JP7305939B2 - 粘着シート、積層体及び積層体の製造方法 - Google Patents
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Description
具体的に、本発明は、以下の構成を有する。
粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体及び水素引抜型光重合開始剤を含み、
粘着剤組成物における熱硬化型架橋剤の含有量が、0.1質量%以下であり、
粘着剤組成物における多官能モノマーの含有量が、0.1質量%以下であり、
粘着剤層の引張弾性率をPとし、粘着剤層を完全硬化させた後の引張弾性率をQとした場合、
Q/Pの値が、3.0未満である粘着シート。
[2] 粘着剤層の引張弾性率が、100kPa以上200kPa以下である[1]に記載の粘着シート。
[3] 水素引抜型光重合開始剤が、ベンゾフェノン系の光重合開始剤である[1]又は[2]に記載の粘着シート。
[4] 粘着剤層の半硬化状態のゲル分率が、50%以下である[1]~[3]のいずれかに記載の粘着シート。
[5] 粘着剤組成物は、開裂型光重合開始剤をさらに含む[1]~[4]のいずれかに記載の粘着シート。
[6] 粘着剤組成物における溶剤の含有量が、0.1質量%以下である[1]~[5]のいずれかに記載の粘着シート。
[7] (メタ)アクリル系共重合体の理論ガラス転移温度(Tg)が、-55℃以上-40℃以下である[1]~[6]のいずれかに記載の粘着シート。
[8] (メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が40万以上100万以下である[1]~[7]のいずれかに記載の粘着シート。
[9] 粘着剤層の破断伸度が1000%以上であり、引張伸び率が2000%時の引張応力もしくは破断応力が0.1N/mm2以上0.6N/mm2以下である[1]~[8]のいずれかに記載の粘着シート。
[10] 光学部材貼合用である[1]~[9]のいずれかに記載の粘着シート。
[11] [1]~[10]のいずれかに記載の粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射して後硬化させた後硬化後の粘着剤層と、後硬化後の粘着剤層の少なくとも一方の面側に光学部材を備える積層体。
[12] [1]~[10]のいずれかに記載の粘着シートの粘着剤層を光学部材に対して半硬化状態で貼合した後、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を後硬化させる工程を含む積層体の製造方法。
本発明は、粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層を有する粘着シートに関する。粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体及び水素引抜型光重合開始剤を含む。ここで、粘着剤組成物における熱硬化型架橋剤の含有量は、0.1質量%以下であり、粘着剤組成物における多官能モノマーの含有量は、0.1質量%以下である。また、粘着剤層の引張弾性率をPとし、粘着剤層を完全硬化させた後の引張弾性率をQとした場合、Q/Pの値は、3.0未満である。
なお、後硬化後の粘着剤層の引張伸び率が2000%時の引張応力もしくは破断応力は、粘着剤層に積算光量が2000mJ/cm2となるように紫外線を照射した後に、円柱状サンプルを得て、同様の方法で測定する。
なお、本明細書における引張伸び率とは、以下の式で算出される率である。
引張伸び率(%)=(引張後のチャック間距離-引張前のチャック間距離(30mm))/引張前のチャック間距離(30mm)×100
まず、粘着シート(粘着剤層)約0.1gをサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうする。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥重量W(g)を測定する。得られた乾燥重量から下記式1によりゲル分率を求める。
ゲル分率(質量%)=(乾燥重量W/粘着剤層の採取重量)×100・・・式1
これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース,ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。
粘着剤組成物は、上述した半硬化状態の粘着剤層を形成するものである。粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体及び水素引抜型光重合開始剤を含む。一方、粘着剤組成物は、熱硬化型架橋剤を実質的に含まず、その含有量は0.1質量%以下であり、0.0質量%であることが好ましい。また、粘着剤組成物は、多官能モノマーを実質的に含まず、その含有量は0.1質量%以下であり、0.0質量%であることが好ましい。なお、粘着剤層の全質量に対する熱硬化型架橋剤及び多官能モノマーの含有量もそれぞれ0.1質量%以下である。本発明においては、熱硬化型架橋剤と多官能モノマーの含有量を上記範囲内とすることにより、粘着剤層の段差追従性をより効果的に高めることができる。また、熱硬化型架橋剤の含有量を上記範囲内とすることにより、粘着シートを形成する際にエージング工程を省略することができ、粘着シートの製造にかかる時間を短縮することができる。
粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体を含む。(メタ)アクリル系共重合体は、粘着剤組成物に含まれる主ポリマーであり、このようなポリマーをベースポリマーと呼ぶこともある。なお、(メタ)アクリル系共重合体は粘着剤層中にも含まれる。
ヒドロキシ基含有単量体単位は、ヒドロキシ基含有単量体に由来する繰り返し単位である。ヒドロキシ基含有単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピルなどの(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、(メタ)アクリル酸モノ(ジエチレングリコール)などの(メタ)アクリル酸[(モノ、ジ又はポリ)アルキレングリコール]、(メタ)アクリル酸モノカプロラクトンなどの(メタ)アクリル酸ラクトンが挙げられる。
アミノ基含有単量体単位は、例えば、(メタ)アクリルアミド、アリルアミン等のアミノ基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
グリシジル基含有単量体単位は、(メタ)アクリル酸グリシジル等のグリシジル基含有単量体に由来する繰り返し単位が挙げられる。
カルボキシ基含有単量体単位は、アクリル酸、メタクリル酸が挙げられる。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn・・・ FOXの式
(式中のTgはアクリル系共重合体のガラス転移温度(K:ケルビン)であり、W1,W2・・・Wnはアクリル系共重合体を構成する各モノマーの質量分率であり、Tg1,Tg2・・・Tgnは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度を表す。)
(メタ)アクリル系共重合体の理論ガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着シートの加工性をより高めることができる。さらに、(メタ)アクリル系共重合体の理論ガラス転移温度(Tg)を上記範囲内とすることにより、粘着シートの凝集力をより高めることができ、耐久性と粘着性に優れた粘着シートを得ることができる。
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)の測定条件は以下のとおりである。
溶媒:テトラヒドロフラン
カラム:Shodex KF801、KF803L、KF800L、KF800D(昭和電工(株)製を4本接続して使用した)
カラム温度:40℃
試料濃度:0.5質量%
検出器:RI-2031plus(JASCO製)
ポンプ:RI-2080plus(JASCO製)
流量(流速):0.8ml/min
注入量:10μl
校正曲線:標準ポリスチレンShodex standard ポリスチレン(昭和電工(株)製)Mw=1320~2500000迄の10サンプルによる校正曲線を使用した。
粘着剤組成物は、水素引抜型光重合開始剤を含む。なお、水素引抜型光重合開始剤は、粘着剤層にも含まれる。水素引抜型光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射により上述した(メタ)アクリル系共重合体や、(メタ)アクリル系共重合体を構成するモノマーの重合反応を開始させるものである。水素引抜型光重合開始剤は、光励起した開始剤と系中の水素供与体とが励起錯体を形成し、水素供与体の水素を転移させることにより重合を促進する光重合開始剤である。
粘着剤組成物は、開裂型光重合開始剤をさらに含むことが好ましい。開裂型光重合開始剤は、開始剤自身の単結合を開裂分解してラジカルを発生させることにより重合を促進する光重合開始剤である。
本発明の粘着シートは、本発明の効果を損なわない範囲で、上記以外の他の成分を含有してもよい。他の成分としては、粘着剤用の添加剤として公知の成分を挙げることができる。例えば、可塑剤、酸化防止剤、金属腐食防止剤、粘着付与剤、シランカップリング剤、紫外線吸収剤、ヒンダードアミン系化合物等の光安定剤等の中から必要に応じて選択できる。
アクリレート基以外の官能基を有しないアクリル単量体単位としては、例えば非架橋性(メタ)アクリル酸エステル単位と同様のものが挙げられる。
官能基を有しない非アクリル単量体単位としては、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、カプロン酸ビニル、カプリル酸ビニル、カプリン酸ビニル、ラウリン酸ビニル、ミリスチン酸ビニル、パルミチン酸ビニル、ステアリン酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル、安息香酸ビニルのようなカルボン酸ビニルエステル類やスチレン等が挙げられる。
金属腐食防止剤としては、ベンゾリアゾール系樹脂を挙げることができる。
