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JP7480439B2 - 酸化物焼結体及びその製造方法並びにスパッタリングターゲット材 - Google Patents

酸化物焼結体及びその製造方法並びにスパッタリングターゲット材 Download PDF

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Description

本発明は、酸化物焼結体及びその製造方法に関する。また本発明は、酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット材に関する。
酸化スズ系透明導電膜は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ及び有機ELといった表示デバイスを始めとして幅広い用途に用いられている。酸化スズ系透明導電膜を形成する手段の一つとしてスパッタリングが知られている。スパッタリングを用いた導電膜の形成においては、スパッタリングターゲット材にピンホール等の欠陥が多く存在すると、スパッタリング中の異常放電の発生の一因となり、スパッタリング中におけるパーティクルの発生や、ターゲット材の割れやクラックの発生の一因ともなる。
スパッタリング中に異常放電が発生することを防止する目的で、本出願人は先に、SnOを主成分とし、Nb及びTaとを含む未焼結の成形体を用意し、該成形体を1550℃~1650℃で焼結する、スパッタリングターゲットの製造方法を提案した(特許文献1参照)。同様の目的で、本出願人は先に、Taと、Nbと、残部としてのSnOと不可避不純物とを含むスパッタリングターゲットを提案した(特許文献2参照)。
特開2007-131891号公報 特開2008-248278号公報
特許文献1及び2に記載の技術によれば、スパッタリング中の異常放電やターゲット材の割れを抑制することが可能である。しかし、酸化スズ系透明導電膜が用いられる表示デバイスは、その性能の更なる向上が求められており、酸化スズ系透明導電膜についても一層高品質なものが求められている。したがって、酸化スズ系透明導電膜を製造するために用いられるスパッタリングターゲット材についても、スパッタリング中の異常放電やターゲット材の割れの発生が従来よりも低減した品質の高いものが求められている。
したがって本発明は、ピンホール等の欠陥が少なく、スパッタリングターゲット材として用いた場合に異常放電や割れが発生しづらい酸化物焼結体及びその製造方法並びにスパッタリングターゲット材を提供することにある。
本発明は、スズ元素、タンタル元素及びニオブ元素を含む酸化物焼結体であって、
前記酸化物焼結体の断面観察における単位面積当たりの孔部の面積率が1%以下である酸化物焼結体を提供することにより前記の課題を解決したものである。
また本発明は、前記の酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット材を提供するものである。
更に本発明は、スズ酸化物のスラリー、タンタル酸化物のスラリー及びニオブ酸化物のスラリーをそれぞれ別個に調製し、
前記各スラリーを混合して混合スラリーを調製し、
前記混合スラリーをスプレードライ法に付して造粒物を製造し、
前記造粒物を用いて成形体を製造し、
前記成形体を焼結させる、酸化物焼結体の製造方法であって、
前記スズ酸化物のスラリー、前記タンタル酸化物のスラリー及び前記ニオブ酸化物のスラリーのそれぞれに分散剤を含有させておく、酸化物焼結体の製造方法を提供するものである。
以下、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明する。本発明は酸化物焼結体及びそれを用いたスパッタリングターゲット材に関する。
本発明の酸化物焼結体は、複数種類の金属酸化物の焼結体である。詳細には、本発明の酸化物焼結体は、金属としてスズ元素(以下、単に「Sn」ともいう。)、タンタル元素(以下、単に「Ta」ともいう。)、及びニオブ元素(以下、単に「Nb」ともいう。)を含んでいる。これらの金属元素は、それぞれの金属の酸化物の状態で焼結体中に存在しているか、あるいはこれら3種類の金属元素から選択される少なくとも2種類の金属元素の複合酸化物の状態で焼結体中に存在している。
上述した特許文献1に記載されているとおり、SnOは難焼結性の物質であることに起因して、SnOを含む緻密な焼結体を製造することはこれまで困難であった。そのことに起因して、これまで知られているSnOを含む焼結体には欠損部位である孔部が生じやすかった。これに対して本発明の酸化物焼結体は、孔部の存在が極めて低減されていることに特徴の一つを有する。孔部は、本発明の酸化物焼結体の断面に観察される欠損部位である。本明細書において酸化物焼結体の断面とは、酸化物焼結体を所定の手段によって切断して得られる面のことである。
