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JP7338242B2 - 半導体装置 - Google Patents

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JP7338242B2 JP2019101544A JP2019101544A JP7338242B2 JP 7338242 B2 JP7338242 B2 JP 7338242B2 JP 2019101544 A JP2019101544 A JP 2019101544A JP 2019101544 A JP2019101544 A JP 2019101544A JP 7338242 B2 JP7338242 B2 JP 7338242B2
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Description

本発明は、絶縁ゲートバイポーラトランジスタ(以下では、IGBTという)領域、フリーホイールダイオード(以下では、FWDという)領域、無効領域を有するセル領域と、セル領域を囲む外周領域とを有する半導体装置に関するものである。
従来より、例えば、IGBT素子として機能するIGBT領域、FWD素子として機能するFWD領域、IGBT素子およびFWD素子として機能しない無効領域を有するセル領域と、セル領域を囲む外周領域とを有する半導体装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
具体的には、この半導体装置は、N型のドリフト層を構成する半導体基板を有しており、セル領域の表層部にベース層が形成されている。そして、IGBT領域およびFWD領域では、ベース層を貫通するように複数のトレンチが形成され、各トレンチには、壁面を覆うようにゲート絶縁膜が形成されていると共に、ゲート絶縁膜上にゲート電極が形成されている。また、セル領域におけるIGBT領域には、トレンチと接するように、N型のエミッタ領域が形成されている。そして、半導体基板のうちのベース層側の一面側には、ベース層およびエミッタ領域と電気的に接続される上部電極が形成されている。
半導体基板の一面と反対の他面側には、P型のコレクタ層およびN型のカソード層が形成されていると共に、コレクタ層およびカソード層と電気的に接続される下部電極が形成されている。そして、半導体装置は、半導体基板の他面側にコレクタ層が形成されている領域がIGBT領域または無効領域とされ、カソード層が形成されている領域がFWD領域とされている。なお、無効領域は、IGBT領域と外周領域との間に形成されており、IGBT素子およびFWD素子として機能しないように、一面側にエミッタ領域が形成されておらず、他面側にコレクタ層が形成された領域とされている。
外周領域には、複数のガードリングがセル領域を囲むように形成されている。そして、複数のガードリングのうちの最もセル領域側に位置するガードリング(以下では、最内周ガードリングという)は、上部電極と電気的に接続されている。
特開2018-14417号公報
しかしながら、上記半導体装置では、無効領域は、IGBT領域と外周領域との間に形成されており、FWD領域と外周領域との間には形成されていない。このため、本発明者らが検討したところ、上記半導体装置では、FWD素子がダイオード動作する際、カソード層から注入された電子は拡散しながら一面側へと流れるため、当該電子が外周領域における最内周ガードリングに達する場合があることが確認された。この場合、本発明者らの検討によれば、最内周ガードリングとカソード層とによる寄生ダイオードが作動するため、導通損失が増加することが確認された。
本発明は上記点に鑑み、導通損失が増加することを抑制できる半導体装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための請求項1および3に記載の発明は、IGBT素子として機能するIGBT領域(1a)、FWD素子として機能するFWD領域(1b)、IGBT素子およびFWD素子として機能しない無効領域(1c)を有するセル領域(1)と、セル領域を囲む外周領域(2)とが形成された半導体装置であって、第1導電型のドリフト層(11)と、セル領域において、ドリフト層の表層部に形成された第2導電型のベース層(12)と、IGBT領域において、ベース層の表層部にドリフト層から離間して形成され、ドリフト層よりも高不純物濃度とされた第1導電型のエミッタ領域(16)と、IGBT領域および無効領域において、ドリフト層のうちのベース層側と反対側に形成された第2導電型のコレクタ層(21)と、FWD領域において、ドリフト層のうちのベース層側と反対側に形成された第1導電型のカソード層(22)と、を有する半導体基板(10)と、エミッタ領域とドリフト層との間に位置するベース層の表面に配置されたゲート絶縁膜(14)と、ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極(15)と、ベース層およびエミッタ領域と電気的に接続される第1電極(19)と、コレクタ層およびカソード層と電気的に接続される第2電極(23)と、外周領域に形成され、セル領域を囲むと共に第1電極と電気的に接続されたガードリング(30a)と、を備えている。