[go: up one dir, main page]
More Web Proxy on the site http://driver.im/

JP7580340B2 - 粒状複合材料 - Google Patents

粒状複合材料 Download PDF

Info

Publication number
JP7580340B2
JP7580340B2 JP2021092969A JP2021092969A JP7580340B2 JP 7580340 B2 JP7580340 B2 JP 7580340B2 JP 2021092969 A JP2021092969 A JP 2021092969A JP 2021092969 A JP2021092969 A JP 2021092969A JP 7580340 B2 JP7580340 B2 JP 7580340B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
particles
groups
particle
volume
group
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2021092969A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2021130879A (ja
Inventor
ベイン ホプキンス,アダム
トルクァート,サルヴァトーレ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Princeton University
Original Assignee
Princeton University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Priority claimed from JP2016536350A external-priority patent/JP7010590B2/ja
Application filed by Princeton University filed Critical Princeton University
Publication of JP2021130879A publication Critical patent/JP2021130879A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7580340B2 publication Critical patent/JP7580340B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Description

本発明は、米国国立科学財団によって与えられる助成交付番号DMR-0820341及びDMS-1211087に基づく政府援助によってなされたものである。政府は、本発明に一定の権限を有する。
粒状材料、または粒状複合材料は、構成成分粒子の蓄積体であり、各構成成分は、その構成成分が、隣接して配置され及び、例えば、重力などによって互いに押し付けられた場合に、ほぼ固定されたままの、決められた幾何学形状(サイズ及び形状)を有する。粒状複合材料において、その構成成分は、溶媒または液体に懸濁され、または「ペースト」または「接着成分」により位置をおおまかにまたは正確に固定された状態を維持されてよい。粒状複合材料は、産業界、研究所、及び自然界のあらゆるところに偏在する。自然界にある粒状複合材料の一般的な例として、土、砂、及び砂利を包含し、人工的な粒状複合材料の一般的な例として、コンクリート、鳥狩り用のペレット弾、砂糖、ベビーパウダー、固体推進剤、サーメット、セラミック、インク、及びコロイドを包含する。
ある粒状複合材料の物理的な特徴は、その構成成分粒子の物理的相互作用を介して形成される微細な多体構造、及びその構成成分を成す物質の物理的特徴に密接に依存している。これらの特徴は、非限定的に、空隙率(構成成分粒子によって満たされていない隙間部分)、粘度、機械的強度、靭性、引張強度、弾性率、体積弾性率、せん断弾性率、熱伝導率、電気伝導度、及び熱膨張係数を包含する。例えば、高い空隙率を有する特定のタイプの物質から成る複合材料は一般に、低い空隙率を有する同じタイプの物質から成る複合材料に比べて、強度が弱く、熱伝導性で、及び電気伝導性である。または、非常に粗く(高摩擦係数)及び非球面形状である構成成分から成る複合材料は、不規則に混合した場合、その構成成分が、比較的粗さがなく及び非球面形状である同じ物質の構成成分から成る複合材料に比べ、一般に低密度(より高い空隙率)構造を形成する。
粒状複合材料及びその応用の研究は一般的に、目的の複合材料の物理的特徴及びその構成成分粒子の幾何学的サイズ、形状、及びその他の物理的特徴の、両方を測定することに焦点が当てられてきた。例えば、コンクリート業界においては、砕石と砂を、コンクリートを形成する特定の割合で、水を含んだセメント(「ペースト」)と混合する場合、「通過曲線」が、その混合物中の構成成分粒子のサイズ分布をおおまかに表すものとして、頻繁に使用されている。この「通過曲線」は、砂と砕石(また骨材と呼ぶ)の乾燥混合物を、より細かに連続したふるいを通過させ、次に、各ふるいを通過した骨材の容積(または質量)率をプロットして得られる。例えば、より小さいサイズの骨材(この場合は、砂)の量を減らして、粒子のサイズ分布を変化させることで、水を含んだコンクリートの物理的特徴、例えば、水を含んだコンクリートの粘度、及びまた乾燥したそして凝結したコンクリートの物理的特徴、例えば、コンクリートの弾性係数及び耐久性を変え得ることが知られている。このやり方で、ある研究者は、骨材の混合比を変えることでコンクリートの特性を改善することを求めてきた。F.de Larrard、充填密度及びレオロジーに関連するコンクリートの最適化(Concrete optimization with regard to packing density and rheology)、第3回RILEM 新鮮コンクリートなどのセメント懸濁液のレオロジーに関する国際シンポジウム(3rd RILEM international symposium on rheology of cement suspensions such as fresh concrete)、France(2009)。J.M.Shilstone,Jr.,及びJ.M.Shilstone,Sr.,今日における性能に基づくコンクリート混合及び規格(Performance based concrete mixtures and specifications for today)、コンクリートインターナショナル(Concrete International)、80-83、2月号(2002)。F.de Larrard、コンクリートの混合配分(Concrete mixture proportioning)、Routledge、New York(1999)。J.M.Shilstone、コンクリート混合の最適化(Concrete mixture optimization)、コンクリートインターナショナル(Concrete International)、33-40、6月号(1990)。
しかしながら、構成成分の幾何学形状及び特徴に基づく粒状複合材料の設計における広範囲な問題は、その膨大な複雑性のために一般的には扱いやすくなかった。ある複合材料の特徴は、各々の及びすべての構成成分の微細な幾何学形状及び物理的特徴のみならず、その複合材料における全粒子の位置、向き及び配列にもまた依存している。例えば、密閉容器中で構成成分を振とうさせ、次いで他の容器に注ぎ入れた時の複合材料の構造は、容器中において高い周波数で振動させたまったく同じ構成成分が生み出す構造に比べて、異なる多孔性を有しているであろう。この違いは、例えば、振動させた調製物に対しては、50%も低い空隙率が多くなるなどの、極めて大きな違いになりえて、及び異なる空隙率の構造間の本質的な違いは、その複合材料の物理的特徴に、顕著な影響を生じるであろう。
コンクリートにおいては、例えば、コンクリートの機械的強度は、少ない空隙率を示す混合物が指数関数的に強いとして、骨材混合物の空隙率に指数関数的に依存することが示されてきた。しかしながら、粘度は、流れ易さと反比例して、低い空隙率を示す混合物は流動性が悪い(高い粘度を持つ)ように、その空隙率にも指数関数的に依存している。コンクリートは、現場においてある範囲に注がれるためには流動性でなくてはならず、従ってたとえより多くの空隙率が、低い強度を意味しているとしても、骨材混合物には、より多くの空隙率が必要とされるであろう。別の例は、粒状アーマーであり、ここで、成形前のアーマーの低い空隙率は、高粘度を意味し、たとえ強度が上がったとしても、最終的なアーマーの加工をより困難にするであろう。固体促進剤に関して、ロケットの推進力は、おおむねその複合材料の推進剤の密度(複合材料の密度が、1マイナス空隙率に比例する)の二乗に依存する。
一般的に、複合材料の物理的特徴を幅広く管理するために必要なことは、粒状複合材料の構造を、効果的に予測し、設計し及び制御する能力である。特に必要とされることは、物理的特徴を改善するために複合材料の空隙率を減らし、及び多くの場合、加工プロセスに必要な能力を保持するのに十分な低い粘度を維持しながら空隙率を減らす方法である。
本発明は、粒状複合材料の密度向上、及びそれに関連する方法と組成物に関する。これらの特性が有益である用途には、非限定的に、1)金属、セラミック、サーメット、ポリマー、プラスチック、または乾燥または溶媒に懸濁した粉体またはゲルを伴う付加製造(「3Dプリンティング」)、2)コンクリート材料、3)固体推進材料、4)サーメット材料、5)粒状アーマー材料、6)ガラス-金属及びガラス-プラスチック混合物、及び7)粒状複合材料を含む(または使用して製造される)セラミックを包含する。
1つの実施形態において、本発明は、低い空隙率の材料を生産するための配合方法を熟考する。1つの実施形態において、本発明は、以下を含む粒状複合材料組成物の製造方法を熟考する。a)少なくとも100個の粒子の少なくとも第一及び第二の別グループを与え、各グループは、そのグループの粒子の容積確率密度関数P(V)を代表し、1つ以上の極大値を示す、平均粒子サイズV avg及び通過曲線を所有し、及びb)各グループからの少なくとも50個の粒子のある組み合わせが、その組み合わされた粒子の容積確率密度関数P(V)を代表する、組み合わされた通過曲線を示す組み合わされた粒状複合材料を生み出すという条件下で、前述の2つ以上のグループからの粒子を混合し、ここで、その組み合わされた粒状複合材料が、次の特徴を有する。i)少なくとも2つの極大値において、V avg/V avg比が10,000以下である異なる粒子グループ「1」及び「2」と関連付けられ、Vで示されるより少容積(ポイント)での極大値及びVで示されるより大容積での極大値を持ち、ii)前述の2つの極大値の間に少なくとも1つの極小値を持ち、その極小値の通過曲線の高さが、両極大値の通過曲線の高さの75%を超えて高くなく、及びiii)正方向のポイントV及びVがあって、それらの間に少なくとも1つの前述の極小値を持ち及びV/V=10,000であり、そのためVから前述の2つの極大値及の間に在りかつ基準ii)に合致する極小値の少なくとも1つまでの、V*P(V)の積分値が、VからVまでのV*P(V)積分値の少なくとも2%であり、及びそのため同じ極小値からVまでの積分値が、VからVまでの積分値の少なくとも2%である。1つの実施形態において、V avg/V avg<=2,000及び>=25である。
1つの実施形態において、2つを超える粒子グループが有り及び、ステップb)に先立ち、粒子グループをサブセットに分割する方法を含む。1つの実施形態において、前述の混合が、相分離を阻害する条件下で実施される。1つの実施形態において、前述の組み合わされた複合材料が、25%未満、または20%未満、またはさらに15%未満の空隙率を示す。1つの実施形態において、前述の混合が、(相対)粘度を下げる。1つの実施形態において、その組み合わされた複合材料が、溶媒、ペースト、ゲル、液体、または懸濁液中に浸漬される。1つの実施形態において、V avg/V avgは、(<=)2,000以下及び(>=)25以上である。1つの実施形態において、当該方法は、前述の粒子グループの2つ以上を使用した低い空隙率の組み合わせを計算する手順の最適化をさらに含み、ここでその最適化は、粒子グループの混合に対応した空隙率関数P(φj1、φj2・・・φjN)または部分サブセット空隙率関数Pj1,j2,・・・(φi,j1、φi,j2・・・)を得ることを包含する。1つの実施形態において、最適化の手順は、当該組み合わされた複合材料の物理的特徴における制約条件を包含する。1つの実施形態において、前述の混合は、非常に一体化された構造をもたらす。1つの実施形態において、前述の混合は、ほぼ非常に一体化された構造をもたらす。1つの実施形態において、前述の混合は、その最大グループの最大粒子の少なくとも100倍の直径と高さをもつ容器中で行われる。1つの実施形態において、前述の混合は、粒子をその第二グループから第一グループの粒子に添加することを含む。1つの実施形態において、前述の混合は、おおよそ10~80%のより小さい平均粒子容積を持つグループからの粒子の最終割合となる。1つの実施形態において、前述の混合は、粒子をその第一グループから第二グループの粒子に添加することを含む。1つの実施形態において、前述の第一及び第二グループに対応した粒子サイズ分布は、20%未満の算術標準偏差を示す。1つの実施形態において、当該方法は、c)粉体として、例えば、レーザー焼結の粉体として、またはレーザー融解の粉体として、またはセラミックの付加製造の粉体として、または粉末冶金の粉体として、または射出成形に対応した粉体として、または粒状アーマーの生産に対応した粉末として、またはいくつかのその他の目的のための粉体として、25%未満の最終空隙率を持つ前述の粒状複合材料を使用することを、さらに含む。さらに他の実施形態において、当該方法は、c)コンクリート製造において当該粒状複合材料を使用することを、さらに含む。
本発明はまた、本明細書に記述される方法により生み出される組成物を熟考する。1つの実施形態において、本発明は、少なくとも100個の粒子から成る粒状複合材料組成物であって、粒子サイズ(容積)の確率密度関数P(V)を代表する、通過曲線、i)容積V及びVに現れる少なくとも2つの極大値において、その少容積側をVと表示し及びその大容積側をVと表示し、ii)V<Vi-j<VであるVi-jに現れる少なくとも1つの極小値を持ち、Vi-jに現れる極小値の通過曲線の高さが、両極大値における通過曲線の高さの75%を超えて高くなく、iii)Vh-i<V<V<Vj-kであるポイントVh-i及びVj-kがあり、そのポイントVh-iは、その複合材料中の最小粒子の容積またはV及びVにおける極大値間の極小値のどちらからより大きい方であり、及びV<Vであり、そのためVにおける極大値は、i)、ii)、iii)、iv)及びv)のすべての基準に合致する粒子グループ「h」に対応し、及びここでポイントVj-kは、その複合材料中の最大粒子の容積またはV及びVにおける極大値間の極小値のどちらかより小さい方であり、V<Vであると定められ、そのためVにおける極大値は、i)、ii)、iii)、iv)及びv)のすべての基準に合致する粒子グループ「k」に対応し、iv)粒子グループ「i」及び「j」に対応し、V avg/V avg≦10,000である平均粒子容積V avg及びV avgがあって、ここでグループ「i」は、Vh-iからVi-jの範囲の容積を持つすべての粒子を含むグループとして定められ、及びグループ「j」は、Vi-jからVj-kの範囲の容積を持つすべての粒子を含むグループとして定められ、及びv)ポイントV及びVがあり、V<V avg<V avg<V及びV/V=10,000であって、そのためVh-iからV及びV間の極小値Vi-jの少なくとも1つで及び基準ii)に合致する極小値までの、V*P(V)の積分値が、VからVまでのV*P(V)の積分値の少なくとも2%であり、及びそのためVi-jにおける同じ極小値からVj-kまでの積分値が、VからVまでのV*P(V)の積分値の少なくとも2%である、以上の特徴を有する粒状複合材料組成物を熟考する。1つの実施形態において、粒子グループ「j」及び[i]の少なくとも1つのペアーに対して、V avg>V avgであり、V avg/V avg<=2,000及び>=25である。1つの実施形態において、隣接する(平均容積による)粒子グループの少なくとも1つのペアーに対して、その2つのグループのより大きい(平均容積による)グループ内の大と大の最接近粒子の平均数が、1以上である。1つの実施形態において、隣接する(平均容積による)粒子グループの少なくとも1つのペアーのより小さい(平均容積により)グループの相対容積が、そのペアーグループ中の粒子の総容積の10%から80%の間である。1つの実施形態において、固定した量の粒子グループの混合は、いかなる単一粒子グループの、それ自身の固定した量で占める容積空間より大きな容積空間を占める。1つの実施形態において、前述の複合材料は、25%未満の空隙率を、及びより好ましくは20%未満の、そしてさらに15%未満の空隙率を示す。1つの実施形態において、前述の粒状複合材料は、溶媒、ペースト、ゲル、液体、または懸濁液中に浸漬される。1つの実施形態において、類似サイズのグループへの粒子の空間相分離は、すべての粒子グループに対して起こるわけではない。1つの実施形態において、前述の粒状複合材料の対相関関数は、3つの接触している粒子の中央部の線形配列の確率増加を表しており、ここで、2つの粒子は残りの粒子の少なくとも25倍の容積を示す、または2つの粒子は残りの粒子の少なくとも25倍小さい容積を示す。
1つの実施形態において、本発明は、付加製造に対応したシステム、層及び方法を熟考する。1つの実施形態において、本発明は、a)、空隙率20%以下を有する粒状複合材料を包含し、目標物表面の上部に配置される吐出機(ディスペンサー)、及びb)複合材料が、前述の目標物表面に吐出された時に、前述の複合材料にエネルギーを送るように配置されたエネルギー源を含むシステムを熟考する。1つの実施形態において、前述の複合材料は、不活性ガスによって酸化から保護される。1つの実施形態において、前述の複合材料は、焼結可能な粉体である。1つの実施形態において、前述の複合材料は、融合性粉体である。1つの実施形態において、前述の複合材料は、融解性粉体である。本発明を、特定の融解温度を有する粉体に限定する意図はない。1つの実施形態において、前述の融解性粉体は、500℃から5,000℃の融解温度を示す。本発明を、粉体を製造するために使用する粒子の特徴に限定する意図はない。1つの実施形態において、前述の粉体は、金属粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、セラミック粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、サーメット粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、セラミック粒子及び金属粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、炭化物粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、ガラス粒子を含む。当該粉体は、2つ以上の粒子タイプの混合物であり得る。1つの実施形態において、前述の粉体は、ポリマー粒子及び金属粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、ポリマー粒子及びセラミック粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、ポリマー粒子及びガラス粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、金属粒子及びガラス粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、炭化物粒子及びポリマー粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、炭化物粒子及び金属粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、炭化物粒子、サーメット粒子、及び金属粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、炭化物粒子、サーメット粒子、及びポリマー粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、セラミック粒子、金属粒子、及びポリマー粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、金属粒子、ガラス粒子、及びポリマー粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、炭化物粒子、金属粒子、及びポリマー粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、チタン合金の粒子を含み及びおおよそ10%の空隙率を有する。1つの実施形態において、前述の粉体は、第一及び第二グループの粒子を含み、その第一グループの粒子は、その第二グループの粒子の平均粒子容積より少なくとも25倍を超えて大きい平均粒子容積を有する。1つの実施形態において、前述の粉体は、第一及び第二グループの粒子を含み、その第一グループの粒子は、その第二グループの粒子の平均粒子容積より25倍から2,000倍の間で大きい平均粒子容積を有する。1つの実施形態において、前述の粉体は、約10ミクロンの粒子を含む第一グループ、約2ミクロンの粒子を含む第二グループ、約200ナノメーターの粒子を含む第三グループ、及び約40ナノメーターの粒子を含む第四グループの各々が、(容積で)62.8%対16.2%対16.7%対4.3%の混合物を含み、前述の粉体は、約4.4%の空隙率を有する。1つの実施形態において、前述のエネルギー源は、レーザーである。1つの実施形態において、前述の粒状複合材料は、溶媒中にある。1つの実施形態において、前述の粒状複合材料は、ペースト中にある。
