第1キャピラリーチューブ121を設けることで、冷媒回路内を真空引きする際に第1キャピラリーチューブ121を経由して真空引きが行えるようにしている。
この第1キャピラリーチューブ121を冷媒が通過する際には、冷媒流動音が発生する。以下では、冷媒流動音を冷媒音と記載する場合がある。第1キャピラリーチューブ121における冷媒音を低減するために、12組の切替機構10をまとめた切替機構群100が本体ケース16に収納される前に、ブチルゴムが第1キャピラリーチューブ121に貼りつけられる。ブチルゴムは、第1キャピラリーチューブ121を1枚のシートで挟むように貼り付けられる。
図14は、ブチルゴムの貼り付け時の切替機構群100の載置状態を表す図である。ブチルゴムの貼り付け作業は、図14で示すように切替機構群100における第1電磁弁111、第2電磁弁112及び第4電磁弁114が室内機側ガス接続管14や室内機側液接続管15より上方に配置されるように置いた状態で行われる。ブチルゴムを貼り付ける場合、図14におけるD1方向及びD2方向からのアクセスしやすい場所に、第1キャピラリーチューブ121が配置されていることが好ましい。そして、ブチルゴムの貼り付け作業を行うには、第1キャピラリーチューブ121の両側に作業者の手指が容易に挿入できる寸法、例えば20mm以上の隙間を設けることが好ましい。
ここで、第1キャピラリーチューブ121は、本体ケース16の前後方向では第1電磁弁111と副高圧ガス管11aとの間、本体ケース16の左右方向では一番右に配置されるものを除き第1冷媒配管101の間、本体ケース16の上下方向では第1冷媒配管101と第2冷媒配管102との間で第1冷媒配管101寄りの位置に配置され、第1冷媒配管101とほぼ同じ高さとなるように配置される。
第1キャピラリーチューブ121は、ブチルゴムの貼り付け作業時に作業者の貼り付け作業を容易にするために、切替機構10のなるべく外側に近い位置に存在することが好ましい。そこで、第1キャピラリーチューブ121が第1冷媒配管101に接続されることから、第1キャピラリーチューブ121と第1冷媒配管101との接続配管を最短にするため、第1キャピラリーチューブ121は、図14のD1方向からアクセスしやすい第1冷媒配管101の近傍に配置される。
また、第1キャピラリーチューブ121は、螺旋状の配管における円周が形成する平面が、本体ケース16の右側面164あるいは左側面165に略平行となるように配置される。図15は、図14における切替機構群100のD1矢視図である。第1キャピラリーチューブ121は、図15に示すように、第1キャピラリーチューブ121の右側の第1冷媒配管101との間の距離L11、及び、第1キャピラリーチューブ121の左側の第1冷媒配管101との間の距離L12がともに20mm以上となるように配置される。ここで、図5における左右は、切替ユニット1における左右と逆である。
第2キャピラリーチューブ122は、螺旋状の細い配管を備えた減圧機構である。前述したように、第2キャピラリーチューブ122はその一端が第1冷媒配管101に接続され、他端が第2電磁弁112と第3電磁弁113とが接続している箇所に接続される。
第2キャピラリーチューブ122も、第1キャピラリーチューブ121と同様に冷媒が流れる際に冷媒音が発生する。そこで、第2キャピラリーチューブ122における冷媒音を低減するために、12組の切替機構10をまとめた切替機構群100が本体ケース16に収納される前に、ブチルゴムが第2キャピラリーチューブ122に貼り付けられる。ブチルゴムは、第2キャピラリーチューブ122を1枚のシートで挟むように貼り付けられる。
第2キャピラリーチューブ122も、ブチルゴムの貼り付け作業時に作業者の貼り付け作業を容易にするために、切替機構10のなるべく外側に近い位置に存在することが好ましい。第2キャピラリーチューブ122は、本体ケース16の前後方向では第1電磁弁111と副高圧ガス管11aとの間、本体ケース16の左右方向では一番右に配置されるものを除き第1冷媒配管101の間、本体ケース16の上下方向では第1冷媒配管101と第2冷媒配管102とのとの間で第1冷媒配管101よりの位置に配置され、第1冷媒配管101とほぼ同じ高さとなるように配置される。これにより、作業者は、第2キャピラリーチューブ122に対して図14のD1方向からアクセスしやすくなる。ここで、第2キャピラリーチューブ122は、第1キャピラリーチューブ121より本体ケース16における背面163側に配置される。
