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JP7337554B2 - モータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents

モータ制御装置、シート搬送装置及び画像形成装置 Download PDF

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Description

本発明は、モータ駆動装置及び画像形成装置に関する。
複写機、プリンタ等の電子写真方式の画像形成装置において、画像が形成される用紙等の記録紙を搬送する搬送系の駆動源として、ステッピングモータが広く用いられている。ステッピングモータは、モータの回転速度及び位置あるいは回転位相を検出する機構を備えていなくとも、モータに与えるパルス周期を制御することによって容易に速度制御を行える。また、ステッピングモータは、モータに与えるパルス数を制御することによって容易に位置制御を行えるという利点を有する。以下、この制御方式を同期制御と記載する。
ところが、ステッピングモータを同期制御する際、画像形成装置で必要となる負荷トルクが、ステッピングモータで出力可能なトルク範囲を超えると脱調が発生してステッピングモータが制御不能の状態に陥るおそれがある。脱調が発生すると、画像形成装置内で紙詰まりが発生し、詰まった紙をユーザが取り除く必要が生じる。これを避けるためには、画像形成装置で必要となる負荷トルクの変化に対応可能なモータ出力トルクが必要となる。そのためには、モータに供給する駆動電流は、画像形成装置で必要となる負荷トルクに対して所定のマージンを有するモータ出力トルクが得られるに十分なまで大きくする必要がある。その結果、ステッピングモータにおいては、電力消費量が増大し、かつ、余剰トルクに起因するモータの振動が騒音を発生させるおそれがある。
このような現象を回避するために、特許文献1及び2に記載のように、ベクトル制御(またはFOC:Field Oriented Control)と称されるモータの制御方法が知られている。例えば具体的には、ロータ(回転子)の指令位相と実際の回転位相との偏差が小さくなるように回転座標系における電流値を制御する位相フィードバック制御を行うことによってモータを制御する。回転座標系では、巻線に流れる駆動電流のq軸成分(q軸電流)はトルクを発生させるトルク電流成分であり、駆動電流のd軸成分(d軸電流)は巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分である。一般的なベクトル制御では、最大効率運転を意図して90°のロータ負荷角を維持するように駆動電流の振幅及び位相が制御される。
ステッピングモータにおけるベクトル制御では、固定座標系であるモータ巻線に流れる電流であるab相電流を、前述した回転座標系であるdq軸電流へと座標変換を行い、回転座標系で電流制御を行うことでdq軸電圧を生成する。このようにして生成したdq軸電圧を固定座標系のab相電圧に変換してモータ巻線に印可する。一般的なベクトル制御では、d軸電流を「0」としてq軸電流によりトルクが制御される。その結果、ロータの負荷量に応じて必要最低限の駆動電流が生成され、電力効率の良い駆動制御が実現される。また、上述のような余剰トルクに起因したモータの振動及び騒音を抑えることが可能となる。
特許3661864号公報 特開平6-225595号公報
励磁電流成分が0となるように制御した場合にモータを最大効率で駆動可能となることから、ベクトル制御では、励磁電流成分を0としてトルク電流成分を制御する。しかし、モータにおいて、ロータが高速で回転するとモータ巻線には逆起電圧を発生するので、これを打ち消すために磁束方向であるd軸にあえて励磁電流を流すことがある。
励磁電流により励磁電圧成分が発生した場合、トルク電圧成分と励磁電圧成分との合成電圧は、励磁電圧成分が0である場合の合成電圧(即ち、トルク電圧成分)より大きな値となり、その結果ab相電圧がインバータ回路に印可する電源電圧を超過するおそれがある。
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、インバータ回路からモータの巻線に印可される電圧が所定値を超えてしまうことを抑制することを目的とする。
本発明のモータ制御装置は、モータを制御するモータ制御装置において、モータの巻線に流れる駆動電流を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された駆動電流に基づいて、前記モータのロータの回転位相を決定する位相決定手段と、前記位相決定手段によって決定された回転位相と前記ロータの目標位相を表す指令位相との偏差が小さくなるように、前記位相決定手段によって決定された回転位相を基準とする回転座標系で表される電流成分であって前記ロータにトルクを発生させるトルク電流成分の目標値を生成し、かつ、前記回転座標系で表される電流成分であって前記巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分の目標値とを生成して前記励磁電流成分により弱め界磁制御を行う第1の生成手段であって、前記モータ制御装置の温度が所定温度を超えた場合は前記トルク電流成分の目標値が第1の所定値より大きい場合は前記第1の所定値を出力し且つ前記トルク電流成分の目標値が前記第1の所定値より小さい場合は前記トルク電流成分の目標値を出力する制御を行い、前記モータ制御装置の温度が前記所定温度以下である場合は前記制御を行わない第1の生成手段と、前記第1の生成手段から出力されるトルク電流成分の目標値又は前記第1の所定値と前記検出手段によって検出された駆動電流の前記トルク電流成分との偏差が小さくなるように、前記巻線に印可すべき駆動電圧の前記トルク電流成分に対応する値を生成する第2の生成手段であって、前記回転座標系で表される電流成分であって前記巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分の目標値と前記検出手段によって検出された駆動電流の前記励磁電流成分との偏差が小さくなるように、前記巻線に印可すべき駆動電圧の前記励磁電流成分に対応する値を生成する第2の生成手段と、前記第2の生成手段によって生成された前記駆動電圧の前記トルク電流成分に対応する値及び前記駆動電圧の前記励磁電流成分に対応する値に基づいて、前記巻線に前記駆動電圧を印可するインバータ回路と、を有し、前記第1の所定値は、前記駆動電圧の前記トルク電流成分に対応する値及び前記駆動電圧の前記励磁電流成分に対応する値によって表されるベクトルの大きさが第2の所定値より小さくなるように設定された値であり、前記第1の生成手段は、前記モータ制御装置の温度が前記所定温度を超えるまでは前記第2の所定値を増加させ、前記モータ制御装置の温度が前記所定温度を超えた場合には前記第2の所定値を元の値に戻すことを特徴とする。
