本発明を具体的に説明する前に、まず概要を述べる。実施の形態は、複数の端末装置が基地局装置と通信する無線通信システムに関する。端末装置は、IEEE802.11の規格に準拠した無線LAN(Local Area Network)の端末であり、通話のための音声データなどを周期的に送受信するリアルタイム通信(以下、同期通信という)を時分割方式で実行する。端末装置は、基地局装置の割り当てられたタイムスロット(以下、スロットという)を利用してデータを送信する。端末装置が接続する基地局装置を切り替えるローミングにおいて、ローミング前に移動先の基地局装置のスロットを確保する。
このシステムにおいて、移動先の基地局装置の全てのスロットが割り当て済みの場合、スロットを確保できず、ローミングする端末装置は同期通信を継続できない。そこで、実施の形態では、移動先の基地局装置でスロットに空きがない場合、その基地局装置のスロットの周期を延長し、空きスロットを確保する。
図1は、実施の形態に係る通信システム1の構成を示す。通信システム1は、第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10c、第4端末装置10d、第5端末装置10e、第1基地局装置12a、第2基地局装置12b、サーバ装置14および有線ネットワーク16を備える。第1端末装置10aから第5端末装置10eは、無線端末であり、端末装置10と総称される。端末装置10の数は「5」に限定されない。第1基地局装置12aと第2基地局装置12bは、無線基地局であり、基地局装置12と総称される。基地局装置12の数は「2」に限定されない。
第1基地局装置12aは第1無線サービス範囲20aを形成する。第1無線サービス範囲20aは、第1基地局装置12aからの信号を受信可能なエリアである。第2基地局装置12bは第2無線サービス範囲20bを形成する。第2無線サービス範囲20bは、第2基地局装置12bからの信号を受信可能なエリアである。第2無線サービス範囲20bの一部は、第1無線サービス範囲20aの一部と重なる。
第1無線サービス範囲20aには、第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10cが存在する。第2無線サービス範囲20bには、第4端末装置10d、第5端末装置10eが存在する。
図2は、図1の第1基地局装置12aのスロットの割り当てを示す。基地局装置12と端末装置10は、音声データを図2に示すスロットで時分割方式で送信する。この例では、スロット番号S1~S4の4スロットが周期的に繰り返される。各スロットの長さは等しい。スロットの周期(以下、スロット周期ともいう)は、スロット単位で表され、この例では「4」であるが、特に限定されない。ここでは、周期「4」を基準周期とする。後述するように、スロット周期は可変であり、基準周期が最短の周期である。
図2では、スロット番号S1に第1基地局装置12a、スロット番号S2に第1端末装置10a、スロット番号S3に第2端末装置10b、スロット番号S4に第3端末装置10cが割り当てられている。スロット番号が割り当てられることは、当該スロット番号のスロットが割り当てられることに相当する。
端末装置10は、基地局装置12の複数のスロットのうちの割り当てられたスロットのタイミングで周期的に基地局装置12に音声データを送信する。そのために、端末装置10は、スロット番号S1で基地局装置12から送信される基準パケットを使用する。
端末装置10は、スロット番号S1で基地局装置12から送信される音声データを受信する。端末装置10は、割り当てられたスロットで基地局装置12から送信される音声データを受信してもよい。
第1基地局装置12aは第1周波数で通信し、第2基地局装置12bは第1周波数と異なる第2周波数で通信する。各スロットは、基地局装置12ごとに同じタイミングに設定される。
基地局装置12と端末装置10は、同期通信以外の通信(以下、非同期通信という)を時分割方式のスロットに関係なくCSMA/CA(Carrier Sense Multiple Access with Collision Avoidance)方式で実行する。
サーバ装置14は、端末装置10と基地局装置12を管理する。サーバ装置14は、スロット周期の管理、端末装置10のスロット番号の管理、基準パケットの送信管理を行う。
図3は、図1の端末装置10の構成を示す。端末装置10は、送信部30、受信部31、基地局管理部32、パケット処理部33、スロット要求処理部34、基準パケット処理部35、スロット周期管理部36、スロット割当管理部37、および、同期通信処理部38を備える。
図4は、図1のサーバ装置14の構成を示す。サーバ装置14は、送信部50、受信部51、スロット要求処理部52、パケット処理部53、スロット周期管理部54、スロット割当管理部55、基準パケット処理部56、および、同期通信処理部57を備える。同期通信処理部57は、受信バッファ58を有する。
端末装置10とサーバ装置14の構成は、ハードウエア的には、任意のコンピュータのCPU、メモリ、その他のLSIで実現でき、ソフトウエア的にはメモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
以下、(1)スロット周期を延長する処理、(2)スロット周期を短縮する処理の順に説明する。
(1)スロット周期を延長する処理
図5は、図1の通信システム1において、第4端末装置10dが基地局装置12を切り替えるときのサーバ装置14、基地局装置12、端末装置10間の通信シーケンスを示す。図5は、スロット周期が延長される例を示す。
