実施の形態1
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。ただし、本発明が以下の実施の形態に限定される訳ではない。また、説明を明確にするため、以下の記載及び図面は、適宜、簡略化されている。図中に示したものは、全体の一部であり、図示しないその他の構成が実際には多く含まれる。さらに、以下の説明において同一又は同等の要素には、同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
本実施形態にかかるピッキング台車1は、例えば、倉庫、物流センター、又は工場等で実施されるピッキング作業に用いることができる。本実施形態では、ピッキング作業を行う作業者が棚に保管された物品を取り出して、ピッキング台車1の指定された収納部10に収納することにより物品(ピッキング品W1)の出庫を行うピッキング作業を例示して説明する。
以下の説明では、ピッキング指示情報により指定される物品情報を有する物品をピッキング品W1と称する。一方、ピッキング指示情報により指定されていない物品情報を有する物品は、ピッキング品W1と種別が異なる物品であって、検品不合格品W2と称する。すなわち、ピッキング品W1と検品不合格品W2とは、異なる物品情報を有する。また、検品台30上に載置され、本実施形態にかかるピッキング台車1、ピッキングシステム、及びピッキングプログラムを用いた検品の対象となる物品を検品対象品Wと称する。さらに、画像情報を用いて正常な読み取りができない物品情報を有する物品を解読不能品W3と称する。
なお、ピッキング品W1、検品不合格品W2、検品対象品W、及び解読不能品W3を特に区別しない場合は、物品と総称する場合がある。また、説明の便宜上、物品を特定するための物品情報について、それぞれを区別する場合には、記憶部62に記憶された物品の物品情報を「物品管理情報」と称し、物品に付与されたコードC1から読み取られる物品情報を「物品識別子情報」と称する。
まず、図1及び図2を参照して、ピッキング台車1の概略を説明する。図1は、実施の形態1にかかるピッキング台車を示す外観図である。図2は、図1に示すピッキング台車の側面図である。
図1及び図2に示すように、ピッキング台車1は、台座部43と、収納棚部21、22と、検品台30と、ハンドル40と、撮影部50と、撮影可動部51と、端末60と、スキャナ部70と、を有する。
台座部43は、ピッキング台車1の底部に配置される底部フレーム41と、底部フレーム41の下面に車輪42と、を有する。台座部43の上方には、上下に二段の収納棚部21、22が設けられる。収納棚部21、22は、それぞれ上面に収納部10a、10c、又は収納部10b、10dを載置可能な略矩形状に形成される棚である。収納棚部21は、上段に配置され、収納棚部22は、下段に配置されている。
収納棚部21には、収納部10a、10cが並んで載置されている。収納棚部22には、収納部10b、10dが並んで載置されている。収納部10a~10dは、ピッキング品W1が収納される箱であり、ピッキング品W1は作業者によって収納部10a~10dのうちいずれか1つに仕分けられる。以下、収納部10a~10dを特に区別する必要のない場合は、個々の収納部10a~10dを収納部10として説明する。
作業者は、指定された収納部10(収納部10a~10dのうちいずれか1つ)の手前側に設けられる取っ手を引くことにより収納部10を引き出して検品が完了したピッキング品W1を投入し、当該ピッキング品W1を収納部10内に収納する。本実施形態では、ピッキング台車1が、上下2段の収納棚部21、22と、4個の収納部10と、を有する場合を例示して説明するが、各構成要素の配置、数量等はこれに限定されるものではない。
収納棚部21、22には、収納部10が開閉されたか否かを検知する検知部がそれぞれ設けられる。検知部は、端末60の通信部61に接続される。検知部は、例えば、光学センサや磁気センサであり、収納棚部21、22の前端部又は後端部に設けられる。検知部は、収納部10が開閉されたことを検知して、その検知結果を端末60に送信する。
そして、収納棚部21のさらに上方であって、最上段には、略矩形状に形成される天面部20が設けられる。収納棚部21、22及び天面部20は、底部フレーム41に立設される支持フレーム44に支持されている。
天面部20には、側方から手前側に延びる左右一対のハンドル40が設けられる。作業者は、ピッキング台車1の手前側に立ってハンドル40を持ち、ピッキング台車1を手押しして所望の場所に移動させることができる。
天面部20の上面には、検品台30が設けられている。検品台30は、平板形状を有する。検品台30の上面には、複数個の検品対象品Wを載置可能なスペースが形成される。作業者は、棚から取り出した物品を検品台30上の当該スペースに載置する。検品台30上に載置された物品は、検品対象品Wである。
また、検品台30上には、撮影可動部51を介して撮影部50が設けられている。撮影可動部51は、撮影部50に1以上の自由度を与えるカメラステーである。撮影可動部51は、固定部材52と、ヒンジ53と、アーム54と、を有する。ヒンジ53は、検品台30上に固定される固定部材52を介して検品台30に設けられている。ヒンジ53は、略L字状に形成される棒状部材であるアーム54の基端と連結される。アーム54の先端には、撮影部50が取り付けられる。アーム54は、検品台30上において、その先端が水平軸周りに弧を描くように回動可能である。また、アーム54は、先端側と基端側とがそれぞれ延在方向に伸縮可能に構成される。
例えば、図1に示すピッキング台車1の場合、撮影可動部51は、作業者が立つ手前側から見て検品台30の右側周縁に配置される。そして、アーム54の基端側は鉛直上向きに延び、アーム54の先端側は検品台30の右側周縁から検品台30の幅方向に沿って内側に延びている。作業者は、撮影可動部51を鉛直方向に立てた状態から、手前側及び奥側に傾倒させることができる。これにより、検品台30上に載置された検品対象品Wを様々な角度から撮影することができる。また、作業者は、アーム54の先端側の伸縮を調整することにより、検品台30の幅方向における撮影部50の位置を調整することができる。一方、作業者は、アーム54の基端側の伸縮を調整することにより、アーム54の長さを変更できる。これにより、検品台30上に載置された検品対象品Wと撮影部50との適切な距離を確保することができる。
撮影部50は、例えば、レンズ等の光学系、及びイメージセンサを有するカメラである。撮影部50は、検品台30上の空間を撮影対象とするように設置される。撮影部50は、検品台30上に載置された少なくとも1つの検品対象品Wを撮影し、画像情報を生成する。画像情報には、撮影日時等の属性データが付加される。撮影部50は、生成した画像情報を端末60に送信する。
