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JP7502333B2 - スクリーンフィルム及びそれを備えた投影システム - Google Patents

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JP7502333B2 JP2021566907A JP2021566907A JP7502333B2 JP 7502333 B2 JP7502333 B2 JP 7502333B2 JP 2021566907 A JP2021566907 A JP 2021566907A JP 2021566907 A JP2021566907 A JP 2021566907A JP 7502333 B2 JP7502333 B2 JP 7502333B2
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Description

本願は、光学特性、投影性及び耐擦傷性に優れたスクリーンフィルム、及びそれを備えた投影システムに関する。
近年、全面ガラス張りの商業施設や、コンビニエンスストア、デパート、服飾、自動車などの店舗のショーウインドウなどにおいては、広告、案内、情報媒体として、従来の看板やポスターや大画面ディスプレイに代わって、窓やショーウインドウに透明スクリーンを貼り付けることにより、ウインドウそのものを大画面スクリーン化して、室内の状態や商品が室外側から見えるレベルに透過視認性を維持したまま、室内側からプロジェクターにより広告や商品情報やその他の様々なコンテンツ映像を投影表示する、いわゆるデジタルサイネージが、室外側に居る人間に対して非常に高いアイキャッチ効果を有すること、またコンテンツの内容変更に対応しやすいこと、簡便であることなどから注目されている(例えば、特許文献1~4)。
特許文献1には、透明バインダー中に光拡散要素を含有させた光拡散層を有してなる透過型スクリーンであって、前記光拡散要素として、前記透明バインダーの屈折率に対する相対屈折率nが0.75以下である中空のビーズを使用し、全体のヘーズが10~85%である透過型スクリーンが提案されている。特許文献1の透過型スクリーンでは、球状微粒子である中空のビーズを用いることで、光拡散層の低屈折率化を行っているが、相対屈折率0.75以下としただけでは、バインダーとの屈折率差が十分ではなく、また、低屈折率の微粒子を用いるだけでは、充分な投影性は得にくいと考えられる。
特許文献2には、樹脂層と、前記樹脂層中に含まれる無機粒子とを含んでなり、前記無機粒子の一次粒子が、0.1~50nmのメジアン径を有し、かつ10~500nmの最大粒径を有し、前記無機粒子の含有量が、前記樹脂に対して0.015~1.2質量%であり、前記無機粒子が、金属系粒子である透明スクリーン用フィルムが提案されている。特許文献2の透明スクリーン用フィルムでは、無機粒子を含む樹脂層を備えたフィルムを用いているが、無機粒子を含む樹脂層だけでは、充分な投影性は得にくいと考えられる。また、上記のメジアン径かつ最大粒径の粒子では、塗膜中で可視光線領域よりも小さい粒度分布となるため、充分な光散乱効果が出ず、投影性は得にくいと考えられる。
特許文献3には、樹脂媒体と、前記樹脂媒体中に分散しているメジアン径が50nm以上360nm以下である第1の粒子と、前記樹脂媒体中に分散しているメジアン径が500nm以上1.5μm以下であり、ダイヤモンド構造を有する第2の粒子とを含有する光散乱体であって、前記第1の粒子及び前記第2の粒子の合計含有量が、前記樹脂媒体100質量部に対して0.01質量部以上20.0質量部以下であり、前記第1の粒子の粒子数M1と前記第2の粒子数M2との粒子数比M1/M2が100以上5000以下であり、全光線透過率が80%以上である光散乱体を備えた投影スクリーンが提案されている。特許文献3の投影スクリーンでは、ダイヤモンド構造を有する粒子を含有する光散乱体を用いているが、それだけでは充分な投影性は得にくいと考えられる。
特許文献4には、光拡散性粒子を分散する透明樹脂に粘着剤を使用した光拡散粘着層を備えた透明スクリーン機能を備えた透明遮熱部材が提案されている。特許文献4の透明スクリーン機能を備えた透明遮熱部材では、光拡散性フィラーを光拡散粘着層にのみ分散させており、光拡散性フィラーと粘着剤との屈折率差が小さいことから、充分な投影性は得にくいと考えられる。
特許第4847329号公報 特許第5752834号公報 特開2019-113657号公報 特開2016-186627号公報
本願は、上記従来のスクリーンフィルムの問題を解決するもので、光学特性、投影性及び耐擦傷性に優れたスクリーンフィルム及びそれを備えた投影システムを提供する。
本願で開示するスクリーンフィルムは、透明基材と、保護層と、光拡散層と、光拡散粘着層とを含むスクリーンフィルムであって、前記保護層は、前記透明基材の一方の主面側に配置され、前記光拡散層及び前記光拡散粘着層は、この順に、前記透明基材の他方の主面側から配置され、前記光拡散層は、第1の光拡散性フィラーと、樹脂とを含み、前記光拡散粘着層は、第2の光拡散性フィラーと、粘着剤とを含み、前記第1の光拡散性フィラーの屈折率と、前記第2の光拡散性フィラーの屈折率との差が、0.50以上である。
また、本願で開示する投影システムは、本願で開示したスクリーンフィルムと、プロジェクターとを備えた投影システムである。
本願は、光学特性、投影性及び耐擦傷性に優れたスクリーンフィルム及びそれを備えた投影システムを提供することができる。
図1は、本願で開示するスクリーンフィルムの一例を示す概略断面図である。 図2は、本願で開示するスクリーンフィルムの投影性の評価方法を説明する概略図である。
(スクリーンフィルム)
本願で開示するスクリーンフィルムの実施形態について説明する。本実施形態のスクリーンフィルムは、透明基材と、保護層と、光拡散層と、光拡散粘着層とを含み、上記保護層は、上記透明基材の一方の主面側に配置され、上記光拡散層及び上記光拡散粘着層は、この順に、上記透明基材の他方の主面側から配置され、上記光拡散層は、第1の光拡散性フィラーと、樹脂とを含み、上記光拡散粘着層は、第2の光拡散性フィラーと、粘着剤とを含み、上記第1の光拡散性フィラーの屈折率と、上記第2の光拡散性フィラーの屈折率との差が、0.50以上である。