通信シーケンスの開始時点では、第1端末装置10a、第2端末装置10bおよび第3端末装置10cは、第1基地局装置12aに無線で接続し、第4端末装置10dと第5端末装置10eは、第2基地局装置12bに無線で接続する。各端末装置10は、同期通信を行う。
この時点では、第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10cに第1基地局装置12aのスロット番号S2、S3、S4のスロットがそれぞれ割り当てられ、第4端末装置10d、第5端末装置10eに第2基地局装置12bのスロット番号S2、S4のスロットがそれぞれ割り当てられているとする。
サーバ装置14において、スロット割当管理部55は、基地局装置12ごとにスロット番号の割り当てを管理する。スロット周期管理部54は、基地局装置12ごとにスロット周期を管理する。基準パケット処理部56は、スロット周期管理部54とスロット割当管理部55からスロット番号とスロット周期に関する情報を取得し、取得した情報をもとに基準パケットを作成し、作成した基準パケットを送信部50に送信させる。送信部50は、基準パケットを基地局装置12と端末装置10に送信する。
サーバ装置14は、第1基地局装置12aを介して、基準パケット110を第1端末装置10a、第2端末装置10bおよび第3端末装置10cに対してスロット番号S1のスロット170でマルチキャストまたはブロードキャスト送信する。サーバ装置14は、第2基地局装置12bを介して、基準パケット110を第4端末装置10dと第5端末装置10eに対してスロット番号S1のスロット185でマルチキャストまたはブロードキャスト送信する。第1基地局装置12aと第2基地局装置12bは異なる周波数を使用しているため、それぞれの基地局装置12は、同じタイミングのスロットを使用して基準パケット110を端末装置10に送信できる。
基準パケット110は、第1基地局装置12aと第2基地局装置12bのスロット情報を含む。図6は、図5の基準パケット110の1つの基地局装置12に関する部分のデータ構造を示す。基準パケット110は、基地局ID501、基準フラグ502、スロット数503、スロット周期504、基地局ID505、端末ID506、端末ID507および端末ID508を含む。
基地局ID501は、基地局装置12の識別子である。基準フラグ502は、スロット周期の最初のスロットで送信された基準パケットであるか否かを示すフラグである。後述するように、基準パケットはスロット周期の最初のスロット以外で送信されることもある。
スロット数503は、基地局装置12に設定されている1周期のスロットの数である。スロット周期504は、基地局装置12に設定されているスロットの周期である。基地局ID505、端末ID506、端末ID507、端末ID508は、それぞれ1番目、2番目、3番目、4番目のスロットに割り当てられている機器の識別子であり、スロット数503で指定された数だけ存在する。
図7は、図5の基準パケット110のデータ構造の具体例を示す。基地局ID501は、第1基地局装置12aの識別子を示す。基準フラグ502は、「1」であり、第1基地局装置12aのスロット周期の最初のスロットで送信された基準パケットであることを示す。スロット数503は、第1基地局装置12aのスロット数が「4」であることを示す。スロット周期504は、第1基地局装置12aのスロット周期が「4」であることを示す。基地局ID505は、第1基地局装置12aの1番目のスロットに第1基地局装置12aが割り当てられていることを示す。端末ID506は、第1基地局装置12aの2番目のスロットに第1端末装置10aが割り当てられていることを示す。端末ID507は、第1基地局装置12aの3番目のスロットに第2端末装置10bが割り当てられていることを示す。端末ID508は、第1基地局装置12aの4番目のスロットに第3端末装置10cが割り当てられていることを示す。
基地局ID521は、第2基地局装置12bの識別子を示す。基準フラグ522は、「1」であり、第2基地局装置12bのスロット周期の最初のスロットで送信された基準パケットであることを示す。スロット数523は、第2基地局装置12bのスロット数が「4」であることを示す。スロット周期524は、第2基地局装置12bのスロット周期が「4」であることを示す。基地局ID525は、第2基地局装置12bの1番目のスロットに第2基地局装置12bが割り当てられていることを示す。端末ID526は、第2基地局装置12bの2番目のスロットに第4端末装置10dが割り当てられていることを示す。端末ID527は、第2基地局装置12bの3番目のスロットに端末装置10が割り当てられていないことを示す。端末ID528は、第2基地局装置12bの4番目のスロットに第5端末装置10eが割り当てられていることを示す。
端末装置10において、受信部31がパケットを受信すると、パケット処理部33は、同期通信か非同期通信かを判断し、同期通信である基準パケット110を基準パケット処理部35に供給する。基準パケット処理部35は、自端末装置に割り当てられたスロット番号が基準パケット110にあるか判定する。割り当てがある場合、スロット周期管理部36は、スロット周期が変更されたか判定する。スロット周期が変更されていない場合、スロット周期管理部36は、基準パケットに含まれるスロット周期から同期通信で送信するパケットの送信サイズを計算し、送信サイズを同期通信処理部38に通知する。図5の例では、スロット周期は変更されていないとする。そのため、パケットの送信サイズは、スロット周期である4スロット分のサイズである。