また、第2キャピラリーチューブ122は、螺旋状の配管における円周が形成する平面が、本体ケース16の右側面164あるいは左側面165に略平行となるように配置される。そして、第2キャピラリーチューブ122は、図15に示すように、第2キャピラリーチューブ122の右側の第1冷媒配管101との間の距離L21、及び、第2キャピラリーチューブ122の左側の第1冷媒配管101との間の距離L22が共に作業者の手指が容易に挿入できる寸法、例えば20mm以上となるように配置される。
第3キャピラリーチューブ123は、螺旋状の細い配管を備えた減圧機構である。前述したように、第3キャピラリーチューブ123は、その一端が第2電磁弁112と第3電磁弁113とが接続している箇所に接続され、他端が室内機側ガス接続管14に接続される。
第3キャピラリーチューブ123も、第1キャピラリーチューブ121や第2キャピラリーチューブ122と同様に冷媒が流れる際に冷媒音が発生する。そこで、第3キャピラリーチューブ123における冷媒音を低減するために、12組の切替機構10をまとめた切替機構群100が本体ケース16に収納される前に、ブチルゴムが第3キャピラリーチューブ123に貼り付けられる。ブチルゴムは、第3キャピラリーチューブ123を1枚のシートで挟むように貼り付けられる。
第3キャピラリーチューブ123も、ブチルゴムの貼り付け作業時に作業者の貼り付け作業を容易にするために、切替機構10のなるべく外側に近い位置に存在することが好ましい。そこで、第3キャピラリーチューブ123の一端が第3冷媒配管103に接続され他端が第3電磁弁113に接続されることから、第3キャピラリーチューブ123と第3冷媒配管103及び第3電磁弁113との接続配管を最短にするため、第3キャピラリーチューブ123は、図14のD2方向からアクセスしやすい第4冷媒配管104及び第3冷媒配管103の近傍に配置される。第3キャピラリーチューブ123は、本体ケース16の前後方向では副液管13aと副低圧ガス管12aとの間、本体ケース16の左右方向では一番右に配置されるものを除き第3冷媒配管103の間、本体ケース16の上下方向では第3冷媒配管103と第4冷媒配管104との間の第3冷媒配管103よりの場所に配置することで、図14のD2方向からアクセスしやすくなる。
また、第3キャピラリーチューブ123は、螺旋状の配管における円周が形成する平面が、本体ケース16の右側面164あるいは左側面165に略平行となるように配置される。図16は、図14における切替機構群100のD2矢視図である。第3キャピラリーチューブ123は、図16に示すように、第3キャピラリーチューブ123の左側の第3冷媒配管103との間の距離L31、及び、第3キャピラリーチューブ123の右側の第3冷媒配管103との間の距離L32がともに作業者の手指が容易に挿入できる寸法、例えば20mm以上となるように配置される。
このように、第1キャピラリーチューブ121、第2キャピラリーチューブ122及び第3キャピラリーチューブ123がそれぞれ外部からアクセスしやすい位置に配置されるため、ブチルゴムの貼り付け作業の作業性が改善される。作業者は、第1キャピラリーチューブ121、第2キャピラリーチューブ122及び第3キャピラリーチューブ123に容易にアクセスでき、ブチルゴムの貼り付けを確実且つ容易に行うことが可能となる。
本体ケース16に切替機構群100が収納された後には、本体ケース16内に発泡断熱材を注入して本体ケース16内を発泡断熱材で充填する。これにより、切替機構群100のうちの本体ケース16の内部に収容された部分(室内機側ガス接続管14の外部に突き出た部分、室内機側液管接続管15の外部に突き出た部分、及び、コイル部111B~114Bを除く部分)が発泡断熱材で覆われて、切替機構群100における発泡断熱材で覆われた部品の結露などを防止することができる。
