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JP7336085B1 - プラスチックボトル、ブロー成形型及びプラスチックボトルの製造方法 - Google Patents

プラスチックボトル、ブロー成形型及びプラスチックボトルの製造方法 Download PDF

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JP7336085B1
JP7336085B1 JP2022139496A JP2022139496A JP7336085B1 JP 7336085 B1 JP7336085 B1 JP 7336085B1 JP 2022139496 A JP2022139496 A JP 2022139496A JP 2022139496 A JP2022139496 A JP 2022139496A JP 7336085 B1 JP7336085 B1 JP 7336085B1
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Abstract

Figure 0007336085000001
【課題】底部が反転して飛び出す現象を抑制することが可能な、プラスチックボトル、ブロー成形型及びプラスチックボトルの製造方法を提供する。
【解決手段】プラスチックボトル10の底部50は、底部50の周縁に位置する周縁部51と、周縁部51よりも径方向内方に位置する接地部52と、接地部52よりも径方向内方に位置する中央部53とを有している。接地部52は、環状の平坦な接地面52aを含んでいる。中央部53は、接地面52aに連結された第1壁面55aと、第1壁面55aに連結されるとともに、第1壁面55aに対して傾斜する第2壁面56aと、第2壁面56aに連結された底面57aとを含んでいる。底面57aに、下方へ突出する凸部58が形成されている。
【選択図】図4

Description

本開示は、プラスチックボトル、ブロー成形型及びプラスチックボトルの製造方法に関する。
近時、飲食品等の内容物を収容する容器として、プラスチック製のものが一般化している(例えば、特許文献1)。
このようなプラスチックボトルには、加温された状態で販売されるプラスチックボトルがある。加温用のプラスチックボトルは、ボトルウォーマーで加温された状態で販売される。ボトルウォーマーでは、内容物が充填されたプラスチックボトルは、ヒーターで加熱された棚板上に配置される。そして、通常は、内容物の温度が55℃以上60°以下程度になるように、内容物が加温される。
特開2016-210516号公報
しかしながら、ヒーターの温度を誤って設定した場合、プラスチックボトルが、想定よりも高い温度で加熱される可能性がある。また、一時的な温度の変化により、プラスチックボトルが、想定よりも高い温度で加熱されるおそれがある。このように、プラスチックボトルが想定よりも高い温度で加熱された場合、プラスチックボトル内の圧力が想定よりも高くなり、プラスチックボトルの底部が変形する可能性がある。また、プラスチックボトルが想定よりも高い温度で加熱された場合、プラスチックが熱で軟らかくなったり、プラスチックが結晶化することにより、プラスチックボトルの底部が変形する可能性がある。そして、プラスチックボトルの底部が変形することにより、底部が反転して飛び出してしまうおそれがある(バックリング)。
本開示はこのような点を考慮してなされたものであり、底部が反転して飛び出す現象を抑制することが可能な、プラスチックボトル、ブロー成形型及びプラスチックボトルの製造方法を提供することを目的とする。
本開示の第1の態様は、口部と、胴部と、底部とを備えたプラスチックボトルであって、前記底部は、前記底部の周縁に位置する周縁部と、前記周縁部よりも径方向内方に位置する接地部と、前記接地部よりも径方向内方に位置する中央部とを有し、前記接地部は、環状の平坦な接地面を含み、前記中央部は、前記接地面に連結された第1壁面と、前記第1壁面に連結されるとともに、前記第1壁面に対して傾斜する第2壁面と、前記第2壁面に連結された底面とを含み、前記底面に、下方へ突出する凸部が形成されている、プラスチックボトルである。
本開示の第2の態様は、上述した第1の態様によるプラスチックボトルにおいて、前記凸部は、環状に形成されていても良い。
本開示の第3の態様は、上述した第1の態様又は上述した第2の態様によるプラスチックボトルにおいて、前記プラスチックボトルの中心軸線に対する前記第1壁面の傾斜角度は、30°以上75°以下であっても良い。
本開示の第4の態様は、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによるプラスチックボトルにおいて、前記プラスチックボトルの中心軸線に対する前記第2壁面の傾斜角度は、0.5°以上20°以下であっても良い。
本開示の第5の態様は、上述した第1の態様から上述した第3の態様のそれぞれによるプラスチックボトルにおいて、前記第1壁面は、湾曲面であっても良い。
本開示の第6の態様は、上述した第4の態様によるプラスチックボトルにおいて、前記第1壁面の曲率半径は、8mm以上であっても良い。
本開示の第7の態様は、上述した第1の態様から上述した第6の態様のそれぞれによるプラスチックボトルにおいて、前記第2壁面に、上下方向に延びる複数のリブが形成されていても良い。
本開示の第8の態様は、口部と、胴部と、底部とを備えたプラスチックボトルをブロー成形するためのブロー成形型であって、前記プラスチックボトルの前記胴部に対応する胴部型と、前記プラスチックボトルの前記底部に対応する底部型とを備え、前記底部型は、第1側面と、前記第1側面よりも径方向内方に位置するとともに、前記第1側面に対して傾斜する第2側面と、前記第2側面に連結された天面とを含み、前記天面に、下方へ窪む凹部が形成されている、ブロー成形型である。
本開示の第9の態様は、上述した第8の態様によるブロー成形型において、前記凹部は、環状に形成されていても良い。
本開示の第10の態様は、上述した第8の態様又は上述した第9の態様によるブロー成形型において、前記プラスチックボトルの中心軸線に対する前記第1側面の傾斜角度は、30°以上75°以下であっても良い。
本開示の第11の態様は、上述した第8の態様から上述した第10の態様のそれぞれによるブロー成形型において、前記プラスチックボトルの中心軸線に対する前記第2側面の傾斜角度は、0.5°以上20°以下であっても良い。
本開示の第12の態様は、上述した第8の態様から上述した第10の態様のそれぞれによるブロー成形型において、前記第1側面は、湾曲面であっても良い。
本開示の第13の態様は、上述した第12の態様によるブロー成形型において、前記第1側面の曲率半径は、8mm以上であっても良い。
本開示の第14の態様は、上述した第8の態様から上述した第13の態様のそれぞれによるブロー成形型において、前記第2側面に、上下方向に延びる複数のリブが形成されていても良い。
本開示の第15の態様は、プラスチックボトルの製造方法であって、プリフォームを準備する工程と、上述した第8の態様から上述した第14の態様のそれぞれによるブロー成形型を準備する工程と、前記プリフォームを前記ブロー成形型内でブロー成形する工程とを備える、プラスチックボトルの製造方法である。
