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JP7425661B2 - 光学装置、露光装置及び物品の製造方法 - Google Patents

光学装置、露光装置及び物品の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、光学装置、露光装置及び物品の製造方法に関する。
光学部品に付着する化学物資やその他の不純物は、光学部品を含む装置又は機器の機能や性能に影響を及ぼすため、光学部品への化学物質や不純物の付着を抑制するための対策が必要となる。例えば、原版のパターンを基板に転写する露光装置では、光源からの光(露光光)で原版を照明する照明光学系や原版のパターンを正確に投影する投影光学系に、レンズやミラーなどの光学部品が用いられている。このような露光装置においては、露光光の短波長化に伴い、かかる露光光が透過する、或いは、照射される光学部品に曇りが発生するという問題がある。光学部品の曇りの原因となる物質は、有機化合物や硫酸アンモニウム(NH4)2SO4である。これらは、空気中に存在するアンモニウムイオン(NH4+)や硫酸イオン(SO42-)又はそれらの化合物、或いは、有機ガスが、露光光の照射により光化学反応を起こしたものである。かかる物質が光学部品に付着することで、光学部品に曇りが生じると考えられている。
このような課題に対して、露光装置内の温度、湿度、塵埃を制御する環境チャンバに不純物除去フィルタを設けて、環境チャンバの雰囲気中に存在する塩基性ガス、硫酸ガス、有機化合ガスなどの物質を除去することが行われている。なお、環境チャンバ内で用いられる部品類には洗浄などの処理が実施され、潤滑剤なども脱ガス量が少ないものが選定されている。
また、露光装置を構成する光学部品を鏡筒に収容して、かかる鏡筒を閉空間とし、環境チャンバ内の空気よりも清浄度の高い空気で鏡筒内をパージする技術が提案されている(特許文献1参照)。更に、環境チャンバに曝される光学部品(の表面)及びその付近の空間に対して、清浄度の高い空気を、周辺の汚染物質を巻き込まない所定の流速で吹き付けることで、光学部品への不純物の付着を防止する技術も提案されている(特許文献2参照)。
特開2001-028331号公報 特開2006-245401号公報
特許文献2では、環境チャンバ内に曝される光学部品及びその付近の空間に対して清浄度の高い空気を吹き付けるとともに、整流板で気流の乱れを抑制することで、光学部品への不純物の付着を防止している。特許文献2に開示された技術は、半導体用の露光装置などの比較的サイズの小さい基板を処理する装置には有効である。
しかしながら、LCDやOLEDなどのフラットパネルディスプレイ用の露光装置は、処理する基板のサイズが大きいため、清浄度の高い空気を吹き付ける光学部品及びその付近の空間も大きくなる。従って、フラットパネルディスプレイ用の露光装置において、半導体用の露光装置と同様の気流を形成するためには、半導体用の露光装置で必要となる流量の約100倍の流量が必要となる。
これを実現するためには、大流量の清浄度の高い空気を供給するための空調設備が必要となるため、コストの増加を招くとともに、整流板を配置するスペースや空気の吹き出し口及びダクトを引き回すためのスペースを装置内に確保しなければならない。但し、フラットパネルディスプレイ用の露光装置には、高精細化や各種光学性能を補正するための多数の光学部品が設けられているため、特に、ステージ(物体面又は結像面)とステージに最も近接した光学部品との間隔が狭くなっている。そのため、整流板を配置するスペースや空気の吹き出し口及びダクトを引き回すためのスペースを確保することが難しく、現実的ではない。
本発明は、このような従来技術の課題に鑑みてなされ、光学部品への汚染物質の付着を抑制するのに有利な光学装置を提供することを例示的目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の一側面としての光学装置は、光を通過させる開口が形成された鏡筒と、前記開口の面積よりも大きい面積を有する表面を含み、前記表面が前記開口に面するように前記鏡筒に収容される光学部品と、前記開口を取り囲むように配置され、前記表面に対して、前記鏡筒の外部の気体の清浄度よりも高い清浄度を有する気体を吹き付ける吹付部と、を有することを特徴とする。
本発明の更なる目的又はその他の側面は、以下、添付図面を参照して説明される実施形態によって明らかにされるであろう。
本発明によれば、例えば、光学部品への汚染物質の付着を抑制するのに有利な光学装置を提供することができる。
本発明の一側面としての露光装置の構成を示す概略図である。 第1実施形態における露光装置の構成を説明するための図である。 第2実施形態における露光装置の構成を説明するための図である。 第3実施形態における露光装置の構成を説明するための図である。 第4実施形態における露光装置の構成を説明するための図である。 第5実施形態における露光装置の構成を説明するための図である。 第6実施形態における露光装置の構成を説明するための図である。 第7実施形態における露光装置の構成を説明するための図である。