孔部は断面において開口しており、酸化物焼結体の内部に向けて延びている。孔部は、透孔及び有底孔の双方を包含する。本明細書において孔部とは、酸化物焼結体の断面を200倍の倍率(観察視野:445.3μm×634.6μm)で顕微鏡観察したときに存在が認められる大きさの欠損部位のことである。
本発明の酸化物焼結体における孔部の存在の程度は、該酸化物焼結体の断面観察における単位面積当たりの孔部の面積率(以下「孔部面積率」ともいう。)が好ましくは1%以下という極めて低いものである。孔部の存在の程度がこのように低いことに起因して、本発明の酸化物焼結体は、これを例えばスパッタリングターゲット材として用いた場合に、スパッタリング時に異常放電が生じることが効果的に抑制される。また、スパッタリング時におけるパーティクルの発生や、ターゲット材に割れやクラックが発生することが効果的に防止される。これらの利点を一層顕著なものとする観点から、孔部面積率は0.9%以下であることが更に好ましく、0.8%以下であることが一層好ましく、0.7%以下であることが更に一層好ましく、0.6%以下であることが特に好ましく、0.5%以下であることがとりわけ好ましい。孔部面積率の値はゼロに近ければ近いほど好ましい。この観点から、孔部面積率は、0%超1%以下であることが好ましく、0.02%以上0.9%以下であることが更に好ましく、0.04%以上0.8%以下であることが一層好ましく、0.06%以上0.7%以下であることが更に一層好ましく、0.08%以上0.6%以下であることが特に好ましく、0.1%以上0.5%以下であることがとりわけ好ましい。
孔部面積率の測定方法は、後述する実施例において説明する。また、孔部面積率を上述の値以下にするための手法についても後述する。
本発明の酸化物焼結体は、その断面に孔部が観察される場合、該孔部の大きさが抑制されている点も特徴の一つである。詳細には、酸化物焼結体の断面の観察における孔部の最大円相当径は20μm以下という極めて小さなものである。孔部の大きさがこのように抑制されていることによって、本発明の酸化物焼結体は、これを例えばスパッタリングターゲット材として用いた場合に、スパッタリング時に異常放電が生じることが効果的に抑制される。また、スパッタリング時におけるパーティクルの発生や、ターゲット材に割れやクラックが発生することが効果的に防止される。これらの利点を一層顕著なものとする観点から、孔部の最大円相当径は18μm以下であることが更に好ましく、16μm以下であることが一層好ましく、15μm以下であることが更に一層好ましく、13μm以下であることが特に好ましく、12μm以下であることがとりわけ好ましい。孔部の最大円相当径はゼロに近ければ近いほど好ましい。この観点から、孔部の最大円相当径は、0μm超20μm以下であることが好ましく、1μm以上18μm以下であることが更に好ましく、2μm以上16μm以下であることが一層好ましく、3μm以上15μm以下であることが更に一層好ましく、4μm以上13μm以下であることが特に好ましく、5μm以上12μm以下であることがとりわけ好ましい。
孔部の最大円相当径の測定方法は、後述する実施例において説明する。また、孔部の最大円相当径を上述の値以下にするための手法についても後述する。
孔部の最大円相当径が上述した値以下であることに加えて、本発明の酸化物焼結体は、孔部の最大フェレ径が50μm以下という極めて小さなものである。フェレ径とは、計測対象に外接する矩形の大きさのことである。孔部の最大フェレ径を上述した値以下に設定することによっても、本発明の酸化物焼結体は、これを例えばスパッタリングターゲット材として用いた場合に、スパッタリング時に異常放電が生じることが効果的に抑制される。また、スパッタリング時におけるパーティクルの発生や、ターゲット材に割れやクラックが発生することが効果的に防止される。これらの利点を一層顕著なものとする観点から、孔部の最大フェレ径は45μm以下であることが更に好ましく、40μm以下であることが一層好ましく、35μm以下であることが更に一層好ましく、30μm以下であることが特に好ましく、28μm以下であることがとりわけ好ましく、26μm以下であることが最も好ましい。孔部の最大フェレ径はゼロに近ければ近いほど好ましい。この観点から、孔部の最大フェレ径は、0μm超50μm以下であることが好ましく、2μm以上45μm以下であることが更に好ましく、3μm以上40μm以下であることが一層好ましく、4μm以上35μm以下であることが更に一層好ましく、6μm以上30μm以下であることが特に好ましく、8μm以上28μm以下であることがとりわけ好ましく、10μm以上26μm以下であることが最も好ましい。
孔部の最大フェレ径の測定方法は、後述する実施例において説明する。また、孔部の最大フェレ径を上述の値以下にするための手法についても後述する。
本発明の酸化物焼結体は、上述した(i)孔部面積率、(ii)最大円相当径、及び(iii)最大フェレ径のうちの少なくとも一つを満たすことが好ましく、(i)-(iii)のうちの少なくとも二つの組み合わせを満たすことが更に好ましく、(i)-(iii)のすべてを満たすことが一層好ましい。
