[第1実施形態]
本発明の第1実施形態による撮像装置について、図1乃至図20を用いて説明する。
はじめに、本実施形態による撮像装置の概略構成について、図1乃至図3を用いて説明する。図1は、本実施形態による撮像装置の概略構成を示すブロック図である。図2は、本実施形態による撮像装置におけるデジタルメモリ群の構成例を示す概略図である。図3は、本実施形態による撮像装置におけるデジタル信号処理部の構成例を示す概略図である。
本実施形態による撮像装置1000は、図1に示すように、画素アレイ100と、画素駆動部200と、信号処理部300と、デジタルメモリ群400と、水平走査部500と、を有している。また、撮像装置1000は、デジタル信号処理部600と、パラレル/シリアル(P/S)変換部700と、信号出力部800と、制御部900と、を更に有している。撮像装置1000のこれら構成部は、特に限定されるものではないが、例えば同一の半導体基板上に形成され得る。
画素アレイ100は、複数の行及び複数の列に渡ってマトリクス状に配された複数の画素101を含む。画素アレイ100を構成する画素101の数は、特に限定されるものではない。本明細書では、n行×m列のマトリクス状に配された複数の画素101を含む画素アレイ100を想定し、これら変数n,mを用いて説明を行うことがある。
画素アレイ100の各行には、第1の方向(図1において横方向)に延在して、画素駆動信号線201が配されている。画素駆動信号線201は、第1の方向に並ぶ画素101にそれぞれ接続され、これら画素101に共通の信号線をなしている。画素駆動信号線201の延在する第1の方向は、行方向と呼ぶことがある。各行の画素駆動信号線201は、画素駆動部200に接続されている。
画素アレイ100の各列には、第1の方向と交差する第2の方向(図1において縦方向)に延在して、画素出力線202が配されている。画素出力線202は、第2の方向に並ぶ画素101にそれぞれ接続され、これら画素101に共通の信号線をなしている。画素出力線202の延在する第2の方向は、列方向と呼ぶことがある。各列の画素出力線202は、信号処理部300に接続されている。
信号処理部300は、画素アレイ100の各列に対応して設けられた複数の列信号処理部310を含む。各列の画素出力線202は、対応する列の列信号処理部310に接続されている。各列の列信号処理部310は、対応する列の信号処理出力線301を介してデジタルメモリ群400に接続されている。
デジタルメモリ群400は、画素アレイ100の各列に対応して設けられた複数のデジタルメモリ部410,420を含む。信号処理部300の各列の列信号処理部310は、対応する列の信号処理出力線301を介して、デジタルメモリ部410及びデジタルメモリ部420のうちの一方に接続されている。各列のデジタルメモリ部410,420は、共通出力線401を介してデジタル信号処理部600に接続されている。
水平走査部500は、画素アレイ100の各列に対応して設けられた選択信号線501を介して、対応する列のデジタルメモリ部410又はデジタルメモリ部420に接続されている。デジタル信号処理部600は、デジタル信号処理出力線605を介してP/S変換部700に接続されている。P/S変換部700は、信号出力部800に接続されている。制御部900は、画素駆動部200、信号処理部300、デジタルメモリ群400、水平走査部500、デジタル信号処理部600等に接続されている。
なお、信号処理出力線301の各々、共通出力線401、デジタル信号処理出力線605は、Nビット(Nは自然数)のデジタル信号を出力するための信号線であり、デジタル信号のビット数に対応するN本の信号線により構成されている。
デジタルメモリ群400は、図2に示すように、画素アレイ100の各列に対応して設けられた複数のデジタルメモリ部410,420を含む。デジタルメモリ部410,420は、列単位で交互に配されている。例えば、デジタルメモリ部410が奇数列に配され、デジタルメモリ部420が偶数列に配される。或いは、デジタルメモリ部420が奇数列に配され、デジタルメモリ部410が偶数列に配される。図2には、デジタルメモリ群400を構成するm列のデジタルメモリ部410,420のうち、連続する6列分のデジタルメモリ部410,420を抜き出して示している。図2では簡略化のため、3列目から6列目までのデジタルメモリ部410,420については詳細な図示を省略している。
デジタルメモリ部410の各々は、Nビットのデジタルメモリセル402と、デジタルメモリセル402の各ビットに対応して設けられたバッファ404及びトライステートバッファ405と、を有する。
デジタルメモリ部410のデジタルメモリセル402は、対応する列の信号処理出力線301に接続されている。Nビットのデジタル画素信号が出力される信号処理出力線301のN本の信号線が、Nビットのデジタルメモリセル402の各ビットに接続されている。デジタルメモリセル402の各ビットは、デジタルメモリセル出力線403を介して、バッファ404の入力端子に接続されている。バッファ404の出力端子は、トライステートバッファ405の入力端子に接続されている。トライステートバッファ405の出力端子は、Nビットの信号を出力する共通出力線401のN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。デジタルメモリセル402の各ビットには、選択信号線501が接続されている。トライステートバッファ405には、バッファ制御線406が接続されており、制御部900から供給されるバッファ制御信号によってトライステートバッファ405を制御できるようになっている。
デジタルメモリ部420の各々は、Nビットのデジタルメモリセル402と、デジタルメモリセル402の各ビットに対応して設けられたインバータ407及びトライステートバッファ405と、を有する。
デジタルメモリ部420のデジタルメモリセル402は、対応する列の信号処理出力線301に接続されている。Nビットのデジタル画素信号が出力される信号処理出力線301のN本の信号線が、Nビットのデジタルメモリセル402の各ビットに接続されている。デジタルメモリセル402の各ビットは、デジタルメモリセル出力線403を介して、インバータ407の入力端子に接続されている。インバータ407の出力端子は、トライステートバッファ405の入力端子に接続されている。トライステートバッファ405の出力端子は、Nビットの信号を出力する共通出力線401のN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。デジタルメモリセル402の各ビットには、選択信号線501が接続されている。トライステートバッファ405には、バッファ制御線406が接続されており、制御部900から供給されるバッファ制御信号によってトライステートバッファ405を制御できるようになっている。インバータ407は、デジタルメモリセル402が保持するデータの各ビットの値を反転するビット値反転部としての機能を有する。
信号処理部300の各列の列信号処理部310から信号処理出力線301を介して出力されたNビットのデジタル画素信号は、対応する列のデジタルメモリ部410又はデジタルメモリ部420のデジタルメモリセル402に保持される。
水平走査部500から選択信号線501を介して供給される制御信号(列選択信号)は、デジタルメモリセル402の各ビットに並列に入力される。デジタルメモリ部410のデジタルメモリセル402は、水平走査部500からの制御信号を受信すると、各ビットのデジタル値を、デジタルメモリセル出力線403、バッファ404及びトライステートバッファ405を介して共通出力線401に出力する。デジタルメモリ部420のデジタルメモリセル402は、水平走査部500からの制御信号を受信すると、各ビットのデジタル値を、デジタルメモリセル出力線403、インバータ407及びトライステートバッファ405を介して共通出力線401に出力する。トライステートバッファ405は、バッファ制御線406を介して供給される制御信号によって出力をハイインピーダンスに制御できるように構成されており、他の列が選択されている際には出力がハイインピーダンスに制御される。
デジタル信号処理部600は、共通出力線401を構成するN本の信号線の各々に対応する複数の処理回路を備える。図3には、共通出力線401を構成するN本の信号線のうちの1本の信号線に接続される処理回路の構成例を示している。デジタル信号処理部600は、実際には、共通出力線401を構成するN本の信号線に対応するN個の処理回路を含む。デジタル信号処理部600のN個の処理回路とデジタル信号処理出力線605との間の接続についても同様である。
デジタル信号処理部600の各々の処理回路は、図3に示すように、バッファ601、インバータ602、スイッチ603,604を有している。バッファ601及びインバータ602の入力端子は、共通出力線401に接続されている。バッファ601の出力端子は、スイッチ603を介してデジタル信号処理出力線605に接続されている。インバータ602の出力端子は、スイッチ604を介してデジタル信号処理出力線605に接続されている。スイッチ603,604は、制御部900から供給される制御信号によって制御される。例えば、スイッチ603,604は、制御信号がハイのときにオン(導通状態)になり、制御信号がローのときにオフ(非導通状態)になる。
デジタルメモリ部410,420から共通出力線401を介してデジタル信号処理部600に入力されたデジタル信号は、バッファ601及びインバータ602に入力される。バッファ601の出力信号及びインバータ602の出力信号のうちスイッチ603,604により選択されたいずれかの出力信号が、デジタル信号処理出力線605を介してP/S変換部700に転送される。
次に、本実施形態による撮像装置の動作の概略について、図1乃至図6を用いて説明する。
各々の画素101は、フォトダイオード等の光電変換素子からなる光電変換部を含み、入射光をその光量に応じた電気信号(画素信号)に変換する。画素駆動部200は、画素101から画素信号を読み出す際に画素101内の読み出し回路(図示せず)を駆動するための制御信号を、画素駆動信号線201を介して画素101に供給する。画素駆動部200は、画素駆動信号線201を介して供給する制御信号によって、画素101のリセット、光電変換、電荷の転送、画素信号を出力する行の選択などを制御する。これにより、各々の画素101は、対応する行の画素駆動信号線201から供給される制御信号に応じて、光電変換部で生成された電荷の量に基づく画素信号を、対応する列の画素出力線202に出力する。画素駆動部200により選択された行に属する複数の画素101は、対応する列の画素出力線202に同時に画素信号を出力する。
画素出力線202に出力された画素信号は、対応する列の列信号処理部310に入力され、列信号処理部310において所定の信号処理を実施される。列信号処理部310の各々は、少なくともアナログ/デジタル(A/D)変換器を含み、アナログ信号である画素信号をNビットのデジタル信号に変換する。各列の列信号処理部310で処理されたデジタル画素信号は、対応する列の信号処理出力線301を介して、対応する列のデジタルメモリ部410又はデジタルメモリ部420に入力される。
列信号処理部310は、A/D変換以外の他の機能を更に備えていてもよい。列信号処理部310が備えうる他の機能としては、例えば、画素信号を増幅する機能、CDS(Correlated Double Sampling:相関二重サンプリング)処理を行う機能、画素信号をサンプル-ホールド(S/H)する機能が挙げられる。
各列のデジタルメモリ部410又はデジタルメモリ部420は、対応する列の列信号処理部310から信号処理出力線301を介して供給されたデジタル画素信号を保持する。水平走査部500は、デコーダやシフトレジスタにより構成されうる。水平走査部500は、デジタルメモリ部410,420に保持されたデジタルデータを列毎に順次、デジタル信号処理部600に転送するための制御信号を、選択信号線501を介してデジタルメモリ部410,420に供給する。水平走査部500は、デジタルメモリ部410,420の各々が保持するデジタルデータを順次、共通出力線401に出力する転送部である。水平走査部500からの制御信号を受信したデジタルメモリ部410,420は、保持するデジタルデータを、共通出力線401を介してデジタル信号処理部600に転送する。
デジタル信号処理部600は、デジタルメモリ群400から受信したデジタルデータに対して、所定の信号処理を実施する。デジタル信号処理部600が実施する信号処理としては、例えば、デジタルゲインやオフセット加減算、デコード、データのスクランブル処理などのデジタル信号処理が挙げられる。本実施形態において、デジタル信号処理部600は、ビット値反転部が反転したビットの値を元に戻すデコード処理やスクランブル処理部がデジタルデータに対して行ったスクランブル処理を元に戻すデコード処理を行うデコード処理部としての機能を備える。
