次に、本発明に係る好適実施形態となる実施例1-5及び参考例1-5を挙げ、図面に基づき詳細に説明する。
参考例1
まず、本発明の原理を示す参考例1の撮像光学系Cについて、図1-図4を参照して具体的に説明する。
最初に、図1を参照し、参考例1に係る撮像光学系Cの構成について説明する。なお、この撮像光学系Cは、デジタルカメラ用交換レンズに適用することを想定できる。図1中、OBJは物体(被写体)を示し、IMGは像(撮像素子)を示している。したがって、物体OBJ側が光軸Dc方向の前方となり、像IMG側が光軸Dc方向の後方となる。
参考例1に係る撮像光学系Cは、基本構成として、開口絞りSTOに対して光軸Dc方向の物体OBJ側に前レンズ群101を配し、かつ像IMG側に後レンズ群102を配した対称配置タイプのレンズ構成を備える。
前レンズ群101は、連続した2又は3枚の正レンズL2…を含む正レンズ群Lf,及びこの正レンズ群Lfの前側に配した負レンズL1と後側に配した負レンズL4の計4枚のレンズL1-L4により構成する。より具体的には、両凹レンズを用いた負レンズL1,両凸レンズを用いた正レンズL2及び正メニスカスレンズを用いた正レンズL3,両面(面番号i=7,8)が空気空間Sに面し、かつ物体OBJ側が凸面となる負メニスカスの非球面レンズを用いた開口絞りSTO側の負レンズL4を含む部分対称レンズ群として構成し、各レンズのパワーは順番に(-)(+)(+)(-)となる。
このように、前レンズ群101を構成するに際して、物体OBJ側に、かつ物体OBJ側が凹面になる負レンズL1を配して構成するとともに、両曲面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲した少なくとも1つの非球面レンズを含ませて構成すれば、レンズ面に凸面を多用し、入射角と屈折角を緩やかにできるため、前レンズ群101において入射光の収斂作用を高めた場合であっても、収差発生を抑制することができるとともに、全体のコンパクト化にも寄与できる。しかも、各画角の光線の各レンズ面における通過点の角度差を小さくできるため、大きな光束の収差補正を有利に行うことができる。
また、後レンズ群102は、2枚の両凸レンズを用いた正レンズL6,L7が連続する正レンズ群Lr,及びこの正レンズ群Lrの前側に配した負レンズL5と後側に配した負レンズL8の計4枚のレンズL5-L8を備えるとともに、負レンズL8の後方に配し、かつ両面(i=18,19)が空気空間Sに面するとともに、両曲面(i=18,19)が光軸Dcの同一方向(例示の場合は、像IMG側方向)に湾曲した非球面レンズによる最終レンズL9を備えて構成する。この場合、像IMG側の負レンズL8には、像IMG側が空気空間Sに面する両凹レンズを用いるとともに、開口絞りSTO側の負レンズL5には両凹レンズを用いる。後レンズ群102は、計5枚のレンズL5-L9により構成し、特に、4枚のレンズL5-L8は部分対称レンズ群を構成することにより、各レンズのパワーは順番に(-)(+)(+)(-)となる。
このように、後レンズ群102を構成するに際して、開口絞りSTO側に配し、かつ当該開口絞りSTO側が凹面になる負レンズL5を設けるとともに、像IMG側に配し、かつ像IMG側が空気空間Sに面する負レンズL8を設ければ、使用するレンズの小径化(小径化)を図ることができるため、レンズ加工を有利に行うことができるとともに、対称配置タイプとなるレンズ構成の構築を容易に行うことができる。
したがって、参考例1に係る撮像光学系Cは、開口絞りSTOを挟み、その前後に部分対称レンズ群がそれぞれ配置される基本形態を備える。また、レンズ全系における9枚の各レンズL1-L9は全て空気間隔Sにより隔てられている。
なお、最終レンズL9は、負レンズL4に対して同一形状となり、光軸Dc方向に反転した物体OBJ側が凹となる負メニスカスの非球面レンズとなる。これにより、後述するように、後レンズ群102に、二つの接合レンズJ56とJ78を含ませた場合、軸Dc方向において、二つの接合レンズJ56とJ78間に対して対称に配される。このように、前レンズ群101及び後レンズ群102のそれぞれに1枚の非球面レンズを含めるとともに、各非球面レンズを同一形状に形成し、かつ光軸Dc方向において対称に配するようにすれば、同一レンズを用意すれば足りるため、加工を要するレンズの種類を低減でき、特に、成形製造する非球面レンズのコストダウンに寄与できる。しかも、各レンズを対称配置すれば、緒収差を抑えることができるとともに、対称なレンズ配置内において物体距離による空気間隔を変化させることにより、収差変動を低減することができる。
表1には、参考例1の撮像光学系Cにおけるレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の撮像光学系Cは、焦点距離:50.00mm,Fナンバー:1.95,半画角:23.4゜である。
表1の「面データ」は、物体OBJ側から数えたレンズ面の面番号をiで示し、この面番号iは、図1に示した符号(数字)に一致する。これに対応して、レンズ面の曲率半径R(i)、軸上面間隔D(i)、レンズの屈折率nd(i)、レンズのアッベ数νd(i)、異常部分分散値dPgF(i)の絶対値をそれぞれ示す。nd(i)及びνd(i)はd線(586.56〔nm〕)に対する数値である。なお、異常部分分散値dPgF(i)は、異常部分分散性ΔθgF(i)と同義である。即ち、dPgF(i)は、レンズのg線とF線における硝材の異常部分分散性を示す値であり、dPgF=θgf-(-1.61783×e-3)×νd+0.6414625で求めた値を示す。θgfは、g線とF線の間の部分分散比を示す。また、軸上面間隔D(i)は相対向する面と面間のレンズ厚或いは空気空間を示す。さらに、曲率半径R(i)と面間隔D(i)の単位は〔mm〕である。面番号のOBJは物体、STOは開口絞り、IMGは像の位置を示す。曲率半径R(i)のInfinityは平面であり、面番号iの後にAが付いた面は面形状が非球面であることを示す。屈折率nd(i)とアッベ数νd(i)の空欄は空気であることを示す。
また、表1の「非球面係数」は、面の中心を原点とし、光軸Dc方向をZとした直交座標系(X,Y,Z)において、ASPを非球面の面番号としたとき、Zは数1により表される。数1において、Rは中心曲率半径、Kは円錐定数、A4,A6,A8,A10は、それぞれ4次,6次,8次,10次の非球面係数、Hは光軸上の原点からの距離である。なお、表2において、「E」は「×10」を意味する。