図17は、切替ユニット1を上方から見た平面図である。ここで、発泡断熱材の注入及び充填について図17を参照して説明する。本体ケース16の上面161には、発泡断熱材の発泡前の原液を注入する複数の注入口601が形成される。本実施例では、注入口601は、上面161における切替ユニット1の背面163に近い領域に設けられる。
本実施例では、発泡断熱材として、例えばイソシアネートを主とするA液とポリオールを主とするB液を混合させた2液性簡易発泡硬質ウレタンフォームが用いられる。2液性簡易発泡硬質ウレタンフォームは、A液とB液とを混合させた直後には液状である。このA液とB液とを混合させた直後の液体を、以下では「発泡原液」と言う。そして、混合されたA液とB液とは化学反応を起して一定時間経過後に発泡してフォームを形成する。
注入口601から注入された発泡原液は、本体ケース16の底面166に溜まり出す。図18は、本体ケース16の上面161を取り除いた状態を表す図である。図18に示すように、本体ケース16の上部には、切替機構群100の第1冷媒配管101が配置される。そのため、発泡原液は、第1冷媒配管101の側から注入されることになる。そして、発泡原液は、第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103、第4冷媒配管104の順で各冷媒配管の脇を通過して底面166に到達する。
前述したように、第1冷媒配管101と第2冷媒配管102とは、上下方向に一列に並べて配置される。また、第3冷媒配管103と第4冷媒配管104とは、上下方向に一列に並べて配置されるとともに第1冷媒配管101及び第2冷媒配管102より左側に配置され、且つ、第3冷媒配管103が第2冷媒配管102より低い位置に配置される。これにより、本体ケース16の複数の注入口601から注入された発泡原液は、上下に並んだ第1冷媒配管101及び第2冷媒配管102と、上下に並んだ第3冷媒配管103及び第4冷媒配管104との間を流れて底面166に落下する。
発泡原液が注入口601から底面166へと流れる際、第1冷媒配管101と第2冷媒配管102とが、また、第3冷媒配管103と第4冷媒配管104とがそれぞれ上下方向に一列に並べて配置されているため、各配管が左右方向に並べて配置される場合と比べて、発泡原液が流れる際の抵抗が低減される。また、前述したように、第1冷媒配管101の間に配置されている第1キャピラリーチューブ121及び第2キャピラリーチューブ122、並びに、第3冷媒配管103の間に配置されている第3キャピラリーチューブ123のそれぞれは、第1冷媒配管101~第4冷媒配管104より細い配管で形成され、且つ、第1キャピラリーチューブ121~第3キャピラリーチューブ123のそれぞれの螺旋状の配管における円周が形成する平面が、本体ケース16の右側面164あるいは左側面165に略平行となるように配置されている。このため、発泡原液が注入口601から底面166へと流れる際にこれら第1キャピラリーチューブ121~第3キャピラリーチューブ123のそれぞれから受ける抵抗も低減できる。
注入口601から注入されて底面166に到達した発泡原液は、本体ケース16の底面166で広がり溜まっていく。ここで、本体ケース16の背面163の近傍には、第1電磁弁111、第2電磁弁112、第3電磁弁113及び第4電磁弁114が配置される。さらに、本体ケース16の背面163の近傍には、第1電磁弁111及び第4電磁弁114のそれぞれから延びる第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103及び第4冷媒配管104が存在する。そのため、本体ケース16の背面163側は、前面162側に比べて切替機構10を構成する各部材の密集度が高く、本体ケース16の前面162側と比べて注入口601から注入されて底面166へと流れる発泡原液が受ける抵抗が大きい。
