以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品装着システム、部品装着装置、検査装置、管理装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。図2、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸方向として、基板搬送方向のX方向(図2における左右方向)、基板搬送方向に直交するY方向(図2における上下方向)が示される。図3、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ方向(図3における上下方向)が示される。Z方向は、部品装着装置が水平面上に設置された場合の上下方向または直交方向である。図4、及び後述する一部では、Z方向の軸(Z軸)を回転軸とする回転の方向であるθ方向が示される。
まず図1を参照して、部品装着システム1の構成を説明する。部品装着システム1は、基板に部品を装着して実装基板を生産する機能を有している。部品装着システム1は、複数の部品装着装置M1~M3、検査装置M4を連結して構成されている。部品装着装置M1~M3、検査装置M4は、通信ネットワーク2を介して管理装置3に接続されている。管理装置3は、部品装着システム1による実装基板の生産を総括管理し、部品装着装置M1~M3が基板に部品を装着する部品装着作業を支援する。なお、部品装着システム1が備える部品装着装置M1~M3は3台に限定されることなく、1台、2台でも、4台以上であってもよい。
次に図2、図3を参照して、部品装着装置M1~M3の構成を説明する。部品装着装置M1~M3は同様の構成であり、ここでは部品装着装置M1について説明する。部品装着装置M1において、基台4の中央には、基板搬送機構5がX方向に設置されている。基板搬送機構5は、上流側から搬入された部品装着対象となる基板6をX方向へ搬送し、以下に説明する装着ヘッドによる装着作業位置に位置決めして保持する。また、基板搬送機構5は、部品装着作業が完了した基板6を下流側に搬出する。
図2において、基板搬送機構5の両側方(前後)には、それぞれ部品供給部7が設置されている。両側の部品供給部7にX方向に並列してテープフィーダ8が装着されている。テープフィーダ8は、部品を格納するポケットが形成されたキャリアテープを部品供給部7の外側から基板搬送機構5に向かう方向(テープ送り方向)にピッチ送りすることにより、装着ヘッドが部品をピックアップする部品取出し位置に部品を供給する。
基台4の上面におけるX方向の両端部には、リニア駆動機構を備えたY軸テーブル9が配置されている。Y軸テーブル9には、同様にリニア機構を備えたビーム10がY方向に移動自在に結合されている。ビーム10には、装着ヘッド11がX方向に移動自在に装着されている。装着ヘッド11は、複数(ここでは4基)の保持ヘッド12を備えた多連型ヘッドである。
図3において、それぞれの保持ヘッド12の下端部には吸着面13aに部品Dを吸着して保持する吸着ノズル13が装着されている。各保持ヘッド12は、吸着ノズル13を上下方向(垂直方向)に昇降させるノズル昇降機構14と、吸着ノズル13を垂直軸(Z軸)回りにθ回転させるノズル回転機構(図示省略)を備えている。保持ヘッド12は、吸着ノズル13をノズル回転機構で所定の回転角度に回転させ、ノズル昇降機構14でZ方向の所定の実装高さに下降させて(矢印a)、吸着ノズル13に保持する部品Dを基板6の上面6aに実装する。
図2、図3において、Y軸テーブル9およびビーム10は、装着ヘッド11を水平方向(X方向、Y方向)に移動させる装着ヘッド移動機構15を構成する。装着ヘッド移動機構15およびノズル昇降機構14を備える装着ヘッド11は、部品供給部7から部品Dを取り出して基板6の装着位置に装着する部品装着作業を実行する部品装着部16を構成する。すなわち、部品装着部16は、保持する部品Dを水平方向と垂直方向に移動させる機能を有している。部品装着作業において部品装着部16は、部品供給部7から装着ヘッド11が備える各吸着ノズル13で所定の部品Dをそれぞれピックアップし、各吸着ノズル13が保持する部品Dを基板6の装着位置に所定の回転角度で装着する一連のターンを繰り返す。
なお、装着ヘッド11が備える保持ヘッド12の数は、4基に限定されることはない。また、装着ヘッド11は、複数の吸着ノズル13を同心円状に配置したロータリー型ヘッドであってもよい。また、装着ヘッド11が部品Dを保持する方法は、吸着ノズル13による真空吸着に限定されることはなく、チャックで部品Dを把持する方法などであってもよい。
ここで図3を参照して、基板搬送機構5の詳細な構成について説明する。基板搬送機構5は、X方向に延伸する一対の板状部材17の内側に、一対の搬送コンベア18が設置されている。搬送コンベア18は、図示省略するモータで駆動される搬送ベルトによって、基板6の両端を下方から支持してX方向に搬送する。一対の板状部材17の上端には、それぞれ搬送コンベア18の上方に張り出す押え板19(図2も参照)が設置されている。押え板19の下面と搬送コンベア18の上面との間隔は、搬送コンベア18によって搬送される基板6の厚さより広くなっている。
装着作業位置に搬送される基板6の下方には、シリンダ20によって昇降する(矢印b)下受け部材21(図2も参照)が設置されている。基板搬送機構5は、基板6を装着作業位置に位置決めし、下受け部材21を上昇させて基板6を搬送コンベア18から持ち上げて基板6の両縁部を押え板19の下面で上から押さえ込むことによって、基板6を装着作業位置に保持する(図3に示す状態)。基板搬送機構5は、基板6を搬送する際は、下受け部材21を基板6の下面と干渉しない位置まで下降させる。
図2、図3において、ビーム10には、ビーム10の下面側に位置して装着ヘッド11とともに一体的に移動する基板認識カメラ22が装着されている。装着ヘッド11が移動することにより、基板認識カメラ22は基板搬送機構5の装着作業位置に位置決めされた基板6の上方に移動して、基板6に設けられた基板マーク(図示せず)を撮像して基板6の位置を認識する。
部品供給部7と基板搬送機構5との間には、部品認識カメラ23が設置されている。部品認識カメラ23は、部品供給部7から部品Dを取り出した装着ヘッド11が部品認識カメラ23の上方に位置した際に、吸着ノズル13に保持された部品Dを下方から撮像する。装着ヘッド11による部品Dの基板6への部品装着作業では、基板認識カメラ22による基板6の認識結果と部品認識カメラ23による部品Dの認識結果とを加味して補正が行われる。