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
図1は、本発明の一側面としての露光装置100の構成を示す概略図である。露光装置100は、原版(マスク)を介して基板(ガラスプレート)を露光して、基板に原版のパターンを転写するリソグラフィ装置である。露光装置100は、フラットパネルディスプレイ、液晶表示素子、半導体素子、MEMSなどの製造に用いられ、特に、フラットパネルディスプレイ露光装置として好適である。
露光装置100は、照明光学系101と、マスク102を保持して移動するマスクステージ103と、投影光学系104と、基板105を保持して移動する基板ステージ106と、鏡筒107と、チャンバ110とを有する。また、露光装置100は、チャンバ用の第1給気部111と、チャンバ用の第1排気部112と、投影光学系用の第2給気部108と、投影光学系用の第2排気部109と、制御部130とを有する。
照明光学系101は、光源からの光(露光光)114でマスク102を照明する。投影光学系104は、マスク102に形成されたパターンを基板105に投影する。投影光学系104は、マスク102のパターンを正確に基板105に投影させるために必要なレンズやミラーなどの複数の光学部品を含み、かかる光学部品を用いた各種光学性能の補正機能を有する。
チャンバ110は、露光装置100の各部を収容し、装置内の気体(空気)の清浄度、温度、湿度などを含む装置内環境を適切に維持する。第1給気部111は、チャンバ110の内部に、光学部品の曇りの原因となる化学物質をケミカルフィルタで除去(濾過)した高い清浄度を有する気体、例えば、クリーンドライエアーを供給する。また、第1給気部111からチャンバ110の内部に供給される気体は、露光装置100の光学性能を維持するために、適切な温度及び湿度に調整され、且つ、除塵フィルタで塵埃を除去された気体である。第1排気部112は、第1給気部111から供給された気体を含むチャンバ110の内部の気体をチャンバ110の外部に排出する(排気する)。
第2給気部108及び第2排気部109は、投影光学系104に設けられ、鏡筒107の内部の気体(空気)の清浄度、温度、湿度などを含む鏡筒内環境を適切に維持する。第2給気部108は、鏡筒107の内部に、光学部品の曇りの原因となる化学物質をケミカルフィルタで除去(濾過)した高い清浄度を有する気体、例えば、クリーンドライエアーを供給する。また、第2給気部108から鏡筒107の内部に供給される気体は、第1給気部111からチャンバ110の内部に供給される気体と同様に、適切な温度及び湿度に調整され、且つ、除塵フィルタで塵埃を除去された気体である。なお、第2給気部108は、ケミカルフィルタで化学物質を除去した気体の代わりに、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの純度の高い不活性ガスを、鏡筒107の内部に供給してもよい。第2排気部109は、第2給気部108から供給された気体を含む鏡筒107の内部の気体を鏡筒107の外部に排出する(排気する)。
鏡筒107の内部(投影光学系空間)には、投影光学系104を構成する多数の光学部品が収容されているためチャンバ110の内部よりも高い清浄度に維持することが求められる。従って、第2給気部108は、第1給気部111からチャンバ110の内部に供給される気体の清浄度よりも高い清浄度を有する気体を鏡筒107の内部に供給する。更に、第2給気部108及び第2排気部109は、制御部130の制御下において、チャンバ110の内部に対して鏡筒107の内部が陽圧に維持されるように、鏡筒107の内部に気体を供給し、鏡筒107の内部から気体を排出する。これにより、チャンバ110の内部の気体、即ち、鏡筒107の外部の気体が鏡筒107の内部に流入することを抑制(防止)することができる。
制御部130は、CPUやメモリなどを含む情報処理装置(コンピュータ)で構成され、記憶部に記憶されたプログラムに従って、露光装置100の各部を制御する。制御部130は、例えば、マスク102を介して基板105を露光して基板105にマスク102のパターンを転写する処理(露光)を制御する。
<第1実施形態>
図2(a)、図2(b)及び図2(c)は、第1実施形態における露光装置100の構成を説明するための図である。図2(a)には、図1に示すマスクステージ103及び投影光学系104の近傍が拡大して示されている。図2(a)に示すように、鏡筒107には、マスク102から射出されて投影光学系104に入射する光(露光光)114を通過させるための開口202が形成され、開口202の付近には、投影光学系104を構成する光学部品201が設けられている。光学部品201は、開口202の面積よりも大きい面積を有する表面201A(投影光学系104を構成する光学部品のうち最も外側の光学部品の最表面)を含み、表面201Aが開口202に面するように鏡筒107に収容されている。光学部品201は、本実施形態では、非球面ガラスであるが、これに限定されるものではなく、種々の光学部品を含む。
