以下、実施形態及び例示物を示して、本発明について詳細に説明する。ただし、本発明は、以下に挙げる実施形態及び例示物に限定されるものでは無く、本発明の特許請求の範囲及びその均等の範囲を逸脱しない範囲において任意に変更して実施しうる。
本発明のプリント配線板の製造方法について詳細に説明する前に、本発明のプリント配線板の製造方法において使用される「樹脂組成物」及び「樹脂シート」について説明する。樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層にプラズマ処理によるビアホール又はトレンチの形成用として好適である。このような樹脂組成物を用いることにより、ビアホール又はトレンチをプラズマ処理にて形成するにあたって、ハローイング現象を抑制でき、ビアホールの側壁及びトレンチの側壁及び底面が不均一な面になることを抑制することができる。また、通常、このような樹脂組成物を用いることにより、線熱膨張係数(CTE)を低くすることも可能である。
[樹脂組成物]
硬化体の形成に用いられる樹脂組成物は、樹脂組成物の硬化物である絶縁層の表面にプラズマ処理を行い、ビアホール又はトレンチを形成する工程にて用いられるものでありうる。一実施形態において、樹脂組成物は、(a)無機充填材を含む。樹脂組成物は、(a)成分に加えて、必要に応じて、さらに、(b)硬化性樹脂、(c)硬化促進剤、(d)熱可塑性樹脂、及び(e)その他の添加剤を含んでいてもよい。以下、樹脂組成物に含まれる各成分について詳細に説明する。
<(a)無機充填材>
樹脂組成物は、(a)無機充填材を含有し、(a)無機充填材の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上70質量%以下であり、無機充填材の平均粒子径が0.1μm以下である(第1実施形態)。また、(a)無機充填材の含有量が20質量%以上50質量%未満の場合、無機充填材の平均粒子径が0.7μm以下である(第2実施形態)。このような(a)無機充填材を用いることで、ハローイング現象を抑制でき、ビアホール及びトレンチの側面及び底面の凹凸の発生を抑制することが可能となる。
(a)無機充填材が第1実施形態である場合、プラズマ照射によって樹脂成分の硬化物がエッチングされ、(a)成分が掘り出されても、(a)成分の平均粒子径が小さいのでビアホールの側壁の凹凸(深さ及び長さ)を小さくすることが可能となり、側壁が不均一な面となることを抑制することができる。結果として導体層の厚みを均一にすることが可能となる。「樹脂成分」とは、別に断らない限り、樹脂組成物に含まれる不揮発成分のうち、無機充填材以外の成分をいう。
第1実施形態において、(a)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、線熱膨張係数を小さくする観点から、50質量%以上であり、好ましくは55質量%以上、より好ましくは60質量%以上であり、上限は70質量%以下であり、好ましくは69質量%以下、より好ましくは68質量%以下である。なお、本発明において、樹脂組成物中の各成分の含有量は、別途明示のない限り、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたときの値である。
第1実施形態において、(a)成分の平均粒子径は、ビアホールの側壁又はトレンチの底面及び側壁の凹凸を小さくする観点から、0.1μm以下であり、好ましくは0.09μm以下、さらに好ましくは0.08μm以下であり、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、さらに好ましくは0.03μm以上である。
(a)無機充填材が第2実施形態である場合、プラズマ照射によって樹脂成分の硬化物がエッチングされ、(a)成分が掘り出されても、(a)成分の含有量が少ないのでビアホールの側壁の凹凸(深さ及び長さ)を小さくすることが可能となり、側壁が不均一な面となることを抑制することができる。結果として導体層の厚みを均一にすることが可能となる。
第2実施形態において、(a)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、ビアホールの側壁の凹凸を小さくする観点から、50質量%未満であり、好ましくは49質量%以下、より好ましくは48質量%以下であり、下限は20質量%以上であり、好ましくは30質量%以上、より好ましくは40質量%以上である。
第2実施形態において、(a)成分の平均粒子径は、ビアホールの側壁又はトレンチの底面及び側壁の凹凸を小さくする観点から、0.7μm以下であり、より好ましくは0.5μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下であり、好ましくは0.01μm以上、より好ましくは0.02μm以上、さらに好ましくは0.03μm以上である。
(a)成分の平均粒子径は、ミー(Mie)散乱理論に基づくレーザー回折・散乱法により測定することができる。具体的には、レーザー回折散乱式粒径分布測定装置により、無機充填材の粒径分布を体積基準で作成し、そのメディアン径を平均粒子径とすることで測定することができる。測定サンプルは、無機充填材100mg、メチルエチルケトン10gをバイアル瓶に秤取り、超音波にて10分間分散させたものを使用することができる。測定サンプルを、レーザー回折式粒径分布測定装置を使用して、使用光源波長を青色及び赤色とし、フローセル方式で(a)成分の体積基準の粒径分布を測定し、得られた粒径分布からメディアン径として平均粒子径を算出できる。レーザー回折式粒径分布測定装置としては、例えば堀場製作所社製「LA-960」等が挙げられる。
(a)無機充填材の材料としては、無機化合物を用いる。無機充填材の材料の例としては、シリカ、アルミナ、アルミノシリケート、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、及びリン酸タングステン酸ジルコニウム等が挙げられる。これらの中でも炭酸カルシウム、シリカが好適であり、シリカが特に好適である。シリカとしては、例えば、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が挙げられる。また、シリカとしては、球状シリカが好ましい。(a)無機充填材は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
(a)成分の市販品としては、例えば、デンカ社製の「UFP-30」;日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SP60-05」、「SP507-05」、「SPH516-05」;アドマテックス社製の「YC100C」、「YA050C」、「YA050C-MJE」、「YA010C」;トクヤマ社製の「シルフィルNSS-3N」、「シルフィルNSS-4N」、「シルフィルNSS-5N」;アドマテックス社製の「SC2500SQ」などが挙げられる。
(a)成分の比表面積としては、好ましくは1m2/g以上、より好ましくは2m2/g以上、特に好ましくは3m2/g以上である。上限に特段の制限は無いが、好ましくは60m2/g以下、50m2/g以下又は40m2/g以下である。比表面積は、BET法に従って、比表面積測定装置(マウンテック社製Macsorb HM-1210)を使用して試料表面に窒素ガスを吸着させ、BET多点法を用いて比表面積を算出することで得られる。
(a)成分は、耐湿性及び分散性を高める観点から、表面処理剤で処理されていることが好ましい。表面処理剤としては、例えば、ビニルシラン系カップリング剤、(メタ)アクリル系カップリング剤、フッ素含有シランカップリング剤、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、アルコキシシラン、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が挙げられる。中でも、本発明の効果を顕著に得る観点から、ビニルシラン系カップリング剤、(メタ)アクリル系カップリング剤、アミノシラン系カップリング剤が好ましく、アミノシラン系カップリング剤がより好ましい。また、表面処理剤は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意に組み合わせて用いてもよい。
表面処理剤の市販品としては、例えば、信越化学工業社製「KBM1003」(ビニルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM503」(3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM403」(3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM803」(3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBE903」(3-アミノプロピルトリエトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM573」(N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「SZ-31」(ヘキサメチルジシラザン)、信越化学工業社製「KBM103」(フェニルトリメトキシシラン)、信越化学工業社製「KBM-4803」(長鎖エポキシ型シランカップリング剤)、信越化学工業社製「KBM-7103」(3,3,3-トリフルオロプロピルトリメトキシシラン)等が挙げられる。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の分散性向上の観点から、所定の範囲に収まることが好ましい。具体的には、無機充填材100質量部は、0.2質量部~5質量部の表面処理剤で表面処理されていることが好ましく、0.2質量部~3質量部で表面処理されていることが好ましく、0.3質量部~2質量部で表面処理されていることが好ましい。
表面処理剤による表面処理の程度は、無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量によって評価することができる。無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、無機充填材の分散性向上の観点から、0.02mg/m2以上が好ましく、0.1mg/m2以上がより好ましく、0.2mg/m2以上が更に好ましい。一方、樹脂ワニスの溶融粘度及びシート形態での溶融粘度の上昇を抑制する観点から、1mg/m2以下が好ましく、0.8mg/m2以下がより好ましく、0.5mg/m2以下が更に好ましい。
無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量は、表面処理後の無機充填材を溶剤(例えば、メチルエチルケトン(MEK))により洗浄処理した後に測定することができる。具体的には、溶剤として十分な量のMEKを表面処理剤で表面処理された無機充填材に加えて、25℃で5分間超音波洗浄する。上澄液を除去し、固形分を乾燥させた後、カーボン分析計を用いて無機充填材の単位表面積当たりのカーボン量を測定することができる。カーボン分析計としては、堀場製作所社製「EMIA-320V」等を使用することができる。
<(b)硬化性樹脂>
樹脂組成物は、(b)硬化性樹脂を含有していてもよい。(b)硬化性樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂が挙げられるが、プリント配線板の絶縁層を形成する際に使用され得る熱硬化性樹脂が好ましい。
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、フェノール系樹脂、ナフトール系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、アミン系樹脂、酸無水物系樹脂等が挙げられる。(b)成分は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。以下、フェノール系樹脂、ナフトール系樹脂、ベンゾオキサジン系樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂、カルボジイミド系樹脂、アミン系樹脂、酸無水物系樹脂のように、エポキシ樹脂と反応して樹脂組成物を硬化させることができる樹脂を、まとめて「硬化剤」ということがある。樹脂組成物としては、絶縁層を形成する観点から、(b)成分として、エポキシ樹脂及び硬化剤を含むことが好ましく、エポキシ樹脂、活性エステル系樹脂、シアネートエステル系樹脂及びフェノール系樹脂のいずれかを含むことがより好ましく、エポキシ樹脂及び活性エステル系樹脂を含むことがさらに好ましい。
