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JP7419791B2 - 固体電解コンデンサ - Google Patents

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JP7419791B2
JP7419791B2 JP2019228451A JP2019228451A JP7419791B2 JP 7419791 B2 JP7419791 B2 JP 7419791B2 JP 2019228451 A JP2019228451 A JP 2019228451A JP 2019228451 A JP2019228451 A JP 2019228451A JP 7419791 B2 JP7419791 B2 JP 7419791B2
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Description

本発明は、固体電解コンデンサに関する。
固体電解コンデンサは、アルミニウム等の弁作用金属からなる基体の表面に誘電体層を有する弁作用金属基体と、該誘電体層上に設けられた固体電解質層を含む陰極層とを備えている。
例えば、特許文献1には、(A)表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体、及び、上記誘電体層に設けられた固体電解質層を備える第1のシートを準備する工程、(B)金属箔からなる第2のシートを準備する工程と、(C)上記第1のシートを絶縁材料により被覆する工程、(D)上記第1のシートの上記固体電解質層上に導電体層を形成する工程、(E)上記第1のシートと上記第2のシートとを積層して積層シートを作製する工程、(F)上記積層シートの貫通穴に封止材を充填して積層ブロック体を作製する工程、(G)積層ブロック体を切断することにより、複数個の素子積層体を作製する工程、(H)第1の外部電極及び第2の外部電極を形成する工程、を備える固体電解コンデンサの製造方法が開示されている。
特開2019-79866号公報
特許文献1によれば、第1のシートと第2のシートとを積層して得られた積層シートを切断して複数個の素子積層体を作製し、素子積層体に外部電極を形成することによって、複数の固体電解コンデンサを効率的に製造することができるとされている。
しかしながら、複数のコンデンサ素子が積層された固体電解コンデンサは、リフロー等の熱処理によって加熱されると、固体電解コンデンサの底面側に大きな熱応力が加わるとともに、固体電解コンデンサの上面側にも熱応力が加わる。その結果、積層されているコンデンサ素子が剥離してしまい、等価直列抵抗(ESR)が変化してしまうという問題が生じる。
特に、ガラスエポキシ樹脂等からなる基板の上に複数のコンデンサ素子が積層された固体電解コンデンサにおいては、基板が大きく反ることでコンデンサ素子が剥離しやすくなるため、上記の問題が顕著となる。
本発明は上記の問題を解決するためになされたものであり、熱応力によるESRの変化が少ない固体電解コンデンサを提供することを目的とする。
本発明の固体電解コンデンサは、樹脂成形体と、第1外部電極と、第2外部電極と、を備える。上記樹脂成形体は、複数のコンデンサ素子が積層された積層体と、上記積層体の周囲を封止する封止樹脂とを備える。上記樹脂成形体は、上記コンデンサ素子の積層方向に平行な厚さ方向に相対する底面及び上面と、上記積層方向に直交する長さ方向に相対する第1端面及び第2端面と、上記積層方向及び上記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1側面及び第2側面を有する。上記第1外部電極は、上記樹脂成形体の上記第1端面に設けられている。上記第2外部電極は、上記樹脂成形体の上記第2端面に設けられている。上記コンデンサ素子は、表面に誘電体層を有する陽極と、上記誘電体層を介して上記陽極に対向する陰極とを含む。上記陽極は、芯部の表面に多孔質部を有する弁作用金属基体を含む。上記陰極は、陰極引き出し層を含む。上記第1外部電極は、上記第1端面から露出する上記弁作用金属基体に電気的に接続されている。上記第2外部電極は、上記第2端面から露出する上記陰極引き出し層に電気的に接続されている。上記積層方向に隣り合う少なくとも一組のコンデンサ素子の間には、一方のコンデンサ素子の陰極と他方のコンデンサ素子の陰極とが接触しない非接触領域と、上記非接触領域を取り囲み、一方のコンデンサ素子の陰極と他方のコンデンサ素子の陰極とが接触する接触領域とが存在する。
