<包装材料>
本実施の形態による包装材料は、少なくとも、第1延伸プラスチックフィルムと、第2延伸プラスチックフィルムと、シーラント層とをこの順に備えるものである。包装材料は、更に、接着剤層、印刷層、金属蒸着層、透明蒸着層等のその他の層を備えてもよい。
本実施の形態による包装材料について、図面を参照しながら説明する。本実施の形態による包装材料の模式断面図の例を図1A~図3Bに示す。
図1Aに示した包装材料10は、第1延伸プラスチックフィルム11と、印刷層21と、第1接着剤層16と、第2延伸プラスチックフィルム12と、第2接着剤層17と、金属蒸着層22と、第3延伸プラスチックフィルム13と、第3接着剤層18と、シーラント層15とをこの順に備える。図1Aに示す包装材料10を備える包装袋においては、シーラント層15が包装袋の内面を構成する。図1Aに示す例において、金属蒸着層22は、第3延伸プラスチックフィルム13の面のうち外面側の面に設けられている。図示はしないが、金属蒸着層22は、第3延伸プラスチックフィルム13の面のうち内面側の面に設けられていてもよい。
図1Bに示すように、包装材料10は、第1延伸プラスチックフィルム11と、印刷層21と、第1接着剤層16と、第2延伸プラスチックフィルム12と、第2接着剤層17と、透明蒸着層23aと、第3延伸プラスチックフィルム13と、第3接着剤層18と、シーラント層15とを少なくともこの順に備えていてもよい。すなわち、包装材料10は、図1Aに示す金属蒸着層22の代わりに透明蒸着層23aを備えていてもよい。この場合、包装材料10は、図1Cに示すように、第3延伸プラスチックフィルム13に設けられている透明蒸着層23aの面上に設けられているガスバリア性塗布膜23bを更に備えていてもよい。図1B及び図1Cに示す例において、透明蒸着層23aは、第3延伸プラスチックフィルム13の面のうち外面側の面に設けられている。図示はしないが、透明蒸着層23aは、第3延伸プラスチックフィルム13の面のうち内面側の面に設けられていてもよい。
図2Aに示した包装材料10は、第1延伸プラスチックフィルム11と、印刷層21と、第1接着剤層16と、金属蒸着層22と、第2延伸プラスチックフィルム12と、第2接着剤層17と、第3延伸プラスチックフィルム13と、第3接着剤層18と、シーラント層15とをこの順に備える。図2Aに示す包装材料10を備える包装袋においては、シーラント層15が包装袋の内面を構成する。図2Aに示す例において、金属蒸着層22は、第2延伸プラスチックフィルム12の面のうち外面側の面に設けられている。図示はしないが、金属蒸着層22は、第2延伸プラスチックフィルム12の面のうち内面側の面に設けられていてもよい。
図2Bに示すように、包装材料10は、第1延伸プラスチックフィルム11と、印刷層21と、第1接着剤層16と、透明蒸着層23aと、第2延伸プラスチックフィルム12と、第2接着剤層17と、第3延伸プラスチックフィルム13と、第3接着剤層18と、シーラント層15とをこの順に備えていてもよい。すなわち、包装材料10は、図2Aに示す金属蒸着層22の代わりに透明蒸着層23aを備えていてもよい。この場合、包装材料10は、図2Cに示すように、第3延伸プラスチックフィルム13に設けられている透明蒸着層23aの面上に設けられているガスバリア性塗布膜23bを更に備えていてもよい。図2B及び図2Cに示す例において、透明蒸着層23aは、第2延伸プラスチックフィルム12の面のうち外面側の面に設けられている。図示はしないが、透明蒸着層23aは、第2延伸プラスチックフィルム12の面のうち内面側の面に設けられていてもよい。
図3Aに示した包装材料10は、第1延伸プラスチックフィルム11と、透明蒸着層23aと、印刷層21と、第1接着剤層16と、第2延伸プラスチックフィルム12と、第2接着剤層17と、第3延伸プラスチックフィルム13と、第3接着剤層18と、シーラント層15とをこの順に備える。図3Aに示す包装材料10を備える包装袋においては、シーラント層15が包装袋の内面を構成する。図3Aに示す例において、透明蒸着層23aは、第1延伸プラスチックフィルム11の面のうち内面側の面に設けられている。図示はしないが、透明蒸着層23aは、第1延伸プラスチックフィルム11の面のうち外面側の面に設けられていてもよい。
図3Bに示すように、包装材料10は、第1延伸プラスチックフィルム11に設けられている透明蒸着層23aの面上に設けられているガスバリア性塗布膜23bを更に備えていてもよい。
以下、包装材料10を構成するフィルム及び層について説明する。
[延伸プラスチックフィルム]
第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12及び第3延伸プラスチックフィルム13はいずれも、所定の方向において延伸されているプラスチックフィルムである。各延伸プラスチックフィルム11,12,13は、所定の一方向において延伸された一軸延伸フィルムであってもよく、所定の二方向において延伸された二軸延伸フィルムであってもよい。各延伸プラスチックフィルム11,12,13の延伸方向は特には限定されない。例えば、延伸プラスチックフィルム11,12,13は、包装材料10によって構成される包装袋の高さ方向において延伸されていてもよく、包装袋の幅方向において延伸されていてもよい。また、各延伸プラスチックフィルム11,12,13の延伸方向は、互いに同一であってもよく、異なっていてもよい。各延伸プラスチックフィルム11,12,13の延伸倍率は、例えば1.05倍以上である。
第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12又は第3延伸プラスチックフィルム13の少なくとも1つは、リサイクルPETを含むリサイクルフィルムであり、その他の少なくとも1つは、剛性を有する剛性フィルムである。
本実施の形態においては、上述のように、第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12又は第3延伸プラスチックフィルム13に金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられている。従って、第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12及び第3延伸プラスチックフィルム13のうち、金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられていない延伸プラスチックフィルムは2つである。金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられていない2つの延伸プラスチックフィルムのうちの一方がリサイクルフィルムであり、他方が剛性フィルムであってもよい。この場合、金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられている延伸プラスチックフィルムは、化石燃料由来のPETやバイオマスPETなどを含むヴァージンフィルムであってもよい。
また、第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12及び第3延伸プラスチックフィルム13のうちの2つが、リサイクルフィルム又は剛性フィルムであってもよい。この場合、リサイクルフィルム又は剛性フィルムのいずれかに金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられていてもよい。すなわち、金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられているリサイクルフィルム又は剛性フィルムが、第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12又は第3延伸プラスチックフィルム13であってもよい。
上述のリサイクルフィルム、剛性フィルム、ヴァージンフィルムなどによって構成される第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12及び第3延伸プラスチックフィルム13の組み合わせの例を表1に示す。例1~例12において、金属蒸着層22は、第2延伸プラスチックフィルム12の外面側の面に向けられていてもよく、第2延伸プラスチックフィルム12の内面側の面に設けられていてもよく、第3延伸プラスチックフィルム13の外面側の面に設けられていてもよく、第3延伸プラスチックフィルム13の内面側の面に設けられていてもよい。
表1の例1~例12において、透明蒸着層23aは、第1延伸プラスチックフィルム11の外面側の面に向けられていてもよく、第1延伸プラスチックフィルム11の内面側の面に設けられていてもよく、第2延伸プラスチックフィルム12の外面側の面に向けられていてもよく、第2延伸プラスチックフィルム12の内面側の面に設けられていてもよく、第3延伸プラスチックフィルム13の外面側の面に設けられていてもよく、第3延伸プラスチックフィルム13の内面側の面に設けられていてもよい。透明蒸着層23aの面上にはガスバリア性塗布膜23bが設けられていてもよい。
以下、リサイクルフィルム、剛性フィルム及びヴァージンフィルムについて説明する。
(リサイクルフィルム)
リサイクルフィルムは、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたポリエチレンテレフタレート(以下、ポリエチレンテレフタレートをPETとも記す)を含む。具体的には、リサイクルフィルムは、PETボトルをメカニカルリサイクルによりリサイクルしたPETを含み、このPETは、ジオール単位がエチレングリコールであり、ジカルボン酸単位がテレフタル酸およびイソフタル酸を含む。ここで、メカニカルリサイクルとは、一般に、回収されたPETボトル等のポリエチレンテレフタレート樹脂製品を粉砕、アルカリ洗浄してPET樹脂製品の表面の汚れ、異物を除去した後、高温・減圧下で一定時間乾燥してPET樹脂の内部に留まっている汚染物質を拡散させ除染を行い、PET樹脂からなる樹脂製品の汚れを取り除き、再びPET樹脂に戻す方法である。以下、本明細書においては、PETボトルをリサイクルしたポリエチレンテレフタレートを「リサイクルポリエチレンテレフタレート(以下、リサイクルPETとも記す)」といい、リサイクルされていないポリエチレンテレフタレートを「ヴァージンポリエチレンテレフタレート(以下、ヴァージンPETとも記す)」というものとする。
リサイクルフィルムに含まれるPETのうち、イソフタル酸の含有量は、PETを構成する全ジカルボン酸単位に対して、0.5モル%以上5モル%以下であることが好ましく、1.0モル%以上2.5モル%以下であることがより好ましい。イソフタル酸の含有量が0.5モル%未満であると柔軟性が向上しない場合があり、一方、5モル%を超えるとPETの融点が下がり耐熱性が不十分となる場合がある。なお、PETは、通常の化石燃料由来のPETの他、バイオマスPETであっても良い。「バイオマスPET」とは、ジオール単位としてバイオマス由来のエチレングリコールを含み、ジカルボン酸単位として化石燃料由来のジカルボン酸を含むものである。このバイオマスPETは、バイオマス由来のエチレングリコールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするPETのみで形成されていてもよいし、バイオマス由来のエチレングリコールおよび化石燃料由来のジオールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするPETで形成されていてもよい。