粘着付与剤として、例えば、ロジン系樹脂、テルペン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、クマロンインデン系樹脂、スチレン系樹脂、キシレン系樹脂、フェノール系樹脂、石油樹脂などが挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、メルカプト系シランカップリング剤、(メタ)アクリル系シランカップリング剤、イソシアネート系シランカップリング剤、エポキシ系シランカップリング剤、アミノ系シランカップリング剤などが挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾトリアゾール系化合物、ベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。
本発明の粘着シートの製造方法は、剥離シート上に上述した粘着剤組成物を塗工して塗膜を形成する工程と、この塗膜に活性エネルギー線を照射して半硬化状態の硬化物とする工程を含むことが好ましい。塗膜に活性エネルギー線を照射することにより、(メタ)アクリル系共重合体および水素引抜型光重合開始剤の反応が進行して半硬化状態の硬化物(粘着剤層)が形成される。
本発明は、上述した粘着シートの両面に剥離シートを備える剥離シート付き粘着シートに関するものであってもよい。
シリコーン系剥離剤としては、具体的には、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-4527、SD-7220等や、信越化学工業(株)製のKS-3600、KS-774、X62-2600などが挙げられる。また、シリコーン系剥離剤中にSiO2単位と(CH3)3SiO1/2単位あるいはCH2=CH(CH3)SiO1/2単位を有する有機珪素化合物であるシリコーンレジンを含有することが好ましい。シリコーンレジンの具体例としては、東レ・ダウコーニングシリコーン社製のBY24-843、SD-7292、SHR-1404等や、信越化学工業(株)製のKS-3800、X92-183等が挙げられる。
剥離性積層シートとして、市販品を用いてもよい。例えば、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである重セパレータフィルムや、帝人デュポンフィルム(株)製の離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルムである軽セパレータフィルムを挙げることができる。
積層体の製造方法は、上述した粘着シートの粘着剤層を被着体に対して半硬化状態で貼合した後、活性エネルギー線を照射して粘着剤層を後硬化させる工程を含む。活性エネルギー線を照射する前は、粘着シートの粘着剤層は半硬化状態であることから、基材への初期密着性が良好となる。このように、粘着シートを被着体に貼合した後、粘着剤層を活性エネルギー線で後硬化させることで、粘着剤層の凝集力が高まり、被着体への粘着性が向上する。また、本発明においては、粘着剤層の引張弾性率をPとし、粘着剤層を完全硬化させた後の引張弾性率をQとした場合、Q/Pの値が、3.0未満であるため、後硬化した粘着剤層が変形したり、歪んだりすることを防止できる。
紫外線の光源としては、例えば、高圧水銀灯、低圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、カーボンアーク、キセノンアーク、無電極紫外線ランプ等を使用できる。
電子線としては、例えば、コックロフトワルト型、バンデクラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種類の電子線加速器から放出される電子線を使用できる。
紫外線の照射出力は、積算光量が100~3000mJ/cm2となるようにすることが好ましく、500~2000mJ/cm2となるようにすることがより好ましい。
本発明は、上述した粘着シートと被着体を有する積層体に関するものでもある。積層体は、上述した粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射して後硬化させた後硬化後の粘着剤層と、後硬化後の粘着剤層の少なくとも一方の面側に被着体を備える。粘着シートが両面粘着シートである場合、2つの被着体を半硬化状態の粘着シートで貼合した状態で活性エネルギー線を照射して、粘着剤層を後硬化することで積層体を形成することが好ましい。
タッチパネルの構成部材としては、例えば透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルム、ハードコートフィルム、耐指紋性フィルムなどが挙げられる。本発明の両面粘着シートは、タッチパネルのセンサー積層用であることが好ましく、タッチペンを用いるタッチパネルのセンサー積層用であることがより好ましい。この観点から、本発明の両面粘着シートの被着体としては、透明樹脂フィルムにITO膜が設けられたITOフィルム、ガラス板の表面にITO膜が設けられたITOガラス、透明樹脂フィルムに導電性ポリマーをコーティングした透明導電性フィルムが好ましい。
画像表示装置の構成部材としては、例えば液晶表示装置に用いられる反射防止フィルム、配向フィルム、偏光フィルム、位相差フィルム、輝度向上フィルムなどが挙げられる。