さらに、表1の「フォーカス可変間隔」は、図1に示すフォーカス方式〔F11〕-〔F14〕に対応する。即ち、参考例1の場合、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化するときのフォーカス調整は、フォーカス方式〔F11〕-〔F14〕で示す4種類の何れかの方式により可能である。〔F11〕は、「L1-L4」,「L5-L6」,「L7-L9」をそれぞれ一体とした3つの各指定レンズ群Lp…を、物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,後レンズ群102の正レンズL6とL7間の空気間隔,像IMG側の空気間隔,をそれぞれ変化させる方式、〔F12〕は、「L1-L4」,「L5-L9」をそれぞれ一体とした2つの各指定レンズ群Lp…を、物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTOを含む空気間隔,像IMG側の空気間隔,をそれぞれ変化させる方式、〔F13〕は、「L1-L6」,「L7-L9」をそれぞれ一体とした2つの各指定レンズ群Lp…を、物体OBJ側に異なる量で移動させ、後レンズ群102の正レンズL6とL7間の空気間隔,像IMG側の空気間隔,をそれぞれ変化させる方式、〔F14〕は、レンズ全群「L1-L9」を一体として物体OBJ側に移動させ、像IMG側の空気間隔を変化させる方式である。
図2-図3に、参考例1の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F11〕-〔F14〕に対応する縦収差図を示す。なお、図2中の〔F1s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、左側から、球面収差(656.27nm,586.56nm,435.83nm)、非点収差(586.56nm)、歪曲収差(586.56nm)を示す。各スケールは、±0.50mm,±0.50mm,±3.0%である。
フォーカス方式〔F1s〕,〔F11〕-〔F13〕の場合、平面光軸に垂直な平面の被写体がボケない撮影を行うことができる。特に、レンズ構成の対称点位置となる開口絞りSTOの空気間隔又は後レンズ群102における2枚の正レンズL6とL7間の空気間隔の一方を変化させる場合は、いずれのフォーカス方式であっても良好かつ同等の撮像性能が得られることを確認できる。また、近距離の被写体では撮像性能が良好となる調整間隔がわかっているため、像面湾曲の度合をコントロールする場合にも利用可能である。一方、フォーカス方式〔F14〕の場合、像面湾曲(非点収差)の焦点の合った面がマイナスにカーブしているため、両面中央において焦点が合った被写体では、両面周辺になるに従って近方に焦点が合うカーブになり、被写体よりも遠方は、よりボケた画像や映像になることがわかる。
このように、前レンズ群101及び後レンズ群102におけるフォーカス調整時に変化する空気間隔の前後の指定レンズ群Lp…に対して、最大3つの指定レンズ群Lp…を移動可能に構成すれば、対称配置タイプのレンズ構成における、前レンズ群101と後レンズ群102により収差を打ち消すメリットを利用できるため、このメリットを利用した柔軟なフォーカス調整機構を構築することができる。
特に、フォーカス調整時に変化する空気間隔として、開口絞りSTOを含む空気間隔,前レンズ群101の2枚の正レンズL2.L3間の空気間隔,後レンズ群102の2枚の正レンズL6,L7間の空気間隔の少なくとも1つを含ませることができ、参考例1に係る対称配置タイプの撮像光学系Cに対する最適なフォーカス調整機構を構築することができる。
即ち、撮像光学系の場合、物体OBJ(被写体)との距離を変化させて撮影を行うため、光学系の対称性を少し変形(空気間隔を変化)させながら撮像性能を確保する。したがって、対称性を有する参考例1における撮像光学系Cは、対称点位置の前後で収差を打ち消す作用が生じることを利用して、開口絞りSTOを含む空気間隔(空気空間S)、或いは前レンズ群101及び後レンズ群102における2枚の両凸レンズ(正レンズL2,L3/L6,L7)間の空気間隔(空気空間S)の両側における指定レンズ群Lp…を移動させるようにした。
例えば、近距離に対して光学系全体を移動させ、像IMG面において像面湾曲がマイナスに変化する状態を考えた場合、焦点面は、像IMG面における画面中心から周辺にかけてレンズ側にカーブするため、画面中心に焦点を合わせた場合、周辺に行くに従ってボケる傾向がある。この現象を、物体OBJ側に置き換えた場合、画面中心の被写体に焦点を合わせることにより、周辺に行くに従って近方に焦点が合うカーブとなり、これより遠方は、よりボケた画像や映像となる。したがって、開口紋りSTOを絞ることにより収差を少なくするとともに、被写体深度を広くして平面被写体を平面像面にする方法が一般的である。即ち、収差を少なくするようにレンズ群を移動させるフォーカス調整方式は、近距離平面(光軸に垂直な平面)の被写体をボケさせないように平面像面にする撮影方式となる。
一方、撮影技法として、画面の一部の被写体に焦点を合わせることにより、その前後の空間を、よりボカして撮影効果を得る“画づくり”のために、近距離において光学系全体を移動させる方式やレンズ群を移動させて収差を発生させる方式もある。参考例1のように近距離の被写体において良好な撮像性能を得ることができる調整間隔がわかっている場合は、像面湾曲の度合をコントロールすることにも利用できる。
なお、物体OBJに対する距離を変化させても収差変動が少なく、かつレンズ群の移動量が少ない広角域レンズでは、撮像光学系の全体を移動させることにより、像IMG側の空気間隔のみを変化させる場合があるとともに、インナーフォーカス方式やフロントフォーカス方式のように、像IMG側の空気間隔を変化させることなく単一レンズ群の移動によりフォーカス調整する場合もある。
前レンズ群101の焦点距離FFLと後レンズ群102の焦点距離RFLが共に正パワーのときは、フォーカス調整時に、レンズ全系を物体OBJ側に移動させて像IMG側の空気間隔を変化させる構成を採用できる。この場合、フォーカス調整機構の全体構造の単純化を図りつつ、物体OBJとの距離変化による収差変動を少なくすることができる。図4(c)に、実施例1-3及び参考例1-2,4-5における焦点距離FFL及びRFLの値を示す。