PETボトルに用いられるPETは、上記したジオール単位とジカルボン酸単位とを重縮合させる従来公知の方法により得ることができる。具体的には、上記のジオール単位とジカルボン酸単位とのエステル化反応および/またはエステル交換反応を行った後、減圧下での重縮合反応を行うといった溶融重合の一般的な方法、または有機溶媒を用いた公知の溶液加熱脱水縮合方法などによって製造することができる。
上記PETを製造する際に用いるジオール単位の使用量は、ジカルボン酸またはその誘導体100モルに対し、実質的に等モルであるが、一般には、エステル化および/またはエステル交換反応および/または縮重合反応中の留出があることから、0.1モル%以上20モル%以下過剰に用いられる。
また、重縮合反応は、重合触媒の存在下で行うことが好ましい。重合触媒の添加時期は、重縮合反応以前であれば特に限定されず、原料仕込み時に添加しておいてもよく、減圧開始時に添加してもよい。
PETボトルをリサイクルしたPETは、上記のようにして重合して固化させた後、さらに重合度を高めたり、環状三量体などのオリゴマーを除去したりするため、必要に応じて固相重合を行ってもよい。具体的には、固相重合は、PETをチップ化して乾燥させた後、100℃以上180℃以下の温度で1時間から8時間程度加熱してPETを予備結晶化させ、続いて、190℃以上230℃以下の温度で、不活性ガス雰囲気下または減圧下において1時間~数十時間加熱することにより行われる。
リサイクルフィルムに含まれるPETの極限粘度は、0.58dl/g以上0.80dl/g以下であることが好ましい。極限粘度が0.58dl/g未満の場合は、基材としてPETフィルムに要求される機械特性が不足する可能性がある。他方、極限粘度が0.80dl/gを超えると、フィルム製膜工程における生産性が損なわれる場合がある。なお、極限粘度は、オルトクロロフェノール溶液で、35℃において測定される。
リサイクルフィルムは、リサイクルPETを50重量%以上95重量%以下の割合で含むことが好ましく、リサイクルPETの他、ヴァージンPETを含んでいてもよい。リサイクルフィルムにおけるPETの含有率は、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。ヴァージンPETとしては、上記したようなジオール単位がエチレングリコールであり、ジカルボン酸単位がテレフタル酸およびイソフタル酸を含むPETであってもよく、また、ジカルボン酸単位がイソフタル酸を含まないPETであってもよい。また、リサイクルフィルムは、PET以外のポリエステルを含んでいてもよい。例えば、ジカルボン酸単位として、テレフタル酸およびイソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸以外にも、脂肪族ジカルボン酸等が含まれていてもよい。
脂肪族ジカルボン酸としては、具体的には、シュウ酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸ならびにシクロヘキサンジカルボン酸などの、通常炭素数が2以上40以下の鎖状または脂環式ジカルボン酸が挙げられる。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、上記脂肪族ジカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステルおよびブチルエステルなどの低級アルキルエステル、無水コハク酸などの上記脂肪族ジカルボン酸の環状酸無水物が挙げられる。これらの中でも、脂肪族ジカルボン酸としては、アジピン酸、コハク酸、ダイマー酸またはこれらの混合物が好ましく、コハク酸を主成分とするものが特に好ましい。脂肪族ジカルボン酸の誘導体としては、アジピン酸およびコハク酸のメチルエステル、またはこれらの混合物がより好ましい。
このようなPETから構成されるリサイクルフィルムは、単層であってもよく、多層であってもよい。図4は、リサイクルフィルム30の一例を示す断面図である。図4に示すリサイクルフィルム30は、第1層31、第2層32、および第3層33の3層を備える。第3層33が、包装材料10のシーラント層15側に位置する。図4に示す例においては、第2層32をリサイクルPETのみから構成される層またはリサイクルPETとヴァージンPETとの混合層とし、第1層31および第3層33を、ヴァージンPETのみから構成される層とすることが好ましい。このように、第1層31および第3層33にヴァージンPETのみを用いることにより、リサイクルPETがリサイクルフィルム30の表面または裏面から表出することを防止することができる。このため、包装材料10の衛生性を確保することができる。また、リサイクルフィルム30は、図4に示す第1層31を備えることなく、第2層32および第3層33の2層を備えていてもよい。さらに、リサイクルフィルム30は、図4に示す第3層33を備えることなく、第1層31および第2層32の2層を備えていてもよい。これらの場合においても、第2層32をリサイクルPETのみから構成される層またはリサイクルPETとヴァージンPETとの混合層とし、第1層31および第3層33は、ヴァージンPETのみから構成される層とすることが好ましい。
リサイクルPETとヴァージンPETとを混合して一つの層を成形する場合には、別々に成形機に供給する方法、ドライブレンド等で混合した後に供給する方法などがある。中でも、操作が簡便であるという観点から、ドライブレンドで混合する方法が好ましい。
リサイクルフィルムを構成するPETは、その製造工程において、またはその製造後に、その特性が損なわれない範囲において各種の添加剤を添加することができる。添加剤として、例えば、可塑剤、紫外線安定化剤、着色防止剤、艶消し剤、消臭剤、難燃剤、耐候剤、帯電防止剤、糸摩擦低減剤、離型剤、抗酸化剤、イオン交換剤、着色顔料などが挙げられる。添加剤は、PETを含む樹脂組成物全体に対して、5質量%以上50質量%以下、好ましくは5質量%以上20質量%以下の範囲で添加されることが好ましい。
リサイクルフィルムは、上記したPETを用いて、例えば、Tダイ法によってフィルム化することにより形成することができる。具体的には、上記したPETを乾燥させた後、PETの融点以上の温度(Tm)~Tm+70℃の温度に加熱された溶融押出機に供給して、樹脂組成物を溶融し、例えばTダイなどのダイよりシート状に押出し、押出されたシート状物を回転している冷却ドラムなどで急冷固化することによりフィルムを成形することができる。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
上記のようにして得られたフィルムは2軸延伸されていることが好ましい。2軸延伸は従来公知の方法で行うことができる。例えば、上記のようにして冷却ドラム上に押し出されたフィルムを、続いて、ロール加熱、赤外線加熱などで加熱し、縦方向に延伸して縦延伸フィルムとする。この延伸は2個以上のロールの周速差を利用して行うのが好ましい。縦延伸は、通常、50℃以上100℃以下の温度範囲で行われる。また、縦延伸の倍率は、フィルム用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上4.2倍以下とするのが好ましい。延伸倍率が2.5倍未満の場合は、PETフィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムを得ることが難しい。
縦延伸されたフィルムは、続いて横延伸、熱固定、熱弛緩の各処理工程を順次施して2軸延伸フィルムとなる。横延伸は、通常、50℃以上100℃以下の温度範囲で行われる。横延伸の倍率は、この用途の要求特性にもよるが、2.5倍以上5.0倍以下が好ましい。2.5倍未満の場合はフィルムの厚み斑が大きくなり良好なフィルムが得られにくく、5.0倍を超える場合は製膜中に破断が発生しやすくなる。
横延伸のあと、続いて熱固定処理を行うが、好ましい熱固定の温度範囲は、PETのTg+70~Tm-10℃である。また、熱固定時間は1秒以上60秒以下が好ましい。さらに熱収縮率の低滅が必要な用途については、必要に応じて熱弛緩処理を行ってもよい。
上記のようにして得られるリサイクルフィルムの厚さは、その用途に応じて任意であるが、通常、5μm以上100μm以下程度であり、好ましくは5μm以上25μm以下である。また、リサイクルフィルムの破断強度は、MD方向で5kg/mm2以上40kg/mm2以下、TD方向で5kg/mm2以上35kg/mm2以下であり、また、破断伸度は、MD方向で50%以上350%以下、TD方向で50%以上300%以下である。また、150℃の温度環境下に30分放置した時の収縮率は、0.1%以上5%以下である。
なお、ヴァージンPETは、化石燃料ポリエチレンテレフタレート(以下化石燃料PETとも記す)であってもよく、バイオマスPETであってもよい。ここで、「化石燃料PET」とは、化石燃料由来のジオールをジオール単位とし、化石燃料由来のジカルボン酸をジカルボン酸単位とするものである。また、リサイクルPETは、化石燃料PETを用いて形成されたPET樹脂製品をリサイクルして得られるものであってもよく、バイオマスPETを用いて形成されたPET樹脂製品をリサイクルして得られるものであってもよい。
(剛性フィルム)
剛性フィルムは、耐突き刺し性などの強さを包装材料10に付与するためのフィルムである。剛性フィルムとしては、下記の(1)~(3)の延伸プラスチックフィルムのいずれかを用いることができる。
(1)ポリアミドを主成分として含む延伸プラスチックフィルム(以下、ポリアミドフィルムとも称する)
(2)ポリブチレンテレフタレート(以下、PBTとも称する)を主成分として含む延伸プラスチックフィルム(以下、PBTフィルムとも称する)
(3)少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有し、且つポリエステルを主成分として含む延伸プラスチックフィルム(以下、高スティフネスフィルムとも称する)
(1)~(3)の延伸プラスチックフィルムのいずれかを用いて剛性フィルムを構成することにより、剛性フィルムの突き刺し強度を高くすることができ、例えば10N以上にすることができる。これにより、剛性フィルムを含む包装材料10によって構成された袋に、先端が尖った鋭利な部材が接触した場合にも、袋が破けてしまうことを抑制するための剛性を持たせることができる。
以下、(1)~(3)の延伸プラスチックフィルムについてそれぞれ説明する。まず、ポリアミドフィルムについて説明する。ポリアミドフィルムは、51質量%以上のポリアミドを含む。ポリアミドフィルムにおけるポリアミドの含有率は、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。ポリアミド系の例としては、脂肪族ポリアミドまたは芳香族ポリアミドが挙げられる。脂肪族ポリアミドとてしてはナイロン-6、ナイロン-6,6、ナイロン6とナイロン6,6との共重合体などのナイロンが挙げられ、芳香族ポリアミドとしては、ポリメタキシレンアジパミド(MXD6)などが挙げられる。
ポリアミドフィルムの厚みは、好ましくは12μm以上であり、より好ましくは15μm以上である。また、ポリアミドフィルムの厚みは、好ましくは30μm以下であり、より好ましくは25μm以下である。
