JP7450076B2 - 蒸着マスク - Google Patents
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Description
る。本発明に係る蒸着マスクは、例えば有機EL素子の発光層を形成する際に好適に使用
される。
レイは、蒸着マスク法により製造されるが、この種の蒸着マスクは、例えば本出願人が先
に提案した特許文献1に開示されている。図9に示すように、特許文献1の蒸着マスク1
01は、マトリクス状に配置される複数のマスク本体102と、各マスク本体102を囲
むように配置される補強用の枠体103と、両者102・103を不離一体的に接合する
金属層104とで構成される。各マスク本体102は多数独立の蒸着通孔105からなる
蒸着パターンを備えている。マスク本体102、枠体103、および金属層104はいず
れも磁性金属で形成されている。有機ELディスプレイの製造時には、消磁されているマ
グネットチャック107上にまず基板108を載置し、次いで基板108上に蒸着マスク
101を載置したのちマグネットチャック107を着磁する。これにて、マグネットチャ
ック107上に基板108および蒸着マスク101が移動不能に固定され、この状態で蒸
着工程を行うことにより、マスク本体102の蒸着通孔105に対応する蒸着層が基板1
08上に形成される。枠体103および金属層104の枠体寄りの下側には逃げ凹部10
9が形成されており、蒸着マスク101の固定時において、蒸着マスク101と基板10
8とが接触して基板表面に傷が付くことを防いでいる。
マスク本体102に比べて十分に厚く設定される。例えばマスク本体102の厚みが約8
μmであるのに対して、枠体103の厚みは約1mmに設定される。また、金属層104
は蒸着通孔105の近傍まで形成される。例えば枠体103から内方に延出する金属層1
04の距離W4が約1.2mmであるのに対して、金属層104の端部から蒸着通孔10
5の形成領域106までの距離W5は0.2mmに設定される(図10参照)。蒸着マス
ク101および基板108をマグネットチャック107で固定するとき、マスク本体10
2よりも厚み寸法が大きい枠体103にはより大きな磁気吸着力が作用する。また、蒸着
通孔105の形成領域106は、蒸着通孔105の分だけマスク本体102の体積が減少
しているため、当該領域106に作用する磁気吸着力は弱くなる。そのため、枠体103
が逃げ凹部109側に沈み込み、図9の拡大図に示すように逃げ凹部109の縁Fを支点
にして、延出端側の金属層104が反り上がり、マスク本体2が浮き上がることがある。
このとき、蒸着通孔105の形成領域106が浮き上がると、基板108と蒸着通孔10
5との間に隙間が生じるため、蒸着層が適正な形状から大きくにじんだように形成され、
蒸着パターン通りの蒸着層を得ることができない。とくに蒸着通孔105の形成領域10
6の外縁側でにじみが大きくなる。
体が備えるパターン形成領域を適正に密着させて、多数独立の蒸着通孔からなる蒸着パタ
ーンに対応した蒸着層を基板上に高精度に形成できるようにすることを目的とする。
スク本体2が配置されるマスク開口5を有する補強用の枠体3と、マスク開口5の内周面
5aから開口中心に向かって延出されて各マスク本体2と枠体3とを不離一体的に接合す
る金属層4とを備え、少なくとも枠体3が配置される下面に上向きに凹み形成される逃げ
凹部50を有する蒸着マスクを対象とする。各マスク本体2は、蒸着通孔13が形成され
る内側のパターン形成領域8と、上面が金属層4で覆われる外側の接合領域9とを含む。
そして、パターン形成領域8と接合領域9との間に、通孔および/または凹みが形成され
ない吸着領域10が設けられていることを特徴とする。
り、マスク開口5の内周面5aから金属層4の延出先端4cまでの接合部4bの距離をW
1、金属層4の延出先端4cからパターン形成領域8までの吸着領域10の距離をW2と
したとき、前記接合部4bの距離W1と前記吸着領域10の距離W2とが、式(W2/(
