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JP7329728B2 - 水処理装置 - Google Patents

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JP7329728B2 JP2019140416A JP2019140416A JP7329728B2 JP 7329728 B2 JP7329728 B2 JP 7329728B2 JP 2019140416 A JP2019140416 A JP 2019140416A JP 2019140416 A JP2019140416 A JP 2019140416A JP 7329728 B2 JP7329728 B2 JP 7329728B2
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Description

本発明は、濾過によって水を浄化する水処理装置、および水処理装置に用いる薬剤供給装置に関するものである。
従来、水処理装置における酸化剤の供給には固体の酸化剤を水に接触させる薬剤供給装置が用いられている。例えば、井戸水を浄水処理する場合には、固体の次亜塩素酸カルシウムを徐々に溶かす薬剤供給装置を用いて、浄水処理対象となる原水を酸化させることが可能である。
定量ポンプで薬剤を注入するシステム、もしくは流量に関わらず一定量の薬剤を溶出させる薬剤供給装置においては、流量・圧力が増加した際において薬剤濃度が低下する。
図13に示す通り、固形薬剤供給装置101においては、取水口102から原水を流入させて水溶性固形薬剤103に原水を接触させる、流量が増えた際に薬剤接触相104内の水位が上昇し、接触させる水溶性固形薬剤103の量が増加させることが可能である。本機構により、流量が上昇した際も薬剤溶出量が上昇し、薬剤の濃度低下を抑えることが可能である(例えば、特許文献1参照)。 以下、その水処理装置について図13を用いて説明する。
実開昭58-5986号公報
このような従来の固形薬剤供給装置においては、長期に使用した場合、固体の酸化剤が壁面に固着し、薬剤が原水と接触する位置まで下がってこなくなり、原水に薬剤が供給できなくなるという課題を有していた。例えば、急激な流路の変更、ポンプの動作点が変わることにより、薬剤接触相に流入する流量が一時的に上昇し薬剤接触相の上端に達すると、接触相内の酸化剤が固着し、上層の薬剤が原水と薬剤の接触位置まで降下しないというものであった。
そこで本発明は、上記従来の課題を解決するものであり、長期に使用した場合にも薬剤濃度を安定させることが可能な見次処理装置を提供することを目的とする。
そして、この目的を達成するために、本発明に係る水処理装置は、
濾材を内包した濾過部と、
濾過部に原水を流入させる原水流入配管と、
前記原水流入配管の経路内で薬剤を添加する薬剤供給部と、
前記濾過部から濾過後の処理水を取り出す浄水吐出配管とを有し、
前記薬剤供給部内の薬剤載置場所は、前記濾過部、前記原水流入配管、前記浄水吐出配管よりも鉛直方向に高い位置に配置し
前記原水流入配管の経路内であって、前記薬剤供給部と前記濾過部との間に逆洗ドレン配管の第一分岐部を設け、
前記逆洗ドレン配管は、前記第一分岐部から下方に延伸し、
前記第一分岐部は、
濾過処理時には、前記薬剤供給部と前記濾過部とを連通させ、
逆洗処理時には、前記逆洗ドレン配管と前記濾過部とを連通させたという構成により、所期の目的を達成する。
本発明によれば、薬剤供給部の薬剤載置場所は、他の配管、濾過部よりも高い位置に設けられているので、上部には空気が満たされる状態となっている。そのため、薬剤供給部内の固体の薬剤は、運転中は薬剤の下部のみが水に浸され、停止中には薬剤供給部から水がぬけて薬剤の固着を抑制し、安定して所望の濃度の薬液が得られるという効果がある。
本発明の実施の形態1の水処理装置の全体構成の概略図 同水処理装置の内部構造斜視図 同水処理装置の濾過部の内部を示す断面図 同水処理装置の濾過処理時の水の流れを示す概略図 同水処理装置の逆処理時の水の流れを示す概略図 同水処理装置のリンス処理時の水の流れを示す概略図 同水処理装置の薬剤供給部を示す斜視図 同水処理装置の薬剤供給部の断面図 同水処理装置の薬剤供給部の要部の(a)断面図、(b)拡大断面図 同水処理装置に用いられる補給弁の断面図 同水処理装置の内部構造側面図 同水処理装置の外装斜視図 従来の水処理装置の構成を示す模式図
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
(実施の形態1)
本実施の形態に係る水処理装置1は、井戸水または貯水槽に蓄えた水を原水とし、この原水に含まれる金属イオンや濁質成分を除去する濾過処理と、濾過処理によって系内に蓄積された金属イオンの凝集物、濁質成分を系外へ排出する逆洗処理を行うものである。
図1~3に示すように、水処理装置1は、濾材2aを内包した濾過部2と、原水に対して薬剤を添加する薬剤供給部3を有し、濾過部2、薬剤供給部3を後述するように配管で接続して構成される。濾過部2は、原水から金属イオンや濁質成分を除去し、原水を浄化するものであり、いわば、水処理装置1の心臓部である。この濾過部2に対して、原水を送る側の配管を原水流入配管10とし、濾過部2で浄化された水を濾過部2から送出する配管を浄水吐出配管20とする。浄化された水は、浄水タンクなどに貯められ、必要な時に生活水として使われることになる。
