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JP7468964B2 - 動揺病におけるトラジピタントの使用 - Google Patents

動揺病におけるトラジピタントの使用 Download PDF

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Description

関連出願の相互参照
本出願は、2018年9月28日に出願された同時係属米国特許仮出願第62/737,992号及び2019年7月16日に出願された米国特許仮出願第62/874,927号の利益を主張するものである。
本出願は、NK-1受容体アンタゴニストの使用全般に関する。より詳細には、本出願は、NK-1アンタゴニストであるトラジピタントの、動揺病(motion sickness)における使用に関する。
動揺病は、実際の又は知覚された(real or perceived)病的状態を引き起こす動揺(sickness-inducing motion)の結果として起こりうる一連の症状によって定められる障害である。かかる動揺としては、例えば、動揺病に特徴的な1又は複数の症状を発生させうる、対象の頭部が関与する動揺が挙げられよう。動揺病を発生させる、病的状態を引き起こす動揺としては、一般的に、例えば自動車、バス、列車、他の陸上若しくは鉄道輸送手段、動力付きボート、フェリー、クルーズ船、帆船、個人用船舶、カヌー、カヤック、手漕ぎボート、飛行機及びヘリコプター、娯楽用乗り物(amusement rides)などの何らかの形態の輸送手段に乗ること、並びに宙返りなどのある特定の体操の動作が挙げられよう。動揺病の症状としては、典型的には、限定されないが、悪心、嘔吐、めまい、頭痛、膨満、冷や汗、発汗、顔面蒼白、失見当識、及び食欲低下が挙げられよう。動揺病は、海上、航空、及び陸上の移動を含む一般的な移動条件下において、一般集団の最大30%が影響を受けると報告されている。バス移動時の1つの疫学的研究での動揺病の有病率では、気分が悪いと申し出た乗客が28%、悪心を感じたと申し出た乗客が13%であった。
感覚混乱説によると、動揺病は、視覚系、前庭系、及び体性感覚系による動揺の知覚の不一致又は欠如に起因して発生するものとして説明される。実際の身体の位置と知覚された身体の位置との間の食い違いが、動揺病の不適応反応を引き起こすと考えられる。動揺病は、世界で最も蔓延している突発性障害のうちの1つであり、その有病率は、世界における人間の移動と共に劇的に増加してきた。前記障害の有病率の増加にも関わらず、今日利用可能な処置薬は、主として抗ヒスタミン薬及び抗コリン薬であり、初めて発見されたのが1940年代のものである。
哺乳類のタキキニン(ニューロキニン[NK])は、共通のC末端配列を共有するペプチド神経伝達物質のファミリーである。この群には、サブスタンスP(SP)、ニューロキニン-A(NKA)、及びニューロキニン-B(NKB)が含まれる。最も豊富に存在するNKであるSPは、ニューロキニン1型(NK-1)受容体と選択的に結合し、多くの生理学的プロセスの制御に関与している。NK-1受容体は、中枢神経系中に存在することが分かっており、中脳、大脳基底核、視床下部、及び大脳辺縁系を含む脳に広く分布していることが見出された。ニューロキニン受容体は、腸、気管支樹、及び血管系にも広く分布している。
NK-1受容体は、動揺病の治療における潜在的な処置標的として認識されていた。別のニューロキニン1受容体アンタゴニストであるマロピタントは、イヌ及びネコの動揺病に起因する嘔吐の予防に対して承認されている。クロスオーバー研究から、前記治療薬が、プラセボと比較してイヌの75%以上に対して嘔吐の発生を低減したことが示された。このデータは、ヒトの動揺病に対するNK-1アンタゴニストの効果の研究を支持するものであるが、マロピタントの有する分子組成及び薬物動態は、他のNK-1アンタゴニストとは異なる。別のNK-1受容体アンタゴニストであるアプレピタントは、成人の術後悪心嘔吐(PONV)に対して、並びに小児及び成人における特定の抗癌(化学療法)薬によって引き起こされる悪心及び嘔吐を予防するための他の医薬との使用に対して承認されている。現在、トラジピタントは、胃不全麻痺を有する患者の悪心及び嘔吐を処置するための臨床試験で試験されている。現在、利用可能な治療法は、すべての患者に対して有効というわけではなく、用いられる医薬の一部は、著しい副作用プロファイルを有する。
トラジピタントは、効力が高く、選択的で、中枢に浸透する,経口活性ニューロキニン-1(NK-1)受容体アンタゴニストであり、式(I)の化合物として以下に示される。
トラジピタントは米国特許第7,320,994号に開示されており、6つの主要構造成分:3,5-ビス-トリフルオロメチルフェニル部分、2つのピリジン環、トリアゾール環、クロロフェニル環、及びメタノン、を含有する。トラジピタントは、化学名:2-[1-[[3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル]メチル]-5-(4-ピリジニル)-1H-1,2,3-トリアゾール-4-イル]-3-ピリジニル](2-クロロフェニル)-メタノン、及び{2-[1-(3,5-ビストリフルオロメチルベンジル)-5-ピリジン-4-イル-1H-[1,2,3]トリアゾール-4-イル]-ピリジン-3-イル}-(2-クロロフェニル)-メタノン、として知られ、LY686017及びVLY-686としても知られている。トラジピタントの結晶形態IV及びVが、米国特許第7,381,826号に開示されており、形態IVである結晶{2-[1-(3,5-ビストリフルオロメチルベンジル)-5-ピリジン-4-イル-1H-[1,2,3]トリアゾール-4-イル]-ピリジン-3-イル}-(2-クロロフェニル)-メタノンの製造方法は、米国特許第8,772,496号、同第9,708,291号、及び同第10,035,787号に開示されている。