本発明の酸化物焼結体は、上述した(i)-(iii)に加えて、相対密度が高いことによっても特徴付けられる。詳細には、本発明の酸化物焼結体はその相対密度が好ましくは99.6%以上という高い値を示すものである。このような高い相対密度を示すことで、本発明の酸化物焼結体は、これを例えばスパッタリングターゲット材として用い、該ターゲット材によってスパッタリングを行う場合、スパッタリング時の異常放電を抑制することが可能となるので好ましい。この観点から、本発明の酸化物焼結体はその相対密度が99.8%以上であることが更に好ましく、100.0%以上であることが一層好ましく、100.2%以上であることが更に一層好ましく、100.3%以上であることが特に好ましい。相対密度の上限値は特に制限はないが、105%以下であることが好ましく、104%以下であることが更に好ましく、103%以下であることが一層好ましく、102%以下であることが更に一層好ましい。このような相対密度を有する本発明の酸化物焼結体は、後述する方法によって好適に製造される。相対密度は、アルキメデス法に従い測定される。具体的な測定方法は後述する実施例において説明する。
本発明の酸化物焼結体は強度が高いことによっても特徴付けられる。詳細には、本発明の酸化物焼結体はその抗折強度が好ましくは180MPa以上という高い値を示すものである。このような高い抗折強度を示すことで、本発明の酸化物焼結体は、これを例えばスパッタリングターゲット材として用い、該ターゲット材によってスパッタリングを行う場合、スパッタリング中に意図せず異常放電が起こっても、ターゲット材に割れやクラックが生じにくくなるので好ましい。この観点から本発明の酸化物焼結体は、その抗折強度が190MPa以上であることが更に好ましく、200MPa以上であることが一層好ましく、210MPa以上であることが更に一層好ましく、220MPa以上であることが特に好ましく、230MPa以上であることがとりわけ好ましく、240MPa以上であることが最も好ましい。抗折強度の上限値は特に制限はないが、300MPa以下であることが好ましく、290MPa以下であることが更に好ましく、280MPa以下であることが一層好ましく、270MPa以下であることが更に一層好ましい。このような抗折強度を有する本発明の酸化物焼結体は、後述する方法によって好適に製造される。抗折強度は、JIS R1601に準拠して測定される。具体的な測定方法は後述する実施例において説明する。
本発明の酸化物焼結体は、そのバルク抵抗率が低いことが、該酸化物焼結体をスパッタリングターゲット材として用いる場合に、DCスパッタリングを容易に行い得る点から好ましい。この観点から、酸化物焼結体のバルク抵抗率は、10Ω・cm以下であることが好ましい。バルク抵抗率は、三菱化学株式会社製ロレスタ(登録商標)HP MCP-T410(直列4探針プローブ TYPE ESP)を用い、AUTO RANGEモードで測定する。測定箇所は酸化物焼結体の中央付近及び四隅の計5か所とし、各測定値の算術平均値をその焼結体のバルク抵抗率とする。
本発明の酸化物焼結体は、上述のとおり、金属元素としてSn、Ta及びNbを含んでいる。本発明の酸化物焼結体はSnOを主成分とし、Ta及びNbを副成分として含んでいることが、該酸化物焼結体から形成される透明導電膜の特性向上の点から好ましい。この利点を一層顕著なものとする観点から、酸化物焼結体に占めるTa及びNbの合計量は、1.15質量%以上12.0質量%以下であることが好ましく、3.5質量%以上10質量%以下であることが更に好ましく、4.0質量%以上8.0質量%以下であることが一層好ましく、5.0質量%以上7.0質量%以下であることが更に一層好ましい。
本発明の酸化物焼結体におけるTaとNbとの比率は、該酸化物焼結体から形成される透明導電膜の特性向上の点、及び該酸化物焼結体の焼結密度の向上の点から、Nb/Taの質量比で表して、0.15以上0.90以下であることが好ましく、0.15以上0.60以下であることが更に好ましく、0.16以上0.43以下であること一層が好ましく、0.17以上0.33以下であることが更に一層好ましい。
本発明の酸化物焼結体におけるSnと、Taと、Nbとの具体的な比率は、SnがSnO換算で80質量%以上100質量%未満であることが好ましく、TaがTa換算で0質量%超10質量%以下であることが好ましく、NbがNb換算で0質量%超10質量%以下であることが好ましい。
更に、SnがSnO換算で88質量%以上98.85質量%以下であることが好ましく、TaがTa換算で1質量%以上8質量%以下であることが好ましく、NbがNb換算で0.15質量%以上4質量%以下であることが好ましい。
特に、SnがSnO換算で90質量%以上96.5質量%以下であることが好ましく、TaがTa換算で3質量%以上7質量%以下であることが好ましく、NbがNb換算で0.5質量%以上3質量%以下であることが好ましい。
