JP7487623B2 - 過電流スイッチ及びこの過電流スイッチを備えた回路遮断器 - Google Patents
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例えば特許文献1の回路遮断器は、熱動-電磁式の感温動作機構部を備えており、電流路に過負荷電流が流れると、バイメタルが過負荷電流で発生するジュール熱で湾曲してトリップレバーが回動し、開閉機構部の開動作を行う(長限時動作)。また、電流路に短絡電流、瞬時動作電流が流れると、電磁石のアーマチュアが固定鉄心側に瞬時に移動してトリップレバーが回動し、開閉機構部の開動作を行う(瞬時動作)。
また、特許文献2で示した完全電磁式の過電流スイッチのオイルダッシュポットは、動作温度設定のために材質、材料サイズ、組立精度を綿密に設計し組立精度で補正する必要があった。そのため、回路遮断器の内部に感温動作機構部のオイルダッシュポットを高精度に組み立てなければならず、調整に時間と労力を要するという問題がある。
そこで、本発明は上記従来の問題点を解決するためになされたものであり、組み立て調整に時間及び労力の削減を図ることができる過電流スイッチ及びこの過電流スイッチを備えた回路遮断器を提供することにある。
また、本発明の一態様に係る回路遮断器は、上述した過電流スイッチを備えている。
先ず、図1から図4を参照して本発明に係る第1実施形態を説明する。
図1は、回路遮断器1の断面図を示しており、モールド樹脂製のユニットケース2内に、固定接触子3、可動接触子4、消弧装置(不図示)、感温動作機構部品5、トリップ機構部6、及び開閉機構部7を備えている。また、図2は、図1の断面構造が3極の回路遮断器1の斜視図である。
図1に示すように、固定接触子3は電源側端子8に接続され、一側面に固定接点3aを備えている。
負荷側端子11は、後述する感温動作機構部品5の円筒状ケース16の外周に配置されているコイル状のヒータ10の一端に接続され、コイル状のヒータ10の他端は、負荷側導電部材9に接続されている。負荷側導電部材9は、導通線(不図示)により、可動接触子4と繋がっている。可動接触子4は、固定接点3aに接触する可動接点4aを備えている。
円筒状ケース16は、長手方向の一端に開口部が形成され、長手方向の他端にプランジャ20の通る貫通孔16bが形成されている。
磁石固定台17は、円筒状ケース16の長手方向の一端の開口部に磁石固定台17、永久磁石18と共に磁気吸着もしくは接着により固定され、円筒状ケース16の内部の一端側に固定されている。
感温フェライト19のキュリー温度は、コイル状のヒータ10に過負荷電流(例えば、定格電流の200%A以上)が流れて発熱した際に熱伝導により感温フェライト19が、感温動作機構部品5が動作する際の感温フェライト19の温度に設定されている。
コイルスプリング21は、感温フェライト19が軟磁性状態のときに、永久磁石18により磁性吸引を受け縮まっている。
コイルスプリング21は、感温フェライト19がコイル状のヒータ10による熱を受け非磁性状態となった時に、永久磁石18による磁性吸引の影響を受けなくなり、伸びた状態となる。
プランジャ動作伝達部品13は支点13aを有し、トリップ機構部6に、感温フェライト19の軟磁性状態、非磁性状態によるコイルスプリング21の伸縮を伝達している。
回路遮断器1は、ハンドル12をオン位置(図1の実線位置)として開閉機構部7が可動接触子4の可動接点4a及び固定接触子3の固定接点3aを閉極動作し、電源側端子8と負荷側端子11との間の通電路に定格電流が流れて通電状態としているものとする。
電源側端子8と負荷側端子11との間の通電路に短絡電流(短限動作電流、瞬時動作電流)が流れた場合、熱伝導による動作では、早い動作が見込めない、感温動作機構部品5は、コイル状のヒータ10から発生する磁界を使用し動作する。短絡電流とコイル状のヒータ10により大きな磁界が発生し、軟磁性体である感温フェライト19が磁性反転を行う。
トリップ機構部6は、動作が伝達されたことにより開閉機構部7の可動接触子4の可動接点4aを固定接触子3の固定接点3aから開極動作させる(短限動作電流、瞬時動作)。これにより、回路遮断器1は、電源側端子8と負荷側端子11との間が非通電状態のトリップ状態となる。
本実施形態の感温動作機構部品5に組み込まれている感温フェライト19は、-10~130℃までの分解能1℃±3℃の精度で作ることが可能で、従来の熱動式の過電流スイッチで使用していたバイメタルの動作温度と比較して、動作温度設定が容易である。長限時動作の時間設定に於いても、バイメタル品は、他の部品への熱伝導漏れがあったが、感温動作機構部品5は、熱伝導漏れが少なく、部品全体の熱容量に依存するため長限時動作の時延時間の設定も容易である。