そして、FWD領域は、外周領域との間にIGBT領域または無効領域が配置されることによって外周領域と離れて配置されており、半導体基板は、FWD領域を構成する部分の厚さ(d1)が、IGBT領域を構成する部分の厚さ(d2)、無効領域を構成する部分の厚さ(d3)、外周領域を構成する部分の厚さ(d4)よりも薄くなるようにし、FWD領域を構成する部分の厚さは、FWD領域の耐圧が、IGBT領域の耐圧よりも低くなる厚さとされている。
また請求項1に記載の発明は、FWD領域を構成する部分の厚さは、さらに、FWD領域の耐圧が、無効領域、および外周領域の耐圧よりも低くなる厚さとされている。
請求項3に記載の発明は、さらに、半導体基板は、IGBT領域を構成する部分の厚さが、無効領域および外周領域を構成する部分の厚さよりも薄くされ、IGBT領域を構成する部分の厚さは、IGBT領域の耐圧が、無効領域および外周領域の耐圧よりも低くなる厚さとされている。
これによれば、FWD領域が外周領域と隣接して形成されている場合と比較して、電子がガードリングに達することを抑制できる。したがって、導通損失が増加することを抑制できる。
また、半導体基板は、FWD領域を構成する部分の厚さが薄くされており、例えば、この部分の厚さが無効領域を構成する部分の厚さと同じとされている場合と比較して、電子が一面側に達する際のFWD領域からの距離を短くできる。このため、FWD領域の厚さが無効領域の厚さと同じとされている場合と比較して、電子がガードリングに達しないように無効領域の幅を設定する場合、無効領域の幅を狭くできる。したがって、半導体装置が半導体基板の平面方向に大型化することを抑制でき、半導体基板を有効に活用できる。
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
第1実施形態における半導体装置の平面図である。 図1中のII-II線に沿った断面図である。 図1中のIII-III線に沿った断面図である。 FWD素子がダイオード動作する際の電子の流れを示す模式図である。 ブレークダウンが発生した際の第1電極-第2電極間の電圧Vceと第1電極-第2電極間の電流Iceとの関係を示す図である。 第2実施形態における半導体装置の断面図である。
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、同一符号を付して説明を行う。
(第1実施形態)
第1実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、本実施形態の半導体装置は、例えば、インバータ、DC/DCコンバータ等の電源回路に使用されるパワースイッチング素子として利用されると好適である。
図1に示されるように、半導体装置は、セル領域1と、当該セル領域1を囲む外周領域2とを有している。本実施形態では、2つのセル領域1が配置されている。そして、各セル領域1には、IGBT素子として機能するIGBT領域1aと、FWD素子として機能するFWD領域1bとが形成されている。つまり、本実施形態の半導体装置は、同じチップ内にIGBT領域1aとFWD領域1bとが形成されたRC(Reverse Conductingの略)-IGBTとされている。また、各セル領域1には、IGBT素子およびFWD素子として機能しない無効領域1cも形成されている。なお、図1は、半導体装置の平面図であるが、後述するコレクタ層21とカソード層22との配置関係も示している。
IGBT領域1aおよびFWD領域1bは、本実施形態では、各セル領域1内において、一方向に沿って交互に形成されている。具体的には、IGBT領域1aおよびFWD領域1bは、それぞれ長手方向を有する矩形状の領域とされており、当該長手方向と交差する方向に沿って交互に形成されている。また、IGBT領域1aおよびFWD領域1bは、配列方向における両端部にIGBT領域1aが位置するように、交互に配列されている。なお、図1中では、IGBT領域1aおよびFWD領域1bは、紙面左右方向を長手方向とする矩形状とされており、紙面上下方向に沿って交互に形成されている。