ポリアミドフィルムは、単一の層によって構成されていてもよく、複数の層によって構成されていてもよい。ポリアミドフィルムが複数の層を含む場合、ポリアミドフィルムは、例えば、共押し出しによって作製された共押しフィルムである。共押し出しによって作製されたポリアミドフィルムは、例えば、順に積層された、PETなどのポリエステルからなる第1層、ナイロンなどのポリアミドからなる第2層、およびPETなどのポリエステルからなる第3層を含む。なお、ナイロンなどのポリアミドからなる第2層の質量が、ポリアミドフィルム全体の質量の51%以上である場合、共押し出しによって作製されたポリアミドフィルムの主成分はポリアミドであると言える。
次に、PBTフィルムについて説明する。PBTフィルムは、51質量%以上のPBTを含む。PBTフィルムにおけるPBTの含有率は、60質量%以上であってもよく、70質量%以上であってもよく、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。PBTフィルムの構成としては、下記の第1の構成又は第2の構成のいずれを採用してもよい。
第1の構成のPBTフィルムは、例えば国際公開第2015/178390号パンフレットに開示されているように、キャスト時に同一の組成の樹脂を多層化してキャストすることによって作製される。この場合、PBTフィルムは、少なくとも10層以上、好ましくは60層以上、より好ましくは250層以上、更に好ましくは1000層以上の層を含む多層構造部からなる。複数の層はそれぞれ、好ましくは51質量%以上のPBTを含み、より好ましくは60質量%以上のPBTを含む。なお、複数の層においては、n番目の層の上にn+1番目の層が直接積層されている。すなわち、複数の層の間には、接着剤層や接着層が介在されていない。各層の厚みは、好ましくは3nm以上であり、より好ましくは10nm以上である。また、各層の厚みは、好ましくは200nm以下であり、より好ましくは100nm以下であり、更に好ましくは75nm以下である。
PBTフィルム全体の厚みは、好ましくは9μm以上であり、より好ましくは12μm以上である。また、第1の構成のPBTフィルム全体の厚みは、好ましくは25μm以下であり、より好ましくは20μm以下である。PBTフィルムの厚みを9μm以上にすることにより、PBTフィルムが十分な強度を有するようになる。また、PBTフィルムの厚みを25μm以下にすることにより、PBTフィルムが優れた成形性を示すようになる。このため、PBTフィルムを含む包装材料10を加工して包装袋を製造する工程を効率的に実施することができる。
上述のようにPBTフィルムが複数の層を含む多層構造部からなる場合、複数の層の一部は、PBT以外のポリエステル樹脂を主成分として含んでいてもよい。例えば、第1の構成のPBTフィルムは、PBTを主成分として含む複数の層と、2つのPBTの層の間に位置する、例えばPETを主成分として含む層とによって構成されていてもよい。すなわち、PBTを主成分として含む層と、例えばPETを主成分として含む層とを交互に積層することによって第1の構成のPBTフィルムが構成されていてもよい。
好ましくは、少なくとも1つの方向において、第1の構成のPBTフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)におけるPBTフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上である。
引張強度及び引張伸度は、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA-1150を用いることができる。試験片としては、PBTフィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。なお、試験片の長さは、一対のチャックによって試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。本願において、特に断らない限り、試験の際の環境温度は25℃であり、相対湿度は50%である。
第2の構成のPBTフィルムは、例えば特開2014-133332号公報に開示されているように、ブチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを含む単層フィルムからなる。例えば、PBTフィルムは、グリコール成分としての1,4-ブタンジオール、又はそのエステル形成性誘導体と、二塩基酸成分としてのテレフタル酸、又はそのエステル形成性誘導体を主成分とし、それらを縮合して得られるホモ、またはコポリマータイプのポリエステルを含む。第2の構成に係るPBTフィルムにおけるPBTの含有率は、51質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上がさらに好ましく、さらには80質量%以上が好ましく、最も好ましくは90質量%以上である。また、第2の構成に係るPBTフィルムは、ポリブチレンテレフタレートと添加剤のみで構成されていることが好ましい。
第2の構成のPBTフィルムに機械的強度を付与するためには、PBTのうち、融点が200℃以上且つ250℃以下、IV値が1.10dl/g以上且つ1.35dl/g以下のものが好ましい。さらには、融点が215℃以上且つ225℃以下、IV値が1.15dl/g以上且つ1.30dl/g以下のものが特に好ましい。これらのIV値は、PBTフィルムを構成する材料全体によって満たされていてもよい。IV値は、JIS K 7367-5:2000に基づいて算出され得る。
第2の構成に係るPBTフィルムは、PETなどPBT以外のポリエステル樹脂を30質量%以下の範囲で含んでいてもよい。PBTフィルムがPBTに加えてPETを含むことにより、PBT結晶化を抑制することができ、PBTフィルムの延伸加工性を向上させることができる。PBTフィルムのPBTに配合するPETとしては、エチレンテレフタレートを主たる繰返し単位とするポリエステルを用いることができる。例えば、グリコール成分としてのエチレングリコール、二塩基酸成分としてのテレフタル酸を主成分としたホモタイプを好ましく用いることができる。良好な機械的強度特性を付与するためには、PETのうち、融点が240℃以上且つ265℃以下、IV値が0.55dl/g以上且つ0.90dl/g以下のものが好ましい。さらには、融点が245℃以上且つ260℃以下、IV値が0.60dl/g以上且つ0.80dl/g以下のものが特に好ましい。
次に、高スティフネスフィルムについて説明する。高スティフネスフィルムは、ポリエステルを主成分として含み、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有する。高スティフネスフィルムは、例えば流れ方向(MD)又は垂直方向(TD)の少なくとも一方において0.0017N以上のループスティフネスを有する。高スティフネスフィルムは、例えば流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)の両方において0.0017N以上のループスティフネスを有していてもよい。
ループスティフネスとは、フィルムのこしの強さを表すパラメータである。以下、図5~図10を参照して、ループスティフネスの測定方法を説明する。なお、以下に説明する測定方法は、延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムだけでなく、蒸着フィルム、積層フィルムなどの、複数の層を含むフィルムに関しても使用可能である。蒸着フィルムとは、延伸プラスチックフィルムなどの単層のフィルムと、単層のフィルム上に形成されている蒸着層と、を含むフィルムである。積層フィルムとは、包装材料10のような、積層された複数のフィルムを含むフィルムである。
図5は、試験片60及びループスティフネス測定器65を示す平面図であり、図6は、図5の試験片60及びループスティフネス測定器65の線V-Vに沿った断面図である。試験片60は、長辺及び短辺を有する矩形状のフィルムである。本願においては、試験片60の長辺の長さL1を150mmとし、短辺の長さL2を15mmとした。ループスティフネス測定器65としては、例えば、東洋精機社製のNo.581ループステフネステスタ(登録商標)LOOP STIFFNESS TESTER DA型を用いることができる。なお、試験片60の長辺の長さL1は、後述する一対のチャック部66によって試験片60を把持することができる限りにおいて、調整可能である。
ループスティフネス測定器65は、試験片60の長辺方向の一対の端部を把持するための一対のチャック部66と、チャック部66を支持する支持部材67と、を有する。チャック部66は、第1チャック661及び第2チャック662を含む。図5及び図6に示す状態において、試験片60は、一対の第1チャック661の上に配置されており、第2チャック662は、第1チャック661との間で試験片60を未だ把持していない。後述するように、測定時、試験片60は、チャック部66の第1チャック661と第2チャック662との間に把持される。第2チャック662は、ヒンジ機構を介して第1チャック661に連結されていてもよい。
延伸プラスチックフィルム、蒸着フィルム、積層フィルムなどの測定対象のフィルムを、フィルムが包装製品に加工される前の状態で入手可能な場合、試験片60は、測定対象のフィルムを切断することによって作製されてもよい。また、試験片60は、包装袋などの、包装材料10から作製された包装製品を切断し、測定対象のフィルムを取り出すことによって作製されてもよい。例えば後述する図11及び図13において符号60A又は60Bが付された点線で示すように、包装袋70の表面フィルム74又は裏面フィルム75を切断することによって試験片を準備してもよい。流れ方向における包装材料10のループスティフネスを測定する場合、図11及び図13において符号60Aで示すように、試験片の長辺方向が流れ方向に一致するよう、包装袋70の表面フィルム74又は裏面フィルム75を切断して試験片を作製する。垂直方向における包装材料10のループスティフネスを測定する場合、図11及び図13において符号60Bで示すように、試験片の長辺方向が垂直方向に一致するよう、包装袋70の表面フィルム74又は裏面フィルム75を切断して試験片を作製する。
ループスティフネス測定器65を用いて試験片60のループスティフネスを測定する方法について説明する。まず、図5及び図6に示すように、間隔L3を空けて配置されている一対のチャック部66の第1チャック661上に試験片60を載置する。本願においては、後述するループ部61の長さ(以下、ループ長とも称する)が60mmになるよう、間隔L3を設定した。試験片60は、第1チャック661側に位置する内面60xと、内面60xの反対側に位置する外面60yと、を含む。試験片60が包装材料10からなる場合、試験片60の内面60x及び外面60yは、包装材料10の内面及び外面に一致する。後述するループ部61を試験片60に形成する際、内面60xがループ部61の内側に位置し、外面60yがループ部61の外側に位置する。続いて、図7に示すように、第1チャック661との間で試験片60の長辺方向の端部を把持するよう、第2チャック662を試験片60の上に配置する。