本実施形態のスクリーンフィルムでは、光拡散層を、透明基材と光拡散粘着層との間に配置しているので、スクリーンフィルムの耐擦傷性を向上できる。即ち、スクリーンフィルムの施工後に掃除の際の接触や爪などによるキズ、雨や、クリーナーなどの薬品、その他の外的要因でフィルム表面はダメージを受けやすい。これに対し上記保護層である程度は表面保護をすることはできるが、長年の使用により少しずつ保護層が劣化する。そのため、光拡散層が透明基材よりも保護層側に位置すると、長期間の使用による保護層の劣化などにより光拡散層もダメージを受けやすく、光拡散層に劣化した個所が存在すると投影時に綺麗な画像が投影できなくなる。一方、光拡散層を、透明基材と光拡散粘着層との間に配置することにより、スクリーンフィルムの耐擦傷性を向上でき、投影性も維持できる。
また、光拡散性フィラーを光拡散層及び光拡散粘着層の両層に含有させることにより、光拡散層にのみ光拡散性フィラーを含有させた場合に比べ、投影時に充分な映像の明るさを得ることができる。即ち、光拡散粘着層にも光拡散性フィラーを含有させることにより、光拡散粘着層の厚みを利用して、光拡散層で拡散した光を効率よく更に光拡散粘着層で拡散でき、また光拡散層を拡散せずに透過した光も光拡散粘着層で拡散でき、画像の明るさを向上できる。
更に、第1の光拡散性フィラーの屈折率と、第2の光拡散性フィラーの屈折率との差を0.50以上とすることにより、より鮮明な画像を提供できる。即ち、本実施形態のスクリーンフィルムを透過型スクリーンフィルムとして使用する場合、プロジェクターから入射した光は、保護層、透明基材、光拡散層、光拡散粘着層の順に透過して人の目に映像として認識される。ここで、光拡散層の屈折率が高いことでプロジェクターから入る光は効率よく光拡散層中のフィラーにより拡散し高輝度な映像を提供できるが、拡散した光は更に光拡散粘着層中のフィラーにより更に拡散される。この時、光拡散層のフィラーと光拡散粘着層のフィラーとの屈折率差が大きいほど、より鮮明な画像を提供することができる。
本実施形態のスクリーンフィルムでは、全光線透過率が、60~90%であり、ヘーズ値が、5.0~30.0%であることが好ましい。建築窓用フィルムのJIS規格(JIS K5759)では、透明なフィルムの定義として全光線透過率が60%以上であることと規定されている。即ち、全光線透過率が60%以上であれば、プロジェクターで投影していない際も、フィルム越しの情報が認識できる透明なフィルムであると言える。また、ヘーズ値に関しては、低い方が曇りが少なく、非投影時のフィルム越しの情報を得られやすく、透明性が高いと言えるが、ヘーズ値が低すぎる場合、プロジェクターでの投影時に十分な光の拡散が得られず、投影性が不十分となる可能性がある。一方、ヘーズ値が30%以上ある場合、投影性は得られやすいが、非投影時の透明性が不十分となり透明性に欠ける恐れがある。
保護層は、電離放射線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂を含むことが好ましい。これらの樹脂は、硬度が高く、耐擦傷性に優れているからである。
第1の光拡散性フィラーの屈折率は、1.85以上2.75未満であることが好ましい。光拡散層に用いるフィラーの屈折率は高ければ高いほど、プロジェクターでの投影時に入光した光がフィラーで効率よく反射し、鮮明でかつ高視野角で画像を認識することができる。
第1の光拡散性フィラーの平均粒子径は、0.05~1.5μmであることが好ましい。プロジェクターによる投影光に対して光拡散層で効率よく光を前方に散乱させるためには「ミー散乱」という現象を応用させるのがよく、ミー散乱は、粒子の粒子径が可視光線領域からやや高い領域、即ち0.3~1.2μm程度の領域で存在していることで最も効率よく光を前方に散乱させることができる。このため、フィラーの平均粒子径が0.05μm未満の場合、フィラーが細かすぎるため可視光線領域の光が光拡散層を透過してしまい、効率よく光を拡散できなくなるため投影性が不十分になる。一方、フィラーの平均粒子径が1.5μmを超える場合、幾何散乱及び光の粒子への吸収が起こり、前方への光の散乱は弱くなり、また粒子が大きいため内部ヘーズが上昇しフィルムの透明性が落ちる。
ここで、上記平均粒子径は、平均1次粒子径又は平均分散粒子径を意味する。フィラー粒子が微小な場合には、1次粒子が凝集して凝集粒子として存在する場合があるからである。通常、同一粒子を比較すると、平均1次粒子径より平均分散粒子径の方が大きくなる。
第1の光拡散性フィラーは、ダイヤモンド、酸化チタン及び酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。これらは、屈折率が高く、効率よく光を拡散でき、投影した際の輝度が高く、かつ視野角も広い映像を得ることができる。
第1の光拡散性フィラーの含有率は、光拡散層の全固形分に対して、0.5~5.0質量%であることが好ましい。上記含有率が0.5質量%未満では透過する光を充分に拡散できず画像が鮮明になりにくく、5.0質量%を超えると光拡散層の透明性が落ちる。
光拡散層の膜厚は、0.5~10.0μmであることが好ましい。上記膜厚が0.5μm未満では光を充分に拡散できず、10μmを超えるとフィルムの全光線透過率が低下しやすく、またヘーズ値が上昇しやすく、非投影時の透明性が落ちる。
第2の光拡散性フィラーの屈折率は、1.20以上1.50未満であることが好ましい。光拡散粘着層に含まれる第2の光拡散性フィラーの屈折率は、光拡散層に含まれる第1の光拡散性フィラーの屈折率との差が大きいほど鮮明な画像を認識することができるため、第2の光拡散性フィラーの屈折率は、第1の光拡散性フィラーの屈折率に比べて低く設定する。また、これにより、光拡散粘着層に含まれる粘着剤の屈折率と、第2の光拡散性フィラーの屈折率との差が大きくなり、光を効率よく拡散させることができ、かつ光拡散層で拡散した可視光をより鮮明にすることができると共に、光拡散層を拡散することなく透過した光を光拡散粘着層で拡散させることができる。
第2の光拡散性フィラーは、球状であり、その平均粒子径は、0.1~1.5μmであることが好ましい。この場合も第1の光拡散性フィラーと同様に、「ミー散乱」という現象を応用させるのが良い。光拡散性フィラーは球状である方が、直進して入射するプロジェクターの光をより効率よく前方に散乱させ、スクリーン正面からの画像の視認性が向上する。また、上記平均粒子径が0.1μm未満では、可視光線領域よりも粒子径が小さいために可視光が透過してしまい、効率よく光を拡散できなくなるため、投影性が不十分になる。更に、上記平均粒子径が1.5μmを超えると、光拡散層同様、幾何散乱及び光の粒子への吸収が起こり、前方への光の散乱は弱くなり、また粒子が大きいため内部ヘーズが上昇してフィルムの透明性が落ちる。前述のとおり、上記平均粒子径は、平均1次粒子径又は平均分散粒子径を意味する。