本発明はまた、層を熟考する。1つの実施形態において、本発明は、粒状複合材料の粉体の層を熟考し、その層は、厚みが1,000ミクロン未満であり、その粉体は、20%以下の空隙率を有する。1つの実施形態において、前述の粉体は、易焼結性である。1つの実施形態において、前述の粉体は、融合性である。1つの実施形態において、前述の粉体は、融解性である。繰り返すが、本発明を、当該粉体を製造するために使用する粒子の特徴に限定する意図はない。1つの実施形態において、前述の粉体は、金属粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、セラミック粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、サーメット粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、炭化物粒子を含む。繰り返すが、粒子の混合物を熟考する。1つの実施形態において、前述の粉体は、セラミック粒子及び金属粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、セラミック粒子、金属粒子及びポリマー粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、チタン合金の粒子を含み、及び約10%の空隙率を有する。1つの実施形態において、前述の粉体は、第一及び第二グループの粒子を含み、その第一グループの粒子は、その第二グループの粒子の平均粒子容積より少なくとも25倍大きい平均粒子容積を有する。1つの実施形態において、前述の粉体は、第一及び第二グループの粒子を含み、その第一グループの粒子は、その第二グループの粒子の平均粒子容積より25倍から2,000倍の間で大きい平均粒子容積を有する。1つの実施形態において、前述の粉体は、約10ミクロンの粒子を含む第一グループ、約2ミクロンの粒子を含む第二グループ、約200ナノメーターの粒子を含む第三グループ、及び約40ナノメーターの粒子を含む第四グループの各々が、62.8%対16.2%対16.7%対4.3%の混合物を含み、前述の粉体は、約4.4%の空隙率を有する。1つの実施形態において、前述の層は、粒状複合材料の粉体の第二層上に置かれ、その第二層は、厚みが1,000ミクロン未満であり、その粉体は、20%以下の空隙率を有する。1つの実施形態において、両層は、厚みが約50ミクロンである。1つの実施形態において、前述の粒状複合材料の粉体は、溶媒中にある。1つの実施形態において、前述の粒状複合材料の粉体は、ペースト中にある。
本発明はまた、層を作る方法を熟考する。1つの実施形態において、本発明は、a)20%以下の空隙率を有する粒状複合材料の供給源を与え、b)前述の粉体の最初の部分を目的物の表面に堆積させ、c)エネルギーが、その第一粉体部分に焼結、融合または融解を起こし、第一層を創出するような条件下で、その最初の部分の粉体に、そのエネルギーを蓄積し、d)前述の第一層の上に粉体の第二部分を堆積し、及びe)前述の第二部分の粉体に、エネルギーが、その第二粉体部分の焼結、融合または融解を起こして前述の第一層の上に配置される第二層を創出するような条件下で、エネルギーを蓄積する、ステップを含む層の産出法を熟考する。本発明を、エネルギー源により限定する意図はない。1つの実施形態において、当該エネルギーは、レーザーにより蓄積される。1つの実施形態において、ステップc)は、少なくとも1つのレンズでレーザーを集束することを含む。本発明を、特定の厚みの層に限定する意図はない。しかしながら、1つの実施形態において、前述の第一及び第二層は、厚みが100ミクロン(または50ミクロン未満)である。本発明を、当該粉体の製造に使用する粒子の特徴により限定する意図はない。1つの実施形態において、前述の粉体は、金属粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、セラミック粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、サーメット粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、炭化物粒子を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、セラミック粒子及び金属粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、セラミック粒子、金属粒子及びポリマー粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の粉体は、チタン合金の粒子を含み及び約10%の空隙率を有する。本発明を、粒子のグループ数により限定する意図はない。1つの実施形態において、前述の粉体は、第一及び第二粒子グループを含み、その第一グループの粒子は、その第二グループの粒子の平均粒子容積より少なくとも25倍大きい平均粒子容積を有する。1つの実施形態において、前述の粉体は、第一及び第二粒子グループを含み、その第一グループの粒子が、その第二グループの粒子の平均粒子容積より25倍から2,000倍の間で大きい平均粒子容積を有する。1つの実施形態において、前述の粉体は、約10ミクロンの粒子を含む第一グループ、約2ミクロンの粒子を含む第二グループ、約200ナノメーターの粒子を含む第三グループ、及び約40ナノメーターの粒子を含む第四グループの各々が、62.8%対16.2%対16.7%対4.3%の混合物を含み、前述の粉体は、約4.4%の空隙率を有する。1つの実施形態において、前述の粒状複合材料の粉体は、溶媒中にある。1つの実施形態において、前述の粒状複合材料の粉体は、ペースト中に懸濁される。
本発明はまた、2つ以上の異なる粉体を使用して層を作ることを熟考する。1つの実施形態において、本発明は、a)第一及び第二粒状複合材料の粉体を与え、その粉体の各々が、20%以下の空隙率を有し、b)その第一粉体を目的物の表面に堆積させ、c)エネルギーが、その第一粉体に焼結、融合または融解を起こし、第一層を創出するような条件下で、その第一粉体に、エネルギーを蓄積し、d)前述の第二粉体を第一層上に堆積させ、及びe)前述の第二粉体にエネルギーを蓄積し、そのためそのエネルギーが、前述の第二粉体に焼結、融合または融解を起こし、第二層を創出する、以上のステップを含む層の産出法を熟考する。繰り返すが、本発明を、当該エネルギー源により限定する意図はない。1つの実施形態において、前述のエネルギーは、レーザーにより蓄積される。繰り返すが、本発明を、特定の厚みの層に限定する意図はない。1つの実施形態において、前述の第一及び第二層は、厚みが100ミクロン(または50ミクロン未満)である。繰り返すが、本発明を、当該粉体を作るために使用する特定の粒子のタイプまたは粒子の組み合わせに限定する意図はない。1つの実施形態において、前述の第一粉体は、金属粒子を含む。1つの実施形態において、前述の第二粉体は、セラミック粒子を含む。1つの実施形態において、前述の第一粉体は、サーメット粒子を含む。1つの実施形態において、前述の第二粉体は、セラミック粒子及び金属粒子の混合物を含む。1つの実施形態において、前述の第一粉体は、チタン合金の粒子を含み及び約10%の空隙率を有する。1つの実施形態において、前述の第一粉体は、第一及び第二粒子グループを含み、その第一グループの粒子は、その第二グループの粒子の平均粒子容積より少なくとも25倍を超えて大きい平均粒子容積を有する。1つの実施形態において、前述の第一粉体は、第一及び第二粒子グループを含み、その第一グループの粒子は、その第二グループの粒子の平均粒子容積より25倍から2,000倍の間で大きい平均粒子容積を有する。
前述の当該システム、層及び方法は、3Dプリンティングに使用することができる。粒子の焼結、融解、または融合のためのエネルギー源を採用する3Dプリンティングに使用する粉体に関して、低い空隙率は、いくつかの利点の中でも特に、より再現性の高い製造、高い熱伝導性、及びその粉体による高効率なエネルギー吸収を意味する。
図1Aは、2つの粒子グループに対応した容積確率密度曲線のプロット図であり、グループ1は、25mmの平均容積V avg、V=18mmでの最大容積、及びその平均(1/2)の標準偏差(青)を有し、及びグループ2は、1,000mmの平均容積V avg、V1=716mmでの最大容積、及びその平均(1/2)の標準偏差(緑)を有する。図1Bは、同じ2つの粒子グループに対応した通過曲線を示し、S=1.01005に対応してプロットされており、各粒子グループが、同じ総粒子容積を含むと仮定している。図1BのY軸を、Y軸の目盛りが、パラメーターSに依存することを強調するために、「粒子率」と名付け、仮に各ポイントVS,iがプロットされ、各ポイントが、ポイント0.5*(Vs,i-1+VS,i)から0.5*(VS,i+VS,i+1)の間の粒子容積を表すならば、その時にY軸の単位は、容積(mm)になる。積分値P(V)を1として正規化するために、または一般に異なる粒子グループに対するP(V)を比較する場合、各グループの相対粒子数についての情報は、図1Aには存在しないことに留意されたい。しかしながら、既に組み合わされた複合材料に対する通過曲線または確率密度関数は、この情報を保持するであろう。描かれたグラフにおいて、極大値V及びVの位置は同じではなく、約V=28.1及びV=1113.2に現れる通過曲線(下図)に極大値を持つことに留意されたい。通過曲線としての容積確率確率曲線をプロットすることは、粒子グループ間の直接比較ができるように、極大値を移動し及び高さ及び標準偏差を変更する。 図2は、5つの極大値(VからVと命名)を含むS=1.00958に対応してプロットされた通過曲線の例を与える。この粒子分布に対しては、極大値V及びVに対応した2つの「十分な大きさ」の粒子グループがあり、容積範囲[Vl,3-4]、及び[V3-4,]の各々により代表される。これらの粒子グループはまた、両者の間にその他の十分な大きさの粒子グループは無く、及び各グループの平均粒子容積のより大きいグループのより小さいグループに対する比率は、10,000未満であるので、それゆえに隣接している。極大値Vは、極大値VとVの間の最小の極小値V1-2が、極大値Vの高さPC(V)の75%を超えて大きい高さPC(V2-3)であるので、十分な大きさの粒子グループとは関連しない。極大値Vに対応した粒子グループは、通過曲線PC(VS,i)から計算されるP(V)を伴う、[V2-3,V3-4]の範囲にわたるP(V)Vの積分値(あるいは、同じ範囲のPC(VS,i)の総和)が、[V,V]の範囲にわたるP(V)Vの積分値(あるいは、同じ範囲のPC(VS,i)の総和)の2%未満であるので、十分な大きさではない。極大値Vは、極大値Vと同様に、極小値V4-5の高さPC(V4-5)が、極大値Vの高さPC(V)の75%を超えて高いので、十分な大きさの粒子グループには関連しない。 図3は、より大きな直径1の粒子及びより小さな直径0.45の粒子(大小の容積比が11)を有し、及びより小さな粒子の相対容積率xが0.267(粒子のサイズ比に対する最小の空隙率に近い)である、球状粒子の2種混合物(2サイズの)に対応する対相関関数g(r)を示す。距離r=1.175、r=1.4、及びr=1.725でのg(r)におけるピーク(不連続)及び線形挙動に注目されたい。鋭い極大値に次いで急激な垂直降下で描写されるこれらの不連続は、2つの小粒子と1つの大粒子(r=1.175)、2つの小粒子の間の1つの大粒子(r=1.4)、及び2つの大粒子(r=1.725)と1つの小粒子から成る集団における、接触した粒子の中心部における高い確率の線形配列を表している。3粒子の中心部のこれらの線形配列に対する選好性は、DSMG構造に固有であり、各々の及びすべての粒子グループが、平均サイズに特に小さなサイズ変動を示しており、すなわち、各独立した粒子グループに対する容積分布P(V)が、小さな標準偏差を示している。 図4Aは、二つの十分な大きさのグループとみなされる粒子のグループ化に対応した例示的な通過曲線を示す。 図4Bは、粒子を2つの十分な大きさのグループにグループ分割した例である。 図5Aは、グループ1(青、低い極大値)及びグループ2(緑、高い極大値)からの相対粒子容積の組み合わせが無く、2つの十分な大きさの粒子グループが存在する組み合わされた通過曲線になり得ず、1つとみなされるべき粒子の2グループ化に対応した通過曲線の例を示す。図5Bは、単一グループとして組み合わされた粒子のグループ化の複合通過曲線の例である。 図6は、グループ平均粒子容積V avgを持つ9粒子グループj=1...9の、4桁の振れ幅(10,000倍)を持つ容積範囲に従うサブセットへの分離を示す概略図である。このケースにおいて、すべてのサブセットのスーパーセット{i}は、{1,2,3,4}、{4,5}、{5,6,7}、及び{7,8,9}の4サブセットを包含する。 図7は、相対容積率が約17%で直径2mmのソーダ石灰ビーズと、相対容積率が約83%で直径10mmのソーダ石灰ビーズとを混合した、空隙率21.2%の混合物の、側面画像(図7A)及び上面画像(図7B)を与える。このビーズは、>0.98の真球度及び<0.05の静摩擦係数を有し、及びそれゆえ摩擦の無い真球を良好にシミュレートする。 図8は、異なるサブセットからの粒子グループを混合する際に、空隙率を減らすために使用するおおよその混合容積分率φの計算に使用する容積の計算例を示す略図である。この例示は、それぞれの隣接するサブセットと重複する1つの粒子グループを含むサブセットに対して与えられる。
定義
本明細書で使用する「TJアルゴリズム」は、A.B.Hopkins,F.H.Stillinger,及びS.Torquato,不規則に厳密に詰まった2成分球体の充填が、異常に広範囲の密度を達成する(Disordered strictly jammed binary sphere packings attain an anomalously large range of densities), Physical Review E 88,022205(2013)に記載されるように、球状または非球状物の不規則に厳密に詰まった(機械的には安定)充填(充填は、位置を指定された非重複の目的物の集合体)を生み出す方法を指す。当該TJアルゴリズムは、線形計画法の技術を使用して解かれる最適化問題として、厳密に詰まった充填を生み出す問題に取り組む。この最適化問題において最小化される目的関数は、負の充填率にほぼ等しく選ばれ、ここでその充填率は、目的物が占める空間容積である。
占められた空間は、周期境界条件下でのN個の目的物を含む格子ベクトルMλ={λ;...;λ}を伴うd次元における変形単位セルである。N個の目的物の各々は、異なるサイズの球体から成り、そのためその球体は重なり及び互いに対して固定した位置を保つが、しかしその他の目的物に対してその必要はない。いかなる形状及びサイズの目的物も、その位置を互いに対して相対的に固定された重なり合う球体を使用して形成できる。
任意の充填率におけるN個の目的物の充填の初期条件から開始し、低い充填率での不規則な初期条件は、実験的に再現性のある結果を生み、線形計画問題は、そのN個の目的物の限定された移動及び展開、そのセルのせん断及び圧縮、そしてその目的物の線状に配列された非重複の条件に対して、その単位セルの容積を最小化するように解かれる。この解は、当該目的物に対応した新規の座標及び方向性、及びより小さな容量の新規単位セルをもたらす。これら新規の座標、方向性、及び単位セルを使用して、同様に限定された動き及び非重複の条件下で単位セルを最小化するように、新規の線形計画問題が解かれる。このプロセスは、その単位セルにおいてさらなる容積低下が不可能になるまで繰り返される。この逐次線形計画法(SLP)のプロセスの最終解が、厳密な充填(機械的に安定)を保証する。
各線形計画問題の数学的定式化は、次の通りである。この公式において、rλ ij=xλ -xλ は、位置xλ の球体に対応した変位ベクトルであり、単位セル格子Mλに基づき、その充填物の球体iとjの間において、△rλ ij=△xλ -△xλ は、各SLPの最適化ステップの間に解かれた変位の変化であり、及びε={εkl}は、そのSLPステップの間に同様に解かれた{εkl}を有する、その単位セルに関連した歪みテンソルである。すべての△xλ 及びεklは、各ステップの間の球体が、その直径に比べて小さい限定された移動範囲を生み出すため、上下からの境界に接する。
最小化された値は、歪みマトリックスの足跡、Tr(ε)=ε11+...+εdd、であり、その単位セルの容積における線形化された変化に相当する。△xλ 及びεkl上の上下の境界に加えて、各△xλ 及びεklは、異なる球体の各ペアーi、jに対する線形化された非重複の制約条件に従う必要がある。これらの制約条件は、球体i及びjの平均直径Dijを伴い、Mλ・rλ ij・ε・Mλ・rλ ij+△rλ ij・M λ・Mλ・rλ ij≧(D ij-rλ ij・M λ・Mλ・rλ ij)で記述される。球体i及びjが、同じ目的物の一部分である場合、各非重複の目的物に対して、これら球体は、その線形化された非重複の制約条件に従う必要はない。むしろ、それら球体の位置は、目的物あたり1つの参照球体である、単一の参照球体に対して固定され、そのためそれら球体の個々の変位は、参照球体の変位及び方向性により完全に決定される。この目的のために、各参照球体に対して、二つの追加の方向変数φ及びθが必要であり、そのため各参照球体に対するφ及びθは、△xλ 及びεklである上下の境界と接していなければならず、及び各SLPステップに対応して解かれる。
摩擦抵抗はまた、球体の「厚み」確率P、0≦P≦1、及び距離xを介して当該TJアルゴリズムに組み込まれる。2つの目的物が、あるSLPステップ後に、次のSLPステップにおいて、特定のポイント(すなわち、互いに距離x内にある)で互いに接触する場合、それらは、各目的物の移動及向きにおける制約条件を介して確率Pでの接触を保つ。より大きいP及びx値は、より大きい摩擦抵抗を示す。値P=0は、目的物が摩擦の無いまたは低い摩擦抵抗であることに相当する。
二相異質媒体(または「構造」と呼ぶ)において、各相の部分容積率の分散σ (R)は、(1/v(R)))*Int(χ(r)*α(r;R)dr)に等しく、ここで「r」は、d次元のユークリッド空間におけるベクトルであり、「dr」は、その空間における無限小容積要素であり、v(R)は、「d」次元における半径「R」の球体の容積であり、χ(r)は、自己共分散関数であり、α(r;R)は、縮尺交差容積であり、及び積分「Int」は、全体空間を演算する。仮にその構造が、非常に一様であれば、数分散σ (R)は、(1/R)よりむしろ(1/R)d+1の速さで、比例して大きくなる。このことは、||k||がゼロを目指す限界において、自己共分散関数のフーリエ変換F[χ(k)]であるスペクトル密度は、ゼロに等しく、ここで||・||は、ユークリッド距離を示し、及びF[・]はそのフーリエ変換である、と言うに等しい。
1つの相が、任意の物質、タイプ、サイズまたは組成物の粒状粒子から成り、及び他方が、空隙、溶媒、ゲル、ペースト、または他のタイプの充填物から成る、2相の媒体を考える。粒状複合材料であるこの媒体に対して、与えられた「R」に対するポイント「z」での相「i」の部分容積率は、ポイント「z」が中央となる半径「R」のd次元球体内に含まれる相「i」に属する空隙率として定められる。部分容積率の相「i」に対する分散σ (R)は、その媒体中のすべてのポイント「z」の部分容積率の分散である。そのような2相媒体に対応する分散は、どちらか1つの相に依存せず、自己共分散関数χ(r)及び縮尺交差容積α(r;R)の関数として、前述の数学的記述のσ (R)に示される。
2相異質媒体における当該自己共分散関数χ(r)は、χ(r)=S (r)-φ として、2ポイント確率関数S (r)及び容積率φiの関数で記述され、ここでどちらの相「i」を選んでも、同じχ(r)が得られる。相「i」に対応する2ポイント確率関数S (r)は、「r」の方向に沿った長さ||r||の線分の両終点が、相「i」に収束する確率に等しく、及び容積率φは、相「i」により占められる空間率である。当該縮尺交差容積α(r;R)は、距離「r」により分けられた半径「R」の2つのd次元球体の集合体と等しい。より詳細には、C.E.Zachary,Y.Jiao、及びS.Torquanto、非常に一体化された長距離相関は、不規則に詰まった硬質粒子の充填の証である(Hyperuniform long-range correlations are a signature of disordered jammed hard-particle packagings)、Physical Review Letter 106、178001(2011)を参照されたい。
有限数の構成成分粒子に対して、||k||がゼロを目指すとする、スペクトル密度F[χ(k)]の限界が、より詳細に定められねばならず、無限空間及び無限粒子の限界においてのみ、||k||はゼロになる。有限粒子のグループに対して、選ばれる||k||値は、||k||>1/Lのように限界があり、ここで「L」は、そのシステムサイズにおける線形範囲である。このケースの場合、||k||がゼロを目指すとする限界は、最も小さいいくつかの||k||ポイントに対してF[χ(k)]の曲線を適用し及び適用された曲線がポイント||k||=0を含むように外挿することによって、定めることができる。仮に||k||がゼロを目指すとする限界が、その構成成分粒子の平均有効直径<Vl/d>で、F[χ(k)]/<Vl/dとした時の単位において、「0.01」未満の値であれば、その構造は、「近似的に非常に一様である」と定められる。
