以下、一実施形態に係るマスクの構成及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態は本開示の実施形態の一例であって、本開示はこれらの実施形態に限定して解釈されるものではない。また、本明細書において、「板」、「基材」、「シート」、「フィルム」など用語は、呼称の違いのみに基づいて、互いから区別されるものではない。例えば、「板」はシートやフィルムと呼ばれ得るような部材も含む概念である。また、「面(シート面、フィルム面)」とは、対象となる板状(シート状、フィルム状)の部材を全体的かつ大局的に見た場合において対象となる板状部材(シート状部材、フィルム状部材)の平面方向と一致する面のことを指す。また、板状(シート状、フィルム状)の部材に対して用いる法線方向とは、当該部材の面(シート面、フィルム面)に対する法線方向のことを指す。更に、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」や「直交」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
また、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なる場合や、構成の一部が図面から省略される場合がある。
なお、本開示の実施形態は、矛盾の生じない範囲で、その他の実施形態や変形例と組み合わせられ得る。また、その他の実施形態同士や、その他の実施形態と変形例も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。また、変形例同士も、矛盾の生じない範囲で組み合わせられ得る。
また、本開示の実施形態において、製造方法などの方法に関して複数の工程を開示する場合に、開示されている工程の間に、開示されていないその他の工程が実施されてもよい。また、開示されている工程の順序は、矛盾の生じない範囲で任意である。
本実施形態においては、マスクが、有機EL表示装置を製造する際に有機材料を所望のパターンで基板上にパターニングするために用いられる蒸着マスクである例について説明する。ただし、マスクの用途が特に限定されることはなく、種々の用途に用いられるマスクに対し、本実施形態を適用することができる。例えば、仮想現実いわゆるVRや拡張現実いわゆるARを表現するための画像や映像を表示又は投影するための装置を製造するために、本実施形態のマスクを用いてもよい。
まず、対象物に蒸着材料を蒸着させる蒸着処理を実施する蒸着装置80について、図1を参照して説明する。図1に示すように、蒸着装置80は、その内部に、蒸着源(例えばるつぼ81)、ヒータ83、及び蒸着マスク装置10を備えていてもよい。また、蒸着装置80は、蒸着装置80の内部を真空雰囲気にするための排気手段を更に備えていてもよい。るつぼ81は、有機発光材料などの蒸着材料82を収容する。ヒータ83は、るつぼ81を加熱して、真空雰囲気の下で蒸着材料82を蒸発させる。蒸着マスク装置10は、るつぼ81と対向するよう配置されている。
以下、蒸着マスク装置10について説明する。図1に示すように、蒸着マスク装置10は、少なくとも1つの蒸着マスク20を備える。蒸着マスク装置10は、蒸着マスク20を支持するフレーム15を更に備えていてもよい。フレーム15は、蒸着マスク20が撓んでしまうことがないように、蒸着マスク20をその面方向に引っ張った状態で支持する。
蒸着マスク装置10は、図1に示すように、蒸着材料82を付着させる対象物である基板91に蒸着マスク20が対面するよう、蒸着装置80内に配置されている。蒸着マスク20は、蒸着源81から飛来した蒸着材料82を通過させる複数の貫通孔40を有する。以下の説明において、蒸着マスク20の面のうち、飛来した蒸着材料82が付着する基板91の側に位置する面を第1面201と称し、第1面201の反対側に位置する面を第2面202と称する。
蒸着マスク装置10は、図1に示すように、基板91の、蒸着マスク20と反対の側の面に配置された磁石85を備えていてもよい。磁石85を設けることにより、磁力によって蒸着マスク20を磁石85側に引き寄せて、蒸着マスク20を基板91に密着させることができる。これにより、蒸着工程においてシャドーが発生することを抑制することができ、基板91に付着する蒸着材料82によって基板91に形成される蒸着層の寸法精度や位置精度を高めることができる。また、静電気力を利用する静電チャックを用いて蒸着マスク20を基板91に密着させてもよい。
図2は、蒸着マスク装置10を蒸着マスク20の第1面201側から見た場合を示す平面図である。図2に示すように、蒸着マスク装置10は、複数の蒸着マスク20を備えていてもよい。本実施の形態において、各蒸着マスク20は、一方向に延びる矩形状の形状を有する。蒸着マスク装置10において、複数の蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長さ方向に交差する幅方向に並んでいる。各蒸着マスク20は、蒸着マスク20の長さ方向の両端部において、例えば溶接によってフレーム15に固定されている。
図2に示す蒸着マスク20は、溶接などによってフレーム15に固定される一対の耳部21と、耳部21の間に位置する中間部22と、を有する。中間部22は、少なくとも1つの有効領域23と、有効領域23の周囲に位置する周囲領域24と、を有していてもよい。図2に示す例において、中間部22は、蒸着マスク20の長さ方向に沿って所定の間隔を空けて配列された複数の有効領域23を含む。周囲領域24は、複数の有効領域23を囲んでいる。
蒸着マスク20を用いて有機EL表示装置などの表示装置を作製する場合、1つの有効領域23は、1つの有機EL表示装置の表示領域に対応する。このため、図2に示す蒸着マスク装置10によれば、有機EL表示装置の多面付蒸着が可能である。なお、1つの有効領域23が複数の表示領域に対応する場合もある。また、図示はしないが、蒸着マスク20の幅方向においても所定の間隔を空けて複数の有効領域23が配列されていてもよい。
有効領域23は、例えば、平面視において略四角形形状、さらに正確には平面視において略矩形状の輪郭を有する。なお図示はしないが、各有効領域23は、有機EL表示装置の表示領域の形状に応じて、様々な形状の輪郭を有することができる。例えば各有効領域23は、円形状の輪郭を有していてもよい。
図3Aは、蒸着マスク20の有効領域23を第2面202側から見た場合を示す平面図である。また、図4は、図3Aの有効領域23のA-A線に沿った断面図である。有効領域23は、金属板30と、金属板30に設けられた複数の貫通孔40と、を含む。金属板30は、図4に示すように、第1面31と、第1面31の反対側に位置する第2面32と、を含む。金属板30の第1面31が、蒸着マスク20の第1面201を構成し、金属板30の第2面32が、蒸着マスク20の第2面202を構成している。貫通孔40は、金属板30の第1面31から第2面32へ貫通している。貫通孔40は、第1面31から第2面32へ広がる壁面41を有する。