このような全体繰出し方式は、コンパクトで単純な機構により構成できるため、他の多くの撮像光学系に採用されている。上述した様々なフォーカス方式において、全てのレンズ群の移動距離が小さい場合は、レンズ系全体を物体OBJ側に移動させるフォーカス方式〔F14〕を採用可能であり、この場合、全体繰出し方式と同等の性能を確保できる。即ち、全体繰出し方式は、物体OBJに対する距離が無限遠から近距離に変化した場合、像IMG位置が変化するため、レンズ全体を物体OBJ側に移動させてフォーカシングを行う。参考例1に係る撮像光学系Cでは、開口絞りSTOに対して対称レンズ群又は部分対称レンズ群を有する対称配置タイプのレンズ構成とし、物体OBJとの距離変化による収差変動を少なくしているため、レンズ移動量が少なくなる広角よりのレンズ構成の場合では全体繰出し方式とすることができる。
加えて、参考例1に係る撮像光学系Cでは、所定の光学条件を満たすように設定する。第一の光学条件(参考例1,実施例1-5に適用)は、後レンズ群102の開口絞りSTO側の負レンズL5から像IMG側の負レンズL8の焦点距離をBFLとし、レンズ全系の焦点距離をEFLとしたとき、
0.7<BFL/EFL<1.6 … (光学条件1)
を満たすことを条件に設定する。
撮像光学系(撮像レンズ)の場合、前レンズ群101の屈折力は、「正」から「負」にかけて広い数値を許容できるが、後レンズ群102の屈折力は、レンズ全系を所定の焦点距離にして像IMG位置に結像させるため、「正」に設定する必要がある。レンズ枚数が5枚以下となる前レンズ群101の場合、全体を部分対称レンズ群として構成できるが、後レンズ群102の場合、最終レンズL9は両曲面が光軸Dcの同一方向に湾曲するため、その屈折力を大きくすることができず、ほぼ全ての屈折力を最終レンズL9を除く後レンズ群102が負担している。
このため、光学条件1を満たすように設定することにより、後レンズ群102における適切な屈折力バランスを確保できる。この結果、適正なバックフォーカスや全長、更には明るさを得ることができるとともに、前レンズ群101や最終レンズL9の収差補正に負荷をかけ過ぎることなく良好な像性能を得ることができる。したがって、光学条件1を満たさない場合には、適正なバックフォーカスや全長、明るさが得られないとともに、前レンズ群101や最終レンズL9の収差補正に負荷をかけ過ぎることになり、良好な像性能を得ることができない。参考例1の場合、図4(a)に示すように、EFLは50.00であり、BFLは40.40である。したがって、BFL/AFLは0.81となり、光学条件1を満たしている。
また、第二の光学条件(参考例1,2,4-5,実施例1-3に適用)は、前レンズ群101における正レンズL2…のg線とF線における硝材の異常部分分散性ΔθgFの絶対値が0.015以上となる全ての当該正レンズの焦点距離をEGFLとし、前レンズ群101における全ての正レンズL2…の焦点距離の最大値をAGMXとしたとき、
0.6<EGFL/AGMX<1.2 … (光学条件2)
を満たすことを条件に設定する。
このように設定することにより、前レンズ群101に、波長分散の少ない異常部分分散性を有する硝材を使用し、低分散レンズを2枚以上連続使用するため、球面収差,コマ収差及び非点収差などの諸収差を良好に補正することができる。
一般に、画角が狭くなるに従って、軸上色収差及び倍率色収差などの色収差がより多く発生し、光学性能を低下させる傾向にあるため、前レンズ群101に、波長分散の少ない異常部分分散性を持つ硝材を使用することにより色収差を補正できることが知られている。上述した光学条件2を満たすように設定し、前レンズ群101の物体OBJ側において色収差を低減する補正を行えば、それ以降のレンズ群、即ち、後レンズ群102の収差負担を少なくすることができるとともに、低分散レンズを2枚以上連続して使用することにより1枚当たりのパワーを弱くすることができる。この結果、屈折面が増え、補正効果により、球面収差、コマ収差、非点収差などの諸収差を低減することができる。
しかも、前レンズ群101を部分対称レンズ群として構成した場合、個々の屈折力を弱めることができるため、入射光が透過するレンズ面に対する入光角度を低く抑えることが可能となり、収差発生及び誤差感度を抑制することができる。異常分散性を有する低屈折率レンズでは、曲率を弱くした場合、所望の屈折力を得ることができないため、レンズ面の入射光角度が大きくなりやすい。したがって、低分散レンズを連続使用することが有効になるとともに、前レンズ群101に高屈折率レンズを追加することにより屈折力を負担させれば、色収差を補正できる異常分散性低屈折率レンズとして有効に利用できる。
参考例1の場合、図4(b)に示すように、EGFLは57.05であり、AGMXは58.54である。したがって、EGFL/AGMXは0.97となり、光学条件2を満たしている。
参考例1は、前レンズ群101の部分対称レンズ群の各レンズのパワー配分を(負)-(正)-(正)-(負)とし、負レンズL1,L4により正レンズL2,L3を挟むように対称性を持たせるとともに、後レンズ群102の部分対称レンズ群の各レンズのパワー配分を(負)-(正)-(正)-(負)とし、前レンズ群101と同じように負レンズL5,L8で正レンズL6,L8を挟むように対称性を持たせ、さらに、負レンズL5,L8には両凹レンズを使用し、正レンズL6,L7には両凸レンズを使用し、2枚の正レンズL6,L7の間の空気間隔を介して対向させたため、各群内での収差発生と補正をバランスさせている。これにより、全体として相互の良好な収差バランスを確保できる。
また、最終レンズL9は、軸上光線と軸外光線が分離して通過するのを利用し、部分的に面形状を変化することのできる非球面とすることにより残存収差の補正を行った。さらに、後レンズ群102の部分対称レンズ群と最終レンズL9の間を空気間隔とすることにより軸上光線と軸外光線の分離度を増加させ、非球面レンズの効果を大きくするとともに、対称配置タイプの効果を保つため、両面が同方向を向いた非球面レンズとした。なお、撮像光学系Cでは、物体OBJ側の空間と像IMG側の空間の距離が対称とはならないため、完全対称なレンズ構成では良好な収差補正ができない。このため、前レンズ群101は大きな物体からの光線を収束させるように収斂作用を強くしている。