スロット周期が変更された場合、スロット割当管理部37はスロット番号が新規に割り当てられたか判定する。スロット番号が新規に割り当てられた場合、スロット周期管理部36は、割り当てられたスロット番号までの送信サイズを計算し、送信サイズを同期通信処理部38に通知する。スロット番号が新規に割り当てられていない場合、スロット周期管理部36は、変更前のスロット周期から同期通信で送信するパケットの送信サイズを計算し、送信サイズを同期通信処理部38に通知する。スロット割当管理部37は、スロット番号の割り当てが変更されたか判定する。割り当てが変更された場合、スロット周期管理部36は、スロット周期と、スロット番号の差分とにもとづいて同期通信で送信するパケットの送信サイズを計算し、送信サイズを同期通信処理部38に通知する。割り当てが変更されていない場合、スロット割当管理部37は、割り当てられたスロット番号を設定する。
同期通信処理部38は、スロット割当管理部37で設定されたスロット番号にもとづいて、割り当てられたスロットで、スロット周期管理部36で計算された送信サイズの音声データのパケットを送信部30に送信させる。送信部30は、音声データのパケットを基地局装置12に送信する。
図5において、第1端末装置10aは、スロット番号S2のスロット171でパケット120により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。第2端末装置10bは、スロット番号S3のスロット172でパケット130により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。第3端末装置10cは、スロット番号S4のスロット173でパケット140により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。
第4端末装置10dは、スロット番号S2のスロット186でパケット150により第2基地局装置12bを介してサーバ装置14と同期通信を行う。第5端末装置10eは、スロット番号S4のスロット188でパケット160により第2基地局装置12bを介してサーバ装置14と同期通信を行う。
サーバ装置14において、受信部51は、端末装置10から送信されたパケットを基地局装置12を介して受信し、受信したパケットをパケット処理部53に供給する。パケット処理部53は、供給されたパケットをもとに同期通信か非同期通信か判断し、同期通信の場合、同期通信処理部57にパケットを供給する。同期通信処理部57は、端末装置10から送信された同期通信のパケット処理を行う。受信バッファ58は、同期通信のパケットのデータを一時的に記憶する。このデータは、通話先の装置に送信される。
ここで、第4端末装置10dは、図1の第2無線サービス範囲20bと第1無線サービス範囲20aが重なっている領域に移動することを想定する。
第4端末装置10dは同期通信を行っているため、第2無線サービス範囲20bと第1無線サービス範囲20aが重なっている領域に移動した場合、第1基地局装置12aに接続を切り替える前に、第1基地局装置12aで同期通信に使用できるスロット番号を確保するために、パケット155で第1基地局装置12aのスロット番号割当要求をサーバ装置14に対して非同期通信で行う。この例では、この非同期通信は、スロット番号S3のスロット187のタイミングで実行されるが、どのタイミングで実行されてもよい。
つまり、端末装置10は、接続中の基地局装置12から別の基地局装置12への接続切り替え条件を満たした場合、スロット番号割当要求を行う。接続切り替え条件として公知の条件を利用できる。たとえば、接続切り替え条件は、別の基地局装置12のパケットロス率が所定値以下であること、サーバ装置14による指示があったこと、別の基地局装置12からの受信電波強度が所定値以上であることの少なくともいずれかを含んでよい。
端末装置10において、スロット要求処理部34は、基地局管理部32からスロット割当要求の送信依頼を受信するとスロット割当要求に関するパケット155を作成し、送信部30にパケット155を送信させる。
図8は、図5のスロット割当要求に関するパケット155のデータ構造を示す。パケット155は、端末ID701、基地局ID702、リクエスト703、スロット番号704、基地局ID705、リクエスト706およびスロット番号707を含む。
端末ID701は、スロット割当処理を要求する端末装置10の識別子である。リクエスト703とリクエスト706は、スロット割当処理の内容を表し、スロット割当およびスロット割当削除の2つが存在する。基地局ID702は、リクエスト703のスロット割当処理を要求する基地局装置12のIDを示す。スロット番号704は、基地局ID702で指定された基地局装置12のスロット番号割り当て処理を要求するスロット番号を示す。スロット番号704は、リクエスト703がスロット割当のとき割り当てを希望するスロット番号を示し、リクエスト703がスロット割当削除のとき割り当てを削除するスロット番号を示す。
基地局ID705、リクエスト706、スロット番号707は、リクエスト703がスロット割当のときのみ存在し、リクエスト706はスロット割当削除となる。なお、リクエスト703がスロット割当のときでも、たとえば端末装置10が新たに通話を開始する場合などには、基地局ID705、リクエスト706、スロット番号707は存在しなくても良い。
基地局装置12を切り替える場合、パケット155には、基地局ID702に移動先の基地局装置12の識別子、リクエスト703にスロット割当要求、スロット番号704に割り当て希望するスロット番号、基地局ID705に接続中の基地局装置12の識別子、リクエスト706にスロット割当削除、スロット番号707に接続中の基地局装置12で割り当てられているスロット番号が設定される。