撮影部50が生成する画像情報は、動画像であっても良く、予め指定された時間間隔を隔てて撮影された連続した複数の静止画像等であっても良い。画像情報は、動画像を構成する少なくとも1つのフレーム画像と考えることができる。複数のフレーム画像は、連続していてもよく、連続していなくても良い。例えば、複数のフレーム画像は、予め指定された数のフレーム画像を隔てて取得された複数のフレーム画像であっても良い。
ここで、本実施形態において、棚に保管された物品には、予めコードC1が付与されている。本実施形態では、コードC1は、バーコードであり、ラベル等に印字されて検品対象品Wの表面に貼り付けられているが、コードC1の種類やコードC1の付与形態はこれに限定されるものではない。コードC1は、バーコードを含む一次元コードの他に、QRコード(登録商標)を含む二次元コード、カラーコード、文字列、数字列等であっても良く、これらを組み合わせて用いることもできる。コードC1は、撮影部50で生成した画像情報を用いて画像解析処理により識別できるものであれば、これらに限定されない。さらに、コードC1は、スキャナ部70によりスキャンして識別できることが好ましい。
コードC1から読み出される物品識別子情報は、記憶部62に記憶された検品対象品Wを特定するための物品管理情報と対応づけられている。物品識別子情報及び物品管理情報は、物品を特定するための物品情報であって、例えば、品番、品名、サイズ、形状、カラー等を示す情報である。物品情報は、物品の種別を特定できるものであれば良く、これらに限定されるものではない。本実施形態では、物品情報として、品番を用いた場合を例示して説明する。
そして、ラベルには、バーコードとは別に、文字列と数字列の少なくとも一方で表される品番等が印字されている。このため、作業者は、ラベルに印字された文字列、数字列を目視することによっても検品対象品Wの物品識別子情報を確認することができる。
ピッキング台車1のスキャナ部70は、コードC1を光学的に読み取り可能なバーコードリーダ等のハンディスキャナである。スキャナ部70は、天面部20の側部に設けられたホルダ71によってピッキング台車1に保持される。コードC1を読み取る際には、例えば、作業者がスキャナ部70をホルダ71から取り外して使用する。作業者は、読み取りを行う検品対象品WのコードC1がスキャナ部70の読み取り範囲内となるように、スキャナ部70をコードC1に接近させることで、当該コードC1の物品識別子情報を入力して端末60の通信部61に送信することができる。
端末60は、検品台30上に設置され、作業者が使用するコンピュータである。端末60は、収納部10b、10dの奥側に配置されたバッテリー等で構成される電源部80に接続されて駆動される。端末60は、例えば、PC(Personal Computer)、タブレットPC、スマートフォンなどである。本実施形態では、タッチパネル式のディスプレイを備えたタブレットPCを用いた場合を例示して説明する。ディスプレイは、端末60の表示部63を構成し、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminance)ディスプレイ等である。
続いて、図3を参照して、検品対象品WのコードC1を適切に読み取るために行われる撮影部50の位置調整について、具体例を示して説明する。図3は、図1に示すピッキング台車の撮影部を移動させて検品対象品の物品識別子情報を読み取る様子の一例を示す斜視図である。なお、図3では、台座部43の図示を省略している。
図3に示すように、検品台30上には、複数の検品対象品Wが載置されている。検品台30上の検品対象品Wは、作業者が棚から取り出して検品台30上に載置し、積み上げたものである。図3に示す例では、ラベルに印字されたコードC1が検品対象品Wの側面に貼り付けられており、コードC1は、検品台30の上面に対して垂直な状態で、ピッキング台車1の手前側を向いている。
ピッキング台車1の撮影部50は、上記した通り、撮影可動部51に取り付けられている。そのため、撮影部50は、1以上の自由度を有して検品台30上の空間を移動可能に構成される。したがって、作業者は、撮影可動部51のアーム54の回動角度及び伸縮を適宜調整することにより、撮影部50の撮影方向及び撮影位置を変更することができる。これにより、検品対象品Wに付与されたコードC1が、検品台30の上面に対して平行な状態、垂直な状態、又は傾斜した状態であっても、撮影部50によって当該コードC1を読み取りやすくなる。
図3に示すように、コードC1がピッキング台車1の手前側を向いている場合、作業者は、撮影可動部51のアーム54を手前側に傾倒させるとともにアーム54の伸縮を調整する。作業者は、検品台30上に載置される全ての検品対象品Wの各コードC1が撮影部50の撮影範囲内となるように、撮影部50の撮影方向及び撮影位置を変更する位置調整を行う。このようにして撮影された画像情報には、少なくとも、検品台30上に載置された全ての検品対象品Wの各コードC1が含まれている。
また、例えば、照明等の光が反射してコードC1が読み取りにくい場合に、作業者は、コードC1の読み取りに最適な撮影方向及び撮影位置へと撮影部50を移動させることができる。このような構成に加えて、コードC1の読み取りを良好に行うために、検品台30の上方に光拡散シートを設けて、撮影時における光の反射を抑制する方法を採用することもできる。
次に、図4を参照して上記のピッキング台車1を用いて構成されたピッキングシステムについて説明する。図4は、実施の形態1にかかるピッキングシステムの機能ブロック図である。図4に示すように、本実施形態にかかるピッキングシステムは、主に、ピッキング作業を管理する管理装置90と、ピッキング台車1と、により構成される。
管理装置90は、例えば、サーバである。管理装置90は、ネットワークを介して端末60の通信部61と通信接続される。管理装置90は、端末60を介して作業者にピッキング作業の指示を行うコンピュータである。管理装置90は、外部(例えば、作業指示者等)から入力されたピッキングのオーダーに基づいて、ピッキング作業を制御するためのピッキング指示情報を生成する。
例えば、1サイクル分のピッキング指示情報には、少なくとも1つのオーダーが含まれる。また、個々のピッキング指示情報には、ピッキング指示情報を識別するためのサイクル番号が与えられている。1サイクル中に複数のオーダーを含む場合は、オーダー毎にロケーション、ピッキング品W1、指示数、及び収納先が指定される。ピッキング指示情報は、例えば、物品データテーブル、オーダー情報、ロケーション情報、ピッキング品情報、指示数情報、及び収納先情報を含む。ピッキング指示情報には、出庫先を指定する出庫先情報、ピッキング台車1を指定する台車情報、作業者を指定する作業者識別情報等を含んでも良い。
