[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP7586418B1 - 容器の表面処理方法及び当該方法によって処理された容器の表面構造 - Google Patents

容器の表面処理方法及び当該方法によって処理された容器の表面構造 Download PDF

Info

Publication number
JP7586418B1
JP7586418B1 JP2024542350A JP2024542350A JP7586418B1 JP 7586418 B1 JP7586418 B1 JP 7586418B1 JP 2024542350 A JP2024542350 A JP 2024542350A JP 2024542350 A JP2024542350 A JP 2024542350A JP 7586418 B1 JP7586418 B1 JP 7586418B1
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
film
glass container
self
container
glass
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2024542350A
Other languages
English (en)
Inventor
憲一 宮本
基裕 山原
弥奈 富川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
DAIWA SPECIAL GLASS CO., LTD.
Kabushikigaisya SAKIGAKEHANDOTAI
Original Assignee
DAIWA SPECIAL GLASS CO., LTD.
Kabushikigaisya SAKIGAKEHANDOTAI
Filing date
Publication date
Application filed by DAIWA SPECIAL GLASS CO., LTD., Kabushikigaisya SAKIGAKEHANDOTAI filed Critical DAIWA SPECIAL GLASS CO., LTD.
Application granted granted Critical
Publication of JP7586418B1 publication Critical patent/JP7586418B1/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Abstract

化学的耐久性に極めて優れたガラス容器を提供する。ガラス容器の内面を、水、酸の水溶液、界面活性剤水溶液または界面活性剤を添加した酸の水溶液からなる洗浄液で洗浄する洗浄工程、および洗浄工程で洗浄したガラス容器を加熱昇温した後に冷却して除歪する除歪工程、次いで、上記ガラス容器をプラズマ処理装置内に配置して、プラズマ処理装置の所定の真空度の真空チャンバー内に親水性基を付与する蒸発源が供給された状態で、プラズマ発生部により形成されたプラズマ雰囲気により前記ガラス容器の膜形成面を改質して膜形成面を親水化し、膜形成面が親水化されたガラス容器に対し、所定の真空度の真空チャンバー内にSAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の加水分解または求核反応を促進する蒸発源が供給された状態、SAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の蒸発源を供給して、親水化された膜形成面上にSAM膜または自己組織化多層膜を形成し、最後に、所定の真空度の真空チャンバー内で膜形成面とSAM膜または自己組織化多層膜内における結合を強化する。

Description

本発明は、例えばアンプル、管瓶などの医薬品用、理化学用の容器の表面処理方法及び当該方法によって処理された容器の表面構造に関する。
薬液、血液等を充填する医療容器には、異物の混入や薬剤配合による変化を確認するための透明性、滅菌処理等に耐えられる耐熱性、薬液の排出を容易にするための柔軟性、容器内への水蒸気や酸素の浸入による薬液等の品質の低下を抑制するためのガスバリア性、さらに容器表面からの微量物質の溶出の低減などが要求されている。また、これらの容器に内容物を充填した後には、加熱滅菌処理が行われることが一般的である。特に、直接血液中に投与される輸液製剤などは、無菌状態に保つことが厳しく求められるため、121℃での滅菌処理がグローバルスタンダードとなりつつある。
従来、このような医療容器としては、ガラス製容器が使用されているが、衝撃や落下による容器の破損等の問題があるため、耐衝撃性に優れているプラスチック容器も用いられるようになっている。
ところで、アンプル、管瓶等のガラス容器はガラス管を加熱下に成形加工して製造される場合が多い。その典型的な成形加工法として、縦型成形方法がある。この方法は、一定の径を有し、両端が開放されたガラス管を垂直に立て、口部となる下端部を加熱して軟化させ所望の形状に加工して成形し、次いで、該ガラス管を所望の長さに切断後、ガラス容器の底部を形成して目的とするガラス容器を製造するものである。切断された残部のガラス管はガラス容器を1個製造した分だけ短くなり、前記作業を繰り返すことによって、ガラス容器を大量生産することができる。
しかしながら、このようにして製造されるガラス容器に、例えば液状の医薬等を収納すると、ガラス容器の内側のガラス表面からガラスの構成成分が溶出して、医薬品等が汚染され、例えば、ガラス構成成分中のアルカリ金属がpH値を上昇させるなど、また場合によってはガラス表面から溶出したガラス構成成分が内容液と反応して沈殿物が発生することで、内容液の品質が損なわれるという問題があった。
これらの問題を解決するために、従来から行われている、ガラス表面にコーティング処理やサルファー処理を施す方法では、工程が煩雑化したり、ガラス容器の製造原価が高くなり、化学的耐久性に優れたガラス容器を得ることはできなかった。そこで、本発明者は、化学的耐久性に優れたガラス容器の製造方法について、先に出願した(特許文献1)。この特許文献1には、ガラス管を加熱下に成形加工してガラス容器を得るガラス容器の製造工程と、ガラス容器の製造工程で得たガラス容器の内面を洗浄液で洗浄する洗浄工程と、洗浄工程で洗浄したガラス容器を加熱昇温した後に冷却して除歪する除歪工程からなるガラス容器の製造方法が記載されている。しかし、特許文献1には、ガラスの表面特性を考慮した洗浄工程と、化学的耐久性に優れたガラス容器を得るうえで重要な工程である除歪工程について十分に記載されていない。
また、特許文献2には、テトライソシアネートシランを原料ガスとして、プラズマCVD法により二酸化シリコン膜を堆積することを特徴とする二酸化シリコン膜の化学気相堆積方法が記載されている。しかし、特許文献2に記載された方法では、保管中に液との反応により表面からアルカリ成分等の溶離成分が溶出しないか、または極くわずかしか溶出しない容器を提供することはできない。
特許第6159304号明細書 特許第3305826号明細書
医薬品用や理化学用の容器においては、製造された容器に、例えば、薬液等を充填した後の加熱滅菌工程や、保管中に液との反応により表面からアルカリ成分等の溶離成分が溶出しないか、または極くわずかしか溶出しない容器の提供が望まれる。
本発明は、このような従来の技術の有する問題点に鑑みてなされたものであって、その目的は、化学的耐久性に極めて優れた容器を提供することにある。
本発明者等は、上記の課題を解決するために鋭意検討を重ねた。その結果、垂直に立てたガラス管の下端を例えばガスバーナー等で加熱して軟化させ、所望の形状に成形加工するときに加熱によってガラス質が変質し、加熱されたガラスからガラスの揮発成分(例えば、NaO、KO)が発生し、ガラス管の開放された下端と上端の間の空間部を煙突効果によって上昇する際に、これらの揮発成分がガラス管内面に付着することでアルカリ成分を形成し、この付着したアルカリ成分がガラス容器製造後にガラス表面から溶出するとの知見を得た。
