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JP7316497B2 - 加熱調理器および加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法 - Google Patents

加熱調理器および加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法 Download PDF

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Description

本開示は、加熱調理器および加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法に関する。
近年、火を使わない、燃焼ガスを排出しない、安全でクリーンな熱源である誘導加熱を用いた加熱調理器が一般家庭のキッチンに普及している。ガスを用いた加熱調理器の場合、使用者は、炎の大きさを見ながら視覚的、感覚的に加熱出力を調整する。
誘導加熱を用いた加熱調理器の場合、使用者は、操作部に表示される数値を見ながら加熱出力、調理温度を設定する。誘導加熱を用いた加熱調理器は、設定された調理温度を保つために、調理容器が載置されるトッププレートの下方に配置されて、調理容器の温度を検出する温度センサを有する。
この温度センサにより検出される温度は、トッププレートを介して調理容器の下面、すなわち鍋底の温度であって、調理容器内に収容された食材の温度ではない。このため、従来の加熱調理器では、食材の温度を適切に制御することが困難である。その結果、従来の加熱調理器では、煮物調理において焦げ付きなどが生じるおそれがある。
従来の加熱調理器には、焦げ付きなどを検出するために、垂直に並べられた複数の温度センサを有する専用調理容器を備えた構成が含まれる(特許文献1参照)。特許文献1に記載された専用調理容器では、複数の温度センサにより検出された温度に基づいて、専用調理容器内の水面の位置を検出することで、焦げ付き、吹きこぼれを検出する。
特開2008-34228号公報
従来の加熱調理器は、トッププレートを介して調理容器の温度を間接的に検出するものであり、調理容器の温度を直接的に検出するものではない。誤差を含んで検出された温度に基づいて食材に対する温度制御を行うと、食材を適切に調理することが困難である。その結果、従来の加熱調理器では、煮物調理において焦げ付きなどが生じるおそれがある。特許文献1に記載の加熱調理器では、専用の調理容器を特別に用意する必要がある。
本開示は、調理容器に収容された食材の温度を検出することで、食材の焦げ付き予兆を検出し、食材に対して適切な温度制御を行うことが可能な加熱調理器および加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法を提供することを目的とする。
本開示の一態様は、トッププレートと、加熱部と、加熱制御部と、下面温度検出器と、上面温度検出器と、予兆検出部とを備えた加熱調理器である。
トッププレートには、食材を収容する調理容器が載置される。加熱部は、トッププレートの下方に配置され、調理容器を加熱する。加熱制御部は、加熱部の加熱出力を制御する。下面温度検出器は、トッププレートの下方に配置され、トッププレートに載置された調理容器の下面温度を検出する。上面温度検出器は、トッププレートの上方に配置され、トッププレートの温度情報を検出する。
予兆検出部は、トッププレートの温度情報に含まれた、調理容器が載置されたトッププレート上の載置領域の上面温度と、調理容器の下面温度とに基づいて食材の焦げ付き予兆を検出する。
本開示の他の態様は、食材を収容する調理容器が載置されるように構成されたトッププレートと、トッププレートの下方に配置され、調理容器を加熱するように構成された加熱部と、を有する加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法である。
本態様の検出方法は、調理容器の下面温度を検出するステップと、トッププレートの温度情報を検出するステップと、トッププレートの温度情報に含まれた、調理容器が載置されたトッププレート上の載置領域の上面温度と、調理容器の下面温度とに基づいて食材の焦げ付き予兆を検出するステップとを含む。
本開示によれば、調理容器に収容された食材の温度を検出することで、食材の焦げ付き予兆を検出し、食材に対して適切な温度制御を行うことが可能な加熱調理器および加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法を提供することができる。
