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JP7459935B2 - 推定方法、シミュレーション方法、推定装置、及び推定プログラム - Google Patents

推定方法、シミュレーション方法、推定装置、及び推定プログラム Download PDF

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JP7459935B2 JP2022513718A JP2022513718A JP7459935B2 JP 7459935 B2 JP7459935 B2 JP 7459935B2 JP 2022513718 A JP2022513718 A JP 2022513718A JP 2022513718 A JP2022513718 A JP 2022513718A JP 7459935 B2 JP7459935 B2 JP 7459935B2
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Description

開示の技術は、推定方法、シミュレーション方法、推定装置、及び推定プログラムに関する。
オフィスビル又は商業施設等に設置された空調機器等の消費エネルギーを削減することを目的として、過去の温度又は人の混雑具合を表す観測データに基づき室内温度を予測する技術が知られている(例えば、特許文献1を参照)。特許文献1に開示されている技術は、室内温度の予測結果に基づいて空調機器を制御する。なお、特許文献1に開示されている技術では、室内の温度再現手法として機械学習的手法が用いられている。
特開2019-060514号公報
ところで、室内温度の変化を機械学習的な手法により予測する場合には、過去のデータが大量に必要とされる。一方、通常営業中の建物では、快適性を損なわないために室内環境を一定に保つように空調機器の制御が行われる。このため、営業中の建物において空調機器を制御する際には、パラメタは通常変更されない。
このような特定の環境下では、偏ったデータしか取得されないため、過去のデータに基づいて、空調機器が室温へ及ぼす影響を所定のモデルに学習させることは困難である。そのため、室内温度の変化を予測する場合には、過去のデータに依存しないCFD(Computational Fluid Dynamics)のようなシミュレータを用いることが有効であると考えられる。
一方、CFDのようなシミュレーションを用いて対象空間内の温度の変化を精密に予測するためには、温度の変化に影響を及ぼしうる境界条件を適切に設定する必要がある。しかし、オフィスビル又は商業施設のような建物では、直接計測することが不可能である境界条件が存在する。
例えば、空調機器の吹出し口の風量は、空調機器の配置又は空調機器の経年劣化により、カタログに掲載されている仕様とは異なる場合がある。そのため、空調機器の吹き出し口にセンサが取り付けられていない場合、個々の吹き出し口の風量を経時的に計測することは困難である。更に、人の出入りのある建物では、建物空間内に侵入する外気といった時間変化する境界条件が存在する。
このような理由により、既存のシミュレーション手法を用いて対象空間内の温度の予測する際に、境界条件を適切に推定することは困難である、という課題がある。
開示の技術は、上記の点に鑑みてなされたものであり、シミュレーションにより対象空間内の温度の予測する際に用いられる境界条件を、適切に推定することを目的とする。
本開示の第1態様は、対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を推定する推定方法であって、前記対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、前記境界条件を設定し、設定された前記境界条件に基づいて、前記対象空間内のシミュレーションを実行することにより、前記観測データの予測値を計算し、前記シミュレーションにより計算された前記観測データの予測値と前記観測データの実測値との間の誤差を計算し、前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて前記境界条件を推定する、処理をコンピュータが実行する推定方法である。
本開示の第2態様は、対象空間内の温度の変化を予測するためのシミュレーションに用いられる複数の境界条件を推定するための推定方法であって、前記対象空間に関連する複数の種類の観測データを取得し、前記複数の種類の観測データと前記複数の観測データに対する重みを含むパラメタとに基づいて、前記複数の境界条件を推定する、処理をコンピュータが実行する推定方法であり、前記複数の種類の観測データは、前記対象空間内の温度と、前記対象空間内の温度に影響を与える対象空間外のデータと、前記対象空間内の温度に影響を与える対象空間内のデータと、前記対象空間内における対象空間内の温度に影響を与える機器の設定データとを含むデータである、推定方法である。
本開示の第3態様は、対象空間内の気温のシミュレーションに用いられる境界条件を推定する推定装置であって、前記対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、前記境界条件を設定する境界条件設定部と、設定された前記境界条件に基づいて、前記対象空間内のシミュレーションを実行することにより、前記観測データの予測値を計算するシミュレーション実行部と、前記シミュレーションにより計算された前記観測データの予測値と前記観測データの実測値との間の誤差を計算する誤差計算部と、前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて前記境界条件を推定するパラメタ推定部と、を含む推定装置である。
本開示の第4態様は、対象空間内の気温のシミュレーションに用いられる境界条件を推定する推定プログラムであって、前記対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、前記境界条件を設定し、設定された前記境界条件に基づいて、前記対象空間内のシミュレーションを実行することにより、前記観測データの予測値を計算し、前記シミュレーションにより計算された前記観測データの予測値と前記観測データの実測値との間の誤差を計算し、前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて前記境界条件を推定する、処理をコンピュータに実行させるための推定プログラムである。
開示の技術によれば、シミュレーションにより対象空間内の温度の予測する際に用いられる境界条件を、適切に推定することができる。
本実施形態に係る推定装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る推定装置10の機能構成を示すブロック図である。 本実施形態に係るシミュレーション装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。 本実施形態に係るシミュレーション装置20の機能構成を示すブロック図である。 本実施形態に係る推定処理の一例を示す図である。 境界条件の設定の具体例を説明するための図である。 境界条件の設定の具体例を説明するための図である。 本実施形態に係るシミュレーション処理の一例を示す図である。 実施例の結果を示す図である。
以下、開示の技術の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一又は等価な構成要素及び部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
本実施形態では、時間的に変化する境界条件又は直接的に測定することが不可能である境界条件を所定のモデルで表現する。このモデルは、パラメタを持つ関数であってもよい。そして、本実施形態の推定装置10は、対象空間に設置されたセンサによって計測されたデータを表す観測データの各時刻の実測値に基づいて境界条件に含まれるパラメタを推定し、そのパラメタを用いて境界条件を推定する。ここで、観測データと境界条件について説明する。観測データとは、温度センサや風力センサによって観測されたセンサデータそのものを指し、境界条件とは、対象空間(対象の施設)内の境界面に関するシミュレーションの拘束条件である。更に、本実施形態のシミュレーション装置20は、推定装置10により推定された境界条件を用いて対象空間内の温度のシミュレーションを実施する。これにより、所定の境界条件が存在しない場合であっても、当該境界条件と関連する観測データを取得できていれば対象空間の温度の変化を予測することができる。
以下、具体的に説明する。
図1は、推定装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、推定装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12又はストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12又はストレージ14に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12又はストレージ14には、シミュレーションに用いる境界条件を推定するための推定プログラムが格納されている。
ROM12は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
表示部16は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
通信インタフェース17は、携帯端末又はセンサ等の他の機器と通信するためのインタフェースである。当該通信には、たとえば、イーサネット(登録商標)若しくはFDDI等の有線通信の規格、又は、4G、5G、若しくはWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
次に、推定装置10の機能構成について説明する。
図2は、推定装置10の機能構成の例を示すブロック図である。推定装置10は、対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を推定する。
図2に示すように、推定装置10は、機能構成として、観測データ取得部101、データ成型部102、観測データ記憶部103、シミュレーションモデル定義取得部104、シミュレーションモデル定義部105、シミュレーションモデル記憶部106、最適化設定取得部107、最適化設定部108、境界条件設定部109、シミュレーション実行部110、予測温度記憶部111、誤差計算部112、パラメタ更新部113、及びパラメタ記憶部114を有する。パラメタ更新部113は、本開示のパラメタ推定部の一例である。各機能構成は、CPU11がROM12又はストレージ14に記憶された推定プログラムを読み出し、RAM13に展開して実行することにより実現される。
観測データ取得部101は、対象空間に関連するデータである観測データの実測値を取得する。なお、観測データの実測値は、外部のセンサ装置、BEMS(Building and Energy Management System)に関するデータを計測する装置、又は空調システムにより測定されたデータ等である。例えば、観測データ取得部101は、観測データの実測値を、ネットワーク等を介して取得する。
具体的には、本実施形態の観測データには、対象空間内の室内温度又は室内湿度を表す温度湿度データ(以下、単に「室温データ」と称する。)が含まれる。また、観測データには、対象空間の外気温度、外気湿度、風速、又は天気(例えば、日射量)を表す気象データが含まれる。
また、観測データには、空調機器の給気温度、空調機器の給気湿度、空調機器の給気風量、又は空調機器のバルブ開度といったデータを表すBEMS(Building and Energy Management System)データが含まれる。なお、BEMSデータには、空調機器のファンコイルユニットのON若しくはOFF、空調機器の排気バルブ開度、又は空調機器の排気ファンのON若しくはOFFといったデータも含まれる。これらのデータは、空調の運転状況を表す運転情報の一例である。
