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JP7562479B2 - 摩擦式駆動装置 - Google Patents

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JP7562479B2
JP7562479B2 JP2021094597A JP2021094597A JP7562479B2 JP 7562479 B2 JP7562479 B2 JP 7562479B2 JP 2021094597 A JP2021094597 A JP 2021094597A JP 2021094597 A JP2021094597 A JP 2021094597A JP 7562479 B2 JP7562479 B2 JP 7562479B2
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Description

本発明は、摩擦式駆動装置に関する。
倒立振子型車両の走行ユニットとして使用される摩擦式駆動装置として、フレームと、フレームに回転可能に支持された一対のドライブディスクと、一対のドライブディスクの間に配置された環状の主輪と、ドライブディスクのそれぞれを独立して駆動する一対のアクチュエータとを有するものが知られている(例えば、特許文献1)。
主輪は、環状体、及び、その周方向に配置されて、配置位置に於ける環状体の接線方向の軸線周りに回転可能に環状体に支持された複数のドリブンローラを含み、各ドライブディスクは、円盤状のハブと、その中心軸線に対してねじれの関係をなす軸線周りに回転可能にハブに支持された複数のドライブローラを含む。ハブは、ドライブローラ及びドリブンローラが互いに接すべく、駆動装置のフレームに支持されている。その結果、主輪は、両ドライブディスク間に挟持されることにより、駆動装置のフレームに間接的に支持されることとなる。
この摩擦式駆動装置は、両ドライブディスクの回転方向及び回転速度を制御することによって、主輪の、主輪の軸線回りの回転運動と、ドリブンローラの、環状体の接線方向の軸線回りの回転運動とを独立して惹き起こすことができ、その結果、前後左右方向を含む全方向への推進力を発生することができる。
このような摩擦式駆動装置に於いては、主輪に対して両ドライブディスクを適度な押圧力をもって押し付けることが必要である。しかしながら、ドライブディスクが、フレームの、互いに分岐して下方に延出する部分のそれぞれに軸支されているため、フレームの剛性が不十分であると、乗員の荷重等によりフレームが変形し、両ドライブディスク間の距離を一定に維持することができなくなり、適切な押圧力を実現することが困難になるという問題があった。また、フレームの剛性を高めようとすると、装置重量が過大となる。
特許文献1には、両ドライブディスクの各々が、フレームに設けられた一対のマウント部に回転可能に支持されていることに加えて、両ドライブディスクから左右方向に互いに近づくように突出した略円筒形状を有する延長部を介して互いに支持された構造が開示されている。詳述すると、延長部の一方が、延長部の他方に同軸的に受容されるように両延長部の径が異なるものとされ、一方の延長部の外周と延長部の他方の内周との間に軸受が設けられている。この軸受は、ラジアル荷重を支持することに加えて、両ドライブディスク間の距離を一定とするために、スラスト荷重を支持できるものでなければならない。
特開2011-063209号公報
しかしながら、ラジアル荷重及びスラスト荷重の両方を支持するためには、別個の軸受を用いるか又はクロスローラ軸受等を用いる必要がある。そのため、比較的大きな取り付けスペースが必要となったり、比較的高価な部品を要したりする等の問題がある上、組付け工程が複雑化する問題もある。
