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JP7447435B2 - バガスの前処理・糖化方法 - Google Patents

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Description

本発明は、サトウキビ等の搾り滓であるバガスを発酵原料に用いるためのバガスの糖化方法に関するものである。
アミノ酸発酵などの各種発酵の糖源には、サトウキビや甜菜等の搾汁から砂糖を分離して残った廃糖蜜や、キャッサバの根から取ったデンプンであるタピオカ等が使用されてきた。そして、サトウキビや甜菜、キャッサバの根等から糖やデンプンを搾って残った滓であるバガスは主に飼料に利用されてきた。
一方、植物体の主成分であるセルロースを分解してグルコースに変えて有効利用しようとする試みは古くから行われてきた。当初は、この分解は酸を用いて行われていたが、糖化率の低さや使用される強い酸のその後の処理の問題から、酵素分解が利用されるようになっている。ところが、植物体のセルロースはリグニンやヘミセルロースなどが大量に含まれていて、酵素法でも糖化率の低いのが大きな問題となっている。
この酵素分解による糖化率を高めるための前処理として、酸、アルカリ等を用いて処理する方法、加圧熱水処理する方法などが知られている。
例えば、アルカリ処理する方法としては、粉砕したバイオマスに水酸化カルシウムを加えて120℃で1時間あるいは室温で1週間おいてアルカリ処理し、二酸化炭素で中和して酵素糖化を行う方法がある(特許文献1)。
また、バイオマスの分散液をウォータージェットで高圧噴射して板に衝突させることによりバイオマスをナノファイバー化し、それによって酵素糖化率を大幅に高められることも知られている(特許文献2)。
本発明者らは、コーンストーバ等のリグノセルロースのバイオマスに炭酸ナトリウムと過酸化水素水を加えて、ベンチュリー管を高速で通過させることによって、それに含まれるセルロースの酵素糖化率を大幅に高められることを見出し、流動キャビテーション処理法として既に報告している(非特許文献1)。
特開2013-220067号公報 特開2011-56456号公報
Kazunori Nakashimaら,"Hydrodynamic Cavitation Reactor for Efficient Pretreatment of Lignocellulosic Biomass"、Industrial & Engineering Chemistry Reseach,American Chemistry Society、February 1,2016,55,P1866-1871
本発明者らは、発酵の糖源に用いたサトウキビ、甜菜、キャッサバ等が元々食料として利用されるものであるところから、これらから糖やデンプンを搾った滓であるバガスも発酵材料として有効利用するため、セルロースを分離して糖化することを考えた。
しかしながら、バガスを粉砕して水酸化カルシウムでアルカリ処理し、二酸化炭素で中和する方法は、中和して生じる炭酸カルシウムが溶解度以上になり、沈殿し、沈殿物がベンチュリー管の流路を狭め、キャビテーション効果を得ることは困難である。また、高温にするためにエネルギーを大量に消費し、低コストで糖化することは出来ない。
また、バガスをウォータージェットで高圧噴射して板に衝突させる方法は、装置が高価であり、既存の機器では大量生産には不向きである。
本発明者らが先に開発した方法をバガスに適用することは可能であったがセルロースの糖化率を更に改善することが望まれた。
本発明の目的は、サトウキビ、甜菜、キャッサバ等から糖やデンプンを搾った滓であるバガス、もしくは稲から穂を取った稲わらに含まれるセルロースを、安価で簡便な方法で効率よく糖化して発酵原料として使用できる手段を提供することにある。