この値「0.01」は、特定のタイプのシステムに存在する長距離の空間相関性の度合いを反映するとして選ばれる。例えば、すべての結晶性及び準結晶性粒子が、最大に不規則に詰め込まれた球体の配列がそうであるように、それら粒子は、非常に一様である。これらシステムのすべては、粒子間の長距離配列を表し、結晶においては、各粒子の位置は、その隣の位置に対して相対的に定められ、及び最大に不規則に詰め込まれた球体の配列においては、その対相関関数は、ポイント間の距離である「r」を伴う、-1/rd+lとして減衰する((A.Donev,F.H.Stillinger,及びS.Torquato,不規則に詰まった球体充填における予期しない密度のゆらぎ(Unexpected density fluctuations in jammed disordered sphere packagings),Physical Review Letter 95,090604(2005)を参照のこと))。液体においては、当該対相関関数は、指数関数的に速く減衰し、及び、例えば、剛性球体の液体に対する||k||がゼロを目指すとする限界においては、F[χ(k)]は約0.028に等しい。一般的に言えば、||k||がゼロを目指すとする限界において、F[χ(k)]が小さいほど、「R」における数分散σ (R)は増加が少なく、及び長距離における粒子間の空間相関性が大きくなる。
本発明の説明
粒状複合材料の密度向上プロセスを、すべてのサイズ、形状、及び物理的特徴の構成成分を持つ粒状複合材料に対して記述する。本プロセスは一貫して、一般的な粒子における、相対的なサイズの範囲内で入手可能な所与の粒子として公知の、より低い空隙率及び粘度の組み合わせを示す複合材料をもたらす。ここで、特に規定しない限り、粒子サイズは、所与の単一粒子により占められる空間容積を指す。このプロセスはまた、粒子の相分離の低減に繋がり、ここで、グループ間で大きなサイズの差異を伴う多数の粒子グループを複合材料の構成成分として使用する場合、異なるサイズグループへの粒子の分離は、高密度の複合材料の生産においては非常に実務的な障害である。特別に選定したサイズの粒子グループを、目的の比率で合わせ混合する本プロセスは、構造、及び従って材料の、これまで特定されていないタイプの組成物を生み出す。これらの構造は、空隙率及び粘度を含むこれらの物理的特徴を通して、及びまた、非限定的に、構造対相関関数、接触分布、及び構成成分の容積分布を含む統計的尺度を通して、区別できる。具体的には、前述の統計的尺度によりこれらの構造に現われる特定の特徴が、良く知られたそれらの粒状複合材料の構造には、その統計的尺度によっても現われない。
このプロセスは、望ましい空隙率の低減、粘度の低減、相分離傾向の減少、またはそれら3要素すべての組み合わせのために、及び空隙率、粘度及び相分離の低減により及びそれらに相関して起こる、望ましい物理的及び関連する経済的特徴のために、多数の用途がある。当該望ましい物理的特徴には、非限定的に、大きい体積弾性率、弾性係数、せん断弾性係数、耐久性、硬度、流動性(流れやすさ)、熱伝導率、熱容量、電気伝導度、レーザー(及びその他の光学的)エネルギーの全体吸収率、及び熱(及び光学的エネルギー)の全体吸収率、また、「巨大」分子の固体における界面エネルギーの減少、熱膨張係数、レーザー(及びその他の光学的)エネルギー吸収の表皮からの深さ、及び音響エネルギー吸収の表皮からの深さを包含する。当該望ましい経済的特徴には、非限定的に、複合材料成分のコスト低減、粒状複合材料の加工の再生産性及び再現性の増進、及び加工のより一体性の増加を包含する。これらの特徴が有益である用途には、非限定的に、1)金属、セラミック、サーメット、ポリマー、プラスチック、またはその他の乾燥または溶媒に懸濁した粉体またはゲルまたはスラリーを伴う付加製造(「3Dプリンティング」)、2)コンクリート材料、3)固体推進材料、4)サーメット材料、5)粒状アーマー材料、6)ガラス-金属及びガラス-プラスチック混合物、及び7)粒状複合材料を含む(または使用して製造される)セラミックを包含する。
付加製造において、その材料、しばしば粉体、は、望ましい空間形状に配置され及びその下にある固体材料と反応(通常は、加熱により)せねばならず、そのためその第一材料が、相変化を起こし及びその固体と結合し、それ自身が固体となる。これらのケースにおいて、より低い空隙率及び粘度の利点には、非限定的に、当該粒状複合材料のより均一の加熱及び融解、当該複合材料の容易な配置及びより均一な配置、レーザーの全体吸収率の増加及び吸収の表皮からの深さの低減、当該複合材料における横方向のエネルギー散乱の減少、当該複合材料の酸化の減少、及び当該複合材料全体及びその結果としてその複合材料から誘発された融解及び再固化の固体全体における温度勾配の減少を含めることができる。
コンクリート材料においては、必要速度で依然として流れる、より低い空隙率の骨材混合物は、骨材間の隙間を埋め及び骨材同士を接着させるために必要なペースト材を減らすことができる。一般にポートランドセメントを含むこれらペースト材料は、しばしば、コンクリートでは最も高価な成分であり、そのためその削減は、非常に望ましい。さらに、コンクリートにおける骨材空隙率の低減は、しばしば、体積弾性率、弾性及びせん断弾性率、硬度及び長寿命を含む強度の指数関数的な増加と相関する。
しばしば粒状複合材料である、固体促進材料において、空隙率の低減及び関連した密度の増進は、複合材料密度の2乗に依存する、推進剤の推力の増加に繋がる。推力の増加は、荷重の打ち上げ能力の増加、ロケットスピードの増加、及びその他の魅力ある利点のために望ましい。
サーメット材料、粒状アーマー材料、粒状複合材料を含む(または使用して製造される)セラミック、ガラス・金属混合物、及びガラス・プラスチック混合物において、低減された空隙率は、非限定的に、大きな体積弾性率、弾性及びせん断弾性率、硬度及び長寿命を含むより大きな強度に繋がる。低減された空隙率は一般的にまた、熱応力サイクル下での耐久性の増加に繋がる。これらの特徴は、防護壁、耐荷重構造材料、及び高温高応力/ひずみの耐久材料として使用するこれら材料にとって、大抵は望ましい。
A.新規組成物の特徴
粒状粒子の機械的に安定な多様な混合物の研究が、新規組成物の特定に繋がった。本組成物は、液体及び固体の両組成物に類似した特徴を表し、例えば、液体のように、適切な外力(重力など)がその平衡形状を再形成した場合には、流れるであろうし、しかし固体のように、変形無しで小さなしかしゼロではない体積応力及びせん断応力に耐えるであろう。この組成物は、粉体のように、固体状及び液体状の特徴を同時に表す。本組成物は、本明細書ですでに定義した意味において、粉体形状で、スラリー(液体)形状で、またはその構成成分が、「ペースト」または「接着成分」により場所を固定された場合には固体形状で現れることができる、粒状複合材料である。
本組成物を生産するプロセスは、後段で論議する。この項においては、本組成物を決定づける特徴及びその特定を論議する。本組成物は、空隙率及び粘度を含むその物理的特徴を通して、及びまた、非限定的に、構造対相関関数、接触分布、及び容積分布を含む統計的尺度を通して、区別できる。この項では、前述の統計的尺度により、良く知られる粒状複合材料の構造には現われないが、これらの構造には現われるある特定の特徴を論議する。
本組成物は、その構造及び基になる粒状構成成分の組成により定義される。本組成物を含む構造分類を、これ以降は、高密度・小サイズ幅・多峰性粒状(Dense Small-size-range Multimodal Granular(DSMG))構造と呼び、この構造分類の特定の構造は、これらの構成成分粒子が占めるサイズの狭い幅を考慮すると粒状構造においては、異常に高密度である。
次の段落において、一粒状複合材料及びDSMG構造が、少なくとも約100個の粒子から成ると仮定する。一般に、DSMG構造は、100個よりはるかに多くの粒子から成り得るが、しかし、一粒状複合材料における構成粒子の混合の不規則な特徴のために、DSMG構造の特徴が明確になるには、少なくともおおよそ100個の粒子が必要である。
すべてのDAMG構造及びそれらの構成成分粒子の混合物は、以下の特徴を表す。
1.DSMG構造は、容積確率密度関数P(V)(または簡単に容積分布、または粒子サイズ分布を指す)を表す構成成分粒子のサイズから成り、隣接する適切なサイズの粒子グループに関連する2つ以上の極大値を含む。「隣接し」かつ「適切なサイズ」の粒子グループを定めるためには、その容積分布P(V)に存在する極大値及び極小値(それらは、やや異なる位置に現れるであろうが)を保持した通過曲線の特定のタイプとしてのその粒状複合材料の容積分布を、最初に再プロットすると有益であり、次いで、その粒状複合材料を、この通過曲線に従って粒子グループに分割できる。通過曲線としての容積分布の再プロットは、比較目盛り上の異なる容積に現れる極大及び極小を見るために必要である。
1a.この容積分布は、ポイントのセットVS,iとしてプロットでき、ここでこのポイントのセットは、以下の方法に従って、通過曲線PC(VS,i)と呼ぶ。当該複合材料における最小粒子の容積から最大粒子の容積までの間に占める容積範囲に対して、容積間隔は、幾何学的な尺度で選択される。換言すれば、各間隔は、X(i)=Sに始まり及びX(i+1)=Si+1に終わるということであり、ここで「i」は、i=m...n(「m」及び[n]はどちらかまたは両方がおそらく負である)の整数であり、そのためいくつかの適切に選ばれるスカラーS>1に対応して、「S」の「n」乗は、その最大粒子の容積より大きく、及び「S」の「m」乗は、その最小粒子の容積より小さい。スカラーS=Sは、すべてのS,1<S≦Sに対応して、Sにより決定される適切なサイズの粒子グループの数及び関連する極大値及び極小値が、常に残るように、少なくとも十分に小さく選ばれねばならない。このことは、容積分布P(V)及び通過曲線PC(VS,i)において極値(最大及び最小)の間に1対1の対応があることを意味し、ここで考慮される極値は、適切なサイズの粒子グループに関連するものである。その結果、適切なサイズの粒子グループに関連した、P(V)及びPC(VS,i)の両曲線において対応した極大値及び極小値は、互いに同じ意味合いとして語られる。
与えられる適切な小「S」は、その容積分布に容積を掛けたP(V)Vの積分値であり、各間隔で取られ及び各間隔の中間点でプロットされた結果である。すなわち、各i=m...0...n-1に対して、積分値X(i)^X(i+l)P(V)VdVが、容積ポイントVs,i=(1/2)*(X(i)+X(i+l))にプロットされる。比較目盛り上の粒子グループの相対標準偏差(平均で標準偏差を割ったもの)を見るためには、ポイントPC(VS,i)は、対数目盛の容積軸にプロットされねばならない。得られた通過曲線PC(VS,i)は、標準的なふるいが、幾何学的に計測されたメッシュサイズを表わすため、標準的なふるいを使用して粒子をふるい分けて得られた通過曲線にほぼもしくは正確に匹敵する。なめらかなPC(V)曲線は、簡単に任意の標準的な方法を使ってポイント間を補間することにより、ポイントPC(VS,i)のセットから得ることができる。両曲線PC(V)及びPC(VS,i)は、i=m...nであるPC(VS,i)の総和が、平均粒子容積Vavgに等しく、VS,mからVS,nの積分値P(V)Vと、その平均粒子容積が、まったく同じである、という特性を表す。通過曲線PC(VS,i)に対する容積分布P(V)の再プロットを、図1に描写する。
1b.一旦プロットされた通過曲線は、相互に排他的な連続した容積範囲に、及びその結果、各容積範囲の終点が、そのグループ内の粒子サイズの上下の境界であるように、当該粒状複合材料の粒子をサイズグループに、簡単に分割できる。容積が落ち込む終点での粒子は、その終点を持ついずれかのグループに配置できる。当該容積範囲は、互いが「適切なサイズ」の粒子グループを代表し、及び範囲の上下の境界が、適切なサイズの粒子グループに関連する極大値の間で容積が落ち込む極小値にある、ように定められる。「適切なサイズ」の例及びその定義は次のようである。前述の項目1a)に記述される通過曲線から、容積V及びVに現れる2つの極大値を考え、V>Vであり、極大値V及びVの各々が関連するグループの平均粒子容積V avg及びV avgが、V avg/V avg<=10,000に従う。この後者の条件は、「隣接する」とみなされる粒子グループに対する2つの必要条件の1つである。適切にサイズ分けされた粒子グループに関連したこれらの極大値に対して、a)2つの極大値とみなされるその間に現れるすべての極小値について、V2-3に現れるサイズPC(V2-3)を伴う極小値「2-3」がなければならず、2つの極大サイズPC(V)、PC(V)の小さいほうのサイズのほぼ75%であり、及びb)ある容積範囲[V,V]を占め、V<V avg<V avg<V及びV/V=10,000であり、i)VS,iがV及び、V及びV2-3で隣接する極大値の間のV1-2に現れる極小値に及ぶ範囲内であるところの、すべてのiのPC(VS,i)の総和が、及びVS,iが範囲[V,V]内にあり、その範囲すべてのiのPC(VS,i)の総和の、少なくとも2%でなければならず、及びii)VS,iがV2-3及びVとVで隣接する極大値の間のV3-4に現れる極小値の範囲内であるところの、すべてのiのPC(VS,i)の総和が、VS,iが、範囲[V,V]内であるすべてのiのPC(VS,i)の総和の、少なくとも2%でなければならない。仮に、Vより小さい適切なサイズのVの極大値が無い場合は、最小粒子サイズよりわずかに小さい容積Vを代わりに採用し、及び仮にVより大きい適切なサイズのVの極大値が無い場合は、最大粒子サイズよりわずかに大きい容積Vを代わりに採用する。仮に、対となる極大値の間に複数の極小値がある場合は、任意の極小値を選び得て、及びその基準a)及びb)に合致できるかを確認することを考慮せねばならない。全体として粒状複合材料の極大値にうまく適用できた後、基準a)は、適切にサイズ化された粒子グループの極大値(の各サイドの1つ)に関連した両極小値が、それらの間の極大値の75%の超えて大きくないPC(V)値を有することを要求する、ことに留意することが重要である。
容積V及び「隣接する」Vで現れる極大値を伴う2つの粒子グループに対する第二の条件は、任意のVbtに現れるPC(V)においてその他の極大値があってはならず、V<Vbt<Vであり、そのため容積V及びVbtに現れるペアーの極大値及びVbt及びVに現れるペアーの極大値が、「十分なサイズである」という基準a)及びb)に合致する、ことである。前述の基準に従い粒子グループに分割された任意の粒状複合材料は、すべて十分なサイズのグループに分離されており、その複合材料がDSMG構造を形成するためには、隣接する十分な大きさの粒子グループの少なくとも1つのペアーを含まなければならない。参照される当該容積確率密度関数または通過曲線は、ふるい分け、遠心分離、画像解析、または任意のその他一般的な手段により決定できる。特に、当該関数は、それらを測定する一般的な手段により得られる通常のレベルの精度があれば、正確に決定される必要はない。図2は、通過曲線を使用した粒子グループの定義の例を含んでいる。
2.混合に際し、前述の特徴1に記述された基準に従って、通過曲線における粒子の極大値に関連する粒子グループへの空間の相分離は、すべての空間領域にわたるすべてのグループに対しては、適用できない。さらに、すべてのDSMG構造は、少なくとも2つの隣接する十分な大きさのグループからの粒子のある空間的混合を示さねばならない。このことは、それらの粉体形態における複合材料に対しては、空間的混合は、その複合材料のある空間領域において、異なる粒子グループの粒子間の接触を含み、ここで、その領域の高さ、広さ、及び深さが、少なくとも、大きな容積の粒子グループからの複数の最大粒子の長さの桁内のサイズであることを意味する。
3.粉体形態の際、すなわち、構成成分粒子間の空隙を満たす液体及びその他の媒体物質が無い場合、DSMG構造が、前述の特徴1に定められるグループで、集団Mにおける粒子Gのn個のグループから成る構造に対して、粒子G及びGのグループの少なくとも1つのペアー(iがjと等しくなく、すべてのnにわたる整数である、i及びj)が、集団MとMの混合に際して、独立したグループG及びGそれ自身の互いの容積を超えて大きい容積を生み出す、という特徴を有する。粒子グループの容積は、調合法に依存するので、この特徴は一般に、単一の粒子グループ及び2つの粒子グループの混合物の容積を調合し及び測定する類似の方法を必要とする。特に、この特徴は、粉体形態において、すべての粒子ルグープが、その複合材料における混合と同量で混合した際に、より大きな容積の粒子グループからの粒子のみから成る機械的に安定な構造を形成し、ここでより小さな容積の粒子グループからの粒子が、大きな粒子グループからの粒子のみから成る機械的に安定な構造により作られた空隙にのみ存在する、という特徴を示す粒状複合材を、DSMG構造の分類から除外する。
4.前述の特徴1に定義されるグループで、粒状複合材料における粒子グループすべてのセットを熟考する。各セットにおいて、最大粒子のグループの平均粒子容積が、最小粒子のグループの平均粒子容積より10,000倍を超えて大きくない。これらの分割を考慮して、DSMG構造は以下を必要とする:
4a.(粒子グループを、そのグループの平均粒子容積で順序づけた場合)、そのセットにおいて隣接する粒子グループの少なくとも1つのペアーが、その2つのグループの「より大きい」グループの容積が、その粒子グループのペアーにおける粒子の総容積の少なくとも20%であり、及びその「より小さい」グループの総粒子容積が、ペアーグループの総粒子容積の少なくとも10%であることを特徴とするように、少なくとも1つのセットを分割することが可能である。仮に、すべての粒子グループのセットにおけるすべての粒子グループのペアーに対してであれば、これらの条件に合致することが不可能であり、一般的には、当該粒状複合材料は、DSMG構造を形成しないであろう。
4b.その粉体形態における複合材料全体に対して、前述のようにすべての粒子セットにおけるすべての隣接する粒子グループのペアーを考慮し、少なくとも1つのセットに対して、そのより大きいグループの粒子に対するより大きい最隣接の粒子の平均数が、1以上である。容積Vである目的の「中心」粒子に対して、容積Vnnである「最隣接粒子」とは、距離R未満の移動で、その中心粒子に接触するように配置できる粒子である、と定義され、ここでR=((3Vnn/4π)1/3+(3V/4π)1/3)/2が、その2粒子の平均球相当粒子半径である。最隣接粒子は、その目的に適した「接着成分」または「ペースト」を使用し、その場に粉体構造を「凝固させ」及び得られた固体の断面スライスの画像処理を実施し、及びその複合材料の対相関関数(標準的な散乱実験を介して得られる)及び容積確率密度関数の両方を、当業者による注意深い実験を通して得ることを含む、多様な技術により定義できる。最隣接粒子を決定する方法は、当該DSMG構造とは無関係であるが、合理的で正確な結果を得るには、合理的で正確な方法が必要である。
前述の特徴1は、異なるサイズの粒子グループの観点からDSMG粒状複合材料を記述する。粒子の単峰型サイズ分布(特徴1における記述のように、ただ1つの粒子グループ)から形成されるそれら構造は、DSMG構造の分類から削除し、及びある粒子グループが、DSMGの構造的特徴の形成に寄与するために、最小の総容積(目的の容積範囲に関連した)を有するという要求を反映する。隣接の粒子グループにおけるより大きい粒子の平均サイズのより小さい粒子の平均サイズに対する比率は、あまり大きくないことが必要である。特徴2は、DSMG構造により保有される1つの構造的特徴を指定する。特徴3は、特定の物理的特徴を持つ粒子グループから成る粒状複合材料に、DSMGの構造的特徴が存在するかどうかを、ある構造の構成成分粒子の統計的尺度を介して決定する方法を記述する。特徴4は、すべてのDSMG構造により示される構造的特徴を特定し、及びある特定の物理的特徴を持つ粒子グループから成る粒状複合材料に、DSMGの構造的特徴が存在するかどうかを、統計的尺度を使用し決定する方法を特定する。より大きい粒子が、より小さい粒子の間に希釈されるように分散しており及び稀に非常に近くまたは互いに接触する、より小さい粒子とより大きい粒子のセットのみで成るそれら粒状複合材料を、DSMG構造の分類から除外する。
これら4つの特徴に加えて、すべてのDSMG構造は、1つ以上の以下の特徴を示してよい。
A.前述の特徴1に定義されるグループで、2つの粒子グループのみから形成される粒状複合材料に対して、25%未満の空隙率。
B.前述の特徴1に定義されるグループで、3つ以上の粒子グループから形成される粒状複合材料に対して、20%未満の空隙率。
C.構成成分粒子間に溶媒、ペースト、液体またはゲルを含まない粉体形態において、定義の項で記述されたように、非常に一様性またはほぼ非常に一様性である。
D.粒子グループの少なくとも1つのペアーの間において、1つのグループからの2粒子とその他のグループからの1粒子から成る3粒子の集団の中心部の、3つのほぼ線形な配列の少なくとも1つの確率の増加。その可能なほぼ線形な配列とは、より大きなサイズの粒子グループ及びより小さなサイズの粒子グループに対応して、大―大―小、大―小-大、または大―小―小である。いくつかの複合材料に対して、これらの集団は、粒状複合材料の対相関関数の観察により検出でき、散乱実験を使って入手可能になる。球状粒子の2種混合の対相関関数の描写である、この特徴の検出例を、図3に与える。前述の特徴1に記述される粒子グループから成る複合材料に対して、個々のグループ内の粒子は、サイズ及び形状は変動し、1つのグループからの2粒子とその他のグループからの1粒子から成る3粒子の線形集団を表す距離での対相関関数の確率における顕著なピークは、平坦化され及び丸みを帯びるであろう。多数のDSMG構造において、この集団化は、その構造に存在するであろうが、その対相関関数における特徴は、図3に表示されるように、平坦化され及び丸みを帯びるために検出できないであろう。
B.当該組成物の生産プロセス
