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JP7425667B2 - 防水パン及びこれを備えた浴室ユニット - Google Patents

防水パン及びこれを備えた浴室ユニット Download PDF

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JP7425667B2 JP2020085993A JP2020085993A JP7425667B2 JP 7425667 B2 JP7425667 B2 JP 7425667B2 JP 2020085993 A JP2020085993 A JP 2020085993A JP 2020085993 A JP2020085993 A JP 2020085993A JP 7425667 B2 JP7425667 B2 JP 7425667B2
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Description

本発明は、浴室の床部を構成する防水パン、及びこれを備えた浴室ユニットに関する。
一般に、ホテル、マンション、一般住宅等の浴室ユニットに使用される防水パンは、方形の床部が浴槽載置場と洗い場とに堤部で仕切られて、周囲に壁載置部を形成するとともに、SMC(Sheet Molding Compound)、FRP(繊維強化プラスチック)等の合成樹脂成形体から構成される。
防水パンは、防水性や成形性等の観点からは、浴槽載置場と洗い場とを一体成形した構造が好ましいが、施工現場等によっては、搬入等がし難い問題があった。
例えば、ホテル、マンション、一般住宅等、建築物の劣化現象による浴室内部の改造の際は、従来から設置されている防水パン、壁パネル、天井等からなる浴室ユニットを分解して室外に運び出し、新たな防水パン、壁パネル、天井等を搬入して新たな浴室ユニットが組み立てられる。この際、浴室内部の入口は狭いので、浴槽載置場と洗い場とを一体成形した防水パンの搬入は、そのままでは困難であった。
そのため、従来、浴槽載置場と洗い場とを別々の金型で成形し、浴室内に搬入しやすくしている例も多いが、浴槽載置場と洗い場を新たに用意するためには、新たな設計、評価に加え、金型や設備への新たな投資や、品種増に伴う管理費用の増加が起きるなどの問題点があった。また、一体成形の防水パンのままで設置可能な現場であっても、現場での接続作業が必要で、接続のための部品が必要となる等の問題点もあった。
そこで、一体成形した防水パンを搬入前に切断し、浴室内へ搬入後に両者を再度一体に接続固定し、浴室ユニットを設置する構造が知られている。
特許文献1では、上面に溝部を形成した突条体を浴槽載置場と洗い場との境界に一体形成し、この溝部を境に2分割可能とした防水パンの構造が開示されている。
特許文献2では、浴槽側と洗い場側との境界部に突部を設け、この突部を浴槽側と洗い場側に分断するように切断する浴室床パンの構造が開示されている。これにより、分割した浴槽側と洗い場側のパンの双方に連結側面が設けられ、この連結側面に防水パッキンを介在させることで、連結部の防水性を向上し得る浴室防水パンとなる。
また、特許文献3では、浴槽側と洗い場側との境界部裏面側に設けられた凹所に嵌込材を嵌め入れてから分割する床パンの構造が開示されている。
特開平11-172733号公報 特開2015-169034号公報 特開2015-169035号公報
しかしながら、特許文献1に記載のように現地で浴槽載置場と洗い場とを分割して浴室内に搬入し、搬入後、両者を接続する方法は、浴室内部周囲の壁と防水パンとの間隔が狭いため、現地における防水パンの切断作業、及び分割した浴槽載置場と洗い場との接続作業に多大な時間を要し、作業性の低下を招く大きな要因となっていた。また、特許文献1に記載の構造では、浴槽載置部と洗い場との隙間が刃厚分しかなく、浴槽載置部の設置作業が困難であった。
特許文献2に記載の構造では、突部を切断するために、他の部位よりも突部の厚さ寸法を厚くしてあるため、防水パンを成形する際の材料硬化時間が長くなり、生産性が悪いものであった。また、他の部位よりも突部が厚肉となっており、成形時の樹脂の収縮により、ヒケが発生し、外観悪化を招く大きな要因となっていた。また、特許文献2に記載の構造では浴槽床パンと洗い場床パンを連結部材を介し連結した構造のため、連結部材を取り付ける際に、浴槽載置部を貫通するようにビス固定する必要があり、防水性の低下を招く大きな要因となっていた。
特許文献3に記載の構造では、堰部の裏面側に嵌込材が必要で、この嵌込材が凹溝形状に応じた中実ブロック状の形状のため、その製法も限られ、準備し難いものであった。また、切断面に防水パッキンを貼り付けることになるため、特許文献2に記載の構造と同様に、貼り付け面を慎重に仕上げて平滑にする必要があった。
本発明は、上記の従来の問題点を鑑みなされたものであって、一体成形の防水パンと同様に成形可能でありながらも、容易に2分割することができ、2分割した浴槽載置場と洗い場との接続作業が容易で、かつ、切断の誤差も吸収しやすく、しかも双方の接続を堅固に行なえ、防水性も高い浴室ユニットの防水パンの提供を目的とすることができる。
本発明は、上述課題を解決する手段として、以下の構成を有する。
(1)本発明に係る防水パンは、浴槽載置場パンと洗い場パンとを堤部を介し連結し一体成形した防水パンであって、前記浴槽載置場パンと前記洗い場パンとを仕切る前記堤部の裏面側または表面側に、前記堤部の全長に沿って平行かつ下方または上方に突出し、前記堤部の壁厚と略同等の厚さを有する少なくとも2本の突条体が設けられたことを特徴とする。