W1+W2)=0.4~0.8)を満足するように設定されている。
を満足するように設定されている。
吸着領域10の距離W2とが、不等式(W3≦W2)を満足するように設定されている。
、前記吸着領域10の厚みT1と前記接合領域9の厚みT2とが、不等式(T1<T2)
を満足するように設定されている。
、上面が金属層4で覆われる外側の接合領域9とを含むように各マスク本体2を構成し、
パターン形成領域8と接合領域9との間に、通孔および/または凹みが形成されない吸着
領域10を設けた。このようにパターン形成領域8の外側に吸着領域10を設けると、パ
ターン形成領域8の外側周囲にマグネットチャック49の磁気吸着力を大きく作用させて
マスク本体2を強固に吸着保持できる。また、マスク本体2を強固に吸着保持することで
、枠体3が逃げ凹部50側に沈み込むのを阻止できるので、枠体3が逃げ凹部50側に沈
み込むことに由来する、マスク本体2の浮き上がりを解消できる。仮に枠体3が逃げ凹部
50側に沈み込んで、金属層4近傍の吸着領域10が浮き上がった場合でも、吸着領域1
0に作用する吸着力で、同領域10の中途部で再びマスク本体2を基板48に密着させて
、パターン形成領域8におけるマスク本体2と基板48との間の隙間の形成を防止できる
。以上のように、本発明によれば、基板48に対してマスク本体2が備えるパターン形成
領域8を適正に密着させて、基板48上に多数独立の蒸着通孔13からなる蒸着パターン
に対応した蒸着層を高精度に形成できる。
距離W2とが、式(W2/(W1+W2)=0.4~0.8)を満足するように設定され
ていると、パターン形成領域8の周囲に十分な磁気吸着力が得られる吸着領域10を形成
できるので、吸着領域10に作用する磁気吸着力で的確にマスク本体2を基板48に密着
させることができる。
)=0.4~0.8)を満足するように設定するのは以下の理由に拠る。前記距離W2を
前記距離W1+W2で除した値が0.4未満であると、吸着領域10が小さいため磁気吸
着力が吸着領域10に十分に作用せず、パターン形成領域8が基板48から浮き離れるお
それがある。また、前記距離W2を前記距離W1+W2で除した値が0.8を超えると、
枠体3のサイズとマスク本体2の配置形態との関係でマスク開口5の内周面5aからパタ
ーン形成領域8までの距離(W1+W2)を長く形成できないとき、マスク本体2の接合
領域9が小さくなり、金属層4とマスク本体2との接合強度を十分に確保できない。
るように設定されていることが望ましい。これによれば、枠体3から蒸着通孔13までの
距離(W1+W2)の半分以上を吸着領域10とすることができるので、十分な磁気吸着
力が作用する吸着領域10を形成して、マスク本体2を強固に吸着保持できる。
るように設定されていると、パターン形成領域8を除くマスク本体2における吸着領域1
0が占める割合を大きくして、十分な磁気吸着力が作用する吸着領域10を形成できる。
T2)を満足するように設定されていると、金属層4を含む接合領域9に作用する磁気吸
着力で、枠体3が逃げ凹部50側に沈み込むのを抑制してマスク本体2の浮き上がりを阻
止できる。
使用される蒸着マスクに適用した実施例を示す。なお、本実施例の各図における厚みや幅
などの寸法は、実際の様子を示したものではなく、それぞれ模式的に示したものである。
例では8枚)のマスク本体2と、各マスク本体2を囲むように配置される補強用の枠体3
と、両者2・3を不離一体的に接合する金属層4とを含む。枠体3は、マスク本体2と同
数のマスク開口5を備える。各マスク開口5はマスク本体2よりも一回り大きく形成され
ており、各マスク開口5にマスク本体2が1枚ずつ配置されている。本実施例の各マスク
開口5は、長手方向の長さ寸法が125mmであり、短手方向の長さ寸法が71mmであ
る。
ており、内側のパターン形成領域8と、外側の接合領域9と、パターン形成領域8と接合
領域9との間に設けられる吸着領域10とを備える。吸着領域10は四角枠状に形成され