本発明は、このような問題点を鑑み、比較的低いコストで製造可能であって、かつ組付けが容易な摩擦式駆動装置を提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本発明のある態様は、環状体(16)、及び、前記環状体(16)の周方向に配置されて、配置位置に於ける前記環状体(16)の接線方向の軸線周りに回転可能に、前記環状体(16)に支持された複数のドリブンローラ(19)を含む主輪(15)と、前記主輪(15)の各側方に配置された環状のハブ(25)、及び、前記ハブ(25)の外周に配置されて、前記ハブ(25)の中心軸線(A)に対してねじれの関係をなす軸線周りに回転可能に支持された複数のドライブローラ(27)を含むドライブディスク(24)と、前記両ハブ(25)に、両外側方からそれぞれスラスト軸受(30)を介して対峙する一対のステイプレート(32)と、前記ドライブローラ(27)の外周面及び前記ドリブンローラ(19)の外周面が互いに当接するように、前記ハブ(25)の内孔を、前記ハブ(25)の前記中心軸線(A)に沿って貫通し、一対の締結部材(51、68)を介して前記ステイプレート(32)同士を互いに結合するセンタシャフト(36)と、前記両ステイプレート(32)の中央に設けられた中央開口部(61)内に向けて外側方から突入する出力軸(62)を有する一対の回転アクチュエータ(58)と、前記両回転アクチュエータ(58)を、対応する前記ハブ(25)にトルク伝達可能に接続する動力伝達部(74)とを含む摩擦式駆動装置(1)を提供する。
この態様によれば、ステイプレート同士が、両ハブの内孔を軸線方向に貫通するセンタシャフトを介して結合されているため、比較的低いコストで製造可能であって、かつ耐荷重能が高い摩擦式駆動装置を提供できる。
上記の態様に於いて、前記センタシャフト(36)が、前記主輪(15)に対して同軸的に配置された中心環状ディスク(41)と、前記中心環状ディスク(41)から、各側方向に延出し、対応する前記ステイプレート(32)に締結されたボス(43)とを含むとよい。
この態様によれば、ステイプレート同士がボスを介して結合されているため、組付けが容易であって、高い耐荷重能を容易に得ることができる。
上記の態様に於いて、前記センタシャフト(36)が、単一部品から構成されるとよい。
この態様によれば、低コストで、摩擦式駆動装置の耐荷重能を更に向上できる。これにより、両ドライブディスクに加えられるラジアル荷重及びスラスト荷重を比較的安価な軸受で支持することができるため、摩擦式駆動装置を比較的低コストで製造できる。
上記の態様に於いて、前記両締結部材(51、68)が、前記センタシャフト(36)の前記中心軸線方向に於ける中心に対して、左右外方に配置されているとよい。
この態様によれば、低コストで、摩擦式駆動装置の耐荷重能を更に向上できる。
上記の態様に於いて、前記ステイプレート(36)が、当該摩擦式駆動装置(1)の構造体を形成する構造フレーム(3)に結合されているとよい。
この態様によれば、組付けが容易であって、摩擦式駆動装置の耐荷重能を容易に向上できる。
上記の態様に於いて、前記ステイプレート(36)と前記スラスト軸受(30)との間及び又は前記スラスト軸受(30)と前記ハブ(25)との間に、シム(31)が配置されているとよい。
この態様によれば、左右いずれかのスラスト軸受の側方に適当な厚さを有するシムを配置することにより、両ドライブディスク間の距離を容易に調節できる。
上記の態様に於いて、前記動力伝達部(74)が、前記出力軸(62)に取り付けられたサンギヤ(66)と、前記ハブ(25)の内周に取り付けられたリングギヤ(72)と、前記ステイプレート(32)に回転可能に支持され、前記サンギヤ(66)及び前記リングギヤ(72)に噛合する遊星ギヤ(70)とを有する遊星ギヤ機構(73)を含むとよい。
この態様によれば、ドライブディスクの環状のハブの内孔のスペースを活用して、高度にコンパクトな構成を実現することができる。