物品データテーブルは、ピッキング品W1を特定する物品管理情報を含む。また、物品データテーブルは、例えば、倉庫内に存在するピッキング品W1以外の物品の物品管理情報も含む。ピッキング品W1以外の物品とは、ピッキング指示情報により指定されていない物品情報を有する検品不合格品W2である。
オーダー情報は、例えば、1サイクル中に含まれるオーダーの総数量を示すオーダー総数量情報と、1サイクル中に含まれるオーダーの残数量を示すオーダー残数量情報と、を含む。ロケーション情報、ピッキング品情報、指示数情報、及び収納先情報は、各オーダーに対して個別に設定され、これにより、各オーダーの指示内容が決定される。なお、各オーダーの指示内容は、同一の指示内容であっても良く、異なる指示内容であっても良い。
ロケーション情報は、倉庫内におけるピッキング品W1の収納場所を示す情報である。ピッキング品情報は、ピッキング品W1の物品管理情報を示す情報である。指示数情報は、ピッキングすべきピッキング品W1の数量を示す情報である。
ピッキング台車1に設置される端末60は、通信部61と、記憶部62と、表示部63と、読取部64と、処理部65と、を有する。これらの各機能ブロックは、共通のバスを通じて相互に電気的に接続される。また、端末60は、バスを介して各機能ブロックの機能を実現するためのプログラムを実行する制御部を含む。制御部は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read-Only Memory)、RAM(Random-Access Memory)、入出力ポート(I/O)等により実現される。
制御部は、記憶部62に記憶されたプログラムを読み出して実行する。これにより、各機能ブロックの機能が実現される。制御部は、記憶部62にアクセスしながらプログラムを実行してもよい。なお、これらの機能ブロックは、単一の端末装置において実現されていても良く、ネットワーク等の接続手段によって接続された複数の端末装置を用いて実現されても良い。
通信部61は、入出力ポート等である。通信部61は、端末60をネットワークに接続し、管理装置90、撮影部50、及びスキャナ部70のそれぞれと通信を行う。端末60は、通信部61を介して、管理装置90、撮影部50、及びスキャナ部70のそれぞれと各種プログラム及び各種情報の送受信を行う。ネットワークは、無線であっても有線であっても良く、例えば、WiFi(登録商標)等の無線LAN(Local Area Network)、インターネット、移動体通信網等を含むものである。本実施形態では、端末60は無線のネットワークに接続されることが好ましい。
記憶部62は、ROM、RAM等のメモリであり、不揮発性メモリを含んでも良い。例えば、ROMは、制御部において実行される各種プログラム等を記憶する。例えば、RAMは、制御部により読み出された各種情報、及び表示部63に入力された各種情報等を記憶する。記憶部62に記憶された各種プログラム及び各種情報は、通信部61を介して外部装置と送受信することが可能である。記憶部62に記憶されるプログラムは、図5~7に示す処理を制御部に実行させるピッキングプログラムを含む。
表示部63は、通信部61により受信されたピッキング指示情報、画像情報、及び処理部65から受け付けた検品結果情報等を出力し、ディスプレイに表示する。表示部63は、これらの情報を単独、又は組み合わせて表示することにより、作業者に対してピッキング作業の指示、経過、及び結果を通知する。また、表示部63は、スピーカー等の音声出力装置を含む。作業者に対する通知は、ディスプレイへの表示と併せて音声を用いて行うことが好ましい。作業者は、表示部63によりピッキング作業の指示、経過、及び結果を確認しながらピッキング作業を行う。
さらに、表示部63は、作業者からの入力を受け付けるためのタッチパネル、マイクロフォン等の各種入力装置を含む。例えば、作業者は、表示部63に表示される入力ボタンにタッチすることで、作業者側の操作情報を端末60の内部に入力することができる。
入力ボタンは、例えば、「続きあり」ボタン、文字や数字を入力するためのタッチキーボード等である。「続きあり」ボタンは、指示数に対応する複数の検品対象品Wを一度に撮影できない(1つの画像情報に全てのコードC1を含むことができない)場合に、複数の検品対象品Wをいくつかのグループに分けて撮影することにより、コードC1の読み取りを分割して行う際に用いられる。
以下、コードC1の読み取りを分割して行うことを分割スキャンという。分割スキャンを行う際には、作業者が「続きあり」ボタンをタッチすることにより、複数の画像情報に含まれる全ての物品識別子情報から得られる累積の検品結果情報を生成することができる。
また、作業者は、音声によっても作業者側の操作情報の入力を端末60に対して行うことができる。端末60は、入力された操作情報に基づいた各種処理を実行する。なお、入力装置は、キーボードやマウス等により構成されても良い。
読取部64は、撮影部50から受信した画像情報に対して画像解析処理を行う。読取部64による物品識別子情報の取得は、撮影部50の撮影範囲内に検品対象品Wが配置されたタイミングで開始される。すなわち、読取部64は、撮影部50から受信した画像情報の所定量以上の変化を捉えると物品識別子情報を取得するように構成される。
読取部64は、画像情報からコードC1を検出し、検出したコードC1を識別するための物品識別子情報を読み取る機能を有する。読取部64は、画像情報に含まれる複数のコードC1を同時に検出し、複数の物品識別子情報を同時に読み取ることができる。そして、読取部64は、読み取った物品識別子情報を処理部65に伝達する。
処理部65は、検品対象品Wの物品識別子情報と記憶部62から読み出したピッキング品W1の物品管理情報とを照合して、検品対象品Wがピッキング品W1に該当するか否かを示す検品結果情報を生成する機能を有する。検品結果情報を生成するにあたり、処理部65は、読取部64から物品識別子情報を受け付ける。処理部65は、スキャナ部70を用いて読み取った物品識別子情報を受け付けても良く、タッチパネルの入力ボタンを介して作業者により手入力された物品識別子情報を受け付けても良い。
物品識別子情報を取得した処理部65は、記憶部62に格納される物品データテーブルから検品対象品Wの物品識別子情報と一致する物品管理情報を検索して読み出す。そして、処理部65は、検品対象品Wの物品識別子情報と、記憶部62から読み出した物品管理情報と、を照合した結果に基づいて、検品対象品Wの種別を判別した検品結果情報を生成し、生成した検品結果情報を表示部63に伝達する。
検品対象品Wがピッキング品W1である場合、検品対象品Wの物品識別子情報は、ピッキング対象品の物品管理情報と一致する。この場合、処理部65は、当該検品対象品Wがピッキング品W1に該当する旨を示す情報を検品結果情報に含める。これとともに、処理部65は、当該検品対象品Wをピッキング品W1として計数(検数)し、計数した合計数に対応する検数情報を検品結果情報に含める。
