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JP7429123B2 - 自転車用チェーンのチェーン部品、および自転車用チェーン - Google Patents

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Description

本発明は、自転車用チェーンのチェーン部品、および自転車用チェーンに関する。
自転車用チェーンの耐摩耗性を向上するために、様々な試みが行われている。例えば、特許文献1には、オイルを貯留するオイル貯留容器4が、開示されている。オイル貯留容器4は、フレームに装着されている。オイル貯留容器4の出口には、オイルスイッチ5が接続される。オイルスイッチ5には、オイルノズル6が接続される。潤滑剤としてのオイルは、重力の作用により、オイルノズル6からチェーン7に落下する。これによって、自転車用チェーンの摩耗を抑えるという効果が実現されている。
中国実用新案2855876号公報
従来技術では、オイル貯留容器、オイルスイッチ、及びオイルノズルが、フレームに設けられている。このように、従来技術では、自転車用チェーンの摩耗を抑えるために用意する構成が複雑になるという問題がある。
本発明の目的は、自転車の構造の複雑化を抑えて、耐摩耗性を向上させることができる自転車用チェーン部品を、提供することにある。また、本発明の目的は、自転車の構造の複雑化を抑えて、耐摩耗性を向上させることができる自転車用チェーンを、提供することにある。
本発明の第1の態様に関して、自転車用チェーンのチェーン部品が、基材と、炭化クロム層と、窒化クロム層とを、備える。炭化クロム層は、基材上に形成される。窒化クロム層は、炭化クロム層上に形成される。
第1の態様に係る自転車用チェーンのチェーン部品では、炭化クロム層および窒化クロム層の2つの層によって、基材に対する摩耗に耐えることができる。すなわち、本チェーン部品では、従来技術と比較して、耐摩耗性を向上することができる。
本発明の第2の態様に関して、本発明の第1の態様に係る自転車用チェーンのチェーン部品は、基材が、炭素鋼、合金鋼およびステンレス鋼のいずれか1つであるように、構成される。
第2の態様に係る自転車用チェーンのチェーン部品では、基材を、炭素鋼、合金鋼およびステンレス鋼のいずれか1つによって構成することによって、基材に炭化クロム層を容易に形成することができる。
本発明の第3の態様に関して、本発明の第1または第2の態様に係る自転車用チェーンのチェーン部品は、窒化クロム層が1μm以上20μm以下の厚みを有するように、構成される。
第3の態様に係る自転車用チェーンのチェーン部品では、窒化クロム層の厚みを上記のように形成することによって、チェーン部品の耐摩耗性を好適に向上することができる。
本発明の第4の態様に関して、本発明の第1から第3の態様のいずれか1つに係る自転車用チェーンのチェーン部品は、炭化クロム層が5μm以上30μm以下の厚みを有するように、構成される。
第4の態様に係る自転車用チェーンのチェーン部品では、炭化クロム層の厚みを上記のように形成することによって、窒化クロム層と共に、チェーン部品の耐摩耗性を好適に向上することができる。
本発明の第5の態様に関して、自転車用チェーンは、アウターリンクプレートと、インナーリンクプレートと、リンクピンと、ローラとを、備える。この自転車用チェーンでは、アウターリンクプレート、インナーリンクプレート、リンクピン、および、ローラのうちの少なくとも1つが、上述したチェーン部品である。
第5の態様に係る自転車用チェーンでは、アウターリンクプレート、インナーリンクプレート、リンクピン、および、ローラの耐摩耗性を好適に向上することができる。
本発明によれば、自転車用チェーンのチェーン部品において、耐摩耗性を向上することができる。また、本発明によれば、自転車用チェーンにおいて、耐摩耗性を向上することができる。
本発明の実施形態による自転車用チェーンの側面図。 自転車用チェーンの分解斜視図。 図2の切断線Aにおけるリンクピンを模式的に示した断面図。 図3Aの部分拡大断面図。 リンクピンの評価形態を説明するための模式図。 リンクピンの評価を比較するための図。
(自転車用チェーンの構成)
図1及び図2に示すように、自転車用チェーン1は、アウターリンクプレート3と、インナーリンクプレート5と、リンクピン7と、ローラ9とを、備える。
詳細には、自転車用チェーン1は、1対のアウターリンクプレート3a,3bと、1対のインナーリンクプレート5a,5bと、リンクピン7と、ローラ9とを、備える。