同期通信を停止する場合、即ち端末装置10が通話を終了する場合、パケット155には、基地局ID702に接続中の基地局装置12の識別子、リクエスト703にスロット割当削除、スロット番号704に接続中の基地局装置12で割り当てられているスロット番号が設定され、基地局ID705、リクエスト706、スロット番号707は存在しない。
図9は、図5のスロット割当要求に関するパケット155のデータ構造の具体例を示す。端末ID701は、スロット割当処理を第4端末装置10dが送信したことを示す。リクエスト703は、スロット割当を基地局ID702の第1基地局装置12aに対して要求していることを示す。スロット番号704は、スロット番号S2の割当を希望していることを示す。リクエスト706は、スロット割当削除を基地局ID705の第2基地局装置12bに対して要求していることを示す。スロット番号707は、スロット番号S2の割当削除を要求していることを示す。
図5に示すように、サーバ装置14は、パケット155への応答として、パケット156を非同期通信により第4端末装置10dに送信する。サーバ装置14において、パケット処理部53は、受信したパケット155が非同期通信の場合、スロット要求処理部52にパケット155を供給する。スロット要求処理部52は、供給されたパケット155を解析し、スロットに関する処理をスロット割当管理部55とスロット周期管理部54に要求し、スロット割当管理部55とスロット周期管理部54の処理結果をもとにスロット要求処理に対する応答のパケット156を作成し、送信部50にスロット割当応答に関するパケット156を送信させる。
スロット周期管理部54は、第1基地局装置12aのスロットに空きがない場合、第4端末装置10dに第1基地局装置12aのスロット番号を割り当てるためにスロット周期を延長して1周期のスロット数を増やす。これにより、第4端末装置10dにスロットを割り当てることができる。
スロット周期管理部54は、現在のスロット周期に基準周期を加算して周期を延長する。つまり、基地局装置12のスロット周期は、基準周期の自然数倍である。スロット周期管理部54は、第1基地局装置12aのスロット周期を「8」に延長し、スロット数を「8」に増やす。これにより、スロット周期を延長した場合にも複数の基地局装置12の間でスロットの同期を取ることができる。また、スロット周期の延長を最小限にしているので、同期を取りつつ、パケットロスが発生した場合の影響を小さくできる。
ここで、サーバ装置14の同期通信用の受信バッファ58は、端末装置10が所定期間に生成するデータサイズの記憶容量をスロット番号ごとに有する。スロット周期の最大値は、所定期間の半分である。これにより、スロット周期が最大値まで延長された場合、端末装置10が1周期遅れたスロットでパケットを再送しても、そのスロットで端末装置10が送信するパケットとともに再送されたパケットを受信バッファ58が記憶できるので、パケットロスを抑制できる。
受信バッファ58の記憶容量に関する所定期間が50ミリ秒、かつ、基準周期が5ミリ秒のとき、スロット周期は、10ミリ秒、15ミリ秒、20ミリ秒、25ミリ秒まで延長できる。
スロット周期の延長により1回の同期通信で送信するパケットのサイズが増えるためパケットロス時は影響が大きくなるが、端末装置10がローミング時に同期通信を継続できない状況を回避できる。
スロット割当管理部55は、端末装置10が接続切り替え条件を満たした場合、その端末装置10に基地局装置12の空きスロットを割り当てる。図5の例では、スロット割当管理部55は、第4端末装置10dに第1基地局装置12aの空きスロットである6番目のスロットを割り当てる。
図10は、図5のスロット割当応答に関するパケット156のデータ構造を示す。パケット156は、端末ID801、基地局ID802、レスポンス803、スロット番号804、基地局ID805、レスポンス806およびスロット番号807を含む。
端末ID801、基地局ID802、基地局ID805は、それぞれパケット155の端末ID701、基地局ID702、基地局ID705の値が設定される。レスポンス803は、リクエスト703の処理の結果を示す。リクエスト703がスロット割当のとき、レスポンス803は割当成功または割当失敗となる。リクエスト703がスロット割当削除のとき、レスポンス803は削除成功となる。
スロット番号804は、リクエスト703がスロット割当要求でレスポンス803が割当成功のとき、割り当てられたスロット番号を示す。スロット番号804は、リクエスト703がスロット割当削除でレスポンス803が削除成功のとき、割り当て削除されたスロット番号を示す。
基地局ID805、レスポンス806、スロット番号807は、パケット155に基地局ID705、リクエスト706、スロット番号707が存在し、リクエスト706がスロット割当削除のときのみ存在する。レスポンス806は削除成功、スロット番号807は割り当て削除されたスロット番号となる。
図11は、図5のスロット割当応答に関するパケット156のデータ構造の具体例を示す。端末ID801、基地局ID802、基地局ID805は、図9のパケット155で送信された第4端末装置10d、第1基地局装置12a、第2基地局装置12bが設定される。レスポンス803は、リクエスト703のスロット割当に対するレスポンスとして割当成功を示す。スロット番号804は、第4端末装置10dに割り当てられた第1基地局装置12aのスロット番号S6を示す。基地局ID805は、リクエスト706のスロット割当削除に対するレスポンスとして削除成功を示す。スロット番号807は、割り当てが削除された第2基地局装置12bのスロット番号S2を示す。
