JP7568453B2 - 伸縮性シートの製造方法、該伸縮性シート、及び該伸縮性シートの製造装置 - Google Patents
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また特許文献3には、おむつ等の吸収性物品に用いられるシートとして、弾性部材をシートの搬送方向と直交する方向に揺動させながらシート間に固定して得られる伸縮性シートが開示されている。
斯かる伸縮性シートは、従来、次のようにして製造されている。先ず、搬送方向に連続する2枚のシート間に同方向に引張力がかけられた伸長状態の弾性部材が配置された長尺の積層体を作製する。この積層体を搬送させながら、該積層体における該弾性部材の延在方向の両側近傍に対して、熱を伴うエンボス加工、超音波融着加工等の融着加工を施し、該弾性部材の伸長方向に沿って該2枚のシートどうしの融着部を複数形成する。そして、積層体を所定の製品単位長さに切断する。これにより弾性部材はその伸長状態が解除され、該弾性部材が融着部間に挟圧されて2枚のシート間に固定される。このようにして、伸縮性シートが得られている。
しかしながら、上述した従来の伸縮性シートの製造方法では、2枚のシート間において弾性部材が意図しない方向に蛇行することがあり、融着加工時に弾性部材が切断されてしまうという問題があった。
前記製造方法は、第1シートを、弾性部材固定部と弾性部材誘導部とを有するアンビルロール上に導入し、弾性部材を、伸長状態で第1シート上に導入する工程、及び
第2シートを、前記弾性部材上に導入し、第1シートと第2シートとの間を融着する工程を具備することが好ましい。
前記アンビルロールは、前記弾性部材固定部と前記弾性部材誘導部とが、前記アンビルロールの回転方向に隣り合って配置されてなる誘導固定部対が、該回転方向に複数、該アンビルロールの軸長方向に沿う方向に位置をずらして配置されている弾性部材の非直線状配置領域を有することが好ましい。
前記非直線状配置領域に存する前記誘導固定部対のそれぞれにおいて、前記弾性部材固定部は、凸部間に形成され、前記アンビルロールの軸長方向に沿う方向の幅が、隣り合う前記弾性部材誘導部における前記誘導溝部の前記前端の幅よりも狭い固定溝部を備えていることが好ましい。前記誘導溝部は、その幅方向の中心位置が、前記固定溝部の最小幅部の幅内に位置していることが好ましい。
前記弾性部材を、第1シートとともに、前記非直線状配置領域に存する複数の誘導固定部対における前記誘導溝部内及び前記固定溝部内に挿入されるように導入し、第1シートと第2シートとの間を、該弾性部材の両側に位置する凸部とエネルギー付加部材との間に挟んで融着させることが好ましい。
第1シートと第2シートとは、前記弾性部材を挟んで該弾性部材の両側に位置する一対の融着部からなる融着部対を複数有していることが好ましい。複数の前記融着部対は、第1方向と直交する第2方向の位置が、前記弾性部材の配置位置に沿って変化していることが好ましい。融着部対として、一対の第1融着部からなる第1融着部対及び一対の第2融着部からなる第2融着部対を有し、第2融着部対を構成する一対の第2融着部の一方又は双方は、第1方向に対して傾斜した内側縁部を有していることが好ましい。
前記製造装置は、弾性部材固定部と弾性部材誘導部とを有するアンビルロールと、該アンビルロールの凸部との間に挟んで、第1シートと第2シートとを融着させるエネルギー付加部材とを具備していることが好ましい。
前記アンビルロールは、前記弾性部材固定部と前記弾性部材誘導部とが、前記アンビルロールの回転方向に隣り合って配置されてなる誘導固定部対が、該回転方向に複数、該アンビルロールの軸長方向に沿う方向に位置をずらして配置されている弾性部材の非直線状配置領域を有しており、
前記非直線状配置領域に存する前記誘導固定部対のそれぞれにおいて、前記弾性部材誘導部は、凸部間に形成され、前記アンビルロールの回転方向の前端側から後方に向かって、該アンビルロールの軸長方向に沿う方向の幅が漸減する誘導溝部を備えていることが好ましい。前記非直線状配置領域に存する前記誘導固定部対のそれぞれにおいて、前記弾性部材固定部は、凸部間に形成され、前記アンビルロールの軸長方向に沿う方向の幅が、隣り合う前記弾性部材誘導部における前記誘導溝部の前記前端の幅よりも狭い固定溝部を備えていることが好ましい。前記誘導溝部は、その幅方向の中心位置が、前記固定溝部の最小幅部の幅内に位置していることが好ましい。
また、本発明の伸縮性シートによれば、製造時のシート搬送方向と非平行に配された弾性部材の配置形状が安定に維持されるようにすることと、優れた伸縮性とを両立させることができる。