(b)成分としてのエポキシ樹脂としては、例えば、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂等が挙げられる。エポキシ樹脂は、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
樹脂組成物は、(b)成分として、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂を含むことが好ましい。本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、(b)成分の不揮発成分100質量%に対して、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂の割合は、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、特に好ましくは70質量%以上である。
エポキシ樹脂には、温度20℃で液状のエポキシ樹脂(以下「液状エポキシ樹脂」ということがある。)と、温度20℃で固体状のエポキシ樹脂(以下「固体状エポキシ樹脂」ということがある。)とがある。樹脂組成物は、(b)成分として、液状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよく、固体状エポキシ樹脂のみを含んでいてもよいが、本発明の効果を顕著に得る観点から、液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて含むことが好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有する液状エポキシ樹脂が好ましい。
液状エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、及びブタジエン構造を有するエポキシ樹脂が好ましく、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂がより好ましい。
液状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032」、「HP4032D」、「HP4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「828US」、「jER828EL」、「825」、「エピコート828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER807」、「1750」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「630」、「630LSD」(グリシジルアミン型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品);ナガセケムテックス社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂);ダイセル社製の「セロキサイド2021P」(エステル骨格を有する脂環式エポキシ樹脂);ダイセル社製の「PB-3600」(ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ZX1658」、「ZX1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは、1種類単独で用いてもよく、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
固体状エポキシ樹脂としては、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する固体状エポキシ樹脂が好ましく、1分子中に3個以上のエポキシ基を有する芳香族系の固体状エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ビキシレノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型エポキシ樹脂がより好ましい。
固体状エポキシ樹脂としては、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂が好ましく、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、及びビフェニル型エポキシ樹脂がより好ましい。固体状エポキシ樹脂の具体例としては、DIC社製の「HP4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA-7311」、「EXA-7311-G3」、「EXA-7311-G4」、「EXA-7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂);日本化薬社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC7000L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC3000H」、「NC3000」、「NC3000L」、「NC3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂);日鉄ケミカル&マテリアル社製の「ESN475V」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂);三菱ケミカル社製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂);大阪ガスケミカル社製の「PG-100」、「CG-500」、三菱ケミカル社製の「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(b)成分として液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂とを組み合わせて用いる場合、それらの量比(液状エポキシ樹脂:固体状エポキシ樹脂)は、質量比で、好ましくは1:0.1~1:20、より好ましくは1:0.3~1:15、特に好ましくは1:0.5~1:10である。液状エポキシ樹脂と固体状エポキシ樹脂との量比が斯かる範囲にあることにより、本発明の所望の効果を顕著に得ることができる。さらに、通常は、樹脂シートの形態で使用する場合に、適度な粘着性がもたらされる。また、通常は、樹脂シートの形態で使用する場合に、十分な可撓性が得られ、取り扱い性が向上する。さらに、通常は、十分な破断強度を有する硬化物を得ることができる。
(b)成分としてのエポキシ樹脂のエポキシ当量は、好ましくは50g/eq.~5000g/eq.、より好ましくは50g/eq.~3000g/eq.、さらに好ましくは80g/eq.~2000g/eq.、さらにより好ましくは110g/eq.~1000g/eq.である。この範囲となることで、樹脂組成物の硬化物の架橋密度が十分な硬化体をもたらすことができる。エポキシ当量は、1当量のエポキシ基を含むエポキシ樹脂の質量である。このエポキシ当量は、JIS K7236に従って測定することができる。
(b)成分としてのエポキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは100~5000、より好ましくは250~3000、さらに好ましくは400~1500である。エポキシ樹脂の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量である。
(b)成分としてのエポキシ樹脂の含有量は、良好な機械強度、絶縁信頼性を示す硬化物を得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは10質量%以上、より好ましくは15質量%以上、さらに好ましくは20質量%以上である。エポキシ樹脂の含有量の上限は、本発明の所望の効果を顕著に得る観点から、好ましくは90質量%以下、より好ましくは85質量%以下、特に好ましくは45質量%以下、40質量%以下、35質量%以下である。
(b)成分としてのエポキシ樹脂の含有量としては、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上であり、好ましくは95質量%以下、より好ましくは90質量%以下、さらに好ましくは88質量%以下である。樹脂成分とは、樹脂組成物中の不揮発成分のうち、(a)無機充填材を除いた成分をいう。
(b)成分としての活性エステル系樹脂としては、1分子中に1個以上の活性エステル基を有する樹脂を用いることができる。中でも、活性エステル系樹脂としては、フェノールエステル類、チオフェノールエステル類、N-ヒドロキシアミンエステル類、複素環ヒドロキシ化合物のエステル類等の、反応活性の高いエステル基を1分子中に2個以上有する樹脂が好ましい。当該活性エステル系樹脂は、カルボン酸化合物及び/又はチオカルボン酸化合物とヒドロキシ化合物及び/又はチオール化合物との縮合反応によって得られるものが好ましい。特に、耐熱性向上の観点から、カルボン酸化合物とヒドロキシ化合物とから得られる活性エステル系樹脂が好ましく、カルボン酸化合物とフェノール化合物及び/又はナフトール化合物とから得られる活性エステル系樹脂がより好ましい。
カルボン酸化合物としては、例えば、安息香酸、酢酸、コハク酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸等が挙げられる。
フェノール化合物又はナフトール化合物としては、例えば、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、フェノールフタリン、メチル化ビスフェノールA、メチル化ビスフェノールF、メチル化ビスフェノールS、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、カテコール、α-ナフトール、β-ナフトール、1,5-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシベンゾフェノン、トリヒドロキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、フロログルシン、ベンゼントリオール、ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物、フェノールノボラック等が挙げられる。ここで、「ジシクロペンタジエン型ジフェノール化合物」とは、ジシクロペンタジエン1分子にフェノール2分子が縮合して得られるジフェノール化合物をいう。
活性エステル系樹脂の好ましい具体例としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂、ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂、フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系樹脂、フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系樹脂が挙げられる。中でも、ナフタレン構造を含む活性エステル系樹脂、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂がより好ましい。「ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造」とは、フェニレン-ジシクロペンチレン-フェニレンからなる2価の構造単位を表す。