本開示によれば、底部が反転して飛び出す現象を抑制できる。
図1は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す正面図である。 図2は、一実施の形態によるプラスチックボトルを下方から示す斜視図である。 図3は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す底面図である。 図4は、一実施の形態によるプラスチックボトルを示す断面図(図3のIV-IV線断面図)である。 図5(a)-(b)は、一実施の形態によるプラスチックボトルの製造方法を示す断面図である。 図6は、一実施の形態によるブロー成形型の底部型を示す断面図である。 図7(a)-(b)は、一実施の形態によるプラスチックボトルの製造方法を示す断面図である。 図8は、一実施の形態によるプラスチックボトルの作用を説明する図である。 図9は、一実施の形態によるプラスチックボトルの作用を説明する図である。 図10は、比較例としてのプラスチックボトルの作用を説明する図である。 図11Aは、第1変形例によるプラスチックボトルを下方から示す斜視図である。 図11Bは、第1変形例によるプラスチックボトルを示す断面図である。 図12は、第1変形例によるブロー成形型を示す断面図である。 図13は、第2変形例によるプラスチックボトルを示す断面図である。 図14は、第2変形例によるブロー成形型を示す断面図である。 図15は、第3変形例によるプラスチックボトルを示す断面図である。 図16は、第3変形例によるブロー成形型を示す斜視図である。 図17は、第4変形例によるブロー成形型を示す断面図である。 図18は、第5変形例によるブロー成形型を示す断面図である。 図19は、比較例1によるプラスチックボトルを示す断面図である。 図20は、比較例2によるプラスチックボトルを示す断面図である。
以下、図面を参照して本開示の一実施の形態について説明する。図1乃至図10は本開示の一実施の形態を示す図である。以下に示す各図は、模式的に示した図である。そのため、各部の大きさ、形状は理解を容易にするために、適宜誇張している。また、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更して実施できる。なお、以下に示す各図において、同一部分には同一の符号を付しており、一部詳細な説明を省略する場合がある。また、本明細書中に記載する各部材の寸法等の数値および材料名は、実施の形態としての一例であり、これに限定されることなく、適宜選択して使用できる。本明細書において、形状や幾何学的条件を特定する用語、例えば平行や直交、垂直等の用語については、厳密に意味するところに加え、実質的に同じ状態も含めて解釈することとする。
プラスチックボトルの構成
まず、図1乃至図4により、本実施の形態によるプラスチックボトル10について説明する。なお、本明細書中、「上」および「下」とは、それぞれプラスチックボトル10を正立させた状態(図1)における上方および下方のことをいう。本明細書中、プラスチックボトル10の「中心軸線CL」とは、プラスチックボトル10の口部20の内面を構成する円筒の中心軸線をいう。なお、プラスチックボトル10の中心軸線CLは、プラスチックボトル10を正立させた状態で接地させたときに、接地面となる平面に対して直交する直線である。
また、本明細書中、「高さ方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸線CLに沿う方向をいい、「半径方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対して直交する方向をいう。また、「周方向」とは、プラスチックボトル10の中心軸線CLを中心とする円の円周方向をいう。
図1乃至図4に示すプラスチックボトル10は、射出成形により得られるプリフォーム100(図5参照)を準備し、このプリフォーム100に対して二軸延伸ブロー成形を施すことにより作製される。
図1に示すように、プラスチックボトル10は、口部20と、口部20の下方に位置する首部21と、首部21の下方に位置する肩部22と、肩部22の下方に位置する胴部30と、胴部30の下方に位置する底部50とを備えている。
このうち口部20は、図示しないキャップに螺着されるねじ部23と、ねじ部23の下方に位置するフランジ部24とを有している。なお、プラスチックボトル10に内容液等の内容物が充填され、口部20にキャップが螺着されることにより、内容物入りプラスチックボトル10A(図8参照)が得られる。
首部21は、フランジ部24と肩部22との間に位置しており、略均一な径をもつ略円筒形状を有している。
肩部22は、首部21と胴部30との間に位置しており、首部21側から胴部30側に向けて徐々に径が拡大する形状を有している。
胴部30は、全体として略均一な径をもつ円筒形状を有している。しかしながら、これに限られるものではなく、胴部30が四角形筒形状や八角形筒形状等の多角形筒形状を有していても良い。或いは、胴部30が上方から下方に向けて均一でない水平断面をもつ筒形状を有していても良い。胴部30の外面には、例えば、減圧吸収パネル又は溝等の凹凸が形成されていても良い。
次に、図2乃至図4を参照して、底部50について説明する。
図2乃至図4に示すように、底部50は、底部50の周縁に位置する周縁部51と、周縁部よりも径方向内方に位置する接地部52と、接地部52よりも径方向内方に位置する中央部53とを有している。このうち、接地部52は、環状の平坦な接地面52aを含んでいる。また、中央部53は、接地面52aに連結された第1壁面55aと、第1壁面55aに連結されるとともに、第1壁面55aに対して傾斜する第2壁面56aと、第2壁面56aに連結された底面57aとを含んでいる。なお、接地面52aと第1壁面55aとの間に、図示しない曲面が介在されていても良い。ここでは、まず、底部50の周縁部51について説明する。
周縁部51は、接地部52の半径方向外方に位置している。周縁部51の半径方向内端は、接地部52の半径方向外端に連結され、周縁部51の半径方向外端は、胴部30の下端に接続されている。周縁部51は、底面方向から見て、円環形状を有している。周縁部51は、半径方向内方から半径方向外方に向かうにつれて、下方(接地部52側)から上方(胴部30側)に向けて上昇している(図4参照)。また、底部50の垂直断面(中心軸線CLを通る断面)において、周縁部51は、半径方向内方から半径方向外方に向かうにつれて、徐々に、接地部52の後述する接地面52aに対する角度が大きくなるように湾曲していても良い。なお、周縁部51には、溝等が形成されていない。
接地部52は、プラスチックボトル10を正立させた際、テーブル等の載置面に接触する部分である。接地部52の半径方向外端は、周縁部51の下端に連結されており、接地部52の半径方向内端は、中央部53の下端に接続されている。上述したように、接地部52は、環状の平坦な接地面52aを含んでいる。接地面52aは、周方向に途切れる部分のない環形状を有している(図3参照)。なお、接地部52には、溝等が形成されていない。接地部52の幅W1(半径方向距離、図3参照)は、0mmよりも大きく10mm以下としても良く、1mm以上4mm以下とすることが好ましい。なお、接地部52は、テーブル等の載置面に線接触しても良い。また、接地部52の内周(後述する環状傾斜部55の外周)は、底面方向から見て円形状を有しているが、これに限らず、例えば、多角形形状を有していても良い。更にW1は部分的に大きさが異なっていても良い。