無効領域1cは、IGBT領域1aおよびFWD領域1bの配列方向と交差する方向において、FWD領域1bと外周領域2との間の部分に形成されている。つまり、FWD領域1bは、外周領域2と離れた位置に形成されている。言い換えると、FWD領域1bは、外周領域2と隣接しない位置に形成されている。
以下、本実施形態の半導体装置の具体的な構成について説明する。まず、セル領域1の構成について説明する。
半導体装置は、図2および図3に示されるように、N型のドリフト層11を構成する半導体基板10を有している。なお、本実施形態では、半導体基板10は、シリコン基板で構成される。そして、ドリフト層11上には、P型のベース層12が形成されている。言い換えると、半導体基板10の一面10a側には、ベース層12が形成されている。なお、半導体基板10の一面10a側は、ほぼ平坦な面とされている。
そして、半導体基板10には、一面10a側からベース層12を貫通してドリフト層11に達するように複数のトレンチ13が形成されている。これにより、ベース層12は、トレンチ13によって複数個に分離されている。本実施形態では、複数のトレンチ13は、IGBT領域1aおよびFWD領域1bにそれぞれ形成されている。また、本実施形態では、複数のトレンチ13は、IGBT領域1aおよびFWD領域1bの配列方向と交差する方向(すなわち、図1中の紙面左右方向)を長手方向としてストライプ状に形成されている。なお、FWD領域1bに形成されるトレンチ13は、FWD領域1bから無効領域1cに渡って形成されている。
そして、各トレンチ13は、各トレンチ13の壁面を覆うように形成されたゲート絶縁膜14と、このゲート絶縁膜14の上に形成されたポリシリコン等により構成されるゲート電極15とにより埋め込まれている。これにより、トレンチゲート構造が構成されている。
IGBT領域1aに形成されたトレンチ13に配置されているゲート電極15は、図示しないゲート配線を介して図1に示されるパッド部3の1つと接続され、所定のゲート電圧が印加されるようになっている。また、FWD領域1bおよび無効領域1cに形成されているトレンチ13に配置されたゲート電極15は、後述する上部電極19と電気的に接続されている。つまり、FWD領域1bおよび無効領域1cのゲート電極15は、所定電位に維持されるようになっている。
なお、半導体装置には、図1に示されるように、パッド部3が複数形成されており、特に図示しないが、電流センスや温度センス等も形成されている。そして、各パッド部3は、適宜電流センスや温度センス等と接続されている。
IGBT領域1aおよびFWD領域1bのベース層12の表層部(すなわち、半導体基板10の一面10a側)には、ドリフト層11よりも高不純物濃度とされたN型のエミッタ領域16が形成されている。また、IGBT領域1aおよびFWD領域1bのベース層12の表層部には、ベース層12よりも高不純物濃度とされたP型のコンタクト領域17が形成されている。具体的には、エミッタ領域16は、ベース層12内において終端し、かつ、トレンチ13の側面に接するように形成されている。また、コンタクト領域17は、エミッタ領域16と同様に、ベース層12内において終端するように形成されている。
より詳しくは、エミッタ領域16は、トレンチ13間の領域において、トレンチ13の長手方向に沿ってトレンチ13の側面に接するように棒状に延設され、トレンチ13の先端よりも内側で終端する構造とされている。また、コンタクト領域17は、2つのエミッタ領域16に挟まれてトレンチ13の長手方向(すなわち、エミッタ領域16)に沿って棒状に延設されている。
なお、本実施形態では、トレンチ13の壁面のうちのエミッタ領域16とドリフト層11との間に位置する部分が、エミッタ領域とドリフト層との間に位置するベース層の表面に相当する。また、本実施形態のコンタクト領域17は、半導体基板10の一面10aを基準としてエミッタ領域16よりも深く形成されている。さらに、本実施形態では、エミッタ領域16およびコンタクト領域17は、無効領域1cには形成されていないが、無効領域1cにも形成されていてもよい。
半導体基板10の一面10a上には、BPSG(Borophosphosilicate Glassの略)等で構成される層間絶縁膜18が形成されている。そして、層間絶縁膜18上には、層間絶縁膜18に形成されたコンタクトホール18aを通じてエミッタ領域16およびコンタクト領域17(すなわち、ベース層12)と電気的に接続される上部電極19が形成されている。つまり、層間絶縁膜18上には、IGBT領域1aにおいてエミッタ電極として機能し、FWD領域1bにおいてアノード電極として機能する上部電極19が形成されている。