端末装置10において、受信部31がパケット156を受信すると、パケット処理部33が同期通信か非同期通信かを判断し、非同期通信であるパケット156をスロット要求処理部34に供給する。スロット要求処理部34は、レスポンス内容を判断し、基地局管理部32に結果を通知する。基地局管理部32は、結果が割り当て成功の場合、即ち移動先の基地局装置12のスロットが割り当てられた場合、接続先の基地局装置12を切り替え、割り当て失敗の場合、基地局装置12を切り替えない。
レスポンス803が割当成功、スロット番号804が「S6」に設定されたパケット156を受信した第4端末装置10dは、第2基地局装置12bから第1基地局装置12aに接続を切り替える。この例のように、スロット番号804は、スロット割当要求で指定したスロット番号が割り当てられるとは限らない。
サーバ装置14は、第1基地局装置12aを介して、基準パケット111を第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10cおよび第4端末装置10dに対してスロット番号S1のスロット174で送信する。サーバ装置14は、第2基地局装置12bを介して、基準パケット111を第5端末装置10eに対してスロット番号S1のスロット189で送信する。
図12は、図5の基準パケット111のデータ構造の具体例を示す。スロット周期の延長に伴い、基準パケット111は、基地局ID509、端末ID510、端末ID511および端末ID512をさらに含む。
基地局ID501は、第1基地局装置12aの識別子を示す。基準フラグ502は、第1基地局装置12aのスロット周期の最初のスロットで送信された基準パケットであることを示す。スロット数503は、第1基地局装置12aのスロット数が「8」であることを示す。スロット周期504は、第1基地局装置12aのスロット周期が「8」であることを示す。
基地局ID505は、第1基地局装置12aの1番目のスロットに第1基地局装置12aが割り当てられていることを示す。端末ID506は、第1基地局装置12aの2番目のスロットに第1端末装置10aが割り当てられていることを示す。端末ID507は、第1基地局装置12aの3番目のスロットに第2端末装置10bが割り当てられていることを示す。端末ID508は、第1基地局装置12aの4番目のスロットに第3端末装置10cが割り当てられていることを示す。基地局ID509は、第1基地局装置12aの5番目のスロットに第1基地局装置12aが割り当てられていることを示す。端末ID510は、第1基地局装置12aの6番目のスロットに第4端末装置10dが割り当てられていることを示す。端末ID511および端末ID512は、第1基地局装置12aの7番目、8番目のスロットに端末装置10が割り当てられていないことを示す。
基地局ID521は、第2基地局装置12bの識別子を示す。基準フラグ522は、第2基地局装置12bのスロット周期の最初のスロットで送信された基準パケットであることを示す。スロット数523は、第2基地局装置12bのスロット数が「4」であることを示す。スロット周期524は、第2基地局装置12bのスロット周期が「4」であることを示す。
基地局ID525は、第2基地局装置12bの1番目のスロットに第2基地局装置12bが割り当てられていることを示す。端末ID526、端末ID527は、第2基地局装置12bの2番目、3番目のスロットに端末装置が割り当てられていないことを示す。端末ID528は、第2基地局装置12bの4番目のスロットに第5端末装置10eが割り当てられていることを示す。
図5に戻り、第1端末装置10aは、スロット番号S2のスロット175でパケット121により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。第2端末装置10bは、スロット番号S3のスロット176でパケット131により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。第3端末装置10cは、スロット番号S4のスロット177でパケット141により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。パケット121,131,141のデータサイズは、延長前のスロット周期と同じ4スロット分のサイズである。第5端末装置10eは、スロット番号S4のスロット192でパケット161により第2基地局装置12bを介してサーバ装置14と同期通信を行う。
サーバ装置14は、基準パケット112をスロット番号S5のスロット178とスロット番号S1のスロット193で送信する。
基準パケット112の基準フラグ502以外は、基準パケット111と同一である。基準パケット112において、第1基地局装置12aの基準フラグ502は「0」であり、第1基地局装置12aのスロット周期の最初のスロットで送信された基準パケットではないことを示す。そのため、第1基地局装置12aに接続中の端末装置10は、スロット周期の最初のスロットの基準パケット111を基準としてスロット番号S6~S8のタイミングを正しく特定できる。
第4端末装置10dは、スロット番号S6のスロット179でパケット151により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。第4端末装置10dに割り当てられたスロットは、第2基地局装置12bのスロット番号S2から第1基地局装置12aのスロット番号S6に変更されており、データの送信周期に4スロット分の差分が発生している。そのため、第4端末装置10dは、送信周期4スロット分の差分に基づいたサイズのデータを送信する。この例では、元のスロット周期「4」に差分「4」を加算した8スロット分のサイズのデータを送信する。