伸縮性シート10において第1シートと第2シート12とは互いに対向配置されている。これら2枚のシート11,12の間には糸ゴム等の線状の弾性部材13が配置されている。弾性部材13は、製造時におけるシートの搬送方向である第1方向Xに対して非平行に配されている。製造時におけるシートの搬送方向が不明な場合は、繊維の配向度が最も高い方向を第1方向とする。
弾性部材13は、2枚のシート11,12の間に伸長状態で固定されている。弾性部材13が伸長状態で固定されていることによって、自然状態の伸縮性シート10においては、弾性部材13が2枚のシート11,12に襞又はシワを形成しながら収縮してギャザーを形成し、弾性部材13が配されている領域及びその近辺が、弾性伸縮性を発現する伸縮部となっている。
以下の説明において、製造時におけるシートの搬送方向である第1方向Xを単にX方向ともいう。また、製造時におけるシートの搬送方向と直交する方向である、第1方向と直交する第2方向Yを単にY方向ともいう。
弾性部材13が第1方向Xに対して非平行に配されている領域は、伸縮性シート10の第1方向Xに連続して形成されていてもよいし、弾性部材13が存在しない部分又は弾性部材13が第1方向Xと平行に配されている部分を介して、断続的に形成されていてもよい。
本実施形態の伸縮性シート10は、融着部として、弾性部材13を挟んで該弾性部材13の両側に位置する一対の第1融着部15a,15b及び第2融着部17a,17bとを有している。
第1融着部15a,15b及び第2融着部17a,17bの各融着部は、弾性部材13の延びる方向、すなわちX方向に沿って間隔を置いて形成されている。
弾性部材13の両側に位置する一対の第1融着部15a,15bは、第1融着部対15を形成し、弾性部材13の両側に位置する一対の第2融着部17a,17bは、第2融着部対17を形成している。第1融着部対15を形成する一対の第1融着部15a,15bどうしは、Y方向に離間しており、第1融着部15a,15bどうし間に弾性部材13が位置している。第2融着部対17を形成する一対の第2融着部17a,17bどうしも、Y方向に離間しており、第2融着部17a,17bどうし間に弾性部材13が位置している。
本実施形態の伸縮性シート10は、一対の融着部からなる融着部対として、第1融着部対15及び第2融着部対17を有している。
そして、弾性部材13が、第1方向Xと非平行に配された伸縮部においては、図1に示すように、第1融着部対15及び第2融着部対17のいずれについても、第2方向Yにおける配置位置が、弾性部材13の配置位置に沿って変化している。第1融着部対15及び第2融着部対17は、図2に示すように、一つの第1融着部対15とそれに隣接する一つの第2融着部対17とが一まとまりの融着部群16となって、第2方向Yにおける配置位置が、弾性部材13の配置位置に沿って変化していることが好ましい。
内方端Piは、Y方向において弾性部材13の縁部よりも内方に位置していてもよく、Y方向において弾性部材13の縁部と重なるように位置していてもよい。
内側縁部kは、X方向における一端から他端に向かって該弾性部材13から離れるように延びている。すなわち、内側縁部kは、X方向に対して傾斜している。この内側縁部kを有することで、X方向に沿って視たとき、Y方向における第2融着部間隔が変化している。
また、本実施形態の第2融着部17a,17bは、図2に示すように、X方向に沿う外側縁部jを有している。
より詳細には、第1融着部15a,15b間では、Y方向に沿う断面において、該第1融着部15a,15b、第1シート11、及び第2シート12によって画成された第1空間S1が形成されている〔図4(a)参照〕。この第1空間S1において弾性部材13は、該弾性部材13の表面と、第1シート11及び第2シート12との摩擦のみによって、これら両シート11,12間に固定されている。斯かる固定は、第1融着部15aにおける弾性部材13側の側縁151a(図2参照)と、他方の第1融着部15bにおける弾性部材13側の側縁151b(図2参照)との間の間隔である第1融着部間隔D(図2参照)を、伸縮性シート10の最大伸長状態における弾性部材13の直径d1よりも狭くすることによってなされる。この伸縮性シート10の自然状態(外力を加えていない状態)では、弾性部材13の伸長状態が解除されて該弾性部材13が弛緩してY方向に膨張する。これにより、第1融着部対15の配置位置(第1空間S1)では、第1融着部15a,15bによって弾性部材13の膨張が規制されて、弾性部材13が第1融着部15a,15bによって挟圧された状態となる(図2参照)。