第2の光拡散性フィラーの含有率は、光拡散粘着層の全固形分に対して、0.2~5.0質量%であることが好ましい。上記含有率が0.2質量%未満では、透過する光を充分に拡散できず、画像が鮮明になりにくく、5質量%を超えると、塗膜の透明性が落ち、また粘着力の低下を引き起こし、窓に施工した後に剥がれやすくなる懸念がある。
光拡散粘着層は、アクリル系粘着剤を含むことが好ましい。本実施形態のスクリーンフィルムを窓ガラスに施工する場合、一般的に「水貼り」と呼ばれる方法で施工される。これは、界面活性剤を含有させた水で窓ガラスを充分に濡らした上にフィルムを貼り、窓ガラスとフィルムとの界面に入った水をスキージーなどで抜くと同時に界面の空気、埃なども一緒に抜き、定着させる方法である。アクリル系粘着剤は官能基をコントロールしやすく、水貼り時の水抜け性や、施工後のガラスとの密着性に優れた粘着層を形成しやすい。このアクリル系粘着剤中に光拡散性フィラーを分散させることで、光拡散層単膜での光拡散性に加え、光拡散粘着層の厚みを利用して効率よく、より光を拡散し輝度の高い投影画像を提供することができる。
光拡散粘着層の膜厚は、10~50μmであることが好ましい。上記膜厚が10μm未満では、粘着力が十分ではなく、施工後に剥がれる懸念があり、また、光拡散粘着層が薄いために光拡散性も劣る。上記膜厚が50μmを超えると、粘着力は飽和し、光拡散粘着層の厚みにより透過率が低下し、非投影時の透明性が損なわれる。
本実施形態のスクリーンフィルムは、プロジェクターから投影された映像をプロジェクターの反対側から透過映像として視認することができる透過スクリーン機能を有しているのみならず、投影された映像をプロジェクター側から反射映像として視認することができる反射スクリーン機能も有している。
以下、本実施形態のスクリーンフィルムの各構成部材について説明する。
<透明基材>
上記透明基材としては、透光性を有する材料で形成されていれば特に限定されない。上記透明基材としては、例えば、ポリエステル系樹脂(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等)、ポリカーボネート系樹脂、ポリアクリル酸エステル系樹脂(例えば、ポリメチルメタクリレート等)、脂環式ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂(例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体等)、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ酢酸ビニル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、セルロース系樹脂(例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等)、ノルボルネン系樹脂等の樹脂を、フィルム状又はシート状に加工したものを用いることができる。上記樹脂をフィルム状又はシート状に加工する方法としては、押し出し成形法、カレンダー成形法、圧縮成形法、射出成形法、上記樹脂を溶剤に溶解させてキャスティングする方法等が挙げられる。上記樹脂には、酸化防止剤、難燃剤、熱安定剤、紫外線吸収剤、易滑剤、帯電防止剤等の添加剤を添加してもよい。上記透明基材の厚さは、例えば、10μm以上500μm以下であり、加工性、コスト面を考慮すると25μm以上125μm以下が好ましい。
<保護層>
上記保護層は、透明基材の一方の主面側に配置されるが、通常、透明基材の主面上に直接形成される。保護層は、電離放射線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂から構成することができる。これにより、保護層の耐擦傷性を向上できる。
上記保護層の厚みは、2μm~5μmであることが好ましく、3μm~4μmがより好ましい。上記保護層の厚みがこの範囲内であれば、充分な耐擦傷性を得ることができる。
[電離放射線硬化型樹脂]
上記電離放射線硬化型樹脂からなる保護層は、電離放射線硬化型樹脂オリゴマー又は電離放射線硬化型樹脂モノマーに電離放射線を照射して硬化させて形成する。
上記電離放射線硬化型樹脂オリゴマーの重量平均分子量は、10,000~100,000であることが好ましい。上記重量平均分子量が上記範囲内であれば、上記保護層を形成するために用いる保護層形成用塗布液の塗工性が向上すると共に、形成した保護層の耐擦傷性を向上できる。本願では、上記オリゴマーの重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィ)法により測定するものとする。
即ち、上記重量平均分子量が10,000より小さいと、上記保護層形成用塗布液を、透明基材に塗工した際に、ハジキが発生する場合がある。また、上記重量平均分子量が100,000より大きいと、一般的に電離放射線により硬化する際に分子量あたりの反応点となる不飽和結合基数が少なくなるため、塗膜の架橋密度が低下し、保護層としての耐擦傷性を十分に発揮できなくなる傾向がある。
重量平均分子量が10,000~100,000である電離放射線硬化型樹脂オリゴマーとしては、例えば、ウレタン系、エポキシ系、ポリエステル系等の多官能アクリレートオリゴマー等を用いることができる。中でも、ウレタン系多官能アクリレートオリゴマーが、形成する保護層の硬度と柔軟性のバランスが取りやすいため好ましい。上記ウレタン系多官能アクリレートオリゴマーとしては、例えば、アクリレートの重合体を主鎖骨格に持ち、末端に反応性を有するアクリロイル基を持ったウレタンアクリレートを反応させることで得られる。
上記多官能アクリレートオリゴマーについては、市販品を用いることもできる。例えば、共栄社化学社製の“BPZA-66”、“BPZA-100”(商品名)、大成ファインケミカル社製の“アクリット8KX-012C”、“8KX-077”(商品名)、日立化成工業社製の“ヒタロイド7975”、“ヒタロイド7975D”、“ヒタロイド7988”(商品名)、ダイセル・オルネクス社製の“ACA-200M”、“ACA-230AA”、“ACA-Z250”、“ACA-Z251”、“ACA-Z300”、“ACA-Z320”(商品名)等を用いることができる。
上記保護層形成用塗布液の透明基材への製膜性が低下しない範囲であれば、上記電離放射線硬化型樹脂オリゴマーに代えて、電離放射線硬化型樹脂モノマーを用いることができ、例えば、不飽和基を2つ以上有する多官能アクリレートモノマー等を用いことができる。具体的には、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,2,3-シクロヘキサントリメタクリレート等のアクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー等のポリウレタンポリアクリレート;ポリエステルポリアクリレート等の多価アルコールと(メタ)アクリル酸とから生成されるエステル類;1,4-ジビニルベンゼン、4-ビニル安息香酸-2-アクリロイルエチルエステル、1,4-ジビニルシクロヘキサノン等のビニルベンゼン及びその誘導体等が挙げられる。