(2)本発明に係る防水パンにおいて、前記堤部の裏面側または表面側において前記浴槽載置場パン側と前記洗い場パン側にそれぞれ位置して隣接する前記2本の突条体は、前記突条体の厚さ方向中心の間隔が15mm~30mmで配置されていることが好ましい。
(3)本発明に係る防水パンにおいて、前記洗い場パン側に形成された前記突条体の前記洗い場パン側の部分、あるいは、前記浴槽載置場パン側に形成された前記突条体の前記浴槽載置場パン側の部分のいずれかに、前記堤部の天部下方に位置するように前記天部より肉厚の突部が形成されたことが好ましい。
(4)本発明に係る防水パンにおいて、(1)~(3)のいずれかに記載の防水パンにおいて、前記浴槽載置場パン側と前記洗い場パン側にそれぞれ前記突条体が残るように前記浴槽載置場パンと前記洗い場パンに2分割可能としたことが好ましい。
(5)本発明に係る防水パンは、(4)に記載の防水パンにおいて、前記堤部の天部に被着される上板と該上板の下方に延出される差込片とを有する連結部材が備えられ、前記浴槽載置場パン側と前記洗い場パン側の前記突条体のどちらか一方をガイドとして取り付けた前記連結部材により、前記浴槽載置場パンと前記洗い場パンが連結されたことが好ましい。
(6)本発明に係る防水パンにおいて、前記連結部材が、前記上板と前記差込片を備えた側面視略T字型あるいは側面視略逆L字型であることが好ましい。
(7)本発明に係る浴室ユニットは(1)~(6)のいずれか一項に記載の防水パンを備えたことを特徴とする。
本発明によれば、一体成形の防水パンにおいて浴槽載置場パンと洗い場パンとを仕切る堤部の裏面側または表面側に、堤部の全長に沿って平行かつ下方または上方に突出する少なくとも2本の突条体を設けたので、これら突条体の間の部分を境界として防水パンを浴槽載置場パンと洗い場パンに切断する場合、浴槽載置場パンの洗い場パン側の端部に突条体を配置でき、洗い場パンの浴槽載置場パン側の端部に突条体を配置し、突条体どうしを介し両者を接合できる。
接合の場合、浴槽載置場パンの切断側の端部と洗い場パンの切断側の端部には、いずれも突条体が存在するので、これらを目安に浴槽載置場パンと洗い場パンを目的の状態に接合する場合の作業が容易となり、突条体どうしを介し確実な接合ができるとともに、突条体が堤部に位置する構造の防水パンを浴室内に構築できる。
また、浴槽載置場パンと洗い場パンに分割不要な場合は、後加工を行うことなく、一体成形品のまま防水パンを使用できる。このため、分割専用に新たな金型や設備への投資を抑制することができ、さらに、品種増加に伴う管理費の増加を抑制できる。
防水パンを浴槽載置場パンと洗い場パンの2つに切断し分離することで、浴室ユニットの入口が狭い構造であっても、浴槽載置場パンと洗い場パンを浴室ユニット内に容易に搬入することができる。また、入口部が狭い浴室ユニットであっても一体構造のままの防水パンに比べ、分割した浴槽載置場パンと洗い場パンを用いるならば、これらを浴室ユニット内の目的の位置に容易に位置合わせしながら配置することができる。
突条体どうしの間隔が15~30mmであるならば、防水パンを切断して浴槽載置場パンと洗い場パンに分離する場合に切断作業が容易にできるとともに、浴槽載置場パンと洗い場パンを連結する場合に接合作業が容易となる適切な間隔を維持できる。
分割した浴槽載置場パンと洗い場パンに関し、浴槽載置場パン側の堤部と洗い場パン側の堤部をビスなどの結合具を用いて接合する場合、堤部の天部下方に設けた肉厚の突部をビス止め部として利用することができる。
図1(a)は防水パン提部の分割前を模式的に示した断面図、図1(b)は防水パン提部を2回切断し分割した例を模式的に示した断面図である。 図2Aは図1(b)に示す分割防水パンに関し、連結部材で連結する前の一例を模式的に示した断面図である。 図2Bは図1(b)に示す分割防水パンを連結部材で連結した第1実施形態を模式的に示し、図4におけるY-Y線矢視に対応させた断面図である。 図2Bに示す連結部材の略T字形状の一部をロ形に形成し、連結した一例を模式的に示した断面図である。 図2Bに示す分割防水パンを連結した構造を模式的に示す概略平面図である。 防水パンの提部を1回切断し、分割した構造を模式的に示した断面図である。 図5に示す分割防水パンを連結部材で連結した一例を模式的に示した断面図である。 浴室ユニットの外観図である。 他の構造の分割防水パンを連結部材で連結した第2実施形態を模式的に示す断面図である。
「第1実施形態」
以下、本発明の第1実施形態について図面を挙げて詳細に説明する。
なお、一部の図では、他図に付している詳細な符号の一部を省略している。また、以下の実施形態では、本実施形態に係る防水パン1(これを分割した分割防水パン1a)を設置した状態を基準として、上下方向等の方向を説明する。
本実施形態に係る防水パン1が設置された浴室ユニット100は、図7に表したように、防水パン1の外周縁部に形成されている溝型の壁載置部50に複数の壁パネル111とドア110が立設され、それらの上に天井112が設置されており、浴槽113、浴槽エプロン114、水栓160等を取り付けてなる。また、防水パン1は、その下部に図示は省略しているが長さ調節自在の支持脚を複数有し、建築物の床に支持されている。
防水パン1は、平面視矩形状であり、図1(a)と図4に示すように、洗い場パン20と浴槽載置場パン10とが堤部30で仕切られ、これらが一体成形されている。浴槽載置場パン10上には図7に示すように浴槽113が設置され、浴槽113の洗い場パン20側の側面を覆い隠すように、浴槽エプロン114が堤部30と浴槽113との間に設けられている。なお、浴槽エプロン114の下端部は堤部30の上面において洗い場パン20側の端部に被さるように設置されており、後述する連結部材120等は浴槽エプロン114により洗い場パン20側から見えないように目隠しされている。