また、検品対象品Wが検品不合格品W2である場合、検品対象品Wの物品識別子情報は、ピッキング品W1の物品管理情報とは一致せず、検品不合格品W2の物品管理情報と一致する。この場合、処理部65は、当該検品対象品Wが検品不合格品W2に該当する旨を示す情報を検品結果情報に含める。
また、検品対象品Wに付与されたコードC1が変形、欠損する等して、画像情報からコードC1の正常な読み取りができない場合、処理部65は、当該検品対象品Wが解読不能品W3に該当する旨を示す情報を検品結果情報に含める。解読不能品W3については、例えば、物品管理情報を検索した結果、検品対象品Wの物品識別子情報がピッキング品W1の物品管理情報と検品不合格品W2の物品管理情報とのいずれとも一致しない場合において、当該検品対象品Wがピッキング品W1にも検品不合格品W2にも該当しない解読不能品W3であることを処理部65に認識させれば良い。例えば、コードC1の少なくとも一部が変形、欠損する等して物品識別子情報が認識出来ない場合も解読不能品W3として認識される。
このように生成される検品結果情報は、検品対象品Wをピッキング品W1として計数することにより得られる検数情報と、取得した物品識別子情報の総数を示す総数情報と、検品対象品Wの種別を示す各種マーカーと、を含む。検数情報としては、ピッキング品W1として計数した合計数が表示部63に表示される。総数情報は、検品対象品Wの種別によらず、読取部64により読み取られた物品識別子情報の総数を示す情報である。マーカーの表示方法としては、画像情報のうち、特定された検品対象品Wに関連する箇所であって、例えば、各コードC1と重なる位置に各種マーカーをそれぞれ重畳して表示部63に表示する方法が挙げられる。これにより、作業者は、マーカーが表示された位置に存在する検品対象品Wの種別を容易に把握することができる。
マーカーの形態としては、特定された検品対象品Wの種別に応じて、マーカーの形状や色彩を変更することが考えられる。マーカーの形態は、マーカーによって作業者が視覚的に検品対象品Wの種別を判断できる形態とすることが好ましい。マーカーの形態の他の例としては、後述する検品状態に応じて、ピッキング品W1のマーカーの色彩を切り替えるようにしても良い。マーカーは、文字や矢印等の記号であっても良い。
本実施形態では、特定された検品対象品Wの種別に応じてマーカーの形状や色彩を変更する一例として、ピッキング品W1に対応する第1のマーカーM1を○印の灰色とし、検品不合格品W2に対応する第2のマーカーM2を○印の赤色とし、解読不能品W3に対応する第3のマーカーM3を×印の赤色とする。さらに、第1のマーカーM1は、後述する検品状態に応じて色彩を切り替えることが好ましい。本実施形態において、第1のマーカーM1は、検品状態が未完了の場合は灰色であり、検品状態が完了の場合は緑色に切り替わる。
このようなマーカーは、第1のマーカーM1、第2のマーカーM2、及び第3のマーカーM3のうち1種類、又はこれらを組み合わせて表示するように構成することができる。例えば、1種類のマーカーを用いる場合は、第1のマーカーM1が表示されることが好ましい。
検品結果情報には、検数情報、総数情報、及びマーカーの他に、例えば、文字によるメッセージ、数量等が表示される枠内の色彩の変更、音声出力等、種々の情報を含めることができ、これにより、作業者に対して検品結果を通知することができる。検品結果情報は、画像情報に重畳して表示しても良く、画像情報の該当する部分を直接加工して画像情報に重畳させずに表示しても良く、これらを組み合わせて表示しても良い。
そして、処理部65は、ピッキング品W1以外の検品対象品Wがなく、且つ検数情報と指示数情報とが一致する場合に、ピッキングが完了したと判定し、検品状態を未完了から完了にする処理を行う。この時、処理部65が取得した1以上の物品識別子情報は全てピッキング品W1の物品識別子情報と一致するものである。
ピッキング品W1以外の検品対象品Wがないということは、処理部65が取得した物品識別子情報の中に、検品不合格品W2の物品管理情報と一致する物品識別子情報がないとともに、解読不能な物品識別子がないということである。すなわち、検品台30上には、ピッキング品W1のみが載置されており、検品不合格品W2及び解読不能品W3は載置されていないことを意味する。
また、処理部65は、検品状態を完了とした後、処理部65が認識する検数情報が指示数情報を上回る(検数が指示数よりも多くなった)という条件と、処理部65が検品不合格品W2を認識するという条件と、の少なくとも一方の条件を満たす場合に、ピッキングが未完了であると判定しなおし、検品状態を完了から未完了に戻す処理を行う。このようなOR演算は、検品状態を完了とした後からピッキング品W1が収納部10に収納されるまでの間に行われる。
例えば、検品状態を完了とした後には、収納部10へのピッキング品W1の収納が行われるため、ピッキング品W1は作業者によって検品台30から下ろされる。このように、ピッキング品W1が検品台30から下ろされることに伴って、処理部65では、減少した物品識別子情報の数量を総数から減じて総数情報を更新する。したがって、処理部65は、更新した総数情報が更新前の総数情報よりも減少することに対しては、検品状態の完了を維持する一方、更新した総数情報が更新前の総数情報よりも増加することに対しては、検品状態を未完了に戻す処理を行う。
次に、図5を参照して、本実施形態にかかるピッキングシステムにおける処理フローについて説明する。図5は、実施の形態1にかかるピッキングシステムにおける処理の一例を示すフローチャートである。図5に示すフローチャートでは、1サイクル分のピッキング指示情報に対して行われるピッキングシステムの処理フローを説明する
図5に示すように、ピッキングシステムにおける処理が開始されると、端末60は、管理装置90で作成された1サイクル分のピッキング指示情報を管理装置90から受信する(ステップS10)。ピッキング指示情報を受信した端末60は、ピッキング指示情報を記憶部62に記憶する。そして、読取部64における処理(ステップS100)と、処理部65における処理(ステップS200)と、を1サイクルが完了するまでそれぞれ繰り返す。これらの処理は、並列に実行することができる。
そこで、まず、図6を参照して、読取部64における処理フローについて詳細を説明する。図6は、図5のフローチャートのステップS100の詳細を示すフローチャートである。図6に示すように、ステップS10に続く読取部64における処理は、まず、撮影部50において生成された画像情報を撮影部50から受信する(ステップS101)。読取部64は、画像情報から1以上の検品対象品WのコードC1を検出し、1以上の物品識別子情報を読み取る(ステップS102)。次いで、読み取った物品識別子情報を処理部65に逐次伝達することにより、物品識別子情報を更新する(ステップS103)。