次に、本実施形態に係る実施例1の撮像光学系Cについて、図4及び図5を参照して説明する。
実施例1の撮像光学系Cは、上述した参考例1の後レンズ群102における両凹レンズを用いた負レンズL5と両凸レンズを用いた正レンズL6を接合レンズJ56として構成するとともに、両凸レンズを用いた正レンズL7と両凹レンズを用いた負レンズL8を接合レンズJ78により構成したものであり、二つの接合レンズJ56,J78の各正レンズL6,L7同士を対向させて配し、一方の接合レンズJ56の両凹レンズを開口絞りSTO側の負レンズL5として構成した。なお、前レンズ群101の構成、即ち、レンズL1,L2,L3,L4及び最終レンズL9は参考例1と同じである。
表2には、実施例1のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の撮像光学系Cは、焦点距離:49.80mm,Fナンバー:1.95,半画角:23.5゜である。
このように、後レンズ群102を構成するに際し、両凹レンズを用いた負レンズL5,L8と両凸レンズを用いた正レンズL6,L7を接合した二つの接合レンズJ56,J78により構成し、二つの接合レンズJ56,J78の正レンズL6,L7同士を対向させて配するとともに、一方の接合レンズJ56の両凹レンズを開口絞りSTO側の負レンズL5として構成すれば、アッベ数に差を設けることにより軸外色収差の補正を容易かつ有効に行うことができるとともに、屈折率に差を設けることにより球面収差の補正をより強化することができる。これにより、前レンズ群101の残存収差をバランス良く補正することが可能になり、接合レンズJ56とJ78間を調整空間として収差変動を少なくすることができる。しかも、後レンズ群102の開口絞りSTOに近いレンズ面を開口絞りSTOに対向させることができるため、対称配置タイプを用いたレンズ構成の有効性をより高めることができる。
また、近距離物体に対するフォーカス調整のタイプは参考例1と同じになる4タイプである。実施例1の場合、図4(a)に示すように、EFLは49.80であり、BFLは39.40である。したがって、BFL/AFLは0.79となり、前述した光学条件1を満たしている。さらに、図4(b)に示すように、EGFLは57.05であり、AGMXは58.54である。したがって、EGFL/AGMXは0.97となり、前述した光学条件2を満たしている。加えて、図4(c)に示すように、FFLは108.49の正パワー、RFLは75.31の正パワーとなる。
このように、参考例1の基本形態に対して、後レンズ群102における部分対称レンズ群内のレンズ構成を、接合レンズJ56,J78として構成した場合であっても、単レンズの組合わせにより構成した参考例1の基本形態と同等の結像性能を確保できる。
次に、本実施形態に係る実施例2の撮像光学系Cについて、図4及び図6を参照して説明する。
実施例2は、図6に示すように、前レンズ群101に5枚のレンズL1,LS,L2,L3,L4を使用し、後レンズ群102に5枚のレンズL5,L6,L7,L8,L9を使用したものである。この場合、前レンズ群101の負レンズL1に両凹レンズを使用するとともに、正レンズLSに物体OBJ側が凸面となるメニスカスレンズを使用し、負レンズL1と正レンズLSを接合レンズとして構成した。また、正レンズL3,L4は同タイプの形状を有し、両面が物体OBJ側に凸面になる正メニスカスレンズにより構成した。このように、前レンズ群101の正レンズに、両面が物体OBJ側に凸面となるメニスカスレンズを用いれば全長を圧縮できるため、屈折力を均等に近くすることができ、前レンズ群101をよりコンパクトにできるとともに、光線の入射光角度を小さくできるため、収差発生及び誤差感度を抑制することができる。
また、正レンズL3,L4の硝材は、異常部分分散値0.0375を有する。さらに、負レンズL5は、両面が物体OBJ側に凸面を有する負メニスカスレンズとなり、非球面レンズにより構成する。前レンズ群101は、部分対称レンズ群として構成し、レンズL1-L4のパワーは、(-)(+)(+)(+)(-)となる。
後レンズ群102は、両凹レンズを用いた負レンズL5と両凸レンズを用いた正レンズL6を接合レンズJ56として構成するとともに、両凸レンズを用いた正レンズL7と両凹レンズを用いた負レンズL8を接合レンズJ78により構成したものであり、二つの接合レンズJ56,J78の各正レンズL6,L7同士を対向させて配し、一方の接合レンズJ56の両凹レンズを開口絞りSTO側の負レンズL5として構成した。これにより、レンズL5-L8の4枚は、パワーが(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。実施例2も、開口絞りSTOを挟み、その前後に対称性を有する部分レンズ群を配している。また、最終レンズL9はレンズL4と同形状であり、光軸Dc上で反転した物体OBJ側に凹面を有する負メニスカスの非球面レンズである。
表3には、実施例2のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の撮像光学系Cは、焦点距離:48.25mm,Fナンバー:1.74,半画角:24.2゜である。
近距離物体に対するフォーカス調整のタイプは参考例1と同じになる4タイプである。実施例2の場合、図4(a)に示すように、EFLは48.25であり、BFLは40.77である。したがって、BFL/AFLは0.85となり、前述した光学条件1を満たしている。また、図4(b)に示すように、レンズL2,L3は、共にEGFLが94.26であり、AGMXが94.26である。したがって、EGFL/AGMXは1.00となり、前述した光学条件2を満たしている。加えて、図4(c)に示すように、FFLは131.90の正パワー、RFLは60.82の正パワーとなる。
このように、参考例1の基本形態に対して、各レンズ群の枚数やレンズ形態を変更した場合であっても、参考例1の基本形態と同等の結像性能を確保できる。
次に、本実施形態に係る実施例3の撮像光学系Cについて、図4及び図7を参照して説明する。