本発明によれば、インバータ回路からモータの巻線に印可される電圧が所定値を超えてしまうことを抑制することができる。
モータ駆動装置が実装された画像形成装置の説明図。 画像形成装置の構成を表す機能ブロック図。 ベクトル制御を表す機能ブロック図。 α、β軸とd、q軸との関係の説明図。 Vq、VdとVdqとの関係の説明図。 電流の制限処理を表すフローチャート。 V_LIMの値を上昇させる処理を表すフローチャート。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
画像形成装置
本実施形態では、モータ駆動装置を画像形成装置に適用した例を示す。図1は、モータ駆動装置が実装される画像形成装置の説明図である。画像形成装置100は、原稿自動送り装置201、読取装置202、及び画像形成装置本体301を備えている。
原稿自動送り装置201の原稿載置部203に置かれた原稿は、給紙ローラ204によって1枚ずつ給紙され、搬送ガイド206を経由して読取装置202の原稿ガラス台214に搬送される。更に、原稿は、搬送ベルト208によって一定速度で搬送された後、排紙ローラ205によって装置外部へ排紙される。この間、読取装置202の読取位置において照明系209によって照明された原稿画像からの反射光は、反射ミラー210、211、212からなる光学系によって画像読取部101に導かれ、画像読取部101によって画像信号に変換される。画像読取部101は、レンズ、光電変換素子であるCCD(Charge Coupled Device)、CCDの駆動回路等で構成される。画像読取部101から出力された画像信号は、ASIC等のハードウェアデバイスで構成される画像処理部112によって、アナログ画像処理及びAD変換が行われ、デジタルの画像データが生成される。画像処理部112は、生成した画像データに対して各種補正処理を行った後に、画像形成装置本体301へと出力する。この画像データは、原稿画像を表すデータである。
読取装置202における原稿の読取モードとして、流し読みモード及び固定モードがある。流し読みモードは、照明系209及び光学系を停止した状態で、原稿を一定速度で搬送しながら当該原稿の画像を読み取るモードである。固定モードは、読取装置202の原稿ガラス台214上に原稿を載置し、照明系209及び光学系を一定速度で移動させながら、原稿ガラス台214上に載置された原稿の画像を読み取るモードである。通常、シート状の原稿は流し読みモードにより読み取られ、綴じられた原稿は固定モードで読み取られる。
画像形成装置100は、読取装置202から出力される画像信号に基づいて、画像形成装置本体301においてページ単位で記録紙(記録材)に画像を形成するコピー機能を有する。なお、画像形成装置100は、ネットワークを介して外部装置から受信したデータに基づいて記録紙に画像を形成する印刷機能も有している。
読取装置202から出力された画像信号は、光走査装置311に入力される。光走査装置311は、半導体レーザ及びポリゴンミラーを有し、入力された画像信号で変調されたレーザ光(光信号)を半導体レーザから出力する。半導体レーザから出力されたレーザ光が、ポリゴンミラー、及びミラー312、313を経由して感光ドラム309の表面に照射されることで、感光ドラム309が露光される。帯電器310によって表面が一様に帯電した感光ドラム309がレーザ光によって露光されることで、感光ドラム309上に静電潜像が形成される。感光ドラム309上に形成された静電潜像が、現像器314から供給されるトナーによって現像されることで、感光ドラム309上にトナー像が形成される。感光ドラム309上のトナー像は、感光ドラム309の回転に伴って転写分離器315と対向する位置(転写位置)まで移動すると、転写分離器315によって記録紙に転写される。
記録紙は、紙カセット302及び304に収納されており、それぞれ異なる種類の記録紙を収納可能である。例えば、紙カセット302には標準の記録紙が収納され、紙カセット304にはタブ紙が収納される。紙カセット302に収納された記録紙は、給紙ローラ303によって搬送路上に給紙され、搬送ローラ306によってレジストローラ308の位置まで搬送され、そこで一時的に停止する。一方、紙カセット304に収納された記録紙は、給紙ローラ305によって搬送路上に給紙され、搬送ローラ307、306によってレジストローラ308の位置まで搬送され、そこで一時的に停止する。
レジストローラ308の位置まで搬送された記録紙は、感光ドラム309上のトナー像が転写位置に到達するタイミングに合わせて、レジストローラ308によって転写位置へ搬送される。転写位置において感光ドラム309からトナー像が転写された記録紙は、搬送ベルト317によって定着器318へ搬送される。定着器318は、熱及び圧力により、記録紙上のトナー像を当該記録紙に定着させる。
片面印刷モードで画像形成が行われる場合には、定着器318を通過した記録紙は、排紙ローラ319、324によって装置外部へ排紙される。両面印刷モードで画像形成が行われる場合には、定着器318を通過後、表面(第1面)に画像が形成された記録紙は、排紙ローラ319、搬送ローラ320及び反転ローラ321によって、反転パス325へ搬送される。更に、記録紙の後端が、反転パス325と両面パス326との合流ポイントを通過した直後に反転ローラ321の回転を反転させることで、記録紙が逆方向に搬送され始め、両面パス326へ搬送される。その後、記録紙は、搬送ローラ322、323によって両面パス326を搬送され、再び搬送ローラ306によってレジストローラ308の位置まで搬送され、そこで一時的に停止する。更に、記録紙の表面(第1面)への画像形成と同様に、転写位置において記録紙の裏面(第2面)へのトナー像の転写処理が行われ、更に定着器318によって定着処理が行われた後、記録紙は、装置外部へ排紙される。このように、反転ローラ321は、記録紙の両面に画像を形成する際に、搬送路上で記録紙の搬送方向を反転させるための反転ローラとして機能する。