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を進め、本発明者らが先に開発したベンチュリー管を用いた流動キャビテーション処理で炭酸ナトリウムを用いていることから、バガスを加えてから流動キャビテーション処理を行う前にしばらく浸漬しておくことを検討した。そして、それによって良好な糖化率が得られることを見出した。そして、炭酸ナトリウムに限らずナトリウムを用いたアルカリ化合物を用いることによって、やはり良好な糖化率が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明はバガスを0.125~0.5Mのナトリウム化合物を用いたアルカリ水溶液に1~28日間接触させてアルカリ処理し、アルカリ処理したバガスを流動キャビテーション処理し、流動キャビテーション処理したバガスを酵素糖化することを特徴とするバガスの糖化方法を提供するものである。
本発明により、バガスを、流動キャビテーション処理する前に、ナトリウム化合物を用いたアルカリ水溶液で処理することによって、糖化率を高めることができる。それによって、糖化に必要な酵素量を減らすことができ、また、バガスの発酵原料としての利用性を高めることができる。
本実施例で使用したベンチュリー管の断面図である。 流動キャビテーション処理後のバガスの状態を示す顕微鏡写真である。 流動キャビテーション処理する装置の一例の概略構成を示す図である。 Pass数と糖化収率の関係を示すグラフである。 Pass数と仕込みのNaOH濃度との関係を示すグラフである。
本発明で使用されるバガスは、糖やデンプンをとる植物の根や茎を搾った搾り滓であり、植物は、サトウキビ、甜菜、キャッサバ、トウモロコシ等である。
このバガスは、アルカリ処理効果や流動キャビテーション効果を高めるためにまず粉砕する。粉砕の程度は、その後の固液分離で濾布などの濾材の目をすり抜けない程度とするのがよく、篩分したときに篩下画分の90%以上が、0~500μm、好ましくは250~500μmになるように粉砕する。粉砕機には、ジャイレトリークラッシャーなどの粗粉砕機、ハンマーミル、ロール粉砕機などの中砕機、カッターミルなどを使用することができる。粉砕したバガスは乾燥状態、湿った状態、スラリーなどいずれの状態でもよい。粉砕したバガスには、アルカリ水溶液を接触させてアルカリ処理を行うが、アルカリ水溶液のアルカリにはナトリウム化合物を用いる。ナトリウム化合物は糖化反応で阻害効果のあるバガス中のリグニン成分を除去する能力が大きく、また、酵素糖化前の中和で生じる塩の溶解度が高いので固液分離で除去しやすいからである。ナトリウム化合物は水溶液がアルカリ性になるものであり、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウムなどである。ナトリウム化合物の濃度は0.045~0.45M程度、好ましくは0.113~0.45M程度が適当である。添加するナトリウム化合物量はバガスの水分含量に応じて適宜調整する。
アルカリ水溶液には酸化剤も加えることが好ましい。好ましい酸化剤としては、過酸化水素などを用いることができる。酸化剤の濃度としては0.01~0.10M程度、好ましくは0.025~0.10M程度が適当である。
バガスのアルカリ水溶液の接触は、槽に入れて浸漬や噴霧などによって行えばよく、適宜撹拌することが望ましい。
接触時間は温度に依存し、例えば、常温では1~28日間程度、好ましくは7~28日間程度。40℃では24~168時間程度好ましくは48~168時間程度でよい。流動キャビテーション処理は、アルカリ処理したバガスの懸濁液を、ベンチュリー管を通すことによって行う。ベンチュリー管は、図1に示すように管を途中で絞って細くしたものである。ベルヌーイの定理から、管の断面積の小さいところでは、水の流速が速く、静圧は低くなる。この低下した静圧が飽和蒸気圧まで達すると、水は気化し、泡が発生する。管を通過し、断面積が大きくなると水の流速が遅くなり、静圧は高くなる。この高くなった静圧により、泡が瞬時に破壊され衝撃波を生じる。これがキャビテーションである。その際の衝撃圧でバガスを破砕するものである。本発明で使用されるベンチュリー管は、最小径部の直径が1.7~3.3mmΦ程度、好ましくは2.8~3.3mmΦ程度であり、拡径部のテーパは20~40°程度、好ましくは20°程度である。縮径部は、拡径部と対称でも非対称でもよい。
