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JP7396128B2 - アンテナ装置の較正装置、較正システム、及び較正方法 - Google Patents

アンテナ装置の較正装置、較正システム、及び較正方法 Download PDF

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JP7396128B2 JP2020037125A JP2020037125A JP7396128B2 JP 7396128 B2 JP7396128 B2 JP 7396128B2 JP 2020037125 A JP2020037125 A JP 2020037125A JP 2020037125 A JP2020037125 A JP 2020037125A JP 7396128 B2 JP7396128 B2 JP 7396128B2
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Description

本開示は、可変な指向性を有するアンテナ装置を較正する較正装置、較正システム、及び較正方法に関する。
無線通信を空間的に多重化するために、また、電波の到来方向を推定するために、可変な指向性を有するアンテナ装置、例えば、複数のアンテナ素子を含むアレイアンテナ装置が使用される。
アンテナ装置の指向特性には、アンテナ素子の製造誤差、アンテナ素子間の電磁的な相互結合、アンテナ素子の間隔のバラツキ、回路素子の性能バラツキ、などに起因して、設計値との誤差が生じることがある。従って、このような誤差を低減または解消するために、アンテナ装置を較正する必要がある。
例えば、電波暗室において、較正対象のアンテナ装置に対して既知の方向に無線信号源を配置し、無線信号源からの電波をアンテナ装置によって受信することにより、アンテナ装置が較正される。例えば、特許文献1は、被測定体と測定用アンテナの位置関係を高精度でかつ短時間に再現性よく設定するための電波暗室を開示している。
また、アンテナ装置及び無線信号源の少なくとも一方が移動体である場合、ドップラー周波数を考慮してアンテナ装置を較正することがある。例えば、特許文献2は、受信信号のドップラー周波数を算出し、ドップラー周波数から観測対象をドップラー測角する測角装置を開示している。
特開2007-033254号公報 国際公開第2015/166560号
アンテナ装置を較正するために無線信号源からの電波をアンテナ装置によって受信するとき、無線信号源からアンテナ装置への直接波に加えて、周囲の物体による反射波がアンテナ装置に入射し、較正の精度が低下することがある。電波暗室の内部であっても、電波吸収体又は他の物体により反射波が生じることがある。
また、アンテナ装置の較正中にアンテナ装置又は無線信号源が波長のオーダーで移動すると、正確な較正は不可能になる。
本開示の目的は、周囲物体の影響を低減し、簡単かつ正確にアンテナ装置を較正することができる較正装置、較正システム、及び較正方法を提供することにある。
本開示の側面に係るアンテナ装置の較正装置によれば、
可変な指向性を有するアンテナ装置の較正装置であって、
前記アンテナ装置及び無線信号源を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させるように駆動装置を制御するコントローラと、
前記アンテナ装置及び前記無線信号源の移動中に前記無線信号源から放射されて前記アンテナ装置によって受信された無線信号に基づいて、前記アンテナ装置の指向特性を設計値に近づけるように、前記アンテナ装置の指向性を変化させかつ較正する信号処理回路の較正係数を計算する較正係数計算器と、
前記較正係数計算器によって計算された較正係数を格納する記憶装置とを備え、
前記アンテナ装置及び前記無線信号源は、予め決められた距離を有して互いに離隔し、
前記較正係数計算器は、
前記受信された無線信号に含まれる各信号成分に係る伝搬経路長を計算し、
前記受信された無線信号に含まれる少なくとも1つの信号成分であって、前記無線信号源及び干渉信号源の少なくとも一方からの各信号成分に係るドップラー周波数を計算し、
前記アンテナ装置及び前記無線信号源の間の予め決められた距離に一致する伝搬経路長を有し、かつ、前記ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出し、
前記抽出された信号成分に基づいて前記信号処理回路の較正係数を計算する。
これにより、周囲物体の影響を低減し、簡単かつ正確にアンテナ装置を較正することができる。
本開示の側面に係るアンテナ装置の較正装置によれば、
前記アンテナ装置は、無線信号を放射する送信アンテナを含み、
前記無線信号源は、前記送信アンテナから放射された無線信号を反射して前記アンテナ装置に向けて再放射する反射器である。
これにより、反射器を用いて、較正システムを簡単に構成することができる。
本開示の側面に係るアンテナ装置の較正装置によれば、
前記無線信号源は、前記無線信号を発生して放射する無線送信機である。
これにより、送信アンテナを持たないアンテナ装置を較正することができる。
本開示の側面に係るアンテナ装置の較正装置によれば、
前記駆動装置は、前記アンテナ装置を備えた無線端末装置を移動させ、
前記無線端末装置は、前記受信された無線信号をベースバンド信号に変換する無線周波回路をさらに備え、
前記較正係数計算器は、前記無線周波回路から出力された前記ベースバンド信号に基づいて、前記信号処理回路の較正係数を計算する。
これにより、アンテナ装置を備えた無線端末装置の実際の回路に応じて、高精度に信号処理回路の較正係数を計算することができる。
本開示の側面に係るアンテナ装置の較正装置によれば、
前記較正装置は、前記受信された無線信号をベースバンド信号に変換する無線周波回路をさらに備え、
前記較正係数計算器は、前記無線周波回路から出力された前記ベースバンド信号に基づいて、前記信号処理回路の較正係数を計算する。
これにより、アンテナ装置自体を直接に較正することができる。
本開示の側面に係るアンテナ装置の較正装置によれば、
可変な指向性を有するアンテナ装置の較正システムであって、
本開示の側面に係る較正装置と、
前記アンテナ装置に向けて無線信号を放射する無線信号源と、
前記アンテナ装置及び前記無線信号源を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させる駆動装置とを備える。
これにより、周囲物体の影響を低減し、簡単かつ正確にアンテナ装置を較正することができる。
本開示の側面に係るアンテナ装置の較正装置によれば、
可変な指向性を有するアンテナ装置の較正方法であって、
駆動装置を用いて、前記アンテナ装置及び無線信号源を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させるステップと、
前記アンテナ装置及び前記無線信号源の移動中に前記無線信号源から放射されて前記アンテナ装置によって受信された無線信号に基づいて、前記アンテナ装置の指向特性を設計値に近づけるように、前記アンテナ装置の指向性を変化させかつ較正する信号処理回路の較正係数を計算するステップと、
前記計算された較正係数を記憶装置に格納するステップとを含み、
前記アンテナ装置及び前記無線信号源は、予め決められた距離を有して互いに離隔し、
前記信号処理回路の較正係数を計算するステップは、
前記受信された無線信号に含まれる各信号成分に係る伝搬経路長を計算するステップと、
前記受信された無線信号に含まれる少なくとも1つの信号成分であって、前記無線信号源及び干渉信号源の少なくとも一方からの各信号成分に係るドップラー周波数を計算するステップと、
前記アンテナ装置及び前記無線信号源の間の予め決められた距離に一致する伝搬経路長を有し、かつ、前記ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出するステップと、
前記抽出された信号成分に基づいて前記信号処理回路の較正係数を計算するステップとを含む。
これにより、周囲物体の影響を低減し、簡単かつ正確にアンテナ装置を較正することができる。