上記の態様に於いて、前記センタシャフト(36)に対してトルク伝達可能に嵌合する孔を有するホールドプレート(34)を更に有し、前記遊星ギヤ(70)が、前記ステイプレート(32)及び前記ホールドプレート(34)間に配置され、前記ステイプレート(32)及び前記ホールドプレート(34)の両方に回転可能に支持されているとよい。
この態様によれば、ホールドプレートの固定構造を簡略化し、遊星ギヤ機構の組付けを容易化することができる。更に、遊星ギヤを容易かつ安定的に保持することができる。
上記の態様に於いて、前記ホールドプレート(34)に、前記出力軸(62)の先端を回転可能に支持するロータ軸受(63)が設けられているとよい。
この態様によれば、出力軸を安定に両持ち支持することができる。
上記の態様に於いて、前記締結部材の少なくとも一部(68)が、前記遊星ギヤ(70)を軸支しているとよい。
この態様によれば、遊星ギヤの取り付け構造を簡略化し、駆動装置の組付けを容易にすることができる。
前記センタシャフト(36)にねじ孔(67)が設けられ、前記遊星ギヤ(70)を軸支している前記締結部材(68)が、前記ステイプレート(36)に設けられた孔(47)及び前記センタシャフト(36)の前記ねじ孔(67)に外側から前記中心軸線(A)方向から挿入されている。
この態様によれば、摩擦式駆動装置のメンテナンス性を向上できる。
本発明によれば、比較的低いコストで製造可能であって、かつ組付けが容易な摩擦式駆動装置が提供される。
本実施形態に係る摩擦式駆動装置が設けられた倒立振子型移動体を示す斜視図 前記倒立振子型移動体の横断面図 前記摩擦式駆動装置を示す分解斜視図 前記摩擦式駆動装置を示す斜視図
以下では、本発明の摩擦式駆動装置が、走行ユニット2として倒立振子型移動体1に設けられた実施形態について、図1~図4を参照して説明する。
図1に示すように、倒立振子型移動体1は、略上下方向に延びる機体の構造体を形成するべく互いに連結された下部フレーム3及び上部フレーム4を有する。下部フレーム3の内部には走行ユニット2が設けられている。
下部フレーム3及び上部フレーム4は、中空の外殻構造をなし、前後方向の長さが左右方向の幅に比べて比較的長い扁平形状を有している。下部フレーム3及び上部フレーム4は、高さ方向に於ける中央に、前後方向から絞られたくびれを有し、側面視で略8の字状の外縁を有する。
下部フレーム3に設けられた走行ユニット2は、一輪式のものであり、図示されない内蔵のジャイロスコープ及び荷重センサを用いた倒立振子制御のもとに、下部フレーム3及び上部フレーム4の全体を起立姿勢に保つ。これにより、倒立振子型移動体1は、一輪車として、前後左右或いは斜め方向に走行することができる。
下部フレーム3の左右両側には、左右のステップ7が、跳ね上げ式に格納可能に設けられている。図1は、左右のステップ7が、下部フレーム3の左右両側に形成されたステップ格納部に格納された状態を示している。走行時等には、左右のステップ7が、ステップ格納部より水平姿勢に繰り出される。
上部フレーム4の左右両側には、図示されない左右の湾曲したサドルアームによって。左右個別型のサドル10が格納可能に設けられている。また、上部フレーム4には、移動体持ち運び用のハンドル12が格納可能に設けられている。
サドル10は、乗員の臀部や大腿部を左右個別に受け持つ座部であり、平面視で各々円盤状をなしている。図1は、左右のサドル10が、上部フレーム4に左右方向に貫通形成された円筒状空間に形成されたサドル格納部に格納された状態を示している。走行時等には、左右のサドル10が、上部フレーム4の上方に水平姿勢に繰り出される。
次に、図2~図4を参照して、本実施形態の走行ユニット2(摩擦式駆動装置)を詳述する。下部フレーム3は、左右方向に間隔を於いて互いに対向する側壁部13と、側壁部13から互いに近づく方向に延びるフランジ14とを有する。走行ユニット2は、フランジ14に結合されることで、両側壁部13間に配置されている。