デジタル信号処理部600においてデジタル信号処理が施されたデジタルデータは、デジタル信号処理出力線605を介してP/S変換部700に転送され、次いで信号出力部800を介して撮像装置1000の外部に出力される。信号出力部800は、例えば、バッファ回路のように単一の端子から電圧出力を行う方式や差動の2端子を持つLVDS(Low Voltage Differential Signaling)方式の外部インターフェースを有する。
制御部900は、画素駆動部200、信号処理部300、デジタルメモリ群400、水平走査部500、デジタル信号処理部600等に、これらの動作やそのタイミングを制御する制御信号を供給する。制御部900から供給される制御信号の少なくとも一部は、撮像装置1000の外部から供給されてもよい。
図4乃至図6は、本実施形態による撮像装置の駆動態様を示す概略図である。図4及び図5中、「画素読出し」は、画素101から画素出力線202に画素信号を読み出すまでの動作を示す。図6中、「画素読出し+S/H」は、画素101から画素信号を読み出して列信号処理部310のS/H(サンプル-ホールド)回路にサンプル-ホールドするまでの動作を示す。図4乃至図6中、「A/D変換」は、画素信号を列信号処理部310でA/D変換してデジタルメモリ部410又はデジタルメモリ部420に保存するまでの動作を示す。図4乃至図6中、「水平転送」は、デジタルメモリ部410又はデジタルメモリ部420に保持されている画素信号を信号出力部800から出力するまでの動作を示す。図4乃至図6において、縦方向は画素アレイ100における行位置を表し、横方向は時間を表している。各ブロックの横方向の長さが、概ね1水平期間を示している。
図4は、「画素読出し」、「A/D変換」及び「水平転送」を一連の信号処理として、前の行(例えば、第n-1行)における当該一連の信号処理を終えた後に、次の行(例えば、第n行)における当該一連の信号処理を開始する駆動態様である。画素101におけるリセット、光電変換、蓄積の動作は、前の行の「画素読出し」の終了後、次の行の「画素読出し」の開始までの期間に行われる。
図5は、各行における上記一連の信号処理のうち、前の行(例えば、第n-1行)の「水平転送」と次の行(例えば、第n行)の「画素読出し」とを同じタイミングで実行する駆動態様である。
「画素読出し」の動作は、水平転送するデジタルデータの信号処理に影響しないため、前の行の「水平転送」と次の行の「画素読出し」とを同時に開始し、並行して行うことができる。このように構成することで、全行の読み出しに要する時間を短縮することができる。
図6は、「画素読出し+S/H」、「A/D変換」及び「水平転送」を一連の信号処理として、前の行(例えば、第n-2行)の「A/D変換」と次の行(例えば、第n-1行)の「画素読出し+S/H」とを同じタイミングで実行する駆動態様である。より詳しく言うと、前の行(例えば、第n-2行)の「水平転送」と次の行(例えば、第n-1行)の「A/D変換」と更に次の行(例えば、第n行)の「画素読出し+S/H」とを、同じタイミングで並行して実行する。
ここで、列信号処理部310は、A/D変換部の前段にS/H回路を備えているものとする。列信号処理部310がA/D変換部の前段にS/H回路を備えている場合、前の行の「A/D変換」と次の行の「画素読出し+S/H」とを同じタイミングで実行することが可能である。図7では説明の便宜上、「画素読出し+S/H」を1つの動作単位としているが、厳密には、前の行における「A/D変換」が終了した後に、次の行における「S/H」動作を開始する。このように構成することで、前の行の「A/D変換」と次の行の「画素読出し」とを同じタイミングで実行することができる。
また、デジタルメモリ群400は、列信号処理部310におけるA/D変換で得られるデジタルデータを保持するためのデジタルメモリ部と、このデジタルデータを保持するための読み出し用の別のデジタルメモリ部と、を更に備えているものとする。デジタルメモリ群400が2系統のデジタルメモリ部を備えることで、一方のデジタルメモリ部からデジタルデータの読み出しを行う一方で、A/D変換によって得られるデジタルデータを他方のデジタルメモリ部に保存することができる。これにより、前の行の「水平転送」と次の行の「A/D変換」とを同じタイミングで並行して行うことができる。このように構成することで、全行の読み出しに要する時間を更に短縮することができる。
次に、本実施形態による撮像装置の詳細な動作について、参考例による撮像装置の動作と比較しつつ、図7乃至図20を用いて説明する。
図7は、参考例による撮像装置におけるデジタルメモリ群400の構成例を示す概略図である。参考例による撮像装置は、デジタルメモリ群400の構成が異なるほかは、基本的な構成は本実施形態による撮像装置と同様である。参考例による撮像装置のデジタルメモリ群400は、図7に示すように、画素アレイ100の各列に対応して設けられた複数のデジタルメモリ部410を含む。図7には、デジタルメモリ群400を構成するm列のデジタルメモリ部410のうち、連続する6列分のデジタルメモリ部410を抜き出して示している。図7では簡略化のため、2列目から6列目までのデジタルメモリ部410については詳細な図示を省略している。参考例による撮像装置のデジタルメモリ群400におけるデジタルメモリ部410の各々は、図2に示す本実施形態による撮像装置のデジタルメモリ群400におけるデジタルメモリ部410と同様であるため、詳細な説明は省略する。
図8は、参考例による撮像装置のデジタルメモリ群400からデジタル信号処理出力線605に至る信号経路におけるデータの値を模式的に示す図である。ここでは、列信号処理部310によるA/D変換の結果としてデジタルメモリセル402の各ビットに保持されるデータを“0”と“1”とで表現するものとする。
図8中、「デジタルメモリセル402」は、連続する6列のデジタルメモリセル402の特定のビットに保持されているデータの値を示している。例えば、図8に示す0,0,1,1,0,0の値は、図7に示す6列のデジタルメモリセル402の各々の特定のビットに保持されているデータの値である。
「共通出力線401」は、各列のデジタルメモリセル402に保持されているデータを共通出力線401に順番に出力したときの、共通出力線401の当該特定のビットに対応する信号線上におけるデータの値を示している。例えば、図8に示す0,0,1,1,0,0の値は、共通出力線401の当該信号線上におけるデータの値がこの順番で切り替わることを示している。
「スイッチ603」及び「スイッチ604」は、スイッチ603,604の制御信号の信号レベルを示している。例えば、当該信号レベルがハイレベルのとき、対応するスイッチがオンになる。また、当該信号レベルがローレベルのとき、対応するスイッチがオフになる。ここでは、ハイレベルの制御信号によってスイッチ603がオンに制御され、ローレベルの制御信号によってスイッチ604がオフに制御されているものとする。
「デジタル信号処理出力線605」は、デジタル信号処理出力線605の当該特定のビットに対応する信号線上におけるデータの値を示している。例えば、図8に示す0,0,1,1,0,0の値は、デジタル信号処理出力線605の当該信号線上におけるデータの値がこの順番で切り替わることを示している。
ここで、画素アレイ100で撮像される被写体の一例として、図9に示すような被写体を想定する。図9に示す被写体は、暗い領域と、明るい領域と、を含む。画素アレイ100を、図9に示すように列で規定される範囲A、範囲B及び範囲Cに分割すると、第1行から第k行までの範囲A,B,C及び第k行から第n行までの範囲A,Cは暗い領域に相当し、第k行から第n行までの範囲Bは明るい領域に相当する。
図10及び図11は、参考例による撮像装置により図9の被写体を撮像した場合の、デジタルメモリ群400からデジタル信号処理出力線605に至る信号経路におけるデータの値を模式的に示す図である。図10及び図11には、図8と同様、各列のデジタルメモリ部410のデジタルメモリセル402の特定のビットに保持されているデータの値、共通出力線401上及びデジタル信号処理出力線605上における当該データの値を示している。デジタルメモリセル402の当該特定のビットに保持されているデータの値は、図9の暗い領域においては“0”、明るい領域においては“1”であるものとする。
図10及び図11中、「デジタルメモリセル402」は、連続する18列のデジタルメモリセル402の特定のビットに保持されているデータの値を示している。ここでは、範囲A,B,Cのそれぞれが6列を含む場合を想定している。「共通出力線401」は、共通出力線401の当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。「デジタル信号処理出力線605」は、デジタル信号処理出力線605の当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。また、図10及び図11には、トライステートバッファ405の電源電流のレベルを併せて示している。図において電源電流のレベルが変化している場合、電源電流が変動していることを示している。
図10は、参考例による撮像装置によって図9の被写体を撮影し、第1行のデジタルデータを転送した場合である。図9の被写体において、第1行は範囲A,B,Cの総ての列において暗いため、総ての列のデジタルメモリセル402の当該ビットに保持されているデータは“0”である。したがって、共通出力線401上及びデジタル信号処理出力線605上においてデータの切り替わりが発生することはなく、トライステートバッファ405の駆動による電源電流の変動はほとんど生じない。
図11は、参考例による撮像装置によって図9の被写体を撮影し、第n行のデジタルデータを転送した場合である。図9の被写体において、第n行は範囲A,Cが暗く範囲Bが明るいため、範囲A,Cのデジタルメモリセル402の当該ビットには“0”が、範囲Bのデジタルメモリセル402の当該ビットには“1”が保持されている。したがって、共通出力線401上及びデジタル信号処理出力線605上においては、範囲Aの列から範囲Bの列に遷移するタイミング及び範囲Bの列から範囲Cの列に遷移するタイミングにおいて、データの切り替わりが発生する。この場合、データの切り替わりが発生するこれらタイミングにおいて、トライステートバッファ405の駆動による電源電流の変動が生じる。
図12は、画素アレイ100で撮像される被写体の他の例を示している。図12に示す被写体は、図9の状態から、明るい領域が行方向に沿って平行に移動したものである。図13は、参考例による撮像装置によって図12の被写体を撮影し、第n行のデジタルデータを転送した場合である。
図12の被写体を撮影した場合においても、図13に示すように、基本的な動作は図9の被写体を撮影した場合と同様である。ただし、デジタルメモリセル402に保持されるデータが変化することに伴い、共通出力線401上及びデジタル信号処理出力線605上においてデータの切り替わるタイミングが変化し、電源電流の変動が発生するタイミングも変化する。
図14は、図6を用いて説明した駆動態様と図10及び図11を用いて説明したトライステートバッファ405における電源電流の変動との関係を説明する図である。図14において、第1行から第3行は、例えば図9の第1行から第k行の間の行に対応し、第n-2行から第n行は、例えば図9の第k行から第n行の間の行に対応するものとする。
図6の駆動態様を適用した場合、図14に示すように、第1行の水平転送動作と、第2行のA/D変換動作と、第3行の画素読出し及びS/H動作と、が同じタイミングで実行される。また、第2行の水平転送動作と、第3行のA/D変換動作と、図示しない第4行の画素読出し及びS/H動作と、が同じタイミングで実行される。また、第n-2行の水平転送動作と、第n-1行のA/D変換動作と、第n行の画素読出し及びS/H動作と、が同じタイミングで実行される。また、第n-1行の水平転送動作と、第n行のA/D変換動作と、が同じタイミングで実行される。
図6の駆動態様のように、複数の行の信号処理動作を並行して行い高速読み出しを実現する場合、水平転送動作に伴う電源電流の変動が、他の行の読み出し動作に影響することがある。例えば、S/H動作においては、サンプリング時のクロストークによってS/H容量上の信号が変化し、静定する前にホールドされる結果、A/D変換される画素信号に誤差が生じることがある。また、A/D変換時のクロストークによって参照比較電圧やバイアス電圧が変動し、A/D変換誤差が生じることがある。