さらに本発明者等は、上記縦型成形方法によりガラス管からガラス容器を得た後、熱履歴による歪みを除去するための除歪操作を行う前に、ガラス容器の内面を洗浄液で洗浄したところ、内面のガラス表面からのアルカリ成分の溶出が極めて少ないガラス容器を製造しうることを見出した。
しかし、ガラス容器の内面を洗浄するといっても、洗浄手段は多岐にわたり、ガラスの表面特性を考慮した洗浄プロセスでなければ、十分な洗浄効果を挙げることはできない。ガラスの種類は多く、700以上あるが、この中で、硼珪酸低アルカリガラスは膨張係数が3×10-6/Kで小さく、モース硬さは約7で比較的硬く、耐食性が大きいため、理化学器具用、医学器具用、薬品容器用などに好適である。本発明のガラス容器の素材としては、硼珪酸ガラスが好ましい。
ところで、ガラスの表面は本来親水性であって、化学的活性に富み、また水素結合などの分子間吸引力によって水分や汚れを吸着する力が強い。また、電気的不良導体であり、汚れを吸着する力が強い。例えば、ガラスを大気中に放置するとガラスの表面が外部雰囲気と反応し、表面層の組成変化を伴う変質が生じる。従って、ガラスの素地に悪影響を与えないで所望の清浄度のガラス容器を洗浄によって得ることは容易でないと言える。
このようなガラス容器の洗浄液としては、代表的には、酸又はアルカリを用いることができる。以下の表1は、ソーダ石灰ガラスと硼珪酸ガラスと石英ガラスの酸とアルカリによる重量減少(95℃、24時間(mg/cm))を示す。
表1に示すように、5%水酸化ナトリウムに対する重量減少が最も多いのは、硼珪酸ガラスである。これは、主成分であるシリカが珪酸ナトリウムになって溶出するためである。一方、5%塩酸に溶出するのは、主にガラス中に含まれるアルカリ、アルカリ土類成分であり、シリカ成分はほとんど溶解しない。このため、水酸化ナトリウムへの溶出と違い、溶出量は少ない。酸への溶出速度は時間の平方根に比例し、アルカリへの溶出速度よりかなりゆるやかである。酸による浸食がアルカリのそれよりも遅いことは、表1から分かる。また、塩酸と有機酸を比べると、有機酸への溶出量が少ないことが知られている。従って、本発明においては、洗浄液として、ガラス成分の浸食が比較的ゆるやかな有機酸を用いるのが好ましい。
また、一般に、ガラス表面には、シラノール基(SiOH)に代表される水酸基が存在し、この水酸基が物質の吸着基点として作用すると考えられる。従って、ガラス容器の内面を洗浄液で洗浄する洗浄工程の後、引き続く除歪工程までの時間が長いとガラスの表面特性が変化することがある。すなわち、洗浄工程と除歪工程のあいだの時間は、30分以内とするのが好ましい。さらに、洗浄効果を上げるために、洗浄液の噴霧圧は、0.05MPa以上とするのが好ましい。
さらに、硼珪酸ガラスは、ガラス転移点以上の温度に長時間加熱すると、イオン結合が支配的な極性相(NaO、Bなど)と共有結合が支配的なシリカ相の2相に分かれることがある(分相)。2相構造に分相したガラスは化学的耐久性が低い。
そこで、本発明者は、分相を生じにくくさせる条件について検討を重ねた。その結果、化学的耐久性に優れたガラス容器を得るためには、特許文献1に記載されたガラス容器の製造方法において、洗浄工程で洗浄したガラス容器を加熱昇温した後に冷却して除歪する除歪工程の加熱温度が極めて重要であることを知見した。本発明者は、上記知見に基づいて、除歪工程の加熱温度を適正に管理することによって、分相及びフリーラジカルを生じることなく、化学的に安定であるSiOを多量に含有する均質な被膜がガラス容器の内表面に形成されることを知見した。
さらに、医薬品用や理化学用の容器の中には、容器内液体への容器内壁構成物質の混入量を検出限界値(ppm以下)に抑制することが要求されるものもある。例えば、欧州薬局方の医薬品用ガラス容器の加水分解安定性は、容器内表面と水との接触条件下での水溶性無機物質の水中への放出に対する耐性で評価される。欧州薬局方は、ガラス容器を、非経口投与か否かに関わらず、殆どの製剤に適しているI型ガラス容器と、非経口投与か否かに関わらず、殆どの酸性及び中性の製剤に適しているII型ガラス容器と、一般に非経口で投与される非水性製剤、粉末(フリーズドライ製剤を除く)、及び経口製剤に適しているIII型ガラス容器に分類し、フレーム原子吸光法を用いた表面耐水性試験における限界値として、充填容量が500mL(ミリリットル)超のI型ガラス容器およびII型ガラス容器において、酸化ナトリウム(μg/mL)として表示した酸化物濃度の限界値は0.5とされている。
上記のような厳しい要求基準を満たすには、容器内表面に適切な処理を施して、耐水性に優れている薄膜を形成することが必要である。薄膜形成方法としては、真空にした容器の中で、金属や酸化物などの成膜材料を蒸発させて、対向した基板表面に凝着させて薄膜を形成する「真空蒸着法」、真空蒸着法とほぼ同じ原理であるが、蒸発した粒子をプラズマ中を通過させることでプラスの電荷を帯びさせ、成膜させる基板にマイナスの電荷を帯びさせることで、プラスに帯電した粒子がマイナスに帯電している基板に引き寄せられることで基板表面に密着性に優れた薄膜を形成する「イオンプレーティング法」、真空チャンバー内に薄膜としてつけたい金属をターゲットとして設置し、高電圧をかけてプラスイオン化させた希ガス(通常はアルゴン)や窒素をマイナス電荷をかけたターゲットに衝突させてターゲット表面の原子をはじき飛ばして基板表面に薄膜を形成する「スパッタリング法」、石英などでできた反応管内で加熱した基板上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、気相での化学反応により基板上に薄膜を形成する「化学気相成長法」などがある。
上記の「真空蒸着法」、「イオンプレーティング法」および「スパッタリング法」は物理気相成長(以下、PVDとも称する)に属するものであり、このPVDは高真空中で行われる。これは、成膜前駆体が他の粒子と衝突する頻度が高いと、基板まで前駆体が到達しなくなるためである。物理気相成長が行われる高真空中では、前駆体はほぼ分子線に近い状態で基板に輸送される。また、前駆体が反応性の高い原子であることが多いので、それが基板表面に飛来すると、ほぼ100%の確率で付着する。
一方、化学気相成長(以下、CVDとも称する)の原料はガス状の分子であり、堆積したい原子を含む分子を基板が置かれた容器に供給し、何らかのエネルギーを与えてその分子を解離(化学反応)させる。解離生成物のうち、堆積したい原子を含んだもの(前駆体)が付着性であれば、薄膜堆積が可能となる。CVDが行われる真空度はPVDのときほど高くなくてよい。すなわち、圧力が高い環境下で行われる。その理由は、その必要がないからである。圧力が高い方が原料密度が高くなるため、適度に圧力を高めることは、成膜速度が向上するという有利な点をもたらす。また、気相中での衝突によって原料分子の方向性がなくなるため、PVDでは無理であった凹部への原料分子の供給が可能となる。
また、PVDでは原料粒子の輸送中に化学反応が起こらないのに対し、CVDでは、原料の解離反応以外に多数の化学反応が同時進行する。そこで、適切な化学反応が起これば、原料分子がもつ機能基等も膜に含有させることが可能となり、PVDでは得られない高機能な膜を得ることが可能となる。このように、CVDは複雑な化学反応を伴うため、様々な機能を膜に付与することができる。
ところで、CVD法で用いる原料は安定な分子であるため、何等かの方法で解離する必要がある。基板を加熱し、その熱エネルギーによって原料分子を加熱する方法が熱CVD法である。これに対し、プラズマCVDでは、原料分子を含むプラズマ中の電子が分解の主な担い手となる。従って、原料分子の解離のために基板を加熱する必要がないため、プラズマCVD法は熱に弱い基板上への成膜が可能であるという特長を有する。また、熱(振動励起)がすべての反応の原動力となっている熱CVDでは、そこで起こる反応とその生成物は、すべて熱平衡状態のものとなるのに対し、電子励起を利用するプラズマCVDでは、熱平衡からずれた物質を創ることが可能である。
従って、本発明者は、プラズマCVD法を採用することにした。ところが、プラズマCVD法にも欠点がある。それは、プラズマ状態を維持するために必要なイオンが、堆積している膜にダメージを及ぼすことである。そこで、この欠点を解消すると同時に特許文献2に記載されているテトライソシアネートシランを原料とするCVD法とは異なる反応系が進行する改良プラズマCVD法を考案した。