活性エステル系樹脂の市販品としては、ジシクロペンタジエン型ジフェノール構造を含む活性エステル系樹脂として、「EXB9451」、「EXB9460」、「EXB9460S」、「HPC-8000-65T」、「HPC-8000H-65TM」、「EXB-8000L-65TM」(DIC社製);ナフタレン構造を含むナフタレン型活性エステル系樹脂として「EXB9416-70BK」、「EXB-8100L-65T」、「EXB-8150L-65T」、「EXB-8150-65T」、「HPC-8150-60T」、「HPC-8150-62T」、「HPB-8151-62T」(DIC社製)、「PC1300-02-65T」(エア・ウォーター社製);フェノールノボラックのアセチル化物を含む活性エステル系樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物を含む活性エステル系樹脂として「YLH1026」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのアセチル化物である活性エステル系樹脂として「DC808」(三菱ケミカル社製);フェノールノボラックのベンゾイル化物である活性エステル系樹脂として「YLH1026」(三菱ケミカル社製)、「YLH1030」(三菱ケミカル社製)、「YLH1048」(三菱ケミカル社製);「EXB-8500-65T」(DIC社製);等が挙げられる。
(b)成分としての活性エステル系樹脂の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは2質量%以上、さらに好ましくは4質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
(b)成分としての活性エステル系樹脂の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは3質量%以上、より好ましくは5質量%以上、さらに好ましくは8質量%以上であり、好ましくは25質量%以下、より好ましくは20質量%以下、さらに好ましくは15質量%以下である。
(b)成分としてのフェノール系樹脂及びナフトール系樹脂としては、耐熱性及び耐水性の観点から、ノボラック構造を有するものが好ましい。また、導体層との密着性の観点から、含窒素フェノール系樹脂が好ましく、トリアジン骨格含有フェノール系樹脂がより好ましい。
フェノール系樹脂及びナフトール系樹脂の具体例としては、例えば、明和化成社製の「MEH-7700」、「MEH-7810」、「MEH-7851」、日本化薬社製の「NHN」、「CBN」、「GPH」、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「SN170」、「SN180」、「SN190」、「SN475」、「SN485」、「SN495」、「SN-495V」「SN375」、「SN395」、DIC社製の「TD-2090」、「LA-7052」、「LA-7054」、「LA-1356」、「LA-3018-50P」、「EXB-9500」等が挙げられる。
(b)成分としてのベンゾオキサジン系樹脂の具体例としては、JFEケミカル社製の「JBZ-OD100」(ベンゾオキサジン環当量218g/eq.)、「JBZ-OP100D」(ベンゾオキサジン環当量218g/eq.)、「ODA-BOZ」(ベンゾオキサジン環当量218g/eq.);四国化成工業社製の「P-d」(ベンゾオキサジン環当量217g/eq.)、「F-a」(ベンゾオキサジン環当量217g/eq.);昭和高分子社製の「HFB2006M」(ベンゾオキサジン環当量432g/eq.)等が挙げられる。
(b)成分としてのシアネートエステル系樹脂としては、例えば、ビスフェノールAジシアネート、ポリフェノールシアネート、オリゴ(3-メチレン-1,5-フェニレンシアネート)、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルフェニルシアネート)、4,4’-エチリデンジフェニルジシアネート、ヘキサフルオロビスフェノールAジシアネート、2,2-ビス(4-シアネート)フェニルプロパン、1,1-ビス(4-シアネートフェニルメタン)、ビス(4-シアネート-3,5-ジメチルフェニル)メタン、1,3-ビス(4-シアネートフェニル-1-(メチルエチリデン))ベンゼン、ビス(4-シアネートフェニル)チオエーテル、及びビス(4-シアネートフェニル)エーテル、等の2官能シアネート樹脂;フェノールノボラック及びクレゾールノボラック等から誘導される多官能シアネート樹脂;これらシアネート樹脂が一部トリアジン化したプレポリマー;などが挙げられる。シアネートエステル系樹脂の具体例としては、ロンザジャパン社製の「PT30」、「PT30S」及び「PT60」(フェノールノボラック型多官能シアネートエステル樹脂)、「ULL-950S」(多官能シアネートエステル樹脂)、「BA230」、「BA230S75」(ビスフェノールAジシアネートの一部又は全部がトリアジン化され三量体となったプレポリマー)等が挙げられる。
(b)成分としてのカルボジイミド系樹脂の具体例としては、日清紡ケミカル社製のカルボジライト(登録商標)V-03(カルボジイミド基当量:216g/eq.、V-05(カルボジイミド基当量:216g/eq.)、V-07(カルボジイミド基当量:200g/eq.);V-09(カルボジイミド基当量:200g/eq.);ラインケミー社製のスタバクゾール(登録商標)P(カルボジイミド基当量:302g/eq.)が挙げられる。
(b)成分としてのアミン系樹脂としては、1分子内中に1個以上のアミノ基を有する樹脂が挙げられ、例えば、脂肪族アミン類、ポリエーテルアミン類、脂環式アミン類、芳香族アミン類等が挙げられ、中でも、本発明の所望の効果を奏する観点から、芳香族アミン類が好ましい。アミン系樹脂は、第1級アミン又は第2級アミンが好ましく、第1級アミンがより好ましい。アミン系樹脂の具体例としては、4,4’-メチレンビス(2,6-ジメチルアニリン)、ジフェニルジアミノスルホン、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、3,3’-ジアミノジフェニルスルホン、m-フェニレンジアミン、m-キシリレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、3,3’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジヒドロキシベンジジン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、3,3-ジメチル-5,5-ジエチル-4,4-ジフェニルメタンジアミン、2,2-ビス(4-アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)プロパン、1,3-ビス(3-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、4,4’-ビス(4-アミノフェノキシ)ビフェニル、ビス(4-(4-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、ビス(4-(3-アミノフェノキシ)フェニル)スルホン、等が挙げられる。アミン系樹脂は市販品を用いてもよく、例えば、日本化薬社製の「KAYABOND C-200S」、「KAYABOND C-100」、「カヤハードA-A」、「カヤハードA-B」、「カヤハードA-S」、三菱ケミカル社製の「エピキュアW」等が挙げられる。
(b)成分としての酸無水物系樹脂としては、1分子内中に1個以上の酸無水物基を有する樹脂が挙げられる。酸無水物系樹脂の具体例としては、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、5-(2,5-ジオキソテトラヒドロ-3-フラニル)-3-メチル-3-シクロヘキセン-1,2-ジカルボン酸無水物、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンソフェノンテトラカルボン酸二無水物、ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、オキシジフタル酸二無水物、3,3’-4,4’-ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b-ヘキサヒドロ-5-(テトラヒドロ-2,5-ジオキソ-3-フラニル)-ナフト[1,2-C]フラン-1,3-ジオン、エチレングリコールビス(アンヒドロトリメリテート)、スチレンとマレイン酸とが共重合したスチレン・マレイン酸樹脂などのポリマー型の酸無水物などが挙げられる。
(b)成分としてエポキシ樹脂及び硬化剤を含有する場合、エポキシ樹脂とすべての硬化剤との量比は、[エポキシ樹脂のエポキシ基の合計数]:[硬化剤の反応基の合計数]の比率で、1:0.01~1:5の範囲が好ましく、1:0.05~1:3がより好ましく、1:0.1~1:2がさらに好ましい。ここで、「エポキシ樹脂のエポキシ基数」とは、樹脂組成物中に存在するエポキシ樹脂の不揮発成分の質量をエポキシ当量で除した値を全て合計した値である。また、「硬化剤の活性基数」とは、樹脂組成物中に存在する硬化剤の不揮発成分の質量を活性基当量で除した値を全て合計した値である。(b)成分として、エポキシ樹脂と硬化剤との量比をかかる範囲内とすることにより、柔軟性に優れる硬化体を得ることができる。
(b)成分としての硬化剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分100質量%に対して、好ましくは1質量%以上、より好ましくは3質量%以上、さらに好ましくは5質量%以上であり、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、さらに好ましくは10質量%以下である。
(b)成分としての硬化剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは5質量%以上、より好ましくは10質量%以上、さらに好ましくは15質量%以上であり、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
<(c)硬化促進剤>
樹脂組成物は、(c)硬化促進剤を含有していてもよい。硬化促進剤としては、例えば、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、金属系硬化促進剤等が挙げられ、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤が好ましく、アミン系硬化促進剤がより好ましい。硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
リン系硬化促進剤としては、例えば、トリフェニルホスフィン、ホスホニウムボレート化合物、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、n-ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩、(4-メチルフェニル)トリフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、ブチルトリフェニルホスホニウムチオシアネート等が挙げられ、トリフェニルホスフィン、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩が好ましい。
アミン系硬化促進剤としては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン等のトリアルキルアミン、4-ジメチルアミノピリジン、ベンジルジメチルアミン、2,4,6,-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセン等が挙げられ、4-ジメチルアミノピリジン、1,8-ジアザビシクロ(5,4,0)-ウンデセンが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテイト、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-ウンデシルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-エチル-4’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン、2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジンイソシアヌル酸付加物、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5-ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン、2-フェニルイミダゾリン等のイミダゾール化合物及びイミダゾール化合物とエポキシ樹脂とのアダクト体が挙げられ、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾールが好ましい。