本発明によれば、熱応力によるESRの変化が少ない固体電解コンデンサを提供することができる。
図1は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。 図2は、図1に示す固体電解コンデンサのII-II線に沿った断面図である。 図3は、図2に示す樹脂成形体を厚さ方向から見た平面図である。 図4は、本発明の固体電解コンデンサの別の一例を模式的に示す断面図である。
以下、本発明の固体電解コンデンサについて説明する。
しかしながら、本発明は、以下の構成に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲において適宜変更して適用することができる。なお、以下において記載する各実施形態の望ましい構成を2つ以上組み合わせたものもまた本発明である。
[固体電解コンデンサ]
図1は、本発明の固体電解コンデンサの一例を模式的に示す斜視図である。
図1に示す固体電解コンデンサ1は、表面実装型の固体電解コンデンサであり、樹脂成形体9と、第1外部電極11と、第2外部電極13とを備える。
樹脂成形体9は、直方体状である。樹脂成形体9は、長さ方向(L方向)に相対する第1端面9a及び第2端面9bと、厚さ方向(T方向)に相対する底面9c及び上面9dと、幅方向(W方向)に相対する第1側面9e及び第2側面9fとを有する。ここで、長さ方向と幅方向と厚さ方向とは互いに直交している。
第1端面9aには第1外部電極11が設けられ、第2端面9bには第2外部電極13が設けられている。
底面9cは、固体電解コンデンサ1の実装面となる側の面である。
本明細書においては、固体電解コンデンサ又は樹脂成形体の長さ方向及び厚さ方向に沿う面をLT面といい、長さ方向及び幅方向に沿う面をLW面といい、幅方向及び厚さ方向に沿う面をWT面という。したがって、図1に示す固体電解コンデンサ1においては、樹脂成形体9の第1端面9a及び第2端面9bはWT面であり、底面9c及び上面9dはLW面であり、第1側面9e及び第2側面9fはLT面である。
図2は、図1に示す固体電解コンデンサのII-II線に沿った断面図である。
樹脂成形体9は、複数のコンデンサ素子20が積層された積層体30と、積層体30の周囲を封止する封止樹脂8とを備える。図2に示す例では、8個のコンデンサ素子20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20Hが積層されている。コンデンサ素子20の積層方向は、樹脂成形体9の厚さ方向(T方向)に平行である。
図2に示す例では、樹脂成形体9の底部に支持基板9gが設けられていて、支持基板9gの底部表面が樹脂成形体9の底面9cとなっている。支持基板9gは、コンデンサ素子20の積層体30を一体化させるために設けられるものである。
コンデンサ素子20は、表面に誘電体層5を有する陽極3と、誘電体層5を介して陽極3に対向する陰極7とを含む。積層体30において、積層されたコンデンサ素子20の間は、図示しない導電性接着剤を介して互いに接合されていてもよい。その場合、導電性接着剤も陰極7の一部とみなす。
コンデンサ素子20を構成する陽極3は、弁作用金属基体3aを含む。弁作用金属基体3aは、エッチング層等の多孔質部を芯部の表面に有している。多孔質部の表面には誘電体層5が設けられている。
弁作用金属基体3aは、樹脂成形体9の第1端面9aに引き出されている。樹脂成形体9の第1端面9aに設けられている第1外部電極11は、第1端面9aから露出する弁作用金属基体3aと電気的に接続されている。
コンデンサ素子20を構成する陰極7は、誘電体層5上に形成される固体電解質層7aと、固体電解質層7a上に形成される導電層7bと、導電層7b上に形成される陰極引き出し層7cとを含む。