なお、本実施形態では、層間絶縁膜18には、FWD領域1bでは、ゲート電極15を露出させるコンタクトホール18bが形成されている。そして、上部電極19は、このコンタクトホール18bを通じてゲート電極15とも接続されている。これにより、FWD領域1bおよび無効領域1cに形成されたゲート電極15は、上部電極19と同電位に維持される。なお、本実施形態では、上部電極19が第1電極に相当している。
ドリフト層11のうちのベース層12側と反対側(すなわち、半導体基板10の他面10b側)には、ドリフト層11よりも高不純物濃度とされたN型のフィールドストップ層(以下では、FS層という)20が形成されている。
そして、IGBT領域1aでは、FS層20を挟んでドリフト層11と反対側にP型のコレクタ層21が形成され、FWD領域1bでは、FS層20を挟んでドリフト層11と反対側にN型のカソード層22が形成されている。また、無効領域1cでは、FS層20を挟んでドリフト層11と反対側にコレクタ層21が形成されている。つまり、IGBT領域1aおよび無効領域1cと、FWD領域1bとは、半導体基板10の他面10b側に形成される層がコレクタ層21であるかカソード層22であるかによって区画されている。また、IGBT領域1aと無効領域1cとは、ゲート電極15がパッド部3に接続されているか否かによって区画されている。言い換えると、本実施形態では、無効領域1cにエミッタ領域16が形成されていないため、IGBT領域1aと無効領域1cとは、半導体基板10の一面10a側にエミッタ領域16が形成されているか否かによって区画されている。
コレクタ層21およびカソード層22を挟んでドリフト層11と反対側(すなわち、半導体基板10の他面10b)には、コレクタ層21およびカソード層22と電気的に接続される下部電極23が形成されている。つまり、IGBT領域1aにおいてはコレクタ電極として機能し、FWD領域1bにおいてはカソード電極として機能する下部電極23が形成されている。本実施形態では、下部電極23が第2電極に相当している。
そして、上記のように構成されていることにより、FWD領域1bにおいては、ベース層12およびコンタクト領域17をアノードとし、ドリフト層11、FS層20、カソード層22をカソードとしてPN接合されたFWD素子が構成されている。
外周領域2は、セル領域1と同様のドリフト層11を有している。そして、ドリフト層11の表層部には、セル領域1の電界集中が抑制されるように、ベース層12よりも深くされたP型のガードリング30が形成されている。本実施形態では、ガードリング30は、複数形成されており、それぞれセル領域1を囲む環状構造とされている。つまり、複数のガードリング30は、多重リング構造を構成するように形成されている。
なお、複数のガードリング30のうちの最もセル領域1側に位置する最内周ガードリング30aは、セル領域1に形成されたベース層12と接触するように形成されている。つまり、この最内周ガードリング30aは、セル領域1に形成されたベース層12と連なって形成されている。
また、外周領域2では、セル領域1と同様に、半導体基板10の一面10a上に層間絶縁膜18が形成されている。そして、層間絶縁膜18には、最内周ガードリング30aを露出させるコンタクトホール18cおよび他のガードリング30を露出させるコンタクトホール18dが形成されている。層間絶縁膜18上には、コンタクトホール18cを通じて最内周ガードリング30aと電気的に接続されるように上部電極19が外周領域2まで延設されている。また、層間絶縁膜18上には、コンタクトホール18dを通じて他のガードリング30と電気的に接続される外周電極31も形成されている。
外周領域2における半導体基板10の他面10b側は、セル領域1におけるIGBT領域1aと同様に、FS層20およびコレクタ層21が形成されている。そして、外周領域2においても、コレクタ層21と電気的に接続されるように下部電極23が形成されている。
なお、セル領域1および外周領域2に形成されたFS層20の厚さは均一とされている。また、セル領域1に形成されたコレクタ層21およびカソード層22と、外周領域2に形成されたコレクタ層21との厚さは均一とされている。
そして、本実施形態では、半導体基板10は、FWD領域1bを構成する部分の厚さがIGBT領域1a、無効領域1c、外周領域2を構成する部分の厚さより薄くされている。なお、半導体基板10の厚さとは、半導体基板10の一面10aと他面10bとの間の長さのことである。
具体的には、本実施形態では、セル領域1および外周領域2において、FS層20の厚さが均一とされ、コレクタ層21とカソード層22との厚さが均一とされている。半導体基板10の一面10aは、ほぼ平坦な面とされている。そして、半導体基板10は、ドリフト層11のうちのFWD領域1bを構成する部分がIGBT領域1a、無効領域1c、外周領域2を構成する部分より薄くされることにより、FWD領域1bを構成する部分が薄くされている。