イミダゾール系硬化促進剤としては、市販品を用いてもよく、例えば、三菱ケミカル社製の「P200-H50」等が挙げられる。
グアニジン系硬化促進剤としては、例えば、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、1-(o-トリル)グアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-n-ブチルビグアニド、1-n-オクタデシルビグアニド、1,1-ジメチルビグアニド、1,1-ジエチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド、1-(o-トリル)ビグアニド等が挙げられ、ジシアンジアミド、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エンが好ましい。
金属系硬化促進剤としては、例えば、コバルト、銅、亜鉛、鉄、ニッケル、マンガン、スズ等の金属の、有機金属錯体又は有機金属塩が挙げられる。有機金属錯体の具体例としては、コバルト(II)アセチルアセトナート、コバルト(III)アセチルアセトナート等の有機コバルト錯体、銅(II)アセチルアセトナート等の有機銅錯体、亜鉛(II)アセチルアセトナート等の有機亜鉛錯体、鉄(III)アセチルアセトナート等の有機鉄錯体、ニッケル(II)アセチルアセトナート等の有機ニッケル錯体、マンガン(II)アセチルアセトナート等の有機マンガン錯体等が挙げられる。有機金属塩としては、例えば、オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、ナフテン酸亜鉛、ナフテン酸コバルト、ステアリン酸スズ、ステアリン酸亜鉛等が挙げられる。
(c)硬化促進剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%としたとき、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.02質量%以上、特に好ましくは0.03質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは1質量%以下、特に好ましくは0.5質量%以下である。
(c)硬化促進剤の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.05質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上であり、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
<(d)熱可塑性樹脂>
樹脂組成物は、(d)熱可塑性樹脂を含有していてもよい。(d)熱可塑性樹脂としては、例えば、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリエステル樹脂等が挙げられ、フェノキシ樹脂が好ましい。熱可塑性樹脂は、1種単独で用いてもよく、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(d)熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは38000以上、より好ましくは40000以上、さらに好ましくは42000以上である。上限は、好ましくは100000以下、より好ましくは70000以下、さらに好ましくは60000以下である。(d)熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法で測定される。具体的には、(d)熱可塑性樹脂のポリスチレン換算の重量平均分子量は、測定装置として島津製作所社製LC-9A/RID-6Aを、カラムとして昭和電工社製Shodex K-800P/K-804L/K-804Lを、移動相としてクロロホルム等を用いて、カラム温度を40℃にて測定し、標準ポリスチレンの検量線を用いて算出することができる。
フェノキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA骨格、ビスフェノールF骨格、ビスフェノールS骨格、ビスフェノールアセトフェノン骨格、ノボラック骨格、ビフェニル骨格、フルオレン骨格、ジシクロペンタジエン骨格、ノルボルネン骨格、ナフタレン骨格、アントラセン骨格、アダマンタン骨格、テルペン骨格、及びトリメチルシクロヘキサン骨格からなる群から選択される1種以上の骨格を有するフェノキシ樹脂が挙げられる。フェノキシ樹脂の末端は、フェノール性水酸基、エポキシ基等のいずれの官能基でもよい。フェノキシ樹脂は1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。フェノキシ樹脂の具体例としては、三菱ケミカル社製の「1256」及び「4250」(いずれもビスフェノールA骨格含有フェノキシ樹脂)、「YX8100」(ビスフェノールS骨格含有フェノキシ樹脂)、及び「YX6954」(ビスフェノールアセトフェノン骨格含有フェノキシ樹脂)が挙げられ、その他にも、日鉄ケミカル&マテリアル社製の「FX280」及び「FX293」、三菱ケミカル社製の「YX7800BH40」、「YL7500BH30」、「YX6954BH30」、「YX7553」、「YX7553BH30」、「YL7769BH30」、「YL6794」、「YL7213」、「YL7290」及び「YL7482」等が挙げられる。
ポリビニルアセタール樹脂としては、例えば、ポリビニルホルマール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂が挙げられ、ポリビニルブチラール樹脂が好ましい。ポリビニルアセタール樹脂の具体例としては、例えば、電気化学工業社製の「電化ブチラール4000-2」、「電化ブチラール5000-A」、「電化ブチラール6000-C」、「電化ブチラール6000-EP」、積水化学工業社製のエスレックBHシリーズ、BXシリーズ(例えばBX-5Z)、KSシリーズ(例えばKS-1)、BLシリーズ、BMシリーズ等が挙げられる。
ポリイミド樹脂の具体例としては、新日本理化社製の「リカコートSN20」及び「リカコートPN20」が挙げられる。ポリイミド樹脂の具体例としてはまた、2官能性ヒドロキシル基末端ポリブタジエン、ジイソシアネート化合物及び四塩基酸無水物を反応させて得られる線状ポリイミド(特開2006-37083号公報記載のポリイミド)、ポリシロキサン骨格含有ポリイミド(特開2002-12667号公報及び特開2000-319386号公報等に記載のポリイミド)等の変性ポリイミドが挙げられる。
ポリアミドイミド樹脂の具体例としては、東洋紡社製の「バイロマックスHR11NN」及び「バイロマックスHR16NN」が挙げられる。ポリアミドイミド樹脂の具体例としてはまた、日立化成工業社製の「KS9100」、「KS9300」(ポリシロキサン骨格含有ポリアミドイミド)等の変性ポリアミドイミドが挙げられる。
ポリエーテルスルホン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「PES5003P」等が挙げられる。ポリフェニレンエーテル樹脂の具体例としては、三菱ガス化学社製のオリゴフェニレンエーテル・スチレン樹脂「OPE-2St 1200」等が挙げられる。ポリエーテルエーテルケトン樹脂の具体例としては、住友化学社製の「スミプロイK」等が挙げられる。ポリエーテルイミド樹脂の具体例としては、GE社製の「ウルテム」等が挙げられる。
ポリスルホン樹脂の具体例としては、ソルベイアドバンストポリマーズ社製のポリスルホン「P1700」、「P3500」等が挙げられる。
ポリオレフィン樹脂としては、例えば低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン-アクリル酸エチル共重合体、エチレン-アクリル酸メチル共重合体等のエチレン系共重合樹脂;ポリプロピレン、エチレン-プロピレンブロック共重合体等のポリオレフィン系エラストマー等が挙げられる。
ポリエステル樹脂としては、例えばポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリブチレンナフタレート樹脂、ポリトリメチレンテレフタレート樹脂、ポリトリメチレンナフタレート樹脂、ポリシクロヘキサンジメチルテレフタレート樹脂等が挙げられる。
中でも、(d)熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂、ポリビニルアセタール樹脂が好ましい。したがって好適な一実施形態において、熱可塑性樹脂は、フェノキシ樹脂及びポリビニルアセタール樹脂からなる群から選択される1種以上を含む。中でも、熱可塑性樹脂としては、フェノキシ樹脂が好ましく、重量平均分子量が40,000以上のフェノキシ樹脂が特に好ましい。
(d)熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上である。上限は、好ましくは5質量%以下、より好ましくは4質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下である。
(d)熱可塑性樹脂の含有量は、本発明の効果を顕著に得る観点から、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは1質量%以上、さらに好ましくは1.5質量%以上であり、好ましくは10質量%以下、より好ましくは8質量%以下、さらに好ましくは5質量%以下である。
<(e)その他の添加剤>
樹脂組成物は、上述した成分以外に、任意の成分として、更にその他の添加剤を含んでいてもよい。このような添加剤としては、例えば、難燃剤;有機充填材;有機銅化合物、有機亜鉛化合物及び有機コバルト化合物等の有機金属化合物;増粘剤;消泡剤;レベリング剤;密着性付与剤;着色剤等の樹脂添加剤が挙げられる。これらの添加剤は、1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を任意の比率で組み合わせて用いてもよい。それぞれの含有量は当業者であれば適宜設定できる。
樹脂組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、例えば、配合成分を、必要により溶媒等とともに、回転ミキサーなどを用いて混合・分散する方法などが挙げられる。
無機充填材が第1実施形態である場合、即ち、無機充填材の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、50質量%以上70質量%以下であり、平均粒子径が0.1μm以下であるとき、樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層にプラズマ処理によるビアホール又はトレンチの形成用として好適に使用できる。また、無機充填材が第2実施形態である場合、即ち、無機充填材の含有量が、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合、20質量%以上50質量%未満であり、平均粒子径が0.7μm以下であるとき、樹脂組成物は、プリント配線板の絶縁層にプラズマ処理によるビアホール又はトレンチの形成用として好適に使用できる。
[樹脂シート]
樹脂シートは、支持体と、該支持体上に設けられた、樹脂組成物で形成された樹脂組成物層を含む。樹脂組成物は、[樹脂組成物]欄において説明したとおりである。
樹脂組成物層の厚みは、プリント配線板の薄型化、及び当該樹脂組成物の硬化物が薄膜であっても絶縁性に優れた硬化物を提供できるという観点から、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、30μm以下、20μm以下である。樹脂組成物層の厚みの下限は、特に限定されないが、通常、1μm以上、5μm以上等とし得る。
支持体としては、例えば、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔、離型紙が挙げられ、プラスチック材料からなるフィルム、金属箔が好ましい。
