JP7469639B2 - 自動調心ころ軸受用保持器の製造方法 - Google Patents
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Description
軸受を組み立てる際に、ころ列の一方は、全箇所のころについて、保持器を弾性変形させながら挿入する必要があるので、組立作業性が悪い。
2列のころ列の両方を案内する一体型の保持器が、ころを収容するポケット孔の成形工程において、プレス機及び金型と干渉するため、プレス加工によるポケット孔及び柱部の成形が可能な範囲に保持器のサイズに限定される。
2列のころ列の両方を案内する一体型の保持器のカップ形状をプレス加工で成形する場合、絞り加工と縁部の折り曲げ加工を複数回行う成形が必要であるため、金型構造が複雑となるとともに加工工程が多くなる。それにより、加工コストが増大する。また、プレス加工による板厚の増減等を考慮すると、カップ形状の精度を確保することが困難である。
2列のころ列を有する自動調心ころ軸受に用いる保持器の製造方法であって、
前記保持器は、
前記2列のころ列を各列ごとに案内する一対の単列保持器からなり、
前記単列保持器は、
軸方向に離間した大径リング部及び小径リング部を複数の柱部により繋いだ形状を成し、
大径側端面に、前記軸受の軸方向隙間よりも大きい係合深さを有する凹凸係合部を設け、又は、
一方の前記単列保持器の大径側端面に凹部を設けるとともに、他方の前記単列保持器の大径側端面に凸部を設けて、前記凹部及び前記凸部が係合する凹凸係合部の係合深さを前記軸受の軸方向隙間よりも大きくし、
一対の前記単列保持器の前記凹凸係合部同士を係合させた状態、又は前記凹部及び前記凸部を係合させた状態で使用し、
前記凹凸係合部同士を係合させた状態、又は前記凹部及び前記凸部を係合させた状態では、前記大径リング部の径方向外側の面は、全周にわたって凹凸が無いものであり、
前記製造方法は、
金属板からプレス加工で前記単列保持器を成形するプレス加工工程を含み、
前記プレス加工工程内の前記単列保持器の側壁の大径側部分を起立させる椀型成形加工工程よりも後の工程で、前記大径側端面になる部分に対して前記凹凸係合部、又は、前記凹部若しくは前記凸部を、一つの工程で形成することを特徴とする、
自動調心ころ軸受用保持器の製造方法。
2列のころ列を有する自動調心ころ軸受に用いる保持器の製造方法であって、
前記保持器は、
前記2列のころ列を各列ごとに案内する一対の単列保持器からなり、
前記単列保持器は、
軸方向に離間した大径リング部及び小径リング部を複数の柱部により繋いだ形状を成し、
大径側端面に、前記軸受の軸方向隙間よりも大きい係合深さを有する凹凸係合部を設け、又は、
一方の前記単列保持器の大径側端面に凹部を設けるとともに、他方の前記単列保持器の大径側端面に凸部を設けて、前記凹部及び前記凸部が係合する凹凸係合部の係合深さを前記軸受の軸方向隙間よりも大きくし、
一対の前記単列保持器の前記凹凸係合部同士を係合させた状態、又は前記凹部及び前記凸部を係合させた状態で使用し、
前記凹凸係合部同士を係合させた状態、又は前記凹部及び前記凸部を係合させた状態では、前記大径リング部の径方向外側の面は、全周にわたって凹凸が無いものであり、
前記製造方法は、
金属板からプレス加工で前記単列保持器を成形するプレス加工工程を含み、
前記プレス加工工程内の前記単列保持器の側壁の大径側部分を起立させる椀型成形加工工程よりも前の工程で、前記大径側端面になる部分に対して、前記凹凸係合部になる凹凸部、又は、前記凹部になる凹部若しくは前記凸部になる凸部を、一つの工程で形成することを特徴とする、
自動調心ころ軸受用保持器の製造方法。
一対の前記単列保持器は、同一形状である、
〔1〕又は〔2〕に記載の自動調心ころ軸受用保持器の製造方法。
図1の斜視図、及び図2の分解斜視図に示すように、本発明の実施の形態に係る製造方法で製造した自動調心ころ軸受用保持器1は、一対の単列保持器2A,2Bからなる。一対の単列保持器2A,2Bは、例えば同一形状であるが、異なる形状であってもよい。ただし、一対の単列保持器2A,2Bを同一形状にすることにより、製造コスト及び部品管理コスト等を低減できる。