陰極引き出し層7cは、樹脂成形体9の第2端面9bに引き出されている。樹脂成形体9の第2端面9bに設けられている第2外部電極13は、第2端面9bから露出する陰極引き出し層7cと電気的に接続されている。
コンデンサ素子20の積層方向、すなわち樹脂成形体9の厚さ方向(T方向)に隣り合う一組のコンデンサ素子20D及び20Eの間には、一方のコンデンサ素子20Dの陰極7と他方のコンデンサ素子20Eの陰極7とが接触しない非接触領域41と、非接触領域41を取り囲み、一方のコンデンサ素子20Dの陰極7と他方のコンデンサ素子20Eの陰極7とが接触する接触領域42とが存在する。接触領域42では、各陰極7同士は機械的かつ電気的に接触しており、非接触領域41では、各陰極7同士は機械的にも電気的にも接触していない。
図2に示す例では、陰極7の一部を構成する陰極引き出し層7cがコンデンサ素子20Dに位置し、反対側のコンデンサ素子20Eの陰極7との間で非接触領域41が形成されている。なお、陰極7の一部を構成する陰極引き出し層7cがコンデンサ素子20Eに位置し、反対側のコンデンサ素子20Dの陰極7との間で非接触領域41が形成されてもよい。
一方、樹脂成形体9の第1端面9a及び第2端面9bの近傍では、コンデンサ素子20Dの陰極7とコンデンサ素子20Eの陰極7とが互いに接触することで接触領域42が形成されている。
コンデンサ素子の間に陰極の非接触領域が設けられることにより、固体電解コンデンサの製造時やリフロー時等の加熱による熱応力を緩和することができる。その結果、積層されているコンデンサ素子が剥離しにくくなるため、熱応力によるESRの変化を低減することができる。
さらに、非接触領域を取り囲むように陰極の接触領域が設けられることにより、どの方向から熱応力が加わったとしても、積層されているコンデンサ素子が剥離しにくくなるため、熱応力を緩和することができる。
図3は、図2に示す樹脂成形体を厚さ方向から見た平面図である。
図3に示すように、接触領域42に取り囲まれた非接触領域41は、樹脂成形体9の長さ方向(L方向)及び幅方向(W方向)の中央部に位置していることが好ましい。この場合、固体電解コンデンサの底面側及び上面側から加わる熱応力を効果的に緩和することができる。
非接触領域41の大きさは、樹脂成形体9の長さ方向(L方向)及び幅方向(W方向)の寸法の1/3以上2/3以下であることが熱応力の緩和と樹脂成形体の密着性とを両立させる上で好ましい。なお、隣接するコンデンサ素子20同士を導電性接着剤を介して接合する場合、導電性接着剤を接触領域42の形状と同じ平面形状に設けておけばよい。
本明細書において、樹脂成形体の長さ方向及び幅方向の中央部とは、樹脂成形体の長さ方向及び幅方向の中心を含む領域を意味する。好ましくは、樹脂成形体の長さ方向において、樹脂成形体の中心から第1端面又は第2端面までの距離の1/2以下の距離より内側にあり、かつ、樹脂成形体の幅方向において、樹脂成形体の中心から第1側面又は第2側面までの距離の1/2以下の距離より内側にある領域を意味する。
図2に示すように、非接触領域41は、樹脂成形体9の厚さ方向(T方向)の中央部に最も近い一組のコンデンサ素子(図2ではコンデンサ素子20D及び20E)の間に位置していることが好ましい。この場合、固体電解コンデンサの底面側及び上面側から加わる熱応力を効果的に緩和することができる。
非接触領域41の配置や数、形状等は、図2及び図3に示す例に限定されるものではない。例えば、樹脂成形体9の厚さ方向(T方向)から見た非接触領域41の平面形状としては、楕円形、円形、矩形等が挙げられる。非接触領域41の平面形状は、対称形状であってもよいし、非対称形状であってもよい。
非接触領域41は、積層方向に隣り合ういずれか一組のコンデンサ素子の間に存在してもよいし、積層方向に隣り合う二組以上のコンデンサ素子の間に存在してもよい。例えば、コンデンサ素子20D及び20Eの間だけでなく、コンデンサ素子20A及び20Bの間やコンデンサ素子20B及び20Cの間などに非接触領域41が存在してもよい。また、コンデンサ素子20D及び20Eの間に非接触領域41が存在しなくてもよい。