つまり、端末装置10において、スロット周期管理部36は、基地局管理部32が接続先を切り替えた場合、割り当てられていた基地局装置12のスロット番号と、新たに割り当てられた基地局装置12のスロット番号とが異なれば、番号の差と元のスロット周期にもとづいて導出されたサイズのデータを送信部30に送信させる。
これにより、端末装置10が接続先の基地局装置12を切り替えた場合に音声データの送信の遅延を抑制でき、リアルタイム通信を実現できる。よって、通信品質の低下を抑制できる。
第5端末装置10eは、スロット番号S4のスロット196でパケット162により第2基地局装置12bを介してサーバ装置14と同期通信を行う。
サーバ装置14は、基準パケット111をスロット番号S1のスロット182,197で送信する。スロット183,184の処理は、送信されるデータサイズがスロット周期と同じ8スロット分のサイズに変更されること以外、スロット175,176の処理と同じである。
なお、スロット180,181,190,191,194,195,198,199では通信は実行されていない。
図13は、図5の通信シーケンスにおける各スロットの端末装置10と基地局装置12の割り当て状況を示す。既述のように、第4端末装置10dに割り当てられたスロットは、ローミングにより第2基地局装置12bのスロット番号S2のスロット186から第1基地局装置12aのスロット番号S6のスロット179に変更されている。
(2)スロット周期を短縮する処理
図14は、図5に続く、第3端末装置10cが基地局装置12を切り替えるときのサーバ装置14、基地局装置12、端末装置10間の通信シーケンスを示す。図14は、スロット周期が短縮される例を示す。
通信シーケンスの開始時点では、第1基地局装置12aに第1端末装置10a、第2端末装置10b、第3端末装置10c、第4端末装置10dが接続し、第2基地局装置12bに第5端末装置10eが接続している。
サーバ装置14は、図5の基準パケット111をスロット番号S1のスロット370,385で送信する。
第1端末装置10aは、スロット番号S2のスロット371でパケット320により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。第2端末装置10bは、スロット番号S3のスロット372でパケット330により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。第3端末装置10cは、スロット番号S4のスロット373でパケット340により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。第5端末装置10eは、スロット番号S4のスロット388でパケット360により第2基地局装置12bを介してサーバ装置14と同期通信を行う。
サーバ装置14は、図5の基準パケット112をスロット番号S5のスロット374とスロット番号S1のスロット389で送信する。
第4端末装置10dは、スロット番号S6のスロット375でパケット350により第1基地局装置12aを介してサーバ装置14と同期通信を行う。スロット392の処理は、スロット388の処理と同じである。
ここで、第3端末装置10cは、図1の第1無線サービス範囲20aと第2無線サービス範囲20bが重なっている領域に移動することを想定する。
第3端末装置10cは同期通信を行っているため、第1無線サービス範囲20aと第2無線サービス範囲20bが重なっている領域に移動した場合、第2基地局装置12bに接続を切り替える前に、第2基地局装置12bで同期通信に使用できるスロット番号を確保するために、パケット345で第2基地局装置12bのスロット番号割当要求をサーバ装置14に対して非同期通信で行う。この例では、この非同期通信は、スロット番号S7のスロット376のタイミングで行われる。
サーバ装置14は、パケット345の受信時に第1基地局装置12aのスロット番号S4から第3端末装置10cの割り当てを削除する。さらに、第2基地局装置12bのスロット番号S2に第3端末装置10cを割り当てる。第1基地局装置12aから第3端末装置10cの割り当てを削除したことにより、第1基地局装置12aに接続している端末装置10へのスロット番号の割り当ては基準周期で可能になるため、空いたスロット番号S4に第4端末装置10dを割り当て、延長していたスロット周期を「8」から「4」に戻す。
つまり、サーバ装置14において、スロット周期管理部54は、基地局装置12のスロット周期を延長した場合、所定の短縮条件が満たされれば、その基地局装置12のスロット周期を短縮して1周期のスロット数を減らす。短縮条件は、基地局装置12のスロット周期を短縮した場合の端末装置10に割り当て可能なスロット数が、その基地局装置12のスロットが割り当てられた端末装置10の数以上であることを含む。そのため、スロット周期を短縮した場合にも接続中の端末装置10にスロットを割り当てできる。スロット周期の短縮は、ローミング時に限らず、端末装置10が同期通信を終了して当該端末装置10へのスロットの割り当てが削除された場合にも実行され得る。
スロット周期管理部54は、現在のスロット周期から基準周期を減算してスロット周期を短縮する。そのため、スロット周期を短縮した場合にも、複数の基地局装置12の間でスロットの同期を取ることができる。