本実施形態の切替ユニット1では、上述した、本体ケース16内部における前後方向の切替機構10を構成する各部材の密集度の違いを考慮して、上面161における注入口601が背面163に近い領域に設けられている。これにより、発泡原液は、部材の密集度の高い背面163側において上方から底面166へと落下するとともに、背面163側から部材の密度の低い前面162側に向けて流れていく。したがって、部材の密集度の高い背面163側では、上方から注入される発泡原液によって先に注入された発泡原液が下方へと押しやられて底面166に到達し、底面166に到達した発泡原液が、背面163側より部材の密集度の低いつまり発泡原液が流れる際に部材から受ける抵抗が小さい前面162側に流れるので、本体ケース16全体に過不足なく発泡原液を充填できる。
注入口601から本体ケース16の内部に注入された発泡原液は、A液とB液とが反応して発泡する。発泡原液が発泡すると、本体ケース16の底面166から上面161に向かって体積が増加していく。この場合、発泡した発泡原液は、上方向に向かって体積が増加する。したがって、この発泡断熱材の体積が増大する方向は、切替ユニットの上下方向にあたる。図19は、冷媒配管間の距離が近い場合に、発泡断熱材が発泡していく過程を表した図である。このとき、図19に示すように、本体ユニット16の内部に格納されている冷媒配管のうちの直径が12mm以上の冷媒配管の間隔が小さい場合は、発泡原液(以降、発泡断熱材50と記載する)が上方に向かって発泡していく際に冷媒配管の間で発泡が進みにくくなって、冷媒配管の間で発泡が完了してしまうおそれがある。このように、冷媒配管の間で発泡が完了してしまうと、各冷媒配管の横から斜め上方にかけて発泡断熱材50が存在しない空間P3が生じるおそれがあり、空間P3が生じるとこの空間P3で各冷媒配管が空気に露出して結露が発生するという問題がある。
そこで、本実施例に係る切替ユニット1では、本体ユニット16の内部に格納されている冷媒配管のうち、直径が12mm以上の冷媒配管である第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103、および、第4冷媒配管104については、互いの間隔を発泡断熱材50の発泡の妨げとならない寸法、例えば、互いの間隔を各冷媒配管の直径以上の寸法としている。つまり、第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103、及び、第4冷媒配管104のそれぞれが、発泡断熱材の体積が増大する方向に対して異なる位置に配置される。これにより、各冷媒配管の間を発泡断熱材50が上方に向かって発泡していく際に発泡断熱材50の発泡が完了する前に空間P3に到達して各冷媒配管の周囲を発泡断熱材50で満たすことができるので、各冷媒配管が空気に露出して結露が発生することがない。
また、本実施例に係る切替ユニット1は、切替機構10が有する配管のうち直径が12mm以上の比較的太い第1冷媒配管101、第2冷媒配管102、第3冷媒配管103及び第4冷媒配管104の間に隣接する冷媒配管の直径以上の隙間が設けられていることで、各冷媒配管の間の空間が広く取られて発泡断熱材の発泡時の妨げとならずに各冷媒配管の間を発泡断熱材で充填できる。これにより、図19に示した空間P3のような発泡断熱材が行き届かない空間の発生を抑止でき、発泡断熱材は、本体ケース16の中に隙間なく充填される。したがって、本体ケース16での結露の発生を抑制することができる。
図20は、切替ユニット1の製造工程の概要を表すフローチャートである。次に、切替ユニット1の製造工程の概要を図20を参照して説明する。
第1電磁弁111の配管111Cに、継手配管130がロウ付けされる。この際、前述したように第1電磁弁111を横向けに置き、ロウ付け部が横向きになるようにした状態で弁本体111Aに散水しながら、ロウ付けが行われる(ステップS1)。これにより、図7に示した継手配管130が弁本体111Aに接続された状態の第1電磁弁111が完成する。