図3に示す例では、一組のコンデンサ素子の間に1つの非接触領域41が存在しているが、一組のコンデンサ素子の間に複数の非接触領域41が存在してもよい。
非接触領域41は、空隙であることが好ましい。あるいは、非接触領域41の少なくとも一部には、絶縁材料が充填されていてもよい。熱応力による各コンデンサ素子自体の損傷も低減しやすいことから、非接触領域41は空隙であることがより好ましい。
図4は、本発明の固体電解コンデンサの別の一例を模式的に示す断面図である。
図4に示す固体電解コンデンサ1Aでは、非接触領域41の一部に絶縁材料43が充填されている。
絶縁材料43としては、例えば、絶縁性樹脂等が挙げられる。絶縁性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。絶縁材料43は接着性を有することが好ましい。
応力緩和の観点から、絶縁材料43を構成する絶縁性樹脂は、樹脂成形体9を構成する封止樹脂8よりも線膨張係数の小さい樹脂が好ましい。
なお、非接触領域41の全部が絶縁材料43で充填されていてもよいが、非接触領域41の一部に空隙が残るように絶縁材料43が充填されていることが好ましい。
弁作用金属基体3aは、いわゆる弁作用を示す弁作用金属からなる。弁作用金属としては、例えば、アルミニウム、タンタル、ニオブ、チタン、ジルコニウム、マグネシウム、ケイ素等の金属単体、又は、これらの金属を含む合金等が挙げられる。これらの中では、アルミニウム又はアルミニウム合金が好ましい。
弁作用金属基体3aの形状は特に限定されないが、平板状であることが好ましく、箔状であることがより好ましい。
弁作用金属基体3aの表面に設けられている多孔質部により、弁作用金属基体3aの比表面積が大きくなるため、固体電解コンデンサ1の静電容量を高めることができる。多孔質部としては、弁作用金属基体3aの表面に形成されたエッチング層、弁作用金属基体3aの表面に印刷、焼結により形成された多孔質層などが挙げられる。弁作用金属がアルミニウム又はアルミニウム合金の場合はエッチング層であることが好ましく、チタン又はチタン合金の場合は多孔質層であることが好ましい。
弁作用金属基体3aの厚さは特に限定されないが、多孔質部を除く芯部の厚さは、5μm以上、100μm以下であることが好ましい。また、多孔質部の厚さ(片面の厚さ)は、5μm以上、200μm以下であることが好ましい。
なお、上述した弁作用金属基体3aの厚さは、端面から露出している部分を除いた、弁作用金属基体3aの内部の厚さである。
誘電体層5は、上記弁作用金属の酸化皮膜からなることが好ましい。例えば、弁作用金属基体3aとしてアルミニウム箔が用いられる場合、ホウ酸、リン酸、アジピン酸、又は、それらのナトリウム塩、アンモニウム塩等を含む水溶液中で陽極酸化することにより、誘電体層5となる酸化皮膜を形成することができる。
誘電体層5は、多孔質部の表面に沿って形成されることにより、細孔(凹部)が形成されている。誘電体層5の厚さは、固体電解コンデンサに要求される耐電圧、静電容量に合わせて設計されるが、10nm以上であることが好ましく、100nm以下であることが好ましい。
また、固体電解コンデンサの製造効率を高める観点から、誘電体層5が表面に形成された弁作用金属基体3aとして、予め化成処理が施された化成箔を用いてもよい。
固体電解質層7aを構成する材料としては、例えば、ピロール類、チオフェン類、アニリン類等を骨格とした導電性高分子等が挙げられる。チオフェン類を骨格とする導電性高分子としては、例えば、PEDOT[ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)]が挙げられ、ドーパントとなるポリスチレンスルホン酸(PSS)と複合化させたPEDOT:PSSであってもよい。
固体電解質層7aは、例えば、3,4-エチレンジオキシチオフェン等のモノマーを含む処理液を用いて、誘電体層5の表面にポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等の重合膜を形成する方法や、ポリ(3,4-エチレンジオキシチオフェン)等のポリマーの分散液を誘電体層5の表面に塗布して乾燥させる方法等によって形成される。なお、細孔(凹部)を充填する内層用の固体電解質層を形成した後、誘電体層全体を被覆する外層用の固体電解質層を形成することが好ましい。