水処理装置1に対しては、原水流入配管10の入口側(濾過部2の反対側)に接続された電動ポンプ4によって原水が送られる。なお、電動ポンプ4を使用する代わりに、貯水槽を高所に設け、貯水槽と水処理装置1との高低差によって原水を水処理装置1に送る方法でもよい。また、地域などで共同運営している水道水を直接接続してもよい。本実施の形態では、井戸、貯水槽、水道等に加え、原水を送り出す装置類を含めて水源とする。
電動ポンプ4は、井戸水または貯水槽へ蓄えた水を吸い上げ、吐出する電動機で駆動するポンプであって、例えば、渦巻きポンプ、タービンポンプなどの遠心ポンプや、渦流ポンプ(カスケードポンプ)、ジェットポンプ、軸流ポンプ、斜流ポンプなどが用いられる。一般家庭で用いる場合、井戸の深さは、浅井戸であれば1メートルから10メートル程度、深井戸であれば10メートルから30メートル以上吸い上げる必要がある。後段の配管や水処理装置の損失水頭を考慮すると、20メートル以上の揚程があるものがよく、渦流ポンプやジェットポンプなどがより好ましい。電動式ポンプで吐出する流量は、例えば5リットルから50リットル毎分程度であるが、一般家庭用であれば5リットルから15
リットル毎分程度の流量特性をもつものがより好ましい。
原水流入配管10、浄水吐出配管20は、電動ポンプ4の水圧に耐えられる材質、構造であればよい。具体的には、耐久性、加工のしやすさから、例えば、塩化ビニル樹脂や鋼管、あるいは、これらの複合材料を用いた直管や配管継手が使用できる。なお、呼び径は損失水頭が低くなるよう大きい方が好ましく、例えば13から50ミリメートルのもので、厚みは1から5ミリメートル程度のものが好ましい。
薬剤供給部3は、原水流入配管10の経路内に設けられている。詳しくは、後述するが、薬剤供給部3は、原水に対して酸化剤を添加し、原水に含まれる金属イオンを水に難溶な物質として凝集させ、濾過部2において捕集しやすくする働きをする。
(濾過部)
図3に示すように、濾過部2は、タンク2bと、タンク2bの内部に充填された濾材2aと、タンク2bに配管を接続する分配栓2cと、濾過後の浄水を取り出す導出管2dを有している。本実施の形態におけるタンク2bは、略円筒状の容器であって、底部は椀状に構成されている(椀状でなくてもよい)分配栓2cは、タンク2bの頂部に備えられ、濾過部2の内外を連通している。分配栓2cの内部側には吐水口と導出管接続口が設けられ、導出管接続口と浄水吐出配管20とが連通し、原水流入配管10と吐水口とが連通している。分配栓2cの外部側には、2つの管が水平方向に延出され、それぞれ、原水流入配管10、浄水吐出配管20と接続されている。本実施の形態では、分配栓2cから外方向に延出した2つの管は、略一直線上に配置され、分配栓2cの中心から反対方向に延出している。
導出管2dは、タンク2b内部において、略鉛直になるように配置され、上端を分配栓2cの導出管接続口に接続し、下端は、タンク2bの底面近傍で開放端となっている。導出管2dは、濾過処理の際に濾過水を下方から上方に排出するためのものであり、水頭損失が少なく、閉塞しにくいような管であればよい。例えば直径が20ミリメートル以上の直管などが使用できる。材質は腐食しにくいものがよく、例えば樹脂、金属などが好ましい。なお、詳しくは後述するが、導出管2dの下端には、下部ストレーナ2eが取り付けられており、導出管2d内に濾材2aなどが入り込まないようになっている。
上述のように、分配栓2cに設けられた吐水口と原水流入配管10とが連通している。
吐水口からは濾過部2内に原水が流入することになる。吐水口には、上部ストレーナ2
fが開口を覆うように設けられている。上部ストレーナ2fは、後述する逆洗処理において、濾材2aを濾過部2外へ排出しないようにしている。
上部ストレーナ2fと下部ストレーナ2eは、濾過部2内の濾材2aが濾過部2から外部へ流出することを防止するためにそれぞれ配置したものである。すなわち、上部ストレーナ2fは、吐水口を覆うように設置して逆洗処理の際に濾材2aが濾過部2から流出しないようにするものである。下部ストレーナ2eは、導出管2dの下端部の開口を覆うように設置して濾過処理の際に濾材2aが濾過部2から流出しないようにするためのものである。上部ストレーナ2f、下部ストレーナ2eは、メッシュ状、スリット状などの形状で、濾材2aよりも開口幅が小さく0.3から1ミリメートルの細孔か隙間を持つものが使用できる。材質は、導出管2dと同様に腐食しにくいものがよく、例えば樹脂、金属などが好ましい。
濾過部2に内包されている濾材2aは、水処理装置1の性能を発揮するための最も基本となる部材である。濾材2aは、粒子径約10マイクロメートル以上の粗大粒子や凝集物
を捕捉して除去し、原水の濁度を低減することを目的としている。濾材2aによって、濾材2aに吸着するような表面電位を持つ粒子や、原水中のイオン等の存在状態によっては粒子径約1~10マイクロメートルの粒子や色度も除去可能となる。
濾材2aとしては、濾過砂をはじめ、ペレット状の繊維濾材等、除去対象物に適したものを用いることができる。濾材2aの材質は、例えば、砂、アンスラサイト、ガーネット、セラミックス、粒状活性炭、オキシ水酸化鉄、マンガン砂など、水中で沈降し、圧力で変形しにくい硬度をもつものであればよい。粒子径は、例えば0.3ミリメートルから5.0ミリメートル、均等係数1.2から2.0などのものを用いるとよい。