図2において、部品装着装置M1の前面で作業者が作業する位置には、作業者が操作するタッチパネル24が設置されている。タッチパネル24は、その表示部に各種情報を表示し、また表示部に表示されるボタンなどを使って作業者がデータ入力や部品装着装置M1の操作を行う。
図1、図6において、検査装置M4は、部品装着装置M1~M3によって部品Dが装着された基板6(以下、単に「部品装着済み基板6A」と称する。)における部品Dの装着状態を検査して、部品Dの正規の装着位置からの位置ずれ量などを検出する。検査装置M4は、基板搬送機構60、検査カメラS、カメラ移動機構61を備えている。基板搬送機構60は、上流側の部品装着装置M3から搬入された部品装着済み基板6AをX方向に搬送し、検査作業位置に位置決め保持する。カメラ移動機構61は、検査カメラSを水平方向(X方向、Y方向)に移動させる。
検査カメラSは、カメラ移動機構61によって水平方向に移動して、検査作業位置に保持された部品装着済み基板6Aの上面を上方から撮像し、部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの有無や位置ずれなどの装着状態を検査する。検査装置M4により検査された部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着状態に関する検査結果情報は、通信ネットワーク2を介して管理装置3、部品装着装置M1~M3に送信される。なお、検査装置M4は、必ずしも部品装着装置M3に連結されている必要はない。部品装着装置M1~M3によって部品Dが装着された部品装着済み基板6Aを、作業者や搬送ロボットによって検査装置M4に搬送するようにしてもよい。
ここで図4を参照して、検査結果情報に含まれる位置ずれ量の一例について説明する。部品装着装置M1~M3において部品装着部16は、保持した部品Dの所定位置(例えば、部品中心C)が基板6(部品装着済み基板6A)の装着位置Pに一致するように部品Dを装着する。このとき、様々な要因で装着された部品Dの部品中心Cが装着位置Pに一致せずに、位置ずれすることがある。検査装置M4が備える位置ずれ量算出部64(図6参照)は、検査カメラSによって撮像された部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの撮像結果を画像処理して、X方向の位置ずれ量ΔX,Y方向の位置ずれ量ΔY、θ方向の位置ずれ量Δθをそれぞれ算出する。
次に図5、図6を参照して、部品装着システム1の構成について説明する。部品装着システム1は、部品装着装置M1~M3、検査装置M4および管理装置3を備えている。部品装着装置M1~M3は同様の構成であり、ここでは部品装着装置M1について説明する。部品装着装置M1が備える装着制御装置30には、基板搬送機構5、下受け部材21を昇降させるシリンダ20、部品供給部7に装着されたテープフィーダ8、部品装着部16を構成するノズル昇降機構14および装着ヘッド移動機構15、基板認識カメラ22、部品認識カメラ23、タッチパネル24が接続されている。
装着制御装置30は、搬送制御部31、装着制御部32、情報取得部33、装着判断部34、動作決定部35、装着通信部36、装着記憶部37を備えている。装着記憶部37は記憶装置であり、位置情報38、部品情報39、基板情報40、検査結果情報41、判断情報42、装着動作情報43、装着情報44などを記憶している。装着通信部36は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して他の部品装着装置M2,M3、検査装置M4、管理装置3との間でデータの送受信を行う。
図5において、管理装置3は、管理処理部50、管理記憶部51、表示部52、入力部53、管理通信部54などを備えている。表示部52は液晶パネルなどの表示装置であり、各種データ、操作画面などを表示する。入力部53は、キーボード、タッチパネル、マウスなどの入力装置であり、操作コマンドやデータ入力時に用いられる。管理通信部54は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して部品装着装置M1~M3、検査装置M4との間でデータの送受信を行う。
図6において、検査装置M4が備える検査制御装置62には、基板搬送機構60、カメラ移動機構61、検査カメラSが接続されている。検査制御装置62は、検査制御部63、位置ずれ量算出部64、検査通信部65、検査記憶部66を備えている。検査記憶部66は記憶装置であり、位置情報67、部品情報68、検査結果情報69などを記憶している。検査通信部65は通信インターフェースであり、通信ネットワーク2を介して部品装着装置M1~M3、管理装置3との間でデータの送受信を行う。
図5において、搬送制御部31は、装着記憶部37に記憶される各種情報に基づいて基板搬送機構5およびシリンダ20を制御し、基板6を搬送させ、装着作業位置に位置決めして保持させる。装着制御部32は、装着記憶部37に記憶される各種情報に基づいてテープフィーダ8、部品装着部16、基板認識カメラ22、および部品認識カメラ23を制御し、テープフィーダ8が供給する部品Dを装着作業位置に保持される基板6の装着位置に装着させる部品装着作業を実行する。すなわち、装着制御部32は、部品装着部16の動作を制御する制御部である。
図5において、位置情報38には、部品Dを基板6に装着する装着位置に関する情報が含まれている。部品情報39には、基板6に装着される部品Dの種類を特定する部品名毎に、部品Dのサイズ(縦、横、高さ)、電気的特性などが含まれている。ここで、図7を参照して位置情報38の例について説明する。位置情報38には、装着位置番号70、装着位置座標71、部品名72、AM動作73、AM実行時間74、装着動作番号75などの情報が含まれている。装着位置番号70は、基板6における部品Dの装着位置Pを特定する情報である。図7には、装着位置番号70が「P01」~「P10」の装着位置Pの情報が示されている。以下、装着位置番号70が「P01」の装着位置Pを、単に「装着位置P01」などと称する(図9も参照)。