ここで、チャンバ110の内部(鏡筒107の外部)には、鏡筒107の内部と比べて、低い清浄度の気体205が流れている。低い清浄度の気体205は、光114により化学反応を起こし、それらが開口202を介して鏡筒107の内部に流入し、光学部品201(の表面201A)に付着することで、光学部品201に曇りが発生してしまう。
そこで、本実施形態では、光学部品201、詳細には、光学部品201の表面201Aに高い清浄度を有する気体を吹き付けることで、チャンバ110の内部の低い清浄度を有する気体205が光学部品201に接することを抑制(防止)する。これにより、化学反応に起因する不純物が光学部品201に付着することが抑制され、光学部品201に曇りが発生することを低減することができる。
具体的には、本実施形態では、図2(a)に示すように、光学部品201の表面201Aに対して、気体204を吹き付ける吹付部203を鏡筒107に設けている。吹付部203は、鏡筒107に保持(固定)され、ケミカルフィルタで化学物質を除去(濾過)した高い清浄度の気体204を光学部品201の表面201Aに吹き付ける。気体204は、チャンバ110の内部の気体の清浄度、更には、鏡筒107の内部の気体の清浄度よりも高い清浄度を有する。なお、吹付部203は、気体204として、窒素、ヘリウム、アルゴンなどの純度の高い不活性ガスを、光学部品201の表面201Aに吹き付けてもよい。吹付部203からの気体204は、図2(a)に示すように、光学部品201の表面201Aに衝突する。光学部品201の表面201Aに衝突した気体204の一部は、表面201Aに沿って流れ、第2排気部109を介して、鏡筒107の外部に排出される。
このように、本実施形態では、光学部品201の表面201Aに沿った気体204の流れ(気流)を形成することで、光学部品201の表面201Aを高い清浄度を有する気体204で満たしている(カバーしている)。従って、光学部品201の表面201Aがチャンバ110の内部の低い清浄度を有する気体205に曝されることが抑制されるため、光学部品201に曇りが発生することを低減することができる。
図2(b)には、鏡筒107及び吹付部203を上方から見た様子を示している。鏡筒107に形成された開口202は、本実施形態では、U字状(円弧状又は三日月状)の開口形状を有する。但し、開口202の開口形状は、限定されるものではなく、矩形状などであってもよい。また、吹付部203は、開口202を取り囲むように配置されている。これにより、光学部品201の表面201Aの全域に対して、高い清浄度を有する気体204で満たす(吹き付ける)ことが可能となる。
光学部品201の表面201に対して気体204を吹き付けると、図2(a)に示すように、吹付部203の近傍には、周辺の気体との速度勾配や粘性作用によって、渦206(気流の乱れ)が発生する。一般的には、速度勾配が大きいほど、渦206は大きくなる傾向がある。渦206は、周辺の空気(本実施形態では、チャンバ110の内部の気体205)を巻き込む特性を有している。従って、渦206がチャンバ110の内部に近接している場合、低い清浄度の気体205が開口202を介して渦206に巻き込まれ、光学部品201の表面201Aが気体205に曝される可能性が高くなる。
そこで、本実施形態では、図2(a)に示すように、光学部品201の表面201Aに沿った方向において、吹付部203を開口202の端部から離して配置し、吹付部203と開口202との間に予め定められた距離207を設けている。かかる距離207の範囲に、光学部品201の表面201に対して気体204を吹き付けることで発生する渦206を収めることで、低い清浄度を有する気体205の巻き込みを抑制することができる。
渦206の大きさは、吹付部203から吹き出される気体204の流速及び角度や吹付部203から光学部品201(の表面201A)までの距離などによって変化する。また、チャンバ110の内部の気体205の汚染物質の濃度などによって、許容可能な巻き込み量も変化する。従って、吹付部203と開口202との間の距離207の最適値は、様々な条件によって変動する。
例えば、光学部品201の表面201Aに対して吹付部203から吹き出す気体204の流速を1m/sとし、光学部品201の表面201Aに沿った方向に直交する方向における吹付部203と表面201Aとの間の距離を10mmとする。この場合、吹付部203と開口202との間の距離207を15mmとすることで、距離207の範囲に渦206を収め、チャンバ110の内部の気体205の巻き込みを抑制することができる。
一方、開口202の端部に吹付部203を設けた(即ち、距離207がゼロである)場合には、図2(c)に示すように、光学部品201の表面201に対して気体204を吹き付けることで発生する渦206に低い清浄度の気体205が巻き込まれてしまう。渦206に巻き込まれた気体205は、吹付部203から吹き出される高い清浄度を有する気体204と混ざりながら、光学部品201の表面201に沿って流れる。従って、光学部品201の表面201Aが低い清浄度を有する気体205に曝され、光学部品201の曇りの原因となる。