続いて、図8に示すように、一対のチャック部66の間の間隔が縮まる方向において、一対のチャック部66の少なくとも一方を支持部材67上でスライドさせる。これにより、試験片60にループ部61を形成することができる。図8に示す試験片60は、ループ部61と、一対の中間部62及び一対の固定部63とを有する。一対の固定部63は、試験片60のうち一対のチャック部66によって把持されている部分である。一対の中間部62は、試験片60のうちループ部61と一対の中間部62との間に位置している部分である。図8に示すように、チャック部66は、一対の中間部62の内面60x同士が接触するまで支持部材67上でスライドされる。これにより、60mmのループ長を有するループ部61を形成することができる。ループ部61のループ長は、一方の第2チャック662のループ部61側の面と試験片60とが交わる位置P1と、他方の第2チャック662のループ部61側の面と試験片60とが交わる位置P2との間における、試験片60の長さである。上述の間隔L3は、試験片60の厚みを無視する場合、ループ部61の長さに2×tを加えた値になる。tは、チャック部66の第2チャック662の厚みである。
その後、図9に示すように、チャック部66に対するループ部61の突出方向Yが水平方向になるよう、チャック部66の姿勢を調整する。例えば、支持部材67の法線方向が水平方向を向くように支持部材67を動かすことにより、支持部材67によって支持されているチャック部66の姿勢を調整する。図9に示す例において、ループ部61の突出方向Yは、チャック部の厚み方向に一致している。また、ループ部61の突出方向Yにおいて第2チャック662から距離Z1だけ離れた位置にロードセル68を準備する。本願においては、距離Z1を50mmとした。続いて、ロードセル68を、試験片60のループ部61に向けて、図9に示す距離Z2だけ速度Vで移動させる。距離Z2は、図9及び図10に示すように、ロードセル68がループ部61に接触し、その後、ロードセル68がループ部61をチャック部66側に押し込むよう、設定される。本願においては、距離Z2を40mmとした。この場合、ロードセル68がループ部61をチャック部66側に押し込んでいる状態におけるロードセル68とチャック部66の第2チャック662との間の距離Z3は、10mmになる。ロードセル68を移動させる速度Vは、3.3mm/秒とした。
続いて、図10に示す、ロードセル68をチャック部66側に距離Z2だけ移動させ、ロードセル68が試験片60のループ部61を押し込んでいる状態において、ループ部61からロードセル68に加えられている荷重の値が安定した後、荷重の値を記録する。このようにして得られた荷重の値を、試験片60を構成するフィルムのループスティフネスとして採用する。本願において、特に断らない限り、ループスティフネスの測定時の環境は、温度23℃、相対湿度50%である。
少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有する高スティフネスフィルムを延伸プラスチックフィルムとして用いることにより、延伸プラスチックフィルムの突き刺し強度を高めることができる。これにより、高スティフネスフィルムを備える包装材料10において、包装材料10の突き刺し強度を例えば13N以上にすることができ、より好ましくは14N以上にすることができ、さらに好ましくは15N以上又は16N以上にすることができる。
高スティフネスフィルムの例としては、51質量%以上のPETを含む高スティフネスPETフィルムを挙げることができる。高スティフネスPETフィルムにおけるPETの含有率は、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。高スティフネスフィルムの厚みは、好ましくは5μm以上であり、より好ましくは7μm以上である。高スティフネスフィルムの厚みは、10μm以上であってもよく、14μm以上であってもよい。また、高スティフネスフィルムの厚みは、好ましくは30μm以下であり、25μm以下であってもよく、20μm以下であってもよい。
高スティフネスフィルムの好ましい機械特性について更に説明する。
高スティフネスフィルムの突き刺し強度は、好ましくは10N以上であり、より好ましくは11N以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。例えば、流れ方向における高スティフネスフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。垂直方向における高スティフネスフィルムの引張強度は、好ましくは250MPa以上であり、より好ましくは280MPa以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスフィルムの引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。例えば、流れ方向における高スティフネスフィルムの引張伸度は、好ましくは130%以下であり、より好ましくは120%以下である。垂直方向における高スティフネスフィルムの引張伸度は、好ましくは120%以下であり、より好ましくは110%以下である。
好ましくは、少なくとも1つの方向において、高スティフネスフィルムの引張強度を引張伸度で割った値が2.0〔MPa/%〕以上である。例えば、垂直方向(TD)における高スティフネスフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは2.0〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.2〔MPa/%〕以上である。流れ方向(MD)における高スティフネスフィルムの引張強度を引張伸度で割った値は、好ましくは1.8〔MPa/%〕以上であり、より好ましくは2.0〔MPa/%〕以上である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。例えば、流れ方向における高スティフネスフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。垂直方向における高スティフネスフィルムの熱収縮率は、0.7%以下であることが好ましく、0.5%以下であることがより好ましい。熱収縮率を測定する際の加熱温度は100℃であり、加熱時間は40分である。
少なくとも1つの方向における高スティフネスフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5GPa以上である。例えば、流れ方向における高スティフネスフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5GPa以上である。垂直方向における高スティフネスフィルムのヤング率は、好ましくは4.0GPa以上であり、より好ましくは4.5GPa以上である。
ヤング率は、引張強度及び引張伸度と同様に、JIS K7127に準拠して測定され得る。測定器としては、オリエンテック社製の引張試験機 STA-1150を用いることができる。試験片としては、高スティフネスフィルムを幅15mm、長さ150mmの矩形状のフィルムに切り出したものを用いることができる。試験片を保持する一対のチャックの間の、測定開始時の間隔は100mmであり、引張速度は300mm/分である。なお、試験片の長さは、一対のチャックによって試験片を把持することができる限りにおいて、調整可能である。本願において、特に断らない限り、ヤング率の測定時の環境は、温度25℃、相対湿度50%である。
高スティフネスフィルムを備える包装材料10において、高スティフネスフィルムには、上述のように金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられていてもよい。この場合、金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられている高スティフネスフィルムは、単体の高スティフネスフィルムと同等の機械特性を有していてもよい。例えば、金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられている高スティフネスフィルムは、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有していてもよい。
上述のように、透明蒸着層23a上にはガスバリア性塗布膜23bが設けられていてもよい。この場合、透明蒸着層23a及びガスバリア性塗布膜23bが設けられている高スティフネスフィルムは、単体の高スティフネスフィルムと同等の機械特性を有していてもよい。例えば、透明蒸着層23a及びガスバリア性塗布膜23bが設けられている高スティフネスフィルムは、少なくとも1つの方向において0.0017N以上のループスティフネスを有していてもよい。
高スティフネスフィルムの製造工程においては、例えば、まず、ポリエステルを溶融及び成形することによって得られたプラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ90℃~145℃で3倍~4.5倍に延伸する第1延伸工程を実施する。続いて、プラスチックフィルムを、流れ方向及び垂直方向において、それぞれ100℃~145℃で1.1倍~3.0倍に延伸する第2延伸工程を実施する。その後、190℃~220℃の温度で熱固定を行う。続いて、流れ方向及び垂直方向において、100℃~190℃の温度で0.2%~2.5%程度の弛緩処理(フィルム幅を縮める処理)を実施する。これらの工程において、延伸倍率、延伸温度、熱固定温度、弛緩処理率を調整することにより、上述の機械特性を備える高スティフネスフィルムを得ることができる。
(ヴァージンフィルム)
ヴァージンフィルムは、リサイクルされていない樹脂によって製造されたフィルムである。ヴァージンフィルムは、例えば、化石燃料由来のPETやバイオマスPETを含む。ヴァージンフィルムが化石燃料PETやバイオマスPETなどのPETを主成分として含む場合、ヴァージンフィルムにおけるPETの含有率は、80質量%以上であってもよく、90質量%以上であってもよく、95質量%以上であってもよい。また、ヴァージンフィルムの突き刺し強度は、上述の剛性フィルムの突き刺し強度よりも低く、例えば10N未満である。また、ヴァージンフィルムのループスティフネスは、上述の高スティフネスフィルムのループスティフネスよりも低く、例えば流れ方向(MD)及び垂直方向(TD)において0.0017N未満である。ヴァージンフィルムの厚みは、その用途に応じて任意であるが、通常、5μm以上100μm以下程度であり、好ましくは5μm以上25μm以下である。
[金属蒸着層]
次に、第2延伸プラスチックフィルム12又は第3延伸プラスチックフィルム13に設けられる金属蒸着層22について説明する。金属蒸着層22は、従来公知の蒸着方法により形成することができる金属蒸着膜からなる層である。金属蒸着層22を備えることで、包装袋に金属光沢を付与することができるため、意匠性を向上させることができる。また、可視光および紫外線等の透過を阻止する遮光性を、付与ないし向上させることができる。また、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性にも寄与し得る。