なお、図2及び図4(a)では、弾性部材13が一対の第1融着部15a,15bに接合されているように見えるが、実際は、弾性部材13は一対の第1融着部15a,15bと非接合状態になっている。
本実施形態の第2空間S2において、弾性部材13の表面と、第1シート11及び第2シート12との摩擦力は、該弾性部材13が第1シート11及び第2シート12間に固定されるほど強くはない。すなわち、本実施形態の第2空間S2においては、弾性部材13が第1空間S1における摩擦力よりも弱く両シート11,12間に固定されている。斯かる構成により、製造時のシート搬送方向と非平行に配された弾性部材13の平面視における配置形状が安定に維持されるようにすることと、優れた伸縮性とをより両立させることができる。前記の「弱く固定されている」という形態には、第2空間S2において、弾性部材13が第1シート11及び第2シート12間に固定されている形態と、固定されていない形態とが含まれる。
第2空間S2において弾性部材13が固定されている場合、第2融着部間の最小長さをD3(図2参照)とし、伸縮性シート10の弛緩状態における弾性部材13の直径をd2(図示せず)としたとき、D3に対するd2の比d2/D3の値が、好ましくは1.1以上、より好ましくは1.2以上であり、また好ましくは3.0以下、より好ましくは2.8以下であり、また好ましくは1.1以上3.0以下、より好ましくは1.2以上2.8以下である。
前記D3は、Y方向における一対の第2融着部17a,17bの内方端Piどうし間の長さである。
前記d2/Dの値は高ければ高いほど、弾性部材13の表面と、第1シート11及び第2シート12との摩擦力が高くなる点から好ましい。伸縮性シート10の弛緩状態における弾性部材13の直径d2とは、該弛緩状態において、弾性部材13が挟圧されていない部位での該弾性部材13の直径のことである。
前記と同様の観点から、第2融着部17a,17bの接合強度は、第1融着部15a,15bの接合強度に対して好ましくは50%以上95%以下、より好ましくは60%以上90%以下、更に好ましくは70%以上80%以下である。
融着部の接合強度は、以下の方法により測定される。
伸縮性シートから、第1融着部又は第2融着部を含むように20mm×100mmの測定片を切り出す。次いで、測定片における測定対象の融着部以外の融着部を剥離させる。次いで、測定片の第1シートの20mm側を、テンシロン万能試験装置 RTG1310(株式会社エー・アンド・デイ)の一方のチャックに固定し、測定片の第2シートを他方のチャックに固定して、これらチャック間に測定片をセットする。チャック間の距離は、20mmとする。次いで、チャックを、180°方向に沿って300mm/minの速度で移動させ、第1シートと第2シートとを剥離させる。このときに観察される力の最大値を測定する。斯かる測定を5回繰り返し、それらの平均値を剥離強度とする。
吸収性物品としては、例えば、表面シート、裏面シート及び両シート間に介在配置された液保持性の吸収体を有する吸収性本体と、該吸収性本体の非肌対向面側に位置する外装体とを具備するものが挙げられる。本実施形態の伸縮性シートは、外装体に好適に用いられ、その場合、外装体における脚周りに配される部分に、円弧状に弾性部材が配された伸縮部を配することで、着用者の脚周りに対するフィット性を向上させることもできる。吸収性物品は更に、その具体的な用途に応じた各種部材を具備していてもよい。そのような部材は当業者に公知である。
第1融着部、又は第1融着部及び第2融着部の各融着部の接合強度をより向上させ、おむつを着用する際に発生し得る弾性部材の固定の解除をより抑制する観点から、第1シート及び第2シートは、スパンボンド不織布層を有する積層不織布であることが好ましい。斯かる積層不織布としては、スパンボンド不織布層(S)とメルトブローン不織布層(M)との積層不織布であるSM不織布やSMS不織布などが挙げられる。
本実施形態の一対の第2融着部17e,17fは、両融着部間の長さが、X方向の両側の外方端から中央に向かって漸次減少している。すなわち、X方向外方において第2融着部間隔が長く、X方向内方において第2融着部間隔が短い。
製造装置20は、超音波処理部21を備えている。
超音波処理部21は、超音波振動する超音波ホーン31を備えた超音波処理機30と、該超音波ホーン31の先端部の振動印加面31tと対向する位置に配置されたアンビルロール40とを備えている。製造装置20においては、超音波ホーン31が、本発明に係るエネルギー付加部材である。