洗い場パン20は、図4に示すように平面視矩形状とされた樹脂製の底壁20aと、該底壁20aに一体成形されてその3辺側を取り囲む背の低い樹脂製の側壁20bを有している。洗い場パン20の3辺の外縁に設けられた側壁20bの内側に沿うように溝型の壁載置部50が形成され、残り1辺側に堤部30を介して浴槽載置場パン10が一体成形されている。図4に示す例では、底壁20aの一方の長辺側に浴槽載置場パン10が形成されている。
図4に示す構成では、洗い場パン20において浴槽載置場パン10側の長辺側中央部に排水口形成部20Aが形成されている。洗い場パン20の底壁20aは平面視台形状の3つの領域に区分され、各領域は排水口形成部20Aに向けて傾斜する下がり勾配が付与されている。
浴槽載置場パン10は、図4に示すように平面視矩形状とされた樹脂製の底壁10aを有し、該底壁10aに一体成形されてその3辺側を取り囲む背の低い樹脂製の側壁10bを有している。浴槽載置場パン10の3辺の外縁に設けられた側壁10bの内側に沿うように溝型の壁載置部50が形成され、残り1辺側に堤部30を介して洗い場パン20が一体成形されている。図4に示す例では、底壁10aの一方の長辺側に洗い場パン20が形成されている。
図4に示す構成では、洗い場パン20の一方の長辺側と浴槽載置場パン10の一方の長辺側が堤部30を介し一体化されているので、堤部30は洗い場パン20と浴槽載置場パン10の境界部分に直線状に延在されている。
図4に示す構成では、浴槽載置場パン10において洗い場パン20側の長辺側中央部に排水口形成部10Aが形成されている。
浴槽載置場パン10の周縁上部に形成されている壁載置部50と洗い場パン20の周縁上部に形成されている壁載置部50は、浴槽載置場パン10と洗い場パン20を一体成形した状態では堤部30の長さ方向両端位置で連続されている。浴槽載置場パン10の壁載置部50と洗い場パン20の壁載置部50が連続されることで、防水パン1の全周を矩形状に取り囲むように壁載置部50が形成されている。
防水パン1の全周に壁載置部50が形成されているので、図7に示すように浴槽載置場パン10の周囲と洗い場パン20の周囲に壁パネル111を設置し、浴室ユニット100の入口に相当する壁載置部50上にドア110を設置し、天井112を配することで浴室ユニット100が構成される。
図1(a)は、浴槽載置場パン10と洗い場パン20について、図4に示すように円形状の排水口形成部10A、20Aの中心を通過するように描いたYY線に沿う断面図である。
浴槽載置場パン10において、排水口形成部10Aの周縁部分から斜め上方に傾斜するように傾斜壁10Bが形成され、この傾斜壁10Bの上端部が水平に延在されて堤部30の浴槽載置場パン側を構成している。図4に示すように傾斜壁10Bは浴槽載置場パン10の一方の長辺側に沿って該長辺の一端側から他端側にかけて延在され、堤部30に連続されている。
洗い場パン20において、排水口形成部20Aの周縁部分から斜め上方に傾斜するように傾斜壁20Bが形成され、この傾斜壁20Bの上端部が水平に延在されて堤部30の洗い場パン側を構成している。図4に示すように傾斜壁20Bは洗い場パン20の一方の長辺側に沿って該長辺の一端側から他端側にかけて延在され、堤部30に連続されている。
図1(a)の断面に示すように、浴槽載置場パン10の傾斜壁10Bの上端部と洗い場パン20の傾斜壁20Bの上端部が、水平に延在する一定幅の板状部材で連続一体化されて凸型の堤部30が形成されている。浴槽載置場パン10と洗い場パン20は堤部30を介し樹脂等の構成材料により一体成形されたものである。浴槽載置場パン10を構成する板材の板厚と洗い場パン20を構成する板材の板厚は略同等とされ、堤部30を構成する板材の板厚も浴槽載置場パン10や洗い場パン20の板厚と同程度とされている。
防水パン1の堤部30の裏面側には、堤部30の全長に亘って下方に板状に延び、かつ堤部30と一体成形された洗い場パン側突条体60aと浴槽載置場パン側突条体60bが設けられている。これらの突条体60a、60bの厚さは、提部30を構成する板材の厚みと同等厚さ寸法であり、突条体60a、60bは下方向に突出されている。図1(a)に示す例では、突条体60a、60bの下端部は浴槽載置場パン10の傾斜壁10Bの深さの半分程度、かつ、洗い場パン20の傾斜壁20Bの深さの半分程度に位置されている。図1(a)に示す例では、浴槽載置場パン10の傾斜壁10Bの深さの方が、洗い場パン20の傾斜壁20Bの深さより若干深く形成されている。
さらに、洗い場パン側突条体60aの基端部側に堤部30の長さ方向に沿って複数個、突部70が一体成形されている。突部70は、図1(a)に示すように、洗い場パン側突条体60aの長さ(上下方向長さ)の半分程度の上下方向長さを有し、洗い場パン側突条体60aの厚さの数倍程度の横幅を有する。
防水パン1は、図1(a)あるいは図4に示すように、分割することなく一体化された状態、及び図1(b)を基に後記するように洗い場パン20と浴槽載置場パン10とに分割された分割防水パン1aの状態のいずれの状態でも浴室ユニット100内に設置可能な大きさに形成されている。
洗い場パン側突条体60a、浴槽載置場パン側突条体60bは、提部30と同等の厚さ寸法のため、防水パン1を成形する際に樹脂の収縮によるヒケの発生がなく、材料硬化時間の短縮が可能である。なお、突部70については、堤部30の裏面側に間欠的に形成されていること、後述するようにビス止めに使用することから、突部70の部分に収縮によるヒケなどが多少生じても問題は無い。