図7において、装着位置座標71は、部品Dの装着位置Pの装着座標(XY座標)と装着方向(θ方向)を含む情報である。部品名72は、その装着位置番号70の装着位置Pに装着される部品Dの種類を特定する情報である。図7では、装着位置P01、P03~P05、P07~P10には部品名72が「E」の部品Dが、装着位置P02には部品名72が「F」の部品Dが、装着位置P06には部品名72が「G」の部品Dが指定されている。以下、部品名72が「E」の部品Dを、単に「部品E」などと称する(図9も参照)。
AM動作73には、部品装着部16が保持する部品Dを水平方向(XY方向)と垂直方向(Z方向)に並行して移動させるアーチモーション動作を含む装着動作で部品Dを装着するか(Y)、アーチモーション動作を含まない装着動作で部品Dを装着するか(N)が指定されている。すなわちAM動作73が「Y」の装着位置Pには後述するアーチモーション動作を含む第1動作で、AM動作73が「N」の装着位置Pには後述するアーチモーション動作を含まない第2動作で部品Dが装着される。
図5において、基板情報40には、基板6上に設けられた仮想的に分割された複数のエリアに関する情報が含まれている。ここで図8を参照して、基板6上に設けられた複数のエリアAの例を説明する。この例では、矩形の基板6をX方向に4等分、Y方向に4等分した、合計16のエリアA11~A44が設定されている。エリアAは、基板6のサイズ、部品Dの装着密度、装着精度などを考慮し、基板種毎に設定されて基板情報40に記憶されている。図9は、図6に示す位置情報38に基づいて部品Dが装着された、部品装着済み基板6AのエリアA23とエリアA33を示している。この例では、装着位置P01~P05はエリアA23内にあり、装着位置P06~P10はエリアA33にある。
ここで図10、図11を参照して、第1動作と第2動作について説明する。図10(a)~(c)は、基板6の装着位置P1に装着済みの部品D1に隣接する装着位置P2に、部品装着部16が備える吸着ノズル13に保持した部品D2を第1動作で装着する工程を示している。図10(a)において、部品装着部16は、装着位置P2の上方の所定の近接位置Qまでの高速移動区間を、保持している部品D2を高速で水平方向に移動させる(矢印c1)。
図10(b)において、部品装着部16は、近接位置Qから装着位置P2の真上で部品D2の底面の高さ位置が基板6の上面6aから精密近接目標高さh0になる着地前位置Rまでの精密接近区間を、保持している部品D2をアーチモーション動作で移動させる(矢印c2)。すなわち装着制御部32は、部品装着部16の装着ヘッド移動機構15とノズル昇降機構14を同時に作動させ、吸着ノズル13が保持している部品D2を水平方向と垂直方向に並行して移動(斜め方向に下降)させて、部品D2を精密近接目標高さh0まで下降させる。精密接近区間での移動速度は、例えば、高速移動区間での移動速度と同等である。あるいは、精密接近区間での移動速度は、高速移動区間での移動速度よりも遅くなるように設定してもよい。この場合、装着精度を向上させることができる。
図10(c)において、部品装着部16は、部品D2の底面が着地前位置Rから装着位置P2に着地するまでの着地区間を、保持している部品D2を垂直方向に下降させる(矢印c3)。その後、真空吸着を停止して部品D2を吸着ノズル13から分離させ、部品装着部16が吸着ノズル13を上方に上昇させることで、部品D2が基板6に装着される。第1動作では、精密接近区間をアーチモーション動作により部品D2を移動させることで、装着時間を短縮することができる。
図11(a)~(d)は、基板6の装着位置P1に装着済みの部品D1に隣接する装着位置P2に、部品装着部16が備える吸着ノズル13に保持した部品D2を第2動作で装着する工程を示している。図11(a)において、高速移動区間において部品装着部16が保持している部品D2を近接位置Qまで高速で水平方向に移動させる(矢印d1)ところは第1動作と同様である。第2動作では、精密接近区間において部品装着部16がアーチモーション動作を含まずに、保持する部品D2を着地前位置Rまで移動させるところが第1動作と異なる。
すなわち、精密接近区間において部品装着部16は、保持する部品D2を水平方向に装着位置P2の真上まで移動させる(図11(b)の矢印d2)。次いで部品装着部16は、保持する部品D2を垂直方向に着地前位置Rまで下降させる(図11(c)の矢印d3)。図11(d)において、着地区間において部品装着部16が保持する部品D2を垂直方向に下降させて基板6に着地させる(矢印d4)ところは第1動作と同様である。第2動作は、精密接近区間における部品D2の移動距離が第1動作より長くなるため装着時間が第1動作より長くなる一方で、基板6に装着済みの隣接部品D1との干渉を回避することができる利点がある。
図7において、AM実行時間74は、後述する部品Dの装着動作におけるアーチモーション動作の実行時間の長さである。装着動作番号75は、後述するアーチモーション動作の実行時間が異なる予め設定された複数の装着動作(アーチモーション段階)を特定する番号である。以下、「アーチモーション動作の実行時間」を単に「アーチモーション時間」と称する。
ここで図12を参照して、アーチモーション段階の例について説明する。図12(a)は、装着動作情報43に記憶されているアーチモーション段階情報の例を示している。アーチモーション段階情報には、装着動作番号76、AM実行時間77などの情報が含まれている。装着動作番号76は、アーチモーション段階を特定する番号である。AM実行時間77は、部品Dの装着動作におけるアーチモーション時間の長さである。位置情報38と装着動作情報43は、装着動作番号75と装着動作番号76に指定された番号で関連付けされる。
この例では、アーチモーション段階情報には、装着動作番号76が「1」~「6」で、アーチモーション時間が「50ms」~「0ms」の6段階のアーチモーション段階が含まれている。すなわち、アーチモーション時間が10ms刻みで異なる装着動作が設定されている。以下、装着動作情報43に含まれる装着動作番号76が「1」の装着動作を、単に「装着動作1」などと称する。
図12(b)は、装着動作1~6を模式的に説明する図である。縦軸は、装着作業位置に保持されている反りがない基板6の上面6aを基準とする部品装着部16が保持している部品Dの底面の高さhを示している。横軸は、装着動作1~6により装着位置Pまで移送される部品Dの水平方向(XY方向)の位置を模式的に示している。部品装着部16は、装着動作1~6のいずれも、近接位置Qまでの高速移動区間において部品Dを高速移動高さh2で水平方向に高速で移動させる。部品装着部16は、装着動作1では近接位置Qから着地前位置Rまでの精密近接区間において部品Dを近接位置Qから着地前位置Rまで全てアーチモーション動作で斜めに下降させる。装着動作1のアーチモーション時間は50msである。