超音波処理部21は、処理対象物である第1シート11と第2シート12と弾性部材13との積層体14を、超音波ホーン31の振動印加面31tと、アンビルロール40の周面部40tに設けられた凸部、具体的には、後述する凸部41a,41b,45a,45bの先端面との間に挟んで超音波振動を印加することで、積層体14に融着部である第1融着部15a,15b(第1融着部対15)及び第2融着部17a,17b(第2融着部対17)を形成し、両シート11,12を接合する。
アンビルロール40の回転軸の方向、すなわち軸長方向Y1は、CDに平行で、MDに直交している。このアンビルロール40の軸長方向Y1(CD)は、製造される伸縮性シート10におけるY方向に一致している。また、アンビルロール40の周方向R1は、アンビルロール40の回転方向Rに一致している。
以下、アンビルロール40の軸長方向Y1を単に「軸長方向Y1」ともいう。
前記超音波発振器は、前記コンバーターと電気的に接続されており、該超音波発振器により発生された周波数15~50kHz程度の波長の高電圧の電気信号が、該コンバーターに入力される。
前記コンバーターは、ピエゾ圧電素子等の圧電素子を内蔵し、前記超音波発振器から入力された電気信号を、圧電素子により機械的振動に変換する。
前記ブースターは、前記コンバーターから発せられた機械的振動の振幅を調整、好ましくは増幅して超音波ホーン31に伝達する。
超音波ホーン31は、アルミ合金やチタン合金などの金属でできており、使用する周波数帯で正しく共振するように設計されている。超音波ホーン31の先端部の振動印加面31tは、処理対象物の一方の面(本実施形態では第2シート12)に当接する。
前記ブースターから超音波ホーン31に伝達された超音波振動は、超音波ホーン31の内部においても増幅、又は減衰されて、処理対象物に印加される。
超音波処理機30としては、市販の超音波ホーン、コンバーター、ブースター、超音波発振器を組み合わせて用いることができる。
揺動導入装置50は、弾性部材13をアンビルロール40の周面上に導入する際に、弾性部材13の導入位置を、アンビルロール40の軸長方向Y1に変更する装置であり、好ましくは、任意に設定可能な揺動パターンで、弾性部材13の導入位置を軸長方向Y1に変化させながら、弾性部材13をアンビルロール40周面上に導入可能である。図7に、弾性部材が、サインカーブ状ないし連続波状の平面視形状を形成するように、弾性部材を揺動しながらアンビルロール40の周面上に導入する場合を示す。
揺動導入装置50は、弾性部材13と接触して、弾性部材13を、アンビルロール40の軸長方向Y1に沿う方向に変位させる揺動ガイド51を備えている。
揺動導入装置50としては、各種公知のものを用いることができ、例えば、特開平08-132576号公報に記載のもの等を用いることができる。
揺動導入装置50は、アンビルロールの周面に位置する凸部を認識可能なセンサーを備えることも好ましく、センサーで認識した凸部の軸長方向Y1における位置に応じて、弾性部材13の導入位置を変位させることも好ましい。センサーは、画像解析により位置を検出するものでもよい。
非直線状配置領域R2には、弾性部材固定部42と弾性部材誘導部47とがそれぞれ複数設けられている。弾性部材固定部42は、第1融着部対15を形成して弾性部材13を固定するために用いられる。弾性部材誘導部47は、弾性部材13を、弾性部材固定部42の適正位置に誘導するものである。本実施形態においては、弾性部材誘導部47によって、第2融着部対17が形成される。
本実施形態の非直線状配置領域R2において、弾性部材固定部42と弾性部材誘導部47とは、アンビルロール40の回転方向R(周方向R1)に隣り合って配置されてなる誘導固定部対Pを形成している。非直線状配置領域R2には、誘導固定部対Pが、アンビルロール40の周方向R1に複数形成されており、その複数の誘導固定部対Pは、アンビルロールの軸長方向Y1に沿う方向に位置をずらして配置されている。
弾性部材固定部42は、それぞれ、軸長方向Y1(CD)に間隔を置いて配置された一対の第1凸部41a,41bと、両凸部41a,41b間に形成された固定溝部43とを有する。
弾性部材誘導部47は、それぞれ、軸長方向Y1(CD)に間隔を置いて配置された一対の第2凸部45a,45bと、両凸部45a,45b間に形成された誘導溝部46とを有する。