支持体としてプラスチック材料からなるフィルムを使用する場合、プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(以下「PET」と略称することがある。)、ポリエチレンナフタレート(以下「PEN」と略称することがある。)等のポリエステル、ポリカーボネート(以下「PC」と略称することがある。)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル、環状ポリオレフィン、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリエーテルサルファイド(PES)、ポリエーテルケトン、ポリイミド等が挙げられる。中でも、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートが好ましく、安価なポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
支持体として金属箔を使用する場合、金属箔としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔等が挙げられ、銅箔が好ましい。銅箔としては、銅の単金属からなる箔を用いてもよく、銅と他の金属(例えば、スズ、クロム、銀、マグネシウム、ニッケル、ジルコニウム、ケイ素、チタン等)との合金からなる箔を用いてもよい。
支持体は、樹脂組成物層と接合する面にマット処理、コロナ処理、帯電防止処理を施してあってもよい。
また、支持体としては、樹脂組成物層と接合する面に離型層を有する離型層付き支持体を使用してもよい。離型層付き支持体の離型層に使用する離型剤としては、例えば、アルキド樹脂、ポリオレフィン樹脂、ウレタン樹脂、及びシリコーン樹脂からなる群から選択される1種以上の離型剤が挙げられる。離型層付き支持体は、市販品を用いてもよく、例えば、リンテック社製の「SK-1」、「AL-5」、「AL-7」、東レ社製の「ルミラーT60」、帝人社製の「ピューレックス」、ユニチカ社製の「ユニピール」等のアルキド樹脂系離型剤を主成分とする離型層を有するPETフィルム;デュポンフィルム社製の「U2-NR1」;等が挙げられる。
支持体の厚みとしては、特に限定されないが、5μm~75μmの範囲が好ましく、10μm~60μmの範囲がより好ましい。なお、離型層付き支持体を使用する場合、離型層付き支持体全体の厚さが上記範囲であることが好ましい。
一実施形態において、樹脂シートは、さらに必要に応じて、その他の層を含んでいてもよい。斯かるその他の層としては、例えば、樹脂組成物層の支持体と接合していない面(即ち、支持体とは反対側の面)に設けられた、支持体に準じた保護フィルム等が挙げられる。保護フィルムの厚さは、特に限定されるものではないが、例えば、1μm~40μmである。保護フィルムを積層することにより、樹脂組成物層の表面へのゴミ等の付着やキズを抑制することができる。
樹脂シートは、例えば、有機溶剤に樹脂組成物を溶解した樹脂ワニスを調製し、この樹脂ワニスを、ダイコーター等を用いて支持体上に塗布し、更に乾燥させて樹脂組成物層を形成させることにより製造することができる。
有機溶剤としては、例えば、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)及びシクロヘキサノン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート及びカルビトールアセテート等の酢酸エステル類;セロソルブ及びブチルカルビトール等のカルビトール類;トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素類;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド(DMAc)及びN-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等を挙げることができる。有機溶剤は1種単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
乾燥は、加熱、熱風吹きつけ等の公知の方法により実施してよい。乾燥条件は特に限定されないが、樹脂組成物層中の有機溶剤の含有量が10質量%以下、好ましくは5質量%以下となるように乾燥させる。樹脂ワニス中の有機溶剤の沸点によっても異なるが、例えば30質量%~60質量%の有機溶剤を含む樹脂ワニスを用いる場合、50℃~150℃で3分間~10分間乾燥させることにより、樹脂組成物層を形成することができる。
樹脂シートは、ロール状に巻きとって保存することが可能である。樹脂シートが保護フィルムを有する場合、保護フィルムを剥がすことによって使用可能となる。
[プリント配線板の製造方法]
本発明のプリント配線板の製造方法は、
(A)内層回路基板上に、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程、及び
(B)絶縁層の表面にプラズマ処理を行い、ビアホール又はトレンチを形成する工程を含む。
本発明では、レーザー処理ではなくプラズマ処理にてビアホール又はトレンチを絶縁層に形成する。よって、ハローイング現象の発生を抑制することができ、ビアホールの側面およびトレンチの側面及び底面の凹凸の発生を抑制することができる。
また、本発明のプリント配線板の製造方法は、工程(A)及び工程(B)に加えて、必要に応じて、
(C)絶縁層表面を粗化処理する工程、
(D)絶縁層の表面に導体層を形成する工程、を含んでいてもよい。
工程(A)及び工程(B)は、この順で行うことが好ましく、工程(A)、工程(B)、工程(C)及び工程(D)の順で行うことがより好ましい。以下、プリント配線板の製造方法の各工程について説明する。
<工程(A)>
工程(A)は、内層回路基板上に、樹脂組成物の硬化物を含む絶縁層を形成する工程である。工程(A)では、通常、内層回路基板の主表面上に絶縁層を形成する。内層回路基板の主表面とは、絶縁層が設けられる、内層回路基板の表面を表す。
工程(A)を行うにあたって、(A-1)内層回路基板を準備する工程を含んでいてもよい。内層回路基板は、通常、支持基板と、支持基板の表面に設けられた金属層を備える。金属層は、内層回路基板の主表面に露出している。
支持基板の材料としては、例えば、ガラスエポキシ基板、金属基板、ポリエステル基板、ポリイミド基板、BTレジン基板、熱硬化型ポリフェニレンエーテル基板等が挙げられる。金属層の材料としては、銅箔、キャリア付き銅箔、後述する導体層の材料等が挙げられ、銅箔が好ましい。
また、工程(A)を行うにあたって、(A-2)樹脂シートを準備する工程を含んでいてもよい。樹脂シートは、上記において説明したとおりである。
工程(A)では、例えば、内層回路基板の主表面上に樹脂シートの樹脂組成物層を積層させ、樹脂組成物層を熱硬化させることで絶縁層を形成する。
内層回路基板と樹脂シートの積層は、例えば、支持体側から樹脂シートを内層回路基板に加熱圧着することにより行うことができる。樹脂シートを内層回路基板に加熱圧着する部材(以下、「加熱圧着部材」ともいう。)としては、例えば、加熱された金属板(SUS鏡板等)又は金属ロール(SUSロール)等が挙げられる。なお、加熱圧着部材を樹脂シートに直接プレスするのではなく、内層回路基板の表面凹凸に樹脂シートが十分に追随するよう、耐熱ゴム等の弾性材を介してプレスするのが好ましい。
内層回路基板と樹脂シートの積層は、真空ラミネート法により実施してよい。真空ラミネート法において、加熱圧着温度は、好ましくは60℃~160℃、より好ましくは80℃~140℃の範囲であり、加熱圧着圧力は、好ましくは0.098MPa~1.77MPa、より好ましくは0.29MPa~1.47MPaの範囲であり、加熱圧着時間は、好ましくは20秒間~400秒間、より好ましくは30秒間~300秒間の範囲である。積層は、好ましくは圧力26.7hPa以下の減圧条件下で実施する。
積層は、市販の真空ラミネーターによって行うことができる。市販の真空ラミネーターとしては、例えば、名機製作所社製の真空加圧式ラミネーター、ニッコー・マテリアルズ社製のバキュームアップリケーター、バッチ式真空加圧ラミネーター等が挙げられる。
積層の後に、常圧下(大気圧下)、例えば、加熱圧着部材を支持体側からプレスすることにより、積層された樹脂シートの平滑化処理を行ってもよい。平滑化処理のプレス条件は、上記積層の加熱圧着条件と同様の条件とすることができる。平滑化処理は、市販のラミネーターによって行うことができる。なお、積層と平滑化処理は、上記の市販の真空ラミネーターを用いて連続的に行ってもよい。
支持体は、樹脂シートを積層後熱硬化させる前に除去してもよく、工程(A)の後に除去してもよい。
樹脂シートを内層回路基板に積層した後、樹脂組成物層を熱硬化して絶縁層を形成する。樹脂組成物層の熱硬化条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常採用される条件を使用してよい。
例えば、樹脂組成物層の熱硬化条件は、樹脂組成物の種類等によっても異なるが、硬化温度は好ましくは120℃~240℃、より好ましくは150℃~220℃、さらに好ましくは170℃~210℃である。硬化時間は好ましくは5分間~120分間、より好ましくは10分間~100分間、さらに好ましくは15分間~100分間とすることができる。
樹脂組成物層を熱硬化させる前に、樹脂組成物層を硬化温度よりも低い温度にて予備加熱してもよい。例えば、樹脂組成物層を熱硬化させるのに先立ち、50℃以上120℃未満(好ましくは60℃以上115℃以下、より好ましくは70℃以上110℃以下)の温度にて、樹脂組成物層を5分間以上(好ましくは5分間~150分間、より好ましくは15分間~120分間、さらに好ましくは15分間~100分間)予備加熱してもよい。
絶縁層の厚みとしては、好ましくは100μm以下、より好ましくは50μm以下、さらに好ましくは40μm以下、30μm以下、20μm以下であり、好ましくは1μm以上、より好ましくは5μm以上である。
なお、樹脂シートを用いて絶縁層を形成する代わりに、内層回路基板の主表面上に直接樹脂組成物を塗布し、絶縁層を形成してもよい。その際の絶縁層を形成する条件は、樹脂シートを用いて絶縁層を形成する条件と同様である。また、塗布する樹脂組成物は上記において説明したとおりである。
工程(A)終了後工程(B)を行う前に、絶縁層にビアホール又はトレンチを効果的に形成するために、(A-3)絶縁層上又は支持体上にドライフィルムをラミネートする工程、及び(A-4)フォトマスクを用いてドライフィルムに露光及び現像を行い、パターンドライフィルムを得る工程を含んでいてもよい。
工程(A-3)では、内層回路基板の主表面上に形成された絶縁層又は支持体上にドライフィルムをラミネートする。絶縁層とドライフィルムとの積層条件は、内層回路基板と樹脂シートとの積層条件と同様であり得る。
工程(A-3)にて用いるドライフィルムとしては、露光及び現像によりパターンドライフィルムが得られるものであれば良く、工程(B)でのプラズマ処理に対して耐性があるフィルムであればなお良い。また、ドライフィルムとしては、フォトレジスト組成物からなる感光性のドライフィルムを用いることができる。このようなドライフィルムとしては、例えば、ノボラック樹脂、アクリル樹脂等の樹脂で形成されたドライフィルムを用いることができる。
ドライフィルムの厚みとしては、ビアホールの加工性を向上させる観点から、好ましくは10μm以上、より好ましくは15μm以上、さらに好ましくは20μm以上であり、好ましくは100μm以下、より好ましくは70μm以下、さらに好ましくは50μm以下である。
工程(A-4)において、所定のパターンを有するフォトマスクを通して、活性エネルギー線を照射し露光を行う。露光の詳細は、通常、ドライフィルムの表面に、フォトマスクを通して活性エネルギー線を照射して、ドライフィルムの露光部分を光硬化させる。活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線等が挙げられ、紫外線が好ましい。紫外線の照射量及び照射時間は、ドライフィルムに応じて適切に設定できる。露光方法としては、例えば、マスクパターンをドライフィルムに密着させて露光する接触露光法、マスクパターンをドライフィルムに密着させずに平行光線を使用して露光する非接触露光法などが挙げられる。
露光後、現像を行うことでドライフィルムの露光部分及び非露光部分の一方(通常は、非露光部分)を除去して、パターンドライフィルムを形成する。現像は、ウェット現像、ドライ現像のいずれを行ってもよい。現像の方式としては、例えば、ディップ方式、パドル方式、スプレー方式、ブラッシング方式、スクラッピング方式等が挙げられる。
後述する工程(B)において、パターンドライフィルムをマスクとしプラズマ処理を行い、ビアホール又はトレンチを形成する。