また、上記電離放射線硬化型樹脂モノマーは、上記電離放射線硬化型樹脂オリゴマーと混合して用いることもできる。
[熱硬化型樹脂]
上記熱硬化型樹脂としては、例えば、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ジアリルフタレート樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等を用いることができる。上記熱硬化型樹脂からなる保護層は、熱硬化型樹脂前駆体を加熱して硬化させて形成する。
形成した保護層の硬度を向上させるため、上記熱硬化型樹脂前駆体としては、シリコーン樹脂前駆体が好ましく、そのシリコーン樹脂前駆体の中でも、アルコキシシラン系化合物からなる熱硬化型樹脂前駆体が最も好ましい。
上記アルコキシシラン系化合物からなる熱硬化型樹脂前駆体としては、例えば、信越シリコーン社製の“KP-86”(商品名)、モメンティブパフォーマンスマテリアルジャパン社製の“SHC-900”、“トスガード510”(商品名)等が挙げられる。
<光拡散層>
上記光拡散層は、透明基材の保護層が配置された側とは反対側に配置されるが、通常、保護層が配置された側とは反対側の透明基材の上に直接配置される。光拡散層は、第1の光拡散性フィラーが透明樹脂中に分散された層からなる。
上記透明樹脂は、一般的に、その樹脂に分散される第1の光拡散性フィラーの屈折率とは異なる屈折率を有する。上記透明樹脂の屈折率は、1.45~1.60の範囲で適宜選択するのが好ましい。また、透明樹脂と第1の光拡散性フィラーの屈折率の差の絶対値は大きいほど光拡散の効果が得られるため、投影性及び角度依存性に優れる。
上記光拡散層に使用する透明樹脂としては、光学的な透明性を有するものであれば特に限定されないが、(メタ)アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエステルアクリレート系樹脂、ポリウレタン(メタ)アクリレート系樹脂、エポキシ(メタ)アクリレート系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、セルロース系樹脂、アセタール系樹脂、ビニル系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン・酢酸ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、メラミン系樹脂、フェノール系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、電離放射線硬化性樹脂や、天然ゴム系、再生ゴム系、クロロプレンゴム系、ニトリルゴム系、スチレン・ブタジエンゴム系等のゴム系樹脂等、公知の樹脂を好適に用いることができる。また、上記透明樹脂は、目的に応じて、架橋剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、可塑剤、着色剤等の各種添加剤が1種又は2種以上添加されたものであってもよい。
上記光拡散層に使用する第1の光拡散性フィラーとしては、光拡散粘着層に使用する第2の光拡散性フィラーとの屈折率差を0.50以上とできれば、無機微粒子、有機微粒子のいずれも使用することができる。
上記無機微粒子としては、シリカ(屈折率:1.46)、アルミナ(屈折率:1.77)、ルチル型二酸化チタン(屈折率:2.72)、アナターゼ型二酸化チタン(屈折率:2.52)、酸化亜鉛(屈折率:2.00)、硫化亜鉛、鉛白(屈折率:1.99)、酸化アンチモン類、アンチモン酸亜鉛、チタン酸鉛、チタン酸カリウム、チタン酸バリウム(屈折率:2.41)、酸化ジルコニウム(屈折率:2.21)、酸化セリウム、酸化ハフニウム(屈折率:1.91)、五酸化タンタル、五酸化ニオブ(屈折率:2.32)、酸化イットリウム、酸化クロム、酸化スズ(屈折率:2.38)、酸化モリブデン、酸化インジウムスズ(屈折率:1.86)、アンチモンドープ酸化スズ、炭酸カルシウム、タルクや、ケイ酸塩ガラス、リン酸塩ガラス、ホウ酸塩ガラス等の酸化ガラス、ダイヤモンド(屈折率:2.42)、窒化アルミニウム(屈折率:2.17)、窒化ケイ素(屈折率:2.02)等、従来公知のものが適宜使用可能である。
上記無機微粒子の中でも、ダイヤモンド、酸化チタン及び酸化ジルコニウムが好ましい。これらの無機微粒子は、屈折率が1.85以上2.75未満の範囲にあるからである。特に、より高い屈折率を有するダイヤモンドが好ましい。ダイヤモンドの中でもとりわけ多結晶ダイヤモンドが分散性、コスト面からも更に好ましい。第1の光拡散性フィラーとして多結晶ダイヤモンドを使用する場合には、上記透明樹脂としては、ポリエステル系樹脂のような水酸基を有する樹脂が好ましい。多結晶ダイヤモンドは親水性が高いため、水酸基を有する樹脂に対し分散性が向上するからである。
上記有機微粒子としては、例えば、アクリル重合体、アクリロニトリル重合体、スチレン-アクリル共重合体、酢酸ビニル-アクリル共重合体、酢酸ビニル重合体、エチレン-酢酸ビニル共重合体、塩素化ポリオレフィン重合体、エチレン-酢酸ビニル-アクリル等の多元共重合体、SBR、NBR、MBR、カルボキシル化SBR、カルボキシル化NBR、カルボキシル化MBR、ポリ塩化ビニル系樹脂、ポリ塩化ビニリデン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリメタクリレート系樹脂、ポリテトラフルオロエチレン系樹脂、ポリメタクリル酸メチル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エピスルフィド系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、シリコーン-アクリル系樹脂、メラミン系樹脂等、従来公知のものが適宜使用可能である。
第1の光拡散性フィラーの形状は、球状、扁平状、不定形状、星型形状、金平糖形状等、いずれの形状であってもよい。また、中空粒子、コアシェル状粒子であっても良い。光拡散性粒子は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