また、表裏を反転させて(第1面と第2面とを反転させて)記録紙を装置外部へ排紙する場合には、定着器318を通過した記録紙を、排紙ローラ324へ向かう方向ではなく、搬送ローラ320へ向かう方向へ一時的に搬送する。その後、記録紙の後端が搬送ローラ320の位置を通過する直前に、搬送ローラ320の回転を反転させることで、記録紙が逆方向に搬送され始め、排紙ローラ324へ向かう方向へ搬送される。その結果、記録紙は、表裏が反転した状態で排紙ローラ324によって装置外部へ排紙される。このように、搬送ローラ320は、画像形成が行われた記録紙を、表裏を反転させて排紙する際に、搬送路上で記録紙の搬送方向を反転させるための反転ローラとして機能する。
このように、画像形成装置本体301は、画像が形成される記録紙の搬送用のローラとして、搬送ローラ306、307、排紙ローラ319、反転ローラ321、搬送ローラ322、323、及び排紙ローラ324を備えている。これらのローラを駆動するモータのモータ駆動装置の制御は、図2を参照して後述するように、制御手段としてのシステムコントローラ151からの指示によりモータ制御部157によって行われる。
画像形成装置の制御構成
図2は、画像形成装置100の制御構成例を示すブロック図である。図2に示すシステムコントローラ151は、CPU151a、ROM151b、及びRAM151cを備え、画像形成装置100全体を制御する。システムコントローラ151は、画像処理部112、操作部152、アナログ・デジタル(A/D)変換器153、高圧制御部155、モータ制御部157、センサ類159、及びACドライバ160と接続されている。システムコントローラ151は、接続された各ユニットとの間でデータの交換が可能である。
CPU151aは、ROM151bに格納された各種プログラムを読み出して実行することによって、予め定められた画像形成シーケンスに関連する各種シーケンスを実行する。RAM151cは、揮発性の記憶デバイスであり、CPU151aは、各種プログラムを実行するためのワークエリアとして、または各種データが一時的に格納される一時記憶領域として使用される。RAM151cには、例えば、高圧制御部155に対する設定値、モータ制御部157に対する指令値、操作部152から受信される情報等のデータが格納される。
システムコントローラ151は、ユーザが各種の設定を行うための操作画面を操作部152に設けられた表示部に表示するように操作部152を制御することで、操作部152を介してユーザによる設定を受け付ける。システムコントローラ151は、操作部152を介したユーザによる設定の内容(例えば複写倍率の設定値、濃度設定値等)を示す情報を操作部152から受信する。
また、システムコントローラ151は、画像形成装置の状態をユーザに知らせるためのデータを操作部152に送信する。操作部152は、システムコントローラ151から受信したデータに基づいて、画像形成装置の状態を示す情報(例えば、画像形成枚数、画像形成中か否かを示す情報、ジャムの発生及び発生箇所を示す情報)を表示部に表示する。
システムコントローラ151(CPU151a)は、画像処理部112に対して、画像処理部112における画像処理に必要となる、画像形成装置100内の各デバイスの設定値データを送信する。また、システムコントローラ151は、各デバイスからの信号(センサ類159からの信号)を受信して、受信した信号に基づいて高圧制御部155を制御する。高圧制御部155は、システムコントローラ151から出力される設定値に基づいて、高圧ユニット156を構成する帯電器310、現像器314、及び転写分離器315に対して、それぞれの動作に必要となる電圧を供給する。
A/D変換器153は、定着ヒータ161の温度を検出するためのサーミスタ154から検出信号を受信し、当該検出信号をデジタル信号に変換してシステムコントローラ151に送信する。システムコントローラ151は、A/D変換器153から受信したデジタル信号に基づいてACドライバ160を制御することで、定着ヒータ161の温度を、定着処理のための所望の温度に制御する。なお、定着ヒータ161は、定着器318に含まれる、定着処理に用いられるヒータである。
このように、システムコントローラ151は画像形成装置100の動作シーケンスを制御する。また、システムコントローラ151は、モータ制御部157を介して、各モータの駆動シーケンスを制御する。モータ制御部157は、システムコントローラ151からの指示に従って、記録紙の搬送用のローラを駆動する駆動源に相当するモータ(図3に示すステッピングモータ509)を制御する。なお、画像形成装置100は、記録紙の搬送用の各ローラに対応するモータごとに、当該モータを制御するモータ制御部157を備えている。本実施形態では、モータ制御部157は、モータの駆動制御を行うモータ制御装置の一例である。
モータ制御部157の外部のコントローラに相当するシステムコントローラ151(CPU151a)は、制御対象のモータ(ステッピングモータ509)におけるロータの回転位相の指令値(θ_ref)を生成し、モータ制御部157へ出力する。例えば、θ_refは、パルス状の矩形波信号であり、1パルスがステッピングモータの回転角度の最小変化量を規定する。なお、モータの回転速度の指令値(速度指令値ω_ref)は、θ_refに対応する周波数として求められる。CPU151aは、モータの駆動シーケンスを開始すると、生成したθ_refを所定の時間周期(制御周期)でモータ制御部157へ出力する。モータ制御部157は、CPU151aから与えられる位相指令値に従って、ステッピングモータ509におけるロータの回転位相(位置)制御及び速度制御を実行する。
ベクトル制御
