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JP7465149B2 - レーザモジュール及びファイバレーザ装置 - Google Patents

レーザモジュール及びファイバレーザ装置 Download PDF

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JP7465149B2 JP2020085483A JP2020085483A JP7465149B2 JP 7465149 B2 JP7465149 B2 JP 7465149B2 JP 2020085483 A JP2020085483 A JP 2020085483A JP 2020085483 A JP2020085483 A JP 2020085483A JP 7465149 B2 JP7465149 B2 JP 7465149B2
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Description

本発明は、レーザモジュール及びファイバレーザ装置に係り、特に複数の半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を集光して出力するレーザモジュールに関するものである。
例えば、材料加工用のレーザ光を生成するファイバレーザ装置においては、高パワーの励起光を増幅用光ファイバに供給することで高パワーのレーザ光を出力している。このような高パワーの励起光を供給するレーザモジュールとして、複数の半導体レーザ素子を階段状に配置し、これらの半導体レーザ素子から出射されたレーザ光を集光して出力するレーザモジュールが知られている(例えば、特許文献1参照)。
ファイバレーザ装置からレーザ光を加工対象物に照射して加工対象物の溶接や切断を行うと、加工対象物に照射されたレーザ光が加工対象物で反射してファイバレーザ装置に戻ることがある(以下では、このような光を「戻り光」ということがある)。このような戻り光がファイバレーザ装置内を伝搬し、上述したレーザモジュールの半導体レーザ素子に入射すると、半導体レーザ素子が故障してしまい、レーザモジュールの信頼性が低下することも考えられる。特に、近年の加工用レーザの高出力化に伴い、このような戻り光のパワーも大きくなりつつあるため、レーザモジュールの半導体レーザ素子に入射する戻り光を適切に処理できる技術が求められている。
米国特許出願公開第2012/0002293号公報
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたもので、戻り光が半導体レーザ素子に与える影響を低減することができるレーザモジュールを提供することを第1の目的とする。
また、本発明は、信頼性の高いファイバレーザ装置を提供することを第2の目的とする。
本発明の第1の態様によれば、外部から入射するレーザ光が半導体レーザ素子に与える影響を低減することができるレーザモジュールが提供される。このレーザモジュールは、光ファイバと、第1のレーザ生成部と、第2のレーザ生成部とを備える。上記第1のレーザ生成部は、第1のレーザ光を出射する少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子と、前記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子に対応して配置され、前記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子から出射された前記第1のレーザ光を反射する少なくとも1つの第1のミラーとを含む。上記第2のレーザ生成部は、第2のレーザ光を出射する少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子と、前記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子に対応して配置され、前記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子から出射された前記第2のレーザ光を反射する少なくとも1つの第2のミラーとを含む。上記レーザモジュールは、前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を集光して前記光ファイバに結合させる少なくとも1つの集光レンズと、前記第2のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第2のミラーにより反射された前記第2のレーザ光を反射する第3のミラーと、前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを合成して前記少なくとも1つの集光レンズに向ける光合成部と、前記第1のレーザ生成部、前記第2のレーザ生成部、前記少なくとも1つの集光レンズ、前記第3のミラー、及び前記光合成部を内部に収容する筐体とをさらに備える。前記光合成部は、前記第1のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第1のミラーで反射した前記第1のレーザ光を反射するとともに、前記第3のミラーで反射した前記第2のレーザ光を透過させて前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを合成するように構成され、前記第2のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第2のミラー及び前記第3のミラーの少なくとも一方は、前記第1のレーザ光の波長及び前記第2のレーザ光の波長のいずれとも異なる波長を有する第3のレーザ光を透過するように構成される。前記第2のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第2のミラー及び前記第3のミラーの少なくとも一方を透過した前記第3のレーザ光が当たる前記筐体の内側側面の領域には、前記第3のレーザ光に対する反射率が前記筐体よりも高い薄膜が形成される。