洗い場パン側突条体60a、浴槽載置場パン側突条体60bは、各々の厚さ方向中心の水平方向間隔で15~30mm程度開けて設けられていることが好ましい。
図1(b)に示す分割防水パン1aは、防水パン1の提部30を、2回(2箇所)切断し、洗い場パン20側に洗い場パン側突条体60aが残るように、浴槽載置場パン10側に浴槽載置場パン側突条体60bが残るように、2分割可能とされている。
洗い場パン側突条体60aの切断幅、浴槽載置場パン側突条体60bの切断幅は、それぞれ、1~1.5mmと薄くするならば、切断する際の刃の逃げやブレなどの抵抗が少なく、正確な切断が可能であり、切断時の作業性もよい。
また、洗い場パン側突条体60aの切断面と浴槽載置場パン側突条体60bの切断面を円滑に仕上げることが可能であり、円滑な切断面とすることで接合時の止水面を確保することができる。切断には、ディスクグラインダーやジグソーや丸鋸等の切断電動工具、パネルソー等の切断機を使用できる。これらの切断機を用いて切断する場合、洗い場パン側突条体60aの肉厚の一部と浴槽載置場パン側突条体60bの肉厚の一部をそれぞれ減じるように正確に切断することができる。
また、この防水パン1の切断は、施工現場への搬送前の工場内等においてなされるものとしてもよく、または、施工現場等においてなされるものとしてもよい。
また、防水パン1の分割は、図5に示す通り、洗い場パン側突条体60aに沿って防水パン1の提部30を1回切断し、洗い場パン20側に洗い場パン側突条体60aを残し、浴槽載置場パン10側に浴槽載置場パン側突条体60bを残す様に、2分割する構成としてもよい。1回切断の場合に切断する位置は、2回切断する場合の一方の位置と同じであるので、支障なく切断ができる。
以上説明した浴室ユニット100の分割防水パン1aによれば、分割専用パン1aの製造のために新たな金型や設備への投資を行う必要が無く、その投資費用を抑制でき、洗い場パン20と浴槽載置場パン10とが一体成形された防水パン1のままでは困難であった、狭小通路への搬入が可能となる分割防水パン1aを提供できる。
例えば、図7に示す浴室ユニット100の場合、ドア110を取り付ける部分の幅は小さいので、浴室ユニット100を設置する場所の入口部は狭小通路となる。この狭小通路を介し洗い場パン20のみを最初に浴室内に搬入して位置合わせしつつ設置後、狭小通路を介し浴槽載置場パン10を浴室内に設置するならば、狭小通路を介し支障なく容易に搬入と設置ができる。
新築の場合、浴室周囲の仕切壁を設置する前に防水パン1の設置を行えば、分割していない状態の防水パン1であっても搬入は容易であるが、浴室の改造やリフォームなどの場合は、浴室ユニット100を取り囲む仕切壁が既に設けられている。この場合、仕切壁を部分的に除去したり撤去しないことを前提に、浴室ユニットの入口部となる通路のみを利用し、防水パン1の搬入を行う必要が生じるが、上述のように分割防水パン1aとすれば、搬入は容易となる。
ここで、防水パン1を図1(b)に示すように、2回切断で分割すると、提部30の一部が大きな幅に渡り切り落とされてしまい、洗い場パン20と浴槽載置場パン10との間に隙間ができる為、水密性が確保できなくなる。そこで、洗い場パン20と浴槽載置場パン10を後述する連結部材120にて連結することにより、水密性を確保できる構造となる。
以下、さらに詳細な構造について、図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る分割防水パン1aは、洗い場パン20と浴槽載置場パン10に分割され、洗い場パン20には洗い場パン側提部30aと洗い場パン側突条体60aと突部70と第1切断面141が設けられ、浴槽載置場パン10には浴槽側提部30bと浴槽載置場パン側突条体60bと第2切断面142が設けられる。
ここで言及する2回切断とは、堤部30を切断して洗い場パン側突条体60aの厚さを減じ、第1切断面141を形成するまでの加工が1回目の切断であり、堤部30を切断して浴槽載置場パン側突条体60bの厚さを減じ、第2切断面142を形成するまでの加工が2回目の切断である。2回切断する場合の順序は、浴槽載置場パン10側の切断を1回目とし、洗い場パン20側の切断を2回目としても良く、切断の順番は問わない。
図2Aに示す通り、連結部材120は、横断面略T字形状であり、堤部30の上面に被着される上板120Aと、この上板120Aの下面から垂下された差込片120Bを有する。
上板120Aは、堤部30の全長に渡り被着可能なように堤部30の長さと同等の長さを有する。差込片120Bの長さも堤部30の全長に渡り装着可能なように堤部30の長さと同等の長さを有する。
上板120Aにおいて浴槽側堤部30bに被着される側の端部付近には、下向きの連結部材突部120dが形成され、上板120Aにおいて洗い場側堤部30aに被着される側の端部付近には、下向きの連結部材突部120eが形成されている。連結部材突部120dと連結部材突部120eは、上板120Aの全長に渡り(図2Aの紙面に直交する方向の全長に渡り)形成されている。
差込片120Bにおいて、浴槽載置場パン10側には、浴槽載置場10側に向いて突出する連結部材突部120a、120b、120cが上下方向に所定の間隔をあけて形成されている。連結部材突部120a、120b、120cは差込片120Bの全長に渡り(図2Aの紙面に直交する方向の全長に渡り)水平向きに形成されている。
連結部材突部120aと連結部材突部120bの間に位置するように差込片120Bに止具穴121aが形成され、連結部材突部120bと連結部材突部120cの間に止具穴121bが形成されている。これらの止具穴121aと止具穴121bは、差込片120Bの全長に渡り(図2Aの紙面に直交する方向の全長に渡り)間欠的に複数形成されている。