そして、処理部65において1サイクルが完了したと判断された場合(ステップS104;YES)、読取部64における処理を終了する。一方、処理部65において1サイクルが完了したと判断されない場合(ステップS104;NO)、ステップS101に戻り、読取部64における一連の処理を繰り返す。
続いて、図7を参照して、処理部65における処理フローについて詳細を説明する。図7は、図5のフローチャートのステップS200の詳細を示すフローチャートである。図7に示すように、ステップS10に続く処理部65における処理は、まず、次に行うオーダーのピッキング指示情報を表示部63に表示させる(ステップS201)。この時、処理部65は、検品状態を未完了とする処理を行う(ステップS202)。
次いで、読取部64において読み取られた1以上の物品識別情報を読取部64から取得する(ステップS203)。そして、取得した物品識別子情報と、記憶部62から読み出した物品管理情報とを照合した結果に基づいて生成した検品結果情報を画像情報とともに表示部63に表示させる(ステップS204)。
検品結果情報を生成するにあっては、ステップS204に続いて検品状態に応じた処理が進行する。まず、検品状態が未完了である場合(ステップS210;未完了)、ステップS220に進む。ステップS220では、AND演算が行われる。ステップS220では、取得した全ての物品識別子情報がピッキング品W1の物品管理情報と一致するものであって、ピッキング品W1以外の検品対象品Wがないという条件と、検数情報と指示数情報とが一致するという条件と、をともに満たすか否かを判断する。
ステップS220において、ピッキング品W1以外の検品対象品Wがなく、且つ検数と指示数とが一致する(ステップS220;YES)場合、ステップS211へ進み、検品状態を完了とする処理を行う。その後、ステップS240へ進む。ステップS220において、ピッキング品W1以外の検品対象品Wがあるという条件と、検数と指示数とが一致しないという条件と、の少なくとも一方の条件を満たす(ステップS220;NO)場合、ステップS240へ進む。
一方、検品状態が完了である場合(ステップS210;完了)、ステップS230に進む。ステップS230では、OR演算が行われる。ステップS230では、取得した物品識別子情報の中に検品不合格品W2があるという条件と、検数(検数情報)が指示数(指示数情報)を上回っているという条件と、の少なくとも一方の条件を満たすか否かを判断する。
ステップS230において、検品不合格品W2があるという条件と、検数情報が指示数情報を上回っているという条件と、の少なくとも一方の条件を満たす(ステップS230;YES)場合、ステップS231へ進み、検品状態を未完了に戻す処理を行う。その後、ステップS240へ進む。ステップS230において、検品不合格品W2がなく、且つ検数情報が指示数情報を上回っていない(ステップS230;NO)場合、検品状態の完了を維持してステップS240へ進む。
続いて、ステップS240ではAND演算が行われ、検品状態が完了、且つピッキング品W1を収納し終えたか否かを判断する。なお、処理部65は、収納部10の開閉の検知、又は総数情報がゼロになったことによりピッキング品W1の収納が完了したと判断することができる。ステップS240において、検品状態が完了、且つピッキング品W1の収納が完了した(ステップS240;YES)場合、ステップS241へ進む。ステップS240において、検品状態が未完了であるという条件と、ピッキング品W1の収納が未完了であるという条件と、の少なくとも一方を満たす(ステップS240;NO)場合、ステップS203に戻り、検品状態が完了、且つピッキング品W1の収納が完了するまで、ステップS203以降の処理を繰り返す。
ステップ241では、1サイクル中のオーダーの残数量がゼロであるか否かを判断する。オーダーの残数量について、処理部65は、オーダー残数量情報により判断することができる。ステップS241において、1サイクル中のオーダーの残数量(オーダー残数量情報)がゼロである(ステップS241;YES)場合、ステップS242へ進み、サイクルが完了したと判定して、処理部65における処理を終了する。ステップS241において、1サイクル中のオーダーの残数量(オーダー残数量情報)が1以上である(ステップS241;NO)場合、次のオーダーに移行するため、ステップS201に戻り、処理部65における一連の処理を繰り返す。
上記のフローにしたがって、本実施形態にかかるピッキングシステムにおける処理が行われる。
次に、図8を参照して、本実施形態にかかるピッキングシステムを用いたピッキング作業のフローを説明する。図8は、1オーダーのピッキング作業の流れを示すシーケンス図である。ピッキング作業の流れを説明するにあたっては、図9~17を併せて参照しつつ、表示部63の画面例を挙げて説明する。
図9~17に示す表示部63の画面例では、左側に画像情報及びメッセージが表示される画像領域が配置され、右側にピッキング作業指示情報に含まれるオーダー情報、ロケーション情報、ピッキング品情報、指示数情報、及び収納先情報が表示される指示情報領域が配置される。さらに、指示情報領域には、指示数情報と並んで検数情報が表示される。
また、図9~17は、1サイクル中のオーダーの総数量30のうち10番目のオーダーに対応するピッキング作業を行う場合の画面例を示している。このオーダーでは、「XX-XX-XX」のロケーションから「XXXXX-XXXXX」の品番を有する物品を「3」個取り出して、収納先となる収納部「A」(10a)に収納するピッキング作業を指示している。
図8に示すように、ピッキング指示情報が入力された端末60は、表示部63にピッキング指示情報を表示する(ステップS301)。作業者は、表示部63に表示されたピッキング指示情報にしたがって、ピッキング作業を行う。
ここで、図9は、ピッキング作業開始時の表示部の画面例を示す図である。図9に示すように、1オーダーのピッキング作業を開始する際には、「指示ロケに行き、コードを読ませてください」という作業者へのメッセージとともに、オーダー情報(例えば、オーダー「10/30」)、ロケーション情報(例えば、ロケーション「XX-XX-XX」)、ピッキング品情報(例えば、品番「XXXXX-XXXXX」)、指示数情報(例えば、指示数「3」)、検数情報(例えば、検数「0」)、収納先情報(例えば、収納先「A」)が画面Gに表示される。収納先情報は、例えば、収納先「A」、「B」、「C」、「D」のうち、「A」が表示される枠内に色彩が付与された情報である。