また、濾材2aは材質によって比重が異なり、例えば砂であればおよそ2.5から2.7グラム毎立方センチメートル、アンスラサイトであれば、1.4から1.8グラム毎立方センチメートル、ガーネットであれば3.8から4.1グラム毎立方センチメートルである。複数の種類の濾材を混合して使用する複層濾過法は、このような比重の違いを利用し、濾過を行う層としてサイズの異なる粒子を小さい粒子から順に下から積層する方法である。複層濾過法では、比重が大きくサイズが小さい粒子と、比重が小さくサイズが大きい粒子を混合して多層構造にするのが一般的である。複層濾過法は、単一の種類の濾材を用いるのに比べて、単位体積あたりの濾過効率が高く、一方で損失水頭が低く抑えられるなどのメリットがあるため好ましい。粒状濾材としては、例えば、ガーネットの0.3ミリメートルと、砂の0.6ミリメートル、アンスラサイトの1.0ミリメートルのものを、2:1:1で混合して使用するが、濁質の粒子特性に応じて混合比率や粒子径を調整することが望ましい。濾材2aの充填量は濾過性能と耐久性、損失水頭などを考慮して決定することが好ましい。濾材2aを増やすと、除去性能や濁質の保持量が増加し、洗浄までの間隔を延ばす事ができて洗浄頻度を減らす事ができる。一方、損失水頭が上昇するため、流量が減少するなどの不具合が生じる場合がある。
本実施の形態においては、濾材2aは、上層として活性炭、中層にはマンガン砂、下層には砂利を用いた3層で構成されている。本実施の形態の濾過部2は、上層、中層を中心に上述の濾過の作用が働く。一方、最下層に比較的粒径の大きい砂利層では、下部ストレーナ2eに至るまでの水の流れを良くするとともに、下部ストレーナ2eから濾材2aが流出しないように下部ストレーナ2eにマンガン砂、活性炭が到達しないよう、覆う役割も果たしている。また、後述する逆洗処理の場合には、下部ストレーナ2eから噴出する逆洗用の水が、中層・上層に流れやすくするため、最下層で整流を行っている。
また、濾材2aを内包する濾過部2の耐圧は使用する電動ポンプ4の最高出力揚程以上の能力があることが好ましい。濾過部2の素材としては、金属、樹脂、あるいはガラス繊維で強化した樹脂などが好適である。そして、濾過部2は、水に接するだけでなく、井戸が設けられた屋外に設置して使用する場合があるため、十分な耐水性、耐候性を有することが要求される。耐水性、耐候性は、材質や肉厚、あるいはコーティングなどの複合素材によって確保することができる。濾過部2の大きさは、逆洗浄の際に濾材2aが展開するスペースを考慮して、内部に入れる濾材2aの総量の約1.5から3倍程度の容積を確保できることが好ましい。また、形状は、圧力に対する耐久性が高い円筒型や球型、楕円球型などが好ましいが、容器を肉厚などで強化して耐久性が確保できれば直方体や立方体などの角型容器を使用することもできる。
(配管構成)
本実施の形態の水処理装置1は、濾過部2において、原水を濾過し、浄水として取り出すほかに、濾過部2で捕集された粒状物質(よごれ、濁質成分、金属凝集物など)を逆洗によって系外へ排出する機能を有している。次に、水処理装置1内の配管構成と、濾過処理、逆洗処理における水の流れを説明する。
図4は、本実施の形態の水処理装置1の全体構成を示すとともに、濾過処理時における水の流れを示した概略図となっている。図4に示すように、原水流入配管10は、濾過処理時において、水源側の原水入口11から薬剤供給部3を経由して濾過部2へと接続するものである。浄水吐出配管20は、濾過処理時において、濾過部2から水処理装置1の浄水出口21へと接続するものである。
一方、図5は、逆洗処理時の水の流れを示したものである。図5に示すように、逆洗処理時には、濾過部2内の水の流れが逆になる。従って、逆洗処理時には、濾過部2では、浄水吐出配管20側から濾過部2へ水を送り、原水流入配管10側から水を出す。本実施の形態による水処理装置1は、水源(電動ポンプ4)をひとつにして、濾過処理、逆洗処理を行うことができる。従って、逆洗処理時に濾過部2において原水を浄水吐出配管20側から流すようにするため、原水流入配管10と浄水吐出配管20とを接続する逆洗送水管80が設けられている。ここで、原水流入配管10において、薬剤供給部3と濾過部2との間には、逆洗処理時に濾過部2から流出する逆洗ドレンを排出する逆洗ドレン管40との分岐部13が第一の分岐部として設けられている。また、逆洗送水管80の原水流入配管10との接続部を第二の分岐部として分岐部12とする。逆洗送水管80と浄水吐出配管20との接続部を第三の分岐部として分岐部22とする。
このような配管構成において、濾過処理時には、以下のように水が流れることになる(図4)。
原水入口11→(原水流入配管10)→分岐部12→薬剤供給部3→分岐部13→濾過部2→(浄水吐出配管20)→分岐部22→浄水出口21
なお、浄水吐出配管20の経路内には、逆止弁62を設けている。浄水出口21から取り出した浄水は、高所に設けた浄水タンクへと配管接続される場合が多い。逆止弁62は、高所に設けられた浄水タンクからの浄水の逆流を制止し、濾過部2内への水の逆流入を防ぐものである。
一方、逆洗処理時には、以下のように水が流れることになる(図5)。
原水入口11→(原水流入配管10)→分岐部12→(逆洗送水管80)→分岐部22→(浄水吐出配管20)→濾過部2→(原水流入配管10)→分岐部13→(逆洗ドレン管40)→逆洗ドレン口41
濾過処理、逆洗処理において、上記水の流れとなるように、分岐部12、分岐部13、分岐部22での連通方向を切り替えるための開閉バルブが設けられている。本実施の形態で用いる開閉バルブは、同じ種類の手動弁を用い、開放する場合には、取っ手の長手方向を配管と平行にし、閉鎖する場合には、取っ手の長手方向を配管と直交する向きにする。以下では、取っ手の方向とは、取っ手の長手方向のことをいうものとする。
本実施の形態の水処理装置1では、4個の開閉バルブ(二方弁)で上記切り替えを実現している。すなわち、逆洗送水管80に設けた逆洗送水バルブ81と、原水流入配管10において、分岐部12と薬剤供給部3との間に設けた薬剤供給バルブ14と、浄水吐出配管20において、分岐部22と浄水出口21との間に設けた浄水取出バルブ23と、逆洗ドレン管40に設けた逆洗バルブ42の開閉の組み合わせによって濾過処理、逆洗処理の水の流れを切り替えている。