てパターン形成領域8の外側を囲んでおり、接合領域9は四角枠状に形成されて吸着領域
10の外側を囲んでいる。パターン形成領域8には、多数独立の蒸着通孔13からなる蒸
着パターンが形成されており、接合領域9には、マスク本体2の各辺に沿って二列に並ぶ
多数個の接合通孔14が形成されている。吸着領域10は、通孔や凹み等が形成されてい
ない、板厚が均一な領域である。本実施例の各マスク本体2は、長手方向の長さ寸法が1
22mmであり、短手方向の長さ寸法が68mmである。また、接合領域9は各辺部の幅
寸法(後述する距離W3)が0.65mmであり、吸着領域10は各辺部の幅寸法(後述
する距離W2)が1.7mmである。なお、マスク本体2の長手および短手方向の長さ寸
法は、製造される有機ELディスプレイのサイズに対応する。マスク本体2の寸法および
先のマスク開口5の寸法は、有機ELディスプレイを製造する場合の参考値であり、有機
ELディスプレイは、スマートフォン、スマートウォッチ、ヘッドアップディスプレイ、
ヘッドマウントディスプレイなどに用いることができる。
マスク本体2の厚みは、好ましくは8~100μmの範囲とし、本実施例では10μmに
設定した。なおマスク本体2は、ニッケル以外にニッケルコバルト等のニッケル合金、銅
、その他の電着金属を素材として形成することができる。さらにマスク本体2は、二層以
上の積層構造であってもよく、具体的には例えば、光沢めっき層からなる上層と、無光沢
めっき層からなる下層とを有するマスク本体2を形成し、各層の厚み比率を例えば上層:
下層=5:7に設定することができる。マスク本体2が二層以上の積層構造において、光
沢めっき層と無光沢めっき層の順番や各層の厚み比率は自由に設定できる。
して電鋳法で形成される。具体的には、金属層4は、枠体3の上面部を覆う被覆部4aと
、被覆部4aに連続してマスク開口5の内周面5aから開口中心に向かって延出される結
合部4bを備えている。マスク本体2の接合領域9の上面は結合部4bの延出先端4c側
で覆われており、当該部分でマスク本体2と枠体3は接合されている。なお、金属層4は
、被覆部4aが省略された形態であってもよく、この場合には、枠体3の上面が蒸着マス
ク1の外面に露出する。
区画する格子枠18とを備える。図3に拡大して示すように、枠体3は積層構造となって
おり、同一形状の上枠19と下枠20を接着層21で貼り合わせて構成される。上枠19
と下枠20は、ニッケル-鉄合金であるインバー材からなる低熱線膨張係数の金属板材で
形成されている。本実施例の上枠19と下枠20の厚み寸法はそれぞれ0.5mm(枠体
3の厚み寸法は1.0mm)であり、枠体3はマスク本体2よりも十分に肉厚に形成した
。また、外周枠17は各辺部の幅寸法が20mmであり、格子枠18は各枠部の幅寸法が
10mmである。なお、各枠17・18の寸法は、マスク本体2の配置個数、基板48の
サイズ等により適宜変化する。
であるスーパーインバー材などで形成してもよく、上枠19と下枠20の厚み寸法は異な
っていてもよい。また枠体3は、上枠19と下枠20の二層構造以外に、三層以上の積層
構造や単層構造であってもよく、上枠19と下枠20を備える枠体3を2つ重ねて貼り合
わせた四層構造を採用してもよい。接着層21としては、シート状の未硬化感光性ドライ
フィルムレジストや、市販されている種々の接着剤などを用いることができる。
に示すように、導電性を有する例えばステンレスや真ちゅう製の電鋳母型24の表面に、
ネガタイプのフォトレジスト層25を形成する。次いで、フォトレジスト層25の上に、
ガラスマスクからなるパターンフィルム26を密着させ、パターンニング前段体27を得
る。パターンフィルム26には、マスク本体2の蒸着通孔13に対応する透光孔26aと
、同本体2の接合通孔14に対応する透光孔26bとが形成されている。さらにパターン
フィルム26には、マスク本体2の外周に対応する透光枠26cが形成されている。
予熱する。予熱が完了したら、得られたパターンニング前段体27を紫外線照射装置の炉