第1の光拡散性フィラーの屈折率は、前述のとおり、1.85以上2.75未満であることが好ましく、第1の光拡散性フィラーの平均粒子径は、前述のとおり、0.05~1.5μmであることが好ましい。また、上記光拡散層における第1の光拡散性フィラーの含有率は、前述のとおり、光拡散層の全固形分に対して、0.5~5.0質量%であることが好ましい。更に、光拡散層の膜厚は、前述のとおり、0.5~10.0μmであることが好ましい。
上記光拡散層は、透明基材の上に易接着層や接着層等を介して形成しても良い。
上記光拡散層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、上記透明樹脂を、酢酸エチル、酢酸ブチル、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、トルエン、キシレン等の有機溶剤やメタノール、エタノールなどのアルコール、水などに溶解した溶液中に第1の光拡散性フィラーを分散した塗料を透明基材に塗工・乾燥して設ける方法で形成するのが好ましい。
第1の光拡散性フィラーの透明樹脂への分散は、ディスパー、アジター、ボールミル、アトライター、サンドミル等の各種混合・撹拌装置、分散装置を使用して行うことができる。また、必要に応じて光拡散性フィラーに対する分散剤を添加して分散してもよい。光拡散性フィラーを分散した塗料は、塗工・乾燥後の光拡散層に気泡ができるだけ残らないようにするために、塗工前に脱泡しておくことが好ましい。
第1の光拡散性フィラーを分散した塗料の塗工は、ダイコーター、コンマコーター、リバースコーター、ダムコーター、ドクターバーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロールコーター等のコーターを使用して行うことができる。
<光拡散粘着層>
上記光拡散粘着層は、光拡散層の外側に配置されるが、通常、光拡散層の上に直接形成される。光拡散粘着層は、第2の光拡散性フィラーが粘着剤の中に分散された層からなる。
粘着剤の材料としては、可視光線透過率が高く、透明基材との屈折率差が小さいものが好適に用いられる。例えば、アクリル系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂等の樹脂を挙げることができるが、特に、アクリル系樹脂が、光学的透明性が高いこと、濡れ性と粘着力のバランスが良いこと、信頼性が高く実績が多いこと、比較的安価なこと等からより好適に使用される。
上記アクリル系粘着剤としては、アクリル酸及びそのエステル、メタクリル酸及びそのエステル、アクリルアミド、アクリロニトリル等のアクリルモノマーの単独重合体もしくはそれらの共重合体、更に、上記アクリルモノマーの少なくとも1種と、酢酸ビニル、無水マレイン酸、スチレン等のビニルモノマーとの共重合体などが挙げられる。上記アクリル系粘着剤のTg(ガラス転移温度)は-60℃~-10℃の範囲にあり、重量平均分子量が100,000~2,000,000の範囲にあるものが好ましく、特に500,000~1,000,000の範囲にあるものがより好ましい。アクリル系粘着剤には、必要に応じて、イソシアネート系、エポキシ系、金属キレート系等の架橋剤を1種あるいは2種以上混合して用いることができる。
上記光拡散粘着層に使用する第2の光拡散性フィラーとしては、光拡散層に使用する第1の光拡散性フィラーとの屈折率差を0.50以上とできれば、前述の第1の光拡散性フィラーで使用できる無機微粒子、有機微粒子のいずれも使用することができる。
第2の光拡散性フィラーの屈折率は、前述のとおり、1.20以上1.50未満であることが好ましく、第2の光拡散性フィラーは、球状であり、その平均粒子径は、前述のとおり、0.1~1.5μmであることが好ましい。また、上記光拡散粘着層における第2の光拡散性フィラーの含有率は、前述のとおり、光拡散粘着層の全固形分に対して、0.2~5.0質量%であることが好ましい。更に、光拡散粘着層の膜厚は、前述のとおり、10~50μmであることが好ましい。
上記光拡散粘着層を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、上記粘着剤を有機溶剤に溶解した溶液に、光拡散性フィラーを添加して分散させた塗料を調製し、この塗料をダイコーター、コンマコーター、リバースコーター、ダムコーター、ドクターバーコーター、グラビアコーター、マイクログラビアコーター、ロールコーター等のコーターを使用して、先ず離型フィルムの上に塗布、乾燥した後、光拡散粘着層の露出面を、光拡散層の面と貼り合わせる方法で形成するのが好ましい。
次に、本実施形態のスクリーンフィルムの一例を図面に基づき説明する。
図1は、本実施形態のスクリーンフィルムの一例を示す概略断面図である。図1において、スクリーンフィルム10は、透明基材11と、保護層12と、光拡散層13と、光拡散粘着層14とを備える。光拡散層13は、第1の光拡散性フィラーと樹脂とを含み、光拡散粘着層14は、第2の光拡散性フィラーと粘着剤とを含み、第1の光拡散性フィラーの屈折率と、第2の光拡散性フィラーの屈折率との差を0.50以上に設定している。
スクリーンフィルム10は、光拡散層13を、透明基材11と光拡散粘着層14との間に配置し、かつ、保護層12を、透明基材11の、光拡散層13が形成された面とは反対側に配置しているので、スクリーンフィルム10の耐擦傷性を向上できる。また、第1の光拡散性フィラーの屈折率と、第2の光拡散性フィラーの屈折率との差を0.50以上に設定しているので、スクリーンフィルム10の光学特性及び投影性を向上できる。
図1には示していないが、光拡散粘着層14の外面に剥離フィルムからなる剥離層を配置することにより、スクリーンフィルム10をガラス基板等に貼り付ける前のスクリーンフィルムの取り扱い性を向上させることができる。
(投影システム)
次に、本願で開示する投影システムの実施形態について説明する。本実施形態の投影システムは、前記実施形態で開示したスクリーンフィルムと、そのスクリーンフィルムに映像を投影するプロジェクターとを備えている。本実施形態の投影システムは、前記実施形態で開示したスクリーンフィルムを備えているので、後述する実施例で示したとおり、投影性及び角度依存性に優れる。
上記投影システムは、その他に、例えば、映像データをプロジェクターに送信する送信装置、プロジェクターを制御する制御装置等を備えることができる。
以下、実施例に基づいて本願で開示するスクリーンフィルムを説明する。但し、本願で開示するスクリーンフィルムは以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
<保護層の形成>