前臨床試験及び臨床試験において、トラジピタントは、脳NK-1受容体の長期間持続する遮断を発生させている。悪心及び嘔吐の明確な経路はほとんど特定されていないが、孤束核にあるNK-1受容体に作用するSPの決定的な役割が確認されている。これまでの臨床試験によって、化学療法誘発悪心嘔吐及び術後悪心嘔吐(CINV及びPONV)の予防におけるNK-1アンタゴニズムの効果が実証されてきた。
本発明の第一の態様は、病的状態を引き起こす動揺を受けることが予想される個体に、動揺病又は動揺病の1若しくは複数の症状の発現を予防するのに有効な量でトラジピタントを投与することを含む、前記個体において動揺病又は動揺病の1若しくは複数の症状を予防する方法を提供する。上記方法の実施時、動揺病又はその症状を予防するのに有効であるトラジピタントの量は、例えば、100~400mg、100~300mg、又は100~200mgでありうる。例えば、前記有効量は、約170mgでありうる。前記有効量は、単回経口用量(single oral dose)などの単回用量(single dose)で投与されてよく、単回投与剤形(single dosage unit form)であっても又はそうでなくてもよい。前記用量は、病的状態を引き起こす動揺に関わる前に、典型的にはかかる動揺が開始する約30分前に、投与されうる。病的状態を引き起こす動揺が開始する前のかかる有効量の投与によって、悪心、嘔吐、めまい、頭痛、膨満、冷や汗、発汗、顔面蒼白、又は失見当識を含む動揺病の1又は複数の症状を予防すること、又はその重篤度若しくは頻度を低減することができる。
本発明の第二の態様は、動揺病の発現を起こしている個体に、動揺病又はその症状を処置するのに有効な量でトラジピタントを投与することを含む、前記個体において動揺病又は動揺病の1若しくは複数の症状を処置する方法を提供する。動揺病の処置は、かかる症状が前記個体に発現した後に、症状の重篤度を低減すること、進行を防止すること、又は動揺病の1若しくは複数の症状を完全に解消することを含むものと見なされうる。上記方法の実施において、動揺病又はその症状を処置するのに有効であるトラジピタントの量は、例えば、100~400mg、100~300mg、又は100~200mgでありうる。例えば、前記有効量は、約170mgでありうる。前記有効量は、単回経口用量などの単回用量で投与されてよく、単回投与剤形であっても又はそうでなくてもよい。前記用量は、動揺病の少なくとも1つの症状の発症後に、好ましくは前記少なくとも1つの症状の発症の後すぐ(soon after)に、より好ましくは前記少なくとも1つの症状の発症の直後(immediately after)に投与されうる。動揺病の発現開始後にかかる有効量を投与することにより、前記症状の重篤度を低減し、前記症状を排除し、めまいから悪心へ、悪心から嘔吐へなどの動揺病の前記症状の進行又は増強を防止することができる。
本発明の第三の態様は、上記態様で述べた処置又は予防の方法のいずれかに用いるためのトラジピタントを提供する。
本発明の第四の態様は、処置又は予防の上記方法のいずれかに用いるためのトラジピタントを含む医薬組成物を提供する。
本発明の第五の態様は、処置又は予防の上記方法のいずれかに用いるためのトラジピタントを含む医薬組成物の製造に用いるためのトラジピタントを提供する。
本発明のこれらの及び他の態様、利点、並びに顕著な特徴は、添付の図面と合わせて本発明の実施形態を開示するものである以下の詳細な記述から明らかとなるであろう。
図1は、NK-1アゴニスト(GR73632、3pmol、icv)で誘導されるフットタッピング行動に対する、経口投与後のトラジピタントの効果を示す。 図2は、NK-1アゴニスト(GR73632、3pmol、脳室内投与)誘で誘導されるフットタッピング行動に対する、経口投与後のトラジピタントの効果を、他のNK-1アンタゴニストであるアプレピタント及びCP-122721と比較して用量反応で示す。 図3は、NK-1アゴニスト(GR73632、3pmol、icv)で誘導されるフットタッピング行動に対する、経口投与後のトラジピタントの効果を、他のNK-1アンタゴニストであるアプレピタント及びCP-122721と比較して経時で示す。 図4は、モルモットにおいてGR73632で誘導される啼鳴に対する、0.05~10mg/kgの濃度範囲にわたるトラジピタントの効果を示す。 図5は、0.1mg/kg用量でのトラジピタント投与後の活性の継続時間、すなわちモルモットにおいてNK-1アゴニストで誘導される啼鳴の抑制の継続時間を示す。 図6は、前記モルモットの啼鳴試験におけるトラジピタントの用量依存効果、及び様々なNK-1アンタゴニストの効果を示す。
図面は、本開示の典型的な態様のみを示すことを意図しており、したがって、本開示の範囲を限定するものとして見なされるべきではない。