<工程(B)>
工程(B)は、絶縁層の表面にプラズマ処理を行い、絶縁層表面にビアホール又はトレンチを形成する工程である。(B)工程の詳細は、図1に一例を示すように、所定のガスによるプラズマにて絶縁層100中に含まれる樹脂組成物の硬化物を除去して、ビアホール110を形成する。通常は、樹脂成分の硬化物1020のみが、プラズマによってエッチングされる。絶縁層100中に無機充填材1010が含まれる場合、無機充填材1010は、通常はエッチングされないが、周囲の樹脂成分の硬化物1020がエッチングされることによって掘り出される。掘り出された無機充填材1010は、硬化物から脱落し、吹き飛ばされうる。無機充填材1010が第1実施形態である場合、その平均粒子径は0.1μm以下であるため、ビアホール110の側壁の無機充填材1010が掘り出された箇所1030の深さ及び径は小さい。即ち側壁の凹凸差が小さくなり、不均一な面の形成が抑制される。また、無機充填材1010が第2実施形態である場合、その含有量が少ないので、ビアホール110の側壁の無機充填材1010が掘り出された箇所1030の深さ及び径は小さい。その結果、後述する工程(D)においてビアホール110内に形成された導体層の厚みを均一にすることが可能となる。
プラズマ処理は、プラズマ発生装置内にガスを導入することで発生させたプラズマで、絶縁層の表面を処理することで、絶縁層表面にビアホール又はトレンチを形成する。プラズマの発生方法としては特に制限はなく、マイクロ波によりプラズマを発生させるマイクロ波プラズマ、高周波を用いた高周波プラズマ、大気圧下で発生させる大気圧プラズマ、真空下で発生させる大気圧プラズマ等が挙げられ、真空下で発生させる大気圧プラズマが好ましい。
また、工程(C)で用いるプラズマは、高周波で励起するRFプラズマであることが好ましい。
プラズマ化する反応性ガスとしては、加工速度の観点から、絶縁層中の樹脂成分の硬化物のみをエッチングし、無機充填材を脱落させる気体を用いることができる。このような観点から、反応性ガスとしては、O2を含むことが好ましい。反応性ガスにはAr、N2等の不活性ガスが含まれていてもよい。また反応性ガスにはCF4、C4F6、C4F8、CH2F2、CHF3等のフルオロカーボン系のフッ素化合物が含まれていてもよい。反応性ガスとしては特にO2及びCF4を含む混合ガスが好ましい。
O2を含む混合ガスを用いる場合、混合ガスの混合比(O2以外のガス/O2:単位はsccm)としては、ビアホール又はトレンチの内に形成された導体層の厚みを均一にする観点から、好ましくは0.1/10~1/1、より好ましくは0.5/10~1/2、より好ましくは1/10~1/2である。CF4及びO2の混合ガスを用いる場合、CF4及びO2の混合ガスの混合比(CF4/O2:単位はsccm)としては、ビアホール又はトレンチの内に形成された導体層の厚みを均一にする観点から、好ましくは0.1/10~1/1、より好ましくは0.5/10~1/2、より好ましくは1/10~1/2である。
プラズマ処理におけるチャンバー容器内の圧力は、本発明の効果を顕著に得る観点から、好ましくは50Pa以上、より好ましくは75Pa以上、さらに好ましくは100Pa以上であり、好ましくは300Pa以下、より好ましくは250Pa以下、さらに好ましくは200Pa以下である。
プラズマ処理における照射時間は特に限定されないが、1分以上が好ましく、2分以上がより好ましく、3分以上がさらに好ましい。上限については特に限定されないが、20分以下が好ましく、15分以下がさらに好ましく、10分以下がより好ましい。
本発明はプラズマ処理にてビアホール又はトレンチを形成するので、ビアホール又はトレンチの開口径を小さくすることができる。前記の開口径としては、好ましくは50μm以下、より好ましくは40μm以下、さらに好ましくは30μm以下、20μm以下である。下限は特に限定されないが、1μm以上等とし得る。
<工程(C)>
工程(C)は、絶縁層表面を粗化処理する工程であり、詳細は、工程(B)により脱落した無機充填材等の異物を、処理液によりビアホール又はトレンチから除去する工程である。工程(B)後の絶縁層の表面には、異物が存在しうる。この異物には、例えばプラズマ処理によって掘り出された無機充填材が含まれ得る。この異物は導体層の密着強度の低下の原因となり得る。そこで、これら異物を除去するために工程(C)を行う。工程(C)の詳細は、工程(B)終了後、絶縁層表面を処理液に接触させて前記の異物を除去する工程である。工程(C)は1回行ってもよく、複数回行ってもよい。
工程(C)の手順、条件は特に限定されず、プリント配線板の絶縁層を形成するに際して通常使用される公知の手順、条件を採用することができる。例えば、膨潤液による膨潤処理、酸化剤による粗化処理、中和液による中和処理をこの順に実施して絶縁層を粗化処理することができる。粗化処理に用いる膨潤液としては特に限定されないが、アルカリ溶液、界面活性剤溶液等が挙げられ、好ましくはアルカリ溶液であり、該アルカリ溶液としては、水酸化ナトリウム溶液、水酸化カリウム溶液がより好ましい。市販されている膨潤液としては、例えば、アトテックジャパン社製の「スウェリング・ディップ・セキュリガンスP」、「スウェリング・ディップ・セキュリガンスSBU」、「スウェリングディップ・セキュリガントP」等が挙げられる。膨潤液による膨潤処理は、特に限定されないが、例えば、30℃~90℃の膨潤液に絶縁層を1分間~20分間浸漬することにより行うことができる。絶縁層の樹脂の膨潤を適度なレベルに抑える観点から、40℃~80℃の膨潤液に絶縁層を5分間~15分間浸漬させることが好ましい。粗化処理に用いる酸化剤としては、特に限定されないが、例えば、水酸化ナトリウムの水溶液に過マンガン酸カリウムや過マンガン酸ナトリウムを溶解したアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。アルカリ性過マンガン酸溶液等の酸化剤による粗化処理は、60℃~100℃に加熱した酸化剤溶液に絶縁層を10分間~30分間浸漬させて行うことが好ましい。また、アルカリ性過マンガン酸溶液における過マンガン酸塩の濃度は5質量%~10質量%が好ましい。市販されている酸化剤としては、例えば、アトテックジャパン社製の「コンセントレート・コンパクトCP」、「ドージングソリューション・セキュリガンスP」等のアルカリ性過マンガン酸溶液が挙げられる。また、粗化処理に用いる中和液としては、酸性の水溶液が好ましく、市販品としては、例えば、アトテックジャパン社製の「リダクションソリューション・セキュリガントP」が挙げられる。中和液による処理は、酸化剤による粗化処理がなされた処理面を30℃~80℃の中和液に1分間~30分間浸漬させることにより行うことができる。作業性等の点から、酸化剤による粗化処理がなされた対象物を、40℃~70℃の中和液に5分間~20分間浸漬する方法が好ましい。
一実施形態において、粗化処理後の絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、好ましくは500nm以下、より好ましくは400nm以下、さらに好ましくは300nm以下である。下限については特に限定されないが、好ましくは30nm以上、より好ましくは40nm以上、さらに好ましくは50nm以上である。絶縁層表面の算術平均粗さ(Ra)は、非接触型表面粗さ計を用いて測定することができる。
<工程(D)>
工程(D)は、絶縁層の表面に導体層を形成する工程である。導体層に使用する導体材料は特に限定されない。好適な実施形態では、導体層は、金、白金、パラジウム、銀、銅、アルミニウム、コバルト、クロム、亜鉛、ニッケル、チタン、タングステン、鉄、スズ及びインジウムからなる群から選択される1種以上の金属を含む。導体層は、単金属層であっても合金層であってもよく、合金層としては、例えば、上記の群から選択される2種以上の金属の合金(例えば、ニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金及び銅・チタン合金)から形成された層が挙げられる。中でも、導体層形成の汎用性、コスト、パターニングの容易性等の観点から、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金、銅・ニッケル合金、銅・チタン合金の合金層が好ましく、クロム、ニッケル、チタン、アルミニウム、亜鉛、金、パラジウム、銀若しくは銅の単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層がより好ましく、銅の単金属層が更に好ましい。
導体層は、単層構造であっても、異なる種類の金属若しくは合金からなる単金属層又は合金層が2層以上積層した複層構造であってもよい。導体層が複層構造である場合、硬化体と接する層は、クロム、亜鉛若しくはチタンの単金属層、又はニッケル・クロム合金の合金層であることが好ましい。
導体層の厚さは、所望のプリント配線板のデザインによるが、一般に3μm~35μm、好ましくは5μm~30μmである。
工程(D)の好適な一実施形態として、導体層はスパッタにより形成する。本発明では、樹脂組成物として所定量且つ所定の平均粒子径を有する無機充填材を含むので、ビアホールの側壁の無機充填材が掘り出された箇所の凹凸差が小さくなる。その結果、ビアホール又はトレンチの内に形成された導体層の厚みを均一にすることが可能となる。
スパッタにより導体層を形成するに際して、通常、まずスパッタにより、絶縁層表面に導体シード層を形成した後、スパッタにより該導体シード層上に導体スパッタ層が形成される。スパッタによる導体シード層形成前に、逆スパッタにより絶縁層表面をクリーニングしてもよい。該逆スパッタに用いるガスとしては、各種のガスを用いることができるが、中でもAr、O2、N2が好ましい。シード層がCu及びCu合金の場合はArまたはO2あるいはAr、O2混合ガス、シード層がTiの場合はArまたはN2あるいはAr、N2混合ガス、シード層がCr及びCr合金(ニクロムなど)の場合はArまたはO2あるいはAr、O2混合ガスが好ましい。スパッタは、マグネトロンスパッタ、ミラートロンスパッタ等の各種スパッタ装置を用いて行うことができる。導体シード層を形成する金属としては、Cr、Ni、Ti、ニクロム等が挙げられる。特にCr、Tiが好ましい。導体シード層の厚みは通常、好ましくは5nm以上、より好ましくは10nm以上であり、好ましくは1000nm以下、より好ましくは500nm以下となるように形成される。導体スパッタ層を形成する金属としては、Cu、Pt、Au、Pd等が挙げられる。特にCuが好ましい。導体スパッタ層の厚みは、通常、好ましくは50nm以上、より好ましくは100nm以上であり、好ましくは3000nm以下、より好ましくは1000nm以下となるように形成される。
スパッタにより導体層を形成した後、該導体層上に、さらに電解銅めっきにより銅めっき層を形成してもよい。銅めっき層の厚みは、通常、好ましくは5μm以上、より好ましくは8μm以上であり、好ましくは75μm以下、より好ましくは35μm以下となるように形成される。回路形成には、サブトラクティブ法、セミアディティブ法等の公知の方法を用いることができる。
本発明のプリント配線板の製造方法は、ハローイング現象が抑制されるという特性を示す。以下、ハローイング現象について、図面を参照して説明する。
図2は、レーザーでビアホールが形成された従来のプリント配線板の、導体層が形成される直前の絶縁層100の、金属層210(図2では図示せず。)とは反対側の面100Uを模式的に示す平面図である。図3は、レーザーでビアホールが形成された従来のプリント配線板の、導体層が形成される直前の絶縁層100を、内層回路基板200の金属層210と共に模式的に示す断面図である。図3においては、ビアホール110のビアボトム120の中心120Cを通り且つ絶縁層100の厚み方向に平行な平面で、絶縁層100を切断した断面を示す。
図2に示すように、レーザーにてビアホールを形成すると、レーザーの熱による樹脂の劣化に起因して変色部140が生じることがある。この変色部140は、粗化処理時に薬剤の浸食を受け、絶縁層100が金属層210から剥離し、ビアボトム120のエッジ150から連続した間隙部160が形成されることがある(ビアホール現象)。
本発明では、熱を生じにくいプラズマ処理にてビアホール又はトレンチを形成しているので、樹脂の劣化を抑制できる。よって、金属層210からの絶縁層100の剥離を抑制することができ、間隙部160のサイズを小さくでき、理想的には変色部140及び間隙部160を無くすことができる。