続いて、図8に示すように、作業者は、表示部63に表示されたロケーション情報、ピッキング品情報、及び指示数情報を確認し、ピッキング台車1を押して倉庫内の指示されたロケーションに移動する。そして、作業者は、指示されたロケーションの棚から物品を1個ずつ、又は複数個取り出し、取り出した物品を検品台30上に逐次載置する(ステップS302)。検品台30上に載置された物品は、検品対象品Wである。
続いて、検品台30上の全ての検品対象品Wの各コードC1が撮影部50の撮影範囲内となるように、作業者は必要に応じて、表示部63に表示される検品対象品WのコードC1の位置を目視確認しながら撮影部50の位置調整を行う。撮影部50は、検品台30上の検品対象品Wを撮影してコードC1を含む画像情報を生成する(ステップS303)。そして、撮影部50は、生成した画像情報を読取部64に逐次送信する(ステップS304)。
読取部64は、撮影部50から画像情報を受信する度に、画像情報から検品対象品WのコードC1を検出して物品識別子情報を読み取り、読み取った物品識別子情報を処理部65に逐次伝達する(ステップS305)。
処理部65は、読取部64から物品識別子情報を取得する度に、取得した物品識別子情報と、記憶部62から読み出した物品管理情報と、に基づいて、検品対象品Wがピッキング品W1であるか否かを照合する検品を行い、ピッキング品W1であると判別した検品対象品Wを計数する検数を行う(ステップS306)。
ここで、例えば、作業中のオーダーが分割スキャンを必要とする場合、複数の検品対象品Wをいくつかのグループに分けて、ステップS303~S306のフローを繰り返すことによりピッキング作業を行う。
具体的な作業としては、先のグループについて、処理部65における検数・検品(ステップS306)を終えたら、検数・検品の処理を継続させるために、作業者は「続きあり」ボタンを押す。そして、作業者は、検品台30から先のグループの検品対象品Wを下ろした後、次のグループの検品対象品Wを検品台30上に載置する。これに伴い再びステップS303~S306のフローが進行する。これを繰り返すことにより、複数の画像情報に亘って複数の検品対象品Wの全てのコードC1を含めることができる。
処理部65は、複数の画像情報から読み取られた全ての物品識別子情報に対して検数・検品を行った結果を累積した検品結果情報を生成する。このような分割スキャンを適用したピッキング作業の場合、累積した検数情報と指示数情報とが一致すると、処理部65は、検品状態を完了とする処理を行う。
また、「続きあり」ボタンがタッチされた後、検品台30から先のグループの検品対象品Wを下ろす作業中には、「続きあり」ボタンが無効化される。「続きあり」ボタンが無効化されると、処理部65における検数・検品の処理が停止される。「続きあり」ボタンの無効化は、ピッキング品W1の収納が完了するまで(収納部10が開閉されるまで、あるいは総数情報がゼロになるまで)継続される。ピッキング品W1の収納が完了すると、「続きあり」ボタンが有効化され、これに伴い、処理部65における検数・検品の処理が自動的に再開される。このように、一時的に「続きあり」ボタンが無効化されることにより、「続きあり」ボタンを必要以上にタッチしてしまうことにより生じ得る計数ミスを抑制することができる。
ステップS306に続いて、処理部65が生成した検品結果情報は表示部63に逐次伝達される(ステップS307)。表示部63は、画像情報とともに検品結果情報を表示することにより、作業者に対して検品対象品Wについての検品結果を通知する(ステップS308)。
ここで、図10は、ピッキング作業時の表示部の画面例を示す図である。図10は、指示数3に対し、ピッキング品W1に該当する2個の検品対象品Wを検品台30上に載置した時の画面Gを示している。図10に示すように、撮影部50の撮影範囲内に検品対象品Wが配置されると、画像情報とともに「コードを読ませてください」というメッセージが画面Gに表示される。そして、処理部65により画像情報に含まれる2個の検品対象品Wが共にピッキング品W1であると判別されると、画面Gには検数情報として検数「2」が表示されるとともに、コードC1と重なる位置にそれぞれ灰色の第1のマーカーM1が重畳して表示される。
なお、図10に示す画面例では、検品状態が未完了のタイミングで作業者が収納部10にピッキング品W1を収納することを防ぐために、収納先情報として「A」が表示される枠内に色彩が付与されていない。ただし、必要に応じて、検品状態が未完了である場合も、このような色彩の変更を伴った収納先情報を表示することは可能である。
上記のステップS303~S308のフローは、処理部65によりピッキングが完了したと判定されて検品状態が完了となるまで繰り返し行われる。
続いて、図8に示すように、処理部65が検品状態を完了とする処理を行うと、表示部63は検品状態の完了を示す旨の検品結果情報を表示するとともに音声通知を行う。これにより、作業者に対して検品状態の完了を通知する。また、表示部63は、ピッキング品W1の収納先を示す収納先情報を表示するとともに音声出力を行うことにより、作業者に対してピッキング品W1の収納先を指定する(ステップS309)。
さらに、ステップS309では、検品状態を完了とする処理を行った時点の検品結果情報をピッキング指示情報及び画像情報と関連付けて検品完了画像として記憶部62に記憶する。一方、検品状態を完了から未完了に戻す処理が行われた場合は、当該処理が行われる直前の検品完了画像を記憶部62から削除する。分割スキャンを行った場合は、分割スキャンの対象となる検品対象品WのコードC1の全数が含まれる全ての画像が検品完了画像として記憶部62に記憶される。分割スキャンにおいて、検品状態を完了から未完了に戻す処理が行われた場合に削除される画像は、検数・検品の処理開始時点に遡って、検数・検品の処理開始以降の検品完了画像が削除される。
このように、記憶部62に蓄積された検品完了画像は、定期的に管理装置90に送信されて、管理装置90の記憶部に格納される。又は、記憶部62に記憶した検品完了画像を管理装置90に随時送信するようにしてもよい。検品完了画像の具体例としては、図11に示す画面Gが挙げられる。
図11は、ピッキング品の収納先を指示する表示部の画面例を示す図である。図11は、指示数3に対し、ピッキング品W1に該当する3個の検品対象品Wを検品台30上に載置した時の画面Gを示している。図11に示すように、処理部65により画像情報に含まれる3個の検品対象品Wが全てピッキング品W1であると判別されると、画面Gには検数情報として検数「3」が表示されるとともに、コードC1と重なる位置にそれぞれ灰色から緑色に切り替えられた第1のマーカーM1が重畳して表示される。また、「指定した収納部を開いてください」というメッセージが画面Gに表示され、収納先「A」が表示される枠内に色彩が付与される。