図1は、本開示の実施の形態に係る加熱調理器の外観を示す斜視図である。 図2は、実施の形態に係る加熱調理器の概略構成とともに、その温度制御系の構成を示すブロック図である。 図3は、実施の形態に係る加熱調理器における温度制御系の構成を示すブロック図である。 図4は、調理容器の下面温度と上面温度との間に生じた温度差を示すグラフである。 図5は、実施の形態に係る温度情報の取得処理を示すフローチャートである。 図6は、実施の形態に係る焦げ付き予兆の検出処理を示すフローチャートである。 図7は、焦げ付き予兆の検出処理における後処理を示すフローチャートである。
本開示の第1の態様は、トッププレートと、加熱部と、加熱制御部と、下面温度検出器と、上面温度検出器と、予兆検出部とを備えた加熱調理器である。
トッププレートには、食材を収容する調理容器が載置される。加熱部は、トッププレートの下方に配置され、調理容器を加熱する。加熱制御部は、加熱部の加熱出力を制御する。下面温度検出器は、トッププレートの下方に配置され、トッププレートに載置された調理容器の下面温度を検出する。上面温度検出器は、トッププレートの上方に配置され、トッププレートの温度情報を検出する。
予兆検出部は、トッププレートの温度情報に含まれた、調理容器が載置されたトッププレート上の載置領域の上面温度と、調理容器の下面温度とに基づいて食材の焦げ付き予兆を検出する。
本開示の第2の態様の加熱調理器において、第1の態様に加えて、予兆検出部が、トッププレートの温度情報に基づいて載置領域を検出する。
本開示の第3の態様の加熱調理器において、第1の態様に加えて、予兆検出部が、載置領域の上面温度と調理容器の下面温度との差分値が所定の差分閾値以上である場合に、焦げ付き予兆を検出する。
本開示の第4の態様の加熱調理器において、第3の態様に加えて、予兆検出部が、前記調理容器の前記下面温度が所定の温度閾値以上である場合に、前記焦げ付き予兆を検出する。
本開示の第5の態様の加熱調理器において、第1の態様に加えて、加熱制御部が、予兆検出部の検出結果に基づいて、加熱部の前記加熱出力を制御する。
本開示の第6の態様の加熱調理器において、第5の態様に加えて、予兆検出部が焦げ付き予兆を検出してから所定の予兆後時間が経過すると、加熱制御部が、加熱出力を制御する。
本開示の第7の態様の加熱調理器において、第6の態様に加えて、焦げ付き予兆を検出してから前記予兆後時間が経過するまでに前記加熱部の前記加熱出力が低減されると、前記予兆検出部が、前記焦げ付き予兆の検出結果を初期化し、以後、所定の無効化後時間が経過するまで、前記焦げ付き予兆の検出を無効化する。
本開示の第8の態様の加熱調理器において、第1の態様に加えて、加熱出力および調理メニューの少なくとも一方を設定するように構成された設定部をさらに備える。予兆検出部が、設定部による設定に応じて差分閾値を決定し、載置領域の前記上面温度と前記調理容器の下面温度との差分値が差分閾値以上である場合に、焦げ付き予兆を検出する。
本開示の第9の態様の加熱調理器において、第1の態様に加えて、予兆検出部が、調理容器の下面温度が所定の温度範囲内の場合に焦げ付き予兆を検出する。
本開示の第10の態様は、食材を収容する調理容器が載置されるように構成されたトッププレートと、トッププレートの下方に配置され、調理容器を加熱するように構成された加熱部と、を有する加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法である。
本態様の検出方法は、調理容器の下面温度を検出するステップと、トッププレートの温度情報を検出するステップと、トッププレートの温度情報に含まれた、調理容器が載置されたトッププレート上の載置領域の上面温度と、調理容器の下面温度とに基づいて食材の焦げ付き予兆を検出するステップとを含む。
本開示の第11の態様の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法は、第10の態様に加えて、前記トッププレートの前記温度情報に基づいて前記載置領域を検出するステップを含む。
本開示の第12の態様の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法は、第10の態様に加えて、載置領域の上面温度と調理容器の下面温度との差分値が所定の差分閾値以上である場合に、焦げ付き予兆を検出するステップを含む。