本開示の側面に係る較正装置、較正システム、及び較正方法によれば、周囲物体の影響を低減し、簡単かつ正確にアンテナ装置を較正することができる。
第1の実施形態に係る較正システムの構成を示す斜視図である。 図1の較正装置1及びレーダ装置11の構成を示すブロック図である。 図1のレーダ装置11の詳細構成を示すブロック図である。 図3のアンテナ素子42-1~42-Kからなるアレイアンテナ装置のモデルを説明するための概略図である。 図1の反射器12の構成を示す斜視図である。 図1の較正システムの動作を説明するための概略図である。 図1の較正装置1によって実行される較正処理を示すフローチャートである。 図3の信号処理回路33の較正係数を計算するためのテスト信号の周波数の時間的変化を示すグラフである。 図3のレーダ装置11において、送信されたレーダ波の周波数及び受信されたレーダ波の周波数の差fが、レーダ装置11及び反射器12の間の伝搬遅延時間に応じて変化することを説明するためのグラフである。 図3のアンテナ素子42-1の受信信号の周波数の時間的変化を示すグラフである。 図2の較正係数計算器22によって取得される受信信号の配列を示す図である。 図3のアンテナ素子42-1の受信信号の周波数特性を示すグラフである。 図11の受信信号の配列に対して二次元FFTを実行した結果を示す図である。 第1の実施形態の変形例に係る較正システムの構成を示す斜視図である。 第2の実施形態に係る較正システムの構成を示す斜視図である。 図15の較正装置1Bの構成を示すブロック図である。 図16の無線周波回路の詳細構成を示すブロック図である。 図16のアンテナ装置13及び無線周波回路24と同じタイプのアンテナ装置61及び無線周波回路62を備える無線通信装置15の構成を示すブロック図である。 図15の較正装置1Bによって実行される較正処理を示すフローチャートである。
[適用例]
図1は、第1の実施形態に係る較正システムの構成を示す斜視図である。図2は、図1の較正装置1及びレーダ装置11の構成を示すブロック図である。図1の較正システムは、可変な指向性を有するアンテナ装置、例えば、レーダ装置11のような無線端末装置に内蔵されたアンテナ装置31を較正する。図2の例では、レーダ装置11は、アンテナ装置31の指向性を変化させかつ較正する信号処理回路33をさらに備える。従って、図1の較正システムは、アンテナ装置31を較正するために、信号処理回路33の較正係数を計算する。
図1の較正システムは、較正装置1、駆動装置2,3、及び反射器12を備える。
反射器12は、レーダ装置11に向けて無線信号を放射する無線信号源である。反射器12は、レーダ装置11から放射された無線信号(レーダ波)を反射してレーダ装置11に向けて再放射する。
駆動装置2,3は、レーダ装置11及び反射器12が予め決められた距離を有して互いに離隔するように、レーダ装置11及び反射器12をそれぞれ保持する。また、駆動装置2,3は、レーダ装置11及び反射器12を予め決められた同じ方向及び同じ速度でそれぞれ移動させる。駆動装置2は、例えば支持具2aを介してレーダ装置11を保持する。駆動装置3は、例えば支持具3aを介して反射器12を保持する。駆動装置2,3は、例えば、X軸に沿って一次元的に、Y軸に沿って一次元的に、Z軸に沿って一次元的に、又はそれらの組み合わせで、レーダ装置11及び反射器12を移動させる。
較正装置1は、駆動装置2,3を制御し、また、アンテナ装置31を較正するためにレーダ装置11の信号処理回路33の較正係数を計算する。
駆動装置2,3、レーダ装置11、及び反射器12は、例えば、図1に示すように、電波暗室100の内部に配置されてもよく、また、通常の建物の内部又は外部に配置されてもよい。
図2を参照すると、較正装置1は、コントローラ21、較正係数計算器22、及び記憶装置23を備える。
コントローラ21は、アンテナ装置31及び反射器12を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させるように駆動装置2,3を制御する。
較正係数計算器22は、アンテナ装置31及び反射器12の移動中に反射器12から放射されてアンテナ装置31によって受信された無線信号に基づいて、アンテナ装置31の指向特性を設計値に近づけるように、アンテナ装置31の指向性を変化させかつ較正する信号処理回路33の較正係数を計算する。詳しくは、較正係数計算器22は、受信された無線信号に含まれる各信号成分に係る伝搬経路長を計算する。次いで、較正係数計算器22は、受信された無線信号に含まれる少なくとも1つの信号成分であって、反射器12及び他の干渉信号源の少なくとも一方からの各信号成分に係るドップラー周波数を計算する。干渉信号源は、例えば、反射波又は他の干渉波を発生する周囲の物体又は他の無線信号源を示す。次いで、較正係数計算器22は、アンテナ装置31及び反射器12の間の予め決められた距離に一致する伝搬経路長を有し、かつ、ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出する。次いで、較正係数計算器22は、抽出された信号成分に基づいて信号処理回路33の較正係数を計算する。
記憶装置23は、較正係数計算器22によって計算された較正係数を格納する。記憶装置23に格納された較正係数は、着脱可能な記憶媒体又は通信回線を介して、レーダ装置11(又は、較正対象のレーダ装置11と同じ機種である他のレーダ装置)に送られ、そのアンテナ装置31を較正するために使用される。
前述したように、アンテナ装置を較正するために無線信号源からの電波をアンテナ装置によって受信するとき、無線信号源からアンテナ装置への直接波に加えて、周囲の物体による反射波がアンテナ装置に入射し、較正の精度が低下することがある。一方、図1の較正システムによれば、較正装置1は、アンテナ装置31及び反射器12を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させ、アンテナ装置31によって受信された無線信号に含まれる各信号成分に係るドップラー周波数を計算し、ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出する。アンテナ装置31及び反射器12を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させることにより、アンテナ装置31及び反射器12の相対位置が固定される。アンテナ装置31及び反射器12の移動中に反射器12から放射された無線信号をアンテナ装置31によって受信することにより、反射器12からアンテナ装置31への直接波のドップラー周波数はゼロになる一方、周囲の物体による反射波又は他の干渉波のドップラー
周波数は非ゼロになる。これにより、直接波の信号成分のみを抽出し、反射波又は他の干渉波の影響を低減し、信号処理回路33の較正係数を正確に計算することができる。
また、前述したように、アンテナ装置の較正中にアンテナ装置又は無線信号源が波長のオーダーで移動すると、正確な較正は不可能になる。例えば、無線信号源が毎秒0.2mの速度で移動しているとき、アンテナ装置を較正するために無線信号を20ミリ秒間にわたって受信する場合、較正中に無線信号源は4mmにわたって移動することになる。これは、79GHz帯では1波長に相当し、電波から見て大きな移動量である。この場合、アンテナ装置と無線信号源との位置関係が較正中に一定であるとはいえず、アンテナ装置31を正確に較正することができない。一方、図1の較正システムによれば、アンテナ装置31及び反射器12の相対位置が固定されているので、信号処理回路33の較正係数を正確に計算することができる。
このように、本開示の実施形態に係る較正システムによれば、周囲物体の影響を低減し、簡単かつ正確にアンテナ装置を較正することができる。
本開示の実施形態に係る較正システムは、無線端末装置に内蔵されたアンテナ装置を較正するのではなく、図15を参照して後述するように、アンテナ装置自体を直接に較正してもよい。また、本開示の実施形態に係る較正システムは、図15を参照して後述するように、無線信号源として、反射器12に代えて、無線送信機14を用いてもよい。
[第1の実施形態]
第1の実施形態では、無線端末装置に内蔵されたアンテナ装置を較正する場合について説明する。
[第1の実施形態の構成]