本明細書で述べるトラジピタントの使用方法では、動揺病又はその症状を予防又は処置するのに有効な量のトラジピタントを投与することが必要である。処置される対象に投与される前記量は、処置される種(species)、処置される前記対象の体重、及び前記対象のその他の状態(the subject’s condition otherwise)を含むいくつかの因子に依存する。前記方法は、特に、成人のヒトを含むヒトにおける動揺病の予防及び寛解を含む。成人のヒトの場合、動揺病又はその症状を予防するのに有効である典型的な用量は、100~400mg、100~300mg、又は100~200mgである。ある具体的な投与計画では、約85~170mg、又はより詳細には約170mgの投与が含まれる。
本明細書で用いられる場合、「患者」、「対象」、及び「個体」の用語は、トラジピタントが投与される哺乳類を意味する。モルモット、イヌ、ネコ、スナネズミ、ウマ、ラクダ、ヒツジ、及びヒトが、前記用語「患者」、「対象」、及び「個体」の範囲内に含まれる。最も好ましい対象は、ヒトである。トラジピタントの「有効量」という用語、すなわち用量は、本明細書で述べる障害又はその症状を処置又は予防するのに有効である量を意味する。
上記で示したように、病的状態を引き起こす動揺を受けることが予測される個体において動揺病又はその症状を予防するための方法が本明細書で提供される。かかる方法は、前記個体に、動揺病又は動揺病の1若しくは複数の症状の発現を予防するのに有効である量でトラジピタントを予防的に投与することを含む。動揺病又はその症状を予防するためのトラジピタントの前記有効量は、例えば、100~400mg、100~300mg、100~200mg、又は85~170mgであり得、特に、約170mgでありうる。前記有効量は、例えば単回経口用量などの単回用量で投与されてよく、単回投与剤形であっても又はそうでなくてもよい。前記用量は、病的状態を引き起こす動揺に関わる前に、例えば、飛行機、列車、ボート、若しくは他の乗り物(vehicle)に乗る前に、又は自動車に乗る前に、又は予測される飛行機の離陸前若しくは他のいずれかの種類の乗り物に乗った際の動揺が始まる前に、投与されてよい。特に、前記用量は、病的状態を引き起こす可能性のある動揺又は活動の開始の約30分前に投与されてよい。トラジピタントの有効量のかかる投与は、悪心、嘔吐、めまい、頭痛、膨満、又は失見当識を含む動揺病の1又は複数の症状の発現を予防することができ、又は前記個体が受ける前記症状及びその重篤度を制限することができる。
前記個体においてかかる動揺病が既に発現した又は発現し始めた後に、動揺病又はその症状を処置するための方法も、本明細書で提供される。かかる方法は、前記個体に、前記動揺病又はその症状を処置するのに有効である量でトラジピタントを投与することを含む。本発明の文脈における動揺病の処置は、動揺病及び/又はその症状の進行の遅延、中断、抑止、制御、又は停止が起こりうるすべてのプロセスを含む。例えば、かかる処置は、かかる症状が前記個体に発現した後の、動揺病の1若しくは複数の症状の進行の防止、又は部分的若しくは完全な解消を含みうる。上記方法の実施時、動揺病又はその症状を処置するのに有効であるトラジピタントの前記量は、例えば、100~400mg、100~300mg、100~200mg、85~170mg、又は特に約170mgでありうる。前記有効量は、単回経口用量を含む単回用量で投与されてよく、単回投与剤形であっても又はそうでなくてもよい。トラジピタントの前記有効量は、動揺病の少なくとも1つの症状の発症後に投与されてよい。好ましくは、前記有効量は、前記少なくとも1つの症状の発症のすぐ後に、例えば前記少なくとも1つの症状の発症の30分後までに投与され、より好ましくは、前記有効量は、前記少なくとも1つの症状の発症の直後又は実質的に直後に投与される。動揺病の発現開始後にかかる有効量を投与することにより、前記症状の重篤度を低減し、前記症状を排除し、又は例えばめまいから悪心へ、悪心から嘔吐へなどである動揺病の前記症状の進行又は増強を防止することができる。
当業者であれば、上記の好ましい実施形態を組み合わせることによって、又は本明細書で与えられる例を参照することによって、さらなる好ましい実施形態が選択されうることを理解するであろう。
実施例1:前臨床試験
トラジピタントは、選択的ニューロキニン-1(NK-1)受容体アンタゴニストである。生体外(in vitro)では、トラジピタントは、機能試験においてNK-1受容体の結合を強力に阻害し、NK-1アゴニストの効果を弱める。NK-2受容体及びNK-3受容体を含む一連の74種のさらなる受容体、酵素、及びイオンチャネルにおいて、有意な活性は見られない。3回の異なる測定によって、トラジピタントは、生体内(in vivo)において強力な中枢作用性のNK-1アンタゴニストでもある。
実施例1.1:メカニズムについての試験
トラジピタントは、IM-9細胞によって発現されたNK-1受容体と[125I]サブスタンスP(SP)との結合を、0.062nMのKで阻害し、SPで誘発されるU373細胞における細胞内カルシウム移動を、0.095nMのKで阻害する(表1)。
これらの効力は、NK-1アンタゴニストであるアプレピタント(MK-869)及びCP-122721で観察される効力と同様である。加えて、一連の74種の他の受容体、酵素、及びイオンチャネルでトラジピタントを評価した結果では、試験濃度の1μMにおいて、トラジピタントが、いずれについても50%を超える結合の阻害を呈さないことが示されている。NK-2受容体及びNK-3受容体では、前記化合物は、有意な阻害を発生させない。したがって、トラジピタントは、生体外において高選択性のNK-1アンタゴニストである。