また、観測データには、対象空間内のある領域を通行する人の動き又は動きの量を計測したデータである人流量を表す人流データが含まれる。また、観測データには、対象空間の一例である店舗の営業時間、又はイベントが開催される時刻を表すイベント時刻といったその他のデータが含まれる。
なお、観測データ取得部101は、センサによって計測された過去のデータだけでなく、線形回帰等の手法を用いて予測された未来のデータを観測データとして取得してもよい。観測データの詳細は後述する。
データ成型部102は、観測データ取得部101により取得された観測データの実測値に基づいて、当該観測データの実測値を、対象空間内の温度のシミュレーションに利用可能な形式へ成型する。具体的には、データ成型部102は、温湿度計等の各センサの設置位置と、各センサによって計測された観測データの実測値とに基づいて、3次元空間内の観測データを空間補完する。これにより、対象空間内の3次元上の各箇所の観測データが得られる。また、データ成型部102は、各観測データの実測値が計測された場所への対応付けを行う。これにより、対象空間内の各エリアと観測データとが紐づけられ、どのエリアでどのような観測データが得られたのかが判別可能となる。
観測データ記憶部103には、データ成型部102により成型された観測データの実測値が格納される。
シミュレーションモデル定義取得部104は、対象空間の大きさ、後述する温度のシミュレーションが実行される際の計算単位となる計算格子の大きさ、対象空間における外気流入口、又は対象空間内の空調吹出し口等を表す定義データを取得する。定義データには、例えば、外気流入口の位置及び個数等が定義される。定義データは、シミュレーションモデルを定義する際に用いられるデータであり、例えば、ユーザによって設定される。
シミュレーションモデル定義部105は、シミュレーションモデル定義取得部104によって取得された定義データに基づいて、対象空間の構造の定義、シミュレーションの際の計算格子の生成、及び境界の設定を行う。そして、シミュレーションモデル定義部105は、対象空間内の温度のシミュレーションを実行するための構造モデルであるシミュレーションモデルを構築する。そして、シミュレーションモデル定義部105は、構築したシミュレーションモデルをシミュレーションモデル記憶部106へ格納する。
シミュレーションモデル記憶部106は、シミュレーションモデル定義部105によって構築されたシミュレーションモデルが格納される。
最適化設定取得部107は、境界条件のパラメタを最適化する際の設定データを取得する。設定データには、最適化の対象とする期間若しくは要素、又は、予測値と実測値との間の誤差の算出単位若しくは算出方法等が記述されている。設定データは、例えば、ユーザによって予め設定される。設定データに基づいて、対象空間内の温度のシミュレーションにより得られる予測値と実測値との間の誤差が小さくなるように境界条件のパラメタが最適化される。設定データの詳細は後述する。
最適化設定部108は、最適化設定取得部107により取得された設定データに基づいて、境界条件のパラメタの最適化に用いるデータ期間、最適化を行うパラメタの要素、及び誤差の算出方法を設定する。
境界条件設定部109は、観測データ記憶部103に格納された、対象空間に関連する観測データの実測値と、当該観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、対象空間内の気温のシミュレーションに用いられる境界条件を設定する。
具体的には、境界条件設定部109は、シミュレーションモデル記憶部106に格納されているシミュレーションモデルに対し、設定データに応じて最適化設定部108により設定されたデータを参照し、観測データ記憶部103に格納されている観測データ、及びパラメタ記憶部114に格納されている境界条件のパラメタに基づいて各境界条件を設定する。
なお、境界条件設定部109は、シミュレーションの初期値として、観測データ記憶部103に格納されている観測データ(例えば、室内温度、気圧、又は流速等)又は一定値を設定する。
シミュレーション実行部110は、境界条件設定部109により設定された境界条件に基づいて、対象空間内のシミュレーションを実行することにより、対象空間に関連する観測データの予測値を計算する。
具体的には、シミュレーション実行部110は、境界条件設定部109により設定された境界条件及び初期値に応じて、シミュレーションモデル記憶部106に格納されているシミュレーションモデルを予め定められた時間単位ずつ実行し、各時刻のシミュレーション結果を得る。そして、シミュレーション実行部110は、各時刻のシミュレーション結果を予測温度記憶部111へ格納する。
予測温度記憶部111には、シミュレーション実行部110により計算されたシミュレーション結果である、各時刻の温度の予測結果が保存される。
誤差計算部112は、予測温度記憶部111に格納された観測データの予測値と、観測データ記憶部103に格納された観測データの実測値との間の誤差を計算する。具体的には、誤差計算部112は、設定データに応じて最適化設定部108により設定されたデータを参照し、ある時間区間における、観測データ記憶部103に格納されている各時刻の観測データの実測値と、予測温度記憶部111に格納された各時刻の観測データの予測値との間の誤差を計算する。
パラメタ更新部113は、誤差計算部112により計算された誤差が小さくなるように境界条件のパラメタを更新する。そして、パラメタ更新部113は、更新したパラメタをパラメタ記憶部114へ格納する。パラメタの更新方法の詳細は後述する。
パラメタ記憶部114には、パラメタ更新部113によって更新されたパラメタが格納される。
なお、境界条件設定部109による境界条件の設定、誤差計算部112による誤差の計算、及びパラメタ更新部113によるパラメタの更新が繰り返され、所定の繰り返し条件が満たされた場合に繰り返し処理が終了する。この結果、境界条件を設定するための適切なパラメタが得られる。
パラメタ更新部113は、繰り返し処理の結果得られたパラメタに基づいて、シミュレーションに用いられる境界条件を推定する。そして、パラメタ更新部113は、推定された境界条件をパラメタ記憶部114に格納する。
これにより、対象空間内の温度のシミュレーションを実行する際に用いられる適切な境界条件が得られたことになる。後述するシミュレーション装置20は、推定装置10により推定された境界条件又はパラメタを用いて、対象空間内の温度のシミュレーションを実行し、温度の予測処理を実行する。
図3は、シミュレーション装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。図1に示すように、シミュレーション装置20は、CPU(Central Processing Unit)21、ROM(Read Only Memory)22、RAM(Random Access Memory)23、ストレージ24、入力部25、表示部26及び通信インタフェース(I/F)27を有する。各構成は、バス29を介して相互に通信可能に接続されている。
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22又はストレージ24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22又はストレージ24に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM22又はストレージ24には、対象空間内の温度のシミュレーションを実行するためのシミュレーションプログラムが格納されている。
ROM22は、各種プログラム及び各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。ストレージ24は、HDD(Hard Disk Drive)又はSSD(Solid State Drive)等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、及び各種データを格納する。
入力部25は、マウス等のポインティングデバイス、及びキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
表示部26は、例えば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部26は、タッチパネル方式を採用して、入力部25として機能しても良い。
通信インタフェース27は、携帯端末及びセンサ等の他の機器と通信するためのインタフェースである。当該通信には、たとえば、イーサネット(登録商標)若しくはFDDI等の有線通信の規格、又は、4G、5G、若しくはWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
次に、シミュレーション装置20の機能構成について説明する。
図4は、シミュレーション装置20の機能構成の例を示すブロック図である。
図4に示すように、シミュレーション装置20は、機能構成として、初期データ記憶部203、シミュレーションモデル記憶部206、境界条件設定部209、シミュレーション実行部210、予測温度記憶部211、及びパラメタ記憶部214を有する。各機能構成は、CPU21がROM22又はストレージ24に記憶されたシミュレーションプログラムを読み出し、RAM23に展開して実行することにより実現される。
初期データ記憶部203には、シミュレーションを実行するために必要な初期データが格納される。初期データについては後述する。
シミュレーションモデル記憶部206には、推定装置10のシミュレーションモデル記憶部106と同様に、シミュレーションモデルが格納される。
再現設定取得部207は、ユーザから入力された再現設定データを取得する。再現設定データは、ユーザによって設定され、対象空間内の温度のシミュレーションを実施する際の各種条件が含まれている。再現設定データの詳細は後述する。
再現設定部208は、再現設定取得部207により取得された再現設定データに基づいて、対象空間内の温度のシミュレーションを実施する際の各種条件の設定を行う。
境界条件設定部209は、推定装置10の境界条件設定部109と同様の機能を有する。
シミュレーション実行部210は、推定装置10のシミュレーション実行部110と同様の機能を有する。
予測温度記憶部211は、推定装置10の予測温度記憶部111と同様の機能を有する。
パラメタ記憶部214は、推定装置10によって推定されたパラメタ又は境界条件が格納される。本実施形態では、パラメタ記憶部214に、推定装置10によって推定されたパラメタが格納されている場合を例に説明する。
次に、推定装置10の作用について説明する。
図5は、推定装置10による推定処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から推定プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、推定処理が行われる。
ステップS100において、CPU11は、観測データ取得部101として、対象空間に関連する観測データの実測値を取得する。
ステップS101において、CPU11は、データ成型部102として、上記ステップS100で取得された観測データの実測値を成型する。そして、CPU11は、データ成型部102として、成型した観測データの実測値を観測データ記憶部103へ格納する。
ここで、データ成型部102は、対象の空間内の各箇所の観測データの実測値を拡張して3次元空間上のデータへ成型する際に、例えば、クリギング(例えば、以下の非特許文献1を参照)を用いることができる。なお、データ成型部102は、線形補間等のその他の手法を用いて、観測データの実測値を3次元空間上のデータへと変換することも可能である。
非特許文献1:SHOJI, Tetsuya, and Katsuaki KOIKE. ”Kriging‐Estimation of Spatial data taking account of error.” Journal of the Geothermal Research Society of Japan 29.4 (2007): 183‐194.