本発明の第2の態様によれば、外部から入射するレーザ光が半導体レーザ素子に与える影響を低減することができるレーザモジュールが提供される。このレーザモジュールは、光ファイバと、第1のレーザ生成部と、第2のレーザ生成部とを備える。上記第1のレーザ生成部は、第1のレーザ光を出射する少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子と、前記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子に対応して配置され、前記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子から出射された前記第1のレーザ光を反射する少なくとも1つの第1のミラーとを含む。上記第2のレーザ生成部は、第2のレーザ光を出射する少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子と、前記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子に対応して配置され、前記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子から出射された前記第2のレーザ光を反射する少なくとも1つの第2のミラーとを含む。上記レーザモジュールは、前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を集光して前記光ファイバに結合させる少なくとも1つの集光レンズと、前記第2のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第2のミラーにより反射された前記第2のレーザ光を反射する第3のミラーと、前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを合成して前記少なくとも1つの集光レンズに向ける光合成部と、前記第1のレーザ生成部、前記第2のレーザ生成部、前記少なくとも1つの集光レンズ、前記第3のミラー、及び前記光合成部を内部に収容する筐体とをさらに備える。前記光合成部は、前記第3のミラーで反射した前記第2のレーザ光を反射するとともに、前記第1のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第1のミラーで反射した前記第1のレーザ光を透過させて前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を集光レンズに向けるように構成される。前記第1のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第1のミラーは、前記第1のレーザ光の波長及び前記第2のレーザ光の波長のいずれとも異なる波長を有する第3のレーザ光を透過するように構成される。前記第1のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第1のミラーを透過した前記第3のレーザ光が当たる前記筐体の内側側面の領域には、前記第3のレーザ光に対する反射率が前記筐体よりも高い薄膜が形成される。
本発明の第3の態様によれば、信頼性の高いファイバレーザ装置が提供される。このファイバレーザ装置は、上述したレーザモジュールを含む励起光源と、上記レーザモジュールの上記光ファイバと光学的に接続され、希土類元素イオンが添加されたコアを有する増幅用光ファイバとを備える。
本発明の一態様によれば、外部からレーザモジュールに入射するレーザ光が半導体レーザ素子に与える影響を低減することができる。
図1は、本発明の第1の実施形態におけるファイバレーザ装置の構成を模式的に示すブロック図である。 図2は、図1に示すファイバレーザ装置における励起光源として用いられるレーザモジュールを模式的に示す平面図である。 図3は、図2のA-A線断面図である。 図4は、図2のB-B線断面図である。 図5は、図2のC-C線断面図である。 図6は、図2に示すレーザモジュールに入射した戻り光の光路を説明するための平面図である。 図7は、本発明の第2の実施形態におけるレーザモジュールを模式的に示す平面図である。 図8は、図7に示すレーザモジュールに入射した戻り光の光路を説明するための平面図である。 図9は、本発明の第3の実施形態におけるレーザモジュールを模式的に示す平面図である。 図10は、図9に示すレーザモジュールに入射した戻り光の光路を説明するための平面図である。
以下、本発明に係るレーザモジュール及びファイバレーザ装置の実施形態について図1から図10を参照して詳細に説明する。図1から図10において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、図1から図10においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。以下の説明では、特に言及がない場合には、「第1」や「第2」などの用語は、構成要素を互いに区別するために使用されているだけであり、特定の順位や順番を表すものではない。
図1は、本発明の第1の実施形態におけるファイバレーザ装置1の構成を模式的に示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態のファイバレーザ装置1は、レーザ光を増幅可能な増幅用光ファイバ2を含む光共振器3と、光共振器3の一端側(前方)から光共振器3に励起光を供給する複数の前方励起光源4Aと、光共振器3の他端側(後方)から光共振器3に励起光を供給する複数の後方励起光源4Bと、複数の前方励起光源4Aから出力される励起光を結合して光共振器3に導入する前方光コンバイナ5Aと、複数の後方励起光源4Bから出力される励起光を結合して光共振器3に導入する後方光コンバイナ5Bと、後方光コンバイナ5Bから延びるデリバリファイバ6と、デリバリファイバ6の下流側の端部に設けられたレーザ出力部7とを備えている。それぞれの前方励起光源4Aと前方光コンバイナ5Aとは光ファイバ8Aで接続され、それぞれの後方励起光源4Bと後方光コンバイナ5Bとは光ファイバ8Bで接続されている。
光共振器3の増幅用光ファイバ2は、例えばイッテルビウム(Yb)やエルビウム(Er)、ツリウム(Tr)、ネオジム(Nd)などの希土類元素イオンが添加されたコアを有しており、例えば、コアの周囲に形成された内側クラッドと、内側クラッドの周囲に形成された外側クラッドとを有するダブルクラッドファイバによって構成される。
光共振器3は、所定の波長帯(例えば1060nm~1100nm)の光を高い反射率で反射する高反射部9Aと、この波長帯の光を高反射部9Aよりも低い反射率で反射する低反射部9Bとを含んでいる。高反射部9A及び低反射部9Bは、例えば、光の伝搬方向に沿って周期的に光ファイバの屈折率を変化させて形成したファイバブラッググレーティング(FBG)やミラーにより構成される。図1に示す例では、高反射部9A及び低反射部9Bをファイバブラッググレーティングにより構成している。
励起光源4A,4Bに接続される光ファイバ8A,8Bは、それぞれコアと、コアの周囲を覆い、コアの屈折率よりも低い屈折率を有するクラッドとを有しており、これらの光ファイバ8A,8Bのコアの内部には、励起光源4A,4Bで生成された励起光が伝搬する光導波路が形成される。
励起光源4A,4Bとしては、例えば波長975nmのレーザ光を出射可能な高出力マルチモード半導体レーザ素子を含むレーザモジュールが用いられる。このレーザモジュールの詳細については後述する。それぞれの前方励起光源4Aで生成された励起光は、光ファイバ8Aのコアを伝搬して前方光コンバイナ5Aに向かい、前方光コンバイナ5Aで結合されて光共振器3に導入される。また、それぞれの後方励起光源4Bで生成された励起光は、光ファイバ8Bのコアを伝搬して後方光コンバイナ5Bに向かい、後方光コンバイナ5Bで結合されて光共振器3に導入される。なお、前方励起光源4Aで生成される励起光の波長と後方励起光源4Bで生成される励起光の波長は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