表2に示されるように、結合試験によると、トラジピタントのいくつかの主要な代謝物は、NK-1受容体に対して親和性を有する。これらの代謝物は、NK-1受容体に対して高い親和性を有する。
実施例1.2:トラジピタントの脳NK-1受容体占有率及び効果の生体内評価のための有効性モデル
実施例1.2.1:スナネズミでの中枢投与NK-1アゴニスト誘導フットタッピング行動に対するトラジピタントの効果
概要
NK-1受容体の種選択性の相違により、生体内でのNK-1受容体アンタゴニストの特性決定は困難である。スナネズミNK-1受容体は、ヒトに類似していることがこれまでに示されている。スナネズミは、苦痛、恐怖、又は嫌いな刺激に反応して、特徴的な常同性のフットタッピング行動を呈する。サブスタンスP又はGR73632などの選択的NK-1受容体アゴニストの脳室内(icv)投与は、およそ5分間継続する後足の素早くリズミカルなタッピングを起こし、これは、NK-1受容体の脳に浸透するアンタゴニストを全身投与することによって抑止することができる。選択的NK-2及びNK-3アゴニストは、同様の反応を引き起こさないので、この反応は、NK-1アゴニストに対して選択的である。トラジピタントを含む強力なNK-1受容体アンタゴニストの生体内における識別及び最適化を可能とするべく、この行動反応をさらに分析し改変する。
方法
体重26~40グラムの雄のスナネズミ(Harlan Sprague Dawley,Indianapolis,IN)に、選択的ニューロキニン-1受容体アゴニストGR73632(3pmol)を、50μlのハミルトンシリンジに取り付けたカフ付き(cuffed)27ゲージ針を用いて、前項の下4.5mmの深さまで、直接、垂直フリーハンド脳室内(icv)注射によって投与する。注射の直後、振動を検出して定量する圧力検知速度計プラットフォームフロア(pressure-sensitive velocimeter platform floors)を備えた隔離室(San Diego Instruments acoustic startle apparatus)中に動物を個別に配置する。San Diego Instrumentsの「SR」DOSベースコンピュータプログラムをPC上で用いて、前記床が軽くタップされた30秒後から開始して、その後の6~10分間にわたってフットタッピングの回数を記録する。生データを、Microsoft(登録商標)Excel(登録商標)(Microsoft(登録商標)及びExcel(登録商標)は、Microsoft Corp.,Redmond,WAの登録商標である)マクロを用いて変換し、観察の開始後5.5分間にわたって、250ミリ秒の各時間区間内での閾値(125)を超える事象の回数を特定する。前記継続時間にわたっての事象の合計回数及び平均強度を特定する。タッピングの合計回数は、JMP統計ソフトウェアを用い、1元配置ANOVA及び事後ダネット検定によって解析する。
最初に用量反応曲線(用量0.3、1、3、及び10pmol、icv)をNK-1アゴニストGR73632で作成する。最大のフットタッピング行動は、3及び10pmolで実現された。3pmol用量を、続いてのアンタゴニズム実験の最適用量として選択する。
NK-1アンタゴニストを、GR73632誘導フットタッピングを減弱させる能力について試験する。NK-1アンタゴニストは、各実験で指定する用量及び時間点で、経口栄養管を介して投与する(po)。すべての動物は、すべての試験において、NK-1アンタゴニストの投与を1回のみ受ける。
ED50決定/用量-反応試験
NK-1アンタゴニストを、複数の用量で投与し(少なくとも3回;動物1体あたり1回)、GR73632に対する反応を測定する。
作用継続時間の試験
NK-1受容体アンタゴニストを、GR73632注射の0.5、1、2、4、7、16、及び24時間前を含む複数の処置前の時間に投与する(動物1体あたり1回投与)。GR73632(Peninsula Labs,CA)は生理食塩水に溶解する。トラジピタントは、1%CMC/0.5%SLS/0.085%PVPのビヒクルに溶解する。CP-122721及びアプレピタントはLilly Laboratoriesで合成されたものであり、それぞれ、10%エタノール/emulphor及び1%CMC/0.5%SLS/0.085%PVPに溶解する。
結果
図1に示されるように、経口投与されたトラジピタントは、スナネズミのNK-1アゴニスト誘導フットタッピング行動を、薬物の投与の2時間後に0.03±0.004mg/kgのED50で用量に依存して強力に抑止する(ビヒクルと比較して、0.1mg/kg及び0.3mg/kgの用量でp<0.05)。図1に示したデータは、5分間に発生したフットタッピング事象の回数で表されている。
図2は、トラジピタントの効果を他のNK-1アンタゴニストの効果と比較して示すものであり、データはビヒクル対照区に対する割合(3pmolのGR73632対ビヒクルの反応)で表す。トラジピタントは、アプレピタント(Merck、ED50=0.42mg/kg±0.05mg/kg)及びCP-122721(Pfizer、ED50=2.2mg/kg±0.5mg/kg)よりも強力であることが分かる。
