JP7433118B2 - 壁面ユニットの施工方法及び作業台 - Google Patents
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Description
この構造を構築する際には、下地となる縦胴縁を予め建物躯体に固定して一体とし、その縦胴縁に外装パネルを固定することが一般的である。
(1)作業ヤード上でコンクリート止め鋼材と胴縁を仮組する。
(2)仮組したコンクリート止め鋼材と胴縁を吊り上げて建物躯体に建て込む。
(3)胴縁一本毎に建入精度を確認しながら調整して本締めを行う。
(a)胴縁を建物躯体に建て込んだ後、改めて一本毎に調整作業が必要なため、手間が掛かる。また、施工精度によっては調整が不可能な場合もある。
(b)建て込み時に胴縁の施工精度が保たれていないため、コンクリート止め鋼材と外装パネルとの間隔は均一とはならず、この間隔は外装パネルを施工した後でないと決まらない。このため地組の段階で層間ふさぎ材を取り付けることはできない。
(c)層間ふさぎ材は外装パネルを施工した後の施工となるため、各階の外周周りの作業は後回しとする必要がある。
(d)外壁ユニットの施工精度を高めるためには、地組のための作業台(架台)の精度が高くなければならない。しかし、いずれの特許文献にも作業台の精度についての記載はない。
(e)特許文献1、2のように建て起こした状態で地組を行う場合、建て起こした状態の外装材を保持する下地枠の構築に手間がかかる。
(f)外装パネルは、上下・左右の外装パネル同士の嵌合部の形態から、施工の順序が決まっている。このため、外壁ユニットも建て込みの順序が決まってしまい、工事の進捗に合わせて一部分のみを先に施工する等、柔軟な施工を行うことができない。
本願の第2発明は、第1発明の壁面ユニットの施工方法において、前記コンクリート止め鋼材は、建て込み時に外装パネル側となる面の下端の長さ方向に亘って、層間をふさぐための鋼材を有することを特徴とする、壁面ユニットの施工方法を提供する。
本願の第3発明は、第1発明又は第2発明の壁面ユニットの施工方法で使用し、コンクリート止め鋼材、前記コンクリート止め鋼材に直交し、前記コンクリート止め鋼材に上端を連結する複数の縦胴縁、及び複数の前記縦胴縁の下端に亘って配置し、複数の前記縦胴縁の下端を連結する脚部固定材、からなり、建物の外装パネルの下地となる、壁面ユニットを地組するための作業台であって、作業ヤードの床面上に配置する架台と、前記作業ヤードの床面と、前記架台との間に設ける架台高調整具と、を有し、前記架台は、長尺の形鋼材であり、複数本の前記架台を所定の間隔をもって略平行に並列して構成することを特徴とする、作業台を提供する。
本願の第4発明は、第3発明の作業台において、並列した前記架台のうち、端部に位置する架台の上面に、所定の厚さ、所定の幅を有するスペーサーを設けることを特徴とする、作業台を提供する。
(1)精度が高い壁面ユニットを地組して建て込むため、建て込み時に一本毎に建入れ精度を確認しながらの調整作業が不要となり、工期が短縮される。
(2)精度が高い壁面ユニットを建て込むため、予め層間ふさぎ材を壁面ユニットに取り付けておくことができる。これにより、外装パネルを取り付けた後に層間ふさぎ材を充填する作業がなくなり、各階の外周周りの作業を後回しにする必要がない。
(3)複数本の架台の高さをそれぞれの架台高調整具により調整することにより、複数の架台の上面を面一にできるため、精度の高い壁面ユニットを地組できる。
(4)作業台は、形鋼材からなる架台と、架台を支持する架台高調整具と、からなるため、容易に構築することができる。
(5)外装パネルは壁面ユニットを建て込んだ後に施工するため、壁面ユニットの建て込み順序が外装パネルの施工順序により決まることがなく、工事の進捗に合わせて一部分のみ壁面ユニットを先に建て込む等、柔軟な施工を行うことができる。
[1]壁面ユニット及び作業台
(1)壁面ユニットの構成