励起光源4A,4Bからそれぞれ光コンバイナ5A,5Bを介して光共振器3に導入された励起光は、増幅用光ファイバ2の内側クラッド及びコアの内部を伝搬する。この励起光は、コアを通過する際にコアに添加された希土類元素イオンに吸収され、この希土類元素イオンが励起されて自然放出光が生じる。この自然放出光が高反射部9Aと低反射部9Bとの間で再帰的に反射され、特定の波長(例えば1070nm)の光が増幅されてレーザ発振が生じる。このように光共振器3で増幅されたレーザ光は、増幅用光ファイバ2のコアの内部を伝搬し、その一部が低反射部9Bを透過する。低反射部9Bを透過したレーザ光は、後方光コンバイナ5Bからデリバリファイバ6のコアに導入され、デリバリファイバ6のコアを伝搬して、図1に示すように、レーザ出力部7から出力レーザ光Pとして例えば加工対象物に向けて出射される。
次に、上述した励起光源4A,4Bにおいて用いられるレーザモジュールについて詳細に説明する。図2は、励起光源4A,4Bにおいて用いられるレーザモジュール10を模式的に示す平面図である。図3は図2のA-A線断面図、図4は図2のB-B線断面図、図5は図2のC-C線断面図である。図2から図5においては、レーザ光の光路を点線で示している。本実施形態におけるレーザモジュール10は、筐体12と、筐体12の内部に配置された2つのレーザ生成部20,30と、筐体12の外部から内部に延びる光ファイバ14と、光ファイバ14を保持する円筒状のファイバ保持部16とを含んでいる。筐体12の上部には図示しない蓋体が配置されており、この蓋体により筐体12の内部空間が封止される。筐体12は、熱伝導性に優れた銅などの金属から形成されており、筐体12の底面12A及び内側側面12Bには、金めっき膜やアルミニウム膜などの反射率の高い金属薄膜が形成されている。
第1のレーザ生成部20は階段状の台座21を含んでおり、この台座21は、Z方向の高さが異なる6つの段部22A~22Fを有している。本実施形態では、1段目の段部22Aから-Y方向に向かって次第に高くなるように段部22A~22Fが形成されている。それぞれの段部22A~22Fにはサブマウント23が配置されており、それぞれのサブマウント23上には、+X方向にレーザ光LA~LF(第1のレーザ光)を出射する半導体レーザ素子24A~24F(第1の半導体レーザ素子)が載置されている。半導体レーザ素子24A~24Fから出射されるレーザ光LA~LFは、主としてP偏光を含むものである。
また、台座21のそれぞれの段部22A~22Fには、半導体レーザ素子24A~24Fに対応して、半導体レーザ素子24A~24Fから出射されたレーザ光LA~LFをファースト軸方向にコリメートするファースト軸コリメートレンズ25と、ファースト軸コリメートレンズ25を透過したレーザ光LA~LFをスロー軸方向にコリメートするスロー軸コリメートレンズ26と、スロー軸コリメートレンズ26を透過したレーザ光LA~LFを反射するミラー27(第1のミラー)とが配置されている。
ミラー27は、X方向に対して45度傾斜した傾斜面を有しており、この傾斜面には、誘電体多層膜や金属薄膜などによって、レーザ光LA~LFの波長帯域(例えば975nm)の光を反射する特性を有する光学薄膜が形成されている。これにより、スロー軸コリメートレンズ26を透過したレーザ光LA~LFは、ミラー27の光学薄膜で反射され、伝搬方向が90度転換されて+Y方向に伝搬する。
第2のレーザ生成部30は階段状の台座31を含んでおり、この台座31は、Z方向の高さが異なる6つの段部32A~32Fを有している。本実施形態では、1段目の段部32Aから-Y方向に向かって次第に高くなるように段部32A~32Fが形成されている。本実施形態では、台座31の段部32A~32FのそれぞれのZ方向の高さが、第1のレーザ生成部20の台座21の対応する段部22A~22FのZ方向の高さと同一になっている。それぞれの段部32A~32Fにはサブマウント33が配置されており、それぞれのサブマウント33上には、-X方向にレーザ光MA~MF(第2のレーザ光)を出射する半導体レーザ素子34A~34F(第2の半導体レーザ素子)が載置されている。半導体レーザ素子34A~34Fから出射されるレーザ光MA~MFは、主としてP偏光を含むものである。
また、台座31のそれぞれの段部32A~32Fには、半導体レーザ素子34A~34Fに対応して、半導体レーザ素子34A~34Fから出射されたレーザ光MA~MFをファースト軸方向にコリメートするファースト軸コリメートレンズ35と、ファースト軸コリメートレンズ35を透過したレーザ光MA~MFをスロー軸方向にコリメートするスロー軸コリメートレンズ36と、スロー軸コリメートレンズ36を透過したレーザ光MA~MFを反射するミラー37(第2のミラー)とが配置されている。
ミラー37は、X方向に対して45度傾斜した傾斜面を有しており、この傾斜面には、誘電体多層膜や金属薄膜などによって、レーザ光MA~MFの波長帯域(例えば975nm)の光を反射する特性を有する光学薄膜が形成されている。これにより、スロー軸コリメートレンズ36を透過したレーザ光MA~MFは、ミラー37の光学薄膜で反射され、伝搬方向が90度転換されて+Y方向に伝搬する。
図2及び図3に示すように、レーザモジュール10は、第1のレーザ生成部20の+Y方向側で筐体12の底面12Aに固定された波長板41を含んでいる。この波長板41は、第1のレーザ生成部20で生成されるレーザ光LA~LFの偏光方向を90度回転させるものである。したがって、レーザ光LA~LFが波長板41を通過すると、レーザ光LA~LFの偏光方位が90度回転し、主としてS偏光を含むレーザ光LA’~LF’となる。
図2及び図4に示すように、レーザモジュール10は、第2のレーザ生成部30の+Y方向側で筐体12の底面12Aに固定された補助ミラー42(第3のミラー)を含んでいる。本実施形態における補助ミラー42は、Y方向に対して45度傾斜した傾斜面を有する三角柱状の部材であり、筐体12の底面12Aに固定されている。
この補助ミラー42の傾斜面には、誘電体多層膜や金属薄膜などによって所定の特性を有する光学薄膜42Aが形成されている。通常、このような三角柱ミラーの傾斜面には広い波長帯域で光を反射する光学薄膜が形成されるが、本実施形態における光学薄膜42Aは、第2のレーザ生成部30で生成されるレーザ光MA~MFの波長帯域(例えば975nm)の光は反射するが、ファイバレーザ装置1のレーザ出力部7から出力される出力レーザ光P(図1参照)の波長帯域(例えば1070nm)の光は透過する特性を有するように形成されている。第2のレーザ生成部30のそれぞれのミラー37で反射されたレーザ光MA~MFは、補助ミラー42の光学薄膜42Aで反射され、伝搬方向が90度転換されて-X方向に伝搬する。
図2、図3、及び図5に示すように、レーザモジュール10は、補助ミラー42の-X方向側でかつ波長板41の+Y方向側で筐体12の底面12Aに固定されたビームスプリッタ43を含んでいる。本実施形態におけるビームスプリッタ43は、2つの直角プリズムを互いに接合することにより形成されるもので、いずれのプリズムもY方向に対して45度傾斜した傾斜面を有している。一方のプリズムの傾斜面には、誘電体多層膜や金属薄膜などによって所定の特性を有する光学薄膜43Aが形成されている。具体的には、本実施形態における光学薄膜43Aは、レーザ光LA~LF,MA~MFの波長帯域(例えば975nm)においてS偏光を反射し、P偏光を透過する特性を有するように形成されている。