以下の表1に、データ成型部102により成型された観測データの実測値の例を示す。観測データ記憶部103に格納される観測データは、例えば、データが計測された時刻、観測データの種類を表すデータ種類、入力されたデータの識別情報を表す入力データ番号、観測データが表す実測値の値、観測データが計測された位置、及び観測データが計測された位置が属する対応エリアを含む。
データ種類とは、例えば、人流量又は外気温度といったデータの種類を識別するための文字列情報である。入力データ番号とは、データ種類を計測地点別にカウントした番号であり、データの識別情報である。位置とは、観測データが測定された地点又は空間補完により3次元化されたときの対応座標を表す。対応エリアとは、シミュレーションモデル定義取得部104によって取得された定義データに含まれるデータに基づいて設定される情報であり、ユーザにより定義される。対応エリアは、後述するエリア区分のうち、当該観測データが計測された位置が含まれるエリアを示す。
ステップS102において、CPU11は、シミュレーションモデル定義取得部104として、シミュレーションモデルの定義データを取得する。定義データは、例えば、ユーザによって入力される。
ステップS103において、CPU11は、シミュレーションモデル定義部105として、上記ステップS102で取得された定義データに基づいて、シミュレーションモデルを構築する。そして、CPU11は、シミュレーションモデル定義部105として、シミュレーションモデルをシミュレーションモデル記憶部106に格納する。
シミュレーションモデルを定義する場合、シミュレーションモデル定義部105は、シミュレーションの対象空間を格子状の構造にモデル化し、外気流入口、空調吹き出し口、及び排気口といった境界の位置の設定を行う。
この場合、シミュレーションモデル定義部105は、対象空間のサイズ、計算格子のサイズ、外気流入口、空調吹出し口、排気口、及び発熱体といった境界の位置情報を、定義データから取得する。また、シミュレーションモデル定義取得部104は、計算の時間単位、及び乱流又は層流の何れかを示す気流変動のモデル等、シミュレーションに必要な情報についても同様に定義データから取得する。
表2は、シミュレーションモデル定義取得部104が取得する定義データの一例である。表2に示される定義データは、ユーザによって予め設定される。
なお、定義データによって設定されるシミュレーションモデルは、3DCAD(3 Dimensional computer‐aided design)等のアプリケーションで事前に作成した3次元モデルであってもよい。この場合には、3DCAD等により作成された3次元モデルが入力された場合に、自動的に読み取られるように構成しても良い。
上記表2の「新規作成/既存モデル」のカラムは、既存の3次元モデルを入力するか、又は新たに設定値モデルを作成するかを選択する際に用いられる。
「新規作成/既存モデル」のカラムにて「既存モデル」が設定されている場合、シミュレーションモデル定義部105は、上記表2の「既存モデルファイルパス」のカラムにて指定されるファイルを読み出し、シミュレーションモデルを作成する。
一方、シミュレーションモデル定義部105は、「新規作成/既存モデル」のカラムにて「新規」が設定されている場合、「全体構造サイズ」のカラム、「計算格子サイズ」のカラム、及び「境界面」のカラムに格納された各データに基づいて、新規のシミュレーションモデルを作成する。具体的には、シミュレーションモデル定義部105は、全体構造サイズによりX軸、Y軸、Z軸方向の大きさを定義した直方体に対し、計算格子サイズで設定される計算格子ごとに全体構造を分割した3次元メッシュ構造を作成する。そして、シミュレーションモデル定義部105は、この3次元メッシュ構造に対し、「境界面」のカラムに含まれる「外気流入口」のカラム、「空調吹出し口」のカラム、「排気口」のカラム、及び「発熱体」のカラムに定義される境界位置に当該の境界を設定する。
なお、上記表2の「境界面」のカラムには、2点の座標が示されている。この2点は、各辺がX軸、Y軸、Z軸のうちいずれかの2軸に平行な2つ代表点により定義される長方形を示すための2点を意味する。例えば、「外気流入口」には、2点座標[(0,10,0),(0,80,200)]が示されているが、この2点座標により定義される位置・大きさの長方形が1つの外気流入口の面を表している。
なお、対象空間である建物構造に応じて、上記以外の境界面が存在する場合は、当該の境界についても「境界面」のカラムに含むことができる。上記表2の「エリア区分」のカラムは、全体の対象空間を複数に分割し、それぞれに対して条件の設定や予測値の評価を行うために、ユーザにより定義される情報である。上記表2の「エリア区分」は、エリアの識別情報とそのエリアに対応する空間を示す値とを含む。例えば、上記表2における「エリア区分」には、[1:(0,10,0),(0,80,200)]が示されているが、この情報のうちの「1」がエリアの識別情報であり、「(0,10,0),(0,80,200)」がそのエリアに対応する空間を表している。なお、エリアに対応する空間は、各辺がX軸、Y軸、Z軸に平行な2つ代表点により定義される直方体を示している。
なお、上記表2の例における「全体構造のサイズ」は、各辺がX軸、Y軸、Z軸に平行な2つ代表点により定義される直方体を示している。この各エリアの空間の表現方法は表2の例には限定されず、対象空間に含む格子状の座標を個別に記載する方法でも良いし、特定の条件式により記載しても良い。
上記表2の「計算時間単位」のカラムは、1回のシミュレーションの実行に際してシミュレーションを行う時間単位を示す。また、上記以外の設定値が含まれていてもよく、例えば、シミュレーション実行時に乱流と仮定するか否かを示す乱流カラム等の情報が含まれていても良い。
また、シミュレーションモデル記憶部106には、シミュレーションモデルの他に、以下の表3に示される境界条件マトリクス、表4に示されるシミュレーション実行パラメタマトリクス、及び表5に示されるエリア区分マトリクスが格納される。
境界条件マトリクスは、シミュレーションモデル定義部105が取得した定義データのうちの「境界面」に記載される各境界の情報が、境界条件毎にリスト化されて格納される。境界条件マトリクスの「境界面番号」のカラムは、上記表2の定義データの「境界面」のカラムに記述される全ての境界のうち、何番目のものかを示す識別情報である。
また、境界条件マトリクスの「要素」のカラムは、それぞれの境界条件が室内環境へ影響を及ぼすどのような要素に対応するのかを示す値である。例えば、上記表2の定義データの「外気流入口」のカラムに定義される境界面であれば、境界条件マトリクスに対応する「要素」は「外気」となる。また、上記表2の定義データの「空調吹出し口」のカラムに定義される境界面であれば、境界条件マトリクスに対応する「要素」は「空調」となる。また、上記表2の定義データの「発熱体」のカラムに対応する、境界条件マトリクスの「要素」は「発熱」というように設定される。
境界条件マトリクスの「設定対象」のカラムは、それぞれの境界面に対して設定される設定項目を示す。たとえば、外気流入口、空調吹き出し口には、温度および流束が設定される。排気口に対しては圧力を、発熱体には熱量を設定する。なお、この設定項目については、温度、圧力、風速、風量、熱拡散率、乱流エネルギー、乱流エネルギー散逸、乱流エネルギー散逸比率、乱流粘性係数、レイノルズ応力テンソル、エンタルピー、及び内部エネルギーといった項目を複数含むことができる。
境界条件マトリクスの「場所」のカラムは、上記表2の定義データの「境界面」のカラムにて設定された各境界の位置を示すものである。
境界条件マトリクスの「エリア番号」のカラムは、境界の存在する位置が、上記表2の定義データの「エリア区分」のカラムに記載されるエリアのうちどれに含有されるかを示す。
実行パラメタマトリクスには、シミュレーションに必要な構造情報以外のパラメタが格納される。実行パラメタマトリクスに格納される各情報は、定義データに含まれる値又はシステムにより予め定義された値を示している。なお、モデル出力ステップ単位は、シミュレーションモデルから出力される結果の時間単位を表す。
エリア区分マトリクスには、上記表2の定義データの「エリア区分」のカラムに記載された、各エリア名と、その対象とする空間を示す値が含まれている。
ステップS104において、CPU11は、最適化設定取得部107として、設定データを取得する。
ステップS105において、CPU11は、最適化設定部108は、上記ステップS104で取得された設定データに基づいて、最適化に関する各種設定を行う。