走行ユニット2は、左右方向を向く回転軸線Aを有する主輪15を有する。主輪15は、路面と接触している。主輪15は、円環形状をなす環状体16と、環状体16の外周部に嵌着された複数のインナスリーブ17と、ボール軸受18を介して各インナスリーブ17の外周部に回転可能に支持される複数のドリブンローラ19とを含む。ドリブンローラ19は、環状体16の外周に、周方向に所定間隔を於いて配置されている。ドリブンローラ19の軸線方向は、各々の配置位置に於ける、環状体16の接線方向に対応している。ドリブンローラ19は、ボール軸受18の外周部に嵌着される内側円筒部21と、内側円筒部21の外周面に配置される外側円筒部22とを含む。内側円筒部21は、金属等の高剛性材料から形成され、外側円筒部22は、ゴム等の可撓性を有する樹脂材料から形成される。
主輪15の両側方には、一対のドライブディスク24が、回転軸線Aに対して略同軸に配置されている。各ドライブディスク24は、主輪15と略同軸に配置される環形状を有するハブ25と、ハブ25の外周に設けられた複数のローラ軸26と、対応するローラ軸26周りに回転可能なドライブローラ27とを含む。ローラ軸26及びそれに対応するドライブローラ27は、ハブ25の外周に、周方向に所定間隔を於いて、それぞれ複数個設けられている。各ローラ軸26の軸線方向は、回転軸線Aとねじれの関係をなす。また、各ドライブローラ27は、ドライブローラ27の配置位置及びドライブディスク24の中心を通り、かつ前後に延びる仮想面に対して、直交も平行もしない所定角度で傾斜している。ローラ軸26同士及びドライブローラ27同士は、それぞれ鏡対称に構成されている。ドライブディスク24の形状について、より詳細な説明が必要であれば、国際公開2008/139740号パンフレットを参照されたい。
次に、各ドライブディスク24を、主輪15に対して動力伝達可能に組付ける構造について説明する。なお、両ドライブディスク24は互いに鏡対称に配置された略同一の構造を有するため、以下に於いては、特に断りがない場合、一方のドライブディスク24についてのみ説明する。
ハブ25の外側方には、スラスト軸受30を介して、略円盤形状を有するステイプレート32が、ドライブディスク24に対して同軸的に配置されている。また、スラスト軸受30の外側面とステイプレート32の内側面との間、及び、スラスト軸受30の内側面とハブ25の外側面との間には、それぞれシム31が配置されている。
ハブ25の内側方には、略円盤形状を有するホールドプレート34が配置されている。ホールドプレート34は、主輪15の環状体16の内孔内に配置されたセンタシャフト36に結合されている。ステイプレート32の内側面からは、環状突部37が突出しており、環状突部37の外周面とハブ25の内周面との間に、ラジアル軸受38が設けられている。また、ラジアル軸受38の外側面とステイプレート32の内側面との間、及び、ラジアル軸受38の内側面とセンタシャフト36の外側面との間には、それぞれシム39が配置されている。
センタシャフト36は、主輪15の環状体16の内孔内に配置された略円盤形状をなす中心環状ディスク41と、中心環状ディスク41の各外側面から互いに離れる方向に延出する3つのボス43とを含む。中心環状ディスク41の外側面の径方向に於ける中心には、溝部42が凹設されている。
中心環状ディスク41の3つのボス43は、センタシャフト36の中心軸線に対する周方向に、所定間隔を於いて配置されている。ボス43は、略扇形又は三角形の断面を有し、それぞれの外側面にねじ孔44が設けられている。各ボス43は、中心環状ディスク41に対して一体的に形成されている。
ホールドプレート34は、中心環状ディスク41に対して同軸的な円盤形状を有している。ホールドプレート34には、3つのボス43を略緊密に受け入れる3つの受容孔46と、3つの受容孔46同士の間に配置された3つの挿通孔47とが設けられている。
ステイプレート32には、周方向に所定間隔を於いて配置された3つの挿入孔50が設けられ、これらの挿入孔50に挿入されたボルト51は、ハブ25の内孔内を通過し、ボス43のねじ孔44に捩じ込まれている。このとき、ボス43の外側面は、ステイプレート32の内側面に当接する。このようにして、ドライブローラ27及びドリブンローラ19が適度な押圧力をもって互いに圧接されるように、両ドライブディスク24は、主輪15の両側方から互いに結合されている。