さらに、図12は、検品対象品のコードと一緒に別のコードを読み取らせる時の表示部の画面例を示す図である。図12は、ステップS309において、検品状態が完了とされた後に、ピッキング品W1に該当する3個の検品対象品Wとともに、当該検品対象品WのコードC1とは別のコードC2が印字されたラベルを撮影部50によって撮影している時の画面Gを示している。
コードC2が印字されたラベルは、例えば、今回行われたピッキング作業に関する情報(例えば、ピッキング指示情報に含まれる情報)を示すための出庫ラベルである。コードC1とコードC2とを同時に読み取る場合も、物品に付与されたコードC1を読み取る場合と同様のフローにより、コードC1、C2の読み取りを行うことができる。
具体的には、撮影部50によりコードC1、C2を撮影して生成された画像情報から読取部64においてコードC1、C2の情報を同時に読み取る。そして、コードC2については、処理部65において、コードC2から読み取った情報を用いて、当該出庫ラベルが今回行われたピッキング作業に対応する正しい出庫ラベルであるか否かを判別することができる。この場合、処理部65は、記憶部62から必要な情報を読み出し、コードC2の情報と照合することにより、出庫ラベルの正否を判別する。
処理部65において、出庫ラベルが正しい出庫ラベルであると判別された場合、例えば、画像情報のうちコードC2と重なる位置に緑色の第1のマーカーM1が重畳して表示部63に表示される。一方、処理部65において、出庫ラベルが誤った出庫ラベルであると判別された場合、「出庫ラベルが違います」等のメッセージが画面Gに表示されることにより、作業者へエラーの通知を行う。
ステップS309に続いて、図8に示すように、作業者は、表示部63に表示された収納先情報にしたがって、指定された収納部10を開いて検品台30上のピッキング品W1を指定された収納部10に投入する。そして、検品台30上の全てのピッキング品W1を収納部10に投入したら、作業者は収納部10を閉じて元の状態に戻す。これにより、収納部10内にピッキング品W1を収納する(ステップS310)。
ステップS310では、ピッキング品W1の収納に伴って、収納部10aが開状態から再度閉状態となったことを検知した検知部は、その検知結果を端末60に送信する。収納部10aが再度閉状態となるまでの間、撮影部50において生成された画像情報から読取部64を介し、処理部65において検品結果情報の更新が継続される。この間、処理部65は検品結果情報を監視し、図7で説明したフローにしたがって、検品状態を完了から未完了に戻す処理を行う。
ここで、図13は、ピッキング完了時の表示部の画面例を示す図である。図13に示すように、収納部10aの扉が閉じられると、検知部の検知結果に基づいて、「ピッキング完了」というメッセージが画面Gに表示される。その後、次のオーダーに移行される。オーダーの指示内容と一致する正常なピッキング作業が行われた場合は、以上のように、1オーダーのピッキング作業が行われる。
これに対し、図8に示すフローの中で、オーダーの指示内容と一致しない異常なピッキング作業が行われた場合について説明する。
まず、図14は、ピッキング品が過剰にある時の表示部の画面例を示す図である。図14は、指示数3に対し、ピッキング品W1に該当する4個の検品対象品Wを検品台30上に載置した時の画面Gを示している。図14に示すように、処理部65により画像情報に含まれる4個の検品対象品Wが全てピッキング品W1であると判別されると、コードC1と重なる位置にそれぞれ灰色の第1のマーカーM1が重畳して表示される。また、検数情報として検数「4」が表示され、検数「4」が表示される枠内に色彩が付与される。これらとともに、「物品を確認してください」、「指示数より多いです」というメッセージが画面Gに表示され、異常を通知する警告音が発せられる。
例えば、上記のステップS309において、処理部65が検品状態を完了とした後に、余分なピッキング品W1が検品台30上に1個追加されたのであれば、検品状態の完了はキャンセルされて未完了に戻る。その後、作業者により4個のうち1個のピッキング品W1が検品台30から下ろされると、指示数と検数とが一致するため、再び検品状態が完了となる。
続いて、図15は、検品不合格品がある時の表示部の画面例を示す図である。図15は、指示数3に対し、ピッキング品W1に該当する2個の検品対象品Wと、検品不合格品W2に該当する1個の検品対象品Wと、を検品台30上に載置した時の画面Gを示している。図15に示すように、処理部65により画像情報に含まれる3個の検品対象品Wの種別が判別されると、ピッキング品W1に該当する2個の検品対象品WのコードC1と重なる位置にそれぞれ灰色の第1のマーカーM1が重畳して表示される。また、検品不合格品W2に該当する1個の検品対象品WのコードC1と重なる位置に赤色の第2のマーカーM2が重畳して配置される。
この場合、検数情報として検数「2」が表示され、検数「2」が表示される枠内に色彩が付与される。これらとともに、「検品不合格品があります」、「ロケーションZZ-ZZ-ZZ」、「品番ZZZZZ-ZZZZZ」というメッセージが画面Gに表示され、異常を通知する警告音が発せられる。「ロケーションZZ-ZZ-ZZ」、「品番ZZZZZ-ZZZZZ」というメッセージは、検品不合格品W2に関する情報である。
続いて、図16は、検品不合格品がある時の表示部の他の画面例を示す図である。図16は、指示数3に対し、ピッキング品W1に該当する3個の検品対象品Wと、検品不合格品W2に該当する1個の検品対象品Wと、を検品台30上に載置した時の画面Gを示している。図16に示すように、処理部65により画像情報に含まれる4個の検品対象品Wの種別が判別されると、ピッキング品W1に該当する3個の検品対象品WのコードC1と重なる位置にそれぞれ灰色の第1のマーカーM1が重畳して表示される。また、検品不合格品W2に該当する1個の検品対象品WのコードC1と重なる位置に赤色の第2のマーカーM2が重畳して配置される。
この場合、検数情報として検数「3」が表示されるが、検数「3」が表示される枠内には色彩が付与されるため、作業者は作業ミスがあったことを把握することができる。これらとともに、「検品不合格品があります」、「ロケーションZZ-ZZ-ZZ」、「品番ZZZZZ-ZZZZZ」というメッセージが画面Gに表示され、異常を通知する警告音が発せられる。
続いて、図17は、解読不能品がある時の表示部の画面例を示す図である。図17は、指示数3に対し、ピッキング品W1に該当する2個の検品対象品Wと、解読不能品W3に該当する1個の検品対象品Wと、を検品台30上に載置した時の画面Gを示している。図17に示すように、処理部65により画像情報に含まれる3個の検品対象品Wの種別が判別されると、ピッキング品W1に該当する2個の検品対象品WのコードC1と重なる位置にそれぞれ灰色の第1のマーカーM1が重畳して表示される。また、解読不能品W3に該当する1個の検品対象品WのコードC1と重なる位置に赤色の第3のマーカーM3が重畳して配置される。