前記連結部材突部120a、120b、120bにより、後述する防水パッキン122a、122bとシーリング123のための隙間を確保できる。
連結部材突部120a、120b、120c、120d、120eの高さ寸法は、後述する防水パッキン122a、122bの厚み寸法の1/2程度の高さである。
連結部材120は、分割防水パン1aにおける浴槽載置場パン10側に固定される。
浴槽載置場パン側突条体60bの第2切断面142に、連結部材突部120a、120b、120cのそれぞれの先端を接触させ、浴槽側提部30bに連結部材突部120dを接触させた位置で、ビス等の第1固定材131を浴槽載置場パン側突条体60bにねじ込むことにより連結部材120が浴槽載置場パン10に固定されている。
図2Aに示すように、第1固定材131は、複数設けられ、一方が止具穴121aを挿通して浴槽載置場パン側突条体60bにねじ込まれ、他方が止具穴121bを挿通して浴槽載置場パン側突条体60bにねじ込まれている。
なお、図2Aは部分断面であるので、上下に2個の第1固定材131のみ描かれているが、止具穴121aと止具穴121bは、差込片120Bの長さ方向に沿って間欠的に複数形成されている。また、差込片120Bの長さ方向に沿って止具穴121a、121bは差込片120Bの上部側とそれよりも若干下方側に個々に形成されている。一例として例えば、差込片120Bの長さ方向両端側では差込片120Bの上部側に2つ揃って止具穴121aが形成され、それらより差込片120Bの長さ方向内側では差込片120Bの上部側とそれより若干下方側の位置に1つずつなどの個別パターンで形成され、各止具穴121a、121bに第1固定材131が挿通されている。
このため、各止具穴に対応するように差込片120Bの長さ方向に複数の第1固定材131が取り付けられ、差込片120Bが全長に渡り複数の第1固定材131により浴槽載置場パン10に固定されている。
図2Aに示すように、連結部材120を浴槽載置場パン10に固定した状態において、差込片120Bの基端部と浴槽載置場パン側突条体60bとの間に第2防水パッキン122bが介挿され、上板120Aと連結部材突部120dと浴槽側堤部30bに囲まれる部分にシーリング123が介挿されている。
図2Aは、浴槽載置場パン10における浴槽側堤部30bの端部から連結部材120の上板120Aを洗い場パン20側に水平に突き出した状態で浴槽載置場パン10を洗い場パン20に隣接させた状態を示している。
先に設置した洗い場パン20の洗い場側提部30aに対し、浴槽載置場パン10に固定された連結部材120の連結部材突部120eを接触させるように設置し、止具穴121cを介し、ビス等の第2固定材132を洗い場側堤部30aにねじ込むことで連結部材120を洗い場パン20側に固定することができる。この時、洗い場パン20の裏面側に設けられた突部70に第2固定材132をねじ込み固定することで、第2固定材132の先端を洗い場パン20の裏面側に突出させることなく接合ができる。
連結部材120の上板120Aにおいて、洗い場パン20側の連結部材側端部124aに近い部分の下面側に、連結部材突部120eが上板120Aの長さ方向に沿って形成されている。上板120Aの下面側であって、連結部材突部120eよりも若干浴槽載置場パン10側に、帯状で厚肉の第1防水パッキン122aが貼着されている。
また、連結部材突部120eの形成位置よりも若干浴槽載置場パン10側に上板120Aの長さ方向に沿って間欠的に複数の止具穴121cが形成されている。
この例では上板120Aの長さ方向に沿って6つの止具穴121cが所定の間隔で形成され、6つの止具穴121cを挿通した図4に示す6つの第2固定材132により、図2Bに示す如く上板120Aが洗い場側堤部30aに固定されている。
図2Bに示すように洗い場側提部30aと連結部材120の上板120Aとの間に、第1防水パッキン122aを介在させ、連結部材120の上板120Aと洗い場側提部30aとの間にシーリング123を充填した構造とされている。
また、浴槽側提部30bと連結部材120の上板120Aとの間、第2切断面142と連結部材120の差込片120Bとの間に、第2防水パッキン122bを介在させ、連結部材120の上板120Aと、浴槽側提部30bとの間にシーリング123を充填した構造とされている。
第1防水パッキン122a、第2防水パッキン122bは、天然ゴムや合成ゴム、独立気泡型の発泡系材料等から形成され、圧縮変形可能とされたものとしてもよい。また、このような基材の裏面に粘着剤が塗布されたものとしてもよい。また、粘着剤を保護する剥離紙(剥離フィルム)等が添着されたテープ状のものとしてもよい。
これらの第1防水パッキン122a、第2防水パッキン122bは、洗い場側提部30a、浴槽側提部30bと連結部の全長に亘って設けるようにしてもよい。
また、第1防水パッキン122a、第2防水パッキン122bの厚さ寸法は、洗い場20、浴槽載置場10に連結部材120が取付けられた状態で、厚さ方向への圧縮変形を伴い、当該第1防水パッキン122a、第2防水パッキン122bが、洗い場側提部30a、浴槽側提部30bと連結部材120との間で弾性的に接触するような寸法としてもよい。
また、第1防水パッキン122a、第2防水パッキン122bの貼着は、施工現場への搬送前の工場内等においてなされるものとしてもよく、または、施工現場等においてなされるものとしてもよい。第1防水パッキン122a、第2防水パッキン122bは、連結部材120の上板120Aに貼着されるものとしてもよい。