我々は、生産が可能であるとして公知の複合材料に関連して、最大容積の粒子の最小容積の粒子に対する特定の比率内の粒子に対応した、低減された空隙率、低減された相分離の傾向、及び低減された粘度を持つ、粒状複合材料を生産するプロセスをここに記述する。生産される当該複合材料の構造は多くの場合、前述の項において記述したいくつかのまたはすべての構造的及びその他の物理的特徴を示す。
粒状複合材料は、多様に異なる空隙率を伴って生産できる事が、一般的に知られている。例えば、同じサイズの球状粒子の異なる配列を考える場合、機械的に安定な複合材料を、空隙率が約51%から約26%の範囲で構築できる。この使用法においては、「機械的に安定な」は、任意の方向からのある無視できない歪みまたはせん断力に、縮小、変形、または膨張せずに耐え、及びそれゆえにある範囲の歪みを受けた固体のように挙動することを意味する。しかしながら、指摘される上限(51%)及び下限(26%)を実現する構造は、これらの空隙率を実現する構造を作り出すには、厳格な施工方法が必要である、という意味で、高度に秩序化されたものである。
振動または振とうにより徹底的に混合された同じサイズのほぼ球状粒子を考慮し、そして摩擦及び重力を介した相互作用を考慮する場合、約37%から46%の空隙率が一般的であり、その粒子の正確な形状及び粒子間の摩擦係数に依存する。この「徹底的に混合した」複合材料は、考慮すべき重要なケースであり、なぜなら正確な構築法は、実用的ではなく、または関心のあるほとんどの粒状複合材料における、非常に大きな粒子数を考えると、可能でさえない。例えば、たった一握りの細かな砂でさえ、10億個を超える粒子を含有することができ、及びそのような一握りから、一度に1つの粒子構造を作るのに必要な時間は、かなりのものである。
多数の異なるサイズ及び形状の粒子から成る粒状複合材料を考慮する場合、徹底的に混合され、機械的に安定な複合材料の構造は、広い範囲の可能な空隙率に及ぶ。例えば、ほぼlog正規分布のサイズを持つ粒子を使用する実験では、例えば、その複合材料が、高周波で振動させられるかまたは圧縮されるかどうかなどを含むその複合材料の調合の詳細条件と共に、粒子サイズ、形状、及び摩擦による相互作用に依存して、(おおよそ)上限60%及び下限15%の空隙率を生み出した。多数の製造法及び自然のプロセスは、log正規分布した粒子を伴う複合材料を生産するので、log正規分布した粒子分布は、実用的な用途にとって重要である。おおまかにlog正規分布した粒子容積を示す複合材料の例として、非限定的に、土塊、泥、砂、いくつかのタイプの砕石、及び火炎または化学的な方法を介して生産されるいくつかのタイプのナノ粒子を包含する。
セメント、シリカ灰、砂及び砕石を使用するコンクリート骨材の混合物の研究は、おおよそlog正規分布した構成成分に特に適合した混合物が、下限15%の空隙率を生む出すことを示唆している。達成できる最低の空隙率に対して最も重要なことは、最大粒子が、最小粒子よりはるかに膨大な容積を持たねばならない、ということである。例えば、参照される研究において、最大粒子は、最小粒子の100兆倍を超える容積を持つ。F.de Larrard,コンクリート混合物の配合(Concrete mixture proportioning)、 Routledge, New York(1999)。
学術文献においては、ほぼ空隙率0%の複合材料の仮説的な構想が討議されている。理論的には達成されるこの方法は、粒子サイズの連続的な分布、例えば、非常に大きな標準偏差を伴う粒子容積の分布を作ることにより達成され、そのためその最小粒子は、その最大粒子の容積と比べて極小の容積を有し、その容積の桁には、原子と巨石の間ほどの違いがある。この方法においては、そのサイズ分布が正しく選ばれた場合、より大きい粒子間の空隙は、常により小さい粒子により満たされることができて、及び空隙率0%に接近することができる(実際には決して到達しないが)。
学術的な文献で論議されている別の理論的な方法は、大幅に空隙率を減らすためには、粒子サイズの離散分布を使用することであり、ここで粒子のより小さい各グループにおいて、粒子の平均容積は、より小さい粒子が、より大きい粒子により形成される構造においてその空間に容易に収まることができるほどに十分に小さい。我々は、その複合材料が、各グループが、その複合材料の各粒子グループのすべてのその他の平均容積より、最低でも10,000倍大きいかまたは小さい離散平均容積を示す粒子グループから構成されねばならない、ということを反映することを、「大離散比」アプローチと名付ける。これらのグループの追加要件は、平均容積についての粒子容積分布の標準偏差が、異なるグループの粒子サイズが実質的に重複するほど大きくてあってはならない、ということである。この10,000倍の容積比は、より大きい粒子の機械的安定構造により作られる空隙に満たされるより小さな粒子に対して、及び大きな粒子間の粒子接触を妨げる構造を形成しないより小さな粒子の小集団に対して、必要な最小サイズ格差を反映している。A.B.Hopkins,F.H.Stillinger,及びS.Torquato,不規則に厳密に詰まった2成分球体の充填が、異常に広範囲の密度を達成する(Disordered strictly jammed binary sphere packagings attain an anomalously large range of densities),Physical Review E 88, 022205(2013)において、摩擦の無い2成分の球体の複合材料のケースに対して、そのような集団が論議されている。
低空隙率の複合材料を創出するために大離散比アプローチを採用する場合、各グループからの粒子容積は、それぞれの連続的なより小さいグループが、最後のより大きいグループの間の空隙に完全に収まるように、精密な比率で選ばれねばならない。例えば、低摩擦の球状粒子の4グループを考慮する場合、各グループは、次に大きいグループより100,000倍未満の容積を持つおおよそ同じサイズの粒子から成り、(容積で)最大粒子の64.5%、二番目に大きい粒子の23.6%、三番目に大きい粒子の8.6%、及び最も小さいグループの3.2%の混合物は、約2.5%の空隙率を持つ構造を生み出すであろう。この例において、最大粒子の容積は、最小粒子の容積の1000兆倍であることが注目される。
仮に重力環境に置かれた後で振動または混合され、当該大離散比アプローチを使用して生み出された複合材料の粒子ルグープは、一番下に最小の粒子グループ、その上に二番目に小さいグループ、及び最終的に一番上に最大ルグープを伴うように、相分離する傾向にあることもまた注目される。このことは、混合または振動の時間を増やすことは、当該複合材料の空隙率を減らすことに繋がることを意味し、粒子グループの小さな標準偏差を伴う低摩擦球状粒子を使用した前述の例においては、最終空隙率は37%に近づく。このタイプの相分離は、粒子グループ間のより大きい平均粒子容積のより小さい平均粒子容積に対する比率が、可能な限り小さい(当該大離散比アプローチに対して、最小のその比率が、おおよそ10,000)場合で、もっともうまくいけば、時には避けられる。そのようなケースの場合、相分離を避ける1つの方法は、その前のより小さいグループより連続してより高密度な材料のより大きな粒子グループを作り出すことである。別の方法は、時にはサブミクロン粒子に静電気またはファンデルワールス力を介して、粒子間の摩擦による相互作用を連続的に増やすことであるけれども、この方法はまた、概して複合材料の空隙率を増加させる。相分離を緩和するさらなる別の方法は、組み合わされた粒子分布を上から圧縮することであり、または「左右の」混合よりむしろ「上下の」混合を採用することである。一般的に、ここに記述の大離散比アプローチは、a)各グループのサイズが非常に類似している粒子の加工コストが高い、b)粒子が、その他のグループの粒子より数兆倍大きいまたは小さい容積を有する場合の粒子グループの加工が困難、及びc)粒子の相分離の克服が困難、であるような用途には、使用しない。
別のアプローチが、複合材料の空隙率を連続的に低減でき、このアプローチが、異なるサイズ分布、形状、摩擦による相互作用、またはその他の物理的特徴を示す複数の粒子グループの任意のセットに適用できるということは、当業者においてまたは一般の公開物において、いまだ公知ではない。このアプローチは、前述の大離散比アプローチにおいてできるだけ大きい個々の粒子容積の差異を必要としない。さらに、このアプローチにより生み出される複合材料は、1つにはグループ間の粒子容積における違いがさほど大きくはないので、前述の大離散比アプローチの複合材料のように、容易には相分離しない。本明細書において詳細に記述するが、この後者のアプローチを、粒状複合材料の密度向上プロセス(GCDEP)と名付ける。
当該GCDEPは、与えられた任意の二つ以上の個々の粒状複合材料のグループに適用でき、ここでそのグループを代表する通過曲線を示すような各グループの比率は、特定の割合で組み合わされることが意図される。各グループは、同じかまたは異なる材料から作られた粒子から成り得て、及びあるグループにおけるその粒子の形状及び物理的特徴は、同じかまたは異なることができる。一般的に、個々の粒子グループは、その通過曲線においてただ1つの十分なサイズの極大値を、またはおおよそ比較可能なサイズの極大値が存在する場所に占める単一の容積範囲を示さねばならない。ある粒子グループに2つ以上の極大値が存在する場合は、2つ以上の十分なサイズの粒子グループが、その十分なサイズのグループからの粒子容積のいくつかの組み合わせに対して、特徴1(前記参照)に記述される方法で識別され、次いでそのグループ化は、分離され及び特徴1に説明される分離基準に合致した2つ以上のグループとみなされなければならない。このグループはまた、これらの基準に沿って物理的に分割できる。このコンセプトを、図4に解説した。仮に物理的に分割できない場合、次いでその非分割グループをその他のグループと混合して、その非分割グループ内の十分なサイズのグループ間で、粒子の容積比が固定された場合には、その非分割グループを、複数の十分なサイズのグループとみなさなければならない。あるいは、2つ以上の粒子グループにおいて、各々が1つ以上の十分なサイズの粒子グループに分割できず、仮にその極大値、または極大値が重なって現れる場所に占める容積範囲に、2つのグループからの容積の組み合わせが、2つの十分なサイズのグループを形成することができないならば、それらグループは、組み合わせて、単一のグループとみなされるべきである。このコンセプトを、図5に解説した。この方法で考慮され及び準備された場合、すべての個々の粒子グループのセットは、「GCDEPのグループ基準」に合致しているというべきである。
この方法において、当該GCDEPは、個々の粒子グループの混合率よりむしろ、その粒状複合材料全体の組み合わされた容積分布を考慮する、その他の粒状複合材料の空隙率(及び時には粘度も)の低減プロセスとは、異なる。組み合わせた容積分布の観点から混合に取り組む方法は、非限定的に、高性能コンクリート混合物の調合を含む多数の分野に共通する。例えば、F.de Larrard,コンクリート混合物の配合(Concrete mixture proportioning), Routledge, New York(1999)及びJ.M.Schilstone,コンクリート混合物の最適化(Concrete mixture optimization),コンクリートジャーナル(Concrete International),33-40,6月号(1990)を含む学術文献で論議されている多数の方法は、なめらかではない容積分布の「ギャップ」は、空隙率及び相対粘度を増加できると結論付けているが、一方で、当該GCDEPでは、ギャップサイズに基づき最適化された混合物の調合は、空隙率及び相対粘度を減少させるというアイデアの1つに基づいている。この記述及びその他の記述によれば、「相対粘度」は、粒状複合材料が、液体またはその他のタイプの母材に懸濁された粒子から成るケースを指し、ここでその相対粘度は、決められた粒子比におけるその粒子と母材の粘度をその母材だけの粘度で割ったものである。M.N,Mangulkar及びS.S.Jamkar,コンクリート混合配合に使用する粒子充填論レビュー(Review of particle packing theories used for concrete mix proportioning),科学&工学研究の国際ジャーナル(International Journal Of Scientific & Engineering Research)4月号,143-148(2013)、F.de Larrard,充填密度及びレオロジーに関するコンクリートの最適化(Concrete optimization with regard to packing density and rheology),第3回RILEM 新鮮コンクリートなどのセメント懸濁液のレオロジーに関する国際シンポジウム(3rd RILEM international symposium on rheology of cement suspensions such as fresh concrete)、France(2009)、及びF.de Larrard, コンクリート混合物の配合(Concrete mixture proportioning), Routledge, New York(1999)でのこれら討議を含むその他のアプローチでは、まさに当該大離散比アプローチが考慮するような、異なる粒子グループを、時々考慮している。しかしながら、これらのアプローチは一般的に、グループの組み合わせを支持し、そのためその結果としての複合材料が、特徴1(前記参照)で論議した、極大/極小のサイズ基準に合致しない。これらの複合材料が、好ましくない場合、当該大離散比アプローチのケースのように、より小さい粒子は、より大きい粒子により形成された機械的に安定な構造の空隙内に納まるという、M.Kolonlo,S.Raschdorf,及びD.Wasch,粒子混合物の充填密度をコンピューターシミュレーションする階層的アプローチ(A hierarchical approach to simulate the packing density of particle mixtures on a computer),粒状物質(Granular Matter)12,629-643(2010)にあるような仮定が立てられる。しかしながら、この仮定は、グループの平均粒子容積が、小に対する大の比率において10,000未満の場合、空隙率の推定値に大きな誤差を伴って不正確であり、及びしばしば容易に相分離する混合複合材料をもたらす。
異なるグループを考慮するいくつかのアプローチは、大きな粒子が、より大きい粒子により形成された機械的に安定な構造の空隙内に納まると仮定をすることで、その不正確さに修正を施す。しかしながら、これらのアプローチは、F.de Larrard,充填密度及びレオロジーに関するコンクリートの最適化(Concrete optimization with regard to packing density and rheology),第3回RILEM 新鮮コンクリートなどのセメント懸濁液のレオロジーに関する国際シンポジウム(3rd RILEM international symposium on rheology of cement suspensions such as fresh concrete),France(2009)、及びF.de Larrard, コンクリート混合物の配合(Concrete mixture proportioning), Routledge, New York(1999)で論議されたように、1)最小の空隙率を生み出す粒子間の混合率を正確に予測することができない、及び2)当該GCDEPにより生み出される構造の知識に基づいておらず及び代わりに、例えば、不正確な「仮想」構造を使用する。これらの「修正」アプローチは、当該GCDEPとは本質的に異なり、及びそれらは、当該GCDEPが行う調合とは異なる混合物の調合を示す。例えば、このアプローチは、低空隙率の構造を生み出すために、非常に大きなギャップが粒子間に存在しなければならず、すなわち、大平均粒子容積の小平均粒子容積に対する比率は大きい、ということを最も頻繁に示す。大平均粒子容積の小平均粒子容積に対する比率が、10,000以下の場合、これらのアプローチは、粒子の組み合わせを支持し、そのためその結果としての複合材料の通過曲線は、特徴1(前記参照)に記述の極大/極小のサイズ基準に合致しない。したがって、支持された複合材料の予測される空隙率及び相対粘度は、当該GCDEPを使用して達成され得るものより非常に高い値となる。例えば、E.P.Koehler,D.W.Fower,E.H.Foley,G.J.Rogers,S.Watanachet,及びM.J.Jung,プレキャスト構造用途に対応した自己強化コンクリート:混合配合、作業性、及び初期硬化特性(Self-consolidating concrete for precast structural applications:mixture proportions,workability,and early-age hardened properties), 交通研究センター(Center for Transportation Research),Project 0-5134-1(2008)で指摘されたように、de Larrardの圧縮充填モデルが、おおよそ球状の粒子の2つ以上の粒子グループから成る複合材料を含む多数の粒状複合材料の空隙率を、過大評価することが知られている。A.B.Yu,R.P.Zou,及びN.Standish,非球形粒子混合物の空隙率を予測する線形充填モデルの修正(Modifying the linear packing model for predicting the prosity of nonspherical particle mixtures)、Ind.Eng.Chem.Res.35,3730-3741(1996)で論議されたように、このことはまた、線形充填モデル及びこれらモデルの非球形粒子への拡張についても当てはまる。
当該GCDEPを使用すると、本明細書における例示が表すように、いくつかのその他の結論に反して、粒状複合材料の組み合わされた容積分布における「ギャップ」は、このギャップのサイズ及びこれらの複合材料を形成するために混合された個々のグループの容積比率が、共に注意深く選ばれた場合に、ギャップ無しよりはるかに低い空隙率及び相対粘度に繋がる。当該GCDEPを使用した例はまた、目的の粒子サイズの範囲において、1)より小さな粒子が、より大きい粒子により形成された機械的に安定な構造の空隙内に収まるという仮説を立てたアプローチ、及び2)より小さな粒子が、より大きい粒子により形成された機械的に安定な構造の空隙内に収まるという仮説により持ち込まれた誤差を修正するアプローチ、の両者により達成できるものよりさらに大きい、空隙率及び相対粘度の低減を達成できることを表している。当該GCDEPは、DSMG構造の産出を進めるために設計された新規アプローチを介してこれらの低減を達成できる。
任意の粒状複合材料の構成成分に対する容積確率密度関数は、多数の異なる方法で、容易に実験的に決定できる。1つの方法は、標準的なふるいを用いての方法であり、一般的にそのサイズがミクロンからセンチメーター尺度の範囲の多数のタイプの粒子に有用である。より小さな粒子に対しては、走査型電子顕微鏡及び画像解析技術を使用して、または特別な小粒子用ふるい、または卓上の遠心分離器を使用して、その分布を決定できる。ここには記述されない他の方法と共に、ふるいと遠心分離機による方法はまた、粒子を分離するために使用でき、その分離(または組み合わせ)は、前述の「GCDEPグループ基準」に合致する必要がある。容積分布を決定するために使用される正確な手順は、当該GCDEPとは無関係であるが、そのプロセスを使用する際に、その手順における正確性の増加が、空隙率及び相対粘度を低減させることができる限りにおいては、関連がある。
これ以降、我々は、その粒子ルグープが、「2峰」の複合材料として当該GCDEPグループの基準に合致している、2つの異なるグループからの異なる量の粒子の組み合わせによって作られる材料を指して、「3峰」複合材料として、その基準に合致している3つの異なるグループから作られる複合材料を指して、「4峰」としての4つのセットなどを指して、粒状複合材料と呼ぶ。このコンセプトは、個別グループの粒子の任意の2つの容積確率密度関数(または通過曲線)の間に多少の重なりがある場合、個別グループからの異なる量の粒子の組み合わせを含む粒状複合材料の空隙率を減らす観点から、最も有効に適用される。しかしながら、当該GCDEPは、個別の分布間で大きな重なりがある場合、その結果、一般的に粒子の組み合わされたセットの空隙率が高くなるとしても、同様に容易に適用できる。
その核心は、当該GCDEPが、特定の相対容積率において、実験精度内で、空隙率の計算法を含む低い空隙率及び相対粘度を達成するために、セットがGCDEPのグループ基準に準拠した2つ以上の粒子グループを含むことを条件として、これらグループの組み合わせを可能とすることができることである。これ以前に使用したように、「相対粘度」は、構成成分間の空隙を満たす母材料を含む、粒状複合材料の粒子の相対粘度を指し、ここで母材料に対する構成成分の比率は固定されている。
しかしながら、当該GCDEPはさらに、GCDEPのグループ基準に準拠した3つ以上の粒子グループのセットから、空隙率及び相対粘度を最小化またはほぼ最小化する粒子グループのサブセットを選定するために、最適化法を組み合わせて使用でき、そのセットからのすべての可能なサブセットグループの組み合わせを与えることができる。この項は、当該GCDEPに取り込まれたステップの記述及び粒子グループへのこれらステップの実際の適用例を含む。以下の項は、当該GCDEPを使用して、3つ以上の粒子グループのセットからサブセットグループを選択し、そのためすべてのサブセットの粒子グループに対する空隙率が、最小化またはほぼ最小化する方法の記述及びその例示を含む。
C.当該GCDEPの精度の改善