これらの部材に用いられる材料としては、ガラス、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレンナフタレート、シクロオレフィンポリマー、トリアセチルセルロース、ポリイミド、セルロースアシレートなどが挙げられる。
(アクリル系共重合体の合成)
攪拌機、冷却管、温度計および窒素導入管を備えた反応容器にアクリル酸2-エチルヘキシル75質量部、アクリル酸5質量部、エチルメタクリレート20質量部、光重合開始剤として1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン0.05質量部を投入し、窒素ガスを導入しながら照度3mW/cm2の紫外線を照射し、部分重合することにより、転化率21.3%のアクリル系共重合体を含む主剤Aを得た。得られたアクリル系共重合体のGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは70.1万であり、理論Tgは-47℃であった。なお、ガラス転移温度Tgは、下記FOXの式より求められる理論値である。
1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+・・・+Wn/Tgn・・・ FOXの式
(式中のTgはアクリル系共重合体のガラス転移温度(K:ケルビン)であり、W1,W2・・・Wnはアクリル系共重合体を構成する各モノマーの質量分率であり、Tg1,Tg2・・・Tgnは各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度を表す。)
得られた(メタ)アクリル系共重合体100質量部に、水素引抜型光重合開始剤(ランブソン社製:4-メチルベンゾフェノン(4MBP))2.5質量部と、開裂型光重合開始剤(IGMレジン社製:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド(TPO))0.5質量部を加え、均一になるまで撹拌し、粘着剤組成物Aを得た。
上記のように作製した粘着剤組成物Aを、シリコーン系剥離剤で処理された剥離剤層を備えた厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(第1の剥離シート)(王子エフテックス社製:38RL-07(2))の表面に、乾燥後の塗工膜厚が100μmになるようにアプリケーターで均一に塗工した。その後、ブラックライトを積算光量が240mJ/cm2となるように照射し、次いで、高圧水銀ランプを積算光量が750mJ/cm2となるように照射することで、第1の剥離シートの表面に粘着剤層を形成した。次いで、この粘着剤層の表面に厚さ38μmの第2の剥離シート(王子エフテックス社製:38RL-07(L))を貼合して、粘着剤層が剥離力差のある1対の剥離シートに挟まれた第1の剥離シート/粘着剤層/第2の剥離シートの構成を備える剥離シート付き両面粘着シートを得た。
実施例1の(アクリル系共重合体の合成)におけるモノマー成分の配合割合を表1に記載のとおりとなるように変更し、さらに、(粘着剤組成物の作製)における光重合開始剤の配合割合を表1に記載のとおりとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
実施例1の(アクリル系共重合体の合成)におけるモノマー成分の配合割合を表1に記載のとおりとなるように変更し、(粘着剤組成物の作製)における光重合開始剤の配合割合を表1に記載のとおりとなるように変更し、さらに、(粘着シートの作製)における塗工膜厚を表1に記載のとおりとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
実施例1の(粘着シートの作製)における塗工膜厚を表1に記載のとおりとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
実施例2の(粘着剤組成物の作製)における光重合開始剤の配合割合を表1に記載のとおりとなるように変更し、さらに、(粘着シートの作製)における塗工膜厚を表1に記載のとおりとなるように変更した以外は、実施例2と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
実施例1の(粘着剤組成物の作製)における光重合開始剤の配合割合を表1に記載のとおりとなるように変更し、さらに、(粘着シートの作製)における光照射条件を表1の記載のとおりとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
実施例1の(アクリル系共重合体の合成)におけるモノマー成分の配合割合を表1に記載のとおりとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
実施例1の(アクリル系共重合体の合成)において照度4mW/cm2の紫外線を照射し、部分重合することにより、転化率25.5%のアクリル系共重合体を含む主剤A-2を得た。得られたアクリル系共重合体のGPCによるポリスチレン換算の重量平均分子量Mwは34.8万であり、理論Tgは-47℃であった。実施例1の(粘着剤組成物の作製)おいて主剤A-2を用い、光重合開始剤の配合割合を表1に記載のとおりとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