図3の斜視図、図4Aの縦断面図、及び図4Bの縦断面斜視図に示すように、自動調心ころ軸受10は、2列の周方向のころ列C1,C2を有し、外輪11と内輪12との間に転動体として樽状の球面ころ13を組み込んだ構造を有する。外輪11の軌道11Aは球面であり、内輪12の軌道12Aは複列である。自動調心ころ軸受10は、外輪11の軌道11Aの曲率中心と軸受中心とが一致しているため、軸の傾きに対して自動調心性を持つ。
図5の展開図に示すように、凹凸係合部Aは、例えば、(a)のような矩形波状、(b)のような矩形状の凸部の角部を面取りした略矩形波状、(c)のような台形波状、(d)のような正弦波状、(e)のような丸みを帯びた矩形波状等であり、これらの形状とした場合は、周方向の繰り返し形状を有する。図5に示す係合深さDは、一対の単列保持器2A,2Bの凹凸係合部A同士を使用状態で確実に係合させるために、自動調心ころ軸受10の軸方向隙間よりも大きくする必要がある。
自動調心ころ軸受用保持器1の製造方法は、金属板からプレス加工で単列保持器2A,2Bを成形するプレス加工工程を含む。以下において、前記プレス加工工程の例を説明する。なお、前記プレス加工工程を終了した後に、必要に応じて、軟窒化処理や、リン酸塩被膜処理等を行ってもよい。
図9の説明図を参照して説明する。
先ず、(a)のように金属板のブランク材B1を打ち抜くブランク加工工程を行う。ブランク材B1は円板状である。
次に、(b)のように椀型形状に成形するための加工工程を行う。前記椀型形状に成形するための加工工程は、(1)1回ないし複数回の絞り加工を行う工程と、(2)絞り加工後の形状を椀型に成形するための、側壁の上部である大径側部分Gを起立させる椀型成形加工工程とからなる。
次に、(c)のようにポケット孔Pを形成するポケット孔加工工程を行う。必要に応じて芯出し孔、又は、小径リング部4の内径側を形成する内径抜孔を、前記ポケット孔加工工程前に形成してもよい。本工程例では、芯出し孔Hを形成する芯抜加工工程を、前記ポケット孔加工工程前に行った。
次に、(d)のように窪み部8を形成する柱押加工工程を行う。
次に、(e)のように大径側端面3Aになる部分に凹凸係合部Aを形成する凹凸係合部加工工程を行う。例えば保持器2A,2Bの径方向からの打抜加工により、凹凸係合部Aを形成する。なお、本工程例では、前記ポケット孔加工工程の後で前記凹凸係合部加工工程の前に、小径リング部4の内径側を形成する内径抜加工工程を行った。
図10の説明図を参照して説明する。
先ず、(a)のように金属板のブランク材B1を打ち抜くブランク加工工程を行う。ブランク材B1は円板状である。
次に、(b)のように大径側端面3Aになる部分に凹凸係合部Aを形成した椀型形状に成形するための加工工程を行う。前記椀型形状に成形するための加工工程は、(1)1回又は複数回の絞り加工工程と、(2)大径側端面3Aになる部分に対して、凹凸係合部Aになる凹凸部を打ち抜いて形成する打抜加工工程と、(3)絞り加工後の形状を椀型に成形するための、側壁の上部である大径側部分Gを起立させる椀型成形加工工程とからなる。
次に、(c)のようにポケット孔Pを形成するポケット孔加工を行う。必要に応じて芯出し孔、又は、小径リング部4の内径側を形成する内径抜孔を、前記ポケット孔加工前に形成してもよい。本工程例では、芯出し孔Hを形成する芯抜加工を、前記ポケット孔加工前に行った。
次に、(d)のように窪み部8を形成する柱押加工工程を行う。
次に、(e)のように、小径リング部4の内径側を形成する内径抜加工工程を行う。
図11の説明図を参照して説明する。
先ず、(a)のように金属板のブランク材B2を打ち抜くブランク加工工程を行う。ブランク材B2は円板の外周に凹凸部Eを設けた形状である。大径側端面3Aになる部分9は、ブランク材B2の外周面Fである。凹凸部Eは、単列保持器2A,2Bの凹凸係合部Aになる。
次に、(b)のように椀型形状に成形するための加工工程を行う。前記椀型形状に成形するための加工は、(1)1回又は複数回の絞り加工工程と、(2)絞り加工後の形状を椀型に成形するための、側壁の上部である大径側部分Gを起立させる椀型成形加工工程とからなる。
次に、(c)のようにポケット孔Pを形成するポケット孔加工工程を行う。必要に応じて芯出し孔、又は、小径リング部4の内径側を形成する内径抜孔を、前記ポケット孔加工前に形成してもよい。本工程例では、前記芯出し孔Hを形成する芯抜加工を、前記ポケット孔加工前に行った。
次に、(d)のように窪み部8を形成する柱押加工工程を行う。