より詳しくは、本実施形態では、半導体基板10は、FWD領域1bとIGBT領域1aとの境界において、ドリフト層11におけるFS層20側の面に段差部11cが形成されるようにFWD領域1bが薄くされることにより、FWD領域1bを構成する部分が薄くされている。また、半導体基板10は、FWD領域1bと無効領域1cとの境界において、ドリフト層11におけるFS層20側の面に段差部11cが形成されるようにFWD領域1bが薄くされることにより、FWD領域1bを構成する部分が薄くされている。
つまり、半導体基板10は、他面10b側に、ドリフト層11の段差部11cに追従する段差部10cが形成された状態となっている。なお、段差部10cは、FWD領域1bとIGBT領域1aとの境界、およびFWD領域1bと無効領域1cとの境界に連続的に形成されており、FWD領域1bを囲むように枠状に形成されている。
つまり、本実施形態では、半導体基板10は、次のような厚さの関係とされている。まず、半導体基板10において、FWD領域1bにおける段差部10cが形成されていない部分の厚さを厚さd1とし、IGBT領域1aの厚さを厚さd2とする。半導体基板10において、無効領域1cにおける段差部10cが形成されていない領域の厚さを厚さd3とし、外周領域2の厚さを厚さd4とする。この場合、本実施形態では、半導体基板10は、d1>d2、d3、d4を満たすように形成されている。
また、本実施形態では、段差部11c(すなわち、段差部10c)は、曲面を有する滑らかな形状とされた湾曲部とされている。つまり、段差部11c(すなわち、段差部10c)は、他面10bに対する法線方向と一致しないように形成されている。なお、段差部10cは、半導体基板10の一面10aに対する法線方向において、段差部11cとほぼ同じ位置に形成されている。
そして、本実施形態では、IGBT領域1aとFWD領域1bとの間の段差部11cは、FWD領域1bに形成されている。つまり、段差部11cにおける湾曲部は、カソード層22とされている。また、FWD領域1bと無効領域1cとの間の段差部11cは、無効領域1cに形成されている。
以上が本実施形態における半導体装置の構成である。なお、本実施形態では、N型、N型、N型が第1導電型に相当しており、P型、P型が第2導電型に相当している。また、本実施形態では、上記のように構成されることにより、半導体基板10は、コレクタ層21、カソード層22、ドリフト層11、エミッタ領域16を含んだ構成となっている。
そして、このような半導体装置は、例えば、回路基板にはんだを介して実装される場合、半導体基板10の厚さの変化によって凹んでいる部分をはんだで埋めるようにして実装される。つまり、半導体装置を回路基板に実装する場合、FWD領域1bと回路基板との間のはんだの厚さを、IGBT領域1a、無効領域1c、外周領域2と回路基板との間のはんだの厚さと比較して厚くなるようにする。これにより、半導体装置が回路基板に対して傾いて配置されることを抑制できる。
次に、上記半導体装置の作動について説明しつつ、上記半導体装置のさらに詳細な構成について説明する。
まず、半導体装置は、上部電極19を接地すると共に下部電極23に正の電圧を印加すると、ベース層12とドリフト層11との間に形成されるPN接合は逆導通状態となる。このため、ゲート電極15に、ローレベル(例えば、0V)の電圧が印加されている場合には、PN接合に空乏層が形成され、上部電極19と下部電極23との間に電流は流れない。
そして、IGBT素子をオン状態にするには、上部電極19を接地すると共に下部電極23に正の電圧を印加した状態で、ゲート電極15に、絶縁ゲート構造の閾値電圧Vth以上の電圧を印加する。これにより、IGBT領域1aでは、ベース層12のうちのゲート電極15が配置されるトレンチ13と接している部分に反転層が形成される。そして、IGBT領域1aでは、エミッタ領域16から反転層を介して電子がドリフト層11に供給されると共に、コレクタ層21からホールがドリフト層11に供給され、伝導度変調によりドリフト層11の抵抗値が低下してオン状態となる。
また、IGBT素子をオフ状態にし、FWD素子をダイオード動作させる(すなわち、オン状態にする)際には、上部電極19と下部電極23に印加する電圧をスイッチングし、上部電極19に正の電圧を印加すると共に下部電極23を接地する。これにより、FWD素子がダイオード動作を行う。