スロット割当管理部55は、スロット周期管理部54がスロット数を減らしたことにより端末装置10に割り当てられたスロットが削除された場合、その端末装置10に対して、基地局装置12の空きスロットを割り当てる。これにより、必要な期間だけ一時的にスロット周期を延長できるので、同期通信で端末装置10から送信される1つのパケットのデータサイズを小さくして、パケットロスが起きた時の影響を小さくできる。よって、通信品質の低下を抑制できる。
サーバ装置14は、第3端末装置10cに対して、第1基地局装置12aのスロット割り当てから第3端末装置10cのスロット番号が削除され、第2基地局装置12bのスロット番号S2が割り当てられたことを含むスロット割当応答をパケット346により非同期通信で送信する。この例では、この非同期通信は、スロット番号S8のスロット377のタイミングで行われている。
サーバ装置14は、この割り当て状況の変化を基準パケット312に反映する。図15は、図14の基準パケット312のデータ構造の一例を示す。基地局ID501は、第1基地局装置12aの識別子を示す。基準フラグ502は、第1基地局装置12aのスロット周期の最初のスロットで送信された基準パケットであることを示す。スロット数503は、第1基地局装置12aのスロット数が「4」であることを示す。スロット周期504は、第1基地局装置12aのスロット周期が「4」であることを示す。
基地局ID505は、第1基地局装置12aの1番目のスロットに第1基地局装置12aが割り当てられていることを示す。端末ID506は、第1基地局装置12aの2番目のスロットに第1端末装置10aが割り当てられていることを示す。端末ID507は、第1基地局装置12aの3番目のスロットに第2端末装置10bが割り当てられていることを示す。端末ID508は、第1基地局装置12aの4番目のスロットに第4端末装置10dが割り当てられていることを示す。
基地局ID521は、第2基地局装置12bの識別子を示す。基準フラグ522は、第2基地局装置12bのスロット周期の最初のスロットで送信された基準パケットであることを示す。スロット数523は、第2基地局装置12bのスロット数が「4」であることを示す。スロット周期524は、第2基地局装置12bのスロット周期が「4」であることを示す。
基地局ID525は、第2基地局装置12bの1番目のスロットに第2基地局装置12bが割り当てられていることを示す。端末ID526は、第2基地局装置12bの2番目のスロットに第3端末装置10cが割り当てられていることを示す。端末ID527は、第2基地局装置12bの3番目のスロットに端末装置10が割り当てられていないことを示す。端末ID528は、第2基地局装置12bの4番目のスロットに第5端末装置10eが割り当てられていることを示す。
サーバ装置14は、図15の基準パケット312をスロット番号S1のスロット378,393で送信する。スロット379,380の処理は、スロット371,372の処理と同じであり、送信されるデータサイズも8スロット分のサイズから変更されない。
第4端末装置10dは、スロット番号S4のスロット381でパケット351によりサーバ装置14と同期通信を行う。スロット周期の短縮に伴い、パケット350の送信時に割り当てられていたスロット番号S6からスロット番号S4に変更されたため、第4端末装置10dは、送信周期2スロット分の差分に基づいたサイズのデータを送信する。この例では、元のスロット周期「8」から差分「2」を減算した6スロット分のデータを送信する。
つまり、端末装置10において、スロット周期管理部36は、接続中の基地局装置12のスロット周期が短縮されて1周期のスロット数が減った場合、スロット周期が短縮されるまでに割り当てられていたスロット番号と、スロット周期が短縮されてから割り当てられたスロット番号が異なれば、番号の差と元のスロット周期にもとづいて導出されたサイズのデータを送信部30に送信させる。
これにより、スロット周期が短縮された場合、スロット番号の変更による送信タイミングの変化に合わせたサイズの音声データを送信でき、リアルタイム通信を実現できる。よって、通信品質の低下を抑制できる。
ローミングした第3端末装置10cは、スロット番号S2のスロット394でパケット341によりサーバ装置14と同期通信を行う。パケット341では、第1基地局装置12aで割り当てられていたスロット番号S4から第2基地局装置12bのスロット番号S2に割り当てが変更されたため、第3端末装置10cは送信周期2スロット分の差分に基づいたサイズのデータを送信する。この例では、元のスロット周期「8」から差分「2」を減算した6スロット分のデータを送信する。スロット396の処理は、スロット388の処理と同じである。
スロット382,397では、図15の基準パケット312が送信される。スロット383,384の処理は、送信されるデータサイズがスロット周期と同じ4スロット分のサイズに変更されること以外、スロット379,380の処理と同じである。
スロット398の処理は、送信されるデータサイズがスロット周期と同じ4スロット分のサイズに変更されること以外、スロット394の処理と同じである。
なお、スロット386,387,390,391,395,399では通信は実行されていない。
次に、以上の構成による端末装置10とサーバ装置14の全体的な動作を説明する。図16は、スロット割当要求とスロット割当応答に関するパケットを非同期通信で送受信するときの端末装置10の処理を示すフローチャートである。図9の処理は、たとえば図5の第4端末装置10dの基地局管理部32が基地局装置を切り替える判断をすると、切り替え前に行われる。