具体的には、最適化設定部108は、最適化設定取得部107により取得された設定データに基づいて、パラメタ最適化に用いるデータ期間、最適化を行うパラメタの要素、及び後述する誤差の算出方法等を設定する。
表6は、最適化設定取得部107により取得される設定データの一例である。
上記表6の設定データのうちの「最適化番号」は、当該行が何番目に実行されるかを表す。このため、最適化設定部108が本ステップS105を初めて実行する場合は、最適化番号が0の行についての設定を実行する。一方、最適化設定部108が、後述するステップS113における判定処理の後、再度本ステップS105を実行する場合は、前回実行時の「最適化番号」の次に大きい最適化番号の値を有する行について設定を行う。
上記表6の設定データのうちの「日付指定」のカラムでは、シミュレーションを実行する日の期間が定められている。また、設定データのうちの「時間指定」のカラムでは、一日のうちでシミュレーションを実行する時間帯が定められている。また、設定データのうちの「対象日選択方法」のカラムでは、「日付指定」のカラムに指定される期間に含まれる日が複数あった場合に、シミュレーション実行日を決定する方法が定められている。
上記表6の設定データのうちの「最適化要素」のカラムは、最適化を行う境界条件を限定したい場合にその要素を指定することができる。なお、この要素とは、境界条件マトリクスの「要素」のカラムと同一のものを表す。また、設定データのうちの「誤差算出単位」のカラムは、実測値と予測値の誤差を算出する際に、どのような単位で算出するかを表す。また、設定データのうちの「対象範囲」のカラムは、誤差算出単位に指定される範囲のうち限定する領域を指定する。また、設定データのうちの「誤差計算方法」のカラムは、誤差の計算方法を指定する。また、設定データのうちの「最適化手法」のカラムは誤差に基づくパラメタ更新方法を指定する。また、設定データのうちの「停止条件」のカラムは、当該の最適化設定を終了するための条件を指定する。
ステップS106において、CPU11は、境界条件設定部109として、境界条件の設定のために対象時刻の決定及び対象時刻の観測データを取得する。
なお、境界条件設定部109が本ステップS106を初めて実行する場合、又は、後述するステップS113での判定後、新たな最適化設定において初めて本ステップS106を実行する場合には、まず、最適化設定取得部107によって取得された設定データのうちの「対象日選択方法」に基づいて、シミュレーションを実行する対象の「日」を決定する。
例えば、境界条件設定部109は、設定データの「対象日選択方法」のカラムが「ランダム」の場合は、「日付指定」のカラムに指定される期間に含まれる日の中からランダムに日を選定する。また、境界条件設定部109は、設定データの「対象日選択方法」のカラムが「昇順」の場合は、「日付指定」のカラムに指定される期間に含まれる日のうち、最小の「日」から順に選定する。
このようにして選定された日に対して、境界条件設定部109は、設定データの「時間指定」のカラムが設定されている場合、時間指定の最初の時刻に該当する観測データを観測データ記憶部103より読み出す。境界条件設定部109は、「時間指定」のカラムが指定されていない場合には、当該日における観測データ記憶部103に存在する観測データのうち、最も早い時刻に対応するデータを抽出する。
境界条件設定部109が、後述するステップS109における判定により再度本ステップS106を実行する場合、又は、後述するステップS112の判定により再度本ステップS106を実行する場合、前回のシミュレーション時刻に対し、シミュレーションモデル記憶部106に格納されているシミュレーション実行パラメタマトリクスに保存されているシミュレーション時間単位だけ進んだ時間を新たな対象時刻とし、対象時刻の観測データを取得する。
このとき、境界条件設定部109は、新たに決定された対象時刻に対応する観測データの実測値が存在しない場合又は対象時刻が24:00を超えた場合、設定データの「対象日選択方法」に記述されている情報に基づいて、次のシミュレーション実行日を選定する。
例えば、境界条件設定部109は、設定データの「対象日選択方法」のカラムが「ランダム」の場合は、設定データの「日付指定」のカラムに指定される期間に含まれる日の中からランダムに選定する。また、境界条件設定部109は、設定データの「対象日選択方法」のカラムが「昇順」の場合は、設定データの「日付指定」のカラムに指定される期間に含まれる日のうち、前回に選定した日付の次に小さい日付を選択する。
また、境界条件設定部109は、新たに選択された日に対して、選定された日に対して、設定データの「時間指定」のカラムが設定されている場合、時間指定の最初の時刻を対象時刻として、対象時刻に該当する観測データの実測値を観測データ記憶部103から読み出す。一方、境界条件設定部109は、設定データの「時間指定」のカラムが指定されていない場合には、当該日における観測データ記憶部103に存在する観測データのうち、最も早い時刻を対象時刻として、対象時刻に対応するデータを読み出す。
ステップS107において、CPU11は、境界条件設定部109として、上記ステップS106で取得された観測データの実測値と、取得された観測データの実測値に対する重み付けを含むパラメタとに基づいて境界条件を設定する。
具体的には、境界条件設定部109は、パラメタ記憶部114に格納されたパラメタを読み出し、観測データ記憶部103から抽出された当該時刻のデータを関数に代入することで、境界条件の設定値を算出する。この関数とは、例えば以下の式1又は以下の式2のような重みパラメタを含む線形関数である。この場合の計算方法については、境界条件設定の具体例1及び具体例2において説明する。
以下の表7は、式1および式2の場合にパラメタ記憶部114に格納される重みパラメタの例を示している。
上記表7の「パラメタ番号」のカラムには、パラメタの識別情報としての数字が格納される。「パラメタ番号」のカラムに格納される数字は、重みパラメタのうち何番目かを示す数字である。上記表7の「対応入力データ項目番号」のカラムは、観測データ記憶部103に格納される観測データの「入力データ番号」に相当する値である。また、上記表7の「設定対象の境界条件番号」のカラムは、シミュレーションモデル記憶部106の境界条件番号に対応する値を示す。また、上記表7の「Weight or bias」のカラムは、当該の境界条件算出に対して、対応入力データに対する重みパラメタなのか、切片パラメタなのかを識別するための情報が格納されている。上記表7の「値」のカラムには、パラメタの値が格納される。
なお、境界条件のパラメタの保存形式は、上記表7に限らず、例えば、「入力データ項目番号」と「境界条件番号」を行と列に持ったweight行列及び「境界条件番号」に対応するbiasベクトルという形式で保存することも可能である。
また、境界条件を定める関数は、式1、式2のような線形関数のみならず、多次元関数、指数関数、対数関数、三角関数、及び双曲線関数等で表現することも可能である。いずれの関数の場合においても、関数の中に含まれるパラメタはパラメタ記憶部114に同様に格納される。
(境界条件の設定の具体例1)
以下、上記(式1-1)~(式1-8)について説明する。iは「境界条件番号」に対応する。室内温度、外気温度、外気風速、日射量、人流量、給気温度、給気風量、バルブ開度、排気バルブ開度、及び店舗営業フラグは、上記ステップS106で予め1時点のみ抽出した、観測データ記憶部103に格納された観測データの実測値のうち、「データ種類」のカラムに対応する表記が一致するデータについて、値カラムに存在する数値を示す。
aはシミュレーションモデル記憶部106に保存される「境界条件番号」がiのデータのエリア番号を示す。例えば、室内温度aは、観測データ記憶部103に保存される当該時刻の、「データ種類カラム」が「室内温度」であるデータのうち、対応エリアがaと同等であるデータの値カラムの数値を示す。なお、「対応エリア」がaと同等であるデータが複数存在する場合は、それらの平均値を対象の数値として扱うことが可能である。