金属蒸着層22を構成する材料としては、例えば、アルミニウム(Al)、マグネシウム(Mg)、スズ(Sn)、ナトリウム(Na)、チタン(Ti)、鉛(Pb)、ジルコニウム(Zr)、イットリウム(Y)、金(Au)、クロム(Cr)からなる群から選択される1種または2種以上の金属材料を使用することができる。特に、包装袋用としては、金属蒸着層22がアルミニウムの蒸着層を備えることが好ましい。
なお、金属蒸着層22は、単一の層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。単一の層及び複数の層の各層は、上述の群から選択される1種または2種以上の金属材料を含んでいる。金属蒸着層22が複数の層を含む場合、各層は、それぞれが、同一の金属材料を含んでいてもよく、異なる金属材料を含んでいてもよい。
金属蒸着層22の厚みは、使用する金属の種類等によって異なるが、例えば、50Å以上2000Å以下、好ましくは、100Å以上1000Å以下の範囲内で任意に選択される。更に具体的に説明すると、アルミニウムの蒸着層の場合には、厚みが300Å以上1000Å以下、更に、好ましくは、350Å以上900Å以下が望ましい。
[透明蒸着層]
次に、第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12又は第3延伸プラスチックフィルム13に設けられる透明蒸着層23aについて説明する。透明蒸着層23aは、従来公知の蒸着方法により形成することができる透明な蒸着膜からなる層である。透明蒸着層23aは、酸素ガスおよび水蒸気等の透過を阻止するガスバリア性に寄与し得る。
透明蒸着層23aを構成する材料としては、例えば、アルミニウム酸化物(酸化アルミニウム)などの透明性を有する金属酸化物や、酸化珪素などの透明性を有する無機化合物からなる群から選択される1種または2種以上の材料を使用することができる。
透明蒸着層23aは、単一の層で構成されていてもよく、複数の層で構成されていてもよい。単一の層及び複数の層の各層は、上述の群から選択される1種または2種以上の材料を含んでいる。透明蒸着層23aが複数の層を含む場合、各層は、それぞれが、同一の材料を含んでいてもよく、異なる材料を含んでいてもよい。
透明蒸着層23aは、酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜であってもよい。具体的には、透明蒸着層23aは、式AlOX(式中、Xは、0.5~1.5の範囲の数を表す。)で表される酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜であってもよい。透明蒸着層23aとして、膜表面から内面に向かう深さ方向に向かってXの値が減少している酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜を使用することもできる。酸化アルミニウムの非結晶性の薄膜は、式AlOX(式中、Xは、0.5~1.5の範囲の数を表す。)で表され、その薄膜表面から内面に向かう深さ方向に向かってXの値が増加していることが好ましい。なお、上記の式中のXの値としては、基本的には、X=0.5以上のものを使用することができるが、X=1.0未満になると、着色が激しく、かつ、透明性に劣ることから、X=1.0以上のものを使用することが好ましい。また、X=1.5のものは、Alと酸素とが完全に酸化した状態のものであることから、上限としては、X=1.5までのものを使用することができる。なお、上記の式中のXの値が0の場合、完全な無機単体(純物質)であり、透明ではない。
なお、Xの値の減少割合は、例えば、X線光電子分光装置(Xray Photoelectron Spectroscopy:XPS)、二次イオン質量分析装置(Secondary Ion Mass Spectroscopy:SIMS)などの表面分析装置を用い、深さ方向にイオンエッチングするなどして分析する方法を利用して、透明蒸着層の元素分析を行うことより確認することができる。
透明蒸着層の厚さは、好ましくは3nm以上且つ50nm以下であり、好ましくは8nm以上且つ30nm以下である。
金属蒸着層22及び透明蒸着層23aの形成方法としては、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、およびイオンプレ-ティング法等の物理気相成長法(Physical Vapor Deposition法、PVD法)、あるいは、プラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、および光化学気相成長法等の化学気相成長法(Chemical Vapor Deposition法、CVD法)等を挙げることができる。
第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12又は第3延伸プラスチックフィルム13のうち金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられる面には、第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12又は第3延伸プラスチックフィルム13に対する金属蒸着層22又は透明蒸着層23aの密着性を高めるための処理が施されていたり、密着性を高めるための層が形成されたりしていてもよい。例えば、プラズマを用いたプラズマ処理が第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12又は第3延伸プラスチックフィルム13の面に施されていてもよい。
[ガスバリア性塗布膜]
次に、透明蒸着層23aの面上に設けられるガスバリア性塗布膜23bについて説明する。
ガスバリア性塗布膜23bは、一般式R1
nM(OR2)m(ただし、式中、R1、R2は、炭素数1~8の有機基を表し、Mは、金属原子を表し、nは、0以上の整数を表し、mは、1以上の整数を表し、n+mは、Mの原子価を表す。)で表される少なくとも一種以上のアルコキシドと、上記のようなポリビニルアルコ-ル系樹脂および/またはエチレン・ビニルアルコ-ル共重合体とを含有し、さらに、ゾルゲル法触媒、酸、水、および、有機溶剤の存在下に、ゾルゲル法によって重縮合する透明ガスバリア性組成物により得られる。なお、ガスバリア性塗布膜23bは透明であることが好ましい。
上記の一般式R1
nM(OR2)mで表されるアルコキシドとしては、アルコキシドの部分加水分解物、アルコキシドの加水分解の縮合物の少なくとも一種以上を使用することができる。また、上記のアルコキシドの部分加水分解物としては、アルコキシ基のすべてが加水分解されている必要はなく、1個以上が加水分解されているもの、および、その混合物であってもよい。アルコキシドの加水分解の縮合物としては、部分加水分解アルコキシドの2量体以上のもの、具体的には、2~6量体のものを使用される。
上記の一般式R1
nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、Mで表される金属原子としては、ケイ素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、その他などを使用することができる。好ましい金属としては、例えば、ケイ素、チタンなどを挙げることができる。また、本実施の形態において、アルコキシドの用い方としては、単独または二種以上の異なる金属原子のアルコキシドを同一溶液中に混合して使うこともできる。
また、上記の一般式R1
nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、R1で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、i-ブチル基、sec-ブチル基、t-ブチル基、n-ヘキシル基、n-オクチル基、その他などのアルキル基を挙げることができる。また、上記の一般式R1
nM(OR2)mで表されるアルコキシドにおいて、R2で表される有機基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、i-プロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、その他などを挙げることができる。なお、同一分子中にこれらのアルキル基は同一であっても、異なってもよい。
上記の透明ガスバリア性組成物を調製する際、例えば、シランカップリング剤などを添加してもよい。上記のシランカップリング剤としては、既知の有機反応性基含有オルガノアルコキシシランを用いることができる。特に、エポキシ基を有するオルガノアルコキシシランが好適に用いられ、具体的には、例えば、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、または、β-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランなどを使用することができる。上記のようなシランカップリング剤は、一種または二種以上を混合して用いてもよい。
[シーラント層]
シーラント層15は、包装材料10を用いて包装袋を製造する際に、包装袋の内容物側に配置されて、包装材料10どうしをシールする機能を有するものである。シーラント層15は、低密度ポリエチレン、直鎖状低密度ポリエチレンなどのポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィン樹脂を含むが、密着性や製造コスト等の観点からは、シーラント層15は、直鎖状低密度ポリエチレンを含むことが好ましい。シーラント層15は、好ましくは無延伸のフィルムからなる。
直鎖状低密度ポリエチレンは、低圧重合法(チーグラー・ナッタ触媒を用いた気相重合法またはメタロセン触媒を用いた液相重合法)によりエチレンおよび少量のα―オレフィンを重合して得られるものである。直鎖状低密度ポリエチレンは、分子鎖に短分子鎖を多く有し、シール性能に優れるものである。
直鎖状低密度ポリエチレンは、0.93g/cm3未満、好ましくは0.91g/cm3以上0.93g/cm3未満、より好ましくは0.912g/cm3以上0.928g/cm3以下、さらに好ましくは0.915g/cm3以上0.925g/cm3以下の密度を有するものである。直鎖状低密度ポリエチレンの密度は、JIS K6760-1995に記載のアニーリングを行った後、JIS K7112-1980のうち、A法に規定された方法に従って測定される値である。直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.91g/cm3以上あれば、直鎖状低密度ポリエチレンを含むシーラント層15の剛性を高めることができ、包装袋の内層として好適に用いることができる。また、直鎖状低密度ポリエチレンの密度が0.93g/cm3未満、であれば、シーラント層15の機械的強度を高めることができ、包装袋の内層として好適に用いることができる。
直鎖状低密度ポリエチレンは、0.1g/10分以上10g/10分以下、好ましくは0.2g/10分以上9g/10分以下、より好ましくは1g/10分以上8.5g/10分以下のメルトフローレート(MFR)を有するものである。メルトフローレートとは、JIS K7210-1995に規定された方法において、温度190℃、荷重21.18Nの条件で、A法により測定される値である。直鎖状低密度ポリエチレンのMFRが0.1g/10分以上であれば、成形加工時の押出負荷を低減することができる。また、直鎖状低密度ポリエチレンのMFRが10g/10分以下であれば、シーラント層15の機械的強度を高めることができる。
