JP7396158B2 - 光ファイバの製造方法 - Google Patents
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Description
断線が引き取り装置の手前側で生じた場合には、再度光ファイバ母材の先端部分を加熱溶融し、この溶融したガラスの塊(落とし種)を落とす(口出しともいう)ことからやり直す必要が生じる場合がある。また、断線が発生した場合に、線引き炉の内部でガラスファイバが詰まると、復旧に大幅な時間が必要になることもある。
最初に本開示の実施形態の内容を列記して説明する。
本開示に係る光ファイバの製造方法は、(1)光ファイバ母材を加熱する線引き炉と、線引きされたガラスファイバに樹脂を被覆する被覆装置と、該被覆された光ファイバの走行ラインの方向を変更する直下ローラと、該直下ローラから送られた光ファイバをそれぞれ案内する複数のガイドローラと、該ガイドローラに案内された光ファイバを引き取る引き取り装置と、を順に有した光ファイバの製造装置により光ファイバを製造する方法であって、前記ガイドローラの劣化を検査する工程と、所定径のガラスファイバを線引きする工程と、を有し、前記検査する工程が、前記引き取り装置の直前に位置するガイドローラで張力を測定する工程と、前記測定した張力に基づいて前記ガイドローラの劣化を判定する工程とを含む。
引き取り装置の手前で張力を測定することでガイドローラの劣化を検査するので、光ファイバの断線の頻度が高くなる前に、劣化したガイドローラを交換するなどの処理を行うことができる。さらに、ガイドローラの劣化を判定するので、光ファイバの断線の頻度が高くなる前に、劣化したガイドローラを交換するなどの処理を行うことができる。よって、複数のガイドローラを有する光ファイバの製造装置において、線引き中における光ファイバの断線を減らすことができる。
また、最終的な張力を測定することができるので、断線する確率が高まっているか否かも判断できる。
なお、「張力」とは、樹脂の被覆後における光ファイバに生ずる張力(被覆後張力)を意味しており、また、「手前」とは、光ファイバの走行方向を考慮した際の、前方側を意味する。
直下ローラと引き取り装置との間に位置するガイドローラ軸に加わる力を測定し、ガイドローラの劣化を判定するので、上記同様、光ファイバの断線の頻度が高くなる前に、劣化したガイドローラを交換するなどの処理を行うことができる。よって、線引き中における光ファイバの断線を減らすことができる。
(3)本開示の光ファイバの製造方法の一態様では、前記張力を測定する工程は、少なくとも前記複数のガイドローラのうちの一つのガイドローラの前、または後ろの光ファイバの固有振動を測定することで光ファイバの張力を求める工程である。
レーザ式測定器等で、非接触で光ファイバの固有振動から光ファイバの張力を求めることができるため、測定のためのガイドローラを省略することができる。
(4)本開示の光ファイバの製造方法の一態様では、前記ガイドローラ軸に加わる力を測定する工程は、前記引き取り装置の直前に位置するガイドローラのガイドローラ軸に加わる力を測定する工程である。
引き取り装置の直前に位置するガイドローラ軸に加わる力を測定すれば、どのガイドローラが劣化していても、劣化の有無を判定できる。また、最終的な張力を測定することができるので、断線する確率が高まっているか否かも判断できる。
(5)本開示の光ファイバの製造方法の一態様では、前記固有振動を測定する工程は、前記引き取り装置の直前に位置するガイドローラの後ろの光ファイバの固有振動を測定する工程である。
引き取り装置の直前に位置するガイドローラの後ろの光ファイバの固有振動を測定すれば、どのガイドローラが劣化していても、劣化の有無を判定できる。また、最終的な張力を測定することができるので、断線する確率が高まっているか否かも判断できる。
光ファイバを被覆する樹脂は、UV硬化炉を出てしばらくの間は温度が高い状態にあるため、その状態で引き取り装置に引き取られると、樹脂が変形したり、ガラスファイバと被覆との間が剥離したりする場合がある。本開示では、直下ローラから引き取り装置までの走行ラインの長さが、5m以上と長く設定されているため、被覆された光ファイバを十分冷却することができる。
(7)本開示の光ファイバの製造方法の一態様では、前記複数のガイドローラの個数が、20個以下である。
多数のガイドローラを用いてターン数を多くすることで、コンパクトな製造装置を提供できる。また、その個数が20個以下なので、張力が高くなりすぎるのを抑えることができる。
(8)本開示の光ファイバの製造方法の一態様では、前記線引きする工程中に、前記ガイドローラの劣化を検査する工程を行う。
線引き中であっても、ガイドローラの劣化を測定することで、光ファイバの断線の頻度が高くなる前に、劣化したガイドローラをパスラインから外し、交換するなどの処理を行うことができる。よって、線引き中における光ファイバの断線を減らすことができる。
以下、添付図面を参照しながら、本開示に係る光ファイバの製造方法の具体例について説明する。図1は、本開示の一態様に係る光ファイバの製造装置の概略図である。
図1に示すように、光ファイバ製造装置10は、最上流位置に、光ファイバ母材Gを加熱して軟化させる線引き炉11を備える。
光ファイバ母材Gの上部は母材送りユニットFに把持されており、光ファイバ母材Gは母材送りユニットFにより炉心管12内に送られる。光ファイバ母材Gの下端部分が発熱体13によって加熱されて下方に線引きされると、光ファイバG2の構成部材であるガラスファイバG1が形成される。