図2に示すように、1対のアウターリンクプレート3a,3bは、リンクピン7の軸心P1(後述する)に関する軸方向において、間隔を隔てて配置される。すなわち、1対のアウターリンクプレート3a,3bは、リンクピン7の軸心P1に関する軸方向において、対向して配置される。
1対のアウターリンクプレート3a,3bのそれぞれには、1対の第1ピン穴11a,11bが形成される。第1ピン穴11a,11bには、リンクピン7の端部が固定される。なお、図2では、リンクピン7の端部が第1ピン穴11aに固定される場合の例が、示されている。なお、図2では、第1ピン穴11a,11bが1対のアウターリンクプレート3a,3bの対向する方向に突出するように示されている。しかし、第1ピン穴11a,11bには、このような突出が無くてもよい。
1対のインナーリンクプレート5a,5bは、リンクピン7の軸心P1に関する軸方向において、間隔を隔てて配置される。すなわち、1対のインナーリンクプレート5a,5bは、リンクピン7の軸心P1に関する軸方向において、対向して配置される。1対のインナーリンクプレート5a,5bのそれぞれには、1対の筒状部13a,13bが形成される。
筒状部13a,13bは、リンクピン7の軸心P1に関する軸方向において、インナーリンクプレート5a,5bの一方向に突出している。例えば、インナーリンクプレート5a及びインナーリンクプレート5bのそれぞれの筒状部13a,13bは、リンクピン7の軸心P1に関する軸方向において、対向するインナーリンクプレート5b,5aに向けて突出している。
筒状部13a,13bの内周面は、第2ピン穴15a,15bとして、用いられる。第2ピン穴15a,15bにはリンクピン7が挿通される。なお、図2では、リンクピン7が第2ピン穴15bに挿通される場合の例が、示されている。
本実施形態では、インナーリンクプレート5に筒状部13a,13bが一体に形成される場合の例を示した。例えば、筒状部13a,13bは、バーリング加工によって形成される。バーリング加工は、穴の縁にフランジを成形する加工方法である。ここで、筒状部13a,13bはフランジに相当する。なお、筒状部13a,13bは、インナーリンクプレート5とは別体のブッシュであってもよい。
1対のインナーリンクプレート5a,5bは、リンクピン7を介して、1対のアウターリンクプレート3a,3bに隣接して各別に配置される。各インナーリンクプレート5a,5bは、リンクピン7を介して、各アウターリンクプレート3a,3bに対して揺動する。すなわち、リンクピン7は、隙間ばめによって、第2ピン穴15a,15bに配置される。
1対のインナーリンクプレート5a,5bは、リンクピン7の軸心P1に関する軸方向において、1対のアウターリンクプレート3a,3bの間に配置される。すなわち、1対のアウターリンクプレート3a,3bは、リンクピン7の軸心P1に関する軸方向において、1対のインナーリンクプレート5a,5bを挟むように配置される。
図1及び図2に示すように、リンクピン7は、軸心P1を有する。リンクピン7は、1対のインナーリンクプレート5a,5bおよび1対のアウターリンクプレート3a,3bを、連結する。
例えば、図2に示すように、リンクピン7は、円柱状に形成される。リンクピン7は、アウターリンクプレート3a,3bの第1ピン穴11a,11bと、インナーリンクプレート5a,5bの第2ピン穴15a,15bに挿通される。例えば、リンクピン7の両端部は、アウターリンクプレート3の第1ピン穴11a,11bにかしめ固定される。
かしめ固定は、素材を変形させて他の部品に固定する方法である。例えば、リンクピン7の端部を第1ピン穴11a,11bに挿入した状態において、リンクピン7の端部を変形させる。これによって、ピンは穴から抜けないように固定される。
図1及び図2に示すように、ローラ9は、リンクピン7の外周部に配置される。例えば、ローラ9は、リンクピン7の軸心P1に関する径方向において、リンクピン7の外側に配置される。詳細には、図2に示すように、リンクピン7は、筒状部13a,13bの第2ピン穴15a,15bに挿通される。この状態において、ローラ9は、リンクピン7の軸心P1に関する径方向において、インナーリンクプレート5の筒状部13a,13bの外側に配置される。言い換えると、筒状部13a,13bは、リンクピン7の軸心P1に関する径方向において、ローラ9の内側に配置される。例えば、筒状部13a,13bは、ローラ9の孔部に挿通される。
上述した、アウターリンクプレート3、インナーリンクプレート5、リンクピン7、およびローラ9の少なくとも1つには、耐摩耗性を向上するために、表面処理が行われる。本実施形態では、リンクピン7に対して表面処理が行われる場合の例が、示される。本実施形態では、リンクピン7がチェーン部品の一例として説明される。