内に収容し、パターンニング前段体27を炉内温度に馴染ませたのち、紫外線ランプ28
で紫外線光を照射することにより、パターンフィルム26を介してフォトレジスト層25
を露光する。露光後のパターンニング前段体27を取り出し、フォトレジスト層25から
パターンフィルム26を取り外し、フォトレジスト層25の未露光部分を溶解除去(現像
)することにより、図5(b)に示すように、電鋳母型24上に一次パターンレジスト2
9を形成する。一次パターンレジスト29は、パターンフィルム26の各透光孔26a、
26bおよび透光枠26cに対応するレジスト体29a~29cで構成される。
型24の表面に電鋳処理を施すことにより、レジスト体29a~29cの高さの範囲内で
一次電鋳層30を形成する。一次電鋳層30は、蒸着マスク1の完成品を構成する複数の
マスク本体2と、その完成前に除去される枠体支持部31とで構成される。一次電鋳層3
0の形成後、図5(d)に示すように、一次パターンレジスト29を溶解除去する。これ
により、マスク本体2の蒸着通孔13および接合通孔14が現れる。
めっき層34(図3参照)を形成する。本実施例のマスク本体2においては、接合領域9
の上面および外周面と、接合通孔14の内周面とに密着めっき層34を形成する。なお密
着めっき層34は、ニッケルや銅などを素材として、ストライクめっきや無光沢めっきに
より、一次電鋳層30よりも十分に薄く形成される。
の表面全体にネガタイプのフォトレジスト層35を形成し、その上にパターンフィルム3
6を密着させる。このパターンフィルム36は、マスク本体2の接合領域9に対応する矩
形枠状の非透光部36aと、その他の部分を占める透光部36bとを備える。次いで、紫
外線ランプ28で紫外線光を照射して、パターンフィルム36を介してフォトレジスト層
35を露光する。露光後、フォトレジスト層35からパターンフィルム36を取り外し、
フォトレジスト層35の未露光部分を溶解除去(現像)することにより、図6(b)に示
すパターンレジスト37を形成する。このパターンレジスト37は、マスク本体2の接合
領域9を露出させる開口37aを有する。つまりパターンレジスト37は、密着めっき層
34の形成領域を除く一次電鋳層30の表面全体を覆う。
により、図6(c)に拡大して示す密着めっき層34を形成することができる。なお密着
めっき層34は、開口37aに臨む電鋳母型24の表面にも不可避的に形成されるが、電
鋳母型24上の密着めっき層34は、後にマスク本体2を電鋳母型24から剥離する際の
妨げになるため、その面積をなるべく小さくすることが好ましい。密着めっき層34の形
成後にパターンレジスト37を溶解除去すると、図6(c)に示す状態になる。なお、接
合領域9と接合通孔14に密着めっき層34を形成するのに代えて、酸浸漬や電解処理等
の活性化処理(密着処理)を施してもよい。これによってもマスク本体2に対する金属層
4の接合強度(密着性)を高めることができる。
具体的にはまず、図7(a)に示すように、密着めっき層34を形成した一次電鋳層30
の表面全体にネガタイプのフォトレジスト層40を形成し、その上にパターンフィルム4
1を密着させる。このパターンフィルム41は、マスク本体2のパターン形成領域8およ
び吸着領域10に対応する角を丸めた長方形状の透光孔41aを備える。
トレジスト層40を露光する。露光後、フォトレジスト層40からパターンフィルム41
を取り外し、フォトレジスト層40の未露光部分を溶解除去(現像)することにより、図
7(b)に示す二次パターンレジスト42を形成する。二次パターンレジスト42は、マ
スク本体2のパターン形成領域8および吸着領域10の表面を覆う。パターン形成領域8
の蒸着通孔13は二次パターンレジスト42で覆われるため、その後の電鋳処理の際に、
同通孔13に電鋳液が浸入することは無い。
置に枠体3を載置する。平面視において枠体支持部31は枠体3よりもひとまわり大きく
形成されている。枠体支持部31で支持される枠体3の下面には、剥離層44を介して接