第1凸部41a,41b及び第2凸部45a,45bは、アンビルロールの周面上で、超音波ホーン31側に突出した凸部をなしている。これら凸部41a,41b,45a,45bは、超音波ホーン31に近い側に位置している。このように、本実施形態のアンビルロール40は、処理対象物が巻きかけられる周面部40tに凹凸を有する。
なお図8では、説明の便宜上、第1シート11の記載を省いているが、伸縮性シート10の製造時には、固定溝部43及び誘導溝部46それぞれに、弾性部材13に先立って第1シート11が導入されている。そのため、弾性部材13はアンビルロール40と非接触である。
固定溝部43及び誘導溝部46それぞれは、表面が開口した溝部となっており、該溝部に弾性部材13が挿入できるようになされている。
本実施形態の固定溝部43は、前記断面視において略矩形状をなしている。本実施形態の固定溝部43は、軸長方向Y1(CD)に沿う開口幅W1(図9参照)と該軸長方向Y1(CD)に沿う底部幅とが同じ長さとなっている。「軸長方向Y1(CD)に沿う開口幅」は、溝部43,46の開口の軸長方向Y1に沿う長さである。「軸長方向Y1(CD)に沿う底部幅」は、溝部43,46の底部の軸長方向Y1(CD)に沿う長さである。「開口」は、溝部43,46におけるアンビルロール40の中心から最も遠い位置の部分である。「底部」は、溝部43,46におけるアンビルロール40の中心に最も近い位置の部分である。以下、「軸長方向Y1(CD)に沿う開口幅」を単に「開口幅」ともいい、「軸長方向Y1(CD)に沿う底部幅」を単に「底部幅」ともいう。
固定溝部43の開口幅は、目的とする伸縮性シート10における第1融着部間隔D(図2参照)に概ね相当する。
本実施形態の誘導溝部46は、前記回転方向Rの前端i1から後端i2に向かって開口幅が漸減しており、前端i1の開口幅W10が、後端i2の開口幅W11よりも長くなっている(図10参照)。すなわち、本実施形態の誘導溝部46は、後端i2の開口幅W11が、該誘導溝部46の最小開口幅となっている。
本実施形態の固定溝部43は、その開口幅W1(図9参照)が、誘導溝部46における前端i1の開口幅W10(図10参照)よりも狭い。すなわち、誘導溝部46の前端i1の開口幅W10は、固定溝部43の開口幅W1よりも広い。
誘導溝部46の最小開口幅は、目的とする伸縮性シート10における第2融着部間隔の最小長さD3(図2参照)に概ね相当する。
本実施形態の固定溝部43は、凸部対41の高さ方向Z1及び回転方向R(周方向R1)それぞれにおいて、軸長方向Y1に沿う長さが同じであり、アンビルロール40の軸長方向Y1(CD)に沿って視たとき、誘導溝部46の中心位置が、固定溝部43と重なっている。より具体的には、当該軸長方向Y1(CD)に沿って視たとき、誘導溝部46の中心位置と、固定溝部43の中心位置とが重なっている。
本実施形態のアンビルロール40は、固定溝部43及び誘導溝部46に弾性部材13を挿入しながら、該アンビルロール40に弾性部材13を導入することができる。この弾性部材13の導入時、誘導溝部46の前端i1の開口幅W10が固定溝部43の開口幅W1よりも広いので、該弾性部材13を誘導溝部46内に捉えやすい〔図11(a)参照〕。しかも、誘導溝部46は、前端i1側から後方に向かって開口幅が漸減しており、且つ誘導溝部46の中心位置が、固定溝部43の最小幅部の幅内に位置しているので、誘導溝部46に挿入された弾性部材13が固定溝部43へ収容されるように誘導することができる〔図11(b)及び(c)参照〕。
これに代えて、前記周方向R1に沿って、複数の弾性部材固定部42が隣り合って形成されていてもよく、複数の弾性部材誘導部47が隣り合って形成されていてもよい。例えば、アンビルロール40の周方向R1に沿って、2個以上の弾性部材固定部42と単数又は2個以上の弾性部材誘導部47が並んで形成されていてもよい。
上記と同様の観点から、第1凸部41a,41bの高さH1(図9参照)は、第2凸部45a,45bの高さH2(図10参照)に対して好ましくは110%以上、より好ましくは120%以上であり、また好ましくは140%以下、より好ましくは130%以下であり、また好ましくは110%以上140%以下、より好ましくは120%以上130%以下である。
第2凸部45a,45bの高さH2(図10参照)と第1凸部41a,41bの高さH1(図9参照)との差は、好ましくは0.02mm以上、より好ましくは0.04mm以上であり、また好ましくは0.08mm以下、より好ましくは0.06mm以下であり、また好ましくは0.02mm以上0.08mm以下、より好ましくは0.04mm以上0.06mm以下である。