本発明の酸化物焼結体にSn、Ta及びNbがこの割合で含まれていることによって、該酸化物焼結体から形成される透明導電膜の特性が向上するので好ましい。
なお、SnO、Ta、及びNbそれぞれの割合は、酸化物焼結体に含まれる不可避不純物の量を含めた質量基準での値である。
次に本発明の酸化物焼結体の好適な製造方法について説明する。本発明の酸化物焼結体は原料粉を焼結させることによって製造される。原料粉としては、スズ酸化物粉、タンタル酸化物粉及びニオブ酸化物粉を用いる。スズ酸化物粉としてはSnO粉を用いることが好ましい。タンタル酸化物粉としてはTa粉を用いることが好ましい。ニオブ酸化物粉としてはNb粉を用いることが好ましい。
各酸化物粉の使用割合は、目的とする酸化物焼結体に含まれるSnO、Ta及びNbの割合が上述した範囲となるように調整されることが好ましい。
各酸化物粉の粒径は、分散媒への分散性を十分なものにする観点から、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表して、0.3μm以上1.2μm以下とすることが好ましく、0.4μm以上1.1μm以下とすることが更に好ましく、0.5μm以上0.9μm以下とすることが一層好ましい。
本製造方法においては、各酸化物粉のスラリーを別個に調製し、各スラリーを混合して混合スラリーを調整することが、孔部の発生が抑制された酸化物焼結体を首尾よく製造し得る点から有利であることが、本発明者の検討の結果判明した。以下、この手順について詳述する。
まず、各酸化物粉のスラリーを別個に調製する。スラリーの調製に用いる分散媒としては、各酸化物粉を分散させ得る液体を用いることができる。そのような分散媒としては、例えば水及び各種の有機溶媒が挙げられる。有機溶媒としては、例えばエタノールなどを用いることができる。これらの分散媒のうち、経済性及び取り扱いの容易さ等の観点から水を用いることが好ましい。
スラリーにおける分散媒の割合を、酸化物粉の質量に対して、好ましくは20質量%以上70質量%以下、更に好ましくは30質量%以上60質量%以下、一層好ましくは35質量%以上55質量%以下に設定すると、酸化物粉が分散媒に十分に分散する。
各酸化物粉のスラリーにおける酸化物粉の濃度は、該酸化物粉の分散媒への分散性を考慮して、58質量%以上84質量%以下とすることが好ましく、62質量%以上77質量%以下とすることが更に好ましく、64質量%以上74質量%以下とすることが一層好ましい。
スラリー中に含まれる各酸化物粉の分散性を高める観点から、各スラリーに分散剤を配合することが好ましい。分散剤としては、酸化物粉の種類に応じて適切なものを用いることができる。例えばポリカルボン酸アンモニウム、ポリカルボン酸ナトリウム及びポリカルボン酸アミン塩などのポリカルボン酸塩;第4級カチオンポリマー;ポリアルキレングリコール等の非イオン系界面活性剤;及び第4級アンモニウム塩等のカチオン系界面活性剤などを用いることができる。これらの分散剤は一種を単独で用いることができ、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。これらの分散剤のうち、酸化物粉の分散性の高さからポリカルボン酸塩を用いることが好ましく、とりわけポリカルボン酸アンモニウムを用いることが好ましい。
各スラリーに配合する分散剤の種類は同一であってもよく、あるいは異なっていてもよい。
各スラリーに配合する分散剤の濃度は、スラリーに含まれる酸化物粉の濃度や種類に応じて適切に選択される。スラリーにおける分散剤の濃度を、酸化物粉の質量に対して、好ましくは0.01質量%以上0.04質量%以下、更に好ましくは0.015質量%以上0.035質量%以下、一層好ましくは0.02質量%以上0.03質量%以下に設定すると、満足すべき分散性が発現する。各スラリーにおける分散剤の濃度は同一でもよく、それぞれ異なっていてもよい。
各スラリーには結合剤を配合してもよい。結合剤を配合することで、後述する混合スラリーを用いて造粒物を得るときに、造粒物の強度を適度なものにすることができる。結合剤としては、例えば各種の有機高分子材料を用いることができる。有機高分子材料としては、例えばポリビニルアルコール、アクリルエマルジョンバインダーなどを用いることができる。
各スラリーに配合する結合剤の濃度は、スラリーに含まれる酸化物粉の濃度や種類に応じて適切に選択される。スラリーにおける結合剤の濃度を、酸化物粉の質量に対して、好ましくは0.2質量%以上0.8質量%以下、更に好ましくは0.3質量%以上0.7質量%以下、一層好ましくは0.4質量%以上0.6質量%以下に設定すると、造粒物の強度を適度なものにすることができる。各スラリーにおける結合剤の濃度は同一でもよく、それぞれ異なっていてもよい。
スラリーの調製は、スラリーを構成する各成分を混合することで行われる。混合には、例えばボールミルやビーズミルなどのメディアミル装置を用いることが、酸化物粉を分散媒に十分に分散させ得る点から好ましい。