参考例による撮像装置によって図9の被写体を撮影した場合、図10を用いて説明したように、第1行の水平転送動作に伴う電源電流の変動は、ほとんど生じない。しかしながら、第n-2行の水平転送動作においては、図11を用いて説明したように、電源電流の変動が生じうる。例えば、電源電流の変動に起因するクロストークによってA/D変換結果に誤差が生じる場合、第1行~第3行ではA/D変換誤差は生じず、第n-2行~第n行ではA/D変換誤差が生じることになる。つまり、第1行~第k行の範囲A,B,Cと、第k行~第n行の範囲A,Cとは、同じ暗い領域であり画素101からは同じレベルの画素信号が出力されるが、A/D変換結果は異なることになる。撮像装置から出力される映像では、光が照射された行と同じ行の暗い領域にノイズとして観測され、一般にスミアと呼ばれる画質上の問題を生じることになる。
また、図12及び図13を用いて説明したように、被写体のイメージによって電源電流の変動が発生するタイミングは変化する。S/H動作やA/D変換動作においてクロストークが発生するタイミングが変化すると、誤差の生じ方も変化する。例えば、A/D変換誤差は、図9と図12との間のパターンの違いに起因して、変換値の誤差量が変化する。つまり、明るい領域の位置によってスミアのレベルが変化する。このことは、仮にスミアを補正しようとした場合には被写体の明暗の位置情報を考慮する必要があることを意味しているが、このような補正を行うことは困難である。
なお、電源電流の変動は、トライステートバッファ405においてのみならず、デジタル信号処理部600やP/S変換部700でも生じうる。デジタル信号処理部600やP/S変換部700においても、デジタルデータの値の変化によって電源電流が変動し、トライステートバッファ405と同様のクロストークを引き起こすことがある。
クロストークの経路としては、半導体基板上の不純物層、配線、素子の各々に存在するカップリング容量、行方向に延在する共通出力線401の電流変化による電磁波ノイズなどが挙げられる。また、撮像装置の外部のパッケージや基板上にもクロストークの経路がある。なお、詳細なクロストークの経路の説明については省略する。
図15及び図16は、本実施形態による撮像装置のデジタルメモリ群400からデジタル信号処理出力線605に至る信号経路におけるデータの値を模式的に示す図である。ここでは、図8の場合と同様、列信号処理部310によるA/D変換の結果としてデジタルメモリセル402の各ビットに保持されるデータを“0”と“1”とで表現するものとする。
図15及び図16中、「デジタルメモリセル402」は、連続する6列のデジタルメモリセル402の特定のビットに保持されているデータの値を示している。例えば、図15及び図16に示す0,0,1,1,0,0の値は、図2に示す6列分のデジタルメモリセル402の特定のビットに保持されているデータの値である。
「共通出力線401」は、各列のデジタルメモリセル402に保持されているデータを共通出力線401に順番に出力したときの、共通出力線401の当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。
「スイッチ603」及び「スイッチ604」は、スイッチ603,604の制御信号の信号レベルを示している。例えば、当該信号レベルがハイレベルのとき、対応するスイッチがオンになる。また、当該信号レベルがローレベルのとき、対応するスイッチがオフになる。ここでは、ハイレベルの制御信号によってスイッチ603がオンに制御され、ローレベルの制御信号によってスイッチ604がオフに制御されているものとする。
「デジタル信号処理出力線605」は、デジタル信号処理出力線605の当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。
図15は、図8の場合と同様、ハイレベルの制御信号によってスイッチ603をオンに制御し、ローレベルの制御信号によってスイッチ604をオフに制御する駆動を行った場合である。水平走査部500からの制御信号に応じて各列のデジタルメモリ部410,420が順番に選択されることにより、共通出力線401の当該特定のビットに対応する信号線上のデータは、0,1,1,0,0,1の順番に切り替わる。スイッチ603の制御信号がハイレベル、スイッチ604の制御信号がローレベルであるとすると、スイッチ603がオン、スイッチ604がオフとなり、バッファ601が選択される。これにより、デジタル信号処理出力線605上のデータは、共通出力線401の当該特定のビットに対応する信号線上におけるデータと同様、0,1,1,0,0,1の順番に切り替わる。
図16は、水平走査部500から供給される制御信号に同期して、スイッチ603,604の制御信号をハイレベルとローレベルとに交互に切り替える駆動を行った場合である。水平走査部500からの制御信号に応じて各列のデジタルメモリ部410,420が順番に選択されることにより、共通出力線401の当該特定のビットに対応する信号線上のデータは、0,1,1,0,0,1の順番に切り替わる。スイッチ603,604が図16に示すように交互にオンになることで、バッファ601とインバータ602とが交互に選択されるこれにより、デジタル信号処理出力線605上のデータは、0,0,1,1,0,0の順番に切り替わる。
このように、図15に示す駆動例の場合、デジタルメモリ群400に保持されているデジタルデータを1列おきに反転してP/S変換部700に転送し、信号出力部800から撮像装置1000の外部へと出力する。このため、信号出力部800から出力されるデータに対しては、撮像装置1000の外部でデコード処理を行う必要がある。
一方、図16に示す駆動例の場合には、デジタルメモリ群400に保持されているデジタルデータは、1列おきに反転してデジタルメモリ群400から出力されるが、デジタル信号処理部600で再び1列おきに反転して信号出力部800へと転送される。したがって、信号出力部800から出力されるデータに対して、撮像装置1000の外部でデコード処理をする必要はない。
図17は、本実施形態による撮像装置によって図9の被写体を撮影し、第1行目のデジタルデータを転送した場合である。デジタル信号処理部600のスイッチ603,604は、図16に示す駆動例の場合と同様、水平走査部500から供給される制御信号に同期してオンとオフとを交互に繰り返すものとする。
図9の被写体において、第1行目は範囲A,B,Cの総ての列において暗いため、総ての列のデジタルメモリセル402の当該ビットに保持されているデータは0である。しかし、デジタルメモリ群400がデジタルメモリ部410,420を有する構成では、デジタルメモリ群400から共通出力線401に出力されるデータは1列毎に反転する。したがって、共通出力線401上では交互に0のデータと1のデータとが切り替わることとなり、トライステートバッファ405の駆動による電源電流の変動が生じる。共通出力線401に出力されたデータは、デジタル信号処理部600において再び1列毎に反転されて元の値に戻り、信号出力部800へと転送される。
図18は、本実施形態による撮像装置によって図9の被写体を撮影し、第n行目のデジタルデータを転送した場合である。第n行目のデジタルデータ転送においても、図17の場合と同様、デジタルメモリ群400から共通出力線401に出力されるデータは1列毎に反転する。したがって、共通出力線401上では交互に0のデータと1のデータとが切り替わることとなり、トライステートバッファ405の駆動による電源電流の変動が生じる。共通出力線401に出力されたデータは、デジタル信号処理部600において再び1列毎に反転されて元の値に戻り、信号出力部800へと転送される。
図19は、本実施形態による撮像装置によって図12の被写体を撮影し、第n行目のデジタルデータを転送した場合である。図12の被写体を撮影した場合においても、図19に示すように、基本的な動作は図9の被写体を撮影した場合と同様である。ただし、デジタルメモリセル402に保持されるデータが変化することに伴い、共通出力線401上及びデジタル信号処理出力線605上においてデータの切り替わるタイミングが変化し、電源電流の変動が発生するタイミングも変化する。
図20は、図6を用いて説明した駆動態様と図17及び図18を用いて説明したトライステートバッファ405における電源電流の変動との関係を説明する図である。図20において、第1行から第3行は、例えば図9の第1行から第k行の間の行に対応し、第n-2行から第n行は、例えば図9の第k行から第n行の間の行に対応するものとする。
本実施形態による撮像装置によって図9の被写体を撮影した場合、図17を用いて説明したように、第1行~第3行の水平転送動作において、トライステートバッファ405の電源電流の変動が生じる。また、図18を用いて説明したように、第n-2行~第n行の水平転送動作においても、トライステートバッファ405の電源電流の変動が生じる。つまり、本実施形態による撮像装置においては、第1行~第3行及び第n-2行~第n行のいずれにおいても、A/D変換誤差が生じていることになる。
しかしながら、本実施形態による撮像装置においては、電源電流の変動に多少の差はあるものの、配線や素子の寄生容量や寄生抵抗によって電源電流の変動は平滑化される。つまり、第1行~第3行における変換誤差を含むA/D変換結果と、第n-2行~第n行における変換誤差を含むA/D変換結果とは、概ね同じとなり、A/D変換値の差によって生じるスミアを低減することができる。また、電源電流の変動は被写体の明暗によらずに生じるため、被写体の明暗の位置に依存した電源電流の変動も緩和することができる。
このように、本実施形態による撮像装置においては、デジタルメモリ群400に保持されているデジタルデータを1列おきに反転して共通出力線401上に出力している。換言すると、共通出力線401に続けて出力される第1のデジタルデータ及び第2のデジタルデータのうちの一方のビットの値を反転している。これにより、信号処理動作の時間軸上における特異な電源電流の変動を抑制し、被写体の明暗の位置に依存した画質の劣化を低減することができる。
なお、本実施形態では、デジタルデータの転送時、転送するデジタルデータを1列毎に反転する構成としているが、A/D変換結果を1列毎にランダムなデータに置き換えるスクランブラやエンコーダ等によってデータを変換する構成としてもよい。この場合、デジタル信号処理部600や撮像装置1000の外部に、スクランブラやエンコーダ等によるデータの変換を元に戻すためのデスクランブラやデコーダを配置すればよい。なお、スクランブル処理部(スクランブラ)が行うスクランブル処理としては、例えば、デジタルデータに含まれる各ビットの値を所定のスクランブルパターンに則って並べ替える処理や特定のビットの値を反転する処理等が挙げられる。本実施形態で説明した各ビットの値を反転する処理も、スクランブル処理の一態様である。
また、A/D変換結果がバイナリコードであれば、例えば最上位ビット(MSB:Most Significant Bit)のように被写体に依存して0,1のトグルがしにくい上位側のビットのみ、1列毎に反転する構成としてもよい。
また、本実施形態では、図6に示す駆動態様における信号処理動作時のクロストークに着目したが、図4及び図5の駆動例においても同様にクロストークは生じうる。例えば、図4の駆動例の場合は、一の画素の読み出しから次の画素の読み出しまでの期間に行われる画素のリセット、光電変換、蓄積動作において、時間軸上の特定のタイミングで電源電流の変動によるクロストークが発生しうる。本実施形態は、これらクロストークの抑制に適用することも可能である。
このように、本実施形態によれば、デジタル信号の水平転送動作に伴う消費電流の変化に起因した画質劣化を低減することができる。
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態による撮像装置について、図21を用いて説明する。第1実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図21は、本実施形態による撮像装置におけるデジタルメモリ群の構成例を示す概略図である。
本実施形態による撮像装置は、デジタルメモリ群400及び共通出力線401の構成を除き、基本的な構成は第1実施形態による撮像装置と同様である。すなわち、本実施形態による撮像装置のデジタルメモリ群400は、図21に示すように、画素アレイ100の各列に対応して設けられた複数のデジタルメモリ部410A,410B,420A,420Bを含む。また、本実施形態による撮像装置は、2組の共通出力線401A,401Bを含む。
デジタルメモリ部410A,410B,420A,420Bは、各列にこの順番で繰り返し配されている。例えば、デジタルメモリ部410Aは第1列、第5列、…に配され、デジタルメモリ部410Bは、第2列、第6列、…に配され、デジタルメモリ部420Aは、第3列、第7列、…に配され、デジタルメモリ部420Bは、第4列、第8列、…に配される。