低空隙率の粒状複合材料を創出する際に、当該GCDEPを採用する前に、その粒状複合材料を構成する利用可能な粒子材料を特定できる。例えば、3Dプリンティングのプロセスで使用するインクを創出する場合において、どんな初期材料が、最終のプリント部材となるかは、一般的に公知である。実施例は、チタンのような純成分、ステンレス鋼及びTi6-4などの合金、炭化チタンまたは窒化ガリウムなどのサーメット、及び砂/アルミニウムなどの混合相の複合材料を包含する。どんな材料が利用可能かに関して、一旦その詳細が確立されれば、それらの混合方法についての計画が開発できる。当該GCDEPは、どんな材料であれ、一旦方法が選ばれ、低減された空隙率及び相対粘度を得るために、おおよその割合でそれらが混合されるならば、それを禁止してはいないことに留意することが重要である。
当該GCDEPに対して、特定の知識が有用である。この知識には、選ばれたグループまたはグループの粒子の概算の容積確率密度関数(または通過曲線)を含み、粒子グループが、当該GCDEPのグループ基準に準拠していることを確認できることが必要である。あるいは、前述のように、粒子の最終セットが、当該GCDEPのグループ基準に準拠するように、粒子グループを分離または組み合わせることができる。例えば、粒子サイズが広い範囲に至る容積分布を示す粒子グループのケースにおいて、このグループを、特定のサイズの粒子を除くことにより、2つ以上の異なるグループに分割でき、そのため各新規の粒子グループは、ギャップによってその他のグループから離され、及びその新規セットにおいて、そのグループが、当該GCDEPのグループ基準に準拠する。これらのステップがとられた場合、その容積分布はより精度が増し、当該GCDEPの混合比の精度がより増して、及びそれゆえにより低く可能な空隙率及び相対粘度を達成できることに留意することが重要である。
直接的な実験よりむしろ、当該GCDEPのステップ1(より詳細は以下で論議)を完遂するためにルックアップ表またはアリゴリズムを使用する場合に、その粒子グループの容積分布に加えてさらなる情報が必要になる。この情報は、どのようにその粒子が混合されるか(例えば、重力下で緩慢に混合されるかまたは圧縮されるか、振動、振とう、など)と同様に、粒子間の粒子配置及び摩擦的(例えば、静電気、ファンデルワールス力、他)な相互作用につていの詳細を含む。よく知られている材料については、この情報は、関連の文献に見出すことができ、またはこの情報の近似値が、計算可能である。当該GCDEPの適用に際して、正確な情報は必要ないが、しかし一般的により精度の高い情報は、当該GCDEPを使用して開発された最終的な粒状複合材料の空隙率及び相対粘度を低減する結果に繋がる。
当該GCDEPのグループ基準に準拠する3つ以上の粒子グループを含むセットに対して、当該GCDEPを適用する前に、以下のサブセット及びスーパーセットの定義に従い、粒子グループのセットのすべてのサブセットから成るスーパーセットが与えられねばならない。サブセット{j}が、V/V=10,000である容積の範囲[V,V]に及び、その範囲[V,V]に含まれるグループ平均粒子容積を持つすべての粒子グループから成り、ここで{j}は、「最大の」サブセット「i」を要求し、すなわち、{j}に含まれるすべての粒子グループを含み、{j}iより大きな粒子グループのサブセットはない。この定義によって、1つの粒子グループは、1つ以上のサブセットに属することができる。すべてのサブセット{j}のスーパーセット{i}は、すべての粒子グループに固有な最大サブセットから成る。このコンセプトを、図6に解説する。このように、3つ以上の粒子グループから成るセットに対して、本発明は、その粒子グループのセットを、当該GCDEPのグループ基準に一致したサブセットに分割するための基準を熟考する。
D.GCDEPのステップ
当該GCDEPのステップは、以下のように1つの実施形態に要約できる。
1.一サブセット内の粒子グループが、空隙率を減らすように組み合わされる時の相対容積を決定する。このステップは、コンピューターシミュレーション、実験、またはルックアップ表を使用して達成できる。すべての3ケースの事例を以下に与える。
2.粒子のサブセット(サブセットは、前項で明確に定義されている)におけるステップ1で決定される情報を考慮し、達成されるおおよその空隙率の計算を含む、そのセット全体の粒子グループが空隙率を減らすように組み合わされた相対容積を、本明細書に記載の公式に沿って計算する。
重要な点は、粒子グループが、単一サブセットのみから形成される場合、及び粒子グループの観点から、サブセットが重複しない場合には、ステップ2は、必要ない。しかしながら、粒子グループの観点で重複している複数のサブセットについてさえ、当該GCDEPの前述のステップ2を使用するよりも、最小空隙率構造を見出すためのシミュレーション、データテーブル、または実験に(ステップ1として)着手できる。
ここでより詳細にこのステップを参照すると、当該GCDEPの最初に要求されるステップは、当該GCDEPのグループ基準に準拠する粒子グループのセットに対して、各サブセット内の粒子グループがその空隙率を最小にするように混合される時の相対容積を決定することである。これは、その容積分布、おおまかな粒子形状、及び粒子間の摩擦による相互作用が公知であると仮定して、適切に設計された実験を使用し、またはルックアップ表またはコンピューターシミュレーションを使って実験室的に達成できる。各グループが、摩擦の無い球体の単一サイズから成る2つの粒子グループの最小空隙率を決定する、1つのコンピューターシミュレーションの使用が、Hopkins,Stillinger,及びTorquato(前述)の研究に記述されている。Hopkins,Stillinger,及びTorquatoの研究に使用されたコンピューターシミュレーションのアルゴリズムはまた、3つ以上の粒子グループをシミュレーションでき、及びそれは、より微粒子のグループ及び非常に非球面な形状を含むことで、計算時間を増加させるが、任意の形状及び摩擦相互作用を持つ非球状粒子を考慮に入れることができる。このTJアルゴリズムは、定義の項で、より詳細に記述する。
粒子グループの容積確率密度関数を使用して、いくつかのケースの場合、当該大離散比アプローチを使用して、最小空隙率が現れる相対グループ容積を、わずかの誤差で、おおまかに計算することができる。これは、一般的に以下のケースである。1)大粒子グループの小粒子グループに対する平均粒子容積の比率が、少なくとも10,000である場合、及び2)最小空隙率に対応した相対容積を持つグループの混合物に対して、個々の容積分布が両粒子グループの総容積の約3%を超えて大きい容積範囲に及び、両グループの組み合わされた容積分布の積分値が、両粒子グループの総容積の約10%以上を含まない。これらの「重複積分ガイドライン」における数字3%及び10%は、正確な境界であることを意図していないことに留意することが重要である。むしろ、この大まかな記述の意図は、既存のデータを基に、2つの粒子グループが、当該大離散比アプローチを使用して処理される場合の推定を行うことである。
仮に当該大離散比アプローチが採用できる場合、2つの粒子グループの混合は、これ以前で記述したDSMG構造のいくつかのまたはすべての明瞭な特徴をはっきりと示す構造にはならないであろう。しかしながら、相分離が、平均粒子容積のより大きい比率ではより頻繁に及びより簡単に起こるので、相分離の可能性を考慮する必要があろう。相分離が無いケースにおいて、当該大離散比アプローチにおける総充填率φ(1-空隙率に等しい)は、大容積粒子のみを含む粒子セットの充填率φ及び小容積粒子のみを含む粒子セットの充填率φを伴う、φ=φ+(1-φ)*φで容易に計算される。より小さいセットからの相対粒子容積xは、x=((1-φ)*φ)/φに従い、及びより大きいセットからの相対粒子容積xは、x=1-x=φ/φに従う。
3つ以上の粒子グループから成るサブセットに対しては、実験に手間と時間がかかるが、最小空隙率が現れるサブセット内の粒子グループの相対容積を見出すために、実験が利用できる。2つの粒子グループのみを考えて、グループが最小の空隙率を得るために混合される場合における相対容積を決定する、1つの実験手順を記述する。当該GCDEPは、空隙率を最小に決定する任意の実験手順の使用が可能であれば、むしろこの手順を使用するように要求はしない点に留意することが重要である。しかしながら、ある粒状複合材料の空隙率及び相対粘度を低下させる程度は、採用する手順の精度に依存するので、このため、精度を保証するために、実験を非常に注意深く実施することを推奨する。
そのような1つの手順においては、非常に正確に容積を計測できる容器及び正確なはかりが必要である。高精度に対応した、当該容器は、その粒子の大きいセットにおいて粒子の平均最長線形範囲の少なくとも100倍の長さ及び幅(または直径)、及び高さが測定できねばならない。加えて、粒子の容積を計測する際は、その容器に充填された測定高さが、その大きいグループの粒子の平均最長線形範囲の少なくとも100倍であるように、十分な粒子が当該容器に入っていなければならない。これは、その複合材料の境界壁の影響のためであり、より大きな粒子が入らない壁に対して、より小さい粒子をその空隙に膨大な量を積み上げることで、より大きい粒子が、その複合材料の表面に蓄積できる。
例えば、細長くより大きい粒子でその小さい粒子の125倍の平均容積を有し、及び両者がそれらの平均容積の10%未満の標準偏差を有する、2つの粒子グループのセットを考える。仮に最小の空隙率を得るために、容積比が、小25%、大75%で、その複合材料の最大粒子の最長線形範囲の1000倍の直径及び高さの容器中で混合され、次いで仮にその複合材料の最大粒子の最長線形範囲の10倍の直径をもつ容器を使用する場合、その最小空隙率は増加し、及びこの空隙率を生み出すために見出される混合比は、おおよそ70%のより大きい粒子、30%のより小さい粒子になるであろう。このおおまかな近似は、より大きい粒子の平均最大範囲の長さの2分の1以内で境界壁に近ければ、その複合材料は、より大きい粒子のセットから50%の粒子容積、そのより小さいセットから50%の粒子容積を含む、という仮定に基づいている。事実、これは、大変に粗い近似で、境界の実際の影響としては、機械的に安定な粒状複合材料における粒子間の空間相関により、より大きい粒子の平均最大範囲の長さの2分の1より、その境界から非常に離れても実際の影響を受ける。さらに、より小さい及びより大きい粒子形状、粒子間の摩擦相互作用、及び粒子と境界間の摩擦相互作用が、粒子を容器に入れる方法と同様に、境界効果に影響を与えるであろう。したがって、境界の相対的な影響を減らす最良の方法は、その容器をより大きくし及びより多くの粒子容積でそれを満たすことで、充填容器の表面相対容積を増やすことである。
一旦、容器を選定したら、各セットにおける個々の粒子のゼロ空隙平均密度(密度分母の容積から空隙を排除することで計算される密度)を、得なければならない。特に、その粒子材料が知られており及びそれらの特徴を文献で調べることができれば、これを達成する数多くの方法がある。密度を決定する方法は、当該GCDEPにとって重要ではないが、密度における大きな誤差は、粒子グループを混合した時に大きな空隙率及び相対粘度の結果に繋がるであろう。
密度データを使用して、各個別の粒子グループの空隙率が決定されるべきである。この決定は、非限定的に、その容器をはかり上に置き、その質量を考慮して、単一グループからの粒子で、そのグループにおける平均最長線形範囲の少なくとも100倍の高さまで、その容器を満たすこと、を含む多数の方法で達成できる。粒子で満たした容器と粒子の無い容器間での質量の違いは、その容器中の粒子容積で割られ、そのグループの個別粒子の平均密度で割られた、その充填率(1-その空隙率に等しい)である。この測定は、高い統計精度を得るために、何度も繰り返し及び結果を平均する必要がある。
はかりと容器を使用した容積及び質量の測定を実施する際、それ以前とほぼ同じやり方で各複合材料の構造を調合するために、最新の注意を払う必要がある。複合材料の調合は、空隙率に強く影響するので、この方法には、当該粒状複合材料の使用が期待できる最終用途に反映される必要がある。例えば、仮にその最終用途において、当該粒状複合材料が、圧縮されるなら、その調合には、圧縮ステップが含まれねばならない。仮にその最終用途において、当該粒状複合材料が、溶媒中に置かれるならば、その調合に加える(及びこの溶媒の質量を考慮して、適切に計算に反映する)必要がある。
2つの粒子グループの混合を考慮する以外に、このアプローチを繰り返す必要がある。繰り返すが、この2つの粒子グループの混合は、当該複合材料の最終用途において現れる混合を反映するように、注意を払う必要がある。より大きいグループからの粒子のみで開始でき、次いでそのより小さいグループからの粒子の質量を増やしながら混合し、またはより小さいグループからの粒子で開始し及びより大きいグループの粒子の質量を増やしながら混合する。当該粒状複合材の容積率は、混合物に、粒子の小量を加える各ステップ及び初期の混合方法で再混合するステップの後で、計算する必要がある。より小量の質量増分は、最大密度が現れる際の容積率のより精度の高い決定に繋がるであろう。このケースの場合、当該容積率は、この容器内の混合された複合材料の容積で割った、この容器内の質量における各グループの粒子のゼロ空隙率の総和に等しい。各粒子グループに対して、そのゼロ空隙率容積は、そのグループ内の粒子のゼロ空隙率平均密度で割った、その容器内の粒子の質量として計算される。この実験全体は、高い統計精度を得るために、何度も繰り返し及び結果を平均する必要がある。
より小さいかより大きいどちらかのグループからの粒子の相対容積の関数として、充填率曲線をプロットし、はっきりと異なる極大値を生み出す(ここで各ポイントにおける相対容積は、その容器の質量における両グループのゼロ空隙率容積の総和で割られた、その容器の質量における単一グループからの粒子のゼロ空隙率容積として計算される)。この極大値及びその周辺での複合材料は、前述のDSMG構造のいくつかのまたはすべての特徴を示す構造を有する。一般的に、絶対的相対的小粒子グループ容積率が、その極大値の約10%未満まで、及びその極大値から約30~50%を超えて大きい範囲までの混合物は、当該DSMG構造の特徴のいくつかまたはすべてを示す。それらの特徴において、その極大値未満のまたはそれを超えて大きい絶対的相対的小粒子グループ容積率の単位における正確な距離は、粒子のサイズ及び形状、容積分布、混合法、及び粒子間の摩擦相互作用に依存して検出できる。
仮に、2つ以上の粒子グループが考慮される場合、記述のように、その実験手順は、3つ以上のグループの粒子の組み合わせを使用して実施できる。これは、非常に時間を費やすが、しかし当業者は、密度の極大値を生み出しやすい、粒子グループのペアーの実験で得られる、相対容積率に焦点を当てることで時間短縮できる。3つ以上のグループのケースにおいては、密度における1を超える極大値が現れ得て、それら極大値の中の最大値を特定すれば、全体として複合材料の空隙率及び相対粘度をより大きく低減できるであろう。
一旦、すべてのサブセットに対して空隙率の最小化を生み出す相対容積を決定すれば、そのセットにおける相対容積率は、低空隙率及び相対粘度のDSMG構造が、単一の技術を使用して良い近似に決定できるように、組み合わされる必要がある。この技術は、必須ステップではないが、当該GCDEPの第二ステップであり、サブセットへの分割が、完全に必要ではなく、このステップは単純に、時間節約のために迅速で比較的正確な近似を可能にする。粒子グループの単一サブセットのみがある場合、この第二ステップは、すべてに必要というわけではなく、及びサブセット間に重複がない場合、すなわち、同じ粒子グループを含む2つのサブセットが無い場合、この第二ステップは、数学的には単純である(非常に正確ではあるが)。
この技術において、次の表記が使用される。すべてのサブセットのスーパーセット{i}、ここで最大平均粒子容積を持つ粒子グループは、セットi=1に従い、及びすべての残りのサブセットにおいて(セット1にのみ従う粒子グループを除く)、最大平均粒子容積を有する粒子グループのサブセットは、セットi=2である、などとなる。各セット「i」に含まれるすべての粒子グループのサブセットは、{j}であり、ここで「j」は、最大グループがj=1で、次に大きいグループがj=2であり、そうした粒子グループである。したがって仮にサブセット2が、第二、第三、及び第四番目に大きい粒子グループを含む場合、{2,3,4}が、そのセットの表記である。一サブセットにおける各グループの空間占有率は、混合実験、シミュレーション、ルックアップテーブル、またはその他の手段を使って当該GCDEPのステップ1から見出されるが、φi,jであり、及び、その空隙に従い、粒子の各サブセット「i」は、空隙による空間占有率φiv及びサブセット{j}におけるすべての「j」の総和を伴い、1=Σjiφi,j+φivである。当該GCDEPの第二ステップに採用されるφi,jは、サブセット「i」の混合に対応した空隙率における極小値に現れるφi,jである必要はない点に留意することは重要である。しかしながら、精度をよくする技術として、各サブセット「i」に対して使用されるφi,jは、当該GCDEPの第一ステップで決定される実際の混合曲線(または表面)に位置付けられる必要がある。これ以前に論議したように、DSMG構造は、空隙率の最小値を生み出すφi,j値から離れたφi,j値の範囲に形成でき、及び当該GCDEPの第二ステップは一般に、値のこの範囲に適用する。
本技術の定性的な概要は、以下の通りである。粒子グループ間で重複するサブセットのペアーの組み合わせを考える場合、いくつかの粒子グループは、それらのサイズが非常に近いので、「相互作用」するであろうし、一方で、より小さいサブセットの最小粒子グループからの粒子は、より大きなサブセットの最大粒子グループからの粒子が、限られた空隙の境界であるかのように、すなわち、これらのグループが「非相互作用的」であるかのように挙動するであろう。これを念頭において、最大粒子グループで境界とされた、最小粒子グループからの粒子のみで満たされる自由空間の容積がある。以下の表記において、添え字「1」で終わるこれらの容積、すなわち、添え字{α}及びサブセット「i」に対して、これらの容積は、V{α,α,...,α(i-2),α(i-l),1}で表記される。
粒子グループの最終容積率の計算における用語に関連する各サブセットの容積空間の数字は、フィボナッチ数列に従う。第一サブセットの計算は、1つの容積のみを要求し、Vで表される(Vは、充填された空間容積に等しくなければならず、容積率の用語は、V=1で記述される)。第二サブセットは、V00及びV01の二つの容積を要求し、第三サブセットは、3つの容積を、第四サブセットは、5つの容積を、第五は8つの、というようにフィボナッチ数列に従う。2変数の添え字表記において、添え字の数字は、サブセット番号「i」を示し、用語「0」は、サブセット「i」のすべての粒子グループにより可能な(及び占有された)容積を示し、及び用語「1」は、サブセット「i」の最小粒子グループのみに、すなわちサブセット「i-1」ではなく「i」に属するグループで、可能な容積を示す。さらに、下付き文字「1」は、その他の下付き文字「1」に隣接することはできず、あるサブセットのより最小粒子にのみ可能な値は、次のサブセット「i+1」に対して、その「i+1」のサブセットにおける最小粒子のみに可能な「追加の」値を含むことができない。添え字におけるこれらのルールに従うことは、サブセット「i」の容積の数は、フィボナッチ数である「i+1」に対応している。例えば、その第四サブセットは、5つの容積V0000、V0100、V0010、V0101、及びV0001を含み、及び「5」は、第五フィボナッチ数である。図8は、サブセット{1,2}、{2,3}、{3.4.5}、{5,6,7,8}、及び{8,9}に対するこれら容積の計算を解説している。
この技術に対して、単一粒子グループ(混合しない)Pの空隙率が、必要になることがある。さらに、3つ以上の粒子グループを含む特定のサブセットに対する特定のケースでは、より大きなグループまたはそのサブセットからのより大きなグループを除いた粒子グループの混合を考慮した情報が必要になる。この要求を、以下のステップ3に記述する。以下に記述される技術において、数量φは、目的の粒子グループからの粒子が、最終複合材料の混合物に占める総空間の容積率を表す。この技術は、サブセットの各連続するペアーが、粒子グループが無いかまたはそれらの間に単一の粒子グループのみをシェアする場合、若干より精度が上がる傾向にある。したがって、これらのケースが最初に論議され、次いで任意の2つのサブセットが、特殊なケースとして後述する複数の粒子グループをシェアするケースが論議される。
この技術は、以下の通りである。
1)第一サブセットi=1として開始し、サブセット1のすべての「j」に対するφは、φ1jに等しいとする。
2)粒子グループが、サブセット間でシェアされる場合、次のサブセットのすべての容積V{α}、すなわち第二サブセットi=2のV00及びV01を計算する。
a.「0,0」で終わる最後の2つの下付き文字「α(i-1),α」の任意の容積に対して、V{α,α,...α(i-2),0,0}=V{α,α,...α(i-2),0}*(φ(i-1),j/φi,j)であり、ここで「j」は、両サブセット「i」及び「i-1」にシェアされる粒子グループを指す。例えば、仮に隣接するサブセット{4,5,6}及び{6,7,8,9}に対してi=4ならば、V0000=V000*(φ3,6/φ4,6)、及びV0100=V010*(φ3,6/φ4,6)である。仮に、V{α,α,...α(i-2),0,0}が、V{α,α,...α(i-2),0}より大きければ、V′{α,α,...α(i-2),0,0}=V{α,α,...α(i-2),0}及びV′{α,α,...α(i-2),0}=V′{α,α,...α(i-2),0,0}/V{α,α,...α(i-2),0,0}を計算する。V{α,α,...α(i-2),0}及びV{α,α,...α(i-2),0,0}の代わりに、V′{α,α,...α(i-2),0}及びV′{α,α,...α(i-2),0,0}を各々使用して、そして後続のすべての計算において、V{α,α,...α(i-2),0}を要求する任意のその他容積を、代わりのV′{α,α,...α(i-2),0}を使用して計算する。