図3は、NK-1アゴニスト(GR73632、3pmol、icv)で誘導されたフットタッピング行動に対しての、トラジピタントの経口投与後の経時での効果を、NK-1アンタゴニストのアプレピタント及びCP-122721と比較して示す。トラジピタント(0.1mg/kg、po)は、投与の7時間後まではフットタッピング行動を強く抑止するが、この用量では、前記効果は投与後16時間までに大きく減少していることが分かる。しかしながら、より高い用量である1mg/kgでは、トラジピタントは、投与の16時間後においても50%を超えるフットタッピング行動の抑止を示している。トラジピタントの効果の継続時間は、CP-122721(3mg/kgで投与の2時間後まで)よりも長いが、一方アプレピタント(1mg/kg)は、投与の24時間後までフットタッピング行動の抑止を示している。データは、ビヒクル対照区(3pmolのGR73632に対するビヒクルの反応)に対する割合で表す。
考察
スナネズミのNK-1アゴニスト誘導フットタッピング行動に対するトラジピタントの前記効果は、トラジピタントが、スナネズミの生体内において、比較的長い作用継続時間を有する非常に強力な中枢作用性のNK-1受容体アンタゴニストであることを示唆している。
実施例1.2.2:トラジピタントを用いたビーグル犬での嘔吐負荷試験
概要
雄のイヌ5体に、3mg/kgのアプレピタント(ポジティブ対照)又は0.3、1.0、及び3.0mg/kgのトラジピタントの単回経口用量を、ラテン方格法で投与する。0.1mg/kgの公知の催吐薬アポモルフィンを、単独で、又はトラジピタント若しくはアプレピタントの投与の2時間後に、静脈内注射する。各動物には、トラジピタント、アプレピタント、及びアポモルフィン単独の各用量に相当するように、特定の投与日に異なる用量を投与する。5週間の実験期間にわたって、各動物は、週に1回のみであるが、各処置を受ける。この実験の目的は、トラジピタントがアポモルフィン誘導嘔吐を抑制するかどうかを特定することである。
トラジピタントの前記低用量は、NK-1受容体アンタゴニズムの前記スナネズミフットタッピングモデル(実施例1.2.1)におけるED50の10倍である。前記高用量は、この有効用量の100倍であり、イヌのアポモルフィン誘導嘔吐に対して有効であると過去に特定されたアプレピタントの用量でもある。トラジピタントの前記中用量は、概ハーフログにおける前記低用量と前記高用量との間(the approximate half-log interval between the low and high doses)である。
トラジピタントに対しては、経口投与経路が選択されるが、それは、前記経路が、臨床的に提案されている又は現在使用されている経路であるからである。静脈内経路は、実験的なアポモルフィン投与に対して典型的に用いられる。ビーグル犬は、アポモルフィン誘導嘔吐のアンタゴニズムの実証に有効な種であると見なされている。
方法
0.3、1.0、若しくは3.0mg/kgのトラジピタント又は3.0mg/kgのアプレピタントの単回経口用量を、ゼラチンカプセルで、各雄イヌに週1回投与する。すべての動物に、5週間の期間にわたって投与し、各イヌは、各投与日に5つの異なる処置のうちの1つを受ける。0.1mg/kgの用量のアポモルフィンは、トラジピタント又はアプレピタントの各投与のおよそ2時間後に静脈内注射によって投与する。トラジピタント又はアプレピタントによる前処置なしでアポモルフィンを単独で投与する場合は、アポモルフィンは、トラジピタント又はアプレピタントと組み合わせての投与とおよそ同じタイミングで投与する。
すべてのイヌは、各処置日の前に一晩絶食させ、その後経口投与のおよそ1時間後(アポモルフィンの投与のおよそ1時間前)に食餌を与える。個々の用量は、体重の変化に応じて毎週調節する。
投与計画は、以下の表3に示されるように、5×5のラテン方格法から成り、各対象は、週ごとに1回の用量又は用量の組み合わせを受ける(6日間の休薬)。
嘔吐症状出現の回数を、アポモルフィンの注射後およそ1時間にわたって記録し、トラジピタントの予測されるTmax(投与の2時間後)に血漿中濃度を測定する。
結果
表4は、トラジピタントの前記2時間血漿中濃度について個別の値、平均値、及び標準偏差値を示す。トラジピタントを投与した動物はすべて、投与後2時間で、測定可能なレベルを有している。全体として、投与後2時間での血漿中濃度は、およそ比例する形で用量の増加と共に増加している。イヌによる他の実験で観察されるように、トラジピタントへの曝露は、動物間で変動する。個々の動物のデータから、血漿中濃度と投与の週との間に関係性はないことが分かる。
表5に示されるように、各処置の後に嘔吐が発生し、嘔吐の発生数が最多であるのはアポモルフィン単独群である。1体のイヌ(イヌ3)は、トラジピタント及びアプレピタントの各投与で単一の嘔吐症状出現を起こし、このイヌはまた、アポモルフィン単独の場合に最も多い嘔吐症状出現も起こしている(12)。トラジピタント又はアプレピタントのいずれの投与でも、残りの4体のイヌは、嘔吐を起こしていない。これらのイヌは、アポモルフィン単独では、平均で4回の嘔吐症状出現を起こしている。アプレピタントの抗嘔吐効果は、このモデルの妥当性を支持するものである。
本実験の結果から、トラジピタントは、試験した各用量(0.3、1.0、及び3.0mg/kg)で、アポモルフィン誘導嘔吐に対して有効であることが示される。