なお、開口202(鏡筒107)、吹付部203及び光学部品201を含む光学装置は、図2(a)に示すようなマスクステージ103と投影光学系104との間に限定されるものではなく、高い清浄度の空間と低い清浄度の空間との間(境界)に適用可能である。例えば、投影光学系104と基板ステージ106との間に開口202、吹付部203及び光学部品201を含む光学装置を設けてもよい。この場合、開口202は、投影光学系104から射出されて基板105に入射する光を通過させる。また、照明光学系101とマスクステージ103との間に開口202、吹付部203及び光学部品201を含む光学装置を設けてもよい。この場合、開口202は、照明光学系101から射出されてマスク102に入射する光を通過させる。
<第2実施形態>
図3は、第2実施形態における露光装置100の構成を説明するための図である。図3には、図1に示すマスクステージ103及び投影光学系104の近傍が拡大して示されている。本実施形態では、第1実施形態と比較して、チャンバ110の内部の低い清浄度を有する気体205が光学部品201(の表面201A)に触れる可能性をより低くすることができる。
例えば、マスクステージ103が移動することでチャンバ110の内部の気体205に乱れが生じると、その影響によって、光学部品201の表面201Aに吹き付けている高い清浄度を有する気体204の流れ(気流)が乱れる。これにより、光学部品201(の表面201A)がチャンバ110の内部の低い清浄度を有する気体205に曝される可能性が高くなる。また、チャンバ110の内部の気体205の汚染物質の濃度が高い場合には、僅かな気体205にも多くの汚染物質が含まれているため、光学部品201が同一量の気体205に曝されても、光学部品201に触れる汚染物質の量は多くなる。
そこで、本実施形態では、図3に示すように、鏡筒107に形成されている開口202の近傍に囲い部材301を設けている。換言すれば、本実施形態は、囲い部材301を有する点で第1実施形態とは異なる。囲い部材301は、開口202から鏡筒107の外側に向かって、即ち、開口202の端部から光学部品201とは反対側の鏡筒107の外部に向かって延在し、開口202を囲う部材である。このように、第1実施形態では光学部品201への汚染物質の付着の抑制が不十分である場合には、囲い部材301を設けるとよい。
鏡筒107の内部は、上述したように、チャンバ110の内部に対して陽圧に維持されているため、囲い部材301を設けることによって、囲い部材301に囲まれた空間が高い清浄度の気体204や第2給気部108から供給される気体で満たされる。従って、囲い部材301に囲まれた空間は、高い清浄度の鏡筒107の内部と低い清浄度のチャンバ110の内部との緩衝空間として機能する。これにより、チャンバ110の内部の気体205が乱れた際に、その影響を囲い部材301に囲まれた空間で吸収することができるため、光学部品201の表面201Aへの汚染物質の影響を小さくすることができる。また、チャンバ110の内部の気体205の汚染物質の濃度が高い場合においても、囲い部材301(に囲まれた空間)を設けることで、光学部品201に近づくにつれて徐々に汚染物質の濃度を低くすることができる。従って、光学部品201に接する汚染物質の量を低減することができる。
<第3実施形態>
第1実施形態や第2実施形態において、吹付部203から光学部品201(の表面201A)に吹き付ける気体204の量を増加させると、光学部品201の表面201Aに沿って流れる気体204の量や流速が増加する。従って、チャンバ110の内部の気体205の流れ(気流)の乱れなどの影響を抑えることができる。但し、吹付部203の付近に発生する渦206は大きくなるため、チャンバ110の内部の気体205を巻き込む量は増加してしまう。
一方、吹付部203から光学部品201に吹き付ける気体204の量を減少させると、吹付部203の付近に発生する渦206が小さくなるため、チャンバ110の内部の気体205を巻き込む量は低減する。但し、光学部品201の表面201Aに沿って流れる気体204の量や流速が低下するため、チャンバ110の内部の気体205の流れの乱れなどの影響を受けやすくなる。
このような現象から、吹付部203から光学部品201に吹き付ける気体204の量の最適値は、チャンバ110の内部の状況、具体的には、チャンバ110の内部(開口上における鏡筒107の外部)の気体205の流量によって異なると考えられる。そこで、本実施形態では、制御部130において、チャンバ110の内部(鏡筒107の外部)の気体205の流量に基づいて、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を制御する。換言すれば、制御部130は、チャンバ110の内部の気体205の流量の変化(流れの乱れ)に応じて、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を変化させる。本実施形態は、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を変化させる点で第1実施形態とは異なる。
