以下において、実施形態について説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率などは現実のものとは異なる場合があることに留意すべきである。
したがって、具体的な寸法などは以下の説明を参酌して判断すべきものである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれる場合があることは勿論である。
[開示の概要]
一態様によれば、エアロゾル生成装置用の制御ユニットは、充電可能及びエアロゾル源を霧化する負荷へ放電可能な電源の温度に関する値を出力するセンサと、センサの出力値が第1上限と第1下限の少なくとも一方を有する第1範囲に属する場合に、電源を操作する機能を実行するよう構成される制御部と、を含む。第1上限若しくは第1下限は、機能が実行可能な温度に関する値の範囲、電源の劣化を抑制する温度に関する値の範囲、常温と同じ要因のみで電源が劣化する温度に関する値の範囲、又は電源の動作温度に相当する範囲である第2範囲の第2上限若しくは第2下限より、小さい若しくは大きい。
温度センサは、不可避の計測誤差や製品誤差を有するため、温度センサの出力値は、電源の温度の真値からずれることがある。なお、特に断りのない限り以下において、「電源の温度の真値」とは、電源の温度の正確な値を示すものとする。換言すれば、計測誤差や製品誤差を有さない理想的な温度センサの出力値は、「電源の温度の真値」と一致する。したがって、センサの出力値が第2範囲内の場合に電源を操作する機能を実行するよう構成したとすると、電源の真値が第2範囲外の場合に当該電源を操作する機能を実行してしまうことがある。なお、温度センサが電源の温度を直接出力しない場合でも、同様の課題が生じ得る点に留意されたい。
本形態では、温度センサの出力値と電源の温度の真値とのずれに応じて、制御部は、温度センサの出力値が第2範囲からずれた第1範囲内の場合に、電源を操作する機能を実行する。これにより、電源の温度がより適した範囲の場合のみに、制御部は、電源を操作する機能を実行することができる。
[第1実施形態]
以下において、第1実施形態に係るエアロゾル生成装置について説明する。図1は、一実施形態に係るエアロゾル生成装置を示す分解図である。図2は、一実施形態に係る霧化ユニットを示す図である。図3は、電源ユニットの一部の拡大斜視図である。図4は、電源ユニットの一部を分解した分解斜視図である。図5は、エアロゾル生成装置のブロック図である。図6は、電源ユニットの電気回路を示す図である。図7は、負荷を含む霧化ユニットと電源ユニットの電気回路を示す図である。
エアロゾル生成装置100は、燃焼を伴わずにエアロゾルを吸引するための非燃焼型の吸引器であってよい。より好ましくは、エアロゾル生成装置100は、携帯型の吸引器であってよい。
エアロゾル生成装置100は、非吸口端E2から吸口端E1に向かう方向である所定方向Aに沿って延びる形状を有していてよい。この場合、エアロゾル生成装置100は、香味を吸引する吸口141を有する一方の端部E1と、吸口141とは反対側の他方の端部E2と、を含んでいてよい。
エアロゾル生成装置100は、電源ユニット110及び霧化ユニット120を有していてよい。霧化ユニット120は、ケース123と、ケース123の内部に配置される負荷121Rと、を有していてよい。ケース123は、エアロゾル生成装置の最も外側の外表面の一部を構成していてよい。
霧化ユニット120は、電源ユニット110に対して機械的な接続部分111,121を介して着脱可能に構成されていてよい。霧化ユニット120と電源ユニット110とが互いに機械的に接続されたときに、霧化ユニット120内の負荷121Rは、電気的な接続端子(第1接続部)111t,121tを介して、電源ユニット110に設けられた電源10に電気的に接続される。すなわち、電気的な接続端子111t,121tは、負荷121Rと電源10を電気的に接続可能な接続部を構成する。
霧化ユニット120は、ユーザにより吸引されるエアロゾル源と、電源10からの電力によりエアロゾル源を霧化する電気的な負荷121Rと、を有する。
負荷121Rは、電源からの電力を用いてエアロゾル源からエアロゾルを発生させることができる素子であればよい。例えば、負荷121Rは、ヒータのような発熱素子、又は超音波発生器のような素子であってよい。発熱素子としては、発熱抵抗体、セラミックヒータ、及び誘導加熱式のヒータ等が挙げられる。
以下では、図1及び図2を参照しつつ、霧化ユニット120のより詳細な一例について説明する。霧化ユニット120は、リザーバ121Pと、ウィック121Qと、負荷121Rと、を有していてよい。リザーバ121Pは、液状のエアロゾル源を貯留するよう構成されていてよい。リザーバ121Pは、例えば、樹脂ウェブ等材料によって構成される多孔質体であってよい。ウィック121Qは、リザーバ121Pから毛管現象を利用してエアロゾル源を引き込む液保持部材であってよい。ウィック121Qは、例えば、ガラス繊維や多孔質セラミックなどによって構成することができる。
負荷121Rは、ウィック121Qに保持されるエアロゾル源を加熱する。負荷121Rは、例えば、ウィック121Qに巻き回される抵抗発熱体(例えば、電熱線)によって構成される。
外気を流路に取込む入口125から流入した空気は、流路122A中で、霧化ユニット120内の負荷121R付近を通過する。負荷121Rによって生成されたエアロゾルは、空気とともに吸口141の方へ流れる。以下、流路122Aは、流体が流れ得る通路のうち、入口125と吸口141との間の通路を意味するものとする。すなわち、この流路122Aは、ユーザによる吸引に伴って生じる気流を通す。本実施形態では、流路122Aは、霧化ユニット120と電源ユニット110との接続部から、霧化ユニット120を通って吸口141に至る。
本実施形態では、入口125が霧化ユニット120の接続部分121に設けられる形態について説明した。本実施形態に代えて、入口125は、電源ユニット110の接続部分111に設けられてもよい。また、本実施形態に代えて、入口125は、霧化ユニット120の接続部分121及び電源ユニット110の接続部分111に設けられてもよい。いずれの形態においても、入口125は、霧化ユニット120と電源ユニット110との接続部に設けられる。
エアロゾル源は、常温で液体であってよい。例えば、エアロゾル源としては、グリセリンやプロピレングリコールなどの多価アルコールを用いることができる。エアロゾル源は、加熱することによって香喫味成分を放出するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含んでいてもよい。
なお、上記実施形態では、常温で液体のエアロゾル源についての例を詳細に説明したが、この代わりに、エアロゾル源は、常温で固体のものを用いることもできる。この場合、負荷121Rは、固体状のエアロゾル源からエアロゾルを発生させるため、固体状のエアロゾル源に接し、又は近接していてよい。
霧化ユニット120は、交換可能に構成された香味ユニット(カートリッジ)130を備えていてもよい。香味ユニット130は、香味源を収容する筒体131を有していてよい。筒体131は、空気やエアロゾル等が通過可能な膜部材133とフィルタ132とを含んでいてよい。膜部材133とフィルタ132とにより構成される空間内に香味源が設けられていてよい。
好ましい実施形態の一例によれば、香味ユニット130内の香味源は、霧化ユニット120の負荷121Rによって生成されたエアロゾルに香喫味成分を付与する。香味源によってエアロゾルに付与される香味は、エアロゾル生成装置100の吸口141に運ばれる。
香味ユニット130内の香味源は、常温で固体であってよい。一例として、香味源は、エアロゾルに香喫味成分を付与する植物材料の原料片によって構成される。香味源を構成する原料片としては、刻みたばこやたばこ原料のようなたばこ材料を粒状に成形した成形体を用いることができる。この代わりに、香味源は、たばこ材料をシート状に成形した成形体であってもよい。また、香味源を構成する原料片は、たばこ以外の植物(例えば、ミント、ハーブ等)によって構成されてもよい。香味源には、メントールなどの香料が付与されていてもよい。