部品装着部16は、装着動作2~5では精密近接区間においてアーチモーション時間が設定された時間となるように、順に水平方向に移動させ、アーチモーション動作で斜めに下降させ、垂直方向に下降させる。部品装着部16は、装着動作6では精密近接区間において、水平方向に移動させた後、垂直方向に下降させる。装着動作6のアーチモーション時間は0msである。すなわち、装着動作6は、アーチモーション動作を含まない第2動作である。部品装着部16は、装着動作1~6のいずれも、着地前位置Rからの着地区間において部品Dを装着位置Pまで垂直方向に下降させる。
図7において、位置情報38には、初期値として全ての装着位置PでAM動作73として「Y」が指定され、AM実行時間74として「50ms」が指定され、装着動作番号75として「1」(装着動作1)が指定されている。なお、位置情報38には、AM動作73、AM実行時間74、装着動作番号75の全てが含まれている必要はなく、少なくともいずれかが含まれていればよい。また、AM動作73、AM実行時間74、装着動作番号75を、位置情報38とは別の情報(ファイル)として装着記憶部37に記憶させ、装着位置番号70により位置情報38と関連付けるようにしてもよい。
図6において、検査装置M4の検査記憶部66に記憶される位置情報67、部品情報68は、上述の装着記憶部37に記憶される位置情報38、部品情報39と同様であり、詳細な説明は省略する。検査制御部63は、検査記憶部66に記憶される各種情報に基づいて基板搬送機構60、カメラ移動機構61、検査カメラSを制御して、部品装着済み基板6Aを検査作業位置に搬送させて、部品装着済み基板6Aに装着された部品Dを撮像させる。
位置ずれ量算出部64は、撮像結果および検査記憶部66に記憶される位置情報67、部品情報68に基づいて、部品D毎に位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを算出して検査結果情報69として検査記憶部66に記憶させる。検査結果情報69は、検査通信部65によって管理装置3、部品装着装置M1~M3に送信される。部品装着装置M1~M3に送信された部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを含む装着状態に関する検査結果情報69は、検査結果情報41として装着記憶部37に記憶される。
ここで図13を参照して、吸着ノズル13に保持された部品D2を基板6の装着位置P2に装着する際に、アーチモーション動作で移動中の部品D2が装着済みの隣接部品D1に干渉(接触)する現象について説明する。部品D2の装着位置P2と隣接部品D1の装着位置P1は、部品のサイズ(縦、横、高さ)に基づいてアーチモーション動作を含む第1動作でも部品装着作業中に干渉しないように設定されている。しかし、基板6や部品の形状のばらつき、基板6の反り、部品の装着位置ずれなどの要因により、装着中の部品D2が隣接部品D1に干渉することがある。
図13の例では、装着作業位置に保持された基板6の上面6aが2点鎖線で示す反りがない場合の高さ位置より上方に反っており、さらに基板6に装着された隣接部品D1が部品D2の装着位置P2の方向に位置ずれしている。そのため、部品D2を基板6に装着する際に、アーチモーション動作で移動中(矢印e)の部品D2が装着済みの隣接部品D1に接触している(円f)。移動中に隣接部品D1に接触すると、部品D2が装着位置P2から位置ずれしたり、基板6に装着されずに欠落したりすることがある。
図5において、装着判断部34は、部品装着済み基板6Aに装着された部品D2の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを含む装着状態に基づいて、これから基板6に装着する部品D2の第1動作による装着の可否を判断する。すなわち、装着判断部34は、第1動作による部品D2の装着によって、アーチモーション動作中の部品D2が隣接部品D1に干渉したか否かを判断する。情報取得部33は、装着判断部34が装着の可否判断に必要な情報を取得する。具体的には、情報取得部33は、装着記憶部37から位置情報38、部品情報39、基板情報40、検査結果情報41、判断情報42に含まれる第1動作判断情報を取得する。
ここで図14(a)を参照して、判断情報42に含まれる第1動作判断情報の例について説明する。第1動作判断情報は、部品装着済み基板6Aに装着された部品DのX方向の位置ずれ量ΔXが-ΔX1≦ΔX≦ΔX1の範囲では第1動作で、ΔX<-ΔX1またはΔX>ΔX1の範囲では第2動作で部品Dを装着することを規定している。すなわち、装着判断部34は、部品Dの装着位置Pにおける検査結果情報41に含まれる部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着位置Pからの位置ずれ量ΔXが所定の範囲内(-ΔX1≦ΔX≦ΔX1)である場合、第1動作による部品Dの装着が可能と判断する。装着判断部34は、判断結果に基づいて位置情報38のAM動作73を更新して、装着情報44として装着記憶部37に記憶させる。
装着制御部32(制御部)は、装着判断部34によって第1動作による部品Dの装着が可能と判断された場合、第1動作によって部品Dを装着するように部品装着部16を制御する(図10参照)。また、装着制御部32は、装着判断部34によって第1動作による部品Dの装着が不可能と判断された場合、第1動作と異なる第2動作によって部品Dを装着するように部品装着部16を制御する(図11参照)。このように、基板6の反りや隣接部品の装着状態のばらつきなどに起因して隣接部品と干渉する可能性が大きい装着位置Pへの装着ではアーチモーション動作を含まない装着動作にすることで、装着中に部品Dが装着済みの隣接部品Dに干渉することが回避できる。これによって、高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