すなわち、本発明の容器の表面処理方法は、ガラス容器の内面を、水、酸の水溶液、界面活性剤水溶液または界面活性剤を添加した酸の水溶液からなる洗浄液で洗浄する洗浄工程、および洗浄工程で洗浄したガラス容器を加熱昇温した後に冷却して除歪する除歪工程、次いで、上記ガラス容器を真空チャンバー内に配置し、所定の圧力になるように水蒸気を上記チャンバー内に供給しながら、放電してプラズマを照射し、ガラス容器の表面を親水化した後、解離しないようにテトライソシアネートシランまたは1H、1H、2H、2H-ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランを上記チャンバー内に供給して所定温度で所定時間反応を進行させて上記ガラス容器に薄膜を形成し、最後に、ガラス容器表面と上記薄膜内における結合を強化するための処理を行い、テトライソシアネートシランを供給した場合は表面官能基をヒドロキシ基に置換することを特徴とする。このような方法によって処理された容器の表面構造は、テトライソシアネートシランを供給した場合、ウレタン結合、尿素結合及びビュレット結合を含有するケイ素系ポリマーから構成される。また、1H、1H、2H、2H-ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランを供給した場合、容器の表面構造は、シロキサン結合から構成される。
また本発明の容器の表面処理方法は、樹脂製容器を真空チャンバー内に配置し、所定の圧力になるように水蒸気を上記チャンバー内に供給しながら、放電してプラズマを照射し、プラズマ照射終了後に、上記チャンバー内にテトライソシアネートシランまたは1H、1H、2H、2H-ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランを供給して所定温度で所定時間反応を進行させて上記樹脂製容器に薄膜を形成し、最後に、樹脂製容器表面と上記薄膜内における結合を強化するための処理を行い、テトライソシアネートシランを供給した場合、表面官能基をヒドロキシ基に置換することを特徴とする。
本発明の容器の表面処理方法及び当該方法によって処理された容器の表面構造によれば、容器内表面からのアルカリ成分の溶出量が極めて少なく、内容物である薬剤等の変質が抑制されて、所定の品質を確実に保持することができる。
図1(a)はガラス容器の内面にアルカリ質の溶離性成分が付着した状態を示す模式図、図1(b)は内面に付着したアルカリ質の溶離性成分を除去した後のガラス容器を示す模式図、図1(c)は図1(b)に示す内面を有するガラス容器を加熱した後の状態を示す模式図である。 図2は、本発明の硼珪酸ガラス容器を製造する方法の一例を小工程毎に示す模式図である。 図3は、本発明の硼珪酸ガラス容器を製造する方法に好適に用いられる製造装置の一例を示す模式図である。 図4は、洗浄機でバイアルを洗浄する様子を示す概略構成図である。 図5は、本発明の硼珪酸ガラス容器の一実施形態の概略断面図である。 図6は、ガラス容器にプラズマ処理を施すための一実施形態のプラズマ処理装置の全体構成を示す模式図である。 図7は、図6に示すプラズマ処理装置の真空チャンバーの断面図である。 図8はガラス容器の表面構造をフーリエ変換赤外分光光度計により測定した結果であり、横軸は波数(/cm)を示し、縦軸は吸光度を示す。 図9は図8を部分的に取り出したものであり、ガラス容器の表面構造をフーリエ変換赤外分光光度計により測定した結果であり、横軸は波数(/cm)を示し、縦軸は吸光度を示す。 図10は図8を部分的に取り出したものであり、ガラス容器の表面構造をフーリエ変換赤外分光光度計により測定した結果であり、横軸は波数(/cm)を示し、縦軸は吸光度を示す。 図11は図8を部分的に取り出したものであり、ガラス容器の表面構造をフーリエ変換赤外分光光度計により測定した結果であり、横軸は波数(/cm)を示し、縦軸は吸光度を示す。 図12は、ガラス容器表面の化学反応を示す図である。 図13は、ガラス容器表面の化学反応を示す別の図である。
本発明のガラス容器の材料として使用されるガラス管は、特に制限はないが、例えば硼珪酸ガラスからなるガラス管が好ましい。ガラス管の断面は、通常真円状であるが、楕円形状等その他の形状でもよい。ガラス管の直径は特に制限はないが、通常は10~100mm程度である。ガラス管の長さも特に制限はないが、通常1~5m程度でよい。ガラス管は無色透明でもよいし、例えば褐色等に着色されていてもよい。
このようなガラス管を用いてガラス容器を製造する方法は従来充分に確立されているので、本発明のガラス容器もそれに従って製造することができる。
例えば、一定の直径を有し両端が開放されたガラス管を垂直に立て、通常は加熱手段を備えた縦型成型機に下端部を挿入し、例えば、温度約1500~1800℃のガスバーナーで加熱して、所望の管瓶の形状に成形し、次いで成形物と残部の上方に延びているガラス管とを加熱下に切り離すと共にガラス瓶と底部を形成する。次いで、切り離されたガラス管の下端を断面がもとの真円となるように成形加工する。成形加工後のガラス容器の温度は通常約300~400℃となる。
この操作を繰り返すことによって、ガラス容器を量産できる。この際、通常、上記したように、加熱によってガラス質が変質してガラスの揮発成分(例えばNaO、KO)が、ガラス管の開放された下端と上端の間の空間部を煙突効果によって上昇してガラス管内面に付着し、アルカリ質の溶離性成分を形成すると考えられる。
本発明は、上記ガラス容器の製造工程の後、次に詳述するガラス容器の洗浄工程を経ることによって、ガラス管内面に付着したアルカリ質の溶離性成分を除去又は低減し、さらに、洗浄工程後のガラス容器を30分以内に除歪工程に付し、適切な加熱温度に制御した除歪処理をガラス容器に施すことによって、内表面に分相が生成せず、且つフリーラジカルが存在せず、フレークスやデラミネーションがなく、内表面に存在する珪素と酸素がシロキサン結合で結合されている硼珪酸ガラス容器を提供することができる。
成形加工後の上記約300~400℃のガラス容器を、必要により、例えば大気温度下に放冷し、好ましくは150℃以下のガラス容器を洗浄液で洗浄する。ガラス容器の温度が高い程、ガラス容器内面に付着した溶離性成分の除去又は低減効果は高いと考えられるが、高温のガラス容器に洗浄液を接触させるとガラス容器が破損するおそれがある。また、洗浄時のガラス容器の下限温度は、洗浄効率を考慮して、好ましくは30℃以上とされる。また、洗浄時間は、10秒未満では洗浄が不十分であり、15秒を超えると生産性が低下するので、約10~15秒が好ましい。
洗浄工程における洗浄液の温度は限定されないが、約30~100℃の洗浄液を用いることが好ましく、約40~70℃の洗浄液を用いることがより好ましい。この範囲内であれば、本発明の目的とする化学的耐久性に極めて優れたガラス容器を得ることができる。
洗浄液としては、水、酸の水溶液、界面活性剤を含有する水溶液または界面活性剤を添加した酸の水溶液が好ましく用いられ、ガラス容器内表面に付着したアルカリ質の溶離性成分の溶解性が高い点で、酸の水溶液または界面活性剤を添加した酸の水溶液がより好ましい。
酸の水溶液に用いられる酸は有機酸と無機酸に大別される。有機酸の例としては、蟻酸、酢酸、シュウ酸、フタル酸およびクエン酸等を挙げることができ、また、無機酸の例としては、塩酸、硫酸および硝酸等を挙げることができる。これらの酸は、1種または2種以上を併用してもよい。上記した理由により有機酸が好ましく、洗浄効果および取扱い性の面からクエン酸、シュウ酸が好ましく用いられる。
酸の濃度が高いほど、アルカリ成分の溶解性が高い傾向にあるが、廃液の処理を含めた取扱い性の点から、通常、酸の濃度は約0.005~1.0モル/L、好ましくは約0.01~0.1モル/Lとされる。
上記洗浄液の中で界面活性剤を含有する水溶液または界面活性剤を添加した酸の水溶液に用いられる界面活性剤は、特に限定されるものではないが、好ましい界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤が挙げられる。界面活性剤の濃度は本発明の目的と効果を妨げない範囲で適宜選択すればよい。