本開示の第13の態様の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法は、第12の態様に加えて、調理容器の下面温度が所定の温度閾値以上である場合に、焦げ付き予兆を検出するステップを含む。
本開示の第14の態様の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法は、第10の態様に加えて、焦げ付き予兆の検出結果に基づいて、加熱部の加熱出力を制御するステップを含む。
本開示の第15の態様の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法は、第10の態様に加えて、焦げ付き予兆を検出してから所定の予兆後時間が経過すると、加熱部の加熱出力を制御するステップを含む。
本開示の第16の態様の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法は、第15の態様に加えて、焦げ付き予兆を検出してから予兆後時間が経過するまでに加熱出力が低減されると、焦げ付き予兆の検出結果を初期化するステップと、以後、所定の無効化後時間が経過するまで、焦げ付き予兆の検出を無効化するステップとを含む。
本開示の第17の態様の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法は、第10の態様に加えて、使用者による設定に応じて差分閾値を決定するステップと、載置領域の上面温度と調理容器の下面温度との差分値が差分閾値以上である場合に、焦げ付き予兆を検出するステップとを含む。
本開示の第18の態様の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法は、第10の態様に加えて、調理容器の下面温度が所定の温度範囲内の場合に焦げ付き予兆を検出するステップを含む。
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。以下で説明する実施の形態は本開示の一具体例である。本実施の形態で示される数値、形状、構成、ステップ、および、ステップの順序などは一例であり、本開示を限定するものではない。
以下の実施の形態は、本開示の技術的思想を誘導加熱調理器に適用した例である。しかし、本開示の技術的思想は誘導加熱調理器に限定されるものではない。
図1は、本開示の実施の形態に係る加熱調理器1の外観を示す斜視図である。図1において、X軸、Y軸、Z軸はそれぞれ、加熱調理器1の左右方向、前後方向、上下方向を示す。図2は、加熱調理器1の概略構成とともに、その温度制御系の構成を示すブロック図である。
図1、図2に示すように、加熱調理器1は、本体2と上面温度検出部3とを備える。本体2の上面は、調理容器Vが載置されるトッププレート5である。上面温度検出部3は、トッププレート5の上方に配置されたレンジフード4のフード部分4aの中央に配置される。
上面温度検出部3は、磁石、粘着材、クリップなどの装着手段により着脱可能に取り付けられる。上面温度検出部3は、上面温度検出器8と第2通信部7とを有する。上面温度検出器8は、赤外線センサ、熱画像カメラなどにより構成され、トッププレート5の全領域の温度をトッププレート5の温度情報として検出する。
上面温度検出部3は、トッププレート5の温度情報を検出することが可能であれば、天井、壁面などに配置されてもよい。上面温度検出器8とトッププレート5との距離は、例えば、600mm以上、2000mm以下であるのが好ましい。
本実施の形態では、上述のように、上面温度検出器8は、トッププレート5の全領域の温度をトッププレート5の温度情報として検出する。しかし、上面温度検出器8が、調理容器Vが載置されるトッププレート5の領域の温度をトッププレート5の温度情報として検出してもよい。
本実施の形態では、上面温度検出器8は、例えば8×8、16×16、32×32のマトリクス状に配列された赤外線検出素子を含む。この構成により、上面温度検出器8は、トッププレート5の全領域を少なくとも64の領域に区画し、各領域の温度を検出することができる。
すなわち、トッププレート5の温度情報は、マトリクス状に配列された少なくとも64個の温度を含む。以下、温度情報とは、上面温度検出器8により検出された温度の全部または一部を意味する。
第2通信部7は、本体2に配置された第1通信部6に、トッププレート5の温度情報を送信する。第1通信部6および第2通信部7は、例えば、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、または、BLE(Bluetooth Low Energy)などを用いて無線通信を行う。無線通信の代わりに、有線により通信を行ってもよい。