シーラント層15は、直鎖状低密度ポリエチレンに加えて低密度ポリエチレンを更に含んでいてもよい。これにより、包装材料10の引き裂き性を高めることができる。シーラント層15が直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの両方を含む場合、好ましくは、直鎖状低密度ポリエチレンの含有量(重量%)が低密度ポリエチレンの含有量(重量%)よりも大きい。シーラント層15が直鎖状低密度ポリエチレン及び低密度ポリエチレンの両方を含む場合、シーラント層15の密度は、例えば0.912g/cm3以上且つ0.930g/cm3以下であり、より好ましくは0.915g/cm3以上且つ0.925g/cm3以下である。
環境負荷をより一層低減できる観点から、バイオマス由来のポリエチレンを使用することができる。バイオマスポリエチレンとは、バイオマス由来のエチレンを含むモノマー重合体である。原料であるモノマーとしてバイオマス由来のエチレンを用いているため、重合されてなるポリオレフィンはバイオマス由来となる。原料モノマー中のバイオマス由来のエチレンの含有量は、100質量%である必要は無く、例えば、好ましくは50%以上、より好ましくは80%以上である。原料モノマーには、化石燃料由来のエチレンが含まれていてもよく、ブチレン、ヘキセン、およびオクテン等のα-オレフィンのモノマーが含まれていてもよい。このような場合であっても、得られた重合体をバイオマスポリエチレンと呼ぶ。α-オレフィンを含むことで、重合されてなるポリオレフィンはアルキル基を分岐構造として有するため、単純な直鎖状のものよりも柔軟性に富むものとすることができる。
例えば、バイオマス由来のエチレンは、バイオマス由来のエタノールを原料として製造することができる。特に、植物原料から得られるバイオマス由来の発酵エタノールを用いることが好ましい。植物原料は、特に限定されず、従来公知の植物を用いることができる。例えば、トウモロコシ、サトウキビ、ビート、およびマニオクを挙げることができる。なお、バイオマス由来の発酵エタノールとは、植物原料より得られる炭素源を含む培養液にエタノールを生産する微生物またはその破砕物由来産物を接触させ、生産した後、精製されたエタノールを指す。培養液からのエタノールの精製は、蒸留、膜分離、および抽出等の従来公知の方法が適用可能である。例えば、ベンゼン、シクロヘキサン等を添加し、共沸させるか、または膜分離等により水分を除去する等の方法が挙げられる。
バイオマスポリエチレンとしては、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL118、密度:0.916g/cm3、MFR:1.0g/10分、バイオマス度87%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLL318、密度:0.918g/cm3、MFR:2.7g/10分、バイオマス度87%)、ブラスケム社製のバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレン(商品名:SLH218、密度:0.916g/cm3、MFR:2.3g/10分、バイオマス度87%)等が挙げられる。
バイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンには、例えば、原料としてサトウキビを用いたものが生産されている。このようなサトウキビ由来の直鎖状低密度ポリエチレンの分散度は、4以上7以下とすることができる。一方、化石由来の直鎖状低密度ポリエチレンの分散度は、通常、1.5以上3.5以下である。
シーラント層15は、単層であってもよく、多層であってもよい。シーラント層15に上記したようなバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンする場合は、内層、中間層、および外層の3層を備えたシーラント層としてもよい。その場合、中間層をバイオマス由来の直鎖状低密度ポリエチレンとし、内層および外層は、従来公知の化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレンとすることが好ましい。
シーラント層15の厚みは、好ましくは50μm以上であり、より好ましくは80μm以上である。また、シーラント層15の厚みは、好ましくは170μm以下であり、より好ましくは120μm以下である。シーラント層15の厚さが上記範囲であれば、包装袋を製造した際に十分なシール適正を付与することができる。
[接着剤層]
第1接着剤層16は、第1延伸プラスチックフィルム11を含むフィルムと第2延伸プラスチックフィルム12を含むフィルムのうち積層される側のフィルムの表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される層である。第2接着剤層17は、第2延伸プラスチックフィルム12を含むフィルムと第3延伸プラスチックフィルム13を含むフィルムのうち積層される側のフィルムの表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される層である。第3接着剤層18は、第3延伸プラスチックフィルム13を含むフィルムとシーラント層15を含むフィルムのうち積層される側のフィルムの表面に、接着剤を塗布して乾燥させることにより形成される層である。第1接着剤層16、第2接着剤層17、第3接着剤層18などの接着剤層を構成する接着剤としては、例えば、1液型あるいは2液型の硬化ないし非硬化タイプのビニル系、(メタ)アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ポリエーテル系、ポリウレタン系、エポキシ系、ゴム系、その他などの溶剤型、水性型、あるいは、エマルジョン型などの接着剤を用いることができる。2液硬化型の接着剤としては、ポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を用いることができる。上記のラミネート用接着剤のコーティング方法としては、例えば、ダイレクトグラビアロールコート法、グラビアロールコート法、キスコート法、リバースロールコート法、フォンテン法、トランスファーロールコート法、その他の方法で塗布することができる。
第1接着剤層16、第2接着剤層17、第3接着剤層18などの接着剤層は、バイオマス由来成分を含んでいてもよい。例えば、接着剤層がポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含む場合、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
[印刷層]
印刷層21は、装飾、内容物の表示、賞味期間の表示、製造者、販売者などの表示、その他などの表示や美感の付与のために、文字、数字、絵柄、図形、記号、模様などの所望の任意の印刷模様を形成する層である。印刷層21は、必要に応じて設けることができ、例えば、第1延伸プラスチックフィルム11と第1接着剤層16の間に設けることができる。印刷層21は、第1延伸プラスチックフィルム11の全面に設けてもよく、あるいは一部に設けてもよい。印刷層21は、従来公知の顔料や染料を用いて形成することができ、その形成方法は特に限定されない。
印刷層21は、好ましくは0.1μm以上10μm以下、より好ましくは1μm以上5μm以下、さらに好ましくは1μm以上3μm以下の厚さを有するものである。
印刷層21は、バイオマス由来成分を含んでいてもよい。例えば、印刷層21がポリオールとイソシアネート化合物との硬化物を含む場合、ポリオールまたはイソシアネート化合物の少なくともいずれかがバイオマス由来成分を含んでいてもよい。
本実施の形態において、包装材料10は、上述のように、リサイクルPETを例えば50重量%以上95重量%以下の割合で含むリサイクルフィルムを備えている。このため、リサイクルPETを含まない包装材料よりもCO2削減効果に優れる包装材料10を提供することができる。また、包装材料10が、ポリアミドフィルム、PBTフィルム、高スティフネスフィルムなどの剛性フィルムを備えることにより、耐突き刺し性などの強さを包装材料10に付与することができる。また、包装材料10が、第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12又は第3延伸プラスチックフィルム13に設けられた金属蒸着層22又は透明蒸着層23aを備えることにより、包装袋のガスバリア性を高めることができる。また、金属蒸着層22が設けられている場合、包装袋に金属光沢を付与することができるため、意匠性を向上させることができる。
<包装材料の製造方法>
次に、包装材料10の製造方法の一例について説明する。
まず、上述の第1延伸プラスチックフィルム11及び第2延伸プラスチックフィルム12を準備する。第1延伸プラスチックフィルム11には、予め印刷層21が設けられていてもよい。また、第1延伸プラスチックフィルム11又は第2延伸プラスチックフィルム12には、予め金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられていてもよい。透明蒸着層23aの面上にはガスバリア性塗布膜23bが設けられていてもよい。
続いて、ドライラミネート法により、第1延伸プラスチックフィルム11と第2延伸プラスチックフィルム12とを、第1接着剤層16を介して積層する。その後、ドライラミネート法により、第1延伸プラスチックフィルム11及び第2延伸プラスチックフィルム12を含む積層体と、第3延伸プラスチックフィルム13とを、第2接着剤層17を介して積層する。なお、第1延伸プラスチックフィルム11及び第2延伸プラスチックフィルム12に金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられていない場合、第3延伸プラスチックフィルム13に予め金属蒸着層22又は透明蒸着層23aが設けられていてもよい。透明蒸着層23aの面上にはガスバリア性塗布膜23bが設けられていてもよい。
その後、第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12及び第3延伸プラスチックフィルム13を含む積層体と、シーラント層15とを、第3接着剤層18を介して積層する。これによって、第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12、第3延伸プラスチックフィルム13及びシーラント層15を備える包装材料10を得ることができる。
なお、第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12、第3延伸プラスチックフィルム13及びシーラント層15をドライラミネート法により積層する順序が、上述の順序に限られることはない。例えば、第1延伸プラスチックフィルム11及び第2延伸プラスチックフィルム12を含む第1の積層体と、第3延伸プラスチックフィルム13及びシーラント層15を含む第2の積層体とをドライラミネート法により積層することにより、包装材料10を製造してもよい。
ドライラミネート法においては、まず、積層される2つのフィルムのうちの一方に接着剤組成物を塗布する。続いて、塗布された接着剤組成物を乾燥させて溶剤を揮発させる。その後、乾燥後の接着剤組成物を介して2つのフィルムを積層する。続いて、積層された2つのフィルムを巻き取った状態で、例えば20℃以上の環境下で24時間以上にわたってエージングする。