弾性部材13が、誘導溝部46及び隣接する弾性部材固定部42の固定溝部43に確実に収容されるようにすること、及び第1融着部におけるシート間の接合性をより両立させる観点から、固定溝部43及び誘導溝部46の寸法は以下の範囲内であることが好ましい。
誘導溝部46の深さH4(図10参照)は、固定溝部43の深さH3(図9参照)に対して好ましくは130%以上、より好ましくは150%以上であり、また好ましくは300%以下、より好ましくは250%以下であり、また好ましくは130%以上300%以下、より好ましくは150%以上250%以下である。
溝部の深さは、凸部41a,41b,45a,45bの高さ方向Z1における凸部の頂部から該溝部の底部までの長さである〔図9(a)及び(b)参照〕。
固定溝部43の深さH3(図9参照)は、弾性部材13の、アンビルロール40上に導入されるときの直径aに対して好ましくは70%以上、より好ましくは80%以上であり、また好ましくは120%以下、より好ましくは110%以下であり、また好ましくは70%以上120%以下、より好ましくは80%以上110%以下である。
固定溝部43の深さH3(図9参照)は、好ましくは0.01mm以上、より好ましくは0.02mm以上であり、また好ましくは1.0mm以下、より好ましくは0.8mm以下であり、また好ましくは0.01mm以上1.0mm以下、より好ましくは0.02mm以上0.8mm以下である。
誘導溝部46の深さH4(図10参照)は、好ましくは0.015mm以上、より好ましくは1.0mm以上であり、また好ましくは5.0mm以下、より好ましくは4.0mm以下であり、また好ましくは0.015mm以上5.0mm以下、より好ましくは1.0mm以上4.0mm以下である。
この場合、誘導溝部46の後端i2の開口幅W11(図10参照)は、上述した第2融着部間隔の最小長さD3(図2参照)と同じ範囲内であることが好ましい。
また、固定溝部43の開口幅W1(図9参照)は、アンビルロール40上に導入される伸長状態の弾性部材13の幅方向長さすなわち直径aに対して、好ましくは1.0倍超2.0倍以下である。
断面視傾斜面f1は、第2凸部45a,45bの高さ方向Z1(垂直方向)に対して傾斜しており、誘導溝部46の幅方向中央側、すなわち軸長方向Y1の内方側に、傾斜下端uを有している。
本実施形態の断面視傾斜面f1は、三角形の形状を有しており、該三角形の一辺が傾斜下端uとなっている。当該傾斜下端uは、誘導溝部46aの前端i1から後端i2に向かって、誘導溝部46aの底部48aから前記高さ方向Z1の上方に向かって延びており、誘導溝部46の後端i2において第2凸部45c,45dの先端面に達している。
本実施形態の誘導溝部46bを平面視したとき、相対向する断面視傾斜面f3は、前端i1において傾斜下端uの一端どうしが軸長方向Y1に離間している一方、後端i2において傾斜下端uの他端どうしが接している。すなわち、誘導溝部46bを平面視したとき、底部48bが、誘導溝部46bの前端i1に底辺を有する三角形の形状を有している。
アンビルロールの直径線は、アンビルロール40の回転軸に直交し且つアンビルロールの直径方向に延びる仮想直線であり、通常、アンビルロールの周面部40tの平坦面部分の法線方向に沿う仮想直線である。
前述したように、超音波処理部21におけるアンビルロール40の周面には、複数の凸部対41,45が形成されているのに対し、超音波ホーン31においては、これら凸部対41,45に当接する部位を有する面は凹凸のない平坦面になっている〔図13(a)及び(b)参照〕。
導入工程は、第1シート11を、アンビルロール40上に導入し、弾性部材13を、固定溝部43内及び誘導溝部46内に挿入されるように、伸長状態で第1シート11上に導入する工程である。斯かる工程では、第1シート11とともに弾性部材13をアンビルロール40上に導入する。
具体的には、図6に示すように、原反11aから長尺帯状の第1シート11を連続的に繰り出してアンビルロール40の周面部40t上に導入するとともに、複数の巻回体13aそれぞれから長尺の弾性部材13を連続的に繰り出し、該周面部40t上の第1シート11上に配置する。弾性部材13を第1シート11上に配置した段階(例えば、図6中符号P1で示す位置)では、各弾性部材13は、伸長状態となっている。またこの段階において各弾性部材13は、アンビルロール40の周面部40tに設けられた固定溝部43内及び誘導溝部46内それぞれに挿入された状態で搬送される。