また、ステイプレート32の周縁よりやや径方向内側には、周方向に所定間隔を於いて複数のねじ孔52が設けられている。ステイプレート32は、これらのねじ孔52に捩じ込まれるボルト53によって下部フレーム3のフランジ14に結合されており、これにより、走行ユニット2が下部フレーム3に支持されている。
ステイプレート32は、更に、ねじ孔52の内周側に複数のねじ孔55が設けられている。ねじ孔55にはボルト56が捩じ込まれており、これにより、ステイプレート32の外側面に、回転アクチュエータをなす扁平なモータ58が取り付けられている。
次に、各ドライブディスク24を駆動する構造について説明する。ステイプレート32の中心には、ステイプレート32を軸線方向に貫通する中央開口部61が設けられている。モータ58の内側面からは出力軸62が突出しており、出力軸62はステイプレート32の中央開口部61内に突入している。出力軸62の先端は、ロータ軸受63を介して、ホールドプレート34の中心に設けられた中心孔64に支持されている。出力軸62には、ピニオン状のサンギヤ66が固定されている。
センタシャフト36の中心環状ディスク41には、ボス43に対して周方向に交互するように設けられたねじ孔67が設けられている。ホールドプレート34の挿通孔47には、3本のボルト68が外側から挿入され、中心環状ディスク41に設けられたねじ孔67に捩じ込まれている。これらのボルト68は、サンギヤ66に噛合する遊星ギヤ70を、カラー71を介して回転可能に支持している。カラー71は、遊星ギヤ70の両側面から突出している。カラー71は、略筒形状に形成されている。ハブ25の内周及びセンタシャフト36の各ボス43には、遊星ギヤ70に噛合する内歯を備えたリングギヤ72が固定されている。また、各遊星ギヤ70は、隣接するボス43同士の間に、ボス43に接触しないように配置されている。
この構成により、モータ58の出力軸62の回転運動が、サンギヤ66と、遊星ギヤ70と、リングギヤ72とを含む遊星ギヤ機構73により減速され、ドライブディスク24の回転運動に変換される。すなわち、本発明の、モータ58を対応するハブ25にトルク伝達可能に接続する動力伝達部74は、遊星ギヤ機構73を含む。また、特に、両モータ58を独立して制御することにより、走行ユニット2が設けられた倒立振子型移動体1を、前後左右或いは斜め方向に走行させることができる。
次に、作業者が走行ユニット2(摩擦式駆動装置)を組付ける手順について詳述する。作業者は、左右方向に於ける一方について、ステイプレート32、スラスト軸受30、ドライブディスク24、ラジアル軸受38、遊星ギヤ機構73、ロータ軸受63、及びホールドプレート34を、上記のように配置した後、これらの部品群を、ボルト51及びボルト68を用いてセンタシャフト36の一方の側面に結合する。次に、センタシャフト36の周方向外側に主輪15を配置する。更に、左右方向に於ける他方について同様に部品群を配置し、ボルト51及びボルト68を用いてセンタシャフト36の他方の側面に結合する。その後、ステイプレート32の両外側面に、ボルト56を介してモータ58を取り付けた後、ステイプレート32を下部フレーム3のフランジ14に取り付ける。なお、主輪15の組付けの際には、左右両方の部品群を、ボルト51及びボルト68を用いてセンタシャフト36に結合した後、センタシャフト36の周方向外側から主輪15を巻き付けることで、主輪15の組付けを行ってもよい。