なお、図14(a)には、部品装着済み基板6Aに装着された部品DのX方向の位置ずれ量ΔXに基づく第1動作判断情報を示しているがこれに限定されることはない。例えば、第1動作判断情報は、部品装着済み基板6Aに装着された部品DのY方向の位置ずれ量ΔY、またはθ方向の位置ずれ量Δθに基づいて規定されていてもよい。もしくは、第1動作判断情報は、部品装着済み基板6Aに装着された部品DのX方向の位置ずれ量ΔX、Y方向の位置ずれ量ΔY、θ方向の位置ずれ量Δθを変数とする計算式で規定されていてもよい。
図9において、基板6の反りや隣接部品の装着状態のばらつきなどに起因して隣接部品との干渉が起きた場合、検査装置M4によって位置ずれが検出された部品の他にも、これから部品装着作業が行われる他の基板6で当該部品に隣接する部品でも同様の干渉が起こる可能性がある。例えば、エリアA23の装着位置P02に装着される部品Fで干渉による位置ずれが検出された場合、隣接する装着位置P01、P03~P05に装着される部品Eでも同様の干渉が起こる可能性がある。
そこで、装着制御部32は、装着判断部34によって装着位置P02の部品Fが第1動作による装着が不可能と判断されると、エリアA23内の装着位置P01~P05に装着する全ての部品E,Fを第2動作によって基板6に装着するように部品装着部16を制御する。なお、エリアA23内に装着される部品E,Fであっても、位置ずれか検出された装着位置P02に装着される部品Fよりも先にエリアA23に装着される部品Eは干渉が起こる可能性は低い。そこで、装着制御部32は、部品Fより先に装着する部品Eは第1動作によって装着するように部品装着部16を制御するようにしてもよい。
すなわち、装着判断部34によって複数のエリアAのうちの一のエリアA23内に装着予定のいずれかの部品Fが第1動作による装着が不可能と判断された場合、装着制御部32(制御部)は当該エリアA23内に装着予定の部品E,Fのうち少なくとも1つの部品Fを第1動作と異なる第2動作によって基板6に装着するように部品装着部16を制御する。また、装着判断部34によって複数のエリアAのうちの一のエリアA33内に装着予定の全ての部品E,Gが第1動作による装着が可能と判断された場合、装着制御部32は当該エリアA33内に装着予定の部品E,Gを第1動作によって装着するように部品装着部16を制御する。
図5において、動作決定部35は、部品装着済み基板6Aに装着された部品D2の位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを含む装着状態に基づいて、これから基板6に装着する部品D2の装着動作におけるアーチモーション時間(アーチモーション動作の実行時間)を決定する。情報取得部33は、動作決定部35がアーチモーション時間を決定するのに必要な情報を取得する。具体的には、情報取得部33は、装着記憶部37から位置情報38、部品情報39、基板情報40、検査結果情報41、判断情報42に含まれるアーチモーション時間決定情報を取得する。
ここで図14(b)を参照して、判断情報42に含まれるアーチモーション時間決定情報について説明する。アーチモーション時間決定情報は、部品装着済み基板6Aに装着された部品DのX方向の位置ずれ量ΔXとアーチモーション時間Taの関係を規定している。この例では、アーチモーション時間Taは、X方向の位置ずれ量ΔXがゼロの場合の50msから、X方向の位置ずれ量ΔXが-ΔX5またはΔX5の場合の0msまで線形に減少する関係により規定されている。
なお、図14(b)には、アーチモーション時間決定情報として部品装着済み基板6Aに装着された部品DのX方向の位置ずれ量ΔXとアーチモーション時間Taの関係を示したがこれに限定されることはない。例えば、アーチモーション時間決定情報は、部品装着済み基板6Aに装着された部品DのY方向の位置ずれ量ΔY、またはθ方向の位置ずれ量Δθとアーチモーション時間Taの関係で規定してもよい。
もしくは、アーチモーション時間決定情報は、部品装着済み基板6Aに装着された部品DのX方向の位置ずれ量ΔX、Y方向の位置ずれ量ΔY、θ方向の位置ずれ量Δθを変数とする計算式で規定されていてもよい。そして、動作決定部35は、部品Dの装着位置Pにおける部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着位置からの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが小さいほど、アーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)を長くする。
このように、動作決定部35は、部品Dの装着位置Pにおける検査結果情報41に含まれる部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着位置Pからの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθ、および判断情報42に含まれるアーチモーション時間決定情報に基づいて、アーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)を決定する。
動作決定部35は、決定したアーチモーション時間Taに基づいて位置情報38のAM実行時間74を更新して、装着情報44として装着記憶部37に記憶させる。装着制御部32は、動作決定部35が決定したアーチモーション時間Taに基づいて、部品装着部16による装着動作を制御する。これによって、反りや隣接部品の装着状態にばらつきが生じる可能性がある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
図5において、動作決定部35は、他の実施形態として、部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに応じて予め設定されたアーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)が異なる複数の装着動作(アーチモーション段階)の中から部品の装着動作1~6を選択する。この場合、情報取得部33は、装着記憶部37から位置情報38、部品情報39、基板情報40、検査結果情報41、判断情報42に含まれるアーチモーション段階決定情報を取得する。