また、接地部52における肉厚は、これに限定されるものではないが、例えば0.09mm以上0.40mm以下とすることができる。接地部52の肉厚が0.09mm以上であることにより、プラスチックボトル10をブロー成形したときに過延伸となってプラスチックボトル10が白くなることを抑止できる。また、接地部52の肉厚が0.40mm以下であることにより、プラスチックボトル10の軽量化を図ることができる。なお、プラスチックボトル10が白くなるのは、ブロー成形で過延伸となることにより、プラスチックボトル10の表面に極微細な凹凸が生じ、光を乱反射するためである。
中央部53は、中央凹部54と、中央凹部54の周囲に位置する環状傾斜部55とを有している。
中央凹部54は、上方(プラスチックボトル10の内方)に向けて凹んでいる。中央凹部54は、全体として略円錐台形状を有しており、上述した第2壁面56aと、底面57aとを含んでいる。第2壁面56aは、底面57aの周囲に位置している。
第2壁面56aは略円錐形状であり、底部50の垂直断面(中心軸線CLを通る断面)において、直線状に延びている。また、第2壁面56aは、底部50の垂直断面において、接地面52aに対して傾斜している。プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第2壁面56aの傾斜角度θ1(図4参照)は、0.5°以上20°以下であることが好ましい。傾斜角度θ1が0.5°以上であることにより、プラスチックボトル10を後述するブロー成形型70から取り出すときの離型性を向上できる。また、傾斜角度θ1が20°以下であることにより、内容物入りプラスチックボトル10A内の圧力が上昇した際に、中央凹部54が変形することを効果的に抑制できる。なお、第2壁面56aには、溝等は形成されていない。
底面57aには、後述する凸部58除き、溝等は形成されていない。このため、底面57aのうち後述する凸部58以外の部分は、平坦面である。なお、底面57aは、底面方向から見て円形状を有しているが、これに限らず、例えば、多角形形状を有していても良い。底面57aの直径D2(図4参照)は、胴部30の最大径D1の20%以上50%以下としても良く、25%以上40%以下とすることが好ましい。また、直径D2は、18mm以上30mm以下としても良い。直径D2が18mm以上であることにより、後述する延伸不足部分が、第2壁面56aを構成する部分にまで延在することを抑止できる。また、直径D2が30mm以下であることにより、第1壁面55aの設計の自由度を大きくできる。
また、接地面52aから底面57aまでの高さH2(図4参照)は、胴部30の最大径D1の20%以上40%以下としても良く、25%以上35%以下とすることが好ましい。さらに、接地面52aから底面57aまでの高さH2は、16mm以上25mm以下としても良い。高さH2が16mm以上であることにより、プラスチックボトル10をブロー成形したときに、環状傾斜部55及び第2壁面56aを構成する部分の樹脂を十分に延伸させることができる。このため、当該部分の耐熱性を向上できる。また、高さH2が25mm以下であることにより、プラスチックボトル10をブロー成形したときに過延伸となってプラスチックボトル10が白くなることを抑制できる。
ここで、底面57aを構成する部分は、底部50における他の部分よりも厚みが厚くなっている。すなわち、後述するように、プリフォーム100(図5(a)参照)の底部には、ブロー成形時に延伸されにくい部分(以下、単に延伸不足部分とも称する)がある。本実施の形態では、後述するように、延伸不足部分は、底部型74の凹部80内に入り込む。そして、底面57aを構成する部分は、底部型74の凹部80を取り囲むように形成される。このため、底面57aを構成する部分は、底部50における他の部分よりも厚みが厚くなる。この場合、延伸不足部分が、環状傾斜部55にまで延在することを抑制できる。
底面57aには、下方へ突出する凸部58が形成されている。凸部58は、全体として略逆円錐台形状を有しており、第3壁面58aと、下面58bとを含んでいる。第3壁面58aは、下面58bの周囲に位置している。
第3壁面58aは、略円錐形状であり、底部50の垂直断面(中心軸線CLを通る断面)において、直線状に延びている。また、第3壁面58aは、底部50の垂直断面において、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対して傾斜している。プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第3壁面58aの傾斜角度θ2(図4参照)は、0.5°以上45°以下であることが好ましい。傾斜角度θ2が0.5°以上であることにより、プラスチックボトル10を後述するブロー成形型70から取り出すときの離型性を向上できる。また、傾斜角度θ2が45°以下であることにより、後述するブロー成形型70の凹部80の空間容積を大きくできる。これにより、後述するように、ブロー成形型70の凹部80内に入り込んだ樹脂が、凹部80よりも径方向外側に流れ出ることを抑制できる。このため、後述するように、プラスチックボトル10において、プリフォーム100の延伸不足部分に起因して厚肉になる部分が形成される範囲を狭くできる。なお、第3壁面58aには、溝等は形成されていない。
下面58bには、溝等は形成されておらず、下面58bは、平滑な面である。なお、下面58bは、底面方向から見て円形状を有しているが、これに限らず、例えば、多角形形状を有していても良い。なお、下面58bに、製造上不可避的に生じる誤差又は変形(歪み若しくは湾曲等)が生じていても良く、下面58bが平滑な面でなくとも良い。
凸部58の直径D3(第3壁面58aの最大径、図4参照)は、底面57aの直径D2よりも、1mm以上5mm以下の範囲で小さくしても良い。直径D3が底面57aの直径D2よりも1mm以上小さいことで、後述する底部型74の強度を保つことが出来る。また、直径D3が底面57aの直径D2よりも5mm以下小さいことで、プラスチックボトル10において、プリフォーム100の延伸不足部分に起因して厚肉になる部分が形成される範囲を狭くできる。
また、凸部58の高さH3(下面58bから底面57aまでの上下方向距離、図4参照)は、1.5mm以上8mm以下としても良い。高さH3が1.5mm以上であることにより、後述するように、ブロー成形型70の凹部80内に入り込んだ樹脂が、凹部80よりも径方向外側に流れ出ることをより効果的に抑制できる。このため、後述するように、プラスチックボトル10において、プリフォーム100の延伸不足部分に起因して厚肉になる部分が形成される範囲を効果的に狭くできる。また、高さH3が8mm以下であることにより、プラスチックボトル10を後述するブロー成形型70から取り出すときの離型性を向上できる。