流動キャビテーション処理を行う装置は、ベンチュリー管の流入側には加圧機構が必要であり、バガスの懸濁液はベンチュリー管を複数回(Pass数)通過させるところから流出側から流入側への循環ラインが必要である。従って、この装置は、基本的に、アルカリ処理されたバガスの受槽と、流動キャビテーション処理されたバガスの受槽と、循環ライン途中に設置するベンチュリー管と、流動キャビテーション処理されたバガスの受槽からアルカリ処理されたバガスの受槽への返送ラインと、アルカリ処理されたバガスの受槽の加圧機構からなる。Pass数の計算は下式の通りである。
Pass数=キャビテーション処理時間×ポンプ流量(循環流量)/懸濁液液量
ベンチュリー管は、外形は管である必要はなく、厚板等に複数のベンチュリー管の内部構造を有する孔が設けられているものであってもよい。ベンチュリー管又は孔の数は、バガスの懸濁液1kL当り1~5個程度、特に1~2個程度とすることが好ましい。
加圧機構は、アルカリ処理されたバガスの受槽を密閉構造にして槽内を加圧するものであってもよく、アルカリ処理されたバガスの受槽とベンチュリー管との間に加圧ポンプを設けてもよい。
アルカリ処理されたバガスの受槽と流動キャビテーション処理されたバガスの受槽は別々の槽であってもよく、1つの槽に両槽を兼用させてもよい。これらの槽には必要により撹拌機構を設ける。
流動キャビテーション処理装置の一例を図3に示す。この装置はアルカリ処理されたバガスの受槽と流動キャビテーション処理されたバガスの受槽を兼ねた槽1と、その一側壁に一端が接続された複数のベンチュリー管2と、このベンチュリー管2の他端が接続された分配室3と、槽1内のバガスのスラリーを吸引して分配室3に送る加圧ポンプ4と、アルカリ処理されたバガスの供給管5と、槽1の下部からバガスのスラリーを吸引して加圧ポンプ4を経由して分配室3に送る循環ライン6と、流動キャビテーション処理されたバガスの排出管7からなっている。尚、図示されていないが、槽1には内部をゆっくり撹拌するプロペラ形の撹拌機が設置されている。
アルカリ処理されたバガスは供給管5から槽1内に供給され、加圧ポンプ4で吸引加圧されて循環ライン6から分配室3に入り、ベンチュリー管2を通過してバガスが破砕され、槽1に戻る。そして、循環ライン6からまた吸引されて、循環が繰返され、バガスの破砕が所定の程度まで進行したら排出管7から取り出される。この取出しは連続的であっても間欠的であってもよい。
流動キャビテーション処理されるバガスの懸濁液のバガス濃度は18~72g/L程度、好ましくは36~72g/L程度が適当である。流動キャビテーション条件としては、流入側の圧力は0.8~1.5MPa程度、好ましくは1.0~1.2MPa程度が適当である。温度は、加温してもよいが、通常は、室温のまま特に加温しなくともよい。加温する場合30~50℃程度が適当である。バガス懸濁液を何回、ベンチュリー管を通過させるかが重要であり、糖化収率60%を達成するための必要Pass数は仕込みのNaOH濃度に異存する。例えば、仕込みのNaOH濃度0.125Mでは300Pass以上であり、NaOH濃度が0.5Mの場合は1Passで達成可能である。
流動キャビテーション処理したバガスはアルカリ性であるので酸を加えて中和する。酸は塩酸、硫酸などを使用できる。中和の程度は、その後の糖化で用いられる酵素の至適pHが考慮されるが、糖化の前に固液分離してバガスのスラリーから母液部分を除去する場合には、それほど厳密に酵素が働くpHに合わせる必要はない。pH7に調整する場合は、分離したバガスに対して、1M HClを用いた場合で、2.0~3.0wt%程度である。
中和処理後は、固液分離をしてバガスのスラリーから母液を除去することが好ましい。固液分離は、濾過機や遠心分離機を用いて行い、バガスの離解度に応じて細かいバガスも集められるものを選択する。固液分離したバガスは、必要により、水を加えて懸濁し、再度固液分離するなどにより水洗を行う。
こうして得られた、流動キャビテーション処理したバガスは酵素を用いて糖化する。糖化酵素は、Acremonium cellulolyticusを使用することができる。この酵素は、市販品をそのまま使用してもよく、担体に固定化して固定化酵素として使用してもよい。また、酵素を分離しないで菌体のまま使用できるものはそのようにしてもよい。
糖化反応の温度とpHは、使用する酵素の至適温度とpHを考慮して糖化反応が良好に進行する範囲で行なうのがよい。糖化反応時間は、実用的観点を考慮して定められ、通常12時間~2日間程度から定められる。