固体電解質層7aは、上記の処理液または分散液を、スポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって誘電体層5上に塗布することにより、所定の領域に形成することができる。固体電解質層7aの厚さは、2μm以上であることが好ましく、20μm以下であることが好ましい。
導電層7bは、固体電解質層7aと陰極引き出し層7cとを電気的に及び機械的に接続させるために設けられている。導電層7bは、例えば、カーボンペースト、グラフェンペースト、銀ペーストのような導電性ペーストを付与することによって形成されてなるカーボン層、グラフェン層又は銀層であることが好ましい。また、導電層7bは、カーボン層やグラフェン層の上に銀層が設けられた複合層や、カーボンペーストやグラフェンペーストと銀ペーストを混合する混合層であってもよい。
導電層7bは、カーボンペースト等の導電性ペーストをスポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって固体電解質層7a上に塗布することにより形成することができる。なお、導電層7bが乾燥前の粘性のある状態で、次工程の陰極引き出し層7cを積層することが好ましい。導電層7bの厚さは、2μm以上であることが好ましく、20μm以下であることが好ましい。
導電層7b上には、導電性接着剤層が設けられていてもよい。導電性接着剤層を構成する材料としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等の絶縁性樹脂と、カーボンや銀等の導電性粒子との混合物が挙げられる。
陰極引き出し層7cは、金属箔または印刷電極層により形成することができる。
陰極引き出し層7cが金属箔からなる場合、金属箔は、アルミニウム、ニッケル、銅、銀、及びこれらの金属を主成分とする合金、及び、ステンレス(SUS)からなる群より選択される少なくとも一種の金属からなることが好ましい。金属箔が上記の金属からなると、金属箔の抵抗値を低減させることができ、ESRを低減させることができる。また、金属箔として、表面にスパッタや蒸着等の成膜方法によりカーボンコートやチタンコートがされた金属箔を用いてもよい。カーボンコートされたアルミニウム箔を用いることがより好ましい。
金属箔の厚さは特に限定されないが、製造工程でのハンドリング、小型化、及びESRを低減させる観点からは、20μm以上であることが好ましく、50μm以下であることが好ましい。
金属箔の表面には、粗化面が形成されていることが好ましい。金属箔の表面に粗化面が形成されていると、陰極引き出し層7cと導電層7b等との密着性が改善されるため、ESRを低減させることができる。粗化面の形成方法は、特に限定されず、エッチング等により粗化面を形成してもよい。特に、アルミニウム箔を用いる場合には、エッチング等の粗面化処理が施されたものにカーボンコートやチタンコートを行うことが低抵抗化の上で好ましい。
また、金属箔の表面には、アンカーコート剤からなるコート層が形成されていてもよい。金属箔の表面にアンカーコート剤からなるコート層が形成されていると、陰極引き出し層7cと導電層7b等との密着性が改善されるため、ESRを低減させることができる。
陰極引き出し層7cが印刷電極層からなる場合、電極ペーストをスポンジ転写、スクリーン印刷、スプレー塗布、ディスペンサ、インクジェット印刷等によって導電層7b上に塗布することにより、所定の領域に陰極引き出し層7cを形成することができる。電極ペーストとしては、ニッケル、銀又は銅を主成分とする電極ペーストが好ましい。陰極引き出し層7cを印刷電極層とする場合には、金属箔を用いる場合よりも陰極引き出し層7cを薄くすることが可能である。例えばスクリーン印刷の場合、2μm以上、20μm以下の厚さとすることも可能である。
なお、上述した陰極引き出し層7cの厚さは、端面から露出している部分を除いた、陰極引き出し層7cの内部の厚さである。