トッププレート5の下方には、加熱コイル9A、9B、9Cを含む加熱部9が配置される。加熱コイル9Aは左側に配置され、加熱コイル9Bは右側に配置され、加熱コイル9Cは中央に配置される。加熱コイル9A、9B、9Cの上方のトッププレート5のそれぞれの領域には、調理容器Vを載置すべき位置が印刷により表示される。
トッププレート5上の前方の領域には、加熱出力、調理温度、調理時間、調理メニューなどの設定を行うために、天面操作部15が配置される。天面操作部15は、タッチキー、タッチパネルなどで構成される。
本体2の前面には、加熱出力、調理温度、調理時間、調理メニューなどの各種設定を行うために、複数のキーを備えた前面操作部16が配置される。前面操作部16は、本体2の前壁の所定箇所を押圧すると自動的に突出して現れるように構成される。本実施の形態では、天面操作部15と前面操作部16とが設定部19を構成する(図3参照)。
加熱調理器1はグリル調理部17を有する。グリル調理部17は、加熱庫内の食材をグリルヒータによりグリルする。加熱調理器1は、トッププレート5の後方に配置された排気口18から、グリル調理部17内で生じた煙を本体2の外に排出する。
図3は、加熱調理器1における温度制御系の構成を示すブロック図である。図3に示すように、加熱調理器1の本体2は、第1通信部6と、加熱部9と、加熱制御部10と、予兆検出部11と、下面温度検出器12と、記憶部13と、報知部14と、天面操作部15と、前面操作部16とを有する。第1通信部6は、上述のように、上面温度検出部3により検出されたトッププレート5の温度情報を無線で受信する。
予兆検出部11は、トッププレート5に載置された調理容器Vに収容された食材Cの焦げ付き予兆を検出する。焦げ付き予兆の検出対象には、カレー、シチュー、スープ、ミルク、豆乳が含まれる。これらの食材は、基本的に粘性が高く、60℃~100℃の温度で焦げ付き始める。
記憶部13は、種々の調理メニューと各調理メニューに含まれた加熱プログラムとを記憶する。加熱制御部10は、加熱プログラムを実行するように加熱部9を制御することにより、調理メニューを実行する。記憶部13はまた、予兆検出部11による焦げ付き予兆の検出の結果と、加熱プログラムとを関連付ける照合データを記憶する。焦げ付き予兆の検出処理については後述する。
加熱制御部10は、照合データに基づいて、予兆検出部11の検出結果に対応する加熱プログラムを用いて加熱部9を制御する。使用者は、天面操作部15および前面操作部16を操作することにより、加熱部9の加熱出力を設定し、記憶部13に記憶された加熱プログラムのうちのいずれかを選択することができる。
本実施の形態において、加熱制御部10と予兆検出部11とは、マイクロプロセッサで構成された制御部20に含まれる。制御部20はマイクロプロセッサに限られるものではない。しかしながら、プログラム可能なマイクロプロセッサを用いれば、処理内容を容易に変更可能であり、設計の自由度を高めることができる。
処理速度の向上のため、制御部20を論理回路で構成することも可能である。制御部20を物理的に一つまたは複数の素子で構成してもよい。制御部20を複数の素子で構成する場合、加熱制御部10と予兆検出部11とを別々の素子で構成してもよい。この場合、それぞれの素子が加熱制御部10または予兆検出部11に対応すると考えることができる。
下面温度検出器12は、加熱コイル9A、9B、9Cのそれぞれに対して設けられる。下面温度検出器12は、赤外線センサまたはサーミスタで構成され、調理容器Vの下面温度を検出し、下面温度を制御部20に出力する。下面温度検出器12は、調理容器Vの下面における最も高い温度を検出するように、加熱コイル9A、9B、9Cのそれぞれの中心からずれた位置に配置される。
報知部14は、加熱調理器1における加熱状態、加熱温度、加熱時間などに関する各種情報を報知する。報知部14は、天面操作部15に隣接して配置された表示部と、前面操作部16に隣接して配置された表示部とを有する。これらの表示部は、例えば、白黒またはカラーの液晶パネルで構成され、各種情報を文字および画像の少なくとも一方で表示する。報知部14はまた、加熱調理器1の前面に配置され、使用者に各種情報の音声案内を行う音出力部を有する。
報知部14は、予兆検出部11により出力される検出結果を視覚的にもしくは聴覚的に、またはその両方で報知する。例えば、予兆検出部11が、食材Cの焦げ付きが生じる可能性がある焦げ付き予兆を検出した場合、報知部14の音出力部は、焦げ付き予兆が検出されたことを報知するための音声を発生してもよい。報知部14の音出力部は、食材Cの撹拌を促すための音声を発生してもよい。