実施例1.2.3:トラジピタントはモルモットのサブスタンスP誘導啼鳴を抑止する
概要
NK-1受容体アゴニストであるサブスタンスP(SP)は、脳内に導入されると、NK-1アンタゴニストで抑止可能な窮迫啼鳴(distress vocalizations)をモルモットで引き起こす。この行動試験は、ヒトに類似するNK-1アンタゴニストに対する受容体親和性を有する種であるモルモットにおいてのNK-1アンタゴニストの効力及びCNS浸透性を実証するために用いられる。
方法
雄のDunkin/Hartleyモルモット(200~250グラム)に、ビヒクル又はNK-1アンタゴニストのいずれかを経口投与する。およそ45分後(用量反応試験の場合)、前記動物に麻酔を掛け、5μlのビヒクル体積中0.1nmolのGR73632(SP類似体)を、前項と頭蓋正中線との交点で脳室内に注射する。動物を、音波減衰小部屋の内部に位置する暗試験室に入れ、啼鳴を、麻酔から回復後の30分間記録する。各動物に対して、啼鳴に費やされた時間を定量する。作用継続時間の試験では、0.1mg/kgのトラジピタント又はビヒクル溶液を経口投与し、次に、2、4、又は7時間後、0.1nmolのGR73632を、上記のようにして脳室内に投与する。上記で示したように啼鳴を記録し、定量する。ビヒクル溶液は、CMC(図4データ)又はエタノール/emulphor溶液(図5及び6)である。データは、片側t検定で解析する。
結果
図4に示されるように、トラジピタントの経口投与により、10mg/kg(p<.001)、1.0mg/kg(p<0.001)、0.1mg/kg(p<.001)、及び0.05mg/kg(p<.001)の用量で、アゴニスト誘導啼鳴が有意に抑止される。図4の括弧内に示されるデータは、対照区の反応に対しての割合を示す。トラジピタント用量の活性は、より低い用量でも弱まっておらず、このことは、用量反応関数を作成するためには、より低い用量も必要となることを示している。
図5に示されるように、0.1mg/kgトラジピタントの効果は、前記アンタゴニスト化合物の経口投与の7時間後において、アゴニスト誘導啼鳴を抑制するのに有意に活性である。
第二の用量反応試験では、トラジピタント、アプレピタント、及びCP-122721の効力を比較する。図6に示されるように、試験したすべてのNK-1アンタゴニストが、1mg/kgで啼鳴を有意に抑止する。トラジピタントのみは、0.1mg/kg及びそれ以下で、有意な抑止活性を維持している。トラジピタントの最小有効用量は、0.025mg/kgであることが見出され、これは、対照区と比較して非常に有意に(p<.001)啼鳴を抑止する。(ビヒクルはエタノール/emulphorであり、ビヒクル群は化合物あたりn=5~14であった)
考察
トラジピタントはモルモットのNK-1アゴニスト誘導啼鳴を有意に抑止しており、このことは、この化合物が、経口投与可能であり脳浸透性であるNK-1アンタゴニストであることを示している。この効果を発生させる最小有効用量(MED)は、0.025mg/kgである。経口投与されたトラジピタントは、7時間を超える活性の継続時間を有することを示している。この実験の枠組みでは、トラジピタントは、アプレピタント及びCP-122721よりも実質的に強力である。
実施例1.2.4:NK-1受容体の占有率
トレーサーNK-1アンタゴニスト化合物(GR205171)を用いて、他のNK-1アンタゴニストが脳NK-1受容体を占有する能力を評価する。この試験では、試験化合物を経口投与し、その後、前記トレーサー化合物を静脈内投与する。NK-1受容体の前記占有率は、前記試験化合物の用量を増加させた後に前記脳NK-1受容体と結合した前記トレーサー化合物の量を定量することによって評価する。この枠組みを用いると、トラジピタントの推定ED50は0.04mg/kg p.o.であり、評価した他のアンタゴニストよりも実質的に強力である。
実施例2:胃腸管運動の臨床試験
単一施設無作為二重盲検プラセボ対照試験を行って、小腸通過時間に対するトラジピタントの効果を調べる。年齢が19歳~63歳で男性12人女性3人を含む合計15人の健康な被験者が前記試験に登録し、試験医薬の少なくとも1回分の用量を受ける。合計で13人の被験者が前記試験を完了する。被験者は、無作為に、20mgのトラジピタント、200mgのトラジピタント、又はプラセボを、各3つの期間内に単一の経口用量として受け、最大1MBq111Inで放射標識したカプセルの共投与を受ける。投与の4時間後、すべての被験者は、最大4MBq99mTcで放射標識した第二のカプセルも受ける。各被験者は、前記試験中に3つすべての用量を受ける。すべての投与計画において、生体内ガンマシンチグラフィー試験を所定の間隔で行い、以下のシンチグラフィーパラメータ:胃排出の開始及び完了、結腸到達の開始及び完了、小腸通過の開始及び完了、並びに前記カプセルの初期及び完全崩壊(解剖学的位置及び時間)を分析する。
小腸通過時間に対するトラジピタントの統計的に有意な効果が、前記試験で観察される。胃排出に対する効果は、この試験では観察されない。しかし、前記試験は、このパラメータに関しては力不足である。
実施例3:動揺病の予防
各々が動揺病の病歴を有する126人の被験者(「試験参加者」)が、様々な天候状態下での太平洋の海上移動を行うものである、動揺病の無作為二重盲検プラセボ対照臨床試験を行う。
方法