以上の手順で各スラリーを調製したら、次いで各スラリーを混合して混合スラリーを調製する。各スラリーの混合割合は、目的とする酸化物焼結体に含まれるSnO、Ta及びNbの割合が上述した範囲となるように調整されることが好ましい。
各スラリーを混合して混合スラリーを得るためには、例えばボールミルやビーズミルなどのメディアミル装置を用いることが好ましいが、この手法に限られない。
各酸化物粉のスラリーを調製し、各スラリーを混合して混合スラリーを得ることには次に述べる利点がある。
本製造方法においては、後述するとおり、混合スラリーを用い、スプレードライ法によって造粒物を得ることが好ましい。スプレードライ法を円滑に行うためには、混合スラリーに配合する分散剤の量を多くして該混合スラリーの粘度を下げることが有利である。しかし、分散剤の配合量を多くすると、スプレードライ法によって得られる造粒物が硬く潰れにくくなる傾向にある。そのような造粒物を用いて、酸化物焼結体の製造用の成形体を圧縮成形すると、圧縮過程において造粒物が潰れにくいことに起因して、成形体中に欠損部位が発生しやすくなる。そのような成形体を焼成すると、得られる焼結体が緻密なものとならず、欠損部位が発生してしまう。
一方、造粒物を潰れやすいものにする目的で混合スラリーに配合する分散剤の量を少なくすると、混合スラリーの粘度が上昇する傾向にあり、そのことに起因して形状の揃った造粒物を製造しにくくなる。そのような造粒物を用いて成形体を圧縮成形すると、やはり成形体中に欠損部位が発生しやすくなり、延いては焼結体が緻密なものとならず、欠損部位が発生してしまう。
これに対して、各酸化物粉のスラリーに分散剤を配合し、各スラリーを混合して混合スラリーを得ることによって、分散剤の配合量を少なくしても、混合スラリーの粘度上昇を抑制でき、分散性の良好な混合スラリーが得られることが本発明者の検討の結果判明した。そのような混合スラリーを用いて製造された焼結体は、欠損部位の発生が抑制された緻密なものとなる。
各酸化物粉のスラリーを調製し、各スラリーを混合して混合スラリーを得ることには次に述べる別の利点もある。
従来の技術、例えば先に述べた特許文献1及び2に記載の技術においては、複数の金属元素を含む酸化物焼結体の製造に際し、各金属元素の酸化物粉を一括して分散媒に分散させてスラリーを調製していた。この方法でスラリーを調製すると、該スラリーに配合されている分散剤が、特定の酸化物に優先的に作用して、酸化物間で分散媒への分散性に差異が生じていたことが本発明者の検討の結果判明した。分散性に差異が生じると、スラリーから製造される造粒物における酸化物粉の状態、例えば潰れやすさの程度が不均一になり、そのことに起因して、最終的に得られる酸化物焼結体に孔部が発生しやすくなってしまうという不都合がある。分散性に差異が生じる理由は、分散剤と各酸化物粉との相互作用が、酸化物粉の種類によって相違するからである。そこで本製造方法においては、酸化物間で分散媒への分散性に差異が生じることを防止するために、各酸化物粉を一括して分散媒に分散させることに代えて、酸化物粉ごとに別個に分散媒に分散させ、そのときに分散剤を分散媒に配合する手法を採用している。この手法を採用することで、分散剤が各酸化物粉に確実に作用するので、混合スラリーにおける各酸化物粉の分散性に差異が生じづらくなる。
混合スラリーが調製できたら、該混合スラリーをスプレードライ法に付して造粒物を製造する。スプレードライ法による造粒においては、レーザー回折散乱式粒度分布測定法による累積体積50容量%における体積累積粒径D50で表した粒径が30μm以上60μm以下、特に35μm以上55μm以下、とりわけ40μm以上50μm以下の造粒物を製造することが、造粒物の潰れやすさの点から好ましい。造粒物が潰れやすいことは、該造粒物を用いて酸化物焼結体を製造するときに、孔部が発生しづらくなる点から有利である。なお、造粒物における体積累積粒径D50は超音波分散処理を行わずに測定される粒径である。
造粒物が得られたら、この造粒物を型に充填し成形体を作製する。成形には、例えば冷間等方圧プレスなどの冷間プレス法を採用することができる。成形時の圧力は、600kg/cm以上1200kg/cm以下に設定することが、緻密な成形体を得る点から好ましい。
成形体が得られたら、必要に応じて該成形体を脱脂工程に付してもよい。成形体を脱脂工程に付すことで、該成形体に含まれる有機物、例えば分散剤や結合剤を除去することができる。脱脂工程は、成形体を例えば大気雰囲気下、500℃以上900℃以下に加熱することで行われる。
このようにして成形体が得られたら、次にこれを焼成する。成形体の焼成は一般に酸素含有雰囲気中で行うことができる。特に大気雰囲気下で焼成することが簡便である。焼成温度は1500℃以上1700℃以下であることが好ましく、1520℃以上1680℃以下であることが更に好ましく、1550℃以上1650℃以下であることが一層好ましい。焼成時間は、1時間以上100時間以下であることが好ましく、2時間以上50時間以下であることが更に好ましく、3時間以上30時間以下であることが一層好ましい。昇温速度及び降温速度はそれぞれ独立に5℃/時間以上500℃/時間以下であることが好ましく、10℃/時間以上200℃/時間以下であることが更に好ましく、20℃/時間以上100℃/時間以下であることが一層好ましい。