エアロゾル生成装置100は、使用者が吸引成分を吸引するための吸引口を有するマウスピースを含んでいてよい。マウスピースは、霧化ユニット120又は香味ユニット130に着脱可能に構成されていてもよく、一体不可分に構成されていてもよい。なお、香味ユニット130のフィルタ132を含む一部がケース123から露出することで、香味ユニット130がマウスピースの役割を果たしてもよい。
以下では、図1,図3,図4を参照しつつ、電源ユニット110のより詳細な一例について説明する。電源ユニット110は、ケース113、電源10、圧力センサ20、制御ユニット及び温度センサ160を有していてよい。電源10、圧力センサ20、制御ユニット及び温度センサ160は、ケース113内に設けられていてよい。ケース113は、エアロゾル生成装置の最も外側の外表面の一部を構成していてよい。
電源10は、前述したように、エアロゾル源を霧化する負荷121Rへ電気的に接続される又は接続可能に構成されている。すなわち、電源10は、負荷121Rへ放電可能である。電源10は、電源ユニット110に対して交換可能であってよい。電源10は、例えばリチウムイオン二次電池のような再充電可能な二次電池であってよい。
二次電池は、正極と、負極と、正極と負極とを離間するセパレータと、電解液又はイオン液体と、を含んでいてよい。リチウムイオン二次電池では、正極は例えばリチウム酸化物のような正極材によって構成され、負極は例えば黒鉛のような負極材によって構成される。電解液は、例えばリチウム塩有機溶媒であってよい。
圧力センサ20は、吸口141を通じたユーザの吸引又は吹込みにより生じたエアロゾル生成装置100内の圧力変化の値を出力するよう構成されている。具体的には、圧力センサ20は、非吸口側から吸口側に向けて吸引される空気の流量(すなわち、ユーザのパフ動作)に応じて変化する気圧に応じた出力値(例えば、電圧値又は電流値)を出力するセンサであってよい。圧力センサ20の出力値は、圧力の次元を有していてもよく、圧力の次元に代えて吸引される空気の流量や流速を有していてもよい。そのような圧力センサとして、例えば、コンデンサマイクロフォンセンサや公知の流量センサなどが挙げられる。
制御ユニットは、制御基板や、CPU及びメモリを含んでいてよい。CPU及びメモリなどは、エアロゾル生成装置100の各種の制御を行う第1制御部50を構成する。例えば、第1制御部50は、負荷121Rへ供給する電力を制御してもよい。エアロゾル生成装置100は、負荷121Rと電源10とを電気的に接続及び切断可能な第1開閉器172を含んでいてよい(図6参照)。第1開閉器172は、第1制御部50によって開閉される。第1開閉器172は、例えばMOSFETにより構成されていてよい。
第1開閉器172がONになると、電源10から負荷121Rへ電力が供給される。一方、第1開閉器172がOFFになると、電源10から負荷121Rへ電力の供給が停止される。第1開閉器172のON/OFFは、第1制御部50によって制御される。
電源ユニット110は、負荷121Rの動作を要求する信号である動作要求信号を出力可能な要求センサを含んでいてよい。要求センサは、例えばユーザにより押される押しボタン30、又は前述した圧力センサ20であってよい。第1制御部50は、負荷121Rへの動作要求信号を取得して負荷121Rを動作させるための指令を生成する。一例では、第1制御部50は、負荷121Rを動作させるための指令を第1開閉器172へ出力し、この指令に応じて第1開閉器172がONになる。このように、第1制御部50は、電源10から負荷121Rへの給電を制御するよう構成されていてよい。電源10から負荷121Rへ電力が供給されると、負荷121Rによりエアロゾル源が気化又は霧化される。
また、電源ユニット110は、必要に応じて、電源10の出力電圧を取得又は推定可能な電圧センサ150を有していてもよい。この場合、第1制御部50は、電圧センサ150の出力値に応じて所定の制御を行うことができる。例えば、第1制御部50は、電圧センサ150からの出力値によって、電源10の残量や電源10の異常を検知又は推定することができる。第1制御部50は、電源10の残量の低下や電源10の異常を検知したら、通知部40の制御によってユーザに通知を行ってもよい。
電圧センサ150は、電源10のアナログ電圧値を既定の相関を用いてデジタル電圧値に変換し、デジタル電圧値を出力するよう構成されていてよい。具体的には、電圧センサ150は、アナログ入力値をデジタル出力値に変換するA/Dコンバータを有していてよい。なお、電圧センサ150ではなく第1制御部50が、A/Dコンバータを有していてもよい。
本実施形態では、電源ユニット110は、互いに電気的に直列に接続された第1抵抗152と第2抵抗153を有していてよい。第1抵抗152は、電源10に電気的に接続されており、一対の電気端子111tどうしを連結するよう設けられている。第2抵抗153の一端は、第1抵抗152に接続されており、第2抵抗153の他端は、第1制御部50に接続されている。第1抵抗152及び第2抵抗153の電気抵抗値は既知である。好ましくは、第1抵抗152及び第2抵抗153の電気抵抗値は、電源10の状態に拠らず一定であってよい。これらの抵抗152,153は、電気端子111tへの外部ユニットの接続の検知に使用可能である。
通知部40は、各種の情報をユーザに知らせるための通知を発する。通知部40は、例えばLEDのような発光素子であってよい。この代わりに、通知部40は、音を発生する音響素子、又は振動を発するバイブレータであってもよい。さらに、通知部40は、発光素子、音響素子、バイブレータの任意の組み合わせによって構成されていてもよい。通知部40は、エアロゾル生成装置100の任意の箇所に設けられていて良い。本実施形態では、通知部40は、第1制御部50に内蔵されていてもよく、第1制御部50とは異なる場所に配置されていてもよい。通知部40は、ユーザに通知を認識させることができれば、どこに設けられていても良い。
電源ユニット110は、電源10の温度に関する値を出力するセンサを有していてよい。このようなセンサは、前述の温度センサ160であることが好ましい。温度センサ160の出力値は、第1制御部50に送られる。
温度センサ160は、電源10の温度を取得又は推定できれば、どこに設けられていてもよい。温度センサ160は、電源10とは別体である電子部品の内部又は近傍に配置されていてよい。この場合、温度センサ160と当該電子物品の間の距離は、温度センサ160と電源10の間の距離よりも短くてもよい。このような電子部品は、第1制御部50であってよい。例えば、温度センサ160は、第1制御部50に内蔵されていてもよい。
図3及び図4に示す態様では、電源ユニット110は、圧力センサ20、温度センサ160及び第1制御部50を包む第1部材300及び第2部材310を有する。第1部材300及び第2部材310は、例えば筒状に形成されている。第2部材310は、第1部材300の一方の端に嵌められている。第1部材300の別の一方の端には、キャップ330が設けられている。キャップ330に大気開放の開口114が形成されていてよい。これにより、第1部材300及び第2部材310の内部が大気開放される。
電源ユニット110は、電源10を充電可能な充電ユニットと接続可能に構成されていてもよい。図6に示す例では、充電ユニットの電気端子は、電源ユニット110の一対の電気端子111tに電気的に接続される。充電ユニットが電源ユニット110に接続されたとき、充電ユニットは電源10に向けて充電電流を流す。この場合、第1制御部50は、充電電流の電力値及び/又は電流値を変換して電源10に向けて出力可能な変換部を有していてよい。このような変換部は、直流の電圧を昇圧及び/又は降圧可能なDC/DCコンバータを有していてもよい。これにより、第1制御部50は、電源10の充電レート(充電速度)を変更することができる。
本実施形態では、充電ユニットは、一対の接続端子111tにより電源ユニット110に電気的に接続されてもよい。この代わりに、電源ユニット110は、充電ユニットを接続されるための別個の専用のポートを有していてもよい。なお、充電ユニットは必ずしも電源ユニット110と機械的に接続されなくてもよい。別の一例として、充電ユニットは、非接触充電や無接点充電によって電源ユニット110を充電するように構成されていてよい。