本発明の壁面ユニットの施工方法により施工を行う壁面ユニット1は、建物の外装パネルの下地となるものである。外装パネルは、2枚の鋼板の間に断熱材を挟み込んで構成したサンドイッチパネルが一般的である。
壁面ユニット1は、コンクリート止め鋼材2と、コンクリート止め鋼材2に直交して設ける複数の縦胴縁3と、からなる(図1)。そして、壁面ユニット1のコンクリート止め鋼材2のウェブの表面には層間ふさぎ材41をコンクリート止め鋼材2の長さ方向に亘って設ける(図2)。
また、縦胴縁3の下端には、複数の縦胴縁3に亘って脚部固定材5を設ける(図3)。
コンクリート止め鋼材2は、建物のコンクリート床スラブの端部を構成する鋼材であり、溝形鋼やアングル材、角材等からなる。
本実施例におけるコンクリート止め鋼材2は溝形鋼であり、建て込み時に外装パネル側となるウェブの表面を外装パネルを取り付ける側とし、建て込み時に下面となる下フランジにL字状の固定具21を、一辺を下フランジの長さ方向に沿って固定するとともに、下方に突設する他辺を縦胴縁3の幅だけ離隔して対向させたものを一組として、縦胴縁3の本数分設ける。
固定具21には、下方に突設して対向する他辺間に配置した縦胴縁3の上端を、ボルトを介して連結する。
縦胴縁3は、外装パネルを固定する部材であり、例えば断面正方形状の鋼材からなる。
縦胴縁3は、外装パネル側の面がコンクリート止め鋼材2のウェブの表面よりも外装パネル側に所定の距離だけ突出している。この距離が、壁面ユニットを建物に建て込んだときの、コンクリート止め鋼材2の外面と外壁パネルの内面の距離である層間幅となる。
層間ふさぎ材41は、耐火材であるロックウールを成型したものであり、高さは50mm以上であり、コンクリート止め鋼材2のウェブの表面に固定する。
層間ふさぎ材41は、例えば建物の層間幅が20mmのときには厚さを25mmとし、厚さを建物の層間幅よりも厚くする。
コンクリート止め鋼材2の表面には、層間ふさぎ鋼材42を設けてもよい。
層間ふさぎ鋼材42は、層間ふさぎ材41の下方であって、コンクリート止め鋼材2のウェブ表面の下端に沿って、工場又は現場で溶接等により固定する。固定具21がウェブ表面よりも前方に突出している場合には、固定具21にも同時に溶接等により固定する。
層間ふさぎ鋼材42は、層間幅よりもわずかに小さい例えばD16(最外径:18mm)の異形棒鋼とする。また、異形棒鋼に代えて、厚さが1.6mm以上の鋼板を用いてもよい。
脚部固定材5は、L字状の鋼材からなり、一辺の内面を縦胴縁3の裏側表面に当接し、他辺の内面を縦胴縁3の下端に沿って配置する。他辺の内面には、コンクリート止め鋼材2に設けた固定具21と同様の固定具51を対称となるように設け、ボルトを介して縦胴縁3の下端を連結する。
壁面ユニット1は、作業ヤードに設けた作業台7上で地組を行う(図4)。
作業台7は、作業ヤードの床面上に配置する架台71と、架台71を支持する架台高調整具72と、からなり、複数組の架台71及び架台高調整具72を所定の間隔をもって略平行に並列して構成する(図5)。
架台71は、上面が平らな長尺の形鋼材であり、例えば一方のフランジを床面上に略平行に配置したH形鋼からなる。
架台71は、複数本を所定の間隔をもって略平行に並列して配置する。
架台高調整具72は、作業ヤードの床面と、架台71との間に設ける。
架台高調整具72は、例えばジャッキであり、架台71の下フランジを両側から支持し、架台71の長さ方向に、適宜所定の間隔で配置する。
一本の架台71に対して複数の架台高調整具72を設けることにより、容易に架台71の上面を水平面とすることができる。
また、複数本の架台71の高さをそれぞれの架台高調整具72により調整することにより、複数の架台71の上面を面一にできるため、精度の高い壁面ユニット1を地組できる。
並列した架台71のうち、一方の端部に位置する架台71の上面には、スペーサー73を設ける。