波長板41によって主としてS偏光を含むレーザ光となったレーザ光LA’~LF’は、ビームスプリッタ43の光学薄膜43Aで反射され、伝搬方向が90度転換されて-X方向に伝搬する。一方、補助ミラー42で反射された主としてP偏光を含むレーザ光MA~MFは、ビームスプリッタ43の光学薄膜43Aを透過して-X方向に伝搬する。このように、本実施形態におけるビームスプリッタ43は、半導体レーザ素子24A~24Fからのレーザ光LA’~LF’と半導体レーザ素子34A~34Fからのレーザ光MA~MFとを合成する光合成部として機能するものである。なお、このような光合成部として、本実施形態に示すビームスプリッタ43に代えて、例えばダイクロイックミラーのような光学部品を用いることもできる。
図2及び図5に示すように、レーザモジュール10は、ビームスプリッタ43の-X方向側に配置された波長安定化素子44と、波長安定化素子44の-X方向側に配置されたファースト軸集光レンズ45と、ファースト軸集光レンズ45の-X方向側に配置されたスロー軸集光レンズ46とを備えている。波長安定化素子44及び集光レンズ45,46は、筐体12の内部に延びる光ファイバ14の端面14Aとビームスプリッタ43との間でそれぞれ筐体12の底面12Aに固定されている。
半導体レーザ素子24A~24F,34A~34Fのレーザ発振波長は、製造上のばらつきによって変動し、また温度依存性を有することから、本実施形態では、波長安定化素子44を用いてレーザモジュール10から出力されるレーザ光の波長を安定化させている。より具体的には、本実施形態の波長安定化素子44は、所定の格子間隔で周期的に屈折率を変化させたVolume Bragg Grating(VBG)により構成されており、波長安定化素子44の反射面と半導体レーザ素子24A~24F,34A~34Fの活性層の反射端面との間で外部共振器を形成することで、狭帯域化された波長(例えば975nm)のレーザ光NA~NFを-X方向に出力する。
ファースト軸集光レンズ45は、波長安定化素子44から出力されるレーザ光NA~NFをファースト軸方向に集光して光ファイバ14の端面14Aに結合させるものであり、スロー軸集光レンズ46は、波長安定化素子44から出力されるレーザ光NA~NFをスロー軸方向に集光して光ファイバ14の端面14Aに結合させるものである。
筐体12の内部には、上述した光学部品、すなわち、第1のレーザ生成部20、第2のレーザ生成部30、波長板41、補助ミラー42、ビームスプリッタ43、波長安定化素子44、ファースト軸集光レンズ45、及びスロー軸集光レンズ46が収容されている。
このような構成において、第1のレーザ生成部20の半導体レーザ素子24A~24Fからそれぞれ+X方向に出射されたレーザ光LA~LFは、ファースト軸コリメートレンズ25及びスロー軸コリメートレンズ26によりそれぞれファースト軸方向及びスロー軸方向にコリメートされ、ミラー27により90度方向転換されて+Y方向に伝搬する。ミラー27により反射されたレーザ光LA~LFは、波長板41を通過することによって主としてS偏光を含むレーザ光LA’~LF’となってビームスプリッタ43に至る。
また、第2のレーザ生成部30の半導体レーザ素子34A~34Fからそれぞれ-X方向に出射されたレーザ光MA~MFは、ファースト軸コリメートレンズ35及びスロー軸コリメートレンズ36によりそれぞれファースト軸方向及びスロー軸方向にコリメートされ、ミラー37により90度方向転換されて+Y方向に伝搬する。ミラー37により反射されたレーザ光MA~MFは、補助ミラー42により90度方向転換されて-X方向に伝搬し、ビームスプリッタ43に至る。
ビームスプリッタ43では、主としてS偏光を含むレーザ光LA’~LF’と主としてP偏光を含むレーザ光MA~MFとが偏波合成され、-X方向に出力される。この偏波合成されたレーザ光は、波長安定化素子44によって波長が狭帯域化されたレーザ光NA~NFとなる。これらのレーザ光NA~NFは、ファースト軸集光レンズ45によってファースト軸に集光され、さらにスロー軸集光レンズ46によってスロー軸に集光される。これによって、これらのレーザ光NA~NFが光ファイバ14の端面14Aに光学的に結合され、励起光としてレーザモジュール10から上述したファイバレーザ装置1の光共振器3(図1参照)に出力される。
図2に示すように、本実施形態では、第1のレーザ生成部20の半導体レーザ素子24A~24Fのそれぞれから光ファイバ14までのレーザ光LA~LFの光路長と第2のレーザ生成部30の半導体レーザ素子34A~34Fのそれぞれから光ファイバ14までのレーザ光MA~MFの光路長とを同一にするために、第2のレーザ生成部30の半導体レーザ素子34A~34Fは、同じ高さに位置する第1のレーザ生成部20の半導体レーザ素子24A~24Fよりも+Y方向側に配置されている。
ここで、例えばファイバレーザ装置1から出力される出力レーザ光Pを加工対象物に照射したときに、加工対象物で反射した光が、図6に示すように、レーザモジュール10に戻り光Rとして戻ってきた場合を考える。この戻り光Rは、光ファイバ14の端面14Aから上述したレーザ光NA~NFとは逆方向に伝搬し、ビームスプリッタ43に至る。このビームスプリッタ43の光学薄膜43Aは、上述のようにレーザ光LA~LF,MA~MFの波長帯域(例えば975nm)においてS偏光を反射するように構成されているが、この波長帯域から離れた波長帯域においてはP偏光及びS偏光のほとんど(約90%)が光学薄膜43Aを透過してしまう。戻り光Rの波長(例えば1070nm)は、レーザ光LA~LF,MA~MFの波長帯域(例えば975nm)から離れた波長帯域にあるため、ビームスプリッタ43に至った戻り光Rのほとんどはビームスプリッタ43を透過して+X方向に伝搬し、図6に示すように補助ミラー42に至る。
従来のレーザモジュールにおいては、この補助ミラー42に相当するミラーに形成される光学薄膜及び第2のレーザ生成部30のミラー37に相当するミラーに形成される光学薄膜が、半導体レーザ素子から出射されるレーザ光の波長帯域だけではなく、ファイバレーザ装置から出力される出力レーザ光の波長帯域の光も反射する特性を有するように形成される。そのような従来の構成を採用した場合、戻り光Rがこれらのミラーで反射されて半導体レーザ素子に入射してしまうことが考えられる。
これに対して、本実施形態における補助ミラー42の光学薄膜42Aは、第2のレーザ生成部30で生成されるレーザ光MA~MFの波長帯域(例えば975nm)の光は反射するが、ファイバレーザ装置1のレーザ出力部7から出力される出力レーザ光Pの波長帯域(例えば1070nm)の光は透過する特性を有している。したがって、戻り光Rは、図6に示すように、補助ミラー42の光学薄膜42Aで反射せずそのまま透過して+X方向に伝搬し、筐体12の内側側面12Bに当たることとなる。この筐体12の内側側面12Bには、戻り光Rに対する反射率の高い金属薄膜(例えば金めっき膜やアルミニウム膜)が形成されているため、筐体12の内側側面12Bに当たった戻り光Rは内側側面12Bで反射して筐体12の内部に散乱する。