T_oは、外気流入口に対応する境界における温度の設定値を表す。また、U_oは外気流入口における風量の設定値を表す。また、T_vは空調吹出し口における温度の設定値を表す。U_vは空調吹出し口に対応する風量の設定値を表す。U_eは排気口に対応する風量の設定値を表す。W_inは内部発熱に対応する境界における発熱量の設定値を表す。T_wは壁面に対応する境界の温度の設定値を表す。W_wは壁面に対応する境界の発熱量の設定値を表す。w_otは各外気流入口の境界iの温度設定に対して、入力データの重みづけを表す。b_otは、外気流入口の温度設定に対し、入力データに依存しない境界iに特有のバイアスである。同様に、w_ouは外気流入口の風量設定に対して、気象データの風速又は人流量といった入力データへの重みを表す。b_ouは外気流入口の風量設定に対する、境界iに特有のバイアスを示す。w_vtは空調吹出し口の温度設定に対して、空調の給気温度又は該当エリア温度といった入力データへの重みを表す。b_vtは空調吹出し口の温度設定に対して、境界iに特有のバイアスを示す。w_vuは、空調吹き出し口の風量設定に対しての入力データへの重みを表す。b_vuは、空調吹き出し口の風量設定に対して、境界iに特有のバイアスを示す。w_euは、排気口の風量設定に対して、入力データへの重みを表す。b_euは、排気口の風量設定に対して、境界iに特有のバイアスを示す。w_iwは内部発熱の発熱量の設定値に対する入力データへの重みづけを表す。b_iwは内部発熱の発熱量の設定値に対して、境界iに特有のバイアスを示す。w_wtは壁面の温度設定に対して入力データへの重みづけを表す。b_wtは壁面の温度設定に対して、境界iに特有のバイアスを示す。w_wwは壁面の発熱量の設定値に対して入力データへの重みづけを表す。b_iwは壁面の発熱量の設定値に対して、境界iに特有のバイアスを示す。
なお、各エリアに対するバルブ開度の情報が存在しない場合、インバータ周波数又はファンコイルユニットのファン駆動時間等で代替することも可能である。
なお、店舗営業フラグは、対象とする所定の空間に店舗が存在する場合、店舗の営業時間に該当するかを示す値である。店舗内の消費電力又はその他の詳細データが存在する場合には、代替することも可能である。なお、店舗が存在しない場合には、式1-6に含まない形態となる。
なお、境界条件として床面温度を更に用いるようにしてもよい。この場合、床面温度の境界条件を設定する場合には、観測データとして室内温度を用いることができる。
図6に、境界条件の設定の具体例1の模式図を示す。例えば、図6に示されるように、外気流入口の温度設定に関する境界条件は、室内温度と外気温度との重み付け和とバイアスとの総和によって表される。その他の境界条件についても、図6に示されるような関係により表される。
(境界条件の設定の具体例2)
境界条件とデータとの関連が式1のように予め定義できない場合、又は関連があると思われるデータ以外のデータからの影響も考慮する場合、以下の式2のようにデータと境界条件の関係を記述することも出来る。式2のiは境界条件番号を表し、jは入力データ番号を表す。
なお、yがi番目の境界条件を表し、xがj番目の観測データの値を表し、Jは境界条件の設定に用いられる観測データの総数を表す。図7に、境界条件の設定の具体例2の模式図を示す。例えば、図7に示されるように、ニューラルネットワークモデルを用いて、境界条件と観測データとの間の関係を定義してもよい。
境界条件設定部109は、シミュレーションモデル記憶部106に格納されたシミュレーションモデルに対し、上記の手段によって算出された境界条件の設定を行う。境界条件の設定の完了をもって、境界条件設定部109は、シミュレーション実行部110に対して、シミュレーション実行の指令及び境界条件が設定されたシミュレーションモデルを出力する。
ステップS108において、CPU11は、シミュレーション実行部110として、上記ステップS107で設定された境界条件に基づいて、対象空間内の温度のシミュレーションを実行する。
具体的には、シミュレーション実行部110は、境界条件設定部109からシミュレーションモデル及びシミュレーションの実行指令を受け取った場合、対象空間内の温度のシミュレーションを実行する。
そして、シミュレーション実行部110は、シミュレーションの実行により得られた予測温度を、予測温度記憶部111へ格納する。なお、シミュレーション実行部110は、例えば、CFDによる数値シミュレーションを用いてもよいし、境界条件から対象空間内の温度若しくは温度変化を関連付けることで得られたモデルを用いてもよい。
ステップS109において、CPU11は、シミュレーション実行部110として、ステップS106からステップS108の繰り返しにより進んだ当該時刻が、最適化設定取得部107により取得された設定データのパラメタ更新タイミングに指定される期間を超えているか否かを判定することにより、シミュレーションを終了するか否かを判定する。S106からS108の繰り返しにより進んだ当該時刻が、パラメタ更新タイミングに指定される期間を超えている場合、ステップS110へ進む。一方、S106からS108の繰り返しにより進んだ当該時刻が、パラメタ更新タイミングに指定される期間を超えていない場合、ステップS106へ戻る。
ステップS110において、CPU11は、誤差計算部112として、上記ステップS108でシミュレーションにより計算された観測データの予測値と、観測データ記憶部103に格納された観測データの実測値との間の誤差を計算する。
具体的には、誤差計算部112は、最適化設定取得部107により取得された設定データにて設定された「誤差算出単位」のカラム、「対象範囲」のカラム、及び「誤差算出方法」のカラムを参照し、予測温度記憶部111に格納されたシミュレーション結果と、観測データ記憶部103に格納された観測データの実測値との間の誤差を計算する。
誤差計算部112は、誤差を計算する際に、上記ステップS104で取得された設定データの「誤差計算方法」のカラムの設定値を参照し、その誤差計算方法によって誤差を計算する。この設定値には、「MSE」(Mean Square Error;式3-1)、「RMSE」(Root Mean Square;式3-2)、「MAE」(Mean Absolute Error;式3-3)、「EVS」(Explained Variance Score;式3-4)、「相関係数」(式3-5)、「共分散係数」(式3-6)、「コサイン類似度」(式3-7)、「クロスエントロピー」(式3-8)などの誤差計算方法を用いてもよいが、誤差を算出するための指標を制限するものではない。目的に応じて誤差を適宜設計すればよい。
また、予測値と実測値の前時刻との差分に対して、前述の誤差評価方法を用いることを可能である。なお、上記式3中のobsは実測値の各時点の値、predはシミュレーションにより得られた予測値である。
なお、設定データにて指定される「誤差算出単位」のカラムの設定値は、例えば、「全空間」、「エリア」、又は「特定点」が設定可能である。
設定データにて「全空間」と指定された場合は、予測温度記憶部111に格納される当該時刻についてシミュレーションされた3次元空間の全格子点の予測値及び観測データ記憶部103に格納される、3次元に空間補完された当該時刻の全格子点の補完値に対し、誤差が算出される。
設定データにて「エリア」が指定された場合には、各エリアに対応する空間それぞれに対して別個に誤差が算出される。
設定データにて「特定点」が指定された場合は、指定された点に対してそれぞれに誤差が算出される。
なお、設定データに指定される「対象範囲」のカラムには、対象空間の制約を記載することが可能である。座標の制約式や、対象エリアの記載が可能であり、例えば、「Y=120」と入力があった場合には、Y=120に該当する平面のみを誤差の計算対象とする。また、「エリア=1or2」と入力があった場合には、観測データ記憶部103に格納される「対応エリア」のカラムが1又は2である空間についてのみ誤差の計算対象とする。
ステップS111において、CPU11は、パラメタ更新部113として、上記ステップS110で計算された誤差が小さくなるように、境界条件のパラメタを更新する。
パラメタ更新部113によるパラメタ更新の手法は、上記ステップS104で取得された設定データにて最適化手法の項に設定された手法を用いる。パラメタ更新にあたっては、制限付き非線形最適化法(非特許文献2)、遺伝的アルゴリズム(非特許文献3)、焼きなまし法(非特許文献4)、及びグリッドサーチ(非特許文献5)といった各種最適化手法が用いられる。また、パラメタの更新対象は、設定データの「最適化要素」の項目に入力されたものとする。パラメタ更新の対象にふくまれない要素については、パラメタの更新は行われない。
非特許文献2:Byrd, R. H., J. C. Gilbert, and J. Nocedal. “A Trust Region Method Based on Interior Point Techniques for Nonlinear Programming.” Mathematical Programming, Vol 89, No. 1, 2000, pp. 149―185.