先ず、透明基材として、両面を易接着処理した東洋紡社製のポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム“A4300”(商品名、厚み:50μm)を用意した。次に、上記PETフィルムの片面側に、マイクログラビアコータ(廉井精機社製)を用いて、トーヨーケム社製のハードコート塗料“LCH2500”(商品名)を、乾燥後の厚さが3μmになるよう塗工し、乾燥させた後、高圧水銀灯にて300mJ/cm2の光量の紫外線を照射して硬化させることにより、厚さ3μmの保護層付きPETフィルムAを形成した。
<光拡散層の形成>
ビジョン開発社製の多結晶ダイヤモンド粒子“DPC-0-2”(商品名、屈折率:2.41)1.5部に対し純水98.5部を加え、超音波分散機“UH-600”(商品名、エスエムテー社製)にて液温30℃、パルス70%にて1時間分散処理を行い、ダイヤモンド分散体を調製した。
次に、このダイヤモンド分散体16部に、互応化学社製のポリエステル樹脂溶液“プラスコートRZ-105”(商品名、屈折率:1.52、固形分濃度:25質量%)を39部、純水を40部、メタノールを5部添加し、ディスパーにて混合配合した後、口径5μmのフィルターを通すことで、光拡散層形成用塗布液を調製した。この塗布液中の多結晶ダイヤモンドの平均粒子径をHORIBA社製のレーザー回折・散乱式粒度分布計“LA-960V2”にて測定したところ、平均分散粒子径は0.8μmであった。上記塗布液の固形分濃度は10.0質量%、全固形分に対するフィラー含有率は2.4質量%であった。
上記光拡散層形成用塗布液を、グラビアコーターを用いて、上記保護層付きPETフィルムAの保護層が形成された面の反対側に、乾燥後の厚さが3μmとなるよう塗工、乾燥することにより、光拡散層Aを形成した。
<光拡散粘着層の形成>
先ず、離型フィルムとして、片面がシリコーン処理されたニッパ社製のPETフィルム“J0-L”(商品名、厚さ:38μm)を用意した。また、綜研化学社製のアクリル系粘着剤溶液“SKダイン2094”(商品名、固形分濃度:25質量%、屈折率:1.49)100部に対して、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン社製の球状シリコーン樹脂微粒子“XC99-A8808”(商品名、平均粒子径:0.7μm、屈折率:1.42)0.50部[粘着剤樹脂100部に対して3.5部]、和光純薬社製の紫外線吸収剤(ベンゾフェノン系)1.25部及び綜研化学社製の架橋剤“E-AX”(商品名、固形分濃度:5質量%)0.27部を添加し、ディスパーにて分散配合した後、脱泡して光拡散粘着層形成用塗布液を調製した。この塗布液の固形分濃度は26.2質量%、全固形分に対するフィラー含有率は1.9質量%であった。
次に、上記光拡散粘着層形成用塗布液を、ダイコーターを用いて、上記離型PETフィルムのシリコーン処理された側の面上に、乾燥後の厚さが28μmとなるよう塗工、乾燥することにより、光拡散粘着層Aを形成した。更に、光拡散粘着層Aの暴露面に、先に作製した光拡散層Aを張り合わせ、PETフィルムの片面に光拡散粘着層A、光拡散層A、PETフィルムのもう一方の面に保護層が形成された実施例1の透明スクリーンフィルムを作製した。
(実施例2)
光拡散層Aの形成時の多結晶ダイヤモンド“DPC-0-2”の分散時間を2.0時間に変更し、分散後に遠心分離機“H-9R”(商品名、コクサン社製)にてLNローターを用いて25℃、8000rpmにて5分間遠心分離を行った以外は、実施例1と同様にしてダイヤモンド分散体を調製した。遠心分離後の固形分濃度は1.0質量%であった。
上記分散体を16部用いた以外は、実施例1と同様にして光拡散層形成用塗布液を調製した。この塗布液の、実施例1と同様にして測定したダイヤモンドの平均分散粒子径は0.3μm、固形分濃度は10.0質量%、全固形分に対するフィラー含有率は2.4質量%であった。この光拡散層形成用塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして光拡散層Bを形成した。この光拡散層Bに実施例1と同様にして光拡散粘着層Aを貼り合わせて、実施例2の透明スクリーンフィルムを作製した。
(実施例3)
光拡散層Aの形成時の多結晶ダイヤモンド“DPC-0-2”の分散時間を0.5時間に変更した以外は、実施例1と同様にして光拡散層形成用塗布液を調製した。この塗布液の、実施例1と同様にして測定したダイヤモンドの平均分散粒子径は1.2μm、固形分濃度は10.0質量%、全固形分に対するフィラー含有率は2.4質量%であった。この光拡散層形成用塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして光拡散層Cを形成した。この光拡散層Cに実施例1と同様にして光拡散粘着層Aを貼り合わせて、実施例3の透明スクリーンフィルムを作製した。
(実施例4)
光拡散層Aの膜厚を1μmに変更した以外は、実施例1と同様にして光拡散層Dを形成した。この光拡散層Dに実施例1と同様にして光拡散粘着層Aを貼り合わせて、実施例4の透明スクリーンフィルムを作製した。
(実施例5)
光拡散層Aの膜厚を8μmに変更した以外は、実施例1と同様にして光拡散層Eを形成した。この光拡散層Eに実施例1と同様にして光拡散粘着層Aを貼り合わせて、実施例5の透明スクリーンフィルムを作製した。
(実施例6)
光拡散粘着層形成用塗布液の球状シリコーン樹脂粒子“XC99-8808”の代わりに、中国化工社製の球状シリコーン樹脂分散体“SCK-010MW”(商品名、1次粒子径:0.1μm、屈折率:1.42)をシリコーン樹脂の固形分濃度で同量に置き換えて用いた以外は、実施例1と同様にして光拡散粘着層Bを形成した。この光拡散粘着層Bに実施例1と同様にして光拡散層Aを貼り合わせて、実施例6の透明スクリーンフィルムを作製した。
(実施例7)
光拡散粘着層形成用塗布液の球状シリコーン樹脂粒子“XC99-8808”の代わりに、中国化工社製の球状シリコーン樹脂分散体“SCK-100MW”(商品名、1次粒子径:1.1μm、屈折率:1.42)をシリコーン樹脂の固形分濃度で同量に置き換えて用いた以外は、実施例1と同様にして光拡散粘着層Cを形成した。この光拡散粘着層Cに実施例1と同様にして光拡散層Aを貼り合わせて、実施例7の透明スクリーンフィルムを作製した。
(実施例8)
実施例1にて得たダイヤモンド分散体を4.7部、ポリエステル樹脂溶液“プラスコートRZ-105”を39.7部、純水を50.6部、メタノールを5部用いた以外は、実施例1と同様にして、光拡散層形成用塗布液を調製した。この塗布液の、実施例1と同様にして測定したダイヤモンドの平均分散粒子径は0.8μm、固形分濃度は10.0質量%、全固形分に対するフィラー含有率は0.7質量%であった。この光拡散層形成用塗布液を使用した以外は、実施例1と同様に光拡散層Fを形成した。この光拡散層Fに実施例1と同様にして光拡散粘着層Aを貼り合わせて、実施例8の透明スクリーンフィルムを作製した。