b.「1,0」で終わる最後の2つの下付き文字「α(i-1),α」についての任意の容積に対して、V{α,α,...α(i-2),1,0}=V{α,α,...α(i-2),1}であり、サブセット「i-1」のみに属する粒子グループはないと仮定する。仮に、あるとすれば、サブセット「i-1」に属すがサブセット「i」には属さないすべての粒子グループの最小空隙率の混合物により占められる空間率が、判っている必要がある。これら比率は、φi’,jで記述され、及びV{α,α,...α(i-2),1,0}が、V{α,α,...α(i-2),1,0}=V{α,α,...α(i-2),1}*(φ(i-1)′,j/φi,j)として計算されるのに使用され、ここで「j」は、両サブセット「i」及び「i-1」によりシェアされる粒子グループを指す。例えば、サブセット{2,3,4},{4,5,6}及び{6,7,8,9}に対して「i=4」の場合、V0010=V001*(φ3′,6/φ4,6)であり、ここで、φ3′,6は、粒子グループ5及び6の混合物の空隙率を最小化するグループ6の容積率を表す。
c.「0,1」で終わる最後の2つの下付き文字「α(i-1),α」の任意の容積に対して、V{α,α,...α(i-2),0,1}=V{α,α,...α(i-2),0}*(1-Σφ(i-1),j)-V{α,α,...α(i-2),0,0}であり、ここでφ(i-1),jの総和は、サブセット「i-1」に属するがサブセット「i」には属さない粒子グループ「j」のすべてのφ(i-1),jを含む。例えば、サブセット{2,3,4},{4,5,6}及び{6,7,8,9}に対して「i=4」の場合、V0101=V010*(1-φ3,4-φ3,5)-V0100である。
3)いずれの負の容積V{α,α,...α(i-1),1}に対しても、当該GCDEPの最初のステップに見出されるφi,jに調整が必要である。以下の2つの見解が可能である。すなわち、第一グループが一般的に第二グループより全体として若干低い空隙率になっている、及び第二グループが一般的に、比較的相分離が少ない。
a.φ′(i-1),(j=x)に対してφ(i-1),(j=x)を減少させる、ここで、φ′(i-1),(j=x)は、サブセット「i」の最小容積V{α,α,...α(i-1),1}がゼロである値と定義され、及びここで粒子グループ「j=x」は、両サブセット「i」及び「i-1」に属する。φ(i-1),jの代わりにφ′(i-1),jを使用して、サブセット「i」に対するすべての容積V{α}を再計算し、及びすべての以降の計算をφ(i-1),jの代わりにφ′(i-1),jを使用して進める。
b.サブセット「i」の容積計算に対してであるが、その他の容積計算に対してではなく、φ′(i-1),jに対してφ(i-1),jを比例して減らし、ここでφ′(i-1),jは、最小容積V{α,α,...α(i-1),1}がゼロである値と定義され、及びここで粒子グループ「j」は、サブセット「j」ではなくサブセット「i-1」に属するすべてのグループである。φ(i-1),jの代わりにφ′(i-1),jを使用して、サブセット「i」のすべての容積V{α}を再計算する。仮にこのステップが採用され、サブセット「i-1」及び「i-2」に対してφを計算する場合、この減らしたφ′(i-1),jを使用する必要がある。
4)すべてのサブセットに対して容積が計算されるまで、ステップ2)及び3)を繰り返す。
5)その容積V{α}を使用し各粒子グループ「j」に対するφを計算する。
以下の式において、ステップ3で論議されたφ′i,jは、指示される場合φi,jと置き換えられる。「i=1」で始まる各サブセット「i」に対して、サブセット「i」より小さい、いかなる「i」にも属さない粒子グループ「j」が考慮される。
a.サブセット「i」のみに属する粒子グループがないサブセット「i」の粒子グループに対して、φ=φi,j*ΣV{α,α,...,α(i-1),0}+φ(i+1),j*ΣV{α,α,...,α(i-1),1}であり、ここで第一総和は、下付き文字「1」で終わらないサブセット「i」のすべてのV{α,α,...,α(i-1),α}の和であり及び第二総和は、下付き文字「1」で終わるすべてのV{α,α,...,α(i-1),α}の和である。仮に「i」より大きい添え字のサブセットが無い場合、(1-P)値は、式の第二項において、φ(i+1),jと置き換わる。例えば、i=4であるサブセット{2,3,4},{4,5,6},{6,7},{7,8,9}に対しては、φ=φ4,7*(V0000+V0100+V0010)+φ5,7*(V0001+V0101)である。仮に前述の例で、サブセット5が、混合されていない場合、φ=φ4,7*(V0000+V0100+V0010)+(1-P)*(V0001+V0101)である。
b.サブセット「i」のみに属する粒子グループ「j」があるサブセット「i」の粒子グループに対しては、φ=φi,j*ΣV{α,α,...,α(i-1),0}+φi′,j*ΣV{α,α,...,α(i-1),1}であり、ここで、そのφi′,jは、ステップ2b)で計算されたもの、すなわち、サブセット「i」ではなくサブセット「i-1」に属するすべての粒子グループの最小空隙率の混合物で占められる空間率と同じである。例えば、i=4であるサブセット{2,3,4},{4,5,6},及び{6,7,8,9}に対しては、φ=φ4,7*(V0000+V0100+V0010)+φ4′,7*(V0001+V0101)、φ=φ4,8*(V0000+V0100+V0010)+φ4′,8*(V0001+V0101)、及びφ=φ4,9*(V0000+V0100+V0010)+φ4′,9*(V0001+V0101)であるようにφ、φ及びφが計算される。
6)サブセット間に粒子グループがシェアされていない場合、すべてのサブセットのスーパーセットは、各サブセットが、そのセットに少なくとも1つのその他の粒子グループをもつ粒子グループをシェアするようなサブセットのセットにサブ分割できる。例えば、{1,2},{2,3},{4,5,6},{6,7},{8}は、{1,2},{2,3};{4,5,6},{6,7};及び{8}の3つのセットに分割でき、各サブセット「i」に対するそのセット自身の各容積である(V1){α}、(V2){α}、(V3){α}は、ステップ1)から前述の6)を通して記述される方法で計算される。唯一の違いは、(V1)=1の場合、例えば、(V2)は、1-セット1に属する粒子グループの総空隙率に等しく設定され、(V3)は、1-セット1及び2に属する粒子グループの総空隙率に等しく設定される、等である。前述の例を使用すると、(V2)=1-φ1-φ2-φ3、及び(V3)=1-φ1-φ2-φ3-φ4-φ5-φ6-φ7=V20-φ4-φ5-φ6-φ7である。
2を超える粒子グループが、サブセット間で重複する場合、前述の6ステップ技術のステップ2a及び2bに対する修正が必要になる。この修正は単純である。つまり、サブセット「i」の容積計算に際して、(φ(i-1),j/φi,j)(ステップ2a)または(φ(i-1)′,j/φi,j)(ステップ2b)で乗算する代わりに、すべての重複グループ容積率φi,j及びφ(i-1),jを考慮した一般的な減少要因を使用する必要がある。例えば、サブセット「i」及び「i-1」の間で重複するグループj1、j2に対して、重複グループの平均容積率である(φ(i-1),j1+φ(i,j),j2/φi,j1+φi,j2)(ステップ2a)または(φ(i-1)′,j1+φ(i,j)′,j2/φi,j1+φi,j2)(ステップ2b)を、元の要因である(φ(i-1),j/φi,j)(ステップ2a)または(φ(i-1)′,j/φi,j)(ステップ2b)に代わって、各々採用できる。この平均を、同様に3つ以上の重複グループに拡張できるあるいは、仮に2つの重複グループの小さい平均容積率に対して大きい平均容積率が、例えば、1,000を超えて大きい場合、それらが重複しているという事実を無視することができ、及び、容積計算の目的に対して、大きい平均粒子サイズのグループは、サブセット「i」に属さないと仮定できる。例えば、目的グループ{1,2,3}及び{2,3,4}に対して、その要因(φ1,3/φ2,3)を、V00の計算に使用できる。このケースにおける重複の無視は、最終算出の空隙率において、精度をわずかに減少させる結果になるであろう。
前述の6ステップ技術におけるすべてのその他のステップに対して、単一の重複グループに適用する任意の言語は、すべての重複グループへの適用に拡張できる。例えば、仮に減少要因を計算するために平均容積率を使用する場合、ステップ2cにおいて、i=4であるサブセット{3,4}、{4,5,6}、及び{5,6,7}に対して、サブセット3及びサブセット4の両方に属すグループ5及び6としては、V0101=V010*(1-φ-φ3,5)-V0100よりむしろV0101=V010*(1-φ)-V0100である。しかしながら、仮にグループ6のみが重複していると仮定するならば、その時は、前述のように、V0101=V010*(1-φ-φ3,5)-V0100である。
E.空隙率を最小化する粒子グループの選定法
多数の実用的な環境において、粒子形成が可能な材料は、多数のグループに分割でき、または複合材料が形成できる可能性のある多数の粒子グループが存在する。例えば、コンクリート製造においては、しばしば便利な場所にある採石場または現場に近いその他の骨材生産施設には、10~50種の異なるタイプの骨材がある。または、付加製造においては、特定の平均粒子容積及び標準偏差基準に合致する、特定分子の組成物の粉体材料が製造(または注文)できる。一般的に、小さい比率範囲内の平均容積を持つ多数の粒子グループが利用可能である場合、例えば、最小平均容積に対する最大平均容積の比率が1,000,000である利用可能な10グループがある場合、粒状複合材料を構成するすべての利用可能なグループを使用しても、最小空隙率を生み出さないであろう。これらのケースにおいては、低空隙率を達成するための正しいグループ選択が重要である。
粒子グループを選定するためのいくつかの「経験則」は、a)小粒子の平均容積に対する大粒子の平均容積率が、25を超えて大きくしかし2,000未満である、隣接するグループを選ぶ、b)可能な場合、より小さい相対標準偏差を有するグループ(例えば、隣接する粒子グループの、小粒子の平均容積に対する大粒子の平均容積率が小さい場合、算術標準偏差が平均粒子容積の30%未満であるグループ)を選ぶ、及びc)高い平均真球度をもつグループ、及び混合法に、圧縮または振動ステップを含まない場合ならば、静摩擦係数の小さいグループを選ぶ、である。
第一基準(a)は、空隙率の低減と相分離傾向の低減のバランスを反映している。異なる粒子グループを混合する際、空隙率と相分離傾向の両方が、多様な要因に強く依存している。しかしながら、小粒子の平均容積に対する、大粒子の平均容積率が比較的小さい隣接する粒子グループは、相分離を起こすのははるかに容易ではないが、しかし高密度構造を形成しない傾向があり、一方小粒子の平均容積に対する、大粒子の平均容積率が比較的大きい隣接する粒子グループは、相分離をより起こしやすいが、しかし相分離しない場合には高密度構造を形成する傾向がある。第二基準(b)は、連続的な粒子分布と隣接する十分なサイズのグループ間の違いを反映しており、仮に粒子グループが、当該GCDEPの基準で記述されるように明確ではない場合、これらのグループは、混合された時に高密度ではない充填になる傾向がある。第三基準(c)は、複数の粒子グループの混合に対する一般的なガイドラインを反映しており、高角度、非球面粒子のグループは、小粒子の平均容積に対する、大粒子の平均容積率が比較的大きいこと及び減少した空隙率の複合材料になるように混合するための、特に注意深い調合の両方が必要である。低い静摩擦係数を持つ球状粒子を使用する場合、低い空隙率を達成するのはより単純である。
粒状複合材料の空隙率と、非限定的に、相対粘度及び相分離傾向を含む、その他の望ましい物理的特徴とのバランスをとるには、粒子グループの物理的特徴、物理的相互作用、サイズ分布、粒子の幾何学形状、混合法、及び潜在的な他の要因などについて相当な知識が必要である。しかしながら、これら重要な要因のいくつかまたはすべてについての目的とする十分な知識、望ましい結果(例えば、相対粘度についての修正上限を与えられた特定の用途で、相分離しない最小空隙構造を見出すことを含む)を達成するために混合する粒子グループの選択は、最適化問題として粒子混合を考慮することにより、獲得することができる。
当該GCDEPのグループ基準に準拠する粒子グループのスーパーセットが与えられた場合、当該GCDEPの最初のステップは、その粒子グループのサブセットから成る粒状複合材料の空隙率を最小化する最適法と組み合わせて使用できる。このアプローチは、図6に解説される例のように、粒子グループのスーパーセットをさらにサブセットに区分することにより、及び当該粒状複合材料の用途に対応して混合され、その混合物の各グループの相対容積の関数としての、そのサブセットの空隙率の知識により支援される。N個の粒子グループ「j」を含む目的のサブセット[i]に対して、これらの空隙率は、容積率φi,jnに対応してP(φi,j1,φi,j2...φi、jN)として記述することができる。
これらの空隙率関数P(φi,j1,φi,j2...φi、jN)が与えられた場合、グループ選択問題は、Σ(N-1)に等しい多数の変数における非線形プログラミング問題になり、ここでその総和は、すべてのサブセット[i]の和であり及び用語「マイナス1」は、空隙率P及びφi,jnの「N-1」が与えられたという事実のためであり、その最後のφi,jnが決定できる。当業者にはなじみのあるこれら方法は、前述の6ステップの近似技術または考案された任意のその他の正確なサブセットの組み合わせを使用したプログラミング問題の目的関数を構成できる。標準的な制約条件は、この問題に含まれ得て、例えば、φi,jn>=0、または相分離を減らすために、任意の量において、最小空隙率に対応したφi,jnより大きい任意のφi,jnを設定することできる。制約条件はまた、6ステップの近似技術のステップ3を組み入れて設定できる。非限定的に拡張ラグランジュ関数、準ニュートン法、バリア関数、共役勾配法などを含む、任意の正確なプログラミング技術を、それ自身または低減した空隙率の解を得るためにその他の方法との組み合わせで、使用できる。これら方法の使用においては、多数の粒子グループに対して、j=jnの場合は常に多数の容積率φi,jnがゼロであり、グループ「j」が、その最終複合材料に含まれない可能性が高いことを示している。この非ゼロ容積率φi,jnは、その最終複合材料に含まれるべきグループを示している。
各サブセットのφi,jnにおける関心の範囲にわたるP(φi,j1,φi,j2...φi、jN)の部分的知識を得るのは、時間のかかる方法が必要になる。しかしながら、この知識は、当該最適化法には一般的には必要ない。むしろ、そのペアーの小粒子の平均容積に対する大粒子の平均容積比が、10,000未満であるような粒子グループのペアーの混合に対応しての部分サブセット空隙率関数Pj1,j2(φi,j1,φi,j2)、及び小粒子の平均容積に対する大粒子の平均容積比が、10,000未満であるような3つの粒子グループの混合に対してのその関数Pj1,j2、j3(φi,j1,φi,j2,φi,j3)を得るには、サブセット[i]の粒子グループ数が大きい場合は、より実用的である。同じ容積比の基準下での4、5、6などの粒子グループがまた、採用される。しかしながら、粒子グループの特別に大きなスーパーセットが与えられる場合、先に指摘した「経験則」が、望ましい空隙率関数の数を減らすために、使用できる。
図6に示される例であるが、部分サブセットの空隙率関数Pj1,j2,…(φi,j1,φi,j2,…)及びそのサブセットの分離手順が与えられる場合には、当業者ならば、前述の6ステップの近似技術を使用してプログラミング問題に対応した目的関数を構築できる。制約条件は、全体の関数P(φi,j1,φi,j2...φi、jN)を使用した時と同じ方法で、追加できる。さらに、このアプローチでは、Pj1,j2,…(φi,j1,φi,j2,…)が、図6に解説されるサブセットの分離手順を使用してサブセットを形成するように、そのPj1,j2,…(φi,j1,φi,j2,…)のセットのみに対応した粒子の目的関数のグループにおける使用が必要である。その結果、各々、Pj1,j2,…(φi,j1,φi,j2,…)の異なるセットに対応した目的関数及び制約条件を持つ、複数の異なるプログラミング問題を考慮し及びそれを解くことが必要であろう。しかしながら、これらのプログラミング問題は、Pj1,j2,…(φi,j1,φi,j2,…)が単純な形式のために、目的とする各プログラミング問題における変数の削減を解決するには、大幅に時間効率がよいであろう。
最終的に、完全なまたは部分的な空隙率関数P(φi,j1,φi,j2...φi、jN)及びPj1,j2,…(φi,j1,φi,j2,…)は、大幅に空隙率を減らした粒状複合材料を達成するために混合するグループの大きなスーパーセットからの選択には、必要ない。各空隙率関数P(φi,j1,φi,j2...φi、jN)からの単一ポイント、または選ばれたセットのPj1,j2,…(φi,j1,φi,j2,…)の各々からの単一ポイントが与えられる場合、ここでPj1,j2,…(φi,j1,φi,j2,…)のセットの各々が図6に解説されるサブセットの分離手順を使用してサブセットを形成し、前セクションのサブセクションBに記述の6ステップ手順が、低減された空隙率の混合物を得るために使用できる。特に、与えられたポイントが、その空隙率関数の最小空隙率またはほぼ最小空隙率であれば、前セクションのサブセクションBに記述の6ステップ手順は、大幅に低減された空隙率の混合物を生み出すであろう。
好適な実施形態の記述
前述のように、1つの実施形態において、本発明は、非限定的に、選択的レーザー焼結法(Selective laser sintering, SLS)を含む、付加製造を熟考する。SLSは、プロトタイプモデル及び機能性部品の製造に使用される技術である。SLSは、粉体材料を焼結するパワー出力源としてレーザーを使用し、固体構造を創出するためにその粉体を互いに結合させる。レーザービームの照準が、粉体層の上をスキャンし及びその粉体または粉体の一部を焼結するように切り替わる。粉体が供給され、及び完全な部品になるまで、連続的な焼結層が形成される。当該粉体は、プラスチック、金属、セラミック、炭化物、ガラス、ポリマー物質(と同様これらの組み合わせ)を含み得る。
選択的レーザー焼結法及び直接金属レーザー焼結法(Direct Metal Laser Sintering、DMLS)は、本質的に同じ方法であるが、SLS法は、多様な材料-プラスチック、ガラス、セラミックに適用するプロセスを指し、DMLS法はしばしば、合金に適用するプロセスを指す。しかし、融解または「融合」とは別の焼結装置であるということは、焼結のプロセスが、粉体を完全には融解しないが、粉体が分子レベルで共に融合することができる点まで加熱する、ということである。
一方で、選択的レーザー融解法、またはSLM(しばしば、直接金属レーザー融解法、またはDMLM)は、完全融解に達するようにレーザーを使用する。このケースの場合、その粉体は、単に共に融合するだけでなく、実質的に融解して均質な部品になる。融解は一般に、1種の材料(純水なチタン、またはTi6-4のような単一合金)に対し有益である。対照的に、複数材料、合金、または合金、または合金とプラスチック、セラミック、ポリマー、炭化物、ガラスなどのその他材料の組み合わせで稼働する場合、SLSまたはDMLSを使用するのが、最近は一般的である。
本発明は、増加した空隙率の粉体を使用して、SLS及びDMLSを熟考する。さらに、そのような粉体は、SLM及びDMLMに対応すると期待される。
一般に、粉体などの複合材料を使用した付加製造の分野では、ほとんどの業績が、複合材料の構造を最適化することを期待して行われてはいない。この分野の専門家の間でさえ、非常に空隙率を減らした複合材料が生産でき、それら複合材料が、容易には相分離せず及び標準的な用途に使用するには十分なほど、依然として可鍛性である、ということは知られていない。選択的レーザー融解法または選択的レーザー焼結プロセスに採用される金属及びセラミック粉体は一般的に、約30%から50%の空隙率を示す。レーザー焼結及びレーザー融解プロセスにおける粉体空隙率の効果が主題の、利用可能な少ない学術文献において、最低で25%空隙率が生み出されている。E.O.Olakanmi,K.W.Dalrarno,及びR.F.Cochrane,ブレンドされたAl-Si粉体のレーザー焼結(Laser sintering of blended Al-Si powders),Rapid Prototyping Journal 18,109-119(2012)。低空隙率の粉体に取り組んだ一連の業績が少ない理由は、非限定的に、a)空隙率25%未満の粉体を使用する利点の範囲が、判っておらず、及びb)容易に相分離せず、容易に加工できる可鍛性を維持する(すなわち、十分に低い粘度を有する)粉体を製造し、及び約25%未満の空隙率を示す低コスト生産プロセス、が判っていない、ことを含んでいる。
金属、セラミック、サーメット、ガラス、炭化物、またはレーザーまたは他のプロセスにより集中融解する他の高融点温度の粉末を使用する付加製造プロセスに一般的なプロセス改善として、空隙率20%以下の粉体と定められる、低空隙率粉体の使用と利点を記述する。これらの低空隙率粉体は、粒状複合材料の密度向上またはいくつかの他のプロセス(この区別は、詳細を以降に論議する)のいずれかにより生産できる。低空隙率粉体の使用は、金属、サーメット、セラミック、ガラス、ポリマー、及び任意の元素や分子の組成物の合金から成る粉体粒子で始めることができる。特に、空隙率20%の閾値は、現在の付加製造プロセスにおいて使用及び使用可能な粉体の空隙率の上限を反映する低空隙率の粉体に用意される。