シーリング123は、ペースト状とされたシリコーン系シーラント等の樹脂系シーラントでよく、洗い場側提部30a、浴槽側提部30bと連結部材120との間に形成される隙間の略全長に亘って充填することが好ましい。図2Bに示す例では、上記のように設けられた第1防水パッキン122a、第2防水パッキン122bの側面から、連結部材120の連結部材側端部124a、124bと略同一平面状となるようにシーリング123を充填した例を示している。
また、連結部材120の形状は上記構成では略T字形状をなしているが、洗い場パン側突条体60a、浴槽載置場パン側突条体60bの間隔を空けて切断した場合、図3に示す様に、略T字形状の差込片120Bの上部を断面I形ではなく、断面ロ形の補強部125にすることができ、更に剛性をあげることが可能になる。
また、図3に示す構造では、第1切断面141と連結部材120との間にも防水パッキン126を貼り付けることが可能となり、水密の信頼性も向上する。
以上説明のような連結部材120は、適宣の形状とされた合成樹脂系材料やアルミニウム合金等の金属系材料等から形成されたものが好ましい。
また、連結部材120の浴槽載置場パン10側への固定は、施工現場へ搬入前の工場内等で行っても良く、あるいは、施工現場等においてなされるものとしてもよい。
本実施形態の構造によれば、提部30の一部と壁載置部50の一部が切り落とされた後でも、水密性を確保できる構造を提供できる。
1回切断で分割された分割防水パン1aを連結部材150で連結した構造について、図6を基に以下に説明する。
連結部材150においては、浴槽載置部パン11の浴槽載置場側パン側突条体60bに連結部材突部150aが接触するように固定される。連結部材150は、上板150Aと差込部150Bを有する略T字形状で、差込部150Bは横断面略ロ形である。差込部150Bは、上板150Aの幅方向中央部から下方に延在する板状の支持片150bとこの支持片150bの下方に断面口形に形成された取付部150cを有する。
取付部150cの浴槽載置部パン11側には上下に離間して止具穴151a、151bが形成されている。これら止具穴151a、151bを挿通して浴槽載置場パン側突条体60bにねじ込まれたビス等の複数の第1固定材131により、連結部材150が浴槽載置部パン11に固定されている。ビス等の複数の第1固定剤131により固定された構造については先の実施形態の取付構造と同様である。
先に設置した洗い場パン20の洗い場側提部30aに対し、浴槽載置場パン10に固定された連結部材150の連結部材突部150aが接触するように設置し、止具穴151cを通過させて洗い場側堤部30aと突部70にねじ込んだビス等の第2固定材132で連結部材150が洗い場パン21に固定される。この時、洗い場パン20の裏面に設けられた突部70に第2固定材132を固定することで、第2固定材132が洗い場パン20の裏面側に貫通することがない。
洗い場側提部30aと連結部材150、第1切断面141と取付部150cとの間には、第1防水パッキン122aを介在させ、連結部材150と、洗い場側提部30aとの間にシーリング123を充填した構造とされている。
浴槽側提部30bと連結部材150との間に、第2防水パッキン122bを介在させ、連結部材150と、浴槽側提部30bとの間にシーリング123を充填した構造とされている。
本実施形態の連結部材150は、上板150Aとともに略T字形状を形作る差込部150Bを断面I形ではなく断面ロ形とすることができ、連結部材150の剛性が向上し、浴槽載置部パン11と洗い場パン21の接続部の剛性が上がる。また、第1切断面141と取付部150cの間に、第1防水パッキン122aを介在させることで、さらに止水性の向上を図ることができ、切断回数も1回であり、作業性のよい接続構造を提供できる。
上記構成とされた分割防水パン1aは以下のように施工してもよい。
まず、浴室に洗い場パン20を設置する。この際、洗い場パン20の支持脚の長さを調整し、洗い場パン20の上下のレベル調整を行う。
次いで、図2Bに示すように連結部材120が取り付けられた浴槽載置場パン10を洗い場パン10の側方に設置する。
この際に、洗い場パン20、浴槽載置場パン10の各提部30a、30bの上面部が略同一面状となるように、適宣、位置調整する。例えば、浴槽載置場パン10の支持脚を調整し、浴槽載置場パン10の上下のレベル調整を行うようにしてもよい。
そして、連結部材120を洗い場パン20の突部70へ、第2固定材132にて締結して固定する。上記構成とされた連結部材120を用いた場合には、この第2固定材132の締め付けに伴い、洗い場パン20、浴槽載置場パン10、連結部材120との間にシーリング123を充填する隙間が形成される。
そして、この隙間にシーリング123を充填する。この際、各提部30a、30b、連結部材側端部124a、124bに、適宣、マスキングテープ(養生テープ)を隙間の全長に亘って貼着した状態で充填するようにしてもよい。
本実施形態の構造であれば、分割専用に新たな金型や設備への投資を抑制し、洗い場パン20と浴槽載置場パン10の一体型の防水パン1では困難であった、狭小通路への搬入が可能となる分割防水パン1aを提供でき、美観に優れた浴室ユニット100を提供できる。
なお、図2Aに示す状態から図2Bに示す状態のように浴槽載置場パン10を水平状態のまま真下に降下させて洗い場パン20の上に浴槽載置場パン10を設置できることもあるが、設置場所等に応じ、浴槽載置場パン10を水平状態のまま真下に降下させることができない場合もある。