包装材料10には、化学的機能、電気的機能、磁気的機能、力学的機能、摩擦/磨耗/潤滑機能、光学的機能、熱的機能、生体適合性等の表面機能等の付与を目的として、二次加工を施すことも可能である。二次加工の例としては、エンボス加工、塗装、接着、印刷、メタライジング(めっき等)、機械加工、表面処理(帯電防止処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、フォトクロミズム処理、物理蒸着、化学蒸着、コーティング、等)等が挙げられる。また、包装材料10に、ラミネート加工(ドライラミネートや押し出しラミネート)、製袋加工、およびその他の後処理加工を施して、成型品を製造することもできる。
<包装袋>
包装材料10は、包装袋を形成するための材料として用いられる。例えば、包装材料10を折り返すか、又は該包装材料10を2枚用意し、表側の包装材料10のシーラント層15と裏側の包装材料10のシーラント層15とを対向させて重ね合わせ、さらにその周辺端部を、例えば、側面シール型、二方シール型、三方シール型、四方シール型、封筒貼りシール型、合掌貼りシール型(ピローシール型)、ひだ付シール型、平底シール型、角底シール型等のヒートシール形態によりヒートシールして、種々の形態の包装袋を製造することができる。また、表側の包装材料10と裏側の包装材料10との間に、折り返された状態の包装材料10を挿入した状態でヒートシールを行い、ガセット型の包装袋を製造することもできる。なお、包装袋を構成する包装材料の全てが、本発明による包装材料10でなくてもよい。すなわち、包装袋を構成する包装材料の少なくとも一部分が、リサイクルフィルム及び剛性フィルムを備える包装材料10であればよく、包装袋を構成する包装材料のその他の部分が、リサイクルフィルム及び剛性フィルムを備えない包装材料であってもよい。
ヒートシールの方法としては、例えば、バーシール、回転ロールシール、ベルトシール、インパルスシール、高周波シール、超音波シール等の公知の方法で行うことができる。
包装材料10を用いることによって形成される包装袋は、例えば、飲食品、果汁、ジュ-ス、飲料水、酒、調理食品、水産練り製品、冷凍食品、肉製品、煮物、餅、鍋用スープなどの液体ス-プ、調味料等の各種の飲食料品、液体洗剤、シャンプー、リンス、コンディショナーなどの化粧品、衛生用品、日用品および化成品等の包装として好適に使用することができる。
図11は、包装材料10を備える包装袋70の一例を示す図である。包装袋70は、表面を構成する表面フィルム74、裏面を構成する裏面フィルム75、及び、下部72を構成する下部フィルム76を備える。下部フィルム76は、折り返し部76fで折り返された状態で、表面フィルム74と裏面フィルム75との間に配置されている。このように、図11に示す包装袋70は、下部がガセット部として構成された、自立可能なスタンディングパウチである。
表面フィルム74、裏面フィルム75及び下部フィルム76は、内面同士がシール部によって接合されている。図11などの包装袋70の正面図においは、シール部にハッチングが施されている。図11に示すように、シール部は、包装袋70の外縁に沿って延びる外縁シール部を有する。外縁シール部は、下部72に広がる下部シール部72a、及び、一対の側部73に沿って延びる一対の側部シール部73aを含む。なお、内容物が充填される前の状態(内容物が充填されていない状態)の包装袋70においては、図11に示すように、包装袋70の上部71は開口部71bになっている。包装袋70に内容物を収容した後、表面フィルム74の内面と裏面フィルム75の内面とを上部71において接合することにより、上部シール部が形成されて包装袋70が封止される。
なお、上述の「表面フィルム」、「裏面フィルム」及び「下部フィルム」という用語は、位置関係に応じて各フィルムを区画したものに過ぎず、包装袋70を製造する際の包装材料10の提供方法が、上述の用語によって限定されることはない。例えば、包装袋70は、表面フィルム74と裏面フィルム75と下部フィルム76が連設された1枚の包装材料10を用いて製造されてもよく、表面フィルム74と下部フィルム76が連設された1枚の包装材料10と1枚の裏面フィルム75の計2枚の包装材料10を用いて製造されてもよく、1枚の表面フィルム74と1枚の裏面フィルム75と1枚の下部フィルム76の計3枚の包装材料10を用いて製造されてもよい。
図11に示すように、包装袋70は、注出口部85を備えていてもよい。注出口部85は、収容部79に収容された内容物を取り出す際に内容物が通る部分である。この場合、内容物は、流動性を有する液体などである。注出口部85の幅は、収容部79の幅よりも狭い。このため、使用者は、注出口部85を通って包装袋70から注出される内容物の注出方向を精度良く定めることができる。
図11に示す例において、注出口部85は、表面フィルム74及び裏面フィルム75の一部によって構成されている。例えば、注出口部85は、収容部79よりも狭い幅を有する注出口部85を画定するよう表面フィルム74と裏面フィルム75とを接合する注出口シール部86を含む。このような注出口部85を備える包装袋70は、ボトルに詰め替えられる洗剤、シャンプー、リンスなどの内容物を収容する詰め替えパウチとして好適に使用される。
表面フィルム74、裏面フィルム75及び下部フィルム76のうちの少なくとも1つは、リサイクルフィルム及び剛性フィルムを含む3つの延伸プラスチックフィルムを備える上述の包装材料10によって構成されている。例えば表面フィルム74及び裏面フィルム75は、上述の包装材料10によって構成され得る。リサイクルフィルム及び剛性フィルムを備える包装材料10を用いることにより、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、先端が尖った鋭利な部材が包装袋70に接触した場合にも、包装袋70が破けてしまうことを抑制することができる。
なお、内容物を適切に注出することができる限りにおいて、注出口部85の構成が、図11に示す構成に限られることはない。例えば、注出口部85は、スパウトなどの、表面フィルム74及び裏面フィルム75とは別の部材であってもよい。
下部フィルム76は、リサイクルフィルム及び剛性フィルムを含む3つの延伸プラスチックフィルムを備える上述の包装材料10によって構成されていてもよく、若しくは、図12に示す包装材料40によって構成されていてもよい。以下、図12を参照して、包装材料40について説明する。なお、図12に示す包装材料40において、包装材料10と同様に構成され得る部分については、包装材料10で用いた符号と同一の符号を用いることとし、重複する説明を省略する。
図12に示した包装材料40は、第1延伸プラスチックフィルム41と、印刷層21と、第1接着剤層46と、第2延伸プラスチックフィルム42と、第2接着剤層47と、シーラント層15とをこの順に備える。図12に示す包装材料10を備える包装袋においては、シーラント層15が包装袋の内面を構成する。
第1延伸プラスチックフィルム41及び第2延伸プラスチックフィルム42はいずれも、上述の第1延伸プラスチックフィルム11、第2延伸プラスチックフィルム12、第3延伸プラスチックフィルム13と同様に、所定の方向において延伸されているプラスチックフィルムである。
第1延伸プラスチックフィルム41又は第2延伸プラスチックフィルム42の一方は、リサイクルPETを含むリサイクルフィルムであり、他方は、剛性を有する剛性フィルムである。例えば、第1延伸プラスチックフィルム41が剛性フィルムであり、第2延伸プラスチックフィルム42がリサイクルフィルムであってもよい。また、第1延伸プラスチックフィルム41がリサイクルフィルムであり、第2延伸プラスチックフィルム42が剛性フィルムであってもよい。
図13は、包装材料10を備える包装袋70のその他の例を示す図である。図13に示す包装袋70は、筒状に折り返したフィルム77の内面同士を上部71、下部72及び合掌部78において接合することによって形成されるピローパウチである。上部71及び下部72は、上部シール部71a及び下部シール部72aを含む。また、合掌部78は、上部シール部71aから下部シール部72aに至るよう延びる合掌シール部78aを含む。
図13に示す包装袋70においても、フィルム77が、リサイクルフィルム及び剛性フィルムを備える包装材料10によって構成されている。これにより、従来に比べて化石燃料の使用量を削減することができ、環境負荷を減らすことができる。また、先端が尖った鋭利な部材が包装袋70に接触した場合にも、包装袋70が破けてしまうことを抑制することができる。
なお、図示はしないが、包装袋70は、表面フィルム74と裏面フィルム75とを外縁に沿って3辺又は4辺で接合することによって形成される三方シールパウチ又は四方シールパウチであってもよい。
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例の記載に限定されるものではない。
[実施例1]
上述の表面フィルム74及び裏面フィルム75を構成する包装材料10(以下、胴部用の包装材料とも称する)と、上述の下部フィルム76を構成する包装材料40(以下、下部用の包装材料とも称する)とを準備した。続いて、胴部用の包装材料10及び下部用の包装材料40をヒートシールすることにより、図11に示す包装袋70を作製した。
まず、胴部用の包装材料10について説明する。
第1延伸プラスチックフィルム11として、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたPETを含み、二軸延伸されたリサイクルPETフィルムを準備した。リサイクルPETフィルムは、90質量%以上のPETを含む。リサイクルPETフィルムの厚みは12μmであった。また、リサイクルPETフィルムに印刷層21を形成した。
第2延伸プラスチックフィルム12として、化石燃料由来の二軸延伸されたナイロンフィルムを準備した。ナイロンフィルムは、90質量%以上のポリアミドを含む。ナイロンフィルムの厚みは、15μm以上25μm以下の範囲内で選択可能であるが、ここでは15μmとした。
第3延伸プラスチックフィルム13として、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたPETを含み、二軸延伸されたリサイクルPETフィルムを準備した。リサイクルPETフィルムは、90質量%以上のPETを含む。リサイクルPETフィルムの厚みは12μmであった。また、リサイクルPETフィルムに、アルミニウムからなり、厚みが450Åの金属蒸着層22を形成した。
続いて、接着剤を、第1延伸プラスチックフィルム11のリサイクルPETフィルムに設けられた印刷層21上に塗布し、乾燥させて第1接着剤層16を得た。続いて、第1接着剤層16を介して第1延伸プラスチックフィルム11のリサイクルPETフィルムと第2延伸プラスチックフィルム12のナイロンフィルムとを貼り合わせた。
続いて、第1延伸プラスチックフィルム11のリサイクルPETフィルム及び第2延伸プラスチックフィルム12のナイロンフィルムを含む積層体と、第3延伸プラスチックフィルム13のリサイクルPETフィルムとを、第2接着剤層17を介してドライラミネート法により貼り合わせた。この際、第3延伸プラスチックフィルム13のリサイクルPETフィルムに設けられた金属蒸着層22がナイロンフィルム側を向くように貼り合わせを行った。