上記洗浄液を用いてガラス容器の内面を洗浄液で洗浄するには、通常、ガラス容器を適宜の治具に挿入又は吊り下げなどした状態で、ガラス容器の口部から底部に向けて、例えばノズルから洗浄液を、通常、圧力をかけて吹き上げ噴霧することにより行う。ノズルの洗浄液噴霧口を、例えば、洗浄液と同時に圧搾空気を吐出し得るようにして、洗浄液の噴霧圧を高めるのが好ましい(ジェット噴霧洗浄とも称される)。具体的には、洗浄液の噴霧圧は、0.05MPa以上であるのが好ましい。噴霧圧が高すぎても洗浄効果が飽和するので、噴霧圧の上限は0.5MPa程度である。
洗浄液として水以外の洗浄液を用いる場合は、洗浄液による洗浄後、清浄な水によるすすぎの工程、及び、例えば空気の吹き込みによる十分な水切りの工程を経て、洗浄工程が終了する。
なお、上記洗浄液によるガラス容器の内面の洗浄は、超音波洗浄で行ってもよい。超音波洗浄の場合、通常、上記の洗浄液を用いて、内面だけでなくガラス容器全体を洗浄し、すすぎ洗浄を行う。超音波洗浄を採用するか否かは、後述する縦型成型機、洗浄機および除歪炉などの生産ライン全体のレイアウトを考慮して決定される。
本発明におけるガラス容器の除歪工程は、洗浄工程で洗浄したガラス容器を、目標最高雰囲気温度が685~700℃となるように制御されている除歪炉に送給して、ガラス容器の実際の温度が685℃から710℃である時間を1分間確保するように加熱昇温した後に冷却することにより行われる。洗浄後の約30~80℃のガラス容器を除歪炉内で加熱昇温した後に約300℃まで冷却することからなる除歪処理の全時間、すなわち、除歪炉内での在炉時間(除歪時間)は、3分~40分とされる。このような除歪処理により、ガラス管からガラス容器に成形加工した際の熱履歴に基づくガラス容器に残存する歪みが除去されると同時に、ガラス内表面に分相が生成せず、且つフリーラジカルが存在することなく、化学的に安定であるSiOを多量に含有する均質な被膜を内表面に形成し、フレークスやデラミネーションがなく、内表面に存在する珪素と酸素がシロキサン結合で結合されているガラス容器が得られる。
本発明のガラス容器を得るためのプロセスを分かりやすく説明すれば、次のとおりである。
(1)ガラス管内面へのアルカリ質の溶離性成分の付着
上記のように、ガラス管を温度約1500~1800℃のガスバーナーで加熱して、所望の管瓶の形状に成形するときに、加熱によってガラス質が変質してガラスの揮発成分(例えばNaO、KO)が、ガラス管の開放された下端と上端の間の空間部を煙突効果によって上昇してガラス管内面に付着し、アルカリ質の溶離性成分を形成する。図1(a)は、ガラス管1の内面2にアルカリ質の溶離性成分3が付着した状態を示す模式図である。
(2)洗浄によるアルカリ質の溶離性成分の除去
洗浄によってアルカリ質の溶離性成分を除去することはできるが、洗浄の結果、図1(b)に示すように、ガラス容器4の内面5は微視的に平坦でなくなる。
(3)成形加工時の熱履歴に基づく残存歪みの除去
アルカリ質の溶離性成分を除去した後のガラス容器を加熱することによって残存歪みを除去することができる。また、原子の拡散によって、図1(c)に示すように、ガラス容器4の内面5の平坦度も改善される。
(4)ガラス容器の内面の形成
硼珪酸ガラスは、ガラス転移点以上の温度に長時間加熱すると、分相化することがある。また、加熱温度が高すぎると、ガラス容器に変形やシワが発生する。そこで、加熱条件の選択が極めて重要である。
そこで、685~700℃の目標最高雰囲気温度となるように制御されている除歪炉において、ガラス容器の実際の温度が685~710℃である時間を1分間確保するように制御することによって、本発明のガラス容器を製造することができる。685~710℃である時間が1分間であれば、内表面に分相が生成せず、且つフリーラジカルが存在せず、内表面に存在する珪素と酸素がシロキサン結合で結合されており、ガラス表面が変形したり、シワが発生することなく、熱履歴に基づく残存歪みが除去されて、内外表面がほぼ平滑なガラス容器を製造することができる。
ガラス容器自体の温度が長時間(10分以上)にわたって700℃を超えると、ガラス表面が変形したり、シワが発生することがある。一方、除歪炉の最高雰囲気温度が650℃未満で制御されると、ガラス容器自体の温度が600℃を下回りやすく、ガラス化が不十分となることがある。
(5)プラズマ処理
有機分子が固体表面への特異な吸着現象を示し、吸着の過程で緻密に集合しかつ配向が揃った分子膜が形成されることがあり、吸着分子層が一層の場合、すなわち単分子膜が形成される場合、これは自己組織化単分子膜(以下、SAM膜という場合がある)と呼ばれる。また、吸着分子層が二層以上の場合、自己組織化多層膜と呼ばれる。そこで、上記のようにして製造されたガラス容器をプラズマ処理装置の真空チャンバー内に配置して、ガラス容器の表面にSAM膜または自己組織化多層膜を形成する。すなわち、プラズマ処理装置の所定の真空度の真空チャンバー内に親水性基を付与する蒸発源が供給された状態で、プラズマ発生部により形成されたプラズマ雰囲気により前記ガラス容器の膜形成面を改質して膜形成面を親水化する表面親水化モードを実行し、膜形成面が親水化されたガラス容器に対し、所定の真空度の真空チャンバー内にSAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の加水分解や求核反応を促進する蒸発源が供給された状態で、SAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の蒸発源を供給して、親水化された膜形成面上にSAM膜または自己組織化多層膜を形成する自己組織化モードを実行し、最後に、所定の真空度の真空チャンバー内でガラス容器の膜形成面とSAM膜または自己組織化多層膜内の結合を強化する最終処理モードを実行する。なお、ガラス容器に代えて樹脂製容器に対しても、プラズマ処理装置内で同様の処理を施すことにより、樹脂製容器にSAM膜または自己組織化多層膜を形成することができる。そのような樹脂としては、プロピロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、シクロオレフィン(COP、COC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)などを挙げることができる。
本発明によって、アルカリ成分等の溶出量が極めて少ない容器が提供される。
以下に本発明の実施例を説明するが、本発明の技術的範囲を逸脱しない範囲において、様々な変更や修正が可能であることは言うまでもない。
外径16mm、長さ1m60cmで、以下の表2に示す組成(重量%)を有する硼珪酸ガラス製のガラス管を使用し、以下の方法により、容量2mLのバイアルを得た。まず、図2の(1)に示すようにガラス管11の端部を上にして管瓶の縦型成型機12に挿入し、下端部をガスバーナーで加熱してガラスを軟化させ、瓶の開口部分の形状となるように成形加工した。以下、より詳しく図2に基づいて工程順に説明する。
(1)ガラス管11の下端部を1200~2000℃のフィッシュテールバーナー13で加熱した。
(2)ローラー14とプランジャー15とを用いて肩部を成形した。
(3)1200~2000℃のポイントバーナー16で加熱した。
(4)ローラー14とプランジャー15とで口部を成形した。
(5)全高板17を用いて瓶高さを決定した。
(6)温度1200~2000℃のカットバーナー18を用いてカットした。
(7)ポイントバーナー16を用いて底部を均質化した。
(8)エアー19を吹き込み、1200~2000℃のポイントバーナー16を用いてバイアル20の底部成形を完成した。
このようにして得られたバイアル20を、ネットコンベアー21上に載置された治具に挿入した状態(図3)で洗浄機22に搬送し、大気温下に放冷し(図2における(9)冷却工程)、約30℃のバイアルの内表面をシリンジを使用して10mLの25℃の洗浄液(クエン酸)で10秒間吹き上げ洗浄(クエン酸の噴霧圧0.2MPa)を行い(図2における(10)洗浄工程)、さらに、精製水で10秒間吹き上げ洗浄(0.2MPa)を行った後、エアー19を吹き込んで十分に水を切った(図2における(11)水切り工程)。尚、図3では細部を省略しているが、バイアル20は、ネットコンベアー21によって洗浄機22および除歪炉24に搬送可能とされている。