また、本実施形態の感温動作機構部品5の時延時間は、コイル状のヒータ10の発熱量と、円筒状ケース16、磁石固定台17の厚みや大きさを変更して熱容量を変更するだけで、自由に調整することができる。
図5は、感温動作機構部品5の上部側の外周が、筒形状の熱容量調整キャップ23で覆われている。
感温動作機構部品5の上方には、ユニットケース2の内部に設けたキャップ支持部24が配置されている。このキャップ支持部24に、調整ねじBがねじ込まれているとともに、調整ねじBの下端が熱容量調整キャップ23の頂部23aに固定されている。
調整ねじBのねじ込み量を変化させると、感温動作機構部品5の熱容量が熱容量調整キャップ23により増減し、コイル状のヒータ10から感温フェライト19への熱伝達率が変わり、時延時間である長限時動作の時間の調整が可能となる。
なお、第1実施形態の感温フェライト19と永久磁石18の上下位置を入れ替えても動作が可能である。
次に、図6及び図7は、第2実施形態の過電流スイッチ51を示すものである。
第2実施形態の過電流スイッチ51は、感温動作機構部品53と、トリップ機構部6と、コイル状のヒータ54と、プランジャ動作伝達部品13とで構成されている。
感温動作機構部品53は、磁性材料による円柱状ケース62、磁石固定部材56、永久磁石57、磁気ヨーク58、感温フェライト59、プランジャ60、及びコイルスプリング61を備え、円柱状ケース62の外周にコイル状のヒータ54が巻かれて配置されている。
円柱状ケース62は、長手方向の両端が開口している磁性材料で中心に貫通孔63bが形成されている。
プランジャ60は、感温フェライト59に固定されており感温動作機構部品53の内部に長手方向に移動自在に配置され貫通孔63bに挿通しているプランジャ接触子60aを備えている。
コイルスプリング61は、感温フェライト59に対して永久磁石57から離間する方向に押し付け力を付与している。
感温動作機構部品53の感温フェライト59は、電源側端子8と負荷側端子11との間の通電路に定格電流が流れているときは、定格電流が流れているコイル状のヒータ54からキュリー温度を下回る温度が熱伝導されているので軟磁性体となっており、永久磁石57から円柱状ケース62を経由した磁力と永久磁石57から磁気ヨーク58を経由した磁力により図6の位置に感温フェライト59が位置する定格電流通電時の状態である。
これにより、感温動作機構部品53の初期状態では、永久磁石57、磁石固定部材56、円柱状ケース62、感温フェライト59、磁気ヨーク58を通過する磁界Mにより位置が維持されている。
ここで、電源側端子8と負荷側端子11との間の通電路に過負荷電流が流れると、コイル状のヒータ54で発生した熱が感温動作機構部品53を介して感温フェライト59に伝達され、感温フェライト59は、キュリー温度まで所定の時延時間で加熱されて非磁性体に変化する。
トリップ機構部6は、動作が伝達された事により開閉機構部7の可動接触子4の可動接点4aを固定接触子3の固定接点3aから開極動作させる(短限動作電流、瞬時動作)。これにより、回路遮断器1は、電源側端子8と負荷側端子11との間が非通電状態のトリップ状態となる。
第2実施形態の過電流スイッチ51の時延時間は、コイル状のヒータ54の発熱量や、
磁石固定部材56、円柱状ケース62の厚みや大きさを変更して熱容量を変更するだけで、自由に調整することができる。
さらに、瞬時引外し動作の動作感度は、円柱状ケース62、磁気ヨーク58の体積、感温フェライト59及びプランジャ60を磁性材や、非磁性材にする事で容易に調整することができる。
[第3実施形態]
本実施形態の感温動作機構部品25は、平板状ヒータ27を使用して長限時動作のみを行うものであり、平板状ヒータ27の発熱量を調整する事により、長限時動作の時間の調整が可能となる。なお、短限動作、瞬時動作を付加するためには、従来の過電流スイッチに搭載されている、アーマチュアと呼ばれる、短限動作、瞬時動作に必要な構造が必要となる。
2 ユニットケース
3 固定接触子
3a 固定接点
4 可動接触子
4a 可動接点
5 感温動作機構部品
6 トリップ機構部
7 開閉機構部
8 電源側端子
9 負荷側導電部材
10 コイル状のヒータ
11 負荷側端子
12 ハンドル
13 プランジャ動作伝達部品
13a 支点
14 過電流スイッチ
16 円筒状ケース
16b 貫通孔
17 磁石固定台
18 永久磁石
19 感温フェライト
20 プランジャ
20b プランジャ接触子
21 コイルスプリング
23 熱容量調整キャップ
23a 熱容量調整キャップの頂部
24 キャップ支持部
25 感温動作機構部品
27 平板状ヒータ
27a 面接触部
27b 第1接続部
27c 第2接続部
28 ケース伝熱部
51 過電流スイッチ