次に、図3及び図4を参照して、モータ制御部157によって実行されるステッピングモータ509のベクトル制御の概要について説明する。図3は、モータ駆動装置300の構成例を示すブロック図である。図3において、モータ制御部157の基本的な構成は、ブラシレスDCモータ、ACサーボモータ等のモータで利用されている、静止座標系から回転座標系への座標変換を用いたインバータ制御に対応した構成である。
電源電圧リミッタ部524は、電源520から供給される電源電圧Vを受けて、PWMインバータ506における電圧の制限値である電圧V_LIMがモータ制御部157に供給されるように、電圧を制限する。モータ制御部157では、ベクトル制御部515から出力されるステッピングモータ509の駆動電圧Vα、Vβに応じて、PWMインバータ506がステッピングモータ509へ駆動電流を供給することによって、ステッピングモータ509を駆動する。なお、図3に示すように、ベクトル制御部515は、速度制御部502、Iq_refリミッタ部、電流制御部503、504、Vdq過電圧検知部及び座標変換器505、511によって構成されている。
図4は、A相及びB相からなる2相のモータと回転座標系のdq軸との関係を示す図である。同図では、静止座標系におけるA相及びB相の巻線に対応した軸をそれぞれα軸及びβ軸と定義している。また、静止座標系におけるα軸と、ロータ(回転子)として用いられる永久磁石の磁極によって作られる磁束の方向(d軸)との成す角度をθと定義している。この場合、ステッピングモータ509におけるロータの出力軸の回転位相は角度θによって表される。ベクトル制御では、図4に示すように、ロータの磁束方向に沿ったd軸と、d軸から90度進んだ方向に沿った(d軸と直交する)q軸とで表される、ステッピングモータ509におけるロータの回転位相θを基準とした回転座標系が用いられる。
モータ制御部157は、ステッピングモータ509へ供給する駆動電流を、ステッピングモータ509におけるロータの回転位相θを基準とした回転座標系の電流値によって制御するベクトル制御を行う。ベクトル制御では、ステッピングモータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流に対応する電流ベクトルが、α軸及びβ軸で表される静止座標系から、d軸及びq軸で表される回転座標系に変換される。このような座標変換の結果、ステッピングモータ509に供給される駆動電流は、回転座標系において、直流のd軸成分(d軸電流)及びq軸成分(q軸電流)によって表される。この場合、q軸電流は、ステッピングモータ509にトルクを発生させるトルク電流成分に相当し、d軸電流は、ステッピングモータ509のロータの磁束強度に影響する励磁電流成分に相当する。モータ制御部157は、回転座標系におけるq軸電流及びd軸電流を独立して制御することで、ステッピングモータ509のベクトル制御を実現する。
具体的には、モータ制御部157は、ステッピングモータ509におけるロータの回転位相及び回転速度を推定し、その推定結果に基づいてベクトル制御を行う。モータ制御部157は、図3に示すように、位相制御部501、速度制御部502、及び電流制御部503、504へのそれぞれのフィードバックに基づく3つの制御ループを含み、これらの制御ループによってベクトル制御を実現する。なお、図3に示すモータ制御部157において、ステッピングモータ509におけるロータの回転位相θの推定は、誘起電圧演算部512及び位相決定手段としての位相演算部(ATAN)513によって行われる。また、ステッピングモータ509の回転速度ω(dθ/dt)の推定は、回転位相θの推定値に基づいて、速度演算部514によって行われる。
位相制御部501を含む、最も外側の制御ループでは、ステッピングモータ509におけるロータの回転位相θの推定値のフィードバックに基づいて、ステッピングモータ509の位相制御を行う。モータ制御部157には、システムコントローラ151のCPU151aから、ステッピングモータ509の位相指令値θ_refが与えられる。位相制御部501は、位相演算部513からフィードバックされる、ステッピングモータ509におけるロータの回転位相θの推定値の位相指令値θ_ref(目標値)に対する偏差が0に近づくように速度指令値ω_refを生成する。その後、位相制御部501は、速度制限手段としてのω_refリミッタ部523に速度指令値ω_refを出力する。ω_refリミッタ部523は、位相制御部501から出力された速度指令値ω_refがリミット値ω_LIM以下になるように制限されたω_ref'を出力する。具体的には、ω_refの算出結果がω_LIM以上の値のときはω_LIMがω_ref'として出力される。また、ω_refの算出結果がω_LIM未満の値のときはω_refがω_ref'として出力される。ω_LIMはVdq過電圧検知部522によって決定される値である。このVdq過電圧検知部522の演算内容の詳細は後述する。このようにして、位相制御部501によるステッピングモータ509の位相制御が行われる。
速度制御部502を含む制御ループでは、ステッピングモータ509の回転速度ωの推定値のフィードバックに基づいて、ステッピングモータ509の速度制御を行う。速度制御部502は、速度演算部514からフィードバックされる、ステッピングモータ509の回転速度ωの推定値の、速度指令値ω_ref(目標値)に対する偏差が0に近づくように、電流指令値Iq_refを生成して出力する。ここで、Iq_refリミッタ部521は、速度制御部502から出力された電流指令値Iq_refがステッピングモータの電流制限値(リミット値)であるIq_LIM以下になるよう制限したIq_ref'を出力する。具体的には、Iq_refの算出結果がIq_LIM以上の値のとき、Iq_LIMがIq_ref'として出力される。また、Iq_refの算出結果がIq_LIM未満の値のとき、Iq_refがIq_ref'として出力される。Iq_LIMは、Vdq過電圧検知部522によって決定される値であり、Vdq過電圧検知部522の演算詳細は後述する。
電流制御部503、504を含む制御ループでは、ステッピングモータ509の各相の巻線に流れる駆動電流の検出値のフィードバックに基づいて、ステッピングモータ509の各相の巻線に供給する駆動電流を制御する。ここで、ステッピングモータ509のA相及びB相の巻線には、それぞれ以下のような電流が流れるものとする。