試験参加者を、米国カリフォルニア州ロスアンゼルス沖の7回の船舶旅行に振り分ける。各旅行において、海の状態及び動揺病の症状の参加者の自己評価を記録する。前記7回の旅行の中で、3回は、「荒れた」海の状態の下であり、1メートルを超える波の高さで、動揺病の発症に寄与するものである。残りの4回の旅行は、「穏やかな」海の状態の下であり、波の高さは1メートル未満で、動揺病を発症する可能性は低い。「荒れた」海の状態の下では、プラセボ処置患者の72.2%が嘔吐を経験しており、「穏やかな」状態の下での僅かな26.7%と対照的である。
被験者は、移動開始前、無作為に170mgのトラジピタント又はプラセボを盲検の形で経口摂取する。参加者は、前記移動期間中、所定の時間間隔で自身の症状を報告する。前記試験の主要評価項目は:参加者の嘔吐の割合、及び動揺病重篤度スケール(MSSS)の最低スコア、を含む。MSSSは、0(「症状なし」)から6(「嘔吐」)までの範囲の7ポイントのスケールである。「穏やかな」海及び「荒れた」海の下でのトラジピタントの前記効果を評価するために、探索的解析も行う。
結果
結果を以下の表6に報告する。処置企図(ITT)解析対象集団(n=126)全体において、トラジピタント群と比較して(17.5%)、前記試験のプラセボ群では、有意に高い割合の参加者が嘔吐を経験しており(39.7%)、p値=0.0039である。記MSSS最低スコアの評価項目も、プラセボ(3.75)に対してトラジピタント(3.4)を支持しているが、差異は統計的有意差に届かず、p値=0.293である。「穏やかな」海の状態下では、いずれの群の参加者も、嘔吐を経験した割合はごく少なく、プラセボ群では26.7%、トラジピタント処置群では18.2%である(有意差なし)。「穏やかな」状態下では、見られたMSSS最低スコアは2つの群間で同様であり、3.32(プラセボ群)及び3.40(トラジピタント処置群)である(統計的有意差なし)。「荒れた」海の状態下では、トラジピタントで処置した患者の15.8%と比較して、プラセボ処置患者の72.2%が嘔吐しており、p値=0.0009である。有意な効果は、「荒れた」状態下でのMSSS最低スコアでも見られ、4.57(プラセボ)及び3.19(トラジピタント)であり、p値=0.0235である。
結論
上記データは、移動開始前の経口によるトラジピタント170mgでの処置が、荒れた海の状態下及び全状態下での移動中の嘔吐発生数及びMSSS最低スコアを有意に低下させること、並びに穏やかな状態下での移動中では若干(統計的有意差なし)低下させることを示している。これらの知見は、トラジピタントが、170mgの用量で、動揺病に対する有効な処置を提供することを示している。
実施形態
他の例示的実施形態に加えて、本発明は、以下の例示的実施形態の1又は複数を含むものと見なすことができる。
病的状態を引き起こす動揺を含む活動に従事しようとしている対象を処置する方法であって、前記活動の開始前に、前記対象において動揺病又は動揺病の少なくとも1つの症状を予防するのに有効である量でトラジピタントを前記対象に投与することを含む方法。
2.前記活動が乗り物による移動(vehicle travel)である、実施形態1に記載の方法。
3.前記投与が乗り物に乗る約30分前に行われる、実施形態1に記載の方法。
4.前記投与が乗り物による移動の開始の約30分前に行われる、実施形態1に記載の方法。
5.動揺病又は動揺病の少なくとも1つの症状を有する対象を処置する方法であって、前記対象に、前記病又はその症状を処置するのに有効である量でトラジピタントを投与することを含む方法。
6.前記有効である量が100~400mgである、実施形態1~実施形態5のいずれか1つに記載の方法。
7.前記有効である量が100~300mgである、実施形態1~実施形態5のいずれか1つに記載の方法。
8.前記有効である量が100~200mgである、実施形態1~実施形態5のいずれか1つに記載の方法。
9.前記有効である量が約170mgである、実施形態1~実施形態5のいずれか1つに記載の方法。
10.前記投与が、トラジピタントの前記有効量の経口投与をさらに含む、実施形態1~実施形態9のいずれか1つに記載の方法。
11.前記対象に投与される前記トラジピタントが、トラジピタント及び1又は複数の医薬的に許容されるエクシピエント(excipient)を含むカプセル又は錠剤などの固体即放剤形である、実施形態10に記載の方法。
12.前記乗り物による移動が、自動車、飛行機、ヘリコプター、ボート、列車、バス、又は他の乗り物によるものである、実施形態2~実施形態4のいずれか1つに記載の方法。
13.前記少なくとも1つの症状が、悪心、嘔吐、めまい、頭痛、膨満、又は失見当識である、実施形態1~実施形態12のいずれか1つに記載の方法。
14.実施形態1~実施形態13のいずれか1つに記載の処置方法に使用するためのトラジピタント。
15.実施形態1~実施形態13のいずれか1つに記載の方法に使用するためのトラジピタントを含む医薬組成物。
16.実施形態1~実施形態13のいずれか1つに記載の方法に使用するためのトラジピタントを含む医薬組成物の製造に使用するためのトラジピタント。