環状傾斜部55は、中央凹部54の半径方向外方かつ接地部52の半径方向内方に位置している。また、環状傾斜部55の上端は、中央凹部54の下端に連結され、環状傾斜部55の下端は、接地部52の半径方向内端に連結されている。環状傾斜部55は、全体として円錐台の側面の形状を有している。環状傾斜部55の厚みは、全体として略一定で有っても良い。上述したように、延伸不足部分は、環状傾斜部55にまでは延在していない。このため、環状傾斜部55の厚みを薄くできる。環状傾斜部55の厚みは、これに限定されるものではないが、例えば0.09mm以上0.8mm以下としても良い。環状傾斜部55の厚みが0.09mm以上であることにより、プラスチックボトル10をブロー成形したときに、環状傾斜部55の樹脂が延伸しすぎることを抑制できる。このため、延伸しすぎることに起因して環状傾斜部55が白くなることを抑制できる。また、環状傾斜部55の厚みが0.8mm以下であることにより、環状傾斜部55の耐熱性を向上できる。
また、環状傾斜部55は、上述した第1壁面55aを含んでいる。第1壁面55aは、底部50の垂直断面(中心軸線CLを通る断面)において、直線状に延びている。また、第1壁面55aは、底部50の垂直断面において、接地面52aに対して傾斜している。プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第1壁面55aの傾斜角度θ3(図4参照)は、30°以上75°以下であることが好ましい。傾斜角度θ3が30°以上であることにより、内容物入りプラスチックボトル10A内の圧力が上昇した際に、環状傾斜部55が変形しやすくなる。また、傾斜角度θ3が75°以下であることにより、プラスチックボトル10に内容物を充填したときに、内容物の重さによって環状傾斜部55が接地部52よりも下方に変形することを抑制できる。なお、この傾斜角度θ3は、上述した第2壁面56aと中心軸線CLとがなす傾斜角度θ1よりも大きい。第1壁面55aには、溝等が形成されることなく、平坦な面から構成されている。
また、第1壁面55aの高さH4(接地面52aから第2壁面56aまでの上下方向距離、図4参照)は、3mm以上16mm以下としても良い。ただし、高さH4は、高さH2の20%以上80%以下であっても良い。高さH4が3mm以上であることにより、延伸不足部分が、環状傾斜部55にまで延在することをより確実に抑制できる。また、高さH4が16mm以下であることにより、内容物が充填されたプラスチックボトル10を加温したときに、環状傾斜部55が下方に変形しやすくなる。これにより、プラスチックボトル10内の圧力が高くなりすぎることを抑制できる。
なお、底部50には、金型番号、工場記号、又はリサイクルマーク等の刻印が形成され得る。一方、後述するように、環状傾斜部55は、内容物入りプラスチックボトル10Aを加温した際に、第1壁面55aが加温面91(図8参照)に接地するように変形する。このため、第1壁面55aには、金型番号、工場記号、又はリサイクルマーク等の刻印を設けないことが好ましい。これにより、環状傾斜部55が、第1壁面55aが加温面91に接地するように変形した場合であっても、内容物入りプラスチックボトル10Aの安定性を維持できる。
ところで、このようなプラスチックボトル10のサイズは限定されるものではなく、どのようなサイズのボトルからなっていても良い。例えば、プラスチックボトル10の満注容量は、100ml以上1000ml以下としても良く、150ml以上700ml以下とすることが好ましく、190ml以上550ml以下とすることがさらに好ましい。プラスチックボトル10の満注容量は、一例として、300mlであっても良い。
さらに、プラスチックボトル10の重量についても、これに限定されるものではないが、満注容量が550ml以下の場合、12g以上28g以下としても良く、16g以上24g以下とすることが好ましい。
また、プラスチックボトル10は、合成樹脂材料を射出成形して作製したプリフォームを二軸延伸ブロー成形することにより作製できる。なお、プラスチックボトル10の主材料としては熱可塑性樹脂、特にポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリ乳酸(PLA)、ポリカーボネート(PC)等を使用できる。また、プラスチックボトル10は、2層のポリエチレンテレフタレート層によってバリア材料層を挟んだ多層構造としても良い。例えば、PET/MXD6/PETという多層構造としたプリフォームを作製し、これを二軸延伸ブロー成形することにより、多層容器であるプラスチックボトル10を作製しても良い。プラスチックボトル10の材料としては、使用済みのプラスチック製品を選別、粉砕、洗浄することによって作製された、リサイクルしたプラスチックを用いても良い。なお、プラスチックボトル10は、二軸延伸ブロー成形のほか、ダイレクトブロー成形等の各種成形法によって作製されても良い。
プラスチックボトルの製造方法
次に、図5乃至図10により、本実施の形態によるプラスチックボトル10の製造方法及び内容物入りプラスチックボトル10の使用方法について説明する。
まず、図5(a)に示すように、プラスチック材料製のプリフォーム100を準備する。この場合、例えば図示しない射出成形機を用いて、射出成形法によりプリフォーム100を作製しても良い。また、プリフォーム100として、従来一般に用いられるプリフォームを用いても良い。
また、図5(b)に示すように、プラスチックボトル10を作製するためのブロー成形型70を準備する。ブロー成形型70は、互いに分割された一対の胴部型72、73と、底部型74とを備えている。胴部型72、73は、プラスチックボトル10の首部21、肩部22及び胴部30に対応する型である。本実施の形態では、胴部型72、73は、プラスチックボトル10の底部50の一部にも対応している。底部型74は、プラスチックボトル10の底部50に対応する型である。胴部型72、73及び底部型74は、それぞれ、プラスチックボトル10の首部21、肩部22、胴部30及び底部50に対応する形状を有している。
図5(b)に示すように、胴部型72、73は、平坦面75を含んでいる。また、図6に示すように、底部型74は、第1側面76と、第1側面76よりも径方向内方に位置するとともに、第1側面76に対して傾斜する第2側面77と、第2側面77に連結された天面78とを含んでいる。胴部型72、73及び底部型74が組み合わされたとき、第1側面76と平坦面75とは、実質的に互いに連結された状態となる。なお、図示はしないが、ブロー成形型70において、第1側面76と平坦面75との間に、曲面が介在されるように構成されていても良い。
胴部型72、73の平坦面75は、プラスチックボトル10における底部50の接地部52の接地面52aに対応する面である。
底部型74の第1側面76は、底部50の環状傾斜部55の第1壁面55aに対応する面である。このため、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第1側面76の傾斜角度θ4は、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第1壁面55aの傾斜角度θ3と等しくなっていても良い。すなわち、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第1側面76の傾斜角度θ4は、30°以上75°以下であっても良い。