iα=I×cosθ'
iβ=I×sinθ' (1)
この場合、回転座標系におけるd軸電流及びq軸電流(直流電流)の電流値Id、Iqは、次式に示す座標変換によって表される。
Id= cosθ×iα+sinθ×iβ
Iq=-sinθ×iα+cosθ×iβ (2)
このような座標変換によって、静止座標系における、A相及びB相の巻線にそれぞれ流れる交流電流値iα、iβは、回転座標系における直流電流値Iq、Idに変換される。なお、q軸電流は、ステッピングモータ509にトルクを発生させるトルク電流成分(第1の電流成分)である。d軸電流は、ステッピングモータ509のロータの磁束強度に影響する励磁電流成分(第2の電流成分)であり、ステッピングモータ509のトルクの発生には寄与しない。
ステッピングモータ509のA相及びB相の巻線に流れる駆動電流は、PWMインバータ506とステッピングモータ509との間に設けられた電流検出部507、508によってそれぞれ検出される。電流検出部507、508によって検出された駆動電流の値は、A/D変換部510によってアナログ値からデジタル値へ変換されることで、CPU、またはFPGA等のプログラミングデバイスによる取り込みが可能になる。A/D変換部510から出力される、静止座標系における電流値iα、iβは、座標変換器511及び誘起電圧演算部512へ入力される。
座標変換器511は、式(2)によって、静止座標系(αβ軸)における電流値iα、iβを回転座標系(dq軸)における電流値Iq、Idへ変換して出力する。電流制御部503、504には、座標変換器511から出力される、回転座標系における検出された電流値Iq、Idと、電流指令値Iq_ref'、Id_refと、の差分値が入力される。電流指令値Iq_ref'、Id_refは、Iq_refリミッタ部521及び後述するId_REFリミッタ部523から出力される、回転座標系における電流指令値である。
電流制御部503、504は、入力された差分値(即ち、検出された電流値Iq、Idの、目標値である電流指令値Iq_ref'、Id_refに対する偏差)が0に近づくように、回転座標系における電圧値Vq'、Vd'を生成及び出力する。なお、位相制御部501、速度制御部502、及び電流制御部503、504はそれぞれ、例えば、比例補償器及び積分補償器で構成され、PI制御によりフィードバック制御を実現する。
Vdq過電圧検知部522は、Iq_LIMをIq_refリミッタ部521に出力し、ω_LIMをω_refリミッタ部523に出力し、かつ、電圧値Vq'、Vd'を座標変換器505に出力する。その詳細は後述する。
座標変換器505は、電流制御部503、504から出力される、回転座標系における電圧値Vq'、Vd'を、次式によって、静止座標系における電流値Vα'、Vβ'へ逆変換する。
Vα'=cosθ×Vd'-sinθ×Vq'
Vβ'=sinθ×Vd'+cosθ×Vq' (3)
座標変換器505は、静止座標系への座標変換後の駆動電圧Vα、Vβを、フルブリッジ回路で構成されたPWMインバータ506、及び誘起電圧演算部512へ出力する。
このようにして、ベクトル制御部515は、ステッピングモータ509におけるロータの回転位相θを基準とした回転座標系(dq軸)の電流値によって、ステッピングモータ509の各相の巻線に供給する駆動電流を制御するベクトル制御を行う。ベクトル制御部515は、ステッピングモータ509におけるロータの回転位相θの推定値のフィードバックに基づくベクトル制御の結果として、ステッピングモータ509へ供給する駆動電流に対応する駆動電圧Vα、Vβを出力する。なお、ベクトル制御では、通常、d軸電流はその値が0となるように制御される。しかし、本実施形態においては、CPU151aが位相指令値θ_refの周波数(即ち、モータの目標速度)に基づいて所定の負のId指令値id_refを出力するものとする。これは、一般に弱め界磁制御と呼ばれる技術であり、所定のd軸電流を負方向に印加することで高速領域のトルクを向上する効果が得られる。
PWMインバータ506では、座標変換器505から入力された駆動電圧Vα、Vβによってフルブリッジ回路が駆動される。その結果、PWMインバータ506は、駆動電圧Vα、Vβに応じてステッピングモータ509の各相の巻線に駆動電流を供給することによって、ステッピングモータ509を駆動する。
センサレス制御
上述のように、ベクトル制御では、モータの位相制御及び速度制御を行うために、モータの位相及び回転速度を示す情報のフィードバックが必要である。具体的には、図3に示す構成では、ステッピングモータ509におけるロータの回転位相θを示す位相情報、及びステッピングモータ509の回転速度ωを示す速度情報を、位相制御部501及び速度制御部502にそれぞれフィードバックする必要がある。
通常、モータの位相及び回転速度を検出(推定)するためには、モータにロータリエンコーダを取り付け、エンコーダの出力パルス数に基づいて位相を検出し、エンコーダの出力パルス周期に基づいて回転速度を検出する。しかし、本来ステッピングモータの駆動に不要であるエンコーダを追加することによって、上述のように、コストアップ及び配置スペースの確保が問題となる。そこで、エンコーダを用いることなくモータの位相及び回転速度を推定し、その推定結果に基づいてベクトル制御を行うセンサレス制御が提案されている。以下では、再び図3を参照して、ステッピングモータ509のセンサレス制御について説明する。
まず、誘起電圧演算部512は、ステッピングモータ509(のロータ)の回転に従って、A相(第1相)及びB相(第2相)の巻線にそれぞれ誘起される誘起電圧(A相及びB相の逆起電圧)を演算する。具体的には、A/D変換部510によるデジタル値への変換後の電流値iα、iβと、ベクトル制御部515から出力された、ステッピングモータ509の駆動電圧Vα、Vβとが、誘起電圧演算部512に入力される。誘起電圧演算部512は、A相及びB相のそれぞれについて、駆動電圧Vα、Vβと電流値iα、iβとから、以下の電圧方程式によって、ステッピングモータ509の誘起電圧Eα、Eβを演算する。
Eα=Vα-R×iα-L×diα/dt
Eβ=Vβ-R×iβ-L×diβ/dt (4)