デジタルメモリ部410A,410Bは、第1実施形態による撮像装置のデジタルメモリ群400におけるデジタルメモリ部410と同様、デジタルメモリセル402と、バッファ404と、トライステートバッファ405と、を有する。デジタルメモリ部410A,410Bのデジタルメモリセル402は、対応する列の信号処理出力線301に接続されている。Nビットのデジタル画素信号が出力される信号処理出力線301のN本の信号線が、Nビットのデジタルメモリセル402の各ビットに接続されている。デジタルメモリセル402の各ビットは、デジタルメモリセル出力線403を介して、バッファ404の入力端子に接続されている。バッファ404の出力端子は、トライステートバッファ405の入力端子に接続されている。
隣り合う列に配されたデジタルメモリ部410A,410Bの各々は組を構成している。各々の組を構成するデジタルメモリ部410A,410Bには、同じ制御信号を供給する共通の選択信号線501が接続されている。デジタルメモリ部410Aのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401AのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。また、デジタルメモリ部410Bのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401BのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。
デジタルメモリ部420A,420Bは、第1実施形態による撮像装置のデジタルメモリ群400におけるデジタルメモリ部420と同様、デジタルメモリセル402と、インバータ407と、トライステートバッファ405と、を有する。デジタルメモリ部420A,420Bのデジタルメモリセル402は、対応する列の信号処理出力線301に接続されている。Nビットのデジタル画素信号が出力される信号処理出力線301のN本の信号線が、Nビットのデジタルメモリセル402の各ビットに接続されている。デジタルメモリセル402の各ビットは、デジタルメモリセル出力線403を介して、インバータ407の入力端子に接続されている。インバータ407の出力端子は、トライステートバッファ405の入力端子に接続されている。
隣り合う列に配されたデジタルメモリ部420A,420Bの各々は組を構成している。各々の組を構成するデジタルメモリ部420A,420Bには、同じ制御信号を供給する共通の選択信号線501が接続されている。デジタルメモリ部420Aのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401AのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。また、デジタルメモリ部420Bのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401BのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。
このように構成することで、デジタルメモリ部410A,410Bのデジタルメモリセル402に保持されているデータを、共通出力線401A,401Bに並列に読み出すことができる。また、デジタルメモリ部420A,420Bのデジタルメモリセル402に保持されているデータを、共通出力線401A,401Bに並列に読み出すことができる。したがって、本実施形態の撮像装置によれば、第1実施形態の撮像装置と比較して2倍の速さで読み出しを行うことができる。
複数の列を並列に読み出す構成とした場合、デジタルデータの転送の際に同時に駆動する回路、例えばトライステートバッファ405の数が並列数に応じて増加し、電源電流の変動も並列数に応じて増加することになる。例えば、12ビットのデジタルメモリセル402が配置される構成で10列を並列に読み出す場合、共通出力線401を構成する信号線の本数は、12本×10並列で合計120本となる。A/D変換の結果がバイナリコードの場合、必ずしも12ビットの総てのデータが変化するわけではなく、10列並列の読み出しにおいて電源電流の変動が単純に10倍とはならない場合もあるが、電源電流の変動の増加を抑制することは困難である。
このため、図7を用いて説明した参考例による撮像装置に、複数列を並列に読み出す構成を適用した場合、被写体の明るさの違いによる電源電流の変動の差がより大きくなり、画質の悪化が更に顕著となる虞がある。
この点、本実施形態による撮像装置では、第1実施形態において説明したように電源電流の変動による影響を抑制することが可能である。したがって、本実施形態の撮像装置によれば、複数列を並列に読み出す構成とした場合にも、電源電流の変動が画質に与える影響を効果的に抑制することができる。
このように、本実施形態によれば、デジタル信号の水平転送動作に伴う消費電流の変化に起因した画質劣化を低減することができる。
なお、本実施形態では2列毎に並列に読み出す構成を説明したが、3列以上の特定の列数毎に並列に読み出す構成とすることも可能である。この場合、複数の共通出力線の各々に対応する列に対して1列おきにデータを反転すればよい。このように構成すれば、第1実施形態の撮像装置と比較して3倍以上の速さで読み出しを行うことができる。
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態による撮像装置について、図22を用いて説明する。第1及び第2実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図22は、本実施形態による撮像装置におけるデジタルメモリ群の構成例を示す概略図である。
本実施形態による撮像装置は、デジタルメモリ群400及び共通出力線401の構成を除き、基本的な構成は第1実施形態による撮像装置と同様である。すなわち、本実施形態による撮像装置のデジタルメモリ群400は、図22に示すように、画素アレイ100の各列に対応して設けられた複数のデジタルメモリ部430A,430B,440A,440Bを含む。また、本実施形態による撮像装置は、2組の共通出力線401A,401Bを含む。
デジタルメモリ部430A,430B,440A,440Bは、各列にこの順番で繰り返し配されている。例えば、デジタルメモリ部430Aは第1列、第5列、…に配され、デジタルメモリ部430Bは、第2列、第6列、…に配され、デジタルメモリ部440Aは、第3列、第7列、…に配され、デジタルメモリ部440Bは、第4列、第8列、…に配される。デジタルメモリ部430A,430B,440A,440Bの各々は、デジタルメモリセル402と、バッファ404と、インバータ407と、トライステートバッファ405と、を有する。
隣り合う列に配されたデジタルメモリ部430A,430Bの各々は組を構成している。各々の組を構成するデジタルメモリ部430A,430Bには、同じ制御信号を供給する共通の選択信号線501が接続されている。デジタルメモリ部430Aのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401AのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。また、デジタルメモリ部430Bのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401BのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。
同様に、隣り合う列に配されたデジタルメモリ部440A,440Bの各々は組を構成している。各々の組を構成するデジタルメモリ部440A,440Bには、同じ制御信号を供給する共通の選択信号線501が接続されている。デジタルメモリ部440Aのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401AのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。また、デジタルメモリ部440Bのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401BのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。
第1及び第2実施形態で説明したデジタルメモリ部410,410A,410Bは、各ビットのデジタルデータの出力経路にバッファ404を有している。また、第1及び第2実施形態で説明したデジタルメモリ部420,420A,420Bは、各ビットのデジタルデータの出力経路にインバータ407を有している。
これに対し、本実施形態におけるデジタルメモリ部430A,430B,440A,440Bの各々は、デジタルデータの出力経路にバッファ404を有するビットと、デジタルデータの出力経路にインバータ407を有するビットと、を含む。そして、隣り合うデジタルメモリ部430Aとデジタルメモリ部440Aとは、バッファ404を有するビットとインバータ407を有するビットとが互いに異なるように構成されている。例えば、第1列のデジタルメモリ部430Aの最上位ビットの出力経路にバッファ404が配されている場合、第3列のデジタルメモリ部440Aの最上位ビットの出力経路にはインバータ407を配する。他のビットについても同様である。また、隣り合うデジタルメモリ部430Bとデジタルメモリ部440Bとは、バッファ404を有するビットとインバータ407を有するビットとが互いに異なるように構成されている。
このように構成することで、共通出力線401A,401Bを構成する信号線の各々には、バッファ404を介して出力されたデジタルデータと、インバータ407を介して出力されたデジタルデータとが、交互に出力されることになる。したがって、バッファ404やインバータ407の電源電流の変動に対しても、第1及び第2実施形態で説明した効果と同様の効果を得ることができる。
また、トライステートバッファ405の出力をビット毎に反転することで、第1実施形態で説明した電源電流の変動が逆相で生じることとなり、電源電流の変動に伴う電源の変動やクロストークを相殺することができる。これにより、画質の劣化を低減することができる。
このように、本実施形態によれば、デジタル信号の水平転送動作に伴う消費電流の変化に起因した画質劣化を低減することができる。
[第4実施形態]
本発明の第4実施形態による撮像装置について、図23及び図24を用いて説明する。第1乃至第3実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図23は、本実施形態による撮像装置におけるデジタルメモリ群の構成例を示す概略図である。図24は、本実施形態による撮像装置のデジタルメモリ群からデジタル信号処理出力線に至る信号経路におけるデータの値を模式的に示す図である。
第1乃至第3実施形態では、デジタルメモリセル402よりも後段においてデジタルデータの反転処理やスクランブル処理を行う例を示したが、デジタルデータの反転処理やスクランブル処理は、必ずしもデジタルメモリセル402の後段で行う必要はない。本実施形態では、デジタルメモリセル402の前段においてデジタルデータの反転処理やスクランブル処理を行う例を説明する。
本実施形態による撮像装置は、信号処理部300とデジタルメモリ群400との間の接続態様が異なるほかは、第1実施形態で説明した参考例による撮像装置と同様である。すなわち、本実施形態による撮像装置は、図23に示すように、各列の信号処理出力線301とデジタルメモリ部410との間に、バッファ302又はインバータ303が接続されている。バッファ302及びインバータ303は、列毎に交互に配されている。インバータ303は、列信号処理部310から出力されるデータの各ビットの値を反転するビット値反転部として機能する。なお、本明細書において、バッファ302及びインバータ303は、信号処理部300或いは列信号処理部310の構成要素として説明することがある。
図23には、信号処理出力線301の各々に1つのバッファ302又はインバータ303を接続するように記載しているが、実際には信号処理出力線301を構成するN本の信号線の各々に、バッファ302又はインバータ303が接続される。
図24は、図23に示す撮像装置の信号処理部300からデジタル信号処理出力線605に至る信号経路におけるデータの値を模式的に示す図である。
図24中、「信号処理出力線301」は、連続する6列の列信号処理部310から信号処理出力線301へと出力されるデジタル画素信号の特定のビットのデータの値を示している。例えば、図24に示す0,0,1,1,0,0は、図23に示す6列の信号処理出力線301の各々の特定のビットに対応する信号線から出力されるデータの値である。
「デジタルメモリセル402」は、バッファ302又はインバータ303を介して当該6列に対応するデジタルメモリセル402の当該特定のビットに入力されるデータの値を示している。例えば、図24に示す0,1,1,0,0,1の値は、図24に示す6列のデジタルメモリセル402の各々の特定のビットに入力されるデータの値である。