ここで、第1電磁弁111と第4電磁弁114とは、ともに直径の大きな冷媒配管が接続される。第1電磁弁111には、第1冷媒配管101と第2冷媒配管102とが接続される。また、第4電磁弁114には、第3冷媒配管103と第4冷媒配管104とが接続される。一般的に、直径が大きい冷媒配管をロウ付けする場合、ロウ付けに伴う熱量が多くなるため弁本体がダメージを受け易い。この点、本実施例に係る第4電磁弁114における接続部となる配管114C及び114Dは長いため、ロウ付け箇所から距離があり弁本体114Aがダメージを受けることはない。そのため、第4電磁弁に対しては、継手配管を介さずに配管114Cには第3冷媒配管103が直接ロウ付けされ、配管11Dには第4冷媒配管が直接ロウ付けされる(直接ロウ付けステップ)。これに対して、第1電磁弁111における各冷媒配管の接続部となる配管111Cや配管111Dは短いため、ロウ付けの際に弁本体111Aが熱によるダメージを受ける可能性が高い。そこで、第1電磁弁111では、配管111Cに継手配管130を前もって接続し、配管111Dに継手配管134を前もって接続する。
次に、第1電磁弁111~第4電磁弁114と、第1冷媒配管101~第4冷媒配管104と、第1キャピラリーチューブ121~第3キャピラリーチューブ123とが、相互にロウ付けされる(ステップS2)。
ここで、図21A及び21Bを参照して、第1電磁弁111及び第4電磁弁114への第2冷媒配管102及び第3冷媒配管103の接続工程を説明する。図21Aは、第1電磁弁111及び第4電磁弁114への第2冷媒配管102及び第3冷媒配管103のロウ付けを説明するための平面図である。また、図21Bは、第1電磁弁111及び第4電磁弁114への第2冷媒配管102及び第3冷媒配管103のロウ付けを説明するための斜視図である。
図21Aに示すように、第1電磁弁111の流出口から延びる配管111Dに第2冷媒配管102の一端がロウ付けされる。この際、第1電磁弁111を冷却するために第1電磁弁111を濡れた布で覆った状態でロウ付けを行う。第1電磁弁111の弁本体111Aからロウ付け個所までは十分な距離が確保されており、濡れた布を被せる程度で第1電磁弁111を熱から守ることができる。また、第4電磁弁114の一方の接続部に第3冷媒配管103の一端がロウ付けされる。そして、第2冷媒配管102の他端が第3冷媒配管103における直線部301より第4電磁弁114寄りの箇所にロウ付けされる。このようにして接続された第1電磁弁111、第4電磁弁114、第2冷媒配管102、及び、第3冷媒配管103が、図21Bに示すように、4つまとめられる。ここでは、4つの切替機構10を1つの組にして切替機構群100の一部を作成し、その後に4つの切替機構10の組を3つつなげることで切替機構群100の全体を構成する。以下では、第1電磁弁111及び第4電磁弁114に、第2冷媒配管102及び第3冷媒配管103がロウ付けにより接続された部品を4つ1組にしたものを、「吐出吸入弁サブ組」という。
次に、図22A及び22Bを参照して、第2電磁弁112及び第3電磁弁113への第2キャピラリーチューブ122及び第3キャピラリーチューブ123の接続を説明する。図22Aは、第2電磁弁112及び第3電磁弁113への第2キャピラリーチューブ122及び第3キャピラリーチューブ123のロウ付けを説明するための平面図である。また、図22Bは、第2電磁弁112及び第3電磁弁113への第2キャピラリーチューブ122及び第3キャピラリーチューブ123のロウ付けを説明するための斜視図である。
図22Aに示すように、第2電磁弁112には、第2キャピラリーチューブ122の一端及び第3キャピラリーチューブ123の一端が冷媒配管を介して接続される。同様に、第3電磁弁113にも、第2キャピラリーチューブ122の一端及び第3キャピラリーチューブ123の一端が冷媒配管を介して接続される。そして、第2キャピラリーチューブ122と第3キャピラリーチューブ123とが接続されることにより、第2キャピラリーチューブ122は第1電磁弁111の近傍に位置し、また、第3キャピラリーチューブ123は第4電磁弁114の近傍に位置する。このようにして、第2電磁弁112及び第3電磁弁113に第2キャピラリーチューブ122及び第3キャピラリーチューブ123が相互に接続されたものが、図22Bに示すように、4つまとめられる。以下では、第2電磁弁112及び第3電磁弁113に、第2キャピラリーチューブ122及び第3キャピラリーチューブ123が接続されたものを4つ1組にした部品を「加圧減圧弁サブ組」という。