図2を参照すると、レーダ装置11は、例えば、アンテナ装置31、無線周波回路32、信号処理回路33、コントローラ34、及び記憶装置35を備える。
図3は、図1のレーダ装置11の詳細構成を示すブロック図である。
アンテナ装置31は、アンテナ素子41,42-1~42-Kを備える。アンテナ素子41は、無線周波回路32から供給された無線周波信号をレーダ波として放射する送信アンテナとして動作する。アンテナ素子42-1~42-Kは、アンテナ素子41から放射されて何らかの反射物によって反射されたレーダ波を受信する受信アンテナとして動作する。アンテナ素子42-1~42-Kは、例えば、等間隔で一次元的に配置され、アレイアンテナ装置を構成する。アンテナ素子42-1~42-Kは、それらの受信信号を後段の信号処理回路33によって処理することにより、可変な指向性を有する。
図4は、図3のアンテナ素子42-1~42-Kからなるアレイアンテナ装置のモデルを説明するための概略図である。アンテナ素子42-1~42-Kは、例えば、動作波長の1/2の間隔で配置されたリニアアレイアンテナ装置として構成されてもよい。図4では、図示の簡単化のため、アンテナ素子42-1~42-4のみを示す。
図4において、θは、レーダ装置11を基準とする反射器12の方向を示す。この場合、反射器12からレーダ装置11に入射するレーダ波は到来方向θを有する。図4の例では、方向θは、アレイアンテナ装置のブロードサイド方向(図4の+Y方向)を0度とするように設定される。
アレイアンテナ装置の開口面積に対し、レーダ装置11から反射器12までの距離は十分に大きく設定される。例えば、79GHz帯のレーダ波を用いる場合、レーダ装置11から反射器12までの距離は、数十cm~数mに設定されてもよい。これにより、反射器12からレーダ装置11に入射するレーダ波は、平面波とみなすことができる。反射器12がアレイアンテナ装置のブロードサイド方向、すなわちθ=0の位置に配置されているとき、反射器12から各アンテナ素子42-1~42-4までの距離は互いに等しく、また、各アンテナ素子42-1~42-4には同相のレーダ波がそれぞれ入射する。反射器12’がθ≠0の位置に配置されているとき、反射器12’から各アンテナ素子42-1~42-4までの距離は互いに異なり、また、各アンテナ素子42-1~42-4には、各アンテナ素子42-1~42-4の間隔と、方向θとに応じて異なる位相を有するレーダ波がそれぞれ入射する。
再び図3を参照すると、無線周波回路32は、アンテナ装置31によって受信された無線信号をベースバンド信号に変換する。無線周波回路32は、発振器51、移相器52-1~52-K、ミキサ53-1-1~53-K-2、増幅器54-1-1~54-K-2、フィルタ55-1-1~55-K-2、及びアナログ/ディジタル変換器(ADC)56-1-1~56-K-2を備える。
発振器51は、レーダ装置11のコントローラ34(又は較正装置1のコントローラ21)の制御下で、所定の周波数を有する無線周波信号を発生し、発生した無線周波信号をアンテナ素子41に送る。発振器51は、例えば、時間的に次第に増大又は減少する周波数を有するチャープ信号を発生する。発振器51は、発生した無線周波信号を移相器52-1~52-Kにも送る。
アンテナ素子42-1で受信された無線周波信号は、ミキサ53-1-1,53-1-2に入力される。ミキサ53-1-1には、発振器51によって発生された無線周波信号がさらに入力される。また、ミキサ53-1-2には、発振器51によって発生され、移相器52-1によって90度変化した位相を有する無線周波信号がさらに入力される。これにより、ミキサ53-1-1,53-1-2は、ベースバンドのI信号及びQ信号をそれぞれ発生する。増幅器54-1-1はI信号を増幅する。フィルタ55-1-1は、I信号の不要な周波数帯域を阻止する。アナログ/ディジタル変換器56-1-1は、アナログのI信号をディジタル信号に変換する。増幅器54-1-2はQ信号を増幅する。フィルタ55-1-2は、Q信号の不要な周波数帯域を阻止する。アナログ/ディジタル変換器56-1-2は、アナログのQ信号をディジタル信号に変換する。これにより、アナログ/ディジタル変換器56-1から出力されたI信号及びQ信号は、アンテナ素子42-1の受信信号として、信号処理回路33に送られる。
アンテナ素子42-1で受信された無線周波信号と同様に、アンテナ素子42-2~42-Kで受信された無線周波信号は、ミキサ53-2-1~53-K-2、移相器52-2~52-K、増幅器54-2-1~54-K-2、フィルタ55-2-1~55-K-2、及びアナログ/ディジタル変換器56-2-1~56-K-2によって処理される。これにより、アナログ/ディジタル変換器56-2~56-Kから出力されたI信号及びQ信号は、アンテナ素子42-2~42-Kの受信信号として、信号処理回路33にそれぞれ送られる。
図3の例では、無線周波回路32が無線周波信号をベースバンド信号に変換する場合を示すが、無線周波回路32は、無線周波信号を中間周波信号に変換するように構成されてもよい。
信号処理回路33の較正係数を計算するとき、アナログ/ディジタル変換器56-1~56-Kから出力されたI信号及びQ信号は、アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号として、較正装置1の較正係数計算器22に送られる。
信号処理回路33は、無線周波回路32から送られたアンテナ素子42-1~42-Kの受信信号に基づいて、反射物の距離及び方向を推定し、表示装置などの外部装置(図示せず)に出力する。このとき、信号処理回路33は、アンテナ素子42-1~42-Kが可変な指向性を有するように、無線周波回路32から送られたアンテナ素子42-1~42-Kの受信信号を処理する。
コントローラ34は、レーダ装置11の全体の動作を制御する。
記憶装置35には、較正装置1によって計算された較正係数が格納される。コントローラ34は、較正係数を記憶装置35から読み出して信号処理回路33に設定する。信号処理回路33は、コントローラ34により設定された較正係数を用いて、反射物の距離及び方向を推定する。
図5は、図1の反射器12の構成を示す斜視図である。反射器12は、例えば、互いに直交する3つの反射板を含むように構成されてもよい。これにより、レーダ装置11から反射器12にレーダ波が入射したとき、レーダ波を正確にレーダ装置11に向けて反射することができる。反射器12は、四角形の反射板に代えて三角形の反射板を含んでもよく、3つの反射板に代えて互いに直交する2つの反射板を含んでもよく、反射板に代えて球体又は他の任意の反射器を用いてもよい。
[第1の実施形態の動作]
図6は、図1の較正システムの動作を説明するための概略図である。電波暗室100は、非所望波(例えば、壁面などの反射波)を低減するが、完全に除去できない可能性がある。従って、レーダ装置11から反射器12にレーダ波を送信したとき、レーダ装置11には、反射器12の反射波だけでなく、電波吸収体101又は他の物体の反射波が入射する可能性がある。信号処理回路33の較正係数を正確に計算するためには、アンテナ装置31の受信信号から、電波吸収体101又は他の物体に起因する信号成分を除去し、反射器12の反射波に対応する信号成分のみを抽出する必要がある。このため、図1の較正システムによれば、前述したように、較正装置1は、レーダ装置11及び反射器12を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させる。図6の例では、駆動装置2,3(図示せず)は、レーダ装置11及び反射器12を+Y方向に移動させる。さらに、較正装置1は、アンテナ装置31によって受信された無線信号に含まれる各信号成分に係るドップラー周波数を計算し、ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出する。
図7は、図1の較正装置1によって実行される較正処理を示すフローチャートである。
ステップS1において、コントローラ21は、駆動装置2,3を用いて、レーダ装置11及び反射器12の移動を開始する。駆動装置2,3は、レーダ装置11及び反射器12を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させる。移動速度は、後のステップS6において所望信号成分を抽出するとき、反射器12を周囲の静止物体から十分に識別可能であるように設定される。例えば79GHzのレーダ信号を用いる場合、駆動装置2,3は、レーダ装置11及び反射器12を毎秒1メートルの速度で移動させてもよい。