次に、(e)のように、本工程例では、前記柱押加工の後で、小径リング部4の内径側を形成する内径抜加工工程を行う。
本発明の製造方法が対象とする自動調心ころ軸受用保持器1は、2列のころ列C1,C2を各列ごとに案内する一対の単列保持器2A,2Bからなる。単列保持器2A,2Bは、その大径側端面3Aに、自動調心ころ軸受10の軸方向隙間よりも大きい係合深さDを有する凹凸係合部Aを有する。そして、一対の単列保持器2A,2Bの凹凸係合部A同士を係合させた状態で使用する。あるいは、一対の単列保持器2A,2Bは、一方の単列保持器2Aの大径側端面3Aに凹部A1を設けるとともに、他方の単列保持器2Bの大径側端面3Aに凸部A2を設けて、凹部A1及び凸部A2が係合する凹凸係合部Aの係合深さDを自動調心ころ軸受10の軸方向隙間よりも大きくしている。そして、凹部A1及び凸部A2を係合させた状態で使用する。
2A,2B 単列保持器
3 大径リング部
3A 大径側端面
4 小径リング部
5 柱部
6 案内面
7 抜止め凸部
8 窪み部
9 大径側端面になる部分
10 自動調心ころ軸受
11 外輪
11A 軌道
12 内輪
12A 軌道
13 球面ころ
A 凹凸係合部
A1 凹部
A2 凸部
B1,B2 金属板のブランク材
C1,C2 ころ列
D 係合深さ
E 凹凸部
F 外周面
G 側壁の大径側部分
H 芯出し孔
J 回転軸
P ポケット孔
Claims (3)
- 2列のころ列を有する自動調心ころ軸受に用いる保持器の製造方法であって、
前記保持器は、
前記2列のころ列を各列ごとに案内する一対の単列保持器からなり、
前記単列保持器は、
軸方向に離間した大径リング部及び小径リング部を複数の柱部により繋いだ形状を成し、
大径側端面に、前記軸受の軸方向隙間よりも大きい係合深さを有する凹凸係合部を設け、又は、
一方の前記単列保持器の大径側端面に凹部を設けるとともに、他方の前記単列保持器の大径側端面に凸部を設けて、前記凹部及び前記凸部が係合する凹凸係合部の係合深さを前記軸受の軸方向隙間よりも大きくし、
一対の前記単列保持器の前記凹凸係合部同士を係合させた状態、又は前記凹部及び前記凸部を係合させた状態で使用し、
前記凹凸係合部同士を係合させた状態、又は前記凹部及び前記凸部を係合させた状態では、前記大径リング部の径方向外側の面は、全周にわたって凹凸が無いものであり、
前記製造方法は、
金属板からプレス加工で前記単列保持器を成形するプレス加工工程を含み、
前記プレス加工工程内の前記単列保持器の側壁の大径側部分を起立させる椀型成形加工工程よりも後の工程で、前記大径側端面になる部分に対して前記凹凸係合部、又は、前記凹部若しくは前記凸部を、一つの工程で形成することを特徴とする、
自動調心ころ軸受用保持器の製造方法。
- 2列のころ列を有する自動調心ころ軸受に用いる保持器の製造方法であって、
前記保持器は、
前記2列のころ列を各列ごとに案内する一対の単列保持器からなり、
前記単列保持器は、
軸方向に離間した大径リング部及び小径リング部を複数の柱部により繋いだ形状を成し、
大径側端面に、前記軸受の軸方向隙間よりも大きい係合深さを有する凹凸係合部を設け、又は、
一方の前記単列保持器の大径側端面に凹部を設けるとともに、他方の前記単列保持器の大径側端面に凸部を設けて、前記凹部及び前記凸部が係合する凹凸係合部の係合深さを前記軸受の軸方向隙間よりも大きくし、
一対の前記単列保持器の前記凹凸係合部同士を係合させた状態、又は前記凹部及び前記凸部を係合させた状態で使用し、
前記凹凸係合部同士を係合させた状態、又は前記凹部及び前記凸部を係合させた状態では、前記大径リング部の径方向外側の面は、全周にわたって凹凸が無いものであり、
前記製造方法は、
金属板からプレス加工で前記単列保持器を成形するプレス加工工程を含み、
前記プレス加工工程内の前記単列保持器の側壁の大径側部分を起立させる椀型成形加工工程よりも前の工程で、前記大径側端面になる部分に対して、前記凹凸係合部になる凹凸部、又は、前記凹部になる凹部若しくは前記凸部になる凸部を、一つの工程で形成することを特徴とする、
自動調心ころ軸受用保持器の製造方法。
- 一対の前記単列保持器は、同一形状である、
請求項1又は2に記載の自動調心ころ軸受用保持器の製造方法。
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