非特許文献3:北野宏明、「遺伝的アルゴリズム」、人工知能学会誌7.1(1992):26-37.
非特許文献4:Kirkpatrick, Scott, C. Daniel Gelatt, and Mario P. Vecchi. ”Optimization by simulated annealing.” science 220.4598 (1983): 671―680.
非特許文献5:https://scikit―learn.org/stable/modules/generated/sklearn.model_selection.GridSearchCV.html
ステップS112において、CPU11は、パラメタ更新部113として、反復計算を終了するか否かを判定する。
具体的には、パラメタ更新部113は、上記ステップS110で計算された誤差又は反復回数が、最適化設定取得部107により取得された設定データの当該行の停止条件カラムに設定される条件を満たすかどうかを判定する。停止条件を満たすと判定された場合、ステップS113へ進む。一方、停止条件が満たされず、継続すると判定された場合、ステップS106へ移行し、ステップS106以降の各処理を再度実施する。
ステップS113において、CPU11は、パラメタ更新部113として、最適化計算を終了するか否かを判定する。
具体的には、パラメタ更新部113は、設定データを参照し、最終処理であるか否かを判定する。最終処理では無い場合、次の最適化番号に対応する最適化処理について、上記ステップS105の処理を実行する。最終処理であると判定された場合、処理を終了する。
次に、シミュレーション装置20の作用について説明する。
図8は、シミュレーション装置20によるシミュレーション処理の流れを示すフローチャートである。CPU21がROM22又はストレージ24からシミュレーションプログラムを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、シミュレーション処理が行なわれる。
図5の推定処理が終了し、すでに最適なパラメタが求められている場合、図8に示すシミュレーション処理を行うことにより、対象空間内の温度の予測を行うことができる。
また、類似の構造をもつ建物においてパラメタ推定が行われている場合、事前に類似施設において推定されたパラメタを流用して使用することも可能である。更には、精度を度外視して予測を行う場合、パラメタの初期値又はユーザがパラメタ記憶部214に保存されるデータ形式と同様の形式で記載したデータを用いて、温度の予測を行うこともできる。
ステップS200において、CPU21は、境界条件設定部209として、シミュレーションモデル記憶部206に格納されたシミュレーションモデルを読み出す。
ステップS201において、CPU21は、再現設定部208として、再現設定取得部207により取得された再現設定データを参照し、対象空間内の温度のシミュレーションを実施する際の各種条件の設定を行う。
再現設定データとは、対象空間内の温度のシミュレーションを実施する際の各種条件を表すデータであり、上記表6の設定データのうちの「日付指定」及び「時間指定」が含まれるデータである。
ステップS202において、CPU21は、境界条件設定部209として、初期データ記憶部203に格納された、対象空間に関連するデータであって、かつ対象空間内の温度のシミュレーションを実行するためのデータである初期データを取得する。
初期データとは、これからシミュレーションを実行する対象空間内における、室温データ、気象データ、BEMSデータ及び人流データ等の初期値である。この初期データに基づいて、後述する処理において境界条件が設定される。
ステップS204において、CPU21は、境界条件設定部209として、上記ステップS202で読み出された初期データと、パラメタ記憶部214に格納されたパラメタとに基づいて、対象空間内の気温のシミュレーションに用いられる境界条件を設定する。
ステップS206において、CPU21は、シミュレーション実行部210として、上記ステップS204で設定された境界条件に基づいて、対象空間内のシミュレーションを実行することにより、対象空間における温度を予測する。
ステップS208において、CPU21は、シミュレーション実行部110として、上記ステップS206で計算された温度の予測結果から対象空間内の温度の予測値を取得し、温度の予測値を予測温度記憶部111に格納する。
以上説明したように、本実施形態の推定装置10は、対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を推定する。具体的には、推定装置10は、対象空間に関連する観測データの実測値と、観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、境界条件を設定する。そして、推定装置10は、設定された境界条件に基づいて、対象空間内のシミュレーションを実行することにより、観測データの予測値を計算する。そして、推定装置10は、シミュレーションにより計算された観測データの予測値と観測データの実測値との間の誤差を計算し、誤差が小さくなるようにパラメタを推定する。そして、推定装置10は、推定されたパラメタに基づいて境界条件を推定する。これにより、シミュレーションにより対象空間内の温度の予測する際に用いられる境界条件を、適切に推定することができる。
また、本実施形態の推定装置10は、対象空間内の温度の変化を予測するためのシミュレーションに用いられる複数の境界条件を推定する。推定装置10は、対象空間に関連する複数の種類の観測データを取得し、複数の種類の観測データと複数の観測データに対する重みを含むパラメタとに基づいて、複数の境界条件を推定する。複数の種類の観測データは、対象空間内の温度と、対象空間内の温度に影響を与える対象空間外のデータと、対象空間内の温度に影響を与える対象空間内のデータと、対象空間内における対象空間内の温度に影響を与える機器の設定データとを含むデータである。
また、本実施形態のシミュレーション装置20は、対象空間に関連するデータであって、かつ対象空間内の温度のシミュレーションを実行するためのデータである初期データを取得する。そして、シミュレーション装置20は、取得した初期データと、推定装置10により得られたパラメタとに基づいて、対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を設定し、設定された境界条件に基づいて、対象空間内のシミュレーションを実行することにより、対象空間における温度を予測する。これにより、推定装置10により適切に得られた境界条件を用いて、対象空間内の温度の予測を行うことができる。
次に、上記実施形態の実施例を説明する。図9には、本実施形態のシミュレーション装置20を用いて予測した対象空間内の温度の予測値と、実際にセンサによって計測された温度の実測値との誤差が示されている。なお、pointA,pointBは、対象空間内のある地点を表す。
図9に示されるように、本実施形態の推定装置10により、境界条件を設定するためのパラメタが精度良く計算された場合は、平均絶対誤差1℃以内で対象空間内の温度の予測値を得ることが可能である。
<変形例>
次に、本実施形態の変形例について説明する。
<変形例1>
(個別の最適化要素に関するパラメタの推定)
対象空間内の温度のシミュレーションにより温度の予測をする場合には、対象空間内の要素が互いに影響を及ぼしあう場合がある。例えば、対象空間内への外気の流入と対象空間内の空調とは互いに影響を及ぼしあい、外気の流入が空調の効果を打ち消す場合がある。このため、対象空間内の温度を予測する場合には、互いに影響を及ぼしあう要素を適切に考慮する必要がある。
そこで、変形例1では、ある特定の要素が強く影響する時間帯又は空間を特定して、その特定の要素の影響の度合いを別個に推定する。それらの各要素の推定に効果的な実施方法は以下のとおりである。
(空調の要素の推定例)
対象空間内の空調の要素が温度に大きく反映されるのは、空調を動作させたタイミング及び空調を停止させたタイミングである。そのため、最適化設定部108は、シミュレーションを実行する際に、設定データにおける「時間指定」を、空調ON/OFFの前後1時間に設定する。そして、最適化設定部108は、設定データにおける「最適化要素」を「空調」に設定する。また、最適化設定部108は、設定データにおける「誤差算出単位」を「全体」に設定する。また、最適化設定部108は、設定データにおける「誤差計算方法」を「時間差分」に設定する。これにより、空調の要素の影響が考慮され、温度の予測値の推定を適切に行うことができる。
(外気の要素の推定例)
対象空間の一例である建物の出入り口付近は、外気温度により大きく影響を受けやすく、建物の内側は外気温度の影響を受けにくい。このため、最適化設定部108は、設定データのうちの「最適化要素」を「外気」に、「誤差算出単位」をエリア区分ごとに、「対象範囲」を出入り口付近のエリアに設定する。また、期間の指定方法としては、日中の外気温度の差の大きい期間を抽出する方法が考えられる。その場合、観測データ記憶部103から、同じ季節のなかで一日の最高気温の分散が大きい日程を選択する。なお、期間の指定方法は、単に日中の外気温変化が大きい日を使用することもできる。この場合には、観測データ記憶部103から、日中の温度の分散の大きい日が選択される。これにより、外気の影響を適切に考慮することができる。
(内部発熱量の要素の推定例)
内部発熱は、同じ建物内でも場所によって異なることが予想される。建物内の全空間の内部発熱の平均的な影響を考慮することは可能である。しかし、精度良く温度を予測するためには、建物内の各場所に応じた特異的な発熱を再現する必要がある。この場合、最適化設定部108は、設定データの「最適化要素」を「発熱」とし、「誤差算出単位」をエリア区分毎と設定する。これにより、建物内のエリアごとの発熱の影響を考慮して建物内の温度を予測することが可能となる。