金属板30を構成する材料としては、例えば、ニッケルを含む鉄合金を用いることができる。鉄合金は、ニッケルに加えてコバルトを更に含んでいてもよい。例えば、金属板30の材料として、ニッケル及びコバルトの含有量が合計で30質量%以上且つ54質量%以下であり、且つコバルトの含有量が0質量%以上且つ6質量%以下である鉄合金を用いることができる。ニッケル若しくはニッケル及びコバルトを含む鉄合金の具体例としては、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含むインバー材、30質量%以上且つ34質量%以下のニッケルに加えてさらにコバルトを含むスーパーインバー材、38質量%以上且つ54質量%以下のニッケルを含む低熱膨張Fe-Ni系めっき合金などを挙げることができる。このような鉄合金を用いることにより、金属板30の熱膨張係数を低くすることができる。例えば、基板91としてガラス基板が用いられる場合に、金属板30の熱膨張係数を、ガラス基板と同等の低い値にすることができる。これにより、蒸着工程の際、基板91に形成される蒸着層の寸法精度や位置精度が、金属板30を備える蒸着マスク20と基板91との間の熱膨張係数の差に起因して低下することを抑制することができる。
貫通孔40の形状は、貫通孔40の周囲の金属板30によって画成される。例えば、遮蔽部35の側面が、貫通孔40の壁面41を構成する。貫通孔40の周囲の金属板30は、基板91の表示領域に蒸着材料82が付着することを遮蔽するよう機能する。以下の説明において、貫通孔40の周囲の金属板30のことを遮蔽部35とも称する。
蒸着マスク20を構成する金属板30の第1面31の面方向D1の法線方向に沿って、すなわち金属板30の厚み方向D2に沿って金属板30を見た場合、複数の貫通孔40のうちの少なくとも一部は、互いに交差する第1方向D11及び第2方向D12に沿ってそれぞれ所定の第1ピッチC1及び第2ピッチC2で配列されている。第1方向D11及び第2方向D12はいずれも、面方向D1における方向である。第1ピッチC1及び第2ピッチC2のうち小さい方のピッチは、表示装置又は投影装置の画素密度に応じて例えば以下のように定められる。
・画素密度が600ppi以上の場合:ピッチは42.3μm以下
・画素密度が1200ppi以上の場合:ピッチは21.2μm以下
・画素密度が3000ppi以上の場合:ピッチは8.5μm以下
画素密度が600ppiの表示装置又は投影装置は、例えば、スマートフォン用の有機EL表示装置として用いられる。
画素密度が1200ppiの表示装置又は投影装置は、例えば、仮想現実を表現するための画像や映像を表示又は投影するために用いられる。
画素密度が3000ppiの表示装置又は投影装置は、例えば、拡張現実を表現するための画像や映像を表示又は投影するために用いられる。
有効領域23の配列は任意である。例えば、有効領域23の配列として、図3Aに示すように並列配列が採用されていてもよく、図3Bに示すように千鳥配列が採用されていてもよい。
図3A及び図3Bに示す例において、金属板30の厚み方向D2に沿って金属板30を見た場合の貫通孔40は、四隅が湾曲した略矩形状の輪郭を有する。なお、輪郭の形状は、画素の形状に応じて任意に定められ得る。例えば、六角形、八角形などのその他の多角形の形状を有していてもよく、円形状を有していてもよい。また、輪郭の形状は、複数の形状の組み合わせであってもよい。また、複数の貫通孔40はそれぞれ、互いに異なる輪郭の形状を有していてもよい。貫通孔40が多角形の形状の輪郭を有する場合、貫通孔40の開口寸法は、図3Aに示すように、多角形において対向する一対の辺の間の間隔である。
図4に示すように、周囲領域24も、有効領域23と同一の金属板30によって構成されている。周囲領域24における金属板30の厚みH0は、有効領域23における金属板30の厚みH1よりも大きくてもよい。同様に、上述の耳部21も、有効領域23と同一の金属板30によって構成され、耳部21の厚みが有効領域23の厚みH1よりも大きくてもよい。なお、図示はしないが、周囲領域24の厚みH0や耳部21の厚みは、有効領域23の厚みH1と同一であってもよく、有効領域23の厚みH1よりも小さくてもよい。
有効領域23は、後述するように、まず金属板30に第1面31側から第1エッチング工程を施し、続いて金属板30に第2面32側から第2エッチングを施すことによって形成される。従って、有効領域23の金属板30の厚みH1とは、第2エッチング工程後の金属板30の厚みである。
遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1は、10μm以下であることが好ましい。遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1は、7μm以下であってもよく、5μm以下であってもよく、4μm以下であってもよく、3μm以下であってもよく、2μm以下であってもよい。遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1を10μm以下にすることにより、蒸着工程において貫通孔40の壁面41に蒸着材料82が付着することを抑制することができる。これにより、貫通孔40を通過できない蒸着材料82の比率を低減することができ、蒸着材料82の利用効率を高めることができる。一方、遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1が小さくなり過ぎると、蒸着マスク20を使用する際や搬送する際などに蒸着マスク20に変形や破損が生じ易くなる。この点を考慮し、遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1は、0.5μm以上であることが好ましい。金属板30の厚みH1は、1.0μm以上であってもよく、1.5μm以上であってもよい。
遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1の範囲は、0.5μm以上10μm以下であってもよく、1.0μm以上5μm以下であってもよく、1.5μm以上2μm以下であってもよい。また、遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1の範囲は、2μm以上10μm以下であってもよい。また、遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1の範囲は、0.5μm以上1.5μm以下であってもよい。
貫通孔40及び貫通孔40を画成する遮蔽部35について、図5及び図6を参照して詳細に説明する。図5は、貫通孔40及び遮蔽部35を拡大して示す断面図である。図6は、貫通孔40を拡大して示す平面図である。
図5に示すように、貫通孔40の壁面41は、第1端411、第2端412、及び最小開口径部46を含む。第1端411は、金属板30の第1面31における壁面41の端であり、第2端412は、金属板30の第2面32における壁面41の端である。最小開口径部46は、壁面41のうち第1端411と第2端412との間に位置し、最も小さい開口寸法を有する部分である。
図5に示す例において、壁面41は、第1端411から第2端412側へ広がる第1壁面43と、第2端412から第1端411側へ広がる第2壁面44と、第1壁面43と第2壁面44とが合流する突端45と、を含む。突端45は、貫通孔40及び遮蔽部35の断面図において、壁面41のうち最も内側に位置する部分である。内側とは、貫通孔40及び遮蔽部35の断面図において貫通孔40の中心軸Cに近づく側である。中心軸Cとは、貫通孔40の断面図において、対向する第1端411の間の中間点と、対向する第2端412の間の中間点とを通る直線である。また、後述する外側とは、貫通孔40及び遮蔽部35の断面図において貫通孔40の中心軸Cから遠ざかる側である。上述の最小開口径部46は、突端45を含んでいる。