(リンクピンの構成)
図3Aに示すように、リンクピン7は、基材21と、基材21上に形成される炭化クロム層23と、炭化クロム層23上に形成される窒化クロム層25とを、備える。例えば、基材21は、炭素鋼、合金鋼、およびステンレス鋼のいずれか1つである。本実施形態では、基材21が炭素鋼である場合を一例として、説明が行われる。基材21は、例えば、円柱状に形成される。
基材21には、浸窒処理が行われる。基材21に対して浸窒処理を行うことによって、窒素が基材21の表層に侵入する。例えば、浸窒処理では、アンモニアガスまたは窒素ガスの雰囲気中に基材21が暴露される。この状態で基材21を放置することによって、窒素が基材21の表層に侵入する。アンモニアガスの温度または窒素ガスの温度は650℃以上850℃以下であることが好ましい。
基材21には、窒化処理が行われてもよい。窒化処理とは、表面硬化処理の化学的表面硬化法で、鋼の表面から窒素を拡散侵入させ、鋼の表面を硬くする加工技術である。基材21に窒化処理を行うことによって、窒素が基材21の表層に侵入する。例えば、窒化処理では、アンモニアガスまたは窒素ガスを含む空気中に、基材21が暴露される。この状態で基材21を放置することによって、窒素が基材21の表層に侵入する。アンモニアガスの温度または窒素ガスの温度は、510度以上570度以下であることが好ましい。なお、窒化処理には、ガス窒化処理、塩浴窒化処理、およびイオン窒化処理等が含まれる。
上記の処理によって、基材21の表層には浸窒層27が形成される。浸窒層27は、基材21に対して窒素を拡散浸透させることで形成される。この状態において、浸窒層27を有する基材21に対して、クロマイジング処理が行われる。クロマイジング処理は、基材21に対してクロムを拡散浸透させる処理である。クロマイジング処理では、基材21が加熱され、蒸気圧の高いハロゲン化クロムが基材21に対して送り込まれる。これにより、基材21の表層においてクロムが析出され拡散される。
浸窒層27を有する基材21に対してクロマイジング処理を行うことによって、クロムが浸窒層27に浸透する。これにより、基材21の表層には、窒化クロム層25が形成される。例えば、浸窒層27の全体にクロムが浸透すると、浸窒層27は窒化クロム層25に変化する。例えば、図3Bに示すように、窒化クロム層25は、1μm以上30μm以下の厚みT1を、有する。詳細には、窒化クロム層25は、1μm以上20μm以下の厚みT1を有する。
窒化クロム層25の厚みT1は、断面観察によって測定される。窒化クロム層25の厚みT1は、窒化クロム層25において最も小さい最小厚みによって、評価されることが好ましい。
また、上記のクロマイジング処理によって、クロムを、浸窒層27より内側の部分にも浸透させる。これにより、浸窒層27より内側の部分、例えば基材21において浸窒層27に隣接する部分には、炭化クロム層23が形成される。
このように、炭化クロム層23はクロムの拡散浸透によって形成される。また、窒化クロム層は窒素およびクロムの拡散浸透によって形成される。
上記のように本実施の形態では、浸窒処理によって浸窒層を形成した後に、クロマイジング処理が行われている。これに対して、例えば、クロマイジング処理を行った後に浸窒処理を行う場合には、クロマイジング処理によって炭化クロム層が安定する。この場合、窒化クロム層は、ほとんど生成されない。
このように、クロマイジング処理後に窒化処理が行われた場合、耐摩耗性の向上に期待することができない。すなわち、クロマイジング処理よってクロムを基材21に拡散浸透させた後に、窒化処理によって窒素を拡散浸透させると、耐摩耗性の向上に寄与する窒化クロム層および炭化クロム層の2層構造を、形成することができない。
図3Bに示すように、炭化クロム層23は、5μm以上30μm以下の厚みT2を、有する。炭化クロム層23の厚みT2は、断面観察によって測定される。炭化クロム層23の厚みT2は、炭化クロム層23において最も小さい最小厚みによって、評価されることが好ましい。
なお、図3A及び図3Bでは、リンクピン7において炭化クロム層23及び窒化クロム層25を除いた部分が、符号“31”で示されている。
上記のように、炭化クロム層23及び窒化クロム層25は、基材21の表面上に追加的に重ねて形成されていない。すなわち、炭化クロム層23及び窒化クロム層25は、基材21の表層部の性質を変化させて形成されている。リンクピン7において炭化クロム層23及び窒化クロム層25を除いた部分は、例えば、基材本体である。
基材本体31は、基材21の性質が実質的に変化していない部分である。つまり、炭化クロム層23及び窒化クロム層25が形成されたリンクピン7では、基材本体31は基材21である。