「共通出力線401」は、各列のデジタルメモリセル402に保持されているデータを共通出力線401に順番に読み出したときの、共通出力線401の当該特定のビットに対応する信号線上におけるデータの値を示している。例えば、図24に示す0,1,1,0,0,1の値は、共通出力線401の当該信号線上におけるデータの値がこの順番で切り替わることを示している。
「デジタル信号処理出力線605」は、デジタル信号処理出力線605の当該特定のビットに対応する信号線上におけるデータの値を示している。例えば、図24に示す0,0,1,1,0,0の値は、デジタル信号処理出力線605の信号線上におけるデータの値がこの順番で切り替わることを示している。
撮像装置をこのように構成することで、信号処理部300から出力されるデジタル画素信号のうち、所定の列のデジタル画素信号のデジタルデータを反転し、デジタルメモリセル402に保持することができる。図23の構成例においては、デジタルメモリセル402に保持されるデータを1列毎に反転している。したがって、共通出力線401上のデータの切り替わりやトライステートバッファ405の電源電流の変動は、第1実施形態による撮像装置の場合(図16)と同じになる。すなわち、本実施形態による撮像装置においても、第1実施形態による撮像装置と同様の効果を得ることができる。
なお、図23の構成例においては、信号処理出力線301を構成するN本の信号線の総てにバッファ302を接続する列と、信号処理出力線301を構成するN本の信号線の総てにインバータ303を接続する列と、を設けている。しかしながら、信号処理出力線301を構成するN本の信号線のうち、一部の信号線をバッファ302に接続し、他の一部の信号線をインバータ303に接続するようにしてもよい。また、最下位ビット(LSB:Least Significant Bit)など、データの値の変化の頻度が多いビットに接続される信号経路にはバッファ302やインバータ303を配置しない構成とし、素子数を低減するようにしてもよい。
このように、本実施形態によれば、デジタル信号の水平転送動作に伴う消費電流の変化に起因した画質劣化を低減することができる。
[第5実施形態]
本発明の第5実施形態による撮像装置について、図25乃至図27を用いて説明する。第1乃至第4実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図25は、本実施形態による撮像装置の概略構成を示すブロック図である。図26は、本実施形態による撮像装置におけるデジタルメモリ群の構成例を示す概略図である。図27は、本実施形態による撮像装置の駆動方法を示す図である。
本実施形態においては、第4実施形態と同様、デジタルメモリセル402の前段においてデジタルデータの反転処理やスクランブル処理を行う例を説明する。本実施形態では、A/D変換器を利用して、デジタルデータの反転処理やスクランブル処理を行う。なお、A/D変換方式としては、パイプライン型、逐次比較型、積分型などが挙げられるが、本実施形態では積分型のA/D変換器を用いた場合の適用例を示すものとする。ただし、本発明に適用可能なA/D変換方式は、特に限定されるものではない。
本実施形態による撮像装置1000は、図25に示すように、図1に示す撮像装置の構成に加え、参照比較電圧生成器320と、カウンタ450と、を更に有している。参照比較電圧生成器320は、時間の経過とともに信号レベルが変化する参照比較電圧、例えばランプ電圧を生成し、各列の列信号処理部310に供給する。各列の列信号処理部310は、アナログ画素信号のレベルと参照比較電圧のレベルとを比較し、比較の結果に応じた信号を対応する列のデジタルメモリ部410に出力する比較器(図示せず)を有する。カウンタ450は、参照比較電圧生成器320が生成する参照比較電圧のレベルの変化開始と同期して時間の計測を開始し、カウント値を各列のデジタルメモリ部410に供給する。
図26は、カウンタ450と各列のデジタルメモリ部410との接続関係を示す図である。カウンタ450から出力されるNビットのカウント値は、図26に示すように、バッファ460を介して、或いは、インバータ470を介して、各列のデジタルメモリ部410に供給される。図26では、カウンタ450からバッファ460を介してデジタルメモリ部410に接続される列と、カウンタ450からインバータ470を介してデジタルメモリ部410に接続される列と、を1列毎に交互に配置している。つまり、隣接する列のデジタルメモリ部410には、各ビットの値が反転したカウント値が供給される。インバータ470は、カウンタ450から出力されるデータの各ビットの値を反転するビット値反転部として機能する。
次に、本実施形態による撮像装置におけるA/D変換動作について、図27を用いて説明する。
参照比較電圧生成器320は、時間の経過とともにレベルが変化するランプ状の参照比較電圧を生成し、各列の列信号処理部310に供給する。図27には、参照比較電圧として、時間の経過とともに電圧レベルが低下する参照比較電圧を示している。
列信号処理部310の比較器は、アナログ画素信号のレベルと参照比較電圧のレベルとを比較する。比較器は、アナログ画素信号のレベルと参照比較電圧のレベルとの大小関係が変化することに応じたラッチ信号を出力する。例えば、図27には、アナログ画素信号のレベルが参照比較電圧のレベルよりも高くなったタイミングで、比較器の出力信号がローレベルからハイレベルへと変化する場合を示している。
カウンタ450は、参照比較電圧のレベルの変化開始と同期して時間の計測(カウント)を開始し、計測したカウント値を各列のデジタルメモリ部410に供給する。列信号処理部310の比較器からラッチ信号を受信したデジタルメモリ部410は、比較器からラッチ信号を受信したタイミングにおいてカウンタ450から受信しているカウント値を、A/D変換結果としてデジタルメモリセル402に保持する。
すなわち、カウンタ450からバッファ460を介してカウント値が供給されるデジタルメモリ部410がラッチ信号を受信した場合、当該デジタルメモリ部410の各ビットには、カウント値aの各ビットの値がそのまま保持される。また、カウンタ450からインバータ470を介してカウント値が供給されるデジタルメモリ部410がラッチ信号を受信した場合、当該デジタルメモリ部410の各ビットには、カウント値aの各ビットの値を反転した値が保持される。
このように、本実施形態による撮像装置では、バッファ460を介してカウンタ450に接続されるデジタルメモリ部410と、インバータ470を介してカウンタ450に接続されるデジタルメモリ部410とを、1列毎に交互に配置している。これにより、隣接する列のデジタルメモリ部410に、各ビットの値が反転したカウント値を供給することができる。すなわち、本実施形態による撮像装置におけるデジタルデータの転送態様は、図24に示す第4実施形態の場合と同様になる。
このように、本実施形態によれば、デジタル信号の水平転送動作に伴う消費電流の変化に起因した画質劣化を低減することができる。
なお、本実施形態では、バッファ460を介してカウント値を入力するデジタルメモリ部410とインバータ470を介してカウント値を入力するデジタルメモリ部410とを列単位で交互に配置したが、必ずしも列単位で交互に配置する必要はない。カウンタ450と各列のデジタルメモリ部410との間の接続は、デジタルデータに対して適用する反転処理やスクランブル処理の態様に応じて、適宜選択することができる。
また、本実施形態では、カウンタ450とデジタルメモリ部410との間の総てのビットの信号線にバッファ460又はインバータ470を配置する例を示したが、バッファ460やインバータ470を配置するビットや個数は特に限定されるものではない。
また、本実施形態では、カウンタ450を、各列のA/D変換器で共用しているが、各列のデジタルメモリ部410の各々がカウンタを備えた構成としてもよい。この場合、列毎に時間を計測し、カウント結果を1列おきに反転して出力し、転送するように構成すればよい。或いは、単調増加(アップカウント)するカウンタを用いたA/D変換器と単調減少(ダウンカウント)するカウンタを用いたA/D変換器とを1列おきに交互に配置する構成としてもよい。このように構成することによっても、カウント値の各ビットの値を1列おきに反転して出力することができ、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
[第6実施形態]
本発明の第6実施形態による撮像装置について、図28及び図29を用いて説明する。第1乃至第5実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図28は、本実施形態による撮像装置におけるデジタルメモリ群の構成例を示す概略図である。図29は、本実施形態による撮像装置により図9の被写体を撮影した場合のデジタルメモリ群からデジタル信号処理出力線に至る信号経路におけるデータの値を模式的に示す図である。
本実施形態による撮像装置は、デジタルメモリ群400及び共通出力線401の構成を除き、基本的な構成は第1実施形態による撮像装置と同様である。すなわち、本実施形態による撮像装置のデジタルメモリ群400は、図28に示すように、画素アレイ100の各列に対応して設けられた複数のデジタルメモリ部410A,420Bを含む。また、本実施形態による撮像装置は、第2及び第3実施形態と同様、2組の共通出力線401A,401Bを含む。
デジタルメモリ部410A,420Bは、各列に交互に配されている。例えば、デジタルメモリ部410Aが奇数列に配され、デジタルメモリ部420Bが偶数列に配される。或いは、デジタルメモリ部420Bが奇数列に配され、デジタルメモリ部410Aが偶数列に配される。デジタルメモリ部410A,420Bは、第2実施形態による撮像装置におけるデジタルメモリ部410A,420Bと同じである。
すなわち、デジタルメモリ部410Aは、デジタルメモリセル402を有する。また、デジタルメモリ部410Aは、デジタルメモリセル402の各ビットに対応して、バッファ404と、トライステートバッファ405と、をそれぞれ有する。デジタルメモリ部410Aのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401AのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。
また、デジタルメモリ部420Bは、デジタルメモリセル402を有する。また、デジタルメモリ部420Bは、デジタルメモリセル402の各ビットに対応して、インバータ407と、トライステートバッファ405と、をそれぞれ有する。デジタルメモリ部420Bのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401BのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。
画素アレイ100の複数の列は、隣り合う2列毎に組を構成している。例えば、第1列と第2列とが1つの組を構成し、第3列と第4列とが別の1つの組を構成している。各々の組に属するデジタルメモリ部410A,420Bには、同じ制御信号を供給する共通の選択信号線501が接続されている。
このように構成することで、デジタルメモリ部410Aのデジタルメモリセル402に保持されているデータと、デジタルメモリ部420Bのデジタルメモリセル402に保持されているデータとを、共通出力線401A,401Bに並列に読み出すことができる。
図29は、本実施形態による撮像装置によって図9の被写体を撮影し、第n行目のデジタルデータを転送した場合の、デジタルメモリ群400からデジタル信号処理出力線605に至る信号経路におけるデータの値を模式的に示す図である。図29には、図11と同様、各列のデジタルメモリ部410A,420Bのデジタルメモリセル402の特定のビットに保持されているデータの値、共通出力線401A,401B上及びデジタル信号処理出力線605上における当該データの値を示している。デジタルメモリセル402の当該特定のビットに保持されているデータの値は、図9の暗い領域においては“0”、明るい領域においては“1”であるものとする。
図29中、「デジタルメモリセル402」は、連続する18列のデジタルメモリセル402の特定のビットに保持されているデータの値を示している。ここでは、範囲A,B,Cのそれぞれが6列を含む場合を想定している。「共通出力線401A」は、共通出力線401Aの当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。「共通出力線401B」は、共通出力線401Bの当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。「デジタル信号処理出力線605」は、デジタル信号処理出力線605の当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。また、図29には、デジタルメモリ部410A,420Bの各々に含まれるトライステートバッファ405の電源電流のレベルを併せて示している。図において電源電流のレベルが変化している場合、電源電流が変動していることを示している。