ステップS2において、コントローラ21は、信号処理回路33の較正係数を計算するためのテスト信号として、レーダ装置11及び反射器12の移動中に、レーダ装置11の発振器51を用いて、レーダ装置11から反射器12にレーダ波を送信する。テスト信号は、予め決められた回数にわたって繰り返されるチャープ信号を含む。反射器12によって反射されたレーダ波は、レーダ装置11により受信される。また、ステップS2において、較正係数計算器22は、レーダ装置11の無線周波回路32から各アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号を取得する。較正係数計算器22は、テスト信号に対応する受信信号の全体を内部のメモリに格納する。
テスト信号の送信が完了したとき、ステップS3において、コントローラ21は、駆動装置2,3を用いたレーダ装置11及び反射器12の移動を停止する。
ステップS4において、較正係数計算器22は、各アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号に対して高速フーリエ変換(FFT)をそれぞれ実行し、各受信信号の各信号成分に係る伝搬経路長を計算する。言いかえると、較正係数計算器22は、レーダ装置11から反射物までの距離Rを計算する。較正係数計算器22は、伝搬経路長を計算するために、後述するように、各チャープ信号をサンプリングにより分割した区間を示すインデックスnに関してFFTを実行する。
ステップS5において、較正係数計算器22は、各アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号に対して高速フーリエ変換(FFT)をそれぞれ実行し、各受信信号の各信号成分に係るドップラー周波数を計算する。較正係数計算器22は、ドップラー周波数を計算するために、後述するように、テスト信号におけるチャープ信号の番号を示すインデックスmに関してFFTを実行する。
ステップS6において、較正係数計算器22は、各アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号から、レーダ装置11から反射物までの計算された距離Rが予め決められた距離に一致し、かつ、ドップラー周波数がゼロである信号成分をそれぞれ抽出する。前述したように、アンテナ装置31及び反射器12の相対位置が固定されているので、計算された距離が実際の距離に一致し、かつ、ドップラー周波数がゼロである信号成分は、反射器12からアンテナ装置31への直接波に対応する。一方、計算された距離が実際の距離に不一致する信号成分、又は、ドップラー周波数が非ゼロである信号成分は、周囲の物体による反射波又は他の干渉波を示す。
ステップS7において、較正係数計算器22は、抽出された信号成分に基づいて信号処理回路33の較正係数を計算する。較正係数の計算方法については、後述する。
ステップS8において、較正係数計算器22は、計算された較正係数を記憶装置23に格納する。
[ドップラー周波数に基づく所望信号成分の抽出]
ここで、図8~図13を参照して、ドップラー周波数の計算(図7のステップS5)及び所望信号成分の抽出(図7のステップS6)について説明する。
図8は、図3の信号処理回路33の較正係数を計算するためのテスト信号の周波数の時間的変化を示すグラフである。図8の例では、変調期間Tにわたって周波数f01からf02(中心周波数f、帯域幅B)まで時間的に線形に増大する周波数をそれぞれ有するM個のチャープ信号が、周期TPRIで反復的に発生される。各チャープ信号は、インデックスm=0,1,…,M-1で表される。受信されたレーダ波の周波数は、送信されたレーダ波の周波数に対して、レーダ装置11から反射物までの距離に応じた遅延時間τを有して変化する。変調期間Tは、送信されたレーダ波に対する受信されたレーダ波の遅延時間τよりも非常に大きくなるように設定される。
図9は、図3のレーダ装置11において、送信されたレーダ波の周波数及び受信されたレーダ波の周波数の差fが、レーダ装置11及び反射物の間の伝搬遅延時間に応じて変化することを説明するためのグラフである。図9は、図8のテスト信号におけるM個のチャープ信号のうちの1つを示す。前述したように、受信されたレーダ波の周波数は、送信されたレーダ波の周波数に対して、レーダ装置11から反射物までの距離に応じた遅延時間τを有して変化する。従って、送信されたレーダ波の周波数及び受信されたレーダ波の周波数の差fは、レーダ装置11から反射物までの距離に応じて変化する。距離が増大すると周波数の差fも増大し、距離が減少すると周波数の差fも減少する。また、時刻t2~t3の時間区間において、周波数の差fは一定である。
図10は、図3のアンテナ素子42-1の受信信号の周波数の時間的変化を示すグラフである。図10は、図9の1つのチャープ信号に対応する。送信された無線周波信号及び受信された無線周波信号はミキサ53-1-1~53-1-2により混合されるので、アンテナ素子42-1の受信信号は一定の周波数fを有する。1つのチャープ信号に対応する、アンテナ素子42-1の受信信号は、サンプリング周波数fでサンプリングされ、N個の区間に分割される。分割された各区間は、インデックスn=0,1,…,N-1で表される。
図11は、図2の較正係数計算器22によって取得される受信信号の配列を示す図である。前述したように、テスト信号はM個のチャープ信号を含む。また、M個のチャープ信号のそれぞれは、N個の区間に分割される。従って、較正係数計算器22は、テスト信号に対応する受信信号の全体を、N×M要素の配列として、内部のメモリに格納する。
図11の配列は、アンテナ素子42-1~42-Kごとに取得される。
受信信号の各信号成分に係るドップラー周波数を計算するためには、以下に説明するように、受信信号の位相を参照する。
1つのチャープ信号の周波数は次式により表される。
Figure 0007396128000001
このとき、チャープ信号の位相は次式で表される。
Figure 0007396128000002
ここで、φは初期位相を示す。
送信された無線周波信号及び受信された無線周波信号はミキサ53-1-1~53-1-2により混合されるので、アンテナ素子42-1の受信信号の位相は次式で表される。
Figure 0007396128000003
送信されたレーダ波に対する受信されたレーダ波の遅延時間τは、τ=2(R+vt)/cで表される。ここで、Rは、レーダ装置11から反射物(反射器12又は他の物体)までの距離を示す。vは、レーダ装置11の速度に対する反射物の相対速度を示す。cは光速を示す。式(3)にτを代入することにより、次式が得られる。
Figure 0007396128000004
τ≪Tから、式(4)において、tを含む項は微小であるので無視することができ、次式が得られる。
Figure 0007396128000005
ここで、「2f・v/c」は、ドップラー周波数を示す。
図12は、図3のアンテナ素子42-1の受信信号の周波数特性を示すグラフである。図12は、較正係数計算器22又は33が図10の受信信号に対してインデックスnに関してFFTを実行した結果を示す。図9を参照して説明したように、周波数fは、レーダ装置11から反射物までの距離に応じて変化する。従って、周波数領域で表されたアンテナ素子42-1の受信信号の信号レベルが最大になるときの周波数を検出することにより、レーダ装置11から反射物までの距離を推定することができる。
テスト信号がM個のチャープ信号を含む場合、アンテナ素子42-1の受信信号は次式により表される。
Figure 0007396128000006
ここで、rect(a)は、|a|>1/2のとき0、|a|=1/2のとき1/2、|a|<1/2のとき1である矩形関数を示す。簡単化のため、受信信号の振幅が1であると仮定している。
受信信号をサンプリング周波数fでサンプリングすることにより、次式が得られる。
Figure 0007396128000007