基材本体31は、炭素鋼の特性を有する。すなわち、リンクピン7は、炭素鋼の特性を有する基材本体31と、炭化クロムの特性を有する炭化クロム層23と、窒化クロムの特性を有する窒化クロム層25とを有すると、解釈してもよい。
上記のように、例えば、基材21に対して、浸窒処理または窒化処理を行った後に、クロマイジング処理を行う。これによって、窒化クロム層25および炭化クロム層23の2層の被膜を、基材21に容易に形成することができる。
また、物理蒸着によってチェーン部品の基材21に窒素被膜を形成する場合、硬度の高い窒素被膜と硬度の低い基材との間での硬度差が、大きくなる。そのため、基材に対する窒素被膜の密着性が十分に得られず、耐摩耗性が長期に亘って維持されない。これと比較して、炭化クロムの硬度は窒化クロムの硬度よりも低い。また、炭化クロムの硬度は炭素鋼の硬度よりも高い。
このため、窒化クロム層25および炭化クロム層23の2層の被膜は、基材21に対する密着性を向上することができる。また、窒素およびクロムを基材21に拡散させているので、物理蒸着と比較して密着性は向上する。すなわち、リンクピン7の耐摩耗性を向上することができる。物理蒸着などで形成された被膜と、拡散浸透によって形成された被膜とは、被膜の構造が異なる。そして、この構造の違いは、断面観察または各層の結晶の状態を調べることなどによって確認される。なお、窒化クロム層と基材との硬度差を小さくして剥離を軽減するために、クロマイジング処理を行った炭化クロム層の上には、窒化クロム層を、メッキ、蒸着、またはスパッタリング等で形成することもできる。この場合、炭化クロム層23は、クロムの拡散浸透によって形成される。
また、窒化クロム層25が摩耗したとしても、窒化クロム層25の下層に位置する炭化クロム層23によって、リンクピン7の耐摩耗性を確保することができる。
(リンクピンに対する摩耗評価)
以下では、リンクピン7に対する摩耗評価についての説明が、行われる。図4に示すように、リンクピン7に対する摩耗評価は、2つのリンクピンの一方72,73を、2つのリンクピンの他方71に対して摺動させることによって、行われる。
ここでは、第1の評価および第2の評価が行われる。第1の評価では、第1リンクピン71と、第2リンクピン72とが、用いられる。例えば、第1リンクピン71は、直径3.6mmおよび長さ6.1mmを有する円柱に、形成される。第1リンクピン71は、上述した2層の被膜を有していない。すなわち、第1リンクピン71は、基材21である。
基材21は、JIS規格におけるS55Cの炭素鋼である。基材21の硬さは、HRCで50に調整される。基材21の外周面の粗さは、Ra0.1μm以下になるように調整される。
例えば、第2リンクピン72は、直径3.6mmおよび長さ6.1mmを有する円柱に、形成される。第2リンクピン72には、基材21に対して、上述した窒化クロム層25および炭化クロム層23の2層の被膜が、設けられる。
基材21は、JIS規格におけるS55Cの炭素鋼である。基材21の硬さは、HRCで50に調整される。窒化クロム層25の粗さ(基材21の外周面の粗さ)は、Ra0.1μm以下になるように調整される。
窒化クロム層25の厚みT1は、4μmである。炭化クロム層23の厚みT2は、15μmである。すなわち、窒化クロム層25の厚みT1および炭化クロム層23の厚みT2の全体厚みTは、19μmである。
第2の評価では、第1リンクピン71と、第3リンクピン73とが、用いられる。例えば、第3リンクピン73は、直径3.6mmおよび長さ6.1mmを有する円柱に、形成される。第3リンクピン73には、炭化クロム層23のみからなる1層の被膜が、設けられる。
基材21は、JIS規格におけるS55Cの炭素鋼である。基材21の硬さは、HRCで50に調整される。炭化クロム層23の粗さ(基材21の外周面の粗さ)は、Ra0.1μm以下になるように調整される。
炭化クロム層23の厚みT3は、19μmである。この炭化クロム層23の厚みT3は、第2リンクピン72における窒化クロム層25の厚みT1および炭化クロム層23の厚みT2の全体厚みTと同じである(T3=T=T1+T2)。
第1の評価および第2の評価では、第2リンクピン72または第3リンクピン73が、第1リンクピン71に対して直交して配置される。第2リンクピン72または第3リンクピン73が第1リンクピン71に接触した状態において、第2リンクピン72または第3リンクピン73は第1リンクピン71の軸方向Dに移動する。