例えば、チャンバ110の内部の気体205の流れの乱れの影響が小さく、気体205の流量が減少する場合を考える。この場合、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量は、渦206による巻き込みを抑制することが最適値となる。従って、制御部130は、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を減少させる、或いは、ゼロにする。
一方、チャンバ110の内部の気体205の流れの乱れの影響が大きく、気体205の流量が増加する場合を考える。この場合、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量は、渦206による巻き込みを許容し、光学部品201の表面201Aに接する汚染物質の量を低減することが最適値となる。従って、制御部130は、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を増加させる。
ここで、チャンバ110の内部の気体205の流れの乱れの原因がマスクステージ103の移動などである場合には、気体205の流れの乱れが発生するタイミングや量を把握することが可能である。従って、気体205の流れの乱れが発生するタイミングや量に応じて、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を変化させることで、気体205の状況に対して常に最適な流量で運用することが可能となる。
図4(a)及び図4(b)は、第3実施形態における露光装置100の構成を説明するための図である。図4(a)は、マスクステージ103が移動していない状態を示している。図4(a)に示すように、鏡筒107に形成された開口202の付近にマスクステージ103が存在していないため、チャンバ110の内部の気体205の流れが乱れていない。従って、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を減少させている。
図4(b)は、マスクステージ103が移動している状態を示している。図4(b)に示すように、鏡筒107に形成された開口202の付近をマスクステージ103が通過すると、チャンバ110の内部の気体205の流れに乱れが発生する。従って、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を増加させて、光学部品201の表面201Aに接する汚染物質の量を低減させている。一方、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を増加させることで渦206が大きくなり、渦206による気体205の巻き込み量が増加する。但し、光学部品201の表面201Aに接する汚染物質の量が低減されるため、結果(トータル)として、気体204の流量が少ない図4(a)に示す状態よりも、光学部品201の表面201Aの清浄度が保たれる。
このように、本実施形態では、チャンバ110の内部の気体205の流れの乱れ(流量の変化)の原因であるマスクステージ103の移動に応じて、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を制御する。これにより、吹付部203から光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を、光学部品201の曇りを抑制するための最適な流量で運用することができる。
<第4実施形態>
図5は、第4実施形態における露光装置100の構成を説明するための図である。本実施形態では、光学部品201は、図5に示すように、開口202とは反対側に密閉空間を形成するように、鏡筒107に取り付けられている。本実施形態は、光学部品201が鏡筒107に取り付けられ、鏡筒107の内部に密閉空間を形成するという点で第1実施形態とは異なる。
吹付部203は、第1実施形態と同様に、鏡筒107に形成された開口202を取り囲むように配置され、吹付部203から吹き付けられる高い清浄度を有する気体204は、光学部品201の表面201Aに衝突する。光学部品201の表面201Aに衝突した気体204の全ては、表面201Aに沿って流れ、第2排気部109を介して、鏡筒107の外部に排出される。また、吹付部203は、吹付部203の付近に発生する渦206によるチャンバ110の内部の気体205の巻き込みを低減するために、開口202の端部から離して配置され、吹付部203と開口202との間に予め定められた距離207が設けられている。
<第5実施形態>
第3実施形態では、チャンバ110の内部の気体205の流れが乱れて光学部品201の表面201Aへの影響がある場合に、渦206による気体205の巻き込みを許容し、表面201Aに吹き付ける気体204の流量を増加させる例について説明した。