業界及び研究団体が行う付加製造においては、時には、粉体の空隙率の低減に対するいくつかの利点が認められている。レーザー融解及びレーザー焼結のプロセスにおいて、ローラーまたは振動ホッパーを使用して時々採用される「圧縮ステップ」は、レーザーエネルギーを使用した融解または焼結の前に、粉体の空隙率を約35~50%から約25~30%に下げるためであることは明らかである。しかしながら、これまで検討されてきたいくつかのケースでは、これらの値を超えて空隙率を減らすことは、しばしば望ましいとはされない。例えば、レーザー焼結部品のレーザー焼結プロセスにおける、粉体の空隙率低減のある影響におけるデータを含むいくつかの研究の1つは、「[その他]の研究からの結果は、レーザー焼結成分のプロセス条件、緻密化、及びマイクロ構造において、粒子の充填配置の特徴が有するのは、どの直接的な影響であるか、を完全に定めることができていない」、と述べている。E.O.Olakanmi et al.(既述)を参照。Olakanmiらは、空隙率がおおよそ28%から37%の範囲の金属粉体を研究した。彼らの低空隙率粉体のいくつかは、望まれた非常に高密度のプリント部品を生み出したが、その他のケースにおいては、彼らは、そのプリント部品とその粉体の空隙率の間に、「強い相関がない」ことを見出した。彼らは、彼らの研究の実験パラメーターを超えた空隙率低減は、レーザー焼結プロセスにおいて有益であるかどうかは明確でない、と結論づけた。
これらの結論とは文字通り対照的に、本発明者は、低空隙率粉体を採用することによる、レーザー融解及びレーザー焼結プロセスに対する広範囲な利点を特定した。これら利点の討議は、以下のようである。
空隙率の低減は、粉体において、特に粉体層が薄くなればなるほど、例えば、100μm未満の厚みの層に対して、レーザーエネルギーの全体的な吸収を増加させる。この吸収率の増加は、そのプリントチャンバーの環境中に散乱するより、さらに多くのレーザーエネルギーが、粒子の融解に使用され、低空隙率の粉体を使ったプリントをより効率的にすることを意味する。レーザー融解及びレーザー焼結プロセスには、高価で高出力のレーザーが必要なので、望ましいレーザー出力を低減する能力は、プリンターのレーザー部品における大幅なコスト削減に繋がる可能性がある。例えば、レーザー融解プロセスにおける、約65μmの表皮厚みを有する約40%空隙率の標準チタン合金の粉体と、約20μmの表皮厚みを有する約10%空隙率の低空隙率チタン合金の粉体の吸収率比較では、その低空隙率粉体は、おおよそ2.5倍多くのレーザーエネルギーを吸収し、それゆえに60%低いレーザー出力の使用が可能になる。
空隙率の低減はまた、粉体の横方向加熱におけるレーザーエネルギーの横方向の散乱を減らし、加熱がより、集中される。このことは、より一体化された、より制御された融解または焼結プロセスに繋がる。
空隙率の低減は、粉体の熱伝導率を指数関数的に増加させる。このことは、粒子間により多くの接触を有する低空隙率の粉体に存在する、増加した伝導経路数の一部によるものである。40%空隙率の粉体から5%空隙率の粉体への熱伝導率の増加は、10倍から50倍であり得て、及びこの変化は、レーザー融解及びレーザー焼結プロセスに対して、多数の改善をもたらすことができる。
この熱伝導率の増加がもたらす1つの改善は、加熱、融解、及び再固化の際の粉体層に存在する温度勾配を大きく減らすことである。この低減された勾配は、250,000ケルビン度/cm以上の大きさにできる。より大きな温度勾配は、液体のある部分におけるより大きな熱膨張、及びそれゆえに、液体から固体へのより大きな容積変化を意味し、金属固体において、より粒子と粒子間の境界での再固化のムラ(クラックを含む)に繋がる。それゆえ、増加した熱伝導率を持つ粉体は、より少ない粒子境界及びクラックの再固化が可能になる。このことは、歪みのかかった、高温、及び腐食の条件下でのその固体のより大きい強度及びより大きな耐久性と、同様に、より多くの熱流及びそれゆえの融解のための改善された部品の表面構造に繋がる。
粉体の高い熱伝導率による減少した温度勾配はまた、粉体の下部の金属材料にも及ぶ。このことは、より多くの既にプリントされた層が、その粉体が、相対的に高い熱伝導率を持つ場合に、より高い温度で加熱されることを意味し、金属のより多くの焼鈍処理を意味し、粒子境界の削減及び一般的により一体化した最終部品の微細構造に繋がることを意味する。このことはまた、界面エネルギーが、界面全体にわたり低い温度勾配以下で減るので、最終プリント固体において気孔形成に繋がる望ましくない、液体金属の表面の「玉状」を、削減する傾向に繋がる。
相対的に高い粉体の熱伝導率はまた、レーザー融解またはレーザー焼結プロセスの間に示される相対的に低い最大温度に繋がる。最大温度における差異は、その粉体表面での最大温度(液化し、時に沸騰する)が生じる、1,000ケルビン度を超えることができる。相対的に高い最大温度は、より強い酸化を意味し、それは、酸化誘発の球状及び酸化不純物の導入になるので望ましくない。相対的に高い最大温度はまた、その表面液体のより多くの「飛び跳ね」を意味し、より粗い表面及び微小または大きな気孔形成の可能性をもたらす。気孔の形成は、固体部品の脆弱さ、耐久性の低下、耐腐食性の低下に繋がる。相対的に高い最大温度はさらに、合金において、より相分離しやすく、例えば、液体ステンレス鋼において、その表面に炭素を移行させる、ことを意味する。相分離は、脆弱な構造及び層の剥離にさえ繋がるので、望ましくない。
空隙率の低減はまた、粉体構造の粒子間の空隙に存在する超高温ガスの量を減らす。ガスは、融解及び再固化プロセスの間に放出されねばならず、この点は重要である。固化処理の間のガス放出は、粒子境界形成と共に、微小及び大きな気孔形成に繋がる可能性がある。
非限定的に、これらの先に討議した点を含めた利点のために、及び粉体を伴う付加製造のプロセスにおける相対的高密度の粉体の採用の影響を検討した過去の研究で、結論が出ていないという特徴と、及び空隙率が20%以下の実用可能な(十分に低い粘度及び最小の相分離を意味する)粉体生産の一般的な実践において、これまでは不可能であったということのために、本発明者は、複合材料の層が、空隙率20%以下を示す粉体を使用した連続的な最終製品の形成における、焼結または融解される付加製造プロセスの一般的なプロセス改善を提案する。粒状複合材料の密度向上のプロセスにおいて、非限定的に、金属、合金、セラミック、サーメット、及びガラスを含む異なる範囲の材料からそのような粉体を製造する方法を、上述する。粒状複合材料の密度向上のプロセスを使用した、空隙率20%以下の実用可能な粉体を生産する方法の特定例を、当該実施例の項で提示する。その他のプロセスを使用した、空隙率20%以下の実用可能な粉体を生産する方法の特定例もまた、その実施例の項に見出せる。
直接金属融解焼結法(DMLS)または選択的レーザー融解法(SLM)のプロセスに対応した粉体化金属インクを採用する際、本明細書に記述の粒状複合材料の密度向上プロセスに従って生産されるインクを使用して、プリント速度を、劇的に向上させることができる。「性能向上インク」を、おおよそ同じサイズ、ほぼ球状粒子から成る標準的金属粉体と比較する(例示の方法で)ことは、有益である。このインクの融解時間が、プリント速度における制約要因になると仮定すると、当該性能向上インクの増加した熱伝導率及び低い空隙率のために、最小で50~100倍のプリント速度の増加が期待される。これらの計算は、約1気圧での自然な背景ガスNiまたはArを仮定し、及びTi、Ti合金、ステンレス鋼、銅、ニッケル基超合金、酸化アルミニウム、タングステンカーバイド、及び1W/mKより大きい容積熱伝導率を持つその他材料を含む、各種の金属、セラミック、炭化物、及びその他のインクに対して有効である。より低い圧で及びより高い容積熱伝導率を持つ材料に対して、その速度増加は、より著しい。プリント速度の増加は、容積、せん断及びヤングモジュラスの著しい増加(すなわち、機械的強度の増加)、及び電気的熱的伝導率の著しい増加を伴う。
我々が、「性能向上インク」を、おおよそ球形の粒子の2つのサイズの混合物から成る金属粉と比較する場合(例示の方法で)、容積で、そのより大きい粒子は、そのより小さい粒子の約100倍であるとみなされる。このインクの融解時間が、プリント速度における制約要因になると仮定すると、当該性能向上インクの増加した熱伝導率及び低い空隙率のために、5~25倍のプリント速度の増加が期待される。これらの計算は、約1気圧での自然な背景ガスNまたはArを仮定し、及びTi、Ti合金、ステンレス鋼、銅、及び1W/mKより大きい容積熱伝導率を持つ任意のその他金属成分または合金を含む、各種の金属インクに対して有効である。より低い圧で及びより高い容積熱伝導率を持つ材料に対して、その速度増加は、より著しい。プリント速度の増加は、容積、せん断及びヤングモジュラスの著しい増加(すなわち、機械的強度の増加)、及び電気的熱的伝導率の著しい増加を伴う。さらに、気孔率及び欠陥の減少のために、最終プリント製品において、高品質のプリント製品の再現性の著しい改善が期待される。機械的強度、電気伝導性、及び再現性の増加は、一般的な粉末インクでは、それらと比較しても、それほど極端ではないと予想される。
性能向上インクの記述において、記憶すべき最も重要なポイントは、たとえ同じ空隙率(空隙率は、単一の合金または成分が特定された場合は、密度と交換可能である)であっても、異なる微細構造が、粘度、伝導率(プリント速度に関連する)、及び機械的強度を含む異なる特徴をもたらすことができる。
実験
実施例1.
これは、当該GCDEPを使用しない、付加製造プロセスに対応した高密度粉体の製造の一例である。Ti6-4(Ti-6Al-4V、または(重量で)約6%のアルミニウム、4%のバナジウム、及び非限定的に鉄及び酸素を含むいくつかの最小微量成分を含むチタン)。この例においては、平均粒子サイズが大きく異なる、商用純度のTi6-4粒子の2グループを、空隙率が約18%の圧縮された金属粉を生産するために使用する。第一粒子グループは、8,000μm3の平均粒子容積(約25μmの有効直径)及び5μmの小さい直径標準偏差を有するほぼ正規分布の容積を示す。第二グループの容積は、有効直径に従うほぼlog正規分布(粒子有効直径のlog関数または粒子容積のlog関数としての、ほぼ正規分布の通過曲線、及びまた容積確率密度関数を意味している)であり、0.5μm3(約1μmの有効直径)の平均粒子容積及び0.5μmの直径標準偏差を有する。両粒子グループは、高真球状(真球度>0.95)であり、及び同じグループ内の粒子間の摩擦相互作用係数は、約0.28であり、その粒子を取り囲む薄い自然酸化膜(厚み<5nm)が存在していることを示す。第一グループの非圧縮充填率(粒子で占められる空間率)は、0.60であり、第二グループのそれは、0.595であり、それらグループの真球度及び摩擦係数と一致している。より大きいグループのより小さいグループに対する質量比が、71%対29%であるように、振動なしで徹底的に混合した場合、その容積材料の空隙率は、おおよそ18%であろう。例えば、振動させた場合には、これら粒子は、相分離する傾向を有するため、正確な空隙率は、混合方法に大きく依存する。相分離した混合物は、約40%の空隙率を示すであろう。空隙率18%を達成するためには、最小の振動で上下に徹底的に混合することと圧縮ステップの必要がある。例えば、付加製造において、仮に100μmの混合粉体の層を、ローラーを使用して堆積させ、このローラーで、わずかに高さを低くして、その堆積層に2回目のローラーをかけ、それでその混合物を圧縮する。このケースの場合、その層の表面は、塊状態に比べてより高い空隙率を示すであろうが、約10~20μmの深さであろう。
実施例2.
これは、当該GCDEPを使用しない、付加製造を目的とした高密度粉体の生産の一例である。316スレンレス鋼(約16.5%の炭素、12%のクロム、3%のニッケル、1.4%のモリブデン、0.8%のケイ素、及び微量のリン、硫黄、他の成分)。この例において、約50nmの平均粒子有効直径(65,000nm3の有効容積)、0.86の真球度、及び0.52の摩擦係数を有する連続的な、ほぼlog正規分布サイズ(直径)確率密度関数を示す、単一グループにおける商用純度のステンレス鋼の粒子が、約20%の空隙率の粉体生産に使用される。これを達成するためには、その粒子グループの幾何学的標準偏差は、約5.5μmでなければならず、粒子の総容積の5%が、直径が1mmを超えて大きい(及び40%が、直径で100μmを超えて大きい)ことを意味している。このケースの場合、相分離の心配はないであろうから、付加製造に対して、振動ステップが、空隙率を減らすのに有効であろう。しかしながら、1mm層のレーザープロセスは、複雑であるし、レーザーが、最初に照射される表面から1mmのその層の底部を、融解温度まで加熱するのに必要な時間量により、均一な粒子の融解(最小の蒸発を伴う)が阻害される。さらに、より小さいナノメータースケールの粒子は、容積に対して非常に高い比表面積を有し、非限定的に、静電気力、カシミール及びファンデルワールス力を含む力の影響により多くさらされ、それら粒子が、互いに及び大きな粒子に「吸着」を起こす。静電気力を無効にするために、最小残留電荷の環境(「静電気の無い」環境)が重要であり、及び20%空隙率の達成には、追加の圧縮ステップが必要であろう。
実施例3.
これは、当該GCDEPを使用した高密度粒状複合材料の生産の一例である。>0.98の高真球度及び<0.05の低い静摩擦係数を有する鉛ガラス(またソーダ石灰ガラスとも呼ばれる)ビーズの2つのグループを、肉眼で見えるフィルターを形成するために混合した。より大きいビーズのグループは、直径が10mmで、より小さいグループは、直径が2mmである。ビーズ混合物は、非常に一様であり、すなわち、各グループの容積確率密度関数の標準偏差は、ほほゼロである。表1は、多様な小球体平均直径の大球体平均直径(及び容積)に対する比における、無摩擦球体のシミュレートされた混合物(シミュレーションは、TJアルゴリズムを使用して実行された)に対応した、多数の臨界空隙率の一覧であり、表1を参照すると、最小空隙率21.6%が、20.6%の小球体の相対容積率に現れることを見出す。この空隙率を達成するために、圧縮または振動ステップは必要なく、過剰な振動は、これらサイズ比におけるビーズの相分離に繋がるであろう。混合すると、シミュレーション値の0.9%以内に現れる、最小空隙率21.4%が見出され、シミュレーション値の2.4%以内に現れる、20.1%の小球体の相対容積率が見出された。より小さい小球体の相対容積率において見出されるやや低い空隙率は、混合中に現れるより大きい球体のいくらかの序列の結果であるらしかった。図7は、これら試験の実験室的な装置を示す画像を含んでいる。この画像中のビーカーには、相対容積率が約17.5%の2mmビーズ及び相対容積率が82.5%の10mmビーズの、空隙率22.2%の混合物が入っている。この画像は、ビーズのこの直径比に対応した最小空隙率構造を捉えてはいない。
前述したビーズと同じ物理的特徴を示す1mmと10mmビーズの混合物に対して、25.0%の小ビーズの相対容積率で、17.7%の最小空隙率が見出された。これは、シミュレーションで予測した小球体の、最小空隙率の0.6%以内であり、臨界相対小球体容積率(表1に示されるデータ)の0.4%以内に現れた最小値である。
前述したビーズと同じ物理的特徴を示す1mmと3mmビーズの混合物に対して、24.5%小球体の相対容積率で、28.8%の最小空隙率が見出され、これは、シミュレーションで予測した小球体の、最小空隙率の0.7%以内であり、相対小球体容積率(表1に示されるデータ)の0.4%以内に現れた最小値である。
実施例4.
これは、当該GCDEPを使用した高密度粒状複合材料の生産の一例である。高真球性(真球度>0.95)で、非常に低摩擦(静摩擦係数が0.07、動摩擦係数が0.03に等しい)の二硫化タングステン粒子の2つのグループを、最小空隙率になるように混合した。第一ルグープは、標準偏差が0.9μm平均サイズが約10.1μmの正規直径分布を示し、及び第二グループはまた、標準偏差が0.14μmで、平均サイズが約1.4μmの正規直径分布を示す。その摩擦係数が非常に低く、真球度は、1に非常に近く、及び平均粒子サイズのパーセンテージとしての標準偏差は、大変に小さいので、これら粒子グループは、摩擦の無い球体と見なすことができる。表1を参照し、空隙率を最小化する混合物が、22.4%の小粒子の相対容積率において、空隙率18.7%で現われることが決定される。これらの値は、小粒子直径の大粒子直径に対する比、0.10及び0.15に対応して、表で与えられる値から、1.4/10.1=0.137の直径比への直線外挿により決定する。低摩擦係数であるため、低空隙率を達成するための振動または圧縮は必要ないが、しかし相分離を誘発することのない混合手順において起きる、いかなる静電気力を打ち消すには、圧縮ステップは、時に必要であり得る。
実施例5.
これは、当該GCDEPを使用した高密度粒状複合材料の生産の一例である。非球面性の高い、高摩擦係数粒子で、砕石及び砂から成る3つのグループを、セメント水から成るペーストと混合し、コンクリートを作る。この例においては、コンクリートを形成するために必要なセメント量を最小化し、そのためそのコンクリートは、依然として「施工可能」であり、依然として流れ及び、圧縮後、肉眼で見える気孔を残さないように鉄筋周りの空間を満たすことを意味している。粒子の最大グループは、0.21の平均真円度、2.79g/cmの密度、0.56の平均真球度、及び0.92の静摩擦係数を有する非常に細長い粉砕花崗岩から成る。その粒子は、4.00mm及び4.18mmのふるいの間で、ふるい分けられ、4.00mmから4.18mmのほぼ一様なサイズ分布を持つ、4.09mmの数平均サイズを産出する。この粒子グループの空隙率(それ自身の)は、P1=52%である。第二粒子グループは、0.54の平均真円度、2.66g/cm3の密度、0.76の平均真球度、及び0.70の静摩擦係数の天然砂から成る。その粒子は、1.00mm及び1.25mmのふるいの間で、ふるい分けられ、1.00mmから1.25mmのほぼ一様なサイズ分布を持つ、1.13mmの数平均サイズを産出する。これもまた天然砂である第三のグループは、0.15mm及び0.20mmのふるいで、ふるい分けられること以外は、第二グループと同じ特徴を示し、0.18mmの平均サイズで0.15mmから0.20mmのほぼ一様な粒子分布を生み出す。第二グループは、P=45%の、及び第三グループは、P=44%の(それ自身の)空隙率を示す。第四粒子グループは、ポートランドグレイのセメントから成り、そのセメントは、0.78の平均真円度、3.15g/cmの密度、0.88の平均真球度、及び0.38の静摩擦係数を示す。その容積確率密度関数は、約97,500μm(直線サイズの単位で57μm)の算術標準偏差の、ほぼlog正規分布している、およそ33,500μmの平均粒子容積(有効線形サイズ(直径)が40μm)であり、セメント粒子の容積の97%は150μmより小さい線形サイズ(69%は75μmより小さい)を有することを意味する。そのセメントの空隙率は、30%である。しかしながら、そのセメントのサイズ分布及び平均粒子容積は、そのセメントが水と化学反応する際(粒子は小さくなり)に変化し、そのサイズ分布及び平均粒子容積は、このケースでは無視される。水と反応を考慮するとこれは可能であるが、しかし、最小の砂粒子が、よりセメント粒子のサイズに類似していれば、そのセメントの平均粒子容積及びサイズ分布を、無視できないであろう。
この3つの粒子グループを、図6に描いた方法を使用して、サブセットに分割することで、{1,2}及び{2.3}の2つのサブセット粒子グループを生み出す。このケースにおいて、各サブセットに対応した、最小空隙率が出現する小粒子グループの相対容積率を、前述のサブセクションBにおいて記述した実験法を使用して、実験的に決定する。前述のように、容積率の測定には、振動または圧縮ステップは用いられなかった。サブセット1に対して、第2グループ粒子の相対容積率が40%において、最小空隙率44%になる。サブセット2に対して、第3グループ粒子の相対容積率が24%において、最小空隙率26%になる。前述のサブセクションBにおいて記述した、当該GCDEPの第二ステップを使用して、第一グループ粒子の容積率は、φ=0.56*0.60=0.336であることが見出され、及び第二グループ粒子の容積率は、φ=0.56*0.40=0.224であることが見出される。容積率V00=0.398、及びV01=0.266であり、φ=V00*φ2,3+V01*(1-P)=0.220を生み出す。第三グループ粒子の容積率は、(1-0.364-0.358)*0.56=0.156であることが見出される。この骨材混合物の空隙率は、22.2%である。
3つの骨材グループの混合物に、水と共にセメントーペーストを加える。骨材間の空隙を満たすのに少なくとも十分なペーストでなければならないが、しかしながら一般的には、水を含んだコンクリート混合物が流れるように、より多くのペーストが加えられる。センメントペーストの特性は、混合された水の量に依存するので、あらかじめ設定した質量比率で、センメントと水を、普通は組み合わせる。しかしながら、その骨材の水吸収を考えて、過剰な水を加える必要がある。骨材の各グループ1、2、及び3は、各々、1.1%、1.5%及び1.6%の質量の水分を吸収する。このケースにおいては、セメント1g当たり0.45gの水及び骨材吸収を考えてさらにセメント1g当たり0.09gの追加の水と共に、総混合物質量の11.9%の質量比率でセメントを加えた。仮に、セメントと水が、混合でそれらの密度を維持すると仮定するならば(すなわち、化学反応を無視する)、(水対セメントが0.54対1の質量比率における水の添加と共に)その骨材中の空隙率を満たす必要のあるセメントの質量比率は、10.0%になるであろう。しかしながら、粘度改善のために過剰なセメントが添加されるので、構成成分の最終質量比率は、グループ1対グループ2対グループ3対セメント対水で36.1%対23.0%対22.5%対11.9%対6.5%であった。この比率は、容積比で、計74.6%の骨材、9.4%のセメント、及び16.0%の水を表わしている。
実施例6.