濾過処理時には、薬剤供給バルブ14と浄水取出バルブ23を開放し、逆洗送水バルブ81と逆洗バルブ42を閉鎖する。すなわち、分岐部12では、原水入口11と薬剤供給部3を連通させ、分岐部13では、薬剤供給部3と濾過部2とを連通させ、分岐部22では、濾過部2と浄水出口21とを連通させる。
一方、逆洗処理時には、薬剤供給バルブ14と浄水取出バルブ23を閉鎖し、逆洗送水バルブ81と逆洗バルブ42を開放する。すなわち、分岐部12では、原水入口11と逆洗送水管80とを連通させ、分岐部13では、濾過部2の原水流入配管10との接続側と逆洗ドレン口41とを連通させ、分岐部22では、逆洗送水管80と濾過部2の浄水吐出配管20との接続側を連通させる。
すなわち、薬剤供給バルブ14と逆洗送水バルブ81によって分岐部12の連通方向を切り替えている。また、浄水取出バルブ23と逆洗バルブ42によって水の取り出し口を決定している。このように、本実施の形態では、二方弁を用い、構造の複雑な三方弁を使用せずに配管経路の切り替えを行っている。従って、配管の詰まりの抑制ができるとともに、装置にかかるコストを抑えることができる。
また、本実施の形態では、逆洗送水バルブ81、逆洗バルブ42は送水方向を鉛直にして配置され、薬剤供給バルブ14、浄水取出バルブ23は送水方向を水平にして配置される。このような配置により、濾過処理時には、逆洗送水バルブ81、逆洗バルブ42、薬剤供給バルブ14、浄水取出バルブ23の取っ手は全て水平方向に向けることになる。また、逆洗処理時には、逆洗送水バルブ81、逆洗バルブ42、薬剤供給バルブ14、浄水取出バルブ23の取っ手は全て鉛直方向に向けることになり、見た目もよく、ユーザーにとって運転状態がわかり易いというメリットがある。
また、逆洗処理を行う際には、大きな流量を必要とする。すなわち、逆洗処理時の流量よりも濾過処理時の流量を小さくしている。そのため、濾過処理時に通過する配管の一部に絞り部を設け、濾過処理時における流量を抑えるようにしている。具体的には、浄水吐出配管20のうち、分岐部22の下流側で絞り部24が設けられている。この絞り部24と電動ポンプ4との組み合わせによって、濾過処理時の流量を所望の設計値にしている。
一方、逆洗処理時の配管には、絞り部24のような径を小さくした部分がないので、濾過処理時よりも大きな流量を確保し、逆洗処理を効率的に行うことができる。すなわち、逆洗時のみに用いる配管、逆洗送水管80、逆洗ドレン管40の最小径部は、絞り部24の開口よりも大きくなっている。
なお、本実施の形態の水処理装置1は、逆洗処理時に配管内に残った異物を排出するための「リンス処理」を行うことができる。このリンス処理について、図6を用いて説明する。リンス処理を行うための配管は、浄水吐出配管20において、分岐部26と、リンスドレン管27と、リンスドレンバルブ28を備えている。分岐部26は、浄水吐出配管20において、分岐部22と浄水出口21の間に設けられている。そして、分岐部26は、浄水吐出配管20からリンスドレン管27を分岐している。リンスドレンバルブ28は、リンスドレン管27の開閉を行い、開放したときに浄水吐出配管20を流れてきた水をリンスドレン口29へと流すものである。濾過処理、逆洗処理時には、リンスドレンバルブ28は閉鎖である。
リンス処理は、薬剤供給バルブ14を開放し、浄水取出バルブ23を閉鎖し、逆洗送水バルブ81と逆洗バルブ42を閉鎖する。さらに、リンスドレンバルブ28を開放する。このようなバルブ操作によって、リンス処理時には、以下のように水が流れることになる。
原水入口11→(原水流入配管10)→分岐部12→薬剤供給部3→分岐部13→濾過部2→(浄水吐出配管20)→分岐部22→(絞り部24)→分岐部26→リンスドレン口29
逆洗処理が終わった直後には、濾過部2内、あるいは、水処理装置1の配管内には、濾過部2の逆洗によって洗い出された異物が残っている。そのため、リンス処理によって、
異物を排出することができる。
また、本実施の形態の水処理装置1では、絞り部24を迂回する直接排水管70と直接排水管70の開閉を行う直接排水バルブ71を設けている。絞り部24は、配管径を小さくした部分であるので、異物が詰まり易くなっている。そのため、異物を排出する逆洗処理時には、直接排水バルブ71を開放し、最小径部となる絞り部24を迂回して流すとよい。
また、原水の汚れ度合によっては、濾過部2を通さず、そのまま排水したほうが良い場合がある。このような場合に、直接排水バルブ71を開放するとよい。例えば、原水として井戸水用いる場合などにおいて、水処理装置1の設置直後は貯まった井戸水の汚れ度合が大きく、そのまま濾過処理(濾過部2を通す)すると、所望の浄化性能が得られず、異物を含んだ水が浄水出口21から流出することになる。そのため、設置直後の初期の原水は濾過せずそのまま排水するとよい。すなわち、逆洗送水バルブ81、リンスドレンバルブ28を開放し、薬剤供給バルブ14、浄水取出バルブ23を閉鎖することによって、系内に取り入れた原水を濾過部2、薬剤供給部3を通さずに直接排水することができる。この場合にも、直接排水バルブ71を開放するとよい。
また、逆洗送水バルブ81、浄水取出バルブ23を開放し、薬剤供給バルブ14、リンスドレンバルブ28を閉鎖することによって、系内に取り入れた原水を濾過部2、薬剤供給部3を通さずに直接取り出すこともできる。
(濾過、逆洗作用)
上記の構成によって、本実施の形態の水処理装置1における濾過処理、逆洗処理について説明する(図2~図5)。