スペーサー73は厚さが層間幅と同一の矩形の鋼板であり、架台71の長さ方向に亘って所定の間隔で、並列する他の架台71と逆側の端部側に寄せて設ける。
スペーサー73の個数及び間隔は、上部に載置するコンクリート止め鋼材2を支持できる個数及び間隔とする。
次に、本発明の壁面ユニットの施工方法について説明する。
作業ヤード上の予め設定した位置に架台高調整具72を配置し、その上に架台71を配置する(図6)。作業ヤード上に鉄板を敷設し、その上に架台高調整具72を配置してもよい。
架台71は複数本を並列して配置するが、一方の端部の架台71は、上面にスペーサー73を設けたものとする。
そして、それぞれの架台71の上面のレベルを確認しながら架台高調整具72を操作し、全ての架台71の上面を水平かつ面一にすることで、水平面を有する作業台7となる。
作業台7は、架台高調整具72と架台71により構成するため、移設が容易であり、例えば作業ヤードの位置変更にも容易に対応することができる。
まず、作業台7上に、コンクリート止め鋼材2を載置する(図7)。
コンクリート止め鋼材2は端部の架台71上に載置するが、予め固定具21が固定されたウェブの下面が、他の並列する架台71側となるように、ウェブ表面を下面として架台71上に載置する。このとき、コンクリート止め鋼材2は、スペーサー73上に載置するが、ウェブの上端を、スペーサー73のある端部から突設して載置する。
また、層間ふさぎ鋼材42を有する場合も、層間ふさぎ鋼材42は層間幅よりも小さいため、スペーサー73によりかさ上げされた空間に納まり、架台71と干渉しない。
次に、縦胴縁3を作業台7上に載置する(図8)。縦胴縁3は、既に載置されたコンクリート止め鋼材2の固定具21に合わせて配置するため、容易に位置決めすることができる。このとき、コンクリート止め鋼材2は、厚さが層間幅と同一であるスペーサー73上に載置されているため、架台71の上面に配置する縦胴縁3とは、スペーサー73の厚さである層間幅分だけずれており、コンクリート止め鋼材2のウェブ表面から層間幅だけ突出した位置に、縦胴縁3を位置決めすることができる。
そして、配置した縦胴縁3の下端に沿って、脚部固定材5を載置する(図9)。脚部固定材5の固定具51を縦胴縁3に合わせて載置するため、容易に位置決めすることができる。
そして、コンクリート止め鋼材2と縦胴縁3を連結するボルト、及び縦胴縁3と脚部固定材5を連結するボルトを本締めし、コンクリート止め鋼材2、縦胴縁3、脚部固定材5を一体とする(図10)。
作業台7はそれぞれの架台71の高さ及び水平を架台高調整具72により調整されており、水平かつ面一となっている。よって、作業台7上で一体とするコンクリート止め鋼材2、縦胴縁3、脚部固定材5からなる壁面ユニット1は、建て込み時に調整が不要な、精度の高い状態で地組できる。
層間ふさぎ材41を、コンクリート止め鋼材2のウェブ表面に取り付ける(図11)。
コンクリート止め鋼材2のウェブ表面のうち、層間ふさぎ材41を固定する部分は、架台71から突出しているため、壁面ユニット1が作業台7上に置かれた状態であっても、容易に取り付けることができる。
本実施例においては、層間ふさぎ材41を本締め後に行っているが、本締め前に行ってもよいし、本締めと同時進行で行ってもよい。
層間ふさぎ材41は、架台71から突出したコンクリート止め鋼材2の表面に固定する。
このため、架台71からのコンクリート止め鋼材2の突出長さHPが、層間ふさぎ材41の高さH41よりも長くするのが好適である(図12)。
コンクリート止め鋼材2は、架台71のスペーサー73上に載置する。
コンクリート止め鋼材2の高さをH2、層間ふさぎ材41の高さをH41、層間ふさぎ鋼材42の高さをH42、スペーサー73の幅をH73、層間ふさぎ鋼材42とスペーサー73との間隔をdとしたときに、
H2-H41-H42>H73+d
となるように、スペーサー73の幅H73と、層間ふさぎ鋼材42の架台71上での配置位置を決めることにより、架台71からのコンクリート止め鋼材2の突出長さHPが、層間ふさぎ材41の高さH41よりも長くすることができる。