ここで図14(c)を参照して、判断情報42に含まれるアーチモーション段階決定情報について説明する。アーチモーション段階決定情報は、装着位置Pにおける部品装着済み基板6Aに装着された部品DのX方向の位置ずれ量ΔXとアーチモーション段階(装着動作1~6)の関係を規定している。この例では、アーチモーション段階はX方向の位置ずれ量ΔXに応じて段階的に指定されている。すなわち、X方向の位置ずれ量ΔXが-ΔX1≦ΔX≦ΔX1の範囲ではアーチモーション時間Taが50msの装着動作1が指定されている。また、-ΔX2≦ΔX<-ΔX1またはΔX1<ΔX≦ΔX2の範囲ではアーチモーション時間Taが40msの装着動作2が指定されるように、6段階の装着動作1~6が指定されている。
なお、図14(c)には、アーチモーション段階決定情報として部品装着済み基板6Aに装着された部品DのX方向の位置ずれ量ΔXとアーチモーション段階(装着動作1~6)の関係を示したがこれに限定されることはない。例えば、アーチモーション段階決定情報はY方向の位置ずれ量ΔY、またはθ方向の位置ずれ量Δθとアーチモーション段階の関係で規定しても、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを変数とする計算式で規定してもよい。そして、動作決定部35は、部品Dの装着位置Pにおける部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着位置からの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが小さいほど、アーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)が長いアーチモーション段階(装着動作1~6)を選択する。
動作決定部35は、決定したアーチモーション段階(装着動作1~6)に基づいて位置情報38の装着動作番号75を更新して、装着情報44として装着記憶部37に記憶させる。装着制御部32は、動作決定部35が決定した装着動作1~6に基づいて、部品装着部16による装着動作を制御する。これによって、反りや隣接部品の装着状態にばらつきが生じる可能性がある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
図5において、動作決定部35は、他の実施形態として、部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに応じて部品Dの装着動作における着地前位置Rの精密近接目標高さh0を決定する。すなわち、動作決定部35は、部品装着部16が保持する部品Dをアーチモーション動作で斜め方向に下降させる際の、アーチモーション動作の終了時の部品Dの目標高さ(精密近接目標高さh0)を、部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに応じて決定する。この場合、情報取得部33は、装着記憶部37から位置情報38、部品情報39、基板情報40、検査結果情報41、判断情報42に含まれる精密近接目標高さ決定情報を取得する。
ここで図14(d)を参照して、判断情報42に含まれる精密近接目標高さ決定情報について説明する。精密近接目標高さ決定情報は、装着位置Pにおける部品装着済み基板6Aに装着された部品DのX方向の位置ずれ量ΔXと精密近接目標高さh0の関係を規定している。この例では、精密近接目標高さh0は、X方向の位置ずれ量ΔXがゼロの場合のh0.minから、X方向の位置ずれ量ΔXが-ΔX5またはΔX5の場合のh0.maxまで線形に増加する関係により規定されている。例えば、h0.maxとして図12(b)に示す高速移動高さh2が、h0.minとして図12(b)に示す部品Dに位置ずれがない場合の精密近接目標高さh0である高さh1が設定される。
なお、図14(d)には、精密近接目標高さ決定情報として部品装着済み基板6Aに装着された部品DのX方向の位置ずれ量ΔXと精密近接目標高さh0の関係を示したがこれに限定されることない。例えば、精密近接目標高さ決定情報はY方向の位置ずれ量ΔY、またはθ方向の位置ずれ量Δθと精密近接目標高さh0の関係で規定しても、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを変数とする計算式で規定してもよい。
そして、動作決定部35は、部品Dの装着位置Pにおける部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着位置からの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが小さいほど、精密近接目標高さh0(アーチモーション動作の終了時の部品の目標高さ)を低くする。装着制御部32は、動作決定部35が決定した精密近接目標高さh0に基づいて、部品装着部16による装着動作を制御する。これによって、反りや隣接部品の装着状態にばらつきが生じる可能性がある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
図5において、装着判断部34は、複数の部品Dの装着位置P毎に、検査結果情報41に含まれる位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが所定条件を満たすか否かに基づいて第1動作による部品Dの装着の可否を判断する。また、動作決定部35は、複数の部品Dの装着位置P毎に、検査結果情報41に含まれる位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに基づいて、アーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)を決定する。
なお、装着判断部34は、複数の部品装着済み基板6Aの検査結果情報41に基づいて、部品Dを第1動作により装着可能か否かを判断してもよい。すなわち、情報取得部33は複数の部品装着済み基板6Aの検査結果情報41を取得し、装着判断部34は部品Dの装着位置Pにおける複数の検査結果情報41に基づいて、部品Dを第1動作により装着可能か否かを判断する。そして、装着制御部32は、装着判断部34によって少なくとも2枚連続して同じ装着位置Pで第1動作による装着が不可能と判断された場合、第2動作によってその装着位置Pに部品Dを装着するように部品装着部16を制御する。