式(7)によれば、変数nに関する周波数は、レーダ装置11の速度に対する反射物の相対速度vと、レーダ装置11から反射物までの距離Rとの関数であることがわかる。また、式(7)によれば、変数mに関する周波数は、レーダ装置11の速度に対する反射物の相対速度vの関数であることがわかる。
式(7)に対して、変数n及びmに関して二次元のフーリエ変換を実行することにより、次式で表される周波数領域の受信信号Z(n’,m’)が得られる。
Figure 0007396128000008
ここで、変数n’は、変数nに対応する周波数を示す。同様に、変数m’は、変数mに対応する周波数を示す。周波数領域の受信信号Z(n’,m’)は、さまざまな周波数n’,m’に対応するさまざまな信号成分を含む。
変数n及びmに関してフーリエ変換を実行するとき、ハミング窓又はブラックマン窓などの窓関数をそれぞれ適用してもよい。
図13は、図11の受信信号の配列に対して二次元FFTを実行した結果を示す図である。変数mに関してフーリエ変換を実行することで、レーダ装置11の速度に対する反射物の相対速度vを得ることができる。また、変数nに関してフーリエ変換を実行することで、レーダ装置11から反射物までの距離Rを得ることができる。各信号成分について、対応する相対速度v及び距離Rを決定することができる。図13の例では、距離R0かつ相対速度v0=0を有する信号成分が、反射器12からアンテナ装置31への直接波に対応し、他の距離R1,R2,R3又は他の相対速度v1,v2,v3を有する信号成分が、周囲の物体による反射波又は他の干渉波に対応する。距離R及び相対速度vを参照することにより、反射器12からアンテナ装置31への直接波に対応する信号成分のみを抽出し、周囲の物体による反射波又は他の干渉波に対応する信号成分を除去することができる。
反射器12からアンテナ装置31への直接波に対応する信号成分と、周囲の物体による反射波又は他の干渉波に対応する信号成分とについて同じ相対速度v0が計算された場合であっても、計算された距離Rに基づいて、直接波に対応する信号成分を特定することができる。
ただし、距離Rは相対速度vにも依存するので、非ゼロの相対速度を有する反射物の距離を測定する精度は、ゼロの相対速度を有する反射物(すなわち反射器12)の距離を測定する精度よりも劣る。
図1の較正システムでは、レーダ装置11及び反射器12の相対速度が常にゼロになるようにレーダ装置11及び反射器12を移動させている。従って、式(5)において、距離Rを含む項は相対速度vに依存しない。したがって、式(5)の位相は距離Rにのみ依存するが、距離Rは較正中に変化しないので、位相を高精度に測定することができる。これによって、信号処理回路33の較正係数を、受信信号の位相及び振幅に基づいて高精度に計算することができる。
[較正係数の計算]
図7のステップS7において、信号処理回路33の較正係数は、例えば、以下のように計算される。
各アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号は、例えば、以下のようにモデル化される。
Figure 0007396128000009
ここで、z(t)は、各アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号z(t),z(t),…,z(t)からなる受信信号ベクトルを示す。各受信信号z(t),…,z(t)は複素数値を有する。a(θ)は、アンテナ素子42-1~42-Kからなるアレイアンテナ装置のモードベクトルを示す。ここで、θは、レーダ装置11へ入射するレーダ波の到来方向を示す。また、y(t)は、到来波の複素振幅を示す。n(t)は、各アンテナ素子42-1~42-Kの付加ガウスノイズからなるK次元のノイズベクトルを示す。
Figure 0007396128000010
Figure 0007396128000011
Figure 0007396128000012
ここで、λは、無線周波信号の波長を示す。x,x,…,xは、各アンテナ素子42-1~42-Kの位置(X座標)を示す。上付き添字Tはベクトル(又は行列)の転置を示す。
式(11)のモードベクトルa(θ)は、アンテナ素子42-1~42-Kからなるアレイアンテナ装置の設計値に基づいて予め計算されて記憶装置23及び35に格納されている。
較正係数計算器22は、各アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号z(t),…,z(t)に対して、ハミング窓又はブラックマン窓などの窓関数を適用してもよい。
図7のステップS6を参照して説明したように、較正係数計算器22は、各アンテナ素子42-k(1≦k≦K)の受信信号z(t)に対して二次元のフーリエ変換をそれぞれ実行し、周波数領域の受信信号Z(n’,m’)を取得する。周波数領域の受信信号Z(n’,m’)は複素数値を有し、周波数n’,m’における各受信信号の振幅及び位相を表す。較正係数計算器22は、各アンテナ素子42-kの周波数領域の受信信号Z(n’,m’)から、アンテナ装置31及び反射器12の間の予め決められた距離に一致する伝搬経路長を有し、かつ、ドップラー周波数がゼロである信号成分Z(n’,m’)をそれぞれ抽出する。信号成分Z(n’,m’)は、反射器12からアンテナ装置31への直接波に対応し、また、図13の例における距離R0かつ相対速度v0=0を有する信号成分に対応する。
次に、レーダ装置11は、レーダ装置11を較正する較正係数として、モードベクトルの較正行列Cを計算する。式(11)は、理想的なモードベクトルを示すが、実際には、各アンテナ素子42-1~42-Kの機械的誤差及び電気的誤差に起因して、モードベクトルは式(11)とは異なる特性を有する。ここで、実際のモードベクトルaactual(θ)を次式により示す。
Figure 0007396128000013
ここで、Cは、次式で表される較正行列である。
Figure 0007396128000014
以下、説明の簡単化のために、較正行列Cが次式で表される場合について説明する。
Figure 0007396128000015
ここで、φ,…,φは、各アンテナ素子42-1~42-Kの位相誤差をそれぞれ示す。
較正係数計算器22は、各アンテナ素子42-1~42-Kの周波数領域の受信信号から抽出された信号成分Z(n’,m’),…,Z(n’,m’)に基づいて、次式を用いて相関行列RZZを計算する。
Figure 0007396128000016
ここで、Zは、各アンテナ素子42-1~42-Kの周波数領域の受信信号から抽出された信号成分Z(n’,m’),…,Z(n’,m’)からなるベクトルを示す。
Figure 0007396128000017
上付き添字Hはベクトル(又は行列)の複素共役転置を示す。
テスト信号を複数回にわたって送信する場合、これらのテスト信号について計算された複数の相関行列RZZの平均を計算し、この平均された相関行列Raveを後のステップで使用してもよい。平均された相関行列Raveを用いることにより、信号対雑音比を向上することができる。
較正係数計算器22は、次式のように相関行列RZZの固有値分解を実行し、第1固有ベクトルuを抽出する。
Figure 0007396128000018
Figure 0007396128000019
Figure 0007396128000020
ここで、u,…,uは固有ベクトルを示し、λ,…,λは固有値を示す。第1固有ベクトルu(すなわち、最大の固有値λに対応する固有ベクトル)は、レーダ装置11から送信されかつ反射器12によって反射されたレーダ波に対応する。また、他の固有ベクトルu,…,uはノイズに対応する。
較正係数計算器22は、第1固有ベクトルu及びモードベクトルa(θ)に基づいて、モードベクトルの較正行列Cを計算する。
各アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号はレーダ装置11のフロントエンドの誤差を含むので、第1固有ベクトルuは次式で表される。
Figure 0007396128000021
ここで、θは、前述したように、レーダ装置11の位置を基準とする反射器12の方向を示す。
従って、較正行列Cの要素cpq(1≦p,q≦K)は、第1固有ベクトルu及びモードベクトルa(θ)に基づいて、次式で表される。