実施例3は、実施例1を更に広角化したタイプとなり、図7に示すように、前レンズ群101のレンズL1-L4と後レンズ群102のレンズL5-L8(接合レンズJ56,J78)により構成した。この場合、各レンズ群101,102のパワーがそれぞれ(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。最終レンズL9には、前レンズ群101のレンズ(負レンズ)L4と同形状で光軸Dc上で反転した物体OBJ側が凹面となる負メニスカスの非球面レンズを用いている。
表4に、実施例3のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の撮像光学系Cは、焦点距離:37.00mm,Fナンバー:1.95である。
近距離物体に対するフォーカス調整のタイプは参考例1と同じになる4タイプである。実施例3の場合、図4(a)に示すように、EFLは37.00であり、BFLは31.85である。したがって、BFL/AFLは0.86となり、前述した光学条件1を満たしている。さらに、図4(b)に示すように、レンズL3は、EGFLが41.12であり、AGMXが45.23である。したがって、EGFL/AGMXは0.91となり、前述した光学条件2を満たしている。加えて、図4(c)に示すように、FFLは97.17の正パワー、RFLは51.20の正パワーとなる。
このように、フォーカス調整のタイプを、参考例1(実施例1)と同じになる4タイプを採用する場合、参考例1の基本形態を維持する構成であれば、細部の具体的構成が異なる場合であっても、参考例1の基本形態と同等の撮像性能を確保できる。
参考例2
次に、本実施形態に関連する参考例2の撮像光学系Cについて、図4及び図8を参照して説明する。
参考例2は、実施例3と同様に広角化を図るとともに、特に、Fナンバーを1.26に大口径化したタイプとなり、図8に示すように、前レンズ群101のレンズ枚数を4枚、後レンズ群102のレンズ枚数を5枚とした。即ち、前レンズ群101は、両凹レンズの負レンズL1,両凸レンズの正レンズL2,物体OBJ側が凸面となる正のメニスカスレンズ(正レンズ)L3,物体OBJ側が凸面となる負のメニスカスレンズ(負レンズ)L4により構成したものであり、各レンズのパワーが(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成した。
後レンズ群102は、両凹レンズを用いた負レンズL5と両凸レンズを用いた正レンズL6を接合レンズJ56として構成するとともに、両凸レンズを用いた正レンズL7と両凹レンズを用いた負レンズL8を接合レンズJ78により構成したものであり、二つの接合レンズJ56,J78の各正レンズL6,L7同士を対向させて配し、一方の接合レンズJ56の両凹レンズを開口絞りSTO側の負レンズL5として構成した。これにより、レンズL5-L8の4枚は、パワーが(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。参考例2も、開口絞りSTOを挟み、その前後に部分対称レンズを配している。また、最終レンズL9は物体OBJ側に凹面を有する負メニスカスの非球面レンズである。
表5に、参考例2のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の撮像光学系Cは、焦点距離:51.14mm,Fナンバー:1.26,半画角:22.9゜である。
近距離物体に対するフォーカス調整のタイプは参考例1と同じになる4タイプである。参考例2の場合、図4(a)に示すように、EFLは51.14、BFLは51.43である。したがって、BFL/AFLは1.01となり、前述した光学条件1を満たしている。また、図4(c)に示すように、FFLは128.46の正パワー、RFLは65.65の正パワーとなる。
したがって、参考例2のように、撮像光学系Cを広角化し、さらに、Fナンバーを1.26に大口径化した場合であっても、実施例1-3と同様、参考例1の基本形態と同等の撮像性能を確保できる。
次に、本実施形態に係る実施例4の撮像光学系Cについて、図4及び図9-図13を参照して説明する。
実施例4は、レンズ枚数として、前レンズ群101を5枚のレンズにより構成し、後レンズ群102を5枚のレンズにより構成したものである。即ち、前レンズ群101は、両凹レンズを用いた負レンズL1,両面が物体OBJ側に凸面となる正のメニスカスとなる非球面レンズを用いた正レンズLS,両凸レンズを用いた正レンズL2,L3,物体OBJ側が凸面となる負メニスカスレンズ(負レンズ)L4により構成し、各レンズのパワーが(-)(+)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。レンズL2,L3は、ほぼ同等な屈折力となり、レンズL2における硝材の異常部分分散値は0.037、レンズL3における硝材の異常部分分散値は0.0194である。前レンズ群101を構成するに際して、物体OBJ側に配し、かつ両凹レンズを用いた負レンズL1,両曲面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲し、かつ非球面レンズを用いた物体OBJ側に位置する正レンズL2,及び開口絞りSTO側に配するとともに、物体OBJ側が凸面になる負レンズL4を備えて構成すれば、前レンズ群101に、物体OBJ側に強い負の両凹レンズや非球面レンズを含めた構成にできるため、準広角領域から標準領域の画角において、広い入射角の収差補正効果を高めることができる。
後レンズ群102は、両凹レンズを用いた負レンズL5と両凸レンズを用いた正レンズL6を接合レンズJ56として構成するとともに、両凸レンズを用いた正レンズL7と両凹レンズを用いた負レンズL8を接合レンズJ78により構成したものであり、二つの接合レンズJ56,J78の各正レンズL6,L7同士を対向させて配し、一方の接合レンズJ56の両凹レンズを開口絞りSTO側の負レンズL5として構成した。これにより、レンズL5-L8の4枚は、パワーが(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。最終レンズL9は、物体OBJ側が凹面となる負メニスカスの非球面レンズを用いている。