この際、図4に示されるように、カソード層22から注入される電子は、矢印Aで示されるように、約45°で広がりながら半導体基板10の一面10a側へ移動する。この場合、当該電子が最内周ガードリング30aに達してしまうと、寄生ダイオードによって導通損失が増加してしまう。このため、本実施形態では、FWD領域1bは、外周領域2との間に、IGBT領域1aまたは無効領域1cが位置するように形成されている。したがって、FWD領域1bが外周領域2と隣接して形成されている場合と比較して、電子が最内周ガードリング30aに達することを抑制でき、FWD素子の導通損失が増加することを抑制できる。なお、図4中では、電子をeとして示してある。
また、本実施形態では、半導体基板10は、FWD領域1bの厚さd1が薄くされており、例えば、厚さd1が無効領域1cの厚さd3と同じとされている場合と比較して、電子が一面10a側に達する際のFWD領域1bからの距離Lを短くできる。このため、例えば、厚さd1が無効領域1cの厚さd3と同じとされている場合と比較して、電子が最内周ガードリング30aに達しないように無効領域1cの幅を設定する場合、無効領域1cの幅を狭くできる。なお、ここでの無効領域1cの幅とは、FWD領域1bと外周領域2との間の長さのことである。
さらに、FWD領域1bのドリフト層11を薄くしているため、FWD領域1bは、耐圧が低くなる。ここで、図5に示されるように、IGBT領域1a、無効領域1c、外周領域2でブレークダウンが発生すると、第1電極-第2電極間の電圧Vceは、ブレークダウン時の電圧より電圧Vceが低くなる負性特性を有する。そして、このような負性特性を有する箇所でブレークダウンが発生すると、局所的な電流集中が発生し易く、半導体装置が破壊され易い。
一方、FWD領域1bでブレークダウンが発生すると、第1電極-第2電極間の電圧Vceは、ブレークダウン時の電圧より電圧Vceが低下しない正性特性を有する。そして、このような正性特性を有する箇所でブレークダウンが発生すると、局所的な電流集中が発生し難く、半導体装置が破壊され難い。
このため、本実施形態では、FWD領域1bでブレークダウンが発生し易くなるように、半導体基板10の厚さd1が設定されている。つまり、半導体基板10は、FWD領域1bの耐圧がIGBT領域1a、無効領域1c、外周領域2の耐圧よりも低くなるように、厚さd1が厚さd2、d3、d4より薄くされている。
以上説明したように、本実施形態では、FWD領域1bと外周領域2との間には、IGBT領域1aまたは無効領域1cが配置されている。このため、FWD領域1bが外周領域2と隣接して形成されている場合と比較して、電子が最内周ガードリング30aに達することを抑制できる。したがって、導通損失が増加することを抑制できる。
また、本実施形態では、半導体基板10は、FWD領域1bの厚さd1が薄くされており、例えば、厚さd1が無効領域1cの厚さd3と同じとされている場合と比較して、電子が一面10a側に達する際のFWD領域1bからの距離Lを短くできる。このため、厚さd1が無効領域1cの厚さd3と同じとされている場合と比較して、電子が最内周ガードリング30aに達しないように無効領域1cの幅を設定する場合、無効領域1cの幅を狭くできる。したがって、半導体装置が半導体基板10の平面方向に大型化することを抑制でき、半導体基板10を有効に活用できる。
さらに、本実施形態では、FWD領域1bとIGBT領域1aとの段差部11cは、カソード層22で構成されている。ここで、段差部11cは、曲面を有する形状とされているものの、平坦面と比較すれば電位の変化が大きくなり易い。このため、IGBT動作させた場合、段差部11cがコレクタ層21で形成されていると、当該部分で電界強度が高くなり易く、耐圧が低下する可能性がある。このため、本実施形態では、FWD領域1bとIGBT領域1aとの段差部11cをカソード層22とすることにより、IGBT領域1aの耐圧が低下することを抑制できる。
さらに、本実施形態では、FWD領域1bでブレークダウンが発生し易くなるように、半導体基板10の厚さd1が厚さd2、d3、d4より薄くされている。このため、半導体装置が破壊されることを抑制できる。
(第2実施形態)
第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に対し、IGBT領域1aの厚さd2を変更したものである。その他に関しては、第1実施形態と同様であるため、ここでは説明を省略する。
本実施形態では、図6に示されるように、半導体基板10は、IGBT領域1aを構成する部分の厚さd2が、FWD領域1bを構成する部分の厚さd1より厚く、外周領域2を構成する部分の厚さd4よりも薄くされている。また、特に図示していないが、半導体基板10は、無効領域1cを構成する部分の厚さd3が、外周領域2を構成する部分の厚さd4と同じ厚さとされている。つまり、半導体基板10は、IGBT領域1aを構成する部分の厚さd2が、FWD領域1bを構成する部分の厚さd1より厚く、無効領域1cを構成する部分の厚さd3および外周領域2を構成する部分の厚さd4よりも薄くされている。