図5に示すように、第1壁面43は、第1端411から第2端412側に向かうにつれて内側に向かうように広がっていてもよい。また、第2壁面44は第2端412から第1端411側に向かうにつれて内側に向かうように広がっていてもよい。なお、「第1端411から第2端412側に向かうにつれて内側に向かうように広がる」という状態、及び、「第2壁面44は第2端412から第1端411側に向かうにつれて内側に向かうように広がる」という状態は、壁面41に存在する、深さ又は高さが200nm以下の微小な凹凸を無視した場合に成立していればよい。
図5及び図6において、符号S1は、最小開口径部46における貫通孔40の開口寸法(以下、最小開口寸法とも称する)を表し、符号S2は、第1面31における貫通孔40の開口寸法(以下、第1面開口寸法とも称する)を表し、符号S3は、第2面32における貫通孔40の開口寸法(以下、第2面開口寸法とも称する)を表す。また、符号S4は、複数の貫通孔40が並ぶ方向における遮蔽部35の幅を表す。第1面開口寸法S2は、最小開口寸法S1以上であり、第2面開口寸法S3は、第1面開口寸法S2以上である。第1面開口寸法S2と最小開口寸法S1の差は、小さいことが好ましい。第1面開口寸法S2から最小開口寸法S1を引いた値は、例えば0μm以上2.0μm以下である。また、第2面開口寸法S3は、第1面開口寸法S2よりも大きいことが好ましい。例えば、第2面開口寸法S3は、第1面開口寸法S2よりも少なくとも0.5μm以上大きいことが好ましい。第2面開口寸法S3は、第1面開口寸法S2よりも1μm以上大きくてもよく、1.5μm以上大きくてもよく、2μm以上大きくてもよい。また、第2面開口寸法S3から第1面開口寸法S2を引いた値は、好ましくは10μm以下である。第2面開口寸法S3から第1面開口寸法S2を引いた値は、8μm以下であってもよく、6μm以下であってもよく、4μm以下であってもよい。図6に示すように、金属板30の厚み方向に沿って貫通孔40を見た場合に、第1端411の輪郭が最小開口径部46の輪郭を囲んでいてもよく、また、第2端412の輪郭が第1端411の輪郭を囲んでいてもよい。
第2面開口寸法S3から第1面開口寸法S2を引いた値の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第2面開口寸法S3から第1面開口寸法S2を引いた値は、0.5μm以上10μm以下であってもよく、1μm以上8μm以下であってもよく、1.5μm以上6μm以下であってもよく、2μm以上4μm以下であってもよい。また、第2面開口寸法S3から第1面開口寸法S2を引いた値の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第2面開口寸法S3から第1面開口寸法S2を引いた値は、4μm以上10μm以下であってもよい。また、第2面開口寸法S3から第1面開口寸法S2を引いた値の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第2面開口寸法S3から第1面開口寸法S2を引いた値は、0.5μm以上2μm以下であってもよい。
最小開口寸法S1、第1面開口寸法S2、第2面開口寸法S3及び幅S4は、表示装置又は投影装置の画素密度に応じて例えば以下の表1のように定められる。
最小開口寸法S1、第1面開口寸法S2、第2面開口寸法S3及び幅S4は、有効領域23における金属板30の厚みH1に対する比率として定められていてもよい。例えば、厚みH1に対する最小開口寸法S1の比率(=S1/H1)は、例えば0.3以上であり、0.5以上であってもよく、0.7以上であってもよく、1.0以上であってもよい。また、S1/H1は、例えば30以下であり、25以下であってもよく、20以下であってもよく、15以下であってもよい。
S1/H1の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、S1/H1は、0.3以上30以下であってもよく、0.5以上25以下であってもよく、0.7以上20以下であってもよく、1.0以上15以下であってもよい。また、S1/H1の範囲は、上述の複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、S1/H1は、15以上30以下であってもよい。また、S1/H1の範囲は、上述の複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、S1/H1は、0.3以上1.0以下であってもよい。
図5において、符号L1は、貫通孔40の断面図において最小開口径部46及び第2端412を通る仮想的な直線を表す。符号θ1は、直線L1が延びる方向と、金属板30の第1面31の面方向とが成す角度を表す。角度θ1は、好ましくは80°以下である。角度θ1は、70°以下であってもよく、60°以下であってもよく、50°以下であってもよく、45°以下であってもよく、40°以下であってもよい。また、角度θ1は、好ましくは、10°以上である。角度θ1は、15°以上であってもよく、20°以上であってもよく、25°以上であってもよく、30°以上であってもよい。
角度θ1の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、角度θ1は、10°以上80°以下であってもよく、15°以上70°以下であってもよく、20°以上60°以下であってもよく、25°以上50°以下であってもよく、30°以上45°以下であってもよい。また、角度θ1の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、角度θ1は、40°以上80°以下であってもよい。また、角度θ1の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、角度θ1は、10°以上30°以下であってもよい。
以下、角度θ1の技術的意味について説明する。蒸着マスク20を用いる蒸着工程において、蒸着材料82は、蒸着源81から基板91に向かって金属板30の厚み方向に沿って飛来する成分に加えて、金属板30の厚み方向に対して傾斜した方向に沿って飛来する成分を含むことがある。傾斜した方向に沿って飛来する蒸着材料82の一部は、基板91に到達する前に金属板30の第2面32や貫通孔40の壁面41に到達して付着する。このため、基板91に形成される蒸着層の厚みは、貫通孔40の壁面41に近いほど薄くなり易い。このような、基板91への蒸着材料82の付着が貫通孔40の壁面41によって阻害される現象のことを、シャドーとも称する。本実施の形態によれば、上述の角度θ1が80°以下になるよう貫通孔40の壁面41を構成することにより、シャドーの発生を抑制することができる。
ところで、角度θ1を小さくすることは、金属板30の第1面31の面方向における最小開口径部46と第2端412との間の距離S5(図5参照)の拡大を導く。距離S5の拡大は、遮蔽部35の幅S4の拡大を導く。上述の貫通孔40のピッチは、最小開口寸法S1と遮蔽部35の幅S4の和に等しい。従って、距離S5が拡大すると、貫通孔40のピッチを小さくすることが制限されてしまう。
ここで本実施の形態においては、上述のように、有効領域23における金属板30の厚みH1が小さく、例えば10μm以下になっている。このため、角度θ1を小さくするために必要な距離S5が、従来の、例えば10μmを超える厚みを有する蒸着マスクの場合に比べて短い。従って、本実施の形態によれば、貫通孔40のピッチを小さく維持しながら、角度θ1を80°以下にすることができる。