得られた糖化液は、グルコース等の糖化で生成した糖を分離してもよく、酵素失活、濃縮して、アミノ酸発酵、有機酸発酵、核酸発酵等の糖源として利用してもよい。
バガスには、石垣島産の搾汁後に天日乾燥されたサトウキビバガス(水分率4%~12%)をACMパルベライザ(ホソカワミクロン(株)製)で粉砕し、500μm未満(長径)画分が95%以上の粉砕バガスを得た。この粉砕した乾燥バガス1,670gを0.5mol/L NaOH、0.05mol/L Hの水溶液31.8Lに浸漬し、室温で1週間放置したのち、得られたバガススラリーを流量17L/minのポンプを用いて、ベンチュリー管に通し、流動キャビテーション処理した。流動キャビテーション後のスラリーを経時で約500mlずつ経時でサンプリングし、振切分離機で固液分離した。得られたアルカリ処理湿バガス(水分含量15~30%)に水200mlを加え、1N塩酸約1mlを加えてpH7に中和し、これをまた振切分離機で固液分離して、水分79重量%を含有する中和湿バガス49gを得た。
ベンチュリー管は、口径2.8mm、テーパ20°のもの1本を用い、加圧ポンプで1.0MPaに加圧して50℃で循環させた。循環時間は、0分、10分又は5時間とした。
流動キャビテーション処理0分、10分、1時間および5時間後のバガスの顕微鏡写真を図2に示す。この写真に示すように、0分では、大きく太いバガス片が多数観察され、処理時間が長くなるにつれてバガス片が徐々にほぐれて細くなっていくことが観察された。
糖化反応液の組成は、100mMのクエン酸バッファー(pH=5.0)、5%(w/w)の中和湿バガス、アクレモニウムセルラーゼ(明治製菓ファルマ(株))5.0U/g‐中和湿バガスとした。
この糖化反応液を50℃で24時間、液全体が均一になるように撹拌することで糖化反応を進行させた。
得られた糖化液の生成グルコース濃度をバイオテックアナライザー(サクラエスアイ(株))で分析したところ、流動キャビテーション処理0分のものは0.202g/10g‐糖化反応液、10分のものは0.185g/10g‐糖化反応液、5時間のものは0.185g/10g‐糖化反応液であった。一方、原料バガスをそのまま糖化反応させるものは0.073g/10g‐糖化反応液であった。ここで、基質中グルコース含量(10gあたり)は、それぞれ原料バガス0.202g、流動キャビテーション0分は0.3355g、10分は0.2815g、5時間は0.2605gであった。よって、糖化収率(生成グルコース/中和湿バガス中グルコース)は、原料バガスをそのまま糖化反応させたものは36.3%であったのに対し、アルカリ処理したものは60.2%になり、これをさらに10分(Pass数5.7回)流動キャビテーション処理したものは65.9%、5時間(Pass数170回)処理したものは71.0%になった。この時の残存NaOH濃度を0.1MのHClにより滴定したところ、0.04Mであった。表1に結果を示した。
Figure 0007447435000001
バガスには、石垣島産の搾汁後に天日乾燥されたサトウキビバガス(水分率4%~12%)をACMパルベライザ(ホソカワミクロン(株)製)で粉砕し、500μm未満(長径)画分が95%以上の粉砕バガスを得た。この粉砕した乾燥バガス2505gを0.125mol/L NaOH、0.01mol/L Hの水溶液30Lに浸漬し、40℃で1週間放置したのち、得られたバガススラリーを流量25L/minのポンプを用いて、ベンチュリー管に通し、流動キャビテーション処理した。流動キャビテーション後のスラリーを経時で約500mlずつ経時でサンプリングし、スラリーを振切分離機で固液分離した。得られたアルカリ処理湿バガス(水分含量15~30%)に水200mlを加え、1N塩酸1mlを加えてpH7に中和し、これをまた振切分離機で固液分離して、水分71重量%を含有する中和湿バガス42gを得た。
ベンチュリー管は、口径3.3mm、テーパ20°のもの1本を用い、加圧ポンプで1.0 Paに加圧して50℃で循環させた。循環時間は、0分、6分、42分および144分とした。Pass数はそれぞれ、0回、2.8回、35回、170回である。
糖化反応液の組成は、100mMのクエン酸バッファー(pH=5.0)、5%(w/w)の中和湿バガス、アクレモニウムセルラーゼ(明治製菓ファルマ(株))5.0U/g‐中和湿バガスとした。