上述のように、濾過処理時には、薬剤供給バルブ14と浄水取出バルブ23を開放し、逆洗送水バルブ81と逆洗バルブ42を閉鎖する。そして、電動ポンプ4を運転すると、原水流入配管10内を送られる原水は、薬剤供給部3で薬剤を添加され、濾過部2に流入する。そして、原水は、上部ストレーナ2fを通過した後、濾材2aの上側から下側に通過し、この際に濁質成分が濾材2aの濾過作用により除去される。最後に、下部ストレーナ2eに流入した後、導出管2dの内側を通過して、濾過部2を出て、浄水吐出配管20より処理水が得られる。
濾過部2内部では、まず上層の活性炭層で懸濁物質が補足されるとともに、金属イオンの凝集が促進される。中層のマンガン砂層では、主として上層で凝集された金属イオンの凝集物が補足されるのである。
一方、逆洗処理時には、薬剤供給バルブ14と浄水取出バルブ23を閉鎖し、逆洗送水バルブ81と逆洗バルブ42を開放する。そして、電動ポンプ4を運転すると、原水は、分岐部12から逆洗送水管80を経て浄水吐出配管20を逆流して濾過部2へ流入する。濾過部2では原水は導出管2d内を下方に向けて流れ、下部ストレーナからタンク2b内へと浸入する。タンク2b内で原水は、下から上へと流れる。その際、上層の活性炭を撹拌・展開することで、濾材2aで捕集された懸濁物質、凝集物を濾材2aから剥離させ、原水流入配管10の接続口から濾過部2の系外へと排出するのである。
(薬剤供給部)
次に、薬剤供給部3について、図2、図7、図8を用いて説明する。
薬剤供給部3は、水処理装置1の最上部に配置されている。すなわち、薬剤供給部3は
、原水流入配管10において、原水入口11から上方に向けて立ち上がった配管の上部に備えられている。また、薬剤供給部3の出口(薬液出口32)からの配管は、下方に伸びた後、分岐部13を経て濾過部2へと接続されている。詳しくは後述するが、薬剤供給部3は、流入路31、薬剤路32、バイパス路33、流出路34を有している。流入路31は、原水流入配管10と接続され、原水を薬剤供給部3に流入させる。薬剤路32は、流入路31から分岐し、薬剤を溶かすものである。バイパス路33は、同じく流入路31から分岐し、薬液を必要な濃度に調整するために設けられている。流出路34は、薬剤路32、バイパス路33と合流し、再び原水流入配管10に接続し、原水流入配管10に薬剤の含まれた原水を送り出すことになる。
薬剤路32は、筒状の筐体51を有した薬剤部50の内部に形成されている。筐体51は、下部に設けた椀状の基台51aと、基台51aを覆う上部カバー51bとを有している。さらに詳しくは、筐体51は、上部にむけて径の小さくなる円錐台形状を有している。基台51aには、流入路31、バイパス路33、流出路34が接続され、基台51aの内部で分岐(分岐部35)している。分岐部35では、流入路31から流入した原水を、薬剤路32、流出路34、バイパス路33に分岐している。薬剤路32は、分岐後、鉛直方向に立ち上がる噴出管52と、噴出管52の上部で薬剤に接触し、薬剤を溶出させる薬剤載置部53と、噴出管52の外周であって、筐体51の内部となる回収部54とで構成される。薬剤路32で作られた薬液(薬剤を含んだ原水)は、回収部54と流出路34とを連通する回収開口55から流出路34へと送られる。
噴出管52の上部、すなわち、薬剤載置部53における噴出管52の外径は、下部より対して大きな径を有し、所望の量の薬剤を保有することができるようになっている。また、噴出管52の下部の外径を小さくすることによって回収部54の水平断面積を確保している。
バイパス路33は、分岐部35で分岐した後、原水のままの状態で流出路34の出口側で合流する(合流部36)。
流出路34を流れる原水は、分岐部35で分岐後、薬剤路32で作られた薬液と回収開口55で合流する。さらに流出路34の下流では、合流部36でバイパス路33と合流し、所望の濃度の薬液となって薬剤供給部3から送出される。
すなわち、薬剤供給部3に流入した原水は、分岐部35において、薬剤路32、バイパス路33、流出路34に分岐される。この分岐によって薬剤路32に流れる流量を調整し、後述する薬剤と原水との接触量を調整している。従って、薬剤路32で薬剤と接触した原水は所望の濃度の薬液となる。次に、薬剤路32を経由した原水は、回収開口55で流出路34を流れる原水と合流する。分岐部35で所望の割合で分岐された流出路34の原水は、同じく所望の濃度と流量で調整された薬剤路32の薬液と回収開口55で合流し、所望の濃度の薬液となるのである。なお、合流部36でバイパス路33を流れる原水と合流することになっているが、合流部36後の薬剤の濃度を確認して、バイパス路33の流量を調整するとよい。
噴出管52は小径の管路で上部に薬剤載置部53を備えて立設されている。噴出管52は、筐体51の内部で薬剤載置部53を支えていることになる。これにより、薬剤載置部53は、筐体51の中央より高い位置に固定される。薬剤載置部53は、上部が開口した皿状、あるいは、箱状となっている。薬剤載置部53の底部は、開口が設けられ、噴出管52と接続し、噴出管52と薬剤載置部53内部を連通している。薬剤載置部53の高さにおける噴出管52の水平方向の径は、噴出管52の下部の径よりも大きくなっている。まず、噴出管52の下部の径を小さくし、薬剤載置部53を噴出管52の上部に設けるこ
とによって、原水を所望の流量で薬剤と接触させることを実現している。薬剤載置部53は、原水の流量に対し、所望の濃度の薬液が得られるよう、置く薬剤の量(数)を確保するための大きさとなる。
薬剤を溶かした薬液は、薬剤載置部53の側方であって、噴出管52の側面に設けられた載置部出口58から筐体51内部、すなわち、回収部54へ流出する。回収部54において、薬剤を溶かした薬液は、筐体51の下部(基台51a)に貯まり、その後、回収開口55から流出路34へと流れだす。噴出管52の径を小さくし、筐体51の内壁面との距離を確保してあるので、筐体51内に流下した薬剤の溶けた原水は、液面を筐体51の高さに対し、1/2程度、あるいはそれ以下にすることができている。薬液は所望の深さで筐体51内に貯まることによって、流出路34において原水と混合する割合が調整されている。