図4は、洗浄機22でバイアル20を洗浄する様子を示す概略構成図である。図4において、31はマニホールド、32はノズル、33はニードルバルブ、34は流量計、35は圧力計、36はポンプ、37は洗浄液の貯槽である。ニードルバルブ33の開度を調整することにより、洗浄液の噴霧圧を調節することができる。
クエン酸と精製水による洗浄及び水切りが終了した約25℃のバイアル20を、30分以内にバーナーヒーター23を備えた加熱炉有効長5mの除歪炉24に搬送し(図2における(12)除歪工程)、除歪炉内の目標最高雰囲気温度が670℃となるように制御して25分間除歪処理(雰囲気温度が670℃以上である時間は108秒で、ガラス容器の実際の温度は670~700℃で、ガラス容器の実際の温度が690~700℃である時間が1分間)を行った硼珪酸ガラス製のガラス容器を得、このガラス容器を常温まで放冷した。図5は、このようにして得た硼珪酸ガラス容器40の概略断面を示す図である。なお、除歪炉24は、入口側と出口側が開放されているので、除歪炉内に設けた熱電対で感知される除歪炉内の雰囲気温度を、例えば670~700℃としても、入口側や出口側はこの温度よりも低くなる。また、除歪炉内の雰囲気温度は3箇所に設置した熱電対で測定し、そのうちの1つの熱電対で測定した温度が目標温度となるように、バーナーヒーター23をオン・オフ制御した。さらに、ガラス容器の実際の温度はガラス容器に融着させた熱電対により測定した。
図6は、このようにして得たガラス容器にプラズマ処理を施して、SAM膜または自己組織化多層膜を形成するための一実施形態のプラズマ処理装置の全体構成を示す模式図、図7は図6に示すプラズマ処理装置の真空チャンバーの断面図である。
図6に示すように、プラズマ処理装置51は、SAM膜または自己組織化多層膜が形成されるガラス容器Vを収容する真空チャンバー52と、真空チャンバー52内にガラス容器Vを配置するステージを兼ねる下部電極53と、下部電極53に対向する上部電極54を有し、下部電極53には、プラズマ生成用電源57が接続されている。図6は、下部電極53がガラス容器Vを支持する構造であるが、上部電極54がガラス容器Vを支持するような構造でも良いし、下部電極53と上部電極54の両方がガラス容器Vを支持する構造であっても良い。また、プラズマ生成用電源57は、低周波電源を用いても良いし、高周波電源を用いても良い。さらに、真空チャンバー52内の圧力を監視する圧力ゲージ55と、アース56と、真空ポンプ59とが真空チャンバー52に接続されている。また、プラズマ処理に使用するガス導入口60と、プラズマ処理やSAM膜または自己組織化多層膜の成膜に必要な反応体物質のバブラー65と、SAM膜または自己組織化多層膜の原料チャンバー68とが配管で接続されて真空チャンバー52に導入される構造を有する。
さらに、図7に示すように、本実施形態における真空チャンバー52は、上部チャンバー77と、下部チャンバー78とを有し、下部チャンバー78にO-リング80を有する。本実施形態において、上部チャンバー77と下部チャンバー78は、電気的に接地された電気伝導体で構成されており、真空チャンバー52の内壁面全体は、電位が接地となっている接地電位面となっている。上部チャンバー77と下部チャンバー78を構成する電気導電体は、例えば、銅、ニッケル、チタン等の遷移金属、これらの合金、ステンレス鋼、モリブデン、タングステン等の高融点金属等で構成される金属材料である。本実施形態では、上部チャンバー77の上部にガス導入部71を有し、プラズマ処理に使用するガス導入口60と、プラズマ処理やSAM膜または自己組織化多層膜の成膜工程に必要な反応体物質のバブラー65と、SAM膜または自己組織化多層膜の原料チャンバー68とから接続された配管がガス導入部71に接続される。
本実施形態では、下部電極53は、電流導入端子72と電極ステージ73から構成されており、電流導入端子72の周囲と電極ステージ73の下部に絶縁部材76を配置している。また、電流導入端子72はプラズマ生成用電源57と接続されている。下部電極53に対向している上部電極54はガスシャワー板74を兼ねている構造を有している。本実施形態では、下部チャンバー78には、電極ステージ73を囲む形態でアースリング75が設けられている構造を有する。電極ステージ73とアースリング75の高さの差は略0mmとなることが好ましいが、電極ステージ73よりアースリング75の方が少し高くてもよい。アースリング75は電極ステージ73との間隔が1mm以上5mm以下となるように形成されている。このような間隔を形成することにより、ガスの流れを制御し、プラズマの均一な領域を可能な限り広げることが可能となる。アースリング75と電極ステージ73との間隔が1mm未満の場合、真空ポンプでガスを引く時に間隔が狭すぎて充分にガスを引くことができず、その上、異常放電が起こることにより、所望のプラズマを発生させることができない。また、アースリング75と電極ステージ73との間隔が5mmより大きくなると、電極ステージ73とアースリング75との間で異常放電が起こり、所望の均一なプラズマを発生させることができない。
また、下部チャンバー78には、電流導入端子72とアースリング75との間に、真空ポンプ59と接続されている真空排気口79を有し、排気流量調整バルブ58で真空チャンバー52内の真空度を調整することができる。したがって、本実施形態の装置を用いることにより、SAM膜または自己組織化多層膜を形成する前処理工程においてプラズマ処理による親水化処理を良好に行うことが可能となる。
本実施形態では、プラズマ処理に使用するガスを導入するガス導入口60からの系統と、プラズマ処理やSAM膜または自己組織化多層膜の成膜工程に必要な反応体物質のバブラー65からの系統と、SAM膜または自己組織化多層膜の原料チャンバー68からの系統からなる3系統のガス導入管と、真空チャンバー52とが接続されている。ガス導入管の配管には、ガスが液化しない様に、断熱材又はヒーター(図示せず)で囲まれた構造の配管が使用される。
本実施形態においては、ガス導入口60から導入するプラズマ処理に使用するガスはガスボンベ(図示せず)から供給され、流量調整バルブ/マスフローコントローラ61を介して真空チャンバー52に導入される。プラズマ処理に使用されるガスとしては、ガラス容器Vの表面に水酸基(OH基)を付与するガス、又はOH基を付与する工程の前処理用のガスが選択される。例えば、水蒸気(HO)、酸素(O)やアルゴン(Ar)等が挙げられる。表面にOH基を付与するガス、又はOHを付与する工程の前処理に使用することが可能なガスであれば、何ら限定するものではない。
プラズマ処理に使用されるガスが真空チャンバー52に供給される時は、真空チャンバー52の真空度を排気流量調節バルブ58と真空ポンプ59により制御し、下部電極53と上部電極54で放電することにより、上記ガスがプラズマ生成ガスとして機能し、ガラス容器Vにプラズマ親水化処理を施す。
本実施形態においては、プラズマ処理やSAM膜または自己組織化多層膜の成膜に必要な反応体物質である蒸気源67が注入されているバブラー65は、マントルヒーター66を備えており、加熱することによりプラズマ処理やSAM膜または自己組織化多層膜の成膜に必要な反応体物質である蒸気源67の蒸気を発生させて、真空チャンバー52に供給する。バブラー65は、蒸気源67の蒸気をキャリアするためのキャリアガスの導入口62から流量調整バルブ/マスフローコントローラ63を介してキャリアガスが供給される配管と結合されており、バブラー65を通過することなく、バブラー65からの蒸気と混合することが可能なキャリアガスが通るバイパス弁64を有する配管が構成されている。キャリアガスが不要な場合は、キャリアガスを流さなくても構わない。
プラズマ処理やSAM膜または自己組織化多層膜の成膜に必要な反応体物質である蒸気源67として、ガラス容器Vの表面にOH基を付与する蒸発源、又はSAM膜もしくは自己組織化多層膜の前駆体の加水分解または求核反応を促進する蒸発源が選択される。例えば、水(HO)が例示される。
プラズマ処理やSAM膜または自己組織化多層膜の成膜に必要な反応体物質である蒸気源67の蒸気が真空チャンバー52に供給される時は、下部電極53と上部電極54で放電することにより、上記HOガス(水蒸気)がプラズマ生成ガスとして機能し、ガラス容器Vの表面にOH基を付与する工程となり、直後のSAM膜または自己組織化多層膜形成工程では、放電時のプラズマの残留成分(水蒸気)がSAM膜または自己組織化多層膜前駆体材料と加水分解または求核反応を促進する。真空チャンバー52の真空度を排気流量調節バルブ58と真空ポンプ59で制御することにより、引き続くSAM膜または自己組織化多層膜前駆体の加水分解または求核反応は、SAM膜または自己組織化多層膜前駆体が分解、解離しないようにすれば、放電中でも放電停止後でも構わない。