弾性部材13をアンビルロール40に導入する際、該弾性部材13の伸長の程度は、伸縮性シート10の最大伸長状態における弾性部材13の伸長の程度よりも大きく、弾性部材13の直径は、固定溝部43の軸長方向Y1に沿う開口幅よりも小さい。これにより、前述した摩擦のみによって、伸縮性シート10の第1空間S1において弾性部材13を固定することができる。
弾性部材13をアンビルロール40に導入する際、揺動導入装置50により、弾性部材13の導入位置を、アンビルロール40の軸長方向Y1に沿う方向に変位させながら導入する。
融着部形成工程においては、導入工程でアンビルロール40上に導入された第1シート11及び弾性部材13に、さらに第2シート12を導入することで、伸縮性シート10の製造中間体である積層体14を形成する。
具体的には、図6に示すように、原反12aから長尺帯状の第2シート12を連続的に繰り出し、アンビルロール40の周面部40t上に導入する。これにより周面部40t上に、第1シート11と第2シート12との間に伸長状態の弾性部材13が配置された長尺の積層体14が形成される。次いで、積層体14は、アンビルロール40のR方向への回転によって、図6中符号P2で示す、超音波ホーン31による処理対象物の押圧位置(超音波処理位置)へ搬送されるとともに、該押圧位置における超音波ホーン31によって超音波振動が印加され、複数の融着部対15,17が形成される(図1参照)。
例えば、積層体14をアンビルロール40の弾性部材固定部42及び弾性部材誘導部47の先端面と超音波ホーン31の振動印加面31tとの間に挟んで加圧しつつ、両シート11,12に超音波振動を印加する。これら弾性部材固定部42及び弾性部材誘導部47を形成する第1凸部41a,41b及び第2凸部45a,45bの先端面と重なる部分が発熱して、第1シート11及び/又は第2シート12が溶融、再度固化することで、第1シート11及び第2シート12が融着し、これらシートを接合する第1融着部15a,15b及び第2融着部17a,17bが形成される。すなわち、第1融着部対15は、積層体14における弾性部材固定部42との接触部分に形成され、第2融着部対17は、積層体14における弾性部材誘導部47との接触部分に形成される。
前記弾性部材弛緩工程の実施前、すなわち長尺帯状の積層体14を切断する前の状態において、複数の弾性部材13は、それぞれ、図14(a)に示すように、伸長状態となっている。
弾性部材弛緩工程において積層体14を切断すると、弾性部材13の伸長状態が解除され、図14(b)に示すように、弾性部材13が弛緩し、弾性部材13の長さが短くなるとともに、弾性部材13の幅方向長さ(直径)が増加する。このように直径が大きくなった弾性部材13は、図2に示すとおり、2つの第1融着部15a,15bの間の間隔である第1融着部間隔Dを超える。それによって弾性部材13は2つの第1融着部15a,15bによって挟圧され、第1シート11及び第2シート12の摩擦によってのみ固定される。
このようにして、複数の枚葉の伸縮性シート10が得られる。
例えば、上述した実施形態のアンビルロール40をその軸長方向Y1(CD)に沿って視たとき、誘導溝部46の中心位置と、固定溝部43の中心位置とは重なっていたが、誘導溝部46の中心位置は、固定溝部43の最小幅部の幅内に位置している限り、該固定溝部43の中心位置とは重なっていなくともよい。
また、誘導溝部46は、アンビルロール40の軸長方向Y1(CD)に沿う断面視において、該誘導溝部46の輪郭に曲線部分を有していてもよい。例えば、誘導溝部46は、アンビルロール40の軸長方向Y1(CD)に沿う断面視において、円弧状の形状を有している形態が挙げられる。
また、弾性部材が収容される溝部を形成しない別の凸部を設けて、伸縮性シート10に、製造時のシートの搬送方向に対して傾斜した弾性部材を固定するのに寄与しない、第1融着部15a,15b及び第2融着部17a,17b以外の、融着部を設けてもよい。
また、上述した製造装置20においては、超音波ホーン31が、本発明に係るエネルギー付加部材であったが、エネルギー付加部材として、加熱されたヒートロールを採用することもできる。
また第2融着部対を構成する一対の第2融着部の双方が、第1方向に対して傾斜した内側縁部を有している形態に代えて、一対の第2融着部のいずれか一方のみが、第1方向に対して傾斜した内側縁部を有している形態としてもよい。
11 第1シート
12 第2シート
13 弾性部材
15a,15b 第1融着部
17a,17b 第2融着部
16 融着部群
20 製造装置
21 超音波処理部
30 超音波処理機
31 超音波ホーン
40 アンビルロール
41a,41b 第1凸部
42 弾性部材固定部
43 固定溝部