着層45が予め積層されており、この接着層45によって枠体3は枠体支持部31に対し
てズレ動き不能に固定される。本実施例では剥離層44をニッケルで形成し、接着層45
を未露光のフォトレジスト層で形成した。
にわたって連続する二次電鋳層すなわち金属層4を形成する。一次電鋳層30の表面にお
ける金属層4は、二次パターンレジスト42の高さの範囲内で形成する。またこのとき、
接合通孔14内に金属層4を形成することにより、接合通孔14の内周面に密着めっき層
34を形成していることと相俟って、マスク本体2に対する金属層4の接合強度がより向
上する。電鋳処理後、電鋳母型24から一次電鋳層30および金属層4を剥離する。次い
で一次電鋳層30の枠体支持部31を接着層45および剥離層44と共に、枠体3および
金属層4から剥離することにより、後述する逃げ凹部50が形成される。最後に二次パタ
ーンレジスト42を除去することにより、図7(e)に示す蒸着マスク1の完成品を得る
ことができる。なお、二次パターンレジスト42の除去は、一次電鋳層30および金属層
4の剥離前に行っても良いし、枠体支持部31、接着層45および剥離層44の剥離前に
行っても良い。
収縮しようとする応力が作用する。これは、マスク本体2を含む一次電鋳層30を形成す
る際の電鋳槽の液温(例えば40~50℃)が、常温よりも高いことなどに起因するもの
である。各マスク本体2が収縮しようとすることにより、枠体3には金属層4を介して引
張応力が作用する。
スク1と基板48とを密着固定した状態で行われる。具体的には、図1に示すように、基
板48を消磁されているマグネットチャック49上に位置合わせして載置し、次いで蒸着
マスク1を基板48上に位置合わせして載置する。この状態でマグネットチャック49を
着磁することにより、マグネットチャック49上において、蒸着マスク1と基板48とが
上下に積層され、マスク本体2が基板48の表面に密着した状態で、移動不能に固定され
る。両者1・48を固定したとき、マスク本体2以外の蒸着マスク1の下面が基板48と
接触するのを極力避けるために枠体3および枠体3寄りの金属層4の下側に、逃げ凹部5
0が上向きに凹み形成されている。この逃げ凹部50は、マスク本体2以外が接触するこ
とによる基板48表面の傷付きを抑制するために設けられている。
り大きな磁気吸着力が作用する。そのため、枠体3が逃げ凹部50側に沈み込もうとする
が、先に説明したように、本実施例のマスク本体2にはパターン形成領域8の外側に吸着
領域10が設けられているので、パターン形成領域8の外側周囲にマグネットチャック4
9の磁気吸着力を大きく作用させてマスク本体2をマグネットチャック49に引き寄せ強
固に吸着保持できる。また、マスク本体2を強固に吸着保持することで、枠体3が逃げ凹
部50側に沈み込むのを阻止できるので、枠体3が逃げ凹部50側に沈み込むことに由来
する、マスク本体2の浮き上がりを解消できる。仮に枠体3が逃げ凹部50側に沈み込ん
で、金属層4近傍の吸着領域10が浮き上がった場合でも、吸着領域10に作用する磁気
吸着力で、同領域10の中途部で再びマスク本体2を基板48に密着させて、パターン形
成領域8におけるマスク本体2と基板48との間の隙間の形成を防止できる。以上のよう
に、本実施例によれば、基板48に対してマスク本体2が備えるパターン形成領域8を適
正に密着させて、基板48上に多数独立の蒸着通孔13からなる蒸着パターンに対応した
蒸着層を高精度に形成できる。
先端4cまでの距離をW1、吸着領域10、すなわち金属層4の延出先端4cからパター
ン形成領域8までの距離をW2としたとき、接合部4bの距離W1と吸着領域10の距離
W2とが、式(W2/(W1+W2)=0.4~0.8)を満足するように設定されてい
る。このように前記距離W1と前記距離W2とが、式(W2/(W1+W2)=0.4~
0.8)を満足するように設定されていると、パターン形成領域8の周囲に十分な磁気吸