本実施形態では、光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を増加させるとともに、吹付部203を表面201Aに沿った方向に移動させ、開口202の端部から吹付部203までの距離207を長くする。これにより、渦206による気体205の巻き込み量を更に抑制することが可能となる。本実施形態は、光学部品201の表面201Aに沿った方向における吹付部203の位置を変化させる点で第1実施形態とは異なる。
図6(a)及び図6(b)は、第5実施形態における露光装置100の構成を説明するための図である。本実施形態では、図6(a)及び図6(b)に示すように、吹付部203を光学部品201の表面201Aに沿った方向に移動させる第1移動部140が設けられている。第1移動部140は、例えば、アクチュエータやリニアモータなどを含み、チャンバ110の内部(開口上における鏡筒107の外部)の気体205の流量に基づいて、吹付部203を光学部品201の表面201Aに沿った方向に移動させる。換言すれば、第1移動部140は、チャンバ110の内部の気体205の流量の変化(流れの乱れ)に応じて、開口202の端部と吹付部203との間の距離207を変更するように、吹付部203を光学部品201の表面201Aに沿った方向に移動させる。
図6(a)は、マスクステージ103が移動していない状態を示している。図6(a)に示すように、鏡筒107に形成された開口202の付近にマスクステージ103が存在していないため、チャンバ110の内部の気体205の流れが乱れていない。従って、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を減少させるとともに、開口202の端部と吹付部203との間の距離207が短くなるように、吹付部203を光学部品201の表面201Aに沿った方向に移動させる。
図6(b)は、マスクステージ103が移動している状態を示している。図6(b)に示すように、鏡筒107に形成された開口202の付近をマスクステージ103が通過すると、チャンバ110の内部の気体205の流れに乱れが発生する。従って、吹付部203が光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を増加させるとともに、開口202の端部と吹付部203との間の距離207が長くなるように、吹付部203を光学部品201の表面201Aに沿った方向に移動させる。これにより、開口202の付近に発生する渦206は大きくなるが、開口202の端部と吹付部203との間の距離207が長くなっているため、チャンバ110の内部の気体205の巻き込み量の増加を抑制することができる。
なお、本実施形態では、光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量を制御するとともに、開口202の端部と吹付部203との間の距離207を制御する場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、光学部品201の表面201Aに吹き付ける気体204の流量は変化させずに、開口202の端部と吹付部203との間の距離207だけを変化させてもよい(即ち、第1移動部140によって吹付部203を移動させてもよい)。
<第6実施形態>
図7は、第6実施形態における露光装置100の構成を説明するための図である。図7には、図1に示すマスクステージ103及び投影光学系104の近傍が拡大して示されている。
本実施形態では、光学部品201は、枠701、固定部材702及び構造物703を介して鏡筒107に保持(固定)されている。枠701、固定部材702及び構造物703は、光学部品201を保持する保持部材を構成する。また、吹付部203は、本実施形態では、構造物703に設けられている。更に、本実施形態では、投影光学系104の光学性能を補正(調整)するために、光学部品201を表面201Aに沿った方向に直交する方向に移動させる移動機構が設けられている。かかる移動機構は、枠701、固定部材702及び構造物703を含む保持部材を、光学部品201の表面201Aに沿った方向に直交する方向に移動させる第2移動部150として構成されている。こうような構成によって、光学部品201を表面201Aに沿った方向に直交する方向に移動させたとしても、表面201Aと吹付部203との間の距離を一定に維持することができる。これにより、光学部品201を表面201Aに沿った方向に直交する方向に移動させた場合でも、チャンバ110の内部の低い清浄度の気体205を巻き込むことを抑制することができる。
なお、本実施形態では、第2移動部150は、光学部品201と吹付部203とを同時に移動させる構成を有しているが、光学部品201と吹付部203とを別々に移動させる構成であってもよい。この場合、吹付部203を移動させる機構は、表面201Aに沿った方向に直交する方向への光学部品201の移動に応じて、表面201Aと吹付部203との間の距離が一定となるように、吹付部203を移動させる。
<第7実施形態>
図8は、第7実施形態における露光装置100の構成を説明するための図である。図8には、図1に示すマスクステージ103及び投影光学系104の近傍が拡大して示されている。