壁面ユニット1のコンクリート止め鋼材2に吊りボルトを取り付けて(図13)、クレーン等により吊り上げる。
壁面ユニット1は外装パネルが取り付けられていないため重量が軽く、吊り上げ時の変形がなく、地組時の精度が保たれる。
そして、吊り上げた壁面ユニット1を建物躯体の所定の位置に建て込む。
精度の高い壁面ユニット1をそのまま建て込むことができるため、建て込み時に一本毎に建入れ精度を確認しながらの調整作業が不要となり、工期が短縮される。
建て込んだ壁面ユニット1の表面に外装パネル8を配置して、壁面構造を構築する(図14)。
壁面ユニット1に予め取り付けた層間ふさぎ材41は、外装パネル8によって押しつぶされて、層間を塞いだ状態で収まる。
建て込んだ壁面ユニット1の精度が高いため、常に層間幅Wが一定であり、予め取り付けた層間ふさぎ材41でも、層間を塞ぐことができる。
また、外装パネル8を取り付けた後に層間ふさぎ材41を充填する作業がないため、各階の外周周りの作業を後回しにする必要がない。
外装パネル8は、壁面ユニット1を建て込んだ後に施工するため、壁面ユニット1の建て込み順序が外装パネル8の施工順序により決まることがなく、工事の進捗に合わせて一部分のみ壁面ユニット1を先に建て込む等、柔軟な施工を行うことができる。
層間ふさぎ材41の下部には層間ふさぎ鋼材42が位置するため、層間ふさぎ鋼材42は、層間ふさぎ材41が地震時に落下するのを防止する。
2 コンクリート止め鋼材、21 固定具
3 縦胴縁
41 層間ふさぎ材、42 層間ふさぎ鋼材
5 脚部固定材、51 固定具
6 吊りボルト
7 作業台、71 架台、72 架台高調整具
8 外装パネル
9 床スラブ
Claims (4)
- コンクリート止め鋼材と、前記コンクリート止め鋼材に直交し、前記コンクリート止め鋼材に上端を連結する複数の縦胴縁と、複数の前記縦胴縁の下端に亘って配置し、複数の前記縦胴縁の下端を連結する脚部固定材と、からなり、建物の外装パネルの下地となる、壁面ユニットの施工方法であって、
作業ヤードに配置した作業台の上面に、前記コンクリート止め鋼材、複数の前記縦胴縁、及び前記脚部固定材、を載置する工程と、
載置した前記コンクリート止め鋼材と前記縦胴縁、及び前記縦胴縁と前記脚部固定材、をそれぞれ連結し、前記壁面ユニットを地組で構築する工程と、
前記壁面ユニットの前記コンクリート止め鋼材に、ロックウールからなる層間ふさぎ材を固定する工程と、
前記壁面ユニットのコンクリート止め鋼材に吊りボルトを取り付けて吊り上げ、吊り上げた前記壁面ユニットを建物躯体の所定の位置に建て込む工程と、からなることを特徴とする、
壁面ユニットの施工方法。 - 請求項1に記載の壁面ユニットの施工方法において、
前記コンクリート止め鋼材は、建て込み時に前記外装パネル側となる面の下端の長さ方向に亘って、層間をふさぐための鋼材を有することを特徴とする、
壁面ユニットの施工方法。 - 請求項1又は2に記載の壁面ユニットの施工方法で使用し、コンクリート止め鋼材、前記コンクリート止め鋼材に直交し、前記コンクリート止め鋼材に上端を連結する複数の縦胴縁、及び複数の前記縦胴縁の下端に亘って配置し、複数の前記縦胴縁の下端を連結する脚部固定材、からなり、建物の外装パネルの下地となる、壁面ユニットを地組するための作業台であって、
作業ヤードの床面上に配置する架台と、
前記作業ヤードの床面上に配置し、前記架台を支持する架台高調整具と、を有し、
前記架台は、長尺の形鋼材であり、
複数本の前記架台を所定の間隔をもって略平行に並列して構成することを特徴とする、
作業台。 - 請求項3に記載の作業台において、
並列した前記架台のうち、端部に位置する架台の上面に、所定の厚さ、所定の幅を有するスペーサーを設けることを特徴とする、
作業台。
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