着力が得られる吸着領域10を形成できるので、吸着領域10に作用するマグネットチャ
ック49の磁気吸着力で的確にマスク本体2を基板48に密着させることができる。
/(W1+W2)=0.4~0.8)を満足するように設定するのは以下の理由に拠る。
前記距離W2を前記距離W1+W2で除した値が0.4未満であると、吸着領域10が小
さいためマグネットチャック49の磁気吸着力が吸着領域10に十分に作用せず、パター
ン形成領域8が基板48から浮き離れるおそれがある。また、前記距離W2を前記距離W
1+W2で除した値が0.8を超えると、枠体3のサイズとマスク本体2の配置個数の関
係で前記距離W1を長く形成できないとき、マスク本体2の接合領域9が小さくなり、金
属層4とマスク本体2との接合強度を十分に確保できない。
るように設定されていることが望ましい。これによれば、枠体3から蒸着通孔13までの
距離(W1+W2)の半分以上を吸着領域10とすることができるので、十分な磁気吸着
力が作用する吸着領域10を形成して、マグネットチャック49の磁気吸着力でマスク本
体2を確実に基板48に吸着保持して密着させることができる。なお、接合部4bの距離
W1が1.0mm以上、1.5mm以下に設定されているとき、吸着領域10の距離W2
が1.5mm以上、2.0mm以下であることが好ましい。本実施例では、前記距離W1
は1.2mmであり、前記距離W2は1.7mmである。
5mm以上、10.0mm以下に設定されていることが望ましい。これは以下の理由に拠
る。前記(W1+W2)の距離が2.5mm未満であると、マスク本体2の接合領域9が
小さくなり、金属層4とマスク本体2との接合強度を十分に確保できず、さらに、吸着領
域10が小さいためマグネットチャック49の磁気吸着力が吸着領域10に十分に作用せ
ず、マスク本体2が基板48から浮き離れるおそれがある。また、前記(W1+W2)の
距離が10.0mmを超えると、蒸着マスク1が大型化して基板48の歩留まりが悪化す
る。一方、歩留まりが良好な基板48を得ようとすると、枠体3の外周枠17および格子
枠18の幅寸法を小さくせざるを得ないため、枠体3の構造強度が低下し、蒸着マスク1
の破損を招く。
、接合領域9の距離W3と吸着領域10の距離W2とが、不等式(W3≦W2)を満足す
るように設定されていると、パターン形成領域8を除くマスク本体2における吸着領域1
0が占める割合を大きくして、十分な磁気吸着力が作用する吸着領域10を形成できる。
たとき(図3参照)、前記吸着領域10の厚みT1と前記接合領域9の厚みT2とが、不
等式(T1<T2)を満足するように設定されていると、金属層4を含む接合領域9に作
用する磁気吸着力で、枠体3が逃げ凹部50側に沈み込むのを抑制してマスク本体2の浮
き上がりを阻止できる。
も大きく形成することができる。このように、各領域8・10の面積が前記関係を満たす
とき、吸着領域10により大きな磁気吸着力を作用させることができるので、パターン形
成領域8が浮き上がるのを確実に解消できる。
は、上記実施例の密着めっき層34に比べてマスク本体2の周側面部および上面周縁部が
省略されている。なお、密着めっき層34は、接合通孔14部分および接合通孔14に連
続するマスク本体2の上面部分に形成されていればよい。
られない。また、マスク本体2は複数である必要はなく1個であってもよい。各部の寸法
等も上記実施例に示したものに限られない。上記実施例では、磁気吸着で蒸着マスク1と
基板48とを密着固定したが、静電吸着、あるいは真空(負圧)吸着で両者1・48を密
着固定することもできる。この場合にも、マスク本体2に設けた吸着領域10に作用する
静電吸着力、あるいは真空吸着力で、マスク本体2の浮き上がりを解消できる。また、厚
み寸法が大きい枠体3の場合、上記密着固定手段を用いずとも、枠体3の自重により、枠
体3が逃げ凹部50側に沈み込み、マスク本体2が浮き上がるおそれがあるが、金属層4
の延出先端4cからパターン形成領域8までの距離W2(吸着領域10)を確保すること