実施例1の(粘着剤組成物の作製)における光重合開始剤の配合割合を表2に記載のとおりとなるように変更し、さらに多官能モノマー(新中村化学工業社製、A-HD-N)を添加した以外は、実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
比較例1の(粘着シートの作製)において高圧水銀ランプを照射しなかった以外は、比較例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
実施例1の(アクリル系共重合体の合成)におけるモノマー成分の配合割合を表2に記載のとおりとなるように変更し、(粘着剤組成物の作製)における光重合開始剤の配合割合を表2に記載のとおりとなるように変更した以外は、実施例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
実施例2の(粘着剤組成物の作製)における光重合開始剤の配合割合を表2に記載のとおりとなるように変更した以外は、実施例2と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
比較例1の(アクリル系共重合体の合成)におけるモノマー成分の配合割合を表2に記載のとおりとなるように変更し、(粘着剤組成物の作製)において、多官能モノマーを添加せずに熱架橋剤(東ソー社製、コロネートHX)を表2に記載のとおりとなるようの配合し、さらに、粘着シートを作製した後に室温にて1週間養生を行った以外は、比較例1と同様にして剥離シート付き両面粘着シートを得た。
<引張応力(破断応力)・破断伸度>
後硬化前の粘着シートの引張応力もしくは破断応力は以下のようにして測定した。まず、実施例及び比較例で得た剥離シート付き両面粘着シートを縦50mm、横(幅方向)Ammとなるように切り出した。この際、横(幅方向)のAの値は、粘着シートの厚み(mm)×Amm=6mm2となるように決定した。次いで、第1の剥離シートを剥離し、粘着シートのみを幅方向に丸め、円の直径2.8mm、高さ50mmの円柱状サンプルとした。円柱状サンプルの上端及び下端のそれぞれ10mmまでの領域を、厚み188μm、縦25mm、横50mmのPETフィルム2枚(合計4枚)で挟みこみ、この領域を引張試験機のチャック部分とし、チャック間距離が30mmとなるように固定した。その後、測定温度23℃、相対湿度50%の環境下で引張速度300mm/分の条件で引張伸び率2000%となるまで引っ張り、引張伸び率が2000%に達する前に破断した場合、該引張伸び率を破断伸度とし、その時の応力値を破断応力とした。なお、引張伸び率が2000%に達しても破断しなかった場合は引張伸び率2000%の応力値を引張応力、破断伸度を2000%以上とした。
後硬化後の粘着シートの引張伸び率が2000%時の引張応力もしくは破断応力は、切り出した剥離シート付き両面粘着シートの第1の剥離シート側から積算光量が2000mJ/cm2となるように紫外線を照射した後に、円柱状サンプルを得て、同様の方法で測定した。
粘着シートの引張弾性率は、<引張応力(破断応力)・破断伸度>の測定において得られる応力-ひずみ曲線(SSカーブ)から算出した。具体的には、0%と5%の引張伸び率と応力値から傾きを算出し、引張弾性率とした。
後硬化前後における粘着シート約0.1gをそれぞれサンプル瓶に採取し、酢酸エチル30mlを加えて24時間振とうした。その後、このサンプル瓶の内容物を150メッシュのステンレス製金網でろ別し、金網上の残留物を100℃で1時間乾燥して乾燥重量W(g)を測定した。得られた乾燥重量から下記式1によりゲル分率を求めた。
ゲル分率(質量%)=(乾燥重量W/粘着シートの採取重量)×100・・・式1
<積層体の作製方法>
ガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)の表面に、紫外線硬化型インクを塗布厚が5μmになるように額縁状(縦90mm×横50mm、幅5mm)にスクリーン印刷した。次いで、紫外線を照射して印刷した上記紫外線硬化型インクを硬化させた。この工程を所定の回数繰り返し、粘着剤層の厚みの30%、もしくは25%となるような各厚みの段差部を有する印刷段差ガラスをそれぞれ得た。
実施例及び比較例で得られた剥離シート付き両面粘着シートを、縦90mm×横50mmの形状に裁断し、第1の剥離シートを剥離し、ラミネーター(株式会社ユーボン製、IKO-650EMT)を用いて、粘着シート(粘着剤層)が印刷段差ガラスの額縁状の印刷全面を覆うように貼合した。その後、第2の剥離シートを剥離し、表出した粘着シート(粘着剤層)に、真空貼合機(常陽工学社製:真空重ね合せ装置(JE2020B-MVH))を用いてガラス板(縦90mm×横50mm×厚み0.5mm)を貼合した。この際の貼合条件は、40℃、弱加圧力0.6kN、強加圧力1.2kN、真空圧100Pa、加圧保持時間10秒とした。次いで、脱泡処理(オートクレーブ処理:40℃、0.5MPa、30分間)を実施し、その後、印刷段差ガラス側から紫外線照射器(アイグラフィックス(株)製、ECS-301G1)にて積算光量が2000mJ/cm2となるように紫外線を照射し、積層体を得た。