樹脂成形体9を構成する封止樹脂8は、少なくとも樹脂を含み、好ましくは樹脂及びフィラーを含む。封止樹脂8に含まれる樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、液晶ポリマー等が挙げられる。樹脂の形態は、固形樹脂、液状樹脂いずれも使用可能である。また、封止樹脂8に含まれるフィラーとしては、例えば、シリカ粒子、アルミナ粒子、金属粒子等が挙げられる。封止樹脂8として、固形エポキシ樹脂とフェノール樹脂にシリカ粒子を含む材料を用いることがより好ましい。
封止樹脂8が樹脂及びフィラーを含む場合、封止樹脂8の充填性を確保する観点から、フィラーの最大径は、陰極引き出し層7cの最小厚みよりも小さいことが好ましい。フィラー径の最大径は、例えば、30μm以上、40μm以下の範囲にあることが好ましい。
樹脂成形体9の成形方法としては、固形封止材を用いる場合は、コンプレッションモールド、トランスファーモールド等の樹脂モールドを用いることが好ましく、コンプレッションモールドを用いることがより好ましい。また、液状封止材を用いる場合は、ディスペンス法や印刷法等の成形方法を用いることが好ましい。コンプレッションモールドでコンデンサ素子20の積層体30を封止樹脂8で封止して樹脂成形体9とすることが好ましい。
図2に示す例のように、樹脂成形体9の底部には支持基板9gが設けられていることが好ましい。支持基板9gは、絶縁材料からなることが好ましい。支持基板9gを構成する絶縁材料としては、例えば、ガラスエポキシ樹脂、ガラスコンポジット、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ポリフェニレンオキシド(PPO)樹脂及びビスマレイミドトリアジン(BT)樹脂等が挙げられる。
樹脂成形体9は、樹脂モールド後のバレル研磨により、角部に丸みが付けられていることが好ましい。角部は、樹脂成形体9の3面が交わる部分である。樹脂成形体はセラミック素体に比べて柔らかいため、バレル研磨による角部の丸みの形成が難しいが、メディアの組成や粒径、形状、バレルの処理時間等を調整することにより、曲率半径を小さくして丸みを形成することができる。
第1外部電極11及び第2外部電極13は、例えば、めっきやスパッタ、浸漬塗布、印刷等により形成することができる。めっき層としては、Zn・Ag・Ni層、Ag・Ni層、Ni層、Zn・Ni・Au層、Ni・Au層、Zn・Ni・Cu層、Ni・Cu層等を使用することができる。これらのめっき層の上に、例えば、Cuめっき層、Niめっき層、Snめっき層の順に(あるいは一部を除いて)めっき層をさらに形成することが好ましい。
[固体電解コンデンサの製造方法]
本発明の固体電解コンデンサは、例えば、以下の方法により製造することができる。
(コンデンサ素子の作製)
まず、エッチング層等の多孔質部を芯部の表面に有する、アルミニウム箔等の弁作用金属基体を準備し、多孔質部の表面に陽極酸化を行って誘電体層を形成する。次に、誘電体層上にスクリーン印刷により固体電解質層を形成し、続けて固体電解質層上にスクリーン印刷により導電層となるカーボン層を形成し、さらに、カーボン層上に電極引き出し層をシート積層又はスクリーン印刷により形成する。上記工程により、コンデンサ素子が得られる。
(樹脂成形体の作製)
複数のコンデンサ素子を積層した後、熱圧着プレス等により圧着して積層体を作製する。コンデンサ素子の積層は、支持基板上で行うことが好ましい。その後、コンプレッションモールド等により封止樹脂で積層体を封止する。上記工程により、樹脂成形体が得られる。
例えば、積層方向に隣り合うコンデンサ素子のうち、少なくとも一方の陰極の厚さや塗布面積(例えば、カーボン層の厚さや塗布面積)を変更したり、圧着時や封止時の圧力を非接触領域となる領域の近傍で弱くしたりすることにより、陰極の非接触領域を形成することが可能である。あるいは、非接触領域となる領域にパラフィン系のワックスを塗布しておき、加熱してワックスを飛散させること等によって陰極の非接触領域を形成することも可能である。
また、絶縁フィルムなどをコンデンサ素子の間に予め挟んでおくことにより、非接触領域の少なくとも一部に絶縁材料を充填することが可能である。