[焦げ付き予兆の検出の基本概念]
調理容器Vが加熱されて調理容器Vに収容された食材Cの温度が上昇すると、食材Cの粘性が高くなり、食材Cにおいて対流が発生しにくくなる。このとき、調理容器Vの上面温度と下面温度との間に20℃以上の温度差が生じる。このような現象は、カレー、シチューなどの粘性の高い煮物料理において生じる。このまま加熱を続けると、食材Cの焦げ付きが生じるおそれがある。
本実施の形態において、予兆検出部11は、調理容器Vの下面温度と上面温度との間の温度差を検出することで、食材Cが粘性の高い煮物料理であるか否かを判定する。予兆検出部11は、食材Cが粘性の高い煮物料理の場合に、少なくとも下面温度が所定温度に達すると、食材Cが焦げ付き予兆の状態にあると判定する。
図4は、調理容器Vの下面温度TAと上面温度TBとの間に生じた温度差を示すグラフである。図4において、下面温度TAは、下面温度検出器12により検出された温度であり、上面温度TBは、上面温度検出器8により検出されたトッププレート5の温度情報から得られた温度である。
本実施の形態では、上面温度TBは、調理容器Vが載置されたトッププレート5の領域における温度情報に含まれた温度の平均値である。以下、調理容器Vが載置されたトッププレート5の領域を載置領域という。上面温度TBが、載置領域における温度情報に含まれた温度の最高値であってもよい。
図4に示すように、下面温度TAと上面温度TBとの間の差分値ΔTが、所定の差分閾値ΔTthに達し、かつ、下面温度TAが温度閾値TAthに達すると、予兆検出部11は、食材Cの焦げ付き予兆を検出する。差分閾値ΔTthと温度閾値TAthとは、焦げ付き予兆を検出するための閾値である。本実施の形態では、差分閾値ΔTth、温度閾値TAthはそれぞれ20℃、60℃である。
本実施の形態に係る焦げ付き予兆の検出処理について、以下に詳細に説明する。焦げ付き予兆の検出では、まず上面温度検出部3が温度情報の取得処理を実行する。
[温度情報の取得]
上述のように、上面温度検出器8は、トッププレート5を多数の領域に区画し、全領域の温度をトッププレート5の温度情報として繰り返し検出する。第2通信部7は、上面温度検出器8により検出された、トッププレート5の温度情報を本体2に繰り返し送信する。
図5は、本実施の形態に係る温度情報の取得処理を示すフローチャートである。温度情報の取得処理は、上面温度検出部3に設けられた制御部(不図示)が、第2通信部7と上面温度検出器8とを制御することにより実行される。
上面温度検出部3は、常に無線通信可能な状態にある。本体2の電源がオンされると、本体2は、無線通信を介して上面温度検出部3と通信を行う。これにより、上面温度検出器8は、温度情報の取得処理を開始する。
図5に示すように、ステップ101において、第1通信部6と第2通信部7とが、本体2と上面温度検出部3との間の通信接続を確立するための処理を行う。ステップ102では、ステップ101の処理が成功したか否かが確認される。本実施の形態では、所定時間毎に接続状態の確認が行われる。この場合の所定時間は、具体的には、トッププレート5の温度情報の検出の繰り返し周期である。
ステップ103において、上面温度検出器8が、トッププレート5の温度情報を検出する。本実施の形態では、トッププレート5の温度情報は、例えば256(=16×16)個の値を含む。ステップ104において、第2通信部7が、トッププレート5の温度情報を本体2に送信する。
ステップ105において、上記所定時間が経過したか否かが判定される。上記所定時間が経過していない場合、処理はステップ106に進む。ステップ106において、加熱調理器1はスリープモードに移行する。スリープモードでは、本体2と上面温度検出部3との間の通信接続は維持される一方、温度検出は行われない。本体2と上面温度検出部3との間の通信は通常より頻度が少ない。その結果、スリープモードでは消費電力が低減される。
ステップ107では、本体2の電源がオフされたか否かが判定される。本体2の電源がオフされた場合、本体2と上面温度検出部3との間の通信接続が切断されて、温度情報の取得処理が終了する。本体2の電源がオフされていなければ、処理はステップ105に戻る。ステップ105において、上記所定時間が経過していれば、処理はステップ101に戻り、次の温度情報の取得処理を開始する。
[焦げ付き予兆の検出]