また、フォーカス方式、即ち、物体OBJの距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス調整の方式は、図9に示すように、7種類のフォーカス方式〔F21〕-〔F27〕を適用した。即ち、〔F21〕は、「L1-L2」,「L3-L9」をそれぞれ一体とした2つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、前レンズ群101の正レンズL2とL3間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F22〕は、「L1-L5」,「L6-L9」をそれぞれ一体とした2つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、後レンズ群102の正レンズL6とL7間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F23〕は、「L1,LS」,「L2-L4」,「L5-L9」をそれぞれ一体とした3つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、前レンズ群101の正レンズLSとL2間の空気間隔,開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F24〕は、「L1-L2」,「L3」,「L4-L9」をそれぞれ一体とした3つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、前レンズ群101の正レンズL2とL3間の空気間隔,前レンズ群101の正レンズL3と負レンズL4間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F25〕は、「L1-L3」,「L4-L6」,「L7-L9」をそれぞれ一体とした3つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、前レンズ群101の正レンズL3と負レンズL4間の空気間隔,後レンズ群102の正レンズL5とL6間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F26〕は、「L1-L2」,「L3-L4」,「L5-L9」をそれぞれ一体とした3つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、前レンズ群101の正レンズL3と負レンズL4間の空気間隔,開口絞りSTO含む空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式、〔F27〕は、「L1-L4」,「L5-L6」,「L7-L9」をそれぞれ一体とした3つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、開口絞りSTO含む空気間隔,後レンズ群102の正レンズL6とL7間の空気間隔,像IMG側の空気間隔を変化させる方式である。
表6には、実施例4のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の撮像光学系Cは、焦点距離:49.17mm,Fナンバー:1.94,半画角:23.7゜である。
図10-図13に、実施例4の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F21〕-〔F27〕に対応する縦収差図を示す。なお、図10の〔F2s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、左側から、球面収差(656.27nm,586.56nm,435.83nm)、非点収差(586.56nm)、歪曲収差(586.56nm)を示す。各スケールは、±0.50mm,±0.50mm,±3.0%である。
実施例4の場合、図4(a)に示すように、EFLは49.28であり、BFLは75.15である。したがって、BFL/AFLは1.52となり、前述した光学条件1を満たしている。また、図4(b)に示すように、レンズL2のEGFLは60.00,AGMXは74.53であり、EGFL/AGMXは0.81となり、前述した光学条件2を満たしているとともに、レンズL3のEGFLは55.00,AGMXは74.53であり、EGFL/AGMXは0.74となり、前述した光学条件2を満たしている。
このように、前レンズ群101及び後レンズ群102におけるフォーカス調整時に変化する空気間隔の前後の指定レンズ群Lp…を、最大3つの指定レンズ群Lp…を移動可能に構成するとともに、指定レンズ群Lp…の位置を異ならせることにより、7種類のフォーカス方式〔F21〕-〔F27〕を選定する場合であっても良好な撮像性能を確保できるとともに、対称配置タイプのレンズ構成のメリットを利用した各種フォーカス調整機構を構築することができる。
次に、本実施形態に係る実施例5の撮像光学系Cについて、図4,図14及び図15を参照して説明する。
実施例5における基本的なレンズ構成は、実施例4と同じである。即ち、レンズ枚数として、前レンズ群101を5枚のレンズにより構成し、後レンズ群102を5枚のレンズにより構成したものである。即ち、前レンズ群101は、両凹レンズを用いた負レンズL1,両面が物体OBJ側に凸面となる正のメニスカスとなる非球面レンズを用いた正レンズLS,両凸レンズを用いた正レンズL2,L3,物体OBJ側が凸面となる負メニスカスレンズ(負レンズ)L4により構成し、各レンズのパワーが(-)(+)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。レンズL2,L3は、ほぼ同等な屈折力となり、レンズL2における硝材の異常部分分散値は0.037、レンズL3における硝材の異常部分分散値は0.0194である。
後レンズ群102は、両凹レンズを用いた負レンズL5と両凸レンズを用いた正レンズL6を接合レンズJ56として構成するとともに、両凸レンズを用いた正レンズL7と両凹レンズを用いた負レンズL8を接合レンズJ78により構成したものであり、二つの接合レンズJ56,J78の各正レンズL6,L7同士を対向させて配し、一方の接合レンズJ56の両凹レンズを開口絞りSTO側の負レンズL5として構成した。これにより、レンズL5-L8の4枚は、パワーが(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。最終レンズL9は、物体OBJ側が凹面となる負メニスカスの非球面レンズを用いている。