なお、特開2019-79866号公報に記載された製造方法により樹脂成形体を作製してもよい。当該樹脂成形体の製造方法は、第1のシートを準備する工程、第2のシートを準備する工程、第1のシートを絶縁材料により被覆する工程、第1のシートの固体電解質層上に導電体層を形成する工程、第1のシートと第2のシートとを積層して積層シートを作製する工程、封止樹脂で封止して積層ブロック体を作製する工程、積層ブロック体を切断することにより、複数個の樹脂成形体を作製する工程を有する。
第1のシートは、表面に誘電体層が形成された弁作用金属基体、及び、誘電体層上に設けられた固体電解質層を備えるシートであり、第2のシートは、金属箔からなるシートである。第1のシート及び第2のシートは、それぞれ、樹脂成形体の第1端面又は第2端面となる部分に貫通穴を有しており、積層シートとする際に貫通穴が連通するようにする。そして、封止樹脂による封止の際に貫通穴に封止樹脂を充填して積層ブロック体を作製する。この積層ブロック体を、貫通穴に封止された封止樹脂を分離するように切断することにより樹脂成形体を得ることができる。この樹脂成形体では、貫通穴に封止された封止樹脂により弁作用金属基体が複数の陽極部に分かれて露出する。また、貫通穴に封止された封止樹脂により陰極引き出し層も複数の陰極部に分かれて露出する。
(外部電極の形成)
樹脂成形体の第1端面に第1外部電極を形成し、樹脂成形体の第2端面に第2外部電極を形成する。上記工程により、本発明の固体電解コンデンサが得られる。
本発明の固体電解コンデンサは、上記実施形態に限定されるものではなく、固体電解コンデンサの構成、製造条件等に関し、本発明の範囲内において、種々の応用、変形を加えることが可能である。
1、1A 固体電解コンデンサ
3 陽極
3a 弁作用金属基体
5 誘電体層
7 陰極
7a 固体電解質層
7b 導電層
7c 陰極引き出し層
8 封止樹脂
9 樹脂成形体
9a 第1端面
9b 第2端面
9c 底面
9d 上面
9e 第1側面
9f 第2側面
9g 支持基板
11 第1外部電極
13 第2外部電極
20、20A、20B、20C、20D、20E、20F、20G、20H コンデンサ素子
30 積層体
41 非接触領域
42 接触領域
43 絶縁材料

Claims (3)

  1. 複数のコンデンサ素子が積層された積層体と、前記積層体の周囲を封止する封止樹脂とを備え、前記コンデンサ素子の積層方向に平行な厚さ方向に相対する底面及び上面と、前記積層方向に直交する長さ方向に相対する第1端面及び第2端面と、前記積層方向及び前記長さ方向に直交する幅方向に相対する第1側面及び第2側面を有する樹脂成形体と、
    前記樹脂成形体の前記第1端面に設けられた第1外部電極と、
    前記樹脂成形体の前記第2端面に設けられた第2外部電極と、
    を備える固体電解コンデンサであって、
    前記コンデンサ素子は、表面に誘電体層を有する陽極と、前記誘電体層を介して前記陽極に対向する陰極とを含み、
    前記陽極は、芯部の表面に多孔質部を有する弁作用金属基体を含み、
    前記陰極は、陰極引き出し層を含み、
    前記第1外部電極は、前記第1端面から露出する前記弁作用金属基体に電気的に接続され、
    前記第2外部電極は、前記第2端面から露出する前記陰極引き出し層に電気的に接続され、
    前記積層方向に隣り合う少なくとも一組のコンデンサ素子の間には、一方のコンデンサ素子の陰極と他方のコンデンサ素子の陰極とが接触しない非接触領域と、前記非接触領域を取り囲み、一方のコンデンサ素子の陰極と他方のコンデンサ素子の陰極とが接触する接触領域とが存在し、
    前記非接触領域の少なくとも一部には、絶縁材料が充填されている、固体電解コンデンサ。
  2. 前記非接触領域は、前記樹脂成形体の長さ方向及び幅方向の中央部に位置している、請求項1に記載の固体電解コンデンサ。
  3. 前記非接触領域は、前記樹脂成形体の厚さ方向の中央部に最も近い一組のコンデンサ素子の間に位置している、請求項1又は2に記載の固体電解コンデンサ。
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