第1通信部6は、上面温度検出部3から送信されたトッププレート5の温度情報を繰り返し受信し、受信した情報を制御部20に送信する。
図6は、本実施の形態に係る焦げ付き予兆の検出処理を示すフローチャートである。焦げ付き予兆の検出処理は、制御部20が、本体2に含まれた他の要素を制御することにより実行される。
焦げ付き予兆の検出処理では、予兆検出部11が、トッププレート5の温度情報に基づいて、温度の上昇するトッププレート5の領域を、調理容器Vが載置された領域を載置領域として特定する。予兆検出部11は、載置領域の温度情報を、調理容器Vの上面の温度情報として抽出する。
加熱制御部10が加熱部9の駆動を開始すると、予兆検出部11は焦げ付き予兆の検出処理を開始する。
図6に示すように、ステップ201において、第1通信部6と第2通信部7とが、本体2と上面温度検出部3との間の通信接続を確立する。ステップ202では、ステップ201の処理が成功したか否かが確認される。ステップ201およびステップ202の処理は、上述のステップ101およびステップ102の処理と同じであり、既に実行されているので省略してもよい。
ステップ203において、第1通信部6は、上面温度検出部3から送信されたトッププレート5の温度情報を取得する。ステップ204において、予兆検出部11は、トッププレート5の温度情報に基づいて載置領域を特定する。ステップ205において、予兆検出部11は、トッププレート5の温度情報から載置領域の温度情報を抽出する。
ステップ206において、予兆検出部11は、載置領域の温度情報に含まれた温度の平均値を上面温度TBとして算出する。上面温度TBが、載置領域の温度情報に含まれた温度の最高値であってもよい。
ステップ207において、下面温度検出器12は、調理容器Vの下面温度TAを取得する。ステップ208において、予兆検出部11は、下面温度TAと上面温度TBとの差分値ΔTを算出する。
ステップ209において、予兆検出部11は、差分値ΔTを、所定の差分閾値ΔTthと比較する。差分値ΔTが差分閾値ΔTthに達していなければ、処理はステップ210に進む。ステップ210において、予兆検出部11は、所定時間が経過したか否かを判定する。この場合の所定時間は、具体的には、焦げ付き予兆の検出の繰り返し周期である。
所定時間が経過していなければ、ステップ211において、予兆検出部11は、加熱部9による加熱が停止されているか否かを判定する。
加熱が停止されていれば、ステップ212において、予兆検出部11は、電源がオフされたか否かを判定する。電源がオフされていれば、処理はステップ213に進む。ステップ213において、本体2と上面温度検出部3との間の通信接続が切断されて、予兆検出部11は焦げ付き予兆の検出を終了させる。
電源がオフされていなければ、本体2と上面温度検出部3との間の通信接続を維持したまま、予兆検出部11は焦げ付き予兆の検出を終了させる。
本実施の形態では、電源のオン/オフ操作と、加熱の開始/停止操作とは、別々の操作ボタンを押すことにより行われる。従って、電源のオン/オフ操作により、本体2と上面温度検出部3との間の通信の接続/切断が制御され、加熱の開始/停止操作により、焦げ付き予兆の検出の開始/終了が制御される。
ステップ210において、所定時間が経過していれば、処理はステップ201に戻り、次の焦げ付き予兆の検出が行われる。
一方、ステップ209において、差分値ΔTが差分閾値ΔTth以上であれば、ステップ214において、予兆検出部11は、調理容器Vの下面温度TAが温度閾値TAth以上であるか否かを判定する。
調理容器Vの下面温度TAが温度閾値TAth以上であれば、ステップ215において、予兆検出部11は、焦げ付き予兆を検出したと判定する。報知部14は、焦げ付き予兆の検出を視覚的にもしくは聴覚的に、またはその両方で報知する。ステップ216において、後述する後処理が行われる。後処理の後、処理はステップ201に戻り、次の焦げ付き予兆の検出が開始される。
下面温度TAが温度閾値TAthに達していなければ、処理はステップ201に戻り、次の焦げ付き予兆の検出が行われる。
図7は、焦げ付き予兆の検出処理における後処理を示すフローチャートである。図7に示すように、ステップ301において、予兆検出部11は、焦げ付き予兆が検出されてからの経過時間を計測する。
ステップ302において、予兆検出部11は、経過時間が所定の予兆後時間に達する前に、使用者が操作部を用いて加熱出力を低減させたか否かを判定する。加熱出力が低減されていなければ処理はステップ303に進み、加熱出力が低減されていれば処理はステップ305に進む。