ここで、Rは巻線レジスタンス、Lは巻線インダクタンスである。R及びLの値は、使用されているステッピングモータ509に固有の値であり、ROM151b、またはモータ制御部157内に設けられた不図示のメモリに予め格納されている。
誘起電圧演算部512によって演算された、A相及びB相の誘起電圧Eα、Eβは、位相演算部513へ入力される。位相演算部513は、A相の誘起電圧EαとB相の誘起電圧Eβとの比から、次式によってステッピングモータ509におけるロータの回転位相θの推定値を演算する。
θ=tan-1(-Eβ/Eα) (5)
位相演算部513は、このような推定演算により得られた回転位相θの推定値を、位相制御部501及び速度演算部514に出力する。なお、回転位相θの推定値は、位相演算部513から座標変換器505、511にも出力される。
速度演算部514は、入力された回転位相θから、次式によってステッピングモータ509の回転速度ωの推定値を演算する。
ω=dθ/dt (6)
式(6)のように、回転速度ωは、回転位相θの推定値の時間変化に基づいて演算される。速度演算部514は、得られた回転速度ωを速度制御部502に出力(フィードバック)する。 以下、上述したVdq過電圧検知部522によるIq電流リミッタ値(Iq_LIM)及びω_refリミッタ値を求める方法について説明する。
図3に示されるように、Vdq過電圧検知部522には、電流制御部503、504が出力するVq'、Vd'が入力される。図5を用いて第1実施形態におけるVdq過電圧検知部522によるIq_LIMの演算方法について説明する。図5はモータ巻線に印可する電圧ベクトルVをd/q座標上に表現したものであり、円の半径はV_LIMを表している。
V_LIMは、一般的にPWMインバータ506に印可する電源電圧となる。前述したように、ベクトル制御は、固定座標系であるモータ巻線に流れるab相電流を回転座標系であるdq軸電流に座標変換を行い、回転座標系で電流制御を行うことでdq軸電圧を生成し、固定座標系のab相電圧に変換してモータ巻線に印可する。
一般的なベクトル制御では、d軸電流が0となるように制御してq軸電流でトルク制御を行う。この場合、d軸電流が0であることからd軸電圧も0となり、モータは、q軸電圧を印可することで駆動される。一方、d軸電流を0に制御した場合には効率最大で駆動可能だが、モータの回転子が高速で回転すると、モータ巻線には逆起電圧を発生するので、これを打ち消すために磁束方向であるd軸にあえて電流を流す(弱め界磁を行う)ことがある。この場合はVdが非ゼロとなるように、つまりVdの値の絶対値が0より大きくなるように電圧を制御する。
モータ巻線に印可するab相電圧は、PWMインバータ回路を用いてモータ巻線に印可されるので、当然ではあるが、インバータ回路に印可する電源電圧を超えて出力することはできない。従って、以下に示すベクトル制御では、ab相電圧がインバータ回路に印可する電源電圧を超過しないようにdq軸電圧を制御する。
図5(a)、(b)を参照して、d軸電流を0とした場合と、d軸に電流を流した場合とのそれぞれについての回転座標軸上の電圧の挙動について説明する。
図5(a)は、d軸電圧であるVdを0としたときの回転座標軸上の電圧を表している。このとき、VqとVdの合成ベクトルVは、Vqと一致する。従って、VqがV_LIMを超えない場合、Iq_LIMまたはω_LIMを減少させる必要はない。
一般的に、V_LIMはPWMインバータ506等の昇温を考慮して、その温度が規定値以上を超えないように設定されている。本実施形態でも、PWMインバータ506の温度が規定値以上に上昇することを防ぐように、その値が定められている。
図5(b)は、Vdが非ゼロとなるように制御されてVd≠0となったときを表している。このとき、合成ベクトルVはVqとは一致せず、VqとVdを合成したベクトルとなる。従って、例えば、VqがV_LIMと同じ大きさのとき、合成ベクトルVの大きさはV_LIMを超えてしまう。この場合、Iq_refの大きさを制限すれば、電流制御出力が制限されることになるのでVd、Vqも制限され、合成ベクトルをV_LIM以下に制限することができる。
図5(b)に示されるように、VdとVqの合成ベクトルVdqの大きさは√(Vq+ Vd)となるので、合成ベクトルVdqがV_LIMを超えないようにするためには、以下の式(8)を満たすようにIq_refを制御すればよい。
Vdq=√(Vq+ Vd)≦V_LIM (8)
具体的には、制限値V_LIMとVdqとを用い、式(8)によって過電圧を検知した場合には、Iq_LIMまたはω_LIMが現在値よりも小さくなるように制御する。
次に、図6のフローチャートを参照して第1実施形態における電流制限処理の概要を説明する。なお、以下の説明においては、特に断りのない限り、Vdが非ゼロとなるように制御されてVd≠0となっている。各ステップは図3におけるCPU151aの下においてモータ制御部157によって実行される。また、説明を簡略化するために、各ステップはモータ制御部157によって実行されるものとする。なお、図6はモータ制御部157がIq_refを制限するフローチャートを示すが、これに代えて、モータ制御部157がω_refを制限するものとしてもよい。
モータ駆動が開始されると(S100)、モータ制御部157は、上述したベクトル制御で説明したように、電流検出部507、508、及びA/D変換部510によってモータの駆動電流の検出を開始する(S101)。そして、モータ制御部157は、検出した電流を用いてモータの回転位相θ、速度ωを算出し(S102)、さらに目標回転位相を表す位相指令値θ_refとθ、ωによる位相/速度制御によってIq_refを演算する(S103)。
S104において、Iq_refリミッタ部521は、S103で演算されたIq_refがIq_LIMより大きいか否かを判断する。Iq_LIMは、Vdq過電圧検知部522によって決まるIqの制限値である。Vdq過電圧検知部522は、√(Vq+Vd)≦V_LIMとなるように、つまり、合成電圧がV_LIMを超えないようにIq_LIMの値を定める。
Iq_refがIq_LIMより大きくないと判断された場合(S104:N)、Iq_refリミッタ部521は、S103で演算されたIq_refの値をそのままIq_ref'として出力する(S105)。