以上の方法で得られた酸化物焼結体は、緻密であり、孔部の形成が抑制されたものとなる。したがって、該酸化物焼結体は、上述した孔部面積率が低く、最大円相当径及び最大フェレ径が小さいものとなる。
このようにして得られた酸化物焼結体は、研削加工などにより、所定の寸法に加工して、スパッタリングターゲット材とすることができる。得られたスパッタリングターゲット材をバッキングプレートに接合することでスパッタリングターゲットが得られる。バッキングプレートとしては例えばステンレス、銅及びチタンなどを用いることができる。ターゲット材とバッキングプレートとの接合には、例えばインジウムなどの低融点はんだを使用できる。
このようにして得られたスパッタリングターゲットは、スパッタ膜、例えば透明導電膜の製造に好適に用いられる。このスパッタリングターゲットを用いて形成されたスパッタ膜は、スパッタリングターゲット材と同様の組成を有することができる。スパッタ膜の比抵抗率は好ましくは9mΩ・cm以下という低抵抗のものになる。
以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲はかかる実施例に限定されない。
〔実施例1〕
粒径D50が0.7μmであるSnO粉と、粒径D50が0.6μmであるTa粉と、粒径D50が0.9μmであるNb粉とを用意した。粒径D50は、マイクロトラックベル株式会社製の粒度分布測定装置MT3300EXIIを用いて測定した。分散媒には水を使用した。測定物質の屈折率は2.20とした。
各酸化物粉を別個にポットに入れ、各酸化物粉の質量に対して、0.5質量%のポリビニルアルコールと、0.02質量%のポリカルボン酸アンモニウムと、50質量%の水とを加え、ボールミルを用いて20時間にわたり混合して各スラリーを調製した。
調製した各スラリーを混ぜ合わせ、ボールミルを用いて60分間にわたり混合して混合スラリーを得た。各スラリーの混合割合は、各粉の合計に対してSnOが96.5質量%、Taが3.0質量%、Nbが0.5質量%となるようにした。
混合スラリーをスプレードライ装置に供給し、アトマイザ回転数14000rpm、入口温度200℃、出口温度80℃の条件でスプレードライ法を実施し、造粒物を得た。造粒物の粒径D50は45μmであった。
得られた造粒物を158mm×640mmの金型に充填し、800kg/cmの圧力でプレス成形して成形体を得た。得られた成形体を大気雰囲気下に750℃で6時間加熱して脱脂した。
脱脂後の成形体を焼成して焼結体を作製した。焼成は酸素濃度が20vol%である雰囲気中、焼成温度1600℃、焼成時間8時間、昇温速度50℃/h、降温速度50℃/hで行った。
このようにして得られた焼結体を切削加工し、幅100mm、長さ240mm、厚さ8mmであり、表面粗さRaが1.0μmである酸化物焼結体を得た。切削加工には#170の砥石を使用した。
〔実施例2及び3〕
SnO粉、Ta粉、及びNb粉合計に対して、各粉の割合が以下の表1になるように各粉を混合した。これ以外は実施例1と同様にして酸化物焼結体を得た。
〔比較例1〕
実施例1と同様のSnO粉と、Ta粉と、Nb粉とを用意した。
各粉を、各粉の合計に対してSnOが94質量%、Taが5質量%、Nbが1質量%となるように秤量し、21時間乾式混合した。
4質量%ポリビニルアルコール水溶液を、混合粉に対して6質量%添加した。乳鉢を用いてポリビニルアルコールと混合粉とを混合した後、混合物を5.5メッシュの篩に通して、成形用の混合粉を得た。
これら以外は実施例1と同様にして酸化物焼結体を得た。
〔比較例2〕
実施例1と同様のSnO粉と、Ta粉と、Nb粉とを用意した。
すべての粉をポットに入れ、粉全量に対して、0.5質量%のポリビニルアルコールと、0.02質量%のポリカルボン酸アンモニウムと、50質量%の水とを加え、ボールミルを用いて20時間にわたり混合して混合スラリーを調製した。混合スラリーにおける各粉の割合は、各粉の合計に対してSnOが94質量%、Taが5質量%、Nbが1質量%となるようにした。これ以外は実施例1と同様にして酸化物焼結体を得た。
〔比較例3〕
本比較例においては、実施例2で用いた分散剤である0.02質量%のポリカルボン酸アンモニウムの濃度を0.05質量%に増量した。これ以外は実施例2と同様にして酸化物焼結体を得た。
〔評価〕
実施例及び比較例で得られた酸化物焼結体について、孔部面積率、最大円相当径、最大フェレ径、相対密度、抗折強度を以下の方法で測定した。
また、実施例及び比較例で得られた酸化物焼結体を用いてスパッタリングターゲットを製造し、該ターゲットを用いてスパッタリングを行ったときの異常放電の発生の程度、及びターゲットの割れの発生の程度を以下の方法で評価した。