電源ユニット110は、電源10と電気的な接続端子111tとの間に、第2開閉器174を備えていてよい。第2開閉器174は、第1制御部50によって開閉される。第2開閉器174は、例えばMOSFETにより構成されていてよい。第2開閉器174のON/OFFは、第1制御部50によって制御される。
第2開閉器174がONになると、充電ユニットからの充電電流が、電源10まで流れ込むことができる。第2開閉器174がOFFになると、充電ユニットからの充電電流は、電源10に流れ込むことができない。すなわち、電源ユニット110に充電ユニットが接続されていたとしても、第1制御部50は、第2開閉器174によって、電源10の充電を一時的又は恒久的に停止することができる。
第1制御部50は、充電ユニットが接続されたか否かを判定可能に構成されていてよい。第1制御部50は、例えば、前述した第2抵抗153における電圧降下量の変化によって、充電ユニットが接続されたか否かを判定することができる。
第2抵抗153における電圧降下量は、一対の電気端子111tに何も接続されていない場合と、一対の電気端子111tに充電ユニットや霧化ユニット120のような外部ユニットが接続されている場合で異なる。したがって、第1制御部50は、第2抵抗153における電圧降下量を取得することによって、充電ユニットや霧化ユニット120のような外部ユニットの接続を検知することができる。
例えば、第1制御部50は、第2抵抗153のところで高レベルの電圧値を検知すると、接続端子111tに充電ユニットが接続されていないと推定できる。また、第1制御部50は、第2抵抗153のところで低レベル又はゼロレベルの電圧値を検知すると、接続端子111tに充電ユニットが接続されたと推定できる。
より詳述すると、接続端子111tに充電ユニットが接続されていない状態では、第1抵抗152と第2抵抗153を介して電源10から第1制御部50へ向けて電流が流れる。したがって、第2抵抗153を貫流する電流によって第2抵抗153において電圧降下が生じるため、第1制御部50は第2抵抗153のところで高レベルの電圧値を検知する。一方、一対の電気端子111tのうち、第1抵抗152と第2抵抗153との間に接続される充電ユニットの主負母線が接地によってグラウンド電位に落ちているならば、接続端子111tへの充電ユニットの接続によって、第1抵抗152と第2抵抗153との間の部分がグラウンド電位に落ちる。したがって、接続端子111tに充電ユニットが接続された状態では、第2抵抗153を電流が貫流しなくなるため、第1制御部50は、第2抵抗153のところで低レベルの電圧値を検知する。
上述した態様の代わりに、第1制御部50は、例えば一対の接続端子111tどうしの間の電位差の変化によって充電ユニットの接続を検知してもよい。
(電源の放電制御)
図8は、電源10の放電における制御フローを示す図である。具体的には、図8は、電源10から負荷121Rへの電力の供給に関する制御フローを示している。このような制御フローは、霧化ユニット120が電源ユニット110に接続された状態で行われる。
第1制御部50は、霧化ユニット120が電源ユニット110に接続された状態で、負荷121Rへの動作要求信号を取得するまで待機する(ステップS100)。動作要求信号は、ユーザの動作に応じて、前述した要求センサから第1制御部50に入力される。要求センサは、前述したように、圧力センサ20や押しボタン30などであってよい。すなわち、ステップS100では、第1制御部50は、ユーザによる吸引動作やユーザによる押しボタン30の押下を検知する。
第1制御部50は、動作要求信号を取得すると、電源10の温度に関する値を取得又は推定する(ステップS102)。図8に示す例では、電源10の温度そのものを取得又は推定する。より具体的には、第1制御部50は、温度センサ160の出力値(温度)を取得する。
次に、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する範囲に属するかどうかを判断する(ステップS104)。この範囲は常温を含むことが好ましい。常温は、例えば、15℃~25℃の範囲であってよい(以下、同様)。なお、図8に示す例では、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が-10℃~54℃の範囲に属するかどうかを判断する。
次に、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が上記範囲に属する場合に、電源10を操作する機能を実行する。ここでは、電源10を操作する機能は、電源10の放電を含む。より具体的には、第1制御部50は、電源10から負荷121Rへ電力の供給を開始する(ステップS106)。これによりエアロゾル源からエアロゾルが発生する。
電源10から負荷121Rへの電力は、電力パルスの形態で供給されることが好ましい。この場合、第1制御部50は、電力パルスのデューティ比を調節することによって、負荷121Rに供給する電力量(単位時間値の電力量)を制御することができる。
負荷121Rがヒータである場合、負荷121Rの温度制御は、公知のフィードバック制御によって実現できる。具体的には、第1制御部50は、電源10からの電力を、パルス幅変調(PWM)又はパルス周波数変調(PFM)によるパルスの形態で負荷121Rに供給することが好ましい。フィードバック制御では、第1制御部50は、負荷121Rの温度を測定又は推定し、測定又は推定された負荷121Rの温度と目標温度との差分等に基づいて、負荷121Rへ供給する電力、例えば前述のデューティ比を制御すればよい。フィードバック制御は、例えばPID制御であってよい。
負荷121Rの温度は、負荷121R付近におかれた温度センサによって測定又は推定することができる。この代わりに、負荷121Rの温度は、負荷121Rの電気抵抗値を測定又は推定することによっても推定できる。これは、負荷121Rの電気抵抗値は、温度に応じて変化するためである。負荷121Rの電気抵抗値は、例えば、負荷121Rでの電圧降下量を測定することによって推定できる。負荷121Rでの電圧降下量は、負荷121Rに印加される電位差を測定する電圧センサによって測定できる。
第1制御部50は、温度センサ160の出力値が上記範囲に属しなかった場合、電源10の温度異常と判断する(ステップS130)。このように電源10の温度異常が検知された場合、第1制御部50は、電源10の放電を禁止する(ステップS132)。電源10の放電の禁止は、例えば第1開閉器172を開くことによって実現できる。
第1制御部50が負荷121Rへの電力供給を開始すると(ステップS106)、第1制御部50は、電源10の温度に関する値を取得又は推定する(ステップS108)。図8に示す例では、電源10の温度そのものを取得又は推定する。より具体的には、第1制御部50は、温度センサ160の出力値(温度)を取得する。
次に、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する範囲に属するかどうかを判断する(ステップS110)。この範囲は常温を含むことが好ましい。なお、図8に示す例では、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が15℃~54℃の範囲に属するかどうかを判断する。なお、ステップS110で用いる温度センサ160の出力値に、ステップS102で取得したものを用いてもよい。このようにすれば、ステップS108の処理を省略できる。
ステップS110において、温度センサ160の出力値が上記範囲内に属する場合、第1制御部50は、電源10の劣化診断を開始する。図8では、電源10の劣化診断の一例として、SOH(State Of Health)を利用する。SOHは、現在の電源10の満充電容量を、初期の電源の満充電容量で割った値によって規定される。SOHは、公知の方法により推定できる。例えば、第1制御部50は、電源10から流出した電流の積算値、電源10へ流入した電流の積算値、インピーダンス、及び温度センサ160を用いて計測された温度に基づき、電源10の劣化状態(SOH)を取得又は推定することができる(ステップS120)。