このように、本実施形態によれば、不要な戻り光Rがレーザモジュール10の光ファイバ14から入射した場合であっても、戻り光Rが補助ミラー42を透過するように構成されているため、戻り光Rが半導体レーザ素子34A~34Fに入射することが抑制される。このため、半導体レーザ素子34A~34Fが故障する可能性を低減することができ、レーザモジュール10の信頼性を高めることができる。また、戻り光Rに対する反射率の高い金属薄膜が筐体12の内側側面12Bに形成されているため、筐体12の温度上昇を抑制することができる。なお、筐体12の内側側面12Bに当たった戻り光Rを散乱しやすくするために、内側側面12Bの戻り光Rが当たる部分を粗面にしてもよい。
上述したファイバレーザ装置1は、このようなレーザモジュール10を含む励起光源4A,4Bを用いているため、戻り光がレーザモジュール10に入射した場合であっても、レーザモジュール10の半導体レーザ素子34A~34Fが戻り光の影響を受けにくい。したがって、戻り光によりレーザモジュール10が故障してしまう可能性を低減することができ、ファイバレーザ装置1の信頼性が高まる。
図7は、本発明の第2の実施形態におけるレーザモジュール110を模式的に示す平面図である。本実施形態では、第1の実施形態におけるミラー27(第1のミラー)がそのまま用いられているが、第1の実施形態におけるミラー37及び補助ミラー42に代えてそれぞれミラー137(第2のミラー)及び補助ミラー142(第3のミラー)が用いられている。
第2のレーザ生成部30のミラー137は、X方向に対して45度傾斜した傾斜面を有しており、この傾斜面には、誘電体多層膜や金属薄膜などによって所定の特性を有する光学薄膜137Aが形成されている。具体的には、光学薄膜137Aは、半導体レーザ素子34A~34Fから出射されるレーザ光MA~MFの波長帯域(例えば975nm)の光は反射するが、ファイバレーザ装置1のレーザ出力部7から出力される出力レーザ光P(図1参照)の波長帯域(例えば1070nm)の光は透過する特性を有するように形成されている。
一方、補助ミラー142は、従来のレーザモジュールにおいて用いられている補助ミラーと同様のミラーである。この補助ミラー142は、X方向に対して45度傾斜した傾斜面を有しており、この傾斜面には、誘電体多層膜や金属薄膜などによって広い波長帯域で光を反射する光学薄膜142Aが形成されている。
このような構成において、レーザ生成部20,30において生成されたレーザ光は、上述の第1の実施形態と同様の光路で光ファイバ14の端面14Aに光学的に結合され、レーザモジュール110から上述したファイバレーザ装置1の光共振器3(図1参照)に出力される。
一方、レーザモジュール110に戻り光Rが戻ってきた場合には、図8に示すように、戻り光Rは、光ファイバ14の端面14Aから+X方向に伝搬して、そのほとんどがビームスプリッタ43を透過して+X方向に伝搬する。本実施形態における補助ミラー142の光学薄膜142Aは広い波長帯域で光を反射する特性を有しているため、ビームスプリッタ43を透過した戻り光Rは、補助ミラー142の光学薄膜142Aで反射され、伝搬方向が90度転換されて-Y方向に伝搬する。
上述したように、本実施形態におけるミラー137の光学薄膜137Aは、ファイバレーザ装置1のレーザ出力部7から出力される出力レーザ光Pの波長帯域の光は透過する特性を有するように形成されているため、補助ミラー142で反射した戻り光Rは、図8に示すように、それぞれのミラー137の光学薄膜137Aで反射せずそのまま透過して-Y方向に伝搬し、筐体12の内側側面12Bに当たることとなる。筐体12の内側側面12Bに当たった戻り光Rは内側側面12Bで反射して筐体12の内部に散乱する。
このように、本実施形態においては、不要な戻り光Rが第2のレーザ生成部30のミラー137を透過するように構成されているため、戻り光Rが半導体レーザ素子34A~34Fに入射することが抑制される。このため、半導体レーザ素子34A~34Fが故障する可能性を低減することができ、レーザモジュール110の信頼性を高めることができる。また、戻り光Rに対する反射率の高い金属薄膜が筐体12の内側側面12Bに形成されているため、筐体12の温度上昇を抑制することができる。
また、出力レーザ光Pの波長帯域の光を透過する特性を光学薄膜に持たせるためには、光学薄膜中の膜数を増やす必要があるが、光学薄膜を形成する面の面積が大きいと、膜数を大きくすることによる表面精度の低下が大きくなる傾向がある。本実施形態では、上述した第1の実施形態の補助ミラー42の傾斜面よりも面積の小さいミラー137の傾斜面に光学薄膜137Aを形成しているため、光学薄膜137Aの表面精度を第1の実施形態の光学薄膜42Aよりも高めることができる。
また、第2のレーザ生成部30のミラー137の光学薄膜137Aだけではなく、第1のレーザ生成部20のミラー27の光学薄膜も、ファイバレーザ装置1のレーザ出力部7から出力される出力レーザ光Pの波長帯域(例えば1070nm)の光を透過する特性を有していてもよい。この場合には、レーザモジュール110に入射した戻り光Rの一部が、ビームスプリッタ43で反射して第1のレーザ生成部20に向かったとしても、戻り光Rは、ミラー27の光学薄膜で反射せずそのまま透過して-Y方向に伝搬し、筐体12の内側側面12Bに当たることとなる。このため、戻り光Rが半導体レーザ素子24A~24Fに入射することが抑制され、戻り光Rが半導体レーザ素子24A~24Fに入射することで故障してしまう可能性を低減することができる。したがって、レーザモジュール110の信頼性をさらに高めることができる。
図9は、本発明の第3の実施形態におけるレーザモジュール210を模式的に示す平面図である。本実施形態では、第1の実施形態における光ファイバ14、ファイバ保持部16、波長板41、波長安定化素子44、ファースト軸集光レンズ45、及びスロー軸集光レンズ46の配置が変更されており、第1の実施形態におけるミラー27に代えてミラー227(第1のミラー)が用いられている。また、本実施形態では、第1の実施形態におけるミラー37(第2のミラー)及び第2の実施形態における補助ミラー142(第3のミラー)がそのまま用いられている。
波長板41は、第2のレーザ生成部30の+Y方向側で筐体12の底面12Aに固定されており、第2のレーザ生成部30で生成されたレーザ光MA~MFの偏光方向を90度回転させるように構成されている。したがって、第2のレーザ生成部30で生成されたレーザ光MA~MFが波長板41を通過すると、レーザ光MA~MFの偏光方位が90度回転し、主としてS偏光を含むレーザ光MA’~MF’となる。
本実施形態においては、Y方向に延びる光ファイバ14を保持するファイバ保持部16が筐体12の+Y方向側の側壁に形成されている。ビームスプリッタ43から光ファイバ14の端面14Aに向かって、波長安定化素子44、ファースト軸集光レンズ45、及びスロー軸集光レンズ46が+Y方向に沿って順番に配置されている。
ここで、第1のレーザ生成部20のミラー227は、X方向に対して45度傾斜した傾斜面を有しており、この傾斜面には、誘電体多層膜や金属薄膜などによって所定の特性を有する光学薄膜227Aが形成されている。具体的には、光学薄膜227Aは、半導体レーザ素子24A~24Fから出射されるレーザ光LA~LFの波長帯域(例えば975nm)の光は反射するが、ファイバレーザ装置1のレーザ出力部7から出力される出力レーザ光P(図1参照)の波長帯域(例えば1070nm)の光は透過する特性を有するように形成されている。