次に、図7を参照して、貫通孔40及び遮蔽部35の形状について更に詳細に説明する。図7は、貫通孔40を画成する遮蔽部35を拡大して示す断面図である。
図7において、符号H2は、金属板30の厚み方向D2における、最小開口径部46と第1端411との間の距離を表す。以下の説明において、距離H2のことを、第1壁面43の高さとも称する。第1壁面43の高さH2は、好ましくは2.0μm以下である。第1壁面43の高さH2は、1.5μm以下であってもよく、1.0μm以下であってもよく、0.8μm以下であってもよく、0.6μm以下であってもよい。第1壁面43の高さH2を1.0μm以下にすることにより、蒸着工程によって基板91に形成される蒸着層92の、基板91の面方向における端部の位置がばらつくことを抑制することができる。これにより、2つの隣り合う画素の間隔に関して設けられるマージンを低減することができる。
一方、蒸着マスク20の製造工程においては、第1壁面43の高さH2の設計値を小さくし過ぎると、第2面32側から実施されるエッチングが第1面31側にまで到達することが考えられる。第2面32側から実施されるエッチングが第1面31側にまで到達すると、最小開口寸法S1及び第1面開口寸法S2のばらつきが大きくなってしまう。この点を考慮し、第1壁面43の高さH2は、好ましくは0.1μm以上である。第1壁面43の高さH2は、0.2μm以上であってもよく、0.3μm以上であってもよい。
第1壁面43の高さH2の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第1壁面43の高さH2は、0.1μm以上2.0μm以下であってもよく、0.2μm以上1.5μm以下であってもよく、0.3μm以上1.0μm以下であってもよい。また、第1壁面43の高さH2の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第1壁面43の高さH2は、0.6μm以上2.0μm以下であってもよい。また、第1壁面43の高さH2の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第1壁面43の高さH2は、0.1μm以0.3μm以下であってもよい。
第1壁面43の高さH2の好ましい範囲は、遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1に対する相対値として定められていてもよい。例えば、遮蔽部35を構成する金属板30の厚みH1に対する高さH2の比率(H2/H1)は、好ましくは0.4以下である。H2/H1は、0.35以下であってもよく、0.3以下であってもよい。また、H2/H1は、好ましくは0.1以上である。H2/H1は、0.15以上であってもよく、0.2以上であってもよい。
また、H2/H1の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H2/H1は、0.1以上0.4以下であってもよく、0.15以上0.35以下であってもよく、0.2以上0.3以下であってもよい。また、H2/H1の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H2/H1は、0.3以上0.4以下であってもよい。また、H2/H1の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H2/H1は、0.1以上0.2以下であってもよい。
図7において、符号H3は、金属板30の厚み方向D2における、最小開口径部46と第2端412との間の距離を表す。以下の説明において、距離H3のことを、第2壁面44の高さとも称する。第2壁面44の高さH3は、好ましくは4μm以下である。第2壁面44の高さH3は、3.5μm以下であってもよく、3μm以下であってもよい。また、第2壁面44の高さH3は、好ましくは1μm以上である。第2壁面44の高さH3は、1.5μm以上であってもよく、2μm以上であってもよい。
第2壁面44の高さH3の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第2壁面44の高さH3は、1μm以上4μm以下であってもよく、1.5μm以上3.5μm以下であってもよく、2μm以上3μm以下であってもよい。また、第2壁面44の高さH3の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第2壁面44の高さH3は、3μm以上4μm以下であってもよい。また、第2壁面44の高さH3の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第2壁面44の高さH3は、1μm以上2μm以下であってもよい。
後述するように、2つの貫通孔40の間に位置する遮蔽部35の第2面32は、金属板30のうち有効領域23に対応する部分を全域にわたって金属板30の第2面32側からエッチングすることによって形成される。このため、2つの貫通孔40の間に位置する遮蔽部35の第2面32は平坦である。「第2面が平坦」とは、遮蔽部35の断面図における、金属板30の第1面31の面方向D1における中心点を中心とした距離S6の範囲内において、図7に示すように、第2面32に現れる谷部と山部の間の距離の最大値H4が1μm以下であることを意味する。距離S6は、遮蔽部35の幅S4の1/2である。H4は、0.8μm以下であってもよく、0.6μm以下であってもよい。
なお、蒸着マスク20の製造工程において遮蔽部35の第1面31はエッチングされないので、第2面32に現れる谷部と山部の間の距離の最大値H4は、第1面31に現れる谷部と山部の間の距離の最大値に比べて大きい。H4は、例えば0.05μm以上であり、0.07μm以上であってもよく、0.1μm以上であってもよい。
第2面32に現れる谷部と山部の間の距離の最大値H4の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H4は、0.05μm以上1μm以下であってもよく、0.07μm以上0.8μm以下であってもよく、0.1μm以上0.6μm以下であってもよい。また、H4は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H4は、0.6μm以上1μm以下であってもよい。また、H4は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H4は、0.05μm以上0.1μm以下であってもよい。
また、後述するように、貫通孔40の壁面41の第2壁面44は、金属板30の第1面31側に充填された充填材52と金属板30との間に浸入したエッチング液によって金属板30がサイドエッチングされることによって形成される面である。この場合、図7に示すように、壁面41の第2端412の断面形状は、湾曲したものとなる。第2端412の断面形状が湾曲していることにより、金属板30の厚み方向に対して傾斜した方向に沿って飛来する蒸着材料82が第2端412及び第2端412の周辺に付着しにくくなる。また、蒸着マスク20を洗浄する工程において、第2端412が鋭くとがっている場合に比べて、第2端412に異物が絡みにくくなる。異物とは、例えばセルロースである。