図9の被写体において、第n行は範囲A,Cが暗く範囲Bが明るいため、範囲A,Cのデジタルメモリセル402の当該ビットには“0”が、範囲Bのデジタルメモリセル402の当該ビットには“1”が保持されている。したがって、共通出力線401A上、共通出力線401B上及びデジタル信号処理出力線605上においては、範囲Aの列から範囲Bの列に遷移するタイミング及び範囲Bの列から範囲Cの列に遷移するタイミングにおいて、データの切り替わりが発生する。この場合、データの切り替わりが発生するこれらタイミングにおいて、トライステートバッファ405の駆動による電源電流の変動が生じる。
しかしながら、本実施形態による撮像装置においては、共通出力線401A及び共通出力線401Bの同じビットに対応する信号線には、対応するビットの値が互いに反転して出力されることになる。そのため、トライステートバッファ405の駆動による電源電流の変動は、デジタルメモリ部410Aとデジタルメモリ部420Bとでは極性が逆になる。したがって、デジタルメモリ部410Aにおける電源電流の変動による影響とデジタルメモリ部420Bにおける電源電流の変動による影響とが互いに打ち消し合い、全体として電源電流の変動による影響を抑制することができる。また、図7に示した参考例による撮像装置のデジタルメモリ群400の構成に対して、同じ極性の電源電流の変動を引き起こすデジタルメモリ部を減らすことができ、同じ極性の電源電流の変動の絶対値を低減することができる。
また、本実施形態による撮像装置においては、デジタルメモリ部410A,420Bのデジタルメモリセル402に保持されているデータを、共通出力線401A,401Bに並列に読み出すことができる。したがって、第2実施形態と同様に、第1実施形態の撮像装置と比較して2倍の速さで読み出しを行うことができる。
このように、本実施形態によれば、デジタル信号の水平転送動作に伴う消費電流の変化に起因した画質劣化を低減することができる。
なお、本実施形態ではデジタルメモリ部410A,420Bを1列毎に交互に配置する構成としたが、2列以上の特定の列数毎にデジタルメモリ部410A,420Bを交互に配置する構成とすることも可能である。また、転送されるデジタルデータは、デジタル信号処理部600でデコードしてもよいし、撮像装置の外部にてデコードしてもよい。
[第7実施形態]
本発明の第7実施形態による撮像装置について、図30を用いて説明する。第1乃至第6実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。図30は、本実施形態による撮像装置におけるデジタルメモリ群の構成例を示す概略図である。
本実施形態による撮像装置は、デジタルメモリ群400及び共通出力線401の構成を除き、基本的な構成は第1実施形態による撮像装置と同様である。すなわち、本実施形態による撮像装置のデジタルメモリ群400は、図30に示すように、画素アレイ100の各列に対応して設けられた複数のデジタルメモリ部430A,440Bを含む。また、本実施形態による撮像装置は、第2、第3及び第6実施形態と同様、2組の共通出力線401A,401Bを含む。
デジタルメモリ部430A,440Bは、各列に交互に配されている。例えば、デジタルメモリ部430Aが奇数列に配され、デジタルメモリ部440Bが偶数列に配される。或いは、デジタルメモリ部440Bが奇数列に配され、デジタルメモリ部430Aが偶数列に配される。デジタルメモリ部430A,440Bは、第3実施形態による撮像装置におけるデジタルメモリ部430A,440Bと同じである。すなわち、デジタルメモリ部430A,440Bの各々は、デジタルメモリセル402と、バッファ404と、トライステートバッファ405と、インバータ407と、を有する。
デジタルメモリ部430A,440Bの各々は、デジタルデータの出力経路にバッファ404を有するビットと、デジタルデータの出力経路にインバータ407を有するビットと、を含む。そして、デジタルメモリ部430Aとデジタルメモリ部440Bとは、バッファ404を有するビットとインバータ407を有するビットとが互いに異なるように構成されている。例えば、第1列のデジタルメモリ部430Aの最上位ビットの出力経路にバッファ404が配されている場合、第2列のデジタルメモリ部440Bの最上位ビットの出力経路にはインバータ407を配する。他のビットについても同様である。
デジタルメモリ部430Aのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401AのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。また、デジタルメモリ部440Bのトライステートバッファ405の出力端子の各々は、Nビットの信号を出力する共通出力線401BのN本の信号線のうち、対応するビットの信号線に接続されている。
画素アレイ100の複数の列は、隣り合う2列毎に組を構成している。例えば、第1列と第2列とが1つの組を構成し、第3列と第4列とが別の1つの組を構成している。各々の組に属するデジタルメモリ部430A,440Bには、同じ制御信号を供給する共通の選択信号線501が接続されている。図30には、第1列のデジタルメモリ部430A及び第2列のデジタルメモリ部440Bに接続された選択信号線501-1と、第3列のデジタルメモリ部430A及び第4列のデジタルメモリ部440Bに接続された選択信号線501-2と、を示している。
このように構成することで、共通出力線401A及び共通出力線401Bの同じビットに対応する信号線には、第6実施形態と同様、対応するビットの値が互いに反転して出力されることになる。そのため、トライステートバッファ405の駆動による電源電流の変動は、デジタルメモリ部430Aとデジタルメモリ部440Bとでは極性が逆になる。したがって、デジタルメモリ部430Aにおける電源電流の変動による影響とデジタルメモリ部440Bにおける電源電流の変動による影響とが互いに打ち消し合い、全体として電源電流の変動による影響を抑制することができる。
また、本実施形態による撮像装置においては、隣接するビットでデータが反転しているため、第6実施形態と比較して、各デジタルメモリ部430A,440Bで生じるトライステートバッファ405の電流変動の極性や変動の発生タイミングが分散する。したがって、被写体の明暗に応じて急峻に発生しうる電源変動を緩和することができる。
このように、本実施形態によれば、デジタル信号の水平転送動作に伴う消費電流の変化に起因した画質劣化を低減することができる。
[第8実施形態]
本発明の第8実施形態による撮像装置について、図31乃至図33を用いて説明する。第1乃至第7実施形態による撮像装置と同様の構成要素には同一の符号を付し、説明を省略し或いは簡潔にする。
はじめに、本実施形態による撮像装置の概略構成について、図31を用いて説明する。図31は、本実施形態による撮像装置におけるデジタルメモリ群の構成例を示す概略図である。
本実施形態による撮像装置は、信号処理部300とデジタル信号処理部600との間の構成を除き、基本的な構成は第1実施形態による撮像装置と同様である。すなわち、本実施形態による撮像装置のデジタルメモリ群400は、図31に示すように、複数のデジタルメモリブロック1400を含み、共通出力線1420、バッファ部1411及び共通出力線1421を介してデジタル信号処理部600に接続されている。
デジタルメモリ群400は、複数のデジタルメモリブロック1400を有する。デジタルメモリブロック1400の各々は、画素アレイ100の複数列に対応して設けられている。図31には説明の簡略化のため、画素アレイ100が12列により構成され、4つのデジタルメモリブロック1400-1,1400-2,1400-3,1400-4の各々が12列のうちの3列ずつに対応している場合を例示している。デジタルメモリブロック1400-1,1400-2,1400-3,1400-4は、同様の構成を有している。ここでは図面の簡略化のため、デジタルメモリブロック1400-1以外のデジタルメモリブロック1400-2,1400-3,1400-4についての詳細な図示は省略している。なお、デジタルメモリ群400が有するデジタルメモリブロック1400の数及びデジタルメモリブロック1400の各々に対応する列の数は、特に限定されるものではない。
デジタルメモリブロック1400の各々は、複数のデジタルメモリ部1401と、バッファ部1404と、を有する。デジタルメモリブロック1400の各々の複数のデジタルメモリ部1401は、当該デジタルメモリブロック1400が対応する各列にそれぞれ設けられている。図31には説明の簡略化のため、デジタルメモリブロック1400の各々が3列に対応する3つのデジタルメモリ部1401-1,1401-2,1401-3を有する場合を例示している。デジタルメモリ部1401-1,1401-2,1401-3は、同様の構成を有している。ここでは図面の簡略化のため、デジタルメモリ部1401-1以外のデジタルメモリ部1401-2,1401-3についての詳細な図示は省略している。
デジタルメモリ部1401の各々は、Nビットのデジタルメモリセル402を有する。また、デジタルメモリ部1401の各々は、デジタルメモリセル402の各ビットに対応して、バッファ404と、インバータ407と、トライステートバッファ405と、スイッチ1402,1403と、をそれぞれ有する。なお、ここでは図面及び説明の簡略化のため、デジタルメモリセル402の特定のビットに接続される1組のバッファ404、インバータ407、トライステートバッファ405及びスイッチ1402,1403のみを示している。
デジタルメモリセル402は、対応する列の信号処理出力線301に接続されている。Nビットのデジタル画素信号が出力される信号処理出力線301のN本の信号線が、Nビットのデジタルメモリセル402の各ビットに接続されている。デジタルメモリセル402の各ビットは、デジタルメモリセル出力線403を介して、バッファ404の入力端子及びインバータ407の入力端子に接続されている。また、デジタルメモリセル402の各ビットには、選択信号線501が接続されている。バッファ404の出力端子は、スイッチ1402を介してトライステートバッファ405の入力端子に接続されている。インバータ407の出力端子は、スイッチ1403を介してトライステートバッファ405の入力端子に接続されている。トライステートバッファ405の出力端子は、共通出力線401を構成するN本の信号線のうちの対応するビットの信号線に接続されている。なお、本実施形態において、共通出力線401は、デジタルメモリブロック1400毎に独立して設けられている。
バッファ部1404は、共通出力線401を構成するN本の信号線の各々に対応して、バッファ1405と、インバータ1406と、スイッチ1407,1408と、トライステートバッファ1409と、をそれぞれ有する。なお、ここでは図面及び説明の簡略化のため、共通出力線401のN本の信号線のうち特定のビットの信号線に接続される1組のバッファ1405、インバータ1406、スイッチ1407,1408及びトライステートバッファ1409のみを示している。
バッファ1405の入力端子及びインバータ1406の入力端子は、共通出力線401を構成するN本の信号線のうちの対応するビットの信号線に接続されている。バッファ1405の出力端子は、スイッチ1407を介してトライステートバッファ1409の入力端子に接続されている。インバータ1406の出力端子は、スイッチ1408を介してトライステートバッファ1409の入力端子に接続されている。トライステートバッファ1409にはバッファ制御線1410が接続されており、制御部900から供給されるバッファ制御信号によってトライステートバッファ1409を制御できるようになっている。トライステートバッファ1409の出力端子は、共通出力線1420を構成するN本の信号線のうちの対応するビットの信号線に接続されている。
共通出力線1420は、バッファ部1411に接続されている。バッファ部1411は、共通出力線1420を構成するN本の信号線の各々に対応して、バッファ1412と、インバータ1413と、スイッチ1414,1415と、をそれぞれ有する。なお、ここでは図面及び説明の簡略化のため、共通出力線1420のN本の信号線のうち特定のビットの信号線に接続される1組のバッファ1412、インバータ1413及びスイッチ1414,1415のみを示している。
バッファ1412の入力端子及びインバータ1413の入力端子は、共通出力線1420を構成するN本の信号線のうちの対応するビットの信号線に接続されている。バッファ1412の出力端子は、スイッチ1414を介して、共通出力線1421を構成するN本の信号線のうちの対応するビットの信号線に接続されている。インバータ1413の出力端子は、スイッチ1415を介して、共通出力線1421を構成するN本の信号線のうちの対応するビットの信号線に接続されている。共通出力線1421は、デジタル信号処理部600に接続されている。