このような構成において、第1のレーザ生成部20の半導体レーザ素子24A~24Fからそれぞれ+X方向に出射されたレーザ光LA~LFは、ファースト軸コリメートレンズ25及びスロー軸コリメートレンズ26によりそれぞれファースト軸方向及びスロー軸方向にコリメートされ、ミラー227により90度方向転換されて+Y方向に伝搬し、ビームスプリッタ43に至る。このレーザ光LA~LFは、主としてP偏光を含むものである。
また、第2のレーザ生成部30の半導体レーザ素子34A~34Fからそれぞれ-X方向に出射されたレーザ光MA~MFは、ファースト軸コリメートレンズ35及びスロー軸コリメートレンズ36によりそれぞれファースト軸方向及びスロー軸方向にコリメートされ、ミラー37により90度方向転換されて+Y方向に伝搬する。ミラー37により反射されたレーザ光MA~MFは、波長板41を通過することによって主としてS偏光を含むレーザ光MA’~MF’となる。波長板41を通過したレーザ光MA’~MF’は、補助ミラー142により90度方向転換されて-X方向に伝搬し、ビームスプリッタ43に至る。
ビームスプリッタ43では、主としてP偏光を含むレーザ光LA~LFは、ビームスプリッタ43の光学薄膜43Aを透過して+Y方向に伝搬し、主としてS偏光を含むレーザ光MA’~MF’は、ビームスプリッタ43の光学薄膜43Aで反射され、伝搬方向が90度転換されて+Y方向に伝搬する。このようにして偏波合成されたレーザ光は、波長安定化素子44によって波長が狭帯域化されたレーザ光NA~NFとなる。これらのレーザ光NA~NFは、ファースト軸集光レンズ45によってファースト軸に集光され、さらにスロー軸集光レンズ46によってスロー軸に集光される。これによって、これらのレーザ光NA~NFが光ファイバ14の端面14Aに光学的に結合され、レーザモジュール10から上述したファイバレーザ装置1の光共振器3(図1参照)に出力される。
一方、レーザモジュール210に戻り光Rが戻ってきた場合には、図10に示すように、戻り光Rは、光ファイバ14の端面14Aから-Y方向に伝搬して、そのほとんどがビームスプリッタ43を透過して-Y方向に伝搬する。上述したように、本実施形態におけるミラー227の光学薄膜227Aは、ファイバレーザ装置1のレーザ出力部7から出力される出力レーザ光Pの波長帯域の光は透過する特性を有するように形成されているため、ビームスプリッタ43を透過した戻り光Rは、図10に示すように、それぞれのミラー227の光学薄膜227Aで反射せずそのまま透過して-Y方向に伝搬し、筐体12の内側側面12Bに当たることとなる。筐体12の内側側面12Bに当たった戻り光Rは内側側面12Bで反射して筐体12の内部に散乱する。
このように、本実施形態によれば、不要な戻り光Rがレーザモジュール210の光ファイバ14から入射した場合であっても、戻り光Rが第1のレーザ生成部20のミラー227を透過するように構成されているため、戻り光Rが半導体レーザ素子24A~24Fに入射することが抑制される。このため、半導体レーザ素子24A~24Fが故障する可能性を低減することができ、レーザモジュール210の信頼性を高めることができる。
また、本実施形態においても、第1のレーザ生成部20のミラー227の光学薄膜227Aだけではなく、第2のレーザ生成部30のミラー37の光学薄膜及び/又は補助ミラー142の光学薄膜142Aも、ファイバレーザ装置1のレーザ出力部7から出力される出力レーザ光Pの波長帯域(例えば1070nm)の光を透過する特性を有していてもよい。
また、上述の第1ないし第3の実施形態では、第1のレーザ生成部20及び第2のレーザ生成部30のそれぞれに複数の半導体レーザ素子が実装されているが、それぞれのレーザ生成部20,30には少なくとも1つの半導体レーザ素子が実装されていればよい。
上述した実施形態では、半導体レーザ素子24A~24F,34A~34Fから出射されるレーザ光の波長が975nm、ファイバレーザ装置1から出力される出力レーザ光Pの波長が1070nmであるものとして説明したが、これらの値に限定されるものではない。例えば、ファイバレーザ装置1から出力される出力レーザ光Pの波長は、1060nmから1100nmの範囲にあってもよい。
また、図1に示すファイバレーザ装置1は、光共振器3の高反射部9A側と低反射部9B側の双方に励起光源4A,4Bと光コンバイナ5A,5Bが設けられており、双方向励起型のファイバレーザ装置となっているが、高反射部9A側と低反射部9B側のいずれか一方にのみ励起光源と光コンバイナを設置することとしてもよい。
また、ファイバレーザ装置としては、図1に示すような構成以外にも、シード光源からのシード光を励起光源からの励起光を用いて増幅するMOPAファイバレーザ装置が知られているが、上述したレーザモジュールはこのようなMOPAファイバレーザ装置の励起光源としても用いることも可能である。
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。
以上述べたように、本発明の第1の態様によれば、外部から入射するレーザ光が半導体レーザ素子に与える影響を低減することができるレーザモジュールが提供される。このレーザモジュールは、光ファイバと、第1のレーザ生成部と、第2のレーザ生成部とを備える。上記第1のレーザ生成部は、第1のレーザ光を出射する少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子と、上記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子に対応して配置され、上記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子から出射された上記第1のレーザ光を反射する少なくとも1つの第1のミラーとを含む。上記第2のレーザ生成部は、第2のレーザ光を出射する少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子と、上記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子に対応して配置され、上記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子から出射された上記第2のレーザ光を反射する少なくとも1つの第2のミラーとを含む。上記レーザモジュールは、上記第1のレーザ光及び上記第2のレーザ光を集光して上記光ファイバに結合させる少なくとも1つの集光レンズと、上記第2のレーザ生成部の上記少なくとも1つの第2のミラーにより反射された上記第2のレーザ光を反射する第3のミラーと、上記第1のレーザ光と上記第2のレーザ光とを合成して上記少なくとも1つの集光レンズに向ける光合成部とをさらに備える。上記光合成部は、上記第1のレーザ生成部の上記少なくとも1つの第1のミラーで反射した上記第1のレーザ光を反射するとともに、上記第3のミラーで反射した上記第2のレーザ光を透過させて上記第1のレーザ光と上記第2のレーザ光とを合成するように構成され、上記第2のレーザ生成部の上記少なくとも1つの第2のミラー及び上記第3のミラーの少なくとも一方は、上記第1のレーザ光の波長及び上記第2のレーザ光の波長のいずれとも異なる波長を有する第3のレーザ光を透過するように構成される。