Figure 0007396128000022
ここで、up1(1≦p≦K)は、第1固有ベクトルuの要素を示す。
較正係数計算器22は、計算された較正行列Cを、信号処理回路33の較正係数として、記憶装置23に格納する。
[レーダ探知処理]
実際にレーダ装置11を用いて周囲の障害物などを検出しようとするとき、レーダ装置11は例えば以下のように動作する。
まず、コントローラ34は、較正行列Cを記憶装置35から読み出して信号処理回路33に設定する。
レーダ装置11は、レーダ波を送信し、反射物によって反射されたレーダ波を受信する。レーダ波は、1つ又は複数のチャープ信号を含んでもよい。
信号処理回路33は、各アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号に対して一次元のFFTをそれぞれ実行して各アンテナ素子42-1~42-Kの周波数領域の受信信号Z(f),…,Z(f)を計算する。信号処理回路33はさらに、各アンテナ素子42-1~42-Kの周波数領域の受信信号Z(f),…,Z(f)から、それらのピークZ(f),…,Z(f)をそれぞれ抽出する。
信号処理回路33は、各アンテナ素子42-1~42-Kの周波数領域の受信信号のピークZ(f),…,Z(f)からなるベクトルの相関行列RZZを計算する。
信号処理回路33は、相関行列RZZ、モードベクトルa(θ)、及び較正行列Cに基づいて、評価関数P(θ)を計算する。
評価関数P(θ)は、例えば次式で与えられる。
Figure 0007396128000023
式(23)は、到来方向θに依存する入射波の電力を示す。例えば、ビームフォーマ法と呼ばれる到来方向推定法によれば、式(23)を評価関数として使用し、式(23)の変数θを変化させ、評価関数P(θ)を最大化するときの変数θの値を、入射波の到来方向として推定することができる。
信号処理回路33は、計算された評価関数P(θ)を用いて、レーダ装置11を基準とする反射物の方向を推定する(方向サーチ)。例えば、信号処理回路33は、変数θを所定の初期値から予め決められたステップ幅でインクリメントし、式(23)の評価関数P(θ)を最大化するときの変数θの値を、反射物の方向として推定する。
その後、信号処理回路33は、推定された距離及び方向を、表示装置などの外部装置(図示せず)に出力する。
式(15)は、較正行列Cが受信信号の位相のみを補正する場合を示すが、較正行列は、受信信号の振幅及び位相を補正するように構成されてもよい。
[第1の実施形態の変形例]
図14は、第1の実施形態の変形例に係る較正システムの構成を示す斜視図である。図14の較正システムは、図1の較正装置1及び2つの駆動装置2,3に代えて、較正装置1A及び駆動装置4を備える。
駆動装置4は、図1の駆動装置2,3と同様に、レーダ装置11及び反射器12を予め決められた同じ方向及び同じ速度でそれぞれ移動させる。駆動装置4は、レーダ装置11及び反射器12が予め決められた距離を有して互いに離隔するように、支持具4aを介してレーダ装置11を保持し、支持具4bを介して反射器12を保持する。
較正装置1Aは、図1の2つの駆動装置2,3に代えて、一体化された駆動装置4を制御することの他は、図1の較正装置1と同様に構成される。
図14に示すように一体化された駆動装置4を用いることにより、レーダ装置11及び反射器12が予め決められた距離を有して互いに離隔するように、レーダ装置11及び反射器12を容易に保持することができる。
[第1の実施形態の効果]
第1の実施形態に係る較正システムによれば、較正装置1は、レーダ装置11及び反射器12を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させ、各受信信号の各信号成分に係るドップラー周波数を計算し、ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出する。これにより、周囲物体の影響を低減し、簡単かつ正確にアンテナ装置13を較正することができる。
較正装置1によって計算された較正係数は、較正装置1の記憶装置23から読み出され、レーダ装置11の記憶装置35に書き込まれる。レーダ装置11は、記憶装置35から読み出した較正係数を用いてレーダ探知処理を実行することにより、レーダ装置11から反射物までの距離及び方向を高精度に推定することができる。
第1の実施形態に係る較正システムによれば、電波暗室を使用せず、通常の建物の内部又は外部であっても、直接波の信号成分のみを抽出し、反射波又は他の干渉波の影響を低減し、信号処理回路33の較正係数を正確に計算することができる。従って、アンテナ装置を製造時に較正するために較正システムを構築する場合、高価な電波吸収体を削減、又は完全に除去することができ、較正システムのコストを低減することができる。
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、無線端末装置に内蔵されたアンテナ装置を較正するのではなく、アンテナ装置自体を直接に較正する場合について説明する。
[第2の実施形態の構成]
図15は、第2の実施形態に係る較正システムの構成を示す斜視図である。図15の較正システムは、可変な指向性を有するアンテナ装置13を較正する。図18を参照して後述するように、図15のアンテナ装置13と同じタイプのアンテナ装置61が、無線通信装置15のような無線端末装置に組み込まれて使用される。無線通信装置15は、アンテナ装置61の指向性を変化させかつ較正する信号処理回路63をさらに備える。従って、図15の較正システムは、アンテナ装置13又は63を較正するために、無線通信装置15の信号処理回路63の較正係数を計算する。
図15の較正システムは、較正装置1B、駆動装置2,3、及び無線送信機14を備える。
無線送信機14は、較正装置1Bの制御下で無線信号を発生して放射する無線信号源である。
駆動装置2,3は、アンテナ装置13及び無線送信機14が予め決められた距離を有して互いに離隔するように、アンテナ装置13及び無線送信機14をそれぞれ保持する。また、駆動装置2,3は、アンテナ装置13及び無線送信機14を予め決められた同じ方向及び同じ速度でそれぞれ移動させる。駆動装置2は、例えば支持具2aを介してアンテナ装置13を保持する。駆動装置3は、例えば支持具3aを介して無線送信機14を保持する。
較正装置1Bは、駆動装置2,3を制御し、また、信号処理回路63の較正係数を計算する。
図16は、図15の較正装置1Bの構成を示すブロック図である。較正装置1Bは、コントローラ21B、無線周波回路24、較正係数計算器22、及び記憶装置23を備える。
コントローラ21Bは、アンテナ装置13及び無線送信機14を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させるように駆動装置2,3を制御する。また、コントローラ21Bは、無線周波回路24の動作と同期してテスト信号を発生するように、無線送信機14を制御する。
無線周波回路24は、アンテナ装置13によって受信された無線信号をベースバンド信号に変換する。
図17は、図16の無線周波回路の詳細構成を示すブロック図である。
第2の実施形態に係る較正システムでは、アンテナ装置13を較正するためにアンテナ装置13から無線信号を放射する必要はない。従って、図17に示すように、アンテナ装置13は、受信アンテナとして動作するアンテナ素子42-1~42-Kのみを備え、送信アンテナとして動作するアンテナ素子をもたない。図17のアンテナ素子42-1~42-Kは、図3のアンテナ素子42-1~42-Kと同様に構成される。
無線周波回路24は、発振器51、移相器52-1~52-K、ミキサ53-1-1~53-K-2、増幅器54-1-1~54-K-2、フィルタ55-1-1~55-K-2、及びアナログ/ディジタル変換器(ADC)56-1-1~56-K-2を備える。発振器51は、コントローラ21Bの制御下で、所定の周波数を有する無線周波信号を発生し、発生した無線周波信号を移相器52-1~52-Kに送る。無線送信機14は、発振器51によって発生されるものと同じ無線周波信号を発生する。無線周波回路24の他の構成要素は、図3の無線周波回路32の対応する構成要素と同様に構成される。アナログ/ディジタル変換器56-1~56-Kから出力されたI信号及びQ信号は、アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号として、較正装置1の較正係数計算器22に送られる。