第2側面77は、底部50の中央凹部54の第2壁面56aに対応する面である。このため、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第2側面77の傾斜角度θ5は、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第2壁面56aの傾斜角度θ1と等しくなっていても良い。すなわち、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第2側面77の傾斜角度θ5は、0.5°以上20°以下であっても良い。
天面78は、底部50の中央凹部54の底面57aに対応する面である。このため、天面78には、凸部58に対応する凹部80であって、下方へ窪む凹部80が形成されている。本実施の形態において、このようなブロー成形型70も提供する。
次に、プリフォーム100をブロー成形型70内でブロー成形する。このとき、プリフォーム100は、図示しない加熱装置によって加熱される。この加熱工程におけるプリフォーム100の加熱温度は、例えば90℃乃至130℃としても良い。
次に、図7(a)に示すように、プリフォーム100をブロー成形用のブロー成形型70に装着する。
次に、ブロー用エアがプリフォーム100内に吹き込まれることによって、図7(b)に示すように、プリフォーム100が、ブロー成形型70のキャビティ内で、成形品のプラスチックボトル10となるまで膨張する。
ここで、ポリエチレンテレフタレート等のプラスチックは、延伸することにより分子が配向し、これにより、耐熱性が向上する。一方、延伸していない部分、又は、延伸が不足している部分は、耐熱性が向上することなく、熱により変形しやすくなり得る。一般的に、プリフォーム100の底部の一部分(図7(a)のX部)は、延伸されにくい部分(以下、単に延伸不足部分とも称する)である。このような延伸不足部分は、プラスチックボトル10において、周囲の部分よりも厚肉になりやすい。
本実施の形態では、底部型74の天面78に、下方へ窪む凹部80が形成されている。これにより、プリフォーム100が膨張する際に、凹部80内に延伸不足部分が入り込む。そして、底部型74に凹部80が形成されていることにより、凹部80内に入り込んだ延伸不足部分が凹部80よりも径方向外側に流れ出ることを抑制できる。このため、プラスチックボトル10において、プリフォーム100の延伸不足部分に起因して厚肉になる部分(以下、肉溜まり部とも称する)が形成される範囲を狭くできる。すなわち、耐熱性が低下し得る肉溜まり部が形成される範囲を狭くできる。この場合、肉溜まり部は、底部50の凸部58の近傍のみに形成され得る。
その後、プラスチックボトル10が、ブロー成形型70外へ取り出される。
このようにして、図1に示すプラスチックボトル10が得られる。
次に、このプラスチックボトル10内に飲料等の内容物を充填する。続いて、口部20を図示しないキャップにより閉栓する。このようにして、内容物入りプラスチックボトル10A(図8参照)が得られる。
次に、プラスチックボトル10の使用方法について説明する。このとき、例えば、図8に示すように、内容物入りプラスチックボトル10Aをホットプレート90で加温する。ホットプレート90の加温面91は、図示しないヒーターで加熱されている。そして、内容物入りプラスチックボトル10Aを加温面91上に配置することにより、内容物入りプラスチックボトル10Aが加温される。なお、ここでは、ホットプレート90をボトルウォーマーの代わりとして用いている。ホットプレート90の加温面91は、ヒーターで加熱された、ボトルウォーマーの棚板に相当する。
このとき、内容物が加温されることにより、内容物入りプラスチックボトル10A内の圧力が上昇する。これにより、図9に示すように、環状傾斜部55が変形する。このとき、環状傾斜部55は、第1壁面55aが加温面91に接地するように変形する。このため、プラスチックボトル10の容積が大きくなり、内容物入りプラスチックボトル10A内の圧力の上昇を底部50により吸収できる。この結果、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)を抑制できる。また、本実施の形態では、上述したように、プリフォーム100の延伸不足部分に起因して厚肉になる肉溜まり部(図9に示す網掛け部)が形成される範囲が狭くなっている。このように、耐熱性が低下し得る肉溜まり部が形成される範囲が狭くなっているため、図9に示すように、内容物の温度が高くなった場合であっても、底部50の中央凹部54の変形量を低減できる。このため、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)を抑制できる。なお、図9においては、変形後の底部50を破線で示している。
一方、比較例として、図10に示すように、底部50の底面57aに凸部58が形成されていない場合、肉溜まり部(図10に示す網掛け部)が形成される範囲が広くなり得る。すなわち、凹部80が形成されていない底部型74を使用して、プラスチックボトル10を作製した場合、肉溜まり部が形成される範囲が広くなり得る。この場合、内容物の温度が高くなった場合に、底部50の中央凹部54の変形量が大きくなる。このため、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)が生じ得る。なお、図10においては、変形後の底部50を破線で示している。
以上説明したように、本実施の形態によれば、プラスチックボトル10の底部50が、底部50の周縁に位置する周縁部51と、周縁部51よりも径方向内方に位置する接地部52と、接地部52よりも径方向内方に位置する中央部53とを有している。また、接地部52が、環状の平坦な接地面52aを含んでいる。さらに、中央部53が、接地面52aに連結された第1壁面55aと、第1壁面55aに連結されるとともに、第1壁面55aに対して傾斜する第2壁面56aとを含んでいる。これにより、内容物を加温することにより、内容物入りプラスチックボトル10A内の圧力が上昇した際に、中央部53が、第1壁面55aが加温面(例えば、ホットプレート90の加温面91)に接地するように変形する。このため、プラスチックボトル10の容積が大きくなり、内容物入りプラスチックボトル10A内の圧力の上昇を底部50により吸収できる。この結果、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)を抑制できる。
また、中央部53が、第2壁面56aに連結された底面57aを含んでいる。そして、底面57aに、下方へ突出する凸部58が形成されている。この場合、プリフォーム100の延伸不足部分に起因して厚肉になる肉溜まり部は、凸部58の近傍のみに形成される。このため、肉溜まり部が形成される範囲を狭くできる。この結果、耐熱性が低下し得る領域を狭くできる。このため、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)をより効果的に抑制できる。なお、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)を抑制できることは、後述する実施例によって説明する。