本実施形態においては、SAM膜または自己組織化多層膜前駆体材料の蒸気源70が注入されているSAM膜または自己組織化多層膜の原料チャンバー68はマントルヒーター69を備えており、マントルヒーター69で加熱することによりSAM膜または自己組織化多層膜の原料チャンバー68の蒸気を発生させて、真空チャンバー52に供給する。SAM膜または自己組織化多層膜前駆体材料の蒸気源70として、SAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料が加水分解されてできたOH基とガラス容器Vの表面に形成されたOH基の間で脱水縮合する蒸発源、またはSAM膜または自己組織化多層膜前駆体材料の蒸発源の材料分子自体がガラス容器Vの表面に形成されたOH基の間で脱水縮合する蒸発源が選択される。例えば、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルジメチルクロロシラン、テトラヒドロオクチルメチルジクロロシラン(FOMDS)、ジクロロジメチルシラン(DDMS)、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリクロロシラン(FDTS)、オクタデシルトリクロロシラン(OTS)、テトラヒドロオクチルトリクロロシラン(FOTS)等のクロロシラン系、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、イソブチルメチルジメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリメトキシシラン、1H,1H,2H,2H-トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン、n-オクタデシルトリメトキシシラン、テトラエトキシシラン(TEOS)等のアルコキシシラン系、オクタデシルホスホン酸、1H,1H,2H,2H-パーフルオロオクチルホスホン酸等のホスホン酸系材料や、テトライソシアネートシラン等のイソシアネート系、トリエトキシ(3-イソシアナトプロピル)シラン等のアルコキシシラン系且つイソシアネート系である材料や、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)等のジシラザン系が挙げられ、SAM膜または自己組織化多層膜を形成することができる、クロロシラン系材料や、アルコキシシラン系材料や、イソシアネート系材料や、ホスホン酸系材料や、ジシラザン系材料であれば限定されるものではない。
SAM膜または自己組織化多層膜前駆体材料の蒸気源70が真空チャンバー52に供給される時は、下部電極53と上部電極54で放電しないことが好ましい。SAM膜または自己組織化多層膜形成工程では、SAM膜または自己組織化多層膜前駆体材料の蒸気源70がテトライソシアネートシランの場合は、放電時のプラズマの残留成分やHOが自己組織化多層膜前駆体材料と求核反応しつつ、4つのイソシアネート基のうち未反応のイソシアネート基がガラス容器表面または樹脂製容器表面に付与されたOH基と反応しウレタン結合が形成され、自己組織化多層膜の一層目が形成される。SAM膜または自己組織化多層膜前駆体材料の蒸気源70が、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリメトキシシランの場合は、放電時のプラズマの残留成分やHOがSAM膜前駆体材料と加水分解反応した後、ガラス容器表面または樹脂製容器表面に付与されたOH基およびSAM膜前駆体材料のOH基とが水素結合で自己組織化された後、脱水縮合反応が進み、SAM膜が形成される。
以上、説明したように、本実施形態におけるプラズマ処理装置は、真空チャンバー内にプラズマ雰囲気を形成するプラズマ発生部を備え、以下の3つの処理をそれぞれ実行するモードを有する。
(1)真空チャンバー内に、親水性基を付与する蒸発源が供給された状態で、プラズマ発生部により形成されたプラズマ雰囲気によりガラス容器または樹脂製容器の膜形成面を改質し、膜形成面を親水化する表面親水化モード
(2)膜形成面が親水化されたガラス容器または樹脂容器に対し、所定の真空度の真空チャンバー内にSAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の加水分解または求核反応を促進する蒸発源が供給された状態で、SAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の蒸発源を供給して、親水化された膜形成面上にSAM膜または自己組織化多層膜を形成する自己組織化モード。
(3)所定の真空度の真空チャンバー内で膜形成面とSAM膜または自己組織化多層膜内における結合を強化するための加熱処理、および自己組織化多層膜前駆体材料がテトライソシアネートシランの場合は、最表面のシラノール化処理からなる最終処理モード
本実施形態において、表面親水化モードと自己組織化モードと最終処理モードは、共通の真空チャンバー内で実行されることが好ましい。これにより、表面親水化モードから自己組織化モード、自己組織化モードから最終処理モードへの移行を、真空チャンバーを大気に解放することなく行うことができる。なお、表面親水化モードと自己組織化モードと最終処理モードとを、別の真空チャンバー内で実行する場合は、真空状態を維持したまま容器を搬送できるロードロック式の真空チャンバーであることが好ましい。
本実施形態において、容器の表面に水酸基を付与する蒸発源、及び自己組織化単分子膜の前駆体材料の加水分解を促進する蒸発源は、共に水蒸気であることが好ましい。なお、自己組織化モードにおける水蒸気は、表面親水化モードで残存した水蒸気であってもよい。
本実施形態によれば、容器上にSAM膜または自己組織化多層膜を形成する直前の基板表面に対して、真空プラズマ処理を施すことにより、水酸基等の親水性基を高密度に付与することが可能となると共に、真空チャンバーを大気に解放することなく、容器に付与された親水性基による親水性の経時変化が生じる前に、容器表面に高密度なSAM膜を形成することが可能となる。
また、本実施形態におけるSAM膜または自己組織化多層膜の形成方法は、真空チャンバー内にガラス容器を配置する工程(A)と、真空チャンバー内に、ガラス容器表面に親水性基を付与する蒸発源を供給し、真空チャンバー内をプラズマ化することにより、蒸発源のプラズマを発生させて、ガラス容器表面を親水化する工程(B)と、工程(B)の後、真空チャンバー内に、SAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の加水分解または求核反応を促進する蒸発源を供給した状態で、SAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の蒸発源を供給して、ガラス容器表面にSAM膜または自己組織化多層膜を形成する工程(C)と、ガラス容器表面とSAM膜または自己組織化多層膜内における結合を強化および自己組織化多層膜前駆体材料がテトライソシアネートシランやオルトケイ酸テトラエチル等の4官能アルコキシシランの場合は、最表面のシラノール化処理をする工程(D)とを含み、少なくとも工程(B)および工程(C)は、真空チャンバーを大気に解放することなく実行される。工程(D)は、一連のプロセスで真空チャンバー内で大気開放せずに実行してもよいし、一旦、大気開放した後に実行してもよい。
そして、段落0053から0058に記載したようにして得た硼珪酸ガラス製のガラス容器Vを図6に示すプラズマ処理装置内に配置して、そのガラス容器Vの表面に以下に説明するような処理を施して自己組織化多層膜を形成した。
真空チャンバー52内の雰囲気圧力を5~10Paに減圧した。その後、プラズマ処理やSAM膜の形成に必要な反応体物質である蒸気源67として水が注入されたバブラー65をマントルヒーター66によって70℃まで加熱し、水蒸気を真空チャンバー52に導入し、真空チャンバー52内の雰囲気圧力を100Paに維持した。プラズマ生成電源57には13.56MHzの高周波電源を用いて、200Wの電力で3分間の水蒸気プラズマ照射を実施した。