本実施形態では、高い清浄度を有する気体(204)として、鏡筒107の内部の気体804を用いている。また、吹付部(203)として、光学部品201と遮蔽部801との間にオリフィス部802(空間)を設けている(形成している)。遮蔽部801は、鏡筒107に設けられた遮蔽物である。
このような構成において、鏡筒107の内部を陽圧に維持することで、鏡筒107の内部の気体804は、オリフィス部802を通過し、光学部品201の表面201Aに沿って流れ、開口202に向かって流れる。換言すれば、鏡筒107の内部の気体804は、オリフィス部802から光学部品の表面201Aに吹き付けられる。本実施形態は、高い清浄度を有する気体として鏡筒107の内部の気体804を用いている点、及び、吹付部としてオリフィス部802を用いている点で第1実施形態とは異なる。
ここで、光学部品201と、開口202と、遮蔽部801との関係について説明する。例えば、光学部品201(の表面201A)と遮蔽部801との間隔をXとし、光学部品201(の表面201A)と開口202との間隔をYとする。この場合、光学部品201と、開口202と、遮蔽部801との関係が、1/100<X/Y<1/5なる条件を満たすようにする。
これにより、遮蔽部801と光学部品201との間のオリフィス部802を通過して開口202に向かう気体804において、光学部品201の表面201Aの清浄度を維持するのに十分な流速を得ることができる。一方、上述した条件を逸脱すると、遮蔽部801と光学部品201との間のオリフィス部802を通過して開口202に向かう気体804の流速が低下し、光学部品201の表面201Aの清浄度が不十分となる可能性がある。
このように、本実施形態では、高い清浄度を有する気体204を吹き付けるための専用の配管や設備を必要とせずに、チャンバ110の内部の低い清浄度の気体205を巻き込むことを抑制し、光学部品201の表面201Aの清浄度を維持することができる。但し、本実施形態では、鏡筒107の内部の気体804が高い清浄度を有することが必要となる。
<第8実施形態>
本発明の実施形態における物品の製造方法は、例えば、フラットパネルディスプレイ、液晶表示素子、半導体素子、MEMSなどの物品を製造するのに好適である。かかる製造方法は、上述した露光装置100を用いて感光剤が塗布された基板を露光する工程と、露光された感光剤を現像する工程とを含む。また、現像された感光剤のパターンをマスクとして基板に対してエッチング工程やイオン注入工程などを行い、基板上に回路パターンが形成される。これらの露光、現像、エッチングなどの工程を繰り返して、基板上に複数の層からなる回路パターンを形成する。後工程で、回路パターンが形成された基板に対してダイシング(加工)を行い、チップのマウンティング、ボンディング、検査工程を行う。また、かかる製造方法は、他の周知の工程(酸化、成膜、蒸着、ドーピング、平坦化、レジスト剥離など)を含みうる。本実施形態における物品の製造方法は、従来に比べて、物品の性能、品質、生産性及び生産コストの少なくとも1つにおいて有利である。
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
100:露光装置 107:鏡筒 201:光学部品 201A:表面 202:開口 203:吹付部

Claims (22)

  1. 光を通過させる開口が形成された鏡筒と、
    前記開口の面積よりも大きい面積を有する表面を含み、前記表面が前記開口に面するように前記鏡筒に収容される光学部品と、
    前記開口を取り囲むように配置され、前記表面に対して、前記鏡筒の外部の気体の清浄度よりも高い清浄度を有する気体を吹き付ける吹付部と、
    を有することを特徴とする光学装置。
  2. 前記吹付部は、前記表面に沿った方向において、前記開口の端部から離れて配置されていることを特徴とする請求項1に記載の光学装置。
  3. 前記開口の端部から前記光学部品とは反対側の前記鏡筒の外部に向かって延在し、前記開口を囲う囲い部材を更に有することを特徴とする請求項1又は2に記載の光学装置。
  4. 前記開口上における前記鏡筒の外部の気体の流量に基づいて、前記吹付部が前記表面に吹き付ける気体の流量を制御する制御部を更に有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか1項に記載の光学装置。
  5. 前記制御部は、前記開口上における前記鏡筒の外部の気体の流量の変化に応じて、前記吹付部が前記表面に吹き付ける気体の流量を変化させることを特徴とする請求項4に記載の光学装置。
  6. 前記制御部は、
    前記開口上における前記鏡筒の外部の気体の流量が増加する場合には、前記吹付部が前記表面に吹き付ける気体の流量を増加させ、
    前記開口上における前記鏡筒の外部の気体の流量が減少する場合には、前記吹付部が前記表面に吹き付ける気体の流量を減少させることを特徴とする請求項5に記載の光学装置。