このような構成によれば、第1のレーザ光の波長及び第2のレーザ光の波長のいずれとも異なる波長を有する第3のレーザ光が外部から入射した場合であっても、第3のレーザ光が第2のレーザ生成部の第2のミラー又は第3のミラーを透過するように構成されているため、第3のレーザ光が第2の半導体レーザ素子に入射することが抑制される。このため、第3のレーザ光が第2の半導体レーザ素子に入射することで故障してしまう可能性を低減することができ、レーザモジュールの信頼性を高めることができる。
上記第3のミラーは、上記第3のレーザ光を反射するように構成され、上記第2のレーザ生成部の上記少なくとも1つの第2のミラーは、上記第3のレーザ光を透過するように構成されてもよい。
上記レーザモジュールは、上記第1のレーザ生成部、上記第2のレーザ生成部、上記少なくとも1つの集光レンズ、上記第3のミラー、及び上記光合成部を内部に収容する筐体をさらに備えていてもよい。上記少なくとも1つの第2のミラー又は上記第3のミラーを透過した上記第3のレーザ光が当たる上記筐体の内側側面は、上記第3のレーザ光を反射するように構成されていることが好ましい。
上記第1のレーザ生成部の上記第1のミラーは、上記第3のレーザ光を透過するように構成されてもよい。このような構成によれば、第3のレーザ光が光合成部で第1のレーザ生成部に向かったとしても、第3のレーザ光が第1のレーザ生成部の第1のミラーを透過するように構成されているため、第3のレーザ光が第1の半導体レーザ素子に入射することが抑制される。このため、第3のレーザ光が第1の半導体レーザ素子に入射することで故障してしまう可能性を低減することができ、レーザモジュールの信頼性をさらに高めることができる。
本発明の第2の態様によれば、外部から入射するレーザ光が半導体レーザ素子に与える影響を低減することができるレーザモジュールが提供される。このレーザモジュールは、光ファイバと、第1のレーザ生成部と、第2のレーザ生成部とを備える。上記第1のレーザ生成部は、第1のレーザ光を出射する少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子と、上記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子に対応して配置され、上記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子から出射された上記第1のレーザ光を反射する少なくとも1つの第1のミラーとを含む。上記第2のレーザ生成部は、第2のレーザ光を出射する少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子と、上記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子に対応して配置され、上記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子から出射された上記第2のレーザ光を反射する少なくとも1つの第2のミラーとを含む。上記レーザモジュールは、上記第1のレーザ光及び上記第2のレーザ光を集光して上記光ファイバに結合させる少なくとも1つの集光レンズと、上記第2のレーザ生成部の上記少なくとも1つの第2のミラーにより反射された上記第2のレーザ光を反射する第3のミラーと、上記第1のレーザ光と上記第2のレーザ光とを合成して上記少なくとも1つの集光レンズに向ける光合成部とをさらに備える。上記光合成部は、上記第3のミラーで反射した上記第2のレーザ光を反射するとともに、上記第1のレーザ生成部の上記少なくとも1つの第1のミラーで反射した上記第1のレーザ光を透過させて上記第1のレーザ光及び上記第2のレーザ光を集光レンズに向けるように構成される。上記第1のレーザ生成部の上記少なくとも1つの第1のミラーは、上記第1のレーザ光の波長及び上記第2のレーザ光の波長のいずれとも異なる波長を有する第3のレーザ光を透過するように構成される。
このような構成によれば、第1のレーザ光の波長及び第2のレーザ光の波長のいずれとも異なる波長を有する第3のレーザ光が外部から入射した場合であっても、第3のレーザ光が第1のレーザ生成部の第1のミラーを透過するように構成されているため、第3のレーザ光が第1の半導体レーザ素子に入射することが抑制される。このため、第3のレーザ光が第1の半導体レーザ素子に入射することで故障してしまう可能性を低減することができ、レーザモジュールの信頼性を高めることができる。
上記レーザモジュールは、上記第1のレーザ生成部、上記第2のレーザ生成部、上記少なくとも1つの集光レンズ、上記第3のミラー、及び上記光合成部を内部に収容する筐体をさらに備えていてもよい。上記少なくとも1つの第1のミラーを透過した上記第3のレーザ光が当たる上記筐体の内側側面は、上記第3のレーザ光を反射するように構成されていることが好ましい。
上記第3のレーザ光は、1060nmから1100nmの範囲の波長を有していてもよい。
本発明の第3の態様によれば、信頼性の高いファイバレーザ装置が提供される。このファイバレーザ装置は、上述したレーザモジュールを含む励起光源と、上記レーザモジュールの上記光ファイバと光学的に接続され、希土類元素イオンが添加されたコアを有する増幅用光ファイバとを備える。
このような構成によれば、励起光源として用いるレーザモジュールから出力される第1のレーザ光及び第3のレーザ光の波長とは異なる波長を有する第3のレーザ光がレーザモジュールに入射した場合であっても、レーザモジュールの半導体レーザ素子が第3のレーザ光の影響を受けにくくなっているため、戻り光によりレーザモジュールが故障してしまう可能性を低減することができ、信頼性の高いファイバレーザ装置を実現することができる。
1 ファイバレーザ装置
2 増幅用光ファイバ
3 光共振器
4A,4B 励起光源
5A,5B 光コンバイナ
6 デリバリファイバ
7 レーザ出力部
8A,8B 光ファイバ
9A 高反射部
9B 低反射部
10,110,210 レーザモジュール
12 筐体
12A 底面
12B 内側側面
14 光ファイバ
16 ファイバ保持部
20 第1のレーザ生成部
21,31 台座
22A~22F,32A~32F 段部
23,33 サブマウント
24A~24F,34A~34F 半導体レーザ素子
25,35 ファースト軸コリメートレンズ
26,36 スロー軸コリメートレンズ
27 (第1の)ミラー
30 第2のレーザ生成部
37 (第2の)ミラー
41 波長板
42 補助ミラー(第3のミラー)
42A 光学薄膜
43 ビームスプリッタ
43A 光学薄膜
44 波長安定化素子
45 ファースト軸集光レンズ
46 スロー軸集光レンズ
137 (第2の)ミラー
137A 光学薄膜
142 補助ミラー(第3のミラー)
142A 光学薄膜
227 (第1の)ミラー
227A 光学薄膜
A~LF,LA’~LF’,MA~MF,MA’~MF’,NA~NF レーザ光
P 出力レーザ光
R 戻り光