図16の較正係数計算器22及び記憶装置23は、図2の対応する構成要素と同様に構成される。較正係数計算器22は、無線周波回路24から出力されたベースバンド信号に基づいて、信号処理回路63の較正係数を計算する。
図18は、図16のアンテナ装置13及び無線周波回路24と同じタイプのアンテナ装置61及び無線周波回路62を備える無線通信装置15の構成を示すブロック図である。前述したように、図15のアンテナ装置13又は同じタイプのアンテナ装置61が、無線通信装置15のような無線端末装置に組み込まれて使用される。無線通信装置15は、アンテナ装置61、無線周波回路62、信号処理回路63、コントローラ64、及び記憶装置65を備える。
アンテナ装置61は、図16のアンテナ装置13と同じタイプである。従って、図16のアンテナ装置13について計算された較正係数は、図18のアンテナ装置61にも適用可能である。
無線周波回路62は、図16の無線周波回路24と同じタイプである。無線周波回路62は、アンテナ装置61によって受信された無線信号をベースバンド信号に変換する。
信号処理回路63は、無線周波回路62から送られたアンテナ素子42-1~42-Kの受信信号を復調する。このとき、信号処理回路63は、アンテナ素子42-1~42-Kが可変な指向性を有するように、無線周波回路62から送られたアンテナ素子42-1~42-Kの受信信号を処理する。
コントローラ64は、無線通信装置15の全体の動作を制御する。
記憶装置65には、較正装置1Bによって計算された較正係数が格納される。コントローラ64は、較正係数を記憶装置65から読み出して信号処理回路63に設定する。信号処理回路63は、コントローラ64により設定された較正係数を用いて受信信号を処理する。
[第2の実施形態の動作]
図19は、図15の較正装置1Bによって実行される較正処理を示すフローチャートである。
ステップS21において、コントローラ21Bは、駆動装置2,3を用いてアンテナ装置13及び無線送信機14の移動を開始する。ステップS21は、図7のステップS1と同様である。
ステップS22において、コントローラ21Bは、信号処理回路63の較正係数を計算するためのテスト信号として、無線送信機14からアンテナ装置13に向けてテスト信号を送信するように無線送信機14を制御する。テスト信号は、例えば、第1の実施形態と同様に、予め決められた回数にわたって繰り返されるチャープ信号を含む。ステップS23において、無線周波回路24は、アンテナ装置13を介してテスト信号を受信し、較正係数計算器22は、無線周波回路24から各アンテナ素子42-1~42-Kの受信信号を取得する。
テスト信号の送信が完了したとき、ステップS24において、コントローラ21Bは、駆動装置2,3を用いたアンテナ装置13及び無線送信機14の移動を停止する。
以後のステップS25~S29は、図7のステップS4~S8と実質的に同様である。
[第2の実施形態の効果]
第2の実施形態に係る較正システムによれば、較正装置1Bは、アンテナ装置13及び無線送信機14を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させ、各受信信号の各信号成分に係るドップラー周波数を計算し、ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出する。これにより、第1の実施形態と同様に、周囲物体の影響を低減し、簡単かつ正確にアンテナ装置13を較正することができる。
較正装置1Bによって計算された較正係数は、較正装置1Bの記憶装置23から読み出され、無線通信装置15の記憶装置65に書き込まれる。無線通信装置15は、記憶装置65から読み出した較正係数を用いて受信信号を処理することにより、アンテナ装置61の主ビーム方向を適切に操向し、通信品質を向上することができる。
第2の実施形態に係る較正システムによれば、無線送信機14を用いることにより、送信アンテナを持たないアンテナ装置13を較正することができる。また、第2の実施形態に係る較正システムによれば、較正装置1Bが無線周波回路24を備えたことにより、アンテナ装置13自体を直接に較正することができる。
[変形例]
第1及び第2の実施形態では、ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出する場合について説明したが、ドップラー周波数がゼロに最も近い信号成分を、無線信号源からアンテナ装置への直接波の信号成分として抽出してもよい。同様に、第1及び第2の実施形態では、アンテナ装置から無線信号源までの予め決められた距離に一致する伝搬経路長を有する信号成分を抽出する場合について説明したが、予め決められた距離に最も近い伝搬経路長を有する信号成分を、無線信号源からアンテナ装置への直接波の信号成分として抽出してもよい。
信号処理回路の較正係数を計算するために、チャープ信号に代えて他の無線信号、例えばパルス信号を用いてもよい。
無線端末装置に内蔵されたアンテナ装置を較正するとき、第1の実施形態では反射器を用いたが、反射器に代えて無線送信機を用いてもよい。この場合、較正装置のコントローラは、無線端末装置の無線周波回路の動作と同期してテスト信号を発生するように、無線送信機を制御する。
無線端末装置に内蔵されたアンテナ装置を較正するとき、第1の実施形態に係る較正装置は無線端末装置の無線周波回路の出力信号を取得して処理したが、それに代わって、アンテナ装置の出力信号を取得して処理してもよい。
第1及び第2の実施形態では、無線周波回路24,32,62がベースバンドの受信信号を出力し、較正係数計算器22及び信号処理回路33,63がベースバンドの受信信号を処理する場合について説明した。それに代わって、無線周波回路が中間周波数の受信信号を出力し、較正係数計算器が中間周波数の受信信号を処理してもよい。
第1及び第2の実施形態では、受信アンテナとして動作するアンテナ装置が可変な指向性を有する場合について説明した。一方、アンテナ装置の双対性により、本開示の実施形態は、送信アンテナとして動作するアンテナ装置が可変な指向性を有する場合にも適用可能である。
[まとめ]
本開示の各側面に係る較正システム及び較正方法は、以下のように表現されてもよい。
本開示の一側面によれば、可変な指向性を有するアンテナ装置13,31の較正装置1,1A,1Bが提供される。較正装置1,1A,1Bは、コントローラ21,21B、較正係数計算器22、及び記憶装置23を備える。コントローラ21,21Bは、アンテナ装置13,31及び無線信号源を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させるように駆動装置2~4を制御する。較正係数計算器22は、アンテナ装置13,31及び無線信号源の移動中に無線信号源から放射されて受信された無線信号に基づいて、アンテナ装置13,31の指向特性を設計値に近づけるように、アンテナ装置13,31の指向性を変化させかつ較正する信号処理回路33,63の較正係数を計算する。記憶装置23は、較正係数計算器22によって計算された較正係数を格納する。アンテナ装置31及び無線信号源は、予め決められた距離を有して互いに離隔する。較正係数計算器22は、受信された無線信号に含まれる各信号成分に係る伝搬経路長を計算する。較正係数計算器22は、受信された無線信号に含まれる少なくとも1つの信号成分であって、無線信号源及び干渉信号源の少なくとも一方からの各信号成分に係るドップラー周波数を計算する。較正係数計算器22は、アンテナ装置13,31及び無線信号源の間の予め決められた距離に一致する伝搬経路長を有し、かつ、ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出する。較正係数計算器22は、抽出された信号成分に基づいてアンテナ装置13,31の較正係数を計算する。
本開示の一側面によれば、アンテナ装置13,31は、無線信号を放射する送信アンテナを含む。無線信号源は、送信アンテナから放射された無線信号を反射してアンテナ装置13,31に向けて再放射する反射器12である。