また、運転状態において、筐体51内に薬液が充満すると、薬剤載置部53に置いた薬剤の溶出量が大きくなり、所望の濃度の薬液が得られなくなる。あるいは、薬剤が溶けてなくなってしまうことがある。そのため、筐体51内での液面は低く抑えることが必要となる。
薬剤載置部53には、固形薬剤、すなわち水溶性固形薬剤60を備えている。水溶性固形薬剤60としては、タブレットや顆粒状のものを用いることがよい。なぜなら、水溶性固形薬剤60の表面積が大きくでき安定した溶剤濃度を保つことができるからである。タブレットであれば、直径30mm、高さ10~20mmのもの、顆粒状であれば直径5mmから15mmのものを使用するとよい。水溶性固形薬剤60の大きさが小さい場合には、隣り合った薬剤が同時に水に接触して薬剤同士が固着してしまう。固着すると、薬剤の下部だけが水に接触して所望の濃度の薬液が得られなくなるということがある。あるいは、水溶性固形薬剤60の大きさが小さい場合には、噴出管52から供給される水との接触面積が大きくなって所望の濃度の薬液が得られなくなる。そのため、所望の濃度の薬液を供給するため、上述の大きさの水溶性固形薬剤60を用いている。
本実施の形態では、薬剤載置部53は、錠剤の水溶性固形薬剤60を上下方向に保持できるよう、ガイド(図示せず)が設けられている。すなわち、ガイドは、縦方向に長いレール形状を有し、2本のレール間に水溶性固形薬剤60を投入することによって、水溶性固形薬剤60を上下方向に積んだように保持される。そのため、水溶性固形薬剤60は下方から原水に溶け出すことになり、所望の濃度の薬液が得られる。
また、水溶性固形薬剤60は、上述のように、原水に含まれる金属イオンを酸化して水に難溶な凝集物を生成する働きをする。水溶性固形薬剤60としては、種々の酸化剤を用いることができるが、運転中、すなわち、原水に対して薬剤を添加する場合には、水溶性固形薬剤60は水に溶けやすいものがよい。また、停止中、あるいは逆洗処理中、すなわち、薬剤の添加を中断しているときには、固形形状を保持し、薬剤載置部53から流れ出さないものがよい。本実施の形態では、トリクロロイソシアヌル酸を用いている。
薬剤供給部3の各部材は、薬剤と長時間接する可能性があるのでPVC(ポリ塩化ビニル)、PMMA(ポリメタクリル酸メチル)、PP(ポリプロピレン)など薬剤に対する反応性が低い素材を選ぶとよい。一方、噴出管52には薬剤載置部53を支えるための強度が必要なので、薬剤に対する相性を考慮すると、噴出管52の材質はPPより強度がある塩化ビニルやABS(アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン)などを選択することが好ましい。噴出管52の外径は、基台51aの内径の4分の1以下に抑えるとよい。上述のように、噴出管52の外側に載置部出口58から排出された薬剤供給後の溶液を一時貯留する空間(回収部54)を設けることができ、筐体51内の水位が急激に上昇し薬剤
載置部53まで到達することを抑制できるからである。例えば、基台51aの内径が130mmの場合、外径25~40mm程度の塩ビ管などを使用するとよい。すなわち、筐体51の内径に対し、噴出管52の外径を1/3以下にするとよい。このように、噴出管52の外径を小さくすることによって回収部54における水平断面積、すなわち、回収部54に貯まる薬液水面の面積を大きく確保することができる。従って、回収部54に貯まる薬液の液面高さを低く抑え、結果として薬剤の溶出量を適切に設定でき、所望の濃度の薬液が得られるのである。なお、本実施の形態では、上部カバー51bを円錐台形状とし、基台51aを有底の略円筒としていて、基台51aの内径が筐体51の最大内径となっている。
また、噴出管52は、噴出管52の内部を上下に仕切る仕切り板56を備えている。仕切り板56上に薬剤載置部53が設けられ、薬剤載置部53上に水溶性固形薬剤60が置かれることになる。仕切り板56には、噴出管52から送られる原水が流入する載置部入口57が設けられている。載置部入口57は、仕切り板56の中央部近傍に設けられているが、中心でなくてもよい。また、仕切り板56は、すり鉢状に外周部を高く、載置部入口57近傍を低くしてある。載置部入口57は、仕切り板56の中央部を網状にして形成してもよい。あるいは、仕切り板56の中央部を囲むように形成された少なくとも1つのドーナツ状のスリット、あるいは、複数の小孔群であってもよい。また、噴出管52の側面には、溶けた薬剤を含んだ原水が流出する載置部出口58を有している。載置部出口58は、仕切り板56の外周部の頂部よりも高い位置に設けられている。そして、水溶性固形薬剤60は、仕切り板56上であって、径方向には、載置部入口57と載置部出口58の間に配置されることになる。
このような構成によれば、すり鉢状になった仕切り板56上には、中央寄りに水溶性固形薬剤60が配置される。そして、噴出管52から送られる原水は、載置部入口57から浸入し、中央寄りに置かれた水溶性固形薬剤60と接触、水溶性固形薬剤60を溶かして薬液となる。薬剤の溶け込んだ原水は、上方に上昇し、載置部出口58から薬剤供給部3の筐体51内へと流出する。このとき、水溶性固形薬剤60は、径方向にも上下方向にも載置部入口57と載置部出口58の間に配置されているので、原水に必ず接触し、薬液となって載置部出口58から流出する。また、所定の流量に対し、水溶性固形薬剤60の接触度合を確保し、所望の濃度範囲の薬液とすることができる。