各列のデジタルメモリ部1401は、対応する列の列信号処理部310から信号処理出力線301を介して出力されたデジタル画素信号をデジタルメモリセル402に保持する。デジタルメモリ部1401のデジタルメモリセル402は、水平走査部500から選択信号線501を介して制御信号を受信すると、各ビットのデータをデジタルメモリセル出力線403へと出力する。デジタルメモリセル出力線403に出力されたデータは、スイッチ1402,1403のいずれか一方がオンになることで、正転又は反転してトライステートバッファ405に入力され、共通出力線401の対応するビットの信号線に出力される。すなわち、スイッチ1402がオンの場合、デジタルメモリセル出力線403に出力されたデータは、バッファ404、スイッチ1402及びトライステートバッファ405を介して共通出力線401に出力される。また、スイッチ1403がオンの場合、デジタルメモリセル出力線403に出力されたデータは、インバータ407、スイッチ1403及びトライステートバッファ405を介して共通出力線401に出力される。トライステートバッファ405は、バッファ制御線406を介して供給される制御信号によって出力をハイインピーダンスに制御できるように構成されており、他の列が選択されている際には出力がハイインピーダンスに制御される。
共通出力線401に出力されたデータは、バッファ部1404に入力される。バッファ部1404に入力されたデータは、バッファ部1404のスイッチ1407,1408のいずれか一方がオンになることで、正転又は反転してトライステートバッファ1409に入力され、共通出力線1420の対応するビットの信号線に出力される。すなわち、スイッチ1407がオンの場合、共通出力線401を介してバッファ部1404に入力されたデータは、バッファ1405、スイッチ1407及びトライステートバッファ1409を介して共通出力線1420に出力される。また、スイッチ1408がオンの場合、共通出力線401を介してバッファ部1404に入力されたデータは、インバータ1406、スイッチ1408及びトライステートバッファ1409を介して共通出力線1420に出力される。トライステートバッファ1409は、バッファ制御線1410を介して供給される制御信号によって出力をハイインピーダンスに制御できるように構成されており、他のデジタルメモリ部1401が選択されている際には出力がハイインピーダンスに制御される。
共通出力線1420に出力されたデータは、バッファ部1411に入力され、バッファ部1411のスイッチ1414,1415のいずれか一方がオンになることで、正転又は反転して共通出力線1421の対応するビットの信号線に出力される。すなわち、スイッチ1414がオンの場合、共通出力線1420を介してバッファ部1411に入力されたデータは、バッファ1412及びスイッチ1414を介して共通出力線1421に出力される。また、スイッチ1415がオンの場合、共通出力線1420を介してバッファ部1411に入力されたデータは、インバータ1413及びスイッチ1415を介して共通出力線1421に出力される。共通出力線1421に出力されたデータは、デジタル信号処理部600に入力される。
本実施形態において、共通出力線401は、デジタルメモリブロック1400毎に配されている。そのため、第1実施形態の場合とデジタルメモリ部1401の総列数が同じとき、第1実施形態に対して、デジタルメモリ部1401のトライステートバッファ405の接続数を低減することができる。また、延在する共通出力線401の物理的な長さが短くなることで寄生負荷を低減することができる。これにより、共通出力線401上の駆動負荷を低減し、デジタルデータの転送を高速化することができる。
また、図31の構成例では総てのデジタルメモリブロック1400-1,1400-2,1400-3,1400-4に対して1つのバッファ部1411を設けているが、2つ以上のバッファ部1411を設けてもよい。例えば、デジタルメモリブロック1400-1,1400-2,1400-3,1400-4の各々に対応する4つのバッファ部1411を設ける構成としてもよい。このように構成することで、共通出力線401と同様、共通出力線1420の駆動負荷を低減し、デジタルデータの転送を高速化することができる。
次に、本実施形態による撮像装置の動作について、図32及び図33を用いて説明する。図32及び図33は、本実施形態による撮像装置によって図9の被写体を撮影し、第n行のデジタルデータを転送した場合の、デジタルメモリ群400からデジタル信号処理出力線605に至る信号経路におけるデータの値を模式的に示す図である。図32と図33とは、スイッチの動作が異なっている。
図32及び図32には、各列のデジタルメモリ部1401のデジタルメモリセル402の特定のビットに保持されているデータの値、共通出力線401,1420,1421上及びデジタル信号処理出力線605上における当該データの値を示している。デジタルメモリセル402の当該特定のビットに保持されているデータの値は、図9の暗い領域においては“0”、明るい領域においては“1”であるものとする。
図32及び図33中、「デジタルメモリセル402」は、連続する12列のデジタルメモリセル402の特定のビットに保持されているデータの値を示している。ここでは、範囲Aが3列を含み、範囲Bが6列を含み、範囲Cが3列を含む場合を想定している。範囲Aがデジタルメモリブロック1400-1に対応し、範囲Bがデジタルメモリブロック1400-2,1400-3に対応し、範囲Cがデジタルメモリブロック1400-4に対応している。「共通出力線401」は、デジタルメモリブロック1400-1,1400-2,1400-3,1400-4の各々の共通出力線401における当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。「共通出力線1420」は、共通出力線1420の当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。「共通出力線1421」は、共通出力線1421の当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。「スイッチ603」及び「スイッチ604」は、スイッチ603,604の制御信号の信号レベルを示している。「デジタル信号処理出力線605」は、デジタル信号処理出力線605の当該特定のビットに対応する信号線上のデータの値を示している。また、図32及び図33にはトライステートバッファ405,1409の電源電流のレベルを併せて示している。図において電源電流のレベルが変化している場合、電源電流が変動していることを示している。
ここで、トライステートバッファ405は、デジタルメモリブロック1400毎の電源電流の変動を引き起こす。また、トライステートバッファ1409は、デジタルメモリ群400の電源電流の変動を引き起こす。ここでの説明は、トライステートバッファ405,1409の電源は共通とし、これらの合計をデジタルメモリ群400の電源電流とする。トライステートバッファ405は複数のデジタルメモリ部1401の各々に配置され、また、トライステートバッファ1409は複数のデジタルメモリブロック1400の各々に配置され、電源電流の変動はデータが転送されている期間に生じる。図32では、共通の電源の変動として、連続した電源変動で示している。
まず、本実施形態による撮像装置の第1の駆動例について、図32を用いて説明する。なお、本実施形態で説明するスイッチの駆動は一例であり、スイッチの駆動方法を限定するものではない。
第1の駆動例において、デジタルメモリブロック1400-1,1400-3のデジタルメモリ部1401-1,1401-3のスイッチ1402はオンに設定し、スイッチ1403はオフに設定する。また、デジタルメモリブロック1400-1,1400-3のデジタルメモリ部1401-2のスイッチ1402はオフに設定し、スイッチ1403はオンに設定する。一方、デジタルメモリブロック1400-2,1400-4のデジタルメモリ部1401-1,1401-3のスイッチ1402はオフに設定し、スイッチ1403はオンに設定する。また、デジタルメモリブロック1400-2,1400-4のデジタルメモリ部1401-2のスイッチ1402はオンに設定し、スイッチ1403はオフに設定する。つまり、各列のデジタルメモリ部1401のトライステートバッファ405に入力されるデータは、デジタルメモリセル402に保持されているデータに対して、列番号順に、正転、反転、正転、反転、…、の関係となる。
デジタルメモリブロック1400-1,1400-2,1400-3,1400-4に含まれるバッファ部1404のスイッチ1407はオンに設定し、スイッチ1408はオフに設定する。つまり、デジタルメモリブロック1400-1~1400-4から共通出力線1420に出力されるデータは、デジタルメモリ部1401-1~1401-3の各々のトライステートバッファ405から出力されるデータに対して正転の関係となる。
バッファ部1411のスイッチ1414はオンに設定し、スイッチ1415はオフに設定する。つまり、バッファ部1411から共通出力線1421に出力されるデータは、共通出力線1420からバッファ部1411に入力されるに対して正転の関係となり、デジタル信号処理部600へと入力される。
デジタル信号処理部600のスイッチ603,604は、第1実施形態において図16を用いて説明したように、各列のデータの転送毎にオンとオフが切り替わるように駆動される。
図9の被写体において、第n行は範囲A,Cが暗く範囲Bが明るいため、範囲A,Cの列に対応するデジタルメモリセル402の特定のビットには“0”が、範囲Bの列に対応するデジタルメモリセル402の当該特定のビットには“1”が保持されている。
各デジタルメモリブロック1400の共通出力線401には、デジタルメモリセル402から、先に説明したスイッチ1402,1403の状態に応じたデータが転送される。
例えば、デジタルメモリブロック1400-1の対応する3列のデジタルメモリセル402には、順番に0,0,0のデジタルデータが保持されている。これらデジタルデータは、各々、正転、反転、正転の関係のデジタルデータとなり、トライステートバッファ405に入力される。したがって、デジタルメモリブロック1400-1の共通出力線401には、0,1,0のデータが順番に転送される。
また、デジタルメモリブロック1400-2の対応する3列のデジタルメモリセル402には、順番に1,1,1のデジタルデータが保持されている。これらデジタルデータは、各々、反転、正転、反転の関係のデジタルデータとなり、トライステートバッファ405に入力される。したがって、デジタルメモリブロック1400-2の共通出力線401には、0,1,0のデータが順番に転送される。
共通出力線1420,1421においては、入力信号はいずれも正転の関係のデータとして転送され、デジタル信号処理部600に入力される。デジタル信号処理部600では、第1実施形態において図16を用いて説明したように、スイッチ603,604が交互にオンに制御される。したがって、デジタル信号処理出力線605には、各列のデジタルメモリセル402に保持されたデータの順番と同様の順番でデータが転送される。
図9の被写体では、範囲Aの列から範囲Bの列に遷移するタイミング及び範囲Bの列から範囲Cの列に遷移するタイミングにおいてデータの切り替わりが発生する。この場合、データの切り替わりが発生するこれらタイミングにおいて、トライステートバッファ405,1409の駆動による電源電流の変動が生じる。
しかしながら、本実施形態の第1の駆動例においても第1実施形態と同様、各スイッチの状態を適宜設定することで電源電流の変動は被写体の明暗によらずに生じる。したがって、被写体の明暗の位置に依存した電源電流の変動を緩和することができる。つまり、各スイッチを適切に駆動することにより、より効果的に電源電流の変動を緩和することができる。
次に、本実施形態による撮像装置の第2の駆動例について、図33を用いて説明する。第2の駆動例は、第1の駆動例とはスイッチの状態が異なっている。
第2の駆動例において、デジタルメモリブロック1400-1~1400-4のデジタルメモリ部1401-1~1401-3のスイッチ1402,1403の設定は、第1の駆動例と同じである。
デジタルメモリブロック1400-1~1400-4に含まれるバッファ部1404のスイッチ1407はオフに設定し、スイッチ1408はオンに設定する。つまり、デジタルメモリブロック1400-1~1400-4から共通出力線1420に出力されるデータは、デジタルメモリ部1401-1~1401-3の各々のトライステートバッファ405から出力されるデータに対して反転の関係となる。