この場合、検数情報として検数「2」が表示され、検数「2」が表示される枠内には色彩が付与される。これとともに「コードを読ませてください」というメッセージが画面Gに表示される。
これにより、解読不能品W3があることを把握した作業者は、例えば、コードC1の変形等を修正して、撮影部50による撮影を継続する。又は、作業者は、スキャナ部70を用いて解読不能品W3のコードC1を読み取る作業を行う。
以上説明したように、本実施形態にかかるピッキング台車1、ピッキングシステム、及びピッキングプログラムを用いたピッキング作業において、作業者は、指示された物品を指示された数量だけ検品台30上に載置する簡単な動作により、物品の検数・検品を自動的に実施することができる。物品の検数・検品が自動的に行われることにより、スキャンの漏れや多重スキャン等によって生じ得る計数ミスを抑制することができる。そして、作業者は、検品結果を画面Gで容易に確認することができるため、速やかに次の動作に移ることができる。
例えば、特許文献1のように、スキャナを用いて個々の物品の物品情報を読み取る方法では、作業者は検品台上に物品を載置した後、スキャナを手に取り、物品情報を1つ1つスキャンし、スキャナを元の位置に戻すという一連の作業を行う必要がある。このような作業は、特に大量の物品をスキャンする必要がある場合には、作業者の負担が大きく、スキャンの漏れや多重スキャン等による計数ミスが生じ得るという問題がある。
上記の問題に対し、カメラ等を用いて画像から物品情報を取得することが考えられるが、物品を置き終えたタイミングを認識することが難しいため、物品を置き終えたら作業者が撮影ボタンを押す、という方法がとられる場合がある。しかし、都度撮影ボタンを押すのは手間であり、作業時間が余分にかかる。これに対し、本実施形態によれば、物品を置くだけで適切に検品が完了するため、撮影ボタンを押す必要がなくなると同時に、過剰品や検品不合格品を含むような作業ミスを最小限にできる。
本実施形態にかかるピッキング台車1、ピッキングシステム、及びピッキングプログラムを用いれば、複数の物品情報を画像情報から同時に読み取ることができるため、大量の物品をピッキングするピッキング作業においても、作業者への負担を軽減することができる。したがって、ピッキング作業を効率的に行うことができる。
また、本実施形態にかかるピッキング台車1、ピッキングシステム、及びピッキングプログラムでは、処理部65が検品状態を完了とした場合に、作業者に対してピッキング品W1の収納先を通知する。これにより、作業者は、仕分けのタイミングで収納先を確認することができるため、作業者による仕分けミスを低減することができる。
また、本実施形態にかかるピッキング台車1、ピッキングシステム、及びピッキングプログラムは、処理部65が検品状態を完了とした後に、余分な物品が検品台30上に載置されたことを認識すると、検品状態を未完了に戻すことにより、作業者に対して作業ミスを通知することができる。一方、処理部65が検品状態を完了とした後に、検品台30上の物品が減少する場合には、検品状態の完了を維持する。このような構成によれば、スキャン漏れや、検品不合格品W2が混入すること等を抑制することができる。
また、本実施形態にかかるピッキング台車1、ピッキングシステム、及びピッキングプログラムにおいて、検品結果情報には、検品対象品Wの種別を示すマーカーが含まれる。マーカーは対応する検品対象品Wの近傍に配置されて表示部63に表示される。これにより、作業者は、検品対象品Wの種別、位置、検品状態等を容易に把握することができる。
また、本実施形態にかかるピッキング台車1、ピッキングシステム、及びピッキングプログラムは、処理部65が検品状態を完了とした時点の検品結果情報をピッキング指示情報及び画像情報と関連付けて検品完了画像として記憶部62に記憶する。このような構成によれば、過去に行った全てのピッキング作業について、記憶された検品完了画像の中から所望の画像を抽出して、過去の作業内容を確認することができる。検品完了画像には、ピッキング指示情報や検数情報だけでなく、物品の外観や位置等を示す画像情報が含まれているため、より多くの情報に基づいて作業内容に関する検証を行うことができる。なお、所望の画像は、サイクル番号、オーダー番号、撮影日時等の種々のデータを用いて検索することができる。
また、本実施形態にかかるピッキング台車1、ピッキングシステム、及びピッキングプログラムでは、読み取りエラー等により画像情報から物品識別子情報が得られない場合には、スキャナ部70を用いて検品対象品Wの物品識別子情報を得ることができる。このような構成によれば、ピッキング作業をより効率的に行うことができる。
また、本実施形態にかかるピッキング台車1、ピッキングシステム、及びピッキングプログラムに適用される撮影部50は、1以上の自由度を有して移動可能に設けられる。これにより、読み取りを行うコードC1の向きに応じて撮影部50の撮影方向及び撮影位置を変更できるため、ピッキング作業をより効率的に行うことができる。
また、ピッキング台車1の底部は、下面に車輪42が設けられた台座部43で構成される。これにより、ピッキング台車1は、物品の運搬を行うことができる。
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上記実施の形態にかかるピッキングシステムの機能ブロックの一部は、管理装置90を用いて実現されても良い。図18は、ピッキングシステムの他の構成を示す機能ブロック図である。図18に示す構成例では、管理装置90に記憶部62、読取部64、及び処理部65を備えている。記憶部62、読取部64、及び処理部65は、ネットワークを介して通信部61と接続され、表示部63と通信可能である。
また、上記実施の形態で説明した「続きあり」ボタンの機能を利用して、例えば、棚卸作業のように、物品の在庫数を集計するだけの作業に適用することができる。この場合、ピッキング指示情報において指示数量を設定せず、在庫数を確認したい物品の全数の計数が完了するまで、検数・検品の処理を継続的に実施する。さらに、検数・検品の処理を終えるための完了ボタンをタッチすることにより、集計を行うように構成すればよい。
また、上記実施の形態にかかるピッキング台車1及びピッキングシステムにおいて実行されるプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、Solid-State Drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、Digital Versatile Disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。