以上の結果を、以下の表1に示す。
〔孔部面積率、最大円相当径及び最大フェレ径〕
(1)酸化物焼結体の断面の調製
酸化物焼結体を切断して得られた切断面を、エメリー紙#180、#400、#800、#1000、#2000を用いて段階的に研磨し、最後にバフ研磨して鏡面に仕上げた。
(2)孔部面積率、最大円相当径及び最大フェレ径の測定
酸化物焼結体の断面に対し、走査型電子顕微鏡(SU3500、(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、倍率200倍、445.3μm×634.6μmの範囲のBSE-COMP像(以下、「SEM像」ともいう。)を撮影した。粒子解析ソフトウエア(「粒子解析Version3.0」、住友金属テクノロジー株式会社製)を用い、SEM像をトレースしてスキャナで画像認識させた。この画像を二値化した。この際、1画素がμm単位で表示されるように換算値を設定した。
次いで、SEM像に写っているすべての孔部を対象として、その面積及び面積の総和を求めた。視野面積(445.3μm×634.6μm)に対する孔部の面積の総和の百分率の値を求めた。異なる10個のSEM像を対象として測定された百分率の算術平均値を求め、この算術平均値を本発明における孔部面積率とした。
また、孔部面積率を求める過程で測定された孔部の面積に基づき、孔部の円相当径を算出した。異なる10個のSEM像を対象として測定されたすべての円相当径のうち、最大値を孔部の最大円相当径とした。
以上の操作とは別に、SEM像に写っているすべての孔部を対象として、水平方向の全画素数に基づき水平フェレ径(μm)を算出し、垂直方向の全画素数に基づき垂直フェレ径(μm)を算出した。異なる10個のSEM像を対象として測定されたすべての水平フェレ径及び垂直フェレ径のうち、最大値を孔部の最大フェレ径とした。
〔相対密度〕
アルキメデス法に基づき相対密度を測定した。具体的には、酸化物焼結体の空中質量を体積(焼結体の水中質量/計測温度における水比重)で除し、下記式(1)に基づく理論密度ρ(g/cm)に対する百分率の値を相対密度(単位:%)とした。
ρ={(C/100)/ρ+(C/100)/ρ+(C/100)/ρ-1 (1)
式(1)中のC~Cはそれぞれターゲット材の構成物質の含有量(質量%)を示しており、ρ~ρはC~Cに対応する各構成物質の密度(g/cm)を示している。
本発明の場合、ターゲット材の構成物質の含有量(質量%)は、SnO、Ta、Nbと考え、例えば
C1:ターゲット材のSnOの質量%
ρ1:SnOの密度(6.95g/cm
C2:ターゲット材のTaの質量%
ρ2:Taの密度(8.74g/cm
C3:ターゲット材のNbの質量%
ρ3:Nbの密度(4.47g/cm
を式(1)に適用することで理論密度ρを算出できる。
なお、SnOの質量%、Taの質量%及びNbの質量%は、ICP-OES分析によるターゲット材の各元素の分析結果から求めることができる。
〔抗折強度〕
島津製作所製のオートグラフ(登録商標)AGS-500Bを用いた。酸化物焼結体から切り出した試料片(全長36mm以上、幅4.0mm、厚さ3.0mm)を対象とし、JIS R1601の3点曲げ強さの測定方法に従って測定した。
〔異常放電の発生及びターゲットの割れの発生の程度〕
実施例及び比較例で得られた酸化物焼結体を用いてスパッタリングターゲットを作製し、該ターゲットをDCマグネトロンスパッタ装置に取り付けてスパッタリングを行った。スパッタリングの条件は以下のとおりである。
・到達真空度:3×10-6Pa
・スパッタ圧力:0.4Pa
・酸素分圧:1×10-3Pa
・投入電力量時間:2W/cm
・時間:25時間
前記の条件でスパッタリングを行っている間に発生したアーキング回数を、電源に付属するアーキングカウンターで計測した。アーキングカウンターとして、μArc Moniter MAM Genesis MAM データコレクター Ver.2.02(LANDMARK TECHNOLOGY社製)を用いた。評価基準は以下のとおりである。
A:アーキング回数が5回未満
B:アーキング回数が5回以上30回未満
C:アーキング回数が30回以上
前記の条件でスパッタリングを行っている間に、目視観察によって、ターゲットに割れが発生したか否かも併せて評価した。
Figure 0007480439000001
表1に示す結果から明らかなとおり、各実施例で得られた酸化物焼結体をスパッタリングターゲット材として用いると、比較例で得られた酸化物焼結体をスパッタリングターゲット材として用いた場合に比べて、スパッタリング時に異常放電が起こりづらくなり、またターゲットの割れが発生しづらくなることが分かる。
これに対して、スプレードライ法を用いずに焼成用の成形体を製造した比較例1では、成形体を緻密にすることができず、該成形体から製造された酸化物焼結体に多数の孔部が生じてしまった。