シーラント層15として、下記のように作製されるポリエチレンフィルムを用いた。まず、化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン(密度:0.918g/cm3、MFR:3.8g/10分)と、化石燃料由来の低密度ポリエチレン(密度:0.924g/cm3、MFR:2.0g/10分)とを溶融混練して、樹脂組成物を得た。化石燃料由来の直鎖状低密度ポリエチレン及び化石燃料由来の低密度ポリエチレンの比率は、それぞれ70~90質量部及び10~30質量部の範囲内で選択可能であり、例えば90質量部及び10質量部である。次いで、得られた樹脂組成物を、上吹き空冷インフレーション共押出製膜機により成膜して、シーラント層用の単層のポリエチレンフィルムを得た。ポリエチレンフィルムの厚みは、50μm以上150μm以下の範囲内で選択可能であるが、ここでは80μmとした。
続いて、リサイクルPETフィルム、ナイロンフィルム及びリサイクルPETフィルムを含む積層体と、ポリエチレンフィルムとを、第3接着剤層18を介してドライラミネート法により貼り合わせた。このようにして、胴部用の包装材料10を作製した。
本実施例の胴部用の包装材料10の層構成は、以下のように表現される。
リサイクルPET12/印/接/ナイロン15/接/蒸着/リサイクルPET12/接/PE80
「リサイクルPET」は、リサイクルPETフィルムを表す。「印」は、印刷層を表す。「接」は、接着剤層を表す。「ナイロン」は、ナイロンフィルムを表す。「蒸着」は、金属蒸着層を表す。「PE」は、上述のポリエチレンフィルムを意味する。数字は、層の厚み(単位はμm)を意味する。
なお、上述の実施の形態で説明したように、第2延伸プラスチックフィルム12の剛性フィルムとして、ナイロンフィルムに代えて、二軸延伸されたPBTフィルム又は二軸延伸された高スティフネスフィルムを用いてもよい。二軸延伸された高スティフネスフィルムとしては、90質量%以上のPETを含む高スティフネスPETフィルムが好適に用いられ得る。高スティフネスPETフィルムの厚みは14μm以上であり、例えば16μmである。後述する実施例2~8でも同様である。
次に、下部用の包装材料40について説明する。
第1延伸プラスチックフィルム41として、化石燃料由来の二軸延伸されたナイロンフィルムを準備した。ナイロンフィルムは、90質量%以上のポリアミドを含む。ナイロンフィルムの厚みは、15μm以上25μm以下の範囲内で選択可能であるが、ここでは15μmとした。また、ナイロンフィルムに印刷層21を形成した。
第2延伸プラスチックフィルム42として、メカニカルリサイクルによりリサイクルされたPETを含み、二軸延伸されたリサイクルPETフィルムを準備した。リサイクルPETフィルムは、90質量%以上のPETを含む。リサイクルPETフィルムの厚みは12μmであった。
続いて、接着剤を、ナイロンフィルムに設けられた印刷層21上に塗布し、乾燥させて第1接着剤層46を得た。続いて、第1接着剤層46を介してナイロンフィルムとリサイクルPETフィルムとを貼り合わせた。
シーラント層15として、胴部用の包装材料のシーラント層15の場合と同一のポリエチレンフィルムを準備した。ポリエチレンフィルムの厚みは、50μm以上150μm以下の範囲内で選択可能であるが、ここでは80μmとした。
続いて、ナイロンフィルム及びリサイクルPETフィルムを含む積層体と、ポリエチレンフィルムとを、第2接着剤層47を介してドライラミネート法により貼り合わせた。このようにして、下部用の包装材料40を作製した。
本実施例の下部用の包装材料40の層構成は、以下のように表現される。
ナイロン15/印/接/リサイクルPET12/接/PE80
なお、上述の実施の形態で説明したように、第1延伸プラスチックフィルム41の剛性フィルムとして、ナイロンフィルムに代えてPBTフィルム又は高スティフネスフィルムを用いてもよい。
[実施例2]
実施例1の場合と同様に、胴部用の包装材料10及び下部用の包装材料40をヒートシールすることにより、図11に示す包装袋70を作製した。胴部用の包装材料10としては、実施例1の胴部用の包装材料10における第1延伸プラスチックフィルム11として、リサイクルPETフィルムに替えて、化石燃料由来のPETを含み、二軸延伸されたPETフィルムを採用したものを用いた。化石燃料由来のPETフィルムは、90質量%以上のPETを含む。化石燃料由来のPETフィルムの厚みは12μmであった。下部用の包装材料40としては、実施例1の場合と同一のものを用いた。
本実施例の胴部用の包装材料10の層構成は、以下のように表現される。
化石PET12/印/接/ナイロン15/接/蒸着/リサイクルPET12/接/PE80
「化石PET」は、化石燃料由来のPETを含むPETフィルムを表す。
なお、上述の実施の形態で説明したように、第2延伸プラスチックフィルム12の剛性フィルムとして、ナイロンフィルムに代えて、二軸延伸されたPBTフィルム又は二軸延伸された高スティフネスフィルムを用いてもよい。
[実施例3]
実施例1の場合と同様に、胴部用の包装材料10及び下部用の包装材料40をヒートシールすることにより、図11に示す包装袋70を作製した。胴部用の包装材料10としては、実施例1の胴部用の包装材料10における第1延伸プラスチックフィルム11として、リサイクルPETフィルムに替えて、二軸延伸されたナイロンフィルムを採用したものを用いた。ナイロンフィルムは、90質量%以上のポリアミドを含む。ナイロンフィルムの厚みは15μmであった。下部用の包装材料40としては、実施例1の場合と同一のものを用いた。
本実施例の胴部用の包装材料10の層構成は、以下のように表現される。
ナイロン15/印/接/ナイロン15/接/蒸着/リサイクルPET12/接/PE80
なお、上述の実施の形態で説明したように、第1延伸プラスチックフィルム11及び第2延伸プラスチックフィルム12の剛性フィルムとして、ナイロンフィルムに代えて、二軸延伸されたPBTフィルム又は二軸延伸された高スティフネスフィルムを用いてもよい。
[実施例4]
実施例1の場合と同様に、胴部用の包装材料10及び下部用の包装材料40をヒートシールすることにより、図11に示す包装袋70を作製した。胴部用の包装材料10としては、実施例1の胴部用の包装材料10における第3延伸プラスチックフィルム13として、リサイクルPETフィルムに替えて、化石燃料由来のPETを含み、二軸延伸されたPETフィルムを採用したものを用いた。化石燃料由来のPETフィルムは、90質量%以上のPETを含む。化石燃料由来のPETフィルムの厚みは12μmであった。下部用の包装材料40としては、実施例1の場合と同一のものを用いた。
本実施例の胴部用の包装材料10の層構成は、以下のように表現される。
リサイクルPET12/印/接/ナイロン15/接/蒸着/化石PET12/接/PE80
なお、上述の実施の形態で説明したように、第2延伸プラスチックフィルム12の剛性フィルムとして、ナイロンフィルムに代えて、二軸延伸されたPBTフィルム又は二軸延伸された高スティフネスフィルムを用いてもよい。
[実施例5]
実施例1の場合と同様に、胴部用の包装材料10及び下部用の包装材料40をヒートシールすることにより、図11に示す包装袋70を作製した。胴部用の包装材料10としては、実施例1において説明したナイロンフィルムによって第3延伸プラスチックフィルム13が構成され、実施例1において説明した、金属蒸着層22が形成されたリサイクルPETフィルムによって第2延伸プラスチックフィルム12が構成されているものを用いた。下部用の包装材料40としては、実施例1の場合と同一のものを用いた。
本実施例の胴部用の包装材料10の層構成は、以下のように表現される。
リサイクルPET12/印/接/蒸着/リサイクルPET12/接/ナイロン15/接/PE80
なお、上述の実施の形態で説明したように、第3延伸プラスチックフィルム13の剛性フィルムとして、ナイロンフィルムに代えて、二軸延伸されたPBTフィルム又は二軸延伸された高スティフネスフィルムを用いてもよい。
[実施例6]
実施例5の場合と同様に、胴部用の包装材料10及び下部用の包装材料40をヒートシールすることにより、図11に示す包装袋70を作製した。胴部用の包装材料10としては、実施例5の胴部用の包装材料10における第1延伸プラスチックフィルム11として、リサイクルPETフィルムに替えて、化石燃料由来のPETを含み、二軸延伸されたPETフィルムを採用したものを用いた。化石燃料由来のPETフィルムは、90質量%以上のPETを含む。化石燃料由来のPETフィルムの厚みは12μmであった。下部用の包装材料40としては、実施例5の場合と同一のものを用いた。
本実施例の胴部用の包装材料10の層構成は、以下のように表現される。
化石PET12/印/接/蒸着/リサイクルPET12/接/ナイロン15/接/PE80
なお、上述の実施の形態で説明したように、第3延伸プラスチックフィルム13の剛性フィルムとして、ナイロンフィルムに代えて、二軸延伸されたPBTフィルム又は二軸延伸された高スティフネスフィルムを用いてもよい。
[実施例7]
実施例5の場合と同様に、胴部用の包装材料10及び下部用の包装材料40をヒートシールすることにより、図11に示す包装袋70を作製した。胴部用の包装材料10としては、実施例5の胴部用の包装材料10における第1延伸プラスチックフィルム11として、リサイクルPETフィルムに替えて、二軸延伸されたナイロンフィルムを採用したものを用いた。ナイロンフィルムは、90質量%以上のポリアミドを含む。ナイロンフィルムの厚みは15μmであった。下部用の包装材料40としては、実施例5の場合と同一のものを用いた。
本実施例の胴部用の包装材料10の層構成は、以下のように表現される。
ナイロン15/印/接/蒸着/リサイクルPET12/接/ナイロン15/接/PE80
なお、上述の実施の形態で説明したように、第1延伸プラスチックフィルム11及び第3延伸プラスチックフィルム13の剛性フィルムとして、ナイロンフィルムに代えて、二軸延伸されたPBTフィルム又は二軸延伸された高スティフネスフィルムを用いてもよい。
[実施例8]
実施例5の場合と同様に、胴部用の包装材料10及び下部用の包装材料40をヒートシールすることにより、図11に示す包装袋70を作製した。胴部用の包装材料10としては、実施例5の胴部用の包装材料10における第2延伸プラスチックフィルム12として、リサイクルPETフィルムに替えて、化石燃料由来のPETを含み、二軸延伸されたPETフィルムを採用したものを用いた。化石燃料由来のPETフィルムは、90質量%以上のPETを含む。化石燃料由来のPETフィルムの厚みは12μmであった。下部用の包装材料40としては、実施例5の場合と同一のものを用いた。
本実施例の胴部用の包装材料10の層構成は、以下のように表現される。
リサイクルPET12/印/接/蒸着/化石PET12/接/ナイロン15/接/PE80
なお、上述の実施の形態で説明したように、第3延伸プラスチックフィルム13の剛性フィルムとして、ナイロンフィルムに代えて、二軸延伸されたPBTフィルム又は二軸延伸された高スティフネスフィルムを用いてもよい。
実施例1~8における胴部の包装材料10の層構成をまとめて下記の表2に示す。なお、実施例2、4、6及び8の化石PETは、二軸延伸されたバイオマスPETに置き換え可能である。