次に、第1制御部50は、取得又は推定されたSOHが所定の閾値以上であるかどうか判断する(ステップS122)。取得又は推定されたSOHが所定の閾値未満である場合、第1制御部50は、電源10が劣化したと判断する(ステップS124)。この場合、第1制御部50は、電源10の放電を停止し、メモリに電源10の劣化が生じたという情報を記憶する(ステップS126,128)。電源10の放電の停止は、例えば第1開閉器172を開くことによって実現できる。また、第1制御部50は、通知部40を介して電源10の異常が生じたことをユーザに報知してもよい。また、第1開閉器172に加えて第2開閉器174を開くことで、併せて充電を禁止してもよい。
取得又は推定されたSOHが所定の閾値以上である場合、電源10は劣化していないと判断され、ステップS114に移行する。また、ステップS110において、温度センサ160の出力値が上記範囲内に属しない場合、第1制御部50は、電源10の劣化の診断をすることなく、ステップS114に移行する。ステップS114では、第1制御部50は、負荷121Rへの電力供給の終了のタイミングであるかどうかを判断する。
負荷121Rへの電力供給の終了のタイミングは、例えばユーザの吸引動作の終了を検知したタイミング、ユーザの押しボタン押下の解除を検知したタイミング、又は負荷121Rへの電力供給の開始から所定の期間経過したタイミングによって規定されていてよい。
第1制御部50は、負荷121Rへの電力供給の終了のタイミングと判断すると、負荷121Rへの電力の供給を終了する(ステップS116)。負荷121Rへの電力の供給を終了すると、第1制御部50は、再び、負荷121Rへの動作要求信号を取得するまで待機する(ステップS100)。
第1制御部50は、負荷121Rへの電力供給の終了のタイミングではない判断すると、負荷121Rへの電力の供給を継続するとともに、再び温度センサ160の出力値を取得する(ステップS108)。そして、第1制御部50は、温度センサ160の出力値に応じて電源10の劣化診断を行う(ステップS120~S128)。このように、第1制御部50は、負荷121Rへの電力供給が終了するまで、電源10の温度に応じて電源10の劣化の診断を繰り返すことが好ましい。ステップS114における判断がNo(否定的)な場合には、ステップS114を繰り返すことで、1シーケンスにおいてステップS106~S122の処理は1度のみ行われてもよい。また、別の一例として、ステップS114における判断がNo(否定的)な場合には、処理はステップS102に戻ることで、電源10が温度異常であるか否かを再度判断してもよい。
(電源の充電制御)
図9は、電源10の充電における制御フローを示す図である。具体的には、図9は、このような制御フローは、外部の充電ユニットが電源ユニット110に接続された状態で行われる。
第1制御部50は、電源ユニット110に充電ユニットが接続されたかどうかを判断する(ステップS300)。第1制御部50は、充電ユニット200が電源ユニット110に接続されるまで待機する。
充電ユニット200が接続されると、第1制御部50は、電源10の温度に関する値を取得又は推定する(ステップS302)。図9に示す例では、電源10の温度そのものを取得又は推定する。より具体的には、第1制御部50は、温度センサ160の出力値を取得する。
次に、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する範囲に属するかどうかを判断する(ステップS304)。この範囲は常温を含むことが好ましい。なお、図9に示す例では、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が10℃~54℃の範囲に属するかどうかを判断する。
第1制御部50は、温度センサ160の出力値が上記範囲内である場合、急速充電を開始する(ステップS306)。ここで、充電速度はCレートを用いて表現することができる。一般的に、放電終止状態の電源10を1時間で満充電状態まで充電する充電速度を、基準として1.0Cで表す。急速充電では、例えば2.0Cの充電レートで充電が行われてもよい。ただし、急速充電におけるCレートはこの値に限定されないことに留意されたい。
第1制御部50は、充電ユニットからの充電電流の電力の値又は電流の値を、変換して出力可能な変換部を有していてよい。これにより、制御部50は、充電ユニットからの充電電流を所望の電力の値又は電流の値に変換して電源10に供給することができる。したがって、制御部50は、急速充電と、後述する普通充電とに切り替えることができる。
ステップS304において、温度センサ160の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する範囲に属しない場合、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する別の範囲に属するかどうか判断する(ステップS504)。この範囲は常温を含むことが好ましい。なお、図9に示す例では、第1制御部50は、ステップS504において、温度センサ160の出力値が6℃~10℃の範囲に属するかどうかを判断する。
温度センサ160の出力値が当該別の範囲内である場合、制御部50は、普通充電を開始する(ステップS506)。ここで、普通充電は、急速充電のCレートよりも低いCレートを有する充電モードであってよい。普通充電では、例えば1.0CのCレートで充電が行われてよい。
第1制御部50は、温度センサ160の出力値がステップS504に規定する範囲に属しなかった場合、電源10の温度異常と判断する(ステップS330)。このように電源10の温度異常が検知された場合、第1制御部50は、電源10の充電を禁止する(ステップS332)。電源10の充電の禁止は、例えば第2開閉器174を開くことによって実現できる。また、第2開閉器174に加えて第1開閉器172を開くことで、併せて放電を禁止してもよい。
急速充電又は普通充電が開始されると(ステップS306及びS506)、第1制御部50は、電源10の温度に関する値を取得又は推定する(ステップS308)。図9に示す例では、電源10の温度そのものを取得又は推定する。より具体的には、第1制御部50は、温度センサ160の出力値(温度)を取得する。
次に、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する範囲に属するかどうかを判断する(ステップS310)。この範囲は常温を含むことが好ましい。なお、図9に示す例では、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が15℃~54℃の範囲に属するかどうかを判断する。なお、ステップS310で用いる温度センサ160の出力値に、ステップS302で取得したものを用いてもよい。このようにすれば、ステップS308の処理を省略できる。
ステップS310において、温度センサ160の出力値が上記範囲内に属する場合、第1制御部50は、電源10の劣化診断を開始する(ステップS320)。図9では、電源10の劣化診断の一例として、SOH(State Of Health)を利用する。電源10の劣化診断は、前述のステップS110、S120で説明したとおりである。
第1制御部50は、取得又は推定されたSOHが所定の閾値以上であるかどうか判断する(ステップS322)。取得又は推定されたSOHが所定の閾値未満である場合、第1制御部50は、電源10が劣化したと判断する(ステップS324)。この場合、第1制御部50は、電源10の充電を停止し、メモリに電源10の劣化が生じたという情報を記憶する(ステップS326,328)。電源10の充電の停止は、例えば第2開閉器174を開くことによって実現できる。また、第1制御部50は、通知部40を介して電源10の異常が生じたことをユーザに報知してもよい。
取得又は推定されたSOHが所定の閾値以上である場合、電源10は劣化していないと判断され、ステップS314に移行する。また、ステップS310において、温度センサ160の出力値が上記範囲内に属しない場合、第1制御部50は、電源10の劣化の診断をすることなく、ステップS314に移行する。ステップS314では、第1制御部50は、電源10の充電が完了したかどうかを判断する。なお、充電の完了は、充電電流の大きさなどを監視することで検知することができる。第1制御部50は、電源10の充電が完了したと判断すると、第2開閉器174を開き、充電を停止すればよい(ステップS316)。