第1の評価および第2の評価では、第1リンクピン71に向けて、第2リンクピン72または第3リンクピン73に100Nの力Fを作用させる。これによって、第2リンクピン72または第3リンクピン73が第1リンクピン71に接触する。
この状態において、第2リンクピン72または第3リンクピン73は、第1リンクピン71に対して、10mm/secの速度で往復移動する。第2リンクピン72または第3リンクピン73が往復する回数は、5000サイクルである。第2リンクピン72または第3リンクピン73が第1リンクピン71に対して摺動する距離は、3mmである。ここでは、1リットルの水に50gのJIS試験用粉体11種(関東ローム)を混ぜたものが、潤滑剤として用いられる。
上記の条件によって第1の評価および第2の評価を行った結果が、図5に示される。例えば、第1の評価では、第2リンクピン72の摩耗量は23μmである。第2の評価では、第3リンクピン73の摩耗量は30μmである。このように、第2リンクピン72の摩耗量は、第3リンクピン73の摩耗量より小さい。ここで摩耗量は、摩耗深さに対応する。
すなわち、第2リンクピン72の窒化クロム層25によって、第2リンクピン72の摩耗の進行が第3リンクピン73の摩耗の進行より遅くなると、判断することができる。被膜の厚みTが同じである場合、2層被膜(窒化クロム層25および炭化クロム層23)の耐摩耗性は、1層被膜(炭化クロム層23)の耐摩耗性より優れていると、判断することができる。
なお、第2リンクピン72および第3リンクピン73の摩耗量は、第1リンクピン71に対する接触範囲(摺動範囲)において測定される。例えば、接触範囲において、試験前の第2リンクピン72の最小直径と試験後の第2リンクピン72の最小直径とが測定される。この差が、摩耗量として図3に示されている。摩耗量は、試験前の第2リンクピン72の重量と、試験後の第2リンクピン72の重量とを測定し、その差を摩耗量に換算してもよい。
<他の実施形態>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の実施形態及び変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
(a)前記実施形態では、チェーン部品の一例として、リンクピン7の説明が行われた。本発明の対象となるチェーン部品は、リンクピン7だけでなく、アウターリンクプレート3、インナーリンクプレート5、およびローラ9の少なくとも1つであってもよい。すなわち、アウターリンクプレート3、インナーリンクプレート5、リンクピン7、およびローラ9の少なくとも1つは、本願発明の対象となるチェーン部品である。
(b)前記実施形態では、リンクピン7が円柱状に形成される場合の例が示された。これに代えて、リンクピン7は円筒状に形成されてもよい。
1 自転車用チェーン
3,3a,3b アウターリンクプレート
5,5a,5b インナーリンクプレート
7,71,72,73 リンクピン
9 ローラ
11a,11b 第1ピン穴
13a,13b 筒状部
15a,15b 第2ピン穴
21 基材
23 炭化クロム層
25 窒化クロム層
27 浸窒層
31 基材本体
D 第1リンクピン71の軸方向
F 力
T1 窒化クロム層の厚み
T2 炭化クロム層の厚み
P1 リンクピン7の軸心

Claims (5)

  1. 自転車用チェーンのチェーン部品であって、
    基材と、
    前記基材上に形成される炭化クロム層と、
    前記炭化クロム層上に形成される窒化クロム層と、
    を備え
    前記基材には、表層に窒素を拡散浸透することによって生成される浸窒層が、形成され、
    前記浸窒層に対してクロムを拡散浸透することによって、前記窒化クロム層が前記浸窒層に形成され、前記炭化クロム層が前記浸窒層よりも内側に形成される、
    ェーン部品。
  2. 前記基材は、炭素鋼、合金鋼およびステンレス鋼のいずれか1つである、
    請求項1に記載のチェーン部品。
  3. 前記窒化クロム層は、1μm以上20μm以下の厚みを有する、
    請求項1または2に記載のチェーン部品。
  4. 前記炭化クロム層は、5μm以上30μm以下の厚みを有する、
    請求項1から3のいずれか1項に記載のチェーン部品。
  5. アウターリンクプレートと、インナーリンクプレートと、リンクピンと、ローラと、を備える自転車用チェーンであって、
    前記アウターリンクプレート、前記インナーリンクプレート、前記リンクピン、および、前記ローラのうちの少なくとも1つは、請求項1から4のいずれか1項に記載のチェーン部品である、
    自転車用チェーン。
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