また、装着制御部32は、第2動作によって装着位置Pに部品を装着するように部品装着部16を制御している場合に、装着判断部34によって少なくとも2枚連続して同じ装着位置Pで第1動作による装着が可能と判断された場合、第1動作によってその装着位置Pに部品Dを装着するように部品装着部16を制御する。また同様に、動作決定部35は、複数の部品装着済み基板6Aの検査結果情報41に基づいて、アーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)を決定するようにしてもよい。
次に図15のフローに沿って、部品Dを基板6に装着する部品装着方法について説明する。まず、情報取得部33は、検査装置M4より検査結果情報41を取得する(ST1:検査結果情報取得工程)。次いで装着判断部34は、部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着位置Pからの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが所定範囲外の部品Dがあるか否かを判断する(ST2:範囲外判断工程)。例えば、装着判断部34は、基板6のX方向の位置ずれ量ΔXが-ΔX1≦ΔX≦ΔX1の範囲外の部品Dがあるか否かを判断する(図14(a)参照)。
位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが所定範囲外の部品Dが有る場合(ST2においてYes)、装着判断部34は、当該装着位置Pに装着された部品Dが2枚の部品装着済み基板6Aで連続して所定範囲外か否かを判断する(ST3:連続範囲外判断工程)。2枚連続して所定範囲外の部品Dが有る場合(ST3においてYes)、装着判断部34は、当該部品Dが装着されるエリアA内の部品Dを第2動作で装着するように装着情報44のAM動作73を変更する(ST4:第2動作変更工程)。
図15において、所定範囲外の部品Dが無い場合(ST2においてNo)、2枚連続で所定範囲外でない場合(ST3においてNo)、あるいは第2動作変更工程(ST4)の後、装着判断部34は、部品Dを第2動作で装着していたエリアA内の全ての部品Dの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが2枚連続で所定範囲内であるエリアAが有るか否かを判断する(ST5:連続範囲内判断工程)。2枚連続で所定範囲内であるエリアAが有る場合(ST5においてYes)、装着判断部34は、当該エリアA内の部品Dを第1動作で装着するように装着情報44のAM動作73を変更する(ST6:第1動作変更工程)。
2枚連続で所定範囲内であるエリアAが無い場合(ST5においてNo)、あるいは第1動作変更工程(ST6)の後、部品装着装置M1~M3において装着情報44に基づいて部品装着作業が実行される(ST7:部品装着工程)。未装着の基板6がある場合(ST8においてNo)、検査結果情報取得工程(ST1)に戻って次の基板6への部品装着が実行される(ST1~ST7)。未装着の基板6がない場合(ST8においてYes)、部品装着作業が終了する。
このように、図15に示す部品装着方法(以下、「部品装着方法の第1実施形態」と称する。)は、部品Dの装着位置Pに関する位置情報38および部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着状態に関する検査結果情報41に基づいて、部品Dを装着位置Pに装着する際に部品Dを水平方向と垂直方向に並行して移動させるアーチモーション動作を含むか否か(第1動作による部品装着の可否)を判断する。これによって、反りや隣接部品の装着状態にばらつきが生じる可能性がある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
次に図16のフローに沿って、部品Dを基板6に装着する部品装着方法の第2実施形態について説明する。部品装着方法の第2実施形態は、装着判断部34が第1動作による部品装着の可否を判断する代わりに、動作決定部35がアーチモーション時間Taを決定するところが部品装着方法の第1実施形態とは異なる。以下、部品装着方法の第1実施形態と同じ工程には同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
図16において、まず、検査結果情報取得工程(ST1)、範囲外判断工程(ST2)、連続範囲外判断工程(ST3)が実行される。2枚連続で位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが所定範囲外の部品Dが有る場合(ST2においてYes、かつ、ST3においてYes)、動作決定部35は、位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθとアーチモーション時間決定情報(図14(b)参照)に基づいて、当該部品Dのアーチモーション時間Taを決定し、装着情報44のAM実行時間74を変更する(ST11:AM実行時間変更工程)。
次いで動作決定部35は、第2動作で装着していた部品Dの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθが2枚連続で所定範囲内である部品Dが有るか否かを判断する(ST12:連続範囲内部品判断工程)。2枚連続で所定範囲内である部品Dが有る場合(ST12においてYes)、装着判断部34は、当該部品Dのアーチモーション時間Taが最大となるように装着情報44のAM動作73を変更する(ST13:AM実行時間最大変更工程)。次いで部品装着工程(ST7)が実行され、部品装着作業が終了したか否かが判断される(ST8)。
このように、部品装着方法の第2実施形態では、部品Dの装着位置Pに関する位置情報38および部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着状態に関する検査結果情報41に基づいて、部品Dを装着位置Pに装着する際に部品Dを水平方向と垂直方向に並行して移動させるアーチモーション動作の動作時間(アーチモーション時間Ta)を決定する。これによって、反りや隣接部品の装着状態にばらつきが生じる可能性がある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。なお、動作決定部35は、アーチモーション時間Taの代わりにアーチモーション段階(装着動作1~6)、または精密近接目標高さh0(アーチモーション動作の終了時の部品の目標高さ)を決定するようにしてもよい。