51 過電流スイッチ
53 感温動作機構部品
54 コイル状のヒータ
56 磁石固定部材
57 永久磁石
58 磁気ヨーク
59 感温フェライト
60 プランジャ
60a プランジャ接触子
61 コイルスプリング
62 円柱状ケース
63b 貫通孔
M 磁界
Claims (7)
- 電流路に接触子が配置され、前記電流路の電流を検知し過電流が流れた際に、開閉機構部を介して前記接触子を開状態とする過電流スイッチであって、
前記電流路に接続されたヒータと、当該ヒータに加熱される感温動作機構部品と、を備え、
前記ヒータは、前記感温動作機構部品の外周に配置されるコイル状のヒータであり、
前記感温動作機構部品は、感温フェライトが内蔵されており、前記電流路の過負荷電流による前記コイル状のヒータの発熱により前記感温フェライトがキュリー温度に達したときに非磁性体に変化して長限時動作を前記開閉機構部に伝達するとともに、前記電流路の短絡電流、或いは瞬時動作電流により前記コイル状のヒータに発生する誘導磁界が前記感温動作機構部品の内部に作用して磁気飽和状態となることで、瞬時動作を前記開閉機構部に伝達して前記接触子を開状態とすることを特徴とする過電流スイッチ。 - 前記感温動作機構部品は、前記感温フェライトを内蔵する部品の熱容量と、前記感温フェライトに到達する前記コイル状のヒータによるキュリー温度に到達するまでの熱伝導時間とを調節することで、前記長限時動作の時間を調整することができることを特徴とする請求項1記載の過電流スイッチ。
- 前記感温動作機構部品は、ケース内に、永久磁石と、プランジャと、前記永久磁石及び前記プランジャの間に配置され、磁性体として前記永久磁石に磁気吸着している前記感温フェライトと、前記プランジャの移動方向に押圧している弾性部材と、が配置されており、
前記コイル状のヒータに過電流が流れて前記感温フェライトが非磁性体に変化したときに、前記感温フェライトに固定された前記プランジャが、前記弾性部材の押圧により移動して長限時動作を前記開閉機構部に伝達することを特徴とする請求項1又は2に記載の過電流スイッチ。 - 前記感温動作機構部品は、ケース内に、永久磁石、磁気ヨーク、前記感温フェライト及びプランジャの順で直列に配置されているとともに、前記プランジャの移動方向に押圧している弾性部材が配置されており、
前記コイル状のヒータに過電流が流れて前記感温フェライトが非磁性体に変化したときに、前記感温フェライトに固定された前記プランジャが、前記弾性部材の押圧により移動して長限時動作を前記開閉機構部に伝達するとともに、
前記コイル状のヒータに短絡電流、或いは瞬時動作電流が流れて前記コイル状のヒータに誘導磁界が発生し、前記永久磁石及び前記感温フェライトの間が磁気飽和状態となることで、前記プランジャが、前記弾性部材の押圧により移動して瞬時動作を前記開閉機構部に伝達することを特徴とする請求項1又は2に記載の過電流スイッチ。 - 電流路に接触子が配置され、前記電流路の電流を検知し過電流が流れた際に、開閉機構部を介して前記接触子を開状態とする過電流スイッチであって、
前記電流路に接続された平板状のヒータと、当該平板状のヒータに加熱される感温動作機構部品と、を備え、
前記感温動作機構部品は、ケース内に、永久磁石と、プランジャと、前記永久磁石及び前記プランジャの間に配置され、磁性体として前記永久磁石に磁気吸着している感温フェライトと、前記プランジャの移動方向に押圧している弾性部材と、が配置されており、
前記平板状のヒータに過電流が流れて前記感温フェライトがキュリー温度に達して非磁性体に変化したときに、前記感温フェライトに固定された前記プランジャが、前記弾性部材の押圧により移動して長限時動作を前記開閉機構部に伝達することを特徴とする過電流スイッチ。 - 電流路に接触子が配置され、前記電流路の電流を検知し過電流が流れた際に、開閉機構部を介して前記接触子を開状態とする過電流スイッチであって、
前記電流路に接続された平板状のヒータと、当該平板状のヒータに加熱される感温動作機構部品と、を備え、
前記感温動作機構部品は、ケース内に、永久磁石、磁気ヨーク、感温フェライト及びプランジャの順で直列に配置されているとともに、前記プランジャの移動方向に押圧している弾性部材が配置されており、
前記平板状のヒータに過電流が流れて前記感温フェライトがキュリー温度に達して非磁性体に変化したときに、前記感温フェライトに固定された前記プランジャが、前記弾性部材の押圧により移動して長限時動作を前記開閉機構部に伝達することを特徴とする過電流スイッチ。 - 請求項1から請求項6の何れか1項記載の過電流スイッチを備えていることを特徴とする回路遮断器。
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