なお、半導体基板10は、IGBT領域1aと、無効領域1cおよび外周領域2との境界において、ドリフト層11におけるFS層20側の面に段差部11dが形成されることにより、他面10bに段差部10dが形成された状態となっている。
これによれば、IGBT領域1aが無効領域1cおよび外周領域2と同じ厚さとされている場合と比較して、IGBT素子の導通損失を低減できる。つまり、本実施形態の半導体装置では、IGBT素子の導通損失を低減しつつ、上記第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
(他の実施形態)
本発明は上記した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内において適宜変更が可能である。
例えば、上記各実施形態では、第1導電型をN型とし、第2導電型をP型とした例について説明したが、第1導電型をP型とし、第2導電型をN型とすることもできる。
また、上記各実施形態において、トレンチゲート型の半導体装置ではなく、半導体基板10の一面10a上にゲート電極15が配置されるプレーナ型の半導体装置としてもよい。
そして、上記各実施形態において、セル領域1は、1つとされていてもよいし、3つ以上の複数とされていてもよい。また、FWD領域1bは、1つのセル領域1内に1つのみ形成されるようにしてもよい。
さらに、上記各実施形態において、コンタクト領域17は形成されていなくてもよい。また、エミッタ領域16およびコンタクト領域17は、トレンチ13の長手方向に沿って棒状に延設される構成とされていなくてもよい。例えば、エミッタ領域16およびコンタクト領域17は、隣合うトレンチ13の両方と接するように形成されると共に、トレンチ13の長手方向に沿って交互に形成されるようにしてもよい。
また、上記各実施形態では、図2に示されるように、FWD領域1bに形成されるゲート電極15は、トレンチ13内に配置されている部分がコンタクトホール18bを通じて直接的に上部電極19と接続される例について説明した。しかしながら、FWD領域1bに形成されるゲート電極15と上部電極19との接続は、次のようにしてもよい。例えば、FWD領域1bでは、ゲート電極15をトレンチ13の長手方向における一端部側から半導体基板10の一面10a上まで引き出すようにする。そして、層間絶縁膜18には、当該引き出した部分を露出させるようにコンタクトホール18bを形成し、上部電極19は、このコンタクトホール18bを通じてゲート電極15のうちの引き出された部分と接続されるようにする。このようにゲート電極15が上部電極19と接続されるようにしても、上記各実施形態と同様の効果を得ることができる。
さらに、上記各実施形態において、半導体基板10は、FWD領域1bを構成する部分の厚さd1がIGBT領域1a、無効領域1c、外周領域2を構成する部分の厚さd2、d3、d4より薄くされているのであれば、FWD領域1bの耐圧がIGBT領域1a等の耐圧より高くなる厚さとされていてもよい。
また、上記各実施形態において、FWD領域1bとIGBT領域1aとの間の段差部10cは、コレクタ層21が形成されていてもよい。
そして、上記第2実施形態において、無効領域1cの厚さd3は、IGBT領域1aの厚さd1と同じ厚さとされていてもよい。
1 セル領域
1a IGBT領域
1b FWD領域
1c 無効領域
10 半導体基板
11 ドリフト層
14 ゲート絶縁膜
15 ゲート電極
16 エミッタ領域
19 第1電極
21 コレクタ層
22 カソード層
23 第2電極
30a ガードリング

Claims (4)

  1. IGBT素子として機能するIGBT領域(1a)、FWD素子として機能するFWD領域(1b)、IGBT素子およびFWD素子として機能しない無効領域(1c)を有するセル領域(1)と、前記セル領域を囲む外周領域(2)とが形成された半導体装置であって、
    第1導電型のドリフト層(11)と、前記セル領域において、前記ドリフト層の表層部に形成された第2導電型のベース層(12)と、前記IGBT領域において、前記ベース層の表層部に前記ドリフト層から離間して形成され、前記ドリフト層よりも高不純物濃度とされた第1導電型のエミッタ領域(16)と、前記IGBT領域および前記無効領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第2導電型のコレクタ層(21)と、前記FWD領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第1導電型のカソード層(22)と、を有する半導体基板(10)と、