これにより、作業者は、走行ユニット2を比較的容易に組付けすることができる。このとき、ステイプレート32とスラスト軸受30との間及びスラスト軸受30とハブ25との間に配置されたシム31の一方又は両方を適当な厚さとすることにより、ドライブローラ27及びドリブンローラ19が適度な押圧力をもって互いに圧接されるように、両ドライブディスク24間の距離を設定することができる。これにより、下部フレーム3の両側壁部13間の距離を変更することなく、ドライブローラ27及びドリブンローラ19が適度な押圧力で圧接されるように組付けすることができる。また、これにより、両ドライブディスク24の左右方向のガタを解消できる。
作業者は、上記の組付け手順の順序を逆に行うことで、走行ユニット2を分解することもできる。このとき、作業者は、左右いずれかのボルト56を抜いてモータ58を取り外した後、ボルト51及びボルト68を抜いて遊星ギヤ70を取り外すことで、主輪15を取り外すことができる。これにより、走行ユニット2に於ける左右一方の部品構成を維持したまま、左右他方の部品群を解体することができるため、倒立振子型移動体1のメンテナンス性が向上されている。また、左右一方の部品構成を維持したまま、左右他方に於けるスラスト軸受30の側方に配置されたシム31を適当な厚さに変更することもできる。これにより、ドライブローラ27とドリブンローラ19との間の圧接力を適度に維持する作業を簡単に実施することができる。
次に、本実施形態の走行ユニット2(摩擦式駆動装置)の効果について詳述する。走行ユニット2は、下部フレーム3に固定されたステイプレート32同士が、互いにセンタシャフト36を介して結合されている。また、センタシャフト36は、両ハブ25の内孔内を軸線方向に貫通している。これにより、比較的低いコストで、走行ユニット2の、乗員の荷重等に対する耐荷重能が高められている。特に、センタシャフト36が、主輪15の内孔内の、左右方向の中心に配置されていることにより、ステイプレート32同士が強固に結合されている。
また、センタシャフト36のボス43が、ボルト51を介して両ステイプレート32に結合されているため、センタシャフト36及び両ステイプレート32が、より強固に結合されており、走行ユニット2の、乗員の荷重等に対する耐荷重能が一層高められている。また、センタシャフト36及び両ステイプレート32を締結するボルト51及びボルト68は、それぞれの先端が、センタシャフト36の中心軸線X方向に於ける中心に達していない。これにより、走行ユニット2の、乗員の荷重等に対する耐荷重能が更に高められている。更に、センタシャフト36は単一部品から構成されているため、これによっても、走行ユニット2の、乗員の荷重等に対する耐荷重能が高められている。
これらの構成によって、走行ユニット2の、乗員の荷重等に対する耐荷重能が高められているため、ステイプレート32の内側面とハブ25の外側面との間に設けられたスラスト軸受30、及び、ステイプレート32の環状突部37の外周面とハブ25の内周面との間に設けられたラジアル軸受38によって、両ハブ25が適当な配置に略固定されている。これにより、ドライブローラ27及びドリブンローラ19が適度な押圧力をもって互いに圧接されるように両ドライブディスク24を互いに結合するための構造が、比較的低コストで実現されている。
また、本実施形態の動力伝達機構は、モータ58の出力軸62に取り付けられたサンギヤ66と、ハブ25の内周に取り付けられたリングギヤ72と、サンギヤ66及びリングギヤ72に噛合する遊星ギヤ70とを有する遊星ギヤ機構73を含む。これにより、ドライブディスク24のハブ25の内孔のスペースを活用して、高度にコンパクトな構成を実現することができる。また、センタシャフト36の外側面に配置されたホールドプレート34は、挿通孔47を介して遊星ギヤ70を回転可能に支持している。これにより、遊星ギヤ機構73の組付けが容易になると共に、遊星ギヤ70を容易かつ安定的に保持することができる。更に、遊星ギヤ70のカラー71を貫通するボルト68を介して、両ステイプレート32がセンタシャフト36に締結されている。これにより、遊星ギヤ70の取付け構造が簡略化され、組付けが容易になると共に、走行ユニット2の耐荷重能が更に高められている。