このような場合、浴槽載置場パン10において堤部30形成側と反対側の長辺側を下に位置するように浴槽載置場パン10を斜めに支持しながら、堤部30形成側と反対側の長辺側を浴室ユニット設置場所の床に設置し、傾斜支持している浴槽載置場パン10の堤部30側を徐々に下降させて図2Aに示す状態とする必要がある。
この場合、洗い場パン側突条体60aの第1切断面141と浴槽載置場パン側突条体60bの第2切断面142の間隔が狭いと、第1切断面141の上端部に第2切断面142の下端部が干渉し、それ以上浴槽載置場パン10を下降できないことが考えられる。この点において、図2Aに示す2回切断の構造であれば、第1切断面141と第2切断面142の間隔を十分余裕を持って大きくとっているので、支障なく浴槽載置場パン10の下降ができる。
例えば、図6に示す構造では、口形の差込部150Bと第1切断面141との間隔が狭いので、いずれも、浴槽載置場パン10を斜め方向から回転させつつ下降させて設置する作業は簡単ではないが、図2A、図2B、図3に示す構造の方が浴槽載置場パン10の設置作業は容易となる。
図2A、図2B、図3に示す構造において浴槽載置場パン10の設置作業は図6の構造と対比し、容易であり、堤部30の防水性という面では図3に示す構造が有利となる。
浴槽載置場パン10の設置作業について考慮すると、2回切断を考慮し、洗い場パン側突条体60a、浴槽載置場パン側突条体60bは、各々の厚さ方向中心の水平方向間隔で15~30mm程度開けて設けられていることが好ましい。
「第2実施形態」
図8は図2Bに示す分割防水パン1aと異なる構造の分割防水パン1bについて、図2Bに示す連結部材120と異なる構造の連結部材170により連結した第2実施形態の構造を示す断面図である。
図8に示す分割防水パン1bは、先の第1実施形態の分割防水パン1aと同様に、浴槽載置場パン10と洗い場パン20を有し、それらの境界部に堤部30を有する構造については同等である。
第1実施形態の分割防水パン1aにおいて突条体60a、60bが堤部30の裏面側に下方に延出されていたのに対し、第2実施形態の分割防水パン1bにおいては、突条体60c、60dが堤部30の表面側に上方に突出されている点が異なる。突条体60cの高さと幅、厚さは先の形態の突条体60aの高さと幅、厚さと同等程度に形成されている。突条体60dの高さと幅、厚さは先の形態の突条体60bの高さと幅、厚さと同等に形成されている。なお、突条体60c、60dの高さと幅、厚さは突条体60a、60bと同等に限るものではない。
突条体60c、60dは突条体60a、60bに対し、延在する方向が上下逆向きである他は、同等の構造とされている。例えば、堤部30の幅方向において突条体60cが形成されている位置と突条体60aが形成されている位置は同等であるが上下の向きが異なる。堤部30の幅方向において突条体60dが形成されている位置と突条体60bが形成されている位置は同等であるが上下の向きが異なる。
図8は突条体60c、60dを基準として分割防水パン1bを浴槽載置場パン10と洗い場パン20に分割した後の状態を示す。分割する前は、第1実施形態において図1(a)を基に説明した場合と同様、浴槽載置場パン10と洗い場パン20は堤部30を介し一体化されている。この点について第1実施形態と第2実施形態の構造は同等である。
第2実施形態において、突条体60c、60dが上方に突出されていることから、連結部材170は先の第1実施形態の連結部材120と異なる構造を有している。
連結部材170は、上板170Aと差込片170Bを有し、これらを断面略T字形状に配置し、差込片170Bの上部を断面ロ形の補強部175として剛性を高めた構造については、図3に示す連結部材120と同等の構造を有する。
連結部材170は、上板170Aを突条体60c、60dの上端に跨がるように被せてこれらに上方に設置されている。また、上板170Aの洗い場パン20側の端部から下方に延出されて突条体60cに被着される第1側壁部170Dと、上板170Aの浴槽載置場パン10側の端部から下方に延出されて突条体60dに被着される第2側壁部170Eが形成されている。
第1側壁部170Dの下端部は堤部30の上面近くまで延出され、その下端部に洗い場パン20側に延在して堤部30の上面側に被さる延出片170Fが形成されている。延出片170Fの洗い場パン20側の先端近くの下面に連結部材突部170eが形成され、延出片170Fは連結部材突部170eを堤部30の上面に当接させて堤部30上に設置されている。また、延出片170Fと堤部30の上面との間に先の実施形態の第1防水パッキン122aと同等材料からなる第1防水パッキン172aが介挿され、延出片170Fと第1防水パッキン172aと堤部30を貫通して凸部70にねじ込まれたビス等の第3固定材176により延出片170Fが堤部30に固定されている。
第2側壁部170Eは差込片170Bとともに断面下向きのコ字型を構成するように形成され、これらの間に突条体60dが図8に示すように差し込まれ、突条体60dの上端部にコ字型に第2防水パッキン172bが装着され、第2防水パッキン172bが上板170Aの下面側に接触されている。また、第2側壁部170Eと突条体60dと差込片170Bを水平に貫通するようにビス等の第4固定材177がねじ込まれている。
第3固定材176と第4固定材177は連結部材170の長さ方向(図8の断面と垂直方向)に所定の間隔で複数形成されているので、連結部材170は突条体60cと突条体60dを、換言すると、浴槽載置場パン10と洗い場パン20を連結している。
連結部材170の第1側壁部170Dは、上方に起立している突条体60cの洗い場パン20側を覆うとともに、延出片170Fの下方に第1防水パッキン172aを設けている。この構造により、洗い場パン20と連結部材170との間の防水性は優れている。