蒸着マスク20の金属板30の第2面32には、蒸着マスク20が搬送される際などに保護フィルムなどが貼られ、その後に保護フィルムが剥がされる場合がある。この場合、第2端412の断面形状が湾曲していることにより、第2端412が鋭くとがっている場合に比べて、保護フィルムを剥がし易くなる。例えば、保護フィルムが第2端412に引っ掛かってしまったり、保護フィルムの粘着剤が第2端412に付着して異物として残ったりすることを抑制することができる。
第2端412の断面形状の曲率半径R1は、好ましくは0.3μm以上である。曲率半径R1は、0.5μm以上であってもよく、1.0μm以上であってもよい。これにより、第2端412が上述の効果をより顕著に奏することができる。また、第2端412の断面形状の曲率半径R1は、好ましくは2.0μm以下である。曲率半径R1は、1.5μm以下であってもよく、1.0μm以下であってもよい。
また、曲率半径R1の範囲は、上述の厚みH1の場合と同様に、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第2端412の断面形状の曲率半径R1は、0.3μm以上2.0μm以下であってもよく、0.5μm以上1.5μm以下であってもよい。また、曲率半径R1の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第2端412の断面形状の曲率半径R1は、1.0μm以上2.0μm以下であってもよい。また、曲率半径R1の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第2端412の断面形状の曲率半径R1は、0.3μm以上1.0μm以下であってもよい。
次に、第2端412を特定する方法について、図8を参照して説明する。図8は、貫通孔40を画成する遮蔽部35を更に拡大して示す図である。第2端412は、第2壁面44が広がる方向の変化量が30°以上になる角度変化点を含む部分として定義されてもよい。以下、角度変化点について説明する。
図8において、符号P1は、有効領域23の断面図において第2壁面44上に位置する1つの点を表す。また、符号P2は、点P1から500nmだけ第2壁面44に沿って第2面32に近づく側に変位した点を表す。符号Q1は、点P1において第2壁面44に接する直線を表し、符号Q2は、点P2において第2壁面44に接する直線を表す。符号δは、直線Q1が延びる方向と直線Q2が延びる方向とが成す角度を表す。このようにして算出される角度δが、点P1における第2壁面44の角度の変化量である。第2端412は、このようにして算出される角度の変化量が30°以上になる角度変化点を含んでいる。
なお、図8に示す例においては、点P1だけでなく、図8において点Pxと点Pyとの間に位置する点においても、角度の変化量が30°以上になる。この場合、第2端412は、角度の変化量が30°以上になる第2壁面44の範囲における中心点として定義される。
蒸着マスクの製造方法
次に、金属板30を加工して蒸着マスク20を製造する方法について、主に図9~図15を参照して説明する。
まず、金属板30を準備する。金属板30としては、ロールから巻き出された状態の、連続的に延びる金属板30を用いてもよい。この場合、蒸着マスク20の製造工程は、ガイドローラーに沿って搬送される金属板30に対して実施されてもよい。また、金属板30としては、蒸着マスク20の製造工程に応じて用いられる露光機などの装置に対応した寸法を有する1枚の金属板30を用いてもよい。
金属板30の厚みH0は、好ましくは15μm以上である。金属板30の厚みH0は、20μm以上であってもよく、30μm以上であってもよい。金属板30の厚みH0を10μm以上にすることにより、蒸着マスク20の製造工程において金属板30に加わる負荷に起因して金属板30が破損してしまうことを抑制することができる。また、金属板30の厚みH0は、好ましくは200μm以下である。厚みH0は、100μm以下であってもよく、50μm以下であってもよい。
また、金属板30の厚みH0の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、金属板30の厚みH0は、10μm以上200μm以下であってもよく、15μm以上100μm以下であってもよく、20μm以上50μm以下であってもよい。また、厚みH0の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、金属板30の厚みH0は、50μm以上200μm以下であってもよい。また、厚みH0の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、金属板30の厚みH0は、10μm以上20μm以下であってもよい。
続いて、図9に示すように、金属板30の第1面31に第1レジスト層51を形成する。第1レジスト層51は、レジストの材料を含む溶液を第1面31に塗布し、固化させることにより形成される層であってもよい。若しくは、第1レジスト層51は、ドライフィルムなどのフィルムを第1面31に貼り付けることにより形成される層であってもよい。なお、第1レジスト層51の厚みを小さくする上では、レジストの材料を含む溶液を塗布し、固化させるタイプ、いわゆる塗布型のレジスト層を採用することが好ましい。
塗布型を採用する場合、例えば、光溶解型、いわゆるポジ型の感光材を含む溶液を第1面31に塗布し、固化させることにより、第1レジスト層51を形成することができる。この際、第1レジスト層51を焼成するレジスト層焼成工程を実施してもよい。なお、感光材は、光硬化型、いわゆるネガ型であってもよい。
ポジ型の感光材の例としては、SC500などのノボラック系ポジレジストなどを挙げることができる。ネガ型の感光材の例としては、カゼインレジストなどを挙げることができる。
第1レジスト層51を焼成するレジスト層焼成温度は、感光材に応じて設定される。例えば、感光材としてノボラック系ポジレジストを用いる場合、レジスト層焼成温度は、40℃以上が好ましく、50℃以上であってもよく、60℃以上であってもよい。また、感光材としてノボラック系ポジレジストを用いる場合、レジスト層焼成温度は、180℃以下が好ましく、170℃以上であってもよく、160℃以下であってもよい。
感光材としてノボラック系ポジレジストを用いる場合、レジスト層焼成温度は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、レジスト層焼成温度は、40℃以上180℃以下であってもよく、50℃以上170℃以下であってもよく、60℃以上160℃以下であってもよい。また、レジスト層焼成温度の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、レジスト層焼成温度は、160℃以上180℃以下であってもよい。また、レジスト層焼成温度の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、レジスト層焼成温度は、40℃以上60℃以下であってもよい。
また、感光材としてカゼインレジストを用いる場合、レジスト層焼成温度は、80℃以上が好ましく、100℃以上であってもよく、120℃以上であってもよい。また、感光材としてノボラック系ポジレジストを用いる場合、レジスト層焼成温度は、250℃以下が好ましく、230℃以上であってもよく、200℃以下であってもよい。