送信部30は、基地局装置12を切り替える前に、スロット割当要求に関するパケット155を送信し(S10)、受信部31は、スロット割当応答に関するパケット156を受信する(S12)。パケット155はリクエストパケットであり、パケット156はレスポンスパケットである。スロット要求処理部34は、受信したレスポンスパケットにもとづいて割当成功か割当失敗か判定し、割当失敗の場合(S14のN)、処理を終了する。割当成功の場合(S14のY)、基地局管理部32は接続している基地局装置12を切り替え(S16)、処理を終了する。
図17は、スロット割当要求とスロット割当応答に関するパケットを非同期通信で送受信するときのサーバ装置14の処理を示すフローチャートである。受信部51は端末装置10から非同期通信でスロット割当要求に関するパケットを受信し(S20)、パケットのリクエスト703で指定されるリスエスト内容がスロットの割当要求である場合(S22のY)、基地局ID702で指定される基地局装置12に空きスロットがなければ(S24のN)、スロット周期管理部54は、スロット周期を延長できるか判定する(S26)。
延長可能の場合(S26のY)、スロット周期管理部54はスロット周期を延長し(S28)、スロット割当管理部55は、端末装置10に空きスロット番号を割り当て(S30)、スロット要求処理部52は割当成功のレスポンスを作成する(S32)。割当削除要求、即ちリクエスト706が存在しない場合(S34のN)、送信部50はスロット割当応答に関するパケットを送信し(S36)、処理を終了する。S24で空きスロット番号がある場合(S24のY)もS30に移る。
S26で延長不可の場合(S26のN)、スロット要求処理部52は割当失敗のレスポンスを作成し(S38)、割当削除要求が存在する場合(S40のY)、スロット要求処理部52は削除失敗のレスポンスを作成し(S42)、S36に移る。割当削除要求が存在しない場合(S40のN)、S36に移る。
S34で割当削除要求が存在する場合(S34のY)、スロット割当管理部55は、基地局ID705で指定される基地局装置12のスロット番号から、スロット番号707で指定されるスロット番号の割り当てを削除する(S44)。S22で割当削除要求の場合(S22のN)もS44に移る。
スロット周期を短縮不可の場合(S46のN)、スロット要求処理部52は削除成功のレスポンスを作成し(S52)、S36に移る。スロット周期を短縮可能の場合(S46のY)、スロット周期管理部54はスロット周期を短縮し(S48)、スロット割当管理部55は、スロット周期の短縮に伴い割り当てられていたスロット番号がなくなった端末装置10に空きスロット番号を再割り当てし、スロット割当を変更し(S50)、S52に移る。
図18は、基準パケットを受信した端末装置10の処理を示すフローチャートである。受信部31は基準パケットを受信し(S70)、自端末装置が接続している基地局装置12のスロット番号が割り当てられていない場合(S72のN)、処理を終了する。
スロット番号が割り当てられている場合(S72のY)、スロット周期が変更されていなければ(S74のN)、スロット周期管理部36は、基準パケットに含まれるスロット周期504から計算した送信サイズを設定し(S76)、S84に移る。S76の処理は、図5の第1端末装置10aがパケット120を送信するとき、第1端末装置10aがスロット183でパケットを送信するときなどに実行される。
スロット周期が変更された場合(S74のY)、スロットが新規に割り当てられていれば(S78のY)、スロット周期管理部36は、割り当てられたスロットまでの送信サイズを計算して送信サイズを設定し(S80)、S84に移る。端末装置10が通話を新たに開始する場合、スロットが新規に割り当てられ、S80の処理が実行される。
新規割り当てでない場合(S78のN)、スロット周期管理部36は、変更前のスロット周期から計算した送信サイズを設定し(S82)、S84に移る。S82の処理は、図5の第1端末装置10aがパケット121を送信するとき、第2端末装置10bがパケット131を送信するとき、第3端末装置10cがパケット141を送信するときなどに実行される。
スロット番号の割り当てが変更された場合(S84のY)、スロット周期管理部36は、スロット周期およびスロット番号の差分にもとづいて同期通信で送信するパケットのサイズを設定する(S86)。S86では、S76,S80,S82でサイズが設定されている場合にも、サイズを設定し直す。S86の処理は、図5の第4端末装置10dがパケット151を送信するとき、図14の第3端末装置10cがパケット341を送信するときなどに実行される。次に、スロット割当管理部37は割り当てられているスロット番号を設定し、スロット周期管理部36はスロット周期を設定する(S88)。スロット番号の割り当てが変更されていない場合(S84のN)、S88に移る。
本実施の形態によれば、端末装置10が接続先の基地局装置12を切り替える場合、移動先の基地局装置12のスロットに空きがない場合であっても、端末装置10に新たなスロットを割り当てることができる。これにより、端末装置10は、移動先の基地局装置12において他の端末装置10と通信タイミングが重ならずに同期通信を実行できる。よって、通信品質の低下を抑制できる。
つまり、周期的なリアルタイム通信を実行している端末装置10が基地局装置12を切り替える場合、移動先の基地局装置12でリアルタイム通信を行っている端末装置10と通信衝突が発生しないリソース確保を行うことができる。そのため、移動の前後でサービス品質を低下させることなく通信を継続できる。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。