(定常成分の推定例)
対象空間内の温度のシミュレーションを実行する際に、時間による変化が少ない要因については、より外的影響の少ないと想定される夜間を対象とすることにより、より高精度な温度の予測が可能となる。例えば、夜間は人の出入りが少なく人流については考慮せずとも、精度良く温度を予測することができる。このため、最適化設定部108は、夜間の温度を予測する場合、設定データの「最適化要素」を「排気」、「発熱」と設定し、設定データの「誤差算出単位」は全体として推定することが可能である。
<変形例2>
(計算の簡略化のための期間選定)
観測データが計測された期間全体に対してシミュレーションを実施し境界条件を推定する場合には、膨大な計算時間が必要となる。しかし、同じ季節内であれば、日中の温度変動の類似度は高い。このため、例えば、境界条件のパラメタ推定において、ある季節に属する特定の日の観測データを用いて境界条件を推定する。そして、特定の日の観測データを用いて推定された境界条件に基づき、特定の日に類似する日の温度のシミュレーションを実行する。これにより、計算量を削減することができる。
この場合、最適化設定部108は、特定の日付を設定する。そして、パラメタ更新部113は、特定の日付に計測された観測データを用いて境界条件を推定する。なお、この特定の日付とは、観測データ記憶部103に格納されている観測データが計測された日付のうち、(1)もっとも平均的である日付、(2)ユーザの要望に応じて日付を設定することを可能とする。
(1)の場合、最適化設定部108によって設定データの「対象日選択方法」が「平均的な日」と設定された場合、設定データのうちの「日付指定」に対応する日に対応する、観測データ記憶部103内の観測データが取得される。そして、「日付指定」に対応する日の各時刻における外気温度の平均が算出される。次に、「日付指定」に対応する日の各時刻の外気温度の平均の時系列データと、他の日の外気温度の時系列データとの間の類似度を計算する。なお、類似度の計算方法としては、「相関係数」、「共分散係数」、「コサイン類似度」、及び「KL(Kullback-Leibler)情報量等」等を用いることができる。算出された複数の類似度のうち、最も類似度が高い他の日を「対象日」として選定することができる。これらの処理を、上記ステップS106の(1)の処理として代替して実行することができる。これにより、対象空間内の温度の予測をしたい対象の日と類似する他の日の観測データを用いて境界条件を推定し、その境界条件を用いて対象の日の温度を予測することができる。
(2)の場合、ユーザにより「日付指定」がなされる際に、複数日を含む期間を設定するのではなく、単日を入力することで、特定の日付に対応する日における温度の予測をすることができる。
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した各処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、各処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
また、上記各実施形態では、各プログラムがストレージ14又はストレージ24に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記憶媒体に記憶された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
以上の実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記項1)
メモリと、
前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、
対象空間内の気温のシミュレーションに用いられる境界条件を推定するように構成され、
前記対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、前記境界条件を設定し、
設定された前記境界条件に基づいて、前記対象空間内のシミュレーションを実行することにより、前記観測データの予測値を計算し、
前記シミュレーションにより計算された前記観測データの予測値と前記観測データの実測値との間の誤差を計算し、
前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて前記境界条件を推定する、
ように構成されている推定装置。
(付記項2)
推定処理を実行するようにコンピュータによって実行可能なプログラムを記憶した非一時的記憶媒体であって、
前記推定処理は、
対象空間内の気温のシミュレーションに用いられる境界条件を推定するように構成され、
前記対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、前記境界条件を設定し、
設定された前記境界条件に基づいて、前記対象空間内のシミュレーションを実行することにより、前記観測データの予測値を計算し、
前記シミュレーションにより計算された前記観測データの予測値と前記観測データの実測値との間の誤差を計算し、
前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて前記境界条件を推定する、
非一時的記憶媒体。
(付記項3)
メモリと、
前記メモリに接続された少なくとも1つのプロセッサと、
を含み、
前記プロセッサは、
対象空間内の温度の変化を予測するためのシミュレーションに用いられる複数の境界条件を推定するように構成され、
前記対象空間に関連する複数の種類の観測データを取得し、
前記複数の種類の観測データと前記複数の観測データに対する重みを含むパラメタとに基づいて、前記複数の境界条件を推定し、
前記複数の種類の観測データは、前記対象空間内の温度と、前記対象空間内の温度に影響を与える対象空間外のデータと、前記対象空間内の温度に影響を与える対象空間内のデータと、前記対象空間内における対象空間内の温度に影響を与える機器の設定データとを含むデータである、
ように構成されている推定装置。
(付記項4)
推定処理を実行するようにコンピュータによって実行可能なプログラムを記憶した非一時的記憶媒体であって、
前記推定処理は、
対象空間内の温度の変化を予測するためのシミュレーションに用いられる複数の境界条件を推定するように構成され、
前記対象空間に関連する複数の種類の観測データを取得し、
前記複数の種類の観測データと前記複数の観測データに対する重みを含むパラメタとに基づいて、前記複数の境界条件を推定し、
前記複数の種類の観測データは、前記対象空間内の温度と、前記対象空間内の温度に影響を与える対象空間外のデータと、前記対象空間内の温度に影響を与える対象空間内のデータと、前記対象空間内における対象空間内の温度に影響を与える機器の設定データとを含むデータである、
非一時的記憶媒体。
101 観測データ取得部
102 データ成型部
103 観測データ記憶部
104 シミュレーションモデル定義取得部
105 シミュレーションモデル定義部
106 シミュレーションモデル記憶部
107 最適化設定取得部
108 最適化設定部
109 境界条件設定部
110 シミュレーション実行部
111 予測温度記憶部
112 誤差計算部
113 パラメタ更新部
114 パラメタ記憶部
201 観測データ取得部
202 データ成型部
203 観測データ記憶部
203 初期データ記憶部
206 シミュレーションモデル記憶部
209 境界条件設定部
210 シミュレーション実行部
211 予測温度記憶部
214 パラメタ記憶部

Claims (11)

  1. 対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を推定する推定方法であって、
    前記対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、推定対象の前記境界条件を設定し、
    設定された前記境界条件に基づいて、所定時間区間内における前記対象空間内の温度に関するシミュレーションを実行することにより、各時刻の前記対象空間内の温度の予測値を計算し、
    前記シミュレーションにより計算された各時刻の前記対象空間内の温度の予測値と各時刻の前記対象空間内の温度の実測値との間の誤差を計算し、
    各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記境界条件を推定し、
    前記対象空間内の外気流入口、空調吹き出し口、排気口、及び発熱体の何れの要素を前記境界条件として推定するのかと、推定対象の前記境界条件の時間帯と、前記誤差を算出する対象の空間範囲とを表す最適化条件がユーザによって選択可能であり、
    前記ユーザによって選択された最適化条件に従って、各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記境界条件を推定する、
    処理をコンピュータが実行する推定方法。
  2. 前記観測データは、
    前記対象空間内の温度と、
    前記対象空間外の予め定められた範囲内の領域の外気温度と、
    前記対象空間内における空調の運転状況を表す運転情報と、
    前記対象空間内に存在する人の数を示す人流データと、を含むデータである、
    請求項1に記載の推定方法。
  3. 前記境界条件を推定する際には、前記境界条件の設定、前記誤差の計算、及び前記パラメタの更新を繰り返す、
    請求項1又は請求項2に記載の推定方法。
  4. 対象空間に関連するデータであって、かつ前記対象空間内の温度のシミュレーションを実行するためのデータである初期データを取得し、
    取得した前記初期データと、請求項1~請求項3の何れか1項に記載の推定方法により得られた前記パラメタとに基づいて、前記対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を設定し、