これは、当該GCDEPを使用した高密度粒状複合材料の生産の一例である。球状のキャストタングステンカーバイド(WC)粉から成る第一、第二の構造材グループ、及びコバルト(Co)粉から成る第三の結合剤グループの3粒子グループを、選択的レーザー焼結法に対応する複合材料の粉体を形成するように混合する。このWC粒子は、高い真球性を持ち(平均真球度>0.97)及び少量の潤滑剤の添加により0.08の低い静的摩擦係数を示し、この潤滑剤は、焼結中の低い温度(<500℃)で燃焼する。第一粒子グループは、114μmが平均粒子容積で、111μmから118μmの一様なサイズ分布を有する。第二粒子グループもまた、23μmが平均粒子容積で、20μmから26μmの一様なサイズ分布を有する。最初のこの2粒子グループにおける高い真球度及び低い摩擦係数を考慮すると、これらのグループは、摩擦の無い球体であると見積もることができる。コバルト粒子は、丸みを帯びたやや非球面粒子であり、0.84の真球度及び0.37の静摩擦係数を有する。それらの容積は、0.25μm3の算術標準偏差(約0.78μmの有効直径標準偏差)を伴う平均径が約0.4μm3(0.9μmの有効直径)のほぼlog正規分布である。このコバルト粒子は、31%の非圧縮空隙率を示す。図6に解説した方法を使用してこの3グループをサブセットに分割し、2つのサブセット{1,2}及び{3}を生み出し、第三グループは2つのより大きなグループによって残された空間にはまると仮定されるのに十分小さい。
このケースにおいて、当該付加製造プロセスにおける各ステップで焼結される粉体層の厚みは、250μmから350μmである。層の表面厚みの変動を最小化するためには、最初の2つの粒子グループのセットの混合において、最小空隙率は求められておらず、しかしむしろ、混合物が(容積で)35%の23μm粒子を含み、それにより、より大きい粒子を希釈され、そして外表面厚みの変動を減らすことが求められる。表2は、多様な小球体平均直径の大球体平均直径に対する比率における、摩擦の無い球体のシミュレーション混合に対応した、小球体の異なる相対容積率に対する空隙率値の一覧であり、この表2を参照して、65%の第一グループと35%の第二グループの混合物の非圧縮空隙率は、24%であると決定される。理想的な加工プロセスにおいては、融解したコバルトは、WC混合物内の気孔空間に浸透し及び完全に満たす。非圧縮コバルト粉の31%空隙率においては、グループ1対グループ2対グループ3の粒子の容積比が、0.65対0.35対0.35になる必要がある。質量比で記述すれば、グループ1対グループ2対グループ3の粒子は、55%対30%対15%である。グループ2のWC粒子に対して、コバルト粒子は相対的に小平均粒子サイズなので、そのWC粒子からのコバルト粒子の相分離を最小化するには、焼結前に、圧縮ステップが必要であろう。
ほとんどの加工プロセスにおいて、一部においては液体及び固体コバルトの密度が異なるために、レーザー焼結を経て生産された材料は、多孔質になり、及びそのためにこの実施例に使用されるコバルトより少ない質量が必要になるであろう、ということに留意する必要がある。
実施例7.
これは、当該GCDEPを使用した高密度粒状複合材料の生産の一例である。各々約89.5%のチタン、6%のアルミニウム、4%のバナジウム、0.3%の鉄及び0.2%の酸素、及び微量成分から成る、Ti6-4粒子の4グループを、レーザー融解付加製造プロセスに対応した粉体形成のために混合する。第一粒子グループは、0.97の平均真球度、0.25の静摩擦係数を示し、及び302μmの平均粒子容積(8.3μmの有効直径)を伴う240μmから380μm(7.7μmから9.0μmの有効直径)の粒子容積によりほぼ一様に分布する。第二グループは、同様の平均真球度及び静摩擦係数を示し、及び4.8μmの平均粒子容積を伴う、2.5μmから7.1μmの粒子容積(1.7μmから2.4μmの有効直径)においてほぼ一様に分布している。第三粒子グループは、0.91の平均真球度、0.37の静摩擦係数を示し、及び0.075μm(525nmの有効直径)の平均粒子容積及び約0.015μmの標準偏差を伴う容積確率密度関数においてlog正規分布している。第四粒子グループは、0.87の平均真球度、0.42の静摩擦係数を示し、及び0.000697μm(110nmの有効直径)の平均粒子容積及び約0.000290μmの標準偏差を伴う容積確率密度関数においてlog正規分布している。図6に解説の方法を使用してこの4グループをサブセットに分割し、2つのサブセット{1,2,3}及び{3,4}を生み出す。
既知のこのサイズ分布、真球度及び静摩擦係数を伴い、TJアルゴリズムを使用したシミュレーションで、そのサブセットに対して現れる最小空隙率及び相対容積関数を生み出す。この複合材料は、処理の前に圧縮するので、圧縮もまた、そのシミュレーションに考慮し、第一、第二及び第三グループが65.8%:19.7%:14.5%の相対容積関数における12.3%の第一サブセット空隙率、及び第四グループが22.3%の相対容積関数に現れる23.4%の第ニサブセット空隙率を生み出し、ここでその第四グループの粒子自身は、P4=38.8%の空隙率を示す。前述のサブセクションBに記述のように、当該GCDEPの第二ステップを適用し、V00=0.213及びV01=0.0437を生み出し、そしてφ=0.578、φ=0.172、及びφ=0.127を伴い、φ=V00*φ2,4+V01*(1-P)=0.0589を生み出す。これは、グループ1対グループ2対グループ3対グループ4の粒子の相対容積関数が、61.7%対18.4%対13.6%対6.3%である時の、最終空隙率6.4%を与える。
実施例8.
これは、当該GCDEPを使用した高密度粒状複合材料の生産の一例である。高純度(>99.0%)のアルミナ粉(Al)の7グループを混合し、高圧(200MPa)で圧縮し、及び顆粒アーマーとして使用するために、1550℃で固体焼結を行う。この粒子グループは、以下の特性を有する。
1.第一グループは、高さ12.2mm及び直径8.6mmの円柱形状(約0.87の真球度)から成り、容積が680から740mm(710mmの平均容積)でほぼ一様な分布を示す。それら粒子の摩擦係数は、0.34である。
2.第二グループは、容積が19.5mm3から22.0mm(21.8mmの平均容積、3.4mmの有効平均直径)でほぼ一様に分布する、角のある非球面粒子(0.72の真球度)から成る。それら粒子の摩擦係数は、0.74である。
3.第三グループは、容積が0.55mm3から0.9mm(0.73mm3の平均容積、1.1mmの有効平均直径)でほぼ一様に分布する、角のある非球面粒子(0.75の真球度)から成る。それら粒子の摩擦係数は、0.59である。
4.第四グループは、0.0016mm3の平均容積及び0.0004mmの標準偏差(145μmの有効平均直径)の容積で正規分布する、高真球粒子(0.98の真球度)から成る。それら粒子の摩擦係数は、0.17である。
5.第五グループは、容積が5100μmから6050μm(5580μmの平均容積、22.0μmの有効平均直径)でほぼ一様に分布する、高真球粒子(0.97の真球度)から成る。それら粒子の摩擦係数は、0.21である。
6.第六グループは、5.2μm(5.1μmの有効平均直径)の標準偏差を伴い、平均容積が69μmでlog正規分布する、丸みを帯びた、やや非球面粒子(0.88の真球度)から成る。それら粒子の摩擦係数は、0.38である。
7.第7グループは、0.05μm(0.8μmの有効平均直径)の標準偏差を伴い、平均容積が0.27μmでlog正規分布する、やや丸みを帯びた、非球面粒子(0.84の真球度)から成る。それら粒子の摩擦係数は、0.47である。
図6に解説の方法を使用してこの7粒子グループをサブセットに分割し、5つのサブセット{1,2,3}、{3,4}、{4,5}、{5,6}、及び{6,7}を生み出す。各サブセットに対して、圧縮の間に大きな気孔がないことを保証するために、より小さい球体の相対容積を、最小空隙率に対応した容積に比べて約20%大きく選ぶ。TJアルゴリズムを使用したシミュレーションを、第一サブセットの望ましい相対容積を決定するために使用して、14.5%の最小圧縮空隙率を生み出すが、しかしながら、採用する容積率に対しては、第一グループ対第二グループ対第三グループの相対容積が46.4%対25.9%対27.3%で、圧縮空隙率が16.9%になるように、決定する。第二サブセットに対して、第四グループ粒子の相対容積率と空隙率の曲線を決定するために、実験が行われる。その結果は、第四グループ粒子の相対容積率が28%で現れる圧縮空隙率は、18.8%であるが、そのサブセットの混合物に対しては、相対容積率で33.5%の第四グループ粒子が使用される時に、与えられる空隙率は、19.7%である。第三サブセットに対して、圧縮下においては、両グループの粒子は、無摩擦の球体であると見積もることができる。ルックアップ表2を使用して、小直径の大直径に対する比が0.15の時、線形補間を使い、グループ5の粒子の相対容積率が27%の時点での空隙率19.9%を得る。第四及び第五サブセットに対して、TJアルゴリズムを使用したシミュレーションを取り入れ、その最小空隙率が現れる相対容積率の値より約20%上回る、より小さい粒子の相対容積率の値を再び使用する。このアプローチは、よりより小さい粒子の相対容積率が、各々29.5%及び25.2%の時点で現れる空隙率25.5%及び21.8%を生み出す。粒子グループ7の、それ自身の圧縮空隙率Pは、34.2%であるとシミュレーションされた。実験では、33.9%のPが求められ、その値が使用された。
本明細書に記述する6ステップ法を使用して、当該サブセットを組み合わせる。
以下の値が、計算される。
1.V=1、φ=0.386、φ=0.215、φ=0.227
2.V00=0.425、V01=-0.0261。サブセット組み合わせ技術のステップ3b)に従い、φは、0.369に及びφは、0.206に減らし、V01=0を得る。値φ=0.114。
3.V000=0.195、V001=0.0026、V010=0。値φ=0.0436
4.V0000=0.080、V0001=0.00070、V0100=0、V0101=0、V0010=0.0026。値φ=0.0480
5.V00000=0.030、V00001=0.0080、V00010=.00070、V01000=0、V01001=0、V01010=0、V00100=0.00099、V00101=0.00026。値φ=0.0125。
最大粒子グループから最小粒子グループにおける相対容積率が、37.26%:20.75%:22.90%:11.54%:4.40%:1.88%:1.26%である時、その圧縮粉体の最終空隙率が、0.90%であることが見出される。0.90%の空隙率を達成するには、圧縮前に、静電気の起きない環境における粉体の注意深い混合が必要である。

Claims (12)

  1. 平均粒子容積の異なる少なくとも2つの粒子グループの、不規則で流動性のある粉末または懸濁液を含む粒状複合材料であって、前記少なくとも2つの粒子グループについて、
    i) 平均粒子容積で隣接する2つのグループのうち大きい方に関連する平均粒子容積は、他方のグループの平均粒子容積の10,000倍未満であり、
    ii) 隣接する2つのグループ間を分割する容積は、粒状複合材を表す通過曲線または同様のサイズ分布における最小の極小点であって、且つ、当該極小点における通過曲線または同様のサイズ分布の値が、当該極小点を挟む2つのグループの極大点における通過曲線または同様のサイズ分布の値の75%以下であり、
    iii) 粉末の場合、平均して、平均粒子容積で隣接する2つのグループのうち大きい方のグループの粒子は、同一グループの少なくとも1つの他の粒子と接触し、懸濁液の場合、平均粒子容積で隣接する2つのグループのうち大きい方のグループの粒子は、最近傍に同一グループの少なくとも1つの他の粒子を有し、
    iv) 平均粒子容積で隣接する2つの粒子グループは、流動時に相分離せず、
    v) 粒状複合材料内に完全に含まれ、高さ、幅、深さのすべてに関し、上記の2つのグループのうち大きい方の最大の粒子の少なくとも10個の直径である空間の領域が、小さい方のグループまたは大きい方のグループのいずれかの粒子のみで満たされておらず、さらに、そのようなサイズの各領域において、小さい方のグループからの1つの粒子と大きい方のグループからの2つの粒子からなる3つの粒子配置が存在し、粉体の場合及び懸濁液の場合のそれぞれにおいて、小さい粒子は、大きい粒子が入らない空隙に蓄積し、大きい粒子は複合材料の表面に蓄積する、
    粒状複合材料。
  2. 大きい方の粒子グループの平均粒子容積が、小さい方の粒子グループの平均粒子容積の25倍から2000倍の間である、請求項1に記載の粒状複合材料。
  3. 粉末の場合、粒状複合材料は25%未満の空隙率を示す、ここで、粉末が示す空隙率は、粒状複合材料が流動性を維持する無秩序な粉体の最小空隙率であり、粒子が変形するか、粉末が固体になるような力で圧縮されていないときの空隙率である;
    懸濁液の場合、粒状複合材料は25%以下の空隙率を示す、ここで、懸濁液が示す空隙率は、懸濁液がまだ流れるような懸濁液の最小空隙率である;
    請求項2の粒状複合材料。
  4. 少なくとも2つの粒子グループが金属粒子で構成されているか、または、粒子グループの1つが金属で構成されもう1つがセラミック粒子で構成されている、請求項1に記載の粒状複合材料。
  5. 少なくとも2つの粒子グループが金属粒子で構成されているか、または、粒子グループの1つが金属で構成されもう1つがセラミック粒子で構成されている、請求項2に記載の粒状複合材料。
  6. 少なくとも2つの粒子グループが金属粒子で構成されているか、または、粒子グループの1つが金属で構成されもう1つがセラミック粒子で構成されている、請求項3に記載の粒状複合材料。
  7. 少なくとも2つの粒子グループが金属粒子で構成され、当該少なくとも2つの粒子グループが、溶媒、液体、ゲルまたはペーストに浸漬された懸濁液である、請求項1に記載の粒状複合材料。
  8. 少なくとも2つの粒子グループが金属粒子で構成され、当該少なくとも2つの粒子グループが、溶媒、液体、ゲルまたはペーストに浸漬された懸濁液である、請求項2に記載の粒状複合材料。
  9. 少なくとも2つの粒子グループが金属粒子で構成され、当該少なくとも2つの粒子グループが、溶媒、液体、ゲルまたはペーストに浸漬された懸濁液である、請求項3に記載の粒状複合材料。
  10. 粒状複合材料が少なくとも3つの粒子グループを含み、各グループが3つのグループの総相対粒子容積の少なくとも2%を占め、平均粒子容積で隣接する2つのグループのペアの少なくとも1つが、平均粒子容積で隣接する2つのグループに関する請求項1に記載された基準に対応する、請求項1に記載の粒状複合材料。
  11. 粒状複合材料が少なくとも3つの粒子グループを含み、各グループが3つのグループの総相対粒子容積の少なくとも2%を占め、平均粒子容積で隣接する2つのグループのペアの少なくとも1つが、平均粒子容積で隣接する2つのグループに関する請求項1に記載された基準に対応する、請求項2に記載の粒状複合材料。
  12. 粒状複合材料が少なくとも3つの粒子グループを含み、各グループが3つのグループの総相対粒子容積の少なくとも2%を占め、平均粒子容積で隣接する2つのグループのペアの少なくとも1つが、平均粒子容積で隣接する2つのグループに関する請求項1に記載された基準に対応する、請求項3に記載の粒状複合材料。
JP2021092969A 2013-08-20 2021-06-02 粒状複合材料 Active JP7580340B2 (ja)

Applications Claiming Priority (7)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201361867788P 2013-08-20 2013-08-20
US61/867,788 2013-08-20
US201461933007P 2014-01-29 2014-01-29
US61/933,007 2014-01-29
US201462014922P 2014-06-20 2014-06-20
US62/014,922 2014-06-20
JP2016536350A JP7010590B2 (ja) 2013-08-20 2014-08-18 顆粒状複合材料

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016536350A Division JP7010590B2 (ja) 2013-08-20 2014-08-18 顆粒状複合材料

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2021130879A JP2021130879A (ja) 2021-09-09
JP7580340B2 true JP7580340B2 (ja) 2024-11-11

Family

ID=

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US20220395898A1 (en) Density enhancement methods and compositions
Averardi et al. Effect of particle size distribution on the packing of powder beds: A critical discussion relevant to additive manufacturing
Sweeney et al. Characterizing the feasibility of processing wet granular materials to improve rheology for 3D printing
Ma et al. Numerical simulation of the effect of fine fraction on the flowability of powders in additive manufacturing
Fraige et al. Distinct element modelling of cubic particle packing and flow
Kozhar et al. DEM simulations of amorphous irregular shaped micrometer-sized titania agglomerates at compression
Chueh et al. Additive manufacturing of polymer-metal/ceramic functionally graded composite components via multiple material laser powder bed fusion
Hemmerle et al. A cohesive granular material with tunable elasticity
Tang et al. Investigation of wax-based barite slurry and deposition for 3D printing landslide model
JP7580340B2 (ja) 粒状複合材料
Sanetrnik et al. Effect of particle size and shape on wall slip of highly filled powder feedstocks for material extrusion and powder injection molding
Bierwisch Numerical simulations of granular flow and filling
Delie et al. Effect of inclusion morphology on the densification of powder composites
Xiao et al. Modeling and numerical research on powder paving process of nylon powder in selective laser sintering
Zhi et al. Effects of time-varying liquid bridge forces on rheological properties, and resulting extrudability and constructability of three-dimensional printing mortar
Preud'Homme et al. Simulating powder based additive manufacturing processes: from DEM calibration to experimental validation.
Jhabvala Study of the consolidation process under macro-and microscopic thermal effects in selective laser sintering and selective laser melting
Braun et al. Comparison of static and dynamic powder compaction: Experiment and simulation
Baloyo Porous metals with novel structures for optimum heat exchange performance
German et al. Background Definitions
de Ryck et al. Flow Related Properties of Bulk Particulate Systems
Sajithkumar Metal Powder Benchmarking
Noe Gravity Fed Hopper Flow of Bulk Solids for Lunar ISRU
Guo et al. Modelling of Powder Flow
Sweeney Effects of Rheology on Processing of Energetic Material for Additive Manufacturing Purposes