また、実施例5は、物体OBJに対する距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス方式を変更したものである。即ち、部分対称レンズ群を構成する2枚の正レンズ(両凸レンズ)L2とL3間,L6とL7間の一つの空気間隔を変化させると同時に、像IMG側の空気間隔の移動量を極小にすることによりレンズL7-L9を像IMG面から一定の距離に保つ所謂フロントフォーカス方式としたものであり、図14に示すように、2種類のフォーカス方式〔F31〕,〔F32〕を適用した。〔F31〕は、「L7-L9」を固定し、「L1-L2」,「L3-L6」をそれぞれ一体とした2つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、前レンズ群101の正レンズL2とL3間の空気間隔,後レンズ群102の正レンズL6とL7間の空気間隔を変化させる方式、〔F32〕は、「L7-L9」を固定し、「L1-L6」が一体となる一つ指定レンズ群Lpを物体OBJ側に異なる量で移動させ、後レンズ群102の正レンズL6とL7間の空気間隔を変化させる方式である。
表7には、実施例5のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の撮像光学系Cは、焦点距離:48.73mm,Fナンバー:1.94,半画角:23.9゜である。
図15に、実施例5の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F31〕-〔F32〕に対応する縦収差図を示す。なお、図15の〔F3s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、左側から、球面収差(656.27nm,586.56nm,435.83nm)、非点収差(586.56nm)、歪曲収差(586.56nm)を示す。各スケールは、±0.50mm,±0.50mm,±3.0%である。
実施例5の場合、図4(a)に示すように、EFLは48.73であり、BFLは71.22である。したがって、BFL/AFLは1.46となり、前述した光学条件1を満たしている。また、図4(b)に示すように、レンズL3のEGFLは60.03,AGMXは62.49であり、EGFL/AGMXは0.96となり、前述した光学条件2を満たしている。
このように、「L1-L2」と「L3-L6」の2つのレンズ群を移動群とするフォーカス方式〔F31〕と、「L1-L6」の一つのレンズ群を一体として移動群とするフォーカス方式のいずれのフォーカス方式であっても、実施例1-4及び参考例2と同様、参考例1の基本形態と同等の撮像性能を確保できるとともに、対称配置タイプのレンズ構成のメリットを利用した各種フォーカス調整機構を構築することができる。
参考例3
次に、本実施形態に関連する参考例3の撮像光学系Cについて、図4及び図16-図17を参照して説明する。
参考例3は、レンズ枚数として、前レンズ群101を4枚のレンズにより構成し、後レンズ群102を5枚のレンズにより構成したものである。即ち、前レンズ群101は、両凹レンズを用いた負レンズL1,物体OBJ側が凸面となる正メニスカスレンズ(正レンズ)L2,L3,物体OBJ側が凸面となる負メニスカスレンズ(負レンズ)L4により構成し、各レンズのパワーが(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。
後レンズ群102は、両凹レンズを用いた負レンズL5と両凸レンズを用いた正レンズL6を接合レンズJ56として構成するとともに、両凸レンズを用いた正レンズL7と両凹レンズを用いた負レンズL8を接合レンズJ78により構成したものであり、二つの接合レンズJ56,J78の各正レンズL6,L7同士を対向させて配し、一方の接合レンズJ56の両凹レンズを開口絞りSTO側の負レンズL5として構成した。これにより、レンズL5-L8の4枚は、パワーが(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。最終レンズL9は、物体OBJ側が凸面となる負メニスカスの非球面レンズを用いている。
また、参考例3は、物体OBJに対する距離が無限遠から近距離に変化する場合のフォーカス方式を変更したものである。即ち、フォーカス調整の方式は、図16に示すように、指定レンズ群Lp…を構成するレンズL4-L6,L7-L9をそれぞれ一体とした2つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、レンズL3とL4間の空気間隔,レンズL6とL7間の空気間隔を変化させるフォーカス方式〔F41〕を採用したものであり、レンズL1-L3を像IMG面から一定の距離に保つ所詞リアフォーカス方式とした。
表8に、参考例3のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の撮像光学系Cは、焦点距離:49.80mm,Fナンバー:1.94,半画角:23.5゜である。
図17に、参考例3の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F41〕に対応する縦収差図を示す。なお、図17の〔F4s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、左側から、球面収差(656.27nm,586.56nm,435.83nm)、非点収差(586.56nm)、歪曲収差(586.56nm)を示す。各スケールは、±0.50mm,±0.50mm,±3.0%である。
参考例3の場合、図4(a)に示すように、EFLは49.80であり、BFLは47.73である。したがって、BFL/AFLは0.96となり、前述した光学条件1を満たしている。
このように、指定レンズ群Lp…を構成するレンズL4-L6,L7-L9をそれぞれ一体とした2つの各指定レンズ群Lp…を物体OBJ側に異なる量で移動させ、レンズL3とL4間の空気間隔,レンズL6とL7間の空気間隔を変化させるとともに、レンズL1-L3を像IMG面から一定の距離に保つ所詞リアフォーカス方式とした場合であっても、実施例1-5及び参考例2と同様、参考例1の基本形態と同等の撮像性能を確保できるとともに、対称配置タイプのレンズ構成のメリットを利用した各種フォーカス調整機構を構築することができる。
参考例4
次に、本実施形態に関連する参考例4の撮像光学系Cについて、図4及び図18-図21を参照して説明する。