で、距離W2(吸着領域10)の中途部で再びマスク本体2を基板48に密着させること
ができ、パターン形成領域8におけるマスク本体2と基板48との間の隙間の形成を防止
できる。
。また、蒸着マスク1のマスク構造は、スクリーン印刷用マスク、はんだボール搭載用マ
スク、はんだボール吸着用マスクとして転用することも可能である。スクリーン印刷用マ
スクの場合には、パターン形成領域8に印刷パターンに合致する一群のパターン開口が形
成され、はんだボール搭載用マスクの場合には、パターン形成領域8にはんだボールより
僅かに大径の一群の搭載孔が形成され、はんだボール吸着用マスクの場合には、パターン
形成領域8にはんだボールより僅かに小径の一群の搭載孔が形成される。
0がない構成、あるいは逃げ凹部50内に支持体を形成する構成とすることも考えられる
。前者の形成方法の具体例としては、枠体3の下面に形成された接着層45および剥離層
44と、枠体3が載置される枠体支持部31とを、枠体3および金属層4から除去せずに
残存させたままの状態が考えられる。但し、接着層45は蒸着(昇温)による変質によっ
て発光層の形成に悪影響をもたらすおそれがある。後者の具体例として、逃げ凹部50内
に支持体(金属体)を形成し、該支持体の下面とマスク本体2の下面とが一致するように
形成する。かかる支持体の形成方法としては、図7(e)に示すように、枠体支持部31
、接着層45および剥離層44を除去したあとに、別途凹部50内に支持体(金属体)を
形成することが考えられる。
2 マスク本体
4 金属層
4b 接合部
4c 延出先端
5 マスク開口
5a 内周面
8 パターン形成領域
9 接合領域
10 吸着領域
13 蒸着通孔
50 逃げ凹部
W1 金属層の接合部の距離
W2 マスク本体の吸着領域の距離
W3 マスク本体の接合領域の距離
Claims (2)
- 多数独立の蒸着通孔(13)からなる蒸着パターンを備えるマスク本体(2)と、マスク本体(2)が配置されるマスク開口(5)を有する補強用の枠体(3)と、マスク開口(5)の内周面(5a)から開口中心に向かって延出されてマスク本体(2)と枠体(3)とを不離一体的に接合する金属層(4)とを備え、少なくとも枠体(3)が配置される下面に凹み形成される逃げ凹部(50)を有する蒸着マスクであって、
マスク本体(2)は、蒸着通孔(13)が形成される内側のパターン形成領域(8)と、上面が金属層(4)で覆われる外側の接合領域(9)とを含み、
パターン形成領域(8)と接合領域(9)との間に、通孔および/または凹みが形成されない吸着領域(10)が設けられ、
吸着領域(10)の面積は、蒸着通孔(13)を除くパターン形成領域(8)の面積よりも大きく形成されており、
吸着領域(10)の厚みを(T1)、金属層(4)を含む接合領域(9)における厚みを(T2)としたとき、前記吸着領域(10)の厚み(T1)と前記接合領域(9)の厚み(T2)とが、不等式(T1<T2)を満足するように設定されていることを特徴とする蒸着マスク。 - 多数独立の蒸着通孔(13)からなる蒸着パターンを備えるマスク本体(2)と、マスク本体(2)が配置されるマスク開口(5)を有する補強用の枠体(3)と、マスク開口(5)の内周面(5a)から開口中心に向かって延出されてマスク本体(2)と枠体(3)とを不離一体的に接合する金属層(4)とを備え、少なくとも枠体(3)が配置される下面に凹み形成される逃げ凹部(50)を有する蒸着マスクであって、
マスク本体(2)は、蒸着通孔(13)が形成される内側のパターン形成領域(8)と、上面が金属層(4)で覆われる外側の接合領域(9)とを含み、
パターン形成領域(8)と接合領域(9)との間に、通孔および/または凹みが形成されない吸着領域(10)が設けられ、
吸着領域(10)の面積は、蒸着通孔(13)を除くパターン形成領域(8)の面積よりも大きく形成されていることを特徴とする蒸着マスク。
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