第1制御部50は、電源10の充電が完了していないと判断すると、充電を継続するとともに、再び温度センサ160の出力値を取得する(ステップS308)。そして、第1制御部50は、温度センサ160の出力値に応じて電源10の劣化診断を行う(ステップS320~S328)。このように、第1制御部50は、充電が終了するまで、電源10の温度に応じて電源10の劣化の診断を繰り返すことが好ましい。ステップS314における判断がNo(否定的)な場合には、ステップS314を繰り返すことで、1シーケンスにおいてステップS308~S322の処理が1度のみ行われてもよい。また別の一例として、ステップS314における判断がNo(否定的)な場合には、処理はステップS302に戻ることで、電源10が温度異常であるか否かを再度判断してもよい。
(各機能における温度に関する値の範囲)
次に、図10に基づき、電源10の動作に関する各機能と温度との関係について説明する。
前述したように、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する第1範囲に属する場合に、電源10を操作する機能を実行するステップを含んでいる。ここで、電源10を操作する機能は、電源10の放電と充電と劣化診断のうちの少なくとも1つを含む。
例えば、図8のステップS104、S106では、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が第1範囲に属する場合に、電源10から負荷121Rへの電力の供給(放電)を実行する。放電により電源10の残容量が低下するため、放電は電源10を操作する機能である。
また、図9のステップS304、S306では、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が別の第1範囲に属する場合に、電源10の急速充電を実行する。また、図9のステップS504、S506では、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が別の第1範囲に属する場合に、電源10の普通充電を実行する。急速充電又は充電により電源10の残容量が増加するため、急速充電又は充電は電源10を操作する機能である。
さらに、図8のステップS110、S120、及び図9のステップS310、S320では、第1制御部50は、温度センサ160の出力値がさらに別の第1範囲に属する場合に、電源10の劣化診断を実行する。劣化診断の結果に応じて電源10への制御が異なるため、劣化診断は電源10を操作する機能である。
ここで、電源10は、通常、動作温度が定められている。このような動作範囲は、電源の製造者が電源(製品)に対して予め定めている動作温度(例えば動作保障範囲)であってよい。
また、二次電池のような電源10は、電源10の劣化を抑制する温度範囲、より具体的には常温と同じ要因のみで電源が劣化する温度範囲で使用されることが望まれる。例えば、電源10は、通常の条件下で生じる劣化(正常劣化)の他に、通常の条件とは異なる条件(低温又は高温条件)に起因して生じる劣化(特異劣化)を有する。したがって、電源10は、このような特異劣化が生じない条件下で使用されることが好ましい。特異劣化の一例としては、低温時に生じ得る電析や高温時に生じ得る電源内部の物性変化などが挙げられる。これら特異劣化の詳細については後述する。
さらに、電源10を操作する前述の各機能は、当該機能の実行可能な温度範囲が存在することもある。
以上のような観点から、ステップS104、S110、S304、S310、S504で規定される温度範囲は、通常、電源の劣化を抑制する温度に関する値の範囲、常温と同じ要因のみで電源10が劣化する温度(特異劣化が生じない温度)に関する値の範囲、又は電源の動作温度に相当する範囲(第2範囲)に基づき定められる。このような第2範囲は、電源10の種類及び実行すべき機能の種類が決まれば、理想的には、電源10の温度に関する値の真値に基づき決定できる。
しかしながら、本実施形態では、ステップS104、S110、S304、S310、S504で規定される温度範囲(第1範囲)の上限(第1上限)若しくは下限(第1下限)は、電源の劣化を抑制する温度に関する値の範囲、常温と同じ要因のみで電源10が劣化する温度に関する値の範囲、又は電源の動作温度に相当する範囲である第2範囲の上限(第2上限)若しくは下限(第2下限)より、小さい又は大きい。なお、本明細書において、第1範囲は、制御フローにおいて、実際にセンサの出力値と比較されるべき範囲によって規定される。以下では、第1範囲の上限を「第1上限」と、第1範囲の下限を「第1下限」と称することがある。同様に、第2範囲の上限を「第2上限」と、第2範囲の下限を「第2下限」と称することがある。
第1範囲と第2範囲とのずれは、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値とのずれに起因して定められることが好ましい。例えば、温度センサ160の出力値は、温度センサ160の精度に起因する誤差を含み得る。温度センサ160の誤差としては、ゲイン誤差、オフセット誤差、ヒステリシス誤差などが挙げられる。これらの誤差は実験的に求めてもよいし、温度センサ160のスペックシートや仕様書に記載されたものを用いてもよい。
また、温度センサ160が電源10から離れた位置に設けられる場合、電源10から温度センサ160までの熱損失によって、温度センサ160の出力値が、電源10の温度の真値からずれることもある。さらに、温度センサ160の付近に電源10とは異なる熱源が存在する場合、熱源からの熱の影響により、温度センサ160の出力値が、電源10の温度の真値からずれることもあり得る。
本実施形態では、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値とのずれに応じて、ステップS104、S110、S304、S310、S504で規定される温度範囲(第1範囲)の第1上限若しくは第1下限を、第2範囲の第2上限若しくは第2下限より小さく又は大きくすればよい。このように、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値とのずれに基づき、上記の各機能の実行の可否を決定することにより、第1制御部50は、適切な温度範囲内で各機能を実行することができるようになる。
ここで、第2範囲の第2上限は、電源10の動作温度(製造者により規定された推奨使用温度)の上限によって規定されていてよい。この代わりに、第2範囲の第2上限は、電源10における電極又は電解液の構造又は組成の変化が生じる温度によって規定されていてもよい。例えば、第2範囲の第2上限は、60℃であってよい。なお、電極又は電解液の構造又は組成の変化は、前述した特異劣化の一例である。また、第2範囲の第2上限は60℃に限定されず、電源10の種類などに応じて、好ましくは40℃~80℃の範囲、より好ましくは50℃~70℃の範囲、さらに好ましくは55℃~65℃の範囲から選ばれてよい点に留意されたい。
ステップS104、S110、S304、S310、S504で規定される第1範囲の第1上限は、第2範囲の第2上限より小さいことが好ましい。これにより、温度センサ160の出力値が、電源10の温度の真値からプラスとマイナスのいずれにずれたとしても、電源10の温度の真値が第2範囲内である場合にのみ、第1制御部50は上記機能を実行することができる。これにより、上記機能を実行しても電源10の劣化が抑制されるため、電源10を新品に交換することなく長期的に使用できるという省エネルギー効果を有する。
第2範囲の第2上限と第1範囲の第1上限との差は、6~10℃程度であってよい。したがって、第1上限は例えば50~54℃であってよい。図10に示す例では、放電、充電、及び電源の劣化診断のいずれの機能に対しても、第1範囲の第1上限は、同じ値となっている。これは、いずれの機能においても、高温の条件下では、電源10における電極又は電解液の構造又は組成の変化を避けることが好ましいからである。