変色部140のサイズは、ビアホール110のビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtによって評価できる。
ビアトップ130のエッジ180は、変色部140の内周側の縁部に相当する。ビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtとは、ビアトップ130のエッジ180から、変色部140の外周側の縁部190までの距離を表す。ビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtが小さいほど、変色部140の形成を効果的に抑制できたと評価できる。
例えば、銅箔上に形成された、樹脂シートを100℃で30分間、次いで180℃で30分間加熱して硬化させて得た絶縁層100にプラズマを照射して、トップ径Ltが約15μmのビアホール110を形成する。このようにして得られた絶縁層100のビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtを、好ましくは15μm以下、より好ましくは10μm以下、さらに好ましくは5μm以下にできる。下限は特に限定されないが、0μm以上、0.01μm以上等とし得る。
ビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtは、光学顕微鏡による観察によって測定できる。
また、本発明者の検討によれば、一般に、ビアホール110の径が大きいほど、変色部140のサイズが大きくなり易い傾向があることが判明している。よって、ビアホール110の径に対する変色部140のサイズの比率によって、変色部140の形成の抑制の程度を評価できる。例えば、ビアホール110のトップ半径Lt/2に対するハローイング比Htにより、評価ができる。ここで、ビアホール110のトップ半径Lt/2とは、ビアホール110のビアトップ130の半径をいう。また、ビアホール110のトップ半径Lt/2に対するハローイング比Htとは、ビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtを、ビアホール110のトップ半径Lt/2で割って得られる比率である。ビアホール110のトップ半径Lt/2に対するハローイング比Htが小さいほど、変色部140の形成を効果的に抑制できたことを表す。
例えば、銅箔上に形成された、樹脂シートを100℃で30分間、次いで180℃で30分間加熱して硬化させて得た絶縁層100に、プラズマ照射して、トップ径Ltが約15μmのビアホール110を形成する。このようにして得られた絶縁層100に形成されたビアホール110のトップ半径Lt/2に対するハローイング比Htを、好ましくは35%以下、より好ましくは25%以下、更に好ましくは10%以下、5%以下にできる。下限は特に限定されないが、0%以上、0.01%以上等とし得る。
ビアホール110のトップ半径Lt/2に対するハローイング比Htは、ビアホール110のトップ径Lt、及び、ビアホール110のビアトップ130のエッジ180からのハローイング距離Wtから計算できる。
ビアボトム120のエッジ150は、間隙部160の内周側の縁部に相当する。よって、ビアボトム120のエッジ150から、間隙部160の外周側の端部(即ち、ビアボトム120の中心120Cから遠い側の端部)170までの距離Wbは、間隙部160の面内方向のサイズに相当する。ここで、面内方向とは、絶縁層100の厚み方向に垂直な方向をいう。また、以下の説明において、前記の距離Wbを、ビアホール110のビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbということがある。
変色部140のサイズは、このビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbにより、ハローイング現象の抑制の程度を評価することもできる。具体的には、ビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbが小さいほど、ハローイング現象を効果的に抑制できたと評価できる。
絶縁層100のビアホール110のビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbとしては、好ましくは10μm以下、より好ましくは5μm以下、さらに好ましくは4.5μm以下、特に好ましくは4μm以下である。下限は特に限定されないが、0μm以上、0.01μm以上等とし得る。ハローイング距離Wbは、FIB(集束イオンビーム)を用いて、絶縁層100を、当該絶縁層100の厚み方向に平行で且つビアボトム120の中心120Cを通る断面が現れるように削り出した後、その断面を電子顕微鏡で観察することにより、測定できる。
また、レーザーを用いる従来法では、ビアホールの径が大きいほど間隙部160のサイズも大きくなり易い傾向があることが判明している。よって、ビアホール110の径に対する間隙部160のサイズの比率によって、ハローイング現象の抑制の程度を評価できる。例えば、ビアホール110のボトム半径Lb/2に対するハローイング比Hbにより、評価ができる。ここで、ビアホール110のボトム半径Lb/2とは、ビアホール110のビアボトム120の半径をいう。また、ビアホール110のボトム半径Lb/2に対するハローイング比Hbとは、ビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbを、ビアホール110のボトム半径Lb/2で割って得られる比率である。ビアホール110のボトム半径Lb/2に対するハローイング比Hbが小さいほど、ハローイング現象を効果的に抑制できたことを表す。
ハローイング比Hbを、好ましくは35%以下、より好ましくは30%以下、更に好ましくは25%以下にできる。ビアホール110のボトム半径Lb/2に対するハローイング比Hbは、ビアホール110のボトム径Lb、及び、ビアホール110のビアボトム120のエッジ150からのハローイング距離Wbから計算できる。
プリント配線板の製造過程において、ビアホール110は、通常、金属層210とは反対側の絶縁層100の面100Uに別の導体層(図示せず)が設けられていない状態で、形成される。そのため、プリント配線板の製造過程が分かれば、金属層210側にビアボトム120があり、金属層210とは反対側にビアトップ130が開口している構造が、明確に認識できる。しかし、完成したプリント配線板では、絶縁層100の両側に導体層が設けられている場合がありうる。この場合、導体層との位置関係によってビアボトム120とビアトップ130とを区別することが難しいことがありえる。しかし、通常、ビアトップ130のトップ径Ltは、ビアボトム120のボトム径Lb以上の大きさである。したがって、前記の場合、径が大きさによって、ビアボトム120とビアトップ130とを区別することが可能である。
本発明のプリント配線板の製造方法は、ビアホールの側壁の、無機充填材が掘り出された箇所の凹凸差を小さくすることができる。このため、ビアホール内に均一な厚みの導体層を形成することができる。SEMを用いて絶縁層の断面観察を行うと、絶縁層に形成されたトレンチとビアホールの壁面に銅層が均一且つ途切れることなく形成されていることを確認できる。
本発明のプリント配線板の製造方法は、ビルドアップ方式による積層プロセスで適用されるため、各部材の線熱膨張係数(CTE)のミスマッチが低い方が好ましい。絶縁層の線熱膨張係数(CTE)としては、好ましくは50ppm/℃以下、より好ましくは40ppm/℃以下、さらに好ましくは30ppm/℃以下、25ppm/℃以下である。下限は特に限定されないが、10ppm/℃以上、20ppm/℃以上、25ppm/℃以上等とし得る。線熱膨張係数は、後述する実施例に従って測定することができる。
[半導体装置]
本発明の半導体装置は、プリント配線板を含む。本発明の半導体装置は、本発明の製造方法により得られたプリント配線板を用いて製造することができる。
半導体装置としては、電気製品(例えば、コンピューター、携帯電話、デジタルカメラ及びテレビ等)及び乗物(例えば、自動二輪車、自動車、電車、船舶及び航空機等)等に供される各種半導体装置が挙げられる。
本発明の半導体装置は、プリント配線板の導通箇所に、部品(半導体チップ)を実装することにより製造することができる。「導通箇所」とは、「プリント配線板における電気信号を伝える箇所」であって、その場所は表面であっても、埋め込まれた箇所であってもいずれでも構わない。また、半導体チップは半導体を材料とする電気回路素子であれば特に限定されない。
半導体装置を製造する際の半導体チップの実装方法は、半導体チップが有効に機能しさえすれば、特に限定されないが、具体的には、ワイヤボンディング実装方法、フリップチップ実装方法、バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法、異方性導電フィルム(ACF)による実装方法、非導電性フィルム(NCF)による実装方法、等が挙げられる。ここで、「バンプなしビルドアップ層(BBUL)による実装方法」とは、「半導体チップをプリント配線板の凹部に直接埋め込み、半導体チップとプリント配線板上の配線とを接続させる実装方法」のことである。
以下、本発明について、実施例を示して具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されるものでは無い。以下の説明において、量を表す「部」及び「%」は、別途明示の無い限り、それぞれ「質量部」及び「質量%」を意味する。また、以下に説明する操作は、別途明示の無い限り、常温常圧の環境で行った。
<使用した無機充填材>
無機充填材1:球状シリカ(電気化学工業社製「UFP-30」、平均粒子径0.078μm、比表面積30.7m2/g)100部に対して、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM573)2部で表面処理したもの。
無機充填材2:球形シリカ(アドマテックス社製「SC2500SQ」、平均粒子径0.63μm、比表面積11.2m2/g)100部に対して、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM573)1部で表面処理したもの。
無機充填材3:球形シリカ(アドマテックス社製「SC4500SQ」、平均粒子径1.0μm、比表面積4.5m2/g)100部に対して、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社製、KBM573)1部で表面処理したもの。
<樹脂組成物1の調製>
ビキシレノール型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX4000HK」、エポキシ当量約185g/eq.)6部、ナフタレン型エポキシ樹脂(新日鉄住金化学社製「ESN475V」、エポキシ当量約332g/eq.)5部、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YL7760」、エポキシ当量約238g/eq.)15部、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂(DIC社製「HP6000L」、エポキシ当量約213g/eq.)2部、シクロヘキサン型エポキシ樹脂(三菱ケミカル社製「ZX1658GS」、エポキシ当量約135g/eq.)2部、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YL7500BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液、Mw=44000)2部を、ソルベントナフサ20部及びシクロヘキサノン10部の混合溶剤に撹拌しながら加熱溶解させた。室温にまで冷却した後、そこへ、トリアジン骨格含有クレゾールノボラック系樹脂(DIC社製「LA-3018-50P」、水酸基当量約151g/eq.、固形分50%の2-メトキシプロパノール溶液)4部、活性エステル系樹脂(DIC社製「EXB-8000L-65TM」、活性基当量約220g/eq.、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)6部、無機充填材1を60部、アミン系硬化促進剤(4-ジメチルアミノピリジン(DMAP))0.05部を混合し、高速回転ミキサーで均一に分散した後に、カートリッジフィルター(ROKITECHNO社製「SHP020」)で濾過して、樹脂組成物1を調製した。