連結部材170の第2側壁部170Eは、上方に起立している突条体60dの浴槽載置場パン10側を覆うとともに、突条体60dの上部を覆うように第2防水パッキン172bを設けている。このため、浴槽載置場パン10と連結部材170との間の防水性も優れている。
図8に示すように、突条体60c、60dを堤部30の上方側に突出するように設けることができ、この構造の場合であっても、連結部材170を用いることで防水性の良好な接合構造を実現できる。
第2実施形態において、突条体60c、60dは第1実施形態の突条体60a、60bと同様に防水パンを浴槽設置場パン10と洗い場パン20に切断する場合の目安とすることができる。第1実施形態において突条体60a、60bを設けたことによる作用効果と同等の作用効果を第2実施形態の突条体60c、60dにより得ることができる。
なお、図8の構造においては、突条体60c、60dが上方に突出されているので、図1(a)に示すように突条体60a、60bが下方に突出されている構造よりも突条体60c、60dの位置を目視で確認し易い特徴を有する。この構造であるならば、現場施工で防水パン1bを切断する場合に突条体60c、60dの位置を確認しながら切断位置を正確に把握し易い特徴を有する。
以上のように本発明の実施形態について説明したが、前述の実施形態における各構成および組合せ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。また、本発明は、先の実施形態により限定されることはない。例えば、第1実施形態の突条体60a、60bは下方に突出され、第2実施形態の突条体60c、60dは上方に突出されているが、対となる突条体の一方を上方に他方を下方に突出させても良い。
また、図1~図6に示す実施形態では突条体60a、60bを下方に突出させ、図8に示す実施形態では突条体60c、60dを上方に突出させて設けたが、下方に突出させる突条体と上方に突出させる突条体の両方を堤部30に設けても良い。また、下方に突出させる突条体と上方に突出させる突条体の高さが異なる形状であっても良い。
1・・・防水パン、1a・・・分割防水パン、
10・・・浴槽載置場パン、11・・・浴槽載置場パン、20・・・洗い場パン、
21・・・洗い場パン、30・・・堤部、30a・・・洗い場側提部、30b・・・浴槽側提部、
31a・・・洗い場側提部、31b・・・浴槽側提部、
50・・・壁載置部、60a・・・洗い場パン側突条体、60b・・・浴槽載置場パン側突条体、70・・・突部、
100・・・浴室ユニット、110・・・ドア、111・・・壁パネル、112・・・天井、
113・・・浴槽、114・・・浴槽エプロン、
120・・・連結部材、120a・・・連結部材突部、120b・・・連結部材突部、
120c・・・連結部材突部、120d・・・連結部材突部、120e・・・連結部材突部、
121a・・・止具穴、121b・・・止具穴、121c・・・止具穴、
122a・・・第1防水パッキン、122b・・・第2防水パッキン、123・・・シーリング、
124a…連結部材側端部、124b・・・連結部材側面、125・・・補強部、
126・・・防水パッキン、131・・・第1固定材、132・・・第2固定材、
141・・・第1切断面、142・・・第2切断面、143・・・第3切断面、
150・・・連結部材、150a・・・連結部材突部、150b・・・連結部材突部。

Claims (7)

  1. 浴槽載置場パンと洗い場パンを堤部を介し連結し一体成形した防水パンであって、前記浴槽載置場パンと前記洗い場パンとを仕切る前記堤部の裏面側または表面側に、前記堤部の全長に沿って平行かつ下方または上方に突出し、前記堤部の壁厚と略同等の厚さを有する少なくとも2本の突条体が設けられたことを特徴とする防水パン。
  2. 請求項1において、前記堤部の裏面側または表面側において前記浴槽載置場パン側と前記洗い場パン側にそれぞれ位置して隣接する前記2本の突条体は、前記突条体の厚さ方向中心の間隔が15mm~30mmで配置されていることを特徴とする防水パン。
  3. 前記洗い場パン側に形成された前記突条体の前記洗い場パン側の部分、あるいは、前記浴槽載置場パン側に形成された前記突条体の前記浴槽載置場パン側の部分のいずれかに、前記堤部の天部下方に位置するように前記天部より肉厚の突部が形成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の防水パン。
  4. 請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の防水パンにおいて、前記浴槽載置場パン側と前記洗い場パン側にそれぞれ前記突条体が残るように前記浴槽載置場パンと前記洗い場パンに2分割可能としたことを特徴とする防水パン。
  5. 請求項4に記載の防水パンにおいて、前記堤部の天部に被着される上板と該上板の下方に延出される差込片とを有する連結部材が備えられ、前記浴槽載置場パン側と前記洗い場パン側の前記突条体のどちらか一方をガイドとして取り付けた前記連結部材により、前記浴槽載置場パンと前記洗い場パンが連結されたことを特徴とする防水パン。
  6. 前記連結部材が、前記上板と前記差込片を備えた側面視略T字型あるいは側面視略逆L字型であることを特徴とする請求項5に記載の防水パン。
  7. 請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の防水パンを備えたことを特徴とする浴室ユニット。
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