感光材としてカゼインレジストを用いる場合、レジスト層焼成温度は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、レジスト層焼成温度は、80℃以上250℃以下であってもよく、100℃以上230℃以下であってもよく、120℃以上200℃以下であってもよい。また、レジスト層焼成温度の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、レジスト層焼成温度は、200℃以上250℃以下であってもよい。また、レジスト層焼成温度の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、レジスト層焼成温度は、80℃以上120℃以下であってもよい。
第1レジスト層51の厚みは、好ましくは5.0μm以下である。第1レジスト層51の厚みは、3.0μm以下であってもよく、2.0μm以下であってもよい。第1レジスト層51の厚みを5.0μm以下にすることにより、複数の貫通孔40の間で第1面開口寸法S2がばらつくことを抑制することができる。また、第1レジスト層51の厚みは、好ましくは1.0μm以上である。第1レジスト層51の厚みは、1.5μm以上であってもよく、2.0μm以上であってもよい。
第1レジスト層51の厚みの範囲は、上述の厚みH1の場合と同様に、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第1レジスト層51の厚みは、1.0μm以上5.0μm以下であってもよく、1.5μm以上3.0μm以下であってもよい。また、第1レジスト層51の厚みの範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第1レジスト層51の厚みは、2.0μm以上5.0μm以下であってもよい。また、第1レジスト層51の厚みの範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、第1レジスト層51の厚みは、1.0μm以上2.0μm以下であってもよい。
図9に示すように、金属板30の第2面32に第2レジスト層56を形成してもよい。第2レジスト層56に含まれる感光材は、第1レジスト層51に含まれる感光材と同一であってもよく、異なっていてもよい。図示はしないが、金属板30の第2面32には第2レジスト層56が設けられていなくてもよい。
続いて、第1レジスト層51を露光する露光工程を実施し、その後、第1レジスト層51を現像する現像工程を実施する。これにより、図10に示すように、第1レジスト層51を部分的に除去して、金属板30の第1面31のうち有効領域23に対応する部分に、第1レジスト層51によって覆われていない複数の露出領域53を設けることができる。
金属板30の第2面32に第2レジスト層56が形成されている場合、図10に示すように、第2レジスト層56を露光及び現像してもよい。本実施の形態においては、第2面32のうち有効領域23に対応する部分の第2レジスト層56を除去し、周囲領域24及び耳部21に対応する部分に第2レジスト層56が残るように、第2レジスト層56を露光及び現像する。図示はしないが、第2面32のうち有効領域23及び周囲領域24に対応する部分の第2レジスト層56を除去し、耳部21に対応する部分に第2レジスト層56が残るように、第2レジスト層56を露光及び現像してもよい。
なお、図示はしないが、第2面32のうち有効領域23に対応する部分に、第2面32のエッチングの均一性が阻害されない程度にわずかに第2レジスト層56が残っていてもよい。例えば、第2面32のうち有効領域23に対応する部分であって、第2レジスト層56が設けられていない、連続する露出領域が、第2面32の少なくとも1つの面方向において0.5μm以上の寸法を有していてもよい。
続いて、第1レジスト層51をマスクとして金属板30を3第1面31側からエッチングする第1エッチング工程を実施する。これにより、図11に示すように、第1面31に第1凹部50を形成することができる。第1凹部50は、例えば半球状の形状を有する。
続いて、図12に示すように、第1凹部50に充填材52を充填する充填工程を実施する。例えば、充填材52を含む溶液を金属板30の第1面31側に塗布する。充填材52としては、熱可塑性樹脂、フォトレジストなどを用いることができる。フォトレジストは、例えばポジ型の感光材を含むポジレジストである。図12に示すように、充填材52が第1レジスト層51を覆っていてもよい。充填材52を構成する樹脂の具体例としては、アクリル系樹脂、ノボラック系樹脂などを挙げることができる。
続いて、充填材52を焼成する充填材焼成工程を実施する。なお、充填材52として熱可塑性樹脂を用いる場合、充填材焼成工程は実施されなくてもよい。
図12において、符号H5は、金属板30の厚み方向における、第1面31から充填材52の頂部までの距離を表す。頂部とは、金属板30の厚み方向において、充填材52のうち第1面31から最も離れている部分である。距離H5は、第1凹部50の深さに等しい。距離H5は、好ましくは7.0μm以下である。距離H5は、6.0μm以下であってもよく、5.0μm以下であってもよい。また、距離H5は、好ましくは1.0μm以上である。距離H5は、2.0μm以上であってもよく、3.0μm以上であってもよく、4.0μm以上であってもよい。
距離H5の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離H5は、1.0μm以上7.0μm以下であってもよく、2.0μm以上6.0μm以下であってもよく、3.0μm以上5.0μm以下であってもよい。また、距離H5の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離H5は、6.0μm以上7.0μm以下であってもよい。また、距離H5の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、距離H5は、1.0μm以上4.0μm以下であってもよい。
また、エッチングされる前の金属板30の厚みH0に対する距離H5の比率(=H5/H0)は、好ましくは0.1以上である。H5/H0は、0.3以上であってもよく、0.5以上であってもよい。H5/H0を0.1以上にすることにより、後述する第2面32側におけるエッチングが充填材52に到達するまでの時間が位置によってばらつくことを抑制することができる。また、H5/H0は、好ましくは0.9以下であり、0.7以下であってもよく、0.5以下であってもよい。
H5/H0の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H5/H0は、0.1以上0.9以下であってもよく、0.3以上0.7以下であってもよい。また、H5/H0の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H5/H0は、0.5以上0.9以下であってもよい。また、H5/H0の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H5/H0は、0.1以上0.5以下であってもよい。
続いて、金属板30を第2面32側からエッチングする第2エッチング工程を実施する。エッチング液としては、塩化第2鉄溶液及び塩酸を含むものなどを用いることができる。エッチング液の温度は、例えば25℃以上であり、30℃以上であってもよく、35℃以上であってもよい。また、エッチング液の温度は、例えば80℃以下であり、70℃以下であってもよく、60℃以下であってもよい。