  7. 前記吹付部を前記表面に沿った方向に移動させる第1移動部を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のうちいずれか1項に記載の光学装置。
  8. 前記第1移動部は、前記開口上における前記鏡筒の外部の気体の流量に基づいて、前記吹付部を前記表面に沿った方向に移動させることを特徴とする請求項7に記載の光学装置。
  9. 前記第1移動部は、前記開口上における前記鏡筒の外部の気体の流量の変化に応じて、前記開口の端部と前記吹付部との間の距離を変更するように、前記吹付部を前記表面に沿った方向に移動させることを特徴とする請求項8に記載の光学装置。
  10. 前記第1移動部は、
    前記開口上における前記鏡筒の外部の気体の流量が増加する場合には、前記開口の端部と前記吹付部との間の距離が長くなるように、前記吹付部を前記表面に沿った方向に移動させ、
    前記開口上における前記鏡筒の外部の気体の流量が減少する場合には、前記開口の端部と前記吹付部との間の距離が短くなるように、前記吹付部を前記表面に沿った方向に移動させることを特徴とする請求項9に記載の光学装置。
  11. 前記吹付部を前記表面に沿った方向に直交する方向に移動させる第2移動部を更に有することを特徴とする請求項1乃至10のうちいずれか1項に記載の光学装置。
  12. 前記第2移動部は、前記表面に沿った方向に直交する方向への前記光学部品の移動に応じて、前記表面と前記吹付部との間の距離が一定となるように、前記吹付部を前記表面に沿った方向に直交する方向に移動させることを特徴とする請求項11に記載の光学装置。
  13. 前記開口は、U字状の開口形状を有することを特徴とする請求項1乃至12のうちいずれか1項に記載の光学装置。
  14. 前記吹付部が前記表面に吹き付ける気体は、フィルタで濾過された空気及び不活性ガスの少なくとも一方を含むことを特徴とする請求項1乃至13のうちいずれか1項に記載の光学装置。
  15. 前記吹付部は、前記鏡筒に保持されていることを特徴とする請求項1乃至14のうちいずれか1項に記載の光学装置。
  16. 前記鏡筒に設けられ、前記光学部品を保持する保持部材を更に有し、
    前記吹付部は、前記保持部材に保持されていることを特徴とする請求項1乃至14のうちいずれか1項に記載の光学装置。
  17. 前記光学部品は、前記開口とは反対側に密閉空間を形成するように、前記鏡筒に取り付けられていることを特徴とする請求項1乃至15のうちいずれか1項に記載の光学装置。
  18. 光を通過させる開口が形成された鏡筒と、
    前記開口の面積よりも大きい面積を有する表面を含み、前記表面が前記開口に面するように前記鏡筒に収容される光学部品と、
    前記鏡筒に設けられた遮蔽部とを備えた光学装置であって、
    前記鏡筒の外部の気体の清浄度よりも高い清浄度を有する気体が、前記遮蔽部と前記光学部品との間の空間を通過して前記開口に向かって流れるように、前記遮蔽部が設けられていることを特徴とする光学装置。
  19. 前記光学部品と前記遮蔽部との間隔をXとし、前記光学部品と前記開口との間隔をYとしたとき、
    1/100<X/Y<1/5
    を満たすことを特徴とする請求項18に記載の光学装置。
  20. マスクを介して基板を露光する露光装置であって、
    前記マスクを保持して移動するステージと、
    前記マスクのパターンを前記基板に投影する投影光学系と、を有し、
    前記投影光学系は、
    前記マスクから射出されて前記投影光学系に入射する光を通過させる開口が形成された鏡筒と、
    前記開口の面積よりも大きい面積を有する表面を含み、前記表面が前記開口に面するように前記鏡筒に収容される光学部品と、
    前記開口を取り囲むように配置され、前記表面に対して、前記鏡筒の外部の気体の清浄度よりも高い清浄度を有する気体を吹き付ける吹付部と、
    を含むことを特徴とする露光装置。
  21. マスクを介して基板を露光する露光装置であって、
    前記マスクを保持して移動するステージと、
    前記マスクのパターンを前記基板に投影する投影光学系と、を有し、
    前記投影光学系は、
    前記マスクから射出された前記投影光学系に入射する光を通過させる開口が形成された鏡筒と、
    前記開口の面積よりも大きい面積を有する表面を含み、前記表面が前記開口に面するように前記鏡筒に収容される光学部品と、
    前記鏡筒に設けられた遮蔽部と、を含み、
    前記鏡筒の外部の気体の清浄度よりも高い清浄度を有する気体が、前記遮蔽部と前記光学部品との間の空間を通過して前記開口に向かって流れるように、前記遮蔽部が設けられていることを特徴とする露光装置。
  22. 請求項20又は21に記載の露光装置を用いて基板を露光する工程と、
    露光した前記基板を現像する工程と、
    現像された前記基板から物品を製造する工程と、
    を有することを特徴とする物品の製造方法。
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