<樹脂組成物2の調製>
樹脂組成物1の調製において、
1)無機充填材1 60部を無機充填材2 80部に変え、
2)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YL7500BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液、Mw=44000)2部を、フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液、Mw=35000)2部に変えた。
以上の事項以外は樹脂組成物1の調製と同様にして樹脂組成物2を調製した。
<樹脂組成物3の調製>
樹脂組成物2の調製において、無機充填材2 80部を、無機充填材3 80部に変えた。以上の事項以外は樹脂組成物2の調製と同様にして樹脂組成物3を調製した。
<樹脂組成物4の調製>
樹脂組成物1の調製において、
1)無機充填材1の量を60部から30部に変え、
2)活性エステル系樹脂(DIC社製「EXB-8000L-65TM」、活性基当量約220g/eq.、不揮発成分65質量%のトルエン溶液)6部を、活性エステル系樹脂(DIC社製「HPB-8151-62T」、活性基当量約238g/eq.、不揮発成分62質量%のトルエン溶液)6部に変え、
3)フェノキシ樹脂(三菱ケミカル社製「YX7553BH30」、固形分30質量%のシクロヘキサノン:メチルエチルケトン(MEK)の1:1溶液、Mw=35000)2部を加えた。
以上の事項以外は樹脂組成物1の調製と同様にして樹脂組成物4を調製した。
<樹脂組成物5の調製>
樹脂組成物4の調製において、無機充填材1 30部を、無機充填材2 30部に変えた。以上の事項以外は樹脂組成物4の調製と同様にして樹脂組成物5を調製した。
樹脂組成物1~5の調製に用いた成分とその配合量(不揮発分の質量部)を下記表に示した。なお、硬化剤、及び活性エステル系樹脂の含有量は、樹脂組成物中の樹脂成分を100質量%とした場合の含有量を表し、(a)成分の含有量は、樹脂組成物中の不揮発成分を100質量%とした場合の含有量を表す。
<線熱膨張係数(CTE)の測定>
(評価用硬化物の作製)
離型剤処理されたPETフィルム(リンテック社製「501010」、厚み38μm、240mm角)の離型剤未処理面に、ガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(松下電工社製「R5715ES」、厚み0.7mm、255mm角)を重ね四辺をポリイミド接着テープ(幅10mm)で固定した(以下、「固定PETフィルム」)。
樹脂組成物1~5をアルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL-5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、以下「離型PET」)上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚さが40μmとなるようにダイコーターにて塗布し、80℃~120℃(平均100℃)で10分間乾燥し樹脂シートを得た。各樹脂シート(厚み40μm、200mm角)を、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製2ステージビルドアップラミネーター、CVP700)を用いて、樹脂組成物層が固定PETフィルムの離型剤処理面と接するように、中央にラミネート処理し、樹脂シートを得た。ラミネート処理は、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とした後、100℃、圧力0.74MPaにて30秒間圧着させることにより実施した。
次いで、100℃の温度条件で、100℃のオーブンに投入後30分間、次いで175℃の温度条件で、175℃のオーブンに移し替えた後30分間、熱硬化させた。その後、基板を室温雰囲気下に取り出し、支持体付き樹脂シートから離型PETを剥離した後、さらに190℃のオーブンに投入後90分間の硬化条件で熱硬化させた。
熱硬化後、ポリイミド接着テープを剥がし、硬化物をガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板から取り外し、更にPETフィルム(リンテック社製「501010」)も剥離して、シート状の硬化物を得た。得られた硬化物を「評価用硬化物」と称する。
(CTEの測定)
評価用硬化物を幅5mm、長さ15mmの試験片に切断し、熱機械分析装置(リガク社製「Thermo Plus TMA8310」)を用いて、引張加重法にて熱機械分析を行った。詳細には、試験片を前記熱機械分析装置に装着した後、荷重1g、昇温速度5℃/分の測定条件にて連続して2回測定した。そして2回の測定において、25℃から150℃までの範囲における平面方向の線熱膨張係数(ppm/℃)を算出した。また、算出した線熱膨張係数を以下の基準で評価した。
◎:CTEが30ppm/℃以下
〇:CTEが30ppm/℃を超え40ppm/℃以下
×:CTEが40ppm/℃以上
<樹脂シートA、Bの作製>
支持体として、アルキド樹脂系離型剤(リンテック社製「AL-5」)で離型処理したPETフィルム(東レ社製「ルミラーR80」、厚み38μm、軟化点130℃、「離型PET」)を用意した。各樹脂組成物1~5を支持体の離型剤上に、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが35μmとなるよう、ダイコーターにて均一に塗布し、70℃から95℃で2分間乾燥することにより、離型PET上に樹脂組成物層を得た。次いで、樹脂シートの支持体と接合していない面に、保護フィルムとしてポリプロピレンフィルム(王子エフテックス社製「アルファンMA-411」、厚み15μm)の粗面を、樹脂組成物層と接合するように積層した。これにより、離型PET(支持体)、樹脂組成物層、及び保護フィルムの順からなる樹脂シートAを得た。
また、乾燥後の樹脂組成物層の厚みが15μmとなるよう、ダイコーターにて均一に各樹脂組成物を塗布した以外は樹脂シートAと同様にして樹脂シートBを得た。
<樹脂組成物層等の厚みの測定>
樹脂組成物層の厚みは、接触式膜厚計(ミツトヨ社製、MCD-25MJ)を用いて測定した。
-評価基板A、Bの作製-
(1)銅張積層板の用意
銅張積層板として、両面に銅箔層を積層したガラス布基材エポキシ樹脂両面銅張積層板(銅箔の厚さ3μm、基板厚み0.15mm、三菱ガス化学社製「HL832NSF LCA」、255×340mmサイズ)を用意し、130℃のオーブンに投入後30分間乾燥した。
(2)樹脂シートのラミネート
作製した各樹脂シートAから保護フィルムを剥がし、バッチ式真空加圧ラミネーター(ニッコー・マテリアルズ社製、2ステージビルドアップラミネーター、CVP700)を用いて、樹脂組成物層が銅張積層板と接するように、銅張積層板の両面にラミネートした。ラミネートは、30秒間減圧して気圧を13hPa以下とし、130℃、圧力0.74MPaにて45秒間圧着させることにより実施した。次いで、120℃、圧力0.5MPaにて75秒間熱プレスを行った。
(3)樹脂組成物層の熱硬化
樹脂シートAがラミネートされた銅張積層板を、100℃のオーブンに投入後30分間、次いで180℃のオーブンに移し替えた後30分間、熱硬化して絶縁層を形成し、支持体を剥離した。これにより35μmの絶縁層が形成された銅張積層板Aを得た。
また、樹脂シートBを用いる以外は、銅張積層板Aの作製と同様にして、15μmの絶縁層が形成された銅張積層板Bを得た。
(4)ドライフィルムのパターン形成
上記絶縁層が形成された銅張積層板Aの絶縁層表面に厚さ20μmのドライフィルム(ニッコー・マテリアルズ社製、「ALPHO 20A263」)を貼りあわせた。ドライフィルムの積層は、バッチ式真空加圧ラミネーター(名機製作所社製「MVLP-500」)を用いて、30秒間減圧して気圧を13hPa以下にした後、圧力0.1MPa、温度70℃にて、20秒間加圧して行った。その後、トレンチパターンを有するガラスマスクをドライフィルムの保護層であるポリエチレンテレフタレートフィルム上に置き、UVランプにより照射強度150mJ/cm2にてUV照射を行った。UV照射後、30℃の1%炭酸ナトリウム水溶液を用いて噴射圧0.15MPaにて30秒間スプレー処理した。その後、水洗を行い、配線幅が20μmのトレンチパターンが形成されるようなパターニングを行い、これにより、トレンチ加工基板を得た。
また、ビアパターンを有するガラスマスクを用い、銅張積層板B上に銅張積層板Aと同様にしてトップ径が15μmのビアホールが形成されるようパターニングを行い、ビア加工基板を得た。
(5)プラズマ加工
実施例1~2、実施例4、及び比較例1~2は、真空プラズマエッチング装置(ニッシン社製M120W)を使用して、CF4/O2を混合比1:7(sccm)にて、チャンバー容器内圧力120Paの条件にて、5分間処理を行い、トレンチ加工基板上の絶縁層に、幅約20μmのトレンチ構造を形成し、その後ドライフィルムを剥離し、トレンチ評価基板を得た。
また、トレンチ評価基板の作製と同様の方法にて、ビア加工基板の絶縁層にトップ系(直径)が約15μmのビアホールを形成し、その後ドライフィルムを剥離しビア評価基板を得た。
実施例3は、実施例1において、CF4/O2混合ガスをO2ガスに変えた以外は同様に行った。
(6)UV-YAGレーザービア加工
比較例3は、UV-YAGレーザー加工機(ビアメカニクス株式会社製「LU-2L212/M50L」)を使用して、銅張積層板Bの絶縁層にレーザー光を照射して、トップ径(直径)が約15μmの複数個のビアホールを形成した。レーザー光の照射条件は、パワー0.08W、ショット数25であった。この基板をレーザー評価基板とする。
レーザー評価基板を、膨潤液である、アトテックジャパン社製のジエチレングリコールモノブチルエーテル含有のスエリングディップ・セキュリガントP(グリコールエーテル類、水酸化ナトリウムの水溶液)に60℃で10分間浸漬し、次に粗化液として、アトテックジャパン社製のコンセントレート・コンパクトP(KMnO4:60g/L、NaOH:40g/Lの水溶液)に80℃で20分間浸漬、最後に中和液として、アトテックジャパン社製のリダクションショリューシン・セキュリガントP(硫酸の水溶液)に40℃で5分間浸漬し、その後80℃で30分間乾燥した。
<トレンチ壁面、ビア壁面の観察>
トレンチ評価基板、及びビア評価基板を150℃で30分間加熱した後、スパッタリング装置(キャノンアネルバ社製「E-400S」)を用いて、絶縁層上に銅層(厚さ200nm)を形成した。その後FIB-SEM複合装置(SIIナノテクノロジー社製「SMI3050SE」)を用いて、断面観察を行い以下の基準で評価した。
〇:絶縁層に形成されたトレンチの壁面又はビアホールの壁面に銅層が均一且つ途切れることなく形成されている。
×:凹凸により銅層が均一に形成されていない。
<ビアホールの寸法、ハローイング距離の測定>
ビア評価基板、及び粗化処理後のレーザー評価基板を、光学顕微鏡(ハイロックス社製「KH8700」)で観察した。詳細には、ビアホールの周辺の絶縁層を、光学顕微鏡(CCD)を用いて、ビア評価基板の上部から観察した。ビアホールの寸法観察は、ビアトップに光学顕微鏡の焦点を合わせて行った。観察された画像から、ビアホールのトップ径(Lt)を測定した。さらに観察の結果、ビアホールの周囲に、当該ビアホールのビアトップのエッジから連続して、絶縁層が白色に変色したドーナツ状のハローイング部が見られた。そこで、観察された像から、ビアホールのビアトップの半径(ハローイング部の内周半径に相当)r1と、ハローイング部の外周半径r2とを測定し、これら半径r1と半径r2との差r2-r1を、その測定地点のビアトップのエッジからのハローイング距離として算出した。
前記の測定を、無作為に選んだ5箇所のビアホールで行った。そして、測定された5箇所のビアホールのトップ径の測定値の平均を、そのサンプルのビアホールのトップ径Lt1として採用した。さらに、5箇所のビアホールのハローイング距離の測定値の平均を、そのサンプルのビアトップのエッジからのハローイング距離Wtとして採用した。
ハローイング比Htとは、ビアトップのエッジからのハローイング距離Wtと、ビアホール(比較例3は粗化処理後のビアホール)のビアトップの半径(Lt1/2)との比「Wt/(Lt1/2)」を表す。このハローイング比Htが35%以下であればハローイング評価を「○」と判定し、ハローイング比Htが35%より大きければハローイング評価を「×」と判定した。