エッチング液の温度の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、エッチング液の温度は、25℃以上80℃以下であってもよく、30℃以上70℃以下であってもよく、35℃以上60℃以下であってもよい。また、エッチング液の温度の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、エッチング液の温度は、60℃以上80℃以下であってもよい。また、エッチング液の温度の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、エッチング液の温度は、25℃以上35℃以下であってもよい。
第2エッチング工程は、図13に示すように、有効領域23に位置する金属板30の第2面32が少なくとも充填材52の頂部521よりも第1面31側に位置するようになるまで継続される。第2面32側からのエッチングを充填材52の頂部521に到達させることにより、蒸着マスク20に貫通孔40を形成することができる。
また、第2エッチング工程は、貫通孔40の第2面開口寸法S3が、突端45における最小開口寸法S1以上になるまで継続される。第2エッチング工程は、好ましくは、貫通孔40の第2面開口寸法S3が最小開口寸法S1よりも1μm以上大きくなるまで、より好ましくは、貫通孔40の第2面開口寸法S3が最小開口寸法S1よりも2μm以上大きくなるまで、継続される。また、第2エッチング工程は、貫通孔40の第2面開口寸法S3が第1面開口寸法S2よりも大きくなるまで継続されてもよい。第2エッチング工程は、好ましくは、貫通孔40の第2面開口寸法S3が第1面開口寸法S2よりも1μm以上大きくなるまで、より好ましくは、貫通孔40の第2面開口寸法S3が第1面開口寸法S2よりも2μm以上大きくなるまで、継続される。
また、好ましくは、第2エッチング工程は、図14に示すように、第1面31から充填材52の頂部521までの距離H5に対する、有効領域23に位置する金属板30の厚みH1の比率(=H1/H5)が0.9以下になるまで、継続される。これにより、充填材52と金属板30との間にエッチング液が浸入し易くなる。この結果、図14に示すように、充填材52の周囲の金属板30がサイドエッチングされ、充填材52と金属板30との間に隙間57が生じ易くなる。サイドエッチングによって金属板30に形成された面が、貫通孔40の壁面41の上述の第2壁面44を構成する。サイドエッチングの量を制御することにより、第2壁面44が、第2端412から第1端411側に向かうにつれて内側に向かうように広がる形状を有することができる。H1/H5は、0.8以下であってもよく、0.7以下であってもよく、0.6以下であってもよい。また、H1/H5は、0.1以上であってもよく、0.2以上であってもよく、0.3以上であってもよい。
H1/H5の範囲は、上述の厚みH1の場合と同様に、複数の上限の候補値のうちの任意の1つと、複数の下限の候補値のうちの任意の1つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H1/H5は、0.1以上0.9以下であってもよく、0.2以上0.8以下であってもよく、0.3以上0.7以下であってもよい。また、H1/H5の範囲は、複数の上限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H1/H5は、0.6以上0.9以下であってもよい。また、H1/H5の範囲は、複数の下限の候補値のうちの任意の2つの組み合わせによって定められてもよい。例えば、H1/H5は、0.1以上0.3以下であってもよい。
第2エッチング工程においてエッチングを継続する時間は、例えば、予め取得されたエッチング条件データに基づいて決定され得る。エッチング条件データは、例えば、エッチングを継続する時間と、有効領域23の厚みH1との関係を含む。エッチング条件データは、エッチングを継続する時間と、第1壁面43の高さH2との関係を含んでいてもよく、エッチングを継続する時間と、第2壁面44の高さH3との関係を含んでいてもよい。これらのエッチング条件データに基づいて、厚みH1、高さH2、高さH3などが適切な値になるよう、第2エッチング工程においてエッチングを継続する時間を決定することができる。
続いて、図15に示すように、充填材52を除去する充填材除去工程を実施する。これによって、金属板30に貫通孔40が生じる。充填材52を除去するための溶液としては、水酸化ナトリウムを含む溶液などを用いることができる。また、第1レジスト層51及び第2レジスト層56を除去するレジスト層除去工程を実施する。レジスト層を除去するための溶液としては、水酸化ナトリウムを含む溶液などを用いることができる。このようにして、複数の貫通孔40が設けられた金属板30を備える蒸着マスク20を得ることができる。なお、充填材除去工程及びレジスト層除去工程は、充填材及びレジスト層の両方を除去可能な溶液などを用いることにより、同時に実施されてもよい。
本実施の形態においては、上述のように、金属板30のうち有効領域23に対応する部分における第2面32のエッチングを、第2面32にレジスト層を設けずに実施する。言い換えると、第1面31側に形成されている複数の第1凹部50に跨るように広がる凹部を、第2面32側に形成する。これにより、複数の貫通孔40の間で、貫通孔40の最小開口径部46の位置や最小開口寸法S1がばらつくことを抑制することができる。
次に、本実施の形態を、比較の形態と対比することにより、本実施の形態の効果について更に説明する。図16及び図17は、比較の形態における蒸着マスク20の製造方法を示す図である。図16及び図17に示す比較の形態において、上述の実施の形態と同一部分または同様の機能を有する部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
図16は、比較の形態において、金属板30の第1面31に設けられた第1レジスト層51及び第2面32に設けられた第2レジスト層56を示す断面図である。図16に示すように、比較の形態においては、金属板30の第2面32のうち有効領域23に対応する部分に、第2レジスト層56によって覆われていない複数の露出領域58を設ける。その後、本実施の形態の場合と同様に、金属板30を第1面31側からエッチングして第1凹部50を形成し、続いて、第1凹部50に充填材52を充填する。その後、第2レジスト層56をマスクとして金属板30を第2面32側からエッチングして、第2面32に複数の第2凹部55を形成する。複数の第1凹部50と複数の第2凹部55とが互いに連通することにより、図17に示すように、金属板30に複数の貫通孔40を形成することができる。
ところで、比較の形態においては、露光マスクの位置合わせの誤差などに起因して、図16の右側部分に示すように、第1レジスト層51に対する第2レジスト層56の相対的な位置が設計からずれることがある。この場合、図17の右側部分に示すように、第1凹部50に対する第2凹部55の相対的な位置がずれてしまい、この結果、1つの貫通孔40において、第1凹部50と第2凹部55とが合流する位置が、金属板30の厚み方向においてばらつくことがある。すなわち、図17において符号H6で示すように、貫通孔40の最小開口径部46の位置が金属板30の厚み方向においてばらつくことがある。この結果、第1壁面43の高さH2がばらついてしまう。