Iq_refがIq_LIMより大きいと判断された場合(S104:Y)、Iq_refリミッタ部521は、Iq_LIMの値をIq_ref'として出力する(S106)。モータ制御部157は、Iq_ref'をIq電流指令値として、上述したようにId_ref、Id及びIqに基づいて電流制御を行いVq、Vdを算出する(S107)。
次に、モータ制御部157は、Vdq過電圧検知部522の検知結果を通じて、√(Vq+Vd)>V_LIMであるか否かを判定する(S108)。√(Vq+Vd)>V_LIMである場合(S108:Y)、モータ制御部157は、√(Vq+Vd)≦V_LIMとなるようにIq_LIMを減少させ(S109)、S110に処理を進める。その他の場合(S108:N)、モータ制御部157は、S110に処理を進める。その後、モータ制御部157は、駆動停止指令があるか否かを判定し(S110)、駆動停止指令がない場合(S110:N)はS101を再度実行し、駆動停止指令がある場合(S110:Y)にはモータ駆動を終了する(S111)。
このように、モータ制御部157は、Vdq過電圧検知部522の検知結果からId_refを制限することで、合成ベクトルVdqがPWMインバータ506の制限値V_LIMに飽和しないように電圧を制御することができる。
なお、S104~S107では、トルク電流成分を減少させたが、√(Vq+Vd)≦V_LIMとなるように、トルク電流成分と励磁電流成分との少なくとも一方を減少させるようにしてもよい。
変形例
上述した実施形態では、Vdq過電圧検知部522で式(8)に示される√(Vq+Vd)>V_LIMを検知した場合に電圧制御を行う。この場合、ab相電圧は電源電圧を超えて出力することはできないので、ab相電圧は電源電圧で飽和する。
しかし、ロータ位相を検出するためのロータリエンコーダのような位相検出センサを用いないセンサレスベクトル制御を行う場合、ロータ位相はab相電流とab相電圧とから推定される。ロータ位相の推定は、モータ巻線に発生する逆起電力に基づいて行われ、かつ、ab相電流及びab相電圧がともに正弦波であることを前提としている。
ab相電圧が飽和した状態では、その波形は正弦波にはならない。従って、ロータ位相の推定には誤差が発生し、その結果、異音や脱調が発生するおそれがある。そこで、変形例における電圧制御では、Iq_refリミッタ部521でIq_refを制限、もしくはω_refリミッタ部523でω_refを制限することで、駆動電圧Va/VbがPWMインバータ506の制限値V_LIMに飽和することを避ける。その結果、駆動電圧Va/Vbを用いることで、推定電気角に誤差が生じることが防がれる。
しかし、Iq_refに制限を設けるとトルクが制限されることにより速度が低下し、また、ω_refを制限した場合にも速度が低下するので、一定速度が必要とされる駆動シーケンス等ではこのような制御を行うことができないおそれもある。
従って、変形例では、Vdq過電圧検知部522で√(Vq+Vd)>V_LIMであることを検知した場合であってもIq_ref、ω_refの制限は行わない。これに代えて、電源電圧リミッタ部524において、PWMインバータ506の制限値であるV_LIMを一時的に増加させる。増加後のV_LIMの値をV'_LIMとし、その値を√(Vq+Vd)以上に設定しているので、電圧の上限値が上がっており、電圧の値に対する制限が緩くなっている。
この場合、駆動電圧Va/Vbの波形は、その値がV_LIMを超える領域でも正弦波を保つので、駆動電圧Va/Vbを用いて推定される推定電気角を正しく演算することが可能となる。
上述したように、V_LIMの値は、PWMインバータ506等の昇温を考慮して、その温度が規定値以上を超えないように設定されている。従って、V_LIMを、V_LIMよりも大きい値であるV'_LIMに変更すると、PWMインバータ506等の温度が規定値以上となってしまう場合もあり得る。
そこで、変形例では、PWMインバータ506等の温度が規定値以上にならないように、V_LIMをV'_LIMに変更する時間を管理する。そのために、モータまたはモータ駆動装置に温度検知部を少なくとも1つ設け、これにより、モータ内の任意に定められる位置の温度を測定する。例えば、PWMインバータ506の温度あるいはモータ駆動装置の温度を検知する。この変形例ではPWMインバータ506の温度を検知して、その温度が所定の温度制限値を超えた場合にV'_LIMを減少させてV_LIMに戻す。このようにすることで、PWMインバータ506の温度が低下して所定値以下の値となる。なお、この所定の温度制限値は、PWMインバータ506等の温度の規定値と等しい値にしてもよく、あるいは、規定値よりも大きい値にしてもよい。所定の温度制限値を上述した規定値よりも大きい値にする場合には、V'_LIMとなってからV_LIMに戻るまでの期間においてPWMインバータ506が温度上昇により損傷しないようにV'_LIMの値を設定することが好ましい。
図7に、変形例におけるV_LIMの値を上昇させる処理である、V_LIMの制限緩和処理の概要を表すフローチャートを示す。なお、図6のフローチャートの説明でも記載したように、特に断りのない限り、Vdが非ゼロとなるように制御されてVd≠0となっている。各ステップは、図3におけるCPU151aの下においてモータ制御部157によって実行される。また、説明を簡略化するために、各ステップはモータ制御部157によって実行されるものとする。
モータ駆動が開始されると(S200)、モータ制御部157は、電流検出部507、508及びA/D変換部510によってモータ電流の検出を開始し(S201)、検出した電流を用いて回転位相θ、速度ωを算出する(S202)。その後、モータ制御部157は、さらに位相指令値θ_refとθ、ωによる位相/速度制御によってIq_refを演算する(S203)。ここで、S101、S102及びS103の内容は、ベクトル制御についての説明と同様であるのでその詳細は省略する。
モータ制御部157は、Iq_refをIq電流指令値として、上述したように、Id_ref、Id、Iqから電流制御を行い、Vq、Vdを算出する(S204)。次に、モータ制御部157は、Vdq過電圧検知部522の検知結果を通じて√(Vq+Vd)>V_LIMであるかを判定する(S205)。√(Vq+Vd)>V_LIMである場合(S205:Y)、モータ制御部157はV_LIMを増加し(S206)、後述するS207を実行する。一方、√(Vq+Vd)≦V_LIMである場合(S205:N)には、モータ制御部157は、V_LIMの値の変更は行わずにS207を実行する。