(変形例)
次に、プラスチックボトル及びブロー成形型の変形例について説明する。
(第1変形例)
図11A及び図11Bは、プラスチックボトル10の第1変形例を示している。図11A及び図11Bに示す変形例は、凸部58が、環状に形成されている点が異なるものであり、他の構成は上述した図1乃至図10に示す形態と略同一である。図11A及び図11Bにおいて、図1乃至図10に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図11A及び図11Bに示す変形例において、凸部58は、環状に形成されている。具体的には、凸部58は、底面方向から見て円環形状を有している。この場合、凸部58は、下面58bよりも径方向内側に位置する第4壁面58cを更に含んでいる。
第4壁面58cは、底部50の垂直断面(中心軸線CLを通る断面)において、直線状に延びている。また、第4壁面58cは、底部50の垂直断面において、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対して傾斜している。プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第4壁面58cの傾斜角度θ6(図11B参照)は、0.5°以上45°以下であることが好ましい。傾斜角度θ6が0.5°以上であることにより、プラスチックボトル10をブロー成形型70から取り出すときの離型性を向上できる。また、傾斜角度θ6が45°以下であることにより、ブロー成形型70の凹部80の空間容積を大きくすることができる。これにより、ブロー成形型70の凹部80内に入り込んだ樹脂が、凹部80よりも径方向外側に流れ出ることを抑制できる。このため、プラスチックボトル10において、プリフォーム100の延伸不足部分に起因して厚肉になる部分が形成される範囲を狭くできる。なお、第4壁面58cには、溝等は形成されていない。
本変形例では、凸部58の幅W2(半径方向距離、図11B参照)は、3mm以上10mm以下としても良い。幅W2が3mm以上であることにより、肉溜まり部が底部50の凸部58の近傍のみに形成され得る。また、幅W2が10mm以下であることにより、底部型74の強度を十分なものに保つことができる。
第1変形例によるプラスチックボトル10を作製する場合、図12に示すように、底部型74の凹部80は、環状に形成されていても良い。
本変形例によれば、凸部58が、環状に形成されている。これにより、凸部58の長さを長くできる。すなわち、第3壁面58a、下面58b及び第4壁面58cの合計面積を広くできる。このため、凸部58の近傍に肉溜まり部が形成された場合であっても、肉溜まり部の厚みを薄くできる。この結果、凸部58の耐熱性の低下を抑制できる。このため、本変形例によれば、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)を更に効果的に抑制できる。
(第2変形例)
図13は、プラスチックボトル10の第2変形例を示している。図13に示す変形例は、第1壁面55aが、湾曲面である点が異なるものであり、他の構成は上述した図1乃至図12に示す形態と略同一である。図13において、図1乃至図12に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図13に示す変形例において、第1壁面55aは、湾曲面である。第1壁面55aは、半径方向外方から半径方向内方に向かうにつれて、下方(接地部52側)から上方(胴部30側)に向けて上昇している。また、底部50の垂直断面(中心軸線CLを通る断面)において、第1壁面55aは、半径方向外方から半径方向内方に向かうにつれて、徐々に、接地部52の接地面52aに対する角度が大きくなるように湾曲している。
この場合、第1壁面55aの曲率半径R1は、8mm以上であることが好ましい。曲率半径R1が8mm以上であることにより、内容物が充填されたプラスチックボトル10を加温したときに、環状傾斜部55が下方に変形しやすくなる。これにより、プラスチックボトル10内の圧力の上昇を抑制できる。なお、第1壁面55aの曲率半径R1が、20mmを超えるときは、垂直断面において、第1壁面55aと接地面52aとの境界点P1を通る仮想直線IL1と、プラスチックボトル10の中心軸線CLとがなす角度θ7が30°以上75°以下となるようにしても良い。ここで、仮想直線IL1は、仮想曲線IL2の接線である。また、仮想曲線IL2は、垂直断面において、第1壁面55aから延びる円弧であって、第1壁面55aがなす円弧と中心が同一である円弧である。
第2変形例によるプラスチックボトル10を作製する場合、図14に示すように、底部型74の第1側面76は、湾曲面であっても良い。この場合、第1側面76の曲率半径R2は、第1壁面55aの曲率半径R1と等しくなっていても良い。すなわち、第1側面76の曲率半径R2は、8mm以上であっても良い。なお、第1側面76の曲率半径R2が、20mmを超えるときは、垂直断面において、第1側面76の外縁P2を通る仮想直線IL3と、プラスチックボトル10の中心軸線CLとがなす角度θ8が30°以上75°以下となるようにしても良い。ここで、仮想直線IL3は、仮想曲線IL4の接線である。また、仮想曲線IL4は、垂直断面において、第1側面76から延びる円弧であって、第1側面76がなす円弧と中心が同一である円弧である。
本変形例においても、内容物入りプラスチックボトル10A内の圧力が上昇した際に、中央部53が、第1壁面55aが加温面に接地するように変形する。このため、プラスチックボトル10の容積が大きくなり、内容物入りプラスチックボトル10A内の圧力の上昇を底部50により吸収できる。この結果、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)を抑制できる。
(第3変形例)
図15は、プラスチックボトル10の第3変形例を示している。図15に示す変形例は、第2壁面56aに、上下方向に延びる複数のリブ59が形成されている点が異なるものであり、他の構成は上述した図1乃至図14に示す形態と略同一である。図15において、図1乃至図14に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図15に示す変形例において、第2壁面56aに、上下方向に延びる複数のリブ59が形成されている。なお、リブ59の本数は、5本以上20本以下としても良い。このリブ59は、周方向に等間隔に配置されていても良い。各リブ59は、その下端が環状傾斜部55に連結されるとともに、その上端が中央凹部54の第2壁面56aを構成する部分で終端している。また、各リブ59は、それぞれ溝状に形成されており、幅方向に垂直な断面において略U字形状又は略コの字形状を有している。各リブ59は、第2壁面56aの傾斜に沿って配置されている。すなわち、各リブ59は、底部50の垂直断面(中心軸線CLを通る断面)において、接地面52aに対して第2壁面56aと同一の角度で傾斜している。なお、各リブ59の間隔は、一定でなくとも良い。また、各リブ59の上端は、第2壁面56aを構成する部分の手前で終端していても良い。また、各リブ59は、底部50の垂直断面(中心軸線CLを通る断面)において、接地面52aに対して第2壁面56aと異なる角度で傾斜していても良い。さらに、各リブ59は溝状に形成されることなく、凸状に形成されていても良く、溝状に形成されたリブ59と、凸状に形成されたリブ59とが混在していても良い。