また、原料粉ごとにスラリーを調製しなかった比較例2では、造粒物が不均一になってしまい、成形体を緻密にすることができず、該成形体から製造された酸化物焼結体に多数の孔部が生じてしまった。
比較例2よりも分散剤の配合量を多くした比較例3では、造粒物は均一になったものの、硬く潰れにくいものであったことから、成形体を緻密にすることができず、該成形体から製造された酸化物焼結体に多数の孔部が生じてしまった。
本発明によれば、孔部が少ないか又は孔部が存在する場合であってもそのサイズが小さく、スパッタリングターゲット材として用いた場合に異常放電や割れが発生しづらい酸化物焼結体及びその製造方法並びにスパッタリングターゲット材が提供される。
本発明に係る酸化物焼結体を用いてスパッタリングを行うと、従来の酸化物焼結体を用いた場合に比較して、スパッタリング時の異常放電や割れの発生を抑制しつつ成膜することが可能であることから、余分な不良品の発生を抑制することができ、延いては廃棄物の発生を低減することができる。つまり、それら廃棄物の処分におけるエネルギーコストを削減することが可能となる。このことは天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用、並びに脱炭素(カーボンニュートラル)化を達成することにつながる。

Claims (12)

  1. スズ元素、タンタル元素及びニオブ元素を含む酸化物焼結体であって、
    前記酸化物焼結体の断面観察における単位面積当たりの孔部の面積率が1%以下であり、
    アルキメデス法に基づき測定された相対密度が99.6%以上である、酸化物焼結体。
  2. スズ元素、タンタル元素及びニオブ元素を含む酸化物焼結体であって、
    前記酸化物焼結体の断面観察における孔部の最大円相当径が20μm以下であり、
    アルキメデス法に基づき測定された相対密度が99.6%以上である、酸化物焼結体。
  3. スズ元素、タンタル元素及びニオブ元素を含む酸化物焼結体であって、
    前記酸化物焼結体の断面観察における孔部の最大フェレ径が50μm以下であり、
    アルキメデス法に基づき測定された相対密度が99.6%以上である、酸化物焼結体。
  4. スズ元素、タンタル元素及びニオブ元素を含む酸化物焼結体であって、
    前記酸化物焼結体の断面観察における単位面積当たりの孔部の面積率が1%以下であり、
    前記孔部の最大円相当径が20μm以下であり、
    前記孔部の最大フェレ径が50μm以下であり、
    アルキメデス法に基づき測定された相対密度が99.6%以上である、酸化物焼結体。
  5. JIS R1601に準拠して測定された抗折強度が180MPa以上である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の酸化物焼結体。
  6. SnO換算で80質量%以上100質量%未満のスズ元素と、Ta換算で0質量%超10質量%以下のタンタル元素と、Nb換算で0質量%超10質量%以下のニオブ元素とを含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の酸化物焼結体。
  7. SnO換算で90質量%以上96.5質量%以下のスズ元素と、Ta換算で3質量%以上7質量%以下のタンタル元素と、Nb換算で0.5質量%以上3質量%以下のニオブ元素とを含む、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の酸化物焼結体。
  8. Ta とNb との比率が、Nb /Ta の質量比で表して、0.15以上0.90以下である、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の酸化物焼結体。
  9. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット材。
  10. 請求項9に記載のスパッタリングターゲット材を用いたスパッタ膜の製造方法
  11. 請求項1ないし4のいずれか一項に記載の酸化物焼結体からなるスパッタリングターゲット材の製造方法であって、
    スズ酸化物のスラリー、タンタル酸化物のスラリー及びニオブ酸化物のスラリーをそれぞれ別個に調製し、
    前記各スラリーを混合して混合スラリーを調製し、
    前記混合スラリーをスプレードライ法に付して造粒物を製造し、
    前記造粒物を用いて成形体を製造し、
    前記成形体を焼結させ、
    前記スズ酸化物のスラリー、前記タンタル酸化物のスラリー及び前記ニオブ酸化物のスラリーのそれぞれに、前記スズ酸化物のスラリー、前記タンタル酸化物のスラリー及び前記ニオブ酸化物のスラリーにそれぞれ含まれる酸化物粉の質量に対して、0.01質量%以上0.04質量%以下の分散剤を含有させておく、酸化物焼結体の製造方法。
  12. 前記分散剤がポリカルボン酸塩である、請求項11に記載の製造方法。
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