上記説明したように、本実施の形態の部品装着装置M1~M3は、部品Dを保持して基板6の装着位置Pに装着する部品装着部16と、部品装着部16の動作を制御する装着制御部32と、装着位置Pに関する位置情報38および部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着状態に関する検査結果情報41を取得する情報取得部33と、位置情報38および検査結果情報41に基づいて、第1動作による部品Dの装着の可否を判断する装着判断部34と、を備える。これによって、反りや隣接部品の装着状態にばらつきが生じる可能性がある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
また、他の実施の形態の部品装着装置M1~M3は、部品Dを保持して基板6の装着位置Pに装着する部品装着部16と、部品装着部16の動作を制御する装着制御部32と、装着位置Pに関する位置情報38および部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着状態に関する検査結果情報41を取得する情報取得部33と、位置情報38および検査結果情報41に基づいて、部品Dの装着動作における部品装着部16が保持する部品Dを水平方向と垂直方向に並行して移動させるアーチモーション動作の実行時間(アーチモーション時間Ta)を決定する動作決定部35と、を備える。これによって、反りや隣接部品の装着状態にばらつきが生じる可能性がある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
また、他の実施の形態の部品装着装置M1~M3は、部品Dを保持して基板6の装着位置Pに装着する部品装着部16と、部品装着部16の動作を制御する装着制御部32と、装着位置Pに関する位置情報38および部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着状態に関する検査結果情報41を取得する情報取得部33と、位置情報38および検査結果情報41に基づいて、部品Dの装着動作における部品装着部16が保持する部品Dを水平方向と垂直方向に並行して移動させるアーチモーション動作の終了時の部品Dの目標高さ(精密近接目標高さh0)を決定する動作決定部35と、を備える。これによって、反りや隣接部品の装着状態にばらつきが生じる可能性がある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
次に図5、図6を参照して、部品Dを基板6に装着する部品装着装置M1~M3および部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの装着状態を検査する検査装置M4を含む生産ラインを管理する管理装置3について説明する。ここでは、管理装置3が備える機能のうち、検査装置M4で検出された部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθに基づいて、部品装着作業の対象となる基板6に部品装着装置M1~M3が部品Dを装着する装着動作に関する装着情報51aを変更する機能について説明する。管理記憶部51には、装着情報51aの他、装着記憶部37に記憶される位置情報38、部品情報39、基板情報40、判断情報42と同様の情報が記憶されている。
管理通信部54(通信部)は、部品装着装置M1~M3および検査装置M4と通信する。管理通信部54は、検査装置M4から部品Dの装着状態に関する検査結果情報41を取得する。管理処理部50が備える装着情報変更部50aは、部品Dの装着位置Pに関する位置情報38および検査結果情報41に基づいて、部品装着装置M1~M3が基板6に部品Dを装着するための装着動作に関する装着情報51aを変更(または作成)する。
具体的には、装着情報変更部50aは、装着判断部34と同様に、装着動作にアーチモーション動作を含むか否か(第1動作による部品装着の可否)を決定し、装着情報51aに含まれるAM動作73を変更する。または、装着情報変更部50aは、動作決定部35と同様に、装着動作に含まれるアーチモーション時間Ta(アーチモーション動作の実行時間)、アーチモーション段階(装着動作1~6)、もしくは精密近接目標高さh0(アーチモーション動作の終了時の部品の目標高さ)を決定し、装着情報51aに含まれるAM実行時間74または装着動作番号75を変更する。その後、管理通信部54は、変更された装着情報51aを部品装着装置M1~M3に送信する。部品装着装置M1~M3では、送信された装着情報51aに基づいて、部品Dが装着される。
このように、管理装置3は、管理通信部54と、部品装着装置M1~M3が基板6に部品Dを装着する装着動作に関する装着情報51aを変更する装着情報変更部50aと、を備えている。そして、管理通信部54は、検査装置M4から検査結果情報41を取得し、装着情報変更部50aは、位置情報38および検査結果情報41に基づいて、基板6に部品Dを装着するための装着情報51aを変更し、管理通信部54は、変更された装着情報51aを部品装着装置M1~M3に送信する。これによって、反りや隣接部品の装着状態にばらつきが生じる可能性がある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。
次に図17のフローに沿って、部品Dを基板6に装着する部品装着方法の第3実施形態について説明する。部品装着方法の第3実施形態では、部品装着装置M1~M3が基板6に部品Dを装着する装着動作に関する装着情報51aを管理装置3が作成するところが部品装着方法の第1実施形態および第2実施形態とは異なる。まず、検査装置M4において部品装着済み基板6Aに装着された部品Dの位置ずれ量ΔX,ΔY,Δθを含む装着状態が検査される(ST21)。次いで管理装置3の管理通信部54によって、検査装置M4から検査結果情報41が取得される(ST22)。次いで位置情報38、部品情報39、基板情報40、判断情報42が取得される(ST23)。
次いで管理装置3の装着情報変更部50aによって装着情報51aが変更される(ST24)。次いで管理通信部54によって装着情報51aが部品装着装置M1~M3に送信される(ST25)。次いで部品装着装置M1~M3において装着情報51aに基づいて部品装着作業が実行される(ST26)。これによって、反りや隣接部品の装着状態にばらつきが生じる可能性がある基板6であっても高い実装品質と高い実装効率を両立させることができる。