また、上記構成によれば、載置部出口58よりも上部の水溶性固形薬剤60に水分を含ませることを防止できるので、水溶性固形薬剤60同士の固着、壁面への固着を防ぐこと
が可能である。固着を防ぐことができるので、下層の水溶性固形薬剤60が溶出して無
くなった場合には、上部の固形薬剤が重力によって降下し、下部に水溶性固形薬剤60を供給させることができる。つまり、水溶性固形薬剤60と原水を継続的に接触させることが可能である。そして、薬剤供給装置を長期に使用した場合にも薬剤濃度を安定させることが可能となる。
また、噴出管52、薬剤載置部53の外壁面は、載置部出口58よりも下方において、外壁面の任意の位置から鉛直下方に降ろした直線と外壁面との成す角(図9における角度α)は0~45度であることが望ましい。外壁面を急角度で絞らないことによって、載置部出口58から流出する原水は、噴出管52、薬剤載置部53の外壁面を伝って流下し、筐体51内で貯まった原水(薬液)と静かに混合する。そのため、液面で水泡ができにくくなる。
一方、薬剤を含んだ原水が、噴出管52、薬剤載置部53の外壁面から離れて空中に流れ出る場合には、筐体51内で貯まった原水(薬液)と混合する際に水泡を作ることになる。水泡は、筐体51内に充満して、見かけ上の水位を上昇させることになる。あるいは
、できた水泡が薬液とともに流出路34から排出されるため、筐体51内の空気が減少、結果として回収部54における水位が上昇する。すなわち、上昇した水位によって水溶性固形薬剤60に水が浸かることになり、結果として薬剤を過度に溶かし、所望の濃度の薬液が得られなくなってしまう。これに対し、本実施の形態では、載置部出口58から流出する原水は、噴出管52、薬剤載置部53の外壁面を伝って流下させ、筐体51内で水泡を作らないようにしている。
また、薬剤路32(噴出管52)、バイパス路33、流出路34には、分岐部35の直後(下流側)に絞り部が設けられている。この絞り部は、薬剤路32、バイパス路33、流出路34に流れる原水の配分を調整し、薬剤供給部3から流出する原水の薬剤の濃度を所望の濃度にするために設けられている。なお、バイパス路33には、開閉バルブ33aが設けられており、バイパス路33を閉じることも可能となっている。これらの絞り部は、流出路34に設けた絞り部の開口面積は、他の薬剤路32(噴出管52)、バイパス路33に設けた絞り部の開口面積よりも大きくしてある。薬剤供給部3から流出する薬液の濃度を所望の範囲にすることができる。
また、薬剤供給部3の筐体51は、基台51aから上部カバー51bを外すことができるようになっている。薬剤供給部3には、汚れた原水が流入するので定期的なメンテナンスが必要となっている。そのため、上部カバー51bを外し、内部の清掃が可能なようになっている。さらに、噴出管52は、分岐部35で取り外すことが可能になっている。上述のように、薬剤路32(噴出管52)、バイパス路33、流出路34は、分岐部35の下流側にそれぞれ絞りが設けられており、長期間の使用によっては、絞り部に異物が付着することが考えられる。そのため、噴出管52を分岐部35部分で取り外し、配管内の清掃を可能にしている。
上部カバー51bは、一部あるいは全部を透明にするとよい。上部カバー51bを透明にすることによって、内部に水溶性固形薬剤60の存在を確認でき、必要な場合には補給することができる。特に、筐体51内で薬液の液面よりも上方となる上部カバー51bの上部を透明にするとよい。また、上部カバー51bの天面を水溶性固形薬剤60の補給口とし、この補給口を透明にするとよい。また、上述のとおり、水溶性固形薬剤60はガイドに支持されて並んで配置されるので、外部から投入量の確認が容易となる。
薬剤供給部3の筐体51内は、汚れを含んだ原水が流入するので内部が汚れることになる。しかし、上述のとおり、運転中には、筐体51の内部の水面は筐体51の1/2以下の高さとなるように設計されている。また、載置部出口58は、薬剤載置部53の側面に設けられている。そのため、筐体51の天面付近には原水は到達しないので、補給口付近は汚れにくい構造となっている。すなわち、補給口を透明とすることによって、薬剤載置部53の水溶性固形薬剤60を視認しやすくなる。
(空気補給弁)
ここで、逆洗処理時における特別な構成と、作用について説明する。
上述のとおり、逆洗ドレン管40は、分岐部13から逆洗ドレン口41を配管したものである。この逆洗ドレン管40の経路途中であって、逆洗バルブ42の下流側には、空気補給弁43が設けられている。空気補給弁43は、一方を逆洗ドレン管40に接続し、他方を大気側に開放したものである。空気補給弁43は、逆止弁構造となっており、大気側からの流入を可能とし、逆洗ドレン管40側からの流出はできないようになっている。また、空気補給弁43は、逆洗ドレン管40から上方に立ち上がったところに弁構造部分が設けられている。
このような構造において、空気補給弁43の作用を説明する。
濾過処理時には、逆洗バルブ42が閉鎖され、逆洗バルブ42よりも下流側の逆洗ドレン管40内には空気が充満している。そして、逆洗処理に切り替えた際には、逆洗ドレン管40内の空気は、上方へと移動し、薬剤供給部3内に空気を供給することになる。薬剤供給部3内に空気が充満することにより、水溶性固形薬剤60は、原水に浸かった状態ではなく、空気にさらされる。従って、水溶性固形薬剤60が無駄に溶け出すこともなく、また、溶けて固着することを防止することができる。
一方、逆洗ドレン管40内は、逆洗処理を行うため、ドレン水が流れ、ドレン水で満たされる。逆洗処理が終わると、逆洗ドレン管40内に向けて空気補給弁43から空気が送られることになる。従って、逆洗処理以外の時には、逆洗ドレン管40内に空気が充満し、次の逆洗処理の時に薬剤供給部3へ空気を送ることができる。