SAM膜または自己組織化多層膜前駆体材料の蒸気源70として、テトライソシアネートシランを5cc注入したSAM膜または自己組織化多層膜の原料チャンバー68は、マントルヒーター69によって50℃に加熱した。プラズマ照射終了後、バブラー65のバルブを閉めた後、真空チャンバー52を大気開放することなく、SAM膜または自己組織化多層膜の原料チャンバー68のバルブを開放することによりテトライソシアネートシランを真空チャンバー52内に導入し、20分間、ガラス容器Vをテトライソシアネートシランの蒸気にさらすことにより、ガラス容器Vに自己組織化多層膜を形成した。
さらに、自己組織化多層膜を形成したガラス容器を100~120℃に加熱することにより、ガラス容器表面と自己組織化多層膜内の結合を強化した。その後に、再度水蒸気プラズマを照射することにより、最表面にシラノール基を形成することにより親水化表面を実現している。
次に、SAM膜または自己組織化多層膜前駆体材料の蒸気源70として、テトライソシアネートシランに代えて、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリメトキシシランを用いた以外は、上記と同じ処理を、段落0053から0058および段落0078から0079に記載したようにして得た硼珪酸ガラス製のガラス容器Vに施した。その後、1H,1H,2H,2H-パーフルオロデシルトリメトキシシランのSAM膜を形成したガラス容器Vを100~120℃に加熱することにより、ガラス容器表面とSAM膜の結合を強化した。
そして、フーリエ変換赤外分光光度計を用いて、上記テトライソシアネートシランを自己組織化多層膜の原料とした処理を施されたガラス容器Vの表面に形成された分子を特定した。赤外光は分子結合の振動や回転運動のエネルギーとして吸収されるため、分子の構造や官能基の情報をスペクトルから得ることができる。図8はガラス容器の表面構造をフーリエ変換赤外分光光度計により測定した結果であり、横軸は波数(/cm)を示し、縦軸は吸光度を示す。図9、図10および図11は図8を部分的に取り出したものである。
本発明の方法に従ってガラス容器Vの表面にプラズマ処理を施すことにより、図12に示すように、ガラス容器の表面にウレタン結合(化1)が形成され、図13に示すように、ガラス容器の表面に尿素結合(化2)とビュレット結合(化3)が形成されることが分かる。
また、プラズマによる表面処理を行わなかった以外は、段落0053から0058に記載した内容と同じ工程を経て比較例1の硼珪酸ガラス製のガラス容器を得、プラズマによる表面処理を行わず、且つクエン酸と精製水による洗浄を行わなかった以外は、段落0053から0058に記載した内容と同じ工程を経て比較例2の硼珪酸ガラス製のガラス容器を得た。
その後、プラズマ処理装置を使用してテトライソシアネートシランによる表面処理を行った硼珪酸ガラス製のガラス容器(実施例1)と、プラズマ処理装置を使用してパーフルオロカーボンによる表面処理を行った硼珪酸ガラス製のガラス容器(実施例2)と、比較例1の硼珪酸ガラス製のガラス容器と、比較例2の硼珪酸ガラス製のガラス容器に対して、図5に示すように、各ガラス容器40に0.7mLの精製水40aを注入した後、121℃で2時間または4時間、オートクレーブ処理を行った。41はゴム栓である。そして、これらのガラス容器内の精製水について、精製水注入後1時間経過時点において、原子吸光分光光度計を用いて溶出Na量(ppm)を測定し、誘導結合プラズマ発光分光分析計を用いて、溶出B量(ppm)と溶出Al量(ppm)と溶出Si量(ppm)と溶出Ca量(ppm)と溶出Ba量(ppm)を測定した。その結果、以下の表3~表8に示すような測定結果を得た。精製水をガラス容器に注入するのは、例えば、ガラス容器に医薬品(例えば、液剤、凍結乾燥製剤、粉剤)を収納したときに、ガラス容器内面がどの程度の期間で劣化するかを見積もるための加速試験の意味を有しており、精製水注入後1時間経過時点は1.6年に相当する。
表3~8に示すように、実施例1と2の硼珪酸ガラス容器は、6元素すべての溶出量が極めて少なく、化学的耐久性に極めて優れていることが分かる。一方、比較例1の硼珪酸ガラス容器は、Na以外の溶出量は実施例1および2の硼珪酸ガラス容器と同程度であるが、Naの溶出量は実施例1および2の硼珪酸ガラス容器より多い。
また、表面処理を施されていない比較例2の硼珪酸ガラス容器は、6元素すべての溶出量が多い。
さらに、実施例2のガラス容器と、比較例2のガラス容器と、ポリプロピレン製の容器(PP製容器)と、シクロオレフィン製の容器(COP製容器)について、静止液体の自由表面が固体壁に接する場所で液面と固体面とのなす角度である、いわゆる接触角を測定した。この接触角は液体分子間の凝集力と、液体と固体壁間の付着力の大小関係によってきまり、接触角θとし、液体の表面張力をσとし、σ固体の表面張力をσとし、固体と液体の界面張力をσSLとすれば、次式で表される。
COSθ=(σ-σSL)/σ
上記PP製容器とCOP製容器は、実施例1、2および比較例1、2のガラス容器の外観形状と同じ外観形状を有するように、射出成形により得た。
そして、「液滴輪郭曲線の座標を実測し、液滴輪郭形状が、Young-Laplace理論曲線で表されると仮定し、輪郭形状の座標から曲線のパラメータを算出し、曲線を表す関数を具体的に決め、関数を端点座標で微分して、接線を求め、接線の勾配から、接触角を求める」液滴法により、上記4種類の容器について、接触角(度)を測定した。使用した液体は、水、85%エタノール、アセトン、サラダ油の4種類である。接触角(度)の測定結果を以下の表9~表12に示す。
表9に示すように、実施例2のガラス容器の接触角は、液体が水である場合に90°を超えており、PP製容器やCOP製容器と同じように撥水性を備えていることが分かる。しかし、比較例2のガラス容器の接触角は、液体が水である場合に90°未満であるから、親水性であることが分かる。
液体が85%エタノールやアセトンやサラダ油である場合、表10~表12に示すように、比較例2のガラス容器は測定不能であり、PP製容器やCOP製容器もほぼ測定不能であったが、実施例2のガラス容器は、一定の接触角を有しており、親油性であるとは言えない。
本発明によれば、医薬品、理化学用の容器として好適な容器を提供することができる。
51 プラズマ処理装置
52 真空チャンバー
53 下部電極
54 上部電極
55 圧力ゲージ
56 アース
57 プラズマ生成用電源
58 排気流量調整バルブ
59 真空ポンプ
60 ガス導入口
62 キャリアガスの導入口
65 反応体物質のバブラー
66、69 マントルヒーター
67 反応体物質である蒸気源
68 SAM膜または自己組織化多層膜の原料チャンバー
70 SAM膜または自己組織化多層膜前駆体材料の蒸気源
71 ガス導入部
72 電流導入端子
73 電極ステージ
74 ガスシャワー板
75 アースリング
76 絶縁部材
77 上部チャンバー
78 下部チャンバー
79 真空排気口
80 O-リング

Claims (2)

  1. ガラス容器の内面を、水、酸の水溶液、界面活性剤水溶液または界面活性剤を添加した酸の水溶液からなる洗浄液で洗浄する洗浄工程、および洗浄工程で洗浄したガラス容器を加熱昇温した後に冷却して除歪する除歪工程、次いで、上記ガラス容器をプラズマ処理装置内に配置して、プラズマ処理装置の所定の真空度の真空チャンバー内に親水性基を付与する蒸発源が供給された状態で、プラズマ発生部により形成されたプラズマ雰囲気により前記ガラス容器の膜形成面を改質して膜形成面を親水化し、膜形成面が親水化されたガラス容器に対し、所定の真空度の真空チャンバー内にSAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の加水分解または求核反応を促進する蒸発源が供給された状態で、SAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の蒸発源を供給して、親水化された膜形成面上にSAM膜または自己組織化多層膜を形成し、最後に、所定の真空度の真空チャンバー内で膜形成面とSAM膜または自己組織化多層膜内における結合を強化することを特徴とする容器の表面処理方法。