以上で具体的な実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。
1 :倒立振子型移動体
2 :走行ユニット
3 :下部フレーム
15:主輪
16:環状体
19:ドリブンローラ
24:ドライブディスク
25:ハブ
26:ローラ軸
27:ドライブローラ
30:スラスト軸受
31:シム
32:ステイプレート
34:ホールドプレート
36:センタシャフト
38:ラジアル軸受
39:シム
41:中心環状ディスク
43:ボス51:ボルト
58:モータ
61:中央開口部
62:出力軸
63:ロータ軸受
66:サンギヤ
67:ねじ孔
68:ボルト
70:遊星ギヤ
72:リングギヤ
73:遊星ギヤ機構
74:動力伝達部

Claims (10)

  1. 環状体、及び、前記環状体の周方向に配置されて、配置位置に於ける前記環状体の接線方向の軸線周りに回転可能に、前記環状体に支持された複数のドリブンローラを含む主輪と、
    前記主輪の各側方に配置された環状のハブ、及び、前記ハブの外周に配置されて、前記ハブの中心軸線に対してねじれの関係をなす軸線周りに回転可能に支持された複数のドライブローラを含むドライブディスクと、
    前記両ハブに、両外側方からそれぞれスラスト軸受を介して対峙する一対のステイプレートと、
    前記ドライブローラの外周面及び前記ドリブンローラの外周面が互いに当接するように、前記ハブの内孔を、前記ハブの前記中心軸線に沿って貫通し、一対の締結部材を介して前記ステイプレート同士を互いに結合するセンタシャフトと、
    前記両ステイプレートの中央に設けられた中央開口部内に向けて外側方から突入する出力軸を有する一対の回転アクチュエータと、
    前記両回転アクチュエータを、対応する前記ハブにトルク伝達可能に接続する動力伝達部とを含み、
    前記ステイプレートと前記スラスト軸受との間及び又は前記スラスト軸受と前記ハブとの間に、シムが配置されている摩擦式駆動装置。
  2. 前記センタシャフトが、前記主輪に対して同軸的に配置された中心環状ディスクと、前記中心環状ディスクから各側方向に延出し、対応する前記ステイプレートに締結されたボスとを含む請求項1に記載の摩擦式駆動装置。
  3. 前記センタシャフトが、単一部品から構成される請求項1又は2に記載の摩擦式駆動装置。
  4. 前記締結部材が、前記センタシャフトの、前記ハブの前記中心軸線方向に於ける中心に対して、左右外方に配置されている請求項1~3のいずれか一項に記載の摩擦式駆動装置。
  5. 前記ステイプレートが、当該摩擦式駆動装置の構造体を形成する構造フレームに結合されている請求項1~4のいずれか一項に記載の摩擦式駆動装置。
  6. 前記動力伝達部が、前記出力軸に取り付けられたサンギヤと、前記ハブの内周に取り付けられたリングギヤと、前記ステイプレートに回転可能に支持され、前記サンギヤ及び前記リングギヤに噛合する遊星ギヤとを有する遊星ギヤ機構を含む請求項1~5のいずれか一項に記載の摩擦式駆動装置。
  7. 前記センタシャフトに対してトルク伝達可能に嵌合する孔を有するホールドプレートを更に有し、
    前記遊星ギヤが、前記ステイプレート及び前記ホールドプレート間に配置され、前記ステイプレート及び前記ホールドプレートの両方に回転可能に支持されている請求項6に記載の摩擦式駆動装置。
  8. 前記ホールドプレートに、前記出力軸の先端を回転可能に支持するロータ軸受が設けられている請求項7に記載の摩擦式駆動装置。
  9. 前記締結部材の少なくとも一部が、前記遊星ギヤを軸支している請求項6~8のいずれか一項に記載の摩擦式駆動装置。
  10. 前記センタシャフトにねじ孔が設けられ、
    前記遊星ギヤを軸支している前記締結部材が、前記ステイプレートに設けられた孔及び前記センタシャフトの前記ねじ孔に外側から前記中心軸線方向に挿入されている請求項9に記載の摩擦式駆動装置。
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