なお、空気補給弁43を逆洗ドレン管40に対し、逆洗ドレン管40の分岐点から上方に立ち上げて設けたことにより、空気補給弁43内を空気で満たした状態にして、水の浸入を抑える構造となっている。すなわち、汚れた水から空気補給弁43を守り、空気補給を確実に行うことができるようになっている。
また、本実施の形態では、空気補給弁43を逆止弁としたが、空気を逆洗ドレン管40内に送ることができれば他の種類の弁でもよい。例えば、手動弁を用い、逆洗処理が終了した時点で逆洗ドレン管40内に空気を送る方法、逆洗ドレン管40の経路内に水抜き穴と栓を設け、逆洗処理が終了した時点で栓を抜き、逆洗ドレン管40内の水を抜き、空気を満たす方法でもよい。
(濾過部配置)
濾過部2に充填された濾材2aは、逆洗したとしても長期間の使用により性能が劣化する。そのため、濾過部2は定期的なメンテナンスが必要になる。濾過部2をメンテナンスするため、本実施の形態の水処理装置1は、濾過部2を取り外すことが可能になっている。
図11に示すように、濾過部2を所定の方向から見た時、配管類(原水流入配管10、浄水吐出配管20、逆洗送水管80、逆洗ドレン管40など)、薬剤供給部3は、濾過部2と分離されて配置されている。すなわち、濾過部2と原水流入配管10、浄水吐出配管20との接続部に設けた接続接手15を開放したとき、濾過部2は一方向およびその反対方向にスライドして移動が可能となる。図11では紙面に対し垂直方向に移動が可能となる。そのために、接続接手15の相手側の接続面は、濾過部2の移動する一方向に平行に設けている。接続接手15としては、原水流入配管10側に設けられた流入側接手、浄水吐出配管20側に設けられた流出側接手を有しており、この2つの接続接手15の接続によって濾過部2は本体内の配管と接続される。
また、図12にしめすように、本実施の形態の水処理装置1は、配管類を保護するため、外郭をパネルで覆って筐体を構成している。上述のとおり、濾過部2は一方向とその反対方向に移動が可能なので、外郭パネルのうち、濾過部2に対して一方向とその対向面のパネルを点検パネル61としている。濾過部2のメンテナンスの際には、点検パネルのうち両方もしくはどちらか一方を外すことによって行うことができる。
このように、濾過部2は、1つの点検パネル61、あるいは、対向して2か所に設けた点検パネル61側に向けて平行移動が可能になり、少ない点検スペースで濾過部2のメンテナンスが可能となる。
なお、本実施の形態では、濾過部2を一方向とその反対方向に移動可能としたが、一方向のみとしてもよい。その場合には、接続接手の相手側(反濾過部2側)の接続面は、一方向側に向けてもよい。すなわち、接続接手15と対向する配管側の接続面が、濾過部2の移動する一方向に向いている、あるいは、接続接手15の接続面が、濾過部2の移動する一方向に平行に配置されていればよい。このような配置によれば、濾過部2は、少なくとも前記一方向に向けて移動が可能となる。
本発明にかかる水処理装置は、逆洗に十分量の清浄な逆洗水を供給可能で、従来品と比較し省スペース設置可能な水処理装置であるため、井戸水や貯留水の浄化に使用される家庭用小型水処理装置等として有用である。
1 水処理装置
2 濾過部
2a 濾材
2b タンク
2c 接続バルブ
2d 導出管
2e 下部ストレーナ
2f 上部ストレーナ
3 薬剤供給部
4 電動ポンプ
10 原水流入配管
11 原水入口
12 分岐部
13 分岐部
14 薬剤供給バルブ
15 接続接手
20 浄水吐出配管
21 浄水出口
22 分岐部
23 浄水取出バルブ
24 絞り部
26 分岐部
27 リンスドレン管
28 リンスドレンバルブ
29 リンスドレン口
31 流入路
32 薬剤路
33 バイパス路
33a 開閉バルブ
34 流出路
35 分岐部
36 合流部
40 逆洗ドレン管
41 逆洗ドレン口
42 逆洗バルブ
43 空気補給弁
50 薬剤部
51 筐体
51a 基台
51b 上部カバー
52 噴出管
53 薬剤載置部
54 回収部
55 回収開口
56 仕切り板
57 載置部入口
58 載置部出口
60 水溶性固形薬剤
61 点検パネル
62 逆止弁
70 直接排水管
71 直接排水バルブ
80 逆洗送水管
81 逆洗送水バルブ

Claims (5)

  1. 濾材を内包した濾過部と、
    濾過部に原水を流入させる原水流入配管と、
    前記原水流入配管の経路内で薬剤を添加する薬剤供給部と、
    前記濾過部から濾過後の処理水を取り出す浄水吐出配管とを有し、
    前記薬剤供給部内の薬剤載置場所は、前記濾過部、前記原水流入配管、前記浄水吐出配管よりも鉛直方向に高い位置に配置し
    前記原水流入配管の経路内であって、前記薬剤供給部と前記濾過部との間に逆洗ドレン配管の第一分岐部を設け、
    前記逆洗ドレン配管は、前記第一分岐部から下方に延伸し、
    前記第一分岐部は、
    濾過処理時には、前記薬剤供給部と前記濾過部とを連通させ、
    逆洗処理時には、前記逆洗ドレン配管と前記濾過部とを連通させる水処理装置。
  2. 前記逆洗ドレン配管の経路内に、一端を大気中に開放し、大気側から配管内への流入を行う空気補給弁を設けた請求項記載の水処理装置。
  3. 前記空気補給弁は、大気側からの流入のみが可能な逆止弁とした請求項記載の水処理装置。
  4. 前記逆洗ドレン配管における前記空気補給弁への分岐点から前記薬剤供給部までの配管経路における水平高さは、前記分岐点で最も低く、前記薬剤供給部の流出口に向けて高くなるようにした請求項または記載の水処理装置。
  5. 前記空気補給弁は、前記分岐点よりも高い位置に設けた請求項記載の水処理装置。
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