本開示の一側面によれば、無線信号源は、無線信号を発生して放射する無線送信機14である。
本開示の一側面によれば、駆動装置2~4は、アンテナ装置31を備えた無線端末装置を移動させる。無線端末装置は、アンテナ装置31によって受信された無線信号をベースバンド信号に変換する無線周波回路32をさらに備える。較正係数計算器22は、無線周波回路32から出力されたベースバンド信号に基づいて、信号処理回路33の較正係数を計算する。
本開示の一側面によれば、較正装置1Bは、アンテナ装置13によって受信された無線信号をベースバンド信号に変換する無線周波回路24をさらに備える。較正係数計算器22は、無線周波回路24から出力されたベースバンド信号に基づいて、信号処理回路33の較正係数を計算する。
本開示の一側面によれば、可変な指向性を有するアンテナ装置13,31の較正システムが提供される。較正システムは、較正装置1,1A,1Bと、アンテナ装置13,31に向けて無線信号を放射する無線信号源と、アンテナ装置13,31及び無線信号源を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させる駆動装置2~4とを備える。
本開示の一側面によれば、可変な指向性を有するアンテナ装置13,31の較正方法が提供される。較正方法は、駆動装置2~4を用いて、アンテナ装置13,31及び無線信号源を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させるステップと、アンテナ装置13,31及び無線信号源の移動中に無線信号源から放射されて受信された無線信号に基づいて、アンテナ装置13,31の指向特性を設計値に近づけるように、アンテナ装置13,31の指向性を変化させかつ較正する信号処理回路33,63の較正係数を計算するステップと、計算された較正係数を記憶装置23に格納するステップとを含む。アンテナ装置31及び無線信号源は、予め決められた距離を有して互いに離隔する。信号処理回路33,63の較正係数を計算するステップは、受信された無線信号に含まれる各信号成分に係る伝搬経路長を計算するステップと、受信された無線信号に含まれる少なくとも1つの信号成分であって、無線信号源及び干渉信号源の少なくとも一方からの各信号成分に係るドップラー周波数を計算するステップと、アンテナ装置13,31及び無線信号源の間の予め決められた距離に一致する伝搬経路長を有し、かつ、ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出するステップと、抽出された信号成分に基づいて信号処理回路33,63の較正係数を計算するステップとを含む。
本開示の較正システムは、例えば、レーダ装置を出荷時に検査するとき、簡単かつ正確にレーダ装置のアンテナ装置を較正することができる。
1,1A,1B 較正装置
2,3,4 駆動装置
11 レーダ装置
12 反射器
13 アンテナ装置
14 無線送信機
15 無線通信装置
21,21B コントローラ
22 較正係数計算器
23 記憶装置
24 無線周波回路
31 アンテナ装置
32 無線周波回路
33 較正係数計算器
34 コントローラ
35 記憶装置
41,42-1~42-K アンテナ素子
51 発振器
52-1~52-K 移相器
53-1-1~53-K-2 ミキサ
54-1-1~54-K-2 増幅器
55-1-1~55-K-2 フィルタ
56-1-1~56-K-2 アナログ/ディジタル変換器(ADC)
61 アンテナ装置
62 無線周波回路
63 信号処理回路
64 コントローラ
65 記憶装置
100 電波暗室
101 電波吸収体

Claims (7)

  1. 可変な指向性を有するアンテナ装置の較正装置であって、
    前記アンテナ装置及び無線信号源を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させるように駆動装置を制御するコントローラと、
    前記アンテナ装置及び前記無線信号源の移動中に前記無線信号源から放射されて前記アンテナ装置によって受信された無線信号に基づいて、前記アンテナ装置の指向特性を設計値に近づけるように、前記アンテナ装置の指向性を変化させかつ較正する信号処理回路の較正係数を計算する較正係数計算器と、
    前記較正係数計算器によって計算された較正係数を格納する記憶装置とを備え、
    前記アンテナ装置及び前記無線信号源は、予め決められた距離を有して互いに離隔し、
    前記較正係数計算器は、
    前記受信された無線信号に含まれる各信号成分に係る伝搬経路長を計算し、
    前記受信された無線信号に含まれる少なくとも1つの信号成分であって、前記無線信号源及び干渉信号源の少なくとも一方からの各信号成分に係るドップラー周波数を計算し、
    前記アンテナ装置及び前記無線信号源の間の予め決められた距離に一致する伝搬経路長を有し、かつ、前記ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出し、
    前記抽出された信号成分に基づいて前記信号処理回路の較正係数を計算する、
    較正装置。
  2. 前記アンテナ装置は、無線信号を放射する送信アンテナを含み、
    前記無線信号源は、前記送信アンテナから放射された無線信号を反射して前記アンテナ装置に向けて再放射する反射器である、
    請求項1記載の較正装置。
  3. 前記無線信号源は、前記無線信号を発生して放射する無線送信機である、
    請求項1記載の較正装置。
  4. 前記駆動装置は、前記アンテナ装置を備えた無線端末装置を移動させ、
    前記無線端末装置は、前記受信された無線信号をベースバンド信号に変換する無線周波回路をさらに備え、
    前記較正係数計算器は、前記無線周波回路から出力された前記ベースバンド信号に基づいて、前記信号処理回路の較正係数を計算する、
    請求項1~3のうちの1つに記載の較正装置。
  5. 前記較正装置は、前記受信された無線信号をベースバンド信号に変換する無線周波回路をさらに備え、
    前記較正係数計算器は、前記無線周波回路から出力された前記ベースバンド信号に基づいて、前記信号処理回路の較正係数を計算する、
    請求項1~3のうちの1つに記載の較正装置。
  6. 可変な指向性を有するアンテナ装置の較正システムであって、
    請求項1~5のうちの1つに記載の較正装置と、
    前記アンテナ装置に向けて無線信号を放射する無線信号源と、
    前記アンテナ装置及び前記無線信号源を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させる駆動装置とを備えた、
    較正システム。
  7. 可変な指向性を有するアンテナ装置の較正方法であって、
    駆動装置を用いて、前記アンテナ装置及び無線信号源を予め決められた同じ方向及び同じ速度で移動させるステップと、
    前記アンテナ装置及び前記無線信号源の移動中に前記無線信号源から放射されて前記アンテナ装置によって受信された無線信号に基づいて、前記アンテナ装置の指向特性を設計値に近づけるように、前記アンテナ装置の指向性を変化させかつ較正する信号処理回路の較正係数を計算するステップと、
    前記計算された較正係数を記憶装置に格納するステップとを含み、
    前記アンテナ装置及び前記無線信号源は、予め決められた距離を有して互いに離隔し、
    前記信号処理回路の較正係数を計算するステップは、
    前記受信された無線信号に含まれる各信号成分に係る伝搬経路長を計算するステップと、
    前記受信された無線信号に含まれる少なくとも1つの信号成分であって、前記無線信号源及び干渉信号源の少なくとも一方からの各信号成分に係るドップラー周波数を計算するステップと、
    前記アンテナ装置及び前記無線信号源の間の予め決められた距離に一致する伝搬経路長を有し、かつ、前記ドップラー周波数がゼロである信号成分を抽出するステップと、
    前記抽出された信号成分に基づいて前記信号処理回路の較正係数を計算するステップとを含む、
    較正方法。
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