第3変形例によるプラスチックボトル10を作製する場合、図16に示すように、底部型74の第2側面77に、上下方向に延びる複数のリブ79が形成されていても良い。このリブ79は、プラスチックボトル10のリブ59に対応する部分であり、それぞれ、第2側面77から径方向外方に突出していても良い。
本変形例によれば、第2壁面56aに、上下方向に延びる複数のリブ59が形成されている。これにより、中央凹部54の剛性を高くできる。このため、内容物入りプラスチックボトル10A内の圧力が上昇した際に、中央凹部54が変形することを抑制できる。この結果、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)を更に効果的に抑制できる。
(第4変形例)
図17は、ブロー成形型の第4変形例を示している。図17に示す変形例は、胴部型72、73と、底部型74との間に、段差が形成されている点が異なるものであり、他の構成は上述した図1乃至図16に示す形態と略同一である。図17において、図1乃至図16に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図17に示す変形例において、胴部型72、73と、底部型74との間に、段差が形成されている。この場合、段差の高さH5は、例えば、0.5mm以上1.0mm以下としても良い。胴部型72、73と底部型74との間に段差が全くないことが理想である。一方、胴部型72、73及び底部型74を加工する際の加工精度及び作動精度により、若干の段差が生じ得る。このとき、プラスチックボトル10を成形する毎に、胴部型72、73と底部型74との間の段差の形状等が異なっていた場合、成形されたプラスチックボトル10の品質が安定しなくなる。例えば、一の成形工程において、胴部型72、73よりも底部型74が下方に位置し、他の成形工程において、胴部型72、73よりも底部型74が上方に位置するような場合、成形されたプラスチックボトル10の品質が安定しなくなる。このため、常に胴部型72、73よりも底部型74が上方に位置するように構成することにより、胴部型72、73と、底部型74との間に、あえて高さH5の段差が形成されるようにしても良い。なお、この場合、第1側面76と平坦面75とは、実質的に互いに連結されているとみなすことができる。この場合においても、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)を抑制できるプラスチックボトル10を作製できる。
(第5変形例)
図18は、ブロー成形型の第5変形例を示している。図18に示す変形例は、胴部型72、73と、底部型74との間に、隙間Gが形成されている点が異なるものであり、他の構成は上述した図1乃至図17に示す形態と略同一である。図18において、図1乃至図17に示す形態と同一部分には同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
図18に示す変形例において、胴部型72、73と、底部型74との間に、隙間Gが形成されている。本変形例では、胴部型72、73は、プラスチックボトル10の底部50には対応していない。すなわち、胴部型72、73が、プラスチックボトル10の首部21、肩部22及び胴部30に対応し、底部型74が、プラスチックボトル10の底部50に対応している。この場合、隙間Gの幅W3は、例えば、0.5mm以上1.0mm以下としても良い。この場合においても、底部50が反転して外方へ飛び出す現象(バックリング)を抑制できるプラスチックボトル10を作製できる。
次に本発明の具体的実施例について説明する。
(実施例1)
まず、図1乃至図4に示す構成からなる、満注容量300mlのプラスチックボトル10を作製した。この場合、射出成形により22gのPET単層プリフォームを作製し、このプリフォームに対して二軸延伸ブロー成形することによりプラスチックボトル10を作製した。
このとき、プラスチックボトル10の高さH(図1参照)は、132mmであり、口部20の高さH1(図1参照)は、21mmであった。また、胴部30の最大径D1は、65mmであった。
また、プラスチックボトル10底部50において、接地面52aから底面57aまでの高さH2は、20mmであった。また、凸部58の高さH3は、5mmであった。また、第1壁面55aの高さH4は、10mmであった。また、底面57aの直径D2は、23.8mmであった。また、凸部58の直径D3は、20mmであった。また、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第2壁面56aの傾斜角度θ1は、12.6°であった。さらに、プラスチックボトル10の中心軸線CLに対する第1壁面55aの傾斜角度θ3は、31.5°であった。
次に、得られたプラスチックボトル10に、温度22℃の水を充填した。水は、口部20の上端から下方へ25mmの位置まで充填した。その後、口部20にキャップ(図示せず)を装着した。
次いで、水が充填された内容物入りプラスチックボトル10Aに対して、過酷試験を行った。この際、加温面を200℃に設定したホットプレート90(アズワン株式会社製、EC-1200N)の加温面91上に、内容物入りプラスチックボトル10Aを8本載置した。そして、10分毎にプラスチックボトル10を確認することにより、プラスチックボトル10に不良現象が発生していたか否かについて確認した。具体的には、底部50が変形することに起因するプラスチックボトル10の傾き又は接地不良が発生していたか否かについて確認した。また、底部50に、いわゆる白化が発生していたか否かについて確認した。なお、「白化」とは、熱によって結晶化することにより、白くなる現象をいう。
(実施例2)
図11A及び図11Bに示す、凸部58が環状に形成されているプラスチックボトル10を作製したこと、凸部58の幅W2が6mmであったこと、以外は、実施例1と同様にして、過酷試験を行った。
(実施例3)
凸部58の高さH3が2mmであったこと、以外は、実施例2と同様にして、過酷試験を行った。
(実施例4)
凸部58の幅W2が4mmであったこと、以外は、実施例2と同様にして、過酷試験を行った。
(実施例5)
第1壁面55aの高さH4が7.2mmであったこと、傾斜角度θ1が2.5°であったこと、傾斜角度θ3が50°であったこと、以外は、実施例2と同様にして、過酷試験を行った。
(実施例6)
第1壁面55aの高さH4が3.3mmであったこと、傾斜角度θ1が2.5°であったこと、傾斜角度θ3が70°であったこと、以外は、実施例2と同様にして、過酷試験を行った。
(実施例7)
図13に示す、第1壁面55aが湾曲面であるプラスチックボトル10を作製したこと、傾斜角度θ1が5°であったこと、第1壁面55aの曲率半径R1が12.4mmであったこと、以外は、実施例2と同様にして、過酷試験を行った。
(実施例8)