45a,45b 第2凸部
46 誘導溝部
47 弾性部材誘導部
50 弾性部材の揺動導入装置
R2 非直線状配置領域
P 誘導固定部対
Y1 アンビルロールの軸長方向
Z1 凸部対の高さ方向
Claims (3)
- 第1シートと、第2シートと、これら両シート間に伸長状態で配置された弾性部材とを有する伸縮性シートの製造方法であって、
第1シートを、弾性部材固定部と弾性部材誘導部とを有するアンビルロール上に導入し、弾性部材を、伸長状態で第1シート上に導入する工程、及び
第2シートを、前記弾性部材上に導入し、第1シートと第2シートとの間を融着する工程を具備し、
前記アンビルロールは、前記弾性部材固定部と前記弾性部材誘導部とが、前記アンビルロールの回転方向に隣り合って配置されてなる誘導固定部対が、該回転方向に複数、該アンビルロールの軸長方向に沿う方向に位置をずらして配置されている弾性部材の非直線状配置領域を有しており、
前記非直線状配置領域に存する前記誘導固定部対のそれぞれにおいて、
前記弾性部材誘導部は、凸部間に形成され、前記アンビルロールの回転方向の前端側から後方に向かって、該アンビルロールの軸長方向に沿う方向の幅が漸減する誘導溝部を備えており、且つ、
前記弾性部材固定部は、凸部間に形成され、前記アンビルロールの軸長方向に沿う方向の幅が、隣り合う前記弾性部材誘導部における前記誘導溝部の前記前端の幅よりも狭い固定溝部を備え、該誘導溝部は、その幅方向の中心位置が、前記固定溝部の最小幅部の幅内に位置しており、
前記弾性部材固定部における前記凸部の高さが、前記弾性部材誘導部における前記凸部の高さよりも高く、
前記弾性部材を、第1シートとともに、前記非直線状配置領域に存する複数の前記誘導固定部対における前記誘導溝部内及び前記固定溝部内に挿入されるように導入し、第1シートと第2シートとの間を、該弾性部材の両側に位置する凸部とエネルギー付加部材との間に挟んで融着させる、伸縮性シートの製造方法。 - 前記伸縮性シートは、前記弾性部材が、第1方向に対して非平行に配された伸縮部を有し、
前記伸縮性シートにおいて、
第1シートと第2シートとは、前記弾性部材を挟んで該弾性部材の両側に位置する一
対の融着部からなる融着部対を複数有しており、複数の前記融着部対は、第1方向と直交する第2方向の位置が、前記弾性部材の配置位置に沿って変化しており、
第1シートと第2シートとは、前記融着部対として、一対の第1融着部からなる第1融着部対及び一対の第2融着部からなる第2融着部対を有し、第2融着部対を構成する一対の第2融着部の一方又は双方は、前記第1方向に対して傾斜した内側縁部を有しており、
前記弾性部材は、第1融着部、第1シート、及び第2シートによって画成された第1空間において、該弾性部材の表面と第1シート及び第2シートとの摩擦のみによって両シート間に固定されている一方、第2融着部、第1シート、及び第2シートによって画成された第2空間においては、前記弾性部材が、第1空間における摩擦力よりも弱く両シート間に固定されている、請求項1に記載の製造方法。 - 第1シートと、第2シートと、これら両シート間に伸長状態で配置された弾性部材とを有し、該弾性部材が非直線状に配された伸縮部を有する伸縮性シートの製造装置であって、
弾性部材固定部と弾性部材誘導部とを有するアンビルロールと、該アンビルロールの凸部との間に挟んで、第1シートと第2シートとを融着させるエネルギー付加部材とを具備しており、
前記アンビルロールは、前記弾性部材固定部と前記弾性部材誘導部とが、前記アンビルロールの回転方向に隣り合って配置されてなる誘導固定部対が、該回転方向に複数、該アンビルロールの軸長方向に沿う方向に位置をずらして配置されている弾性部材の非直線状配置領域を有しており、
前記非直線状配置領域に存する前記誘導固定部対のそれぞれにおいて、
前記弾性部材誘導部は、凸部間に形成され、前記アンビルロールの回転方向の前端側から後方に向かって、該アンビルロールの軸長方向に沿う方向の幅が漸減する誘導溝部を備えており、且つ
前記弾性部材固定部は、凸部間に形成され、前記アンビルロールの軸長方向に沿う方向の幅が、隣り合う前記弾性部材誘導部における前記誘導溝部の前記前端の幅よりも狭い固定溝部を備えており、該誘導溝部は、その幅方向の中心位置が、前記固定溝部の最小幅部の幅内に位置しており、
前記弾性部材固定部における前記凸部の高さが、前記弾性部材誘導部における前記凸部の高さよりも高い、伸縮性シートの製造装置。
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