Claims (8)

  1. 光ファイバと、
    第1のレーザ光を出射する少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子と、前記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子に対応して配置され、前記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子から出射された前記第1のレーザ光を反射する少なくとも1つの第1のミラーとを含む第1のレーザ生成部と、
    第2のレーザ光を出射する少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子と、前記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子に対応して配置され、前記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子から出射された前記第2のレーザ光を反射する少なくとも1つの第2のミラーとを含む第2のレーザ生成部と、
    前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を集光して前記光ファイバに結合させる少なくとも1つの集光レンズと、
    前記第2のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第2のミラーにより反射された前記第2のレーザ光を反射する第3のミラーと、
    前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを合成して前記少なくとも1つの集光レンズに向ける光合成部と、
    前記第1のレーザ生成部、前記第2のレーザ生成部、前記少なくとも1つの集光レンズ、前記第3のミラー、及び前記光合成部を内部に収容する筐体と
    を備え、
    前記光合成部は、前記第1のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第1のミラーで反射した前記第1のレーザ光を反射するとともに、前記第3のミラーで反射した前記第2のレーザ光を透過させて前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを合成するように構成され、
    前記第2のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第2のミラー及び前記第3のミラーの少なくとも一方は、前記第1のレーザ光の波長及び前記第2のレーザ光の波長のいずれとも異なる波長を有する第3のレーザ光を透過するように構成され、
    前記第2のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第2のミラー及び前記第3のミラーの少なくとも一方を透過した前記第3のレーザ光が当たる前記筐体の内側側面の領域には、前記第3のレーザ光に対する反射率が前記筐体よりも高い薄膜が形成される、
    レーザモジュール。
  2. 前記第3のミラーは、前記第3のレーザ光を反射するように構成され、
    前記第2のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第2のミラーは、前記第3のレーザ光を透過するように構成される、
    請求項1に記載のレーザモジュール。
  3. 前記薄膜は、金めっき膜又はアルミニウム膜である、請求項1又は2に記載のレーザモジュール。
  4. 前記第1のレーザ生成部の前記第1のミラーは、前記第3のレーザ光を透過するように構成される、
    請求項1から3のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
  5. 光ファイバと、
    第1のレーザ光を出射する少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子と、前記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子に対応して配置され、前記少なくとも1つの第1の半導体レーザ素子から出射された前記第1のレーザ光を反射する少なくとも1つの第1のミラーとを含む第1のレーザ生成部と、
    第2のレーザ光を出射する少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子と、前記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子に対応して配置され、前記少なくとも1つの第2の半導体レーザ素子から出射された前記第2のレーザ光を反射する少なくとも1つの第2のミラーとを含む第2のレーザ生成部と、
    前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を集光して前記光ファイバに結合させる少なくとも1つの集光レンズと、
    前記第2のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第2のミラーにより反射された前記第2のレーザ光を反射する第3のミラーと、
    前記第1のレーザ光と前記第2のレーザ光とを合成して前記少なくとも1つの集光レンズに向ける光合成部と、
    前記第1のレーザ生成部、前記第2のレーザ生成部、前記少なくとも1つの集光レンズ、前記第3のミラー、及び前記光合成部を内部に収容する筐体と
    を備え、
    前記光合成部は、前記第3のミラーで反射した前記第2のレーザ光を反射するとともに、前記第1のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第1のミラーで反射した前記第1のレーザ光を透過させて前記第1のレーザ光及び前記第2のレーザ光を集光レンズに向けるように構成され、
    前記第1のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第1のミラーは、前記第1のレーザ光の波長及び前記第2のレーザ光の波長のいずれとも異なる波長を有する第3のレーザ光を透過するように構成され、
    前記第1のレーザ生成部の前記少なくとも1つの第1のミラーを透過した前記第3のレーザ光が当たる前記筐体の内側側面の領域には、前記第3のレーザ光に対する反射率が前記筐体よりも高い薄膜が形成される、
    レーザモジュール。
  6. 前記薄膜は、金めっき膜又はアルミニウム膜である、請求項5に記載のレーザモジュール。
  7. 前記第3のレーザ光は、1060nmから1100nmの範囲の波長を有する、請求項1から6のいずれか一項に記載のレーザモジュール。
  8. 請求項1から7のいずれか一項に記載のレーザモジュールを含む励起光源と、
    前記レーザモジュールの前記光ファイバと光学的に接続され、希土類元素イオンが添加されたコアを有する増幅用光ファイバと
    を備える、ファイバレーザ装置。
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