図20に戻って組み立て工程の説明を続ける。ステップS2に続いて、副高圧ガス管11a及び副低圧ガス管12aの組み立てが行われる(ステップS3)。具体的には、まず副低圧ガス管12aに枝管211A、211Bを接続する孔が形成され、これら各孔の周縁部にバーリング加工が行われる。図23は、低圧ガス管組の斜視図である。前述したように、バーリング加工された孔は、副低圧ガス管12aの円周方向で90度ずれた位置に設けられるため、各孔に枝管211A及び枝管211Bがロウ付けされることによって、図23に示すように、枝管211Aと枝管211Bとは、それぞれ管軸方向に一列に並んで配置され、且つ、枝管211Aと枝管211Bとが円周方向に90度ずれた位置に配置される。このように、低圧ガス管12の副低圧ガス管12aの部分に枝管211A、211Bがそれぞれ4本接続された部品を「低圧ガス管組」という。
図24は、高圧ガス管組の斜視図である。副高圧ガス管11aには、図24に示すように、第1冷媒配管101及び第1キャピラリーチューブ121がロウ付けされる。このように、高圧ガス管11の副高圧ガス管11aの部分に4本の第1冷媒配管101が接続された部品を「高圧ガス管組」という。
図20に戻って組み立て工程の説明を続ける。ステップS3に続いて、切替機構10を4つまとめて1つの組となるように組み立てる(以降、切替機構10を4つまとめたものを配管部分組100A~100Cと記載する。)(ステップS4)。図25は、配管部分組100A~100Cの一例の斜視図である。図25は、本体ケース16の左側に配置される配管部分組100Aを表す。図26は、配管部分組100Aを組み付ける板金で形成された支持台200に組み込んだ状態を説明するための図である。具体的には、図26に示すように、支持台200に、低圧ガス管組、吐出吸入弁サブ組、加圧減圧弁サブ組及び高圧ガス管組を搭載して固定しつつ相互のロウ付けを行う。この時、例えば、第1電磁弁111の配管111Cに接続された継手配管130と第1冷媒配管101とのロウ付けが行われる。この継手配管130と第1冷媒配管101とのロウ付けでは、継手配管130が介在するため、ロウ付け箇所と弁本体111Aとの間の距離が広く確保でき、弁本体111Aに濡れた布をかぶせることで弁本体11Aの温度上昇を抑えることができる。
図27は、配管部分組100A~100Cの外観斜視図である。図27に示すように、本体ケース16には、配管部分組100Aに加えて、本体ケース16の中央に配置される配管部分組100Bが配置され、本体ケース16の右側に配管部分組100Cが配置される。この配管部分組100A~100Cを含むものを「配管総組100D」という。ステップS4の工程により、配管総組100Dが完成する。
図20に戻って組み立て工程の説明を続ける。ステップS4に続いて、配管総組100Dを本体ケース16に収納する筐体組み立てを行う(ステップS5)。具体的には、以下の方法で筐体組み立てを行う。
図28Aは、電磁弁仕切板171を取り付けた状態の配管総組100Dを正面側から見た斜視図である。また、図28Bは、電磁弁仕切板171を取り付けた状態の配管総組10Dを背面側から見た斜視図である。まず、図28A及び28Bに示すように、配管総組100Dの背面163の側に電磁弁仕切板171を取り付ける。
図29は、ブチルゴムシートの貼り付けを説明するための斜視図である。図29に示すように電磁弁仕切板171を下にして配管総組100Dを作業台に載置する。図29の状態で、D1方向から第1キャピラリーチューブ121及び第2キャピラリーチューブ122のそれぞれにブチルゴムシート172が貼り付けられ、D2方向から第3キャピラリーチューブ123にブチルゴムシート172を貼り付けられる。ブチルゴムシート172は、第1キャピラリーチューブ121、第2キャピラリーチューブ122及び第3キャピラリーチューブ123のそれぞれを挟んで両面から覆うように貼り付けられる。以下の工程の説明に用いる図面では、ブチルゴムシート172の図示を省略している。