    前記エミッタ領域と前記ドリフト層との間に位置する前記ベース層の表面に配置されたゲート絶縁膜(14)と、
    前記ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極(15)と、
    前記ベース層および前記エミッタ領域と電気的に接続される第1電極(19)と、
    前記コレクタ層および前記カソード層と電気的に接続される第2電極(23)と、
    前記外周領域に形成され、前記セル領域を囲むと共に前記第1電極と電気的に接続されたガードリング(30a)と、を備え、
    前記FWD領域は、前記外周領域との間に前記IGBT領域または前記無効領域が配置されることによって前記外周領域と離れて配置されており、
    前記半導体基板は、前記FWD領域を構成する部分の厚さ(d1)が、前記IGBT領域を構成する部分の厚さ(d2)、前記無効領域を構成する部分の厚さ(d3)、および前記外周領域を構成する部分の厚さ(d4)よりも薄くされ、
    前記FWD領域を構成する部分の厚さは、前記FWD領域の耐圧が、前記IGBT領域の耐圧よりも低くなる厚さとされており、さらに、前記FWD領域の耐圧が、前記無効領域、および前記外周領域の耐圧よりも低くなる厚さとされている半導体装置。
  2. 前記半導体基板は、前記IGBT領域を構成する部分の厚さが、前記無効領域および前記外周領域を構成する部分の厚さよりも薄くされ、
    前記IGBT領域を構成する部分の厚さは、前記IGBT領域の耐圧が、前記無効領域および前記外周領域の耐圧よりも低くなる厚さとされている請求項1に記載の半導体装置。
  3. IGBT素子として機能するIGBT領域(1a)、FWD素子として機能するFWD領域(1b)、IGBT素子およびFWD素子として機能しない無効領域(1c)を有するセル領域(1)と、前記セル領域を囲む外周領域(2)とが形成された半導体装置であって、
    第1導電型のドリフト層(11)と、前記セル領域において、前記ドリフト層の表層部に形成された第2導電型のベース層(12)と、前記IGBT領域において、前記ベース層の表層部に前記ドリフト層から離間して形成され、前記ドリフト層よりも高不純物濃度とされた第1導電型のエミッタ領域(16)と、前記IGBT領域および前記無効領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第2導電型のコレクタ層(21)と、前記FWD領域において、前記ドリフト層のうちの前記ベース層側と反対側に形成された第1導電型のカソード層(22)と、を有する半導体基板(10)と、
    前記エミッタ領域と前記ドリフト層との間に位置する前記ベース層の表面に配置されたゲート絶縁膜(14)と、
    前記ゲート絶縁膜上に配置されたゲート電極(15)と、
    前記ベース層および前記エミッタ領域と電気的に接続される第1電極(19)と、
    前記コレクタ層および前記カソード層と電気的に接続される第2電極(23)と、
    前記外周領域に形成され、前記セル領域を囲むと共に前記第1電極と電気的に接続されたガードリング(30a)と、を備え、
    前記FWD領域は、前記外周領域との間に前記IGBT領域または前記無効領域が配置されることによって前記外周領域と離れて配置されており、
    前記半導体基板は、前記FWD領域を構成する部分の厚さ(d1)が、前記IGBT領域を構成する部分の厚さ(d2)、前記無効領域を構成する部分の厚さ(d3)、および前記外周領域を構成する部分の厚さ(d4)よりも薄くされ、
    前記FWD領域を構成する部分の厚さは、前記FWD領域の耐圧が、前記IGBT領域の耐圧よりも低くなる厚さとされており、
    さらに、前記半導体基板は、前記IGBT領域を構成する部分の厚さが、前記無効領域および前記外周領域を構成する部分の厚さよりも薄くされ、
    前記IGBT領域を構成する部分の厚さは、前記IGBT領域の耐圧が、前記無効領域および前記外周領域の耐圧よりも低くなる厚さとされている半導体装置。
  4. 前記半導体基板には、前記FWD領域と前記IGBT領域との間において、前記コレクタ層および前記カソード層側の他面(10b)に厚さが変化する段差部(10c)が形成されており、
    前記段差部は、前記カソード層が形成されている請求項1ないし3のいずれか1つに記載の半導体装置。
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