光ファイバ製造装置10は、冷却ユニット15の下流側に外径測定ユニット16を備える。外径測定ユニット16は、例えばレーザ光を用いてガラスファイバG1の外径を測定可能に構成されており、冷却ユニット15で冷却されたガラスファイバG1は、外径測定ユニット16で外径が測定されて下方に送られる。なお、外径測定ユニット16は、ガラスファイバG1の外径を非接触で測定できれば、レーザ光以外の測定方式であってもよい。
直下ローラ18によって走行方向が変更された光ファイバG2は、ガイドローラ19a~19iにそれぞれ案内され、最下流に位置するガイドローラ19iによって走行方向が水平方向から例えば斜め上方へと変更される。
なお、引き取り装置20が本開示の引き取り装置に相当する。引き取り装置は、ガラスファイバG1の周囲に樹脂層を形成した光ファイバG2を最初に牽引する装置である。
制御部42は、比較部43、判定部44を有する。比較部43は、所定の閾値と、張力測定装置30iで検出された、ガイドローラ19iのガイドローラ軸に加わっている光ファイバG2の張力とを比較する。判定部44は、検出された光ファイバG2の張力が所定の閾値を超えている場合、測定位置よりも上流側に位置するガイドローラ19a~19iが劣化していると判定する。
また、引き取り装置20の直前に位置するガイドローラ19iのガイドローラ軸に加わる力を測定すれば、どのガイドローラが劣化していても、劣化の有無を判定できる。
また、複数のガイドローラのうちの、少なくとも2個のガイドローラ軸に加わる力を測定し、その力の差から求められる張力の増分に基づいて、ガイドローラの劣化を判定することも可能である。このようにすることで、当該2個のガイドローラ、およびその間のガイドローラの劣化の有無が判定できる。
勿論、各ガイドローラ軸に加わる力を測定すれば、各ガイドローラの劣化を調べることができるので、さらに好ましいが、設備コスト増やメンテナンスの問題がある。
なお、ガイドローラ軸に加わる力を測定する代わりに、例えばハンディの張力計や、非接触の張力計で、引き取り装置20の手前や、各ガイドローラ前後の張力を測定し、ガイドローラの劣化を判定してもよい。
ガイドローラ19iのガイドローラ軸に加わる力(測定値)を測定し、光ファイバG2の断線頻度との関係を求めた。なお、断線頻度は、光ファイバG2が線引き長1000km当たりで断線する回数と定義した。
その結果、測定値が700gの場合には、断線頻度は2回であった。また、測定値が600gの場合には、断線頻度は1.3回であり、測定値が500gの場合には0.6回であった。さらに、測定値が400gの場合には0.3回、測定値が300gの場合には0.05回であり、測定値が200gの場合には0.02回であった。つまり、ガイドローラ19a~19iのガイドローラ軸に加わる力が500gを超えないようにすれば、光ファイバG2の断線頻度が1回未満になることが分かる。
Claims (8)
- 光ファイバ母材を加熱する線引き炉と、線引きされたガラスファイバに樹脂を被覆する被覆装置と、該被覆された光ファイバの走行ラインの方向を変更する直下ローラと、該直下ローラから送られた光ファイバをそれぞれ案内する複数のガイドローラと、該ガイドローラに案内された光ファイバを引き取る引き取り装置と、を順に有した光ファイバの製造装置により光ファイバを製造する方法であって、
前記ガイドローラの劣化を検査する工程と、所定径のガラスファイバを線引きする工程と、を有し、
前記検査する工程が、
前記引き取り装置の直前に位置するガイドローラで張力を測定する工程と、前記測定した張力に基づいて前記ガイドローラの劣化を判定する工程とを含む、光ファイバの製造方法。 - 前記張力を測定する工程は、
前記複数のガイドローラのうちの、少なくとも1個のガイドローラ軸に加わる力を測定する工程である、請求項1に記載の光ファイバの製造方法。 - 前記張力を測定する工程は、
少なくとも前記複数のガイドローラのうちの一つのガイドローラの前、または後ろの光ファイバの固有振動を測定することで光ファイバの張力を求める工程である、請求項1に記載の光ファイバの製造方法。 - 前記ガイドローラ軸に加わる力を測定する工程は、前記引き取り装置の直前に位置するガイドローラのガイドローラ軸に加わる力を測定する工程である、請求項2に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記固有振動を測定する工程は、前記引き取り装置の直前に位置するガイドローラの後ろの光ファイバの固有振動を測定する工程である、請求項3に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記直下ローラから前記引き取り装置までの走行ラインの長さが、5m以上である、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記複数のガイドローラの個数が、20個以下である、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載の光ファイバの製造方法。
- 前記線引きする工程中に、前記ガイドローラの劣化を検査する工程を行う、請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の光ファイバの製造方法。
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