バッファ部1411のスイッチ1414はオンに設定し、スイッチ1415はオフに設定する。つまり、バッファ部1411から共通出力線1421に出力されるデータは、共通出力線1420からバッファ部1411に入力されるデータに対して正転の関係となり、デジタル信号処理部600へと入力される。
デジタル信号処理部600のスイッチ603,604は、各列のデータの転送毎にオンとオフが切り替わるように駆動されるが、第1の駆動例とはスイッチ603,604のオン、オフの期間を入れ替えている。
図9の被写体において、第n行は範囲A,Cが暗く範囲Bが明るいため、範囲A,Cの列に対応するデジタルメモリセル402の特定のビットには“0”が、範囲Bの列に対応するデジタルメモリセル402の当該特定のビットには“1”が保持されている。
各デジタルメモリブロック1400の共通出力線401には、デジタルメモリセル402から、先に説明したスイッチ1402,1403の状態に応じたデータが転送される。第2の駆動例におけるスイッチ1402,1403の設定は第1の駆動例と同じであるため、共通出力線401に出力されるデータは、第1の駆動例の場合と同じになる。
共通出力線1420,1421においては、入力信号はいずれも反転の関係のデータとして転送され、デジタル信号処理部600に入力される。つまり、第2の駆動例における共通出力線1420上及び共通出力線1421上のデータは、第1の駆動例に対して、各々対応するデータが反転されることになる。
デジタル信号処理部600ではスイッチ603,604を交互にオンにするが、第1の駆動例に対してオンとオフの期間を入れ替えている。これにより、デジタル信号処理出力線605には、第1の駆動例と同様、各列のデジタルメモリセル402に保持されたデータの順番と同様の順番でデータが転送される。
本実施形態の第2の駆動例においても、データの切り替わりに伴うトライステートバッファ405,1409の電源電流の変動が発生する。しかしながら、各スイッチの状態を適宜設定することで電源電流の変動は被写体の明暗によらずに生じる。したがって、被写体の明暗の位置に依存した電源電流の変動を緩和することができる。つまり、各スイッチを適切に駆動することにより、より効果的に電源電流の変動を緩和することができる。
特に、第2の駆動例においては、トライステートバッファ405における駆動電流の変動とトライステートバッファ1409における駆動電流の変動とが、極性が逆の変動になる。したがって、電源電流の変動を相殺し、変動量自体を低減することができる。
このように、本実施形態による撮像装置においては、デジタルメモリ群400に保持されているデジタルデータを、1列毎、1ビット毎に正転、反転制御することができる。また、データの転送経路上において、データの正転、反転を制御することができる。これにより、デジタルデータの水平転送動作により生じ得る特異な電源電流の変動を抑制、低減し、被写体の明暗の位置に依存した画質の劣化を低減することができる。
なお、本実施形態では、デジタルメモリ部1401にバッファ404及びインバータ407の一方を選択するスイッチ1402,1403を設け、トライステートバッファ405に入力されるデータの正転、反転を制御した。しかしながら、デジタルメモリ部1401は、第1又は第2実施形態のデジタルメモリ部1401のように、トライステートバッファ405に入力されるデータの正転、反転を固定するようにしてもよい。この場合、転送するデータの正転、反転は、必ずしもデジタルメモリ部1401で行う必要はなく、バッファ部1404,1411やデジタル信号処理部600で制御するようにしてもよい。
また、本実施形態では、撮像時にスイッチ1402,1403,1407,1408,1414,1415の状態を維持する構成としたが、スイッチ603,604と同様、データの転送毎にオンとオフとを切り替える構成としてもよい。各スイッチを制御する単位は、特に限定されるものではなく、例えば、デジタルメモリブロック1400の単位で行ってもよいし、デジタルメモリ部1401の単位で行ってもよい。
また、本実施形態では、デジタルメモリブロック1400毎に共通出力線401を分割して高速化を図る構成としたが、共通出力線1420をも分割して更に高速化を図る構成としてもよい。また、各デジタルメモリ部1401と共通出力線401,1420,1421との間の接続関係や信号線の並列配置数は、本実施形態で説明した構成に限定されるものではない。
[第9実施形態]
本発明の第9実施形態による撮像システムについて、図34を用いて説明する。図34は、本実施形態による撮像システムの概略構成を示すブロック図である。
上記第1乃至第8実施形態で述べた撮像装置1000は、種々の撮像システムに適用可能である。適用可能な撮像システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、撮像システムに含まれる。図34には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
図34に例示した撮像システム1200は、撮像装置1201、被写体の光学像を撮像装置1201に結像させるレンズ1202、レンズ1202を通過する光量を可変にするための絞り1204、レンズ1202の保護のためのバリア1206を有する。レンズ1202及び絞り1204は、撮像装置1201に光を集光する光学系である。撮像装置1201は、第1乃至第8実施形態のいずれかで説明した撮像装置1000であって、レンズ1202により結像された光学像を画像データに変換する。
撮像システム1200は、また、撮像装置1201より出力される出力信号の処理を行う信号処理部1208を有する。信号処理部1208は、撮像装置1201が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換するAD変換を行う。また、信号処理部1208はその他、必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。信号処理部1208の一部であるAD変換部は、撮像装置1201が設けられた半導体基板に形成されていてもよいし、撮像装置1201とは別の半導体基板に形成されていてもよい。また、撮像装置1201と信号処理部1208とが同一の半導体基板に形成されていてもよい。
撮像システム1200は、さらに、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部1210、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1212を有する。さらに撮像システム1200は、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1214、記録媒体1214に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1216を有する。なお、記録媒体1214は、撮像システム1200に内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
さらに撮像システム1200は、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1218、撮像装置1201と信号処理部1208に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1220を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、撮像システム1200は少なくとも撮像装置1201と、撮像装置1201から出力された出力信号を処理する信号処理部1208とを有すればよい。
撮像装置1201は、撮像信号を信号処理部1208に出力する。信号処理部1208は、撮像装置1201から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部1208は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
このように、本実施形態によれば、第1乃至第8実施形態による撮像装置1000を適用した撮像システムを実現することができる。
[第10実施形態]
本発明の第10実施形態による撮像システム及び移動体について、図35を用いて説明する。図35は、本実施形態による撮像システム及び移動体の構成を示す図である。
図35(a)は、車載カメラに関する撮像システムの一例を示したものである。撮像システム1300は、撮像装置1310を有する。撮像装置1310は、上記第1乃至第8実施形態のいずれかに記載の撮像装置1000である。撮像システム1300は、撮像装置1310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部1312と、撮像システム1300により取得された複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部1314を有する。また、撮像システム1300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部1316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部1318と、を有する。ここで、視差取得部1314や距離取得部1316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部1318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
撮像システム1300は車両情報取得装置1320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、撮像システム1300は、衝突判定部1318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU1330が接続されている。また、撮像システム1300は、衝突判定部1318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置1340とも接続されている。例えば、衝突判定部1318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU1330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置1340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を撮像システム1300で撮像する。図35(b)に、車両前方(撮像範囲1350)を撮像する場合の撮像システムを示した。車両情報取得装置1320が、撮像システム1300ないしは撮像装置1310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。さらに、撮像システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。
例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態である。
例えば、デジタルデータの反転処理やスクランブル処理を、上記第1乃至第3実施形態ではデジタルメモリセル402よりも後段で行い、第4及び第5実施形態ではデジタルメモリセル402よりも前段で行ったが、双方において行うようにしてもよい。この場合、共通出力線401上におけるデータが上記実施形態で説明した態様で切り替わるように、各段におけるデータ処理を適宜組み合わせればよい。
また、上記第1乃至第8実施形態では、画像の取得を目的とした装置、すなわち撮像装置を例示したが、本発明の適用例は必ずしも撮像装置に限定されるものではない。例えば、上記第10実施形態で説明したような測距を目的とする装置に適用する場合にあっては、必ずしも画像を出力する必要はない。このような場合、当該装置は、光情報を所定の電気信号に変換する光電変換装置と言うことができる。撮像装置は、光電変換装置の1つである。
また、上記第1乃至第8実施形態では本発明を適用した撮像装置について説明したが、入射光の光量に応じた信号を出力する複数の画素を有することは、本発明の必須の要件ではない。本発明の一観点によれば、例えば、入射光に基づく信号に対して上記第1乃至第8実施形態で説明した所定の信号処理を実施する信号処理装置を構成することも可能である。
また、上記第9及び第10実施形態に示した撮像システムは、本発明の光電変換装置を適用しうる撮像システム例を示したものであり、本発明の光電変換装置を適用可能な撮像システムは図34及び図35に示した構成に限定されるものではない。
なお、上記実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。