(実施例9)
実施例1にて得たダイヤモンド分散体を31.3部、ポリエステル樹脂溶液“プラスコートRZ-105”を38.1部、純水を25.6部、メタノールを5部用いた以外は、実施例1と同様にして、光拡散層形成用塗布液を調製した。この塗布液の、実施例1と同様にして測定したダイヤモンドの平均分散粒子径は0.8μm、固形分濃度は10.0質量%、全固形分に対するフィラー含有率は4.7質量%であった。この光拡散層形成用塗布液を使用した以外は、実施例1と同様に光拡散層Gを形成した。この光拡散層Gに実施例1と同様にして光拡散粘着層Aを貼り合わせて、実施例9の透明スクリーンフィルムを作製した。
(実施例10)
多結晶ダイヤモンド“DPC-0-2”の代わりに、石原産業社製の酸化チタン“TTO-55”(商品名、屈折率:2.72)30.0部に対し、純水68.5部、分散剤としてビックケミー社の高分子分散剤“Dyspa-BYK180”(商品名)を1.5部加え、これを250mlのPP製容器に入れ、直径0.1mmのジルコニアビーズ200gと共にペイントコンディショナー(東洋精機製)にて30分間分散させた。分散後、遠心分離機“H-9R”にてLNローターを用いて25℃、8000rpmにて5分間遠心分離を行い、分散体を作製した。遠心分離後の固形分濃度は28.0質量%であった。この分散体0.9部に、ポリエステル樹脂溶液“プラスコートRZ-105”を39部、純水を55.1部、メタノールを5部添加し、ディスパーにて混合配合した後、口径5μmのフィルターを通すことで、光拡散層形成用塗布液を調製した。この塗布液中の酸化チタンの平均粒子径をHORIBA社製のレーザー回折・散乱式粒度分布計“LA-960V2”にて測定したところ、平均分散粒子径は1.0μmであった。上記塗布液の固形分濃度は10.0質量%、全固形分に対するフィラー含有率は2.5質量%であった。この光拡散層形成用塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして光拡散層Hを形成した。この光拡散層Hに実施例1と同様にして光拡散粘着層Aを貼り合わせて、実施例10の透明スクリーンフィルムを作製した。
(実施例11)
多結晶ダイヤモンド“DPC-0-2”の代わりに、堺化学社製の酸化ジルコニウムの水分散体“SZR-W”(商品名、屈折率:2.11、固形分濃度:30質量%)1.0部に対し、ポリエステル樹脂溶液“プラスコートRZ-105”を38.8部、純水を55.2部、メタノールを5部添加し、ディスパーにて混合配合した後、口径5μmのフィルターを通すことで、光拡散層形成用塗布液を調製した。この塗布液中の酸化ジルコニウムの平均粒子径をHORIBA社製のレーザー回折・散乱式粒度分布計“LA-960V2”にて測定したところ、平均分散粒子径は0.2μmであった。上記塗布液の固形分濃度は10.0質量%、全固形分に対するフィラー含有率は3.0質量%であった。この光拡散層形成用塗布液を使用した以外は、実施例1と同様にして光拡散層Iを形成した。この光拡散層Iに実施例1と同様にして光拡散粘着層Aを貼り合わせて、実施例11の透明スクリーンフィルムを作製した。
(比較例1)
実施例1の光拡散粘着層Aに代えて、光拡散粘着層Aから球状シリコーン樹脂微粒子“XC99-A8808”を除いた以外は、実施例1と同様にして粘着層Dを形成した。この粘着層Dに実施例1と同様にして光拡散層Aを貼り合わせて、比較例1の透明スクリーンフィルムを作製した。
(比較例2)
実施例1にて作製した保護層付きPETフィルムAに、光拡散層Aに代えて、実施例1と同様にして作製した光拡散粘着層Aを貼り合わせ、光拡散層を含まない、比較例2の透明スクリーンフィルムを作製した。
(比較例3)
実施例1にて作製した光拡散層形成用塗布液を、透明基材であるPETフィルム“A4300”に実施例1と同様に厚さが3μmになるように塗工して乾燥させ、その後、その上に実施例1と同様にして保護層を形成させて、保護層付きPETフィルムBを形成した。この保護層付きPETフィルムBに、光拡散層Aに代えて、実施例1と同様にして作製した光拡散粘着層Aを貼り合わせ、光拡散層が光拡散粘着層Aの反対側に形成された、比較例3の透明スクリーンフィルムを作製した。
(比較例4)
実施例1の光拡散粘着層Aで用いた球状シリコーン樹脂微粒子“XC99-A8808”に代えて、堺化学社製の酸化亜鉛(グレード:1種、1次粒子径:0.75μm、屈折率:2.00)を用いた以外は、実施例1と同様にして光拡散粘着層Eを形成した。この光拡散粘着層Eに、実施例11で作製した保護層・光拡散層付きPETフィルムAの光拡散層Iを実施例1と同様にして貼り合わせて、光拡散層Iと光拡散粘着層Eに含まれる光拡散性フィラーの屈折率差が5.0未満である、比較例4の透明スクリーンフィルムを作製した。
<透明スクリーンフィルムの評価>
実施例1~11及び比較例1~4について、下記のようにして光学特性、投影性、角度依存性及び耐擦傷性を評価した。
[光学特性]
光学特性を評価するために、全光線透過率及びヘーズ値を次のようにして測定した。3mmのフロートガラスに透明スクリーンフィルムを貼り、ガラス面を入射光側として、日本電色社製のヘーズメーター“NDH2000”(商品名)を用いて透光性を測定し、JIS K7136-2000に準じて、全光線透過率及びヘーズ値を算出した。
[投影性]
投影性を評価するために、プロジェクターで透明スクリーンフィルムに投影した画像の輝度を次のようにして測定した。
プロジェクターとしては、マクセル社製のレーザー光源を用いた超短投射プロジェクター“MP-TW4011”を使用した。プロジェクターの出力は標準モードとし、明るさ、コントラスト、色の濃さは全て初期値とし、画質設定を4とし、映像モード「スタンダード」、ACCENTUALIZER「3」、HDCR「3」、ダイナミックブラック「有効」にそれぞれ設定して投影した。
輝度の測定は、以下の手順にて行った。先ず、透明スクリーンフィルムを、ミスミ社製の厚さ5mmの透明ポリカーボネート板(型番:PCTA)に、気泡が入らないように水貼りによる貼り付けを行い、室温にて3日間養生して透明スクリーン板を得た。