図30は、配管総組100Dを外胴602に搭載する工程を表す図である。図30に示すように、配管断熱材173が配管総組100Dに取り付けられる。具体的には、配管断熱材173は、副高圧ガス管11a及び副低圧ガス管12aの外胴602に接触する箇所に取り付けられる。外胴602は、本体ケース16の一部を形成する部材である。そして、配管断熱材173を取り付けた配管総組100Dを外胴602に搭載する。配管総組100Dを外胴602に搭載した状態が、図30の紙面に向かって一番下の図で表される。
図31Aは、副液管13aに室内機側液管接続管15を接続した状態の斜視図である。また、図31Bは、副液管13a及び室内機側液管接続管15に配管断熱材131及び配管断熱材151を取り付けた状態の斜視図である。配管総組100Dを外胴602に搭載するまでの工程と並行して、図31Aに示される副液管13aに配管断熱材131を取り付け、室内機側液管接続管15に配管断熱材151を取り付けて図31Bの状態とする。この配管断熱材131及び配管断熱材151も、副液管13a及び室内機側液管接続管15の外胴602に接触する箇所に取り付けられる。
図32は、切替機構群100、副液管13a及び室内機側液管接続管15を外胴602に搭載した状態の斜視図である。図32に示すように、配管総組100Dを搭載した外胴602に室内機側液管接続管15が接続された副液管13aを搭載する。これにより、外胴602に切替機構群100が搭載された状態となる。
次に、切替機構群100を搭載した外胴602に外胴下603を取り付ける。図33は、切替ユニット1を底面166側から見た斜視図である。また、図34は、切替ユニット1を上面161側から見た斜視図である。これにより、図33及び図34に示すように、本体ケース16に切替機構群100が収納された状態が完成する。
以上のように組み立てが完成した切替ユニット1に対して、上面161に設けられた注入口601から発泡原液を注入する。本体ケース167に注入された発泡原液は、前述したように本体ケース16の底に溜まって広がり、その後、発泡断熱材が本体ケース16内で発泡していくことで、本体ケース16内に発泡断熱材が隙間なく充填される。
図20に戻って説明を続ける。ステップS5に続いて、本体ケース16の背面163側から各第1電磁弁111~第4電磁弁114の弁本体111A~114Aのそれぞれにコイル部111B~114Bを取り付けるとともに、各電磁弁の制御などを行う電装部品を取り付ける(ステップS6)。これにより、切替ユニット1が完成する。
以上に説明したように、本実施例に係る切替ユニットは、継手配管と第1電磁弁から延びる第1冷媒配管に接続される側の配管とを配管部分組の組み立て工程以前に予めロウ付けする。電磁弁の近傍におけるロウ付けでは、電磁弁を十分に冷却するため電磁弁に散水しながらロウ付けを行うことが好ましい。この点、本実施例では継手配管と第1電磁弁とを先にロウ付けするので、継手配管と第1電磁弁とを水平に並べた状態でロウ付けが行えるため、第1電磁弁に散水してもロウ付け個所に水が掛からない。
また、本実施例に係る切替ユニットは、配管部分組の組み立て時には、継手配管を接続した第1電磁弁が第1冷媒配管にロウ付けされる。配管部分組の組み立て時には、第1冷媒配管の接続部分を上向きにした状態で吐出吸入弁サブ組を載置し、その第1冷媒配管の接続部分に上から第1電磁弁に一端が接続された継手配管の他端を接触させてロウ付けを行う。この場合、第1電磁弁は、ロウ付け個所の上部にあるため、第1電磁弁に散水を行うとロウ付け個所に水がかかりロウ付けが困難となる。これに対して、本実施例におけるロウ付けでは、継手配管の介在によりロウ付け個所と第1電磁弁との距離が離れるため、濡れた布を第1電磁弁にかぶせてロウ付けを行うことで第1電磁弁を十分に冷却できるため、散水によりロウ付け個所に水がかかることがない。このように、本実施例に係る切替ユニットは、電磁弁と冷媒配管とのロウ付けによる接続を、容易且つ確実に行うことができる。