  2. 樹脂製容器をプラズマ処理装置内に配置して、プラズマ処理装置の所定の真空度の真空チャンバー内に親水性基を付与する蒸発源が供給された状態で、プラズマ発生部により形成されたプラズマ雰囲気により前記樹脂製容器の膜形成面を改質して膜形成面を親水化し、プラズマ雰囲気によるプラズマ照射終了後に、大気開放することなく、膜形成面が親水化された樹脂製容器に対し、所定の真空度の真空チャンバー内にSAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の加水分解または求核反応を促進する蒸発源が供給された状態で、SAM膜または自己組織化多層膜の前駆体材料の蒸発源を供給して、親水化された膜形成面上にSAM膜または自己組織化多層膜を形成し、最後に、所定の真空度の真空チャンバー内で膜形成面とSAM膜または自己組織化多層膜内における結合を強化することを特徴とする容器の表面処理方法。
JP2024542350A 2024-06-25 容器の表面処理方法及び当該方法によって処理された容器の表面構造 Active JP7586418B1 (ja)

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP7586418B1 true JP7586418B1 (ja) 2024-11-19

Family

ID=

Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000282240A (ja) 1999-03-31 2000-10-10 Seiko Epson Corp 有機単分子膜の形成方法とそのパターニング方法
JP2008156702A (ja) 2006-12-22 2008-07-10 Fujitsu Ltd 樹脂筐体及びその製造方法
US20090186160A1 (en) 2008-01-18 2009-07-23 Asemblon.Inc. Beverage Packaging Coating Matrix
JP2015066770A (ja) 2013-09-27 2015-04-13 凸版印刷株式会社 機能性シーラント
CN108996916A (zh) 2018-09-05 2018-12-14 成都中建材光电材料有限公司 一种石英管内壁镀膜的方法
JP2019064644A (ja) 2017-09-29 2019-04-25 三菱ケミカル株式会社 ガスバリア性容器
JP2022523488A (ja) 2019-01-25 2022-04-25 エスアイオーツー・メディカル・プロダクツ・インコーポレイテッド バイオ医薬製品の製造、包装、配送及び評価で使用される共通接触面

Patent Citations (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000282240A (ja) 1999-03-31 2000-10-10 Seiko Epson Corp 有機単分子膜の形成方法とそのパターニング方法
JP2008156702A (ja) 2006-12-22 2008-07-10 Fujitsu Ltd 樹脂筐体及びその製造方法
US20090186160A1 (en) 2008-01-18 2009-07-23 Asemblon.Inc. Beverage Packaging Coating Matrix
JP2015066770A (ja) 2013-09-27 2015-04-13 凸版印刷株式会社 機能性シーラント
JP2019064644A (ja) 2017-09-29 2019-04-25 三菱ケミカル株式会社 ガスバリア性容器
CN108996916A (zh) 2018-09-05 2018-12-14 成都中建材光电材料有限公司 一种石英管内壁镀膜的方法
JP2022523488A (ja) 2019-01-25 2022-04-25 エスアイオーツー・メディカル・プロダクツ・インコーポレイテッド バイオ医薬製品の製造、包装、配送及び評価で使用される共通接触面

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4299392B2 (ja) 中空内面被覆ガラス体の製造方法及び該ガラス体を形成するための半製品ガラス管
US8673406B2 (en) Method and device for the plasma treatment of surfaces containing alkali and alkaline-earth metals
US6599594B1 (en) Glass container for medicinal purposes
US6180191B1 (en) Method for plasma deposition of a thin film onto a surface of a container
AU740485B2 (en) Container with material coating having barrier effect and method and apparatus for making same
US5702770A (en) Method for plasma processing
JP2006321713A (ja) 内表面がコーティングされたガラス管の製造方法及び装置
EP1430108B1 (en) Method for creating a cell growth surface on a polymeric substrate
JP5362941B2 (ja) 改善された耐薬品性を有する複合材料
US6001429A (en) Apparatus and method for plasma processing
CN104245525B (zh) 使用等离子体喷嘴进行容器涂层
US20100089097A1 (en) Method for the production of pharmaceutical packaging
TWI391994B (zh) 汽化器及半導體處理系統
EP2546205A1 (en) Vial and method for producing the same
JP7586418B1 (ja) 容器の表面処理方法及び当該方法によって処理された容器の表面構造
US20100203260A1 (en) Method for efficient coating of substrates including plasma cleaning and dehydration
US20040033372A1 (en) Micromechanical component and method for producing an anti-adhesive layer on a micromechanical component
JP2019089691A (ja) ガラス容器
CN110406771B (zh) 用于制造具有玻璃层的官能化中空体的方法
EP3085208B1 (en) Method of plasma treatment of an internal and/or external surface of a hollow electrically non-conductive body and a device for carrying out this method
US20060121197A1 (en) Method for silane coating of indium tin oxide surfaced substrates
JP6768179B1 (ja) ガラス容器
Schweiger et al. Coating of glass substrates to prevent alkali ion diffusion into pharmaceutical solutions
WO2020235496A1 (ja) ガラス容器
US20220242784A1 (en) Method for dealkalisation of borosilicate glass containers by liquid means