この糖化反応液を50℃で24時間、液全体が均一になるように撹拌することで糖化反応を進行させた。
得られた糖化液の生成グルコース濃度をバイオテックアナライザー(サクラエスアイ(株))で分析した。実施例1と同様の方法で計算された糖化収率(生成グルコース/中和湿バガス中グルコース)は、原料バガスをそのまま糖化反応させたものは36.3%であったのに対し、本条件のアルカリ処理したものは30.8%になり、これをさらに6分流動キャビテーション処理したものは38.0%、42分処理したものは41.9%、144分処理したものは51.2%になった。この時の残存NaOH濃度を0.1MのHClにより滴定したところ、0.02Mであった。表2に結果を示した。
Figure 0007447435000002
バガスには、実施例1,2と同じものを使用した。この粉砕した乾燥バガス24gを0.125mol/L NaOH、0.01mol/L Hの水溶液400mlに浸漬し、40℃で1週間放置したのち、得られたバガススラリーを流量2.3L/minのポンプを用いて、50℃でベンチュリー管に通し、1時間流動キャビテーション処理した。流動キャビテーション後のスラリーを振切分離機で固液分離した。得られたアルカリ処理湿バガスに水200mlを加え、1N塩酸1mlを加えてpH7に中和し、これをまた振切分離機で固液分離して、水分71重量%を含有する中和湿バガス34gを得た。
ベンチュリー管は、口径1.7mm、テーパ20°のもの1本を用い、加圧ポンプで1.0Paに加圧して50℃で循環させた。
糖化反応液の組成は、100mMのクエン酸バッファー(pH=5.0)5%(w/w)の中和湿バガス、アクレモニウムセルラーゼ(明治製菓ファルマ(株))5.0U/g‐中和湿バガスとした。
この糖化反応液を50℃で1時間(Pass数:345回)、液全体が均一になるように撹拌することで糖化反応を進行させた。
得られた糖化液の生成グルコース濃度をバイオテックアナライザー(サクラエスアイ(株))で分析した。実施例1と同様の方法で計算された糖化収率(生成グルコース/中和湿バガス中グルコース)は、64.7%であった。この時の残存NaOH濃度を0.1MのHClにより滴定したところ、0.02Mであった。
実施例1から3の糖化収率をベンチュリー管Pass数に対してプロットすると、図4のようになる。実施例1は仕込みの水酸化ナトリウム濃度は0.5Mであり、つけ置き後の残存する水酸化ナトリウム濃度は、0.04M、実施例2、3は仕込みの水酸化ナトリウム濃度は0.125Mであり、つけ置き後の残存する水酸化ナトリウム濃度は、0.02Mであった。
さらに、経済的観点から好ましい条件として糖化収率40%以上、仕込みNaOH0.2M以下とするときの、仕込みNaOH濃度とPass数の関係を、図5に斜線で示した。
本発明により、従来主に飼料に利用されていたサトウキビ等の搾り滓であるバガスを各種発酵の糖源として広く利用できる。
1 槽
2 ベンチュリー管
3 分配室
4 加圧ポンプ
5 アルカリ処理されたバガスの供給管
6 循環ライン
7 流動キャビテーション処理されたバガスの排出管

Claims (3)

  1. 水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウムから選択される1以上を用いた0.045~0.45Mのアルカリ水溶液を入れた槽にバガスを1~28日間浸漬させてアルカリ処理し、
    アルカリ処理したバガスを流動キャビテーション処理し、
    流動キャビテーション処理したバガスを酵素糖化することを特徴とする
    バガスの糖化方法。
  2. アルカリ水溶液が酸化剤を含んでいる請求項1に記載の糖化方法。
  3. 水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、及び炭酸水素ナトリウムから選択される1以上を用いた0.045~0.18Mのアルカリ水溶液を入れた槽にバガスを1~28日間浸漬させてアルカリ処理し、
    図5の斜線で示した領域に入るようにPass数を調整した条件で流動キャビテーション処理し、
    流動キャビテーション処理したバガスを酵素糖化することを特徴とする
    バガスの糖化方法。
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