なお、機能毎に第1範囲の第1上限は異なっていてもよい。電源の劣化影響度は放電よりも充電の方が高いため、普通充電又は急速充電の実行が許可される第1範囲の第1上限は54℃より低くてもよい。好ましくは、第2範囲の第2上限を45℃することで、普通充電又は急速充電の実行が許可される第1範囲の第1上限は39℃であってもよい。
第2上限と第1上限の差は、図10に示すいずれの機能においても、同じである。この代わりに、第2上限と第1上限の差は、少なくとも2つの機能において同じであってもよい。第2上限と第1上限の差は、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との差(差の最大値)に応じて決められることが好ましい。このような観点から、第2上限と第1上限の差は、各機能において同じであることが好ましい。
また、ステップS104、S110、S304、S310、S504で規定される第1範囲の第1下限は、上記第2下限より大きいことが好ましい。これにより、温度センサ160の出力値が、電源10の温度の真値からずれていたとしても、電源10の温度の真値が第2範囲内である場合にのみ、第1制御部50は上記機能を実行することができる。これにより、上記機能を実行しても電源10の劣化が抑制されるため、電源10を新品に交換することなく長期的に使用できるという省エネルギー効果を有する。
図10に示す例では、第1範囲の第1下限は、放電、充電、及び電源の劣化診断の機能ごとに異なっている。これにより、各機能を実行する判断となる第1範囲は、機能毎に異なる。これにより、第1制御部50は、機能毎に最適な条件下で各機能を実行するか否かを判断することができる。
ここで、電源の放電及び充電の機能において、第2範囲の第2下限は、電源10の動作温度(製造者により規定された推奨使用温度)の下限によって規定されていてよい。
この代わりに、電源の放電機能においては、第2範囲の第2下限は、電解液凝固によって内部抵抗が過大になり得る温度によって規定されていてよい。この場合、例えば、第2範囲の第2下限は、-10℃であってよい。
また、電源の充電機能においては、第2範囲の第2下限は、電析により負極の表面に例えばリチウムのような正極材が析出され得る温度によって規定されていてよい。この場合、例えば、第2範囲の第2下限は、0℃であってよい。特に、電析は、電源の充電時に生じ易い。したがって、特に充電の機能に関して、第2範囲の第2下限は0℃であることが好ましい。
電源の普通充電の機能において、第2範囲の第2下限と第1範囲の第1下限との差の絶対値は、6~10℃程度であってよい。すなわち、電源の普通充電の機能において、第1範囲の第1下限は例えば6~10℃であってよい。
また、電源の劣化診断機能においては、第2範囲の第2下限は、電源の劣化診断機能を実行可能な温度範囲によって規定されている。具体的には、電源の劣化は、前述したようにSOHのような量を用いて診断される。ここで、電源の内部インピーダンスが、SOHのような量の推定に影響を与えることがある。電源10が低温になると、内部インピーダンスが増大するため、低温ではSOHのような量を正確に推定することができない場合がある。このような観点から、電源の劣化診断機能においては、第2範囲の第2下限は、例えば15℃に設定されていてよい。また、電源の劣化診断機能においては、第1範囲の第1下限も、同じ15℃に設定されていてよい。
電源10の充電、特に普通充電の機能において、第2上限と第1上限との差の符号は、第2下限と第1下限との差の符号と異なることが好ましい。すなわち、第2上限が第1上限よりも大きいなら、第2下限は第1下限よりも小さい。逆に、第2上限が第1上限よりも小さいなら、第2下限は第1下限よりも大きい。最も好ましくは、第2上限が第1上限よりも大きく、かつ、第2下限が第1下限よりも小さい。これにより、温度センサ160の出力値が、電源10の温度の真値からプラスとマイナスの両方にずれたとしても、電源10の温度の真値が第2範囲内である場合にのみ、第1制御部50は電源10の充電を実行することができる。これにより、上記機能を実行しても電源10の劣化が抑制されるため、電源10を新品に交換することなく長期的に使用できるという省エネルギー効果を有する。
第2上限と第1上限の差の絶対値と、第2下限と第1下限の差の絶対値の少なくとも一方は、温度センサ160の入力値に対する出力値における誤差の最大値以上であることが好ましい。
より好ましくは、第2上限と第1上限の差の絶対値と、第2下限と第1下限の差の絶対値の少なくとも一方は、誤差が無い場合の温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値に相当する値との差分の絶対値以上である。
また、電源10と温度センサ160が離れている場合、第2上限と第1上限の差の絶対値と、第2下限と第1下限の差の絶対値の少なくとも一方は、電源10の温度が温度センサ160又は温度センサ160を内蔵した電子部品に伝わるまでの温度変化(熱損失)に相当する変化量以上であることが好ましい。これにより、第1制御部50は、熱損失に起因する温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との差分を適切に考慮することができる。
より好ましくは、第2上限と第1上限の差の絶対値と、第2下限と第1下限の差の絶対値の少なくとも一方は、電源10の温度が温度センサ160若しくは電子部品に伝わるまでの温度変化(熱損失)に相当する変化量、又は誤差が無い場合の温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値に相当する値との差分の絶対値を、温度センサ160の入力値に対する出力値の誤差における最大値に加えた値以上である。これにより、第1制御部50は、前述した熱損失に起因する温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との差分と、温度センサ160の誤差に起因する真値との差分との両方を考慮することができる。
図10に示す例では、放電、急速充電、及び電源の劣化診断の機能において、第1範囲の第1下限は、第2範囲の第2下限と同じである。この代わりに、放電、急速充電、及び電源の劣化診断のうちの少なくとも1つの機能において、普通充電と同様に、第1範囲の第1下限が、第2範囲の第2下限より大きくなっていてもよい。この場合、第2下限と第1下限の差は、放電、普通充電、急速充電、及び電源の劣化診断のうちの少なくとも2つの機能、より好ましくはすべての機能において、同じであってよい。普通充電と同様に第1下限と第2下限の差の絶対値を6℃にする場合は、放電の第1下限は-4℃、急速充電の第1下限は16℃、劣化診断の第1下限は21℃である点に留意されたい。
なお、前述した実施形態では、第1下限と第2下限の差分の絶対値と、第1上限と第2上限の差分の絶対値は同じ値であったが、異なる値でもよい。
[第2実施形態]
(電源の放電制御)
次に、第2実施形態における電源の放電における制御フローを説明する。以下において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略することがある。
図11は、第2実施形態における電源の放電における制御フローを示す図である。第2実施形態における電源の放電における制御フローは、第1実施形態における制御フロー(図8)と概ね同様である。ただし、第2実施形態では、ステップS104,110で規定される第1範囲の上限(第1上限)が可変に構成されている。
具体的には、第1制御部50は、動作要求信号を取得し(ステップS100)、温度センサ160の出力値を取得すると(ステップS102)、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に差を生じさせるパラメータを取得する(ステップS103a)。それから、制御部50は、取得したパラメータから、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に生じ得る差分εを算出する(ステップS103b)。
次に、第1制御部50は、算出した差分εに基づき、第2上限と第1上限の差を調整する。具体的には、第1制御部50は、算出した差分εだけ、第1実施形態で使用した第1上限を小さくする。そして、ステップS104において、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が差分εを考慮した新しい第1範囲に属するかどうかを判断する(ステップS104)。このように、第1制御部50は、状況に応じて、電源10の放電を行うかどうかを判断する第1範囲を可変にする。