その後、モータ制御部157は、駆動停止指令があるか否かを判定し(S207)、駆動停止指令がない場合(S207:N)にはS201を再度実行し、駆動停止指令がある場合(S207:Y)にはモータ駆動を終了する(S208)。
このようにして、図7のフローチャートに示されるように、モータ制御部157は、Vdq過電圧検知部522におけるV_LIMの値を増加させる。その結果、駆動電圧Va/VbがPWMインバータ506制限値V_LIMに飽和しないような制御を行うことができる。
以上説明したように、本発明によれば、ステッピングモータ等のモータにおけるベクトル制御を改善することができる。一実施形態においては、励磁電圧成分が0ではない場合に、速度制御部502から出力される電流指令値Iq_refは、ステッピングモータの電流制限値(リミット値)とされる。これにより、励磁電圧成分とトルク電圧成分との合成電圧がV_LIMの値を超えないようにベクトル制御がなされ、PWMインバータ506等の温度が規定値以上に上昇することが防がれる。
また、変形例においては、Iq_refの値の制御に代えて、励磁電圧成分が0ではないときにV_LIMの値を上昇させているので、ab相電圧の飽和を避けることができる。また、更に他の変形例として、モータ制御部157は、電流指令値Iq_refの制御と、V_LIMの値の増加とを選択的に行ってもよい。この場合、モータ制御部157は、PWMインバータ506またはモータ駆動装置内の温度が所定の温度制限値を超えるまではV_LIMの値を増加させ、所定の温度制限値を超えた場合には上昇させ、Iq_refの値を制御する。このように制御を行うことで、ab相電圧の飽和をできるかぎり避け、かつ、PWMインバータ506またはモータ駆動装置内の温度が所定の温度制限値を超えることによる望ましくない影響を抑えることができる。

Claims (5)

  1. モータを制御するモータ制御装置において、
    モータの巻線に流れる駆動電流を検出する検出手段と、
    前記検出手段によって検出された駆動電流に基づいて、前記モータのロータの回転位相を決定する位相決定手段と、
    前記位相決定手段によって決定された回転位相と前記ロータの目標位相を表す指令位相との偏差が小さくなるように、前記位相決定手段によって決定された回転位相を基準とする回転座標系で表される電流成分であって前記ロータにトルクを発生させるトルク電流成分の目標値を生成し、かつ、前記回転座標系で表される電流成分であって前記巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分の目標値とを生成して前記励磁電流成分により弱め界磁制御を行う第1の生成手段であって、前記モータ制御装置の温度が所定温度を超えた場合は前記トルク電流成分の目標値が第1の所定値より大きい場合は前記第1の所定値を出力し且つ前記トルク電流成分の目標値が前記第1の所定値より小さい場合は前記トルク電流成分の目標値を出力する制御を行い、前記モータ制御装置の温度が前記所定温度以下である場合は前記制御を行わない第1の生成手段と、
    前記第1の生成手段から出力されるトルク電流成分の目標値又は前記第1の所定値と前記検出手段によって検出された駆動電流の前記トルク電流成分との偏差が小さくなるように、前記巻線に印可すべき駆動電圧の前記トルク電流成分に対応する値を生成する第2の生成手段であって、前記回転座標系で表される電流成分であって前記巻線を貫く磁束の強度に影響する励磁電流成分の目標値と前記検出手段によって検出された駆動電流の前記励磁電流成分との偏差が小さくなるように、前記巻線に印可すべき駆動電圧の前記励磁電流成分に対応する値を生成する第2の生成手段と、
    前記第2の生成手段によって生成された前記駆動電圧の前記トルク電流成分に対応する値及び前記駆動電圧の前記励磁電流成分に対応する値に基づいて、前記巻線に前記駆動電圧を印可するインバータ回路と、
    を有し、
    前記第1の所定値は、前記駆動電圧の前記トルク電流成分に対応する値及び前記駆動電圧の前記励磁電流成分に対応する値によって表されるベクトルの大きさが第2の所定値より小さくなるように設定された値であり、
    前記第1の生成手段は、前記モータ制御装置の温度が前記所定温度を超えるまでは前記第2の所定値を増加させ、前記モータ制御装置の温度が前記所定温度を超えた場合には前記第2の所定値を元の値に戻すことを特徴とする、
    モータ制御装置。
  2. 前記第1の生成手段は、前記ベクトルの大きさが前記第2の所定値を超えた場合には、前記ベクトルの大きさが前記第2の所定値以下となるように前記第1の所定値を減少させることを特徴とする、
    請求項1に記載のモータ制御装置。
  3. 前記第1の生成手段は、前記駆動電圧の前記トルク電流成分に対応する値をVq、前記駆動電圧の前記励磁電流成分に対応する値をVdとして、√(Vd+Vq)の値が前記第2の所定値を超えた場合に、前記ベクトルの大きさが前記第2の所定値を超えたと判断することを特徴とする、
    請求項1または2に記載のモータ制御装置。
  4. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    シートを搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    を有し、
    前記モータ制御装置は、前記モータを制御することを特徴とする、
    シート搬送装置。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のモータ制御装置と、
    シートを搬送する搬送ローラと、
    前記搬送ローラを駆動するモータと、
    前記搬送ローラによって搬送される前記シートに画像を形成する画像形成部と、
    を有することを特徴とする、
    画像形成装置。
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