上述した方法で得た積層体の印刷段差部をマイクロスコープ(倍率:25倍)で観察し、以下の基準で評価した。実用上、△以上であると段差追従性に優れていると判断できる。
○:粘着層厚みの30%の段差まで追従し、段差貼合面に気泡が見られず完全に埋まっている状態である。
△:粘着層厚みの25%の段差まで追従し、段差貼合面に気泡が見られず完全に埋まっている状態である。
×:粘着層厚みの25%の段差で、段差貼合面に気泡が見られ、段差が埋まっていない状態である。
上述した方法で得た25%の厚みの段差部を有する印刷段差ガラスを有する積層体を、QUV試験機(Q-Lab社製)に投入し、紫外線Aの蛍光灯を使用し、0.8W/m2、80℃、4時間と、0.53W/m2、50℃、4時間の条件でサイクル試験を12回行った。なお、紫外線照射は印刷段差側から行った。その後、印刷段差部を目視で確認し、以下の基準で評価した。
○:段差部に発泡無し
×:段差部に発泡有り
30mm×30mmのサイズとなるように粘着シート片を切り出した。粘着シート片の第1の剥離シートを剥離し、剥き出しにした粘着剤層を、予め50mm角に切り出しておいた評価用剥離PET A71#100(帝人デュポンフィルム社製)のシリコーン処理面に貼り付けた。その後、残っている第2の剥離シート上に、別途50mm角に切り出しておいた評価用の剥離PET A38ST#50(帝人デュポンフィルム社製)のシリコーン処理面を被せた。その後、プレス試験機(東洋精機社製:MP-WNL)を用いて、プレス部の温度を25℃に設定し、2MPaの圧力で5分間加圧した。その後、粘着剤層が粘着シートの第2の剥離シートの各辺から外側に広がった最大距離を測定し、四辺の平均値をウーズ値とした。実用上、△以上であると加工性に優れていると判断できる。
○:1.0mm未満
△:1.0mm以上1.2mm未満
×:1.2mm以上
粘着剤層における残留モノマー量は加熱減量測定法により算出した。具体的には、10cm角に粘着剤層を切り出し、12cm角、12μm厚のアルミ箔に貼り付けた。その後、135℃のオーブンに投入して加熱し、10分後に取り出した。加熱前後の粘着シートの重量の減少率を計算することで、残留モノマー量の指標とした。
EMA:エチルメタクリレート
CHMA:シクロヘキシルメタクリレート
DMAA:ジメチルアクリルアミド
IBXA:イソボルニルアクリレート
4HBA:4-ヒドロキシブチルアクリレート
AAc:アクリル酸
TPO:2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-フォスフィンオキサイド
4MBP:4-メチルベンゾフェノン
A-HD-N:1,6-ヘキサンジオールジアクリレート
11 粘着シート
12a 剥離シート
12b 剥離シート
30 積層体
31 被着体
32 段差部
Claims (10)
- 粘着剤組成物を半硬化状態とした粘着剤層を有する粘着シートであって、
前記粘着剤組成物は、(メタ)アクリル系共重合体、水素引抜型光重合開始剤及び開裂型光重合開始剤を含み、
前記(メタ)アクリル系共重合体の理論ガラス転移温度(Tg)が、-55℃以上-40℃以下であり、
前記粘着剤組成物は熱硬化型架橋剤を実質的に含まず、
前記粘着剤組成物は多官能モノマーを実質的に含まず、
前記粘着剤層の引張弾性率をPとし、前記粘着剤層を完全硬化させた後の引張弾性率をQとした場合、
Q/Pの値が、3.0未満である粘着シート。 - 前記粘着剤層の半硬化状態のゲル分率が、50%以下である請求項1に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層の引張弾性率が、100kPa以上200kPa以下である請求項1又は2に記載の粘着シート。
- 前記水素引抜型光重合開始剤が、ベンゾフェノン系の光重合開始剤である請求項1~3のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤組成物における溶剤の含有量が、0.1質量%以下である請求項1~4のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 前記(メタ)アクリル系共重合体の重量平均分子量が40万以上100万以下である請求項1~5のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 前記粘着剤層の破断伸度が1000%以上であり、引張伸び率が2000%時の引張応力もしくは破断応力が0.1N/mm2以上0.6N/mm2以下である請求項1~6のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 光学部材貼合用である請求項1~7のいずれか1項に記載の粘着シート。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の粘着シートの粘着剤層に活性エネルギー線を照射して後硬化させた後硬化後の粘着剤層と、前記後硬化後の粘着剤層の少なくとも一方の面側に光学部材を備える積層体。
- 請求項1~8のいずれか1項に記載の粘着シートの粘着剤層を光学部材に対して半硬化状態で貼合した後、活性エネルギー線を照射して前記粘着剤層を後硬化させる工程を含む積層体の製造方法。
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