参考例4の撮像光学系Cの構成は前述した参考例1の基本形態と同じである。即ち、前レンズ群101は、両凹レンズを用いた負レンズL1,両面が物体OBJ側に凸面となる正メニスカスの非球面レンズ(正レンズ)L2,両凸レンズを用いた正レンズL3,物体OBJ側が凸面となる負メニスカスレンズ(負レンズ)L4により構成し、各レンズのパワーは、(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。
後レンズ群102は、両凹レンズを用いた負レンズL5と両凸レンズを用いた正レンズL6を接合レンズJ56として構成するとともに、両凸レンズを用いた正レンズL7と両凹レンズを用いた負レンズL8を接合レンズJ78により構成する。そして、二つの接合レンズJ56,J78の各正レンズL6,L7同士を対向させて配し、一方の接合レンズJ56の両凹レンズを開口絞りSTO側の負レンズL5として構成する。これにより、各レンズのパワーは、(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。なお、最終レンズL9は物体OBJ側が凸面となる負メニスカスの非球面レンズとして構成される。
表9には、参考例4のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時の撮像光学系Cは、焦点距離:36.01mm,Fナンバー:1.27,半画角:31.4゜である。
フォーカス方式は参考例1と同じになる4タイプである。図18に示す〔F51〕-〔F54〕は、図1に示す〔F11〕-〔F14〕にそれぞれ対応する。参考例4の場合、図4(a)に示すように、EFLは36.01であり、BFLは38.40である。したがって、BFL/AFLは1.07となり、前述した光学条件1を満たしている。また、図4(c)に示すように、FFLは111.36の正パワー、RFLは40.58の正パワーとなる。
図20-図21に、参考例4の撮像光学系Cにおけるフォーカス方式〔F51〕-〔F54〕に対応する縦収差図を示す。なお、図19の〔F5s〕は、無限遠時における縦収差図を示す。各縦収差図は、左側から、球面収差(656.27nm,586.56nm,435.83nm)、非点収差(586.56nm)、歪曲収差(586.56nm)を示す。各スケールは、±0.50mm,±0.50mm,±3.0%である。
参考例4は、広角化とFナンバーを1.265に大口径化した例となるが、各収差は、他の参考例及び実施例と同様に良好な撮像性能が確保されている。なお、レンズ全体を移動させるフォーカシング方式では、像面湾曲(非点収差)の焦点面がプラス側にカーブするため、被写体の中央で焦点が合った場合、被写体の周辺に行くに従って遠方に焦点が合うカーブがあり、被写体に対して近方はよりボケた画像や映像が得られる。また、近距離の被写体では良好な撮像性能が確保される調整間隔が分かるため、像面湾曲の度合をコントロールすることにも利用できる。
参考例5
次に、本実施形態に関連する参考例5の撮像光学系Cについて、図4及び図22を参照して説明する。
参考例5は、図22に示すように、前レンズ群101に、両凹レンズを用いた負レンズL1,両面が物体OBJ側に凸面となる正メニスカスの非球面レンズを用いた正レンズL2,物体OBJ側が凸面となる正メニスカスレンズ(正レンズ)L3,物体OBJ側が凸面となる負メニスカスレンズ(負レンズ)L4により構成し、レンズL1-L4のパワーが(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。
後レンズ群102は、両凹レンズを用いた負レンズL5と両凸レンズを用いた正レンズL6を接合レンズJ56として構成するとともに、両凸レンズを用いた正レンズL7と両凹レンズを用いた負レンズL8を接合レンズJ78により構成したものであり、二つの接合レンズJ56,J78の各正レンズL6,L7同士を対向させて配し、一方の接合レンズJ56の両凹レンズを開口絞りSTO側の負レンズL5として構成した。これにより、レンズL5-L8の4枚は、パワーが(-)(+)(+)(-)となる部分対称レンズ群として構成される。また、最終レンズL9は物体OBJ側が凸面となる負メニスカスの非球面レンズである。
表10には、参考例5のレンズ全系のレンズデータを示す。無限物点時における撮像光学系Cは、焦点距離:48.00mm,Fナンバー:1.26,半画角:24.4゜である。
フォーカス方式は参考例1及び4と同じになる4タイプである。参考例5の場合、図4(a)に示すように、EFLは48.00であり、BFLは45.40である。したがって、BFL/AFLは0.95となり、前述した光学条件1を満たしている。また、図4(c)に示すように、FFLは126.00の正パワー、RFLは53.15の正パワーとなる。
参考例5は、特に、Fナンバーが1.261となる大口径化した撮像光学系Cとなるが、他の参考例及び実施例と同様に良好な撮像性能が確保される。
以上、実施例1-5を含む好適実施形態及び同実施形態に関連する参考例1-5について詳細に説明したが、本発明は、このような実施形態に限定されるものではなく、細部の構成,形状,素材,数量,数値等において、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、任意に変更,追加,削除することができる。
例えば、前レンズ群101を構成するに際して、物体OBJ側に配し、かつ両凹レンズを用いた負レンズL1,両曲面が光軸Dcの物体OBJ側に湾曲し、かつ非球面レンズを用いた、物体OBJ側から二番目に位置する正レンズL2,及び開口絞りSTO側に配するとともに、物体OBJ側が凸面になり、かつ像IMG側の湾曲面を所定の大きさ以下となる曲率に設定した負レンズL4を設けて構成し、開口絞りSTOから三番目までの空気空間Sに接する面形状を開口絞りSTOに対向させて構成する場合を例示したが、使用する個々のレンズの形態は他の形態を排除するものではない。前レンズ群101は、正レンズL2,L3のg線とF線における硝材の異常部分分散性ΔθgFの絶対値が0.015以上となる全てのレンズの焦点距離をEGFLとし、前レンズ群101及び後レンズ群102における全ての正レンズの最大値をAGMXとしたとき、「0.6<EGFL/AGMX<1.2」の条件を満たすように構成することが望ましいが、この条件を満たさない場合を排除するものではない。