ステップ303において、予兆検出部11は、焦げ付き予兆が検出されてから所定時間を経過したか否かを判定する。所定時間が経過していなければ、処理はステップ301に戻る。所定時間が経過すると、ステップ304において、加熱制御部10は加熱出力を低減する。処理はステップ301に戻る。
ステップ305において、予兆検出部11は、使用者が加熱出力を低減した結果、焦げ付き予兆の状態が解消されたと見なして焦げ付き予兆の検出結果を初期化する。ステップ306において、所定時間の間は焦げ付き予兆の検出を行わないように、予兆検出部11は、焦げ付き予兆の検出を無効化する。
ステップ307において、予兆検出部11は、焦げ付き予兆の検出の無効化からの経過時間を計測する。ステップ308において、予兆検出部11は、経過時間が所定の無効化後時間に達する前に、使用者が操作部を用いて加熱を停止させたか否かを判定する。
加熱が停止されていれば、処理はステップ309に進む。ステップ309において、予兆検出部11は、電源がオフされたか否かを判定する。電源がオフされていれば、ステップ310において、本体2と上面温度検出部3との間の通信接続が切断されて、予兆検出部11は後処理を終了させる。電源がオフされていなければ、本体2と上面温度検出部3との間の通信接続を維持したまま、予兆検出部11は後処理を終了させる。
ステップ308において、加熱が停止されていなければ、処理はステップ311に進む。ステップ311において、予兆検出部11は、経過時間が無効化後時間以上であるか否かを判定する。経過時間が無効化後時間以上であれば、ステップ312において、予兆検出部11は焦げ付き予兆の検出を有効化し、後処理を終了させる。経過時間が無効化後時間に達していなければ、処理はステップ307に戻る。
上記のように、加熱調理器1は、食材Cの焦げ付き予兆を検出し、使用者に報知するとともに、食材Cに対して適切な温度制御を行うように構成される。本実施の形態によれば、加熱調理器1における安全性および信頼性を向上させることができる。
以下に、本実施の形態の変形例を示す。設定部19(天面操作部15、前面操作部16)で設定された加熱部9の出力および調理メニューの少なくとも一方に応じて、予兆検出部11が差分閾値ΔTthを決定してもよい。例えば、加熱部9の出力が大きい場合には、差分閾値ΔTthを小さくする。
予兆検出部11が、加熱開始時の下面温度TAに応じて、差分閾値ΔTthを決定してもよい。加熱開始時における載置領域の上面温度TBに応じて、差分閾値ΔTthを決定してもよい。調理容器Vの下面温度および上面温度の少なくとも一方に基づいて差分閾値ΔTthを決定することにより、食材Cが、例えば常温であるか、冷凍されているかを判定し、その検出結果に応じて適切な加熱プログラムを選択することが可能となる。
予兆検出部11は、下面温度TAが所定の温度範囲(40℃~250℃)内の場合に焦げ付き予兆を検出し、そうでなければ焦げ付き予兆を検出しなくてもよい。なぜならば、調理容器Vの下面温度が40℃に満たない場合、または、250℃を越える場合、焦げ付きが生じないからである。
本開示の技術的思想は加熱調理器に適用可能である。
1 加熱調理器
2 本体
3 上面温度検出部
4 レンジフード
5 トッププレート
6 第1通信部
7 第2通信部
8 上面温度検出器
9 加熱部
10 加熱制御部
11 予兆検出部
12 下面温度検出器
13 記憶部
14 報知部
15 天面操作部
16 前面操作部
17 グリル調理部
18 排気口
19 設定部
20 制御部

Claims (13)

  1. 食材を収容する調理容器が載置されるように構成されたトッププレートと、
    前記トッププレートの下方に配置され、前記調理容器を加熱するように構成された加熱部と、
    前記加熱部の加熱出力を制御するように構成された加熱制御部と、
    前記トッププレートの下方に配置され、前記トッププレートに載置された前記調理容器の下面温度を検出するように構成された下面温度検出器と、
    前記トッププレートの上方に配置され、前記トッププレートの温度情報を検出するように構成された上面温度検出器と、
    前記トッププレートの前記温度情報に含まれた、前記調理容器が載置された前記トッププレート上の載置領域の上面温度と、前記調理容器の前記下面温度とに基づいて前記食材の焦げ付き予兆を検出するよう構成された予兆検出部と、を備え、
    前記加熱制御部が、前記予兆検出部の検出結果に基づいて、前記加熱部の前記加熱出力を制御するよう構成され、
    前記予兆検出部が前記焦げ付き予兆を検出してから所定の予兆後時間が経過すると、前記加熱制御部が、前記加熱出力を制御するよう構成され、