    設定された前記境界条件に基づいて、前記対象空間内のシミュレーションを実行することにより、前記対象空間における温度を予測する、
    シミュレーション方法。
  5. 前記初期データは、
    前記対象空間内の温度と、
    前記対象空間外の予め定められた範囲内の領域の外気温度と、
    前記対象空間内における空調の運転状況を表す運転情報と、
    前記対象空間内に存在する人の数を示す人流データと、を含むデータである、
    請求項4に記載のシミュレーション方法。
  6. 対象空間内の温度の変化を予測するためのシミュレーションに用いられる複数の境界条件を推定するための推定方法であって、
    前記対象空間に関連する複数の種類の観測データを取得し、
    前記複数の種類の観測データと前記複数の種類の観測データに対する重みを含むパラメタとに基づいて、推定対象の前記複数の境界条件を推定する、
    処理をコンピュータが実行する推定方法であり、
    前記複数の種類の観測データは、前記対象空間内の温度と、前記対象空間内の温度に影響を与える対象空間外のデータと、前記対象空間内の温度に影響を与える対象空間内のデータと、前記対象空間内における対象空間内の温度に影響を与える機器の設定データとを含むデータであり、
    前記複数の境界条件を推定する際には、
    前記複数の種類の観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、前記複数の境界条件を設定し、
    設定された前記複数の境界条件に基づいて、所定時間区間内における前記対象空間内の温度に関するシミュレーションを実行することにより、各時刻の前記対象空間内の温度の予測値を計算し、
    前記シミュレーションにより計算された各時刻の前記対象空間内の温度の予測値と各時刻の前記対象空間内の温度の実測値との間の誤差を計算し、
    各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記複数の境界条件を推定し、
    前記対象空間内の外気流入口、空調吹き出し口、排気口、及び発熱体の何れの要素を前記複数の境界条件として推定するのかと、推定対象の前記境界条件の時間帯と、前記誤差を算出する対象の空間範囲とを表す最適化条件がユーザによって選択可能であり、
    前記ユーザによって選択された最適化条件に従って、各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記複数の境界条件を推定する、
    推定方法。
  7. 対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を推定する推定装置であって、
    前記対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、推定対象の前記境界条件を設定する境界条件設定部と、
    設定された前記境界条件に基づいて、所定時間区間内における前記対象空間内の温度に関するシミュレーションを実行することにより、各時刻の前記対象空間内の温度の予測値を計算するシミュレーション実行部と、
    前記シミュレーションにより計算された各時刻の前記対象空間内の温度の予測値と各時刻の前記対象空間内の温度の実測値との間の誤差を計算する誤差計算部と、
    各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記境界条件を推定するパラメタ推定部と、を含み、
    前記対象空間内の外気流入口、空調吹き出し口、排気口、及び発熱体の何れの要素を前記境界条件として推定するのかと、推定対象の前記境界条件の時間帯と、前記誤差を算出する対象の空間範囲とを表す最適化条件がユーザによって選択可能であり、
    前記パラメタ推定部は、前記ユーザによって選択された最適化条件に従って、各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記境界条件を推定する、
    推定装置。
  8. 対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を推定する推定プログラムであって、
    前記対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、推定対象の前記境界条件を設定し、
    設定された前記境界条件に基づいて、所定時間区間内における前記対象空間内の温度に関するシミュレーションを実行することにより、各時刻の前記対象空間内の温度の予測値を計算し、
    前記シミュレーションにより計算された各時刻の前記対象空間内の温度の予測値と各時刻の前記対象空間内の温度の実測値との間の誤差を計算し、
    各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記境界条件を推定し、
    前記対象空間内の外気流入口、空調吹き出し口、排気口、及び発熱体の何れの要素を前記境界条件として推定するのかと、推定対象の前記境界条件の時間帯と、前記誤差を算出する対象の空間範囲とを表す最適化条件がユーザによって選択可能であり、
    前記ユーザによって選択された最適化条件に従って、各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記境界条件を推定する、
    処理をコンピュータに実行させるための推定プログラム。
  9. 対象空間内の温度のシミュレーションを実行するシミュレーション方法であって、
    特定の日における、対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を設定し、
    設定された前記境界条件に基づいて、所定時間区間内における前記対象空間内の温度に関するシミュレーションを実行することにより、各時刻の前記対象空間内の温度の予測値を計算し、
    前記シミュレーションにより計算された各時刻の前記対象空間内の温度の予測値と各時刻の前記対象空間内の温度の実測値との間の誤差を計算し、
    各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記特定の日における前記境界条件を推定し、
    前記特定の日の外気温との間の類似度が所定閾値上である外気温が観測された対象日を設定し、
    前記対象日における、前記対象空間に関連するデータであって、かつ前記対象空間内の温度のシミュレーションを実行するためのデータである初期データを取得し、
    取得した前記初期データと、前記特定の日における前記境界条件に基づいて、前記対象空間内のシミュレーションを実行することにより、前記対象空間における温度を予測する、
    処理をコンピュータが実行するシミュレーション方法。
  10. 対象空間内の温度のシミュレーションを実行するシミュレーション装置であって、
    特定の日における、前記対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を設定する境界条件設定部と、
    設定された前記境界条件に基づいて、所定時間区間内における前記対象空間内の温度に関するシミュレーションを実行することにより、各時刻の前記対象空間内の温度の予測値を計算するシミュレーション実行部と、
    前記シミュレーションにより計算された各時刻の前記対象空間内の温度の予測値と各時刻の前記対象空間内の温度の実測値との間の誤差を計算する誤差計算部と、
    各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記特定の日における前記境界条件を推定するパラメタ推定部と、
    前記特定の日の外気温との間の類似度が所定閾値上である外気温が観測された対象日を設定し、前記対象日における、前記対象空間に関連するデータであって、かつ前記対象空間内の温度のシミュレーションを実行するためのデータである初期データを取得し、取得した前記初期データと、前記特定の日における前記境界条件に基づいて、前記対象空間内のシミュレーションを実行することにより、前記対象空間における温度を予測するシミュレーション実行部と、
    を含むシミュレーション装置。
  11. 対象空間内の温度のシミュレーションを実行するシミュレーションプログラムであって、
    特定の日における、対象空間に関連する観測データの実測値と、前記観測データの実測値に対する重みを含むパラメタとに基づいて、対象空間内の温度のシミュレーションに用いられる境界条件を設定し、
    設定された前記境界条件に基づいて、所定時間区間内における前記対象空間内の温度に関するシミュレーションを実行することにより、各時刻の前記対象空間内の温度の予測値を計算し、
    前記シミュレーションにより計算された各時刻の前記対象空間内の温度の予測値と各時刻の前記対象空間内の温度の実測値との間の誤差を計算し、
    各時刻の前記誤差が小さくなるように前記パラメタを推定し、推定された前記パラメタに基づいて、前記特定の日における前記境界条件を推定し、
    前記特定の日の外気温との間の類似度が所定閾値上である外気温が観測された対象日を設定し、
    前記対象日における、前記対象空間に関連するデータであって、かつ前記対象空間内の温度のシミュレーションを実行するためのデータである初期データを取得し、
    取得した前記初期データと、前記特定の日における前記境界条件に基づいて、前記対象空間内のシミュレーションを実行することにより、前記対象空間における温度を予測する、
    処理をコンピュータに実行させるためのシミュレーションプログラム。
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