同様に、第1制御部50は、電源10の劣化の診断(ステップS120)の前にも、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に差を生じさせるパラメータを取得し(ステップS109a)、取得したパラメータから、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に生じ得る差分εを算出してもよい(ステップS109b)。この場合、第1制御部50は、ステップS110において、温度センサ160の出力値が差分εを考慮した新しい第1範囲に属するかどうかを判断する。このように、第1制御部50は、状況に応じて、電源10の劣化診断を行うかどうかを判断する第1範囲を可変にしてもよい。
ここで、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に生じ得る差分εは、例えば電源10から温度センサ160まで熱が伝わる間に損失する熱量に起因するものであってよい。また、温度センサ160付近に別の熱源が存在する場合、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に生じ得る差分εは、当該別の熱源が温度センサ160に与える熱の影響であってもよい。
一例では、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に差を生じさせるパラメータは、温度センサ160によって取得した温度そのものであってよい。電源10の温度が高いほど、電源10から温度センサ160まで伝わるまでに損失する熱量は高くなると考えられる。このように、温度センサ160の温度に応じて、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に生じ得る差分εは変動し得る。したがって、この場合、第1制御部50は、温度センサ160の出力値に基づき、第2上限と第1上限の差を調整すればよい。
別の一例では、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に差を生じさせるパラメータは、制御部50の所定時間あたりの計算量であってよい。制御部50の所定時間あたりの計算量が多いほど、制御部50の発熱量が増大する。温度センサ160が制御部50付近又は制御部50の内部に設けられている場合、温度センサ160の出力値は制御部50の発熱に影響を受ける。したがって、制御部50の所定時間あたりの計算量に応じて、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に生じ得る差分εは変動し得る。したがって、この場合、第1制御部50は、制御部50の所定時間あたりの計算量に基づき、第2上限と第1上限の差を調整すればよい。
制御部50の所定時間あたりの計算量は、例えば制御部50の計算資源の使用量や使用率から求めてもよい。別の一例として、制御部50の所定時間あたりの計算量は、制御部50が制御している機能の内容や数から求めてもよい。
図11に示す例では、制御部50は、第1範囲の上限のみを可変にし、第2上限と第1上限の差を調整するよう構成されている。この代わりに、制御部50は、第1範囲の上限と下限のうちの少なくとも一方を可変にし、第2上限と第1上限の差と、第2下限と第1下限の差との少なくとも一方を調整するよう構成されていてもよい。第1範囲の上限と下限のどちらを調整するか、及び調整量については、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に差を生じさせるパラメータと、出力値と真値との関係性を予め実験により適宜設定しておけばよい。
上記のように、第1制御部50は、使用環境や使用状況に応じて、第1範囲を可変にすることで、より適切な条件下で電源10を操作する機能を実行することができる。
(電源の充電制御)
次に、第2実施形態における電源の充電における制御フローを説明する。以下において、第1実施形態と同様の構成については、説明を省略することがある。
図12は、第2実施形態における電源の充電における制御フローを示す図である。第2実施形態における電源の充電における制御フローは、第1実施形態における制御フロー(図9)と概ね同様である。ただし、第2実施形態では、ステップS304,310で規定される第1範囲の第1上限と、ステップS504で規定される第1範囲の第1下限とが可変に構成されている。
具体的には、ステップS304,310の前に、制御部50は、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に差を生じさせるパラメータを取得し(ステップS303a,S309a)、取得したパラメータから、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に生じ得る差分εを算出する(ステップS303b,S309b)。
次に、第1制御部50は、算出した差分εに基づき、ステップS304やステップS310における第1範囲の第1上限を調整する。具体的には、第1制御部50は、算出した差分εだけ、第1上限を小さくする。そして、ステップS304,S310において、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が差分εを考慮した新しい第1範囲に属するかどうかを判断する。
同様に、制御部50は、算出した差分εに基づき、ステップS504における第1範囲の第1下限を調整する。具体的には、第1制御部50は、算出した差分εだけ、第1下限を大きくする。そして、ステップS504では、第1制御部50は、温度センサ160の出力値が差分εを考慮した新しい第1範囲に属するかどうかを判断する。
このように、第1制御部50は、状況に応じて、電源10の充電又は電源の劣化診断を行うかどうかを判断する第1範囲を可変にする。第1制御部50は、使用環境や使用状況に応じて、第1範囲を可変にすることで、より適切な条件下で電源10を操作する機能を実行することができる。
なお、温度センサ160の出力値と電源10の温度の真値との間に差を生じさせるパラメータや、差分εについては、電源の放電制御において説明したとおりである。
[第3実施形態]
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態において、第1実施形態と同様の構成については、同様の符号が付されており、その説明を省略することがある。
図13は、第3実施形態における電源ユニットと充電ユニットの電気回路を示す図である。図14は、充電ユニットのブロック図である。電源ユニット110は、第1実施形態と同様の構成を有していてよい。
電源ユニット110は、充電ユニット200と接続可能に構成されている。充電ユニット200が電源ユニット110に接続されたとき、充電ユニット200は電源ユニット110の電源10と電気的に接続される。充電ユニット200は、電流センサ230、電圧センサ240、第2制御部250及び第2温度センサ260を有していてよい。
充電ユニット200は、一対の接続端子211tにより電源ユニット110に電気的に接続される。充電ユニット200を電気的に接続するための電源ユニット110の一対の電気端子は、負荷121Rを電気的に接続するための電源ユニット110の一対の電気端子111tと同じであって良い。この代わりに、充電ユニット200を電気的に接続するための電源ユニット110の一対の電気端子は、一対の電気端子111tとは別個に設けられていてもよい。
外部電源210が交流電源の場合、充電ユニット200は、交流を直流に変換するインバータ(AC/DCコンバータ)を有していてよい。電流センサ230は、充電ユニット200から電源10へ供給する充電電流の値を取得するセンサである。電圧センサ240は、充電ユニット200の一対の電気端子間の電圧を取得するセンサである。換言すれば、電圧センサ240は、電源ユニットの一対の接続端子111t間に印加する電位差を取得する。