    前記焦げ付き予兆を検出してから前記予兆後時間が経過するまでに前記加熱部の前記加熱出力が低減されると、前記予兆検出部が、前記焦げ付き予兆の検出結果を初期化し、以後、所定の無効化後時間が経過するまで、前記焦げ付き予兆の検出を無効化するよう構成された、加熱調理器。
  2. 前記予兆検出部が、前記トッププレートの前記温度情報に基づいて前記載置領域を検出するように構成された、請求項1に記載の加熱調理器。
  3. 前記予兆検出部が、前記載置領域の前記上面温度と前記調理容器の前記下面温度との差分値が所定の差分閾値以上である場合に、前記焦げ付き予兆を検出するよう構成された、請求項1に記載の加熱調理器。
  4. 前記予兆検出部が、前記調理容器の前記下面温度が所定の温度閾値以上である場合に、前記焦げ付き予兆を検出するよう構成された、請求項3記載の加熱調理器。
  5. 前記加熱出力および調理メニューの少なくとも一方を設定するように構成された設定部をさらに備え、
    前記予兆検出部が、前記設定部による設定に応じて差分閾値を決定し、前記載置領域の前記上面温度と前記調理容器の前記下面温度との差分値が前記差分閾値以上である場合に、前記焦げ付き予兆を検出するよう構成された、請求項1に記載の加熱調理器。
  6. 前記予兆検出部が、前記調理容器の前記下面温度が所定の温度範囲内の場合に前記焦げ付き予兆を検出するように構成された、請求項1に記載の加熱調理器。
  7. 食材を収容する調理容器が載置されるように構成されたトッププレートと、
    前記トッププレートの下方に配置され、前記調理容器を加熱するように構成された加熱部と、を有する加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法であって、
    前記調理容器の下面温度を検出するステップと、
    前記トッププレートの温度情報を検出するステップと、
    前記トッププレートの前記温度情報に含まれた、前記調理容器が載置された前記トッププレート上の載置領域の上面温度と、前記調理容器の前記下面温度とに基づいて前記食材の焦げ付き予兆を検出するステップと、を含
    前記焦げ付き予兆を検出してから所定の予兆後時間が経過すると、前記加熱部の加熱出力を制御するステップを含み、
    前記焦げ付き予兆を検出してから前記予兆後時間が経過するまでに前記加熱出力が低減されると、前記焦げ付き予兆の検出結果を初期化するステップと、
    以後、所定の無効化後時間が経過するまで、前記焦げ付き予兆の検出を無効化するステップと、を含む、加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法。
  8. 前記トッププレートの前記温度情報に基づいて前記載置領域を検出するステップを含む、請求項に記載の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法。
  9. 前記載置領域の前記上面温度と前記調理容器の前記下面温度との差分値が所定の差分閾値以上である場合に、前記焦げ付き予兆を検出するステップを含む、請求項に記載の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法。
  10. 前記調理容器の前記下面温度が所定の温度閾値以上である場合に、前記焦げ付き予兆を検出するステップを含む、請求項に記載の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法。
  11. 前記焦げ付き予兆の検出結果に基づいて、前記加熱部の加熱出力を制御するステップを含む、請求項に記載の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法。
  12. 使用者による設定に応じて差分閾値を決定するステップと、
    前記載置領域の前記上面温度と前記調理容器の前記下面温度との差分値が前記差分閾値以上である場合に、前記焦げ付き予兆を検出するステップと、を含む、請求項に記載の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法。
  13. 前記調理容器の前記下面温度が所定の温度範囲内の場合に前記焦げ付き予兆を検出するステップを含む、請求項に記載の加熱調理器における焦げ付き予兆の検出方法。
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