図15に示す、第2壁面56aに複数のリブ59が形成されたプラスチックボトル10を作製したこと、第1壁面55aの高さH4が3.3mmであったこと、傾斜角度θ1が2.5°であったこと、傾斜角度θ3が70°であったこと、以外は、実施例2と同様にして、過酷試験を行った。
(比較例1)
図19に示す、底部50の底面57aに凸部58が形成されていないプラスチックボトル10Bを作製したこと、以外は、実施例1と同様にして、過酷試験を行った。
(比較例2)
図20に示す、中央部53が第1壁面55aを含まないプラスチックボトル10Cを作製したこと、傾斜角度θ1が21.5°であったこと、以外は、実施例2と同様にして、過酷試験を行った。図20に示すプラスチックボトル10Cにおいて、中央部53は、環状傾斜部55を有していない。この場合、中央凹部54の下端は、接地部52の半径方向内端に連結されている。
以上の結果を表1乃至表3に示す。表3の「不良現象が発生した時間(分)」の欄において、「-」は、120分経過しても不良現象が発生しなかったことを意味する。また、表3の「判定」の欄において、「◎」は、110分以上経過しても不良現象が発生していなかったことを意味する。また、表3の「判定」の欄において、「○」は、最終的には不良現象が発生したが、80分間経過時点では不良現象が発生していなかったことを意味する。さらに、表3の「判定」の欄において、「×」は、80分時点又は80分を経過する前に不良現象が発生していたことを意味する。
Figure 0007336085000002
Figure 0007336085000003
Figure 0007336085000004
この結果、比較例1及び比較例2によるプラスチックボトル10B、10Cでは、80分経過する前に不良現象が発生していた。
これに対して、実施例1乃至実施例8によるプラスチックボトル10では、80分間は不良現象が発生しなかった。とりわけ、実施例1、実施例2、及び実施例5乃至実施例8によるプラスチックボトル10では、110分以上経過しても不良現象が発生していなかった。このように、本実施の形態によるプラスチックボトル10では、底部50の不良現象を抑制できることがわかった。
上記各実施の形態および各変形例に開示されている複数の構成要素を必要に応じて適宜組合せることも可能である。あるいは、上記各実施の形態および各変形例に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
10 プラスチックボトル
20 口部
30 胴部
50 底部
51 周縁部
52 接地部
52a 接地面
53 中央部
55a 第1壁面
56a 第2壁面
57a 底面
58 凸部
59 リブ
70 ブロー成形型
72 胴部型
73 胴部型
74 底部型
75 平坦面
76 第1側面
77 第2側面
78 天面
79 リブ
80 凹部
100 プリフォーム

Claims (15)

  1. 口部と、胴部と、底部とを備えた、加温用のプラスチックボトルであって、
    前記底部は、
    前記底部の周縁に位置する周縁部と、
    前記周縁部よりも径方向内方に位置する接地部と、
    前記接地部よりも径方向内方に位置する中央部とを有し、
    前記接地部は、環状の平坦な接地面を含み、
    前記中央部は、
    前記接地面に連結された第1壁面と、
    前記第1壁面に連結されるとともに、前記第1壁面に対して傾斜する第2壁面と、
    前記第2壁面に連結された底面とを含んでおり、
    前記底面に、下方へ突出する凸部が形成されており、
    前記凸部は、下面と、前記下面の周囲に位置するとともに、前記下面から上方に延びる第3壁面とを含み、
    垂直断面において、前記下面及び前記第3壁面は、直線状に延びており、
    前記底面のうち前記凸部以外の部分は、水平方向に広がる平坦面であり、
    前記第1壁面の高さは、前記凸部の高さよりも高い、プラスチックボトル。
  2. 前記凸部は、環状に形成されている、請求項1に記載のプラスチックボトル。
  3. 前記プラスチックボトルの中心軸線に対する前記第1壁面の傾斜角度は、30°以上75°以下である、請求項1に記載のプラスチックボトル。
  4. 前記プラスチックボトルの中心軸線に対する前記第2壁面の傾斜角度は、0.5°以上20°以下である、請求項1に記載のプラスチックボトル。
  5. 前記第1壁面は、湾曲面である、請求項1に記載のプラスチックボトル。
  6. 前記第1壁面の曲率半径は、8mm以上である、請求項1に記載のプラスチックボトル。
  7. 前記第2壁面に、上下方向に延びる複数のリブが形成されている、請求項1に記載のプラスチックボトル。
  8. 口部と、胴部と、底部とを備えた、加温用のプラスチックボトルをブロー成形するためのブロー成形型であって、
    前記プラスチックボトルの前記胴部に対応する胴部型と、
    前記プラスチックボトルの前記底部に対応する底部型とを備え、
    前記底部型は、
    第1側面と、
    前記第1側面よりも径方向内方に位置するとともに、前記第1側面に対して傾斜する第2側面と、
    前記第2側面に連結された天面とを含んでおり、
    前記プラスチックボトルの前記底部は、
    前記底部の周縁に位置する周縁部と、
    前記周縁部よりも径方向内方に位置する接地部と、
    前記接地部よりも径方向内方に位置する中央部とを有し、
    前記接地部は、環状の平坦な接地面を含み、
    前記中央部は、
    前記接地面に連結された第1壁面と、
    前記第1壁面に連結されるとともに、前記第1壁面に対して傾斜する第2壁面と、
    前記第2壁面に連結された底面とを含んでおり、
    前記底面に、下方へ突出する凸部が形成されており、
    前記凸部は、下面と、前記下面の周囲に位置するとともに、前記下面から上方に延びる第3壁面とを含み、
    垂直断面において、前記下面及び前記第3壁面は、直線状に延びており、
    前記底面のうち前記凸部以外の部分は、水平方向に広がる平坦面であり、
    前記天面に、下方へ窪み、前記凸部に対応する凹部が形成されており、
    前記第1壁面の高さは、前記凸部の高さよりも高い、ブロー成形型。
  9. 前記凹部は、環状に形成されている、請求項8に記載のブロー成形型。
  10. 前記プラスチックボトルの中心軸線に対する前記第1側面の傾斜角度は、30°以上75°以下である、請求項8に記載のブロー成形型。
  11. 前記プラスチックボトルの中心軸線に対する前記第2側面の傾斜角度は、0.5°以上20°以下である、請求項8に記載のブロー成形型。
  12. 前記第1側面は、湾曲面である、請求項8に記載のブロー成形型。
  13. 前記第1側面の曲率半径は、8mm以上である、請求項8に記載のブロー成形型。
  14. 前記第2側面に、上下方向に延びる複数のリブが形成されている、請求項8に記載のブロー成形型。
  15. プラスチックボトルの製造方法であって、
    プリフォームを準備する工程と、
    請求項8乃至14のいずれか一項に記載のブロー成形型を準備する工程と、
    前記プリフォームを前記ブロー成形型内でブロー成形する工程とを備える、プラスチックボトルの製造方法。
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