次に、図2に示すように、透明スクリーンフィルム10と透明ポリカーボネート板20からなる透明スクリーン板30のスクリーンフィルム側をプロジェクター40側に設置し、プロジェクター40の光源から透明スクリーン板30までの水平距離を500mm、光源から測定点までの垂直距離を450mmとして、プロジェクター40から投影光50を照射し、プロジェクター40とは反対側から輝度計60により測定点の輝度を測定した。輝度計60としては、TOPCON社製の色彩輝度計“BM-7”を用い、測定点から輝度計60のレンズまでの距離を300mmとした。測定は全て暗室にて行い、投影させる映像はマイクロソフト社の“パワーポイント”にて白色及び黒色の画像を作成し、これを投影させ、白色及び黒色の輝度を測定した。
投影性の評価は、次の基準で行なった。
白色投影時の輝度が高い方が、画面が明るく、鮮明な画像が提供できるスクリーンであると言える。そのため、白色投影時の輝度が、50cd/m2以上のものを優良(〇)、30~50cd/m2のものを良(△)、30cd/m2未満のものを不良(×)とした。
黒色投影時の輝度が高いと、映像投影時に白っぽい画像になりやすく、黒色投影時の輝度は低い方が、コントラストの高い画像が提供できるスクリーンであると言える。そのため、黒色投影時の輝度が、0.13cd/m2未満のものを優良(〇)、0.13以上0.16cd/m2未満のものを良(△)、0.16cd/m2以上のものを不良(×)とした。
[角度依存性]
透明スクリーンフィルムの角度依存性は、投影性の評価と同様にしてプロジェクターで透明スクリーン板に画像を投影し、その画像について以下の3段階で評価した。
優良(○):視認する角度を変えながら観察しても画像がはっきりと認識できる場合
良 (△):視認する角度を変えながら観察すると画像が認識できる個所とやや認識し難い個所がある場合
不良(×):視認する角度を変えながら観察すると画像が認識し難い個所がある場合
[耐擦傷性]
3mmフロートガラスに透明スクリーンフィルムを貼り、新東科学社製の摺動試験機“HEIDON”を用い、直径15mmの摺動部の先端にスチールウール(#0000)を固定させ、883gの荷重をかけた状態でフィルム表面を4500mm/分で10往復摺動させた後、投影性の評価と同様にしてプロジェクターで透明スクリーン板に画像を投影し、摺動前後での白色輝度を測定した。その結果、初期と比較し輝度の変化率が10%未満のものを優良(〇)、10%以上のものを不良(×)とした。
以上の結果を、表1~表3に示す。また、表1~3では、透明スクリーンフィルムの層構成、及び、光拡散層の光拡散性フィラーと光拡散粘着層の光拡散性フィラーとの屈折率差も合わせて示した。
Figure 0007502333000001
Figure 0007502333000002
Figure 0007502333000003
上記評価結果から、層構成を、保護層/PETフィルム/光拡散層/光拡散粘着層とし、光拡散層の光拡散性フィラーと光拡散粘着層の光拡散性フィラーとの屈折率差を0.50以上とした実施例1~11では、光学特性、投影性、角度依存性及び耐擦傷性の全てにおいて、ほぼ満足できる評価を得たことが分かる。
一方、光拡散粘着層に代えて粘着層を形成した比較例1では、白色輝度が劣り、光拡散層を形成しなかった比較例2では、白色輝度と角度依存性が劣り、光拡散層を保護層と透明基材の間に配置した比較例3では、耐擦傷性が劣り、光拡散層の光拡散性フィラーと光拡散粘着層の光拡散性フィラーとの屈折率差が0.50を下回った比較例4では、黒色輝度が劣った。
本願は、その趣旨を逸脱しない範囲で、上記以外の形態としても実施が可能である。本願に開示された実施形態は一例であって、これらに限定はされない。本願の範囲は、上述の明細書の記載よりも、添付されている請求の範囲の記載を優先して解釈され、請求の範囲と均等の範囲内での全ての変更は、請求の範囲に含まれるものである。
本願で開示するスクリーンフィルムは、光学特性、投影性及び耐擦傷性に優れ、透過スクリーン機能及び反射スクリーン機能を有しており、各種の透明スクリーンに適用することができる。
10 スクリーンフィルム
11 透明基材
12 保護層
13 光拡散層
14 光拡散粘着層
20 透明ポリカーボネート板
30 透明スクリーン板
40 プロジェクター
50 投影光
60 輝度計

Claims (13)

  1. 透明基材と、保護層と、光拡散層と、光拡散粘着層とを含むスクリーンフィルムであって、
    前記保護層は、前記透明基材の一方の主面側に配置され、
    前記光拡散層及び前記光拡散粘着層は、この順に、前記透明基材の他方の主面側から配置され、
    前記光拡散層は、第1の光拡散性フィラーと、樹脂とを含み、
    前記光拡散粘着層は、第2の光拡散性フィラーと、粘着剤とを含み、
    前記第1の光拡散性フィラーの屈折率と、前記第2の光拡散性フィラーの屈折率との差が、0.50以上であるスクリーンフィルム。
  2. 全光線透過率が、60~90%であり、ヘーズ値が、5.0~30.0%である請求項1に記載のスクリーンフィルム。
  3. 前記保護層は、電離放射線硬化型樹脂又は熱硬化型樹脂を含む請求項1又は2に記載のスクリーンフィルム。
  4. 前記第1の光拡散性フィラーの屈折率は、1.85以上2.75未満である請求項1~3のいずれか1項に記載のスクリーンフィルム。
  5. 前記第1の光拡散性フィラーは、ダイヤモンド、酸化チタン及び酸化ジルコニウムからなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項1~のいずれか1項に記載のスクリーンフィルム。
  6. 前記第1の光拡散性フィラーの含有率は、前記光拡散層の全固形分に対して、0.5~5.0質量%である請求項1~のいずれか1項に記載のスクリーンフィルム。
  7. 前記光拡散層の膜厚は、0.5~10.0μmである請求項1~のいずれか1項に記載のスクリーンフィルム。
  8. 前記第2の光拡散性フィラーの屈折率は、1.20以上1.50未満である請求項1~のいずれか1項に記載のスクリーンフィルム。
  9. 前記第2の光拡散性フィラーは、球状であり、その平均粒子径は、0.1~1.5μmである請求項1~いずれか1項に記載のスクリーンフィルム。
  10. 前記第2の光拡散性フィラーの含有率は、前記光拡散粘着層の全固形分に対して、0.2~5.0質量%である請求項1~のいずれか1項に記載のスクリーンフィルム。
  11. 前記光拡散粘着層は、アクリル系粘着剤を含む請求項1~10のいずれか1項に記載のスクリーンフィルム。
  12. 前記光拡散粘着層の膜厚は、10~50μmである請求項1~11のいずれか1項に記載のスクリーンフィルム。
  13. 請求項1~12のいずれか1項に記載のスクリーンフィルムと、プロジェクターとを備えた投影システム。
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