また、比較の形態においては、金属板30の第2面32側からのエッチングが、複数の第2凹部55において個別に進行する。この場合、充填材52の頂部の位置のばらつき、エッチング液の濃度のばらつき、エッチング液の流れのばらつきなどに起因して、各第2凹部55におけるエッチングの速度にもばらつきが生じ得る。この結果、第1凹部50と第2凹部55とが合流する位置にばらつきが生じ、貫通孔40の開口寸法の最小値がばらつき易くなる。また、第1壁面43の高さH2にもばらつきが生じてしまう。
これに対して、本実施の形態においては、第2面32のうち少なくとも有効領域23に対応する部分の大半に第2レジスト層56が設けられていない。このため、第2エッチング工程において、有効領域23に対応する部分におけるエッチング液の速度や濃度が、比較の形態に比べて均一になり易い。このため、最小開口径部46の寸法及び位置並びに第1壁面43の高さH2が、有効領域23の複数の貫通孔40の間でばらつくことを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、第2面32のうち少なくとも有効領域23に対応する部分の大半に第2レジスト層56が設けられていないので、第2レジスト層56の位置の誤差に起因する最小開口径部46の寸法及び位置の誤差が生じ難い。この点でも、最小開口径部46の寸法及び位置並びに第1壁面43の高さH2が、有効領域23の複数の貫通孔40の間でばらつくことを抑制することができる。
また、本実施の形態においては、第2エッチング工程におけるエッチングの速度などのばらつきを抑制することができるので、第1壁面43を残しながら第1壁面43の高さH2が小さくなるように第2エッチング工程を実施することが容易になる。このため、第1壁面43の高さH2の設計値及び実測値を小さくすることができ、例えば2.0μm以下にすることができる。これにより、蒸着工程の際にシャドーが生じることを抑制することができる。
蒸着マスク装置の製造方法
次に、上述のようにして得られた蒸着マスク20をフレーム15に溶接する溶接工程を実施する。これによって、蒸着マスク20及びフレーム15を備える蒸着マスク装置10を得ることができる。
蒸着方法
次に、本実施の形態に係る蒸着マスク20を用いて基板91に蒸着材料82を付着させ、図18に示すように基板91に蒸着層92を形成する方法について説明する。以下の説明において、基板91と、蒸着工程によって基板91に形成された蒸着層92とを少なくとも備える物品のことを、蒸着基板90とも称する。蒸着基板90は、有機EL表示装置などで用いられる。
蒸着マスク20を用いて基板91に蒸着材料82を付着させる蒸着工程においては、まず、蒸着マスク20が基板91に対向するよう蒸着マスク装置10を配置する。また、磁石85を用いて蒸着マスク20を基板91に密着させる。また、蒸着装置80の内部を真空雰囲気にする。この状態で、蒸着材料82を蒸発させて基板91へ飛来させることにより、蒸着マスク20の貫通孔40に対応したパターンで蒸着材料82を基板91に付着させることができる。
図22は、蒸着工程によって基板91に形成される蒸着層92を拡大して示す断面図である。上述の蒸着マスク20の製造方法によれば、第2エッチング工程におけるエッチングの速度などのばらつきを抑制することができるので、貫通孔40の第1壁面43の高さH2を小さく設定することができる。このため、金属板30の第1面31の面方向における第1壁面43の幅K1を小さくすることができる。これにより、図22に示すように、蒸着層92のうち蒸着マスク20の貫通孔40の最小開口径部46よりも外側に形成される部分の幅K1が、複数の画素の間でばらつくことを抑制することができる。このため、隣り合う画素の干渉を考慮して蒸着基板90の設計において設けられるマージンを低減することができる。
また、上述の蒸着マスク20の製造方法によれば、最小開口径部46の寸法及び位置が複数の貫通孔40の間でばらつくことを抑制することができる。このため、図19に示すように基板91上の電極93に重なるように蒸着層92が形成される場合に、電極93の寸法及び位置に対する蒸着層92の寸法及び位置がばらつくことを抑制することができる。このことも、蒸着基板90の設計において考慮されるマージンを低減することに寄与し得る。
蒸着基板90の設計において考慮されるマージンを低減することにより、蒸着基板90の画素密度を高めることができる。また、蒸着基板90の画素密度が一定である場合には、マージンを低減することにより、隣り合う画素の干渉を防ぎながら、電極93の面積を拡大することができる。これにより、蒸着層92の面積のうち電極93と重なる面積の比率を高めることができる。このことは、蒸着層92が発光層である場合に、蒸着層92の発光効率の向上を導く。これにより、蒸着層92の輝度を高めたり、蒸着層92の寿命を延ばしたりすることができる。
次に、本開示の実施形態を実施例により更に具体的に説明するが、本開示の実施形態はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
(実施例1)
まず、30μmの厚みを有し、34質量%以上且つ38質量%以下のニッケルを含む鉄合金からなる金属板30を準備した。次に、上述の図10に示すように金属板30の第1面31に第1レジスト層51を形成した。具体的には、まず、金属板30の第1面31にノボラック系ポジレジストであるSC500を塗布した。続いて、ポジレジストを140℃で600秒にわたって加熱して、第1レジスト層51を得た。その後、第1レジスト層51を露光及び現像することにより、図10に示す露出領域53を形成した。続いて、第1レジスト層51をマスクとして金属板30を第1面31側からエッチングして第1凹部50を形成した。第1凹部50の開口寸法S2は5.0μmであり、第1凹部50の深さH5は2.3μmであり、第1凹部50のピッチは8.0μmであった。
続いて、第1凹部50に充填材52を充填し、充填材52を焼成した。充填材52としてはSC500を用いた。充填材52の焼成温度及び焼成時間は140℃及び600秒であった。
続いて、金属板30の第2面32にレジスト層が設けられていない状態において、金属板30を第2面32側からエッチングする第2エッチング工程を実施して、金属板30に貫通孔40を形成した。エッチング液としては、塩化第2鉄溶液及び塩酸を含むものを用いた。エッチング液の温度は45℃であった。エッチング時間は、貫通孔40の第2面開口寸法S3が第1面開口寸法S2よりも1μm以上大きくなるよう、予め取得したエッチング条件データに基づいて決定した。
続いて、充填材52及び第1レジスト層51を除去した。このようにして得られた蒸着マスク20の貫通孔40の断面を観察した結果を、図23に示す。貫通孔40の断面を観察するための装置としては、ZEISS製の走査型電子顕微鏡 ULTRA55を用いた。図23に示す例において、貫通孔40の壁面41の第1壁面43及び第2壁面44には、深さ又は高さが100nm以下の微小な凹凸が見られた。
(実施例2)
第2エッチング工程のエッチング時間を実施例1の場合よりも長くしたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、貫通孔40を作製した。また、実施例1の場合と同様にして、蒸着マスク20の貫通孔40の断面を観察した。結果を、図21に示す。
(実施例3)
第2エッチング工程のエッチング時間を実施例2の場合よりも長くしたこと以外は、実施例1の場合と同様にして、貫通孔40を作製した。また、実施例1の場合と同様にして、蒸着マスク20の貫通孔40の断面を観察した。結果を、図22に示す。