本明細書で用いられる場合、「第一の」、「第二の」などの用語は、何らかの順序、量、又は重要性を表すのではなく、ある要素を別の要素と区別するために用いられるものであり、「1つの(a)」及び「1つの(an)」の用語は、量の制限を表すのではなく、言及された項目の少なくとも1つが存在することを表すものである。量と組み合わせて用いられる「約」の修飾語は、記載された値を含み、文脈によって決定される意味を有する(例:特定の量の測定に付随する誤差の度合いを含む)。接尾辞「(s)」は、本明細書で用いられる場合、それが修飾する用語の単数及び複数の両方を含むことを意図し、それによって、その用語の1又は複数を含む(例:金属(metal(s))は、1又は複数の金属を含む)。本明細書で開示される範囲は、境界値を含み、独立して組み合わせ可能である(例:「約25mgまで、又はより詳細には、約5mg~約20mg」の範囲は、「約5mg~約25mg」の範囲の端点及びすべての中間値を含む、など)。
様々な実施形態が本明細書で記載されるが、本明細書から、その中の要素、変形、又は改善の様々な組み合わせが、当業者によって成されてよく、及び本発明の範囲内であることは理解される。加えて、本発明の本質的な範囲から逸脱することなく、特定の状況又は材料を本発明の教示事項に適合させるために、多くの改変が成されてもよい。したがって、本発明は、本発明を実施するために考慮される最良のモードとして開示される特定の実施形態に限定されるものではなく、本発明は、添付の請求項の範囲内に入るすべての実施形態を含むことを意図するものである。

Claims (23)

  1. 動揺病又は動揺病の少なくとも1つの症状を引き起こす動揺を含む活動に従事しようとしているヒト対象を処置するためのトラジピタントを含む医薬、ここで前記処置は、
    前記活動の開始前に、前記対象において前記動揺病又は前記動揺病の少なくとも1つの症状を予防するのに有効である量でトラジピタントを前記対象に投与すること
    を含む。
  2. 前記活動が乗り物による移動(vehicle travel)である、請求項1に記載の医薬。
  3. 前記投与が乗り物に乗る30分前に行われる、請求項2に記載の医薬。
  4. 前記投与が乗り物による移動の開始の30分前に行われる、請求項2に記載の医薬。
  5. 前記有効である量が100mg~400mgである、請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の医薬。
  6. 前記有効である量が100mg~300mgである、請求項5に記載の医薬。
  7. 前記有効である量が100mg~200mgである、請求項6に記載の医薬。
  8. 前記有効である量が170mgである、請求項7に記載の医薬。
  9. 前記投与が、前記有効である量のトラジピタントを経口投与することを含む、請求項1~請求項8のいずれか一項に記載の医薬。
  10. 前記トラジピタントが固体即放剤形で経口投与され、前記固体即放剤形がトラジピタント及び1又は複数の医薬的に許容されるエクシピエント(excipient)を含むカプセル又は錠剤を含む、請求項9に記載の医薬。
  11. 前記乗り物による移動が、自動車、飛行機、ヘリコプター、ボート、列車、又はバスによるものである、請求項2~請求項4のいずれか一項に記載の医薬。
  12. 前記少なくとも1つの症状が、悪心、嘔吐、めまい、頭痛、膨満、又は失見当識である、請求項1~請求項11のいずれか一項に記載の医薬。
  13. 動揺病又は動揺病の少なくとも1つの症状を有するヒト対象を処置するための医薬、ここで前記処置は、
    前記対象に、前記動揺病又は前記動揺病少なくとも1つの症状を処置するのに有効である量でトラジピタントを投与すること
    を含む。
  14. 前記有効である量が100~400mgである、請求項13に記載の医薬。
  15. 前記有効である量が100~300mgである、請求項14に記載の医薬。
  16. 前記有効である量が100~200mgである、請求項15に記載の医薬。
  17. 前記有効である量が170mgである、請求項16に記載の医薬。
  18. 前記投与が、トラジピタントの経口投与を含む、請求項13~請求項17のいずれか一項に記載の医薬。
  19. 前記トラジピタントが固体即放剤形で経口投与され、前記固体即放剤形がトラジピタント及び1又は複数の医薬的に許容されるエクシピエントを含むカプセル又は錠剤を含む、請求項18に記載の医薬。
  20. 前記少なくとも1つの症状が、悪心、嘔吐、めまい、頭痛、膨満、又は失見当識である、請求項13~請求項19のいずれか一項に記載の医薬。
  21. 動揺病又は動揺病の少なくとも1つの症状を引き起こす動揺を含む活動に従事しようとしているヒト対象を処置するための、請求項1~請求項20のいずれか一項に記載の医薬を含む医薬組成物、ここで前記処置は、
    前記活動の開始前に、前記対象において前記動揺病又は前記動揺病の少なくとも1つの症状を予防するのに有効である量でトラジピタントを前記対象に投与すること
    を含む。
  22. 動揺病又は動揺病の少なくとも1つの症状を有するヒト対象を処置するための、請求項1~請求項20のいずれか一項に記載の医薬を含む医薬組成物、ここで前記処置は、
    前記対象に、前記動揺病又は前記動揺病少なくとも1つの症状を処置するのに有効である量でトラジピタントを投与すること
    を含む。
  23. 請求項21又は請求項22に記載の医薬組成物を製造する方法であって、トラジピタントを前記医薬組成物に含ませることを含む、前記方法。
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