第2制御部250は、電源10への充電を制御するよう構成されている。第2制御部250は、第2温度センサ260、電流センサ230及び/又は電圧センサ240からの出力値を用いて、電源10の充電を制御してよい。なお、充電ユニット200は、インバータが出力する直流の電圧を取得する電圧センサや、インバータや外部電源210が出力する直流の電圧を昇圧及び/又は降圧可能なDC/DCコンバータを、さらに有していてもよい。
充電ユニット200は、入力された電力の電圧又は電流を変換して出力可能な変換部290を備えていてよい。第2制御部250は、変換部290の操作によって変換部290が出力する電圧の値又は電流の値を調整可能に構成されている。これにより、第2制御部250は、電源10を充電するための充電電流を調整することができる。
したがって、第3実施形態では、充電ユニット200の第2制御部250が急速充電と普通充電の切り替えを担う。一方、電源ユニット110の第1制御部50は、第2開閉器174の開閉により、充電の可否を選択することができる。すなわち、電源ユニット110に充電ユニット200が接続されていたとしても、第1制御部50は、第2開閉器174によって、電源10の充電を一時的又は恒久的に停止することができる。
(電源の充電制御)
図15は、第3実施形態における電源の充電における充電ユニット側の制御フローを示す図である。
充電ユニットの第2制御部250は、電源ユニット110に接続されたかどうかを判断する(ステップS600)。第2制御部250は、電源ユニット110に接続されるまで待機する。
電源ユニット110に接続されると、第2制御部250は、電源10の温度に関する値を取得又は推定する(ステップS602)。電源10の温度に関する値は、電源10の温度であってよい。この場合、第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値から、電源10の温度を推定してよい。
次に、第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する範囲に属するかどうかを判断する(ステップS604)。この範囲は常温を含むことが好ましい。なお、図15に示す例では、第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値が15℃~54℃の範囲に属するかどうかを判断する。
第2制御部250は、第2温度センサ260の出力値が上記範囲内である場合、急速充電を開始する(ステップS606)。具体的には、第2制御部250は、急速充電に相当する充電レートで、電源ユニット110に向けて電流を供給する。
ステップS604において、温度センサ160の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する範囲に属しない場合、第2制御部250は、普通充電を開始する(ステップS607)。具体的には、第2制御部250は、普通充電に相当する充電レートで、電源ユニット110に向けて電流を供給する。
第2制御部250は、充電が完了したと判断すると、電流の供給を停止する(ステップS614)。第2制御部250は、例えば、定電圧充電中に充電電流が充電完了電流以下になった場合に、充電が完了したと判断すればよい。
図16は、第3実施形態における電源の充電における電源ユニット側の制御フローを示す図である。電源ユニット110の第1制御部50は、第1実施形態と同様に、電源ユニット110に充電ユニットが接続されたかどうかを判断する(ステップS300)。第1制御部50は、充電ユニット200が電源ユニット110に接続されるまで待機する。
充電ユニット200が接続されると、第1制御部50は、第1実施形態と同様に、温度センサ160の出力値を取得し、温度センサ160の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する範囲に属するかどうかを判断する(ステップS302、S304)。
第1制御部50は、温度センサ160の出力値が上記範囲内である場合、第2開閉器174を閉じる(ステップS704)。これにより、充電ユニット200からの充電電流が電源10に到達可能になる。
ステップS304において、温度センサ160の出力値が上限と下限の少なくとも一方を有する範囲に属しない場合、第1制御部50は、電源10の温度異常と判断する(ステップS330)。このように電源10の温度異常が検知された場合、第1制御部50は、電源10の充電を禁止する(ステップS332)。電源10の充電の禁止は、例えば第2開閉器174を開くことによって実現できる。
急速充電又は普通充電が開始されると、第1制御部50は、電源10の温度に関する値を取得又は推定し、必要に応じて電源の劣化診断を行う(ステップS308、S310、S320、S322、S324、S326、S328)。これらのステップは、第1実施形態と同様である。
本実施形態では、第1制御部50は、電源の充電が完了したと判断すると、第2開閉器174を開く。これにより、充電ユニットからの充電電流が電源10へ到達することを防ぐ。
前述したように、本実施形態では、電源ユニット110の第1制御部50と充電ユニット200の第2制御部250が、共同で充電の機能を実行する。この場合であっても、第1制御部50及び/又は第2制御部250は、温度センサ160,260の出力値が第1上限と第1下限の少なくとも一方を有する第1範囲に属する場合に、電源を操作する機能を実行するよう構成されていてよい。この場合、第1範囲の第1上限若しくは第1下限は、当該機能が実行可能な温度に関する値の範囲、電源の劣化を抑制する温度に関する値の範囲、常温と同じ要因のみで電源が劣化する温度に関する値の範囲、又は電源の動作温度に相当する範囲である第2範囲の第2上限若しくは第2下限より、小さい又は大きくてよい。すなわち、図15のステップS604、図16のステップS304及びS310における温度範囲の上限及び/又は下減は、前述した「各機能における温度に関する値の範囲」の欄で説明したとおりに設定されていてよい。
また、第3実施形態において、図15のステップS604、図16のステップS304及びS310における温度範囲の上限及び/又は下減は、第2実施形態で説明したように可変に構成されていてもよい。
(プログラム及び記憶媒体)
前述した任意の制御フロー、より具体的には図8,9,11,12,15,16で説明した制御フローは、第1制御部50又は第2制御部250が実行することができる。すなわち、第1制御部50又は第2制御部250は、エアロゾル生成装置や電源ユニットや充電ユニットのような装置に搭載されるコンピュータに前述の方法を実行させるプログラムを有していてよい。このようなプログラムは、コンピュータにより読み込み可能な記憶媒体に格納されていてよい。記憶媒体は、例えば非一過性の媒体であってよい。
[その他の実施形態]
本発明は上述した実施形態によって説明したが、この開示の一部をなす論述及び図面は、この発明を限定するものであると理解すべきではない。この開示から当業者には様々な代替実施形態、実施例及び運用技術が明らかとなろう。
例えば、前述した実施形態では、エアロゾル生成装置100は、エアロゾルを発生するエアロゾル源と、香喫味成分を発生するたばこ原料やたばこ原料由来の抽出物を含む香味源との両方を含む。この代わりに、エアロゾル生成装置100は、エアロゾル源と香味源のいずれか一方のみを含んでいてもよい。
また、前述したエアロゾル生成装置では、電源ユニット110と霧化ユニット120は互いに分離可能に構成されている。この代わりに、電源ユニット110と霧化ユニット120は、一体不可分に構成されていてもよい。
前述した実施形態では、電源10の温度に関する値として、電源10の温度そのものを用いた。したがって、温度に関する値を出力するセンサは、温度センサ160,260であった。この代わりに、温度に関する値は、温度とは異なる物理量、例えば温度に換算可能な物理量であってもよい。温度に換算可能な物理量は、例えば、(電源付近に設けられた)抵抗の電気抵抗値や、当該抵抗における電圧降下量(電位差)などであってよい。この場合、電源の温度に関する値を出力するセンサは、電源の付近に設けられた電気抵抗の電気抵抗値を測定するセンサ、又は電気抵抗での電圧降下量を測定する電圧センサであってよい。